説明

熱処理装置

【課題】温度検出手段を反応室の外部に設けたことで、処理ガスが前記温度検出手段に接触し、成膜されるのを防止し、前記温度検出手段の測定値の信頼性及び再現性の向上を図る熱処理装置を提供する。
【解決手段】複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室32を構成する筒状発熱材23と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管21と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部25と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた温度測定用チップ24と、該温度測定用チップの温度を測定する放射温度計42とを具備し、該放射温度計が前記反応管の下端より下方に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の基板に薄膜の生成、不純物の拡散、エッチング等の熱処理を行う熱処理装置、特にSiC(シリコンカーバイド)ウェーハ上にSiC膜を成長させる熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示される様に、従来の熱処理装置では、主に石英からなる反応管79の内部に画成された反応室76に基板保持具であるボート74が収納され、該ボート74に複数の基板(ウェーハ)73が垂直方向に多段に保持されており、該ボート74の周囲を覆う様に設けられた円筒発熱材72が前記反応管79の外にある加熱用コイル77によって所定の温度迄誘導加熱され、成膜処理が行われる様になっている。
この時、前記反応管79や筐体等が前記円筒発熱材72からの輻射熱によって加熱されない様、前記反応管79と前記円筒発熱材72との間に断熱材80が設けられ、該断熱材80は主に石英からなる断熱材ケーシングによって保持されている。尚、前記断熱材80には、高温に耐え、不純物が少ないものとして、一般にはカーボンが使用されることが多い。
【0003】
前記円筒発熱材72の加熱は、該円筒発熱材72内部に設けられた温度検出手段の検出結果に基づいて制御されるものであり、該温度検出手段は、前記反応管79内に立設された制御用TC(Thermo Couple)71や、ウェーハ73、前記円筒発熱材72等からの放射光を検出する放射温度計等78(図9参照)が挙げられる。
従来の熱処理装置に於いて、前記制御用TC71を用いて前記円筒発熱材72の加熱温度の監視や制御を行う場合、前記制御用TC71はウェーハ73や前記ボート74、ガス供給ノズル75と同様、前記円筒発熱材72の内部に設けられ、モリブデンやタンタル等の高融点金属や、サファイヤによって形成された保護管により保護される様になっている。
【0004】
成膜処理時には、前記制御用TC71が反応室76内の温度を検出し、検出結果が図示しない温度制御部にフィードバックされ、該温度制御部が前記制御用TC71の検出結果に基づいて加熱用コイル77に対して電流を印加する様になっている。
然し乍ら、前記保護管は高温場では水素によりエッチングされる為、エッチングされた前記保護管の構成物質がウェーハ73内に取込まれ、ウェーハ73が汚染される虞れがある。又、前記保護管にSiC膜が成膜されることで、前記制御用TC71によって検出される温度が経時変化してしまうという問題があった。
【0005】
又、図9に示される様に、放射温度計78を用いて前記円筒発熱材72の加熱温度の監視や制御を行う場合、1個又は複数個の前記放射温度計78が反応管79外に設けられ、断熱材80の前記放射温度計78と対向する箇所に孔81が穿設されている。
成膜処理時には前記断熱材80に穿設した前記孔81を通り、断熱材ケーシング82及び前記反応管79を透過した前記円筒発熱材72外周部からの放射光が前記放射温度計78によって検出され、検出結果に基づいて前記反応室76への加熱、維持、冷却の温度監視及び制御が行われる。
【0006】
然し乍ら、前記放射温度計78によって前記円筒発熱材72の放射光を検出する為に穿設した前記孔81により、部分的に断熱効果が低下し、前記円筒発熱材72表面及び前記反応室76内の温度分布が悪化することで、前記ボート74に保持されたウェーハ73への処理の均一性を損うと共に、前記円筒発熱材72からの放射熱により前記断熱材ケーシング82及び前記反応管79の温度が石英耐熱温度を超え、前記断熱材ケーシング82及び前記反応管79が破損する虞れがあった。
又、前記断熱材80に前記孔81を穿設して直接前記円筒発熱材72の温度を測定する場合には、前記放射温度計78が検出する放射光は前記断熱材ケーシング82と前記反応管79を2重に透過する為、石英による屈折が発生し、正確な温度測定が困難であった。
【0007】
又、前記放射温度計78を用いて前記反応室76内やウェーハ73の温度を直接測定する場合もあり、その場合には前記放射温度計78が放射光を透過させる石英材であるビューポートがプロセスガスやクリーンガスと直接接触する構造となる為、前記ビューポートに経時的に副生成物が付着し、正確な温度測定が困難であるという問題があった。
尚、処理室内壁の温度分布を詳細に測定した結果に基づいてウェーハの温度を計算で予測し、それを最適にするヒータ設定温度を解析的に求め、温度制御を行う半導体熱処理装置として、特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−267200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み、温度検出手段を反応室の外部に設けたことで、処理ガスが前記温度検出手段に接触し、成膜されるのを防止し、前記温度検出手段の測定値の信頼性及び再現性の向上を図る熱処理装置を提供するものである。
又本発明は斯かる実情に鑑み、断熱材に孔を穿設することにより生じる反応室内の温度分布の悪化及び前記孔からの放射熱による石英材への影響を防止すると共に、測定誤差のない安定した温度制御を可能とした熱処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた温度測定用チップと、該温度測定用チップの温度を測定する放射温度計とを具備し、該放射温度計が前記反応管の下端より下方に配置される熱処理装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記温度測定用チップと前記放射温度計との間に、前記温度測定用チップからの放射光の光路を囲む様に筒状の保護管が設けられた熱処理装置に係り、又前記温度測定用チップが前記保護管の上端に固定された熱処理装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた熱電対と、該熱電対を保護する保護管と、前記筒状発熱材を加熱する為に高周波電流が印加される加熱用コイルとを具備し、前記保護管は前記筒状発熱材よりも抵抗が高く、前記加熱用コイルにより誘導加熱され難い部材で構成された熱処理装置に係るものである。
【0013】
更に又本発明は、前記保護管はサファイヤで形成された熱処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた温度測定用チップと、該温度測定用チップの温度を測定する放射温度計とを具備し、該放射温度計が前記反応管の下端より下方に配置されるので、前記放射温度計が処理ガスに接触して副生成物が前記放射温度計に付着することによる測定値の経時変化を防止できると共に、前記筒状発熱体の温度を前記筒状断熱部に孔を穿設することなく測定でき、該円筒発熱材の温度分布の悪化を防止し、該円筒発熱材の放熱による前記反応管への影響を防止することができる。
