説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】回転体から像保持体の潜像への色材の供給が行われる供給経路を介して現像剤に含まれる磁性体が移動して、潜像に付着する量を抑制する。
【解決手段】現像ロール52は、潜像を保持して回転する感光体ドラム20に対向して設けられ、現像装置50に用いられる。現像ロール52は磁気ブラシMBを磁気吸着により周面に保持したまま回転させられ、供給経路T1にて現像を行う。一方で、電界カーテンの作用により、現像ロール52において供給経路T1よりも現像ロール52の回転方向上流側の磁気ブラシMBからトナーの一部が離脱させられ、このトナーは案内部材56によって感光体ドラム20側へと移動させられて、供給経路T2を介した現像が行われる。この現像により、供給経路T1において感光体ドラム20と現像ロール52との間の現像電界の作用が抑制され、磁気ブラシMB中の磁性体キャリアの潜像への付着が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、現像装置に用いられる回転体である現像ロールは、磁気吸着により磁性体とトナーとを含む二成分現像剤を保持する。このとき、現像ロール内のマグネットローラが磁力を与えることで磁性体キャリアが磁力線に沿って配列され、現像スリーブ上に現像剤の束が立ち上がる現象が生じる。この現像剤の束は磁性ブラシと呼ばれる。磁性ブラシは、現像スリーブの回転に伴って感光体ドラム等の像保持体に接触することで、現像電位との電位差により潜像にトナーを供給する。特許文献1には、磁気ブラシから画像部へのキャリア付着を抑制して、高品質の画像を得るための現像電位の設定方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−83279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、回転体から像保持体への色材の供給経路を介して現像剤に含まれる磁性体が移動し、像保持体上の潜像に付着する量を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1に係る現像装置は、潜像を保持して回転する像保持体に対向して設けられ、磁性体と色材とを含む現像剤を磁気吸着により周面に保持する筒状の回転体と、前記回転体のうち前記像保持体との距離が最小となる領域よりも、回転方向上流側の第1の領域で保持される前記現像剤から前記色材を離脱させて、前記像保持体のうち前記最小となる領域との距離が最小となる領域よりも前記像保持体の回転方向上流側の第2の領域で保持される前記潜像に、該色材を供給する色材供給手段とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る現像装置は、潜像を保持して回転する像保持体に対向して設けられる筒状の回転体であって、磁性体と色材とを含む現像剤を磁気吸着により周面に保持したまま回転させられ、該潜像との電位差によって前記色材を供給する回転体と、前記電位差により前記回転体によって供給される色材の供給経路よりも、該回転体の回転方向上流側の第1の領域において保持される前記現像剤から前記色材を離脱させて、該供給経路よりも前記像保持体の回転方向上流側の第2の領域で保持される前記潜像に該色材を供給する色材供給手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項3に係る現像装置は、請求項1又は2に係る構成において、前記色材供給手段は、前記第1の領域から前記第2の領域へと供給される前記色材を案内するための案内面と、前記案内面に沿って前記第1の領域から前記第2の領域の方向に配列される複数の電極とを有している案内部材と、互いに隣り合う前記電極間に作用する電界により、前記第1の領域から離脱させた前記色材を前記案内面に沿って移動させて前記第2の領域に供給するよう、前記複数の電極に与える電圧を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項4に係る現像装置は、請求項1又は2に係る構成において、前記色材供給手段は、振動を発生する振動部材と、前記第1の領域で保持される前記現像剤を前記振動部材により振動させて該現像剤から前記色材を離脱させるよう、前記振動部材の駆動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る現像装置は、請求項1又は2に係る構成において、前記色材供給手段は、空気を送る送風手段と、前記第1の領域で保持される前記現像剤に向けて空気を送り、該現像剤から前記色材を離脱させるよう、前記送風手段の駆動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、像を保持する像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記像保持体に露光を行って潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された潜像を現像する請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置と、前記現像装置の現像によって得られた画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段によって記録媒体に転写された画像を当該記録媒体に定着させる定着手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項6に係る構成において、前記制御手段は、前記回転体の現像電位を特定し、特定した該現像電位が閾値以上となった場合にのみ、前記第1の領域から前記第2の領域に前記色材を供給するための前記制御を行うことを特徴とする。
