説明

画像処理方法、画像処理方法のプログラム、画像処理方法のプログラムを記録した記録媒体、画像処理装置

【課題】本発明は、例えば電子スチルカメラに適用して、最小符号化処理単位をランダムに復号可能に画像データを符号化処理する。
【解決手段】本発明は、少なくとも交流成分の係数データ(AC)を目的のフォーマットに従って処理すると共に、他の最小符号化処理単位を参照することなく直流成分の係数データ(DC)を符号化処理し、最小符号化処理単位の先頭位置を特定する位置情報CMを設定して中間フォーマットの符号化データDTを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、画像処理方法のプログラム、画像処理方法のプログラムを記録した記録媒体、画像処理装置に関し、例えば電子スチルカメラに適用することができる。本発明は、少なくとも交流成分の係数データを目的のフォーマットに従って処理すると共に、他の最小符号化処理単位を参照することなく直流成分の係数データを符号化処理し、最小符号化処理単位の先頭位置を特定する位置情報を設定して中間フォーマットの符号化データを生成することにより、最小符号化処理単位をランダムに復号可能に画像データを符号化処理することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、電子スチルカメラ等の静止画の記録装置では、JPEG(Joint Photographic Coding Experts Group )の手法で画像データをデータ圧縮して記録媒体に記録している。
【0003】
ここでJPEGでは、1つの静止画を8×8画素のブロックに分割し、この8×8画素のブロックが最小符号化処理単位(MCU:Minimum Coded Unit)に設定される。JPEGでは、この最小符号化処理単位をラスタ走査の順序で順次直交変換処理し、その結果得られる係数データを量子化処理、可変長符号化処理する。このときJPEGでは、直流成分の係数データについては、直前で処理した最小符号化処理単位の対応するデータとの間で差分値を計算し、この差分値を可変長符号化処理する。これに対して交流成分の係数データについては、他の最小符号化処理単位の処理結果を参照することなく、それぞれ可変長符号化処理する。
【0004】
従ってJPEGで符号化処理した画像データは、所望する箇所の最小符号化処理単位をランダムに復号することが困難な欠点がある。このため特開2002−229759号公報には、JPEGで符号化処理した画像データをランダムに復号可能にコード変換する方法が提案されている。
【0005】
ところで近年、撮像素子が高感度化、高速度化していることから、高速度で複数枚の静止画を撮影し、この複数枚の静止画を総合的に処理して静止画の画質を向上することができると考えられる。具体的に、この処理は、例えばノイズリダクション、手振れ補正、ダイナミックレンジの拡大等の処理である。
【0006】
しかしながら連続して撮影した複数枚の静止画を何らデータ圧縮することなくメモリに記録して保持したのでは、メモリの容量が大容量化する。従ってJPEGの手法によりこれら複数枚の静止画をデータ圧縮してメモリに保持し、画質を向上することが考えられる。
【0007】
しかしながらJPEGで符号化処理した画像データは、所望する箇所の最小符号化処理単位をランダムに復号することが困難なことから、画像処理する際に、いちいちラスタ走査順に最小符号化処理単位を順次復号処理することが必要になり、効率良く画像処理できない問題がある。
【0008】
すなわち図21は、複数枚の静止画をJPEGの手法でデータ圧縮して画像処理する場合の処理手順を示すフローチャートである。この場合、撮像装置では、ユーザーの操作に応動して撮像結果を取得すると、ステップSP1からステップSP2に移り、この撮像結果をJPEGの手法で符号化処理する。また続くステップSP3において、符号化処理結果のデータを中間バッファのデータとしてバッファメモリに保持する。また例えばユーザーが撮像結果の記録を指示すると、ステップSP4に移り、この中間バッファに保持したデータを先頭の最小符号化処理単位から順次復号し、続くステップSP5で、画像処理する箇所の画像データを取得する。
【特許文献1】特開2002−229759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、最小符号化処理単位をランダムに復号可能に画像データを符号化処理することができる画像処理方法、画像処理方法のプログラム、画像処理方法のプログラムを記録した記録媒体、画像処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため請求項1の発明は、画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理方法に適用して、前記所定フォーマットは、最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、前記画像処理方法は、前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理のステップと、前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号のステップと、前記中間フォーマットの復号のステップで復号した前記画像データを画像処理する画像処理のステップと、前記画像処理のステップで処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理のステップとを有し、前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する。
【0011】
また請求項8の発明は、画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理方法のプログラムに適用して、前記所定フォーマットは、最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、前記画像処理方法は、前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理のステップと、前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号のステップと、前記中間フォーマットの復号のステップで復号した前記画像データを画像処理する画像処理のステップと、前記画像処理のステップで処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理のステップとを有し、前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する。
