説明

熱伝導性組成物およびその製造方法

【課題】優れた熱伝導性を有する熱伝導性組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】アルコキシシラン、無機粒子および水を含むゾルを調製し、ゾルをゲル化させてゲルを調製し、ゲルを加熱により硬化させるゾル・ゲル法により、熱伝導性組成物を得る。この熱伝導性組成物は、無機粒子が、ポリシロキサンからなるマトリクス中に分散されており、無機粒子とポリシロキサンとが、互いに化学結合されている。そのため、無機粒子間において、それらが有する熱を、ポリシロキサンを介して分散させることができ、優れた熱伝導性を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性組成物およびその製造方法、詳しくは、パワーエレクトロニクス技術分野などに好適に用いられる熱伝導性組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドデバイス、高輝度LEDデバイス、電磁誘導加熱デバイスなどでは、半導体素子により電力を変換・制御するパワーエレクトロニクス技術が採用されている。パワーエレクトロニクス技術では、大電流を運動・光・熱に変換するため、半導体素子を封止保護する封止材には、高い放熱性(熱伝導性)が要求されている。
例えば、高い熱伝導性を確保すべく、ジルコニウムプロポキシドの溶液とジメチルシロキサンの溶液とを混合したゾル液に、アルミナを配合し、このゾル液をシート状に成形して、加熱ゲル化させることにより得られる、熱伝導性シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−81669号公報(実施例1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかるに、特許文献1に記載される熱伝導性シートでは、ジメチルシロキサンのマトリクス中にアルミナが分散されているが、アルミナとジメチルシロキサンとは、化学結合せずに物理的に接触している。そのため、アルミナとジメチルシロキサンとの界面に生じる熱抵抗が大きく、熱伝導性の向上には限界がある。
本発明の目的は、優れた熱伝導性を有する熱伝導性組成物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の熱伝導性組成物は、無機粒子およびアルコキシシランから、ゾル・ゲル法により得られることを特徴としている。
また、本発明の熱伝導性組成物では、前記無機粒子が、炭化物、窒化物、酸化物、金属および炭素系材料からなる群から選択される少なくとも1種の無機材料からなることが好適である。
【0005】
また、本発明の熱伝導性組成物では、前記無機材料として、炭化物と窒化物とを併用することが好適である。
また、本発明の熱伝導性組成物では、前記アルコキシシランが、トリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランであることが好適である。
また、本発明の熱伝導性組成物は、無機粒子、アルコキシシランおよび水を含むゾルを調製し、そのゾルをゲル化させてゲルを調製し、そのゲルを加熱により硬化させることにより得られることが好適である。
【0006】
本発明の熱伝導性組成物は、ポリシロキサンからなるマトリクス中に、無機粒子が分散されており、前記無機粒子と前記ポリシロキサンとが、互いに化学結合されていることを特徴としている。
本発明の熱伝導性組成物の製造方法は、無機粒子、アルコキシシランおよび水を含むゾルを調製する工程と、前記ゾルをゲル化させてゲルを調製する工程と、前記ゲルを加熱により硬化させる工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱伝導性組成物およびその製造方法では、無機粒子が、ポリシロキサンからなるマトリクス中に分散されており、無機粒子とポリシロキサンとが、互いに化学結合されている。そのため、無機粒子間において、それらが有する熱を、ポリシロキサンを介して分散させることができ、優れた熱伝導性を得ることができる。
その結果、この熱伝導性組成物を、パワーエレクトロニクス技術において、半導体素子を封止保護する封止材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の熱伝導性組成物は、無機粒子およびアルコキシシランから、ゾル・ゲル法により得ることができる。
本発明において、無機粒子を形成する無機材料としては、例えば、炭化物、窒化物、酸化物、金属、炭素系材料などが挙げられる。
炭化物としては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化タングステンなどが挙げられる。
【0009】
窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウムなどが挙げられる。
酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化チタン、酸化セリウムなどが挙げられる。さらに、酸化物として、金属イオンがドーピングされている、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズなどが挙げられる。
【0010】
金属としては、例えば、銅、金、ニッケル、錫、鉄、または、それらの合金が挙げられる。
炭素系材料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノホーン、カーボンマイクロコイル、ナノコイルなどが挙げられる。
【0011】
無機材料は、単独使用または2種以上併用することができる。