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、請求項6又は7に係る構成において、湿度を特定する湿度特定手段を備え、前記制御手段は、前記湿度特定手段により特定された湿度が閾値以上となった場合にのみ、前記第1の領域から前記第2の領域に前記色材を供給するための前記制御を行うことを特徴とする。
本発明の請求項9に係る画像形成装置は、請求項6ないし8のいずれかに係る構成において、前記現像装置に収容される前記現像剤に占める色材の濃度を特定する濃度特定手段を備え、前記制御手段は、前記濃度特定手段により特定された濃度が閾値以下となった場合にのみ、前記第1の領域から前記第2の領域に前記色材を供給するための前記制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2、6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、回転体から像保持体への色材の供給経路を介して現像剤に含まれる磁性体が移動して、像保持体上の潜像に付着する量を抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、色材の供給経路よりも回転体の回転方向上流側の領域から、当該供給経路よりも像保持体の回転方向上流側の領域へ供給される色材を移動させる経路を安定させることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて色材の供給経路よりも回転体の回転方向上流側の領域から、当該供給経路よりも像保持体の回転方向上流側の領域へ色材を供給するための構成の大型化を抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、色材の供給経路よりも回転体の回転方向上流側の領域から、当該供給経路よりも像保持体の回転方向上流側の領域へ供給する色材の量を調整しやすくすることができる。
請求項7に係る発明によれば、回転体の現像電位が像保持体への磁性体の移動が起こりやすいものでないときには、それを抑制するための制御を省略することができる。
請求項8に係る発明によれば、像保持体への磁性体の移動が起こりやすい湿度でないときには、それを抑制するための制御を省略することができる。
請求項9に係る発明によれば、現像装置内の色材の濃度が像保持体への磁性体の移動が起こりやすいものでないときには、それを抑制するための制御を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の構成を説明する図である。
【図2】現像装置及びその周辺の構成を表す図である。
【図3】案内部材及びそれに関わる構成を模式的に表した図である。
【図4】現像装置から感光体ドラムにトナーが供給される様子を表した図である。
【図5】トナーの供給経路周辺の様子を模式的に表す図である。
【図6】BCO発生数に関する実験結果を表すグラフである。
【図7】現像装置の他の態様を表した図である。
【図8】現像装置の他の態様を表した図である。
【図9】電位差とBCO発生数との関係を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置1の構成を説明する図である。図1は、画像形成装置1を正面から見た場合の各構成を表す。図1に示すように、画像形成装置1の構成は、画像形成部10と制御装置200とに大別される。
画像形成部10は、例えばプリンタであり、帯電、露光、現像、転写、定着などのプロセスを実行し、電子写真プロセスにより画像を形成する。画像形成部10は、色材として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて記録媒体(ここでは、記録用紙)に画像を形成する。制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算装置やメモリを備える。演算装置はメモリに読み出したプログラムを実行することによって、画像形成装置1の各部を制御する。また、画像形成装置1は、利用者の操作を受け付ける操作子を備える操作部や、外部装置とデータを送受信するためのインタフェースなどを備える(いずれも図示せず)。
なお、図1に示す画像形成装置1の各符号のうち、その末尾に付されたアルファベットは画像形成装置が扱う色材であるトナーの色に対応する。符号の末尾のアルファベットのみが異なる構成は、扱うトナーの色が異なるが、その構成は同一である。以下の説明において、これら各構成を特に区別する必要がない場合には、符号の末尾のアルファベットを省略して説明する。
【0013】
画像形成装置1を搬送される記録用紙は、図1に示す破線の矢印C方向に搬送され、この記録用紙に画像が形成される。
