説明

照明装置の製造装置及び製造方法

【課題】スループット良くEL発光を利用した照明装置を製造することが可能な製造装置を提供することを課題の一とする。
【解決手段】真空室と、真空室を減圧あるいは高真空状態とする排気系と、真空室へ基板を搬送する搬送室と、を有する照明装置の製造装置を提供する。この製造装置において、真空室は、搬送室から搬送された基板上に第1の電極を成膜する成膜室と、第1の電極上に少なくとも発光層を有する第1の発光ユニットを成膜する成膜室と、第1の発光ユニット上に中間層を成膜する成膜室と、中間層上に少なくとも発光層を有する第2の発光ユニットを成膜する成膜室と、第2の発光ユニット上に第2の電極を成膜する成膜室と、第2の電極が設けられた基板上に封止膜を成膜する成膜室と、成膜室のそれぞれに基板を順次搬送するための基板搬送手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置の製造装置、特に、発光素子の成膜に用いられる成膜室を備えた製造装置、及びその製造装置を用いた製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EL(Electro Luminescence)を示す化合物から構成される薄膜を発光層として用いた素子の開発が進み、様々な化合物を用いた発光素子が提案されている。これらの発光素子は、正孔を注入するための電極(陽極)と電子を注入するための電極(陰極)の間に設けられた発光層において、正孔及び電子を再結合させることにより、エレクトロルミネセンス(EL)と呼ばれる発光現象を発生させるものである。
【0003】
EL発光を利用した発光素子の応用としては、主としてディスプレイと照明が期待されている。照明の応用を考えた場合、従来の照明器具である白熱球は点光源であり、蛍光灯は線状の光源である。これに対し、発光素子は面状の発光を与えることができるため、例えばシート状の照明など、従来にない形状を持つ照明装置を作製することが可能と考えられる。また、面光源であることにより、より自然光に近い照明を簡便に得ることが可能となる。
【0004】
これら発光素子は、その発光層(特に有機化合物からなる発光層)が酸素や水分に極めて弱く、容易に劣化するため、陽極(もしくは陰極)を形成した後、発光層等を形成し、陰極(もしくは陽極)を形成し、さらに封止する(発光素子を密封する)までのプロセスを一貫して大気開放しないで行う技術が要求される。従来の製造装置においては、成膜室や封止室をマルチチャンバー化することで、発光素子を提供している(例えば、特許文献1)。
【0005】
EL発光を利用した発光素子を照明用途に用いる場合、素子の大きさは、照明として発光する大きさに等しいため、ディスプレイで用いられる場合と比較すると、高精細化を要しない一方で、大きな面積を要することになる。従って、EL発光を利用した照明装置が市場へ流通するためには、量産化、低コスト化が求められており、製造装置のさらなる生産性の向上が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−102170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題を鑑みて、本発明の一態様は、EL発光を利用した照明装置を、スループット良く製造することが可能な製造装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の製造装置の一は、真空室と、真空室を減圧あるいは高真空状態とする排気系と、真空室へ基板を搬送する搬送室と、を有する。また、真空室は、搬送室から搬送された基板上に第1の電極を成膜する成膜室と、第1の電極上に少なくとも発光層を有する第1の発光ユニットを成膜する成膜室と、第1の発光ユニット上に中間層を成膜する成膜室と、中間層上に少なくとも発光層を有する第2の発光ユニットを成膜する成膜室と、第2の発光ユニット上に第2の電極を成膜する成膜室と、第2の電極が設けられた基板上に封止膜を成膜する成膜室と、成膜室のそれぞれに基板を順次搬送するための基板搬送手段と、を有する。
【0009】
また、本発明の一態様の製造装置の一は、真空室と、真空室を減圧あるいは高真空状態とする排気系と、真空室へ基板を搬送する搬送室と、を有する。また、真空室は、搬送室から搬送された基板上に第1の電極を成膜する成膜室と、第1の電極上に少なくとも発光層を有する第1の発光ユニットを成膜する成膜室と、第1の発光ユニット上に中間層を成膜する成膜室と、中間層上に少なくとも発光層を有する第2の発光ユニットを成膜する成膜室と、第2の発光ユニット上に第2の電極を成膜する成膜室と、第2の電極が設けられた基板を封止部材によって封止する封止室と、成膜室のそれぞれ及び封止室に基板を順次搬送するための基板搬送手段と、を有する。
【0010】
また、本発明の一態様の製造装置の一は、真空室と、真空室を減圧あるいは高真空状態とする排気系と、真空室へ基板を搬送する搬送室と、真空室とゲートバルブを介して接続された封止室と、を有する。また、真空室は、搬送室から搬送された基板上に第1の電極を成膜する成膜室と、第1の電極上に少なくとも発光層を有する第1のユニットを成膜する成膜室と、第1の発光ユニット上に中間層を成膜する成膜室と、中間層上に少なくとも発光層を有する第2の発光ユニットを成膜する成膜室と、第2の発光ユニット上に第2の電極を成膜する成膜室と、成膜室のそれぞれに基板を順次搬送するための基板搬送手段と、を有し、封止室において、真空室から搬送された基板を封止部材によって封止する。
【0011】
また、本発明の一態様は、基板を真空室内に搬送し、真空室内に配置され、共通の真空度を有する複数の成膜室において、基板上に第1の電極、第1の発光ユニット、中間層、第2の発光ユニット、及び第2の電極を有する発光素子を形成し、発光素子を有する基板を、真空室内に配置され、複数の成膜室と共通の真空度を有する封止室へ搬送し、封止室において、真空室から搬送された発光素子を有する基板を封止部材によって封止する照明装置の製造方法である。
【0012】
また、本発明の一態様は、基板を真空室内に搬送し、真空室内に配置され、共通の真空度を有する複数の成膜室において、基板上に第1の電極、第1の発光ユニット、中間層、第2の発光ユニット、及び第2の電極を有する発光素子を形成し、発光素子を有する基板を真空室とゲートバルブを介して接続した封止室へ搬送し、封止室において、真空室から搬送された発光素子を有する基板を封止部材によって封止する照明装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様である製造装置によって、高速成膜、または連続成膜処理が可能となる。また、本発明の一態様である製造装置によって、材料の利用効率の向上、さらには製造費用の削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一態様の製造装置の一例を示す図。
【図2】本発明の一態様の製造装置の一例を示す図。
【図3】本発明の一態様の製造装置の一例を示す図。
【図4】本発明の一態様の製造装置の一例を示す図。
【図5】本発明の一態様の製造装置の一例を示す図。
【図6】本発明の一態様を示す成膜室の断面図。
【図7】本発明の一態様を示す製造装置のタイミングチャートを示す図。
【図8】本発明の一態様を示す製造装置のタイミングチャートを示す図。
【図9】本発明の一態様を示す成膜室の一部の断面図及び上面図。
【図10】本発明の一態様を示す成膜室の断面図。
【図11】照明装置一例を示す図。
【図12】照明装置の一例を示す図。
【図13】照明装置の一例を示す図
【図14】照明装置の一例を示す図。
【図15】照明装置の一例を示す図。
【図16】照明装置の一例を示す図。
【図17】照明装置の一例を示す図。
【図18】照明装置の一例を示す図。
【図19】照明装置の一例を示す図。
【図20】照明装置の一例を示す図。
【図21】照明装置の一例を示す図。
【図22】照明装置の一例を示す図。
【図23】発光素子の一例を示す図。
【図24】照明装置の断面の一例を示す図。
【図25】照明装置の適用例を示す図。
【図26】照明装置の適用例を示す図。
【図27】照明装置の適用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本明細書で開示する発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本明細書の実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
(実施の形態1)
本実施の形態では、成膜室を備えた製造装置の一例について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態の製造装置の上面概略図である。また、図2(A)及び(B)は、図1におけるA−B線に沿った断面図である。
【0018】
図1に示す製造装置は、第1の搬送室101、真空室103、第2の搬送室109、及び第3の搬送室137を有する。また、真空室103中には、円筒状の防着板を備えた複数の成膜室115〜131と、封止室133と、基板搬送手段107と、が設けられている。図1中、第1の搬送室101、及び第2の搬送室109を用いて、基板の搬入又は搬出を行う。また、第3の搬送室137を用いて発光素子の封止部材の搬入を行う。
【0019】
なお、本明細書において、基板とは、薄膜を成膜可能な部材、又は薄膜が成膜された部材を表し、ディスク形状(円形または円盤形状とも表記する)を用いるのが好ましい。具体的には、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板、ガラス基板、石英基板などを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、プラスチック基板、または、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルム等が挙げられる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。また、基板の大きさは、照明装置の用途によって適宜設定することが可能である。但し、CD−R等の光ディスクデバイスと同程度の大きさ(例えば、直径10cm乃至14cmの円形、好ましくは直径12cmの円形)であると、生産性、又は照明装置の取り扱いの面から好ましい。また、中央部に開口部を有する基板を用いても構わない。
【0020】
発光素子を形成するための基板は、第1の搬送室101から搬送アーム(図示しない)によって真空室103内へと搬送される。また、真空室103内において、基板搬送手段107によって成膜室へ順に搬送され、各成膜室で発光素子を形成するEL層及び電極等を成膜された後、封止膜または封止部材によって封止され、搬送アーム(図示しない)によって第2の搬送室109へと搬送される。なお、基板が複数枚収納されたカセットを搬送室に収納しても良い。
【0021】
第1の搬送室101及び第2の搬送室109は、それぞれ排気系(図示しない)を有し、排気系によって減圧状態、あるいは高真空状態とすることができる。また、第1の搬送室101と真空室103とはゲートバルブ111によって区切られており、第2の搬送室109と真空室103とはゲートバルブ113によって区切られている。第1の搬送室101又は第2の搬送室109に基板を搬出入するときはゲートバルブ111またはゲートバルブ113を閉鎖した状態とする。搬出入を終えた後、排気系が動作し、所定の圧力に達すると、真空室103との境界のゲートバルブを開放する。
【0022】
本実施の形態で示す製造装置を用いて、一対の電極間に複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(いわゆるタンデム型素子という)を有する照明装置を製造することができる。図1においては、第1の電極と第2の電極との間に、2つの発光ユニットを積層したタンデム型素子を有する照明装置を製造することが可能である。なお、本実施の形態で示す製造装置はこれに限定されず、成膜室の室数を適宜設定して発光ユニットの層数を決定することが可能である。
【0023】
第1の搬送室101から真空室103内へ搬入された基板は、先ず成膜室115へと搬送され、成膜室115において下地保護膜が成膜される。下地保護膜としては、例えば、無機化合物を用いて単層又は多層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等がある。または、下地保護膜として、硫化亜鉛と酸化珪素を含む膜を形成しても良い。また、成膜にはスパッタリング法を好ましく用いることができる。下地保護膜を設けることにより発光素子へ外部から水分や、酸素等の気体が侵入することを防止することができる。
【0024】
次いで、下地保護膜が設けられた基板を成膜室117へと搬送する。また、成膜室115へは、第1の搬送室101から新たな基板が搬入される。成膜室117において、下地保護膜上に第1の電極が成膜される。第1の電極は、発光素子の陽極又は陰極として用いられる電極である。また、第1の電極の成膜には、スパッタリング法を好ましく用いることができる。
【0025】
第1の電極を成膜後、基板を成膜室119Aへと搬送する。また、成膜室117へは、成膜室115において下地保護膜が設けられた基板が搬入される。成膜室119A〜119Cにおいて発光素子の第1の発光ユニット(EL層とも表記する)が成膜される。本実施の形態においては、第1の電極が設けられた基板が成膜室119A〜119Cへ順次搬送及び成膜されることで、正孔注入性の高い物質を含む層、発光層、電子注入性の高い物質を含む層の3層が積層された第1の発光ユニット(EL層)を形成するものとする。
【0026】
なお、発光ユニットの構成は少なくとも発光層を有していれば、この構成に限られるものではない。成膜室の個数を適宜調整することで発光層一層でなる単層構造としても、又は、各々異なる機能を有する層からなる積層構造としても良い。例えば、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、キャリアブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等、各々の機能を有する機能層を適宜組み合わせて構成することができる。なお、それぞれの層の有する機能を2つ以上同時に有する層を含んでいても良い。または、発光層を複数層積層させても良い。発光ユニットの各層の成膜には、蒸着法を好ましく用いることができる。
【0027】
次いで、第1の発光ユニットが設けられた基板を成膜室121Aへと搬送する。また、成膜室119Aへは第1の電極が成膜された基板が搬入される。成膜室121A及び121Bにおいて発光素子の中間層が成膜される。中間層は、第1の電極と第2の電極に電圧を印加したときに、積層された一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。本実施の形態においては、第1の発光ユニットが設けられた基板が成膜室121A及び121Bへ順次搬送及び成膜されることで、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む層と、電子輸送性の高い有機化合物と電子供与体(ドナー)とを含む層が積層された中間層を形成するものとする。中間層の各層の成膜には、蒸着法を好ましく用いることができる。
【0028】
なお、中間層の構成はこれに限られるものではなく、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む層、または、電子輸送性の高い有機化合物と電子供与体(ドナー)とを含む層の単層構造としてもよい。
【0029】
