説明

熱膨張係数の差異によって生じる変形に適応可能な位置決めピン及び半導体製造装置

【課題】部材間の熱膨張係数の差異によって生じる偏移が除去可能な位置決めピンを提供する。
【解決手段】本発明は、位置決めピン100に関し、中空円柱体である第一部分Aと、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であり、第一部分Aと一体同軸成型され、複数の側表面は第一側表面120、第二側表面120’及び第三側表面130を有し、第一側表面120は第二側表面120’に対して平行であり、第三側表面130は第一側表面120と第二側表面120’との間に位置し且つ第一側表面120と第二側表面120’とに対して垂直である第二部分Bと、及び第三側表面130に沿って、第一部分Aと第二部分Bに連続して形成され、且つ第一部分Aと第二部分Bを貫通する溝部110と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置決めピンに関し、特に熱膨張係数の差異によって生じる変形に適応可能な位置決めピン、及び当該位置決めピンを備えた半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プラズマエッチング技術において、被処理ウェハは通常静電チャック(ESC、electrostatic chuck)により固定される。静電チャックは位置決めピンにより、フォーカスリング及びこのフォーカスリング下方に位置する下層石英リングとの位置決めが行われる(特許文献1参照。但し、特許文献1では、例えば図17における111が前記下層石英リングに相当し、112が前記フォーカスリングに相当する。また、特許文献1において、位置決めピンは省略されている)。しかし、ウェハをエッチング処理室へ搬入、搬出する際や、エッチングを行っている期間に、静電チャック、フォーカスリング及び下層石英リング(以下、「部材」と記載する場合がある。)が様々な要因により偏移(shift)し、ウェハアーキング(wafer arcing)または静電チャックアーキング(ESC arcing)が発生する。前記偏移の要因はおおよそ次のように分けられる。(1)エッチング処理室内の真空吸引により偏移が生じる。即ちチャンバー内の大気を真空にする瞬間の非常に大きな圧力差により前記部材に偏移が生じる。(2)ウェハロードロックモジュール(LLM、load−lock module)とエッチング処理室間の圧力差により偏移が生じる。即ちウェハ搬送システムがウェハをウェハロードロックモジュール内を通過させてエッチング処理室に搬入する際、ウェハロードロックモジュール内を先ず真空にして、ウェハロードロックモジュールとエッチング処理室との間に位置するゲートはウェハロードロックモジュール内が真空にされた後に開かれ、ウェハ搬送システムはウェハをエッチング処理室内へ搬入する。このゲートの開閉の瞬間に圧力差が生じ、それにより前記部材に偏移が生じる。(3)温度変化により偏移が生じる。即ちエッチング処理中に、静電チャックは約0℃から約40℃の間で繰り返し温度の上げ下げの操作が行われ、各部材の熱膨張係数がいずれも異なるため、前記部材に偏移が生じる。従来の改良方法においては、圧力差による偏移の問題(即ち前記(1)及び(2)による偏移)については、既に改良が行われている。例えば、エッチング処理室の排気口の低真空スロットルの流量を制御して真空吸引時の圧力差を小さくする方法や、また、起動順序と圧力センサの変更によりゲートを開く前に、ウェハロードロックモジュールとエッチング処理室との間の圧力差を小さくするなどの改良が行われている。しかし、最も根本的な問題点である、各部材の熱膨張係数の差異による偏移(即ち、前記(3)による偏移)が依然残されている。よって、各部材の熱膨張係数の差異によって生じる偏移が除去可能な位置決めピンの開発が急務である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−277369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、部材間の熱膨張係数の差異によって生じる偏移が除去可能な位置決めピンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するため、本発明は、位置決めピンであって、中空円柱体である第一部分と、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、前記第一部分と一体同軸成型され、前記複数の側表面は第一側表面、第二側表面、第三側表面及び第四側表面を有し、前記第一側表面は前記第二側表面に対して平行であり、前記中空多辺形柱体の軸方向に対して垂直方向の断面視において、前記第一側表面の長さと前記第二側表面の長さはそれぞれ前記第一側表面と前記第二側表面との間の長さよりも長く、前記第三側表面と第四側表面は前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置する第二部分と、を有し、前記第一部分における前記円柱体の側表面には、当該円柱体の軸方向に沿って平行に2箇所以上に延伸する溝である第一溝部が形成され、前記第二部分における前記第三側表面と前記第四側表面には、それぞれ前記中空多辺円柱体の軸方向に沿って平行に延伸する溝である第二溝部が形成され、少なくとも前記第一溝部と前記第二溝部との一方における溝の両端部には貫通孔が形成され、前記第一溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第一溝部よりも大きい幅を有し、前記第二溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有する。
【0006】
前記第三側表面は前記第四側表面に対して平行であり、前記第三側表面と前記第四側表面は前記第一側表面と前記第二側表面に垂直であってもよい。
【0007】
前記第一溝部は、前記円柱体の円周方向に等間隔に形成されていてもよい。
【0008】
前記位置決めピンは、前記第一部分と前記第二部分との間に設けられ、前記第一部分及び前記第二部分と一体同軸成形された前記第三部分と、前記第三部分において、前記第三側表面に沿った側表面と前記第四側表面に沿った側表面にそれぞれ形成された第三溝部と、を有し、少なくとも前記第一溝部、前記第二溝部又は前記第三溝部の両端部には前記貫通孔が形成され、前記第一溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第一溝部よりも大きい幅を有し、前記第二溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有し、前記第三溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有していてもよい。
【0009】
また、前記位置決めピンは、前記第一部分と前記第二部分との間に設けられた第三部分を有し、前記第二溝部は前記第二部分及び前記第三部分の軸方向に沿って前記第三部分まで延伸していてもよい。
【0010】
さらに、前記第三部分は、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ前記第五側表面と第六側表面に垂直であり、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面であり、前記第三側表面と前記第七側表面は共平面であり、前記第四側表面と前記第八側表面は共平面であってもよい。なお、前記第一側表面と前記第五側表面は非共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は非共平面であってもよい。
【0011】
前記第三部分は、複数の側表面を有する中空柱体であって、前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ湾曲し、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面であってもよい。なお、前記第一側表面と前記第五側表面は非共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は非共平面であってもよい。
【0012】
なお、前記貫通孔は側面視において長方形状を有していてもよいし、側面視において円形状を有していてもよい。
【0013】