感光体ドラム20は、表面に光導電膜を積層した円筒状の部材である。感光体ドラム20は、像を保持する本発明の像保持体の一例であり、表面に形成された静電潜像を保持する。感光体ドラム20は、中間転写ベルト100と接触した状態にあるときに、中間転写ベルト100の移動に伴って、円筒の中心を軸(図1において紙面垂直方向)として図中の矢印Aの方向に回転する。帯電装置30は、本発明の帯電手段の一例であり、感光体ドラム20の光導電膜を決められた電位(例えば、−600V)に帯電させる。露光装置40は、本発明の潜像形成手段の一例であり、帯電装置30より帯電させられた感光体ドラム20を露光して、露光光に応じた潜像を形成する。現像装置50は、本発明の現像装置の一例であり、Y,M,C,Kのいずれかの色のトナーと、フェライト粉などの微細な磁性体である磁性体キャリアとを含む二成分現像剤を有している。この二成分現像剤のことを、以下では単に「現像剤」と称する。現像装置50は、感光体ドラム20に形成された潜像を、トナーを用いて現像する。
【0014】
中間転写ベルト100は、無端のベルト状の部材であり、回転ロール101、一次転写ロール60及びバックアップロール71と接触しながら図中の矢印Bの方向に回転する。回転ロール101は、中間転写ベルト100の移動を支持する円筒状の部材であり、円筒の中心を軸として回転する。一次転写ロール60は、中間転写ベルト100を挟んで感光体ドラム20と対向する円筒状の部材である。一次転写ロール60は、感光体ドラム20との間に電位差を生じさせて感光体ドラム20表面のトナーを中間転写ベルト100表面に転写する。二次転写ロール70は、本発明の転写手段の一例であり、現像装置50の現像によって得られた画像を記録用紙に転写する。二次転写ロール70は、中間転写ベルト100を挟んでバックアップロール71と対向する円筒状の部材であり、バックアップロール71との間に電位差を生じさせて、中間転写ベルト100表面のトナーを記録用紙の表面に転写する。搬送ロール80は、トナーが転写された用紙を二次転写ロール70が転写を行う位置に用紙を搬送し、定着装置90が設けられた位置に搬送する円筒状の部材である。定着装置90は、本発明の定着手段の一例である。定着装置90は、トナーが転写された用紙を加熱及び加圧して、二次転写ロール70によって記録用紙に転写された画像をその記録用紙に定着させる。
【0015】
次に、現像装置50の構成についてより詳細に説明する。
図2は、現像装置50及びその周辺の構成を表す図である。
現像装置50のケース51の内部には現像剤が収容されている。ケース51の感光体ドラム20側の開口部には、感光体ドラム20に対向して現像ロール52が設けられている。現像ロール52は、本発明の回転体の一例であり、現像装置50に用いられる筒状の部材である。現像ロール52の構成は、内部に固定した状態で配置されたマグネットロール521と、マグネットロール521の外周に回転自在に設けられた現像スリーブ522とに大別される。マグネットロール521は、現像ロール52の周面に現像剤が保持させるための磁界を発生する。現像スリーブ522は、非磁性のスリーブであり、決められた現像電位の現像バイアス電圧が与えられて、図中の矢印D方向に回転させられる。ここでの現像電位は、例えば−600Vである。
【0016】
以上の構成を有している現像ロール52は、マグネットロール521の磁気吸着力によって現像剤を周面に保持したまま回転させられる。より具体的には、現像ロール52の現像スリーブ522上に現像剤が保持される。この現像剤は、マグネットロール521が与える磁力により磁力線に沿って束状に配列していわゆる磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシは、現像スリーブ522の回転とともに、層厚規制部材511によって層厚が規制された後、さらに回転方向下流側に搬送される。ケース51のカバー部512は、現像ロール52や感光体ドラム20から飛散したトナーが、露光装置40など画像形成装置1内の別の場所に至ることを抑制するために設けられている。
【0017】
現像装置50において現像ロール52のさらに奥側には、現像剤を攪拌しつつ、現像ロール52に現像剤を供給する供給オーガ53が設けられる。供給オーガ53のさらに奥側には、攪拌オーガ54が設けられる。ケース51の内部であり、攪拌オーガ54の付近には濃度検出手段としての濃度センサ55が設けられている。濃度センサ55は、現像剤の透磁率を検出することで、現像装置50に収容される現像剤に占めるトナーの濃度(以下、単に「トナー濃度」という。)を検出する。濃度センサ55は、検出した透磁率を表す検出信号を制御装置200に出力する。制御装置200は濃度センサ55からの検出信号に基づいて、トナー濃度を特定する。濃度センサ55は、例えば、制御装置200が現像装置50内のトナー濃度を一定に保つ制御を行うためなどに用いられる。
層厚規制部材511には、その機能を妨げないように案内部材56が設けられている。案内部材56は、現像ロール52の軸方向に対してそれと略同じ広がりを持つ面を有している。案内部材56は、いわゆる電界カーテンを実現するための部材である。電界カーテンを実現するための案内部材56の制御については、制御手段としての制御装置200によって行われる。
【0018】
図3は、案内部材56及びそれに関わる構成を模式的に表した図である。
