説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】規制部材によって規制された後において現像剤保持体に保持される現像剤量のムラを抑制する。
【解決手段】規制ロール97に最も近い現像ロール78の磁極である規制極部N2が、現像ロール78の軸中心C1から見たときに、規制ロール97との最近接位置Kから現像剤搬送方向上流側に、4°以上15°以下の位置に配置されている(θ2参照)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置としては、特許文献1に開示される現像装置が公知である。特許文献1に開示される現像装置は、現像ロール12が有する磁石ロール12bの一つの磁極12cと対向する位置に、現像スリーブ12aの周面と近接又は接触するように層厚規制ロール16を備える。この層厚規制ロール16は少なくとも一部が磁性材料で構成され、現像ロール12周面のほぼ法線方向に移動自在に支持されている。したがって、常にほぼ一定の圧接力が維持されるとともに、凝集したトナーや異物が圧接位置に滞留することがなく、現像ロール12上に均一な現像剤層が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−20717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、規制部材によって規制された後において現像剤保持体に保持される現像剤量のムラを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る現像装置は、像保持体に対向配置され、複数の磁極を内部に備え、現像剤を表面に前記磁極の磁力によって保持し、回転して前記現像剤を前記像保持体へ搬送する現像剤保持体と、前記現像剤保持体に対向配置され、前記現像剤保持体が保持した現像剤の量を規制し、磁性を有するロール状の規制部材と、を備え、前記現像剤保持体の軸中心から見たときの前記像保持体の軸中心位置と前記規制部材の軸中心位置との角度差が90°以内であり、前記規制部材に最も近い現像剤保持体の磁極が、前記現像剤保持体の軸中心から見たときに、前記規制部材との最近接位置から現像剤搬送方向上流側に、4°以上15°以下の位置に配置されている。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の現像装置と、表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される前記像保持体と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、規制部材によって規制された後において現像剤保持体に保持される現像剤量のムラを抑制できる。
【0008】
本発明の請求項2の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、形成される画像の濃度ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成ユニットの概略断面図である。
【図3】本実施形態に係る攪拌搬送室の概略断面図である。
【図4】本実施形態に係る現像ロールの磁力線を示す模式図である。
【図5】本実施形態に係る現像ロールの磁束密度の強度分布を示す模式図である。
【図6】本実施形態に係る規制ロールによる規制後の現像ロール上の現像剤量を示すグラフである。
【図7】本実施形態に係る規制ロールによって現像ロールから除去された現像剤のフローを示す表である。
【図8】本実施形態に係る規制極部の配置位置を替えた場合における現像剤の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係るプリンタの構成)
まず、本実施形態に係るプリンタの構成を説明する。図1には、画像形成装置の一例としてのプリンタ10が示されている。
【0011】
プリンタ10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するデジタルプリンタであり、内部に画像処理装置(図示省略)が設けられている。画像処理装置は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに画像処理を施すようになっている。
【0012】
プリンタ10の上部には、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kが交換可能に設けられている。なお、以後の説明では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒)の各色に対応する部材の符号にY、M、C、Kを付与して区別する。
【0013】
トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kには、それぞれトナー供給路13Y、13M、13C、13Kの一端が接続されている。なお、トナー供給路13Y、13M、13C、13Kは、パイプで構成されており、プリンタ10の側面に沿って下方側へ向けられた配置となっているが、途中経路の図示は省略している。
【0014】
また、プリンタ10の中央部には、Y、M、C、Kの現像剤に対応する4つの画像形成ユニット12(12Y、12M、12C、12K)が、正面視にて右斜め下方に向けて互いに一部を重ねた状態で配置されている。現像剤は、非磁性タイプのトナーと、磁性を有するキャリアとが混合されたものである。ここで、トナー供給路13Y、13M、13C、13Kの他端が、4つの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kにそれぞれ接続されており、各色のトナーが各画像形成ユニット12に供給されるようになっている。
【0015】
各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの上方には、転写部14が設けられている。転写部14は、中間転写体の一例としての中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の内側に配置され、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの各トナー像を中間転写ベルト16に多重転写させる4つの一次転写部材の一例としての一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kと、中間転写ベルト16上で重ねられたトナー像を、記録用紙Pに転写させる二次転写ロール20とを有している。
【0016】
中間転写ベルト16は、図示しないモータで駆動される駆動ロール22と、中間転写ベルト16の張力を調整するテンションロール24と、二次転写ロール20と対向配置されたバックアップロール26との間に、一定の張力で巻き掛けられており、駆動ロール22により、図1の矢印X方向(反時計回り方向)に循環駆動されるようになっている。
【0017】
一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kは、中間転写ベルト16を挟んでそれぞれの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの後述する感光体28(28Y、28M、28C、28K)と対向配置されている。また、一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kは、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性(本実施形態では一例として正極性)の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。なお、二次転写ロール20も、給電ユニットによって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が付与されるようになっている。
【0018】
また、中間転写ベルト16の駆動ロール22が設けられている位置の外周面には、クリーニング装置30が設けられている。クリーニング装置30は、クリーニングブラシ32及びクリーニングブレード34を備えており、クリーニングブラシ32及びクリーニングブレード34によって、中間転写ベルト16上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0019】
プリンタ10の記録用紙Pの搬送経路と反対側の側面近傍には、プリンタ10の各部の駆動制御を行う制御ユニット36が設けられている。また、画像形成ユニット12の下側には、帯電された感光体28の表面に各色に対応した露光光L(LY、LM、LC、LK)を照射して静電潜像を形成する露光ユニット40が設けられている。
【0020】
露光ユニット40は、4つの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kに共通の1つのユニットで構成されており、4つの半導体レーザ(図示省略)を各色の色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザから露光光LY、LM、LC、LKを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、露光ユニット40は、各画像形成ユニット12毎に個別に設けてもよい。
【0021】
また、露光ユニット40は、直方体状のフレーム38で密閉されており、内部には、各露光光Lを主走査方向に走査するためのf−θレンズ(図示省略)及びポリゴンミラー42が設けられている。フレーム38の上面には、4本の露光光LY、LM、LC、LKを、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体28に向けて出射するためのガラス窓44Y、44M、44C、44Kが設けられている。