別な観点の本発明は、半導体製造装置であって、静電チャックと、当該静電チャックの周辺部材と、前記静電チャック及び前記周辺部材に用いられる位置決めピンと、を有し、前記位置決めピンは、中空円柱体である第一部分と、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、前記第一部分と一体同軸成型され、前記複数の側表面は第一側表面、第二側表面、第三側表面及び第四側表面を有し、前記第一側表面は前記第二側表面に対して平行であり、前記中空多辺形柱体の軸方向に対して垂直方向の断面視において、前記第一側表面の長さと前記第二側表面の長さはそれぞれ前記第一側表面と前記第二側表面との間の長さよりも長く、前記第三側表面と第四側表面は前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置する第二部分と、を有し、前記第一部分における前記円柱体の側表面には、当該円柱体の軸方向に沿って平行に2箇所以上に延伸する溝である第一溝部が形成され、前記第二部分における前記第三側表面と前記第四側表面には、それぞれ前記中空多辺円柱体の軸方向に沿って平行に延伸する溝である第二溝部が形成され、少なくとも前記第一溝部と前記第二溝部との一方における溝の両端部には貫通孔が形成され、前記第一溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第一溝部よりも大きい幅を有し、前記第二溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有し、前記位置決めピンは、前記静電チャック及び前記周辺部材に用いられ、前記位置決めピンが前記静電チャック及び前記周辺部材内に挿入されることにより、前記第一部分が前記静電チャックの円形ピン穴に緊密に挿入され且つ前記第二部分の前記第一側表面及び前記第二側表面がそれぞれ前記周辺部材の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触し、前記静電チャックと前記周辺部材の同一円周上に等間隔で少なくとも3本の前記位置決めピンが設置される。なお、長円形は、直線状の二つの対向する平行な長辺と、半円状に外側に湾曲する二つの対向する短辺からなる形状である。
【0014】
前記周辺部材はフォーカスリングを有していてもよいし、さらに下層石英リングを有していてもよい。
【0015】
前記位置決めピンは、前記第一部分と前記第二部分との間に設けられた第三部分を有し、前記第三部分は、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ前記第五側表面と第六側表面に垂直であり、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面であり、前記第三側表面と前記第七側表面は共平面であり、前記第四側表面と前記第八側表面は共平面であってもよい。
【0016】
また、前記位置決めピンは、前記第一部分と前記第二部分との間に設けられた第三部分を有し、前記第三部分は、複数の側表面を有する中空柱体であって、前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ湾曲し、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面であってもよい。
【0017】
また別な観点の本発明は、位置決めピンであって、中空円柱体である第一部分と、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であり、前記第一部分と一体同軸成型され、前記複数の側表面は第一側表面、第二側表面及び第三側表面を有し、前記第一側表面は前記第二側表面に対して平行であり、前記第三側表面は前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置し、且つ前記第一側表面と前記第二側表面に垂直である第二部分と、前記第三側表面に沿って前記第一部分と前記第二部分に連続して形成され、且つ前記第一部分と前記第二部分を貫通している溝部と、有する。
【0018】
本発明の位置決めピンは、静電チャック及びその周辺部材に用いられ、前記位置決めピンが前記静電チャック及び前記周辺部材内に挿入されたとき、前記第一部分が前記静電チャックの円形ピン穴に緊密に挿入され、前記第二部分の前記第一側表面及び前記第二側表面がそれぞれ前記周辺部材の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触できる。なお、長円形は、直線状の二つの対向する平行な長辺と、半円状に外側に湾曲する二つの対向する短辺からなる形状である。
【0019】
さらに別な観点の本発明は、位置決めピンであって、中空円柱体である第一部分と、
複数の側表面を有する中空多辺形柱体であり、前記複数の側表面は、第一側表面、第二側表面、第三側表面及び第四側表面を有し、そのうち、前記第一側表面は前記第二側表面に対し平行であり、前記第三側表面と前記第四側表面は、前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置し且つ前記第一側表面と前記第二側表面とに対し垂直である第二部分と、
複数の側表面を有する中空多辺形柱体であり、前記第一部分と前記第二部分と一体同軸成型され、前記第二部分を前記第一部分との間に介し、前記複数の側表面は、第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対し平行であり、前記第七側表面と前記八側表面は、前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ前記第五側表面と前記第六側表面に垂直であり、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面が共平面であり、前記第三側表面と前記第七側表面が共平面であり、及び前記第四側表面と第八側表面が共平面である第三部分と、
共平面である前記第三側表面と前記第七側表面に沿って前記第一部分、前記第二部分及び前記第三部分に連続して形成され、且つ前記第一部分、前記第二部分及び前記第三部分を貫通する第一溝部と、
前記第二部分の前記第四側表面に形成され、前記第二部分を貫通し、前記第一溝部に対して平行である前記第二溝部と、を有する。
前記第二溝部はそれぞれ前記位置決めピンの軸方向に前記第一部分と前記第三部分まで延伸可能である。前記第一側表面と前記第五側表面は非共平面でもよく、また前記第二側表面と前記第六側表面は非共平面でもよい。前記第二溝部はそれぞれ前記位置決めピンの軸方向に前記第一部分と前記第三部分まで延伸可能である。
【0020】
別な観点の本発明の位置決めピンは、静電チャック及びその周辺部材に用いられ、前記周辺部材はフォーカスリング及び下層石英リングを有し、前記位置決めピンが前記静電チャック、前記フォーカスリング及び前記下層石英リングに挿入されたとき、前記第一部分が前記静電チャックの円形ピン穴内に緊密に挿入され、前記第二部分の前記第一側表面及び前記第二側表面がそれぞれ前記下層石英リングの長円形ピン穴の二つの対向して平行な長辺と緊密に接触し、前記第三部分の前記第五側表面及び前記第六側表面がそれぞれ前記フォーカスリングの長円形ピン穴の二つの対向して平行な長辺に緊密に接触する。
【0021】
前記第二溝部はそれぞれ前記第二部分及び前記第三部分の軸方向に前記第一部分及び前記第三部分まで延伸可能であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、位置決めピンを用いて部材を位置決めする際に、当該部材間の熱膨張係数の差異によって生じる偏移を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】位置決めピンが静電チャック、フォーカスリング及び下層石英リングに対し位置決めを行った状態を示す説明図である。
【図2】静電チャック、フォーカスリング及び下層石英リングのピン穴の配置を示す説明図である。
【図3】従来の位置決めピンがフォーカスリングの長円形ピン穴に挿入された状態を示す説明図である。
【図4】(A)は本発明の実施形態に基づく位置決めピンの立体図であり、(B)は図4(A)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図5】(A)は図4(A)の線a−aに沿った断面図であり、(B)は図4(A)の線b−bに沿った断面図である。
【図6】本発明の実施形態に基づいた位置決めピンがフォーカスリングの長円形ピン穴に挿入された状態を示す説明図である。
【図7】位置決めピンが静電チャック及びフォーカスリングに対し位置決めを行った状態を示す説明図である。
【図8】本発明の別の実施形態に基づいた位置決めピンの立体図である。
【図9】(A)は図8が示す位置決めピンの正面図であり、(B)は図8が示す位置決めピンの背面図であり、(C)は図8の線Z−Zに沿った断面図である。