次いで、中間層が設けられた基板を成膜室123Aへと搬送する。また、成膜室121Aへは第1の発光ユニットが成膜された基板が搬入される。成膜室123A〜123Dにおいて発光素子の第2の発光ユニット(EL層)が成膜される。本実施の形態においては、中間層が設けられた基板が成膜室123A〜123Dへ順次搬送及び成膜されることで、例えば、正孔注入層、発光層、電子輸送層、電子注入層4層が積層された第2の発光ユニット(EL層)を形成するものとする。なお、第2の発光ユニットは、第1の発光ユニットと同様に、少なくとも発光層を有していればよく、この構成に限られるものではない。成膜室の室数は適宜調整することが可能である。また、1つの成膜室において2層以上の成膜を行っても良い。また、第1の発光ユニットと第2の発光ユニットは同じ構成であっても異なる構成であってもよい。発光ユニットの各層の成膜には、蒸着法を好ましく用いることができる。
【0030】
なお、第1の発光ユニットから得られる発光の発光色と第2の発光ユニットから得られる発光の発光色が補色の関係にある場合、外部へ取り出される発光は白色となる。又は、第1の発光ユニット及び第2の発光ユニットのそれぞれが複数の発光層を有する構成として、複数層の発光層のそれぞれにおいて、互いに補色となる発光色を重ね合わせることによって各発光ユニットが白色発光を得られる構成としてもよい。補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。
【0031】
次いで、第2の発光ユニットが設けられた基板を成膜室125へと搬送する。また、成膜室123Aへは中間層が成膜された基板が搬入される。成膜室125において、第2の発光ユニット上に第2の電極が成膜される。なお、第1の電極及び第2の電極は、一方を陽極として用い、他方を陰極として用いる。第2の電極の成膜には、スパッタリング法を好ましく用いることができる。
【0032】
以上の工程で、一対の電極間に複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子を基板上に形成することができる。
【0033】
次いで、第2の電極が設けられた基板を成膜室127へと搬送する。また、成膜室125へは第2の発光ユニットが成膜された基板が搬入される。成膜室127において、第2の電極上に乾燥剤層を設ける。乾燥剤層を形成することで、水分などによる発光素子の劣化を防ぐことができる。乾燥剤層に用いる乾燥剤としては、酸化カルシウムや酸化バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。その他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤層は、スパッタリング法を用いて第2の電極上へ設けるのが好ましい。なお、乾燥剤層は必ずしも設ける必要はない。
【0034】
次いで、乾燥剤層が設けられた基板を成膜室129へと搬送する。また、成膜室127へは第2の電極が成膜された基板が搬入される。成膜室129において、乾燥剤層の上に封止膜が成膜される。封止膜は、下地保護膜と同様の材料を用いて成膜することができ、スパッタリング法によって成膜するのが好ましい。封止膜を設けることにより、外部からの水分や、不純物等が侵入することを防止することができる。
【0035】
次いで、封止膜が設けられた基板を成膜室131へと搬送する。また、成膜室129へは乾燥剤層が設けられた基板が搬入される。成膜室131において、発光素子が設けられた基板にシール材が成膜される。シール材は、発光素子が設けられた基板と、封止部材との貼り合わせのために設けられ、例えば熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等を用いることができる。
【0036】
次いで、発光素子を有する基板を封止室133へと搬送する。また、成膜室131へは、封止膜が成膜された基板が搬入される。封止室133において、発光素子を有する基板と封止部材とを重ね合わせ、紫外線照射又は加熱によってシール材を硬化させ、発光素子を有する基板と封止部材とを圧着させる。封止部材はゲートバルブ139によって真空室103と分断された第3の搬送室137より真空室103へと搬送される。封止室133は、封止部材を収納するカセットを有しているのが好ましい。または、封止室133とは別に封止部材を収納する予備室を設けても良い。なお、封止室133において紫外線照射でシール材を硬化させる場合には、発光素子へ紫外線を照射しないようマスクを用いるものとする。
【0037】
封止部材としては例えば、プラスチック(可撓性基板)、ガラス、または、石英などを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる部材が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。なお、封止材として機能する材質ものであれば、これら以外のものを用いることもできる。また、封止部材は発光素子を有する基板と同様に、直径10cm乃至14cmの円形、好ましくは直径12cmの円形であるのが好ましい。
【0038】
なお、封止部材は必ずしも設ける必要はなく、発光素子を封止膜によって封止した後、基板を製造装置から搬出しても良い。また、封止部材を設ける場合には、封止膜は必ずしも設ける必要はない。また、シール材は必ずしも発光素子を有する基板側に設ける必要はなく、封止部材側に設けても良い。また、予めシール材が設けられた封止部材を封止部材搬送部より真空室中へ搬送しても良い。
【0039】
以上の工程によって、真空室103内において連続的に発光素子の各層の成膜、及び発光素子の封止を行い、照明装置を得ることができる。
【0040】
図2に、具体的な成膜工程の一例を示す。図2は、図1におけるA−B線に沿った製造装置の断面図である。図2では、成膜工程の一例として、成膜室117におけるスパッタリング法を用いた成膜と、成膜室119Aにおける蒸着法を用いた成膜を図示している。成膜室はそれぞれ、円筒状の防着板209を有している。なお、図2に図示されない他の成膜室においても、図2に準じた成膜が行われているものとする。
【0041】
図2(A)は、真空室103内における成膜工程を示している。真空室103は密閉された構造を有し、排気系201によって減圧状態、あるいは高真空状態とすることができる。また、真空室内に設けられた複数の成膜室及び封止室は、排気系201によって減圧されており共通の真空度を有する。排気系201としては、磁気浮上型のターボ分子ポンプ、クライオポンプ、またはドライポンプを用いる。真空排気手段により真空室103の到達真空度を10−5〜10−6Paにすることが可能である。なお、排気系201は複数設けても構わない。
【0042】
基板搬送手段107は、基板ホルダ215を複数有し、基板ホルダ215によって基板221が保持されている。基板ホルダ215は、例えば静電チャック等の吸着手段、又は、クランプ等の固定治具によって基板を保持している。また、基板221が中央部に開口部を有する場合には、当該開口部から基板を保持するツメを基板ホルダ215に設けても良い。
【0043】
基板ホルダ215は、図示しない上下駆動機構によって、上下に移動することが可能である。また、基板ホルダ215を回転させる回転機構を設けることが好ましい。成膜処理を行う際には、基板ホルダ215が下降し、各成膜室の円筒状の防着板209上に設けられた成膜用のマスク211上方へ基板221を配置する。マスク211は、アライメントマーカを有しているのが好ましい。なお、各成膜室において同時に複数枚の基板を処理することで、さらなるスループットの向上を図ることができる。
【0044】
本実施の形態において、成膜室117ではスパッタリング法を用いて第1の電極が成膜される。成膜室117に設けられた防着板209の内側には、スパッタターゲット203、高周波電源205、ガス導入手段207が設けられている。基板上に均一な膜を成膜するために、成膜を行う際には基板ホルダ215を回転させるのが好ましい。
【0045】
スパッタリング法は、DC(直流)スパッタリング法であってもRF(高周波)スパッタリング法のいずれを用いても良い。DCスパッタリング法を行う場合、スパッタターゲット203が負に印加され、基板221は接地電位とする。RFスパッタリング法を行う場合、基板221は電気的にフローティング(接地電位より浮いた)状態として用いる。なお、成膜室117及び成膜室125において、金属薄膜よりなる電極を成膜する場合には、DCスパッタリングを用いるのが好ましい。また、成膜室115、成膜室127、及び成膜室129において無機材料をターゲットに用いて成膜する場合には、RFスパッタリングを用いるのが好ましい。
【0046】
また、成膜室119Aにおいては、蒸着法を用いて正孔注入性の高い物質を含む層が成膜される。成膜室119Aに設けられた防着板209の内側には、容器60及び容器を加熱するヒーター59を設ける。容器60は、熱容量の小さい物質を用い、高温、高圧、減圧に耐えうるものとする。また、容器内部には、供給管の先端に設けられたノズル58から材料混合ガス56が供給される。材料混合ガス56は、ボンベやバルブや流量計などを経て供給される。
【0047】
防着板209の材料としては、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属を好ましく用いることができる。また防着板209の外周には、細管ヒータ54が設けられている。基板221を円形とすることで、膜厚ムラの抑制された膜を成膜することが可能となる。また、蒸着の際には、基板ホルダ215を回転させるのが好ましい。
【0048】
それぞれの成膜室において成膜を終えた後、図2(B)に示すように基板ホルダ215を上昇させ、基板搬送手段107を図の矢印の方向へと所定の角度だけ回転させ、基板221を次の成膜室の上方へ搬送する。なお、基板ホルダ215に代えて、基板搬送手段107に上下駆動機構を設けても良い。図2(B)においては、基板搬送手段107が反時計回りに回転することで、成膜室117において第1の電極が成膜された基板が成膜室119Aの上方へ搬送され、成膜室119Aにおいて蒸着を終えた基板が成膜室119Bの上方へ搬送される。また、成膜室115から、下地保護膜の成膜を終えた基板を成膜室117の上方へ搬送される。なお、基板搬送手段の回転角度は、成膜室の室数等に応じて適宜設定することができる。また、基板搬送手段の回転方向は図2に限定されるものではない。
【0049】
本実施の形態で示す製造装置は、成膜室115〜131、及び封止室133が真空室103において共通の真空度を有するため、ゲートバルブを隔てて複数設けられた成膜室を用いる場合と比較して、搬送手段の単純化、搬送時間及び搬送距離の短縮化ができ、スループットを格段に向上させることができる。また、真空室内に複数の成膜室及び封止室を配置することで、成膜室及び封止室のそれぞれに排気系を設ける場合と比較して、排気系の数を省略することができる。また、真空室に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段の数を省略することができ、製造装置を簡略化することができる。従って、照明装置の生産性が向上する。また、各々の成膜室の間にゲートバルブが設けられていないため、装置全体としてコストダウンを可能とし、且つメンテナンスも簡易なものとすることができる。
【0050】
また、基板として中央部に開口部を有する基板を用いる場合には、基板ホルダ215に開口部の内側から基板を支えるツメを設けても良い。また、当該ツメをマスクとして用いることも可能である。この場合の搬送例を図3を用いて説明する。
【0051】
基板ホルダ215には、各成膜室に対応してそれぞれ異なる大きさ(直径)を有するツメ227が設けられている。図3においては、ツメ227aが成膜室117に、ツメ227bが成膜室119Aに、ツメ227cが成膜室119B(図示しない)にそれぞれ対応した大きさを有する。
【0052】
図3(A)に示すように、それぞれの成膜室において成膜を終えた後、マスク211上に基板221を載置し、基板ホルダ215が上昇する。そして、基板を搬送する場合とは逆向き(時計回り)に基板搬送手段107を所定の角度だけ回転させ、隣接する直前の成膜室の上方へ基板ホルダ215を配置する。例えば、ツメ227aを有する基板ホルダを成膜室115(図示しない)の上方へ、ツメ227bを有する基板ホルダを成膜室117の上方へ、ツメ227cを有する基板ホルダを成膜室119Aの上方へそれぞれ配置する。
【0053】
次いで、基板ホルダ215を下降させ、各成膜室防着板209上に設けられた基板221を支持したのち、基板搬送手段を図3(A)と逆向き(反時計回り)に所定の角度だけ回転させ、各々のツメの大きさに対応した成膜室の上方へ基板を搬送する。その後、基板ホルダを下降させ、成膜を行うことで、各々の成膜室に対応したツメをマスクとして用いた成膜を行うことができ、円形の基板の開口部の周囲に取り出し端子等のパターニングを行うことが可能である。
【0054】
なお、本実施の形態の製造装置において、マスク211及び防着板209に付着した材料を有機溶媒等で洗浄して回収し、再利用しても良い。洗浄液から発光層に含まれるイリジウム等の材料を回収して再利用することにより、資源の無駄を無くし、比較的高価なEL材料を効率よく使用、または再利用することができる。従って、照明装置を低コスト化することができる
【0055】
また、本実施の形態において、複数の成膜室は円周状に配置された構成を示したが、製造装置の構成はこれに限られるものではなく、クリーンルームのレイアウト等によって適宜変更することができる。例えば、真空室103を直方体形状とし、複数の成膜室を直線上に配置しても良い。若しくは、図4に図示するように成膜室をU字型に配置しても良い。なお、図4に図示する製造装置は、第1の搬送室101、真空室103、第2の搬送室109を有する。また、図1に示した製造装置と同様に真空室103内において、照明装置に含まれる発光素子の各層の成膜と、発光素子の封止を連続的に行う。製造装置をU字型とする場合、例えば、各成膜室上に配置されたレール400等を用いて基板を各成膜室に連続的に搬送することが可能である。
【0056】
なお、図4において、成膜室131及び封止室133は、発光素子を封止部材を用いて封止するために設けられており、発光素子を封止膜によって封止する場合には、必ずしも設ける必要はない。また、発光素子を封止部材を用いて封止する場合、発光素子を有する基板又は封止部材にシール材を成膜する成膜室131と、封止室133とを、真空室103とは別のチャンバーとして設けても良い。又は、成膜室131に代えて、シール材が設けられた封止部材を収納する予備室を設けてもよい。
【0057】
本実施の形態においては、真空室103内で照明装置を封止する例を示したが、製造装置の実施の形態はこれに限られない。例えば、図5に示すように、真空室103とは別に封止室を設けた製造装置としても良い。図5では、ゲートバルブ401によって第2の搬送室109と区切られた封止室403を有する。
【0058】
図5に示す製造装置を用いて、真空室103の成膜室115〜127において、基板上に下地保護層、第1の電極、第1の発光ユニット、中間層、第2の発光ユニット、第2の電極及び乾燥剤層を連続的に成膜した後、封止室403において大気に曝すことなく封止部材で封止するための加工を行う。なお、真空室103に封止膜を成膜する成膜室をさらに設け、封止膜によって封止された発光素子を封止室403へ搬送しても構わない。封止室403は、窒素雰囲気下として封止部材と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填しても良い。
【0059】
封止部材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属等を用いることができる。又は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アラミド、プリプレグなどの有機樹脂材料を用いても良い。ただし、封止部材側に光を放射させる場合は透光性を有する封止部材を用いるものとする。また、封止部材と発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウム等の乾燥材を設けることも有効である。
【0060】
また、封止部材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂等のシール材で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に乾燥材を添加しても良い。
