説明

画像処理装置、撮像装置、画像処理方法およびプログラム。

【課題】画像生成画素と他の画素との両方を備える撮像素子により生成される画像データを適切に補正する。
【解決手段】撮像素子200は、画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、特定画素に隣接する画像生成画素である第1画像生成画素と、特定画素には隣接しない前記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える。混色補正部430は、入力された画像データに基づいて、特定画素から第1画像生成画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値を、第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、算出した変化値に基づいて漏れる光に起因する第1画像生成画素への混色を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に撮像素子が生成する画像データを処理する画像処理装置、および、これらにおける処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人物等の被写体を撮像素子を用いて撮像して撮像画像を生成し、この生成された撮像画像を記録するデジタルスチルカメラ等の撮像装置が普及している。この光電変換素子としては、一般的に、受光面に配置される画素にカラーフィルタをベイヤー配列で配置したものが用いられている。
【0003】
しかしながら、撮像装置の多機能化や高画質化に伴い、撮像素子に配置される画素に画像生成用の画素以外の画素を配置する撮像素子や、ベイヤー配列に用いるカラーフィルタ(R、G、B)以外のカラーフィルタを備える画素を配置する撮像素子が検討されている。すなわち、画像生成用の従来画素(画像生成画素)と、多機能化や高画質化のための新たな画素とが同一の撮像素子に配置される撮像素子が検討されている。
【0004】
例えば、このような撮像素子を備える撮像装置として、例えば、撮像レンズを通過した光を瞳分割する画素(位相差検出画素)が撮像素子に配置される撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この撮像装置は、受光素子が受光する被写体光の半分を遮光することにより瞳分割を行う位相差検出画素を撮像素子に設けることにより1対の像を形成し、その形成された像の間隔を計測することによってフォーカスのズレの量を算出する。そして、この撮像装置は、算出したフォーカスのズレの量に基づいて撮像レンズの移動量を算出し、算出した移動量に基づいて撮像レンズの位置を調整することによってオートフォーカスを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−145401号公報(図15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、位相差検出画素と画像生成画素との両方の画素を1つの撮像素子に設けるため、焦点検出用の撮像素子と撮像画像用の撮像素子との2つの撮像素子を撮像装置に別々に設ける必要がない。
【0007】
しかしながら、上記の従来技術では、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素との間において、画像生成画素に隣接する画素が異なることに起因する画素の特性の差が生じる場合がある。この特性の差により、画質の劣化が生じることが考えられる。
【0008】
例えば、位相差検出用画素にはカラーフィルタが備えられていないため、位相差検出用画素から画像生成画素に漏れる光の量は比較的多くなる。このため、位相差検出画素に隣接する画像生成画素は、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素と比較して、その隣接する画素から漏れてくる光の量が多くなることが想定される。このため、位相差検出画素と画像生成画素との両方を備える撮像素子により生成された画像が見苦しくなるおそれがある。
【0009】
このため、位相差検出画素に隣接する画像生成画素の特性と、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素の特性との間の違いを考慮した画像補正処理が必要になる。また、画像生成画素と、これと異なる他の画素(例えば、ホワイト画素)との両方を備える撮像素子により生成される画像についても、その特性の違いを考慮した画像補正処理が必要となる。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、画像生成画素と他の画素との両方を備える撮像素子により生成される画像データを適切に補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは上記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、上記特定画素に隣接する上記画像生成画素である第1画像生成画素と、上記特定画素には隣接しない上記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、上記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力部と、上記入力された画像データに基づいて、上記特定画素から上記第1画像生成画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値を、当該第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、上記算出した変化値に基づいて上記漏れる光に起因する当該第1画像生成画素への混色を補正する混色補正部とを具備する画像処理装置およびその画像処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムである。これにより、特定画素から第1画像生成画素へ漏れる光に起因する第1画像生成画素の混色を補正させるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記特定画素から漏れる光の量を、当該特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出するための値を光量算出係数とし、上記漏れる光の量と上記輝度の変化値との間の相関値を混色補正係数とし、上記混色補正部は、上記光量算出係数と当該特定画素のそれぞれの輝度値とに基づいて上記特定画素から第1画像生成画素へ漏れる光の量を算出し、当該算出した光の量と上記混色補正係数とに基づいて当該第1画像生成画素に係る輝度の変化値を算出し、当該算出した輝度の変化値を当該第1画像生成画素の輝度値から減算して上記混色を補正するようにしてもよい。これにより、特定画素から第1画像生成画素へ漏れる光に起因する第1画像生成画素の混色を、光量算出係数をおよび混色補正係数を用いて補正させるという作用をもたらす。また、この場合において、上記第1画像生成画素に隣接する上記特定画素のそれぞれに関する光量算出係数を上記第1画像生成画素ごとに保持する光量算出係数保持部と、上記第1画像生成画素ごとに上記混色補正係数を保持する混色補正係数保持部とをさらに具備するようにしてもよい。これにより、第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれに関する光量算出係数と、第1画像生成画素ごとの混色補正係数とを用いて補正させるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記第1画像生成画素の輝度値のうちの当該第1画像生成画素のカラーフィルタを透過した光に基づく輝度値である第1透過値と、当該第1画像生成画素と同じ分光特性のカラーフィルタを備える上記第2画像生成画素の輝度値のうちの当該第2画像生成画素のカラーフィルタを透過した光に基づく輝度値である第2透過値との間の相関値を感度補正係数とし、上記混色が補正された上記第1画像生成画素の輝度値を上記第1感度値として、当該輝度値と上記感度補正係数とに基づいて、当該第1画像生成画素のマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量と当該第2画像生成画素間のマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量との差を補正する透過度補正部をさらに具備するようにしてもよい。これにより、マイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量の差を補正させるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素は、位相差検出による合焦判定を行うための位相差検出画素であるようにしてもよい。これにより、位相差検出による合焦判定を行うための位相差検出画素から第1画像生成画素へ漏れる光に起因する第1画像生成画素の混色を補正させるという作用をもたらす。また、この場合において、オプティカルブラック領域を用いて算出した第2画像生成画素の暗電流値と、上記第1画像生成画素の暗電流値との相関値を暗電流補正係数とし、上記入力された画像データに関する上記第2画像生成画素の暗電流値と上記暗電流補正係数とに基づいて当該第1画像生成画素の暗電流値を算出し、当該算出した暗電流値を当該第1画像生成画素の輝度値から減算して当該第1画像生成画素の暗電流を補正する暗電流補正部をさらに具備するようにしてもよい。これにより、位相差検出画素に隣接する第1画像生成画素の暗電流を、暗電流補正係数を用いて補正させるという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタを備える特定画素は、可視光領域の波長の光を透過するホワイトフィルタを備える画素であるようにしてもよい。これにより、ホワイトフィルタを備える画素から第1画像生成画素へ漏れる光に起因する第1画像生成画素の混色を補正させるという作用をもたらす。
【0016】
また、この第1の側面において、上記撮像素子は、上記特定画素が特定方向に並べて構成される第1画素群と、上記画像生成画素が特定方向に並べて構成される第2画素群とが上記特定方向とは直交する直交方向に交互に配置されるようにしてもよい。これにより、特定画素が特定方向に並べて構成される第1画素群と、画像生成画素が特定方向に並べて構成される第2画素群とが特定方向とは直交する直交方向に交互に配置される撮像素子が生成した画像を補正させるという作用をもたらす。また、この場合において、上記撮像素子は、上記画像生成画素が上記第2画素群においてベイヤー配列で配置されるようにしてもよい。これにより、画像生成画素が第2画素群においてベイヤー配列で配置される撮像素子が生成した画像を補正させるという作用をもたらす。
【0017】
また、本発明の第2の側面は、画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは上記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、上記特定画素に隣接する上記画像生成画素である第1画像生成画素と、上記特定画素には隣接しない上記画像生成画素である第2画像生成画素とを備え、上記各画素が生成する輝度値を含む画像データを生成する撮像素子と、上記生成された画像データに基づいて、上記特定画素から上記第1画像生成画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値を、当該第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、上記算出した変化値に基づいて上記漏れる光に起因する当該第1画像生成画素への混色を補正する混色補正部とを具備する撮像装置である。これにより、特定画素から第1画像生成画素へ漏れる光に起因する第1画像生成画素の混色を補正させるという作用をもたらす。
【0018】
また、本発明の第3の側面は、画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは上記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、上記特定画素に隣接する上記画像生成画素である第1画像生成画素と、上記特定画素には隣接しない上記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、上記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力部と、上記入力された画像データに基づいて、上記第1画像生成画素と、当該第1画像生成画素と同じ分光特性のカラーフィルタを備える上記第2画像生成画素との間におけるマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量の差の相関値を用いて、上記光の量の差を補正する透過度補正部とを具備する画像処理装置である。これにより、第1画像生成画素と、第1画像生成画素と同じ分光特性のカラーフィルタを備える第2画像生成画素との間におけるマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量の差の相関値を用いて、上記光の量の差を補正させるという作用をもたらす。
【0019】
また、本発明の第4の側面は、画像を生成するための画像生成画素のとは異なる構造を備える特定画素と、上記特定画素に隣接する上記画像生成画素である第1画像生成画素と、上記特定画素には隣接しない上記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、上記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力部と、上記入力された画像データにおける上記第1画像生成画素の暗電流を、上記入力された画像データに関する上記第2画像生成画素の暗電流値と、上記第1画像生成画素の暗電流値との相関値とに基づいて補正する暗電流補正部とを具備する画像処理装置である。これにより、入力された画像データにおける第1画像生成画素の暗電流を、入力された画像データに関する第2画像生成画素の暗電流値と、第1画像生成画素の暗電流値との相関値とに基づいて補正させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像生成画素と他の画素との両方を備える撮像素子により生成される画像データを適切に補正することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態における撮像装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における補正係数を算出する場合における撮像装置100の動作(補正係数算出動作)における信号の流れの一例を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における撮像素子200の画素領域の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における撮像素子200に備えられる画素の配置の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の撮像素子200の領域212における画素の配置の一例を模式的に示す上面図である。
