説明

生体への定着性が付与されたポリアミノ酸誘導体

【課題】
化粧品、医薬品、医療材料、再生医療材料において、有効成分を持続的かつ好適に機能させることができ、生体適合性を有する材料を提供する。
【解決手段】
特定の一般式(1)〜(3)で表されるα型又はβ型又はγ型ポリアミノ酸単量体単位から構成されるポリアミノ酸誘導体であり、かつ、一般式(I)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むか、少なくとも一方の末端が生体機能分子で封止されているか、の少なくとも一方の様式により分子中に生体機能分子を有するポリアミノ酸誘導体であり、かつ、一般式(II)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むか、少なくとも一方の末端が細胞や生体組織への定着能を有する化合物で封止されているか、の少なくとも一方の様式により、細胞や生体組織への定着能を有する化合物を有することを特徴とするポリアミノ酸誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品成分や医薬品成分等の生体機能分子を担持し生体における物理化学的状態を制御することで、該生体機能分子の機能を好適に発揮させるための材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、細胞や生体組織への定着能を有する化合物を保有する生体適合性の高い水溶性高分子を骨格として、該水溶性高分子に生体機能分子に担持させることで、該生体機能分子が保有する機能を所望する細胞や生体組織において好適に発揮させることが可能な材料に関する。また、本発明は、生体組織への定着能を有する生体適合性の高い水溶性高分子を用いて生体機能分子を好適に機能させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や医薬品として、様々な生理活性を有する化合物が開発され、利用されてきている。これら化合物は、生理・生化学的な機能、すなわち、生体分子や細胞と相互作用することで、生体における様々な化学反応を促進または抑制する能力を示す。しかしながら、これらの化合物を単体で生体に作用させるだけでは、化合物が本来持っている生理・生化学的機能を十分に発揮できない場合がある。また、多くの化合物は望まれる生理・生化学的機能に加えて、生体にとって好ましくない副次的な影響を及ぼすことがある。このような観点から、生理活性を有する化合物を所望の部位で所望の時期、あるいは期間にわたって、所望の量だけ作用させるようなシステムの開発が試みられてきた。これらの多くは、生理活性を有する化合物とは直接関連のない他の材料との複合化を中心とした製剤化技術によってなされてきた。
【0003】
例えば、化粧料において、それを構成する各成分がそれぞれの機能を発揮することは重要な課題である。化粧料に求められる機能である、保湿、しわ改善、美白、酸化防止、UV阻害等の機能を肌上で効果的に発揮させるには高度な剤形設計が施されなければならない。化粧料の一般的な剤形としては、溶液、乳化、粉末、粘液状、ゼリー状、軟膏状などが挙げられる。また、基本3成分、すなわち、油相、水相、界面活性剤相から構成される種々相状態からなる剤形がある。例えば、乳化分散技術のひとつである油中水分散型(W/O型)や水中油分散型(O/W型)がある。また、これら分散型を更に高度に設計した多相分散型(W/O/W型やO/W/O型)は含有成分の安定化、徐放性が期待される。剤形を高度化する一方で、化粧料に期待される本質が損なわれることもある。肌に化粧料を塗ったときの感触である使用感が劣ること、有効成分の機能発現に加えて、機能の持続といった“化粧持ち”が低下するなども重要な課題である。化粧持ちの改善としては化粧崩れの防止が最も重要な課題である。化粧崩れの要因としては、皮脂や汗による肌からの浮き上がりとハンカチ等による物理的刺激による剥離が挙げられる。その問題を解決する手段として、肌への付着性向上、浮き上がり防止を目的とした高分子や油剤を利用した剤形設計が行われてきている。
【0004】
また、医薬品の場合は、薬の副作用軽減と、有効医薬成分のバイオアベイラビリティーの向上を目的として、薬物を適量、適時に、適所へ到達せしめ、それ以外の部位への分布を抑えるような試みがなされている。このような技術概念はドラッグデリバリーシステムと呼ばれている。製剤化によるこれまでの主な試みとしては、シクロデキストリンやキトサン類を用いて薬剤の溶解性や、安定性、吸収性を改善したり、体内動態を制御しようとする研究が挙げられる。また、生体膜を模した脂質二重膜からなる小胞であるリポソームを用いた薬物の輸送、徐放についても研究例が多い。さらに、合成高分子からなるミセルやハイドロゲル、あるいはマイクロスフェアの中に薬剤を含有させ、輸送、徐放する系も開発されている。また、このようなドラッグデリバリーシステムを高度化したものとして、特定の細胞の表層や生体組織に薬剤をターゲッティングさせる技術も開発されている。細胞の表面にある特異的な抗原を認識するモノクローナル抗体と薬剤との連結などはその例である。これらの技術開発において、薬剤成分を担持または包含し、生体内での輸送を担い、必要な場所で必要な時期に、必要な量だけ該薬剤を放出させるような材料が求められている。
【0005】
一方、外科的な医療の分野では、機能損失した臓器や、失われた生体組織を代替するために様々な材料が利用されている。これらは、人工皮膚や人工血管、人工心臓などの人工臓器として生体に埋め込まれて使用されたり、生体外で使用されて生体機能を補助する。また、診断や治療において様々な医療材料が直接生体と接触して用いられる。このような医療材料の例としては、カテーテルや各種のチューブ類、ステント、カニューレ、創傷被覆材、生体接着剤などが挙げられる。さらに、近年、再生医療に関する基礎研究や臨床応用が活発化しており、組織再生のための足場材料、体外細胞培養用の基材などの材料研究も進んでいる。
【0006】
これまで、生体材料には、生体に対して、抗原性を持たない、炎症反応を誘起しない、血栓が付着しないなどの、どちらかといえば不活性な特性が求められてきた。しかしながら、再生医療のような新しい治療概念においては、材料そのものに生体に積極的に働きかけ、細胞の増殖や組織分化を促すことで、治癒効果をもたせることも求められている。具体的には、細胞が定着して増殖するような環境を提供する足場材料であって、細胞増殖や分化を制御するような生理活性成分を担持して、適切に徐放させることができるような材料の開発が期待されている。
【0007】
上記のように化粧品や医薬品、医療材料の分野で、共通して求められる機能は、有効成分を担持して、適切な時期に適切な細胞または生体組織、器官において、適切な量だけ作用させるというものである。このような材料を開発することで、化粧品分野では、有効成分を担持させ皮膚上で好適に機能させるための基剤として、医薬品分野では、薬剤を細胞や組織に送達させて好適に機能させるためのDDS基剤として、医療材料や再生医療材料の分野では、生体に接触または埋め込んで用いることで治療効果や組織再生効果を発揮させるための材料、または材料創製のためのコーティング材としての展開が可能となる。さらに、これらの材料は、共通して、生体に対して利用されるため、生体適合性を有していることが望まれる。
【0008】
