説明

照明装置、撮像装置および照明方法

【課題】よりよい条件でバウンス撮像する。
【解決手段】撮像対象を撮像する場合に撮像対象を照明する照明装置であって、照明光を発生する発光部と、照明光の照射方向を変化させる駆動部と、駆動部により変化された複数の照射方向について照明光を照射された撮像対象の輝度を測定する測定部と、測定部が測定した輝度のうち最も高い輝度が測定された照射方向を、撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する決定部とを備える。上記照明装置において、駆動部は、撮像対象に対して照明光が間接光として照射される範囲で照射方向を変化させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、撮像装置および照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工照明による撮像において、照明装置の照明光を壁面、天井面等で反射させて、撮像対象を間接光で照明しつつ撮像するバウンス撮像という撮像手法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−256849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バウンス撮像においては、撮像装置から撮像対象に向かう方向と異なる方向に照明光を照射させる。このため、照明光の適切な照射方向を選ぶことが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を且つ決すべく、本発明の第一態様として、撮像対象(530)を撮像する場合に撮像対象を照明する照明装置(300)であって、照明光を発生する発光部(310)と、照明光の照射方向を変化させる駆動部(340)と、駆動部により変化された複数の照射方向について照明光を照射された撮像対象の輝度を測定する測定部(232)と、測定部が測定した輝度のうち最も高い輝度が測定された照射方向を、撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する決定部(230)とを備える照明装置が提供される。
【0006】
本発明の第二態様として、上記照明装置と、決定部が決定した照射方向に照明光を照射して撮像対象を撮像する撮像部(210)とを備える撮像装置が提供される。
【0007】
本発明の第三態様として、照射方向を変化させつつ発光部に照明光を発生させる発光制御部(330)と、複数の照射方向について発光部より発生された照明光に照射された撮像対象の輝度を測定する測定部と、測定部で測定した輝度のうち最も高い輝度が測定された照射方向を、撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する決定部とを備える撮像装置が提供される。
【0008】
本発明の第四態様として、撮像する場合に撮像対象を照明する照明方法であって、照射方向を変化させつつ発光部に照明光を発生させる発光段階と、発光段階により発生された照明光に照射された撮像対象の輝度を測定する測定段階と、測定段階で測定した輝度のうち最も高い輝度が測定された照射方向を、撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する決定段階とを備える照明方法が提供される。
【0009】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】交換レンズ100を装着したカメラボディ200の斜視図である。
【図2】フラッシュユニット300の断面図である。
【図3】カメラシステム400の模式的断面図である。
【図4】照明システム401のブロック図である。
【図5】バウンス撮像を説明する図である。
【図6】バウンス角度を決定する手順を示す流れ図である。
【図7】バウンス角度を決定する手順の一部を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、交換レンズ100を装着されたカメラボディ200を背面側から見た様子を示す斜視図である。交換レンズ100は、カメラボディ200の筐体201の前面に配されたマウントに装着されている。
【0013】
交換レンズ100は光学系を有して、カメラボディ200に内蔵されたイメージセンサに被写体の光像を結像させる。交換レンズ100は、撮像条件、撮像意図等に応じて交換できる。
【0014】
カメラボディ200は、筐体201の上面に配されたシャッタレリーズボタン202、モードダイヤル204およびアクセサリシュー280と、筐体201の背面に配された十字キー206、実行ボタン208、表示部296等を有する。
【0015】
