説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】トナーエンド時における現像不能時間を無くし、ユーザーに対しストレスを与えることの無い現像装置及びそれを備えた画像形成装置を実現する。
【解決手段】本発明は、トナーにより像担持体上の静電潜像を現像する現像ユニットと、該現像ユニットにトナーを補給するトナー補給容器とを備え、トナー補給容器は現像ユニットに対して着脱自在に設けられた現像装置において、トナーエンドを検知する手段を有するとともに、入力されているプリント情報を記憶する手段を有し、トナーエンドを検知した際に、ユーザーに対しトナーエンドを通知して停止し、新しいトナー補給容器に交換された後、すぐにトナー補給動作をせず、残っていたプリント情報の出力を開始し、トナーエンド検知時に入力されていた情報を全て出力してからトナー補給動作を開始する。これによりユーザーを待たせる事無くトナー交換直後にジョブの実行を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられる現像装置に関するものであり、さらには、この現像装置を用いた複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスによる画像形成を行う複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置においては、帯電された像担持体(例えば光導電性の感光体)に画像情報に応じた露光を行い形成した静電潜像を、現像装置のトナーを用いて現像し、トナー像を転写紙等の記録媒体に転写して画像を得る方式が広く用いられている。このような現像方式では消費されるトナーを現像装置のユニット内に補給する必要がある。この補給量を制御する方法として、現像ユニット内のトナー量を測定する方法や、テスト用のパターンを感光体上に作成し光学的に濃度を検知する方法、作像した画像の画素数をカウントする方法等が用いられている。また、現像ユニットへのトナー補給の機構としては、トナーカートリッジから直接現像ユニットへトナーを補給する方式や、トナーボトル等によりその端部からトナーホッパー部へ搬送しながら補給する方式等がある。
【0003】
一方、現像装置に蓄えられたトナーが消費され、トナー補給容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)内のトナーが少なくなると現像ユニット内のトナー残量が低くなり、トナーエンド状態となる。
このトナーエンド状態となった場合には、消費したトナーを補充するためにトナー補給容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)の交換を行う。一方でトナー補給容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)の交換ではなく、現像ローラとトナー充填部が一体となったプロセスカートリッジごと交換する方式を採用しているものもある。
【0004】
ここで、トナー補給容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)のみを交換することの利点は、現像ローラ等の高価な部品を交換する事無く安価なトナー補給容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)のみを交換するため、コストが安く済むというところにある。
ただし、この方式には、トナーエンドを迎えてからトナー補給容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)を交換し、再び現像が可能となるまでのトナーエンドリカバリーモードの時間が長くかかってしまい、ユーザーを待たせてしまう。
また、ジョブ中にトナーエンドをむかえた場合、残り数枚が僅かであったとしても、トナーエンドリカバリーが終わるまで待たねばならず、ユーザーにとっては大きな不満になりうる。
さらに、ジョブ終了とトナーエンドが重なった場合では、次のユーザーが使用するとき、最初にトナー補給容器の交換と、トナーエンドリカバリー動作を行わねばならない。
【0005】
このような問題に関して、従来技術では以下の2つの対応が見られる
(1)トナーエンドリカバリーモードの時間をできるだけ短くするという方法。
(2)画像形成装置を2つ以上ネットワークで接続し、一台がトナーエンドを迎えた場合、トナーエンドリカバリーモードの最中は他の画像形成装置からジョブを出力するという方法(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−64662公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の(1)の方法では、ユーザーが待つ時間が短くなるというだけで、待ち時間をなくすことはできない。また、トナーエンドリカバリーモードは、機種の構成に大きく依存してしまう。