【0015】
又本発明によれば、前記温度測定用チップと前記放射温度計との間に、前記温度測定用チップからの放射光の光路を囲む様に筒状の保護管が設けられたので、前記温度測定用チップから放射される放射光の光路にガスやパーティクルが浸入し、放射光が遮断、偏光されることによる測定誤差の発生や測定温度のふらつきを防止することができる。
【0016】
又本発明によれば、前記温度測定用チップが前記保護管の上端に固定されたので、前記温度測定用チップと前記保護管とを一体成形できると共に、前記温度測定用チップと前記保護管との間の空間を完全に閉塞でき、コストの削減を図ると共に、ガスやパーティクルが放射光の光路に浸入するのをより効果的に防止できる。
【0017】
又本発明によれば、複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた熱電対と、該熱電対を保護する保護管と、前記筒状発熱材を加熱する為に高周波電流が印加される加熱用コイルとを具備し、前記保護管は前記筒状発熱材よりも抵抗が高く、前記加熱用コイルにより誘導加熱され難い部材で構成されたので、処理ガスにより前記保護管がエッチングされ、基板を汚染するのを防止でき、又前記熱電対に処理ガスの副生成物が付着することで測定値が経時変化するのを防止できることから、前記熱電対による測定値の信頼性及び再現性を向上させることができると共に、前記保護管が誘導加熱されることによる前記熱電対の誤作動を防止することができる。
【0018】
更に又本発明によれば、前記保護管はサファイヤで形成されたので、該保護管の誘導加熱をより抑制でき、前記熱電対の誤作動をより効果的に防止できるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に於ける熱処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例に於ける熱処理装置の処理炉を示す立断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に於ける処理炉の要部拡大立断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例に於ける処理炉及びその周辺の構成を示す概略立断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例に於ける処理炉の要部拡大立断面図である。
【図6】本発明の第3の実施例に於ける処理炉であり、(A)は反応管及び円筒発熱材の概略斜視図を示し、(B)は(A)のA−A矢視図を示している。
【図7】本発明の第7の実施例に於ける処理炉であり、(A)は処理炉の概略立断面図を示し、(B)は(A)のB−B矢視図を示している。
【図8】従来の処理炉であり、(A)は制御用TCを用いた処理炉の概略立断面図を示し、(B)は(A)のC−C矢視図を示している。
【図9】従来の処理炉であり、(A)は放射温度計を用いた処理炉の概略立断面図を示し、(B)は(A)のD−D矢視図を示している。
【図10】本発明の第4の実施例に於ける処理炉であり、(A)は反応管及び円筒発熱材の概略斜視図を示し、(B)は(A)のE−E矢視図を示している。
【図11】(A)〜(D)は、それぞれ本発明の第4の実施例に於ける温度測定用チップの取付け方法を説明する説明図である。
【図12】本発明の第5の実施例に於ける処理炉の要部拡大立断面図である。
【図13】本発明の第5の実施例に於ける処理炉であり、(A)は反応管及び円筒発熱材の概略斜視図を示し、(B)は(A)のF−F矢視図を示している。
【図14】本発明の第6の実施例に於ける処理炉であり、(A)は反応管及び円筒発熱材の概略斜視図を示し、(B)は(A)のG−G矢視図を示している。
【図15】(A)、(B)は、それぞれ本発明の第6の実施例に於ける保護管の変形例を示す正面図である。
【図16】本発明の第7の実施例に於ける処理炉であり、(A)は処理炉の要部拡大図、(B)は(A)の部分拡大図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
先ず、図1に於いて、本発明が実施される熱処理装置の一例を説明する。
本発明に係る熱処理装置1では、SiC(シリコンカーバイド)基板であるウェーハ6は基板収納容器としてのカセット2に収納され、搬入出される。
前記熱処理装置1は、筐体3を備え、該筐体3の正面壁にはカセット搬入搬出口4がフロントシャッタ(図示せず)によって開閉される様設けられている。前記筐体3の内部に、前記カセット搬入搬出口4に隣接してカセットステージ5が設けられている。
【0021】
カセット2は前記カセットステージ5上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、又、前記カセットステージ5上から搬出される様になっている。
該カセットステージ5は、工程内搬送装置によって、カセット2内のウェーハ6が垂直姿勢となり、カセット2のウェーハ出入り口が上方向を向く様に載置され、前記カセットステージ5は、カセット2のウェーハ出入り口が筐体3後方を向く様に回転する。
前記筐体3内の前後方向の略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)7が設置されており、該カセット棚7は複数段複数列にて各複数個のカセット2を保管する様に構成されている。前記カセット棚7にはウェーハ移載装置8の搬送対象となるカセット2が収納される移載棚9が設けられている。又、前記カセットステージ5の上方には予備カセット棚11が設けられ、予備的にカセット2を保管する様に構成されている。
【0022】
前記カセットステージ5と前記カセット棚7との間には、カセット搬送装置12が設置されている。該カセット搬送装置12は、カセット2を前記カセットステージ5、前記カセット棚7、前記予備カセット棚11との間で搬送する様に構成されている。
前記筐体3の後部上方には、処理炉14が設けられ、該処理炉14の下端開口部(炉口部)は、炉口シャッタ15により開閉される様に構成されている。
前記処理炉14の下方にはボート13を昇降し、前記処理炉14に装入、引出しする昇降機構としてのボートエレベータ16が設けられている。該ボートエレベータ16は昇降アーム17を具備し、該昇降アーム17には蓋体としてのシールキャップ18が水平に設けられており、該シールキャップ18は前記ボート13を垂直に支持し、前記炉口部を開閉する様に構成されている。
前記カセット棚7の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するクリーンユニット19が設けられ、該クリーンユニット19はクリーンエアを前記筐体3の内部に流通させる様になっている。
【0023】
次に、本発明の熱処理装置1の作動について説明する。
前記カセット搬入搬出口4が開放され、カセット2がカセットステージ5に供給される。その後、前記カセット2は前記カセット搬入搬出口4から搬入され、前記カセット搬送装置12によって前記カセット棚7又は前記予備カセット棚11に搬送され、一時的に保管された後、前記カセット棚7又は前記予備カセット棚11から前記カセット搬送装置12によって前記移載棚9に移載されるか、若しくは該移載棚9に直接搬送される。
前記カセット2が前記移載棚9に移載されると、ウェーハ6は前記ウェーハ移載装置8によって前記カセット2から降下した状態の前記ボート13に装填される。