【図6】本発明の第1の実施における補正係数算出部300の暗電流補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施における位相差検出画素に隣接する画像生成画素における混色の原因となる混色起因光を模式的に示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施における位相差検出画素に隣接するR画素の混色起因光の検出の一例を示す模式図である。
【図9】本発明の第1の実施におけるR画素の混色補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施における位相差検出画素に隣接するGr画素の混色起因光の検出の一例を示す模式図である。
【図11】本発明の第1の実施におけるGr画素の混色補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施におけるR画素の感度補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における撮像装置100による補正係数算出処理手順例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における暗電流補正係数算出処理(ステップS910)の処理手順例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における混色補正係数算出処理(ステップS920)の処理手順例を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における感度補正係数算出処理(ステップS940)の処理手順例を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第1の実施の形態における位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値を補正する場合における撮像装置100の動作(補正動作)における信号の流れの一例を示す模式図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態における補正部400の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態の撮像装置100において位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値の補正を行った撮像画像と、従来の撮像装置においてその補正を行っていない撮像画像とを示す模式図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態における撮像装置100が補正動作において位相差検出画素の輝度値を補正する際の補正処理手順例を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第2の実施の形態における撮像素子に備えられる画素の配置の一例を示す模式図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態における補正部720の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態の補正係数算出動作における撮像装置による補正係数算出処理手順例を示すフローチャートである。
【図24】本発明の第2の実施の形態の撮像装置の補正動作における補正処理手順例を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第3の実施の形態における撮像装置800の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(輝度値補正制御:位相差検出画素と画像生成画素が配置される撮像素子の例)
2.第2の実施の形態(輝度値補正制御:ホワイト画素と画像生成画素が配置される撮像素子の例)
3.第3の実施の形態(輝度値補正制御:補正係数算出動作を備えない撮像装置の例)
【0023】
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の機能構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態における撮像装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。撮像装置100は、被写体を撮像して画像データを生成し、生成された画像データを画像コンテンツ(記録画像)として記録する撮像装置である。
【0024】
撮像装置100は、レンズ部110と、駆動部115と、シャッタ−ユニット120と、シャッタ−駆動部125と、撮像素子200と、A/D(Analog/Digital)変換部130と、切替スイッチ160とを備える。また、撮像装置100は、補正係数算出部300と、RAM(Random Access Memory)140と、FlashROM(Read Only Memory)500とを備える。また、撮像装置100は、補正部400と、画像処理部151と、保存処理部152と、ビューファインダ153と、記録媒体154と、操作受付部171と、制御部172とを備える。
【0025】
レンズ部110は、被写体からの光(被写体光)を集光するためのものである。このレンズ部110は、ズームレンズ111と、絞り112と、フォーカスレンズ113とを備える。
【0026】
ズームレンズ111は、駆動部115の駆動により光軸方向に移動することにより焦点距離を変動させて、撮像画像に含まれる被写体の倍率を調整するものである。
【0027】
絞り112は、駆動部115の駆動により開口の度合いを変化させて、撮像素子200に入射する被写体光の光量を調整するための遮蔽物である。
【0028】
フォーカスレンズ113は、駆動部115の駆動により光軸方向に移動することによりフォーカスを調整するものである。
【0029】
駆動部115は、ズームレンズ111、絞り112およびフォーカスレンズ113を駆動させるものである。例えば、駆動部115は、制御部172において算出されたフォーカスレンズ113の駆動量に応じてフォーカスレンズ113を移動させる。
【0030】
シャッターユニット120は、上下方向に移動する幕により、撮像素子200に入射する被写体からの入射光の光路の開口および遮断を行うものであり、シャッタ−駆動部125により駆動される。また、シャッターユニット120は、光路が開口している場合には、被写体からの入射光を撮像素子200に供給する。
【0031】
シャッタ−駆動部125は、シャッターユニット120におけるシャッターを駆動させるものである。
【0032】
撮像素子200は、被写体からの入射光を電気信号に光電変換するものであり、被写体からの入射光を受光して、アナログの電気信号を生成する。また、撮像素子200は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサおよびCCD(Charge Coupled Device)センサにより実現される。撮像素子200には、受光した被写体光に基づいて撮像画像を生成するための信号を生成する画素(画像生成画素)と、撮像画像を生成するため以外の信号を生成する他の画素(特定画素)とが配置される。本発明の第1の実施の形態では、他の画素(特定画素)として、位相差検出方式によりフォーカスの合焦判定を行うための信号を生成する画素(位相差検出画素)が配置される。ここで、位相差検出方式とは、撮像レンズを通過した光を瞳分割して1対の像を形成し、その形成された像の間隔(像の間のズレ量)を計測(位相差を検出)することによって合焦の度合いを検出する焦点検出方法である。
【0033】
また、撮像素子200には、画像生成画素として、赤色(R)の光を透過するカラーフィルタにより赤色の光を受光する画素(R画素)と、緑色(G)の光を透過するカラーフィルタにより緑色の光を受光する画素(G画素)とが配置される。また、撮像素子200には、R画素およびG画素の他に、画像生成画素として、青色(B)の光を透過するカラーフィルタにより青色の光を受光する画素(B画素)が配置される。なお、撮像素子200については、図3乃至図5を参照して説明する。
【0034】
A/D変換部130は、撮像素子200から供給されるアナログの信号をデジタル信号に変換するものである。このA/D変換部130は、そのデジタル信号変換により生成した信号(輝度値)を、撮像した画像(画像データ)ごとに切替スイッチ160に供給する。
【0035】
切替スイッチ160は、A/D変換部130から供給される画像データの供給先を切り替えるものである。この切替スイッチ160は、補正係数を算出する場合には、A/D変換部130と補正係数算出部300とを接続する。また、この切替スイッチ160は、補正係数の算出が終了した場合には、A/D変換部130と補正部400とを接続する。すなわち、切替スイッチ160は、工場における撮像装置100の製造過程において補正係数を算出する場合には、A/D変換部130と補正係数算出部300とを接続する。また、ユーザが撮像装置100を使用して被写体を撮像する場合には、切替スイッチ160を介して、A/D変換部130と補正部400とを接続する。
【0036】
補正係数算出部300は、補正係数を算出する工程(補正係数算出動作)の際に、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と、隣接しない画像生成画素との間における特性の差を補正するための補正係数を算出するものである。この補正係数算出部300は、特性の差を補正するための補正係数として、暗電流補正係数と、混色補正係数と、感度補正係数とを算出する。ここで、暗電流補正係数とは、位相差検出画素におけるメタル層の密度が高いことなどにより発生する暗電流の差を補正するための係数である。また、混色補正係数とは、位相差検出画素から漏れてくる光により生じる混色の度合いの差を補正するための係数である。また、感度補正係数とは、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と、隣接しない画像生成画素との間における構造の僅かな違いにより生じる感度の差を補正するための係数である。暗電流補正係数の算出については、図6を参照して説明する。混色補正係数の算出については、図7乃至図11を参照して説明する。感度補正係数の算出については、図12を参照して説明する。
【0037】
この補正係数算出部300は、RAM140をワークメモリとして、A/D変換部130から供給される画像データを用いて各補正係数を算出する。補正係数算出部300は、その算出した補正係数を、FlashROM500に記録させる。
【0038】
RAM140は、撮像装置100におけるワークメモリである。
【0039】
FlashROM500は、補正係数算出部300が算出した各補正係数を記録するものである。また、FlashROM500は、位相差検出画素から漏れてくる光(混色起因光)の量を位相差検出画素の受光量から算出するための係数(光量算出係数)を記録する。なお、光量算出係数については、図9および図11を参照して説明する。このFlashROM500は、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間における特性の差を補正(補正動作)する際に、保持する補正係数および光量算出係数を、補正部400に供給する。
【0040】
補正部400は、ユーザの撮像動作により生成された画像データにおける位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値を補正して、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間における特性の差を補正するものである。この補正部400による補正については、図18乃至図19を参照して説明する。この補正部400は、補正により位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値を変更した画像データ(補正画像データ)を、画像処理部151に供給する。
【0041】
画像処理部151は、補正部400から供給された補正画像データに所定の信号処理を施して現像画像データを作成するものである。この画像処理部151は、例えば、制御部172からの制御信号に従って、補正画像データに色情報の補完、ホワイトバランスの補正、ガンマ補正などの現像に伴う信号処理を行う。また、画像処理部151は、生成した現像画像データをビューファインダ153および保存処理部152に供給する。
【0042】
保存処理部152は、画像処理部151から供給された現像画像データに基づいて、記録媒体154に記録する記録データを生成するものである。この保存処理部152は、例えば、画像処理部151から供給された現像画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式により圧縮し、その圧縮により生成されたJPEGデータ(記録データ)を記録媒体154に記録させる。
【0043】
ビューファインダ153は、画像処理部151から供給された現像画像データに基づいて、画像をユーザに表示するものである。このビューファインダ153は、例えば、カラー液晶パネルにより実現される。
【0044】
記録媒体154は、保存処理部152から供給された記録データを画像コンテンツ(画像ファイル)として記録するものである。例えば、この記録媒体154として、DVD(Digital Versatile Disk)等のディスクやメモリカード等の半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体(1または複数の記録媒体)を用いることができる。また、これらの記録媒体は、撮像装置100に内蔵するようにしてもよく、撮像装置100から着脱可能とするようにしてもよい。
