説明

現在位置提供システム

【課題】移動端末装置に複雑な手続きを必要とすることなく、単純なシステム構成、かつ、簡単な操作で現在位置を把握できるようにすると共に、システム導入のコストや時間を抑えることができるようにする。
【解決手段】GPS携帯1の現在位置を提供する場合であって、アドレスデータ及びアクセス間隔データに基づいてGPS携帯1の現在位置の位置データD1を情報提供先へ送信するGPS携帯1により送信された位置データD1を受信し、位置データD1をキーデータとして地図データを検索し、検索によって得られた当該地図データに位置データD1を合成して情報利用者に提供する管理サーバ2を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、GPS機能搭載携帯電話を使用したバス運行位置提供システムに適用して好適な現在位置提供システムに関するものである。
【0002】
詳しくは、送信手続き情報に基づいて現在位置の位置情報を情報提供先へ送信する移動端末装置により送信された位置情報を受信し、受信した位置情報をキー情報として地図情報を検索し、検索によって得られた当該地図情報に位置情報を合成して提供する位置情報提供装置を備え、移動端末装置に複雑な手続きを必要とすることなく、単純なシステム構成、かつ、簡単な操作で現在位置を把握できるようにすると共に、システム導入のコストや時間を抑えることができるようにする。
【背景技術】
【0003】
従来、荷物の配送を管理する配送管理センターがドライバーの現在位置を把握する場合に、電話や無線でドライバーを呼び出して走行場所を聞いていた。また、バスの運行状況を把握する場合、前のバス停発車を知らせる電光掲示板やバスの時刻表で確認していた。
【0004】
このような従来例に関連して、特許文献1には、タクシー配車システムが開示されている。タクシー配車システムによれば、配車要求受付手段11dにより携帯端末21からの配車要求を受け付けると共に、携帯端末21の現在位置情報と電話番号とを取得する。このようにすることで、現在位置から最も近い場所にいる空車タクシーを抽出できるので、迅速にタクシーを配車することができるようにしたというものである。
【0005】
【特許文献1】特開2003−151083号公報(第5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来例に係る現在位置の確認方法によれば、走行中に、ドライバーは携帯電話に出ることができず、無線もエリアによっては通じないケースも多いので、何度も連絡をとらなければならない。また、特許文献1に係るタクシー配車システムによれば、携帯端末を使用して簡単に配車要求することができないので、携帯端末に複雑な手続きを必要とすることなく、簡単な操作で現在位置を把握することが難しい。
【0007】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、複雑な手続きを必要とすることなく、単純なシステム構成、かつ、簡単な操作で現在位置を把握できるようにすると共に、システム導入のコストや時間を抑えることができるようにした現在位置提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の現在位置提供システムは、移動体の現在位置を提供するシステムであって、送信手続き情報を記録している情報記録媒体と、前記情報記録媒体が装着可能となされ、装着された前記情報記録媒体から読み出した前記送信手続き情報に基づいて前記移動体の現在位置の位置情報を情報提供先へ送信する移動端末装置と、前記移動端末装置により送信された前記位置情報を受信し、前記位置情報をキー情報として地図情報を検索し、検索によって得られた当該地図情報に前記位置情報を合成して情報利用者に提供する位置情報提供装置とを備え、前記移動端末装置は、前記移動体に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る現在位置提供システムによれば、移動体の現在位置を提供する場合であって、移動端末装置は、この移動体に配置され、送信手続き情報を記録している情報記録媒体が装着可能となされ、装着された情報記録媒体から読み出した送信手続き情報に基づいて移動体の現在位置の位置情報を情報提供先へ送信する。位置情報提供装置は、移動端末装置により送信された位置情報を受信し、位置情報をキー情報として地図情報を検索し、検索によって得られた当該地図情報に位置情報を合成して情報利用者に提供する。これにより、移動端末装置に複雑な手続きを必要とすることなく、単純なシステム構成、かつ、簡単な操作で現在位置を把握できるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る現在位置提供システムによれば、移動体の現在位置を提供する場合であって、送信手続き情報に基づいて移動体の現在位置の位置情報を情報提供先へ送信する移動端末装置により送信された位置情報を受信し、位置情報をキー情報として地図情報を検索し、検索によって得られた当該地図情報に位置情報を合成して情報利用者に提供する位置情報提供装置を備えるものである。