また、上記の(2)の方法であればユーザーの待ち時間を無くすことができるが、複数台の画像形成装置を用意しなければならず、無駄な設備投資をしなければならない。
【0008】
しかし、そもそも画像形成装置の各機種ごとに設定されているトナーエンドの状態とは、それ以降1枚たりとも出力ができないという状態ではない。すなわち、トナーエンドは作像した画像の画素数や現像装置のユニット内(あるいはトナー補給容器内)にあるトナーの量で設定しているが、いずれもそれ以降、ある程度の枚数は正常に出力できる状態である。したがって、トナーエンド状態となった場合にも現像装置のユニット内にはトナーが残っており、直ちにジョブを中断してトナー補給容器の交換を行わなければならないという状態ではない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、上記のトナーエンド時の状態を利用し、機種ごとのトナーエンドリカバリーモードの長さに依らず、また、画像形成装置を複数台用意することなく、トナーエンド時における現像不能時間を無くし、ユーザーに対しストレスを与えることの無い現像装置及び画像形成装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の手段は、トナーにより像担持体上の静電潜像を現像する現像ユニットと、該現像ユニットにトナーを補給するトナー補給容器とを備え、前記トナー補給容器は前記現像ユニットに対して着脱自在に設けられた現像装置において、トナーエンドを検知する手段(例えばトナーエンドセンサー、または作像した画素数によってトナーエンドを検知する手段等)を有するとともに、入力されているプリント情報を記憶する手段を有し、前記トナーエンドを検知した際に、ユーザーに対しトナーエンドを通知して停止し、新しいトナー補給容器に交換された後、すぐにトナー補給動作をせず、残っていたプリント情報の出力を開始し、トナーエンド検知時に入力されていた情報を全て出力してからトナー補給動作を開始することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、トナーエンド検知をユーザーに通知し、前記トナー補給容器が交換された後、一定時間内にプリント情報の入力が無い場合にはトナー補給動作を開始することを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段の現像装置において、前記トナー補給容器の交換後にトナー補給動作を開始するまでに、出力可能な画素数の上限を設定可能とすることを特徴とする。
さらに本発明の第4の手段は、第1乃至第3のいずれか1つの手段の現像装置において、一成分現像方式を用い、前記現像ユニットに前記トナー補給容器から補給されたトナーを溜めておくトナーホッパーを有する構成であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の手段は、画像形成装置であって、第1乃至第4のいずれか1つの手段の現像装置を備え、入力されているプリント情報を記憶する手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
一般に使用されているほとんどの複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置は、一日の内で稼動している時間(使用している時間)は、停止している時間(使用されていない時間)よりも遥かに短い。特に主な使用環境であるオフィスでは、基幹用プリンタ等と比べるとその傾向は顕著である。そこで第1の手段の現像装置においては、トナーエンドを検知する手段(例えばトナーエンドセンサー、または作像した画素数によってトナーエンドを検知する手段等)でトナーエンドを検知した際に、ユーザーに対しトナーエンドを通知して停止し、新しいトナー補給用容器に交換された後、すぐにトナー補給動作をせず、残っていたプリント情報の出力を開始し、トナーエンド検知時に入力されていた情報を全て出力してから、ジョブを終了させ、使用されていない時間にトナーエンドリカバリーを行うことで、ユーザーを待たせること無くトナー交換の直後にジョブの実行を行うことができる。
【0014】
第2の手段の現像装置においては、トナーエンド検知をユーザーに通知し、トナー補給容器が交換された後、一定時間内にプリント情報の入力が無い場合にはトナー補給動作を開始することにより、ジョブが終了した時にトナーエンドになった場合にも、トナー補給容器の交換後、すぐに使用することができる。これによって、ジョブ終了とトナーエンドが重なった場合でも、次のユーザーが使用するとき、最初にトナー補給容器の交換、トナーエンドリカバリー動作を行ってからでないと使用開始できないという問題を回避することができる。
【0015】
第3の手段の現像装置においては、トナー補給容器の交換後にトナー補給動作を開始するまでに、出力可能な画素数の上限を設定可能とすることにより、トナーエンド後に出力できる上限を設定することで、異常画像が発生することを防止し、ユーザーのクレームとなることを回避できる。
