説明

環境認識装置および環境認識方法

【課題】水蒸気や排気ガス等の浮遊物を精度よく検出する。
【解決手段】環境認識装置130は、検出領域122内に存在する対象部位の、自車両1に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部160と、位置情報に基づき、複数の対象部位をグループ化して対象物とするグループ化部162と、対象物の画像における輝度を取得する輝度取得部164と、対象物の画像における輝度のヒストグラムを生成する輝度分布生成部166と、ヒストグラムに対する統計解析により、対象物が浮遊物か否かを判断する浮遊物判断部168と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出領域における対象物の輝度に基づいて、その対象物を認識する環境認識装置および環境認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の前方に位置する車両や信号機等の障害物といった対象物を検出し、検出した対象物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つように制御する技術が知られている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
ところで、特に寒冷地や標高が高い場所等では、道路上方に水蒸気が浮遊していたり、先行車両の排気管から白い排気ガスが排出され、すぐには拡散せずに滞留することがある。上述したような制御技術では、水蒸気や排気ガス等の浮遊物を壁等の固定物と誤判断し、これらを回避するための停止や減速の制御が作動してしまうおそれがあり、ドライバに違和感を覚えさせてしまう。
【0004】
そこで、検出した物体の各部分の距離の平均値に対するばらつき(分散)量を算出し、ばらつき量が閾値を超えると、その検出した物体は、水蒸気や排気ガス等接触してもよい浮遊物であると判断する技術が公開されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−43496号公報
【特許文献2】特開平6−298022号公報
【特許文献3】特開2009−110168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、無風状態等のおいては、水蒸気や排気ガス等の浮遊物がその場で滞留(停滞)する場合がある。この場合、浮遊物の各部分の距離のばらつきは小さく、浮遊物と固定物との判別は難しい。また、浮遊物が取り得る距離の分布のパターンは多岐に渡るため、ばらつきだけでは、浮遊物に特徴的な距離の分布を的確に捉えることができず、浮遊物の検出精度が低かった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、水蒸気や排気ガス等の浮遊物を精度よく検出することが可能な、環境認識装置および環境認識方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の環境認識装置は、検出領域内に存在する対象部位の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づき、複数の対象部位をグループ化して対象物とするグループ化部と、対象物の画像における輝度を取得する輝度取得部と、対象物の画像における輝度のヒストグラムを生成する輝度分布生成部と、ヒストグラムに対する統計解析により、対象物が浮遊物か否かを判断する浮遊物判断部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
浮遊物判断部は、ヒストグラムから算出される、輝度の平均値、分散値、歪度、または尖度のいずれか1または複数の特徴量に基づいて、対象物が浮遊物か否かを判断してもよい。
【0010】
浮遊物判断部は、特徴量それぞれに対応する所定範囲内に特徴量が含まれる数に基づいて、対象物が浮遊物か否かを判断してもよい。
【0011】
浮遊物判断部は、予め設定された浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルと、輝度分布生成部が生成したヒストグラムとの差分に基づいて、対象物が浮遊物か否かを判断してもよい。
【0012】
浮遊物判断部は、予め設定された浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルと輝度分布生成部が生成したヒストグラムとの差分と、所定範囲内に含まれる特徴量の数とを、それぞれ点数化し、点数を所定数のフレーム分加算した合算値が所定閾値を超えていると、対象物が浮遊物であると判断してもよい。
【0013】
輝度分布生成部は、輝度のヒストグラムを生成する対象となる対象物を、路面より上方に位置するものに限定してもよい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の環境認識方法は、検出領域内に存在する対象部位の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得し、位置情報に基づき、複数の対象部位をグループ化して対象物とし、対象物の画像における輝度を取得し、対象物の画像における輝度のヒストグラムを生成し、ヒストグラムに対する統計解析により、対象物が浮遊物か否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水蒸気や排気ガス等の浮遊物を精度よく検出するので、浮遊物に対する不要な回避動作の発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態における環境認識システムの接続関係を示したブロック図である。
