説明

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム

【課題】高密度な復元が可能であり、画像処理に対しても頑健な画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置10は、投影手段としてのプロジェクタ12と、撮影手段としてのカメラ14と、例えばパーソナルコンピュータから構成される画像処理手段16とから主要に構成されている。そして、画像処理手段16では、撮影された画像からパターン同士の交点を獲得し、この交点を含む第1暫定平面および第2暫定平面の制約条件と、プロジェクタ12とカメラ14との位置関係から得られる制約条件を用いて自由度を含む第1解を算出している。1次的な探索によりこの自由度を解消することで、3次元形状を復元している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関し、特に、入力された2次元画像を用いて3次元形状を復元する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動きのあるシーンや物体、例えば顔などを計測するためには、計測の高速性、高密度の点群の獲得、正確性、などが重要となる。パッシブステレオにおいては、テクスチャの無い形状表面を、密かつ正確に再構成することは難しい。このため、アクティブ3次元計測手法、特にパターンコード化法を高速化することで動きのあるシーンの形状取得を行なうというアプローチが近年盛んに研究されている。
【0003】
パターンコード化法では、プロジェクタで単一又は複数のパターンをシーンに投影し、撮影することで3次元復元を行なう。このために、投影パターンの特徴点と撮影されたシーンとの対応関係が必要である。多くのパターンコード化方式では、プロジェクタの画素の位置情報を複数のパターンに時間的にコード化することでこれを行なう。この方式において、必要なパターンの数を減らし、さらに、パターンの速度を上げることで、動きのあるシーンの3次元形状の獲得を行なう方法がある。この方法では、必要な数のパターンを投影する間、シーンの時間的な移動量が非常に少ないことを仮定しているので、動きが速い場合には正確な形状が得られず、また、高速に同期して動作する機器の構築のためにシステムが複雑化するという問題点がある。
【0004】
一方で、プロジェクタから投影される画像に、各々の画素位置を同定するための情報を空間的なパターンとしてコード化し埋め込むことで、一度の撮影画像のみからシーンを復元する(ワンショットスキャン)手法がある。この方法では、局所的な領域に、位置情報を一意にコード化する必要性から、パターンが複雑になりやすく、また、複数の画素に単一の位置情報をコード化することから解像度が低くなるという問題がある。さらに、コードのパターンが複雑になると、対象物の反射率により色情報が乱されたり、対象物の形状によってパターンの歪みや不連続性などが起きやすく、コード化された情報の抽出が不安定となる問題もある。
【0005】
パターンコード化法において、対応点の決定に一般に利用される制約条件としてエピポーラ拘束がある。しかし、特徴点の数が多い場合や、特徴点の配列などの条件によってエピポーラ線上に複数の特徴点がある場合には、一意に対応付けることはできない。
【0006】
パターン光による形状復元では、投影されるパターンの時間的あるいは空間的変化にプロジェクタの画素の位置情報をコード化する。画像の時間的変化のみを利用する方法は、画素ごとに実装が容易なため、古くから利用されている(下記非特許文献1)。
【0007】
一方で、パターンの空間的コードのみを利用する方法(下記非特許文献2〜下記非特許文献4)では、単一フレーム画像のみによる計測(ワンショットスキャン)が可能である。
【0008】
下記非特許文献5では、時間的変化と空間的変化の両方を利用して、必要なパターンの数を減らした。
【0009】
また、厳密にはパターンコード化法では無いが、動きも含めた時空間ステレオマッチングにより復元をする研究もある(下記非特許文献6および下記非特許文献7)。
【0010】
一方で、非特許文献8では、直線状パターンの集合という単純なパターンを用いて、画像一枚から密な形状復元が可能な方法が提案されている。
【非特許文献1】S. Inokuchi, K. Sato, and F. Matsuda. Range imaging system for 3−D object recognition. In ICPR, pages 806−808, 1984.2
【非特許文献2】C. Je, S. W. Lee, and R.−H. Park. High−contrast color−stripe pattern for rapid structured−light range imaging. In ECCV, volume 1, pages 95−107, 2004. 2, 5