【0022】
ここで、露光ユニット40の半導体レーザから出射された露光光LY、LM、LC、LKは、f−θレンズを介してポリゴンミラー42に照射され、このポリゴンミラー42によって偏向走査される。ポリゴンミラー42で偏向走査された露光光LY、LM、LC、LKは、結像レンズ及び複数枚のミラーからなる光学系(図示省略)を介して、感光体28上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光される。
【0023】
一方、露光ユニット40の下側には、記録用紙Pが収納された給紙カセット46が配置されている。また、給紙カセット46の端部から鉛直方向上方には、記録用紙Pを搬送する用紙搬送路50が設けられている。
【0024】
用紙搬送路50には、記録用紙Pを給紙カセット46から送り出す給紙ロール48と、記録用紙Pを1枚ずつ給紙させる用紙分離搬送用のロール対52と、中間転写ベルト16上の画像の移動タイミングと記録用紙Pの搬送タイミングを合わせる用紙先端位置合わせロール54とが設けられている。ここで、給紙カセット46から給紙ロール48によって順次送出された記録用紙Pは、用紙搬送路50を経由して、間欠的に回転する用紙先端位置合わせロール54によって中間転写ベルト16の二次転写位置まで一旦搬送され、停止される。
【0025】
二次転写ロール20の上方には、定着装置60が設けられている。定着装置60は、加熱された加熱ロール62と、この加熱ロール62に圧接された加圧ロール64とを備えている。ここで、二次転写ロール20によって各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、加熱ロール62と加圧ロール64との圧接部で熱及び圧力により定着され、記録用紙Pの搬送方向下流側に設けられた排出装置の一例としての排紙ロール66によって、プリンタ10の上部に設けられた排出部68に排出されるようになっている。また、トナー像の二次転写工程が終了した中間転写ベルト16の表面は、クリーニング装置30によって残留トナーや紙粉等が除去される。
【0026】
次に、画像形成ユニット12について説明する。ここでは、一例として、画像形成ユニット12Mについて説明する。なお、他の各色に対応した画像形成ユニット12Y、12C、12Kは、画像形成ユニット12と同様の構造であるため、説明を省略する。また、画像形成ユニット12Mの各構成部材については、符号Mを省略して表示する。
【0027】
図2に示すように、画像形成ユニット12は、矢印A(時計回り)方向に回転駆動される感光体28を備えている。感光体28の周囲には、感光体28の表面に接触して感光体28を一様に帯電する帯電装置の一例としての帯電ロール72と、前述の露光光Lにより感光体28上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像する現像装置の一例としての現像部70と、転写後の感光体28の表面に光を照射して除電を行う除電装置の一例としてのイレーズランプ74と、除電後の感光体28の表面を清掃するクリーニングユニット76とが設けられている。
【0028】
帯電ロール72、現像部70、イレーズランプ74、及びクリーニングユニット76は、感光体28の表面と対向して、感光体28の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0029】
帯電ロール72は、現像部70の後述する現像剤保持部材としての現像ロール78よりも鉛直方向下側の配置となるように、画像形成ユニット12の筐体に回転可能に設けられている。また、帯電ロール72の外周面で感光体28と反対側には、帯電ロール72表面に付着したトナー等を取り除くクリーニングロール79が回転可能に設けられている。なお、帯電ロール72は、図示しない通電手段に接続されており、画像形成時に通電されることにより感光体28表面を帯電させる。
【0030】
また、図2に示すように、画像形成ユニット12Mのクリーニングユニット76は、クリーニングブレード73と、搬送部材75とを備えている。クリーニングブレード73は、感光体28の表面に接触角を有して接触し、転写残トナー等を掻き取る。また、搬送部材75は、クリーニングブレード73の背面側に配置され、クリーニングブレード73によって掻き取られた転写残トナー等を排トナーボックス(図示省略)に排出する。
【0031】
画像形成ユニット12Mの感光体28よりも下側で、帯電ロール72及びクリーニングロール79の左側には、露光用の空間が形成されている。そして、画像形成ユニット12Mの底面で、この露光用の空間の下側に位置する部分には、露光用開口部69が形成されている。これにより、露光光LMが、露光用開口部69を通って感光体28表面に照射可能となっている。