【図2】輝度画像と距離画像を説明するための説明図である。
【図3】第1の実施形態における環境認識装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図4】位置情報取得部による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。
【図5】分割領域と代表距離とを説明するための説明図である。である。
【図6】グループ化処理を説明するための説明図である。
【図7】歪度および尖度を説明するための説明図である。
【図8】第1の実施形態における環境認識方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図9】第1の実施形態における対象物特定処理の流れを示したフローチャートである。
【図10】第1の実施形態における浮遊物判断処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】第2の実施形態における環境認識装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図12】第2の実施形態における環境認識方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図13】第2の実施形態における浮遊物判断処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
(第1の実施形態:環境認識システム100)
図1は、第1の実施形態における環境認識システム100の接続関係を示したブロック図である。環境認識システム100は、車両1内に設けられた、複数(本実施形態では2つ)の撮像装置110と、画像処理装置120と、環境認識装置130と、車両制御装置140とを含んで構成される。
【0019】
撮像装置110は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、モノクロ画像、即ち、画素単位でモノクロの輝度を取得することができる。ここでは、撮像装置110で撮像された画像を輝度画像と呼び、後述する距離画像と区別する。また、撮像装置110は、自車両1の進行方向側において2つの撮像装置110それぞれの光軸が略平行になるように、略水平方向に離隔して配置される。撮像装置110は、自車両1の前方の検出領域に存在する対象物を撮像した画像データを、例えば1/60秒毎(60fps)に連続して生成する。ここで、対象物は、車両、信号機、道路、ガードレールといった独立して存在する立体物のみならず、テールランプやウィンカー、信号機の各点灯部分等、立体物の部分として特定できる物も含む。以下の実施形態における各機能部は、このような画像データの更新を契機として各処理を遂行する。
【0020】
画像処理装置120は、2つの撮像装置110それぞれから画像データを取得し、2つの画像データに基づいて、画像中の任意のブロック(所定数の画素を集めたもの)の視差、および、任意のブロックの画面中の位置を示す画面位置を含む視差情報を導出する。画像処理装置120は、一方の画像データから任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを他方の画像データから検索する、所謂パターンマッチングを用いて視差を導き出す。ここで、水平は、撮像した画像の画面横方向を示し、実空間上の水平に相当する。また、垂直は、撮像した画像の画面縦方向を示し、実空間上の鉛直方向に相当する。
【0021】
このパターンマッチングとしては、2つの画像データ間において、任意の画像位置を示すブロック単位で輝度値(Y色差信号)を比較することが考えられる。例えば、輝度値の差分をとるSAD(Sum of Absolute Difference)、差分を2乗して用いるSSD(Sum of Squared intensity Difference)や、各画素の輝度値から平均値を引いた分散値の類似度をとるNCC(Normalized Cross Correlation)等の手法がある。画像処理装置120は、このようなブロック単位の視差導出処理を検出領域(例えば600画素×200画素)に映し出されている全てのブロックについて行う。ここでは、ブロックを4画素×4画素としているが、ブロック内の画素数は任意に設定することができる。
【0022】
ただし、画像処理装置120では、検出分解能単位であるブロック毎に視差を導出することはできるが、そのブロックがどのような対象物の一部であるかを認識できない。したがって、視差情報は、対象物単位ではなく、検出領域における検出分解能単位(例えばブロック単位)で独立して導出されることとなる。ここでは、このようにして導出された視差情報(後述する相対距離に相当)を画像データに対応付けた画像を距離画像という。
【0023】
図2は、輝度画像124と距離画像126を説明するための説明図である。例えば、2つの撮像装置110を通じ、検出領域122について図2(a)のような輝度画像(画像データ)124が生成されたとする。ただし、ここでは、理解を容易にするため、2つの輝度画像124の一方のみを模式的に示している。画像処理装置120は、このような輝度画像124からブロック毎の視差を求め、図2(b)のような距離画像126を形成する。距離画像126における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
