説明

物品監視システム

【課題】物品に無線タグを付して盗難等を監視するシステムにおいて、ユーザが物品を識別しやすい情報をタグIDに対応付ける作業が煩雑であった。
【解決手段】携帯端末12にタグリーダ部42、撮像部44を搭載し、タグリーダ部42が無線タグを検知する範囲62と撮像部44の撮影範囲68とが基本的に共通となるように設定する。タグリーダ部42が物品に付された無線タグを検知している状態にて、撮像部44が撮影を行うことにより、当該物品の画像が取得される。当該物品画像はユーザが識別容易な情報として用いることができる。制御部40は、当該物品から得たタグIDと物品画像とを対応付けた物品情報を生成し、監視装置へ送信し登録する。監視装置は、無線タグの存在を監視し、それが検出されない場合、その無線タグに対応付けて登録されている物品画像をユーザに提示し、通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に付された無線タグの検出結果に基づいて、当該物品の存在を監視する物品監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの個々の貴重品にRFID(Radio Frequency Identification)タグを貼り付け、留守宅に置かれた当該貴重品を、宅内に設置したタグリーダで監視するシステムが下記特許文献1に示されている。
【0003】
当該システムでは、ユーザは自ら携帯電話機のライタでRFIDタグに品名等の情報を書き込み、当該情報によって貴重品を識別することができる。
【特許文献1】特開2005−151200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視対象とする物品を識別する情報をユーザに手入力させることは、ユーザにとって煩雑であり、また誤入力を生じやすいという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、無線タグが付された物品の識別を容易とする情報を、より少ないユーザ負荷で当該無線タグに対応づけることを可能とする物品監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品監視システムは、物品に付された無線タグの検出結果に基づいて、当該物品の存在を監視するシステムであって、前記無線タグの識別情報と当該無線タグが付された前記物品に関連する関連画像とを対応づけた物品情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶される前記物品情報を生成する物品情報生成部と、を有し、前記物品情報生成部が、前記物品が存在する領域の画像を撮影する撮像部と、前記撮像部の撮影範囲に応じた検知範囲を有し、当該検知範囲に存在する前記無線タグを検出するタグ検出部と、前記タグ検出部で前記無線タグを検出したときに前記撮像部で得た撮影画像を、前記関連画像として当該無線タグの前記識別情報に対応付ける結合部と、を有するものである。
【0007】
本発明によれば、物品とは関係なく付与される無線タグの識別情報と、当該無線タグを付される物品に関連する関連画像とが対応付けられる。例えば、システムは、無線タグの識別情報に基づいて当該無線タグの存在を監視する一方、ユーザに対しては、無線タグの識別情報よりも物品を理解容易な関連画像を用いて、監視結果を示すことができる。撮像部の撮影範囲とタグ検出部の検知範囲とを対応させたことに基づいて、物品情報生成部が、例えば、無線タグが付された物品の画像等を関連画像として取得し、識別情報に対応付ける。
【0008】
上記タグ検出部は、前記撮像部の画角に応じた指向性を有し、前記無線タグとの間の送受波を行うアンテナを備えた構成とすることができる。
【0009】
上記結合部は、前記撮影画像の鮮明度を判定し、前記鮮明度が所定基準値以上の場合に前記物品情報を生成する構成とすることができる。
【0010】
また上記結合部は、前記タグ検出部が前記無線タグを1つだけ検出した場合に、当該無線タグに対応する前記物品情報を生成する構成とすることができる。
【0011】