【0011】
この構成によって、移動端末装置に複雑な手続きを必要とすることなく、単純なシステム構成、かつ、簡単な操作で現在位置を把握できるようになる。これにより、システム導入のコストや時間を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
続いて、本発明の実施例に係る現在位置提供システムについて、図面を参照しながら説明をする。
【0013】
図1は、本発明に係る実施例としてのGPS機能搭載携帯電話を使用したバス運行位置提供システム100の構成例を示す概念図である。図1に示すバス運行位置提供システム100は、GPS携帯1、管理サーバ2、Web表示携帯3及びGPS衛星14から構成される。
【0014】
GPS衛星14は、電波に電波送信時の正確な時刻とその場所の情報を乗せ、この電波を送信しながら地球を周回している。現在、24機のGPS衛星14が地球を周回しており、GPS携帯1は、3機以上のGPS衛星14から電波を受信する。
【0015】
GPS携帯1は、移動端末装置の一例を構成し、このGPS携帯1には、第3世代の全地球測位システム(GPS=Global Positioning System)機能搭載携帯電話を使用し、GPS携帯1は、インターネットに接続してデータを高速に送受信することができる。GPS携帯1は、図示しない周辺機器接続インターフェースを備え、このインターフェースにアタッチメント5が接続され、接続されたアタッチメント5から送信データが出力され、出力された送信データに基づいて現在位置の位置データを管理サーバ2へ送信する。
【0016】
アタッチメント5は、情報記録媒体の一例であり、このアタッチメント5には、管理サーバ2に接続するアドレスデータ、及び管理サーバ2へのアクセス間隔データなどの送信手続きデータが記録されている。GPS携帯1には、アタッチメント5を動作するためのドライバソフトが予め標準搭載されており、GPS携帯1のインターフェースにアタッチメント5が装着されると、GPS携帯1の図示しないCPUによりアタッチメント5の装着が認識されてこのドライバソフトが起動される。起動されたドライバソフトによりアタッチメント5に記録されたアドレスデータ及び間隔データが読み出され、自動的に管理サーバ2へアクセス間隔データに基づいてアクセスする。アタッチメント5から読み出したアクセス間隔データに関して、GPS携帯1を使用してアクセス間隔を任意に設定する。このアクセス間隔データは、5〜10分間隔で設定されている。この間隔の設定は、位置データD1を管理サーバ2で蓄積する場合であって、リアルタイムに位置データD1を確認したい場合は、1〜3秒間隔に設定される。
【0017】
GPS携帯1は、例えば、GPS衛星14が送信する電波を3機のGPS衛星14から受信する。この電波には、電波送信時の時刻とその場所の情報が含まれている。GPS携帯1は、受信した電波の情報から、電波がGPS携帯1に届くまでの時間を測定し、測定した時間と電波の速度からGPS衛星14とGPS携帯1との距離を測定する。これにより、測定した当該距離と3機のGPS衛星14の場所の情報からGPS携帯1の現在位置を算出することができる。
【0018】
GPS携帯1は、例えば、車両、航空機、及び船舶に搭載され、算出した現在位置の位置データD1を管理サーバ2へ送信する。これにより、車両、航空機、及び船舶の移動状況をリアルタイムに確認することができる。なお、車両には、営業車両、企業所有車を含む。営業車両にはタクシーを含む。
【0019】
管理サーバ2は、位置情報提供装置の一例であり、管理サーバ2a、2bから構成されている。管理サーバ2a、2bは同じ装置構成であり、通常、デュアルモードで運転されている。ここで、デュアルモードとは、管理サーバ2aが動作状態であり、管理サーバ2bが待機状態である。例えば、動作中のサーバ2aに問題が発生してダウンした場合に、待機中のサーバ2bが起動されて動作中となり、ダウンした管理サーバ2aにかわって処理を行う。また、動作中の管理サーバ2aにアクセスが集中した場合、待機中の管理サーバ2bも起動して運転する。これにより、管理サーバ2の信頼性や処理能力を向上することができる。