最近、このような機能を持つことが期待される化合物が報告されている(特許文献1、非特許文献1)。具体的には、ポリエチレングリコールのような両親媒性を有する水溶性高分子を骨格とし、末端に細胞定着性を付与するための不飽和脂肪族炭化水素基を結合させ、その反対側の末端に活性成分を結合させるために結合部位を有する構造をしている。しかしながら、この化合物は一分子内に活性化合物を一分子のみしか結合できないことから細胞の修飾剤としては相応しいものの、化粧品の基剤や、DDS基剤としての展開には限界があると考えられる。また、化合物同士を架橋させることによる三次元構造化は困難であり、医療材料や再生医療用材料としての展開も限られてしまう。
【特許文献1】特開2003−116529号公報
【非特許文献1】Modulating the Actions of NK Cell-Mediated Cytotoxicity Using Lipid-PEG (n) and Inhibitory Receptor-Specific Antagonistic Peptide Conjugates. Chung HA, Tajima K, Kato K, Matsumoto N, Yamamoto K, Nagamune T. Biotechnol Prog. 2005 Aug 5;21(4):1226-1230.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまでに、有効成分を担持した状態で細胞や生体組織へ定着させることで、該有効成分の機能を細胞や生体組織において好適に発揮させることが可能であり、かつ好適な生体適合性を有する材料は開発されていない。本発明の課題は、生体適合性を有する高分子材料であって、さまざまな生体機能分子をその量を制御しながら担持することが可能であり、さらに細胞や生体への定着能を有する化合物を保有することで、担持した生体機能分子の機能を好適に発揮させることができる高分子材料を提供することにある。本発明の別の課題は、細胞や生体組織に障害を与えることなく、また免疫系による排除などの好ましくない生体応答を引き起こすことなく、所望する生体機能分子を細胞や生体組織に定着させてその機能を好適に発揮させるための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、分子鎖内に複数の反応性官能基を有する水溶性高分子であり、生体適合性にも優れるポリアミノ酸を骨格とした材料を見出した。ポリアミノ酸の官能基を利用して、各種の生体機能分子を共有結合により担持させることができると同時に、細胞や生体組織への定着能を有する脂肪族炭化水素分子や細胞接着性ペプチド等をも担持させることが可能であり、細胞や生体組織に定着させることで、該生体機能分子の機能を好適に発揮させることが可能であることを見出した。生体機能分子を担持し、細胞や生体組織への定着性が付与された複合体は、溶性を保っており、化粧料や医薬品としての展開が容易であること、さらに、架橋することで三次元構造形成が可能であり、各種の医療材料や再生医療用材料への展開も可能であることを発見し、発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、
〔1〕下記一般式(I)乃至(III)
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Rは、生体機能分子の誘導体残基を示し、Rは細胞や生体組織への定着能を有する化合物の誘導体残基を示し、Xは酸素原子、窒素原子およびイオウ原子から選択され、Yは水素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種以上の元素を示し、mは1〜2の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表されるα型又はβ型又はγ型ポリアミノ酸単量体単位から構成されるポリアミノ酸誘導体であり、かつ、下記の(a)または(b)の少なくとも一方の様式により分子中に生体機能分子を有するポリアミノ酸誘導体であり、かつ、下記の(c)または(d)の少なくとも一方の様式により、細胞や生体組織への定着能を有する化合物を有することを特徴とするポリアミノ酸誘導体。
(a)一般式(I)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むこと
(b)少なくとも一方の末端が、生体機能分子で封止されていること
(c)一般式(II)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むこと
(d)少なくとも一方の末端が、細胞や生体組織への定着能を有する化合物で封止されていること
〔2〕ポリアミノ酸誘導体が、ポリアスパラギン酸誘導体である前記〔1〕に記載のポリアミノ酸誘導体。
〔3〕前記一般式(I)における生体機能分子が、抗酸化剤、UV吸収剤、抗菌剤、サイトカイン類、ホルモン類、からなる群から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔2〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔4〕末端の封止に用いられる生体機能分子が、抗酸化剤、UV吸収剤、抗菌剤、サイトカイン類、ホルモン類、からなる群から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔5〕前記一般式(II)におけるRが、ヒドロキシ基またはヘテロ原子を含んでも構わない炭素原子数1〜22の不飽和または飽和炭化水素基からなる、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔6〕末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、ヒドロキシ基またはヘテロ原子を含んでも構わない炭素原子数1〜22の不飽和または飽和炭化水素基並びに当該基を有する化合物からなる、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔7〕前記一般式(II)におけるRが、炭素数12〜22の不飽和または飽和脂肪族炭化水素基群から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔8〕末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、炭素数12〜22の不飽和または飽和脂肪族炭化水素基群並びに当該基を有する化合物から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔9〕前記一般式(II)におけるR2が、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、パルミトレオイル基、ステアリル基、オレイル基、リノレオイル基、α−リノレノイル基、γ−リノレノイル基、アラキドノイル基、エイコサペンタノイル基及びドコサヘキサエノイル基からなる群から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔10〕末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、パルミトレオイル基、ステアリル基、オレイル基、リノレオイル基、α−リノレノイル基、γ−リノレノイル基、アラキドノイル基、エイコサペンタノイル基及びドコサヘキサエノイル基からなる群並びに当該基を有する化合物から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔11〕前記一般式(II)における細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、細胞接着性ペプチド、細胞表面に存在するレセプターに対するリガンド、細胞表面に存在するレセプターに対するアンタゴニスト、前記以外の細胞への定着活性を有する化合物群から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔12〕末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、細胞接着性ペプチド、細胞表面に存在するレセプターに対するリガンド、細胞表面に存在するレセプターに対するアンタゴニスト、前記以外の細胞への定着活性を有する化合物群から選択される少なくとも1種類を含む前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
〔13〕前記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の記載のポリアミノ酸誘導体が、架橋され三次元構造を形成していることを特徴とする材料。
〔14〕前記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体または〔13〕に記載の材料を細胞や生体に作用させることにより、該ポリアミノ酸誘導体または材料に担持された生体機能分子の機能を持続的かつ有効に発揮させる方法。
に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、有効成分を担持した状態で細胞や生体組織へ定着させることで、該有効成分の機能を細胞や生体組織において好適に発揮させることが可能であり、かつ好適な生体適合性を有するポリアミノ酸誘導体を提供することができる。ポリアミノ酸は、分子鎖中に複数の反応性官能基を有しており、さまざまな生体機能分子をその量を制御しながら担持することが可能であり、細胞や生体への定着能を有する化合物を同時に保有することで、担持した生体機能分子の機能を好適に発揮させることができる高分子材料を提供し得る。また、ポリアミノ酸を骨格とした材料は、細胞や生体組織に障害を与えることなく、また免疫系による排除などの好ましくない生体応答を引き起こす可能性が低いため、所望する生体機能分子を細胞や生体組織に定着させてその機能を好適に発揮させるための方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、分子中に生体機能(性)分子及び細胞や生体組織への定着能を有する化合物を含むポリアミノ酸誘導体に関するものであり、さらに、当該ポリアミノ酸誘導体を用いて各種の生体機能分子の機能を細胞や生体組織において好適に発揮させるための方法に関する。
【0018】
本発明とは、下記一般式(I)乃至(III)
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】
(式中、Rは、生体機能分子の誘導体残基を示し、Rは細胞や生体組織への定着能を有する化合物の誘導体残基を示し、Xは酸素原子、窒素原子およびイオウ原子から選択され、Yは水素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種以上の元素を示し、mは1〜2の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表されるα型又はβ型又はγ型ポリアミノ酸単量体単位から構成されるポリアミノ酸誘導体であり、かつ、下記の(a)または(b)の少なくとも一方の様式により分子中に生体機能分子を有するポリアミノ酸誘導体であり、かつ、下記の(c)または(d)の少なくとも一方の様式により、細胞や生体組織への定着能を有する化合物を有することを特徴とするポリアミノ酸誘導体である。
(a)一般式(I)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むこと
(b)少なくとも一方の末端が、生体機能分子で封止されていること
(c)一般式(II)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むこと
(d)少なくとも一方の末端が、細胞や生体組織への定着能を有する化合物で封止されていること
【0023】
また、本発明とは、当該ポリアミノ酸誘導体が、架橋され三次元構造を形成していることを特徴とする材料である。さらに、本発明とは、当該ポリアミノ酸誘導体または材料を細胞や生体に作用させることにより、当該ポリアミノ酸誘導体または材料に担持された生体機能分子の機能を持続的かつ有効に発揮させる方法である。
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ポリアミノ酸とは、アミノ酸がペプチド縮重合した重合体をも包含する。また本発明において、重合体及びポリマーは相互に等価な意味である。重合体(ポリマー)を構成する単量体単位の配列の様式は、共重合体(コポリマー)である場合はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れでもよい。また、重合体(ポリマー)の分子鎖は、線状、大環状、分岐状、星状、三次元網目状のいずれでも良い。本発明において、炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状の何れでもよく、原子団の中に、N、O、S等のCやH以外の原子が含まれていてもよい。
【0025】
本発明のポリアミノ酸誘導体は、その基本骨格がアミノ酸誘導体の単量体単位から成るものであればよく、特に制限はないが、特に、ポリアスパラギン酸誘導体であることが好ましい。
【0026】
本発明におけるポリアスパラギン酸およびその誘導体は、分子鎖中には、α−カルボキシル基またはβ−カルボキシル基が反応性官能基として存在し、水溶性に優れている。また、加水分解、酵素分解によりアスパラギン酸モノマーに分解されるため、生体吸収性を示す。さらに、抗原性や発ガン性などの生体にとって好ましくない性質については報告されておらず、極めて安全性の高い材料である。
【0027】
本発明で用いられるポリアミノ酸誘導体は、例えば、ポリこはく酸イミドを原料として製造できる。
【0028】
ポリこはく酸イミドは、従来より知られる各種の方法で製造でき、例えば、J.Am.Chem.Soc.,80,3361(1985) には、アスパラギン酸を200℃で2〜3時間加熱縮合させることにより、ポリこはく酸イミドを製造する方法が開示されている。特公昭48−20638号公報には、85%のリン酸を触媒としてロータリーエバポレーターを使用して薄膜状でアスパラギン酸の反応を行うことにより、高分子量のポリこはく酸イミドを得る方法が開示されている。米国特許第5057597号には、工業的にポリこはく酸イミドを得る方法として、流動床によりポリアスパラギン酸を加熱縮合させる方法が開示されている。また。さらに高分子量のポリこはく酸イミドを必要とする場合には、上記の方法で得られたポリこはく酸イミドを、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤で処理することにより連結することもできる。