【非特許文献3】J. Pan, P. S. Huang, and F.−P. Chiang. Color−coded binary fringe projection technique for 3−d shape measurement. Optical Engineering, 44(2):23606−23615, 2005.
【非特許文献4】J. Salvi, J. Batlle, and E. M. Mouaddib. A robust−coded pattern projection for dynamic 3d scene measurement. Pattern Recognition, 19(11):1055−1065, 1998.
【非特許文献5】S.Rusinkeiwicz: "Real−time 3D model acquisition" , ACM SIGGRAPH,pp.438−446 (2002).
【非特許文献6】O. Hall−Holt and S. Rusinkiewicz. Stripe boundary codes for real−time structured−light range scanning of moving objects. In ICCV, volume 2, pages 359−366, 2001.
【非特許文献7】L. Zhang, N. Snavely, B. Curless, and S.M. Seitz. Spacetime faces: High−resolution capture for modeling and animation. In ACM Annual Conference on Computer Graphics, pages 548−558, August 2004. 2
【非特許文献8】T. P. Koninckx and L. V. Gool. Real−time range acquisition by adaptive structured light. IEEE Trans. on PAMI, 28(3):432−445, March 2006.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した背景技術では、以下のような問題があった。
【0012】
具体的には、特許文献1に記載された技術では、位置情報のコード化に必要なパターンの枚数が多く、高速なキャプチャに不向きである問題があった。
【0013】
非特許文献2〜非特許文献4に記載された技術では、空間的な広がりのあるパターンにコード化するため解像度が落ちてしまう問題があった。また、パターンが各画素の周囲で局所的かつ一意的にコード化される必要性から、これを実現するためのパターンは比較的複雑なものとなり、抽出のための画像処理も複雑となる。このため、物体の色や形状の影響によりコード化された情報の抽出に失敗することが起こりやすく、結果不安定になりやすい問題があった。
【0014】
非特許文献5に記載された発明では、複数枚のパターンを照射する間、シーンが事実上静止していなければならないという制約がある。また、動きの遅い剛体物に限り、位置あわせによる解決手法を提案してはいるものの、人間の顔や体の動きなど、剛体以外の対象に動きがある場合には対応できない。
【0015】
非特許文献6および非特許文献7に記載された技術では、カメラペアのステレオにおいて、プロジェクタは時間的に変化するテクスチャを与えることのみに使用される。この技術では物体の運動の連続性が仮定されており、時空間画像上で不連続性が生じるような速い動きがある場合には正しく復元されないという問題がある。
【0016】
また、非特許文献5〜非特許文献7に共通する課題として、早い動きに対応するために非常に高速同期して動作するシステムを構築しなければならない点や、処理が比較的重いという問題もある。
【0017】
特許文献8に開示された技術では、密な縞模様パターン(直線状パターンの繰り返し)の抽出による局所的な形状構成を基本とし、これに補助的な疎な直線状パターン抽出によるグローバルな位置推定を組み合わせることで、ユークリッドな形状の復元を実現している。このため、この疎な直線状パターンの検出に失敗するか、縞模様の抽出に失敗すると再構成が出来ないという問題があった。
【0018】
本発明は、上記した種々の課題を解決するために成されたものであり、本発明の主たる目的は、高密度な復元が可能であり、画像処理に対しても頑健な画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では、ラインレーザによって照射される点の共面性条件を解くことで3次元形状の復元が実現される手法を応用し、プロジェクタ(投影手段)から照射される2種類の直線状パターンについて、これらパターンどうしの交点に共面性条件が成立することを利用して、3次元形状の復元を行う。この復元の方法は、例えば、Kawasaki Hiroshi、Furukawa Ryo “Shape Reconstruction from Cast Shadows using Coplanarities and Metric Constraints”,ACCV, Part II, LNCS 4843,pp.847−857, 2007 に記載されている。
