説明

現像ローラ

【課題】 基材として安価なゴムを用いてもフィルミングの問題を生ずることがなく、かつ、トナー搬送性や表面性にも優れ、良好な画像特性を得ることができる現像ローラを提供する。
【解決手段】 シャフト1の外周に、ゴム材料を主成分とする弾性層2と、1層または2層の塗膜層3とを順次備える現像ローラである。塗膜層が1層の場合にはその厚みが13〜20μmであり、塗膜層が3ポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含み、かつ、弾性層2が角度80〜150°の研磨目を有する。また、塗膜層が2層の場合には2層の塗膜層の総厚みが13〜30μmであり、2層の塗膜層のうち、上層がポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含み、下層がシリコン化合物を含まず、かつ、弾性層が角度70〜150°の研磨目を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関し、詳しくは、複写機、プリンタ等の画像形成装置における画像形成プロセスに用いられる現像ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術の進歩に伴い、各電子写真プロセスにおいて用いられる導電性部材に対する要求も高まってきている。中でも、現像プロセスに用いられる現像ローラには、所定の電気抵抗値のみならず、現像機構に対応した種々の特性を備えていることが必要とされる。
【0003】
従来、現像剤(トナー)として非磁性一成分現像剤を用いる場合の現像方法としては、静電潜像を保持した感光ドラム等の像担持体にトナーを供給し、像担持体上の潜像にトナーを付着させて潜像を可視化する現像方法(加圧現像法)が知られている。この方法によれば、磁性材料が不要であるため装置の簡素化、小型化が容易であるとともに、トナーのカラー化が容易となる。加圧現像法は、トナーを担持した現像ローラを静電潜像を保持した像担持体に接触させて、像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより現像を行うものであるため、この方法に用いる現像ローラは、導電性を有する弾性体で形成する必要がある。
【0004】
図3に、加圧現像法を用いた現像装置の一構成例を示す。図示する現像装置においては、現像ローラ10が、トナーを供給するためのトナー供給ローラ11と静電潜像を保持した感光ドラム12との間に、感光ドラム12に接触した状態で配置され、これら現像ローラ10、感光ドラム12およびトナー供給ローラ11がそれぞれ図中の矢印方向に回転することにより、トナー13がトナー供給ローラ11により現像ローラ10の表面に供給される。供給されたトナーは成層ブレード14により均一な薄層に整えられ、この状態で現像ローラ10が感光ドラム12と接触しながら回転することにより、薄層に形成されたトナーが現像ローラ10から感光ドラム12の潜像に付着して、潜像が可視化されるようになっている。なお、図中の符号15は転写部を示し、ここで紙等の記録媒体にトナー画像が転写される。また、符号16はクリーニング部を示し、転写後に感光ドラム12表面に残留するトナーをクリーニングブレード17により除去している。
【0005】
この場合、現像ローラ10は、感光ドラム12に密着した状態を確実に保持しつつ回転しなければならないため、通常、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、各種弾性ゴムやポリウレタン等のエラストマー材、あるいは、各々の発泡体等に導電剤を配合して導電性を付与した弾性体からなる弾性層を形成した構造となっている。
【0006】
ローラの表面性の改良に係る技術としては、フィルミングの防止などを目的として、弾性層の表面に塗膜を形成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ポリオール、イソシアネート化合物および両末端反応性シリコーン油を含有する反応混合物を包含し、紙に対して0.9以上、1.2未満の動摩擦係数を示す被覆層を備えた現像ローラが記載されている。また、特許文献2には、フッ素ゴムをマトリックス成分とし所定のシリコーンオイル含有粒子が分散されてなるゴム組成物により形成された最外層を有するロールが記載されている。さらに、特許文献3には、シリコン化合物を分子内に導入したポリウレタンからなる表面層を設けた電子写真用現像ローラが記載されている。
【特許文献1】特開2000−187385号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開平9−230689号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開平11−102114号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、ローラ表面のトナー離型性を高めてフィルミングの防止を図るためには、ローラ基材としてシリコーンゴムを用いることが効果的であるが、シリコーンゴムは高価であるため、コスト性の観点から好ましくない。また、従来のローラは、多くの製造工程を経る必要があるなど、作業が煩雑であるという難点もあった。
【0008】