【0045】
操作受付部171は、ユーザからの操作を受け付けるものである。この操作受付部171は、例えば、シャッターボタン(図示せず)が押下された場合には、その押下に関する信号を、操作信号として制御部172に供給する。
【0046】
制御部172は、撮像装置100における各部動作を制御するものである。制御部172は、制御プログラムを記憶するROMを備えるマクロコンピュータにより構成される。この制御部172は、例えば、シャッターボタンが押下されて、静止画像の記録を開始するための操作信号を受け付けた場合には、静止画像の記録実行に関する信号(静止画像撮像動作信号)を、各部に供給する。また、フォーカスの制御を行う場合には、位相差検出画素が生成した信号(位相差検出用データ)に基づいて、フォーカスを合わせる対象の物体(合焦対象物)に対してフォーカスが合っているか否か判定する。そして、合焦している場合には、フォーカスレンズ113の現在の位置を維持させる信号を駆動部115に供給する。また、合焦対象物にフォーカスが合っていない場合には、フォーカスのズレの量(デフォーカス量)を算出し、その算出したデフォーカス量とフォーカスレンズ113の位置とに基づいて駆動量を算出し、その駆動量を示す信号を駆動部115に供給する。
【0047】
[補正係数算出動作における信号の流れの一例]
図2は、本発明の第1の実施の形態における補正係数を算出する場合における撮像装置100の動作(補正係数算出動作)における信号の流れの一例を示す模式図である。
【0048】
同図では、図1において示した撮像装置100における各構成のうち補正係数算出動作に関与する構成を実線のブロックにおいて示し、補正係数算出動作に関与しない構成を破線のブロックにおいて示す。また、図2では、撮像素子200が光を受光してからFlashROM500に補正係数が記録されるまでにおける信号の流れを、黒色の太矢印で示している。また、図2では、説明の便宜上、操作受付部171および制御部172は省略する。
【0049】
同図に示すように、補正係数算出動作の場合には、切替スイッチ160によりA/D変換部130と補正係数算出部300とが接続される。これにより、撮像素子200が被写体を撮像して生成した画像データは、A/D変換部130によりデジタル化された後に、補正係数算出部300に供給される。また、補正係数算出部300は、RAM140をワーキングメモリとして用いながら各補正係数(暗電流補正係数、混色補正係数、および、感度補正係数)を算出し、その算出した各補正係数をFlashROM500に記録する。なお、図3乃至図5では、撮像素子200について説明する。図6では暗電流補正係数の算出について説明し、図7乃至図11では混色補正係数の算出について説明し、図12では感度補正係数の算出について説明する。
【0050】
[撮像素子における画素領域例]
図3は、本発明の第1の実施の形態における撮像素子200の画素領域の一例を示す模式図である。
【0051】
同図では、撮像素子200における領域として、白色の領域で示されている受光画素領域210と、灰色の領域で示されているオプティカルブラック領域220とが示されている。また、オプティカルブラック領域220における一部の領域として、位相差検出画素暗電流測定領域221および画像生成画素暗電流測定領域222が示されている。
【0052】
受光画素領域210は、被写体光を受光することができる画素が配置される領域であり、有効画素領域とも称される領域である。
【0053】
オプティカルブラック領域220は、遮光された画素が配置される領域である。このオプティカルブラック領域220に配置される画素は、受光画素領域210における画素が受光して受光量に応じた信号を生成する場合においても、黒(受光無し)の信号を出力することができる。この受光画素領域210が生成する黒の信号は、受光画素領域210における画素の暗電流を示す信号として用いることができる。
【0054】
位相差検出画素暗電流測定領域221は、オプティカルブラック領域220のうち、位相差検出画素の暗電流発生量を測定するための位相差検出画素が配置される領域である。例えば、補正係数算出部300および補正部400は、位相差検出画素暗電流測定領域221に配置される位相差検出画素が出力した信号(輝度値)の平均値を算出し、その算出した平均値を位相差検出画素の暗電流発生量(位相差検出画素暗電流値)とする。なお、この平均値を算出する動作は、新たな画像データを生成するごとに(撮像のたびに)行われ、位相差検出画素の信号から暗電流によるノイズを除去(暗電流補正)するために用いられる。
【0055】
画像生成画素暗電流測定領域222は、オプティカルブラック領域220のうち、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素(正常画素)の暗電流発生量(正常画素暗電流値)を測定するための画像生成画素が配置される領域である。例えば、補正係数算出部300および補正部400は、位相差検出画素に隣接していないR画素(正常R画素)の暗電流発生量を算出するために、画像生成画素暗電流測定領域222に配置される複数の正常R画素が出力した信号の平均値を算出する。同様に、位相差検出画素に隣接していないG画素(正常G画素)の暗電流発生量は、画像生成画素暗電流測定領域222に配置される複数の正常R画素が出力した信号の平均値から算出される。また、位相差検出画素に隣接していないB画素(正常B画素)の暗電流発生量も同様に、画像生成画素暗電流測定領域222に配置される複数の正常B画素が出力した信号の平均値から算出される。これらの平均値を算出する動作は、位相差検出画素の暗電流発生量と同様に、撮像のたびに行われ、画像生成画素の信号に対して暗電流補正を行う際に用いられる。
【0056】
なお、撮像した画像の画像データにおける正常画素の暗電流の補正は、これらの正常画素暗電流値を減算することにより行われる。
【0057】
[撮像素子における画素の配置例]
図4は、本発明の第1の実施の形態における撮像素子200に備えられる画素の配置の一例を示す模式図である。
【0058】
同図では、左右方向をY軸とし、上下方向をX軸とするXY軸を想定して説明する。また、同図において、右下隅をXY軸における原点とし、下から上へ向かう方向をX軸の+側とし、右から左へ向かう方向をY軸の+側とする。なお、撮像素子200における信号の読み出し方向は、X軸方向(行単位で読み出される)であるものとする。
【0059】
同図では、説明の便宜上、撮像素子200を構成する各画素のうちの一部の画素(18行×24列の画素)の領域(領域211)を用いて説明する。なお、撮像素子200における画素の配置は、領域211において示す画素配置を1つの単位として、この単位に対応する画素配置(領域211に対応する画素配置)が、X軸方向およびY軸方向に繰り返される配置である。
【0060】
同図では、1つの画素を1つの正方形で示す。画像生成画素については、備えられるカラーフィルタを表す符号を内に示した正方形により示す。また、G(緑)の画素については、R画素(R画素611)を含む行(ライン)におけるG画素をGr画素(Gr画素612)として示し、B画素(B画素614)を含む行(ライン)におけるG画素をGb画素(Gb画素613)として示す。
【0061】
また、位相差検出画素については、灰色の正方形により示す。なお、位相差検出画素については、入射光が遮光層に遮光されないで受光素子により受光される側(遮光層に開口部分がある側)を、白色の長方形により示す。
【0062】
ここで、同図において示す位相差検出画素(位相差検出画素621乃至622)について説明する。
【0063】
位相差検出画素621は、位相差検出画素621のマイクロレンズに入射する被写体光のうち射出瞳の右半分を通過した被写体光を遮光するように遮光層が形成される位相差検出画素である。すなわち、この位相差検出画素621は、射出瞳の左右(X軸方向の+−側)に瞳分割された光のうちの右半分の光を遮光し、左半分の瞳分割された光を受光する。
【0064】
位相差検出画素622は、位相差検出画素622のマイクロレンズに入射する被写体光のうち射出瞳の左半分を通過した被写体光を遮光するように遮光層が形成される位相差検出画素である。すなわち、この位相差検出画素622は、射出瞳の左右(X軸方向の+−側)に瞳分割された光のうちの左半分の光を遮光し、右半分の瞳分割された光を受光する。また、位相差検出画素622は、位相差検出画素621と対に用いられることで、1対の像を形成する。
【0065】
ここで、撮像素子200における画素の配置について説明する。
【0066】
撮像素子200では、画像生成画素が配置される複数の行(ライン)と、位相差検出画素が配置される1つの行(ライン)とが、読み出し方向に対して直行する方向(本発明の第1の実施では列方向とする)に交互に配置される。図4では、連続する画像生成画素の行の数が5行である例が示されている。なお、連続する画像生成画素の行において、画像生成画素は、ベイヤー配列で位置されている。また、同図では、位相差検出画素の行に隣接する画像生成画素の行は、R画素およびGr画素が配置される行である例が示されている。なお、連続する画像生成画素の行の数は、位相差検出画素の行に隣接する画像生成画素が備えるカラーフィルタと同一の分光特性のカラーフィルタを備える画像生成画素であって、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素が生じる数である。すなわち、連続する画像生成画素の行の数は、R画素およびGr画素のみが位相差検出画素の行に隣接する本発明の第1の実施の形態においては、位相差検出画素に隣接しないR画素およびGr画素が配置される行が発生する5行より多い数となる。
【0067】
このように、撮像素子200には、位相差検出画素に隣接するR画素およびGr画素と、位相差検出画素に隣接しないR画素およびGr画素とが配置される。この位相差検出画素に隣接するR画素およびGr画素の特性は、隣接しないR画素およびGr画素の特性と差が生じてしまうため、補正が必要となる。
【0068】
次に、本発明の第1の実施の形態における補正対象の画素(位相差検出画素に隣接するR画素およびGr画素)について、領域212(画素13個×4個)に含まれる画素に着目し、図5を参照して説明する。
【0069】
[撮像素子における補正対象画素の例]
図5は、本発明の第1の実施の形態の撮像素子200の領域212における画素の配置の一例を模式的に示す上面図である。なお、同図では、左右方向をX軸とし、上下方向をY軸とするXY軸を想定する。また、信号の読み出し方向は、X軸方向(行単位で読み出される)であることとする。
【0070】
同図には、本発明の第1の実施の形態における撮像素子200における画素配置として、図4の領域212に対応する画素が示されている。また、図5では、補正部400における補正の対象となる画素を示す領域(領域261乃至264)と、補正しない画素を示す領域(領域271および272)とが示されている。
【0071】
領域261乃至264におけるそれぞれの画素は、3つの位相差検出画素と、5つの画像生成画素に隣接する。一方、領域271および272におけるそれぞれの画素は、隣接する8つの画素が全て画像生成画素である。すなわち、領域261乃至264におけるR画素と、領域271および272におけるR画素との間において、隣接する画素に関するカラーフィルタのパターンや、画素回路の構造に違いが生じている(Gr画素も同様)。このため、隣接する画素から漏れてくる光の量の違いや、マイクロレンズが集光してから受光素子が受光するまでにロスする光量の差などにより、同一の光量の光を受光しても、生成される信号(輝度値)の大きさに差が生じる。また、隣接する画素の構造が異なることに起因する微細な歪みの差などにより、生じる暗電流の量にも差が生じる。
【0072】
そこで、これらの特性の差を補正するため、補正係数算出動作において、暗電流補正係数、混色補正係数、および、感度補正係数を算出する。
【0073】
[補正係数算出部による暗電流補正係数の算出例]
図6は、本発明の第1の実施における補正係数算出部300の暗電流補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【0074】
同図(a)には、位相差検出画素に隣接するR画素の暗電流補正係数を説明するために、図5において示した領域212のR画素を含む1列が示されている。
【0075】
図6(a)では、位相差検出画素322に隣接するR画素325およびR画素326の暗電流補正係数の算出について説明する。
【0076】
位相差検出画素に隣接する画像生成画素(補正対象画素)の暗電流発生量は、位相差検出画素におけるメタル層の密度が高いことの影響による構造の微細な歪みなどにより、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素(正常画素)の暗電流発生量と異なってしまう。そこで、画像生成画素暗電流測定領域222の正常画素の暗電流の平均値を減算することによる正常画素の暗電流の補正とは異なる暗電流の補正を行う必要がある。
【0077】
暗電流発生量は、撮像素子200の温度が変化したり、露光時間が長くなったりすると、その温度の変化や時間の長さに応じて暗電流発生量が増加する。また、画像生成画素暗電流測定領域222の画素の暗電流発生量と、補正対象画素の暗電流発生量とは、相関(比例の関係)している。このため、補正係数算出動作において、光がない状態において撮像した画像(全黒画像)を用いて、画像生成画素暗電流測定領域222の正常画素の暗電流発生量の平均値と、補正対象画素の暗電流発生量との間の関係を示す値(暗電流補正係数)を算出する。
【0078】
例えば、図6(a)において示したR画素325の暗電流補正係数(SR325)の算出は、例えば、次の式1を用いて算出される。
R325=IR325(BK)/IavedknR(BK) ・・・式1
ここで、IR325(BK)は、全黒画像(BK)におけるR画素325の信号の値(輝度値)であり、いわゆるR画素325の暗電流である。また、IavedknR(BK)は、全黒画像における画像生成画素暗電流測定領域222の正常R画素の輝度値の平均値である。
【0079】
暗電流補正係数は、撮像素子200の受光画素領域210における位相差検出画素に隣接する画像生成画素それぞれに対して算出される。例えば、R画素326の暗電流補正係数(SR326)は、式1のIR325(BK)を、全黒画像におけるR画素326の輝度値(IR326(BK))にした次の式2により算出される。