【0020】
具体的には、本発明は、3次元空間中で、平面状のパターン光を投影する光源を用いて、共通の制約条件である第1制約条件が存在するように配置された1つ以上の第1パターンと、前記第1パターンと交わり、共通の制約条件である第2制約条件が存在するように配置された1つ以上の第2パターンとを物体に対して投影する投影手段と、前記パターン光を前記物体に投影することにより前記物体から反射された光を撮影して2次元画像を得る撮影手段と、前記2次元画像から前記物体の3次元形状を復元する画像処理手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記2次元画像において、前記第1パターンを反射光として観測した観測第1パターンと、前記第2パターンを反射光として観測した観測第2パターンとの交点を獲得する第1計算部と、前記観測第1パターンを含む空間中の第1暫定平面と、前記観測第2パターンを含む空間中の第2暫定平面が、前記交点を共有することから得られる制約条件と、前記第1制約条件と、前記第2制約条件と、前記投影手段と前記撮影手段との相対位置関係である第1相対位置関係とを用いて、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面について自由度を含む第1解を算出する第2計算部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、縦と横のみが識別可能な多数の直線で構成された単純なグリッドパターンを用いて、その交点を特徴点とすることで3次元復元を実現する。このような特徴点を用いれば、縦と横の接続関係という特徴点どうしの情報が得られるため、共面性からの形状復元を応用して、縦線と横線の交点として矛盾のない形状を、パラメータの解集合として作成することができる。また、この解の自由度は、グリッドパターンが既知である場合1であるため、1次元探索により高速に決定することが出来る。従って、動きのあるシーンや物体を密に3次元計測することができる。
【0022】
更に本発明では、一意な対応付けに十分な数の接続情報さえ得られれば形状がグローバルに滑らかである必要が無く、オクルージョンによる急激なデプスの変化等があっても復元できるという利点がある。また、多数の直線で構成された単純なグリッドパターンにおいて、縦と横のみが識別可能であれば良いため、画像処理の問題も少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<第1の実施の形態:画像処理装置>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る画像処理装置10の構成を説明する。図1(A)は画像処理装置10の構成の一例を示す図であり、図1(B)は画像処理手段16の構成を示す図である。
【0024】
図1(A)を参照して、画像処理装置10は、投影手段としてのプロジェクタ12と、撮影手段としてのカメラ14と、例えばパーソナルコンピュータから構成される画像処理手段16とから主要に構成されている。
【0025】
プロジェクタ12は、被写体である物体18に対して所定のパターンを含む光を投影する機能を有し、例えば、ビデオプロジェクタ等の装置が考えられる。その他、ラインレーザ投光機を並べたり組み合わせたりしても良い。あるいはレーザ光源をプリズムやビームスプリッターなどで複数方向に分けて照射しても良い。プロジェクタ12は、被写体に対して、縦方向および横方向の2種類のパターンを投影している。ここで、縦方向のパターン(第1パターン)と横方向のパターン(第2パターン)とは、互いに直交するパターンであり、色などにより識別される。本発明では、2パターンの識別が可能であればよいので、これらのパターンの色としては、RGB(赤、緑、青)のうち2色が選択されて採用されても良い。更に、横方向のパターンと縦方向のパターンとでは、波長が異なる光が採用されれば良く、例えば可視光以外の光(例えば赤外線)が採用されても良い。また、このように特定の波長の光源を用いる場合には、狭帯域バンドパスフィルタ等を用いて撮影すれば容易に高精度な識別が実現できる。更にまた、縦方向のパターンと横方向のパターンとは、互いに交わる交点が生成されれば良く、必ずしも直交する必要はない。また、色以外にも、パターンの太さや、パターンの角度によって、2種類のパターンを識別しても良い。また、投写するパターンは、縦方向の線と横方向の線が抽出できるものであればよいので、格子状に配置された線を投写し、その線をそのまま画像から抽出しても良いし、あるいは、線よりも太さのある帯を投写し、その境界部を抽出しても良い。帯の境界部を抽出する方法には、観測された帯の2倍の数のパターンを抽出できるという利点がある。あるいは、チェッカーボード模様(市松模様)を投写し、その境界部を抽出してもよい。