そこで本発明の目的は、基材として安価なゴム材料を用いてもフィルミングの問題を生ずることがなく、かつ、トナー搬送性や表面性にも優れ、良好な画像特性を得ることができる現像ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ローラ基材表面の研磨目と、その上に形成する塗膜層の厚みとを所定に規定することにより、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の現像ローラは、シャフトの外周に、ゴム材料を主成分とする弾性層と、1層の塗膜層とを順次備える現像ローラにおいて、
前記塗膜層の厚みが13〜20μmであり、該塗膜層がポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含み、かつ、前記弾性層の研磨目の角度が70〜150°であることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の他の現像ローラは、シャフトの外周に、ゴム材料を主成分とする弾性層と、2層の塗膜層とを順次備える現像ローラにおいて、
前記2層の塗膜層の総厚みが13〜30μmであり、該2層の塗膜層のうち、上層がポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含み、下層がシリコン化合物を含まず、かつ、前記弾性層の研磨目の角度が70〜150°であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明においては、前記塗膜層がディップ法により塗工されていることが好ましい。また、本発明の現像ローラは、好適には、表面粗さRkが1.5≦Rk≦6.0を満足する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記構成としたことにより、基材として安価なゴム材料を用いてもフィルミングの問題を生ずることがなく、かつ、トナー搬送性や表面性にも優れ、良好な画像特性を得ることができる現像ローラを実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1(a)、(b)に、本発明の現像ローラの一構成例の概略断面図を示す。図示するように、本発明の現像ローラは、シャフト1の外周に、ゴム材料を主成分とする弾性層2と、塗膜層3とを順次備えている。本発明においては、弾性層2表面の研磨目の角度と塗膜層3の膜厚とを所定の範囲に規定したことにより、基材のゴム材料によらずにフィルミングの防止を図ることができ、トナー搬送性や画像特性についても良好な現像ローラを得ることが可能となったものである。
【0015】
具体的には、本発明においては、図2に示すように、弾性層2の研磨目4の角度θが70〜150°であることが必要である。研磨目4の角度θが70°未満であると、ローラ表面が粗すぎて、トナーが除去されにくくなり、フィルミングが発生してしまう。一方、研磨目4の角度θが150°を超えると、ローラ表面が平坦になりすぎてしまい、トナー搬送性が低下するとともに、表面削れが生じてトナー漏れを引き起こすことになる。上記範囲の角度を有する研磨目は、例えば、粒度46〜120番程度の砥石を用いて、弾性層2の表面研磨を行うことにより形成することができる。
【0016】
また、塗膜層3は、図1(a)に示すように、1層にて設ける場合には厚み13〜20μm、図1(b)に示すように、2層にて設ける場合には2層の総厚みで13〜30μmとなるよう、それぞれ形成することが必要となる。厚みがこの範囲よりも薄いと、レベリング効果が不十分となり、フィルミングの問題を生ずる。一方、この範囲よりも厚いと、塗膜層の表面性が悪化して画像不良の問題を引き起こすとともに、平坦になりすぎるためにトナー搬送性が低下してしまう。
【0017】
さらに、最表層を構成する塗膜層3は、ポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含むことが必要となる。即ち、塗膜層3が1層の場合にはその層が(図1(a))、また、塗膜層3が2層からなる場合にはそのうち上層3bが(図1(b))、ポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含むものとする。最表層を構成する塗膜層3にシリコン化合物を含有させることで、ローラ表面のトナー離型性を向上して、フィルミング防止効果を付与することができる。なお、塗膜層3を2層にて形成する場合に上層3bのみにつき上記配合を適用するのは、下層3aにシリコン化合物を含有させると塗工時に上層3bをはじいてしまい、2層の界面で剥離を生じやすくなるためである。従って、2層からなる塗膜3の場合、そのうち下層3dにはシリコン化合物を含有させないことが必要である。
【0018】
ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基と水酸基を持つ化合物との反応生成物を主成分とするものであり、その材料としては、樹脂中にウレタン結合を含むものであれば、特に制限はない。一般的なポリウレタン材料としては、ポリオール成分およびイソシアネート成分が挙げられ、ポリオール成分としては、具体的には例えば、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、THF−アルキレンオキサイド共重合体ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物、フォスフェート系ポリオール、ハロゲン含有ポリオール等を好適に用いることができる。
【0019】