【0020】
管理サーバ2は、内蔵モデムを介して電話回線4に接続され、電話回線4は電話会社局内に設置されたインターネット接続装置に接続されている。管理サーバ2には、OS(Operating System)としてUNIX(登録商標)がインストールされている。また、図3に示す制御部8が備えられている。
【0021】
制御部8は、GPS携帯1により送信された位置データD1を受信し、受信した位置データD1をキーデータとして、地図データを検索し、検索によって得られた当該地図データに位置データD1を合成した現在位置付き地図データD2をWeb表示携帯3へ提供する。例えば、管理サーバ2の制御部8は、Web表示携帯3から接続要求を受信し、受信後、Web表示携帯3へ検索によって得られた地図データに位置データD1を合成した位置データ付き地図データD2を提供する。これにより、Web表示携帯3に複雑な手続きを必要とすることなく、単純なシステム構成、かつ、簡単な操作で現在位置を把握できるようになる。従って、システム導入のコストや時間を抑えることができる。
【0022】
Web表示携帯3は、第3世代の携帯電話であり、インターネットに接続してデータを高速に送受信することができる。Web表示携帯3は、管理サーバ2に接続し、GSP携帯1の現在位置が表示される現在位置付き地図データD2を管理サーバ2から受信して画面に表示する。
【0023】
例えば、ユーザは、管理サーバ2により管理されている路線バス会社のWebサイトにWeb表示携帯3を使用してアクセスする。このWebサイトには、路線バスに搭載されたGPS携帯1の現在位置をリアルタイムに地図上に表示するWebページが提供されている。ユーザは、このWebページを参照して路線バスの運行状況を確認することができる。従って、路線バスの運行状況をリアルタイムに確認することができるので、路線バスの待ち時間を大幅に短縮することができる。また、情報を受信するモニタを備え、このモニタはバスの停留所に設置され、管理サーバ2は、モニタへ位置データ付き地図データD2を提供する。これにより、バス停留所で待っている乗客は、リアルタイムでバスの運行状況を知ることができる。
【0024】
また更に、運送トラックにGPS携帯1を搭載した場合、当該運送トラックを管理する管理センターは、残りの距離と時速を算出して荷物の到着予想時間を配送先へ伝えることができる。これにより、荷物の配送作業を効率よく行うことができる。
【0025】
図2(a)及び(b)は、アタッチメント5の装着例を示す説明図である。図2(a)に示すGPS携帯1は、モニタ16及び操作ボタン17を備え、アタッチメント5がGPS携帯1に装着される前である。図2(b)に示すGPS携帯1は、アタッチメント5がGPS携帯1に装着された後である。モニタ16は液晶画面であり、GPS衛星14からの電波信号受信中画面や、管理サーバ2へ位置データD1送信中画面やアタッチメント5に記録されているデータの内容などを表示する。操作ボタン17は、GPSメニュー画面を選択したり、アタッチメント5に記録されているデータを変更する場合などに使用される。
【0026】
アタッチメント5は、アタッチメント本体6及び装着部7を備えている。装着部7は金属製であり、GPS携帯1の上述したインターフェースに挿入される。アタッチメント5が装着されると、GPS携帯1の図示しないCPUによりアタッチメント5の装着が認識されて標準搭載されたドライバソフトが起動される。起動されたドライバソフトによりアタッチメント5に記録されたアドレスデータ及び間隔データが読み出され、自動的に管理サーバ2へアクセス間隔データに基づいてアクセスする。アタッチメント5がGPS携帯1のインターフェースから取り外されると、GPS携帯1のCPUによりアタッチメント5の取り外しを認識してドライバソフトを終了し、管理サーバ2へのアクセスを中断する。これにより、複雑な操作を必要としないで、位置データD1を管理サーバ2へ送信することができる。
【0027】
アタッチメント5に記録されたアドレスデータ及び間隔データは、変更可能である。例えば、GPS携帯1に挿入後、GPS携帯1のモニタ16にこれらのデータが表示されたメニュー画面が表示され、このメニュー画面からGPS携帯1の操作ボタン17を使用して設定する。これにより、アドレスデータ及び間隔データを簡単に変更することができる。
【0028】
また、GPS携帯1には、モニタ16側を表面としたとき、裏面に図示しないカメラが備えられている。このカメラは、二次元方向に情報をもつ二次元コードを読み取る読取手段の一例を構成し、カメラにより二次元コードを読み取り、読み取られた二次元コードの情報を解析し、解析した結果に基づいて管理サーバ2に接続する。この二次元コードには、管理サーバ2に接続するアドレスデータ、及び位置データD1の送信間隔情報が記録されている。