【0032】
次に、プリンタ10の画像形成工程について説明する。
図1に示すように、画像処理装置(図示省略)で画像処理が施された画像データは、さらにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色材階調データに変換され、露光ユニット40に順次出力される。露光ユニット40では、各色の色材階調データに応じて各露光光Lを出射して、各感光体28に走査露光を行い、潜像(静電潜像)が形成される。
【0033】
図1及び図2に示すように、感光体28上に形成された静電潜像は、現像部70によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像(現像剤像)として顕在化され現像が行われる。そして、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体28上に順次形成された各色のトナー像は、4つの一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kによって中間転写ベルト16上に順次多重転写される。
【0034】
中間転写ベルト16上に多重転写された各色のトナー像は、二次転写ロール20によって、搬送されてきた記録用紙P上に二次転写される。そして、記録用紙P上の各色のトナー像が定着装置60で定着され、定着後の記録用紙Pは、排出部68に排出される。
【0035】
トナー像の転写工程が終了した後の感光体28の表面は、クリーニングユニット76によって残留トナーや紙粉等が除去される。また、中間転写ベルト16上の残留トナーや紙粉等が、クリーニング装置30で除去される。
【0036】
(現像部70の構成)
次に、現像装置の一例としての現像部70の構成について説明する。
【0037】
現像部70は、図2に示すように、現像剤Gが収容される現像剤収容室80が内部に形成された筐体81を備えている。
【0038】
現像剤収容室80には、図2及び図3に示すように、現像剤Gを攪拌(混合)して搬送する攪拌搬送路84が形成されている。
【0039】
攪拌搬送路84は、底面から立設された仕切壁93で仕切られ、第1攪拌路84Aと第2攪拌路84Bの2条の攪拌路が設けられている。仕切壁93の両端部位置には、第1開口94と第2開口95が形成されており、この第1開口94と第2開口95によって、第1攪拌路84Aと第2攪拌路84Bが通じている。
【0040】
第1攪拌路84Aの一端(図2の紙面奥側)は、第2攪拌路84Bの端面よりも外側へ向けて突出した突出部90が形成されており、突出部90の上面には、前述のトナー供給路13M(図1参照)の他端が接続されるトナー供給口96が形成されている。これにより、トナーカートリッジ11Mのトナーが、トナー供給路13Mを流下して、画像形成ユニット12M(現像部70)に供給されるようになっている。
【0041】
第1攪拌路84Aには、第1攪拌搬送部材91が配置されている。第1攪拌搬送部材91は、筐体81に回転可能に支持された第1軸部91Aと、第1軸部91Aの周りに設けられた螺旋状の第1羽根部91Bとで構成されている。同様にして、第2攪拌路84Bには、第2攪拌搬送部材92が配置されている。第2攪拌搬送部材92は、筐体81に回転可能に支持された第2軸部92Aと、第2軸部92Aの周りに設けられた螺旋状の第2羽根部92Bとで構成されている。
【0042】
第1軸部91A及び第2軸部92Aは、図示しないモータ及びギヤからなる駆動手段によって駆動されるようになっている。ここで、第1軸部91Aが矢印C方向、第2軸部92Aが矢印D方向(矢印C、Dは同じ方向)にそれぞれ回転することで、攪拌搬送路84内の現像剤Gは、供給されたトナーと混合され、それぞれ第1攪拌路84A内、及び第2攪拌路84B内を攪拌混合されながら搬送されて、第1攪拌路84Aと第2攪拌路84Bとの間を矢印方向(図3参照)に循環するようになっている。
【0043】
また、図2に示すように、筐体81には、感光体28側の側壁に開口部98が形成されている。また、現像剤収容室80には、感光体28の長手方向を軸方向とし、矢印B方向(反時計方向)に回転する現像ロール78が設けられている。さらに、現像剤収容室80には、規制部材としての規制ロール97が設けられている。
【0044】
規制ロール97は、現像ロール78の回転方向の感光体28よりも上流側で、感光体28及び現像ロール78の下側に配置されている。また、規制ロール97は、現像ロール78外周面と間隔をあけて配置されている。
【0045】
さらに、規制ロール97は、円柱状に形成された磁性体で構成されている。この磁性体としては、例えば、一般的な低炭素鋼や、フェライト系のステンレス鋼から構成されている。
【0046】