また、第4の手段の現像装置においては、一成分現像方式を用い、現像ユニットにトナー補給容器から補給されたトナーを溜めておくトナーホッパーを有する構成であることにより、現像剤のトナー濃度が変化することで画像異常が発生しやすい二成分現像方式と比べ、一成分現像方式はトナー面がある程度下がっただけでは画像異常に直結しにくいという利点があるので、本発明の第1〜第3の手段は、一成分現像方式において特に有効である。
【0016】
第5の手段の画像形成装置においては、第1乃至第4のいずれか1つの手段の現像装置を備えているが、入力されているプリント情報を記憶する手段は現像装置が備えている物に限らず、画像形成装置としてプリント情報を記憶する手段(例えば作像部の制御手段(プロセスコントローラ)のメモリ等)を備えていれば良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置1は、感光体ユニット10、書き込み光学ユニット20、現像装置30K〜30Y、中間転写ユニット40、2次転写ユニット50、定着ユニット60、両面印刷用紙反転ユニット70等で構成されている。そして、黒(以下、Bkという)、シアン(以下、Cという)、マゼンタ(以下、Mという)、イエロー(以下、Yという)のカラー画像を感光体ユニット10の感光体ベルト11上に順次顕像化し、これらを重ね合わせて最終的な4色フルカラー画像を形成する。
【0019】
感光体ベルト11の周りには、感光体クリーニング装置12、帯電ローラ13、複数の現像装置30K〜30Y、中間転写ユニット40の中間転写ベルト41などが配置されている。感光体ベルト11は、駆動ローラ14、1次転写対向ローラ15、張架ローラ16間に張架され、図示しない駆動モータによって回転する。また、上記書き込み光学ユニット20は、カラー画像データを光信号に変換して、各色画像に対応した光書き込みを行い、感光体ベルト11に静電潜像を形成する。この書き込み光学ユニット20は、光源としての半導体レーザ21、ポリゴンミラー22、3つの反射ミラー23などで構成されている。
【0020】
また、上記現像装置30K〜30Yは、画像形成装置1本体の下側から順に、黒トナーを収容したBk現像装置30K、シアントナーを収容したC現像装置30C、マゼンタトナーを収容したM現像装置30M、イエロートナーを収容したY現像装置30Yとなっている。ここでは、さらに、各現像装置を図中左右方向に移動させ感光体ベルト11に対し、接離動作を行う図示しない接離機構を備える。
各現像装置30K〜30Yの構成は同じであり、現像ローラ31とトナー搬送部材37を収納した現像ユニット36と、この現像ユニット36にトナーを補給する着脱自在なトナー補給容器(例えばトナーカートリッジ)38を有しており、トナーカートリッジ38内には、トナー攪拌搬送部材32a,32bが設けられている。
【0021】
各現像装置30K〜30Y内のトナーは所定の極性に帯電され、現像ローラ31には、図示しない現像バイアス電源によって現像バイアスが印加され、現像ローラ31が感光体ベルト11に対して所定電位にバイアスされている。また、接離機構は、モータから各現像装置30K〜30Yに駆動を伝達するための図示しない電磁クラッチがオンになるとその駆動力で現像装置30K〜30Yを感光体ベルト11側に移動させるようになっている。現像時には、現像装置30K〜30Yのうち選択されたいずれか一つが移動し、感光体ベルト11に当接する。一方、電磁クラッチをオフにして駆動伝達を解除すると感光体ベルト11に当接していた現像装置が感光体ベルト11から離間する方向に移動する。
【0022】
画像形成装置1本体の待機状態では、現像装置30K〜30Yも感光体ベルト11と離間した位置にセットされており、画像形成動作が開始されると、カラー画像データに基づきレーザ光LDによる光書き込み、静電潜像の形成が開始される(以下、Bk画像データによる静電潜像をBk静電潜像という。C、M、Yについても同様)。このBk静電潜像の先端部から現像可能とすべくBk現像位置に静電潜像先端部が到達する前に、Bk現像ローラ31を回転開始して、Bk静電潜像をBkトナーで現像する。そして、以後、Bk静電潜像領域の現像動作が続行されるが、Bk静電潜像後端部がBk現像位置を通過した時点で、K現像装置30Kが感光体ベルト11から離間し、次の色の現像に備えて該当する色の現像装置が感光体ベルト11に当接する。これは少なくとも、次の画像データによる静電潜像先端部が現像位置に到達する前に完了される。また、C、M、Yについても同様の動作となる。
【0023】
上記中間転写ユニット40は、中間転写ベルト41、ベルトクリーニング装置42、位置検出用センサ43などで構成されている。中間転写ベルト41は駆動ローラ44、1次転写ローラ45、2次転写対向ローラ46、クリーニング対向ローラ47及びテンションローラ48に張架されており、図示しない駆動モータによりに駆動制御される。中間転写ベルト41端部の非画像形成領域には複数の位置検出用マーク49が設けられており、これらの位置検出用マークのうちのいずれか一つを位置出用センサ43で検出し、この検出タイミングで画像形成を開始する。また、ベルトクリーニング装置42は、クリーニングブラシ42a、接離機構等で構成されており、1色目のBk画像を中間転写ベルト41に転写している間、及び、2、3、4色目の画像を中間転写ベルト41に転写している間は接離機構によって中間転写ベルト41面からクリーニングブラシ42aを離間させておく。