【図10】(A)は図8の線a’−a’に沿った断面図であり、(B)は図8の線b’−b’に沿った断面図であり、(C)は図8の線c’−c’に沿った断面図である。
【図11】(A)は本発明の別の実施形態に基づく位置決めピンの立体図であり、(B)は図11(A)の線Y−Yに沿った断面図であり、(C)は図11(A)が示す位置決めピンの正面図である。
【図12】(A)は図11(A)の線a−aに沿った断面図であり、(B)は図11(A)の線b−bに沿った断面図である。
【図13】本発明の実施形態に基づいた位置決めピンがフォーカスリングの長円形ピン穴に挿入された状態を示す説明図である。
【図14】本発明の別の実施形態に基づく位置決めピンの正面図である。
【図15】本発明の別の実施形態に基づく位置決めピンにおける貫通孔の形状を示す説明図である。
【図16】本発明の別の実施の形態に基づく位置決めピンの第二部分の断面図である。
【図17】(A)は本発明の別の実施形態に基づく位置決めピンの立体図であり、(B)は図17(A)の線Y−Yに沿った断面図であり、(C)は図17(A)が示す位置決めピンの正面図である。
【図18】(A)は図17(A)の線a−aに沿った断面図であり、(B)は図17(A)の線b−bに沿った断面図であり、(C)は図17(A)の線c−cに沿った断面図である。
【図19】本発明の別の実施形態に基づく位置決めピンの正面図である。
【図20】本発明の別の実施形態に基づく位置決めピンの正面図である。
【図21】(A)は本発明の別の実施形態に基づく位置決めピンの立体図であり、(B)は図21(A)の線Y−Yに沿った断面図であり、(C)は図21(A)が示す位置決めピンの正面図である。
【図22】(A)は図21(A)の線a−aに沿った断面図であり、(B)は図21(A)の線b−bに沿った断面図であり、(C)は図21(A)の線c−cに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態及び優位点は、以下及び本発明の原理を図示した図面とあわせた詳細な説明により明白になる。
【0025】
本明細書に付随の図面を用いて、本発明の例示的な実施形態とこの実施形態の優位点及び特徴をより明瞭に説明する。ここで、各図面は例示的な説明図に過ぎず、実際の比例に基づいて製図したものではなく、これら図面が示した比例によって実施の根拠とするものではない。
【0026】
図1は、半導体製造装置Mにおいて、位置決めピン1により、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7を位置決めしている状態を示す説明図である。すなわち、半導体製造装置Mは、位置決めピン1、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7を有している。図1が示すように、位置決めを行うとき、位置決めピン1は静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7のピン穴内に同時に挿入される。このとき、位置決めピン1は下層石英リング7を貫通するため、位置決めピン1の位置決め範囲は前記三つの部材3、5、7を含んでいる。一般的に、位置決めピン1は、ポリイミド材料(例えばVespel(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーの登録商標) SP−1)により製造されるか、又は、その他適切な材料により製造される。静電チャック3はアルミニウムにより製造される。フォーカスリング5はシリコンにより製造される。下層石英リング7は石英により製造される。
【0027】
図2は、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7のピン穴の配置を示す説明図である。図2が示すように、位置決めピン1が挿入されるピン穴は、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7の同一円周上に等間隔に複数形成されている。なお、図2においては、ピン穴としてフォーカスリング5のピン穴51が図示されている。また、図2の例ではピン穴51は3箇所に形成されているが、4ヶ所以上に形成されていてもよい。
【0028】
従来のプラズマエッチング設備において、静電チャック3のピン穴は円形であり、フォーカスリング5と下層石英リング7のピン穴はいずれも長円形であり、位置決めピン1の外形はソリッド状円柱形である。そのうち、位置決めピン1は、静電チャック3の円形ピン穴に完全に緊密に挿入され(図示せず)、位置決めピン1のその他の部分はフォーカスリング5と下層石英リング7の長円形ピン穴(図3)に同時に挿入することができる。図3は、従来の位置決めピン1をフォーカスリング5の長円形ピン穴51に挿入した状態を示す説明図である。図3が示すように、位置決めピン1がフォーカスリング5の長円形ピン穴51に挿入されたとき、位置決めピン1の円周両側がピン穴51の二つの対向する平行な長辺51a及び51bと緊密に接触してフォーカスリング5を固定する。なお、ピン穴51の長辺51a及び51bは、図2に示すようにフォーカスリング5の径方向(図2中の点線方向であって、以下、「法線方向」という場合がある)に延伸しており、3本の位置決めピン1によってフォーカスリング5が固定される。同様に、下層石英リング7もまたこの方法により固定される。しかし、プラズマエッチング処理中、静電チャック3の温度の上昇、下降の操作が繰り返し行われるため、静電チャック3、フォーカスリング5、下層石英リング7及び位置決めピン1に温度変化による膨張と収縮が生じる。しかも、これら静電チャック3、フォーカスリング5、下層石英リング7及び位置決めピン1の熱膨張係数はそれぞれ異なり、これらの温度変化による偏移が異なる。更に、静電チャック3は円盤状構造を有し、フォーカスリング5と下層石英リング7はリング状構造を有するため、これら部材3、5、7の法線方向の熱膨張の偏移は、その体積熱膨張偏移と比較して更に顕著になる。この他、ソリッド構造を有する位置決めピン1に熱膨張が生じた時に、その体積熱膨張偏移はより明白になる。このような状況では、静電チャック3、フォーカスリング5、下層石英リング7及び位置決めピン1に熱膨張が生じたとき、位置決めピン1は、その体積熱膨張偏移がその他部材3、5、7の熱膨張偏移に適応できない。このため、位置決めピン1とその他の部材3、5、7との間に間隙が生じる。そうすると、その他の部材3、5、7が位置決めピン1に固定されず、その他部材3、5、7の損傷(特にフォーカスリング5の損傷)、又は位置決めピン1自体の破砕、又は位置決めピン1のピン穴からの脱落が生じて、位置決め効果が失われる。また、位置決めピン1はピン穴51に密接挿入する時、位置決めピン1の円周とピン穴51の長辺51a、51bはほぼ線接触しており、故にその接触面積は小さい。よって、プラズマエッチングを行っているとき、プラズマがピン穴51内に非常に侵入しやすく、位置決めピン1を侵食するので、部材3、5、7に偏移が生じる。またこの現象は、位置決めピン1の使用寿命も短縮させる。
【0029】
図4(A)は、本発明の実施形態に基づく位置決めピン100の立体図であり、図4(B)は図4(A)の線Y−Yに沿った断面図である。図4(A)と図4(B)に示すように、位置決めピン100は、一体同軸成型の第一部分Aと第二部分Bを有し、且つ中空構造及び溝部110を備えることにより、「C」型構造を形成してばね張力によって位置決め効果が得られる。このうち、溝部110はこの「C」型構造の開口を形成してもよい。図5(A)は、図4(A)の線a−aの断面図であり、第一部分Aの断面を表示している。図5(B)は、図4(A)の線b−bの断面図であり、第二部分Bの断面を表示している。第一部分Aは中空円柱体である。位置決めピン100が静電チャック3内に挿入された時、第一部分Aは静電チャック3の円形ピン穴内に緊密に挿入される。第二部分Bは中空多辺形柱体であり、複数の側表面を有する。第二部分Bのこれら側表面において、対向して平行する第一側表面120と第二側表面120’(図5(B))は、位置決めピン100がフォーカスリング5及び下層石英リング7内に挿入された時、それぞれフォーカスリング5及び下層石英リング7の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触して、法線方向の熱膨張冷却収縮の偏移を受承し、且つ円周間の間隙を最小にすることができる。具体的には、図6に示すように、フォーカスリング5を例にすると、位置決めピン100がフォーカスリング5のピン穴51に挿入された時、第二部分Bの第一側表面120と第二側表面120’がそれぞれピン穴51の二つの対向する平行な長辺51a及び51bに緊密に接触することができる。また、下層石英リング7の状況も上述と同様である。この他、溝部110が第一側表面120と第二側表面120’との間のもう一方の第三側表面130に沿って第一部分Aと第二部分Bに連続して形成され、第一部分A及び第二部分Bを貫通する。また、第三側表面130は第一側表面120と第二側表面120’に垂直である。