さらに、上記結合部は、前記タグ検出部が検出した前記無線タグに対応する前記物品情報が前記記憶部に既に記憶されている場合に、当該無線タグを前記物品情報の生成対象から除外する構成とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る物品監視システムは、前記記憶部を有する監視装置と、前記物品情報生成部を有し、かつ前記監視装置と通信可能であって、生成した前記物品情報を前記監視装置の前記記憶部に登録する携帯端末と、を含む構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、物品情報生成部が、識別情報と関連画像とを対応付けて物品情報を生成する処理の基本的な作業を行うので、当該物品情報の生成に関するユーザの負荷が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態である物品監視システムの概略の構成を示す模式図である。本システムは、監視領域2、監視センタ4を含んで構成される。監視領域2は、例えば、ユーザの住居や事務所等の屋内やその建物近傍の屋外に設定することができる。監視領域2には、監視装置6及びタグリーダ8が設置される。また、図1には、監視領域2内に、監視対象となる物品10及びユーザが操作する携帯端末12を示している。監視対象とする各物品10には無線タグ14が付される。各無線タグ14には互いを識別可能とする識別情報であるタグIDが予め与えられている。携帯端末12は移動体通信機能を有する。監視装置6と監視センタ4とは、公衆回線網等のネットワーク16を介して通信可能に構成される。またネットワーク16には、移動体通信の基地局18も接続され、監視装置6と携帯端末12とはネットワーク16及び移動体通信を介して通信することができる。
【0016】
以下、本システムの主要な構成要素について個別に説明する。
【0017】
タグリーダ8は、監視領域2に存在する無線タグ14を検出する。具体的には、タグリーダ8は、それが設置された周囲領域へ質問波を周期的に送出し、それに対する無線タグ14からの応答波を検知することによって無線タグ14を検出する。タグリーダ8は、監視領域2全域での無線タグ14の検出を可能とするように配置され、必要に応じて複数台配置される。
【0018】
なお、質問波は、RFIDシステムで用いられる所定の搬送波周波数を有する電波であり、1台のタグリーダ8が無線タグ14を検出できる領域の広さは、搬送波周波数に応じて変わる。本システムでは、タグリーダ8と物品10の無線タグ14との間の無線通信は、非接触方式で行われるように構成され、搬送波周波数もこれに適応した周波数帯域に設定される。さらに、少数のタグリーダ8で比較的広い監視領域2をカバーするという点からは、タグリーダ8と無線タグ14との距離が比較的大きくても通信可能な周波数を利用することが好適であり、例えば、UHF帯を用いることができる。
【0019】
タグリーダ8は応答波を復調して、それを送信した無線タグ14のタグIDを取得する。タグリーダ8と監視装置6とは宅内配線や有線/無線LAN等で通信可能に接続され、タグリーダ8は検出した無線タグ14のタグIDを監視装置6へ通知する。本システムでは、1台のタグリーダ8の検出領域内に複数の物品10が存在することが想定されるため、アンチコリジョン機能(複数同時読み取り機能)を有するタグリーダ8を用いることが好適である。これにより、検出領域内に存在する複数の無線タグ14から、一斉かつ漏れなく、タグIDを取得することが可能となる。
【0020】
なお、タグリーダ8は、検出したタグID全部を監視装置6へ送信する構成に代えて、自身が検出しているタグIDを記憶し、新たに検出されたり、反対に検出できなくなったことにより記憶内容に変化が生じた場合に、当該変化に係るタグIDだけを監視装置6へ送信する構成とすることもできる。
【0021】
また、タグリーダ8での読み取りエラー等によって、検出タグIDの変化が不要に発生し得ることへの対策として、任意の無線タグ14の検出/非検出の状態が所定回数の読み取り試行で一定に保たれることを条件に、当該無線タグ14の検出状態を決定し、またその変化を判定する構成とすることができる。
【0022】
図2は、監視装置6の概略の構成を示すブロック図である。監視装置6は、制御部30、記憶部32及び通信インターフェース34を含んで構成される。基本的に監視装置6は、統一的に監視する監視領域2毎に設置される。通信インターフェース34は、制御部30と、タグリーダ8、監視センタ4及び携帯端末12との通信を制御する。記憶部32は、例えば、監視領域2における監視対象の物品10を登録する監視対象物品テーブルの他、タグリーダ8による各物品10に付された無線タグ14の検出状態、制御部30で実行される処理プログラムなどを記憶する。
【0023】
監視対象物品テーブルには、各物品10に対応して物品情報が格納される。物品情報は、物品10に付された無線タグ14のタグIDと、これに対応付けられた当該物品10に関する情報とで構成される。この物品10に関する情報の1つとして、本システムでは当該物品10の画像を用いる。
【0024】
制御部30は、記憶部32に格納されたプログラムに基づいて動作し、記憶部32、通信インターフェース34等の監視装置6の各部の動作を制御する。例えば、制御部30は、後述する、物品情報を記憶部32に登録する登録処理や、物品10の監視処理を行う。監視処理では、例えば、物品10の紛失等が発生した場合に監視センタ4へ通報する処理も行う。