予め指定された枚数の未処理ウェーハ6が前記ボート13に装填されると、前記炉口シャッタ15によって閉じられていた前記処理炉14の下端部が、前記炉口シャッタ15によって開放され、前記ボート13が前記処理炉14内に装入され、ウェーハ6に所定の処理が行われる。続いて、前記ボート13が降下され、前記ウェーハ移載装置8により処理済ウェーハ6が前記カセット2に移載され、処理済ウェーハ6が装填された前記カセット2は前記筐体3の外部へ払出される。
【0024】
次に、図2、図3に於いて、本発明の第1の実施例に於ける処理炉14の詳細について説明する。
SiC(シリコンカーバイド)基板であるウェーハ6を処理する反応管21が設けられ、該反応管21の下端には、例えばステンレス製であり、上端と下端にそれぞれ上部フランジ22aと下部フランジ22bが形成された円筒形状のインレットフランジ22が気密に設けられ、該インレットフランジ22の下端開口は炉口部を形成し、該炉口部は前記炉口シャッタ15、前記シールキャップ18のいずれかによって択一的に閉塞される。
前記反応管21内には、前記ボート13装入時に該ボート13を覆う様、有天筒状の円筒発熱材23が前記インレットフランジ22に立設され、前記円筒発熱材23の外周面には、矩形形状で該円筒発熱材23と同材質の温度測定用チップ24が突設されている。
【0025】
又、前記円筒発熱材23と前記反応管21との間には、前記円筒発熱材23を覆う様、有天筒状の断熱部25が前記インレットフランジ22に立設されている。前記断熱部25は、内層側に設けられたカーボンフェルト等からなる断熱材26と、外層側に設けられた断熱材ケーシング27とが一体化された2重構造となっている。
前記反応管21上部の外側には、該反応管21の周囲を囲む様に加熱用コイル28が設けられ、該加熱用コイル28は図示しない温度制御部と電気的に接続され、該温度制御部により前記加熱用コイル28による加熱が制御される。又、該加熱用コイル28は、例えば絶縁体であるアルミナ等のセラミック材からなる支持柱29によって支持され、該支持柱29は前記反応管21を冷却する水冷壁や電磁波及び熱の外部への漏洩を防止する筐体カバー等の外壁31によって覆われており、前記支持柱29及び前記外壁31はヒータベース20によって支持されている。
【0026】
又、少なくとも、前記円筒発熱材23、前記インレットフランジ22及び前記シールキャップ18により反応室32が画成される。
前記ボート13が前記反応室32に装入された状態では、前記加熱用コイル28と対向する位置にウェーハ6が装填され、該ウェーハ6よりも下方には断熱板33が装填されており、前記反応管21と前記インレットフランジ22、該インレットフランジ22と前記シールキャップ18の接続部等に設けられたシール部材(図示せず)の温度上昇が抑制される様になっている。
又、前記シールキャップ18はボート回転機構34によって支持されており、該ボート回転機構34が回転することで、前記ボート13が回転される。
【0027】
又、前記インレットフランジ22の周面には、図示しないガス供給管と接続された処理ガス供給ノズル35が貫通し、ガス排気口36が形成されている。又、前記インレットフランジ22の上部フランジ22aには、図示しないパージガス供給管及びパージガス供給源と接続されたパージガス供給ノズル37が貫通すると共に、前記温度測定用チップ24と対向する位置に孔が穿設され、該孔を埋める様に石英製のビューポート38が設けられている。又、前記上部フランジ22aの後述する第1パージガス供給ノズル37aと対向する位置には第1パージガス排気口40aが穿設されると共に、後述する第2パージガス供給ノズル37bと対向する位置には第2パージガス排気口40bが穿設されている。
【0028】
図示しない処理ガス供給管及び処理ガス供給源と接続された前記処理ガス供給ノズル35は、周面から前記インレットフランジ22を貫通し、前記円筒発熱材23の壁面に沿って鉛直方向に延出しており、鉛直部に所定間隔で複数穿設された図示しない処理ガス供給孔よりプロセスガス及びクリーンガスを前記反応室32内に供給する様になっている。
又、前記ガス排気口36はガスクーラ39と接続され、該ガスクーラ39は図示しない真空ポンプ等の排気装置に接続されており、前記反応室32内で1500℃〜1800℃程度迄加熱されたガスは、前記ガスクーラ39によって冷却され、排気装置より排出される様になっている。
【0029】
前記パージガス供給ノズル37は、前記上部フランジ22aの下方で2股に分岐しており、一方が該上部フランジ22aを貫通し、前記反応管21と前記断熱材ケーシング27の間から鉛直方向に延出する前記第1パージガス供給ノズル37aであり、該第1パージガス供給ノズル37aから供給されるアルゴン等の不活性ガスであるパージガスによって、前記反応管21と前記断熱材ケーシング27との間の雰囲気がパージされる様になっている。又、他方が上部フランジ22aを貫通し、前記円筒発熱材23と前記断熱材26の間から鉛直方向に延出する前記第2パージガス供給ノズル37bであり、該第2パージガス供給ノズル37bから供給されるパージガスによって、前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の雰囲気がパージされる様になっている。尚、前記第2パージガス供給ノズル37bは前記温度測定用チップ24と干渉しない様に設けられている。
【0030】
又、放射光反射ミラー41と温度検出手段である放射温度計42が上部フランジ22aと前記下部フランジ22bとの間の空間に設けられている。前記放射光反射ミラー41は前記ビューポート38を介して前記温度測定用チップ24と対向する位置であり、前記放射温度計42は前記温度測定用チップ24から放出され、前記放射光反射ミラー41によって反射された赤外光等の放射光30を受光することで、該放射光30により前記温度測定用チップ24の温度を測定し、図示しない温度制御部に測定結果をフィードバックできる様になっている。
又、該温度測定用チップ24と前記円筒発熱材23は同材質であり、前記温度測定用チップ24は前記円筒発熱材23より突設されていることから、前記温度測定用チップ24は前記円筒発熱材23と同様に加熱され、前記温度測定用チップ24の温度は前記円筒発熱材23の温度と等しくなり、前記温度測定用チップ24の温度を測定することで前記円筒発熱材23の温度の正確な測定が可能となる。
【0031】
成膜処理を行う際には、先ず所定枚数のウェーハ6及び断熱板33が装填された前記ボート13が前記反応室32に装入される。
次に、図示しない処理ガス供給源より、前記処理ガス供給ノズル35を介して前記反応室32にモノシランやプロパン等の処理ガスが導入されると共に、前記加熱用コイル28に、例えば30kHzの高周波電流を印加する。該加熱用コイル28に高周波電流を印加することで交番磁場を発生させ、該交番磁場により前記円筒発熱材23に誘導電流が生じ、該誘導電流によって前記円筒発熱材23に過電流が流れ、該円筒発熱材23がジュール熱によって加熱され、前記温度測定用チップ24も前記円筒発熱材23と同様に加熱される。
【0032】
又、処理ガスの導入処理と並行して、図示しないパージガス供給源より、前記第1パージガス供給ノズル37aを介して前記反応管21と前記断熱材ケーシング27との間の空間にパージガスが供給されると共に、前記第2パージガス供給ノズル37bを介して前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間にパージガスが導入される。
前記円筒発熱材23が加熱されることにより、該円筒発熱材23に覆われた前記ボート13及びウェーハ6が前記円筒発熱材23からの輻射熱によって所定の温度迄加熱され、活性化した前記処理ガスによりウェーハ6上にSiC結晶膜が成膜される。成膜処理が終了すると、前記第1パージガス供給ノズル37aより導入されたパージガスが前記第1パージガス排気口40aから排気され、前記第2パージガス供給ノズル37bより導入されたパージガスが前記第2パージガス排気口40bから排気されると共に、前記反応室32内の処理ガスが前記ガス排気口36からそれぞれ図示しない排気装置によって排気され、前記ボート13が前記反応室32から装脱される。