【0029】
本発明のポリアミノ酸誘導体を製造する為に使用するポリこはく酸イミドの分子量は、所望の特性を有する生成物が実質的に得られれば特に制限されない。一般的には、ポリこはく酸イミドの分子量は、2000〜500000程度が好ましく、10000〜400000程度がより好ましく、15000〜200000程度が特に好ましい。この分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中、45℃で測定し、ポリスチレン標準で求めた値である。使用するポリこはく酸イミドの分子量が低ければ、得られるポリアミノ酸誘導体の分子量も低くなり、ポリこはく酸イミドの分子量が高ければ、得られるポリアミノ酸誘導体の分子量も高くなる。
【0030】
本発明のポリこはく酸イミドからポリアミノ酸誘導体を製造する際の方法は、特に制限されず、例えば、以下の製造方法が挙げられる。先ず、ポリこはく酸イミドを適当な溶媒に溶解する。この溶媒としては、ポリこはく酸イミドが溶解し、アミン類との反応で副反応を起こさなければ特に限定されない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が用いられる。
【0031】
この溶媒中で、ポリこはく酸イミドのイミド環に対して、アミノ基を有する化合物(アミン類)を反応させる。ポリこはく酸イミドのイミド環のモル数に対して、アミン類を1倍モル添加し反応を行うと、アミン類はイミド環を開環させて付加し、側鎖のグラフト構造を形成する。
【0032】
次いで、得られた反応混合物を、貧溶媒中に排出する。この貧溶媒としては、ポリアミノ酸誘導体が沈殿し、その後濾過乾燥した際に、ポリアミノ酸誘導体の結晶中に残存しないような溶媒であれば特に限定されない。例えば、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール等が用いられる。上述のようにして得た沈殿を濾取し、貧溶媒で洗浄し、乾燥することにより、目的のポリアミノ酸誘導体が得られる。
【0033】
また本発明のポリアミノ酸誘導体は、適当な溶媒に溶解することが好ましいが、特に水、エタノール、グリセリン、エチレングリコール、1,3−ブタンジオールなどの溶媒に溶解することが好ましい。更に水に溶解することが最も好ましい。
【0034】
本発明のポリアミノ酸の分子量範囲は特に限定させるものではない。好ましくは、100〜100000、より好ましくは1000〜10000である。
【0035】
上記一般式(I)におけるRは、生体機能分子の誘導体残基を示す。
【0036】
本発明における生体機能分子とは、化粧品や医薬品の活性成分を初めとして、天然、非天然の化合物のうち、細胞や生体に対して何らかの化学的、物理的作用を有する化合物を指す。このような生体機能分子の種類としては、化粧品成分の場合、化粧品として用いられ可能性のあるすべての活性成分が対象である。例えば、酸化防止、美白、しわ改善、抗菌、UV吸収、保湿などの機能を有する化合物が挙げられる。酸化防止効果を有する成分(所謂、抗酸化剤)としてビオチンやチオタウリンなどがあげられる。これらは、化粧料に配合されて用いられているが、化粧料塗布後、洗浄等で簡単に皮膚から脱離してしまい効果を持続させるのが難しいため、本発明のポリアミノ酸誘導体に担持させて、皮膚への定着により持続的に効果を発揮させるのに好適な成分である。また、UV吸収剤としては、パラメトキシ桂皮酸類やパラアミノ安息香酸などが挙げられるが、皮膚刺激性が強く、皮膚浸透を抑えることが望まれているため、これらについても本発明のポリアミノ酸誘導体担持させることにより、皮膚浸透性を抑え、UV遮断効果を持続的に発揮させるのに好適の成分である。消臭等の目的で利用される抗菌剤として、銀イオンなどが挙げられるが、これらについても、皮膚上で持続的に機能を発揮することが求められており、本発明の生体機能分子の対象として好適である。
【0037】
医薬品の領域では、活性を有する薬剤の全てが対象となる。特に、制癌剤、免疫抑制剤などの医薬品では、DDSに基づく投薬が重要であり、好適に用いられる。
【0038】
医療材料、再生医療材料の領域においても、医薬品の領域で対象となる薬剤が対象となるが、特に、細胞増殖や分化にかかわる因子、いわゆるサイトカイン類が主な対象となる。サイトカインのようなタンパク質を本発明のポリアミノ酸誘導体に担持させる場合、その結合様式は特に制限されないが、タンパク質の高次構造や活性を損なわないような工夫が必要である。主な結合様式としては、N末端のアミノ基やリジン残基のε−アミノ基を介した結合、システイン残基のSH基を介した結合などが挙げられる。また、化学的あるいは遺伝子工学的な手法により、対象となるポリペプチド鎖にスペーサーやタグを付加して、これらを介して本発明の水溶性高分子骨格と結合させることも可能である。
【0039】
また、ホルモンやホルモン様活性を示す化合物(ホルモン類)も本発明の生体機能分子の対象であり、インシュリンや成長ホルモンなどのペプチドまたはタンパク性のホルモンが好適に用いられる。これらホルモン類についても、サイトカイン類と同様に、本発明のポリアミノ酸誘導体に担持させることができ、細胞や生体組織への定着能を付与することで、該ホルモン類の機能を持続的かつ好適に発揮することが可能となる。
【0040】
本発明における生体機能分子としては、抗酸化剤、UV吸収剤、抗菌剤、サイトカイン類またはホルモン類等が好適な例として挙げられる。
【0041】
本発明のポリアミノ酸誘導体における生体機能分子の結合の様式については、特に限定されない。より好ましいポリアミノ酸骨格であるポリアスパラギン酸誘導体の場合、カルボキシル基と結合可能な官能基があればそれを利用することができる。結合可能な官能基がない場合でも、生体機能分子を誘導体化したり、適当なスペーサーを介することにより、結合可能となる。結合に利用可能な官能基としては、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基等が挙げられる。また、スペーサーの種類や構造についても特に限定されない。
【0042】
上記一般式(II)におけるRは細胞や生体組織への定着能を有する化合物の誘導体残基を示す。
【0043】
本発明の細胞や生体組織への定着能を有する化合物とは、細胞膜を構成するリン脂質やタンパク質と相互作用することにより、非共有結合的に細胞膜に結合する能力を有する化合物を指す。このような化合物の一例としては、細胞膜を構成する脂質部分と高い親和性を有する炭化水素基が挙げられ、より具体的には、ヒドロキシ基またはヘテロ原子を含んでも構わない炭素原子数1〜22の不飽和または飽和炭化水素基からなる化合物が好適に用いられる。上記において、より具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基、ヒドロキシアルキニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコキシアルキニル基、アミノアルキル基、アミノアルケニル基、アミノアルキニル基、アルキルアミノアルキル基、アルキルアミノアルケニル基、アルキルアミノアルキニル基、等が挙げられる。以下、より具体的に説明する。
【0044】