【0030】
位置決めピン100は中空構造及び溝部110を有すため、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7に熱膨張冷却収縮が生じたとき、位置決めピン100は、前記部材3、5、7の熱膨張係数の差異による変形に適応して、変形による偏移を減少させる。ここで、位置決めピンがソリッド構造を有している場合、熱膨張冷却収縮中に、その全体の体積が温度により変化するため、その他部材3、5、7に生じる変形に適応できない。しかし、位置決めピン100は中空構造及び溝部110を有しているため、その熱膨張の形態は体積熱膨張から線熱膨張となり、その他部材3、5、7に生じた変形にも適応可能である。また、位置決めピン100の第二部分Bの第一側表面120、第二側表面120’と長辺51a、51bの接触は、線接触から面接触へ変化する。この時、接触面積は線接触の接触面積よりも大きく、故に、プラズマエッチングの際に、プラズマが各部材のピン穴内に侵入しづらいので、位置決めピン100の使用寿命を延長させ、且つその他部材3、5、7が位置決めピン100の熱膨張により損傷することを防止する。単一位置決めピン100は円周方向の位置決めを行う。静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7の同一円周上において、3本以上の位置決めピン100を等間隔にこの円周上に配置する場合、位置決めピン100の第一側表面120、第二側表面120’とピン穴51の長辺51a、51bが摺動し、熱膨張または冷却収縮による法線方向の偏移を受承して、前記部材3、5、7に対し位置決め効果が生じる。即ち、図2に示したように位置決めピン100が挿入されるピン穴がその他の部材3、5、7の同一円周上に等間隔に複数(図示の例では3箇所)形成されている場合において、その他の部材3、5、7がそれぞれ法線方向に偏移しても、位置決めピン100の第一側表面120と第二側表面120’によってこれらその他の部材3、5、7が位置決めされる。
【0031】
なお、図7に示すように位置決めピン100は、静電チャック3及びフォーカスリング5の位置決めを行う際にも用いられる。即ち、下層石英リング7が省略された場合でも位置決めピン100を用いることができる。なお、かかる場合の位置決めピン100による静電チャック3及びフォーカスリング5の位置決めは、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0032】
図8は本発明の別の実施形態に基づく位置決めピン200の立体図である。図9(A)は図8に図示された位置決めピン200の正面図であり、図9(B)は図8に図示された位置決めピン200の背面図であり、図9(C)は図8の線Z−Zに沿った断面図である。図8から図9(C)に示すように、位置決めピン200は一体同軸成型である第一部分A’、第二部分B’及び第三部分C’を有し、且つ中空構造及び第一溝部210と第二溝部240を備える。図10(A)は図8の線a’−a’に沿った断面図であり、第一部分A’の断面を表示している。図10(B)は図8の線b’−b’に沿った断面図であり、第二部分B’の断面を表示している。図10(C)は図8の線c’−c’に沿った断面図であり、第三部分C’の断面を表示している。位置決めピン100と同様、位置決めピン200もまた「C」型構造を有し、第一溝部210はこの種の「C」型構造の開口を形成してもよく、ばね張力により位置決め効果が得られる。第一部分A’は中空円柱体である。位置決めピン200が静電チャック3に挿入された時、第一部分A’は、静電チャック3の円形ピン穴に緊密に挿入される。第二部分B’は、中空多辺形柱体であり、複数の側表面を有する。第二部分B’のこれら側表面において、対向する平行な第一側表面220と第二側表面220’は、位置決めピン200が下層石英リング7に挿入された時、それぞれ下層石英リング7の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触する(図6に類似)。第一側表面220と第二側表面220’の間に対向する平行な第三側表面225と第四側表面225’が存在し、第三側表面225と第四側表面225’は第一側表面220と第二側表面220’に垂直である。第三部分C’もまた中空多辺形柱体であり、複数の側表面を有する。第三部分C’のこれら側表面において、対向する平行な第五側表面230と第六側表面230’は、位置決めピン200がフォーカスリング5に挿入された時、それぞれフォーカスリング5の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触する(図6に類似)。第五側表面230と第六側表面230’との間に対向する平行な第七側表面235と第八側表面235’が存在し、第七側表面235と第八側表面235’は第五側表面230と第六側表面230’に垂直である。
【0033】
第一側表面220と第五側表面230は、共平面(coplane)又は非共平面(non−coplane)のいずれであってもよい。第二側表面220’と第六側表面230’は、共平面又は非共平面のいずれであってもよい。図8において、第一側表面220と第五側表面230は非共平面であり、第二側表面220’と第六側表面230’も非共平面である。即ち、第一側表面220と第五側表面230との間に段差があり、第二側表面220’と第六側表面230’との間にも段差がある。第三側表面225と第七側表面235は共平面であり、また第四側表面225’と第八側表面235’は共平面である。本発明のもう一つの実施形態において、第一側表面220と第五側表面230は共平面であり、第二側表面220’と第六側表面230’も共平面である。即ち、第一側表面220と第五側表面230との間には段差がなく、第二側表面220’と第六側表面230’との間にも段差がない。第一溝部210は共平面の第三側表面225と第七側表面235に沿って、第一部分A’、第二部分B’及び第三部分C’に連続して形成され、第一部分A’、第二部分B’及び第三部分C’を貫通する。第二溝部240は、第二部分B’の第四側表面225’に形成され、第二部分B’を貫通し、第一溝部210は、第二溝部240に対して平行である。この他、第二溝部240もそれぞれ第一部分A’の円柱体及び第三部分C’の第八側表面235’へ位置決めピン200の軸方向に延伸して、それぞれこの円柱体及び第八側表面235’の一部分に貫通する溝部を形成する。
【0034】
位置決めピン200は、中空構造及び第一溝部210を有しているので、その熱膨張形態は、体積熱膨張から線熱膨張になり、その他の部材3、5、7に生じる変形に適応可能である。この他、位置決めピン200の第二部分B’は第二溝部240を有しているために、第二部分B’自体が板状ばねの機能を備え、位置決めピン200の変形に対する適応度が向上する。位置決めピン200も例えば上記位置決めピン100の配置方式により、半導体プラズマエッチング設備において位置決めを実施する。また、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7の同一円周上において、3本以上の位置決めピン200を等間隔にこの円周上に配置してもよい。この場合、熱膨張または冷却収縮による法線方向の偏移を受承して、前記部材3、5、7に対し位置決め効果が生じる。即ち、図2に示したように位置決めピン200が挿入されるピン穴がその他の部材3、5、7の同一円周上に等間隔に複数(図示の例では3箇所)形成されている場合において、その他の部材3、5、7がそれぞれ法線方向に偏移しても、位置決めピン200がこれらの他の部材3、5、7の熱膨張または冷却収縮による法線方向の偏移を受承して、その他の部材3、5、7が位置決めされる。
【0035】