【0024】
さらに、2次転写ユニット50は、2次転写ローラ51、2次転写ローラ51を中間転写ベルト41に対して接離するためのクラッチ等を備えた図示しない接離機構等で構成されている。転写紙が転写位置に到達するタイミングに合致させて2次転写ローラ51が接離機構の回転軸を中心に揺動する。この2次転写ローラ51と2次転写対向ローラ46とにより転写紙と中間転写ベルト41とを一定の圧力で接触させる。2次転写ローラ51は中間転写ユニット40に設けられた図示しない位置決め部材により2次転写対向ローラ46との平行度の位置精度が保たれている。また、2次転写ローラ51に設けた図示しない位置決めコロにより中間転写ベルト41に対する2次転写ローラ51の接触圧を一定にしている。2次転写ローラ51を中間転写ベルト41に接触させると同時に、2次転写ローラ51はトナーと逆極性の転写バイアスが印加され、中間転写ベルト41上の重ねトナー像を記録媒体である転写紙に一括転写する。
【0025】
一方、画像形成動作が開始される時期に、転写紙90は転写紙カセット80または手差しトレイ83のいずれかから給紙ローラ81aや搬送ローラ81b、81cで給送され、レジストローラ82対のニップで待機している。そして、2次転写ローラ51に中間転写ベルト41上の4色重ねのトナー像先端がさしかかるときに、ちょうど転写紙の先端がこのトナー像の先端に一致するようにレジストローラ対82が駆動され、転写紙とトナー像との位置合わせが行われる。そして、転写紙が中間転写ベルト41上のトナー像と重ねられて2次転写位置を通過する。このとき2次転写ローラ51による転写バイアスで転写紙が荷電され、トナー画像のほとんどが転写紙上に転写される。そして、中間転写ベルト41から4色重ねトナー像を一括転写された転写紙は、定着ユニット60に搬送され、所定温度に制御された定着ベルト61と加圧ローラ62のニップ部でトナー像が溶融定着され、装置本体外に送り出され、排紙トレイ84に裏向きにスタックされ、フルカラーコピーを得る。
【0026】
さらに、両面印刷を行う場合には、定着ユニット60を通過した転写紙は両面切替爪65により両面印刷用紙反転ユニット70に送られる。両面印刷用紙反転ユニット70においては、転写紙はまず反転切替爪71によって矢印D方向に案内され、転写紙後端が反転切替爪71を通過した後、反転ローラ対72が停止し、転写紙も停止する。そして、反転ローラ対72が一定のブランク時間ののち逆転を開始し、転写紙はスイッチバックを始める。このときに、反転切替爪71が切り替わり、転写紙は反転搬送経路Eを通ってレジストローラ対82に送られる。レジストローラ対82に送られた転写紙は表裏反転した状態でレジストローラ対82のニップで待機する。そして、所定のタイミングでレジストローラ対82が駆動され、転写紙は2次転写位置に送られてその裏面側に中間転写ベルト41から4色重ねトナー像を一括転写された後、定着ユニット60でトナー像が溶融定着され、装置本体外に送り出され、排紙トレイ84にスタックされ、フルカラー両面コピーを得る。
【0027】
一方、1次転写後の感光体ベルト11の表面は、感光体クリーニング装置12でクリーニングされる。また、図示しない除電ランプ等で均一に除電して、クリーニングしやすくすることもできる。
また、転写紙にトナー像を転写した後の中間転写ベルト41の表面は、ベルトクリーニング装置42のクリーニングブラシ42aを接離機構で押圧することによってクリーニングされる。中間転写ベルト41からクリーングされたトナーは回収ローラ42b、スキュリュオーガ等の搬送機構42cを経て廃トナータンク49に蓄えられる。
【0028】
次に本発明に係る現像装置及び画像形成装置の制御動作を説明する。
図3は比較例として提示した一般的な画像形成装置のトナーエンド時の制御動作の一例を示すフローチャートである。この制御動作や後述する本発明の制御動作は、画像形成装置の作像部に設けられた図示しない制御部(マイクロコンピュータやメモリ、入出力装置、カウンタ、クロック、ドットカウンタ(画素数のカウンタ)、各種制御回路等で構成されるプロセスコントローラ)で実行される。
【0029】
図3において、まずジョブを実行し、現像装置30のトナー量がトナーエンドを向かえた場合、図示しない操作部の液晶表示パネルや表示ランプ等で、ユーザーにトナーエンドを通知し、停止する。その後、新しいトナーカートリッジ38に交換されると、自動的にトナー補給動作等のトナーエンドリカバリーモードを開始し、それが終了した後に初めて次のジョブが出力可能となる。
しかし、この方式では、トナーエンドを迎えてからトナーカートリッジを交換し、再び現像が可能となるまでのトナーエンドリカバリーモードの時間が長くかかってしまい、ユーザーを待たせてしまう。