図3に示すように、案内部材56は、本発明の案内部材の一例であり、複数の電極561と、表面保護層562とを有している。電極561は、例えば板状の銅で形成されており、絶縁層からなる図示せぬ基材上に設けられている。電極561は、表面保護層562に沿って図中左右方向に沿って複数配列されている。電極561の配列方向は、現像ロール52側から感光体ドラム20側へ向かう方向である。また、電極561はそれぞれ3つを1組として、複数組に分けられている。各組の3つの電極561には、チャネルCH1、CH2、CH3のいずれかが割り当てられている。ここでは、現像ロール52に近いものから順に、チャネルCH1,CH2,CH3と割り当てられている。案内部材56の現像ロール52側には表面保護層562が設けられている。表面保護層562は、例えばポリイミドによって形成されたフィルム状の部材である。表面保護層562は、電極561を現像ロール52及び感光体ドラム20側から覆うようにして設けられている。案内部材56において、表面保護層562の表面は、被搬送物の移動の方向を案内する案内面として機能する。
【0019】
電極561はそれぞれ、多相交流電源120と導線を介して接続されている。制御装置200は、多相交流電源120を制御することにより、各電極561に多相の交流電圧(ここでは、3相の交番電圧)を与える。この交流電圧によって、図3に二点鎖線の矢印で示す方向に進行波電界が生じて、これにより電界カーテンが実現される。電界カーテンの作用により、表面保護層562の表面に付着したトナーTは、その表面である案内面にそって搬送される。より具体的には、制御装置200は、各チャネルCH1,CH2,CH3ごとに1/3周期ずつ遅れたパルス形状の交流電圧を加えて、進行波電界を発生させる。ここではトナーTは負に帯電しており、多相交流電源120から各電極561に与えられる電圧は正とされている。これにより、負に帯電するトナーは、進行波電界に従って現像ロール52側から感光体ドラム20側へと、表面保護層562の表面に沿って移動する。
【0020】
図4は、現像装置50から感光体ドラム20にトナーが供給される様子を模式的に表すい図である。図4に示すように、案内部材56には破線で示す位置に複数の電極561が設けられ、現像ロール52と感光体ドラム20との間の範囲に配列されている。また、図4において、白抜きの丸印は磁性体キャリアを表しており、ハッチングで示す丸印はトナーを表している。各々の丸印のサイズは、各々の重量の関係も表している。磁性体キャリアの1つ当たりの重量は、トナーのそれに比べてかなり大きい。
現像ロール52は、層厚規制部材511よりも回転方向下流側においても、磁気吸着により現像剤である磁気ブラシMBを保持したまま、矢印D方向である周方向に回転させられる。そして、現像ロール52は、感光体ドラム20との距離が最小となる領域(地点)どうしを含む供給経路T1において、磁気ブラシMBを感光体ドラム20に接触させ、又は近接させて、磁気ブラシMB中のトナーを感光体ドラム20上の潜像に供給する。このとき、現像スリーブ522の現像電位と、感光体ドラム20に形成された潜像の電位との電位差によって生じる電界(以下、「現像電界」という。)により電気的引力が作用し、感光体ドラム20の表面にトナーが移動して付着する。供給経路T1は、現像ロール52と感光体ドラム20との間の電位差を原因としたトナーの供給経路である。すなわち、供給経路T1は、トナーを磁気ブラシによって保持する現像ロール52の領域と、感光体ドラム20においてこのトナーが付着する領域と、それらの間の空間を含む概念である。
供給経路T1は、本発明の供給経路の一例であり、電子写真方式の画像形成装置において従来から採用されている供給経路に相当するものである。
【0021】
一方、案内部材56は、供給経路T1とは別の供給経路を構成するために設けられている。図4に示すように、案内部材56は、その一部が現像ロール52の供給経路T1よりも回転方向上流側の領域において、磁気ブラシMBの先端と近接する位置に設けられている。また、案内部材56において、感光体ドラム20に近い側の端部付近は、その表面に近接して設けられている。より具体的には、案内部材56のその端部付近は、供給経路T1よりも感光体ドラム20の回転方向(矢印A方向)上流側の領域にかなり近い。
【0022】
案内部材56は、制御装置200の制御により実現される電界カーテンの作用により、現像ロール52によって保持される磁気ブラシMBのうち、供給経路T1よりも上流側の領域で保持されるものからトナーを離脱させる。この領域は、本発明の第1の領域の一例であり、現像ロール52において磁気ブラシMBからトナーが離脱させられる領域である。図4に示すように、上記電界カーテンの作用によって、磁気ブラシMB中で負に帯電するトナーの一部が案内部材56に引き寄せられてその表面に付着する。一方、磁性体キャリアは帯電性が低いとともに、その重量が比較的大きく、また、磁気吸着力によって現像ロール52によって保持されているため、電界カーテンの作用では浮遊しない。このようにして、トナーは、磁気ブラシMBから離脱させられて浮遊し、磁気ブラシMB(すなわち、磁性体キャリア)から引き離された状態となる。このようなトナーの状態のことを、以下では「クラウド状」という。案内部材56は、付着したクラウド状のトナーを、電界カーテンの作用により、表面保護層562表面である案内面に沿って現像ロール52側から感光体ドラム20側へと移動させる。そして、案内部材56は、供給経路T1よりも感光体ドラム20の回転方向(図中矢印A方向)上流側の領域で保持される潜像に、トナーを供給する。この領域は、本発明の第2の領域の一例であり、供給経路T1とは異なる供給経路T2を介して供給されるトナーが付着する領域である。供給経路T2は、供給経路T1よりも、現像ロール52及び感光体ドラム20における回転方向上流側の領域間でのトナーの供給経路である。供給経路T2を介して行われる現像のことを、以下では「事前現像」と称する。
以上述べたように、画像形成装置1には、制御装置200及び案内部材56の協働により、供給経路T2を介してトナーを供給するための色材供給手段が構成されている。