アクセサリシュー280は、後述するフラッシュユニット300等の周辺機器の一部と嵌合して、装着された周辺機器を保持する。また、アクセサリシュー280は複数の接続電極282を有し、アクセサリシュー280に装着された周辺機器とカメラボディ200との間の信号経路にもなる。
【0016】
ファインダ290は、イメージセンサ210に結像される光像と等価な像をユーザに視認させるための部材である。ユーザは、ファインダ290を覗くことにより撮像範囲、ピント等を判断することができる。
【0017】
表示部296は、液晶表示パネル等を含み、ISO感度、ホワイトバランス等の設定値、カメラボディ200に内蔵される不図示のバッテリのバッテリ残量、カメラボディ200に内蔵される不図示の記憶媒体の記憶媒体残量等の情報をユーザに示す。更に、表示部296は、撮像済み画像の再生表示に用いられる。なお、撮像前にイメージセンサ210が受光する光像を表示する場合もある。
【0018】
シャッタレリーズボタン202は、主に撮像のタイミングを指示する場合に用いられる。即ち、ユーザがシャッタレリーズボタン202を押し下げた場合にシャッタが開き、イメージセンサ210が光像に露光される。
【0019】
モードダイヤル204は、カメラボディ200の動作モードを選択する場合に操作する。動作モードの選択には、撮像モード(例えばシャッタスピード優先モード、絞り値優先モード等)の選択の他、セルフタイマー撮像モード、バルブ撮像モード、撮影済み画像の再生モードの選択が含まれる。
【0020】
十字キー206は、表示部296に表示された選択肢を選択する場合に使用される。また、表示部296に選択肢が表示されていない場合は、予め割り当てられた露出補正、フラッシュモード変更等の操作に使用される。
【0021】
実行ボタン208は、十字キー206により選択された選択肢を確定する場合にも使用される。また、実行ボタン208は、モードダイヤル204により設定されたカメラボディ200の動作モードに応じて、例えば動画撮像開始の指示等にも使用される。
【0022】
図2は、フラッシュユニット300の模式的断面図である。フラッシュユニット300は、固定筐体302および可動筐体304を有する。
【0023】
固定筐体302の下面には、カメラボディ200のアクセサリシュー280に嵌合する脚部390を有する。これにより、フラッシュユニット300は、カメラボディ200のアクセサリシュー280に装着して使用できる。
【0024】
脚部390の下面には複数の接点391が配される。接点391は、フラッシュユニット300がカメラボディ200に装着された場合に、アクセサリシュー280の接続電極282に当接する。これにより、カメラボディ200に装着されたフラッシュユニット300は、カメラボディ200と電気的に接続される。
【0025】
固定筐体302は、表示部360および操作部370を背面に有する。表示部360は、後述するフラッシュユニット300に内蔵されるバッテリ382のバッテリ残量、発光回路の充電状態、フラッシュユニットに設定された動作モード等、フラッシュユニット300自体の動作状態を表示する。操作部370は、押しボタン、回転ダイヤル等を含み、フラッシュユニット300の電源投入、動作設定、テスト発光等を選択、指示する場合に使用される。
【0026】
固定筐体302は、補助光発光部320を前面に有する。補助光発光部320は、補助光源322および反射板324を含む。補助光源322が発生した補助光は、反射板324により前方に向かって照射され、カメラボディ200の合焦等を補助する。
【0027】
固定筐体302は、回路基板380およびバッテリ382を内蔵する。回路基板380は、このフラッシュユニット300の制御回路の他、カメラボディ200との通信回路、表示部360に表示する画像を生成する表示部駆動回路等を含む。バッテリ382は、フラッシュユニット300を動作させる電力を供給する。
【0028】
可動筐体304の一端は、図示の状態で紙面に垂直に延在する回転軸306に軸支される。これにより、可動筐体304は、図中に矢印Rで示す方向に回転可能になる。可動筐体304は、例えば、水平面に略平行になる位置(図中に符号Pで示す)から、水平面に対して略垂直になる位置(図中に符号Pで示す)まで回転する。また、位置Pから位置Pまでの間の任意の傾きを有する位置(図中に符号Pで示す)とすることもできる。
【0029】
可動筐体304は、可動筐体304と共に回転軸306の廻りを回転するロータリスケール352を有する。回転台341には、ロータリスケール352の目盛りを読むエンコーダ354が配される。これにより、モータ342に駆動されて角度を変えた可動筐体304の傾きを正確に検知できる。
【0030】