これら無機材料のうち、好ましくは、炭化物、窒化物、酸化物が挙げられる。
また、無機材料として、好ましくは、炭化物と窒化物とを併用する。具体的には、無機材料として、炭化ケイ素と窒化ホウ素とを併用する。
炭化ケイ素などの炭化物は、高い熱伝導率を有するため、本発明における無機材料として好適である(炭化ケイ素の熱伝導率:200W/m・K)。一方、炭化ケイ素は、非常に硬い無機材料であり、圧力をかけた際に変形しにくい。そのため、無機材料として炭化ケイ素などの炭化物を単独使用すると、圧力をかけて熱伝導性組成物を成形したときに、無機粒子間に空隙が形成され、そのため、より一層優れた熱伝導性を得ることができない場合がある。
【0012】
一方、窒化ホウ素などの窒化物は、圧力をかけた際に変形しやすい無機材料である。そのため、無機材料として、炭化物と、窒化ホウ素などの窒化物とを併用すると、圧力をかけて熱伝導性組成物を成形したときに、無機粒子間の空隙を減少させることができる。そのため、炭化ケイ素と窒化ホウ素との併用は、炭化物の単独使用に比べ、より一層優れた熱伝導性を得ることができる。
【0013】
無機粒子は、上記無機材料からなる粒子としてそのまま得ることができ、あるいは、上記無機材料を、粉砕法などの公知の方法で、粒子に成形することにより、得ることもできる。粒子の形状としては、特に制限されず、例えば、球状(アルミナ、炭化ケイ素など)、板状(窒化ホウ素など)が挙げられる。
粒子の最大長さは、例えば、3〜50000nmであり、とりわけ、球状粒子である場合には、その平均粒子径が、例えば、100〜50000nm、好ましくは、500〜20000nmであり、板状粒子である場合には、その最大長さが、例えば、200〜50000nm、好ましくは、500〜45000nmである。
【0014】
好ましくは、無機粒子として、球状粒子と板状粒子とを併用する。このように併用すれば、熱伝導性組成物中における無機粒子をマトリクス中により均一に充填して、これらをより均一に分散させることができる。なお、球状粒子と板状粒子とを併用する場合には、球状粒子の平均粒子径は、板状粒子の最大長さ100%に対して、例えば、5〜300%、好ましくは、10〜200%である。
【0015】
また、無機粒子として、例えば、最大長さの異なる粒子を併用することもでき、例えば、最大長さ2〜5μmの無機粒子(小粒子)と、最大長さ20〜50μmの無機粒子(大粒子)とを併用することもできる。小粒子と大粒子とを併用する場合には、大粒子の最大長さが、小粒子の最大長さに対して、好ましくは、8倍以上、通常、30倍以下である。
アルコキシシランは、例えば、分子中にアルコキシ基を複数個有するシラン化合物であって、具体的には、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランなどが挙げられる。
【0016】
ジアルコキシシランとしては、例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのグリシドキシアルキル−アルキルジエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノアルキル−アルキルジメトキシシランなどが挙げられる。
トリアルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル−トリアルコキシシラン、例えば、3−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのメタクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシクロアルキルアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシドキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトアルキル−トルアルコキシシラン、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのハロゲノアルキル−トリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0017】
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラiso−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラiso−ブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラtert−ブトキシシランなどが挙げられる。
これらアルコキシシランは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0018】
これらアルコキシシランのうち、好ましくは、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランが挙げられ、さらに好ましくは、トリアルコキシシランが挙げられる。具体的には、グリシドキシアルキル−トリアルコキシシランが挙げられる。
トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランを用いれば、これらの重合により、三次元網目構造としてポリシロキサンを形成でき、ポリシロキサンからなるマトリクスを強固にすることができる。
【0019】
なお、トリアルコキシシランを用いれば、テトラアルコキシシランと比較して、その取扱いが容易である。
そして、上記した無機粒子およびアルコキシシランから、ゾル・ゲル法により本発明の熱伝導性組成物を得る。