【0061】
以上に示した本実施の形態の製造装置は、製造装置の小型化、フットプリントの省スペース化を図ることができる。また、この製造装置を用いて照明装置を製造することで、生産性向上、製造コスト低減を図ることができる。さらに、当該製造装置を用いることで、資源の無駄を無くすことができ、地球環境に適応した製造方法を提供することができる。
【0062】
また、本実施の形態で示す製造装置は、連結したインライン処理が可能な装置であるため、高速成膜、または連続成膜処理が可能である。さらに、材料の利用効率の向上させることができ、照明装置の製造費用の削減を実現する。
【0063】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0064】
(実施の形態2)
本実施の形態では、製造装置に設けられた成膜室の一例について説明する。具体的には、有機材料を蒸着法を用いて成膜して、発光素子の発光ユニット、又は中間層の形成を行う成膜室の一例について説明する。図6は、概略構成図の断面である。
【0065】
成膜室11は、真空排気手段が設けられた真空室中に設置されており、不活性ガス導入手段が設けられている。真空排気手段としては、磁気浮上型のターボ分子ポンプ、クライオポンプ、またはドライポンプを用いる。真空排気手段により成膜室11の到達真空度を10−5〜10−6Paにすることが可能である。また、成膜室11内部に不純物が導入されるのを防ぐため、導入するガスとしては、窒素や希ガス等の不活性ガスを用いる。成膜室11内部に導入されるこれらのガスは、装置内に導入される前にガス精製機により高純度化されたものを用いる。従って、ガスが高純度化された後に成膜装置に導入されるようにガス精製機を備えておく必要がある。これにより、ガス中に含まれる酸素や水、その他の不純物を予め除去することができるため、装置内部にこれらの不純物が導入されるのを防ぐことができる。
【0066】
また、成膜室11には、基板10を固定する基板保持手段(基板ホルダ)12が設けられている。基板保持手段12は、静電チャックなどで基板を固定し、また、基板保持手段12には、一部に透明窓部が設けられており、基板保持手段12の透明窓部と重なる位置に設けられた撮像手段(CCDカメラ等)によって基板10の位置確認を可能としている。なお、基板10の位置確認が必要でない場合には、特に透明窓部及び撮像手段は設けなくともよい。
【0067】
また、基板保持手段12には、成膜の均一性を高めるために基板回転制御部13が設けられている。成膜時に基板10を回転させることで膜厚均一性の向上を図ることができる。また、基板回転制御部13は、成膜前後に基板の搬送を行える機構としてもよく、その場合は基板移動制御部とも呼べる。例えば、成膜前に他の処理室から真空を維持したまま基板を成膜室11に導入してもよいし、成膜後に成膜室11から他の処理室に真空を維持したまま基板を搬出してもよい。
【0068】
また、成膜時に有機材料、代表的には有機化合物が成膜室11の内壁に付着することを防止するための防着板15が設けられている。この防着板15を設けることにより、基板上に成膜されなかった有機化合物を付着させることができる。また、防着板15の周囲には、電熱線などの細管ヒーター14が接して設けられており、細管ヒーター14により、防着板15全体を加熱することができる。成膜の際、防着板15の温度(T)は、基板の温度(T)よりも10℃以上高く制御することが好ましい。
【0069】
また、基板10の下方に重なるように容器20及び容器を加熱するヒーター19を設ける。容器20は、熱容量の小さい物質を用い、高温、高圧、減圧に耐えうるものとする。また、容器内部には、供給管の先端に設けられたノズル18から材料混合ガス16が供給される。材料混合ガス16は、ボンベやバルブや流量計などを経て供給される。なお、ノズル18の配置は図6に限られず、例えば図2に図示したように成膜室の下部からガスを導入してもよい。
【0070】
また、容器の温度を精密に制御するため、ヒーターに加えて制御部により制御可能な冷却機構を備えてもよい。冷却機構としては、例えば、ペルチェ素子を用いることができる。または、容器の周辺に細管を設け、細管に冷却水を導入して容器の冷却を行うように構成してもよい。冷却機構を設けることにより、より精密な温度制御が可能となる。例えば、ヒーターによる急速な加熱により容器が所望の温度を超えすぎてしまうことを防ぎ、冷却機構によって容器の温度を一定に制御することができる。熱容量の小さい容器を用いているため、ヒーターと冷却機構の両方を制御した容器の温度を有機材料の温度にすばやく反映することができる。
【0071】
材料混合ガス16は、少なくとも有機材料の粉末と、キャリアガスとを含む混合ガスであり、ノズル18から容器内部に供給される際には、予備加熱しておくことが好ましい。有機材料を予備加熱することによって、基板への蒸着が開始できるまでに要する時間を短縮することができる。予備加熱する方法としては、ヒーターで加熱されたキャリアガスと有機材料の粉末を混合して材料混合ガス16を予備加熱する方法、または供給管の外側に設けられたヒーターなどによって材料混合ガス16を予備加熱する方法がある。
【0072】
また、材料混合ガス16に不純物が導入されるのを防ぐため、キャリアガスとしては、窒素や希ガス等の不活性ガスを用いる。キャリアガスは、成膜室11内に供給される前、または有機材料と混合する前にガス精製機により高純度化されたものを用いる。従って、ガスが高純度化された後に成膜装置に導入されるようにガス精製機を備えておくことが好ましい。これにより、キャリアガス中に含まれる酸素や水、その他の不純物を予め除去することができるため、供給管内部及びノズル内部にこれらの不純物が付着されるのを防ぐことができる。
【0073】
また、材料混合ガス16の流量は、バルブの開閉や、流量計やボンベの圧力などを用いて制御することができ、制御部21によって材料混合ガス16の流量とヒーター19の温度の両方を制御する。なお、図6ではバルブの開閉を制御部21によって制御することによって材料混合ガス16の流量を調節する例を示している。ただし、制御部21によって材料混合ガス16の流量を調節する方法は、図6に示す構成に限定されない。
【0074】
容器20は熱容量の小さい物質(タングステン、モリブデンなど)からなるルツボや皿を用い、制御部21によって制御されたヒーター19の温度によって容器に供給される有機材料の温度と、材料混合ガス16の流量との両方を調整して、安定な有機材料の蒸着を行うことができる。なお、ルツボとは、開口部を有する筒状容器を指す。
【0075】
また、ヒーター19と基板10との間には、図6中に点線で示したシャッターまたはゲートが設けられている。シャッターは、気化した有機材料の蒸着を制御するため、蒸着源からの昇華速度が安定するまでの間、基板10を覆っておくためのシャッターである。なお、図6ではシャッター軸17を回転することでシャッターの開閉を行う例を示している。ただし、シャッターを開閉する方法は、図6に示す構成に限定されない。
【0076】
また、図6では、フェイスダウン方式で基板10をセットする例を示している。フェイスダウン方式とは、基板の被成膜面が下を向いた状態で成膜する方式をいい、この方式によればゴミの付着などを抑えることができる。
【0077】
また、図7(A)、図7(B)、及び図7(C)は、基板10への蒸着前から蒸着後の手順及び2枚目の基板の蒸着を開始する手順を示すタイミングチャートである。図7(A)は縦軸がヒーターの電源電力、横軸が時間を示している。図7(B)は、縦軸が容器の温度、横軸が時間を示している。また、図7(C)は、成膜室11への基板の導入タイミング及び他の処理室(搬送室も含む)への基板の搬出タイミングを示している図である。
【0078】
以下に、図6及び図7を参照しながら有機薄膜を形成する手順について説明する。図7の説明は反応室に基板を搬入する前の段階から示されており、その後に行われる各処理が時系列的に示されている。
【0079】
まず、成膜室11内への基板の導入前の成膜室11内の圧力を1×10−4Paよりも低くする真空排気を行う。ただし、大気圧から真空排気することに限定されず、常時ある程度の真空度に真空室を保っておくことが、量産を行う上好ましい。または短時間で到達真空度を下げる上で好ましい。
【0080】
次いで、ヒーター19の電源をオンにして第1の電力P1に設定し、ヒーター19の熱で容器20(ルツボ)を加熱し、容器の温度を第1の温度T1とする。この第1の温度T1とする時間を短縮するために一時的に高い第1の電力P1にヒーター19の電源を設定している。
【0081】
容器20の温度を第1の温度T1とした後、ヒーター19の電源を第1の電力P1よりも低い第2の電力P2に設定し、加熱を続ける。この時点がスタンバイ状態の時点70を示している。
【0082】
次いで、ノズル18から材料混合ガス16を容器20内に導入する。導入すると容器内に供給される材料量にもよるが、一時的に容器20の温度が下がり、第2の温度T2となる。この時点が材料混合ガス16供給後の状態の温度変化点71を示している。なお、材料混合ガス16の温度も第1の温度T1に合わせた温度とすることが好ましい。
【0083】
次いで、容器20の加熱を行い続け、容器20の温度が第1の温度T1と同じ第3の温度T3に戻った後、成膜室11に基板10を導入する。この時点が基板10の導入時点80を示している。第3の温度T3に戻った時のヒーター19の電源は、第2の電力P2と同じ第3の電力P3に設定されている。
【0084】
次いで、短時間に容器20の温度を第4の温度T4に上昇させるため、一時的に高い第4の電力P4にヒーター19の電源を設定する。この時の立ち上がりのために電力ΔPの分を追加して短時間で第4の温度T4に安定させる。ここでは、線形二乗法の近似式に基づいて昇温の加速をつけるための電力を投入する。なお、容器20の温度が第4の温度T4となると自動的に蒸着が開始される。この時点が容器20の温度が第4の温度T4に到達した時点72を示している。この時点以降に、シャッターを開き、基板への蒸着を開始する。図7(B)において点線で描いている曲線は、電力ΔPの分を追加しない場合の容器の温度変化を示している。
【0085】
次いで、容器20の温度が第4の温度T4で安定した段階で、第4の電力P4よりも低い第5の電力P5に設定し、加熱を続ける。この時点の容器20の温度は第5の温度T5であり、第4の温度T4と同じ温度、蒸着をさせる指定温度である。なお、第5の温度T5、第3の温度T3、第1の温度T1は、供給する有機材料により異なるため、最適な温度に適宜、実施者が設定する。
【0086】
次いで、一定の加熱を行い、基板シャッターを閉じて基板への成膜を終了させる。成膜終了直前のヒーター19の電源は第6の電力P6に設定されている。なお、第6の電力P6は、第5の電力P5と同じである。また、蒸着終了直前時点の容器20の温度は第6の温度T6であり、第5の温度T5と同じ温度である。
【0087】
次いで、基板を搬出した後、第6の電力P6よりも低い第7の電力P7に設定し、有機材料の蒸発を終了させる。なお、第7の電力P7に設定する前に基板シャッターを閉ざされている。
【0088】
なお、基板搬出時点81では、第6の電力P6よりも低い第7の電力P7に設定されているため、加熱は続けられ、再びスタンバイ状態(スタンバイ状態の時点70と同じ状態)とすることができる。基板搬出時点81はスタンバイ状態であり、第7の温度T7は、蒸着を始める直前の温度である。なお、第7の電力P7は、第3の電力P3と同じである。
【0089】
以上の手順で1枚目の基板10に成膜を行うことができる。成膜を終えた基板は次の成膜室へと搬送される。
【0090】
また、上記手順は、容器にノズルから有機材料を供給した後、ヒーター19で容器の温度を上昇させることで蒸着を行う例を示している。図6に示す製造装置を用いれば、基板一枚分の最小限に必要な量をノズルから容器に供給し、最小限の電力を用いた加熱で蒸着を行えるため、製造コストを低減できる。また、ノズルから容器に供給する有機材料の量及びヒーター19の電力及びその電力投入タイミングを制御部21で精密に調節することが好ましい。必要であれば膜厚モニターを成膜室内に設け、制御部21でモニターしながら、有機材料の供給量、ヒーター19の電力、及びその電力投入タイミングを調節する。
【0091】
また、2枚目の基板を成膜室で成膜する場合には、1枚目の基板の成膜が終了した後、基板搬出時点81で1枚目の基板を成膜室から搬出し、容器に2回目の材料供給を行い、スタンバイ状態とした後、2枚目の基板を成膜室に導入して成膜を行う。
【0092】
2回目の材料供給時点が材料混合ガス16供給後の状態の温度変化点74を示している。また、材料混合ガス16供給後に容器20の温度が第8の温度T8に到達した時点から2枚目の基板への成膜を開始する。短時間に容器20の温度を第8の温度T8に上昇させるため、一時的に高い第8の電力P8にヒーター19の電源を設定する。なお、第8の電力P8は、第4の電力P4と同じである。
【0093】
また、図6では、防着板と供給管が接触している例を示している。供給管外壁に蒸着膜が形成されると熱が拡散され供給管の温度の低下を招く恐れがあるため、供給管も加熱することが好ましい。供給管内部に加熱された材料混合ガスを流す場合、加熱された材料混合ガスによって供給管も加熱される。好ましくは、供給管の温度を防着板と同じ温度Tとするため、防着板と供給管を溶着して固定し、防着板に設けられた細管ヒーターの熱を利用して供給管も加熱することができる。少なくとも成膜室内に設けられている供給管の部分を防着板に設けられた細管ヒーターの熱を利用して加熱し、供給管内壁への材料固着による管詰まり、および供給管外壁の材料付着を防ぐことができる。また、成膜室外に設けられている供給管には別途ヒーターを設けて加熱し、供給管内壁への材料固着による管詰まりを防止することが好ましい。なお、図6の防着板と供給管が接触する構造に限定されず、成膜室内に設けられている供給管の部分に細管ヒーターなどの加熱手段を巻き付けるのであれば、成膜室の上面を貫通させて供給管を設けてもよく、成膜室の下面を貫通させて供給管を設けてもよい。
【0094】
また、熱の拡散を防ぐために、供給管が成膜室の壁と接触する部分には、供給管を囲むように断熱材を設け、供給管の温度を保持することが好ましい。供給管と成膜室の壁の間に断熱材を設けることで供給管の熱が成膜室のステンレス部材(またはアルミニウム部材)に伝わり、局所的に供給管が冷却されることを防ぐことができる。
【0095】
また、成膜室内壁または防着板に付着した被膜や粉末を除去するには、クリーニングを行う。また、成膜室内壁または防着板に付着した被膜や粉末を回収して再利用することもできる。
【0096】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0097】
(実施の形態3)
実施の形態2では1枚の基板を処理する手順を主に示したが、本実施の形態では、複数枚の基板の蒸着を連続して行い、間欠的に容器に有機材料を供給する手順を示す。なお、実施の形態1、及び2と共通する部分は同じ符号を用いて説明する。
【0098】
また、図8(A)、図8(B)、及び図8(C)は、基板10への蒸着前から蒸着後の手順及び複数枚の基板の蒸着を開始する手順を示すタイミングチャートである。図8(A)は縦軸がヒーターの電源電力、横軸が時間を示している。図8(B)は、縦軸が容器の温度、横軸が時間を示している。また、図8(C)は、成膜室11への基板の導入タイミング及び他の処理室(搬送室も含む)への基板の搬出タイミングを示している図である。
【0099】
本実施の形態では、1枚目の基板の成膜が終了した後、1枚目の基板を成膜室から搬出し、容器に2回目の材料供給を行い、スタンバイ状態とした後、2枚目の基板を成膜室に導入して成膜を行う例を示す。なお、真空室内に基板を待機させる予備室を設けても良い。
【0100】
なお、本実施の形態では、図6に示す製造装置を用いて、一度に基板複数枚分の必要な量をノズルから容器に供給しておく。この時点が材料混合ガス16供給後の状態の温度変化点71を示している。