回転軸306は、紙面に平行な軸の廻りに回転する回転台341に支持される。これにより,可動筐体304は、固定筐体302に対して、紙面と垂直に回転可能になる。回転台341上には駆動部340が配される。駆動部340は、モータ342、ピニオンギア344および歯車346を含む。
【0031】
モータ342は、回転軸306と平行な駆動軸を有する。ピニオンギア344は、モータ342の駆動軸に装着されて、駆動軸と共に回転する。歯車346は、ピニオンギア344と噛み合って、可動筐体304と共に回転軸306の廻りを回転する。これにより、モータ342の回転制御を通じて可動筐体304の水平面に対する角度を変化させることができる。
【0032】
可動筐体304の他端は発光部310を支持する。発光部310は、放電管312、反射板314および拡散板316を含む。放電管312で発生した照明光は、反射板314により指向性が与えられると共に、拡散板316により拡散されて、広い範囲を均一に照明する照明光を照射する。
【0033】
図3は、カメラシステム400の模式的断面図である。カメラシステム400は、機械的にも電気的にも相互に結合された交換レンズ100、カメラボディ200およびフラッシュユニット300を含む全体を指す。
【0034】
交換レンズ100は、固定筒110と、固定筒110内に配列された複数のレンズL1、L2、L3と、固定筒110に配された鏡筒制御部111とを含む。固定筒110は、カメラボディ200のマウント260に一端を固定される。これにより、カメラボディ200に対する交換レンズ100の取りつけ角度が安定する。
【0035】
固定筒110の内部には、個別のレンズ枠140、150、160に保持された複数のレンズL1、L2、L3が配される。レンズL1、L2、L3は共通の光軸X上に配されて光学系を形成する。なお、レンズL1、L2、L3は、それぞれが複数の光学部品を含むレンズ群であり得る。また、レンズ枠150は、絞り装置222も保持する。
【0036】
固定筒110の外周面には、ピントリング120およびズームリング130が配される。ピントリング120はユーザの操作により固定筒110の周面に沿って回転され、焦点合わせ用のレンズ群、例えばレンズL1を光軸Xに沿って移動させる。これにより、交換レンズ100の焦点位置を変化させて、光学系を合焦させることができる。
【0037】
また、ズームリング130はユーザの操作により固定筒110の周面に沿って回転して、ズーム用レンズ群、例えばレンズL2、L3を光軸Xに沿って移動させる。これにより、交換レンズ100の焦点距離を変化させ、撮像する画像の倍率を変化させることができる。
【0038】
固定筒110のカメラボディ200側の端部には接続端子114が配される。接続端子114は、カメラボディ200のマウント260に隣接して配された接点ユニット116に接して、交換レンズ100およびカメラボディ200を電気的に結合する。これにより、鏡筒制御部111がカメラボディ200側と通信する。交換レンズ100が、カメラボディ200から電力の供給を受ける場合もある。
【0039】
カメラボディ200は、メインミラー240、ペンタプリズム270、ファインダ290を含む光学系と、ボディ制御部230とを有する。メインミラー240は、交換レンズ100の光学系から入射した入射光の光路上に傾斜して配置される下降位置と、当該光路を避けて上昇する上昇位置(図中に点線で示す)との間を移動する。
【0040】
下降位置にあるメインミラー240は、入射光を、上方に配置されたフォーカシングスクリーン272に導く。フォーカシングスクリーン272は、交換レンズ100の光学系が合焦した場合に像を結ぶ位置に配置され、当該像を可視化する。
【0041】
フォーカシングスクリーン272に結ばれた像は、ペンタプリズム270を介してファインダ290からユーザに観察される。これにより、フォーカシングスクリーン272上の像は、ファインダ290から正像として見られる。
【0042】
ペンタプリズム270の出射光の一部は、測光部232に導かれる。測光部232は、入射光の輝度およびその分布等を測定する。測定結果は、撮影条件を決定する場合にボディ制御部230から参照される。
【0043】
メインミラー240の裏面には、サブミラー242が配される。サブミラー242は、メインミラー240を透過した入射光の一部を、サブミラー242の下方に配された測距部250に導く。測距部250は、交換レンズ100の光学系の焦点位置を検出する。メインミラー240が上昇位置に移動した場合は、サブミラー242も入射光の光路から退避する。
【0044】
交換レンズ100からの入射光に対してメインミラー240の後方には、シャッタ220、光学フィルタ212およびイメージセンサ210が、入射光の光路に沿って配される。シャッタレリーズボタン202が押されてシャッタ220が開放される場合は、その直前にメインミラー240が上昇位置に移動する。従って、入射光は直進してイメージセンサ210に入射する。これにより、入射光の形成する光像がイメージセンサ210において電気信号に変換される。