【0026】
カメラ14は、プロジェクタ12で光を投影することで物体から反射された光を撮影する手段であり、例えばCCDイメージセンサ等の固体撮像装置が採用される。カメラ14により2次元画像が撮影され、この2次元画像に基づくデータが画像処理手段16により画像処理されることで、物体18の3次元形状が復元される。ここで、カメラ14とプロジェクタ12との相対的な位置関係は、事前に校正するか、あるいはオンラインで校正するか、または自校正することなどにより、既知であると仮定する。
【0027】
図1(B)を参照して、2次元画像から3次元形状を復元する画像処理手段16の構成を説明する。
【0028】
本実施の形態の画像処理手段16は、画像処理部30と、制御部20と、入力部22と、記憶部24と、表示部26と、操作部28とを主要に具備する。画像処理手段16の全体的な概略的機能は、入力された2次元画像を画像処理して、3次元形状を復元して出力することにある。また、具現化された画像処理手段16としては、所定の機能を実行するアプリケーション(プログラム)がインストールされたパーソナルコンピュータ等のコンピュータでも良いし、所定の機能を実行するように構成された画像処理専用の機器として構成されても良い。更にまた、画像処理手段16を構成する各部位は、バスを経由して相互に電気的に接続される。
【0029】
画像処理部30は、主たる画像処理の機能を果たす部位であり、交点獲得部32と、第1解算出部34と、第2解算出部36と、3次元形状復元部38とを含む。
【0030】
交点獲得部32(第1計算部)は、カメラ14により撮影された2次元画像から、縦パターンを観測したパターンと、横パターンを検出したパターンとの交点を獲得する部位である。
【0031】
第1解算出部34(第2計算部)は、前記両パターンが交点を共有する制約条件や、パターンを含む平面が所定の線を通ることによる制約条件や、カメラ14とプロジェクタ12との位置関係から得られる条件等を基に、自由度を含む第1解を算出する部位である。
【0032】
第2解算出部36(第3計算部)は、第1算出部により算出された第1解の自由度を解消して第2解を算出する部位である。
【0033】
3次元形状復元部38は、算出された第2解を基に、撮影された物体の3次元形状を復元する部位である。
【0034】
上記した画像処理部を構成する各部位の詳細は、画像処理方法として以下に詳述する。
【0035】
制御部20は、画像処理手段16全体(画像処理部30、入力部22、記憶部24、表示部26)の動作を制御している部位である。
【0036】
入力部22は、外部から画像処理手段16に情報が入力される部位である。本実施の形態では、2次元画像である動画像または静止画像が入力される。
【0037】
記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)に代表される固定式の記憶ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)等の着脱式記憶ディスク、固定式あるいは着脱式の半導体メモリ等である。本実施の形態では、記憶部24には、処理前の2次元画像、当該2次元画像から復元された3次元形状が記憶される。
【0038】
更に、記憶部24には、下記する画像処理方法を実行するためのプログラムが格納される。このプログラムは、使用者が操作部28を操作することにより呼び出されて、上記した各部位の機能を実行させる。具体的には、入力された2次元画像のデータから、3次元形状のデータを復元するように、プログラムは各部位を動作させる。
【0039】
表示部26は、例えば液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)、ビデオプロジェクタであり、入力された2次元画像や、この2次元画像を基に復元された3次元形状が表示される。
【0040】
操作部28は、例えば、キーボードやマウスであり、使用者がこの操作部28を操作することにより、画像処理手段16は2次元画像から3次元形状を復元する。
【0041】
<第2の実施の形態:画像処理方法>
本発明の画像処理方法を説明する前に、プロジェクタにより投影されるパターンに関する平面を定義する。
【0042】