【0029】
図3は、管理サーバ2の制御系の構成例を示すブロック図である。図3に示す制御部8は、CPU9、RAM10、ハードディスク11、モデム12、CPUバス13及びデータベース18を備える。
【0030】
CPU9は、CPUバス13に接続され、GPS携帯1により送信された位置データD1を受信し、受信した位置データD1をキーデータとして、入力された地図データを検索し、検索によって得られた当該地図データに位置データD1を合成してWeb表示携帯3へ提供する。勿論、現在位置付き地図データD2を提供する対象は、Web表示携帯3に限らず、インターネットに接続可能な端末装置であれば何でもよい。更に、複数の端末装置による管理サーバ2への同時アクセスも可能である。アクセス数が管理サーバ2の処理能力を超えた場合、上述した待機中の管理サーバ2bを起動して運転する。管理サーバ2a、2bを運転しても処理能力を超えた場合、CPU9はアクセス規制を行う。これにより、安定して管理サーバ2を運用することができる。
【0031】
ハードディスク11は蓄積手段の一例を構成し、CPUバス13を介してCPU9に接続され、GPS携帯1から送信される位置データD1を蓄積する。この位置データD1には、現在位置データ、現在時刻データなどの情報が含まれる。これらの情報に基づいて、残りの距離及び現在の時速が算出され、目的地への到着時刻を予測することができる。従って、道路状況に応じて刻一刻と変化するバスの到着時刻をリアルタイムで知ることができる。
【0032】
このハードディスク11には、OSとしてUNIX(登録商標)が保存され、更に、バス運行位置提供ソフトが保存されている。このソフトは、CPU9により起動されてRAM10に展開される。このソフトのバージョンを更新する場合、例えば、ソフト開発ベンダのホームページから更新用のソフトがダウンロードされ、ダウンロードされたソフトが解凍され、解凍された実行プログラムが実行される。これにより、当該ソフトのバージョンが更新される。
【0033】
データベース18は、CPUバス13を介してCPU9に接続されている。データベース18は、フラッシュメモリで構成され、全国の地図データが記憶されている。バス運行位置提供ソフトが起動されると、CPU9により地図データがデータベース18から参照されて地図データの検索キーデータがRAM10に展開される。展開された検索キーデータは、GPS携帯1から位置データD1を受信した際に、受信した位置データD1から該当する検索キーデータがCPU9により特定される。特定された検索キーデータに基づいて、データベース18に記憶されている地図データがCPU9により検索される。検索された地図データは、受信した位置データD1が合成されて現在位置付き地図データD2としてハードディスク11に保存される。
【0034】
CPU9は、Web表示携帯3からアクセスされると、位置データD1が合成された最新の現在位置付き地図データD2をモデム12、電話回線4を介してWeb表示携帯3へ送信する。これにより、簡単なシステム構成で、遠隔場所からGPS携帯1の現在位置を確認することができる。
【0035】
路線バスの運行状況を調査する場合に、ハードディスク11に蓄積された現在位置付き地図データD2が利用される。例えば、同じ路線区間において曜日ごとに運行時間を正確に調査することができる。これにより、路線バスの時刻表を正確に作成することができる。
【0036】
データベース18を更新する場合、図示しないCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)ドライブから地図データ更新用のCD−ROMが挿入され、CPU9によりCD−ROM内の更新プログラムを起動して地図データを更新する。また、ソフト開発ベンダのホームページから地図データ更新用のソフトをダウンロードし、ダウンロードされたソフトを解凍し、解凍された実行プログラムを実行して地図データを更新する。
【0037】
RAM10は、CPUバス13を介してCPU9に接続され、ハードディスク11に保存されているバス運行位置提供ソフトが、CPU9により起動されてRAM10に展開される。また、このとき、CPU9により地図データがデータベース18から参照されての地図データの検索キーデータがRAM10に展開される。
【0038】