ここで、上記「アルキル」とは、線状でもよいし、枝分かれしてもよいアルキルであり、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル等が挙げられる。上記「アルケニル」としては、1〜3個の2重結合を有する炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖のアルケニルが挙げられ,具体的には例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1,3−オクタジエニル、2−ノネニル、1,3−ノナジエニル、2−デセニル等が挙げられる。上記「アルキニル基」としては、1〜3個の3重結合を有する炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖のアルキニルが挙げられ、具体的には例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、1−オクチニル、6−メチル−1−ヘプチニル、2−デシニル等が挙げられる。
【0045】
さらに、上記に説明したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基にそれぞれヒドロキシル基が結合したヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基、ヒドロキシアルキニル基、また、(アルキル基に酸素が結合した)アルコキシ基が結合したアルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコキシアルキニル基、また、アミノ基が結合したアミノアルキル基、アミノアルケニル基、アミノアルキニル基、また、(アミノ基にアルキル基が結合した)アルキルアミノ基が結合したアルキルアミノアルキル基、アルキルアミノアルケニル基、アルキルアミノアルキニル基、等が挙げられる。
【0046】
これらの中でも炭素数12〜22の不飽和または飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。さらに、このような脂肪族炭化水素基のうち、生体膜を構成するリン脂質の成分である脂肪酸に由来する脂肪族炭化水素基がより好ましく、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、パルミトレオイル基、ステアリル基、オレイル基、リノレオイル基、α−リノレノイル基、γ−リノレノイル基、アラキドノイル基、エイコサペンタノイル基及びドコサヘキサエノイル基、などがより好適に用いられる。
【0047】
炭化水素基が結合する場合は1種以上でよく、2種以上結合する場合はその組み合わせが制限されるものではない。
【0048】
また、細胞や生体組織への定着能を有する化合物(細胞への定着活性を有する化合物)、即ち細胞や生体組織への定着性を付与する機能を持つ化合物の別の例としては、細胞接着性ペプチドが挙げられる。フィブロネクチンやラミニン等の細胞外マトリックス分子中に存在するアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列は、細胞膜タンパク質であるインテグリンに認識され、細胞外マトリックスと細胞との接着に関与している。このRGDトリペプチドまたはセリンを付加したRGDSからなるテトラペプチドは、材料への細胞接着性付与に利用されている。
【0049】
さらに、細胞や生体組織への定着性を付与する機能を持つ化合物の別の例としては、細胞表面に存在するレセプター(受容体)に対するリガンド(レセプターに対して特異的に結合する化合物)、またはレセプターに対するアンタゴニスト(リガンドと競合してレセプターに結合する化合物)が挙げられる。細胞表面には、特定のタンパク質や糖鎖をリガンドとして認識するレセプターが存在している。これらの中には、細胞同士の接着や、細胞と細胞外マトリクスとの間の接着に関わるレセプターがあり、細胞表面のタンパク質や、細胞外マトリクスの成分をリガンドとして認識している。例えば、上述したインテグリンは細胞外マトリクス分子に存在するRGDトリペプチドをリガンドとして認識する。また、肝細胞表面に存在するアシアロ糖タンパク質レセプターは、糖鎖の末端に存在するβ−ガラクトースをリガンドとして認識する。これらのリガンド分子をそのまま、あるいは、化学修飾を行うなどして改変したアンタゴニストとして、本発明の細胞や生体組織への定着能を付与する化合物として利用することが可能である。
【0050】
本発明のポリアミノ酸誘導体における細胞や生体組織への定着能を有する化合物との結合の様式については、特に限定されない。より好ましいポリアミノ酸骨格であるポリアスパラギン酸誘導体の場合、カルボキシル基と結合可能な官能基があればそれを利用することができる。結合可能な官能基がない場合でも、生体機能分子を誘導体化したり、適当なスペーサーを介することにより、結合可能となる。結合に利用可能な官能基としては、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基等が挙げられる。また、スペーサーの種類や構造についても特に限定されない。
【0051】
本発明においては、上記「生体機能分子」、「細胞や生体組織への定着能を有する化合物」を、本願のポリアミノ酸誘導体の末端を封止するのに使用しても構わない。末端が封止された状態とは、より具体的には、ポリアミノ酸鎖のアミノ末端、または、カルボキシル末端の少なくともいずれか一方に、生体機能分子、または、細胞や生体組織への定着能を有する化合物の少なくともいずれか一方が結合している状態を指す。
【0052】
上記一般式(III)において、Xは酸素原子、窒素原子およびイオウ原子から選択され、Yは水素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種以上の元素を示す。
【0053】
また、mは1〜2の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。
【0054】
より具体的には、Yは水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択でき、特にリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属から選択されることが好ましい。
【0055】
本発明のポリアミノ酸誘導体において、α−アミド型単量体単位、β−アミド型単量体単位及びγ−アミド型単量体単位は、何れか一方のみが存在していてもよく、これらが併存していてもよい。併存している場合、α−アミド型単量体単位、β−アミド型単量体単位及びγ−アミド型単量体単位の比率は特に限定されない。
【0056】
本発明のポリアミノ酸誘導体を架橋化して三次元構造化する方法については、特に限定されない。化学的な架橋形成としては、ポリカルボン酸からなる骨格に対して、ポリアミン類を作用させることによりペプチド結合を形成させたり、アルデヒド基とアミンによるシッフ塩基形成を利用することができる。物理的な方法としては、γ線や電子線の照射などが挙げられる。また、カルボキシルアニオンと多価金属イオンを用いたキレート形成も利用することができる。
【0057】