図11(A)は、本発明の別の実施形態に基づく位置決めピン300の立体図であり、図11(B)は図11(A)の線Y−Yに沿った断面図であり、図11(C)は図11(A)に図示された位置決めピン300の正面図である。図11(A)から図11(C)に示すように、位置決めピン300は、一体同軸成型の第一部分310と第二部分320を有し、且つ中空構造及び第一溝部330、貫通孔335、第二溝部340を備える。貫通孔335は、第一溝部330の両端部に形成され、側面視において長方形状を有している。また、貫通孔335は、第一溝部330よりも大きい幅を有している。これら第一溝部330、貫通孔335、及び第二溝部340は、それぞれ位置決めピン300において対向して2箇所ずつに形成されている。図12(A)は、図11(A)の線a−aの断面図であり、第一部分310の断面を表示している。図12(B)は、図11(A)の線b−bの断面図であり、第二部分320の断面を表示している。第一部分310は中空円柱体である。位置決めピン300が静電チャック3内に挿入された時、第一部分310は静電チャック3の円形ピン穴内に緊密に挿入される。第一部分310において、後述する第三側表面355と第四側表面355’に沿った側表面には、それぞれ上記第一溝部330と貫通孔335が形成されている。第二部分320は中空多辺形柱体であり、複数の側表面を有する。第二部分320のこれら側表面において、第一側表面350と第二側表面350’は対向して平行する(図12(B))。第一側表面350の長さL1と第二側表面350’の長さL1は、それぞれ第一側表面350と第二側表面350’との間の長さL2よりも長い。これによって、位置決めピン300はフォーカスリング5のピン穴51内で回転せず、適切な位置決めを行うことができる。また、第一側表面350と第二側表面350’は、位置決めピン300がフォーカスリング5及び下層石英リング7内に挿入された時、それぞれフォーカスリング5及び下層石英リング7の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触して、法線方向の熱膨張冷却収縮の偏移を受承し、且つ円周間の間隙を最小にすることができる。具体的には、図13に示すように、フォーカスリング5を例にすると、位置決めピン300がフォーカスリング5のピン穴51に挿入された時、第二部分320の第一側表面350と第二側表面350’がそれぞれピン穴51の二つの対向する平行な長辺51a及び51bに緊密に接触することができる。また、下層石英リング7の状況も上述と同様である。第一側表面350と第二側表面350’の間には、対向する平行な第三側表面355と第四側表面355’が存在し、第三側表面355と第四側表面355’は第一側表面350と第二側表面350’に垂直である。第二部分320の第三側表面355と第四側表面355’には、それぞれ上記第二溝部340が形成されている。第二溝部340の一端部は、第二部分320の一端部において開口している。
【0036】
位置決めピン300は、中空構造及び第一溝部330、貫通孔335、第二溝部340を有しているので、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7に熱膨張冷却収縮が生じたとき、位置決めピン300は、前記部材3、5、7の熱膨張係数の差異による変形に適応して、変形による偏移を減少させる。即ち、位置決めピン300は、その熱膨張の形態は体積熱膨張から線熱膨張となり、その他部材3、5、7に生じた変形にも適応可能である。しかも、第一溝部330の両端部には貫通孔335が形成されているので、第一部分310が変形する際の第一溝部330の偏移を貫通孔335において受承できる。また、位置決めピン300の第二部分320の第一側表面350、第二側表面350’と長辺51a、51bの接触は、線接触から面接触へ変化する。この時、接触面積は線接触の接触面積よりも大きく、故に、プラズマエッチングの際に、プラズマが各部材のピン穴内に侵入しづらいので、位置決めピン300の使用寿命を延長させ、且つその他部材3、5、7が位置決めピン300の熱膨張により損傷することを防止する。特に第一溝部330及び貫通孔335は第一部分310を貫通しないので、放電を抑制することができる。また、単一位置決めピン300は円周方向の位置決めを行う。静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7の同一円周上において、3本以上の位置決めピン300を等間隔にこの円周上に配置する場合、熱膨張または冷却収縮による法線方向の偏移を受承して、前記部材3、5、7に対し位置決め効果が生じる。即ち、図2に示したように位置決めピン300が挿入されるピン穴がその他の部材3、5、7の同一円周上に等間隔に複数(図示の例では3箇所)形成されている場合において、その他の部材3、5、7がそれぞれ法線方向に偏移しても、位置決めピン300の第一側表面350と第二側表面350’によってこれらその他の部材3、5、7が位置決めされる。
【0037】
なお、上記実施の形態の位置決めピン300では、第一溝部330の両端部に貫通孔335が形成されていたが、少なくとも第一溝部330又は第二溝部340の両端部に貫通孔が形成されていてもよい。例えば図14に示すように第二部分320において、第二溝部340の両端部には貫通孔345が形成されていてもよい。貫通孔345は、側面視において長方形状を有している。また、貫通孔345は、第二溝部340よりも大きい幅を有している。かかる場合、第二部分320において、第二溝部340及び貫通孔345が貫通しない。このため、放電をより抑制することができ、位置決めピン300の使用寿命をさらに延長させる。
【0038】
また、上記実施の形態の貫通孔335は、図15に示すように側面視において略円形状を有していてもよい。この貫通孔335の径は、第一溝部330の幅よりも大きい。かかる場合でも、第一部分310が変形する際の第一溝部330の偏移を貫通孔335において受承できる。また、第一溝部330及び貫通孔335は第一部分310を貫通しないので、放電を抑制することができる。
【0039】
また、上記実施の形態の第三側表面355と第四側表面355’は平行であって、第一側表面350と第二側表面350’に垂直であったが、図16に示すように第三側表面355と第四側表面355’は外側に凸に湾曲していてもよい。かかる場合、位置決めピン300の第二部分320を形成する際には、例えば中空円柱体の対向する側表面を削って第一側表面350と第二側表面350’を形成し、第二溝部340を形成するだけでよい。このため、位置決めピン300の加工が容易になる。さらに、上記実施の形態では、第三側表面355と第一側表面350との間の側表面は平面であったが、外側に凸に湾曲していてもよい。同様に、第三側表面355と第二側表面350’との間の側表面、第四側表面355’と第一側表面350との間の側表面、第四側表面355’と第二側表面350’との間の側表面も、外側に凸に湾曲していてもよい。
【0040】
なお、上記位置決めピン300は、静電チャック3及びフォーカスリング5の位置決めを行う際にも用いられる(図7に類似)。即ち、下層石英リング7が省略された場合でも位置決めピン300を用いることができる。なお、かかる場合の位置決めピン300による静電チャック3及びフォーカスリング5の位置決めは、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0041】
図17(A)は、本発明の別の実施形態に基づく位置決めピン400の立体図であり、図17(B)は図17(A)の線Y−Yに沿った断面図であり、図17(C)は図17(A)に図示された位置決めピン400の正面図である。位置決めピン400は、上記実施の形態の位置決めピン300の第一部分320と第二部分320の間に、さらに第三部分を有している。即ち、図17(A)から図17(C)に示すように、位置決めピン400は、一体同軸成型の第一部分410、第二部分420及び第三部分430を有し、且つ中空構造及び第一溝部440、貫通孔445、第二溝部450、第三溝部460を備える。貫通孔445は、第一溝部440の両端部に形成され、側面視において長方形状を有している。また、貫通孔445は、第一溝部440よりも大きい幅を有している。これら第一溝部440、貫通孔445、第二溝部450及び第三溝部460は、それぞれ位置決めピン400において対向して2箇所ずつに形成されている。図18(A)は、図17(A)の線a−aの断面図であり、第一部分410の断面を表示している。図18(B)は、図17(A)の線b−bの断面図であり、第三部分430の断面を表示している。図18(C)は、図17(A)の線c−cの断面図であり、第二部分420の断面を表示している。第一部分410は中空円柱体である。位置決めピン400が静電チャック3内に挿入された時、第一部分410は静電チャック3の円形ピン穴内に緊密に挿入される。第一部分410において、後述する第三側表面475(第七側表面485)と第四側表面475’(第八側表面485’)に沿った側表面には、それぞれ上記第一溝部440と貫通孔445が形成されている。第二部分420は中空多辺形柱体であり、複数の側表面を有する。第二部分420のこれら側表面において、対向して平行する第一側表面470と第二側表面470’(図18(C))は、位置決めピン400がフォーカスリング5内に挿入された時、それぞれフォーカスリング5の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触する(図13に類似)。第一側表面470と第二側表面470’の間には、対向する平行な第三側表面475と第四側表面475’が存在し、第三側表面475と第四側表面475’は第一側表面470と第二側表面470’に垂直である。第二部分420の第三側表面475と第四側表面475’には、それぞれ上記第二溝部450が形成されている。第二溝部470の一端部は、第二部分420の一端部において開口している。第三部分430もまた中空多辺形柱体であり、複数の側表面を有する。第三部分430のこれら側表面において、対向して平行する第五側表面480と第六側表面480’(図18(B))は、位置決めピン400が下層石英リング7内に挿入された時、それぞれ下層石英リング7の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触する(図13に類似)。第五側表面480と第六側表面480’の間には、対向する平行な第七側表面485と第八側表面485’が存在し、第七側表面485と第八側表面485’は第五側表面480と第六側表面480’に垂直である。第二部分430の第七側表面485と第八側表面485’には、それぞれ上記第三溝部460が形成されている。