【0023】
続いて、画像形成装置1において事前現像を行う理由について、図5を参照しつつ説明する。図5は、現像時における供給経路T1,T2周辺の様子を模式的に表す図である。
図5に示すように、現像ロール52の現像電位Vd=−600Vである。感光体ドラム20の表面電位をVsとし、静電潜像が形成された領域の電位(つまり、帯電電位)Vs=−600Vはである。このうち、静電潜像が形成された領域の電位Vs=−200Vであるとする。また、現像電位Vdと表面電位Vsとの電位差をVc(=Vs−Vd)とする。電位差Vcは、現像ロール52及び感光体ドラム20間の現像電界の強さに相当する。すなわち、トナーが付着していない潜像の領域と、現像ロール52との電位差Vcは、−200−(−600)=400Vである。
【0024】
ところで、感光体ドラム20の表面と、現像ロール52との電位差Vcが大きくなり過ぎると、磁気ブラシMB中の磁性体キャリアは、高電位側である感光体ドラム20側からの電荷の注入により帯電することがある。この磁性体キャリアの帯電により、感光体ドラム20の潜像部分に引き付けられて像中に磁性体キャリアが付着する、いわゆるBCO(Beads Carry Over)が発生することがある。潜像の領域と、現像ロール52との間の電位差Vcが例えば400Vを超える場合には、BCOの発生が問題となることがある。BCOの発生は、画像部に白抜けが発生するなど、画像の質を損ねる原因となることがある。また、BCOは、感光体ドラム20の表面と、現像ロール52との間で生じる現像電界が大きいほど生じやすい。よって、両者の距離が小さくなる供給経路T1を介して磁性体キャリアの移動が起こりやすい。
これに対し、発明者らは、現像ロール52上の磁気ブラシMBが供給経路T1に搬送される前に、事前現像によって、感光体ドラム20上の潜像にトナーの一部を供給しておけば、BCOの発生が抑制されることを確認した。
【0025】
図6は、このBCO発生数の確認に係る実験結果を表すグラフである。なお、図6には、現像装置50内のトナー濃度TCが8%の場合と、4%の場合との実験結果をそれぞれ示す。図6において、縦軸は、900mm2当たりの潜像への磁性体キャリアの付着数(以下、「BCO発生数」という。)を表している。
まず、トナー濃度TCが8%である場合について説明する。
図6において、右上がりの斜線で示すグラフは、電位差Vcが550Vである状態で、供給経路T1での現像が行われる場合の結果を表す。つまり、従来の画像形成装置のように、供給経路T1のみでトナーを供給する場合に相当する。この場合、BCOの発生数がおよそ1000個であることを、発明者らは確認した。画像欠陥がほとんど問題ならない発生数はおよそ50個以下であり、白抜けなどの画像欠陥が問題になりやすい。
【0026】
図6において、横線のハッチングで示すグラフは、電位差Vcが200V→375V→550Vという具合に段階的に大きくなる場合の実験結果を表す。これは、画像形成装置1のように、供給経路T1を介した現像の前に、供給経路T2を介した事前現像を行う場合に相当する。この場合、いったん200Vとなった電位差Vcが、次第に増加して最終的には電位差Vc=550Vとなるものの、BCOの発生数は50個程度まで低減されている。すなわち、画像欠陥が問題とならないレベルまでBCO発生数は抑制されることになる。この結果は、図6にハッチングのないグラフで示されるように、電位差Vcが200Vで一定である場合と比べてほとんど差異がないことも発明者らは確認した。
【0027】
図5に示すように、事前現像により潜像にトナーが付着すると、電位差Vcはおよそ150Vにまで低下する。その後、一旦低くなった表面電位Vsは次第に上昇して、それに伴って、電位差Vcは400Vに近づくように大きくなる。このように、最終的には電位差Vcが400Vとなる場合であっても、事前現象によって潜像表面にトナーが付着されていると、このトナーの存在により、現像ロール52と感光体ドラム20との間に作用する現像電界は抑制される。よって、BCO発生数は事前現像を行わない場合に比べて低減される。
また、図6に示すように、トナー濃度TCが4%である場合についても、同じ作用によって、BCOの発生数が大幅に低減されることが分かる。
【0028】
以上説明したように、画像形成装置1は、電界カーテンの作用により、供給経路T1よりも現像ロール52の回転方向上流側に付着する磁気ブラシMBからトナーを離脱させ、クラウド状にする。そして、画像形成装置1は、案内部材56により、供給経路T1よりも感光体ドラム20の回転方向上流側で保持される潜像に、このクラウド状のトナーを供給する。このようにして為される事前現像により、現像ロール52から感光体ドラム20へと磁気ブラシMB中の磁性体キャリアが移動して潜像に付着する、というBCOの発生が抑制される。この結果、BCOの発生を原因とした白抜けなどの画像欠陥の発生も抑制され、高品質の画像の形成に寄与させ得る。また、電界カーテンの利用により、トナーの移動方向は安定させられ、画像形成装置1内の意図しない場所にトナーが飛散する、という不具合の発生も抑制される。
【0029】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。また、以下に示す変形例は、各々を組み合わせてもよい。
[変形例1]
上述した実施形態では、画像形成装置1は、電界カーテンの作用により事前現像を行っていたが、そのための構成を例えば以下のように変形してもよい。