本発明のポリアミノ酸誘導体を用いて担持された生体機能分子の機能を細胞や生体組織において好適に発揮させるための方法としては、例えば、酸化防止、美白、しわ改善、抗菌、UV吸収、保湿などの機能を有する化合物を生体機能分子として担持したポリアミノ酸誘導体を合成し、当該ポリアミノ酸誘導体を配合した化粧料を提供することで、当該生体機能分子の機能を皮膚等の生体組織において持続的かつ好適に機能させる方法が含まれる。また、別の例としては、医薬品としての活性を有する薬剤を生体機能分子として担持したポリアミノ酸誘導体を合成し、当該ポリアミノ酸誘導体を含有する医薬品を提供することで、当該生体機能分子を特定の細胞において持続的かつ好適に機能させるドラッグデリバリーシステムとしての利用法が含まれる。
【0058】
以下に本発明に関する実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【0059】
[合成例1]
<ポリこはく酸イミド(PSI)の合成>
ポリこはく酸イミドの合成を特開平11−240947号公報に記載の実施例に従い実施した。反応槽にL−アスパラギン酸、スルホラン、キシレンをそれぞれ66.5g、塩酸26gを量り採り、窒素気流下で約10分程度で100℃まで昇温させた後、徐々に約140℃まで上昇させ脱水縮合反応を行った。反応終了後、生成したポリマーにスルホラン66.5gを加え約130℃で融解した。融解したポリマーをメタノールへ排出し晶析させた。ろ過後、3回のメタノール洗浄を行い、ろ塊を回収し乾燥させた。得られたポリこはく酸イミドの分子量は高速液体クロマトグラフィーのGPC分析から求めた。得られたPSIの分子量は、2100及び2600であった。
【0060】
[合成例2]
<細胞や生体組織への定着性を付与する化合物を導入したポリアスパラギン酸誘導体の合成>
酸無水物法によりポリこはく酸イミドへの脂肪族炭化水素基の導入を行った。
反応槽内でオレイン酸1.2mlとペプチド合成用DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)7mlを室温で混合し、反応槽を−15℃前後でコントロールしたドライアイス−アセトニトリル冷媒中で冷やした後、窒素気流下、N−メチルモルホリン0.4mlを添加し、次いで塩化イソブチルホルメート0.476mlを加えて2分間反応させた。予め、ポリこはく酸イミドをDMFで溶解した液にN−メチルモルホリン0.4mlを反応槽内に滴下した。反応温度を−15℃に保ちながら30分間反応した後、室温で60分間反応を行った。反応液をメタノールに排出し晶析を行い、生じた沈殿物をろ過してオレイル化ポリこはく酸イミド(o−PSI)を回収した。
【0061】
[実施例1及び比較例1]
<ポリアスパラギン酸−ビオチン複合体の合成>
o−PSI 188mgをDMF0.94mlで溶解した。EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、PIERCE社)15mgをDMSO(ジメチルスルフォキシド)0.45mlで溶解した。ビオチン誘導体5−(ビオチンアミド)ペンチルアミン(PIERCE社)25mgをDMF2.5mlに超音波を施し溶解後、これらを混合し、25℃で1時間反応させた。反応液に20倍量のエタノールを加えて晶析し沈殿物を得た。得られた沈殿物は乾燥機にて乾燥した。
【0062】
さらに攪拌しながらDMFの2倍量の純水を添加した後、0.5M水酸化ナトリウム溶液を少しずつ加えpHを9〜10の範囲に保ちながらイミドの加水分解を行った。pHの変化がなくなったところで20倍量のアセトニトリルを加えて晶析し沈殿物を得た。得られた沈殿物は真空乾燥機にて乾燥し、オレイル化ポリアスパラギン−ビオチン(o−PA−ビオチン)複合体を得た。
【0063】
また、ポリこはく酸イミドとビオチン誘導体を材料として同様の操作により、オレイル化されていない材料として、ポリアスパラギン酸−ビオチン(PA−ビオチン)複合体を得た。
【0064】
用いたビオチン誘導体はアミン誘導体であることから、活性成分のPSIまたはo−PSIへの結合率はHPLCを用いアミンのOPA(o−フタルアルデヒド)ポストカラム法で実施した。反応に供した活性成分を100とし、反応液中に残存する活性成分の量から結合率を求めた。HPLC分析条件を以下に示す。カラム:Develosil ODS−MG−5(φ4.6×150mm)、移動相:リン酸混液(0.11%1−オクタンスルホン酸ナトリウム、0.075%リン酸二水素ナトリウム、0.1%(v/v)リン酸):純水:メタノール=1:2:2、流速:0.75mL/min、カラム温度:40℃、検出:UV検出 210nm、蛍光検出 Ex:340nm、Em:455nm、ポストカラム用o−フタルアルデヒド混液(3.4%ほう酸、3%水酸化カリウム、0.4%(v/v)2−メルカプトエタノール、1%(v/v)o−フタルアルデヒド−エタノール溶液80g/L)、o−フタルアルデヒド混液流速:0.45mL/min、試料添加:10μL。
【0065】
合成された複合体の回収率は80%以上、活性成分の導入効率は90%以上であった。
【0066】
[実施例2及び比較例2]
<ポリアスパラギン酸−チオタウリン複合体の合成>
チオタウリン(2−アミノエタンチオスルホン−S−酸)は、和光純薬工業(株)より購入した。
【0067】
PSI又はo−PSI(分子量:2100)0.1gを0.5mLのDMSOに溶解した。チオタウリン7mgを70μLのDMSOに溶解した。EDC10mgを300μLのDMSOに溶解した。これらをよく混ぜ、室温に1時間放置した。チオタウリンの結合量はHPLCによる遊離アミンの定量で確認した。活性成分が結合したPSIまたはo−PSIの加水分解は活性成分が90%以上結合したものについて行った。加水分解の手順は実施例3に記載の方法い、PSI及びo−PSIのチオタウリン複合体の加水分解物を、それぞれ、PA−チオタウリン複合体、及びo−PA−チオタウリン複合体とした。
【0068】
活性成分のPSIまたはo−PSIへの結合率は、後述する[実施例3]に記載の方法で行い、合成された複合体の回収率は80%以上、活性成分の導入効率は90%以上であった。
【0069】
[実施例3]
<ポリアスパラギン酸−メチオニン−銀イオン複合体の合成>
o−PA(分子量:2100)0.1gを1mLの純水に溶解した。メチオニン24mgを1mLの純水に溶解した。EDC31mgを310μLのDMSOに溶解した。これらをよく混ぜ、室温に1時間放置した。メチオニンの結合量はHPLCによる遊離アミンの定量で確認した。未反応メチオニンの分離はメチオニンが90%以上結合したものについて以下の手順で行った。5mL容量の脱塩カラムを2本連結し純水で平衡化した後、反応液の全量をカラムに添加し、0.5mL/minの流速でカラムから溶出し、1mLづつのフラクションを得た。各フラクションの210nmの吸光度と遊離アミン量を定量し、吸収を持ちかつ遊離アミンを含まないフラクションをプールした。既知濃度のo−PAを標準としてHPLCのピーク面積からo−PA−メチオニン複合体の濃度を算出した。o−PA−メチオニン複合体0.05mg相当の水溶液に硝酸銀水溶液100mg/mLの3μLを加えて室温に1時間放置した後、10000rpmで15分間遠心分離し、上清をo−PA−メチオニン−銀イオン複合体溶液とした。
【0070】
[評価例1]
<ミニブタ摘出皮膚を用いたポリアスパラギン酸誘導体の皮膚定着性評価>