【0042】
第一側表面470と第五側表面480は、共平面(coplane)又は非共平面(non−coplane)のいずれであってもよい。第二側表面470’と第六側表面480’は、共平面又は非共平面のいずれであってもよい。図17において、第一側表面470と第五側表面480は共平面であり、第二側表面470’と第六側表面480’も共平面である。即ち、第一側表面470と第五側表面480との間には段差がなく、第二側表面470’と第六側表面480’との間にも段差がない。第三側表面475と第七側表面485は共平面であり、また第四側表面475’と第八側表面485’は共平面である。なお、本発明のもう一つの実施形態において、第一側表面470と第五側表面480は非共平面であり、第二側表面470’と第六側表面480’も非共平面である。即ち、第一側表面470と第五側表面480との間には段差があり、第二側表面470’と第六側表面480’との間にも段差がある。
【0043】
位置決めピン400は、中空構造及び第一溝部440、貫通孔445、第二溝部450、第三溝部460を有しているので、その熱膨張形態は、体積熱膨張から線熱膨張になり、その他の部材3、5、7に生じる変形に適応可能である。しかも、第一溝部440の両端部には貫通孔445が形成されているので、第一部分440が変形する際の第一溝部440の偏移を貫通孔445において受承できる。位置決めピン400も例えば上記位置決めピン300の配置方式により、半導体プラズマエッチング設備において位置決めを実施する。また、静電チャック3、フォーカスリング5及び下層石英リング7の同一円周上において、3本以上の位置決めピン400を等間隔にこの円周上に配置してもよい。この場合、熱膨張または冷却収縮による法線方向の偏移を受承して、前記部材3、5、7に対し位置決め効果が生じる。即ち、図2に示したように位置決めピン400が挿入されるピン穴がその他の部材3、5、7の同一円周上に等間隔に複数(図示の例では3箇所)形成されている場合において、その他の部材3、5、7がそれぞれ法線方向に偏移しても、位置決めピン400がこれらの他の部材3、5、7の熱膨張または冷却収縮による法線方向の偏移を受承して、その他の部材3、5、7が位置決めされる。
【0044】
なお、上記実施形態の位置決めピン400では、第一溝部440の両端部に貫通孔445が形成されていたが、少なくとも第一溝部440、第二溝部450又は第三の溝部460の両端部に貫通孔が形成されていてもよい。例えば図19に示すように第二部分420において、第二溝部450の両端部には貫通孔455が形成されていてもよい。貫通孔455は、側面視において長方形状を有している。また、貫通孔455は、第二溝部450よりも大きい幅を有している。かかる場合、第二部分450において、第二溝部450及び貫通孔455が貫通しない。このため、放電をより抑制することができ、位置決めピン400の使用寿命をさらに延長させる。また、位置決めピン400の第三部分430においても、第三溝部460の両端部には貫通孔465が形成されていてもよい。貫通孔465は、側面視において長方形状を有し、第三溝部460よりも大きい幅を有している。
【0045】
また、上記実施形態の位置決めピン400において、図20に示すように第二溝部450と第三溝部460は連続して形成されていてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態の貫通孔445は、側面視において略円形状を有していてもよい(図15に類似)。この貫通孔445の径は、第一溝部440の幅よりも大きい。かかる場合でも、第一部分410が変形する際の第一溝部440の偏移を貫通孔445において受承できる。また、第一溝部440及び貫通孔445は第一部分410を貫通しないので、放電を抑制することができる。
【0047】
図21(A)は、本発明の別の実施形態に基づく位置決めピン500の立体図であり、図21(B)は図21(A)の線Y−Yに沿った断面図であり、図21(C)は図21(A)に図示された位置決めピン500の正面図である。位置決めピン500は、上記実施の形態の位置決めピン400における第三部分430の形状を中空円柱体形状としたものである。図21(A)から図21(C)に示すように、位置決めピン500は、一体同軸成型の第一部分510、第二部分520及び第三部分530を有し、且つ中空構造及び第一溝部540、貫通孔545、第二溝部550、第三溝部560を備える。貫通孔545は、第一溝部540の両端部に形成され、側面視において長方形状を有している。また、貫通孔545は、第一溝部540よりも大きい幅を有している。これら第一溝部540、貫通孔545、第二溝部550及び第三溝部560は、それぞれ位置決めピン500において対向して2箇所ずつに形成されている。図22(A)は、図21(A)の線a−aの断面図であり、第一部分510の断面を表示している。図22(B)は、図21(A)の線b−bの断面図であり、第三部分530の断面を表示している。図22(C)は、図21(A)の線c−cの断面図であり、第二部分520の断面を表示している。第一部分510は中空円柱体である。位置決めピン500が静電チャック3内に挿入された時、第一部分510は静電チャック3の円形ピン穴内に緊密に挿入される。第一部分510において、後述する第三側表面575と第四側表面575’に沿った側表面には、それぞれ上記第一溝部540と貫通孔545が形成されている。第二部分520は中空多辺形柱体であり、複数の側表面を有する。第二部分520のこれら側表面において、対向して平行する第一側表面570と第二側表面570’(図22(C))は、位置決めピン400がフォーカスリング5内に挿入された時、それぞれフォーカスリング5の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触する(図13に類似)。第一側表面570と第二側表面570’の間には、対向する平行な第三側表面575と第四側表面575’が存在し、第三側表面575と第四側表面575’は第一側表面570と第二側表面570’に垂直である。第二部分520の第三側表面575と第四側表面575’には、それぞれ上記第二溝部550が形成されている。第二溝部570の一端部は、第二部分520の一端部において開口している。第三部分530は中空柱体であり、複数の側表面を有する。第三部分530のこれら側表面において、対向して平行する第五側表面580と第六側表面580’(図22(B))は、位置決めピン500が下層石英リング7内に挿入された時、それぞれ下層石英リング7の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触する(図13に類似)。第五側表面580と第六側表面580’の間には、外側に凸に湾曲する第七側表面585と第八側表面585’が存在している。第二部分530の第七側表面585と第八側表面585’には、それぞれ上記第三溝部560が上記第三側表面575と第四側表面575’に沿って形成されている。
【0048】
第一側表面570と第五側表面580は、共平面(coplane)又は非共平面(non−coplane)のいずれであってもよい。第二側表面570’と第六側表面580’は、共平面又は非共平面のいずれであってもよい。図21において、第一側表面570と第五側表面580は共平面であり、第二側表面570’と第六側表面580’も共平面である。即ち、第一側表面570と第五側表面580との間には段差がなく、第二側表面570’と第六側表面580’との間にも段差がない。なお、本発明のもう一つの実施形態において、第一側表面570と第五側表面580は非共平面であり、第二側表面570’と第六側表面580’も非共平面である。即ち、第一側表面570と第五側表面580との間には段差があり、第二側表面570’と第六側表面580’との間にも段差がある。