R326=IR326(BK)/IavedknR(BK) ・・・式2
【0080】
同図(b)には、位相差検出画素342に隣接するGr画素345およびGr画素346が示されている。このGr画素345の暗電流補正係数(SGr345)の算出は、式1によるR画素325の場合と同様に、次の式2を用いて算出される。
Gr345=IGr345(BK)/IavedknGr(BK) ・・・式3
ここで、IGr345(BK)は、全黒画像におけるGr画素345の輝度値である。また、IavedknGr(BK)は、全黒画像における画像生成画素暗電流測定領域222の正常G画素の輝度値の平均値である。
【0081】
また、Gr画素346の暗電流補正係数(SGr346)は、式3の輝度値(IGr345(BK))を、全黒画像におけるGr画素346の輝度値(IGr346(BK))にすることにより算出される。
【0082】
このように、補正係数算出動作において、補正係数算出部300は、暗電流補正係数を、位相差検出画素に隣接する画像生成画素ごとに算出する。なお、暗電流補正係数は、式1乃至式3に示すように、分子を、全黒画像における暗電流補正係数の算出対象画素の輝度値とし、分母を、全黒画像における画像生成画素暗電流測定領域222の正常画素の暗電流発生量の平均値とする式により算出される。
【0083】
次に、混色補正係数の算出について、図7乃至図11を参照して説明する。
【0084】
[位相差検出画素に隣接する画像生成画素における混色起因光の一例]
図7は、本発明の第1の実施における位相差検出画素に隣接する画像生成画素における混色の原因となる混色起因光を模式的に示す模式図である。
【0085】
なお、同図では、同図(a)において示すように、遮光される側が右であり開口部分が左である位相差検出画素と、R画素とが左右(位相差検出画素が左でR画素が右)に隣接する配置を想定して説明する。すなわち、撮像素子200における位相差検出画素622と、R画素611とが左右に隣接するような配置を想定する。
【0086】
同図(b)には、同図(a)において示した線L1における断面構成が示されている。同図(b)では、位相差検出画素622の断面構成として、マイクロレンズ651と、配線652と、配線653と、受光素子654とが示されている。また、R画素611の断面構成として、マイクロレンズ661と、配線662と、配線663と、受光素子664と、Rフィルタ665とが示されている。また、同図(b)では、位相差検出画素622からR画素611へ漏れ込む光を模式的に示す矢印361および362が示されている。なお、位相差検出画素622は、カラーフィルタを備えていないことを想定する。
【0087】
マイクロレンズ651は、被写体光を受光素子654に集光するためのレンズである。
【0088】
配線652および配線653は、位相差検出画素622における各回路を接続するための配線である。図7(b)において、配線652および配線653は、3本の配線が光軸に対して層状に配置されていることを示している。
【0089】
配線653には、受光素子654の中心付近まで突出する配線が一本備えられている。この突出は、受光素子654とマイクロレンズ651との間において、受光素子654の右半分を覆うように突出し、射出瞳の左半分を通過した被写体光を遮光する。一方、配線652はマイクロレンズ651から受光素子654への被写体光の光路上には配置されずにこの光路の周辺に配置される。なお、配線652および配線653は、隣接する画素からの光を遮光する役割も果たす。
【0090】
受光素子654は、受けた光を電気信号に変換(光電変換)することによって、受けた光の量に応じた強さの電気信号を生成するものである。この受光素子654は、例えば、フォトダイオード(PD:Photo Diode)により構成される。
【0091】
R画素611のマイクロレンズ661は、位相差検出画素622のマイクロレンズ651と同様に、被写体光を受光素子664に集光するためのレンズである。また、受光素子664も受光素子654と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0092】
配線662および配線663は、R画素611における各回路を接続するための配線である。なお、配線662および配線663は、マイクロレンズ661から受光素子664への被写体光の光路上には配置されずに、この光路の周辺に配置される。
【0093】
Rフィルタ665は、赤色(R)の光を透過するカラーフィルタである。
【0094】
ここで、位相差検出画素622からR画素611へ漏れ込む光(混色起因光)について、矢印361および362を用いて説明する。
【0095】
矢印361および362により模式的に示すように、隣接する画素間において、配線の間に迷い込んだ被写体光が多重反射しながら進むことにより、隣の画素の受光素子に受光される光が多少なりと発生する。位相差検出画素は、特定の波長の光を透過させ、それ以外の波長の光を吸収するカラーフィルタを備えていないため(可視領域の光を全て透過するホワイトのカラーフィルタを備える場合も含む)、画像生成画素よりも入射する光の量が多くなる。この入射する光の量が増加することにより、位相差検出画素に隣接する画像生成画素への混色起因光の量が相対的に増加する。
【0096】
また、位相差検出画素においては、遮光層となる大きな配線を備えている側がある(図7(b)の位相差検出画素622では、配線653側)。この遮光層となる大きな配線が光を反射するため、この大きな配線に隣接する画素(図7(b)のR画素611)への混色起因光の量は、遮光層となる配線が無い側(配線652側)に隣接する画像生成画素よりも多くなる。
【0097】
これらのことにより、位相差検出画素に隣接する画像生成画素の混色起因光の量は、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素における混色起因光の量よりも多くなる。
【0098】
[位相差検出画素に隣接するR画素の混色起因光の検出例]
図8は、本発明の第1の実施における位相差検出画素に隣接するR画素の混色起因光の検出の一例を示す模式図である。
【0099】
同図には、図7(b)において示した位相差検出画素622およびR画素611の断面図と、撮像素子200に青色の光のみを透過するためのフィルタ(Bフィルタ380)の断面図とが示されている。また、青色の光の通過状態が、Bの付された破線の矢印で模式的に示されている。同様に、緑色の光の通過状態がGの付された破線の矢印で模式的に示され、赤色の光の通過状態がRの付された破線の矢印で模式的に示されている。
【0100】
ここで、補正係数算出動作における位相差検出画素に隣接するR画素の混色起因光の検出方法について、位相差検出画素622およびR画素611を用いて説明する。
【0101】
R画素611のカラーフィルタ(Rフィルタ665)は、赤色の波長の光を透過するが、その他の波長の光は吸収する。また、位相差検出画素622は、カラーフィルタを備えていないため、マイクロレンズ651が集光した光のうちの全ての波長の光を受光素子654側に透過する。すなわち、赤色の波長の光を被写体光から除去することにより、混色起因光のみをR画素の受光素子に受光させることができる。
【0102】
同図では、赤色の波長の光を被写体光から除去するために、青色の光のみを透過させるBフィルタ380を、光源と撮像素子200との間に挿入することにより、位相差検出画素に隣接するR画素の混色補正係数を算出するための画像を撮像する例が示されている。
【0103】
同図に示すように、Bフィルタ380を用いて画像を撮像することにより、位相差検出画素622においては、青色の光(矢印363)のうち射出瞳の右側を通過した光が受光素子654に受光される。一方、R画素611においては、Rフィルタ665を通過する光は無い状態になる。しかしながら、R画素611においては、位相差検出画素622から漏れてきた青色の光(矢印364)が受光素子664において受光される。
【0104】
[補正係数算出部によるR画素の混色補正係数の算出例]
図9は、本発明の第1の実施におけるR画素の混色補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【0105】
位相差検出画素に隣接するR画素の混色補正係数は、図8において示したように、補正係数算出動作においてBフィルタ380を用いて撮像した画像(青フィルタ画像)から算出される。この混色補正係数の算出は、まず、算出対象のR画素(補正対象R画素)の輝度値のうちの位相差検出画素から漏れてきた光に起因する値(混色量)を算出する。続いて、その算出した混色量と、隣接する位相差検出画素の受光量から推定される漏れてきた光の量との間の関係から混色補正係数を算出する。そこで、図9(a)において混色量の算出について説明し、図9(b)において混色補正係数の算出について説明する。
【0106】
なお、Bフィルタ380を用いて撮像した画像を生成する際には、撮像素子200全体に透過される光の波長および強度が均一(ムラがない)であることを想定する。また、光源の光量は、Bフィルタ380を用いても短時間で明るい画像を撮像できる量を想定し、暗電流の発生を無視できる状態でBフィルタ380を用いて画像を撮像することとする。
【0107】
同図(a)には、補正対象R画素の混色量の算出を説明するための画素配置が示されている。なお、この画素配置は、図5において示した領域212のR画素を含む3列と同様である。図9(a)では、位相差検出画素321乃至323に隣接する補正対象R画素(R画素325および326)と、正常R画素(R画素324および327)とに着目して混色量の算出を説明する。
【0108】
Bフィルタ380を用いて撮像した画像におけるR画素325の混色量(ER325(B))は、混色補正係数の算出対象(補正対象)であるR画素325の輝度値から、補正対象でないR画素の輝度値を減算することにより算出される。この減算より、隣接する位相差検出画素から漏れてきた光に起因する混色量を求めることができる。R画素325の混色量(ER325(B))は、例えば、次の式4を用いて算出される。
R325(B)=IR325(B)−(IR324(B)+IR327(B))/2 ・・・式4
ここで、IR325(B)は、Bフィルタ380を用いて撮像した画像(B)におけるR画素325の信号の値(輝度値)である。同様に、IR324(B)は、Bフィルタ380を用いて撮像した画像におけるR画素324の輝度値であり、IR327(B)は、同じ画像のR画素327の輝度値である。すなわち、式3の(IR324(B)+IR327(B))/2は、補正の対象外のR画素(正常R画素)の輝度値の平均値を算出している。なお、この混色量を求める際に用いる正常R画素は、輝度値への他の影響を避けるため、混色量の算出対象のR画素に近い位置に配置されている正常R画素が望ましい。
【0109】
混色量は、受光画素領域210における位相差検出画素に隣接する画像生成画素それぞれに対して算出される。例えば、R画素326の混色量(ER326(B))についても、R画素325の輝度値(IR326(B))を用いて、混色量(ER325(B))と同様に算出する。R画素326の混色量(ER326(B))は、次の式5を用いて算出される。
R326(B)=IR326(B)−(IR324(B)+IR327(B))/2 ・・・式5
【0110】
同図(b)には、補正対象R画素の混色補正係数の算出を説明するための画素配置が示されている。同図(b)では、同図(a)において示した位相差検出画素321乃至323と、R画素325および326とが示されている。また、位相差検出画素321乃至323のそれぞれからR画素325への混色起因光を示す矢印(矢印331乃至333)と、位相差検出画素321乃至323のそれぞれからR画素326への混色起因光を示す矢印(矢印334乃至336)とが示されている。
【0111】
Bフィルタ380を用いて撮像した画像におけるR画素325の混色量(ER325(B))は、隣接する位相差検出画素(位相差検出画素321乃至323)のそれぞれから漏れてくる光(混色起因光)の量が多いほど、大きい値になる。また、位相差検出画素321乃至323のそれぞれから漏れてくる光の量は、位相差検出画素321乃至323における受光量が大きいほど、大きくなる。すなわち、位相差検出画素321乃至323の受光量(輝度値)と、混色量(ER325(B))との間には相関がある。
【0112】
そこで、位相差検出画素321乃至323の輝度値と、R画素325の混色量(ER325(B))との間の相関(比例関係)に基づいて、混色補正係数を算出する。R画素325の混色補正係数(TR325)は、例えば、次の式6を用いて算出される。
R325=ER325(B)/(WruD321×ID321(B)
WcuD322×ID322(B)+WluD323×ID323(B)) ・・・式6
ここで、WruD321は、位相差検出画素321(D321)から右上のR画素325へ漏れる光の量を、位相差検出画素321の信号の値(輝度値)から推測するための係数(光量算出係数(右上))である。同様に、WcuD322は、位相差検出画素322(D322)から真上のR画素325へ漏れる光の量を、位相差検出画素322の受光量から推測するための係数(光量算出係数(真上))である。また、WluD323は、位相差検出画素323(D323)から左上のR画素325へ漏れる光の量を、位相差検出画素323の受光量から推測するための係数(光量算出係数(左上))である。
【0113】
また、ID321(B)は、位相差検出画素321(D321)の信号の値(輝度値)である。同様に、ID322(B)は位相差検出画素322(D322)の輝度値であり、ID323(B)は位相差検出画素323(D323)の輝度値である。
【0114】
すなわち、式6の左辺の分母は、位相差検出画素321乃至323からR画素325へ洩れ込む光の量を示す値を算出している。
【0115】
混色補正係数は、受光画素領域210における位相差検出画素に隣接する画像生成画素のそれぞれについて算出される。例えば、R画素326の混色補正係数(TR326)についても、R画素325の混色補正係数(TR325)と同様にして、次の式7を用いて算出される。
R326=ER326(B)/(WrsD321×ID321(B)
WcsD322×ID322(B)+WlsD323×ID323(B)) ・・・式7
ここで、WrsD321は、位相差検出画素321(D321)から右下のR画素326へ漏れる光の量を、位相差検出画素321の受光量から推測するための係数(光量算出係数(右下))である。同様に、WcsD322は、位相差検出画素322(D322)から真下のR画素326へ漏れる光の量を、位相差検出画素322の受光量から推測するための係数(光量算出係数(真下))である。また、WlsD323は、位相差検出画素323(D323)から左下のR画素326へ漏れる光の量を、位相差検出画素323の受光量から推測するための係数(光量算出係数(左下))である。