図4は、バス運行位置提供システム100の動作例を示すシーケンスチャートである。図4に示すGSP携帯1は、モニタ16に表示されたメニュー画面からGPS機能が起動され、図2に示したアタッチメント5が装着される。装着後、GPS携帯1の図示しないCPUによりアタッチメント5の装着が認識されてドライバソフトが起動される。起動されたドライバソフトによりアタッチメント5に記録されたアドレスデータ及び間隔データが読み出され、自動的に接続要求信号S1が管理サーバ2へ送信される。
【0039】
管理サーバ2は、送信された接続要求信号S1を受信し、GPS携帯1へ接続応答信号S2に続いて位置データ取得要求信号S3を送信する。GPS携帯1は、送信された接続応答信号S2、位置データ取得要求信号S3を受信し、GPS衛星14から常時送信されている、電波を送信する時の正確な時刻とその場所の情報を乗せた電波信号S1を受信する。
【0040】
GPS携帯1は、受信した電波信号S1から、電波信号S1がGPS携帯1に届くまでの時間を測定し、測定した時間と電波の速度からGPS衛星14とGPS携帯1との距離を測定する。これにより、測定した当該距離と3機のGPS衛星14の場所の情報からGPS携帯1の現在位置を算出することができる。算出した現在位置を位置データD1として管理サーバ2へ送信する。
【0041】
管理サーバ2は、送信された位置データD1を受信し、受信した位置データD1をキーデータとして、RAM10に展開された地図データの検索キーデータを特定し、特定された検索キーデータに基づいて、データベース18に記憶されている地図データがCPU9により検索される。検索された地図データは、受信した位置データD1が合成されてハードディスク11に現在位置付き地図データD2として保存される。
【0042】
管理サーバ2は、Web表示携帯3から接続要求信号S5を受信して接続応答信号S6をWeb表示携帯3へ送信し、位置データD1が合成された最新の現在位置付き地図データD2をモデム12、電話回線4を介してWeb表示携帯3へ送信する。管理サーバ2は、Web表示携帯3から切断要求信号S7を受信すると、切断応答信号S8をWeb表示携帯3へ送信して現在位置付き地図データD2を切断する。
【0043】
GPS携帯1は、管理サーバ2へ切断要求信号S9を送信し、管理サーバ2から切断応答信号S10を受信して現在位置付き地図データD2を切断する。これにより、簡単なシステム構成で、遠隔場所からGPS携帯1の現在位置を確認することができる。
【0044】
図5は、GPS携帯1の動作例を示すフローチャートである。モニタ16にメニュー画面が表示され、表示されたメニュー画面からGPS機能が起動されている。これを位置データD1を管理サーバ2へ送信する条件として、図5に示すフローチャートのステップT1で、GPS携帯1の図示しないインターフェースにアタッチメント5が装着される。装着後、GPS携帯1の図示しないCPUによりアタッチメント5の装着が認識されてドライバソフトが起動される。起動されたドライバソフトによりアタッチメント5に記録されたアドレスデータ及びアクセス間隔データが読み出され、ブラウザを起動する。このアクセス間隔データは、5〜10分間隔で設定されている。この間隔の設定は、位置データD1を管理サーバ2で蓄積する場合であって、リアルタイムに位置データD1を確認したい場合は、1〜3秒間隔に設定される。
【0045】
ステップT2へ移行し、起動したブラウザにアドレスデータであるURL(Uniform Resource Locator)を設定する。ステップT3へ移行し、設定したURLの接続先である管理サーバ2へアクセス間隔データに基づいて接続する。ステップT4へ移行し、管理サーバ2から位置データ取得要求を受信する。ステップT5へ移行し、GPS衛星14が送信している電波信号を3機のGPS衛星14から受信する。この電波信号には、電波送信時の時刻とその場所の情報が含まれている。
【0046】
ステップT6へ移行し、受信した電波の情報から、電波がGPS携帯1に届くまでの時間を測定し、測定した時間と電波の速度からGPS衛星14とGPS携帯1との距離を測定する。測定した当該距離と3機のGPS衛星14の場所の情報からGPS携帯1の現在位置を算出し、算出した位置データD1を管理サーバ2へ送信する。
【0047】
ステップT7へ移行し、管理サーバ2への接続が切断されたかの判断を行う。切断されなかった場合は、ステップT3へ戻り、設定したURLの接続先である管理サーバ2へアクセス間隔データに基づいて接続する。切断された場合は、ブラウザを終了し、GPS衛星14からの電波信号の受信を終了する。
【0048】