【0033】
上記処理中、前記温度測定用チップ24より放出された放射光30が前記ビューポート38を透過し、前記放射光反射ミラー41で反射されて前記放射温度計42に入光する。該放射温度計42が放射光30を検出することで前記円筒発熱材23の温度が常時測定されており、測定結果は図示しない温度制御部にフィードバックされ、該温度制御部はフィードバックされた測定結果に基づいて前記加熱用コイル28に高周波電流を印加し、前記円筒発熱材23の温度を制御している。
又、前記断熱部25が加熱された前記円筒発熱材23からの輻射熱を遮り、前記反応管21及び前記外壁31等への熱伝達を抑制すると共に、前記断熱板33がウェーハ6や前記ボート13等からの輻射熱を遮り、前記インレットフランジ22や前記ビューポート38等への熱伝達を抑制している。
【0034】
従って、該ビューポート38、前記放射光反射ミラー41、前記放射温度計42が設けられた前記インレットフランジ22及び該インレットフランジ22近傍は、前記加熱用コイル28によるウェーハ6の加熱位置から離れていると共に、前記断熱板33により輻射熱が遮断されているので、前記インレットフランジ22及び該インレットフランジ22近傍は200℃〜300℃程度と石英耐熱温度(1200℃)よりも充分低くなり、前記ビューポート38、前記放射光反射ミラー41、前記放射温度計42が熱により破損することがない。
又、前記ビューポート38を前記インレットフランジ22に設け、前記温度測定用チップ24から放出された放射光30は前記ビューポート38を透過し、前記放射光反射ミラー41で反射され、前記放射温度計42に入光される様にしたので、前記円筒発熱材23の温度を測定する為に前記断熱材26に孔を穿設する必要がなく、前記反応室32内の温度分布を良好に保つことができると共に、前記孔からの放射熱により前記反応管21や前記断熱材ケーシング27が石英耐熱温度(1200℃)以上となり、破損するのを防止することができる。
【0035】
又、前記放射温度計42により前記反応管21の下端よりも下方から放射光30を測定するので、放射光30は前記ビューポート38を透過するのみであり、前記断熱材ケーシング27、前記反応管21と2重に石英を透過させる必要がなく、放射光30の屈折等を抑制して安定した温度測定及び温度制御が可能となる。
又、放射光30を反射する前記放射光反射ミラー41を設けたことで、前記放射温度計42で放射光30を直接検出する必要がなくなり、前記放射温度計42の設置場所を自在に選択することができるので、前記温度測定用チップ24と対向する位置に前記放射温度計42を設置するのが困難である場合でも容易に適用することができる。
更に、前記ビューポート38は前記円筒発熱材23の外側、即ち前記反応室32の外に設けられると共に、前記ビューポート38が設けられた前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間をパージガスによりパージする様にしたので、前記ビューポート38に処理ガスが接触し、該ビューポート38に副生成物が付着することにより発生する該ビューポート38の透明度の悪化を防止し、前記放射温度計42による測定値の信頼性及び再現性を大きく向上させることができる。
【0036】
次に、図4、図5に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図4、図5中、図1〜図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
図4は、処理炉14及びその周辺部を示し、図5は反応室32下部の拡大図を示している。気密な予備室43上に前記処理炉14が立設され、前記予備室43と前記処理炉14とは炉口部44と同心に円筒発熱材23、断熱部25、加熱用コイル28(図2参照)等から構成される加熱機構46が設けられ、前記円筒発熱材23には同材質で矩形の温度測定用チップ24が外周面に突設されている。
【0037】
前記炉口部44と同心に、インレットフランジ45が前記予備室43に立設され、該インレットフランジ45は上端と下端にそれぞれ外周方向に延出する上部フランジ45aと下部フランジ45bが形成されると共に、中途部には内周方向に延出する中途部フランジ45cが形成されている。
該中途部フランジ45cには、前記円筒発熱材23及び前記断熱部25が立設され、前記円筒発熱材23及び前記断熱部25との間であり、前記温度測定用チップ24と対向する位置には、放射光透過孔47が穿設されている。
【0038】
又、該放射光透過孔47の近傍で、前記中途部フランジ45cの上方には排気口48が形成され、前記円筒発熱材23及び前記断熱部25には、前記排気口48と連通する様孔が穿設されている。
尚、中途部フランジ45cにより開口部49が形成され、前記ボート13装入時には、前記開口部49が、前記ボート13の底板13aにより略真空に閉塞される様になっている。
【0039】
又、前記反応管21と断熱材ケーシング27との間の空間にパージガスを導入する第1パージガス供給ノズル37aは、前記インレットフランジ45の上部フランジ45aを貫通して設けられ、前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間にパージガスを導入する第2パージガス供給ノズル37bは、前記インレットフランジ45を水平方向に貫通すると共に、前記反応室32内で垂直方向に屈曲し、前記中途部フランジ45cを貫通して設けられている。
前記炉口部44の下方には、昇降部51が配置され、該昇降部51の上面には前記炉口部44を気密に閉塞するシールキャップ18が設けられ、該シールキャップ18の前記放射光透過孔47と対向する位置には孔が穿設されており、該孔が石英で埋められ、ビューポート52を形成している。
【0040】
前記昇降部51は気密な中空構造であり、内部にはボート回転機構34が設けられると共に、前記ビューポート52と対向する位置に温度検出手段である放射温度計42が設けられており、該放射温度計42にはファイバーケーブル54が接続され、該ファイバーケーブル54は昇降部51内及び後述する昇降シャフト57内を通り、図示しない温度制御部と接続されている。尚、前記昇降部51上面の前記ビューポート52と対向する位置には孔50が穿設され、該孔50は前記ビューポート52を透過する放射光30を遮らない様になっている。
又、前記予備室43の側方には、ボートエレベータ16が取付けられている。該ボートエレベータ16はボール螺子53を有し、昇降台55が前記ボール螺子53に回転自在に螺合している。該ボール螺子53の上端には昇降モータ56が連結され、該昇降モータ56の駆動により前記ボール螺子53が回転される。
【0041】
前記昇降台55には中空の昇降シャフト57が垂設され、前記昇降台55と前記昇降シャフト57の連結部は気密となっている。該昇降シャフト57は前記昇降台55と共に昇降する様になっており、前記昇降シャフト57は前記予備室43の天板58を遊貫し、該天板58の貫通孔は前記昇降シャフト57と接触しない様になっている。
前記予備室43と前記昇降台55との間には、前記昇降シャフト57の周囲を覆う様に伸縮性を有するベローズ59が設けられ、該ベローズ59は前記予備室43を気密に保ち、伸縮した際には前記昇降シャフト57と接触しない様になっている。