【0012】
また請求項9の発明は、画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理方法のプログラムを記録した記録媒体に適用して、前記所定フォーマットは、最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、前記画像処理方法は、前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理のステップと、前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号のステップと、前記中間フォーマットの復号のステップで復号した前記画像データを画像処理する画像処理のステップと、前記画像処理のステップで処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理のステップとを有し、前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する。
【0013】
また請求項10の発明は、画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理装置に適用して、前記所定フォーマットは、最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、前記画像処理装置は、前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理部と、前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号部と、前記中間フォーマットの復号部で復号した前記画像データを画像処理する画像処理部と、前記画像処理部で処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理部とを有し、前記中間フォーマットの符号化処理部は、前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する。
【0014】
請求項1、請求項8、請求項9又は請求項10の構成によれば、所定フォーマットでは、直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理することから、この所定フォーマットの符号化データでは、最小符号化処理単位をランダムに復号することが困難になる。しかしながら画像データに比してデータ量が低減していることから、画像データを直接メモリに格納する場合に比してメモリの容量を小型化することができる。これに対して中間フォーマットでは、少なくとも交流成分の係数データを所定フォーマットで符号化処理し、直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理していることから、所望する最小符号化処理単位の直流成分の符号化データと交流成分の符号化データとで、この所望する最小符号化処理単位を復号することができる。また所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報が設けられていることから、可変長符号化処理により種々に変化する最小符号化処理単位の先頭位置を特定して、所望する最小符号化処理単位の直流成分の符号化データと交流成分の符号化データとを選択することができる。従って画像データを一旦中間フォーマットに変換して画像処理する請求項1、請求項8、請求項9又は請求項10の構成によれば、最小符号化処理単位をランダムに復号可能に画像データを符号化処理することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、最小符号化処理単位をランダムに復号可能に画像データを符号化処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0017】
(1)実施例の構成
図2は、本発明の実施例1の画像処理装置である電子スチルカメラを示すブロック図である。この電子スチルカメラ1において、レンズ2は、中央処理ユニット7から指示された倍率、絞りで入射光L1を集光し、続く撮像素子3の撮像面に光学像を形成する。
【0018】
撮像素子3は、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor )イメージセンサであり、撮像面に形成された光学像の撮像結果を出力する。より具体的に、撮像素子3は、通常は動画の撮像結果を出力し、ユーザーがシャッターボタンを操作すると、中央処理ユニット7の制御により、静止画の撮像結果を出力する。またこの静止画の撮像結果を出力する際に、例えば120〔フレーム/秒〕の、動画に比して高フレームレートで複数枚の静止画を連続して出力する。
【0019】
アナログディジタル変換部(A/D)4は、この撮像素子3の出力信号をアナログディジタル変換処理して画像データD1を出力する。
【0020】
カメラ信号処理部5は、このアナログディジタル変換部4から出力される画像データD1をガンマ補正処理等してバスBUSに出力する。
【0021】
表示部6は、バスBUSに出力される画像データを表示し、この電子スチルカメラ1では、この表示部6で動画、静止画の撮像結果を確認できるように構成される。
【0022】
符号化部8は、中央処理ユニット7の制御により、カメラ信号処理部5からバスBUSに出力される静止画の画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理し、バスBUSを介してメモリ部9に格納する。
【0023】
復号部10は、このメモリ部9に保持された中間フォーマットの符号化データ、外部メモリ12に保持されたJPEGフォーマットの符号化データを復号して画像データをバスBUSに出力する。
【0024】