図6は、管理サーバ2の動作例を示すフローチャートである。管理サーバ2には、OSとしてUNIX(登録商標)、バス運行位置提供ソフトがインストールされて起動されている。また、全国の地図データが記憶されている。これらをGPS携帯1から位置データD1を受信してWeb表示携帯3へ現在位置付き地図データD2を送信する条件として、図6に示すフローチャートのステップU1で、GPS携帯1から接続要求を受信したかをCPU9により判断する。
【0049】
GPS携帯1から接続要求を受信しなかった場合、ステップU5へ移行する。GPS携帯1から接続要求を受信した場合、ステップU2へ移行し、GPS携帯1へ位置データ取得要求を送信する。ステップU3へ移行し、GPS携帯1から位置データD1を受信する。GPS携帯1から位置データD1を受信した際に、RAM10に展開された地図データの検索キーデータは、受信した位置データD1から該当する検索キーデータがCPU9により特定される。特定された検索キーデータに基づいて、データベース18に記憶されている地図データがCPU9により検索される。
【0050】
ステップU4へ移行し、検索された地図データは、受信した位置データD1が合成されてハードディスク11にCPU9により現在位置付き地図データD2として保存される。ステップU5へ移行し、Web表示携帯3から接続要求を受信したかの判断をCPU9により行う。Web表示携帯3から接続要求を受信した場合、ステップU6へ移行し、位置データD1が合成された最新の現在位置付き地図データD2をモデム12、電話回線4を介してWeb表示携帯3へ送信してステップU7へ移行する。Web表示携帯3から接続要求を受信しなかった場合、ステップU6の処理をパスしてステップU7へ移行する。
【0051】
ステップU7では、バス運行位置提供ソフトが終了されたかを判断する。バス運行位置提供ソフトが終了されなかった場合、ステップU1へ戻りGPS携帯1から接続要求を受信したかを判断する。バス運行位置提供ソフトが終了された場合、終了となる。
【0052】
図7は、Web表示携帯3の動作例を示すフローチャートである。Web表示携帯3は、第3世代の携帯電話であり、インターネットに接続してデータを高速に送受信する。これを現在位置が示された現在位置付き地図データD2を確認する条件として、図7に示すフローチャートのステップV1で、メニュー画面から例えば、管理サーバ2により管理されている路線バス会社のWebサイトにアクセスして管理サーバ2へ接続要求を送信する。このWebサイトには、路線バスに搭載されたGPS携帯1の現在位置をリアルタイムに地図上に表示するWebページが提供されている。
【0053】
ステップV2へ移行し、管理サーバ2から位置データD1が合成された現在位置付き地図データD2を受信する。ステップV3へ移行し、受信した現在位置付き地図データD2をWeb表示携帯3のモニタに表示する。また、バス停留所に常時Webページを表示するモニタを設置することも考えられる。これにより、ユーザは、Webページを参照して路線バスの運行状況を確認することができる。従って、路線バスの運行状況をリアルタイムに確認することができるので、路線バスの待ち時間を大幅に短縮することができる。
【0054】
ステップV4へ移行し、例えば、操作ボタン17の「切」がプッシュされて、管理サーバ2への接続が切断されたかを判断する。切断されなかった場合、ステップV2へ移行し、管理サーバ2から位置データD1が合成された現在位置付き地図データD2を受信する。切断された場合、終了となる。
【0055】
このように、本発明に係るバス運行位置提供システム100によれば、GPS携帯1の現在位置を提供する場合であって、アドレスデータ及びアクセス間隔データに基づいてGPS携帯1の現在位置の位置データD1を情報提供先へ送信するGPS携帯1により送信された位置データD1を受信し、位置データD1をキーデータとして地図データを検索し、検索によって得られた当該地図データに位置データD1を合成して情報利用者に提供する管理サーバ2を備えるものである。
【0056】
この構成によって、GPS携帯1に複雑な手続きを必要とすることなく、単純なシステム構成、かつ、簡単な操作で現在位置を把握できるようになる。これにより、システム導入のコストや時間を抑えることができる。
【0057】
なお、GPS携帯1を利用して位置情報が取得される対象は、乗り物に限られることなく、セキュリティを確保するために、幼い子供や老人に携帯させることも考えられる。GPS携帯1は、予め路線バスや運送トラックなどに専用に搭載されているものに限らず、ドライバーの所持しているGPS機能搭載の携帯電話でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、GPS機能搭載携帯電話を使用したバス運行位置提供システム現在位置提供システムなどに適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る実施例としてのGPS機能搭載携帯電話を使用したバス運行位置提供システム100の構成例を示す概念図である。