【0116】
これらの光量算出係数は、補正対象の画像生成画素ごとの係数であり、撮像素子の設計段階および試作段階で補正対象の画像生成画素ごとに決定し、その決定した値をFlashROM500に記録させる。
【0117】
このように、青フィルタ画像を用いることにより、補正対象R画素の混色補正係数が算出される。
【0118】
次に、位相差検出画素に隣接するG画素の混色補正係数の算出について、図10および図11を参照して説明する。
【0119】
[位相差検出画素に隣接するGr画素の混色起因光の検出例]
図10は、本発明の第1の実施における位相差検出画素に隣接するGr画素の混色起因光の検出の一例を示す模式図である。
【0120】
同図は、図8において示したR画素の混色起因光の検出に対応する。このため、ここでは、Gr画素の混色起因光の検出とR画素の混色起因光の検出との間の違いに着目して説明する。
【0121】
同図には、図8において示したBフィルタ380の代わりに、撮像素子200に赤色の光のみを透過するためのフィルタ(Rフィルタ390)が示されている。このRフィルタ390により緑色の光を被写体光から除去することができる。これにより、混色起因光のみをGr画素612の受光素子664に受光させることができる。
【0122】
同図に示すように、Rフィルタ390を用いて画像を撮像することにより、位相差検出画素622においては、赤色の光(矢印365)のうちの射出瞳の右側を通過した光が受光素子654に受光される。一方、Gr画素612においては、Gフィルタ667を通過する光は無い状態になる。しかしながら、Gr画素612においては、位相差検出画素622から漏れてきた赤色の光(矢印366)が受光素子664において受光される。
【0123】
[補正係数算出部による混色補正係数の算出例]
図11は、本発明の第1の実施におけるGr画素の混色補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【0124】
同図は、図9において示したR画素の混色起因光の検出に対応する。このため、ここでは、Gr画素の混色補正係数の算出がR画素の混色補正係数の算出と同様であることについて説明する。
【0125】
Gr画素の混色補正係数の算出は、R画素の混色補正係数の算出と同様に、隣接する位相差検出画素から漏れてきた光に起因する混色量を算出した後に、その算出した混色量に基づいて算出対象のGr画素(補正対象Gr画素)の混色補正係数を算出する。
【0126】
Gr画素345の混色量(EGr345(R))は、例えば、次の式8を用いて算出される。
Gr345(R)=IGr345(R)−(IGr344(R)+IGr347(R))/2
・・・式8
【0127】
なお、Gr画素346の混色量(EGr346(R))は、例えば、次の式9を用いて算出される。
Gr346(R)=IGr346(R)−(IGr344(R)+IGr347(R))/2
・・・式9
【0128】
また、Gr画素345の混色補正係数(TGr345)は次の式10を用いて算出され、Gr画素346の混色補正係数(TGr346)は次の式11を用いて算出さる。
Gr345=EGr345(R)/(WruD341×ID341(R)
WcuD342×ID342(R)+WluD343×ID343(R)) ・・・式10
Gr346=EGr346(R)/(WrsD341×ID341(R)
WcsD342×ID342(R)+WlsD343×ID343(R)) ・・・式11
【0129】
ここで、IGr344(R)乃至IGr347(R)は、Rフィルタ390を用いて撮像した画像(R)におけるGr画素344乃至Gr画素347の輝度値である。また、ID341(R)乃至ID343(R)は、Rフィルタ390を用いて撮像した画像(R)における位相差検出画素341乃至Gr画素343の輝度値である。また、WruD341、WcuD342、WluD343は、Gr画素345に隣接する3つの位相差検出画素(D341乃至D343)におけるGr画素345に対する光量算出係数である。また、WrsD341、WcsD342、WlsD343は、Gr画素346に隣接する3つの位相差検出画素(D341乃至D343)におけるGr画素346に対する光量算出係数である。
【0130】
このように、混色補正係数は補正対象画素ごとに算出されて、算出された混色補正係数はFlashROM500に記録される。また、光量算出係数も、混色補正係数を算出する前に補正対象画素ごとにそれぞれ決定され、決定された光量算出係数はFlashROM500に記録される。
【0131】
次に、位相差検出画素に隣接する画像生成画素(R画素およびGr画素)の感度補正係数の算出について、図12を参照して説明する。
【0132】
[補正係数算出部による感度補正係数の算出例]
図12は、本発明の第1の実施におけるR画素の感度補正係数の算出を説明するための撮像素子200の画素配置を示す図である。
【0133】
同図では、まず、位相差検出画素に隣接するR画素と、隣接しないR画素との間において生じる感度の違いについて説明する。ここでは、位相差検出画素に隣接するR画素のマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量と、隣接しないR画素のマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量との差により感度差が生じる例を説明する。この例として、位相差検出画素に隣接するR画素のカラーフィルタと配線との間の透明層の厚さが、位相差検出画素に隣接しないR画素のカラーフィルタと配線との間の透明層の厚さよりも僅かに厚くなる場合における感度差の発生を想定して説明する。
【0134】
同図では、図9において示したR画素325およびR画素324の断面構成が示されている。図12では、カラーフィルタと配線との間の透明層の厚さが、R画素325の厚さ(矢印675)とR画素324の厚さ(矢印676)とで異なることが示されている。また、同図では、R画素325の受光素子654が受光する光の量が矢印677により模式的に示され、R画素324の受光素子654が受光する光の量が矢印678により模式的に示されている。なお、矢印678を矢印677より大きい矢印で示し、これにより、R画素324の受光素子654が受光する光の量が、R画素325の受光素子654が受光する光の量よりも大きいことを表している。
【0135】
ここで、感度補正係数による補正の目的について説明する。
【0136】
撮像素子200の製造過程において、位相差検出画素の所だけ異なる構造にすると、隣接する画素の構造にもこの作業が影響してしまうことがある。例えば、R画素のRフィルタを形成する前に位相差検出画素におけるカラーフィルタの層(透明な層)を形成する場合を想定する。この場合において、位相差検出画素に隣接する画素にも透明な層の形成が影響してわずかに構造が変化する(例えば、カラーフィルタの前の透明層が厚くなる)ことが生じる。これにより、マイクロレンズに入射されてから受光素子に受光されるまでにロスする光の量が、位相差検出画素に隣接する画素と位相差検出画素に隣接しない画素との間において違いが生じる。なお、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素同士では、それぞれの画像生成画素に隣接する画素が同一であるために、このような構造の差は生じない。すなわち、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と、隣接しない画像生成画素との間においてのみ、構造の違いが生じる。
【0137】
このように、位相差検出画素に隣接する画像生成画素(R画素325)と、隣接しない画像生成画素(R画素324)との間において、マイクロレンズに入射される光が受光素子に受光されるまでにロスする光の量の差に差が生じる。すなわち、図12の矢印677および矢印678に示すように、マイクロレンズに入射される光の量が同じであっても、マイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量に差(感度差)が生じる。
【0138】
次に、感度補正係数の算出について説明する。感度補正係数を算出するためには、撮像素子200全体に均一な光を照射して感度補正係数の算出に用いる画像を撮像する。なお、R画素の感度補正係数とGr画素の感度補正係数との両方ともこの画像を用いて算出するため、光源は、全波長において同じような強さの光源が望ましい。
【0139】
感度補正係数の算出は、まず、補正対象画素の輝度値から混色量を減算して、混色の影響を除いた輝度値(混色補正後輝度値)を算出する。そして、混色量を減算した輝度値と正常画素の輝度値との相関(比例関係)に基づいて、感度補正係数を算出する。
【0140】
R画素325の混色補正後輝度値(FR325)は、例えば、次の式12を用いて算出される。また、R画素325の感度補正係数(UR325)は、例えば、次の式13を用いて算出される。
R325=IR325(W)−TR325×(WruD321×ID321(W)
WcuD322×ID322(W)+WluD323×ID323(W)) ・・・式13
R325=((IR324(W)+IR327(W))/2)/FR325・・・式14
ここで、IR325(W)は、白色の画像(W)におけるR画素325の輝度値である。同様に、ID321(W)、ID322(W)、および、ID323(W)は、白色の画像(W)における位相差検出画素321、322および323のそれぞれの輝度値である。また、IR324(W)およびIR327(W)は、白色の画像(W)におけるR画素324およびR画素327の輝度値である。
【0141】
式13では、TR325×(WruD321×ID321(W)+WcuD322×ID322(W)+WluD323×ID323(W))により、白色の画像(W)におけるR画素325の輝度値に含まれている混色による輝度値(混色量)を算出している。すなわち、式13では、白色の画像(W)におけるR画素325の輝度値(IR325(W))から混色量を減算することにより、混色補正後輝度値(FR325)を算出する。
【0142】
式14では、混色補正後輝度値(FR325)と正常画素の輝度値とが相関(比例関係)することに基づいて、感度補正係数(UR325)を算出している。
【0143】
感度補正係数は、受光画素領域210における補正対象画素それぞれに対して算出される。例えば、R画素326の感度補正係数(UR326)は、例えば、次の式15および式16を用いて算出される。また、Gr画素345の感度補正係数(UGr346)は次の式17および式18を用いて算出され、Gr画素346の感度補正係数(UGr346)は次の式19および式20を用いて算出される。
R326=IR326(W)−TR326×(WrsD321×ID321(W)
WcsD322×ID322(W)+WlsD323×ID323(W)) ・・・式15
R326=((IR324(W)+IR327(W))/2)/FR326・・・式16
Gr345=IGr345(W)−TGr345×(WruD321×ID341(W)
WcuD322×ID322(W)+WluD323×ID323(W)) ・・・式17
Gr345=((IGr344(W)+IGr347(W))/2)/FGr345
・・・式18
Gr346=IGr346(W)−TGr346×(WrsD341×ID341(W)
WcsD342×ID342(W)+WlsD343×ID343(W)) ・・・式19
Gr346=((IGr344(W)+IGr347(W))/2)/FGr346
・・・式20
【0144】
このように、感度補正係数は補正対象画素ごとに算出されて、算出された感度補正係数はFlashROM500に記録される。
【0145】
[補正係数算出動作における撮像装置の動作例]
【0146】
次に、本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における撮像装置100の動作について図面を参照して説明する。
【0147】
図13は、本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における撮像装置100による補正係数算出処理手順例を示すフローチャートである。この補正係数算出処理手順は、撮像装置100の製造過程の補正係数を算出する工程において実行される。
【0148】
まず、位相差検出画素に隣接する画像生成画素(補正対象画素)の暗電流を補正するための係数(暗電流補正係数)を算出する暗電流補正係数算出処理が行われる(ステップS910)。なお、暗電流補正係数算出処理(ステップS910)は、図14を参照して説明する。
【0149】
続いて、補正対象画素における混色(位相差検出画素から洩れてくる光に起因する輝度の変化)を補正するための係数(混色量補正係数)を算出する混色量補正係数算出処理(ステップS920)。なお、混色量補正係数算出処理(ステップS920)は、図15を参照して説明する。
【0150】
そして、補正対象画素と正常画素との間における感度の差(マイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量の差)を補正するための係数(感度補正係数)を算出する感度補正係数算出処理が行われる(ステップS940)。なお、感度補正係数算出処理(ステップS940)は、図16を参照して説明する。
【0151】
暗電流補正係数算出処理(ステップS910)、混色量補正係数算出処理(ステップS920)および感度補正係数算出処理(ステップS940)が終了すると、補正係数算出処理手順は終了する。
【0152】
図14は、本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における暗電流補正係数算出処理(ステップS910)の処理手順例を示すフローチャートである。
【0153】
まず、光がない状態において、画像(全黒画像)が撮像素子200を用いて撮像される(ステップS911)。次に、画像生成画素暗電流測定領域222の各正常画素に基づいて、全黒画像における各正常画素の暗電流の値が補正係数算出部300により算出される(ステップS912)。その後、受光画素領域210における補正対象画素それぞれに対して、補正対象画素の輝度値と、補正対象画素と同一のカラーの正常画素の暗電流値とに基づいて、暗電流補正係数が補正係数算出部300により算出される(ステップS913)。
【0154】
そして、算出された補正対象画素ごとの暗電流補正係数が、FlashROM500に記録される(ステップS914)。