【0030】
(1−1)振動部材
図7は、現像装置50の別の態様を表した図である。上述した実施形態の構成とは異なる点は、案内部材56に代えて、振動部材57を設けたことにある。
振動部材57は、例えばピエゾ素子などの圧電素子であり、振動を発生する部材である。振動部材57は、現像ロール52の軸方向に対してそれと略同じ広がりを持つ面を有している。振動部材57は、供給経路T1よりも回転方向上流側の領域において、現像ロール52により保持される磁気ブラシMBの先端に接触する位置に設けられている。制御装置200は、振動部材57の駆動を制御する。より具体的には、制御装置200は、振動部材57に交流電圧を加えて歪み量を変化させることにより振動を発生させ、この振動によって磁気ブラシMB中からトナーの一部を離脱させる。例えば図中矢印で示されるような振動が磁気ブラシMBに与えられると、比較的重量の小さいトナーのみが現像剤から離脱してクラウド状となる。一方、磁性体キャリアの重量はトナーのそれよりも十分に大きく、また、磁気吸着力により現像ロール52に保持されるので、現像ロール52からは離脱しない。このクラウド状のトナーは、自身の帯電性と、現像ロール52と現像電位と潜像の電位との電位差によって生じる電気的引力により、供給経路T1よりも上流側の供給経路T2aを介して、供給経路T1よりも感光体ドラム20の回転方向上流側の領域の潜像に供給される。
【0031】
なお、振動部材57については、ピエゾ素子以外の圧電素子を用いてもよい。また、超音波振動子を用いてもよい。超音波振動の発生においては、例えば、振動子としてニッケルを用いる磁歪方式や、電圧を与えると歪む性質を持つ圧電セラミックを用いる電歪方式を採用し得る。超音波振動子を用いる場合、制御装置200は、超音波振動子に超音波信号を与えてその駆動を制御して、振動を発生させる。超音波振動子は、制御装置200から与えられた超音波信号応じて振動し、超音波を発する。この超音波が磁気ブラシMBに放射されると、磁気ブラシMBに振動が与えられ、重量の比較的小さいトナーのみが離脱する。このクラウド状のトナーは、上記同じ作用により潜像に供給されて、事前現像が行われる。
【0032】
以上のようにして、制御装置200及び振動部材57の協働により色材供給手段が構成されてもよい。一般に、圧電素子などの消費電力は低いので、画像形成装置1において、トナーをクラウド状にするための消費電力は比較的小さくて済む。また、この種の振動部材は小型で軽量であるから、色材供給手段の大型化が抑制され、現像装置50に設置する観点から好適である。なお、振動によってクラウド状となったトナーは空間を浮遊することになるが、カバー部512によってその移動が制限されるので、露光装置40側など他の部位にトナーが付着することは抑制される。また、一般の画像形成装置には、意図せず発生したクラウド状のトナーを吸引する機構が設けられていることがある。この構成を利用することでも、装置内の意図しない場所にクラウド状のトナーが至ることを抑制し得る。
【0033】
(1−2)送風機構
図8は、現像装置50さらに別の態様を表した図である。この構成では、現像装置50の案内部材56に代えて、送風機構58を設けた点で実施形態の構成と異なる。
送風機構58は、本発明の送風手段の一例であり、送風装置581と送風ダクト582とを有している。送風装置581は、送風ファンなどを備える。送風装置581の送風ファンは、送風ダクト582の一端側に設置される。制御装置200は、送風装置581の駆動を制御するものであり、送風装置581を駆動することにより、送風ダクト582の内側に空気を送り込ませる。送風装置581から送られてくる空気は、送風ダクト582の他端側である送風口583から送り出される。送風口583は、供給経路T1よりも回転方向上流側の領域に空気が送り出される位置に取り付けられており、送風によってこの領域の磁気ブラシMBからトナーの一部を離脱させ得る。送風口583は、現像ロール52の軸方向に対してそれと略同じ幅を持っている。この送風により、供給経路T1よりも上流側の供給経路T2bを介して、供給経路T1よりも感光体ドラム20の回転方向上流側の領域(本発明の第2の領域に相当。)に位置する潜像に供給される。以上のようにして、制御装置200及び送風機構58の協働により色材供給手段が構成されて、事前現像が為される。
この色材供給手段の構成によれば、送風の強さによって、磁気ブラシMBから離脱するトナーの量が変化するので、その量の調整が比較的容易である点で好適である。また、上記送風機構の構成は一例であり、例えばダクトを設けないで、送風ファンからの空気を直接、磁気ブラシMBに吹き付けてもよい。
【0034】
以上のように、現像ロール52において供給経路T1よりも回転方向上流側の領域(本発明の第1の領域に相当。)に保持される現像剤からトナーを離脱させ、供給経路T1よりも感光体ドラム20の回転方向上流側の領域(本発明の第2の領域に相当。)に位置する潜像に供給する種々の構成を、色材供給手段の構成として採用し得る。よって、上記以外の構成であっても、現像ロール52上の磁気ブラシMBからトナーを離脱させる力を作用させることで、クラウド状のトナーによる事前現像を行うものであればよい。
【0035】