信号処理部11は、中央処理ユニット7の指示により、バスBUSを介して、中間フォーマットから復号された画像データを復号部10から入力し、この画像データを処理してバスBUSに出力する。ここでこの実施例において、この信号処理部11における処理は、連続して取得された複数枚の静止画を用いて静止画の画質を改善する画質改善処理であり、例えばノイズリダクション処理が適用される。従って信号処理部11は、これら複数枚の静止画の対応する画素間で、画素値を平均値化してノイズを抑圧する。なおこの画質改善処理は、手振れ補正、ダイナミックレンジを拡大する処理等を適用することもでき、手振れ補正の場合、信号処理部11は、これら複数枚の静止画像を動き補正した後、対応する画素間で、画素値を平均値化して手振れ補正する。またダイナミックレンジを拡大する処理の場合、電子スチルカメラ1では複数枚の静止画像を異なるシャッター速度で撮影し、信号処理部11は、これら複数枚の静止画像の対応する画素値を重み付け加算してダイナミックレンジを拡大する。
【0025】
メモリ部9は、バスBUSに出力される中間フォーマットの符号化データ等を一時格納して保持する。
【0026】
外部メモリ12は、例えばメモリカードであり、バスBUSに出力されるJPEGフォーマットの符号化データを記録して保持し、また保持した符号化データをバスBUSに出力する。
【0027】
中央処理ユニット7は、この電子スチルカメラ1の動作を制御する制御手段であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)13にワークエリアを確保してリードオンリメモリ(ROM)14に記録されたプログラムを実行することにより、この電子スチルカメラ1全体の動作を制御する。なおこのプログラムは、この電子スチルカメラ1に事前にインストールして提供するようにしてもよく、また光ディスク、磁気ディスク、メモリカード等の記録媒体に記録して提供するようにしてもよく、さらにはインターネット等のネットワークを介したダウンロードで提供するようにしてもよい。
【0028】
図3は、この電子スチルカメラ1における中央処理ユニット7の制御による静止画の処理を示すブロック図である。中央処理ユニット7は、ユーザーがシャッターボタンを操作して静止画の撮影を指示すると、固体撮像素子3等の動作を制御して静止画の画像データD1を複数枚、取得し、この静止画の画像データD1をカメラ信号処理部5で処理する。またこのカメラ信号処理部5で処理した画像データD1を符号化部8で中間フォーマットの符号化データDTに符号化処理し、この中間フォーマットの符号化データDTをメモリ部9に格納する。なおこの図3では、この中間フォーマットの符号化データDTをランダムアクセス可能な符号セットとして示す。
【0029】
またユーザーが撮像結果の保存を指示すると、中央処理ユニット7は、このメモリ部9に保持した中間フォーマットの符号化データDTをJPEGフォーマットの符号化データDJに変換し、外部メモリ12に記録する。このときユーザーが画質改善の動作モードを選択している場合、中央処理ユニット7は、メモリ部9に保持した中間フォーマットの符号化データDTを復号部10で復号し、復号した画像データD1の画質を信号処理部11で改善する。また画質を改善した画像データD1をJPEGフォーマットの符号化データDJに変換し、外部メモリ12への記録用の符号化データを生成する。中央処理ユニット7は、このJPEGフォーマットの符号化データDJを外部メモリ12に記録する。
【0030】
なおこの図3との対比により図1に示すように、中央処理ユニット7は、信号処理部11で画質を改善した画像データD1を一旦、中間フォーマットの符号化データDTに変換してメモリ部9に格納した後、この中間フォーマットの符号化データDTをJPEGフォーマットの符号化データDJに変換して外部メモリ12に記録する。
【0031】
ここでこの中間フォーマットは、JPEGフォーマットの符号化データへの符号化処理が容易で、かつ所望する箇所の画像データを任意に復号することが可能なフォーマットである。中間フォーマットは、JPEGフォーマットの符号化データのうちで、ランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとなっていない符号化データについては、JPEGフォーマットの処理を適用する。これに対してJPEGフォーマットの符号化データのうちで、ランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとなっている符号化データについては、ランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとならないように処理する。
【0032】
より具体的に、この中間フォーマットは、JPEGフォーマットの最小符号化処理単位が最小符号化処理単位に設定され、JPEGフォーマットと同様に、ラスタ走査の順序でこの最小符号化処理単位を順次符号化処理する。またこの中間フォーマットは、JPEGフォーマットの場合と同様に、各最小符号化処理単位を直交変換処理し、直交変換処理結果の係数データを量子化処理、可変長符号化処理して符号化データDDC、ACを生成する。
【0033】
従ってこの中間フォーマットにおいて、直交変換処理して得られる係数データのうちの交流成分の係数データは、図4(B)に示すように、他の符号化処理単位の処理結果を参照することなく量子化処理、可変長符号化処理されて符号化データAC(AC1〜AC16)が生成され、この交流成分の符号化データAC(AC1〜AC16)は、何らランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとならないことになる。
【0034】
これに対して直流成分の係数データは、図4(A)において矢印で示すように、直前の最小符号化処理単位の直流成分の係数データとの間で差分値が計算され、この差分値が量子化処理、可変長符号化処理されて符号化データDDC(DDC1〜DDC16)が生成される。従ってこの直流成分の符号化データDDC(DDC1〜DDC16)は、直前の最小符号化処理単位を参照して符号化されていることから、ランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとなる。なおこの図4は、1枚の静止画を4×4個の最小符号化処理単位で表すものである。
【0035】
そこでこの中間フォーマットでは、直流成分の係数データが、別途、直前の最小符号化処理単位の処理結果を参照することなく量子化処理されて符号化データDC(DC2〜DC16)(図4(C))が生成される。なおJPEGフォーマットにおいて、先頭の最小符号化処理単位では、直前に処理する最小符号化処理単位が存在しないことになる。従って先頭の最小符号化処理単位において、直流成分の係数データは、値0との間の差分値が符号化処理され、結局、他の最小符号化処理単位の処理結果を参照しないで符号化処理されることになる。そこでこの実施例において、先頭の最小符号化処理単位では、JPEGフォーマットによる直流成分の符号化データDDCのみが生成され、符号化データDCは生成されないように設定される。なお直流成分の係数データは、可変長符号化処理するようにしてもよく、また量子化処理を省略するようにしてもよい。