図3を参照して、プロジェクタ12によって投影された直線状パターンは、空間中に平面を定義する。つまり、プロジェクタ12によって投影された直線状パターンは、空間中の平面を通過する。縦パターンと、横パターンで表される平面を、それぞれvertical pattern plane(VPP)、horizontal pattern plane(HPP)と表記する。プロジェクタ12とカメラ14の内部パラメータは既知であり、プロジェクタ12とカメラ14との相対位置も外部キャリブレーション等の手法によって既知であると仮定する。つまり、空間中に存在するVPPとHPPは、全てカメラ座標系での平面の位置とパラメータが既知である(以下の記述では、平面、直線等のパラメータ、点の3次元位置は、全てカメラ座標系で表すものとする)。これら、位置パラメータが既知であるようなVPP及びHPPを、CVPP(calibrated VPP)及びCHPPと呼ぶ。また、全てのCVPPは、プロジェクタの光学中心を含む単一の直線を共有する。また、CHPPも、同様に、単一の直線を共有する。これらの直線を、それぞれ、L、Lと表記する。これらの直線の交点は、プロジェクタの光学中心Oと一致する。Oと、L、Lの方向ベクトルは、プロジェクタ12とカメラ14との相対位置が既知であれば計算により求めることが出来る。対象シーン(物体)の表面に投影された縦パターンと、横パターンを、カメラ14で撮影した2次元曲線を、それぞれ「検出された縦パターン」「検出された横パターン」と呼ぶ。ここで、検出された縦パターンと検出された横パターンの交点を、カメラ14で撮影された画像から特徴点として抽出する。これらの特徴点を、「キャプチャされた交点」と呼ぶ。本発明では、画像処理によって、これらの交点同士の接続関係を抽出する。ここでは、交点同士の関係として、同一の検出された縦パターンや、検出された横パターン上にある、という関係を利用する。同一の検出された縦パターン上にある交点は、「同一のVPP上にある」と言うことが出来る。ただし、それぞれの交点が存在するVPP、HPPが、具体的にどのCVPPあるいはCHPPであるかは、最初は分からない。このように、検出された縦パターンが表すVPPは、観測時点ではCVPPに対応づけられていないので、これをUVPP(unknown VPP)と呼ぶ(図4参照)。同様に、検出された横パターンが表すHPPを、UHPPと呼ぶ。最終的に、全てのUVPPおよびUHPPを、CVPP、CHPPに対応づける(これをUVPP、UHPPを同定するという)ことが本発明の目的である。UVPPは検出された縦パターンと1対1で対応しており、CVPPは既知の3次元平面であるから、UVPPとCVPPの対応づけが得られれば、光切断法によって、縦パターン上の点の3次元位置を求めることができる。単一のCVPPに照射された点が、オクルージョンなどによって画像面上で不連続になると、複数の縦パターンとして観測される。この場合、複数のUVPPが、一つのCVPPに対応することになる。UHPPとCHPPについても同様である。
【0043】
以下に、画像処理方法の詳細を説明する。図2を参照して、本発明の画像処理方法は、物体の3次元形状を復元するために必要とされるデータを獲得するステップS10と、UVPPあるいはUHPPについて成立する共面性の条件等から解を算出するステップS11と、UVPP及びUHPPの集合と、CVPP及びUVPPの集合とのマッチングによって解の自由度を解消するステップS12と、求められた解から物体の3次元形状を復元するステップS13とから構成されている。本発明では、ステップS11で求められる解の不定性の自由度が1であることから、ステップS12にて、一つのパラメータを決定することで、全てのUVPP、UHPPの位置が決まる。この処理は、例えば平面どうしのマッチング誤差を定義し、その和が最小となるパラメータを1次元探索することで行なわれる。
【0044】
各ステップの詳細を以下にて説明する。
【0045】
ステップS10
本ステップでは、図1に示される画像処理装置10を用いて物体18の3次元形状復元に必要とされるデータを獲得する。具体的には、直交する複数のパターンを含むパターン光を、物体18に対して照射する。ここでは、例えば図7(A)に示すような、互いに直交する縦パターンおよび横パターンから成るパターン光がプロジェクタ12から投影されている。そして、物体により反射された光をカメラ14により撮影する。カメラ14により撮影された2次元画像に基づく情報は、画像処理手段16に入力される。そして、画像処理手段16に入力された2次元画像を画像処理することにより、パターン同士の交点の画像上での位置を抽出する。図7(B)にパターンや交点を実際に検出した例を示す。
【0046】
ステップS11
本ステップでは、キャプチャされた交点の集合から、UVPP、UHPPに関する拘束式を得て、それらの平面に関する解(第1解)を1自由度を除いて得る方法を述べる。まず、関係する平面(CVPP、CHPP、UVPP、UHPP)を表すための記号を定義する。投影されるパターンから得られたCVPPの集合をV、V、・・・、Vと表し、CHPPの集合を、H、H、・・・、Hと表す。また、画像から得られたUVPP、UHPPの集合を、それぞれ、v、v、・・・、v、及び、h、h、・・・、hと表記する。
【0047】
とhの交点がキャプチャされ、画像上での位置が正規化カメラの座標表記でuk、l=[sk、l、tk、lであるとする。vとhの2個の平面は、次の式で表される。
【0048】
【数1】