また、色材供給手段の構成によっては、現像ロール52において磁気ブラシMBからトナーを離脱させる領域の範囲が異なることが考えられる。この範囲によって事前現像で供給されるトナーの量が異なることがあるが、少なくとも供給経路T1よりも回転方向上流側の領域の磁気ブラシMBからトナーが離脱させられて事前現象は為されるので、BCOの発生の抑制に係る効果を奏する。また、事前現像で供給するトナーの量が少なすぎたり、過剰となったりしないような制御が制御装置200により為されるとよい。例えば、電界カーテンを利用するのであれば、例えば、電極561に与える交流電圧の大きさや、周期により供給量は変化する。「(1−1)振動部材」の項で説明した構成であれば、例えば、振動部材57の振動数や、振動時間、頻度により供給量は変化する。「(1−2)送風機構」の項で説明した構成であれば、例えば、送風機構58から送り出される風量や、送風時間、頻度により供給量は変化する。
【0036】
[変形例2]
画像形成装置1は、或る決められた条件を満たした場合にのみ、事前現像に関する制御を行ってもよい。
(2−1)現像電位
例えば、現像ロール52の現像電位Vdを条件としてもよい。現像電位Vdが高いほど、感光体ドラム20の潜像との電位差Vcが大きくなるので、磁気ブラシMB中の磁性体キャリアへの電荷注入が起きやすい。この結果、BCOが発生しやすくなるからである。ところで、現像電位Vdは、現像装置50内のトナー濃度TCに応じて制御装置200が制御するものである。例えば、トナー濃度TCが低くなると、現像電位Vdを高くしなければ、供給経路T1を介して潜像に十分な量のトナーが供給されず、画像が薄くなるなどの不具合が生じ得る。そこで、制御装置200は、自装置が制御する現像電位Vdを特定し、特定した現像電位Vdが閾値以上とした場合にのみ、事前現像に関する制御を行うとよい。
【0037】
(2−2)トナー濃度
現像装置50内のトナー濃度TCを条件としてもよい。トナー濃度TCが低いほど、現像装置50内の現像剤に占める磁性体キャリアの割合が多くなる。これにより、磁性体キャリアへの電荷注入が起きやすくなり、その結果、BCOが発生しやすくなるからである。ここで、図9は、電位差Vcと、BCO発生数(900mm2当たりの発生数)との関係を表したグラフである。図9には、トナー濃度TC=3%の場合、及びTC=7%の場合の結果を示す。
図9に示すように、TC=7%の場合、電位差Vcがおよそ500V以上になると急激にBCO発生数が大きくなっている。一方、TC=3%のように低いと、BCO発生数が急激に増大する電位差Vcが450Vよりも低いことが分かる。そこで、制御装置200は、濃度センサ55の検出結果に基づいてトナー濃度TCを特定し、特定したトナー濃度TCが閾値以下となった場合にのみ、事前現像に関する制御を行う。
例えば、制御装置200が画像形成時において、意図的にトナー濃度TCを変化させる場合があるので、この制御を行うとともに、事前現像に関する制御の実行の有無を変化させるとよい。図9に示す結果から、画像形成装置1は、例えば、TC=7%の場合には事前現像を行わず、TC=3%の場合には事前現像を行う。
【0038】
(2−3)湿度
画像形成装置1内、或いはその周辺の湿度を条件としてもよい。湿度が高いほど現像剤の抵抗成分が小さくなり、キャリアへの電荷注入が起きやすくなる。よって、湿度が高いほど、BCOは発生しやすい。この構成において、画像形成装置1は、装置内或いは装置外の湿度を測定する湿度センサを備える。湿度センサは、周辺の空気の湿度を計測するものであり、例えば高分子薄膜を用いたセンサ素子により構成される。湿度センサは、測定した湿度を表す湿度検出信号を制御装置200に出力する。制御装置200は、湿度信号に基づいて画像形成装置1における湿度が閾値以上になった場合にのみ、事前現像に関する制御を行う。
以上のように、或る条件を満たした場合にのみ画像形成装置1が事前現像を行うようにすれば、事前現像が必要でなお場合にはこれを省略することになり、無駄な処理の実行を抑制するという効果を奏する。なお、上述した現像電位、トナー濃度及び湿度に関わる事前現像の有無の条件については、複数組み合わせてもよい。
【0039】
[変形例3]
上述の変形例2において、制御装置200は、BCOの発生のしやすさに応じて、事前現像の程度を異ならせる制御を行うようにしてもよい。
例えば、制御装置200は、BCOが発生しやすい条件であるほど、事前現像で供給するトナーを多くする制御を行う。上述の実施形態の構成であれば、制御装置200が、電極561に与える交流電圧の電圧を高くしたり、交流電圧の周期を小さくしたりすることでトナーの供給量は増大する。変形例1の「(1−1)振動部材」の項で説明した構成であれば、制御装置200は、BCOが発生しやすい条件であるほど、振動部材57の振動数を増やしたり、振動時間や振動頻度を増大させたりする制御を行えばよい。「(1−2)送風機構」の項で説明した構成であれば、制御装置200は、BCOが発生しやすい条件であるほど、送風機構58から送り出される風量を増やしたり、送風時間や送風頻度を増大させたりする制御を行えばよい。なお、BCOが発生しやすい条件については、上記変形例2で述べたとおりである。
【0040】
[変形例4]
上述した実施形態及び変形例において、制御装置200が画像形成装置1の動作に関わるすべての制御を行っていたが、事前制御に関わる制御を行う制御系統と、それ以外の制御を行う制御系統とが別々に設けられていてもよい。