【0036】
またさらにこの中間フォーマットでは、JPEGフォーマットで符号化処理した符号化データDDC、ACが可変長符号化処理されていることから、この符号化データDDC、ACのデータ列中で、各符号化処理単位の先頭位置を特定する位置情報CM(CM1〜CM15)(図4(D))が設けられる。この実施例では、図5(A)に示すように、この位置情報に、各最小符号化処理単位のサイズの情報CMが適用される。なおこの位置情報には、図5(B)に示すように、先頭の最小符号化処理単位の開始位置を基準にした位置情報CMを適用してもよい。
【0037】
この中間フォーマットに対応して符号化部8は、図6に示すように構成される。すなわち符号化部8は、ラスタ走査順序で順次最小符号化処理単位の画像データD1をディスクリートコサイン変換部(DCT)21に入力し、最小符号化処理単位毎に、画像データD1をディスクリートコサイン変換処理する。またその処理結果である各係数データを量子化部22で量子化処理した後、可変長符号化部23で可変長符号化処理する。符号化部8は、これらディスクリートコサイン変換部21、量子化部22、可変長符号化部23がJPEGのフォーマットで順次画像データD1を処理するように形成され、可変長符号化部23からJPEGフォーマットの符号化データDDC、ACを出力する。
【0038】
従って電子スチルカメラ1は、直接、入力画像データD1をJPEGのフォーマットで符号化処理して符号化データDJを出力する場合、図示しないバッファメモリを介して、この可変長符号化部23の出力データにヘッダ等の各種制御コードを設定して出力する。
【0039】
この符号化部8において、位置情報設定部24は、可変長符号化部23から出力される符号化データDDC、ACのデータ長を最小符号化処理単位毎に集計し、各符号化処理単位の先頭位置を特定する位置情報CMを検出して出力する。
【0040】
DC係数処理部25は、量子化部22から出力される係数データから直流成分の係数データを選択的に入力し、この直流成分の係数データを符号化処理して符号化データDCを出力する。
【0041】
中央処理ユニット7は、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理した直流係数データの符号化データDCについては、テーブル形式でメモリ部9に保持する(図1)。また各最小符号化処理単位の先頭位置を特定する位置情報CMについては、マップ形式でメモリ部9に保持する。
【0042】
中央処理ユニット7は、中間フォーマットでメモリ部9に格納した静止画の外部メモリ12への記録がユーザーから指示されると、メモリ部9に格納した中間フォーマットの符号化データDTからJPEGフォーマットで符号化処理した符号化データDDC、ACを選択する。またこのJPEGフォーマットで符号化処理した符号化データDDC、ACにヘッダ等の制御コードを付加してJPEGフォーマットの符号化データDJを生成し、この符号化データDJを外部メモリ12に格納する。
【0043】
これに対してユーザーが画質改善を指示すると、メモリ部9に保持した中間フォーマットの符号化データDTを復号部10に転送し、元の画像データD1を復号する。またこの復号した画像データD1を信号処理部11で処理し、符号化部8で中間フォーマットの符号化データDTに符号化処理する。またこの中間フォーマットの符号化データDTをJPEGフォーマットの符号化データDJに変換して外部メモリ12に格納する。
【0044】
この処理において、中央処理ユニット7は、信号処理部11において最小符号化処理単位を順次ラスタ走査の順序で処理するように、メモリ部9に保持した符号化データDTを復号部10に転送して処理する。従って中央処理ユニット7は、例えばメモリ部9に3枚の静止画が格納されている場合、これら3枚の静止画のラスタ走査開始位置の最小符号化処理単位を順次復号部10で復号した後、続くラスタ走査位置の最小符号化処理単位を順次復号する。従って各静止画の画像データD1は、ラスタ走査の順序で最小符号化処理単位が順次復号されるものの、各最小符号化処理単位では、直前に処理した最小符号化処理単位が他の静止画のものとなる。そこでこの電子スチルカメラ1では、任意の位置の最小符号化処理単位を復号することが必要になる。
【0045】
そこで中央処理ユニット7は、図7に示すように、JPEGフォーマットの符号化データDDC、ACのうちの、直流成分の符号化データDDCを、マップ形式で格納した対応する直流成分の符号化データDCで置き換えた後、この符号化データDC、ACを復号部10に転送する。またこのときテーブル形式で格納した位置情報CMで、処理対象の最小符号化処理単位のデータ位置を検出し、このデータ位置を基準にしてJPEGフォーマットで符号化処理した符号化データDDC、ACを取得する。
【0046】
図8は、この電子スチルカメラ1における複数枚の静止画の処理手順を示すフローチャートである。この場合、電子スチルカメラ1では、ユーザーの操作に応動して撮像結果を取得すると、ステップSP11からステップSP12に移り、この撮像結果を中間フォーマットの符号化データDTに符号化処理する。また続くステップSP13において、中間フォーマットの符号化データDTを中間バッファのデータとしてメモリ部9に格納する。また例えばユーザーが画質改善を指示すると、ステップSP14に移り、この中間フォーマットの符号化データDTの任意の最小符号化処理単位を復号部10で復号し、続くステップSP15で、画像処理する箇所の画像データを取得することになる。
【0047】
なお図4及び図7との対比により図9及び図10に示すように、先頭及び末尾の最小符号化処理単位については、直流成分の係数データを符号化データDCに符号化処理しないようにして、中間フォーマットの符号化データDTのデータ量を低減するようにしてもよい。なおこの場合、復号時、処理対象の直前の最小符号化処理単位の符号化データDCを復号して直流値を得、処理対象の最小符号化処理単位の符号化データDDCをこの直流値を基準にして復号することになる。
【0048】
(2)実施例の動作