【0030】
図1は、本発明の画像形成装置のトナーエンド時の制御動作の一例を示すフローチャートである。本発明では、トナーカートリッジ38を交換するまでは、図3の一般的な制御動作と同様であるが、交換後の動作が異なる。
【0031】
本発明を実施する現像装置(または画像形成装置)は、ジョブを記憶する手段を有し、一度に入力された情報を1ジョブとして認識することができる。この記憶手段は、例えば画像形成装置の作像部に設けられた図示しない制御部(プロセスコントローラ)のメモリや、あるいは現像装置の駆動制御部に付設されるコントローラのメモリ等である。
【0032】
本発明においては、ジョブ中にドットカウンタ等でカウントされた画素数(書込み制御部からの画像情報によりドットカウンタ等で画素数をカウントすることができる)が所定の画素数の値(トナーカートリッジを交換してからトナーエンドに達するまでの画素数)に達しトナーエンドになった場合、または光学センサー等によってトナーカートリッジ内にトナーが無いことを検出した場合、あるいは光学センサー等によって現像ユニット内のトナー残量が予め規定した量より少なくなったことを検出した場合、ユーザーにトナーエンドを通知して一旦停止し、新しいトナーカートリッジ38に交換(トナー交換)された後、ジョブが上限の画素数以内であれば、ジョブの残りを出力する。そして、このジョブを出力した後、初めてトナー補給等のトナーエンドリカバリーモードを開始する。
【0033】
また、本発明では、ジョブ終了後にトナーエンドになり、トナーが交換された場合、その後、一定時間ジョブの入力が無い場合には、トナーエンドリカバリーを開始する。このトナーエンドリカバリー開始までの待機時間は設定可能であることが望ましい。本発明に係る画像形成装置は、小規模オフィスでの使用を狙った製品であるため、同じ画像形成装置を少人数で使うことになる。そのためトナーカートリッジを交換した直後にジョブの入力が無い場合は、その他に使用するユーザーがいる可能性は低いと考えられる。よって本装置では待機時間を短く設定する。逆に大規模オフィスでの使用を対象とした画像形成装置では、トナー交換直後にはジョブの入力が無くとも、短期間内に入力がされる可能性は高い。その場合、待機時間を長く設定すればよい。
ただし本発明の主な狙いは、画像形成装置が使用されていない時間に、トナーエンドリカバリーモードを行い、ユーザーが使用したい時はすぐにジョブを出力するというものである。よって本発明は小規模オフィスに置かれるような停止時間が長い機種に対して、より有効である。
【0034】
さらに本発明では、トナーエンド後もある程度現像できるとはいえ、その量には上限を設けなければいけない。したがって、その量は作像枚数ではなく、作像した画素数で設定できるようにすることが望ましい(画素数のほうが、少ない量単位で設定できる)。そして、新しいトナーカートリッジ38に交換(トナー交換)された後、ジョブが上限の画素数以内でなければ、上限の画素数まで出力した後、一旦停止し、トナーエンドリカバリーモードを行った後、残りのジョブを出力する。
なお、以上の本発明の制御動作を実施するためには、トナーエンドを従来のものよりも若干早めに検知するように設定することも有効である。
【0035】
次に本発明の現像装置の実施例の詳細を以下で説明する。
図4は本実施例の現像装置30の現像ユニット36の概略要部構成図である。現像装置30のユニット36内には、感光体ベルト11にトナーを供給して感光体ベルト11上の静電潜像を現像する現像ローラ31、現像ローラ31のトナー付着量を規制しかつトナーを本帯電させるローラ状のトナー層規制部材(ドクタローラ)32、トナー層規制部材32の表面のトナーを掻き落とす掻き落とし部材33、現像ローラ31にトナーを予備帯電させながら供給するトナー供給ローラ34、現像ローラ31の上方からのトナーの吹き出しを防ぐための入口シール35、トナーを現像ユニット外部に漏れ出ないように収納するトナーホッパー36a、トナーホッパー36aからトナー供給ローラ34へトナーを搬送するトナー搬送部材37を備えている。なお、図4では図示していないが、現像ユニット36には、図1に示したように、トナーホッパー36aにトナーを補給するためのトナーカートリッジ38が着脱自在に設けられている。
【0036】
図4ではベルト状感光体は図の矢印方向に移動するように回転している。現像ローラ31は図4の矢印の方向(時計回り方向)、すなわち感光体11の進行方向と同方向に線速比1.1〜2.0倍速で回転している。トナー搬送部材37は回転によってトナーをトナー供給ローラ34に送り出す。トナー供給ローラ34は、金属芯金と、ポリウレタン、シリコン、EPDM、ポリカーボネートなどの発泡材から構成されている。トナー供給ローラ34は現像ローラ31に所定のニップをもって接触し、相対線速差を持つように図中の矢印CW方向(もしくはその逆方向)に回転し、トナー供給ローラ34上のトナーを、該ニップ内で現像ローラ表面に擦りつけることでトナーを予備帯電させながら供給する。ドクタローラ32は現像ローラ31に対して所定の荷重で当接していて、そのニップにトナー供給ローラ34より供給されてきたトナーを通過させることで、トナー通過量を一定に整え現像ローラ表面のスラスト方向位置によらず均一なトナー層を形成する。また、通過したトナーはドクタローラ32と現像ローラ31の双方の表面と摩擦帯電されるので、感光体ベルト11への現像に供されるトナーは安定した帯電量を持つことができる。