ゾル・ゲル法では、具体的には、まず、無機粒子、アルコキシシランおよび水を含むゾルを調製する。
【0020】
ゾルを調製するには、例えば、まず、上記したアルコキシシランに、水および必要により触媒(例えば、酢酸などの有機酸や、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸など)を配合して、アルコキシシランを加水分解して、水溶液を調製し、これに、無機粒子を配合する。なお、水溶液には、均一な水溶液を調製するために、必要により、アルコールを添加することができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコールが挙げられる。また、ゾルは、pHが、例えば、2〜6、好ましくは、3〜5に調整される。
【0021】
ゾルにおける各成分の配合割合は、アルコキシシラン100重量部に対して、水が、例えば、10〜100重量部、好ましくは、10〜80重量部であり、触媒が、例えば、1〜20重量部であり、アルコールが、例えば、50重量部以下、好ましくは、20重量部以下である。
また、無機粒子の配合割合は、アルコキシシラン100重量部に対して、例えば、10〜5000重量部、好ましくは、100〜2000重量部である。また、無機粒子として、球状粒子および板状粒子を併用する場合には、例えば、球状粒子100重量部に対して、板状粒子が、5〜2000重量部であり、好ましくは、30〜300重量部である。
【0022】
次いで、この方法では、得られたゾルをゲル化させてゲルを調製する。
具体的には、まず、ゾルを任意の形状の容器に投入し、その後、例えば、20〜90℃、好ましくは、20〜50℃で、さらに好ましくは、20〜40℃で、例えば、1〜50時間、好ましくは、5〜30時間放置することにより、アルコキシシランを脱水縮合反応させて、ゲル化させる。
【0023】
次いで、この方法では、ゲルを加熱により硬化させる。
具体的には、まず、ゲルを、例えば、50〜90℃、好ましくは、60〜80℃に加熱して、脱水縮合反応により生じたアルコールを揮発させて除去する。アルコールの除去後、ゲルを、例えば、100〜180℃、好ましくは、130〜160℃に加熱して、残存する水を乾燥させて、任意の形状の、熱伝導性組成物からなる成形体(例えば、熱伝導性シートなど)を得る。
【0024】
また、上記したゲルの調製および硬化において、ゾルを加熱プレスすることによって、熱伝導性組成物からなる成形体を得ることもできる。
具体的には、まず、ゾルを任意の形状の容器に投入し、これを、プレス温度が、例えば、100〜180℃、好ましくは、130〜160℃で、プレス圧力が、例えば、100〜500MPa、好ましくは、200〜400MPa、プレス時間が、例えば、5〜30分、好ましくは、10〜15分のプレス条件で、加熱プレスする。
【0025】
この加熱プレスにより、高い密度の熱伝導性組成物からなる成形体を得ることができる。
そして、このようにして得られる本発明の熱伝導性組成物では、無機粒子が、ポリシロキサンからなるマトリクス中に分散されており、無機粒子とポリシロキサンとが、互いに化学結合されている。
【0026】
すなわち、熱伝導性組成物中において、アルコキシシランの重合により、三次元網目構造としてポリシロキサンが形成され、無機粒子が、そのポリシロキサンからなるマトリクス中に分散される。これとともに、無機粒子の表面に存在する水酸基(無機粒子が酸化物からなる場合)、アミノ基(無機粒子が窒化物からなる場合)、カルボキシル基(無機粒子が炭化物からなる場合)などと、ポリシロキサンの末端シロキサン基とが、互いに水素結合される。
【0027】
つまり、無機粒子とポリシロキサンとが、ポリシロキサンのシロキサン結合と、無機粒子およびポリシロキサンの水素結合によって、高い密度で化学結合される。そのため、無機粒子間において、それらが有する熱を、ポリシロキサンを介して均一に分散させることができるので、それらの間に生じる熱抵抗が、大幅に低減される。その結果、優れた熱伝導性を得ることができる。
【0028】
その結果、この熱伝導性組成物を、パワーエレクトロニクス技術において、半導体素子を封止保護する封止材として好適に用いることができる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。
実施例1
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学工業社製)5.0gに、エタノール1.0g、水3.0gおよび酢酸0.1gを配合して、これらを攪拌して混合することにより、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解して、水溶液を得た。次いで、40℃、1日間、予め乾燥させたアルミナ(AS−50、球状粒子、平均粒子径9μm、昭和電工社製)5.0gに、水溶液0.9gを配合して混合してゾルを調製した。
【0030】
次いで、得られたゾルを、直径25mm、深さ20mmの、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の円筒型容器に流し入れた。続いて、これを、25℃、50%RH、12時間放置して、十分に反応(脱水縮合反応)させることにより、ゲルを得た。その後、ゲルを、80℃で、2時間加熱して、アルコールを揮発させて除去し、さらに、130℃で、2時間加熱して、水を除去することにより、厚み0.2mmの平面視円形の熱伝導性シートを得た。
【0031】
実施例2
実施例1において、ゾルの調製において、アルミナ5.0gに代えて、窒化ホウ素(HP−40、板状粒子、最大長さ40μm、水島合金鉄社製)1.77gと、炭化ケイ素(HSC500、球状粒子、平均粒子径17μm、スーペリア・グラファイト社製)1.65gとを併用した以外は、実施例1と同様にして、ゾルを調製し、続いて、ゲルを調製し、加熱することにより、厚み0.5mmの熱伝導性シートを得た。