成膜処理を行う際には、先ず所定枚数のウェーハ6及び断熱板33(図2参照)が装填された前記ボート13を前記反応室32に装入し、処理ガスを前記反応室32内に導入し、前記加熱用コイル28に高周波電流を印加すると共に、パージガスを前記反応管21と前記断熱材ケーシング27との間の空間及び前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間に導入する。
【0042】
前記円筒発熱材23が加熱されることにより、前記ボート13及びウェーハ6が加熱され、ウェーハ6上にSiC結晶膜が成膜され、成膜処理が終了すると、処理ガス及びパージガスが排気され、前記ボート13が前記反応室32から装脱される。
尚、パージガス排気口は第1の実施例に於けるパージガス排気口40(図2参照)の様に前記インレットフランジ45の上部フランジ45aに形成してもよいし、前記排気口48を設ける際に前記反応室32と前記排気口48を連通させる為に、前記円筒発熱材23と前記断熱部25に穿設した孔をパージガス排気口として使用してもよい。
【0043】
上記処理中、前記温度測定用チップ24より放出された放射光30が前記放射光透過孔47及び前記ビューポート52を透過し、前記放射温度計42に入光する。該放射温度計42が放射光30を検出することで前記円筒発熱材23の温度が常時測定されており、測定結果は前記ファイバーケーブル54を介して図示しない温度制御部にフィードバックされ、該温度制御部はフィードバックされた測定結果に基づいて前記加熱用コイル28に高周波電流を印加し、前記円筒発熱材23の加熱を制御している。
又、前記断熱部25が加熱された前記円筒発熱材23からの輻射熱を遮り、前記反応管21及び前記外壁31(図2参照)等への熱伝達を抑制すると共に、前記断熱板33(図2参照)がウェーハ6や前記ボート13等からの輻射熱を遮り、前記インレットフランジ45や前記シールキャップ18、前記ビューポート52等、前記反応室32の下方への熱伝達を抑制している。
【0044】
前記ビューポート52が設けられた前記シールキャップ18は、前記加熱用コイル28によるウェーハ6の加熱位置から離れていると共に、前記断熱板33(図2参照)により輻射熱が遮断されているので、前記ビューポート52の温度は200℃〜300℃程度と石英耐熱温度(1200℃)よりも充分低くなり、該ビューポート52が熱により破損することがない。
更に、前記放射温度計42及び該放射温度計42に接続された前記ファイバーケーブル54を前記シールキャップ18下方の前記昇降部51内に設けたことで、前記反応室32内の熱を前記シールキャップ18及び昇降部51によって遮ることができるので、前記放射温度計42に接続された前記ファイバーケーブル54の様に、耐熱温度が低くても前記放射温度計42による測定が可能となる。
【0045】
又、前記ビューポート52を前記シールキャップ18に設け、前記温度測定用チップ24から放射された放射光30が前記ビューポート52を透過して前記放射温度計42に入光される様にしたので、前記円筒発熱材23の温度を測定する為に前記断熱材26に孔を穿設する必要がなく、前記反応室32内の温度分布を良好に保つことができると共に、前記温度測定用の孔からの放射熱により前記反応管21や前記断熱材ケーシング27が石英耐熱温度(1200℃)以上となり、焼損するのを防止することができる。
又、前記円筒発熱材23及び前記断熱部25が立設される前記中途部フランジ45cを形成し、該中途部フランジ45cには前記放射光透過孔47を穿設するだけの構造としたので、放射光30が透過する石英材は前記ビューポート52のみとなり、前記断熱材ケーシング27、前記反応管21と2重に石英を透過させる必要がなくなり、放射光30の屈折等を抑制し、安定した温度測定及び温度制御が可能となる。
【0046】
更に、前記放射光透過孔47の近傍で、前記中途部フランジ45cよりも上方に前記排気口48を設け、成膜処理時には前記開口部49が前記ボート13の底板13aにより略閉塞されるので、前記中途部フランジ45cよりも下方の空間が略真空状態となり、前記ビューポート52に処理ガスが接触することがなくなる。従って、該ビューポート52上にSiC膜が成膜することが抑制され、SiC膜による前記ビューポート52の透明度の悪化が防止され、測定結果が経時変化することがなくなり、前記放射温度計42の測定値の信頼性及び再現性を大幅に向上させることができる。
【0047】
次に、図6に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図6中、図1〜図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
第1の実施例及び第2の実施例では、円筒発熱材23の外周面に温度測定用チップ24を1つ突設し、該温度測定用チップ24から放出された放射光30を放射温度計42によって検出し、円筒発熱材23の温度を測定していたが、第3の実施例では、前記温度測定用チップ24を異なる位置に複数設け、該温度測定用チップ24の温度をそれぞれ測定することで、前記円筒発熱材23の温度分布が測定できる様にしている。
該円筒発熱材23の外周面には、該円筒発熱材23と同材質で矩形の前記温度測定用チップ24が複数(図示では4つ)突設されている。該温度測定用チップ24a〜24dは、それぞれ異なる高さに設けられ、又周方向に異なる位置に設けられ、該温度測定用チップ24a〜24d同士が鉛直方向で重ならない様になっている。
【0048】
該温度測定用チップ24a〜24dの図示しないビューポートと対向する位置には、それぞれ温度検出手段である放射温度計42a〜42dが設けられており、前記温度測定用チップ24a〜24dから放出された放射光30a〜30dを検出し、前記円筒発熱材23の温度が測定可能となっている。
成膜処理を行う際には、加熱用コイル28(図2参照)に高周波電流が印加され、前記円筒発熱材23が加熱され、成膜処理中、該円筒発熱材23の温度は前記温度測定用チップ24a〜24dを介して前記放射温度計42a〜42dにより常時測定されており、該放射温度計42a〜42dは測定結果を図示しない温度制御部にフィードバックし、該温度制御部はフィードバックされた測定結果に従って前記加熱用コイル28に印加する高周波電流を調整している。
【0049】
この時、前記温度測定用チップ24a〜24dは、それぞれ異なる高さに設けられており、前記放射温度計42a〜42dに測定される前記円筒発熱材23の温度は、前記温度測定用チップ24a〜24dが設けられた高さの温度となるので、前記放射温度計42a〜42dの測定結果を合わせることで前記円筒発熱材23の高さ方向の温度分布を得ることができ、得られた温度分布を基に前記加熱用コイル28に印加される高周波電流を調整することで、前記円筒発熱材23のより精密な制御が可能となる。
尚、第3の実施例では、第2の実施例と同様に前記温度測定用チップ24a〜24dから放出される放射光30a〜30dが、直接前記放射温度計42a〜42dに入光される構成としたが、第1の実施例と同様、前記温度測定用チップ24a〜24dと対向する位置に放射光反射ミラーをそれぞれ設け、該放射光反射ミラーにより反射された放射光30a〜30dが前記放射温度計42a〜42dに入光される構成としてもよいことは言う迄もない。
【0050】
又、第3の実施例では、4つの前記温度測定用チップ24a〜24d及び前記放射温度計42a〜42dを設けた場合について説明したが、設ける前記温度測定用チップ24及び前記放射温度計42は4つである必要はなく、更に多くの前記温度測定用チップ24及び前記放射温度計42を設けることで、前記円筒発熱材23のより詳細な温度分布を得ることができ、より精密な加熱制御が可能となる。
【0051】
次に、図10、図11に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、図10、図11中、図6中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