また、本発明の供給制御手段に相当する構成は、画像形成装置1に内蔵されたものであったが、これらは、画像形成装置に対し着脱自在な構成であってもよい。例えば、画像形成部10の構成の一部又は全部が、画像形成装置に対して着脱自在なユニット(つまり、像保持体装置)として構成され、このユニットに色材供給手段に係る構成が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…画像形成装置、10…画像形成部、100…中間転写ベルト、101…回転ロール、120…多相交流電源。20…感光体ドラム、200…制御装置、30…帯電装置、40…露光装置、50…現像装置、51…ケース、511…層厚規制部材、52…現像ロール、521…マグネットロール、522…現像スリーブ、53…供給オーガ、54…攪拌オーガ、55…濃度センサ、56…案内部材、561…電極、562…表面保護層、57…振動部材、58…送風機構、581…送風装置、582…送風ダクト、583…送風口、60…一次転写ロール、70…二次転写ロール、71…バックアップロール、80…搬送ロール、90…定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を保持して回転する像保持体に対向して設けられ、磁性体と色材とを含む現像剤を磁気吸着により周面に保持する筒状の回転体と、
前記回転体のうち前記像保持体との距離が最小となる領域よりも、回転方向上流側の第1の領域で保持される前記現像剤から前記色材を離脱させて、前記像保持体のうち前記最小となる領域との距離が最小となる領域よりも前記像保持体の回転方向上流側の第2の領域で保持される前記潜像に、該色材を供給する色材供給手段と
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
潜像を保持して回転する像保持体に対向して設けられる筒状の回転体であって、磁性体と色材とを含む現像剤を磁気吸着により周面に保持したまま回転させられ、該潜像との電位差によって前記色材を供給する回転体と、
前記電位差により前記回転体によって供給される色材の供給経路よりも、該回転体の回転方向上流側の第1の領域において保持される前記現像剤から前記色材を離脱させて、該供給経路よりも前記像保持体の回転方向上流側の第2の領域で保持される前記潜像に該色材を供給する色材供給手段と
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
前記色材供給手段は、
前記第1の領域から前記第2の領域へと供給される前記色材を案内するための案内面と、前記案内面に沿って前記第1の領域から前記第2の領域の方向に配列される複数の電極とを有している案内部材と、
互いに隣り合う前記電極間に作用する電界により、前記第1の領域から離脱させた前記色材を前記案内面に沿って移動させて前記第2の領域に供給するよう、前記複数の電極に与える電圧を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記色材供給手段は、
振動を発生する振動部材と、
前記第1の領域で保持される前記現像剤を前記振動部材により振動させて該現像剤から前記色材を離脱させるよう、前記振動部材の駆動を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項5】
前記色材供給手段は、
空気を送る送風手段と、
前記第1の領域で保持される前記現像剤に向けて空気を送り、該現像剤から前記色材を離脱させるよう、前記送風手段の駆動を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項6】
像を保持する像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電させられた前記像保持体に露光を行って潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像形成手段によって形成された潜像を現像する請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置と、
前記現像装置の現像によって得られた画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段によって記録媒体に転写された画像を当該記録媒体に定着させる定着手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記回転体の現像電位を特定し、特定した該現像電位が閾値以上となった場合にのみ、前記第1の領域から前記第2の領域に前記色材を供給するための前記制御を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
湿度を特定する湿度特定手段を備え、
前記制御手段は、前記湿度特定手段により特定された湿度が閾値以上となった場合にのみ、前記第1の領域から前記第2の領域に前記色材を供給するための前記制御を行う
ことを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像装置に収容される前記現像剤に占める色材の濃度を特定する濃度特定手段を備え、
前記制御手段は、前記濃度特定手段により特定された濃度が閾値以下となった場合にのみ、前記第1の領域から前記第2の領域に前記色材を供給するための前記制御を行う
ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−69982(P2011−69982A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220803(P2009−220803)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】