【0024】
視差は、画像のエッジ部分(隣り合う画素間で明暗の差分が大きい部分)で特定され易いので、距離画像126において黒のドットが付されている、視差が導出されたブロックは、輝度画像124においてもエッジとなっていることが多い。したがって、図2(a)に示す輝度画像124と図2(b)に示す距離画像126とは各対象物の輪郭について似たものとなる。
【0025】
環境認識装置130は、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報(距離画像126)を、所謂ステレオ法を用いて、相対距離を含む三次元の位置情報に変換し、自車両1の外の道路形状や立体物を特定する。ここで、ステレオ法は、三角測量法を用いることで、立体物の視差からその立体物の撮像装置110に対する相対距離を導出する方法である。かかる環境認識装置130に関しては、後ほど詳述する。
【0026】
車両制御装置140は、環境認識装置130で特定された対象物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ制御を実行する。具体的に、車両制御装置140は、操舵の角度を検出する舵角センサ142や自車両1の速度を検出する車速センサ144等を通じて現在の自車両1の走行状態を取得し、アクチュエータ146を制御して先行車両との車間距離を安全な距離に保つ。ここで、アクチュエータ146は、ブレーキ、スロットルバルブ、舵角等を制御するために用いられる車両制御用のアクチュエータである。また、車両制御装置140は、対象物との衝突が想定される場合、運転者の前方に設置されたディスプレイ148にその旨警告表示(報知)を行うと共に、アクチュエータ146を制御して自車両1を自動的に制動する。かかる車両制御装置140は、環境認識装置130と一体的に形成することもできる。
【0027】
(環境認識装置130)
図3は、第1の実施形態における環境認識装置130の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図3に示すように、環境認識装置130は、I/F部150と、データ保持部152と、中央制御部154とを含んで構成される。
【0028】
I/F部150は、画像処理装置120や車両制御装置140との双方向の情報交換を行うためのインターフェースである。データ保持部152は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、以下に示す各機能部の処理に必要な様々な情報を保持し、また、画像処理装置120から受信した輝度画像124、距離画像126を一時的に保持する。
【0029】
中央制御部154は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、システムバス156を通じて、I/F部150、データ保持部152を制御する。また、本実施形態において、中央制御部154は、位置情報取得部160、グループ化部162、輝度取得部164、輝度分布生成部166、浮遊物判断部168、パターンマッチング部170としても機能する。
【0030】
位置情報取得部160は、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報を、ステレオ法を用いて、水平距離x、高さyおよび相対距離zを含む三次元の位置情報に変換する。ここで、対象部位は、画素や画素を集めたブロックを想定しており、本実施形態では、画像処理装置120で用いられたブロックと同等の大きさを有する。
【0031】
画像処理装置120で導出された視差情報が、距離画像126における各対象部位の視差を示すのに対し、三次元の位置情報は、実空間における各対象部位の相対距離の情報を示す。したがって、相対距離や高さといった文言を用いる場合、実空間上の距離を指し、検出距離といった文言を用いる場合、距離画像126上の距離を指す。
【0032】
図4は、位置情報取得部160による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。位置情報取得部160は、まず、距離画像126を図4の如く画素単位の座標系として認識する。ここでは、図4中、左下隅を原点(0,0)とし、横方向をi座標軸、縦方向をj座標軸とする。したがって、視差dpを有する画素は、画素位置i、jと視差dpによって(i,j,dp)のように表すことができる。
【0033】
本実施形態における実空間上の三次元座標系を、自車両1を中心とした相対座標系で考える。ここでは、自車両1の進行方向右側方をX軸の正方向、自車両1の上方をY軸の正方向、自車両1の進行方向(前方)をZ軸の正方向、2つの撮像装置110の中央を通る鉛直線と道路表面との交点を原点(0,0,0)とする。このとき、道路を平面と仮定すると、道路表面がX−Z平面(y=0)と一致することとなる。位置情報取得部160は、以下の数式1〜数式3によって距離画像126上のブロック(i,j,dp)を、実空間上の三次元の点(x,y,z)に座標変換する。
x=CD/2+z・PW・(i−IV) …(数式1)
y=CH+z・PW・(j−JV) …(数式2)
z=KS/dp …(数式3)