【0101】
1枚目の基板の蒸着を行い、第5の電力P5に設定し、容器を第5の温度T5とするまでの手順は実施の形態2と同一であるため、それ以降の手順を以下に説明する。
【0102】
1枚目の成膜を終えた後、間欠的に2枚目の基板、3枚目の基板を順次成膜室内に導入する。図8(C)に2枚目の基板導入時点82、2枚目の基板搬出時点83、3枚目の基板導入時点84、3枚目の基板搬出時点85を示す。本実施の形態では1回の材料供給で3枚の基板への成膜を行うが特に限定されず、1回の材料供給で3枚以上の基板に成膜を行ってもよい。
【0103】
その後、2回目の材料供給を行った後、4枚目の基板を導入する。なお、図8(B)には、2回目の材料供給後の状態の温度変化点74を示している。また、図8(C)に4枚目の基板導入時点86を示している。また、材料混合ガス16供給後に容器20の温度が第8の温度T8に到達した時点から4枚目の基板への成膜を開始する。短時間に容器20の温度を第8の温度T8に上昇させるため、一時的に高い第8の電力P8にヒーター19の電源を設定する。なお、第8の電力P8は、第4の電力P4と同じである。
【0104】
次いで、4枚目の蒸着を終えた後、引き続き5枚目以降の基板に対して成膜処理を行う場合には、繰り返し材料供給と基板の導入及び搬出が同様に行われる。本実施の形態は大量生産に向いており、複数枚の基板に対して収率良く成膜を行え、スループットも向上させることができる。
【0105】
また、上記手順に限定されず、予め、成膜室に複数枚の基板を待機させておき、連続的に成膜を行い、全ての基板への成膜が全て終わった後に順次成膜室に搬出する手順としてもよい。ここで、連続的に成膜とは、成膜室内を真空に保ったまま複数の基板に順次成膜を行うことを指している。
【0106】
また、成膜室のサイズが大きくなってしまうが、成膜室に複数枚の基板をセットできる構成とし、それぞれに対して重なる容器を複数設置して、複数のノズルから供給することによって、同時に複数枚の成膜を短時間に行うこともできる。
【0107】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0108】
(実施の形態4)
本実施の形態では、共蒸着を行う容器の一例を図9に示す。
【0109】
図9(A)は、第1の容器31と、第1の容器を取り囲むヒーター34と、第1の容器に連結した第1の供給管38と、第1の供給管38を囲む細管ヒーター36を示している断面図である。第1の供給管38から供給される材料混合ガス30は、第1の容器31内に導入された後、ヒーター34の熱により昇華されて飛散する。
【0110】
また、図9(A)は、第2の容器32と、第2の容器を取り囲むヒーター35と、第2の容器に連結した第2の供給管39と、第2の供給管39を囲む細管ヒーター37も示している断面図である。
【0111】
第2の供給管39から供給される材料混合ガス40は、第2の容器32内に導入された後、ヒーター35の熱により昇華されて飛散する。
【0112】
また、第1の供給管38から供給される材料混合ガス30と、第2の供給管39から供給される材料混合ガス40の材料を異ならせることで、共蒸着を行うことができる。第2の容器32の開口から飛散する第1の有機化合物材料と第1の容器31の開口から飛散する第2の有機化合物材料とが基板に到達する間に混合され、基板に共蒸着が行われる。
【0113】
また、第1の供給管38を囲む細管ヒーター36と第2の供給管39を囲む細管ヒーター37は、加熱を行って供給管の温度を実施の形態2に示した第3の温度T3と同じ温度となるように第1の供給管38から供給される材料混合ガス30及び第2の供給管39から供給される材料混合ガス40を加熱する。
【0114】
第1の供給管38から供給される材料混合ガス30は、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスを供給するエアーガンで有機材料が送り出される。また、第1の供給管38を囲む細管ヒーター36と第2の供給管39を囲む細管ヒーター37は、容器の熱容量を考慮し、供給管の温度を実施の形態2に示した第5の温度T5またはそれに近い温度となるように設定することも可能である。
【0115】
第1の容器を取り囲むヒーター34、及び第2の容器を取り囲むヒーター35はそれぞれ電力制御され、第1の容器31及び第2の容器32をそれぞれ実施の形態2に示した第1の温度T1乃至第7の温度T7の温度調節をして蒸着を行う。
【0116】
また、第1の容器の開口付近と第2の容器の開口付近は蒸着物がこびりつかないように第1の容器を取り囲むヒーター34、及び第2の容器を取り囲むヒーター35を第5の温度T5以上の温度とすることが好ましい。
【0117】
また、図9(A)の上面図を図9(B)に示している。図9(B)には、第1の容器31と、第1の容器に連結した第1の供給管38と、第2の容器32と、第2の容器に連結した第2の供給管39とが示されている。
【0118】
図9(A)及び図9(B)に示す容器、供給管、及びヒーターを実施の形態2のノズル18、容器20、及びヒーター19に代えて製造装置を構成することができる。
【0119】
また、3つの容器を用いて共蒸着を行う場合、図9(C)に示すように第1の容器41、第2の容器42、及び第3の容器43を配置すればよい。図9(C)は上面図を示している。3つの容器にそれぞれ設けられるヒーターや供給管は図9(A)に示すものと同じものを用いればよい。図9(C)に示す3つの容器を用いそれぞれ異なる材料を供給することによって3種類の有機化合物を含む膜を成膜することができる。
【0120】
また、図9(C)に示す容器、供給管、及びヒーターを実施の形態2のノズル18、容器20、及びヒーター19に代えて製造装置を構成することもできる。
【0121】
また、本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0122】
(実施の形態5)
本実施の形態では、有機材料を蒸着する成膜室の別の一例について説明する。図10は、概略構成図の断面である。
【0123】
図10において、成膜室51は、真空排気手段が設けられた真空室中に設置されており、不活性ガス導入手段が設けられている。なお、不活性ガス導入手段は、成膜室51内の真空排気を行った後に不活性ガスで充填する際に用いられる。また、成膜室51には、基板50を固定する基板保持手段52が設けられ、さらに成膜の均一性を高めるために基板回転制御部53が設けられている。また、成膜室51の内壁に付着することを防止するための防着板55には、電熱線などの細管ヒーター54が接して設けられる。また、シャッター軸57を回転することでシャッターの開閉を行う。
【0124】
本実施の形態では、容器60を加熱するヒーター59が有機材料61の予備加熱を行い、ヒーター59により有機材料61は、有機材料61の昇華温度未満に加熱される。そして、ノズル58から有機材料61に向けて加熱ガス56を導入することにより、有機材料61の昇華温度以上に加熱する。なお、ノズルから供給された加熱ガスは、容器の温度(T)よりも高い温度とし、容器60内の有機材料61を有機材料61の昇華温度以上に加熱する。
【0125】
また、本実施の形態では、有機材料61を容器60内に供給する方式は気流により供給する方式に限定されず、有機材料61をロッド状、ワイヤ状、可撓性フィルムに付着した状態、粉末状の有機材料61を機械的機構(供給管内に設けられたスクリューを回転する機構など)により供給する方式などを用いることができる。また、加熱ガス56を供給するノズル58とは別に、気流により有機材料を容器内に供給するノズルを設けてもよい。
【0126】
また、制御部63は、2つのバルブの間に設けられた流量計62の流量とヒーター59の温度を調節する。また、制御部63は、供給管に流れるガスの温度も調節できるように供給管内に設けた温度センサーをモニターできる機能を持たせてもよい。
【0127】
また、ノズル58の排出口から供給する不活性ガスを加熱しなければ、真空室内の真空排気を行った後に不活性ガスで充填する際に用いる不活性ガス導入手段とすることができ、供給系を一つ減らすことができる。
【0128】
なお、本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0129】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した製造装置を用いて製造された照明装置の一態様について図11及び図12を用いて説明する。
【0130】
図11は照明装置の平面図であり、図12(A)は図11における線E−F、図12(B)は図11における線G−Hの断面図である。
【0131】
下地保護膜(バリア層)として絶縁膜902が設けられた基板900上に第1の電極層904、EL層906、及び第2の電極層908を含む発光素子932が形成され、発光素子932は第1の電極層904及び第2の電極層908の一部を除いて絶縁膜910に覆われている。絶縁膜910は発光素子のEL層906を外部からの水等の汚染物質から保護する保護層、封止膜として機能する。なお、基板900は、丸型(ディスク形状、円盤型、または円形)形状を有しており、発光素子932を形成する為の薄膜が成膜できる部材を用いる。
【0132】
基板900は、丸型形状の基板であるため、基板900上に積層される絶縁膜902、第1の電極層904、EL層906、第2の電極層908、及び絶縁膜910もその形状を反映し、概略丸型形状に形成される。
【0133】
第1の電極層904及び第2の電極層908は、絶縁膜910上に形成される第1の補助配線911、第2の補助配線913とそれぞれ接続するために、基板900の外周部まで延設しており、該延設領域において絶縁膜910は覆っておらず、第1の電極層904、及び第2の電極層908が露出している。この第1の電極層904及び第2の電極層908の露出領域は、それぞれ第1の電極層904と第1の補助配線911との接続部、第2の電極層908と第2の補助配線913との接続部となる。
【0134】
第1の電極層904の延設された露出領域に接して第1の補助配線911が形成され、同様に第2の電極層908の延設された露出領域に接して第2の補助配線913が形成されている。第1の補助配線911及び第2の補助配線913は外部電源の端子との接続のための照明装置側の端子として機能し、外部電源の端子との第1の接続部912(照明装置の第1の端子部ともいう)、第2の接続部914(照明装置の第2の端子部ともいう)を有している。第1の補助配線911及び第2の補助配線913によって、第1の電極層904の接続部である第1の接続部912、及び第2の電極層908の接続部である第2の接続部914は発光素子932と同一面上において円形の基板中央部に設けることができる。なお、本明細書において基板や照明装置の中央部とは中央及び中央付近を含む領域をいう。
【0135】
基板900の外周部Eにおいては、絶縁膜902上に、第1の電極層904が形成され、第1の電極層904上に第1の電極層904の端部を覆うようにEL層906が積層され、EL層906上にEL層906の端部を覆い基板900の外周部E側に延設して第2の電極層908が形成されている。第2の電極層908の延設された領域は、第2の電極層908上に積層される絶縁膜910は形成されず露出している。その露出した第2の電極層908に接して絶縁膜910上に第2の補助配線913が基板900中央部まで形成されている。よって第2の電極層908と電気的に接続した第2の補助配線913によって、基板900中央部に外部電源との第2の接続部914を形成することができる。
【0136】
基板900の外周部Fにおいては、絶縁膜902上に、第1の電極層904が基板900の外周部F側に延設して形成されている。第1の電極層904上にEL層906、第2の電極層908が積層され、EL層906及び第2の電極層908上にEL層906及び第2の電極層908の端部を覆うように絶縁膜910が形成される。外周部Fにおいて、第1の電極層904の延設された領域は、第1の電極層904上に積層されるEL層906、第2の電極層908、絶縁膜910は形成されず露出している。その露出した第1の電極層904に接して絶縁膜910上に第1の補助配線911が基板900中央部まで形成されている。よって第1の電極層904と電気的に接続した第1の補助配線911によって、基板900中央部に外部電源との第1の接続部912を形成することができる。
【0137】
基板900の外周部G及びHにおいては、絶縁膜902上に、第1の電極層904が形成され、第1の電極層904上に第1の電極層904を覆うようにEL層906が形成され、EL層906上に第2の電極層908が形成される。第1の電極層904、EL層906、及び第2の電極層908上に、EL層906及び第2の電極層908の端部を覆うように絶縁膜910が形成されている。
【0138】
このように、照明装置において、EL層906は、第1の電極層904及び第2の電極層908が接しないように、第1の電極層904及び第2の電極層908の間に形成されている。また、EL層906の端部は、絶縁膜910又は第2の電極層908によって覆われる構造となっている。
【0139】
よって、発光素子932において、第1の電極層904及び第2の電極層908は接触によるショートを生じることなく、発光素子932から安定した発光を得ることができる。また、EL層が水等により劣化することを防ぎ、照明装置の信頼性を高めることができる。
【0140】
本実施の形態の照明装置は、EL層906からの光を第1の電極層904、絶縁膜902、基板900を透過して取り出す照明装置である。よって、第1の電極層904、絶縁膜902、基板900は、EL層906からの光を透過する透光性である必要がある。なお、本明細書において透光性とは、少なくとも可視光の波長領域の光に対して光を透過する性質を指す。
【0141】
一方、第2の電極層908、絶縁膜910、第1の補助配線911、及び第2の補助配線913は必ずしも透光性を有する必要はない。第2の電極層908が反射性を有すると、基板900側からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0142】
基板900に用いる部材の具体例としては、プラスチック(可撓性基板)、ガラス、または、石英などを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる部材が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものを用いることもできる。
【0143】
また、基板900の大きさとしては、照明装置の用途によって適宜設定することが可能であるが、生産性、および取り扱いの面からCD−R等の光ディスクデバイスと同程度の大きさ(例えば、直径10cm乃至14cm、好ましくは直径12cmの円盤形状)とするのがより好ましい。
【0144】
よって、図11及び図12に示す照明装置は、直径10cm乃至14cm、好ましくは直径12cmであって、1.2mm乃至1.5mmの厚さの円盤形状を有する照明装置とすることができる。
【0145】
下地保護膜として機能する絶縁膜902は、例えば、無機化合物を用いて単層又は多層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等がある。また、絶縁膜902として、硫化亜鉛及び酸化珪素を含む膜(ZnS・SiO膜)を用いてもよい。なお、絶縁膜902として、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素等を用いることにより、外部からEL層へ水分や、酸素等の気体が侵入することを防止することができる。
【0146】
保護膜、封止膜として機能する絶縁膜910としては、例えば、無機化合物、有機化合物を用いることができ、単層又は多層で形成する。無機化合物を用いて単層又は多層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素等がある。また、絶縁膜910として、硫化亜鉛及び酸化珪素を含む膜(ZnS・SiO膜)を用いてもよい。