【0045】
ボディ制御部230は、上記のような種々の動作を総合的に制御する。また、測距部250が検出した合焦位置を交換レンズ100の鏡筒制御部111に伝えて、オートフォーカスシステムを形成する。また、ボディ制御部230は、測光部232から得られた輝度情報に基づいて適正な露出が得られるシャッタスピードおよび絞り値を判定する。そして、ボディ制御部230はその絞り値(絞り優先モードの場合には設定された絞り値)を鏡筒制御部111に通知して、絞り装置222の動作を制御させる。更に、カメラボディ200にフラッシュユニット300が装着されている場合は、フラッシュユニット300の回路基板380と協働して調光システムを形成する。
【0046】
イメージセンサ210の後方においてカメラボディ200の背面に配される表示部296については図1を参照して既に説明したので、重複する説明は省く。また、フラッシュユニット300も図2を参照して既に説明した通りである。
【0047】
図4は、カメラボディ200およびフラッシュユニット300が協働して形成する照明システム401を示すブロック図である。なお、他の図と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。照明システム401は、カメラボディ200およびフラッシュユニット300が協働して形成される。
【0048】
カメラボディ200側において、ボディ制御部230は、シャッタレリーズボタン、202、モードダイヤル204、十字キー206、実行ボタン208等の操作系からユーザの指示を受ける。また、ボディ制御部230は、表示部296に情報を示してユーザに伝える。更に、ボディ制御部230は、測光部232、測距部250等の計測結果を参照して制御動作を実行する。
【0049】
フラッシュユニット300側において、フラッシュ制御部330は、操作部370からユーザの指示を受け付ける。また、フラッシュ制御部330は、表示部360にユーザに伝えるための情報を表示させる。更に、フラッシュ制御部330は、エンコーダ354の計測結果を参照して制御動作を実行する。なお、フラッシュユニット300側において、発光部310および補助光発光部320および駆動部340は、フラッシュ制御部330が制御する対象となる。
【0050】
上記照明システム401においては、例えば、ユーザの操作受け付けをカメラボディ200側に集約し、フラッシュユニット300側の操作部370を使用しないようにしてもよい。また逆に、フラッシュユニット300側の設定に、カメラボディ200が追従するようにしてもよい。
【0051】
図5は、カメラシステム400によるバウンス撮像を示す図である。ここでは、フラッシュユニット300を装着したカメラシステム400を用いて、テーブル520に載せられた撮像対象530の花を撮像するものとする。カメラシステム400は、三脚510上に固定されている。
【0052】
撮像対象530の花は交換レンズ100の略正面に位置する。これに対して、フラッシュユニット300の可動筐体304は斜め上方に向けられている。このため、フラッシュユニット300から出射された照明光は一旦天井540に向かって照射され、天井540による反射光が撮像対象530に斜め上方から照射される。
【0053】
ここで、撮像対象530に対する間接光の照射方向が、図中に矢印で示す照射方向Bおよび照射方向Cの間の範囲Sになるバウンス角度θが設定されていれば、撮像対象530は照明光に照明される。一方、バウンス角度がより大きく、または、より小さくなって、間接光の照射方向が図中に点線で示す照射方向Aまたは照射方向Dになった場合、撮像対象530に照射される間接光は減少する。従って、照射方向が範囲Sになるようにバウンス角度θが選択されることが好ましいが、ユーザが目測で角度を選択することは難しい。
【0054】
図6は、照明システム401がバウンス角度を決定する手順を示す流れ図である。図6に示した流れ図の各制御は、カメラボディ200に備えられた不図示のROMに予め記録されたプログラムをボディ制御部230が実行することで施されるものとする。カメラシステム400において撮像が開始されると、ボディ制御部230は、フラッシュ制御部330との通信を試みて、フラッシュユニット300の電源が投入されているか否かを判定する(S101)。
【0055】
ボディ制御部230により、フラッシュユニット300の電源が投入されていないと判定された場合(S101:NO)は、バウンス撮像に限らずフラッシュユニット300を利用した撮像はできない。そこで、ボディ制御部230は、シャッタレリーズボタンの状態を監視して、当該ボタンが押し下げられたと判定した場合(S115)に測光および焦点合わせを開始させ(S116)撮像を実行させる(S112)。