この規制ロール97では、磁性体の磁極により現像剤を保持する保持力が発生し、この保持力によって、現像ロール78に保持された現像剤の一部が削られる。このように、規制ロール97は、現像ロール78表面の現像剤の通過量を規制して、現像ロール78表面に予め決められた厚さの現像剤層を形成するようになっている。
【0047】
現像ロール78は、筐体81に形成された開口部98を介して感光体28の外周面と対向配置されている。また、現像ロール78は、現像剤収容室80に固定された磁界発生手段としてのマグネットロール78Bと、中空円筒状でマグネットロール78Bの外回りを回転可能に設けられた筒状の回転体としての現像スリーブ78Aとで構成されている。なお、現像ロール78と感光体28の間には、バイアス電圧が付与されて電界が形成されており、現像時に現像剤G中のトナーを感光体28の潜像に向けて移動させるようになっている。
【0048】
図4に示すように、現像ロール78のマグネットロール78Bは、感光体28と向き合い現像剤G(図4では図示省略)を保持するための現像極部S1と、現像極部S1と異なる極性で現像極部S1の現像剤を引き付ける搬送極部N1と、現像極部S1と同じ極性で搬送極部N1に引き付けられた現像剤Gを剥離させる剥離極部S2と、が設けられている。
【0049】
さらに、マグネットロール78Bは、剥離極部S2と同じ極性で第2攪拌搬送部材92で搬送された現像剤Gを吸引する吸引極部S3と、吸引極部S3と異なる極性で規制ロール97により薄層を形成するための規制極部N2とが設けられている。
【0050】
現像極部S1は、感光体28と最も近接する位置に配置されており、搬送極部N1は、現像スリーブ78Aの回転方向における現像極部S1よりも下流側で、現像ロール78の鉛直方向の最も上側となる位置に配置されている。剥離極部S2は、現像スリーブ78Aの回転方向における搬送極部N1よりも下流側に配置されており、吸引極部S3は、第2攪拌搬送部材92と近接する位置に配置されている。規制極部N2は、規制ロール97と対向する位置に配置されている。
【0051】
また、搬送極部N1から現像極部S1に向けて磁界M1が形成されており、搬送極部N1から剥離極部S2に向けて磁界M2が形成されている。さらに、規制極部N2から現像極部S1に向けて磁界M3が形成され、規制極部N2から吸引極部S3に向けて磁界M4が形成されている。なお、剥離極部S2と吸引極部S3とが同じ極性のため、剥離極部S2と吸引極部S3の間の領域では、剥離極部S2に向かう磁界M5と吸引極部S3に向かう磁界M6との反発力により、現像スリーブ78A上の現像剤Gが剥離されるようになっている。
【0052】
また、図5に示すように、現像ロール78では、マグネットロール78Bにおける搬送極部N1、剥離極部S2、吸引極部S3、規制極部N2、及び現像極部S1の径方向に、それぞれ磁束密度が高くなる領域B1、B4、B5、B2、B3が位置している。
【0053】
ここで、本実施形態では、現像ロール78の軸中心(回転中心)C1から見たときの感光体28の軸中心位置(回転中心)C2と規制ロール97の軸中心位置C3との角度差θ1が90°以内とされている。
【0054】
本実施形態では、剥離極部S2で剥離した現像剤が第2攪拌路84Bに落下し、撹拌搬送された後に現像に再利用されることを見込んでいるため、剥離させた現像剤が低濃度のまま落下途中で現像ロール78に再付着してしまわないよう、吸引極部S3を剥離極部S2の直下から離す必要がある。
【0055】
従って、吸引極部S3は最下部近傍に配置されるのが好ましく、それに伴って、現像剤供給のための第2攪拌路84B(第2攪拌搬送部材92)をある程度、現像ロール78の下に潜り込ませるように配置する必要が生じるため、規制ロール97はそれよりも感光体28寄りに配置されることとなる。
【0056】
このため、規制ロール97を感光体28の直下付近に配置するのが最適なレイアウトとなり、このとき、角度差θ1が90°以内となる。
【0057】
また、本実施形態では、規制ロール97に最も近い現像ロール78の磁極である規制極部N2が、現像ロール78の軸中心C1から見たときに、規制ロール97との最近接位置Kから現像剤搬送方向上流側に配置されている。
【0058】
もし仮に、規制極部N2を、現像ロール78の軸中心C1から見たときに、規制ロール97との最近接位置Kから現像剤搬送方向下流側に配置した場合には、現像極部S1と規制極部N2との間隔が狭くなり過ぎてしまい、製造上の困難が生じる可能性がある。従って、規制極部N2は、現像ロール78の軸中心C1から見たときに、規制ロール97との最近接位置Kから現像剤搬送方向上流側に配置する必要がある。
【0059】
また、本実施形態では、規制ロール97に最も近い現像ロール78の磁極である規制極部N2が、現像ロール78の軸中心(回転中心)C1から見たときに、規制ロール97との最近接位置Kから現像剤搬送方向上流側に、4°以上15°以下の位置に配置されている(θ2参照)。なお、規制極部N2の位置は、磁束密度が最も高くなる部分Hが基準となる。