【0147】
また、有機化合物としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。
【0148】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基として、有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
【0149】
第1の補助配線911、第2の補助配線913は、導電性材料を用いればよく例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。また、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用いてもよい。
【0150】
本実施の形態の照明装置は、簡便な製造工程による作製が可能であるので、量産化を実現することができる。また、本実施の形態の照明装置は、素子劣化しにくい構造を有するので長寿命な照明装置を提供することができる。さらに、本実施の形態の照明装置は、薄膜軽量化を実現すると共に外部電源との電気的な接続を容易にできるので、様々な用途に用いることができる。
【0151】
なお、本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0152】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6で示す照明装置と外部電源とを接続するために、照明装置に接続部材を設ける例を図13乃至図16に示す。
【0153】
図14(A)(B)は照明装置に接続部材を設ける例であり、図13は照明装置と接続部材との接続部を詳細に説明する図である。
【0154】
図14(A)(B)において、照明装置930に接続部材950(口金ともいう)が取り付けられている。接続部材950は、制御回路952、第1の接続配線954、第2の接続配線956、第1の取り出し配線958、第2の取り出し配線960を有しており、照明装置930は、発光素子932を含み、絶縁膜910で接続部を除いて封止されている。照明装置930は、実施の形態1乃至5で製造方法を示す照明装置を適用することができる。接続部材950は直径10mm〜40mm、代表的には25mm程度のものを用いればよい。実施の形態1乃至5で製造方法を示す照明装置は、接続部材との接続部を中央部に設けることが可能であるため、接続部材を照明装置中央部に設けることができる。
【0155】
図13に示すように、接続部材950は、照明装置930において発光素子932の第1の電極層と接続する第1の接続部912、第2の電極層と接続する第2の接続部914と、異方性導電膜962を介して電気的に接続する。第1の接続部912と第1の接続配線954、制御回路952を介して第1の取り出し配線958が電気的に接続し、第2の接続部914と第2の接続配線956、制御回路952を介して第2の取り出し配線960が電気的に接続する。接続部材950を外部電源に接続することで、外部電源より電力の供給を受けることができ、照明装置を点灯させることができる。
【0156】
制御回路952は、一例として、外部電源から供給される電源電圧を元に、発光素子932を一定の輝度で点灯させるための機能を有する回路である。制御回路952は、一例として、整流平滑回路、定電圧回路、定電流回路を有する。整流平滑回路は、外部の交流電源より供給される交流電圧を直流電圧にするための回路である。整流平滑回路は、一例として、ダイオードブリッジ回路、平滑容量等を組み合わせて構成すればよい。定電圧回路は、整流平滑回路から出力されるリップルを含んだ直流電圧を、安定化した定電圧の信号として出力する回路である。定電圧回路は、スイッチングレギュレータ、またはシリーズレギュレータ等を用いて構成すればよい。定電流回路は、定電圧回路の電圧に応じて定電流を発光素子932に出力する回路である。定電流回路は、トランジスタ等を用いて構成すればよい。なお、ここでは外部の電源として商用交流電源を想定し、整流平滑回路を設ける構成を示したが、外部の電源が直流電源の場合、整流平滑回路を設けなくてもよい。また、制御回路952には、必要に応じて、輝度を調整するための回路、サージ対策として保護回路等を設けてもよい。
【0157】
図13では接続部材950と照明装置930の接続部との接続に異方性導電膜962を用いる例を示すが、接続部材950と照明装置930の接続部との電気的接続ができる方法及び構成ならばこれに限定されない。例えば、接続部材950及び照明装置930の接続部に用いる導電膜をはんだ接続が可能な材料で形成し、はんだを用いて接続してもよい。
【0158】
図14(A)と図14(B)は、接続部材950の形状が異なるものであり、接続部材950は、照明装置930との電気的接続ができる接続配線及び外部電源より電力を供給できる取り出し配線を有していれば様々な形状を用いることができる。
【0159】
図15(A)(B)は、照明装置に接続部材を設ける例であり、図14(A)(B)において照明装置930の絶縁膜910上にさらに封止基板934を設け、発光素子932を封止する例である。
【0160】
封止基板934によって発光素子932を基板900との間に封止することによって、外部からの水分や、発光素子を劣化させる物質が侵入することをさらに防止することができる。また、外部からの物理的な衝撃を緩和することができるため、照明装置として物理的強度を高めることができる。よって、照明装置の信頼性が向上するので、使用できる環境が広がり、多様途に用いることができる。
【0161】
図15(A)(B)の接続部材950が設けられた照明装置930の使用形態の例を図16(A)(B)に示す。図16(A)は接続部材950の形状に合わせて、天井940にねじ込み型で取り付ける例であり、図16(B)は天井940に引っ掛け型(引っ掛けシーリングともいう)で取り付ける例である。図16(A)(B)においても、接続部材950の第1の取り出し配線と第2の取り出し配線は、それぞれ第1の外部電極942、第2の外部電極944に接続し、電力を照明装置930に供給する。
【0162】
封止基板934としては、発光素子932を挟持して対向する基板900と同様な形状が好ましく、丸型(ディスク形状、円盤型、または円形)形状を有するとよい。また、封止基板934は、接続部材950を取り付ける開口を有する。封止基板934を断面が凹型の形状にして、図15(A)(B)のように封止基板934内側に照明装置930をはめ込むようにすると好ましい。封止基板934の照明装置930側の面に乾燥剤となる吸水物質を設けてもよい。例えば、酸化バリウムなどの吸水物質の膜を封止基板934にスパッタ法により形成すればよい。このような乾燥剤として機能する膜は絶縁膜910上に形成してもよい。
【0163】
封止基板934に用いる部材の具体例としては、プラスチック(可撓性基板)、ガラス、石英、セラミックス、金属などを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる部材が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。なお、発光素子の封止基板として機能するものであれば、これら以外のものを用いることもできる。
【0164】
本実施の形態の照明装置は、簡便な製造工程による作製が可能であるので、量産化を実現することができる。また、本実施の形態の照明装置は、素子劣化しにくい構造を有するので長寿命な照明装置を提供することができる。さらに、本実施の形態の照明装置は、薄膜軽量化を実現すると共に外部電源との電気的な接続を容易にできるので、様々な用途に用いることができる。
【0165】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0166】
(実施の形態8)
本実施の形態では、開口部が設けられた基板上に形成されたエレクトロルミネセンス(EL)材料を有する照明装置の一例について、図面を参照して説明する。
【0167】
本実施の形態で示す照明装置は、中央部に開口部を有する基板上に、第1の電極層と、EL層と、第2の電極層とが積層して設けられ、基板の中央部に第1の接続部及び第2の接続部を有するものである。なお、本実施の形態で示す照明装置は、上記実施の形態で示した製造装置を用いて製造することができる。
【0168】
以下、具体的な構成に関して図17、図18を参照して説明する。なお、図17は、照明装置の平面の模式図を示し、図18(A)は、図17におけるA−B間の断面の模式図を示し、図18(B)は図17におけるC−D間の断面の模式図を示している。
【0169】
図17、図18に示す照明装置930は、中央部に開口部909を有し且つ円盤状の基板901と、基板901上に絶縁膜902を介して設けられた発光素子932と、発光素子932を覆うように設けられた絶縁膜910と、基板901上に設けられた第1の接続部912及び第2の接続部914とを有している。
【0170】
発光素子932は、第1の電極層904、EL層906及び第2の電極層908の積層構造で形成されており、ここでは、基板901上に絶縁膜902を介して第1の電極層904が形成され、第1の電極層904上にEL層906が形成され、EL層906上に第2の電極層908が形成される場合を示している。
【0171】
絶縁膜910は、基板901の中央部において開口部915を有しており、当該開口部915に第1の接続部912及び第2の接続部914が設けられている。なお、絶縁膜910の開口部915は、基板901に形成された開口部909よりその面積(基板901の表面と平行な面における開口部分の面積)が大きくなるように形成する。
【0172】
第1の接続部912は、開口部915まで引き出された(延伸した)第1の電極層904により設けられ、第2の接続部914は開口部915まで引き出された第2の電極層908により設けられている。つまり、第1の電極層904の一部が絶縁膜910の開口部915まで引き出されて(延伸して)第1の接続部912が形成され、第2の電極層908の一部が絶縁膜910の開口部915まで引き出されて第2の接続部914が形成されている。
【0173】
このように、基板901上に形成された第1の電極層904及び第2の電極層908を引き出して、基板901上に第1の接続部912及び第2の接続部914を形成することにより、照明装置930を薄膜化することができる。
【0174】
また、基板901上に形成された第1の電極層904及び第2の電極層908を第1の接続部912及び第2の接続部914として用いることにより、照明装置930の構造を簡略化し、低コスト化を図ることができる。
【0175】
また、開口部909を有する基板901を用い、当該基板901の中央部(より具体的には、開口部909の近傍領域)に第1の接続部912及び第2の接続部914を設けることにより、基板901に形成された開口部909を介して外部から電源の供給を行うことが可能となる。その結果、照明装置において、1箇所(基板の中央部)で発光素子932に電源を供給することができる。
【0176】
また、図17、図18で示す構成では、第1の電極層904、EL層906及び第2の電極層908にも、絶縁膜910と同様に基板の中央部に開口部が形成されており、第1の電極層904、EL層906及び絶縁膜910の開口部に第2の電極層908の一部が引き出されることにより、基板901上に第2の接続部914が設けられている。この際、第2の電極層908の一部が、第1の電極層904の端部及びEL層906の端部を乗り越える(横断する)部分においては、第1の電極層904と第2の電極層908が接触しないように、第1の電極層904の端部をEL層906が覆うように設けることができる。
【0177】
また、図17、図18に示す構成では、基板901の外周部において、EL層906が第1の電極層904より内側に形成され、第2の電極層908がEL層906の内側に形成される場合を示したが、これに限られない。第1の電極層904と第2の電極層908が絶縁されるように設ければどのように設けてもよい。
【0178】
例えば、基板901の外周部において、第1の電極層904の端部を覆うようにEL層906を形成し、当該EL層906の端部を覆うように第2の電極層908を形成してもよい。この場合、基板901の外周部において、第2の電極層908の内側にEL層906が形成され、EL層906の内側に第1の電極層904が形成される。
【0179】
他にも、基板901の外周部において、第1の電極層904の端部を覆うようにEL層906を形成し、第2の電極層908はEL層906の端部を乗り越えないように設けてもよい。この場合、基板901の外周部において、EL層906の内側に第1の電極層904及び第2の電極層908が形成される。
【0180】
なお、上記図17では、第1の電極層904で形成される第1の接続部912と、第2の電極層908で形成される第2の接続部914とを対向して設ける場合を示したが、本実施の形態はこれに限られない。少なくとも絶縁膜910の開口部915に、第1の接続部912と第2の接続部914を設ける構成とすればよい。
【0181】
また、第1の接続部912と第2の接続部914の数をそれぞれ複数設けた構成としてもよい。第1の接続部と第2の接続部を複数設けることにより、第1の接続部、第2の接続部に電気的に接続される配線等との接続を良好に行うことができる。
【0182】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0183】
(実施の形態9)
本実施の形態では、照明装置の使用形態の一例として、上記実施の形態8で示した照明装置930に接続部材950を設けた構成について図19、図20、図21を参照して説明する。なお、接続部材950は、口金と呼ばれることもある。また、照明装置930と接続部材950をあわせて照明装置と呼ぶ場合もある。
【0184】
接続部材950は、制御回路952と、当該制御回路952と電気的に接続された第1の接続配線954、第2の接続配線956、第1の取り出し配線958及び第2の取り出し配線960を有している。
【0185】
制御回路952は、外部電源から供給される電源電圧を元に、発光素子932を一定の輝度で点灯させるための機能を有する回路である。
【0186】
第1の接続配線954、第2の接続配線956は、照明装置930に設けられた発光素子932と制御回路952を電気的に接続する配線として機能する。具体的には、第1の接続配線954は、基板901上に設けられた第1の接続部912と電気的に接続され、第2の接続配線956は、基板901上に設けられた第2の接続部914と電気的に接続される(図21参照)。
【0187】
第1の接続配線954と第1の接続部912との電気的な接続、第2の接続配線956と第2の接続部914との電気的な接続は、図21に示すように異方導電性ペースト957を用いて行うことができる。なお、電気的な接続は、異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))に限られず、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))等で圧着させることにより電気的に接続することが出来る。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や、半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
【0188】
第1の取り出し配線958、第2の取り出し配線960は、制御回路952と電気的に接続され、外部から照明装置930へ電源を供給するための配線として機能する。
【0189】
図19(A)では、基板901が設けられた面(絶縁膜910が設けられた面と反対側の面)側から当該基板901を介して光を取り出す構成(ボトムエミッション構造)を示しており、この場合、接続部材950の制御回路952は、絶縁膜910の上方に設けた構成とすることができる。
【0190】