【0049】
位置決めピン500は、中空構造及び第一溝部540、貫通孔545、第二溝部550、第三溝部560を有しているので、上記位置決めピン400と同様にその他の部材3、5、7を位置決めすることができる。なお、位置決めピンによる部材3、5、7の位置決めは、上記位置決めピン400と同様であるので説明を省略する。
【0050】
上記実施の形態では、第一溝部330、440、540は、それぞれ第一部分310、410、510において2箇所に形成されていたが、その個数は上記実施の形態に限定されない。例えば第一溝部330、440、540は、1箇所に形成されていてもよいし、3箇所以上に形成されていてもよい。
【0051】
第一溝部330、440、540が3箇所以上に形成されている場合、第一溝部330、440、540はそれぞれ第一部分310、410、510の円周方向に等間隔に形成される。例えば第一溝部330、440、540が3箇所に形成される場合、第一溝部330、440、540は第一部分310、410、510の側表面において120度毎に形成される。かかる場合、静電チャック3のピン穴に対する第一部分310、410、510の中心位置決め精度をさらに向上させることができる。
【0052】
この他、本発明の位置決めピンは半導体プラズマエッチング設備にのみ用いられるだけではなく、例えば、熱膨張係数の差異により偏移が生じる部材、構造などの位置決めのように、位置決めが必要な他の技術分野にも応用可能である。例を挙げれば、本発明の位置決めピンを橋や建築物の接合箇所に用いたり、又はモータービークル部品の接合位置決めに応用してもよい。
【0053】
本発明は既に実施形態及び図面にて詳細に説明したが、本発明分野において通常の知識を有する者が本発明の本質と範疇を超えない状況のもと、各種改良、変更及び同等効果の置換を行うことができるが、これら改良、変更及び同等効果の置換は、依然本発明の特許を請求しようとする範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、熱膨張係数に差異がある部材の位置決めに有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 位置決めピン
3 静電チャック
5 フォーカスリング
7 下層石英リング
51 ピン穴
51a 長辺
51b 長辺
100 位置決めピン
110 溝部
120 第一側表面
120’ 第二側表面
130 第三側表面
200 位置決めピン
210 第一溝部
220 第一側表面
220’ 第二側表面
225 第三側表面
225’ 第四側表面
230 第五側表面
230’ 第六側表面
235 第七側表面
235’ 第八側表面
240 第二溝部
300 位置決めピン
310 第一部分
320 第二部分
330 第一溝部
335 貫通孔
340 第二溝部
345 貫通孔
350 第一側表面
350’ 第二側表面
355 第三側表面
355’ 第四側表面
400 位置決めピン
410 第一部分
420 第二部分
430 第三部分
440 第一溝部
445 貫通孔
450 第二溝部
455 貫通孔
460 第三溝部
465 貫通孔
470 第一側表面
470’ 第二側表面
475 第三側表面
475’ 第四側表面
480 第五側表面
480’ 第六側表面
485 第七側表面
485’ 第八側表面
500 位置決めピン
510 第一部分
520 第二部分
530 第三部分
540 第一溝部
545 貫通孔
550 第二溝部
560 第三溝部
570 第一側表面
570’ 第二側表面
575 第三側表面
575’ 第四側表面
580 第五側表面
580’ 第六側表面
585 第七側表面
585’ 第八側表面
A 第一部分
B 第二部分
A’ 第一部分
B’ 第二部分
C’ 第三部分
M 半導体製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決めピンであって、
中空円柱体である第一部分と、
複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、前記第一部分と一体同軸成型され、前記複数の側表面は第一側表面、第二側表面、第三側表面及び第四側表面を有し、前記第一側表面は前記第二側表面に対して平行であり、前記中空多辺形柱体の軸方向に対して垂直方向の断面視において、前記第一側表面の長さと前記第二側表面の長さはそれぞれ前記第一側表面と前記第二側表面との間の長さよりも長く、前記第三側表面と第四側表面は前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置する第二部分と、を有し、
前記第一部分における前記円柱体の側表面には、当該円柱体の軸方向に沿って平行に2箇所以上に延伸する溝である第一溝部が形成され、
前記第二部分における前記第三側表面と前記第四側表面には、それぞれ前記中空多辺円柱体の軸方向に沿って平行に延伸する溝である第二溝部が形成され、
少なくとも前記第一溝部と前記第二溝部との一方における溝の両端部には貫通孔が形成され、
前記第一溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第一溝部よりも大きい幅を有し、
前記第二溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有する。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決めピンであって、
前記第三側表面は前記第四側表面に対して平行であり、前記第三側表面と前記第四側表面は前記第一側表面と前記第二側表面に垂直である。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の位置決めピンであって、
前記第一溝部は、前記円柱体の円周方向に等間隔に形成されている。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の位置決めピンであって、
前記第一部分と前記第二部分との間に設けられ、前記第一部分及び前記第二部分と一体同軸成形された前記第三部分と、
前記第三部分において、前記第三側表面に沿った側表面と前記第四側表面に沿った側表面にそれぞれ形成された第三溝部と、を有し、
少なくとも前記第一溝部、前記第二溝部又は前記第三溝部の両端部には前記貫通孔が形成され、
前記第一溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第一溝部よりも大きい幅を有し、
前記第二溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有し、
前記第三溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有する。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の位置決めピンであって、
前記第一部分と前記第二部分との間に設けられた第三部分を有し、
前記第二溝部は前記第二部分及び前記第三部分の軸方向に沿って前記第三部分まで延伸している。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の位置決めピンであって、
前記第三部分は、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、
前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ前記第五側表面と第六側表面に垂直であり、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面であり、前記第三側表面と前記第七側表面は共平面であり、前記第四側表面と前記第八側表面は共平面である。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の位置決めピンであって、
前記第三部分は、複数の側表面を有する中空柱体であって、
前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ湾曲し、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面である。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の位置決めピンであって、