ここで、CDは撮像装置110同士の間隔(基線長)であり、PWは1画素当たりの視野角であり、CHは撮像装置110の道路表面からの配置高さであり、IV、JVは自車両1の真正面における無限遠点の画像上の座標(画素)であり、KSは距離係数(KS=CD/PW)である。
【0034】
グループ化部162は、まず、検出領域122を、水平方向に対して複数の分割領域に分割する。続いて、グループ化部162は、分割領域毎に、道路表面より上に位置するブロックを対象にして、複数区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離を積算してヒストグラムを生成する。そして、グループ化部162は、積算した距離分布のピークに相当する代表距離を導出する。ここで、ピークに相当するとは、ピーク値またはピーク近傍で任意の条件を満たす値をいう。
【0035】
図5は、分割領域210と代表距離とを説明するための説明図である。図2(b)に示したような、距離画像126を水平方向に複数分割すると、分割領域210は図5(a)のような短冊形状になる。このような短冊形状の分割領域210は、本来、例えば、水平幅4画素のものが150個配列して成るが、ここでは、説明の便宜上、検出領域122を20等分している。
【0036】
続いて、グループ化部162は、各分割領域210において、ブロック毎の相対距離を参照し、ヒストグラム(図5(b)中、横長の四角(バー)で示す)を作成すると、図5(b)のような距離分布212が得られる。ここで、縦方向は、自車両1に対する相対距離zを、横方向は区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離zの個数を示している。ただし、図5(b)は計算を行う上での仮想的な画面であり、実際には視覚的な画面の生成を伴わない。そして、グループ化部162は、このようにして導出された距離分布212を参照し、ピークに相当する相対距離zである代表距離(図5(b)、黒で塗りつぶした四角で示す)214を特定する。
【0037】
図6は、グループ化処理を説明するための説明図である。図6では、白線220で区切られた3車線を走行する先行車両222および自車両1の俯瞰図を示す。グループ化部162は、分割領域210毎に得られた相対距離zを、図6に示すように実空間のX−Z平面上にプロットする。図6では、ガードレール224、植込み226、先行車両222の背面や側面等にプロットされる。
【0038】
そして、グループ化部162は、このプロットした各点(図6中、黒丸で示す)の間の距離や各点の並びの向きに基づいて、各点それぞれに対応する、輝度画像124上の複数の対象部位をグループ化して対象物とする。
【0039】
輝度取得部164は、対象物それぞれについて、輝度画像124上の対象物の画像を特定する。本実施形態において、対象物の画像は、例えば、対象物としてグループ化された対象部位を包囲する矩形領域の画像とする。そして、輝度取得部164は、対象物の画像における輝度を取得する。
【0040】
輝度分布生成部166は、対象物の画像における横方向および縦方向に、それぞれ少なくとも1列(行)分の画素の輝度のヒストグラム(輝度を横軸とした度数分布)を生成する。本実施形態において、輝度分布生成部166は、対象物の画像に含まれるすべての画素を対象として輝度のヒストグラムを生成する。
【0041】
このとき、輝度分布生成部166は、輝度のヒストグラムを生成する対象となる対象物を、路面より上方に位置するものに限定する。
【0042】
車両制御装置140は、路面より上方に位置する対象物を対象として回避動作をする可能性がある。そのため、浮遊物か否かの判断を路面より上方に位置する対象物に限定しても支障はない。浮遊物の判断の対象を路面より上方に位置する対象物に限定することで、輝度分布生成部166は、不要な回避動作の発生を抑えつつ処理負荷を低減できる。
【0043】
浮遊物判断部168は、ヒストグラムに対する統計解析により、対象物が浮遊物か否かを判断する。具体的に、浮遊物判断部168は、ヒストグラムから算出される、輝度の平均値、分散値、歪度、または尖度のいずれか1または複数の特徴量、本実施形態においては、4つすべての特徴量およびヒストグラムのモデルとの近似度に基づいて、対象物が浮遊物か否かを判断する。
【0044】
輝度の平均値Aは、以下の数式4で導出される。以下、f(n)は、対象物の画像に含まれる輝度nの画素数と、輝度nとの積とし、輝度の最小値を最小値min、輝度の最大値を最大値maxとする。また、対象物の画像に含まれる画素の総数を総数Nとする。
【数4】

…(数式4)
輝度の分散値Vは、以下の数式5で導出される。以下、対象物の画像に含まれる画素に1からnまでの番号を排他的に割り当てたとき、i番の画素の輝度を輝度Xiとする。
【数5】

…(数式5)
輝度の歪度SKWは、以下の数式6で導出される。
【数6】

…(数式6)
また、輝度の尖度KRTは、以下の数式7で導出される。
【数7】

…(数式7)
【0045】
図7は、歪度SKWおよび尖度KRTを説明するための説明図である。図7(a)に示すように、歪度SKWが高いヒストグラム230は、歪度SKWが低いヒストグラム232に比べて、平均値Aを中心に左右の対称性が高い。
【0046】
また、図7(b)に示すように、尖度KRTが高いヒストグラム234は、尖度KRTが低いヒストグラム236に対して、ピーク付近の傾斜が大きく、それ以外の部分(裾)の傾斜が緩やかに分布する。
【0047】