以上の構成において、この電子スチルカメラ1では(図2)、ユーザーがシャッターボタンを操作すると、高フレームレートで複数枚の静止画が撮像素子3で順次取得され、この静止画の撮像結果がアナログディジタル変換部4で画像データD1に変換される。この画像データD1は、カメラ信号処理部5で所定の信号処理を受けた後、メモリ部9に格納される。またこのメモリ部9に格納された複数枚の静止画が信号処理部11で処理されて画質が改善された後、JPEGフォーマットの符号化データDJで外部メモリ12に格納される。この電子スチルカメラ1では、この信号処理部11における処理が、複数枚の静止画を用いて画質を向上する処理であることから、外部メモリ12に記録した静止画については、従来に比して画質を向上することができる。
【0049】
しかしながらこのように複数枚の静止画を処理して画質を向上する場合、何らデータ圧縮することなくこれら複数枚の静止画をメモリ部9に格納したのでは、メモリ部9を大容量化することが必要になる。そこでこれら複数枚の静止画をJPEGフォーマットで符号化処理してメモリ部9に格納することも考えられるが、JPEGフォーマットの符号化データは、所望する箇所の最小符号化処理単位をランダムに復号することが困難なことから、これら複数枚の静止画を効率良く処理できなくなる。
【0050】
そこでこの電子スチルカメラ1において、これら複数枚の静止画の画像データD1は、所望する箇所の最小符号化処理単位をランダムに復号することが可能な中間フォーマットの符号化データDTに符号化処理されてデータ圧縮され(図1、図3)、メモリ部9に格納される。またこの符号化データDTが復号部10で復号されて信号処理部11で処理された後、JPEGフォーマットの符号化データDJで外部メモリ12に格納される。
【0051】
より具体的に、この電子スチルカメラ1において、これら複数枚の静止画の画像データD1は、JPEGフォーマットの最小符号化処理単位で、JPEGフォーマットと同一に、直交変換処理され、直流成分及び交流成分の係数データが生成される。またこれらの係数データのうち、JPEGフォーマットで処理して何らランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとならない交流成分の係数データが、直流成分の係数データと共に、JPEGフォーマットで量子化処理、可変長符号化処理され、直流成分の符号化データDDCと交流成分の符号化データACとが生成される。
【0052】
またJPEGフォーマットで処理してランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとなる直流成分の係数データが、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理されて符号化データDCが生成され、また直流成分の符号化データDDCと交流成分の符号化データACとのデータ列において、各最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報CMが設定される。
【0053】
中間フォーマットの符号化データDTは、これらJPEGフォーマットによる符号化データDDC、AC、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理した直流成分の符号化データDC、位置情報CMにより、JPEGフォーマットの符号化データDJに簡易に変換可能に、かつランダムに最小符号化処理単位を復号可能に形成される。
【0054】
すなわちこの中間フォーマットの符号化データDTは、JPEGフォーマットによる符号化データDDC、ACのデータ列にヘッダ情報等を設定するだけで、簡易にJPEGフォーマットの符号化データDJに変換することができる。またJPEGフォーマットによる符号化データDDC、ACのうちの、直流成分の符号化データDDCを、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理された対応する直流成分の符号化データDCで置き換えることにより、直前の最小符号化処理単位を参照することなく、当該最小符号化処理単位を復号することができる。また位置データにより対応する最小符号化処理単位の位置を特定して、所望する最小符号化処理単位の符号化データDDC、ACを検出することができる。
【0055】
従って電子スチルカメラ1では、JPEGフォーマットの符号化データDJに簡易に変換可能に、かつランダムに最小符号化処理単位を復号可能に画像データD1を中間フォーマットの符号化データDTに符号化処理することができ、メモリ部9を小容量化して効率良く複数枚の静止画を処理することが可能となる。
【0056】
特にこの電子スチルカメラ1では、JPEGフォーマットで処理して何らランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとならない交流成分の係数データだけでなく、直流成分の係数データについても、JPEGフォーマットで量子化処理、可変長符号化処理したことにより、中間フォーマットの符号化データDTをJPEGフォーマットの符号化データDTに変換する場合には、JPEGフォーマットの符号化データDDC、ACのデータ列にヘッダ情報等を設定するだけの簡易な処理によりフォーマット変換することができる。
【0057】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、少なくとも交流成分の係数データをJPEGフォーマットに従って処理すると共に、他の最小符号化処理単位を参照することなく直流成分の係数データを符号化処理し、最小符号化処理単位の先頭位置を特定する位置情報を設定して中間フォーマットの符号化データを生成することにより、最小符号化処理単位をランダムに復号可能に画像データを符号化処理することができる。従って複数系統で中間フォーマットの符号化データを復号して画像処理する場合等にも広く適用することができ、この場合には、画像速度を格段的に高速度化することができる。
【0058】
また交流成分の係数データに直流成分の係数データを加えて、係数データの全てをJPEGフォーマットに従って処理することにより、中間フォーマットの符号化データをJPEGフォーマットの符号化データに簡易に変換することができる。
【実施例2】
【0059】
図11は、図4との対比により本発明の実施例2の電子スチルカメラに適用される中間フォーマットを示す略線図である。この実施例2の電子スチルカメラは、この中間フォーマットに関する構成が異なる点を除いて、実施例1の電子スチルカメラと同一に構成される。
【0060】