【0025】
監視センタ4は、各ユーザの監視装置6から例えば定期的に送られる監視対象物品テーブルを保持し、監視装置6から物品10の検出不能の通報があった場合には、当該物品10について適切な対処を行う。例えば、物品10がクレジットカードである場合には、物品情報に基づいてクレジットカード会社へ連絡し、利用停止措置を依頼することができる。また、保安要員を監視領域2の所在地へ派遣して異常の有無を確認させ、必要に応じて警察等への通報を行うといった対処を行うこともできる。
【0026】
図3は、携帯端末12の概略の構成を示すブロック図である。携帯端末12は、制御部40、タグリーダ部42、撮像部44、操作部46、表示部48、及び無線通信部50を有する。携帯端末12は、本システムの監視動作時には、例えば、監視装置6からユーザへの通報手段、又はユーザから監視装置6への指示手段等として機能する。また、本システムでは携帯端末12を用いて、監視装置6に物品情報を登録する登録処理を行うことができる。
【0027】
タグリーダ部42は、物品情報の登録処理に用いられ、タグリーダ8と同様に質問波を送出し、それに対する無線タグ14からの応答波を検知することによって無線タグ14を検出する。タグリーダ部42は送受波する電波について指向性を有し、その指向性に応じた範囲62の無線タグ14を検知する。例えば、指向性は、タグリーダ部42のアンテナ60をフェーズドアレイアンテナで構成することにより設定可能である。
【0028】
撮像部44も、物品情報の登録処理に用いられて、物品情報を構成する関連画像として物品10の画像を撮影する。撮像部44は、例えば、固体撮像素子64、レンズ等の光学系66などを含むカメラユニットからなり、当該カメラユニットの画角に応じた範囲68を撮影する。
【0029】
ここで、タグリーダ部42の無線タグ14の検知範囲62と、撮像部44の撮影範囲68とが基本的に重なり合うように構成する。これにより、タグリーダ部42が無線タグ14を検知した状態で撮像部44が撮影した画像に、当該無線タグ14を付された物品10の像を捉えることが可能となり、物品10に付された無線タグ14のタグIDと当該物品10の画像との対応付けを自動化することができる。よって、物品情報の生成に関するユーザの負荷軽減が図れる。
【0030】
なお、無線タグ14を検知可能な距離、すなわち検知範囲62の動径距離が一般に、撮影可能な距離、すなわち撮影範囲68の動径距離より短いことなどから、検知範囲62と撮影範囲68とを一致させることが容易ではない場合がある。しかし、本システムにおいては、携帯端末12を用いた物品情報の登録処理は、基本的にユーザの手元やユーザと同じ室内にある物品10について行われる。よって、撮影範囲68と検知範囲62との一致もその程度の距離にて実現されていれば、本発明の目的とする物品情報の登録処理の簡素化が達成できる。また、物品情報の登録は、無線タグ14を検知できた物品10に対して行うので、タグリーダ部42の検知方向と撮像部44の撮影方向とが略一致していれば、撮影範囲68が検知範囲62より遠くまで拡がることは大きな問題とならない。
【0031】
携帯端末12は例えば、タグリーダ部42のアンテナ60と撮像部44の光学系66とを近接して配置し、かつタグリーダ部42の送受波する電波のビーム広がり角と撮像部44の画角とを概ね一致させるように構成することができる。
【0032】
撮像部44は、ズーム機能を備え、様々な大きさの物品10を容易に撮影画像内に収めることができるように構成することができる。この場合に、タグリーダ部42は、撮像部44のズーミングに連動して、ビーム広がり角を可変制御できるように構成することができる。この場合、タグリーダ部42は、撮像部44のズームイン(望遠化)に伴って検知方向を狭くし、ズームアウト(広角化)に伴って検知方向を広げる。
【0033】
操作部46は、ユーザが携帯端末12の動作を選択したり制御部40に指示を与えるための入力手段であり、例えば、各種ボタンスイッチやタッチパネルなどから構成される。
【0034】
表示部48は、液晶等のディスプレイデバイスで構成され、制御部40からのメッセージを表示したり、撮像部44にて撮影された画像を確認するためなどに用いられる。
【0035】
無線通信部50は、移動体通信を行うための手段であり、基地局18と無線回線で接続され、監視装置6や監視センタ4との通信を可能とする。また、携帯端末12と監視装置6との間を直接無線通信で接続する構成とすることもでき、その場合、例えば、無線通信部50は無線LAN通信機能を備えるように構成される。
【0036】