浮遊物の画像の画素は、輝度が一様に明るく白色に近いものが多い。つまり、輝度の平均値Aは比較的高く、分散値Vは比較的正規分布に近い値となり、歪度SKWは、比較的対称性が高いことを示す値となり、尖度KRTは、正規分布に比べて裾部分が太くなるように比較的高い値となる。
【0048】
浮遊物判断部168は、データ保持部152に保持された、特徴量それぞれに対応する所定範囲内に、各特徴量が含まれるか否かを判断する。そして、浮遊物判断部168は、所定範囲内に含まれると、含まれた特徴量の数に応じて、対象物毎に点数を加算する。
【0049】
この点数は、例えば、平均値Aが所定範囲内に含まれると3点、分散値Vが所定範囲内に含まれると5点等、特徴量毎に重み付けがされている。
【0050】
特徴量毎に予め設定された所定範囲は、例えば、予め、複数の異なる条件下で水蒸気や白い排気ガス等を撮像した画像からそれぞれ輝度のヒストグラム(サンプル)を生成し、そのヒストグラムから導出した各特徴量の最大値を上限、最小値を下限としたものである。
【0051】
また、浮遊物判断部168は、データ保持部152に保持された、浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルと輝度分布生成部166が生成したヒストグラムとの差分を導出する。そして、浮遊物判断部168は、このヒストグラムの差分について、例えば、二乗平均等を取って、ヒストグラムのモデルと、輝度分布生成部166が生成したヒストグラムとの近似度とする。浮遊物判断部168は、その近似度を所定倍することで重み付けして点数化し、対象物毎に点数を加算する。
【0052】
浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルには、例えば、予め、複数の異なる条件下で水蒸気や白い排気ガス等を撮像した画像からそれぞれ輝度のヒストグラムを生成し、そのうち、平均的なヒストグラムを選択したり、平均値を取って用いたりする。
【0053】
浮遊物判断部168は、所定数のフレーム(例えば、10フレーム)分、対象物毎に点数を加算し、合算値を導出する。このとき、加算する点数は、例えば、最新のフレームに関し、点数をそのまま加算し、フレームが過去に遡る毎に点数を0.8倍して加算する等、フレーム毎に重み付けがされている。
【0054】
そして、浮遊物判断部168は、点数の合算値が所定閾値を超えていると、その点数が付けられた対象物が浮遊物であると判断する。
【0055】
このように、対象物毎に所定数のフレーム分、点数を加算し、その合算値に基づいて浮遊物を判断する構成により、フレーム毎の誤差の影響を排除し、浮遊物を精度よく検出することが可能となる。
【0056】
上述したように、浮遊物判断部168は、予め設定された浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルと、輝度分布生成部166が生成したヒストグラムとの差分に基づいて、対象物が浮遊物か否かを判断する。
【0057】
このように、浮遊物のヒストグラムのモデルを用いることで、浮遊物判断部168は、対象物が典型的な浮遊物のヒストグラムである程、対象物を確実に浮遊物として認識できる。
【0058】
また、浮遊物判断部168は、上述したように、特徴量それぞれに対応する所定範囲内に特徴量が含まれる数にも基づいて、対象物が浮遊物か否かを判断する。
【0059】
このように、所定範囲を設けることで、浮遊物判断部168は、条件によって浮遊物の特徴量の傾向に大きな変化があっても、様々な条件下の浮遊物を認識できる。
【0060】
パターンマッチング部170は、浮遊物と判断されなかった対象物について、予めデータ保持部152に保持された立体物のモデルデータとのパターンマッチングを実行し、対象物が、いずれかの立体物に該当するか否かを判断する。
【0061】
上述したように、本実施形態の浮遊物判断部168は、対象物の画像の画素のヒストグラムから導出される特徴量に基づいて、対象物が浮遊物か否かを判断する。そのため、浮遊物判断部168は、水蒸気や排気ガス等の浮遊物が無風状態等ですぐには拡散せずに滞留していても、浮遊物を壁等の固定物と誤判断することなく、正確に浮遊物と判断することが可能となる。そして、車両制御装置140による、浮遊物に対する不要な回避動作の発生を抑えることができる。
【0062】
(環境認識方法)
以下、環境認識装置130の具体的な処理を図8〜図10のフローチャートに基づいて説明する。図8は、画像処理装置120から距離画像(視差情報)126が送信された場合の割込処理に関する全体的な流れを示し、図9、図10は、その中の個別のサブルーチンを示している。
【0063】
図8に示すように、距離画像126の受信を契機に当該環境認識方法による割込が発生すると、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報に基づき、対象物の特定処理が遂行される(S300)。
【0064】
続いて、特定された各対象物が浮遊物であるか否かの判断処理が遂行される(S302)。その後、パターンマッチング部170は、浮遊物ではないと判断された対象物について、対象物に対する立体物のパターンマッチングを実行する(S304)。以下、上記の処理を具体的に説明する。
【0065】
(対象物特定処理S300)