【0056】
ボディ制御部230により、フラッシュユニット300の電源が投入されていると判定された場合(S101:YES)、ボディ制御部230は、バウンス撮像モードが指定されているか否かを判定する(S102)。バウンス撮像モードは、ユーザの指示により設定される場合の他、ボディ制御部230によりエンコーダ354の出力が参照され、可動筐体304の傾きが判定されることにより、可動筐体304の向きが交換レンズ100の光軸と平行になっているか否かに基づいて設定してもよい。
【0057】
バウンス撮像モード設定等のユーザの指示は、例えば、フラッシュユニット300の操作部370から入力される。また、カメラボディ200のモードダイヤル204により指定される場合もある。更に、カメラボディ200の表示部296に表示されたメニューから、十字キー206により選択され、実行ボタン208により確定される場合もある。
【0058】
ボディ制御部230により、バウンス撮像モードが設定されていると判定された場合(S102:YES)、ボディ制御部230は、バウンス角度の決定がカメラシステム400に委ねられているか否か、即ち、バウンス角度最適化モードがオンになっているか否かを判定する(S103)。バウンス角度最適化モードがオンになっていると判定された場合(S103:YES)、ボディ制御部230は、フラッシュ制御部330と連携してバウンス角度最適化動作の実行に備える。
【0059】
バウンス角度最適化動作の開始は、例えば、実行ボタン208に割り当てられる。即ち、ボディ制御部230により、ユーザが、撮像対象を決定して撮像位置においてカメラシステム400を構えた上で、実行ボタン208を押し下げたことが判定されると(S104)、ボディ制御部230はバウンス角度最適化動作を開始させる(S105)。
【0060】
なお、ボディ制御部230により、バウンス角度最適化モードがオンになっていないと判定された場合(S103:NO)、ボディ制御部230は、シャッタレリーズボタン202の押し下げを待ち受けて、当該ボタンが押し下げられたと判定された場合(S109)に測光および焦点合わせを開始させる。(S110)更に、必要に応じてプリ発光による発光部310の調光をした(S111)後、撮像を実行させる(S112)。この場合、ボディ制御部230は、フラッシュユニット300を発光させるか否かの判断、および、発光させる場合の調光を、バウンス角度を考慮することなく実行する。
【0061】
バウンス角度最適化動作は、以下のように実行される。まず、ボディ制御部230の指示に基づきフラッシュ制御部330は、駆動部340を動作させて可動筐体304の角度を変化させながら、発光部310にモデリング発光させる。モデリング発光とは、発光を高速に連続して実行することによって照射時間を擬似的に長くさせる発光である。モデリング発光は、発光部310により、発光強度を抑制しつつ連続して実行されることが好ましい。
【0062】
ここではバウンス角度を最適化することが目的なので、駆動部340は、フラッシュユニット300が発生した照明光が撮像対象530に間接光として照射される範囲で、バウンス角度を変化させることが好ましい。従って、照明光が撮像対象530に直接に照射され得る角度を予め閾値として保持し、当該閾値よりも大きなバウンス角度の範囲について被写体輝度を調べてもよい。
【0063】
また、ボディ制御部230は、カメラボディ200側の測距部250の測定した光学系の焦点位置に基づいて撮像対象との距離を算出し、算出した距離に基づいて撮像対象530に照明光が直接に照射されるバウンス角度を算出してもよい。
【0064】
あるいは、後述するように、可動筐体304の角度を変えながら被写体輝度を測光している間に被写体輝度が急に高くなった場合に、撮像対象が直接光で照明されていると判断してもよい。このような観点から、ボディ制御部230の制御によるバウンス角度最適化動作では、バウンス角度が大きい側から小さい側に向かって、バウンス角度を走査することが好ましい。
【0065】
更に、バウンス角度が小さくなると、間接光による照明領域は著しく遠方になり、撮像対象を照明できなくなる蓋然性が高い。従って、ボディ制御部230は、バウンス角度が大きい場合にバウンス角度の変化を細かくさせるよう制御することが好ましい。
【0066】
ボディ制御部230は、フラッシュユニット300がバウンス角度を変えつつ繰り返し発光している期間に、カメラボディ200の測光部232に撮像対象530の輝度(以下、「被写体輝度」と記載する)の変化を測定させる(S105)。なお、フラッシュユニット300が何らかの測光機能を有する場合は、カメラボディ200の測光部232を使用することなく、フラッシュユニット300側で被写体輝度を計測してもよい。