【0060】
ここで、規制極部N2の位置を現像スリーブ78Aの周方向に変えて、上記の角度θ2を変化させたときについて評価を行った。
【0061】
評価は、規制ロール97による規制後の現像ロール78上の現像剤量を測定すること(図6参照)及び規制ロール97によって現像ロール78から除去された現像剤のフローを観察すること(図7参照)で行った。
【0062】
この結果、図6に示すように、規制極部N2の位置が規制ロール97に近づくにつれて規制後の現像剤量は徐々に多くなっていき、角度θ2が3°よりも狭くなるあたりから急激に多くなっていき、角度θ2が0°付近では爆発的に多くなってしまう。
【0063】
また、角度θ2が0°付近においては、規制後の現像剤量がふらついて安定しない様子も観察された。
【0064】
さらに、規制ロール97によって除去された現像剤のフローを観察したところ、図7に示すように、角度θ2が3°よりも狭くなるあたりから現像剤の動きが止まってしまい、還流しなくなることが確認された。
【0065】
これは、図8(a)に示すように、規制極部N2からの磁力線Jが垂直に近づくと、余剰な現像剤を逃がす力の成分が打ち消されてしまうため、現像ロール78で搬送されてきた現像剤Gの全てが規制ロール97との間の規制ギャップへ向かおうとして、パッキングPを起こし、その場で動きが取れなくなってしまうことが原因だと思われる。このとき、パッキング圧が急激に上昇して、規制ロール97の規制が効かなくなることで、規制後の現像剤量が急激に増大してしまうと推測される。規制後の現像剤量が不安定になるのは、規制ロール97の規制が効かなくなって現像剤が開放されたときに一時的にパッキング圧が下がるためだと思われる。
【0066】
このように、規制極部N2の配置は現像剤搬送方向下流側に限界が存在し、角度θ2は、4°以上とすべきであるといえる。
【0067】
一方、現像剤搬送方向の上流側へ規制極部N2を規制ロール97から離した場合においては、図6に示すように、規制後の現像剤量の変化は緩やかなものの、図7に示すように角度θ2が15°を超えるあたりで、規制ロール97で除去された現像剤がところてん状に押し出されるような還流フローへと変化する様子が見られた。
【0068】
これは、図8(b)に示すように、規制極部N2から規制ロール97への磁力線Jの方向が現像剤搬送方向に対して寝過ぎてしまうため、規制ロール97との間の規制ギャップをくぐって下流側へ搬送される現像剤よりも還流される現像剤Gの方が圧倒的に多くなるためであると思われる。
【0069】
このような角度差を持った配置にした際には、規制後の現像剤量にムラが出やすく、現像スリーブ78A上に全く現像剤が載らない箇所が発生することもある。このように、規制極部N2の配置には現像剤搬送方向上流側にも限界があり、角度θ2は、15°以下に設定すべきである。
【0070】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
例えば、二成分現像方式の現像装置に限定されず、磁性一成分の現像方式の現像装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 プリンタ(画像形成装置)
28 感光体(像保持体)
70 現像部(現像装置)
78 現像ロール(現像剤保持体)
97 規制ロール(規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体に対向配置され、複数の磁極を内部に備え、現像剤を表面に前記磁極の磁力によって保持し、回転して前記現像剤を前記像保持体へ搬送する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体に対向配置され、前記現像剤保持体が保持した現像剤の量を規制し、磁性を有するロール状の規制部材と、
を備え、
前記現像剤保持体の軸中心から見たときの前記像保持体の軸中心位置と前記規制部材の軸中心位置との角度差が90°以内であり、
前記規制部材に最も近い現像剤保持体の磁極が、前記現像剤保持体の軸中心から見たときに、前記規制部材との最近接位置から現像剤搬送方向上流側に、4°以上15°以下の位置に配置されている現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置と、
表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される前記像保持体と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−217762(P2010−217762A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66718(P2009−66718)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】