第3の実施例では、円筒発熱材23の外周面に該円筒発熱材23と同材質で矩形の温度測定用チップ24a〜24dを設けていたが、第4の実施例では該温度測定用チップ24a〜24dが断熱部25の内周面の、異なる高さ、又周方向に異なる位置に設けられており、前記温度測定用チップ24a〜24d同士が鉛直方向で重ならず、又前記円筒発熱材23と接触しない様になっている。
【0053】
前記温度測定用チップ24a〜24dの前記断熱部25への取付け方法としては、図11(A)に示される様に、前記温度測定用チップ24に突起91を設け、該突起91を挿入可能な孔92を前記断熱部25に穿設し、前記孔92に前記突起91を挿入することで前記温度測定用チップ24を前記断熱部25に取付けてもよく、又図11(B)に示される様に、前記温度測定用チップ24に垂直方向に貫通する孔93が穿設された凸部94を形成し、該凸部94が貫通可能な孔95を前記断熱部25に穿設し、前記孔95に前記凸部94を挿入した状態で、前記孔93にピン96を挿入することで前記温度測定用チップ24を固定してもよい。
【0054】
又、図11(C)に示される様に、該温度測定用チップ24の端面にカーボン接着剤等耐熱性を有する接着剤97を塗布し、該接着剤97により前記温度測定用チップ24を前記断熱部25の内周面に貼付けてもよく、更に図11(D)に示される様に、前記温度測定用チップ24に孔98,98を穿設し、前記断熱部25に孔99,99を穿設し、前記孔98,98及び前記孔99,99にカーボン糸101を挿通し、前記温度測定用チップ24を前記断熱部25に縫付けることで固定してもよい。
【0055】
第1の実施例〜第3の実施例では、前記温度測定用チップ24を前記円筒発熱材23に直接設けており、前記温度測定用チップ24を設けている箇所の前記円筒発熱材23の断面積が大きくなる為、抵抗が下がり、加熱温度が低くなる虞れがある。一方第4の実施例では、前記温度測定用チップ24を前記断熱部25の内周面に設けており、又前記温度測定用チップ24が前記円筒発熱材23と接触しない様になっているので、該円筒発熱材23の断面積は全長に亘って一様となり、該円筒発熱材23による加熱の安定性を保つことができる。
【0056】
又、前記温度測定用チップ24を前記断熱部25の内周面に設けているので、前記温度測定用チップ24を前記断熱部25により断熱されることなく前記円筒発熱材23と同等迄加熱することができ、放射温度計42による正確な温度測定が可能となる。
【0057】
更に、第3の実施例と同様、前記温度測定用チップ24a〜24dと対向する位置に放射光反射ミラーをそれぞれ設け、該放射光反射ミラーにより反射された放射光30a〜30dが前記放射温度計42a〜42dに入光される構成としてもよく、又更に多くの前記温度測定用チップ24及び前記放射温度計42を設けることでより詳細な温度分布を得られる様にしてもよいのは言う迄もない。
【0058】
次に、図12、図13に於いて、本発明の第5の実施例について説明する。尚、図12、図13中、図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
第5の実施例では、温度測定用チップ24とビューポート38との間の空間に、例えばカーボンやサファイヤからなる保護管102を設けている。
【0060】
該保護管102は円筒形状であり、前記温度測定用チップ24より放射される放射光30が前記保護管102内部を通過する様になっている。又、該保護管102の内径は放射温度計42により計測される放射光30のスポット径(例えば、10〜20mm)よりも大きく(例えば、30〜50mm)なっており、前記保護管102の上端と前記温度測定用チップ24、及び前記保護管102の下端と前記ビューポート38とは略密接する様になっている。
【0061】
第5の実施例では、前記温度測定用チップ24と前記ビューポート38との間の空間(例えば、500〜2000mm)に、放射光30を通過させ、且つ放射光30を遮らない様放射光30のスポット径よりも大きい内径を有する前記保護管102を設けたので、処理ガス供給ノズル35(図2参照)より供給される処理ガス、パージガス供給ノズル37より供給されるパージガス、成膜処理中に気相中で反応生成された微小粒子や前記処理ガス供給ノズル35、前記パージガス供給ノズル37、反応管21等から剥がれた微小粒子、断熱材26から発生するパーティクルが、前記温度測定用チップ24から放射される放射光30の光路内に浸入するのを防止でき、放射光30の光路が遮られることがない。
【0062】
従って、ガスや微小粒子、パーティクル等の外乱により、放射光30が遮断、偏光されることによる、放射光30を測定する放射温度計42の測定誤差や測定温度のふらつきを防止でき、安定した温度測定及び温度制御を行うことができる。
【0063】
尚、第5の実施例では、前記温度測定用チップ24を円筒発熱材23に設けているが、第4の実施例の様に、前記温度測定用チップ24を断熱部25の内周面、即ち前記断熱材26の内周面に設ける様にしてもよいのは言う迄もない。
【0064】
又、前記温度測定用チップ24を複数設ける場合には、図13に示される様に、各温度測定用チップ24a〜24dと図示しない各ビューポート38との間に、それぞれ保護管102a〜102dを設けることで、第5の実施例を第3の実施例、第4の実施例に適用することができる。
【0065】
更に、放射光透過孔47(図5参照)を貫通し、温度測定用チップ24及びビューポート52(図5参照)と密着する保護管を設けると、第5の実施例を第2の実施例に適用することができる。
【0066】
次に、図14に於いて、本発明の第6の実施例について説明する。尚、図14中、図13中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
第6の実施例では、第5の実施例に於ける温度測定用チップ24と保護管102とを一体化させることで保護管103を形成している。
【0068】
該保護管103は有天筒状でカーボン製の中空管であり、頭頂部に温度測定用チップである温度測定部104を有し、中空管部に保護部105を有すると共に、下端部には石英製のビューポート106を有している。
【0069】
前記保護管103は、それぞれ高さの異なる所定本数の該保護管103、例えば4本の保護管103a〜103dが、互いに接触しない様円筒発熱材23と断熱部25との間の空間に立設されている。各温度測定部104a〜104dの各ビューポート106a〜106dを挾んで対向する位置には、それぞれ放射温度計42a〜42dが設けられており、前記温度測定部104a〜104dから放射された放射光30a〜30dが前記放射温度計42a〜42dに入光されることで、前記温度測定部104a〜104dが配置された高さに於ける前記円筒発熱材23の温度を測定することができる。
【0070】
尚、各保護部105a〜105dの内径は、前記放射温度計42a〜42dに入射する放射光30a〜30dを遮らない様、放射光30a〜30dのスポット径よりも大きくなっていると共に、前記保護部105a〜105dは、前記円筒発熱材23からの熱影響を受け難い厚みを有し、又前記温度測定部104a〜104dの熱が伝達され難い断熱性を有している。
【0071】
上述の様に、第6の実施例では、前記温度測定部104と前記保護部105と前記ビューポート106とが一体となる様前記保護管103を形成したので、別部材の保護管102(図12参照)を用いて放射光30の光路を保護していた第5の実施例と比較し、前記温度測定部104、前記ビューポート106間の放射光30の光路を前記保護部105により完全に閉塞できる。