制御部40は、携帯端末12の各部の動作を制御する機能を有し、例えば、制御部40は、マイクロプロセッサを用いて構成され、当該プロセッサにて実行されるプログラムにより各種動作を実現する。
【0037】
次に、本システムの動作について説明する。図4は、物品情報を生成し監視装置6に登録する登録処理を説明する概略のフロー図である。登録処理は、新たな物品10を本システムによる監視対象とする際に行われる。ユーザは、携帯端末12の操作部46を操作して、制御部40の登録処理を起動する(S70)。これにより、撮像部44は動画撮影を開始し、表示部48は当該動画を表示する。また、タグリーダ部42は無線タグ14の検出動作を開始する。
【0038】
ユーザは、携帯端末12の向きを、登録したい物品10に合わせ、登録対象物品として確定する(S72)。具体的には、ユーザは、登録したい物品10が撮像部44により撮影されるように携帯端末12の向きを調整する。ユーザは、当該物品10が表示部48の画面内に収まっていることを確認して、例えば、所定のボタンスイッチ等を押下し、当該物品10を登録対象物品として確定する。
【0039】
確定されると、制御部40は、撮像部44にその時点での静止画の撮影動作S74を指示すると共に、同時に行われるタグリーダ部42の検出処理S76によって、無線タグ14が検出されたか否かを判定する(S78)。ここで、無線タグ14が検出されない場合には、その旨を、表示部48に表示する等の方法によりユーザに通知し(S80)、例えば、登録対象物品の確定待ち状態に戻る(S72)。無線タグ14が検出されない場合として、例えば、当該物品10に実際には無線タグ14が付されていない場合や、タグリーダ部42の検知範囲62外から物品10を撮影している場合などが考えられる。通知処理S80では、例えば、これらの点に注意を促すメッセージを表示してもよい。
【0040】
さて、上述のように撮像部44の撮影範囲68に応じてタグリーダ部42の検知範囲62を設定しているため、操作部46に登録対象物品が映った状態で検知される無線タグ14は、登録対象物品に付された無線タグ14であることを期待し得る。しかし、例えば、検知範囲62内に無線タグ14を付した既登録又は未登録の他の物品10が存在する場合や、登録対象として選択した物品10がユーザの手違い等で既登録の物である場合も考えられるため、本実施形態では、検知された無線タグ14について無条件で物品情報を生成・登録せずに、確認処理を実施する。
【0041】
まず、制御部40は、判定処理S78にて無線タグ14が検知されたと判定した場合に、検知されたタグIDを、監視装置6の監視対象物品テーブルに物品情報が登録された無線タグ14のタグIDと照合する(S82)。
【0042】
なお、この照合処理は、監視対象物品テーブルに既に登録されているタグIDに関するリストを登録処理の開始時に予め監視装置6から携帯端末12に転送し、携帯端末12の制御部40にて行う構成とすることもできるし、逆に、携帯端末12にて検知したタグIDを監視装置6へ送信し、監視装置6にて照合を行い、その結果を携帯端末12に返送する構成とすることもできる。
【0043】
照合した結果、検知された1又は複数の無線タグ14が何れも既登録のものであった場合(S84)、その旨を、表示部48に表示する等の方法によりユーザに通知し(S86)、例えば、登録対象物品の確定待ち状態に戻る(S72)。
【0044】
一方、検知された無線タグ14に未登録のものがあった場合は(S84)、続いて、制御部40は、検知された無線タグ14が1つだけであるか否かを判定する(S88)。無線タグ14の検知個数が1個であった場合は、未登録の無線タグ14が1つだけ検知されている状態であり、この場合、処理S74で撮影された静止画には、登録対象物品の像が、無線タグ14を付された他の物品と混同を生じにくい態様で映っていることが期待できる。
【0045】
制御部40は撮影された画像の鮮明度を検査し(S90)、鮮明度が所定の閾値以上であれば(S92)、当該画像を検知された未登録の無線タグ14のタグIDと対応づけて物品情報を生成し、監視装置6へ送信する(S94)。監視装置6は携帯端末12から受信した物品情報を記憶部32の監視対象物品テーブルに登録する(S96)。
【0046】
判定処理S88にて、検知された無線タグ14が複数存在すると判定された場合、制御部40は、その旨を、表示部48に表示する等の方法によりユーザに通知し(S98)、ユーザに登録処理を進めるか中止するかの指示を仰ぐ(S100)。ユーザは例えば、物品10の位置を変えたり、撮影方向を変えたりすることにより、複数検知状態を解消することが可能であり、そのような場合には中止を選択して、登録対象物品の確定処理S72からやり直すことができる。
【0047】