図9を参照すると、位置情報取得部160は、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報を、ステレオ法を用いて、水平距離x、高さyおよび相対距離zを含む三次元の位置情報に変換する(S350)。
【0066】
グループ化部162は、まず、検出領域122を、水平方向に対して複数の分割領域に分割する(S352)。続いて、グループ化部162は、道路表面より上に位置するブロックを対象に、位置情報に基づいて分割領域毎に、複数区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離を積算してヒストグラムを生成する(S354)。そして、グループ化部162は、積算した距離分布のピークに相当する代表距離を導出する(S356)。
【0067】
そして、グループ化部162は、分割領域210毎に得られた相対距離zを実空間のX−Z平面上にプロットする(S358)。グループ化部162は、このプロットした各点の間の距離や各点の並びの向きに基づいて、各点それぞれに対応する、輝度画像124上の複数の対象部位をグループ化して対象物とする(S360)。
【0068】
(浮遊物判断処理S302)
図10を参照すると、輝度取得部164は、対象物特定処理S300で特定された対象物が1以上あって、当該浮遊物判断処理S302において、まだ選択していない対象物があるか否かを判断する(S362)。まだ選択していない対象物があれば(S362におけるYES)、輝度取得部164は、まだ選択していない対象物を1つ選択する(S364)。
【0069】
そして、輝度取得部164は、選択した対象物が路面より上方に位置するものか否かを判断する(S366)。路面より上方に位置する場合(S366におけるYES)、輝度取得部164は、輝度画像124上の選択した対象物の画像を特定する(S368)。
【0070】
続いて、輝度取得部164は、対象物の画像におけるすべての画素の輝度を取得する(S370)。輝度分布生成部166は、対象物の画像に含まれるすべての画素を対象として輝度のヒストグラムを生成する(S372)。
【0071】
浮遊物判断部168は、ヒストグラムから、輝度の平均値、分散値、歪度、および尖度の4つの特徴量を導出する(S374)。そして、浮遊物判断部168は、特徴量が、特徴量毎に予め設定された、特徴量それぞれに対応する所定範囲内に含まれると、含まれた特徴量の数に応じて点数を加算する(S376)。
【0072】
そして、浮遊物判断部168は、予め設定された浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルと輝度分布生成部166が生成したヒストグラムとの差分を導出する(S378)。そして、浮遊物判断部168はその差分の二乗平均を取って近似度とし、近似度を所定倍することで重み付けして点数化し、点数を加算する(S380)。
【0073】
浮遊物判断部168は、その点数を対象物の位置情報とフレーム番号に関連付けてデータ保持部152に保持する(S382)。
【0074】
そして、浮遊物判断部168は、選択した対象物に対応する対象物が、所定数前までのフレームで検出されていたか否かを、例えば、対象物の位置情報に基づいて判断する(S384)。検出されていない場合(S384におけるNO)、対象物有無判断処理S362に戻る。検出されていた場合(S384におけるYES)、浮遊物判断部168は、データ保持部152に保持された所定数のフレーム分の点数を、フレーム毎に重み付けをして加算し、合算値を導出する(S386)。
【0075】
そして、浮遊物判断部168は、点数の合算値が所定閾値を超えているか否かを判断する(S388図13)。所定閾値を超えていると(S388におけるYES)、浮遊物判断部168は、その点数が付けられた対象物が浮遊物であると判断し、その対象物に、例えば、浮遊物であることを示すフラグを付す(S390)。点数の合算値が所定閾値を超えていないと(S388におけるNO)、対象物が浮遊物ではないと判断し、その対象物に、例えば、浮遊物ではないことを示すフラグを付す(S392)。パターンマッチング部170は、パターンマッチング処理S304において、このフラグに応じて対象物に対してパターンマッチングを実行するか否かを決定する。そして、対象物有無判断処理S362に戻る。
【0076】
対象物有無判断処理S362において、まだ選択していない対象物がなくなると(S362におけるNO)、当該浮遊物判断処理S302を終了する。
【0077】
以上、上述したように、本実施形態の環境認識方法によれば、水蒸気や排気ガス等の浮遊物を精度よく検出することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、撮像装置110がモノクロ画像の画像データを取得し、モノクロ画像の画像データに基づいて、浮遊物の判断処理を行う環境認識装置130の構成について説明した。第2の実施形態では、カラー画像の画像データに基づいて、浮遊物の判断処理を行う環境認識装置430について詳述する。
【0079】
(環境認識装置430)
図11は、第2の実施形態における環境認識装置430の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図11に示すように、環境認識装置430は、I/F部150と、データ保持部152と、中央制御部154とを含んで構成され、中央制御部154は、位置情報取得部160、グループ化部162、輝度取得部464、輝度分布生成部466、浮遊物判断部468、パターンマッチング部170としても機能する。第1の実施形態における構成要素として既に述べたI/F部150、データ保持部152、中央制御部154、位置情報取得部160、グループ化部162、パターンマッチング部170は、実質的に機能が同一なので重複説明を省略し、ここでは、構成が相違する輝度取得部464、輝度分布生成部466、浮遊物判断部468を主に説明する。