【0072】
従って、ガスや微小粒子、パーティクル等の外乱107により放射光30が遮断、偏光されることを完全に防止でき、放射光30を測定する前記放射温度計42が測定誤差を起すことがなく、又測定温度のふらつきが起ることなく、より安定した温度測定及び温度制御を行うことができる。
【0073】
又、前記保護管103は前記円筒発熱材23と前記断熱部25との間の空間に立設、即ち前記温度測定部104が前記円筒発熱材23と離れた位置に配置されているので、該円筒発熱材23の高さ方向の断面積は全長に亘って一様となり、該円筒発熱材23による加熱の安定性を保つことができる。
【0074】
更に、前記温度測定部104と前記保護部105とが同じ材質であるので、前記保護管103を安価に製造することができる。
【0075】
図15(A)、(B)は、第6の実施例の変形例を示している。
【0076】
図15(A)では、前記温度測定部104と前記保護部105とを別部材としている。カーボン製で円筒形状の保護部108の上端に、カーボンフェルト製で円筒形状の断熱部109を連設し、該断熱部109の上端を、前記円筒発熱材23(図14参照)と同材質であるカーボン製で円板形状の温度測定部111で閉塞している。
【0077】
上記変形例では、前記温度測定部111と前記保護部108が直接接触せず、前記温度測定部111と前記保護部108との間に前記断熱部109が介在しているので、加熱された前記温度測定部111の熱が前記保護部108に伝達されることがなく、又該保護部108の熱が前記温度測定部111に伝達されることがなく、該温度測定部111が配置された高さに於ける前記円筒発熱材23の温度を正確に測定することができる。
【0078】
又、図15(B)も前記温度測定部104と前記保護部105とが別部材であり、カーボンフェルト製で円筒形状の保護部112の上端を、前記円筒発熱材23と同材質であるカーボン製で円板形状の温度測定部113で閉塞している。
【0079】
上記変形例では、図15(A)の場合と同様、前記温度測定部113から前記保護部112、該保護部112から前記温度測定部113への熱の伝達を防止できるので、前記円筒発熱材23の正確な温度を測定できると共に、図15(A)の場合よりも部材数が減少するので、容易に製造することができる。
尚、第6の実施例及びその変形例では、前記保護部105a〜105dを有天筒状或は円筒形状とし、円板形状の前記温度測定部104a〜104dを用いて前記円筒発熱材23の温度を測定しているが、前記保護管103a〜103dの内径が前記放射温度計42a〜42dに入射する放射光30a〜30dのスポット径よりも大きければ、矩形板の温度測定部及び方柱形状の保護管等任意の形状としてもよい。
【0080】
又、第6の実施例では、前記温度測定部104a〜104dから放出される放射光30a〜30dが、直接前記放射温度計42a〜42dに入光される構成としたが、前記温度測定部104a〜104dと対向する位置に放射光反射ミラー41をそれぞれ設け、該放射光反射ミラー41により反射された放射光30a〜30dが前記放射温度計42a〜42dに入光される構成としてもよく、温度測定部104a〜104d、保護部105a〜105d、ビューポート106a〜106d、放射光反射ミラー41が一体となる様保護管103を形成してもよい。
【0081】
又、第6の実施例では、4本の前記保護管103a〜103dを立設した場合について説明したが、立設する保護管103a〜103dは4本である必要はなく、更に多くの前記保護管103を立設することで、前記円筒発熱材23のより詳細な温度分布を得ることができ、より精密な加熱制御が可能となる。
【0082】
次に、図7、図16に於いて、本発明の第7の実施例について説明する。尚、図7、図16中、図1〜図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
第7の実施例では、第1の実施例〜第6の実施例とは異なり、温度検出手段として熱電対である制御用TC61を使用している。
ウェーハ6を処理する反応管21の下端には、上端と下端に上部フランジ22aと下部フランジ22bが形成されたインレットフランジ22が気密に設けられ、該インレットフランジ22にはガス排気口36が設けられており、前記インレットフランジ22の内側に筒状の排気空間が形成される。
前記反応管21内には、円筒発熱材23が前記インレットフランジ22に立設され、該円筒発熱材23と前記反応管21との間には、内層側に設けられた断熱材26と外層側に設けられた断熱材ケーシング27とが一体化された断熱部25が立設されている。尚、前記インレットフランジ22の内径は、前記円筒発熱材23の内径よりも小さくなっている。
【0083】
前記反応管21の外側には加熱用コイル28が設けられ、該加熱用コイル28は図示しない支持柱に支持されると共に、外壁31によって覆われている。
又、少なくとも、前記円筒発熱材23、前記インレットフランジ22及びシールキャップ18により反応室32が画成される。
該反応室32内に処理ガスを供給する処理ガス供給ノズル35が、前記インレットフランジ22を水平方向に貫通し、更に前記円筒発熱材23の内壁に沿って立上がる様設けられる。
【0084】
又、前記反応管21と前記断熱材ケーシング27との間の空間及び前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間にパージガスを供給するパージガス供給ノズル37は、前記インレットフランジ22近傍迄水平方向に延出し、前記上部フランジ22aと前記下部フランジ22bの間の空間で2股に分岐する。2股に分れた前記パージガス供給ノズル37のうち、一方の第1パージガス供給ノズル37aは垂直上方に屈曲し、前記上部フランジ22aを貫通して前記反応管21と前記断熱材ケーシング27との間の空間に延出する。他方の第2パージガス供給ノズル37bは前記第1パージガス供給ノズル37aよりも前記インレットフランジ22に接近した位置で垂直上方に屈曲し、前記上部フランジ22aを貫通して前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間に延出する。
【0085】
又、前記上部フランジ22aを貫通して、前記第2パージガス供給ノズル37bと同じ空間、即ち前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間には保護管62が設けられ、該保護管62は上端が閉塞され、下端が前記上部フランジ22aと前記下部フランジ22bとの間の空間で開放された有天筒状となっており、前記保護管62の前記上部フランジ22aの貫通箇所は、前記保護管62が挿通されたウルトラトール(真空様継手)63によって前記上部フランジ22aの下方よりシールされている。尚、図16中、64は前記反応管21下端のフランジと前記上部フランジ22aとのシール面に冷却水を供給する冷却系である。
【0086】
前記制御用TC61は、前記インレットフランジ22近傍迄水平方向に延出し、前記上部フランジ22aと前記下部フランジ22bの間の空間で垂直上方に屈曲し、前記保護管62の下端より該保護管62内部に挿入されており、前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間に於いて、前記制御用TC61は前記保護管62に覆われ、保護されている。尚、該保護管62の材質は、誘導加熱による前記制御用TC61の誤作動、誤検知が避けられる様、抵抗が高く誘導され難いサファイヤを用いるのが望ましい。
成膜処理時には、前記ボート13を前記反応室32内に装入し、前記処理ガス供給ノズル35より前記反応室32内に処理ガスを供給すると共に、前記加熱用コイル28に高周波電流を印加し、前記円筒発熱材23を加熱する。