前記第一側表面と前記第五側表面が非共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面が非共平面である。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の位置決めピンであって、
前記貫通孔は側面視において長方形状を有する。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の位置決めピンであって、
前記貫通孔は側面視において円形状を有する。
【請求項11】
半導体製造装置であって、
静電チャックと、当該静電チャックの周辺部材と、前記静電チャック及び前記周辺部材に用いられる位置決めピンと、を有し、
前記位置決めピンは、
中空円柱体である第一部分と、
複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、前記第一部分と一体同軸成型され、前記複数の側表面は第一側表面、第二側表面、第三側表面及び第四側表面を有し、前記第一側表面は前記第二側表面に対して平行であり、前記中空多辺形柱体の軸方向に対して垂直方向の断面視において、前記第一側表面の長さと前記第二側表面の長さはそれぞれ前記第一側表面と前記第二側表面との間の長さよりも長く、前記第三側表面と第四側表面は前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置する第二部分と、を有し、
前記第一部分における前記円柱体の側表面には、当該円柱体の軸方向に沿って平行に2箇所以上に延伸する溝である第一溝部が形成され、
前記第二部分における前記第三側表面と前記第四側表面には、それぞれ前記中空多辺円柱体の軸方向に沿って平行に延伸する溝である第二溝部が形成され、
少なくとも前記第一溝部と前記第二溝部との一方における溝の両端部には貫通孔が形成され、
前記第一溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第一溝部よりも大きい幅を有し、
前記第二溝部の両端部に貫通孔が形成されている場合には、当該貫通孔は前記第二溝部よりも大きい幅を有し、
前記位置決めピンは、前記静電チャック及び前記周辺部材に用いられ、前記位置決めピンが前記静電チャック及び前記周辺部材内に挿入されることにより、前記第一部分が前記静電チャックの円形ピン穴に緊密に挿入され且つ前記第二部分の前記第一側表面及び前記第二側表面がそれぞれ前記周辺部材の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触し、
前記静電チャックと前記周辺部材の同一円周上に等間隔で少なくとも3本の前記位置決めピンが設置される。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体製造装置であって、
前記周辺部材がフォーカスリングを有する。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体製造装置であって、
前記周辺部材が下層石英リングをさらに有する。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載の半導体製造装置であって、
前記位置決めピンは、前記第一部分と前記第二部分との間に設けられた第三部分を有し、
前記第三部分は、複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、
前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ前記第五側表面と第六側表面に垂直であり、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面であり、前記第三側表面と前記第七側表面は共平面であり、前記第四側表面と前記第八側表面は共平面である。
【請求項15】
請求項11〜13のいずれかに記載の半導体製造装置であって、
前記位置決めピンは、前記第一部分と前記第二部分との間に設けられた第三部分を有し、
前記第三部分は、複数の側表面を有する中空柱体であって、
前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ湾曲し、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面である。
【請求項16】
位置決めピンであって、
中空円柱体である第一部分と、
複数の側表面を有する中空多辺形柱体であり、前記第一部分と一体同軸成型され、前記複数の側表面は第一側表面、第二側表面及び第三側表面を有し、前記第一側表面は前記第二側表面に対して平行であり、前記第三側表面は前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置し、且つ前記第一側表面と前記第二側表面に垂直である第二部分と、
前記第三側表面に沿って前記第一部分と前記第二部分に連続して形成され、且つ前記第一部分と前記第二部分を貫通している溝部と、
を有する。
【請求項17】
請求項16に記載の位置決めピンであって、
前記位置決めピンは、静電チャック及びその周辺部材に用いられ、前記位置決めピンが前記静電チャック及び前記周辺部材内に挿入されることにより、前記第一部分が前記静電チャックの円形ピン穴に緊密に挿入され且つ前記第二部分の前記第一側表面及び前記第二側表面がそれぞれ前記周辺部材の長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触し、
前記静電チャックと前記周辺部材の同一円周上に等間隔で少なくとも3本の前記位置決めピンが設置される。
【請求項18】
位置決めピンであって、
中空円柱体である第一部分と、
複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、前記複数の側表面は、第一側表面、第二側表面、第三側表面及び第四側表面を有し、前記第一側表面は前記第二側表面に対向して平行であり、前記第三側表面と前記第四側表面は前記第一側表面と前記第二側表面との間に位置し、且つ前記第一側表面と前記第二側表面に垂直である第二部分と、
複数の側表面を有する中空多辺形柱体であって、且つ前記第一部分及び前記第二部分と一体同軸成型され、前記第二部分を前記第一部分との間に介し、前記複数の側表面は第五側表面、第六側表面、第七側表面及び第八側表面を有し、前記第五側表面は前記第六側表面に対向して平行であり、前記第七側表面と前記第八側表面は前記第五側表面と前記第六側表面との間に位置し且つ前記第五側表面と第六側表面に垂直であり、前記第一側表面と前記第五側表面は共平面であり、前記第二側表面と前記第六側表面は共平面であり、前記第三側表面と前記第七側表面は共平面であり、前記第四側表面と前記第八側表面は共平面である第三部分と、
共平面である前記第三側表面と前記第七側表面に沿って、前記第一部分、前記第二部分及び前記第三部分に連続して形成され、且つ前記第一部分、前記第二部分及び前記第三部分を貫通する第一溝部と、
前記第二部分の前記第四側表面に形成され、前記第二部分を貫通し、前記第一溝部に対向して平行である第二溝部と、
を有する。
【請求項19】
請求項18に記載の位置決めピンであって、
前記位置決めピンは、静電チャック及びその周辺部材に用いられ、前記周辺部材はフォーカスリング及び下層石英リングを有し、前記位置決めピンが前記静電チャック、前記フォーカスリング及び前記下層石英リングに挿入されることにより、前記第一部分が前記静電チャックの円形ピン穴に緊密に挿入され、前記第二部分の前記第一側表面及び前記第二側表面がそれぞれ前記下層石英リングの長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺と緊密に接触し、且つ前記第三部分の前記第五側表面及び前記第六側表面がそれぞれ前記フォーカスリングの長円形ピン穴の二つの対向する平行な長辺に緊密に接触し、
前記静電チャックと前記周辺部材の同一円周上に等間隔で、少なくとも3本の前記位置決めピンが設置される。
【請求項20】
請求項18に記載の位置決めピンであって、
前記第二溝部はそれぞれ前記第二部分及び前記第三部分の軸方向に前記第一部分及び前記第三部分まで延伸可能である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−97028(P2011−97028A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206947(P2010−206947)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】