【0067】
次に、測光部232の測定結果を参照したボディ制御部230は、被写体輝度が有意に変化しているか否かを判定する(S106)。例えば、ボディ制御部230により被写体輝度が所与の閾値を越えて変化したと判定された場合(S106:YES)、ボディ制御部230は、測定された輝度が最も高くなった場合の、可動筐体304のバウンス角度θをエンコーダ354から獲得する。これにより、発光部310が発生した照明光が撮像対象530を効率よく照明するバウンス角度を決定できる。
【0068】
最適なバウンス角度が決定された場合、ボディ制御部230の指示に基づきフラッシュ制御部330は再び駆動部340を起動して、可動筐体304のバウンス角度θを上記の最適角度にする(S107)。こうして、可動筐体304は最適なバウンス角度に設定されたので、カメラシステムは、バウンス角度最適化動作が完了したことをユーザに通知する(S108)。この通知も、表示部360、296による視覚的な通知の他に、不図示の発音部により警告音を発生させてもよい。
【0069】
こうしてバウンス角度が設定されたカメラシステム400は、シャッタレリーズボタン202の押し下げを待ち受けて、ボディ制御部230により、当該ボタンが押し下げられたと判定された場合(S109)、測光および焦点合わせを開始させる(S110)。更に、ボディ制御部230は必要に応じてプリ発光による調光を実行(S111)させた後、撮像を実行させる(S112)。こうして、最適なバウンス角度によるバウンス撮像を容易且つ確実に実行できる。
【0070】
なお、撮像対象530に対するカメラシステム400の位置が変化した場合、最適なバウンス角度も変化する。そこで、所与の閾値を越えるカメラシステム400の移動が、例えばボディ制御部230に検出された場合は、バウンス角度最適化動作を初期化して、改めてバウンス角度最適化動作を実行することが好ましい。また、その場合は、表示部296に、バウンス角度最適化動作をやりなおすべき旨を表示してもよい。カメラシステム400の移動は、例えば、加速センサ、傾斜センサ、GPS(全地球測位システム)等を用いて検出できる。
【0071】
一方、ボディ制御部230により、測光部232が測定する被写体輝度の所与の閾値を越える変化が検出されないと判定された場合(S106:NO)は、発光部310の光量が不足している、天井540等の反射面の反射率が著しく低い等の理由により、フラッシュユニット300によるバウンス照明による照明効果が実質的に不十分な場合である。そこで、ボディ制御部230は、バウンス撮像モードを強制的に解除する(S113)。更に、ボディ制御部230は、フラッシュ制御部330と通信し、フラッシュユニット300側のバウンス撮像モードも解除させる。
【0072】
また、ボディ制御部230により、測光部232が検出した被写体輝度が特に低いと判定された場合は、ボディ制御部230は単にバウンス撮像モードを解除するのではなく、フラッシュユニット300により撮像対象530を直接に照明するモードに切り替えるよう制御してもよい。また、ボディ制御部230の指示に基づきフラッシュ制御部330は駆動部340を動作させて可動筐体304の向きを変化させ、発光部310の発生した照明光が撮像対象530に直接に照射されるよう制御してもよい。
【0073】
更に、カメラシステム400は、バウンス撮像モードが解除されたことをユーザに通知する(S114)。例えば、ボディ制御部230の指示に基づきフラッシュユニット300の表示部360またはカメラボディ200の表示部296にバウンス撮像モードを解除した旨を表示する他、カメラシステム400が動作確認音の発生を許可されている場合は、不図示の発音部により警告音を併せて発生するようにしてもよい。
【0074】
このようにボディ制御部230によりバウンス撮像モードが解除されたと判定された場合(S113)、ボディ制御部230は、シャッタレリーズボタン202の押し下げを待ち受ける。次に、ボディ制御部230により当該ボタンが押し下げられたと判定された場合(S109)、ボディ制御部230は測光および焦点合わせを開始させる(S110)。更に、ボディ制御部230は必要に応じてプリ発光による調光を実行(S111)させた後、撮像を実行させる(S112)。この場合、ボディ制御部230は、フラッシュユニット300を発光させるか否かの判断、発光させる場合の調光も、バウンス角度を考慮することなく実行する。
【0075】