また、発光素子932からの光の取り出しは、図19(A)に示した構成に限られない。図19(B)に示すように、絶縁膜910が設けられた面(基板901と反対側の面)側から光を取り出す構成(トップエミッション構造)としてもよい。この場合、基板901の裏面(発光素子932が設けられた面と反対側の面)側に制御回路952が設けられ、基板901に設けられた開口部を介して第1の接続配線954及び第2の接続配線956が発光素子932と電気的に接続される構成とすることができる。
【0191】
また、図19(A)、(B)の構成において、光の取り出される面と反対側の面上(図19(A)では絶縁膜910上、図19(B)では基板901の裏面上)に乾燥剤を設けておくことが好ましい。乾燥剤は、スパッタ等を用いて形成することができる。特に、基板901の裏面側に設ける場合には、スパッタにより全面に設けることができる。
【0192】
また、図19(A)、(B)では、接続部材950の接合部が第1の取り出し配線958を兼ね、接続部材950の接点が第2の取り出し配線960に接続する構成としたが、これに限られない。他の構成としては、例えば、図19(C)、(D)に示すように、接続部材950の二つの接続部が第1の取り出し配線958と第2の取り出し配線960を兼ねる構成としてもよい。
【0193】
なお、図19(C)は図19(A)の構成における接続部材950の構成を置き換えたものであり、図19(D)は図19(B)の構成における接続部材950の構成を置き換えたものである。
【0194】
また、照明装置930に封止基板936を設けた構成としてもよい(図20参照)。基板901と対向して発光素子932を挟むように封止基板936を設けることにより、発光素子932に水分等が浸入することを抑制することができる。
【0195】
封止基板936としては、中心部に開口部を有するディスク形状(円盤形状)の基板を用いることができる。具体的には、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、金属基板などを挙げることができる。また、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板などを用いることができる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0196】
また、封止基板936として可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことである。また、ステンレス合金などの導電性を有する基板を用いることもできるが、第1の接続配線954、第2の接続配線956、第1の取り出し配線958及び第2の取り出し配線960とは絶縁された構成にする。なお、封止基板として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0197】
また、図20(B)及び図20(D)は、可視光を透過する封止基板936を用いた構成を示している。
【0198】
封止基板936は、絶縁膜910上に設ければよく、例えば絶縁膜910に貼り合わせて設けることができる。また、図20では、基板901の側面も覆うように封止基板936を設ける場合を示したが、これに限られない。
【0199】
なお、図20(A)〜(D)は、それぞれ図19(A)〜(D)の構成に封止基板936を設けた構成を示している。
【0200】
次に、接続部材950が設けられた照明装置930の使用形態の一例を示す(図22参照)。
【0201】
図22(A)、(B)では、照明装置930に取り付けられた接続部材950を、天井970に設ける場合を示している。天井970には、第1の外部電極972と第2の外部電極974が設けられており、当該第1の外部電極972と接続部材950に設けられた第1の取り出し配線958が電気的に接続し、且つ第2の外部電極974と第2の取り出し配線960が電気的に接続することにより、外部から制御回路952を介して発光素子932に電源が供給され、照明装置として利用することができる。
【0202】
また、図22(A)に示す構成において、接続部材950の直径(基板901表面に平行な方向の長さ)は、天井970の取り付け部分のサイズに合わせて決めればよく、10mm〜40mm(例えば、26mm)とすることができる。
【0203】
なお、図22(A)は、図20(A)に示した構造を天井970に取り付け、図22(B)は、図20(C)に示した構造を天井970に取り付ける場合を示したが、これに限られず、他の構成も同様に取り付けることができる。
【0204】
また、図22では、照明装置930を天井970に取り付ける場合を示したが、本実施の形態で示す照明装置930は薄いため、天井970に限られず壁面や床に埋設することが可能である。
【0205】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0206】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様である製造装置で形成される照明装置に用いる、発光素子の素子構造の一例について、説明する。
【0207】
図23(A)に示す素子構造は、一対の電極(第1の電極1001、第2の電極1002)間に発光領域を含むEL層1003が挟まれた構造を有する。なお、以下の本実施の形態の説明においては、例として、第1の電極1001を陽極として用い、第2の電極1002を陰極として用いるものとする。
【0208】
また、EL層1003は、少なくとも発光層1013を含んで形成されていればよく、発光層1013以外の機能層を含む積層構造であっても良い。発光層1013以外の機能層としては、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質(電子及び正孔の輸送性の高い物質)等を含む層を用いることができる。具体的には、正孔注入層1011、正孔輸送層1012、発光層1013、電子輸送層1014、電子注入層1015等の機能層を適宜組み合わせて用いることができる。
【0209】
次に、上述した発光素子に用いることができる材料について、具体的に説明する。
【0210】
第1の電極1001(陽極)としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上が好ましい。)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。
【0211】
これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
【0212】
この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン等)、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。
【0213】
第2の電極1002(陰極)としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下であることが好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
【0214】
この他、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、または希土類金属の化合物(例えば、フッ化リチウム(LiF)、酸化リチウム、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化エルビウム(ErF)など)の薄膜と、アルミニウム等の金属膜とを積層することによって、第2の電極1002を形成することも可能である。
【0215】
なお、本実施の形態に示す発光素子において、第1の電極1001および第2の電極1002のうち、少なくとも一方が透光性を有すればよい。
【0216】
次に、EL層1003を構成する各層に用いる材料について、以下に具体例を示す。
【0217】
正孔注入層1011は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層1011を形成することができる。さらに、トリス(p−エナミン置換−アミノフェニル)アミン化合物、2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン化合物、トリ(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物、アリール基が少なくとも1つ置換したエテニル基が一つ又は2つ置換したピレン化合物、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)−3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール]、2,2’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、2,2’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、ビス[4−(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル](メチル)アミン等を用いて正孔注入層1011を形成することができる。
【0218】
また、正孔注入層1011として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
【0219】
また、正孔注入層1011として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極1001とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極1001を形成する材料を選ぶことができる。
【0220】
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0221】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0222】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0223】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0224】
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0225】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0226】
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0227】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0228】
正孔輸送層1012は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送層1012は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
【0229】
また、PMMAのような電気的に不活性な高分子化合物に、正孔輸送性材料を添加してもよい。
【0230】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いてもよく、さらに上記高分子化合物に上記正孔輸送性材料を適宜添加してもよい。さらに、トリス(p−エナミン置換−アミノフェニル)アミン化合物、2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン化合物、トリ(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物、アリール基が少なくとも1つ置換したエテニル基が一つ又は2つ置換したピレン化合物、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)−3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール]、2,2’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、2,2’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、ビス[4−(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル](メチル)アミン等も正孔輸送層1012に用いることができる。
【0231】
発光層1013は、発光性の物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。以下に、発光層に用いることのできる有機化合物材料を説明する。ただし、発光素子に適用可能な材料はこれらに限定されるものではない。
【0232】
青色〜青緑色の発光は、例えば、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセンなどをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)などのスチリルアリーレン誘導体や、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(略称:DNA)、9,10−ビス(2−ナフチル)−2−t−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体から得ることができる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いても良い。また、青色発光のゲスト材料としては、スチリルアミン誘導体が好ましく、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)や、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)スチルベン−4,4’−ジアミン(略称:PCA2S)などが挙げられる。特にYGA2Sは、450nm付近にピークを有しており好ましい。また、ホスト材料としては、アントラセン誘導体が好ましく、9,10−ビス(2−ナフチル)−2−t−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)が好適である。特に、CzPAは電気化学的に安定であるため好ましい。
【0233】
青緑色〜緑色の発光は、例えば、クマリン30、クマリン6などのクマリン系色素や、ビス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト]ピコリナトイリジウム(略称:FIrpic)、ビス(2−フェニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(ppy)(acac))などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。また、上述のペリレンやTBPを5wt%以上の高濃度で適当なホスト材料に分散させることによっても得られる。また、BAlq、Zn(BTZ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(Ga(mq)Cl)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いても良い。また、青緑色〜緑色の発光層のゲスト材料としては、アントラセン誘導体が効率の高い発光が得られるため好ましい。例えば、9,10−ビス{4−[N−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−N−フェニル]アミノフェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:DPABPA)を用いることにより、高効率な青緑色発光が得られる。また、2位にアミノ基が置換されたアントラセン誘導体は高効率な緑色発光が得られるため好ましく、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)が特に長寿命であり好適である。これらのホスト材料としてはアントラセン誘導体が好ましく、先に述べたCzPAが電気化学的に安定であるため好ましい。また、緑色発光と青色発光を組み合わせ、青色から緑色の波長領域に2つのピークを持つ発光素子を作製する場合、青色発光層のホストにCzPAのような電子輸送性のアントラセン誘導体を用い、緑色発光層のホストにNPBのようなホール輸送性の芳香族アミン化合物を用いると、青色発光層と緑色発光層との界面で発光が得られるため好ましい。すなわちこの場合、2PCAPAのような緑色発光材料のホストとしては、NPBの如き芳香族アミン化合物が好ましい。