ミニブタ(Yucatan Micropig)摘出皮膚は日本チャールスリバーより入手した。凍結皮膚は常法に従い、皮下脂肪切除、結合組織除去、皮脂除去を行った。皮膚表面に外径13mm、内径7mmの金属製リングを接着剤を用いて取り付けた。o−PA−ビオチン複合体、または、PA−ビオチン複合体の水溶液を皮膚表面に添加し60分間静置した。リン酸緩衝食塩液で3回洗浄後のブロッキング液(1%牛血清アルブミンを含むPBS(Phosphate Buffer Saline))を添加し60分間ブロッキングを行った。金属リング内をリン酸緩衝食塩液で3回洗浄を行い、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン溶液を加えビオチン結合反応を行った。反応後PBSによる洗浄を3回行い、p−ニトロフェニルフォスフェート溶液を加え酵素反応を行った。30分後反応液を回収し、波長405nmにおける吸光度を測定した。
【0071】
両材料における定着評価の結果を図1に示す。オレイル基が結合したo−PA−ビオチン複合体は濃度の増加に伴い波長405nmにおける吸光度の上昇が認められた。一方、オレイル基の結合していないPA−ビオチン複合体は吸光度の上昇が認められないことから、アスパラギン酸へのオレイル基の結合により皮膚定着能が付与されたことが確認された。
【0072】
[評価例2]
<モルモット皮膚を用いたポリアスパラギン酸複合体の皮膚定着性試験>
1週間の予備飼育を経たモルモットを定着試験前日に背部の毛をバリカン、カミソリで剃毛後、除毛剤で出来るだけ除毛処置を施した。4匹のモルモットに麻酔(ネンブタール)をかけて眠らせた後、背部皮膚に油性インクで1cmのマーキングを行い塗布部を規定した。モルモット1匹に対して5〜6の塗布部を設けた。o−PA−ビオチン複合体、または、PA−ビオチン複合体の水溶液を1cm当たりの皮膚に対して13μL塗布し、そのまま室温で30分間放置した。モルモット背部皮膚を剃毛部分に沿ってハサミで切り取り、得られた皮膚をコルク板上に広げ皮膚の隅を注射針で固定した。塗布部がOリング内に位置するように瞬間接着剤を用いてOリングを装着した。
【0073】
ストレプトアビジンを介した発色反応を以下の手順で行った。Oリング内を0.2mlPBS(Phosphate Buffer Saline)で2回洗浄した後、0.1mlブロッキング液を注ぎ、室温で1時間ブロッキングを行った。ブロッキング液を除去した後、500倍希釈(3μg/ml)のストレプトアビジン溶液0.1mlを加え1時間のビオチン−アビジン反応を行った。0.2mlのPBSで7回洗浄した後、1mM Levamisolを含む1.2mg/ml PNPP溶液を0.1ml加えて発色反応を行った。約15分反応させたところで発色液0.08mlをマイクロプレートに採取し、波長405nmにおける吸光度を測定した。
【0074】
その結果、図2に示すように、o−PA−ビオチン複合体のみが顕著な皮膚定着性を示した。
【0075】
[評価例3]
<培養細胞を用いたポリアスパラギン酸複合体の細胞定着性評価>
培養したヒト表皮角化培養細胞にo−PA−ビオチン複合体または、PA−ビオチン複合体の水溶液を加え定着反応を行った。PBSで3回洗浄した後、蛍光標識ストレプトアビジン(モレキュラープローブ社製 Alexa Fluor 488)を反応させた。反応後、PBSで10回細胞を洗浄した。蛍光標識ストレプトアビジンを反応させた細胞を共焦点レーザー顕微鏡で観察した。顕微鏡観察した結果を図3に示す。観察の結果、明らかにオレイル化した材料は細胞への定着が確認されたが、オレイル化をしていない材料の定着は認められなかった。
【0076】
[評価例4]
<ポリアスパラギン酸−抗酸化剤複合体の活性酸素消去効果>
1)電子スピン共鳴法(ESR)を用いた一重項酸素()消去能評価
ポリアスパラギン酸−抗酸化剤複合体の活性酸素消去能の評価を電子スピン共鳴(ESR)により行った。終濃度2mMの種々測定サンプル(o−PA、PA、o−PA−ビオチン複合体、o−PA−チオタウリン複合体、ビオチン、チオタウリン)と0.05mMヘマトポルフィリン及び50mMテトラメチルピペリドンハイドロクロライドを100mMトリス−HCl(pH8)で調製した。この混合物をESR測定用の石英セルに注入した後、主波長365nmの紫外光を3分間照射し活性酸素の一種である一重項酸素を発生させ、その消去能をESRのスペクトルより評価した。その評価結果を図4に示す。
【0077】
スペクトルのパターンにおいて、一重項酸素に特異的な3本のピーク値が小さくなるほど抗酸化能が高いことになる。抗酸化能をもつ活性成分が結合していないサンプル[1][2]はUVA照射により発生したを消去しなかったが、o−PA−ビオチン複合体[4]はを有意に消去した。また、o−PA−チオタウリン[6]についても同様にを消去する結果を得た。
【0078】
2)過酸化物の定量による消去能評価
リノール酸をエタノールに溶解し、1.3%とした。この溶液69μLに0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.0)35μLと0.1〜1%抗酸化活性評価サンプル(o−PA、PA、o−PA−ビオチン複合体、o−PA−チオタウリン複合体、ビオチン、チオタウリン)の水溶液をそれぞれ35μLを加え、さらに0.5M酸化助剤 2,2-Azobis(2-Amidinopropane)Dihydrochloride水溶液0.7μLを加えて354nm(UVA)40J/cm/16hrの紫外線を照射した。UVA照射後の溶液を10mg/mL2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール−(アセトン:メタノール=2:1)溶液で10000〜100000倍に希釈した。この溶液100μLに100mg/mL DPPP−(クロロホルム:メタノール=2:1)溶液50μLを加え、60℃で60分加熱した。氷上で冷却した後、2−プロパノールで100倍に希釈してEX 352nm/EM 380nmにおける蛍光強度を測定した。リノール酸:抗酸化剤:AAPH≒25:1:3(モル比)
【0079】
UVA照射により発生したはリノール酸を酸化し、その過酸化物に反応して蛍光試薬の蛍光強度が増加するが、ビオチンやチオタウリンを含む複合体サンプルではリノール酸単独と比較して蛍光強度が下がった。すなわち、いずれのアスパラギン酸−抗酸化剤複合体もUVA照射により発生するを抑制することがリノール酸の過酸化反応から確認された。その抗酸化能は、ビオチンよりもチオタウリンの方が高い結果となった。この結果は、抗酸化成分であるビオチンやチオタウリンが材料と結合しても抗酸化活性を失わないことを示唆する結果であった(図5)。
【0080】
[評価例5]
<ポリアスパラギン酸−抗菌剤複合体の抗菌活性評価>
大腸菌K12株由来のMG1655の凍結ストックをLB液体培地が入った試験管に播種して、30℃で一晩培養した。培養液を生理食塩水で5倍に希釈し、600nmの吸光度を測定し、吸光度の値が0.4〜0.04になるように生理食塩水で希釈した。
【0081】
抗菌性評価サンプルとして、o−PA−メチオニン−銀イオン複合体、または、o−PA、硝酸銀をそれぞれ、3nモル、3nモル、6nモル含むLB寒天培地(20mL)を作成し、上記の大腸菌培養液の希釈液を50μL添加してコンラージ棒で均一になるように塗り広げた。蓋をしてシャーレの周囲をビニールテープで塞ぎ、逆さにして30℃のインキュベータ内で一晩培養した。
【0082】