図7は、図6に示した手順に付加し得る手順を含む流れ図である。図6の処理と同様の処理を施すステップは省略、または、図6に示した符号と同じ符号を付与する。図7に示した流れ図の各制御も、カメラボディ200に備えられた不図示のROMに予め記録されたプログラムをボディ制御部230が実行することで施されるものとする。ステップS106においてボディ制御部230により被写体輝度の所与の閾値を越える変化が検出されなかったと判定された場合(S106:NO)、モデリング発光における発光部310の発光強度不足が原因である場合があり得る。そこで、図6に示した手順のステップS105に先立って、モデリング発光における発光部310の発光強度を最適化するための発光(試し発光)を行う後述のステップを設けてもよい。
【0076】
ステップS104の次に、可動筐体304のバウンス角度θを固定した状態で、ボディ制御部230の指示に基づいて、フラッシュ制御部330は、予め決められた初期の発光強度で試し発光をするよう発光部310を制御し、ボディ制御部230は測光部232に試し発光された際の被写体輝度を測定させるよう制御する(S201)。次に、可動筐体304のバウンス角度θを固定した状態で、ボディ制御部230の指示に基づいて、フラッシュ制御部330は、前回の試し発光の強度に比べて予め決められた所定分だけ発光強度を増加させて試し発光をするよう発光部310を制御し、ボディ制御部230は測光部232に試し発光された際の被写体輝度を測定させるよう制御する(S202)。
【0077】
次に、ボディ制御部230は、測光部232の最新の測定結果とその一回前の測定結果を参照し、被写体輝度に所与の閾値を越える被写体輝度の変化が生じたか否かを判定する(S203)。ボディ制御部230により、所与の閾値を超える被写体輝度の変化が生じていないと判定された場合(S203:NO)には、ボディ制御部230は最新の試し発光の発光強度が最大であったか否かを判別する(S204)。
【0078】
ボディ制御部230により、発光強度が最大ではないと判定された場合(S204:NO)には、さらに発光強度を増加させるため、ステップS202に移行する。したがって、ステップS202、ステップS203、ステップS204、および、ステップS205を繰り返すことにより、試し発光の発光量を増加させながら被写体輝度が測定される。
【0079】
また、ボディ制御部230により、最新の被写体輝度とその一回前の被写体輝度の比較により所与の閾値を超える被写体輝度の変化が生じたか否かが逐次判定されることになる。これにより、バウンス照明の効果が確実に有効になる発光強度を検出できる。また、低い発光強度でも効果が現れる場合は電力の節約にもなる。
【0080】
一方で、ボディ制御部230により、発光強度が最大であると判定された場合(S204:YES)には、フラッシュユニット300によるバウンス照明が有効になることはないと判断し、この時点で制御をステップS113に移行する。
【0081】
また、ボディ制御部230により、所与の閾値を超える被写体輝度の変化が生じたと判定された場合(S203:YES)には、ボディ制御部230の指示に基づき、フラッシュ制御部330はその発光強度の設定を保持する(S205)。また、この際、ボディ制御部230は、有効な発光強度を検出した旨を通知するよう制御することが好ましい。このような付加的な手順により、モデリング発光における発光部310の発光強度不足に起因するバウンス撮像モードの解除(S113)を回避できる場合がある。
【0082】
上記形態では、フラッシュユニット300をカメラボディ200に装着した状態について説明したが、フラッシュユニット300に測光系を備え、フラッシュユニット300単独でバウンス角度最適化動作を実行させても良い。また、カメラボディ200およびフラッシュユニット300が、アクセサリシュー280を経由せずに通信できる場合も、カメラボディ200に装着されていないフラッシュユニット300のバウンス角度最適化動作を実行できる。
【0083】
また、上記形態では、可動筐体304を水平な回転軸306の廻りに回転させてバウンス角度最適化動作をさせたが、可動筐体304を垂直な軸の廻りに回転させるバウンス角度最適化動作も有効な場合がある。更に、上記形態では、照明装置として閃光を発生するフラッシュユニット300を用いたが、連続発光する光源を用いたバウンス撮像においても、バウンス角度最適化動作は有効になる。
【0084】
更に、カメラボディ200に着脱されるレンズは上記形態の交換レンズ100に限定されず、種々の交換レンズが取り付けられている場合においても、バウンス角度最適化動作は有効になる。また更に、上記形態ではレンズ交換可能なデジタル一眼レフカメラを例に挙げて説明したが、レンズ一体型のデジタルカメラにおいてもバウンス角度最適化動作は有効になる。また、デジタルビデオカメラ、銀塩フィルムを用いたアナログカメラにおいても、バウンス角度最適化動作は有効になる。