【0155】
図15は、本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における混色補正係数算出処理(ステップS920)の処理手順例を示すフローチャートである。
【0156】
まず、撮像素子200の受光画素領域210における位相差検出画素に隣接する画像生成画素(補正対象画素)それぞれに対して、光量算出係数がそれぞれ設定される(ステップS921)。そして、その設定された光量算出係数が、FlashROM500に記録される(ステップS922)。
【0157】
続いて、Bフィルタ380を用いて、画像(青フィルタ画像)が撮像素子200により撮像される(ステップS923)。そして、補正対象R画素のそれぞれの光量算出係数が、FlashROM500から読み出される(ステップS924)。
【0158】
続いて、補正対象R画素のそれぞれに対して、青フィルタ画像における補正対象R画素の輝度値およびそれぞれの光量算出係数に基づいて、補正対象R画素の混色補正係数が補正係数算出部300によりそれぞれ算出される(ステップS925)。そして、その算出された混色補正係数が、FlashROM500に記録される(ステップS926)。
【0159】
その後、Rフィルタ390を用いて、画像(赤フィルタ画像)が撮像素子200により撮像される(ステップS927)。そして、補正対象Gr画素のそれぞれの光量算出係数が、FlashROM500から読み出される(ステップS928)。
【0160】
続いて、補正対象Gr画素のそれぞれに対して、赤フィルタ画像における補正対象Gr画素の輝度値およびそれぞれの光量算出係数に基づいて、補正対象Gr画素の混色補正係数が補正係数算出部300によりそれぞれ算出される(ステップS929)。そして、その算出された混色補正係数が、FlashROM500に記録される(ステップS930)。
【0161】
図16は、本発明の第1の実施の形態の補正係数算出動作における感度補正係数算出処理(ステップS940)の処理手順例を示すフローチャートである。
【0162】
まず、全波長において同じような強さの光源(均一光源)を用いて、画像が撮像素子200により撮像される(ステップS941)。そして、補正対象画素のそれぞれの混色補正係数が、FlashROM500から読み出される(ステップS942)。また、補正対象画素のそれぞれの光量算出係数が、FlashROM500から読み出される(ステップS942)。
【0163】
続いて、補正対象画素のそれぞれに対して、3200Kの光源を用いた画像における輝度値と、混色補正係数と、光量算出係数とに基づいて、感度補正係数が補正係数算出部300によりそれぞれ算出される(ステップS944)。そして、その算出された感度補正係数が、FlashROM500に記録される(ステップS945)。
【0164】
このように、補正係数算出動作によって、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と、隣接しない画像生成画素との間における特性の差を補正するための補正係数(暗電流補正係数、混色補正係数、および、感度補正係数)が算出される。
【0165】
[補正動作における信号の流れの一例]
図17は、本発明の第1の実施の形態における位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値を補正する場合における撮像装置100の動作(補正動作)における信号の流れの一例を示す模式図である。
【0166】
同図では、図1において示した撮像装置100における各構成のうち補正動作に関与する構成を実線のブロックにおいて示し、補正動作に関与しない構成を破線のブロックにおいて示す。また、図17では、撮像素子200が光を受光してから撮像画像が記録媒体154に記録されるまでにおける信号の流れを、黒色の太矢印で示している。また、図17では、説明の便宜上、操作受付部171および制御部172は省略する。
【0167】
同図に示すように、補正動作の場合には、切替スイッチ160によりA/D変換部130と補正部400とが接続される。これにより、A/D変換部130がデジタル化した画像データは、補正部400に供給される。また、補正部400は、FlashROM500から各補正係数を読み出し、RAM140をワーキングメモリとして用いながら各特性(暗電流、混色、および、感度)を補正する。そして、補正部400は、補正対象画素の輝度値を補正した画像データ(補正画像データ)を画像処理部151に供給し、その補正画像データから現像された画像が、記録媒体154に記録されたり、ビューファインダ153に表示されたりする。
【0168】
[補正部の機能構成例]
図18は、本発明の第1の実施の形態における補正部400の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0169】
同図では、FlashROM500および補正部400が示されている。FlashROM500は、暗電流補正係数保持部510と、混色補正係数保持部520と、光量算出係数保持部530と、感度補正係数保持部540とを備える。
【0170】
暗電流補正係数保持部510は、FlashROM500における暗電流補正係数が保持される領域である。この暗電流補正係数保持部510には、補正係数算出動作において補正係数算出部300により算出された暗電流補正係数が保持される。暗電流補正係数保持部510は、保持する暗電流補正係数を、補正対象画素補正部410における暗電流補正部420に供給する。
【0171】
混色補正係数保持部520は、FlashROM500における混色補正係数が保持される領域である。この混色補正係数保持部520には、補正係数算出動作において補正係数算出部300により算出された混色補正係数が保持される。混色補正係数保持部520は、保持する混色補正係数を、補正対象画素補正部410における混色補正部430に供給する。
【0172】
光量算出係数保持部530は、FlashROM500における光量算出係数が保持される領域である。この光量算出係数530には、補正対象画素ごとに設定された光量算出係数が保持される。この光量算出係数保持部530は、保持する光量算出係数を、補正対象画素補正部410における混色補正部430に供給する。
【0173】
感度補正係数保持部540は、FlashROM500における感度補正係数が保持される領域である。この感度補正係数保持部540には、補正係数算出動作において補正係数算出部300により算出された感度補正係数が保持される。感度補正係数保持部540は、保持する感度補正係数を、補正対象画素補正部410における感度補正部440に供給する。
【0174】
補正部400は、補正対象画素補正部410と、暗電流値算出部450と、暗電流値減算部460と、補正画像データ出力部470と、画像データ入力部480とを備える。
【0175】
画像データ入力部480は、A/D変換部130から画像データが入力されると、入力された画像データにおける各画素の輝度値を暗電流値減算部460および補正対象画素補正部410に出力するものである。この画像データ入力部480は、位相差検出画素に隣接する画像生成画素(補正対象画素)の輝度値を、補正対象画素補正部410に出力する。また、画像データ入力部480は、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素(正常画素)の輝度値および位相差検出画素の輝度値を、暗電流値減算部460に供給する。また、画像データ入力部480は、オプティカルブラック領域220に配置される画素のデータを、暗電流値算出部450に供給する。なお、画像データ入力部480は、特許請求の範囲に記載の入力部の一例である。
【0176】
補正対象画素補正部410は、補正対象画素の輝度値を補正するものである。この補正対象画素補正部410は、暗電流補正部420と、混色補正部430と、感度補正部440とを備える。
【0177】
暗電流値算出部450は、図3において示した位相差検出画素暗電流値および正常画素暗電流値を算出するものである。この暗電流値算出部450は、撮像画像を撮像した際の位相差検出画素暗電流測定領域221の位相差検出画素の輝度値の平均値(位相差検出画素暗電流値)を算出する。また、暗電流値算出部450は、画像生成画素暗電流測定領域222の正常画素の輝度値の平均値(正常画素暗電流値)を算出する。なお、位相差検出画素暗電流値および正常画素暗電流値は、画素の種類ごと(瞳分割して受光する光の方向や、カラーフィルタの色ごと)に算出される。暗電流値算出部450は、算出した正常画素暗電流値を、暗電流値減算部460に供給する。また、暗電流値算出部450は、算出した位相差検出画素暗電流値を、暗電流補正部420および暗電流値減算部460に供給する。
【0178】
暗電流値減算部460は、撮像画像における位相差検出画素および正常画素の信号(輝度値)から暗電流値を減算することにより、位相差検出画素および正常画素の暗電流を補正するものである。この暗電流値減算部460は、補正した輝度値を、混色補正部430および補正画像データ出力部470に供給する。
【0179】
暗電流補正部420は、補正対象画素の信号(輝度値)における暗電流を補正するものである。この暗電流補正部420は、位相差検出画素暗電流値および暗電流補正係数に基づいて、補正対象画素の暗電流発生量を算出(推測)し、この算出した暗電流発生量を補正対象画素の輝度値から減算することにより、暗電流の補正を行う。暗電流補正部420は、暗電流を補正した補正対象画素の輝度値(暗電流補正後輝度値)を、混色補正部430に供給する。
【0180】
混色補正部430は、補正対象画素の混色を補正するものである。この混色補正部430は、補正対象画素の暗電流補正後輝度値と、補正対象画素に隣接する位相差検出画素の暗電流補正後の輝度値と、混色補正係数と、光量算出係数とに基づいて、暗電流補正後輝度値から混色による値(混色量)を減算して混色を補正する。すなわち、混色補正部430は、位相差検出画素から補正対象画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値(混色量)を、補正対象画素に隣接する位相差検出画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、その算出した変化値に基づいて混色を補正する。混色補正部430は、混色量を減算(補正)した輝度値(暗電流・混色補正輝度値)を、感度補正部440に供給する。
【0181】
感度補正部440は、補正対象画素の感度を補正するものである。この感度補正部440は、補正対象画素の暗電流・混色補正輝度値と、感度補正係数とに基づいて、補正対象画素と正常画素との間の感度の違いが補正された輝度値を生成する。すなわち、感度補正部440は、混色が補正された補正対象画素の輝度値および感度補正係数に基づいて、補正対象画素と正常画素との間のマイクロレンズに入射される光が受光素子に受光されるまでにロスする光量の差に起因する受光量の差を補正する。感度補正部440は、感度を補正した輝度値(補正輝度値)を、補正画像データ出力部470に供給する。なお、感度補正部440は、特許請求の範囲に記載の透過度補正部の一例である。
【0182】
補正画像データ出力部470は、補正対象画素の特性を補正した輝度値(補正輝度値)と、位相差検出画素および正常画素の暗電流を補正した輝度値とに基づいて、補正画像データを出力するものである。この補正画像データ出力部470は、信号線401を介して、補正画像データを画像処理部151に供給する。
【0183】
ここで、補正対象画素補正部410における補正を、計算式を用いて説明する。例えば、ユーザの撮像動作により生成された画像データにおけるR画素325(図9参照)の輝度値(IR325)の補正は、次の式21を用いて算出される。
I'R325=((IR325−SR325×IavedknR)−TR325×(WruD321×
I'D321+WcuD322×I'D322+WluD323×I'D323))×UR325
・・・式21
ここで、IavedknRは、ユーザの撮像動作により生成された画像データにおける撮像素子200の画像生成画素暗電流測定領域222における正常R画素の輝度値を平均して算出した暗電流値である。I'D321は、位相差検出画素321の暗電流を補正した輝度値である。なお、この補正輝度値(I'D321)は、暗電流値減算部460において、位相差検出画素暗電流値を輝度値(ID321)から減算することにより算出される。同様に、I'D322は位相差検出画素322の暗電流を補正した輝度値であり、I'D323は位相差検出画素323の暗電流を補正した輝度値である。
【0184】
ここで、式21の右辺について説明する。式21の(IR325−SR325×IavedknR)は、暗電流補正部420における補正に対応する。SR325×IavedknRによりR画素325の暗電流発生量を算出し、そして、その算出した暗電流量をR画素325の輝度値(IR325)から減算することにより、R画素325の暗電流を補正する。
【0185】
また、式21の暗電流量が減算された値からTR325×(WruD321×I'D321+WcuD322×I'D322+WluD323×I'D323)を減算することは、混色補正部430における補正に対応する。すなわち、暗電流量を減算した輝度値から、R画素325の混色量を減算することにより、R画素325の混色を補正する。
【0186】
そして、暗電流量および混色量が補正された値にUR325を乗算することは、感度補正部440における補正に対応する。すなわち、R画素325のカラーフィルタを透過して受光素子に受光された光による輝度値(暗電流量および混色量が補正された値)について、感度補正係数を乗算することにより、R画素325の感度を補正する。
【0187】
このようにして、位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値が補正される。なお、この補正は、補正係数の算出と同様に、位相差検出画素に隣接する画像生成画素ごとに行われる。例えば、図9のR画素326に対しては式22を用いて算出され、図11のGr画素345に対しては式23を用いて算出され、Gr画素346に対しては式24を用いて算出される。
I'R326=((IR326−SR326×IavedknR)−TR326×(WrsD321×I'D321+WcsD322×I'D322+WlsD323×I'D323))×UR326
・・・式22
I'Gr345=((IGr345−SGr345×IavedknGr)−TGr345×(WruD341×I'D341+WcuD342×I'D342+WluD343×I'D343))×UGr345
・・・式23