【0234】
黄色〜橙色の発光は、例えば、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エテニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(Ir(thp)(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(pq)(acac))などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。特に、ゲスト材料としてルブレンのようなテトラセン誘導体が、高効率かつ化学的に安定であるため好ましい。この場合のホスト材料としては、NPBのような芳香族アミン化合物が好ましい。他のホスト材料としては、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(略称:Znq)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略称:Znsq)などの金属錯体を用いることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いても良い。
【0235】
橙色〜赤色の発光は、例えば、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:BisDCJ)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エテニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(Ir(thp)(acac))、などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。ビス(8−キノリノラト)亜鉛(略称:Znq)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略称:Znsq)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のポリマーを用いても良い。赤色発光を示すゲスト材料としては、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:BisDCJ)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エテニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、{2−イソプロピル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、{2,6−ビス[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)のような4H−ピラン誘導体が高効率であり、好ましい。特に、DCJTI、BisDCJTMは、620nm付近に発光ピークを有するため好ましい。
【0236】
なお、発光層1013としては、上述した発光性の物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。発光性の高い物質を分散させるための物質としては、各種のものを用いることができ、発光性の高い物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0237】
発光性の物質を分散させるための物質としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0238】
また、発光性の物質を分散させるための物質は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0239】
発光性の物質を他の物質に分散させた構成とすることにより、発光層1013の結晶化を抑制することができる。また、発光性の物質の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0240】
電子輸送層1014は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]亜鉛(II)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]ベリリウム(II)、ビス[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](フェノラト)アルミニウム(III)、ビス[2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−7,8−メチレンジオキシジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](2−ナフトラト)アルミニウム(III)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層1014として用いても構わない。また、電子輸送層1014は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0241】
電子注入層1015は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物が挙げられる。また、電子輸送性を有する有機化合物と無機化合物(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはそれらの化合物)との複合材料、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることもできる。この様な構造とすることにより、第2の電極1002からの電子注入効率をより高めることができる。
【0242】
なお、電子注入層1015として、上述した有機化合物と無機化合物との複合材料を用いた場合には、仕事関数に関わらずAl、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有したITO等様々な導電性材料を第2の電極1002の材料として用いることができる。
【0243】
以上の層を適宜組み合わせて積層することにより、EL層1003を形成することができる。なお、発光層1013を2層以上の積層構造としても良い。発光層1013を2層以上の積層構造とし、各々の発光層に用いる発光物質の種類を変えることにより様々な発光色を得ることができる。また、発光物質として発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を得ることもできる。特に、高輝度が必要とされる照明用途には、発光層を積層させた構造が好適である。
【0244】
また、EL層1003の形成方法としては、用いる材料に応じて種々の方法(例えば、乾式法や湿式法等)適宜選択することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、インクジェット法、スピンコート法、等を用いることができる。また、各層で異なる方法を用いて形成してもよい。
【0245】
また、本実施の形態に示す発光素子の作製方法としては、ドライプロセス(例えば、真空蒸着法、スパッタリング法)、ウェットプロセス(例えば、インクジェット法、スピンコート法等)を問わず、種々の方法を用いて形成することができる。
【0246】
以上のような構成を有する本実施の形態の発光素子の各層は、図1で一例を示した本発明の一態様の製造装置を用いてそれぞれ形成することが可能である。本発明の一態様の製造装置を用いることで、一室の真空室内において発光素子の各層を連続的に成膜することが可能であるため、スループット良く発光素子、及びその発光素子を用いた照明装置を生産することができる。なお、素子を構成する各機能層の積層数に応じて、製造装置に設けられた成膜室の室数を適宜設定することができる。
【0247】
図23に示す発光素子は、第1の電極1001と第2の電極1002との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である発光層1013において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層1013に発光領域が形成されるような構成となっている。
【0248】
なお、本実施の形態に示す発光素子の構成は、図23(B)に示すように一対の電極間にEL層1003が複数積層された構造、所謂、積層型素子の構成であってもよい。但し、EL層1003が、例えばn(nは2以上の自然数)層の積層構造を有する場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目のEL層と、(m+1)番目のEL層との間には、それぞれ中間層1004が挟まれた構造を有する。
【0249】
なお、中間層1004とは、第1の電極1001と第2の電極1002に電圧を印加したときに、中間層1004に接して形成される一方のEL層1003に対して正孔を注入する機能を有し、他方のEL層1003に電子を注入する機能を有する。
【0250】
中間層1004は、有機化合物と金属酸化物の複合材料、金属酸化物、有機化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物との複合材料の他、これらを適宜組み合わせて形成することができる。有機化合物と金属酸化物の複合材料としては、例えば、有機化合物とVやMoOやWO等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、中間層1004に用いるこれらの材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、発光素子の低電圧駆動、および低電流駆動を実現することができる。
【0251】
積層型素子の構成において、EL層が2層積層された構成を有する場合において、第1のEL層から得られる発光の発光色と第2のEL層から得られる発光の発光色を補色の関係にすることによって、白色発光を外部に取り出すことができる。なお、第1のEL層および第2のEL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有する構成としても、白色発光が得られる。補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。青色、黄色、青緑色、赤色に発光する物質としては、例えば、先に列挙した発光物質の中から適宜選択すればよい。
【0252】
以下に、第1のEL層および第2のEL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有し、白色発光が得られる構成の一例を示す。
【0253】
例えば、第1のEL層は、青色〜青緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第1の発光層と、黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第2の発光層とを有し、第2のEL層は、青緑色〜緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第3の発光層と、橙色〜赤色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第4の発光層とを有するものとする。
【0254】
この場合、第1のEL層からの発光は、第1の発光層および第2の発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青色〜青緑色の波長領域および黄色〜橙色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第1のEL層は2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0255】
また、第2のEL層からの発光は、第3の発光層および第4の発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青緑色〜緑色の波長領域および橙色〜赤色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第2のEL層は、第1のEL層とは異なる2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0256】
したがって、第1のEL層からの発光および第2のEL層からの発光を重ね合わせることにより、青色〜青緑色の波長領域、青緑色〜緑色の波長領域、黄色〜橙色の波長領域、橙色〜赤色の波長領域をカバーする演色性の良好な白色発光を得ることができる。
【0257】
なお、上述した積層型素子の構成において、積層されるEL層の間に中間層を配置することにより、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現することができる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0258】
また、図24は、図23(B)に示すタンデム構造の発光素子を有する照明装置の断面図の一例である。図24に示すように、照明装置は第1の電極2102と第2の電極2109との間に第1のEL層2103、中間層2104、及び第2のEL層2107を有する。
【0259】
図24に示す発光素子は、第1及び第2のEL層と、中間層とを有するいわゆるタンデム型の発光素子であって、第1及び第2のEL層がそれぞれ発光層を2層有する構成を示す。図24に示すように、発光層を2層以上の積層構造とし、各々の発光層に用いる発光物質の種類を変えることにより様々な発光色を呈する照明装置を得ることができる。また、発光物質として発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を得ることもできる。特に、高輝度が必要とされる照明用途には、発光層を積層させた構造が好適である。
【0260】
基板2100上には、下地保護膜2101が形成されている。下地保護膜2101は、例えば実施の形態1で示した製造装置において、成膜室115でスパッタ法によって成膜することができる。本実施の形態においては、窒化珪素を用いて100nmの膜厚で下地保護膜を成膜するものとする。
【0261】
下地保護膜2101上には、第1の電極2102が形成されている。第1の電極2102は、例えば実施の形態1で示した製造装置において、成膜室117でスパッタ法によって成膜することができる。本実施の形態においては、第1の電極2102を陽極として用いるものとする。
【0262】
第1の電極2102上には、第1のEL層2103が形成されている。第1のEL層2103は、例えば実施の形態1で示した製造装置において、成膜室119A〜119Cで蒸着法によって成膜することができる。なお、第1のEL層2103は、少なくとも発光層を有していれば良く、その積層数に応じて成膜室の室数を適宜調整することが可能である。本実施の形態においては、第1の正孔注入層2103a、第1の正孔輸送層2103b、青色を呈する発光物質を含む第1の発光層2103c、青色を呈する発光物質を含む第2の発光層2103d、第1の電子輸送層2103eの5層を積層させ、第1のEL層2103を構成するものとする。各機能層の材料は、例えば、先に列挙した物質の中からそれぞれ適宜選択すればよい。なお、本実施の形態において、第1の正孔注入層2103aと第1の正孔輸送層2103bは同一の成膜室で成膜しても良い。