【0085】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0086】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を、後の処理で用いる場合でない限り、任意の順序で実現しうることに留意されたい。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0087】
100 交換レンズ、200 カメラボディ、202 シャッタレリーズボタン、204 モードダイヤル、206 十字キー、208 実行ボタン、230 ボディ制御部、232 測光部、234 フラッシュ用測光部、250 測距部、300 フラッシュユニット、302 固定筐体、304 可動筐体、310 発光部、330 フラッシュ制御部、340 駆動部、342 モータ、344 ピニオンギア、346 歯車、352 ロータリスケール、354 エンコーダ、370 操作部、400 カメラシステム、530 撮像対象、540 天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮像する場合に前記撮像対象を照明する照明装置であって、
照明光を発生する発光部と、
前記照明光の照射方向を変化させる駆動部と、
前記駆動部により変化された複数の照射方向について前記照明光を照射された前記撮像対象の輝度を測定する測定部と、
前記測定部が測定した輝度のうち最も高い輝度が測定された照射方向を、前記撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する決定部と
を備える照明装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記撮像対象に対して前記照明光が間接光として照射される範囲で前記照射方向を変化させる請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記複数の照射方向について測定した輝度が変化しない場合に、前記撮像対象に対して前記照明光が直接光として照射される照射方向を、前記撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記決定部は、撮像装置および前記撮像対象の相対位置の変化を検知した場合に、前記発光部の照射方向を改めて決定する請求項1から請求項3までのいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記測定部は、照射方向を固定された前記発光部の発光量を変化させながら前記撮像対象の輝度を測定し、測定した輝度が変化した場合の発光量で、前記発光部の複数の照射方向の各々について、前記照明光を照射された前記撮像対象の輝度を測定する請求項1から請求項4までのいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記照明光の照射方向が前記撮像対象に対して直接光になる照射方向に近づくほど、前記照射方向の変化を大きくする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の照明装置と、
前記決定部が決定した前記照射方向に照明光を照射して前記撮像対象を撮像する撮像部と
を備える撮像装置。
【請求項8】
照射方向を変化させつつ発光部に照明光を発生させる発光制御部と、
複数の照射方向について前記発光部より発生された照明光に照射された撮像対象の輝度を測定する測定部と、
前記測定部で測定した輝度のうち最も高い輝度が測定された照射方向を、前記撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する決定部と
を備える撮像装置。
【請求項9】
前記決定部が決定した前記照射方向に照明光を照射して前記撮像対象を撮像する撮像部をさらに備える請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
撮像する場合に撮像対象を照明する照明方法であって、
照射方向を変化させつつ発光部に照明光を発生させる発光段階と、
前記発光段階により発生された照明光に照射された前記撮像対象の輝度を測定する測定段階と、
前記測定段階で測定した輝度のうち最も高い輝度が測定された照射方向を、前記撮像対象を撮像する場合の照射方向に決定する決定段階と
を備える照明方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−69920(P2011−69920A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219600(P2009−219600)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】