【0080】
輝度取得部464は、モノクロ画像ではなくカラー画像、即ち、画素単位で3つの色相(赤(R)、緑(G)、青(B))の輝度を取得する。輝度分布生成部466は、1つの対象物の画像について、3つの色相それぞれについて、輝度のヒストグラムを生成する。
【0081】
浮遊物判断部468は、3つの色相の輝度に対応する3つのヒストグラムに対する統計解析により、対象物が浮遊物か否かを判断する。具体的に、浮遊物判断部468は、3つの色相の輝度のヒストグラムそれぞれについて、4つの特徴量を導出する。
【0082】
そして、浮遊物判断部468は、特徴量毎に設定する設定範囲内に、各特徴量が含まれるか否かを判断する。この設定範囲は、第1の実施形態の所定範囲と異なり、予め設定された範囲ではなく、対象物の画像の輝度に応じて設定される。
【0083】
具体的に、浮遊物判断部468は、対象物の画像の3つの色相の輝度について、輝度の平均Aを導出すると、輝度の平均Aの3つの色相の平均値を導出する。そして、浮遊物判断部468は、導出した3つの色相の平均値を中心とする予め設定された所定幅の範囲を設定範囲とする。
【0084】
浮遊物判断部468は、この設定範囲内に、3つの色相それぞれの輝度の平均Aが含まれるか否かを判断する。そして、浮遊物判断部168は、平均Aが設定範囲内に含まれると点数を加算する。
【0085】
また、浮遊物判断部468は、同様の処理を他の特徴量、すなわち、分散値V、歪度SKW、尖度KRTについても行い、それぞれ点数を加算する。
【0086】
さらに、浮遊物判断部468は、予め設定された浮遊物の3つの色相の輝度のヒストグラムの3つのモデルそれぞれと、輝度分布生成部466が生成したヒストグラムとの差分を導出する。そして、浮遊物判断部468はそれぞれの色相のヒストグラムの差分について、二乗平均を取って近似度とし、近似度を所定倍することで重み付けして点数化し、対象物毎に点数を加算する。
【0087】
そして、浮遊物判断部468は、第1の実施形態と同様、対象物毎に、所定数のフレーム分、対象物毎に点数を加算し、合算値を導出し、点数の合算値が所定閾値を超えていると、その点数が付けられた対象物が浮遊物であると判断する。
【0088】
以上、説明したように、環境認識装置430によれば、水蒸気や排気ガス等の浮遊物を精度よく検出することが可能となる。
【0089】
(環境認識方法)
以下、環境認識装置430の具体的な処理を図12〜図13のフローチャートに基づいて説明する。図12は、画像処理装置120から距離画像126が送信された場合の割込処理に関する全体的な流れを示し、図13は、その中の個別のサブルーチンを示している。
【0090】
図12に示すように、距離画像126の受信を契機に当該環境認識方法による割込が発生すると、画像処理装置120で導出された、検出領域122内のブロック毎の視差情報に基づき、対象物の特定処理が遂行される(S300)。
【0091】
続いて、特定された各対象物が浮遊物であるか否かの判断処理が遂行される(S502)。その後、パターンマッチング部170は、浮遊物ではないと判断された対象物について、対象物に対する立体物のパターンマッチングを実行する(S304)。以下、上記の処理を具体的に説明する。ただし、対象物特定処理S300については、第1の実施形態で上述した処理と実質的に処理が同一なので重複説明を省略する。
【0092】
(浮遊物判断処理S502)
図13を参照して浮遊物判断処理S502を説明するが、対象物有無判断処理S362から画像特定処理S368までは、第1の実施形態で上述した処理と実質的に処理が同一なので重複説明を省略する。
【0093】
輝度取得部464は、対象物の画像におけるすべての画素の3つの色相の輝度を取得する(S570)。輝度分布生成部466は、対象物の画像に含まれるすべての画素を対象として3つの色相の輝度のヒストグラムを生成する(S572)。
【0094】
浮遊物判断部468は、3つの色相のヒストグラムそれぞれについて、4つの特徴量を導出する(S574)。そして、浮遊物判断部468は、特徴量毎に、3つの色相の平均値を導出する(S576)。浮遊物判断部468は、導出した3つの色相の平均値を中心とする予め設定された所定幅の範囲を設定範囲として設定する(S578)。浮遊物判断部468は、各特徴量が、特徴量それぞれに対応する設定範囲内に含まれると、含まれた特徴量の数に応じて点数を加算する(S580)。
【0095】
そして、浮遊物判断部468は、予め設定された浮遊物の3つの色相の輝度のヒストグラムの3つのモデルそれぞれと、輝度分布生成部466が生成したヒストグラムとの差分を導出する(S582)。そして、浮遊物判断部468はその差分の二乗平均を取って近似度とし、近似度を所定倍することで重み付けして点数化し、点数を加算する(S584)。
【0096】
以下、点数保持処理S382から浮遊物否定判断処理S392までは、第1の実施形態で上述した処理と実質的に処理が同一なので重複説明を省略する。
【0097】
上述したように、本実施形態の環境認識方法によれば、水蒸気や排気ガス等の浮遊物を精度よく検出することができる。