【0032】
実施例3
実施例1において、ゾルの調製において、アルミナ5.0gに代えて、窒化ホウ素(HP−40、板状粒子、最大長さ40μm、水島合金鉄社製)1.62gと、炭化ケイ素(HSC500、球状粒子、平均粒子径17μm、スーペリア・グラファイト社製)3.38gとを併用した以外は、実施例1と同様にして、ゾルを調製し、続いて、ゲルを調製し、加熱することにより、厚み0.5mmの熱伝導性シートを得た。
【0033】
実施例4
実施例1において、ゾルの調製において、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学工業社製)5.0gに代えて、テトラエトキシシラン(KEB04、信越化学工業社製)4.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゾルを調製し、続いて、ゲルを調製し、加熱することにより、厚み0.4mmの熱伝導性シートを得た。
【0034】
比較例1
特開2005−81669号の実施例1の記載に準拠して、熱伝導性シートを得た。
すなわち、ジルコニウムプロポキシド1molと、アセト酢酸エチル0.5molとを窒素雰囲気下で反応させて、アセト酢酸エチルで化学修飾されたジルコニウムプロポキシドを調製し、これに、加熱処理したジメチルシロキサン(XF3905、重量平均分子量20000、GE東芝シリコーン社製)0.35molを混合しゾルを調製した。
【0035】
次いで、ゾル100gにアルミナ750gを配合し、混練した後に真空押出成形して、熱伝導性シートを得た。なお、アルミナとしては、酸化アルミニウム(AL−30、球状粒子、平均粒子径3000nm、昭和電工社製)と、酸化アルミニウム(AS−10、球状粒子、平均粒子径40000nm、昭和電工社製)とを1:4の質量比で配合したものを用いた。
【0036】
次いで、100℃で2時間、120℃で2時間、150℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間、250℃で2時間、300℃で2時間、順次加熱して硬化させ、厚み0.3mmの熱伝導性シートを得た。
比較例2
硬化剤(酸無水物、MH700、新日本理化社製)33gと、硬化促進剤(2−フェニルイミダゾール、四国化成工業社製)3g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1010、ジャパンエポキシレジン社製)45gおよびビフェニル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)55gに、メチルエチルケトン103gを加えて、各成分を溶解させて、エポキシ樹脂溶液(固形分濃度:57重量%)を調製した。
【0037】
そして、エポキシ樹脂溶液およびアルミナ(AS−50、昭和電工社製)286gをT.Kハイビスミックス(プライミクス社製)に入れ、減圧下で20分間攪拌して、アルミナ含有エポキシ樹脂溶液を得た。次いで、常圧に戻し、アルミナ含有エポキシ樹脂溶液を、銅箔上に塗布して乾燥し、シート形状に成形した。
次いで、ホットプレスにて6.0MPaで加圧しながら、150℃で、20分間加熱し、さらに、160℃で、20分間加熱して硬化させて、厚み0.1mmの熱伝導性シートを得た。
【0038】
なお、得られた熱伝導性シートにおいて、アルミナの体積割合は、約50体積%であった。
(評価)
熱伝導率(放熱性の評価)
実施例1〜4、比較例1および2により得られた熱伝導性シートについて、レーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子およびアルコキシシランから、ゾル・ゲル法により得られることを特徴とする、熱伝導性組成物。
【請求項2】
前記無機粒子が、炭化物、窒化物、酸化物、金属および炭素系材料からなる群から選択される少なくとも1種の無機材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の熱伝導性組成物。
【請求項3】
前記無機材料として、炭化物と窒化物とを併用することを特徴とする、請求項2に記載の熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記アルコキシシランが、トリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
【請求項5】
前記無機粒子、前記アルコキシシランおよび水を含むゾルを調製し、そのゾルをゲル化させてゲルを調製し、そのゲルを加熱により硬化させることにより得られることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
【請求項6】
ポリシロキサンからなるマトリクス中に、無機粒子が分散されており、
前記無機粒子と前記ポリシロキサンとが、互いに化学結合されていることを特徴とする、熱伝導性組成物。
【請求項7】
無機粒子、アルコキシシランおよび水を含むゾルを調製する工程と、
前記ゾルをゲル化させてゲルを調製する工程と、
前記ゲルを加熱により硬化させる工程と
を備えることを特徴とする、熱伝導性組成物の製造方法。

【公開番号】特開2010−116456(P2010−116456A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289600(P2008−289600)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】