ここで3次元ベクトルv及びhは平面のパラメータを表し、xは平面上の任意の点を表す。キャプチャされた交点uk、lの3次元位置をxk、lとすると、xk、lはuk、lを利用して、
【0049】
【数2】

と表される。方程式(1)にx=xk、lを代入して、式(1)と(2)からxk、lとγを消去すると、
【0050】
【数3】

が得られる。この式は、v、hを変数とする一次方程式であり、この方程式を全てのキャプチャされた交点について並べると、v、・・・、v、h、・・・、hを変数とする連立一次方程式となる。これを行列形式で表現したとき、Aq=0と表されるとする。ただし、q=[v、・・・、v、h、・・・、hである。
【0051】
方程式(3)には差(v−h)のみが現れるので、連立方程式Aq=0の解q=[vT、・・・、vT、hT、・・・、hTTについて、そのスカラー倍、sq=[svT、・・・、svT、shT、・・・、shTTもまた解である。さらに、任意の3次元定数ベクトルcを並べたベクトルを加算したものq+[cT、cT、・・・、cTT=[vT+cT、・・・、vT+cT、hT+cT、・・・、hT+cTTもやはり解となる。これより、連立方程式Aq=0の一般解は、
【0052】
【数4】

と表される。ただし、q’=[v’T、・・・、v’T、h’T、・・・、h’TTはAq=0の特殊解である。
【0053】
本発明では、全てのUVPPは直線Lを含み、全てのUHPPは直線Lを含む、という条件が存在する。さらに、LとLは点Oで交わる。これらの条件から、式(4)の任意変数sとcには拘束が生じ、解の不定性の自由度が減る。以下に、上記の条件を考慮した一般解の求め方を述べる。2個の直線LとLを含む平面を、projector focal plane(PFP)と呼び、その平面パラメータをpと表記する。直線LとLの方向ベクトルを、それぞれl及びlと表記する。また、プロジェクタの光学中心Oの3次元位置をoと表記する。全てのUVPPは直線Lを含み、全てのUHPPは直線Lを含む。また、全てのUVPP及びUHPPは点Oを含む。これより、
【0054】
【数5】

が得られる。また、前述の特殊解q0も上記の条件を満たすとする。つまり、
【0055】
【数6】

である。また、PFPは、直線L、Lと点Oを含むので、
【0056】
【数7】

が成立する。式(5)、(6)、(7)より、
【0057】
【数8】

が得られる。これらの式から、v−pとv’−pが、両方ともl及びoに直交することがわかる。lとoは一般には平行でないので、これらの両方に直交するベクトルは、スケーリングを除いて一意に決まる。これより、
【0058】
【数9】