ここでこの実施例の中間フォーマットでは、係数データのうち、JPEGフォーマットで処理して何らランダムに最小符号化処理単位を復号する妨げとならない交流成分の係数データだけを、JPEGフォーマットで処理して符号化データACが形成される。また直流成分の係数データは、全てが他の最小符号化処理単位を参照することなく、符号化処理される。
【0061】
従って図5との対比により図12に示すように、位置情報CMは、この交流成分の符号化データACのデータ列において、各最小符号化処理単位の先頭位置を特定するように設定される。なおこの場合も、図12(A)に示すように、サイズの情報を割り当てるようにしてもよく、図12(B)に示すように、データ列の先頭を基準にした位置情報を割り当てるようにしてもよい。
【0062】
またこれに対応して図7との対比により図13に示すように、また図1との対比により図14に示すように、位置情報CMにより所望する最小符号化処理単位の符号化データACを特定して、この特定した交流成分の符号化データACと直流成分の符号化データDCとを復号部で処理し、中間フォーマットの符号化データDTを画像データD1に復号する。またこの復号した画像データD1を処理して画質を改善し、中間フォーマットの符号化データDTを生成する。
【0063】
また図15に示すように、連続する最小符号化処理単位における直流成分の符号化データDCn、DCn+1から差分値(DCn+1−DCn)を計算し、この差分値を再符号化処理してJPEGフォーマットによる直流成分の符号化データDDCnを生成する。またこの生成した直流成分の符号化データDDCnと、交流成分の符号化データACとのデータ列にヘッダ等を設定してJPEGフォーマットの符号化データDJを生成する。
【0064】
この実施例のように、交流成分の係数データのみをJPEGフォーマットで符号化処理するようにしても、実施例1と同一の効果を得ることができる。また交流成分の係数データのみをJPEGフォーマットで符号化処理すれば、実施例1の構成に比して、中間フォーマットの符号化データ量を低減することができ、メモリ部の容量を小容量化することができる。
【実施例3】
【0065】
図16及び図17は、図9及び図10との対比により本発明の実施例3の電子スチルカメラに適用される中間フォーマットを示す略線図である。この実施例3の電子スチルカメラは、この中間フォーマットに関する構成が異なる点を除いて、実施例1の電子スチルカメラと同一に構成される。
【0066】
ここでこの実施例において、中間フォーマットの符号化データDTは、図16に示すように、連続する最小符号化処理単位の複数個が、復号の処理単位に設定されて、この復号の処理単位毎に、先頭の最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報CMが設定される。また各復号の処理単位の直前の最小符号化処理単位について、直流成分の係数データが他の最小符号化処理対象を参照することなく符号化処理されて符号化データDCが生成される。従ってこの図16は、この復号の処理単位を水平方向に連続する4つの最小符号化処理単位に設定した例である。また直流成分及び交流成分の係数データがJPEGフォーマットで符号化処理されて符号化データDDC、ACが作成される。
【0067】
またこの図16に対応して図17に示すように、画像データへの復号時は、処理対象の最小符号化処理単位を含む復号の処理単位について、位置情報CMから先頭の最小符号化処理単位の先頭位置を検出し、この先頭の符号化処理単位の直流成分の符号化データDDCに代えて、他の符号化処理単位を参照することなく符号化処理した対応する直流成分の符号化データDCを設定し、この復号の処理単位を構成する複数の最小符号化処理単位を順次復号する。
【0068】
この実施例によれば、複数の最小符号化処理単位毎に、直流成分の係数データを、他の符号化処理単位を参照することなく符号化処理することにより、中間フォーマットの符号化データのデータ量を一段と低減して、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0069】
図18及び図19は、図16及び図17との対比により本発明の実施例4の電子スチルカメラに適用される中間フォーマットを示す略線図である。この実施例4の電子スチルカメラは、この中間フォーマットに関する構成が異なる点を除いて、実施例3の電子スチルカメラと同一に構成される。
【0070】
ここで中間フォーマットの符号化データDTは、実施例3と同様に、連続する最小符号化処理単位の複数個が、復号の処理単位に設定されて、この復号の処理単位毎に、先頭の最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報CMが設定される。
【0071】
また各復号の処理単位の先頭の最小符号化処理単位については、交流成分の係数データだけJPEGフォーマットで符号化処理し、符号化データACを生成する。また各復号の処理単位の先頭及び末尾の最小符号化処理単位については、最後尾の最小符号化処理単位を除いて、他の最小符号化処理単位を参照することなく、直流成分の係数データが符号化処理されて符号化データDTが生成される。
【0072】
この図18の構成に対応して図19に示すように、画像データへの復号時、実施例3と同様に、処理対象の最小符号化処理単位を含む復号の処理単位について、位置情報CMから先頭の最小符号化処理単位の先頭位置を検出する。また他の符号化処理単位を参照することなく符号化処理した対応する直流成分の符号化データDCを、この先頭の符号化処理単位の直流成分の符号化データに設定し、この復号の処理単位を構成する複数の最小符号化処理単位を順次復号する。
【0073】
また図15との対比により図20に示すように、JPEGフォーマットの符号化データDJへの変換処理時、復号の処理単位の先頭の最小符号化処理単位で、直前の符号化データDCとの間で差分値(DCn+1−DCn)を計算し、この差分値(DCn+1−DCn)を再符号化処理してこの先頭の最小符号化処理単位における直流成分の符号化データDDCを生成する。
【0074】
この実施例によれば、複数の最小符号化処理単位毎に、直流成分の係数データを他の符号化処理単位を参照することなく符号化処理するようにして、複数の最小符号化処理単位の先頭及び末尾の符号化処理単位で直流成分の係数データを、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理するようにしても、実施例3と同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0075】