また、イソシアネート成分についても特に制限はなく、汎用であるTDI、MDI、粗製−MDI(ポリメリックMDI)、および変性MDIだけでなく、特殊なイソシアネートを用いても差し支えない。特殊なイソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添−XDI、水添−MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオフェスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロへプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらも好適に用いることができる。
【0020】
上記塗膜層3配合中には、上記ポリオール成分およびイソシアネート成分に加えて、所望に応じ架橋剤、界面活性剤、触媒等を添加することができ、これにより所望に応じた層構造とすることができる。
【0021】
触媒としては、例えば、有機金属触媒のジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、スタナスオクトエート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレニート、ジオクチルチンマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、フェニル水銀、プロピオン酸銀、オクテン酸錫、アミン触媒のトリエチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノエタノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等が好ましく用いられる。これらの触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
また、塗膜層3中には、難焼剤や充填材、イオン導電剤や電子導電剤等の導電剤、公知の充填剤や架橋剤等を適宜使用することも可能である。イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩などが挙げられる。
【0023】
また、電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属などを挙げることができる。
【0024】
これらの導電剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。その配合量には特に制限はなく、所望に応じ適宜選定可能であるが、上記配合の場合には、通常は、ポリウレタン材料100重量部に対し、0.1〜40重量部、好ましくは0.3〜20重量部の割合である。
【0025】
上記配合におけるシリコン化合物およびシリカの配合量としては、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、シリコン化合物0.1〜30重量部、シリカ15〜40重量部程度とすることができる。なお、塗膜層3を2層で形成する場合の下層3aについては、本発明においては特に制限されるものではないが、例えば、上層3bの配合からシリコン化合物を除いたポリウレタン樹脂およびシリカを主成分とする配合とすることができる。
【0026】
塗膜層3の形成方法としては、特に制限されるものではなく、スプレー法、ディップ法など公知の手法を用いることができるが、好ましくは、ディップ法を用いる。また、弾性層2と塗膜層3との間の接着性を高めるために、層間にプライマーを設けることも可能である。
【0027】
シャフト1としては、良好な導電性を有するものであれば、いずれのものも使用することができ、特に制限されるものではない。通常は、鉄やステンレススチール、アルミニウム、これらを含む合金などの金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフトを用いる。
【0028】
また、弾性層2はゴム材料を主成分として形成され、ゴム材料に前記と同様の導電剤を適宜配合して、抵抗値を調整することにより形成される。かかるゴム材料としては、特に制限されるものではないが、例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、液状ポリイソプレンゴム(LIR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム(EVA)およびこれらの混合物等が挙げられるが、特にはシリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリンゴムが好ましく用いられる。
【0029】
弾性層2における導電剤の配合量としては、特に制限されるものではないが、イオン導電剤の場合には、ゴム材料100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部の範囲内、電子導電剤の場合には、ゴム材料100重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部の範囲内とすることができる。この導電剤配合量の調整により、弾性層2の体積抵抗値を、103〜1010Ω・cm、特には104〜109Ω・cmの範囲に好適に調整することができる。
【0030】
また、本発明のローラの表面粗さRkは、好ましくは1.5≦Rk≦6.0、より好ましくは2.0≦Rk≦4.0である。表面粗さRkが小さすぎるとトナー搬送性が低下し、一方、大きすぎるとトナー単位量あたりの印刷枚数が減少するとともにフィルミングの問題が生ずるおそれがあり、いずれも好ましくない。なお、表面粗さRkは、JISに規定された測定法に準拠して測定することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を、実施例を用いてより具体的に説明する。