が得られる。同様に、
【0059】
【数10】

である。式(9)、(10)より、方程式(3)及び(5)の一般解は、
【0060】
【数11】

の形で表される。既に述べたように、[v’T、・・・、v’T、h’T、・・・、h’TTは特殊解の一つであり、pは平面PFPのパラメータベクトルである。式(4)の一般解の不定性がL及びLの条件により減少した結果、式(11)における不定性は、スカラー値sによる1自由度のみとなったことが分かる。
【0061】
式(11)は、縦パターンと横パターンとの交点の像から、それらに対応する平面、つまりUVPP及びUHPP全体の位置の解が、1自由度を除いて求められることを表す。実際には、このような解が求められるためには条件がある。これを以下に述べる。あるUVPPとUHPPの交線上の点が画像上で観測されているとき、これらは連結している、と定義する。また、この意味で平面aとbが連結しており、かつ、平面bとcが連結しているとき、平面aとcは連結していると定義する。あるUVPP及びUHPPの集合があり、その任意の要素が他の全ての要素と連結しているとき、これを連結集合と呼ぶことにする。図5に連結集合の例を示す。この時、あるUVPP及びUHPPの集合が連結集合ならば、その集合全体の位置の解は式(11)の形で求められる。
【0062】
これは、直観的には、以下のように証明できる。ある一つのUVPPvに着目すると、vは直線Lを含むことから、その位置の不定性は1自由度である。ここで、vの不定な1個のパラメータを仮に定め、vと交点のあるUHPPhを考える。vの位置を定めると、交点の位置が定まり、かつhは直線Lを含むため、hの位置も定まる。このように、ある平面を定めると、その平面と交点を持つ平面が定められるため、これを繰り返すと連結集合全体の解が定まる。この時、不定性は、最初の平面の1自由度のみであり、式(11)はこの解の形式を表す。逆に、UVPP及びUHPPの集合が連結集合でないならば、連結集合でない平面同士には拘束条件がないので、全体としての解は2自由度以上になる。よって、平面の集合全体が解は式(11)の形で求められる必要十分条件は、その集合が連結集合であることである。
【0063】
本発明では、UVPP及びUHPPの集合が連結集合であると仮定する。もし、対象シーンから複数の連結集合が得られる場合には、それぞれの連結集合ごとに提案手法を適用すればよいので、このことは本手法の一般性を損なわない。連結集合ごとに分けるには、画像処理でラベリング処理により容易に行うことができる他、検出された縦パターンと検出された横パターンとキャプチャされた交点からなるグラフにおいて接続関係を調べることでも効率よく実現できる。
【0064】
さらに、想定する応用例によっては、本ステップS11で得られる、1自由度を残した解でも役に立つ場合もある。例えば、プロジェクタ光源の焦点距離が長く、光源が平行光源に近い場合、1自由度を残した解について、残りのパラメータを適当に定めても形状の歪みは比較的少ない。このような時、形状に陰影を付けて表示するなどの限定的な利用に関しては、ステップS10までの処理の出力が、結果として十分利用できる場合がある。特に、2次元ディスプレイ上に表示するだけであれば違和感なく表示可能であり、映画やゲーム、デジタルアーカイブなどでそのまま利用できる。よって、場合によっては、ステップS11の出力を結果としてもよい。
【0065】
ステップS12
本工程では、この先ステップで得られた解と、CVPP及びCHPPとのマッチングを行なうことで、UVPPとCVPP、あるいはUHPPとCHPPとの対応関係を求める。つまり、この先ステップで得られた解と、CVPP及びCHPPとが一致するような解のパラメータを求める。前ステップの解は、UVPP、UHPPに関して、キャプチャされた交点のみから得られ、CVPP及びCHPPの情報は利用されていない。解の自由度が1であることから、マッチングを1次元探索によって効率的に行なうことで、自由度が解消された解(第2解)を得る。
【0066】
まず、UVPPとCVPPの対応を表すための表記方法を定義する。k番目のUVPPvが、i番目のCVPPVに対応することを、v→Vと表記する。これは、vがVに同定されたことを意味する。
【0067】
具体的なマッチング処理について述べる。最初に、適当なUVPPを選ぶ。例えば、v10が選ばれたとする。次に、v10に対して、CVPPVを対応させ、この対応から、全てのUVPP、UHPPの位置、つまりv、・・・、v、h、・・・、hの位置を求める。この時、得られたUVPP、UHPP(v、・・・、v、h、・・・、h)の位置が、全体としてCVPP、CHPP(V、・・・、V、H、・・・、h)に一致しているかどうかを評価する。
【0068】
同様に、v10に対応させるCVPPを、V、V・・・と変化させ、それぞれの対応について得られたUVPP、UHPPの位置が、全体としてCVPP、CHPPに一致しているかどうかを評価する。
【0069】
UVPP、UHPPの位置が、全体として最もCVPP、CHPPに一致していると判断される時のUVPPとCVPPの対応関係、及びUHPPとCHPPの対応関係を、求める対応関係として出力する。
【0070】
一致しているかどうかを判断する手法について以下に述べる。式(11)はパラメータsによる不定性を持つが、特定のUVPPとCVPPの対応を仮定すると、以下に述べる計算によりこのパラメータが決定される。仮に、k’番目のUVPPが、i’番目のCVPPに対応する(つまりvk’→Vi’)とすると、
【0071】
【数12】