【0087】
又上記処理と並行して、前記第1パージガス供給ノズル37a及び前記第2パージガス供給ノズル37bより、前記反応管21と前記断熱材ケーシング27との間の空間及び前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間にパージガスを供給する。
成膜処理が終了すると、前記反応室32内の処理ガスや、前記反応管21と前記断熱材ケーシング27との間の空間及び前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間のパージガスが前記ガス排気口36を介して図示しない排気装置によって排気され、ボート13が前記反応室32から装脱される。
上記処理中、前記円筒発熱材23の温度は、前記制御用TC61により常時測定されており、測定結果は図示しない温度制御部にフィードバックされ、該温度制御部はフィードバックされた測定結果に基づいて、前記加熱用コイル28に印加する高周波電流を制御する様になっている。
【0088】
上述の様に、温度検出手段である前記制御用TC61を前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間、即ち前記反応室32外に設けたことで、前記制御用TC61を覆う保護管62がエッチングされ、エッチングされた保護管62の成分がウェーハ6を汚染することがなく、又前記保護管62にSiC膜が成膜されることがなくなり、成膜されたSiC膜による前記制御用TC61への熱伝達率の変化を抑制できるので、測定値が経時変化するのを防止し、前記制御用TC61の計測値の信頼性及び再現性を向上させることができる。
又、前記円筒発熱材23と前記断熱材26との間の空間にパージガスを供給する様にしたことで、前記円筒発熱材23の下端と前記上部フランジ22a上面の隙間から処理ガス等が浸入するのを防止することができ、前記保護管62に対する処理ガスの接触を更に抑制し、前記制御用TC61の測定値の信頼性及び再現性を向上させることができる。
【0089】
又、前記保護管62を、誘導加熱され難いサファイヤ製としているので、該保護管62が前記加熱用コイル28により誘導加熱されることがなく、前記保護管62が誘導加熱されることによる前記制御用TC61の誤作動、誤検知を防止することができる。
【0090】
更に、前記保護管62は、下端が前記上部フランジ22aと前記下部フランジ22bとの間に位置する様、前記上部フランジ22aを下方より貫通しているので、前記保護管62を屈曲させることなく棒状とすることができ、加工が難しい材質であっても該保護管62として使用できることから、該保護管62の材質の選択の幅を広げることができる。
【0091】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0092】
(付記1)複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた温度測定用チップと、該温度測定用チップの温度を測定する放射温度計とを具備し、該放射温度計が前記反応管の下端より下方に配置されることを特徴とする熱処理装置。
【0093】
(付記2)前記温度測定用チップと前記筒状発熱材とが同じ材質である付記1の熱処理装置。
【0094】
(付記3)前記温度測定用チップが前記筒状発熱材より突設された付記1又は付記2の熱処理装置。
【0095】
(付記4)前記温度測定用チップが前記筒状発熱材より離れた位置に設けられた付記1又は付記2の熱処理装置。
【0096】
(付記5)前記温度測定用チップが前記筒状断熱部より突設された付記4の熱処理装置。
【0097】
(付記6)前記温度測定用チップと前記放射温度計との間に、前記温度測定用チップからの放射光の光路を囲む様に筒状の保護管が設けられた付記1の熱処理装置。
【0098】
(付記7)前記温度測定用チップが前記保護管の上端に固定された付記6の熱処理装置。
【0099】
(付記8)前記保護管と前記温度測定用チップとの間に、該温度測定用チップよりも熱伝導率の低い部材が介在する付記7の熱処理装置。
【0100】
(付記9)前記反応管の下端よりも下方に前記温度測定用チップからの放射光を反射するミラーを有し、前記放射温度計は反射された放射光を測定する付記1〜付記8の熱処理装置。
【0101】
(付記10)前記反応室内に前記ボートを昇降させる昇降部を更に具備し、前記放射温度計は前記昇降部内に設けられた付記1〜付記8の熱処理装置。
【0102】
(付記11)複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた熱電対と、該熱電対を保護する保護管と、前記筒状発熱材を加熱する為に高周波電流が印加される加熱用コイルとを具備し、前記保護管は前記筒状発熱材よりも抵抗が高く、前記加熱用コイルにより誘導加熱され難い部材で構成されたことを特徴とする熱処理装置。
【0103】
(付記12)前記保護管はサファイヤで形成された付記11の熱処理装置。
【0104】
(付記13)前記反応管と前記筒状断熱部と前記筒状発熱材を支持する上部フランジ、及び前記反応室内に供給された処理ガスを排気する筒状の排気空間を有するインレットフランジを更に具備し、前記保護管は前記上部フランジを貫通し、前記筒状の排気空間と隔離された空間に突出する付記12の熱処理装置。
【符号の説明】
【0105】
1 熱処理装置
6 ウェーハ
14 処理炉
21 反応管
22 インレットフランジ
23 円筒発熱材
24 温度測定用チップ
26 断熱材
28 加熱用コイル
32 反応室
38 ビューポート
41 放射光反射ミラー
42 放射温度計
45 インレットフランジ
61 制御用TC
62 保護管
102 保護管
103 保護管
104 温度測定部
105 保護部
108 保護部
109 断熱部
111 温度測定部
112 保護部
113 温度測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた温度測定用チップと、該温度測定用チップの温度を測定する放射温度計とを具備し、該放射温度計が前記反応管の下端より下方に配置されることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
前記温度測定用チップと前記放射温度計との間に、前記温度測定用チップからの放射光の光路を囲む様に筒状の保護管が設けられた請求項1の熱処理装置。
【請求項3】
前記温度測定用チップが前記保護管の上端に固定された請求項2の熱処理装置。
【請求項4】
複数枚の基板上に単結晶膜又は多結晶膜を成長させる熱処理装置であって、複数枚の基板を保持するボートと、該ボートを囲む様に設けられ反応室を構成する筒状発熱材と、該筒状発熱材を囲む様に設けられた反応管と、前記筒状発熱材と前記反応管との間に設けられた筒状断熱部と、前記筒状発熱材と前記筒状断熱部との間に設けられた熱電対と、該熱電対を保護する保護管と、前記筒状発熱材を加熱する為に高周波電流が印加される加熱用コイルとを具備し、前記保護管は前記筒状発熱材よりも抵抗が高く、前記加熱用コイルにより誘導加熱され難い部材で構成されたことを特徴とする熱処理装置。
【請求項5】
前記保護管はサファイヤで形成された請求項4の熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−199258(P2011−199258A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274389(P2010−274389)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】