このように、ユーザによる登録対象物品の確定操作に応じ、略同一範囲を見ているタグリーダ部42及び撮像部44にて、物品10に付された無線タグ14のタグID及び物品10の画像を基本的に同時に取得するため、物品10の画像とタグIDとの対応付けを確実に行うことができる。
【0048】
一方、例えば、登録対象としない既登録の物品10が登録対象物品の背後に存在するなどのように、既登録の物品10の無線タグ14は検知されるが、画像上には現れないか目立たず、当該画像を登録対象物品の関連画像として登録して差し支えない場合があり得る。また、例えば、同種の複数の物品を登録する場合などには、それらがまとめて映った画像を関連画像として登録したいというユーザの要望もあり得る。物品情報として登録する関連画像は、単にタグIDだけでは物品10を理解困難であることに鑑み、ユーザの理解補助に供することを1つの大きな目的とするものであるから、ユーザが承諾するならば、そのような複数同時に映った画像の登録を排除する必要はない。そこで、ユーザが登録を指示した場合には(S100)、検知された無線タグ14が複数存在する状態で処理S74で撮影されている静止画に対し、検知された未登録の無線タグ14が1つの場合について上述した処理S90〜S96を行って、物品情報を生成し、当該物品情報を監視装置6に登録する。なお、未登録の無線タグ14が複数検知されている場合には、未登録の各無線タグ14毎に物品情報を登録する。
【0049】
画像の鮮明度の判定処理S92にて、制御部40が求めた鮮明度が閾値未満であった場合には、制御部40は、その旨を、表示部48に表示する等の方法によりユーザに通知し(S102)、ユーザに現在の撮影画像をそのまま物品情報の関連画像として登録するか、登録処理を中止し、処理S72からやり直すかの指示を仰ぐ(S104)。ユーザは表示部48に表示される撮影画像に基づいて、その判断を行うことができ、例えば、現在の撮影画像で登録対象物品を理解可能であると考える場合などには、そのまま登録することを選択することができる。この場合には、上述の処理S94,S96により、物品情報が監視装置6に登録される。
【0050】
なお、制御部40での画像の鮮明度の判断は、例えば、固体撮像素子64から出力される画像信号の高周波成分量に基づいて行うことができ、また、エッジ、コントラスト、ピント等についてのその他の公知の判定方法を用いて行うことができる。
【0051】
上述の登録処理は、終了指示があるまで繰り返すように構成することができる。
【0052】
図5は、本システムによる物品の監視処理を説明する概略のフロー図である。監視処理を起動されている監視装置6の制御部30は基本的に、各タグリーダ8から送られる当該タグリーダ8が検知したタグIDを受信して、監視対象物品テーブルに物品情報が登録されている無線タグ14のタグIDと照合する処理を継続する(S120,S122)。
【0053】
一方、制御部30は、監視装置6に接続された全てのタグリーダ8での検知結果との照合を行っても、監視対象物品テーブルに登録されたタグIDに照合不能なものが残った場合、つまり監視領域2における監視対象の物品10の無線タグ14のうちに検出不能なものが有る場合(S122)、まず、ユーザにより所持される携帯端末12に通知する。この通知は、監視領域2に見あたらない監視対象物品が有る旨のメッセージと併せて、検出不能タグの物品情報に登録されている関連画像を送信することにより行われる(S124)。これにより、ユーザは携帯端末12の表示部48にて検出不能の物品10の画像を見ることができ、検出不能物品が何であるかを容易に理解し、対処が必要か否かを速やかに判断することができる。
【0054】
監視装置6は、ユーザから所定時間内に対処不要の指示があれば(S126)、監視センタ4へは通報せずに、タグリーダ8の検出結果を照合する処理S120に戻る。なお、制御部30は、検出不能物品に対応する物品情報に例えばフラグを立て、以降の照合処理では、検出不能とは扱わない処理とすることができる。ちなみに、ユーザが対処不要を指示し得る場合として、検出不能物品が、ユーザが監視領域2外に携行している物である場合などが考えられる。
【0055】
一方、監視装置6は、ユーザから所定時間内に対処要求の指示があれば(S128)、直ちに監視センタ4へ通報する(S130)。これにより、検出不能が盗難等である場合に迅速な対処を取ることができ、被害の軽減を図ることが可能となる。
【0056】
なお、携帯端末12が監視装置6からの通知を受信不能な状況にある場合や、ユーザが携帯端末12を携帯していない場合などには、対処不要・要求のいずれの指示もなされないことが考えられる。そこで、制御部30は、通知から所定時間経過した場合に(S132)、ユーザの指示がなくても安全のために監視センタ4へ通報する(S130)。
【0057】