I'Gr346=((IGr346−SGr346×IavedknGr)−TGr346×(WrsD341×I'D341+WcsD342×I'D342+WlsD343×I'D343))×UGr346
・・・式24
【0188】
このように、補正部400によって、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と、位相差検出画素に隣接しない画像生成画素との間で3つの特性(暗電流、混色、感度)の差が補正された輝度値が生成される。
【0189】
[補正動作により生成される画像の一例]
図19は、本発明の第1の実施の形態の撮像装置100において位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値の補正を行った撮像画像と、従来の撮像装置においてその補正を行っていない撮像画像とを示す模式図である。
【0190】
同図(a)には、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間の差を補正しない従来の撮像装置における撮像画像(撮像画像199)が示されている。
【0191】
撮像画像199には、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間において特性に差が生じ、その差により横筋(撮像画像199では、破線で示す)が画像に入ることが示されている。
【0192】
同図(b)には、本発明の第1の実施の形態の撮像装置100の補正部400により、位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値を補正する場合における撮像画像(撮像画像190)が示されている。
【0193】
撮像画像190には、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間における特性の差を、位相差検出画素の輝度値を補正(変更)することにより補正した結果、横筋が軽減された良好な撮像画像が得られることが示されている。
【0194】
このように、補正部400を用いて補正をすることにより、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間における特性の差に起因する画像の劣化を抑制することができる。
【0195】
[補正動作における撮像装置の動作例]
【0196】
次に、本発明の第1の実施の形態の補正動作における撮像装置100の動作について図面を参照して説明する。
【0197】
図20は、本発明の第1の実施の形態における撮像装置100が補正動作において位相差検出画素の輝度値を補正する際の補正処理手順例を示すフローチャートである。この補正処理手順は、ユーザが撮像装置100を用いて画像を撮像するごとに実行される。
【0198】
まず、ユーザが撮像装置100を操作することにより、被写体が撮像される(ステップS951)。すなわち、撮像素子200により生成された画像データが入力される。次に、画像生成画素暗電流測定領域222および位相差検出画素暗電流測定領域221の画素が被写体を撮像した際に生成した信号に基づいて、各正常画素および位相差検出画素の暗電流値が暗電流値算出部450により算出される(ステップS952)。そして、受光画素領域210における正常画素および位相差検出画素の暗電流が、それぞれの暗電流値を減算することにより補正される(ステップS953)。なお、ステップS951は、特許請求の範囲に記載の入力手順の一例である。
【0199】
続いて、FlashROM500に保持されている暗電流補正係数が、暗電流補正部420により読み出される(ステップS954)。そして、位相差検出画素に隣接する画像生成画素(補正対象画素)の暗電流が、暗電流補正係数と、位相差検出画素暗電流値と、補正対象画素の輝度値とに基づいて、暗電流補正部420により補正される(ステップS955)。
【0200】
続いて、FlashROM500に保持されている混色補正係数が、混色補正部430により読み出される(ステップS956)。また、FlashROM500に保持されている光量算出係数が、混色補正部430により読み出される(ステップS957)。そして、補正対象画素の混色が、補正対象画素の暗電流補正後の輝度値と、補正対象画素に隣接する位相差検出画素の暗電流補正後の輝度値と、混色補正係数と、光量算出係数とに基づいて、混色補正部430により補正される(ステップS958)。なお、ステップS958は、特許請求の範囲に記載の混色補正手順の一例である。
【0201】
続いて、FlashROM500に保持されている感度補正係数が、感度補正部440により読み出される(ステップS959)。そして、補正対象画素の感度が、補正対象画素の暗電流および混色の補正後の輝度値と、感度補正係数とに基づいて、感度補正部440により補正される(ステップS960)。
【0202】
そして、全ての画素に関して補正が終了した補正画像が出力され(ステップS961)、補正処理手順が終了する。
【0203】
このように、本発明の第1の実施の形態によれば、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間の特性の差を、位相差検出画素に隣接する画像生成画素の輝度値を補正することにより、補正することができる。すなわち、本発明の第1の実施の形態によれば、画像生成画素と他の画素との両方を備える撮像素子により生成される画像データを適切に補正することができる。
【0204】
<2.第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、画像生成画素の他の画素として、位相差検出画素が配置される撮像素子200における例について説明した。しかしながら、画像生成画素の他の画素は、位相差検出画素に限定されるものではい。他の画素の画素(特定画素)に隣接する画像生成画素と、隣接しない画像生成画素との間において、暗電流、混色、および、感度のいずれかの特性において差を生じる場合には、本発明の実施の形態を適用することができる。例えば、撮像素子の感度を向上させるために、画像生成画素の他にホワイト画素(W画素)を配置する撮像素子が考えられるが、このような撮像素子においても、本発明の実施の形態を適用することができる。
【0205】
そこで、本発明の第2の実施の形態では、画像生成画素とホワイト画素とが配置される撮像素子を備える撮像装置の例について、図21乃至図24を参照して説明する。
【0206】
[撮像素子における画素の配置例]
図21は、本発明の第2の実施の形態における撮像素子に備えられる画素の配置の一例を示す模式図である。
【0207】
同図では、撮像素子を構成する各画素のうちの一部の画素(18行×24列の画素)の領域(領域711)が示されている。なお、同図は、図4において示した領域211に対応する。そこで、ここでは、領域711と領域211との違いについて説明する。
【0208】
図21に示すように、本発明の第2の実施の形態の撮像素子では、図4において示した領域211に配置される位相差検出画素に代えて、ホワイト画素(W画素712)が配置される。
【0209】
このW画素712には、可視光領域の波長の光は全て透過するフィルタ(ホワイトフィルタ)が備えられる。なお、このW画素712は、画像生成画素とはカラーフィルタの分光特性が異なるだけである。例えば、W画素712の断面構成は、図7において示したR画素611と同様になる。すなわち、メタル層の密度が同一であるため、W画素712に隣接する画像生成画素における暗電流の発生量と、隣接しない画像生成画素における暗電流の発生量とが同じ量になる。なお、W画素712に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間において、混色に関しては、カラーフィルタの分光特性が異なるものが隣接するため、本発明の第1の実施と同様に、混色量の差が生じる。また、感度に関しても、マイクロレンズに入射される光が受光素子に受光されるまでにロスする光量の差による受光量の差が発生することがあるため、差が生じる。
【0210】
すなわち、画像生成画素とは他の画素として、ホワイト画素が配置される場合には、補正係数算出動作において混色補正係数および感度補正係数を算出する。そして、補正動作において、その算出した混色補正係数および感度補正係数を用いて、ホワイト画素に隣接する画像生成画素における混色および感度を補正する。
【0211】
[補正部の機能構成例]
図22は、本発明の第2の実施の形態における補正部730の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0212】
本発明の第2の実施の形態における撮像装置は、本発明の第1の実施において示した補正部400およびFlashROM500(図1参照)に代えて、補正部730およびFlashROM720を備えている。
【0213】
FlashROM720は、混色補正係数保持部520と、光量算出係数保持部530と、感度補正係数保持部540とを備える。なお、FlashROM720は、暗電流補正係数保持部510が無いこと以外は、図18において示したFlashROM500と同様のものであるため、同一の符号を付してここでの説明を省略する。
【0214】
補正部730は、補正対象画素補正部731と、暗電流値算出部450と、暗電流値減算部732と、補正画像データ出力部470と、画像データ入力部733を備える。なお、暗電流値算出部450については、位相差検出画素の暗電流値に代えてホワイト画素(W画素)の暗電流値を算出する以外は、図18において示した暗電流値算出部450と同様のものであるため、同一の符号を付してここでの説明を省略する。また、補正画像データ出力部470についても、図18において示したものと同様であるため、同一の符号を付してここでの説明を省略する。
【0215】
補正対象画素補正部731は、W画素に隣接する画像生成画素(補正対象画素)の輝度値を補正するものである。この補正対象画素補正部731は、混色補正部430と、感度補正部440とを備える。なお、混色補正部430は、暗電流値減算部732において暗電流が補正された補正対象画素の輝度値を補正することの他は、第1の実施の形態において示した混色補正部430と同様のものであるため、同一の符号を付してここでの説明を省略する。また、感度補正部440に関しても、第1の実施の形態において示したものと同様のであるため、同一の符号を付してここでの説明を省略する。
【0216】
画像データ入力部733は、図18において示した画像データ入力部480と同様のものであり、補正対象画素、正常画素、および、W画素の輝度値を、暗電流値減算部732に供給する。また、画像データ入力部733は、オプティカルブラック領域220に配置される画素のデータを、暗電流値算出部450に供給する。
【0217】
暗電流値減算部732は、W画素、補正対象画素、および、W画素に隣接しない画像生成画素(正常画素)の輝度値から暗電流値を減算する。すなわち、暗電流値減算部732は、画像データにおける全ての画素の暗電流を補正する。
【0218】
このように、W画素に隣接する画像生成画素が補正対象画素である場合には、補正対象画素の暗電流の補正は正常画素の暗電流の補正と同様にできる。このため、補正部730は、暗電流補正係数を用いることなく、補正対象画素の輝度値を補正することができる。
【0219】
[補正係数算出動作における撮像装置の動作例]
次に、本発明の第2の実施の形態の補正係数算出動作における撮像装置の動作について図面を参照して説明する。
【0220】
図23は、本発明の第2の実施の形態の補正係数算出動作における撮像装置による補正係数算出処理手順例を示すフローチャートである。同図は、本発明の第1の実施の形態の補正係数算出処理手順例を示した図13に対応する。そこで、図13との違いについて説明する。
【0221】
図23に示すように、本発明の第2の実施の形態の補正係数算出動作では、暗電流補正係数算出処理(ステップS910)は無い。すなわち、混色量補正係数算出処理(ステップS920)が行われた後に、感度補正係数算出処理(ステップS940)が行われる。そして、感度補正係数算出処理(ステップS940)が終了すると、補正係数算出処理手順は終了する。
【0222】
[補正動作における撮像装置の動作例]
図24は、本発明の第2の実施の形態の撮像装置の補正動作における補正処理手順例を示すフローチャートである。なお、同図は、図20において示した本発明の第1の実施の補正処理手順例に対応する。すなわち、この処理手順は、図20の変形例であり、補正対象画素の暗電流の補正方法が異なる。また、この点以外については、図20と同一であるため、図20と共通する部分については、同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
【0223】
被写体が撮像されると(ステップS951)、画像生成画素の暗電流値とW画素の暗電流値とが暗電流値算出部450により算出される(ステップS972)。そして、正常画素、補正対象画素、および、W画素の暗電流が、画像生成画素の暗電流値またはW画素の暗電流値を減算することにより補正される(ステップS973)。
【0224】
このように、本発明の第2の実施によれば、ホワイト画素に隣接する画像生成画素と隣接しない画像生成画素との間の特性の差を、ホワイト画素に隣接する画像生成画素の輝度値を補正することにより、補正することができる。すなわち、本発明の第2の実施の形態によれば、本発明の第1の実施の形態と同様に、画像生成画素と他の画素との両方を備える撮像素子により生成される画像データを適切に補正することができる。
【0225】
<3.第3の実施の形態>
本発明の第1および第2の実施の形態では、撮像装置が補正係数算出部300を備える例について説明した。このように、撮像装置が補正係数算出部300を備えることにより、製造過程において、補正係数算出に係る時間を短縮することができる。しかしながら、補正係数算出部300における補正係数算出動作は製造工程においてのみ行われるため、算出処理は撮像装置の外部の演算処理装置において行わせ、その結果の各補正係数をFlashROMに記録することも可能である。
【0226】
そこで、本発明の第3の実施の形態では、撮像装置の外部の演算処理装置において補正係数の算出処理を行わせ、その結果の各補正係数をFlashROMに記録する撮像装置の例について、図25を参照して説明する。
【0227】
[撮像装置の機能構成例]
図25は、本発明の第3の実施の形態における撮像装置800の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0228】