【図2】(a)及び(b)は、アタッチメント5の装着例を示す説明図である。
【図3】管理サーバ2の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】バス運行位置提供システム100の動作例を示すシーケンスチャートである。
【図5】GPS携帯1の動作例を示すフローチャートである。
【図6】管理サーバ2の動作例を示すフローチャートである。
【図7】Web表示携帯3の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 GPS携帯(移動端末装置)
2 管理サーバ(位置情報提供装置)
3 Web表示携帯
5 アタッチメント(情報記録媒体)
11 ハードディスク(蓄積手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在位置を提供するシステムであって、
送信手続き情報を記録している情報記録媒体と、
前記情報記録媒体が装着可能となされ、装着された前記情報記録媒体から読み出した前記送信手続き情報に基づいて前記移動体の現在位置の位置情報を情報提供先へ送信する移動端末装置と、
前記移動端末装置により送信された前記位置情報を受信し、前記位置情報をキー情報として地図情報を検索し、検索によって得られた当該地図情報に前記位置情報を合成して情報利用者に提供する位置情報提供装置とを備え、
前記移動端末装置は、前記移動体に配置されることを特徴とする現在位置提供システム。
【請求項2】
前記移動端末装置には、全地球測位システム機能搭載移動端末装置を使用することを特徴とする請求項1に記載の現在位置提供システム。
【請求項3】
前記送信手続き情報は、
前記位置情報提供装置に接続するアドレス情報、及び前記位置情報の送信間隔情報であることを特徴とする請求項1に記載の現在位置提供システム。
【請求項4】
前記情報記録媒体から読み出した送信間隔情報に関して、前記移動端末装置を使用して送信間隔を任意に設定することを特徴とする請求項1に記載の現在位置提供システム。
【請求項5】
前記移動端末装置は、二次元方向に情報をもつ二次元コードを読み取る読取手段を備え、
前記読取手段により前記二次元コードを読み取り、
読み取られた前記二次元コードの情報を解析し、解析した結果に基づいて前記位置情報提供装置に接続することを特徴とする請求項1に記載の現在位置提供システム。
【請求項6】
前記二次元コードには、
前記位置情報提供装置に接続するアドレス情報、及び前記位置情報の送信間隔情報が記録されていることを特徴とする請求項5に記載の現在位置提供システム。
【請求項7】
前記位置情報提供装置は、
前記移動端末装置から送信される前記位置情報を蓄積する蓄積手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の現在位置提供システム。
【請求項8】
前記移動端末装置は、
車両、航空機、及び船舶に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の現在位置提供システム。
【請求項9】
前記車両には、
営業車両、企業所有車を含むことを特徴とする請求項8に記載の現在位置提供システム。
【請求項10】
前記位置情報提供装置は、
移動体端末から接続要求を受信し、受信後、前記移動体端末へ検索によって得られた前記地図情報に前記位置情報を合成した位置情報付き地図情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の現在位置提供システム。
【請求項11】
情報を受信する情報受信装置を備え、
前記情報受信装置はバスの停留所に設置され、
前記位置情報提供装置は、
前記情報受信装置へ前記位置情報付き地図情報を提供することを特徴とする請求項10に記載の現在位置提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−164370(P2007−164370A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358150(P2005−358150)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(591260672)中電技術コンサルタント株式会社 (58)
【Fターム(参考)】