【0263】
第1のEL層2103上には、中間層2104が形成されている。中間層2104は、例えば実施の形態1で示した製造装置において、成膜室121A、121Bで蒸着法によって成膜することができる。中間層2104は、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、有機化合物とVやMoOやWO等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、先に示した材料を用いることができる。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。本実施の形態において中間層2104は、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む第1の中間層2104aと、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む第2の中間層2104bとを組み合わせたものとする。なお、本実施の形態において第1の中間層2104aと第2の中間層2104bとは、同一の成膜室で成膜しても良い。
【0264】
中間層2104上には、第2のEL層2107が形成されている。第2のEL層2107は、例えば実施の形態1で示した製造装置において、成膜室123A〜123Dで蒸着法によって成膜することができる。なお、第2のEL層2107は、少なくとも発光層を有していれば良く、その積層数に応じて成膜室の室数を適宜調整することが可能である。本実施の形態においては、第2の正孔注入層2107a、第2の正孔輸送層2107b、赤色を呈する発光物質を含む第3の発光層2107c、緑色を呈する発光物質を含む第4の発光層2107d、第2の電子輸送層2107e、電子注入層2107fの6層を積層させ、第2のEL層2107を構成するものとする。各機能層の材料は、例えば、先に列挙した物質の中から適宜選択すればよい。なお、本実施の形態において、第2の正孔注入層2107aと第2の正孔輸送層2107bは同一の成膜室で成膜しても良い。
【0265】
第2のEL層2107上には、第2の電極2109が形成されている。第2の電極2109は、例えば実施の形態1に示した製造装置において、成膜室125でスパッタ法によって成膜することができる。本実施の形態において、第2の電極2109は陰極として用いるものとする。
【0266】
第2の電極2109上には、乾燥剤層2111が形成されている。乾燥剤層2111は、例えば実施の形態1で示した製造装置において、成膜室125でスパッタ法によって成膜することができる。なお、乾燥剤層2111は、必ずしも設ける必要はない。または、乾燥剤層2111を基板2100と下地保護膜2101との間に設けても良い。さらに、乾燥剤層2111を、基板2100と下地保護膜2101との間、及び第2の電極2109上の双方に設けても良い。
【0267】
乾燥剤層2111上には、封止膜2113が形成されている。封止膜2113は、例えば実施の形態1で示した製造装置において、成膜室127でスパッタ法によって成膜することができる。なお、封止膜2113に代えて封止部材によって発光素子を封止することも可能であり、封止膜と封止部材を併用することも可能である。
【0268】
図24に示す照明装置は、第1のEL層2103からの発光および第2のEL層2107からの発光が重ね合わさる結果、青色の波長領域、赤色の波長領域、緑色の波長領域をカバーする白色発光が得られる。
【0269】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0270】
(実施の形態11)
本実施の形態では、照明装置の応用例を示す。
【0271】
図25は、本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を室内の照明装置として用いた一例を示している。本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、天井用照明装置8202としてのみならず、壁用照明装置8204としても用いることが可能である。また、当該照明装置は、卓上照明装置8206としても用いることが可能である。また本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することができ、または熱の発生が白熱電球に比べて小さい点等、室内の照明装置として好ましい。
【0272】
また、本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、自動車、自転車などのヘッドライトとして用いることが可能である。図26(A)〜図26(C)は、本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を自動車のヘッドライトとして用いた一例を示している。図26(A)は、本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置をヘッドライト8212として用いた自動車の外観図である。また図26(B)、図26(C)は、図26(A)のヘッドライト8212の断面図である。図26(B)、図26(C)において、電源供給用コネクタ8216に接続された照明装置8214は、光源として用いられている。図26(B)では、複数の照明装置8214が用いられているため高輝度の光を外部に取り出すことができる。一方、図26(C)では、反射板8218によって照明装置からの光が集光されており、指向性を有する高輝度の光を外部に取り出すことができる。
【0273】
次に、本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を、信号機、誘導灯等の照明装置として適用した例について図27に示す。
【0274】
図27(A)は、一例として、信号機の外観について示した図である。信号機8228は、青の照明部8222、黄色の照明部8224、赤の照明部8226を有する。信号機8228は、各照明部における照明装置に青、黄、赤の三色に対応する本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を有する。
【0275】
本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を避難口誘導灯に適用した例について図27(B)に示す。
【0276】
図27(B)は、一例として、避難口誘導灯の外観について示した図である。避難口誘導灯8232は、照明装置と、蛍光部が設けられた蛍光板とを組み合わせて構成することができる。また、特定の色を発光する照明装置と、図面のような形状の透過部が設けられた遮光板とを組み合わせて構成することもできる。本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、一定の輝度で点灯することができるため、常時点灯が求められる避難口誘導灯として好ましい。
【0277】
本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を屋外用照明に適用した例について図27(C)に示す。
【0278】
屋外用照明の一つとして例えば街灯が挙げられる。街灯は、例えば図27(C)に示すように、筐体8242と、照明部8244と、を有する構成とすることができる。本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、照明部8244に複数配置して用いることができる。図27(C)に示すように、街灯は、例えば道路沿いに設置して照明部8244により周囲を照らすことができるため、道路を含め周囲の視認性を向上させることができる。
【0279】
なお、街灯に電源電圧を供給する場合には、例えば図27(C)に示すように、電柱8246の送電線8248を介して電源電圧を供給することができる。ただしこれに限定されず、例えば光電変換装置を筐体8242に設け、光電変換装置により得られた電圧を電源電圧として利用することもできる。
【0280】
また、本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を携帯用照明に適用した例について図27(D)及び図27(E)に示す。図27(D)は、装着型ライトの構成を示す図であり、図27(E)は手持ち型ライトの構成を示す図である。
【0281】
図27(D)に示す装着型ライトは、装着部8252と、照明部8254を有し、照明部8254は装着部8252に固定されている。本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、照明部8254に用いることができる。図27(D)に示す装着型ライトは、装着部8252を頭部に装着し、照明部8254を発光させることができる。また、照明部8254として面光源の光源を用いることにより、周囲の視認性を向上させることができる。また、照明部8254は軽量であるため、頭部に装着して使用する際の負担を軽減することができる。
【0282】
なお、図27(D)に示す装着型ライトの構成に限定されず、例えば装着部8252をリング状にした平紐やゴム紐のベルトにし、該ベルトに照明部8254を固定し、該ベルトを頭部に直接巻きつける構成とすることもできる。
【0283】
図27(E)に示す手持ち型ライトは、筐体8262と、照明部8266と、スイッチ8264と、を有する。本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、照明部8266に用いることができる。本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置を照明部8266に用いることにより、照明部8266の厚さを薄くすることができ、小型にすることができるため、携帯しやすくすることができる。
【0284】
スイッチ8264は、照明部8266の発光または非発光を制御する機能を有する。また、スイッチ8264は、例えば発光時の照明部8266の輝度を調節する機能を有することもできる。
【0285】
図27(E)に示す手持ち型ライトは、スイッチ8264により照明部8266を発光させることにより、周囲を照らすことができるため、周囲の視認性を向上させることができる。また本発明の一態様である製造装置を用いて製造した照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することも可能である。
【0286】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【符号の説明】
【0287】
101 搬送室
103 真空室
107 基板搬送手段
109 搬送室
111 ゲートバルブ
113 ゲートバルブ
115 成膜室
117 成膜室
119A〜119C 成膜室
121A、121B 成膜室
123A〜123D 成膜室
125 成膜室
127 成膜室
129 成膜室
131 成膜室
133 封止室
137 搬送室
139 ゲートバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室と、
前記真空室を減圧あるいは高真空状態とする排気系と、
前記真空室へ基板を搬送する搬送室と、を有し、
前記真空室は、
前記搬送室から搬送された基板上に第1の電極を成膜する成膜室と、
前記第1の電極上に少なくとも発光層を有する第1の発光ユニットを成膜する成膜室と、
前記第1の発光ユニット上に中間層を成膜する成膜室と、
前記中間層上に少なくとも発光層を有する第2の発光ユニットを成膜する成膜室と、
前記第2の発光ユニット上に第2の電極を成膜する成膜室と、
前記第2の電極が設けられた前記基板上に封止膜を成膜する成膜室と、
前記成膜室のそれぞれに前記基板を順次搬送するための基板搬送手段と、を有する照明装置の製造装置。
【請求項2】
真空室と、
前記真空室を減圧あるいは高真空状態とする排気系と、
前記真空室へ基板を搬送する搬送室と、を有し、
前記真空室は、
前記搬送室から搬送された基板上に第1の電極を成膜する成膜室と、
前記第1の電極上に少なくとも発光層を有する第1の発光ユニットを成膜する成膜室と、
前記第1の発光ユニット上に中間層を成膜する成膜室と、
前記中間層上に少なくとも発光層を有する第2の発光ユニットを成膜する成膜室と、
前記第2の発光ユニット上に第2の電極を成膜する成膜室と、
前記第2の電極が設けられた基板を封止部材によって封止する封止室と、
前記成膜室のそれぞれ及び前記封止室に前記基板を順次搬送するための基板搬送手段と、を有する照明装置の製造装置。
【請求項3】
真空室と、
前記真空室を減圧あるいは高真空状態とする排気系と、
前記真空室へ基板を搬送する搬送室と、
前記真空室とゲートバルブを介して接続された封止室と、を有し、
前記真空室は、
前記搬送室から搬送された基板上に第1の電極を成膜する成膜室と、
前記第1の電極上に少なくとも発光層を有する第1の発光ユニットを成膜する成膜室と、
前記第1の発光ユニット上に中間層を成膜する成膜室と、
前記中間層上に少なくとも発光層を有する第2の発光ユニットを成膜する成膜室と、
前記第2の発光ユニット上に第2の電極を成膜する成膜室と、
前記成膜室のそれぞれに前記基板を順次搬送するための基板搬送手段と、を有し、
前記封止室において、前記真空室から搬送された基板を封止部材によって封止する照明装置の製造装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
前記真空室は、前記第2の電極が設けられた基板上に封止膜を成膜する成膜室をさらに有する照明装置の製造装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記真空室は、乾燥剤層を成膜する成膜室をさらに有する照明装置の製造装置。
【請求項6】
基板を真空室内に搬送し、
前記真空室内に配置され、共通の真空度を有する複数の成膜室において、前記基板上に第1の電極、第1の発光ユニット、中間層、第2の発光ユニット、及び第2の電極を有する発光素子と、前記発光素子を封止する封止膜と、を連続的に成膜する照明装置の製造方法。
【請求項7】
基板を真空室内に搬送し、
前記真空室内に配置され、共通の真空度を有する複数の成膜室において、前記基板上に第1の電極、第1の発光ユニット、中間層、第2の発光ユニット、及び第2の電極を有する発光素子を形成し、
前記発光素子を有する前記基板を、前記真空室内に配置され、前記複数の成膜室と共通の真空度を有する封止室へ搬送し、
前記封止室において、前記真空室から搬送された前記発光素子を有する前記基板を封止部材によって封止する照明装置の製造方法。
【請求項8】
基板を真空室内に搬送し、
前記真空室内に配置され、共通の真空度を有する複数の成膜室において、前記基板上に第1の電極、第1の発光ユニット、中間層、第2の発光ユニット、及び第2の電極を有する発光素子を形成し、
前記発光素子を有する前記基板を前記真空室とゲートバルブを介して接続した封止室へ搬送し、
前記封止室において、前記真空室から搬送された前記発光素子を有する前記基板を封止部材によって封止する照明装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一項において、
前記基板として円形の基板を用いる照明装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記基板として、中央部に開口部を有する基板を用いる照明装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−245036(P2010−245036A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60653(P2010−60653)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】