撮像装置800は、図1において示した撮像装置100に対応する。しかしながら、撮像装置800は、撮像装置100が備える切替スイッチ160および補正係数算出部300を備えていない。
【0229】
この撮像装置800において、補正係数算出動作が行われる場合には、A/D変換部130がデジタル化した画像データを外部の演算処理装置が取得し、暗電流補正係数と、混色補正係数と、感度補正係数とを算出する。そして、その算出された3つの補正係数と、光量算出係数とがFlashROM500に記録され、補正係数算出動作が終了する。
【0230】
このように、本発明の第3の実施の形態によれば、本発明の第1および第2の実施の形態と同様に、画像生成画素と他の画素との両方を備える撮像素子により生成される画像データを適切に補正することができる。
【0231】
このように、本発明の実施の形態によれば、画像生成画素と他の画素との両方を備える撮像素子により生成される画像データを適切に補正することができる。
【0232】
なお、本発明の実施の形態では、他の画素(位相差検出画素およびホワイト画素)に隣接する画像生成画素がR画素およびG画素であることを想定して説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、B画素が他の画素に隣接する場合においても、同様に適用できる。なお、B画素が他の画素に隣接する場合には、混色補正係数を算出する際には、青色の光を遮光するフィルタ(例えば、Rフィルタ)を用いて補正に用いる画像を撮像する。
【0233】
また、本発明の実施の形態では、画像生成画素に備えられるカラーフィルタが3原色(RGB)のカラーフィルタであることを想定して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像生成画素に補色のカラーフィルタが備えられる場合においても、同様に適用できる。
【0234】
また、1つの画素の領域で可視光領域の波長の光を全て検出する画素(例えば、青色用の画素、緑色用の画素、赤色用の画素が光軸方向に重ねて配置されている撮像素子)が画像生成画素である場合においても、本発明の実施の形態は同様に適用できる。この場合として、例えば、他の画素が位相差検出画素であり、位相差検出画素および画像生成画素にはカラーフィルタが設けられない場合が考えられる。この場合には、位相差検出画素に隣接する画像生成画素と、隣接しない画像生成画素との間において、暗電流発生量および混色量の差が生じることが考えられる。そこで、この場合には、補正係数算出動作において暗電流補正係数および混色補正係数を算出する。そして、補正動作において、その算出した暗電流補正係数および混色補正係数を用いて、位相差検出画素に隣接する画像生成画素における暗電流および感度を補正する。
【0235】
また、本発明の実施の形態では、他の画素(位相差検出画素およびホワイト画素)のカラーフィルタは無い(可視光領域の波長の光を全て透過する)ことを想定して説明したが、これに限定されるものではない。他の画素のカラーフィルタが特定の波長の光のみを透過させるフィルタである場合においても、混色補正係数を算出する際にその波長を考慮したカラーフィルタを用いることにより、本発明の実施の形態は同様に適用できる。
【0236】
また、本発明の実施の形態では、他の画素に隣接する画像生成画素(斜めも含め最も近くにある画素に他の画素が含まれる画像生成画素)のみを補正対象画素とする例について説明したが、これに限定されるものではない。隣接していなくとも、他の画素に近意図頃に配置されているがために特性の差が生じる画像生成画素については、同様に本発明の実施の形態を適用できる。例えば、他の画素が位相差検出画素であり、位相差検出画素から2つや3つほど離れている画像生成画素にも画素の構造の歪みが生じる場合には、暗電流補正係数を用いてその画素の輝度値を補正することにより、暗電流発生量を適切に補正することができる。また、他の画素から2つや3つほど離れている画像生成画素にもマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量の差(感度差)が生じる場合には、感度補正係数を用いてその画素の輝度値を補正することにより、感度を適切に補正することができる。また、混色に関しても同様である。
【0237】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、本発明の実施の形態において明示したように、本発明の実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本発明の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0238】
また、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
【符号の説明】
【0239】
100 撮像装置
110 レンズ部
111 ズームレンズ
113 フォーカスレンズ
115 駆動部
120 シャッターユニット
125 シャッター駆動部
130 A/D変換部
151 画像処理部
152 保存処理部
153 ビューファインダ
154 記録媒体
160 切替スイッチ
171 操作受付部
172 制御部
200 撮像素子
400 補正部
410 補正対象画素補正部
420 暗電流補正部
430 混色補正部
440 感度補正部
450 暗電流値算出部
460 暗電流値減算部
470 補正画像データ出力部
510 暗電流補正係数保持部
520 混色補正係数保持部
530 光量算出係数保持部
540 感度補正係数保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、前記特定画素に隣接する前記画像生成画素である第1画像生成画素と、前記特定画素には隣接しない前記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、前記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力部と、
前記入力された画像データに基づいて、前記特定画素から前記第1画像生成画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値を、当該第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、前記算出した変化値に基づいて前記漏れる光に起因する当該第1画像生成画素への混色を補正する混色補正部と
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
前記特定画素から漏れる光の量を、当該特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出するための値を光量算出係数とし、
前記漏れる光の量と前記輝度の変化値との間の相関値を混色補正係数とし、
前記混色補正部は、前記光量算出係数と当該特定画素のそれぞれの輝度値とに基づいて前記特定画素から第1画像生成画素へ漏れる光の量を算出し、当該算出した光の量と前記混色補正係数とに基づいて当該第1画像生成画素に係る輝度の変化値を算出し、当該算出した輝度の変化値を当該第1画像生成画素の輝度値から減算して前記混色を補正する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1画像生成画素に隣接する前記特定画素のそれぞれに関する光量算出係数を前記第1画像生成画素ごとに保持する光量算出係数保持部と、
前記第1画像生成画素ごとに前記混色補正係数を保持する混色補正係数保持部と
をさらに具備する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1画像生成画素の輝度値のうちの当該第1画像生成画素のカラーフィルタを透過した光に基づく輝度値である第1透過値と、当該第1画像生成画素と同じ分光特性のカラーフィルタを備える前記第2画像生成画素の輝度値のうちの当該第2画像生成画素のカラーフィルタを透過した光に基づく輝度値である第2透過値との間の相関値を感度補正係数とし、前記混色が補正された前記第1画像生成画素の輝度値を前記第1感度値として、当該輝度値と前記感度補正係数とに基づいて、当該第1画像生成画素のマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量と当該第2画像生成画素間のマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量との差を補正する透過度補正部をさらに具備する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素は、位相差検出による合焦判定を行うための位相差検出画素である請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
オプティカルブラック領域を用いて算出した第2画像生成画素の暗電流値と、前記第1画像生成画素の暗電流値との相関値を暗電流補正係数とし、
前記入力された画像データに関する前記第2画像生成画素の暗電流値と前記暗電流補正係数とに基づいて当該第1画像生成画素の暗電流値を算出し、当該算出した暗電流値を当該第1画像生成画素の輝度値から減算して当該第1画像生成画素の暗電流を補正する暗電流補正部をさらに具備する
請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタを備える特定画素は、可視光領域の波長の光を透過するホワイトフィルタを備える画素である請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記撮像素子は、前記特定画素が特定方向に並べて構成される第1画素群と、前記画像生成画素が特定方向に並べて構成される第2画素群とが前記特定方向とは直交する直交方向に交互に配置される請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記撮像素子は、前記画像生成画素が前記第2画素群においてベイヤー配列で配置される請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、前記特定画素に隣接する前記画像生成画素である第1画像生成画素と、前記特定画素には隣接しない前記画像生成画素である第2画像生成画素とを備え、前記各画素が生成する輝度値を含む画像データを生成する撮像素子と、
前記生成された画像データに基づいて、前記特定画素から前記第1画像生成画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値を、当該第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、前記算出した変化値に基づいて前記漏れる光に起因する当該第1画像生成画素への混色を補正する混色補正部と
を具備する撮像装置。
【請求項11】
画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、前記特定画素に隣接する前記画像生成画素である第1画像生成画素と、前記特定画素には隣接しない前記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、前記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力部と、
前記入力された画像データに基づいて、前記第1画像生成画素と、当該第1画像生成画素と同じ分光特性のカラーフィルタを備える前記第2画像生成画素との間におけるマイクロレンズに入射されて受光素子に受光される光の量の差の相関値を用いて、前記光の量の差を補正する透過度補正部と
を具備する画像処理装置。
【請求項12】
画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、前記特定画素に隣接する前記画像生成画素である第1画像生成画素と、前記特定画素には隣接しない前記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、前記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力部と、
前記入力された画像データにおける前記第1画像生成画素の暗電流を、前記入力された画像データに関する前記第2画像生成画素の暗電流値と、前記第1画像生成画素の暗電流値との相関値とに基づいて補正する暗電流補正部と
を具備する画像処理装置。
【請求項13】
画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、前記特定画素に隣接する前記画像生成画素である第1画像生成画素と、前記特定画素には隣接しない前記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、前記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力手順と、
前記入力された画像データに基づいて、前記特定画素から前記第1画像生成画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値を、当該第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、前記算出した変化値に基づいて前記漏れる光に起因する当該第1画像生成画素への混色を補正する混色補正手順と
を具備する画像処理方法。
【請求項14】
画像を生成するための画像生成画素のカラーフィルタとは異なるカラーフィルタまたは前記画像生成画素とは異なる構造を備える特定画素と、前記特定画素に隣接する前記画像生成画素である第1画像生成画素と、前記特定画素には隣接しない前記画像生成画素である第2画像生成画素とを備える撮像素子が生成する画像データであって、前記各画素が生成する輝度値を含む画像データを入力する入力手順と、
前記入力された画像データに基づいて、前記特定画素から前記第1画像生成画素へ漏れる光に起因する輝度の変化値を、当該第1画像生成画素に隣接する特定画素のそれぞれの輝度値に基づいて算出し、前記算出した変化値に基づいて前記漏れる光に起因する当該第1画像生成画素への混色を補正する混色補正手順と
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−95061(P2012−95061A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240227(P2010−240227)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】