なお上述の実施例においては、中間フォーマットの符号化データを復号して画像処理した後、中間フォーマットに変換してJPEGフォーマットの符号化データに変換する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像処理した後、直接、JPEGフォーマットの符号化データに変換するようにしてもよい。
【0076】
また上述の実施例においては、画質を向上することを目的に、中間フォーマットの符号化データを復号して画像処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば部分的に撮像結果を拡大表示する場合等にも広く適用することができる。
【0077】
また上述の実施例においては、静止画を処理対象に設定してJPEGフォーマットの符号化データを生成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、動画を処理対象に設定してMPEGフォーマットの符号化データを生成する場合等、最小符号化処理単位で画像データを直交変換処理、可変長符号化処理する場合に広く適用することができる。なおMPEGフォーマットでは、最小符号化処理単位がマクロブロックとなる。
【0078】
また上述の実施例においては、本発明を電子スチルカメラに適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像再生装置、PDA(Personal Digital Assistants )、各種ゲーム機、携帯電話、パーソナルコンピュータにおける処理等に広く適用することができる。なおこのパーソナルコンピュータにおける処理に適用する場合、対応するプログラムは、事前にインストールして提供するようにしてもよく、また光ディスク、磁気ディスク、メモリカード等の記録媒体に記録して提供するようにしてもよく、さらにはインターネット等のネットワークを介したダウンロードで提供するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば電子スチルカメラに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1の電子スチルカメラに適用される中間フォーマットの説明に供する略線図である。
【図2】本発明の実施例1の電子スチルカメラを示すブロック図である。
【図3】図2の電子スチルカメラにおける静止画の処理の説明に供するブロック図である。
【図4】図2の電子スチルカメラにおける中間フォーマットの説明に供する略線図である。
【図5】図4の中間フォーマットにおける位置情報の説明に供する略線図である。
【図6】図2の電子スチルカメラにおける符号化部を示すブロック図である。
【図7】図5の中間フォーマットの復号の処理の説明に供する略線図である。
【図8】図2の電子スチルカメラにおける静止画の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図4とは異なる例による中間フォーマットを示す略線図である。
【図10】図9の中間フォーマットの復号の処理の説明に供する略線図である。
【図11】本発明の実施例2の電子スチルカメラに適用される中間フォーマットの説明に供する略線図である。
【図12】図11の中間フォーマットにおける位置情報の説明に供する略線図である。
【図13】図11の中間フォーマットの復号の処理の説明に供する略線図である。
【図14】図11の中間フォーマットの符号化データをJPEGフォーマットの符号化データに変換する処理の説明に供する略線図である。
【図15】図14の変換処理の説明に供する略線図である。
【図16】本発明の実施例3の電子スチルカメラに適用される中間フォーマットの説明に供する略線図である。
【図17】図16の中間フォーマットの復号時の処理の説明に供する略線図である。
【図18】本発明の実施例4の電子スチルカメラに適用される中間フォーマットの説明に供する略線図である。
【図19】図18の中間フォーマットの復号時の処理の説明に供する略線図である。
【図20】図18の中間フォーマットの符号化データをJPEGフォーマットの符号化データに変換する処理の説明に供する略線図である。
【図21】JPEGフォーマットの符号化データを処理する場合に予測される処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1……電子スチルカメラ、2……撮像素子、7……中央処理ユニット、8……符号化部、9……メモリ部、10……復号部、11……信号処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理方法において、
前記所定フォーマットは、
最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、
前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、
前記画像処理方法は、
前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理のステップと、
前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号のステップと、
前記中間フォーマットの復号のステップで復号した前記画像データを画像処理する画像処理のステップと、
前記画像処理のステップで処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理のステップとを有し、
前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、
前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、
前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、
前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記中間フォーマットの符号化処理のステップで生成した前記中間フォーマットの符号化データをメモリに格納するメモリ格納ステップを有し、
前記中間フォーマットの復号のステップは、
前記メモリに格納した前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、