【0098】
また、コンピュータを、環境認識装置130、430として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
また、上述した実施形態においては、対象物の三次元位置を複数の撮像装置110を用い画像データ間の視差に基づいて導出しているが、かかる場合に限られず、例えば、レーザレーダ測距装置等、既知の様々な距離測定装置を用いることができる。ここで、レーザレーダ測距装置は、検出領域122にレーザビームを投射し、このレーザビームが物体に当たって反射してくる光を受光し、この所要時間から物体までの距離を測定するものである。
【0101】
また、上述した実施形態では、位置情報取得部160が、画像処理装置120から距離画像(視差情報)126を受けて三次元の位置情報を生成している例を挙げている。しかし、かかる場合に限られず、画像処理装置120において予め三次元の位置情報を生成し、位置情報取得部160は、その生成された三次元の位置情報を取得するとしてもよい。このようにして、機能分散を図り、環境認識装置130、430の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0102】
また、上述した実施形態においては、位置情報取得部160、グループ化部162、輝度取得部164、464、輝度分布生成部166、466、浮遊物判断部168、468、パターンマッチング部170は中央制御部154によってソフトウェアで動作するように構成している。しかし、上記の機能部をハードウェアによって構成することも可能である。
【0103】
なお、本明細書の環境認識方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、検出領域における対象物の輝度に基づいて、その対象物を認識する環境認識装置および環境認識方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 …車両
122 …検出領域
124 …輝度画像
126 …距離画像
130、430 …環境認識装置
152 …データ保持部
160 …位置情報取得部
162 …グループ化部
164、464 …輝度取得部
166、466 …輝度分布生成部
168、468 …浮遊物判断部
170 …パターンマッチング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内に存在する対象部位の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づき、複数の前記対象部位をグループ化して対象物とするグループ化部と、
前記対象物の画像における輝度を取得する輝度取得部と、
前記対象物の画像における輝度のヒストグラムを生成する輝度分布生成部と、
前記ヒストグラムに対する統計解析により、前記対象物が浮遊物か否かを判断する浮遊物判断部と、
を備えることを特徴とする環境認識装置。
【請求項2】
前記浮遊物判断部は、前記ヒストグラムから算出される、輝度の平均値、分散値、歪度、または尖度のいずれか1または複数の特徴量に基づいて、前記対象物が浮遊物か否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の環境認識装置。
【請求項3】
前記浮遊物判断部は、前記特徴量それぞれに対応する所定範囲内に該特徴量が含まれる数に基づいて、前記対象物が浮遊物か否かを判断することを特徴とする請求項2に記載の環境認識装置。
【請求項4】
前記浮遊物判断部は、予め設定された浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルと、前記輝度分布生成部が生成したヒストグラムとの差分に基づいて、前記対象物が浮遊物か否かを判断することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の環境認識装置。
【請求項5】
前記浮遊物判断部は、予め設定された浮遊物の輝度のヒストグラムのモデルと前記輝度分布生成部が生成したヒストグラムとの差分と、所定範囲内に含まれる前記特徴量の数とを、それぞれ点数化し、該点数を所定数のフレーム分加算した合算値が所定閾値を超えていると、前記対象物が浮遊物であると判断することを特徴とする請求項2に記載の環境認識装置。
【請求項6】
前記輝度分布生成部は、輝度のヒストグラムを生成する対象となる対象物を、路面より上方に位置するものに限定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の環境認識装置。
【請求項7】
検出領域内に存在する対象部位の、自車両に対する相対距離を含む位置情報を取得し、
前記位置情報に基づき、複数の前記対象部位をグループ化して対象物とし、
前記対象物の画像における輝度を取得し、
前記対象物の画像における輝度のヒストグラムを生成し、
前記ヒストグラムに対する統計解析により、前記対象物が浮遊物か否かを判断することを特徴とする環境認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243049(P2012−243049A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112004(P2011−112004)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】