【0037】
トナー搬送部材37で撹拌している部分がトナーホッパー36aであり、このホッパー部分には通常180g〜220gのトナーが溜まっている。本機種において、トナー不足による画像カスレが発生しうるのは、トナーホッパー内のトナー量が120g以下になった時である。よってトナーカートリッジ38が空になりトナーエンドを通知した時にはトナーホッパー36aには約200gのトナーが残っているため、カスレ等が発生するまでは80gのトナーを使用することができる。よって本発明では80gのトナー消費量に相当する画素数を、トナーエンド後にジョブを続行できる上限の画素数として設定する。
【0038】
さらに本実施例においては、一成分現像方式であるので、トナーホッパー36aの容量を200gと大きく取っている物であれば、ホッパー内のトナー残量が200gから120gまでの間は同じ品質の画像を提供することができる。本実施例のトナーホッパー容量は、トナーカートリッジ38の容量が180gから640gであることを考えると非常に大きい容量である。
【0039】
なお、本発明の画像形成装置において、入力情報(ジョブ)を記憶する手段は、現像装置30の駆動制御部等に備えることができるが、必ずしも現像装置30に備える必要は無く、画像形成装置の作像部の制御手段(プロセスコントローラ等)に備え、現像装置に情報を送るようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図2】一般的な画像形成装置のトナーエンド時の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の画像形成装置のトナーエンド時の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例を示す現像装置の現像ユニットの概略要部構成図である。
【符号の説明】
【0041】
1:画像形成装置
10:感光体ユニット
11:感光体ベルト(像担持体)
20書き込み光学ユニット
30K〜30Y:現像装置
31:現像ローラ
32:ドクタローラ
33:掻き落とし部材
34:トナー供給ローラ
35:入口シール
36:現像ユニット
36a:トナーホッパー
37:トナー搬送部材
38:トナーカートリッジ
40:中間転写ユニット
41:中間転写ベルト
50:2次転写ユニット
51:2次転写ローラ
60:定着ユニット
70:両面印刷用紙反転ユニット
80:転写紙カセット
90:転写紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーにより像担持体上の静電潜像を現像する現像ユニットと、該現像ユニットにトナーを補給するトナー補給容器とを備え、前記トナー補給容器は前記現像ユニットに対して着脱自在に設けられた現像装置において、
トナーエンドを検知する手段を有するとともに、入力されているプリント情報を記憶する手段を有し、前記トナーエンドを検知した際に、ユーザーに対しトナーエンドを通知して停止し、新しいトナー補給容器に交換された後、すぐにトナー補給動作をせず、残っていたプリント情報の出力を開始し、トナーエンド検知時に入力されていた情報を全て出力してからトナー補給動作を開始することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
トナーエンド検知をユーザーに通知し、前記トナー補給容器が交換された後、一定時間内にプリント情報の入力が無い場合にはトナー補給動作を開始することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の現像装置において、
前記トナー補給容器の交換後にトナー補給動作を開始するまでに、出力可能な画素数の上限を設定可能とすることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置において、
一成分現像方式を用い、前記現像ユニットに前記トナー補給容器から補給されたトナーを溜めておくトナーホッパーを有する構成であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置を備え、入力されているプリント情報を記憶する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−70794(P2008−70794A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251466(P2006−251466)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】