前記係数データの全てを前記所定フォーマットで符号化処理し、
前記直流成分の係数データの全部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、
前記交流成分の前記係数データのみを前記所定フォーマットで符号化処理する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、
前記直流成分及び交流成分の係数データの全てを前記所定フォーマットで符号化処理し、
複数の最小符号化処理単位毎に、前記直流成分の係数データを、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記所定フォーマットの符号化処理は、
前記画像処理のステップで処理した画像データを前記中間フォーマットの符号化データに符号化処理するステップと、
該中間フォーマットの符号化データを、前記所定フォーマットの符号化データに変換するフォーマット変換のステップとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記画像処理ステップが、
前記画像データの画質を改善する処理である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項8】
画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理方法のプログラムにおいて、
前記所定フォーマットは、
最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、
前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、
前記画像処理方法は、
前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理のステップと、
前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号のステップと、
前記中間フォーマットの復号のステップで復号した前記画像データを画像処理する画像処理のステップと、
前記画像処理のステップで処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理のステップとを有し、
前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、
前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、
前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、
前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する
ことを特徴とする画像処理方法のプログラム。
【請求項9】
画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理方法のプログラムを記録した記録媒体において、
前記所定フォーマットは、
最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、
前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、
前記画像処理方法は、
前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理のステップと、
前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号のステップと、
前記中間フォーマットの復号のステップで復号した前記画像データを画像処理する画像処理のステップと、
前記画像処理のステップで処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理のステップとを有し、
前記中間フォーマットの符号化処理のステップは、
前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、
前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、
前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する
ことを特徴とする画像処理方法のプログラムを記録した記録媒体。
【請求項10】
画像データを符号化処理して所定フォーマットの符号化データを生成する画像処理装置において、
前記所定フォーマットは、
最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
前記交流成分の係数データを他の最小符号化処理単位を参照することなく可変長符号化処理し、
前記直流成分の係数データを、直前に処理した最小符号化処理単位の対応するデータを参照して可変長符号化処理するフォーマットであり、
前記画像処理装置は、
前記画像データを中間フォーマットの符号化データに符号化処理する中間フォーマットの符号化処理部と、
前記中間フォーマットの符号化データから前記画像データを復号する中間フォーマットの復号部と、
前記中間フォーマットの復号部で復号した前記画像データを画像処理する画像処理部と、
前記画像処理部で処理した画像データを前記所定フォーマットの符号化データに符号化処理する所定フォーマットの符号化処理部とを有し、
前記中間フォーマットの符号化処理部は、
前記最小符号化処理単位毎に、前記画像データを直交変換処理して前記直流成分及び交流成分の係数データを生成し、
少なくとも前記交流成分の係数データを前記所定フォーマットで符号化処理し、
前記直流成分の係数データの全部又は一部を、他の最小符号化処理単位を参照することなく符号化処理し、
前記所定フォーマットで符号化処理した符号化データのデータ列において、最小符号化処理単位の先頭位置を示す位置情報を設定して前記中間フォーマットの符号化データを生成する
ことを特徴とする画像処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−335933(P2007−335933A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161927(P2006−161927)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】