以下の表1中に示す配合ゴムを用いて、直径6mm、長さ254mmのシャフト1の外周に弾性層2を形成し、その後、粒度60番の砥石を用いて、研磨目4の角度θが夫々下記の表3〜8中に示す角度となるようその表面を研磨処理した。
【0032】
【表1】

1)BR:日本ゼオン社製、「BR1220L」
2)IR:日本ゼオン社製、「IR2200L」
3)LIR:クラレ(株)製、「LIR−30」
4)カーボンブラック:東海カーボン(株)製、「TB#5500」
5)架橋剤:日本油脂(株)製、「1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン」
【0033】
次いで、下記の表2に示す配合塗料を用いて、下記の表3〜8中にそれぞれ示す膜厚にて、実施例1〜6および比較例1〜14については1層、実施例7〜12および比較例15〜28については2層の塗膜層を、夫々ディップ法により形成した。
【0034】
【表2】

6)ポリウレタン成分A:ポリエステル系ウレタン塗料、大日精化工業社製、「ダイプラコートSO 」
7)ポリウレタン成分B: 大日精化工業社製、「ダイプラコートEN2」
8)シリコン化合物:日本油脂(株)製、「FS710」
9)シリカ:日本シリカ(株)製、「SS20」
【0035】
(評価)
得られた各ローラにつき、以下の各観点から評価を行った。
(1)表面ムラ
ローラ表面に塗装ムラが見られ、画像不具合があるものは×、ないものは○とした。
(2)フィルミング、トナー搬送性および削れ
現像ローラを、図3に示す現像装置を備えたプリンタに組み込んで、10000枚の画出し評価を行った。ローラ表面にトナー固着が見られるものは×、ないものは○(フィルミング)、画像濃度が低いものは×、問題ないものは○(トナー搬送性)、ローラ表面に削れが見られ、トナーが漏れているものは×、問題ないものは○(削れ)とした。これらの評価結果を、塗膜層の膜厚および弾性層の研磨目の角度とともに、下記の表3〜8中に示す。
【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
【表7】

【0041】
【表8】

【0042】
上記表3〜8に示すように、塗膜層が1層または2層の場合のいずれについても、塗膜層の膜厚が10μmと薄い場合にはフィルミングの問題が生じており、一方、膜厚が22μm(塗膜層が1層の場合)または35μm(塗膜層が2層の場合)と厚い場合には、表面性が悪化するとともに、トナー搬送性や削れの点でも問題が生じた。また、研磨目の角度θが55°と小さい場合には、ローラ表面が粗すぎるためにフィルミングの問題が生じており、一方、160°と大きい場合には、トナー搬送性が低下するとともに、削れが生じてトナー漏れの問題が生じてしまった。
【0043】
また、塗膜層を2層とした場合に、下層についてもシリコン化合物を配合した場合と配合しなかった場合とを比較したところ、下記の表9に示すように、両層に配合した場合には、キュア後に塗膜層の界面で剥離が生じた。これに対し、上層のみに配合した場合には剥離は生じなかった。
【0044】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の一好適例の現像ローラを示す概略断面図である。
【図2】弾性層表面の研磨目を示す断面図である。
【図3】現像装置の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 シャフト
2 弾性層
3(3a,3b) 塗膜層(下層,上層)
4 研磨目
10 現像ローラ
11 トナー供給ローラ
12 感光ドラム
13 トナー
14 成層ブレード
15 転写部
16 クリーニング部
17 クリーニングブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの外周に、ゴム材料を主成分とする弾性層と、1層の塗膜層とを順次備える現像ローラにおいて、
前記塗膜層の厚みが13〜20μmであり、該塗膜層がポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含み、かつ、前記弾性層の研磨目の角度が70〜150°であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
シャフトの外周に、ゴム材料を主成分とする弾性層と、2層の塗膜層とを順次備える現像ローラにおいて、
前記2層の塗膜層の総厚みが13〜30μmであり、該2層の塗膜層のうち、上層がポリウレタン樹脂、シリコン化合物およびシリカを含み、下層がシリコン化合物を含まず、かつ、前記弾性層の研磨目の角度が70〜150°であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項3】
前記塗膜層がディップ法により塗工されている請求項1または2記載の現像ローラ。
【請求項4】
表面粗さRkが1.5≦Rk≦6.0を満足する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の現像ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−227446(P2006−227446A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43216(P2005−43216)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】