監視センタ4は上述したように、通報を受けて検出不能物品に応じた適切な対処を行う。監視装置6は、監視センタ4への通報を行うと、タグリーダ8の検出結果を照合する処理S120に戻る。
【0058】
なお、監視センタ4への通報をどのような場合に行うかを例えば、監視対象物品テーブルに登録された物品10毎に設定することもできる。例えば、ユーザの指示があった場合、通報から所定時間経過した場合に通報を行う他、物品10によっては、検出不能であればユーザの指示を仰がずに直ちに通報を行うように設定することもできるし、逆に、ユーザへの通知だけに留め、所定時間経過しても監視センタ4への通報を行わないように設定することもできる。また、監視センタ4への対処要求を、ユーザが携帯端末12から行うように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態である物品監視システムの概略の構成を示す模式図である。
【図2】監視装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図3】携帯端末の概略の構成を示すブロック図である。
【図4】携帯端末を用いて物品情報を生成し監視装置に登録する登録処理を説明する概略のフロー図である。
【図5】本発明の実施形態である物品監視システムによる物品の監視処理を説明する概略のフロー図である。
【符号の説明】
【0060】
2 監視領域、4 監視センタ、6 監視装置、8 タグリーダ、10 物品、12 携帯端末、14 無線タグ、16 ネットワーク、18 基地局、30,40 制御部、32 記憶部、34 通信インターフェース、42 タグリーダ部、44 撮像部、46 操作部、48 表示部、50 無線通信部、60 アンテナ、62 検知範囲、64 固体撮像素子、66 光学系、68 撮影範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付された無線タグの検出結果に基づいて、当該物品の存在を監視する物品監視システムにおいて、
前記無線タグの識別情報と当該無線タグが付された前記物品に関連する関連画像とを対応づけた物品情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶される前記物品情報を生成する物品情報生成部と、
を有し、
前記物品情報生成部は、
前記物品が存在する領域の画像を撮影する撮像部と、
前記撮像部の撮影範囲に応じた検知範囲を有し、当該検知範囲に存在する前記無線タグを検出するタグ検出部と、
前記タグ検出部で前記無線タグを検出したときに前記撮像部で得た撮影画像を、前記関連画像として当該無線タグの前記識別情報に対応付ける結合部と、
を有すること、を特徴とする物品監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品監視システムにおいて、
前記タグ検出部は、前記撮像部の画角に応じた指向性を有し、前記無線タグとの間の送受波を行うアンテナを備えること、を特徴とする物品監視システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物品監視システムにおいて、
前記結合部は、前記撮影画像の鮮明度を判定し、前記鮮明度が所定基準値以上の場合に前記物品情報を生成すること、を特徴とする物品監視システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の物品監視システムにおいて、
前記結合部は、前記タグ検出部が前記無線タグを1つだけ検出した場合に、当該無線タグに対応する前記物品情報を生成すること、を特徴とする物品監視システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の物品監視システムにおいて、
前記結合部は、前記タグ検出部が検出した前記無線タグに対応する前記物品情報が前記記憶部に既に記憶されている場合に、当該無線タグを前記物品情報の生成対象から除外すること、を特徴とする物品監視システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の物品監視システムにおいて、
前記記憶部を有する監視装置と、
前記物品情報生成部を有し、かつ前記監視装置と通信可能であって、生成した前記物品情報を前記監視装置の前記記憶部に登録する携帯端末と、
を有すること、を特徴とする物品監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−171222(P2008−171222A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4104(P2007−4104)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】