銀イオンは、タンパク質とよく結合することが知られていることから本実施例ではポリアスパラギン酸に銀イオンと強い結合力を有するアミノ酸であるメチオニンを結合させたが、このメチオニンと銀が複合体を形成することで、抗菌活性を示すことが期待された。結果として、図6に示すように、o−PA−メチオニン−銀イオン複合体の場合にのみ、コロニー形成の抑制が認められたことから、高い抗菌活性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、複数の反応性官能基を有する水溶性高分子に、化粧品成分や医薬成分などの生理活性成分を担持させ、さらに細胞や生体組織への定着や浸透といった物理化学的な特性を制御することで、これら生理活性成分を持続的かつ有効に機能させることができ、高機能化粧品やドラッグデリバリーシステム、医療材料、再生医療材料などに応用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】ブタ摘出皮膚を用いたポリアスパラギン酸−ビオチン複合体の皮膚定着性
【図2】モルモット皮膚を用いたポリアスパラギン酸−ビオチン複合体の皮膚定着性
【図3】培養細胞へのポリアスパラギン酸−ビオチン複合体の定着性
【図4】ESRによるポリアスパラギン酸−抗酸化剤複合体の活性酸素消去能
【図5】過酸化物定量によるポリアスパラギン酸−抗酸化剤複合体の活性酸素消去能
【図6】o−PA−メチオニン−銀イオン複合体の抗菌活性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)乃至(III)
【化1】

【化2】

【化3】

(式中、Rは、生体機能分子の誘導体残基を示し、Rは細胞や生体組織への定着能を有する化合物の誘導体残基を示し、Xは酸素原子、窒素原子およびイオウ原子から選択され、Yは水素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種以上の元素を示し、mは1〜2の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表されるα型又はβ型又はγ型ポリアミノ酸単量体単位から構成されるポリアミノ酸誘導体であり、かつ、下記の(a)または(b)の少なくとも一方の様式により分子中に生体機能分子を有するポリアミノ酸誘導体であり、かつ、下記の(c)または(d)の少なくとも一方の様式により、細胞や生体組織への定着能を有する化合物を有することを特徴とするポリアミノ酸誘導体。
(a)一般式(I)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むこと
(b)少なくとも一方の末端が、生体機能分子で封止されていること
(c)一般式(II)の単量体単位を少なくとも1単位以上含むこと
(d)少なくとも一方の末端が、細胞や生体組織への定着能を有する化合物で封止されていること
【請求項2】
ポリアミノ酸誘導体が、ポリアスパラギン酸誘導体である請求項1に記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項3】
前記一般式(I)における生体機能分子が、抗酸化剤、UV吸収剤、抗菌剤、サイトカイン類、ホルモン類、からなる群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜2のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項4】
末端の封止に用いられる生体機能分子が、抗酸化剤、UV吸収剤、抗菌剤、サイトカイン類、ホルモン類、からなる群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項5】
前記一般式(II)におけるRが、ヒドロキシ基またはヘテロ原子を含んでも構わない炭素原子数1〜22の不飽和または飽和炭化水素基からなる、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項6】
末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、ヒドロキシ基またはヘテロ原子を含んでも構わない炭素原子数1〜22の不飽和または飽和炭化水素基並びに当該基を有する化合物からなる、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項7】
前記一般式(II)におけるRが、炭素数12〜22の不飽和または飽和脂肪族炭化水素基群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項8】
末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、炭素数12〜22の不飽和または飽和脂肪族炭化水素基群並びに当該基を有する化合物から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項9】
前記一般式(II)におけるRが、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、パルミトレオイル基、ステアリル基、オレイル基、リノレオイル基、α−リノレノイル基、γ−リノレノイル基、アラキドノイル基、エイコサペンタノイル基及びドコサヘキサエノイル基からなる群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項10】
末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、パルミトレオイル基、ステアリル基、オレイル基、リノレオイル基、α−リノレノイル基、γ−リノレノイル基、アラキドノイル基、エイコサペンタノイル基及びドコサヘキサエノイル基からなる群並びに当該基を有する化合物から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項11】
前記一般式(II)における細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、細胞接着性ペプチド、細胞表面に存在するレセプターに対するリガンド、細胞表面に存在するレセプターに対するアンタゴニスト、前記以外の細胞への定着活性を有する化合物群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項12】
末端の封止に用いられる細胞や生体組織への定着能を有する化合物が、細胞接着性ペプチド、細胞表面に存在するレセプターに対するリガンド、細胞表面に存在するレセプターに対するアンタゴニスト、前記以外の細胞への定着活性を有する化合物群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の記載のポリアミノ酸誘導体が、架橋され三次元構造を形成していることを特徴とする材料。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載のポリアミノ酸誘導体または請求項13に記載の材料を細胞や生体に作用させることにより、該ポリアミノ酸誘導体または材料に担持された生体機能分子の機能を持続的かつ有効に発揮させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−191643(P2007−191643A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13031(P2006−13031)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】