が成り立つ。ただし、Vi’はCVPPVi’のパラメータベクトルである。この式から、sは、
【0072】
【数13】

と計算される。計算されたsによって、vk’→Vi’の対応関係を仮定した場合の全てのUVPP及びUHPPを計算することが出来る。
【0073】
式(13)のsをs(k’、i’)と表記する。そして、vk’→Vi’の対応関係を仮定して計算されたv及びhを、v(k’、i’)、h(k’、i’)と表記する。すると、これらの平面は、
【0074】
【数14】

で表される。
【0075】
次のステップとして、計算されたUVPP(又はUHPP)と、CVPP(又はCHPP)を比較する。これには、それぞれのUVPPについて、そのUVPPと、そのUVPPに最も近いCHPPとの差を誤差として利用する。これにより、対応関係vk’→Vi’に関する一致度を、全てのUVPPについての誤差の自乗和として定義できる(誤差の自乗和が小さいほど一致度は高い)。誤差関数が最小となるような対応関係を探索することで、UVPP(又はUHPP)とCVPP(又はCHPP)との最適な対応を求めることが出来る。
【0076】
上記の比較は、UVPPの集合v(k’、i’)、(k=1、・・・、m)とCVPPの集合V、(i=1、・・・、M)の間、及び、UHPPの集合h(k’、i’)、(l=1、・・・、n)とCHPPの集合H、(j=1、・・・、N)の間で行なわれる。本発明では、これらの平面の比較は、平面同士の角度差によって行なわれる。すなわち、誤差関数は具体的には以下のように定義される。
【0077】
【数15】

ただし、Dは2個の平面の成す角度を表し、以下のように定義される。
【0078】
【数16】

これにより最終的に、
【0079】
【数17】

による探索の結果、得られた平面の集合v(k’、i’min)、(k=1、2、・・・、m)とh(k’、i’min)、(l=1、2、・・・、n)が解となる。
【0080】
計算されたUVPPおよびUHPPと、CVPPおよびCHPPを比較する方法としては、別な方法も考えられる。例えば、UVPPおよびUHPPの間の交線の集合(UVPPおよびUHPPが複数あるので、交線も複数存在する)と、CVPPとCHPPの間の交線の集合との一致度を調べてもよい。前者の集合をIUPP(Intersections between Uncalibrated Projector Planes)、後者の集合をICPP(Intersections between Calibrated Projector Planes)と呼ぶことにする。一致度を表す基準として、IUPPの各交線hについて、ICPPの要素を探索し、d(g,h)が最小となるようなg∈ICPPを選び出す。ただし、d(g,h)は、直線gとhの方向ベクトルの角度差を表す。全てのhについて、同様の処理を行ない、角度差d(g,h)の自乗和を計算したものを誤差関数とする。このような誤差関数が最小となるようなパラメータを、ステップS12と同様に求めればよい。
【0081】
さらに、観測されるパターンを、既知のパターンと比較する方法があれば、それを上記の比較に利用しても良い。例えば、帯状のパターンの境界線を、検出された縦パターンとしている場合、あるUVPPによる縦パターンが、帯の左側の境界であるか、右側の境界であるかは、対応するCVPPと一致している必要がある。つまり、境界の右側のUVPPは、境界の右側のCVPPに対応させる必要があるので、これを一致度を評価する誤差関数に反映させたり、一致するパラメータの探索に利用してもよい。また、交点についても、特定の交点の集合を他の交点と見分ける方法があれば、それを一致度の評価に反映させても良い。例えば、幾つかの交点に、丸印などのマーカーを付けたパターンを利用し、丸印の一致を、UVPPおよびUHPPと、CVPPおよびCHPPの一致度の評価に利用することができる。
【0082】
ステップS13
本ステップでは、以上の処理により全てのUVPPが同定されたため、光切断法により形状の復元を行う。具体的には、図6のように、平面パラメータと、検出されたエッジとカメラ14の中心とを結ぶ視線との交点として物体18の3次元座標が計算される。
【0083】
以上のステップを経ることにより、カメラにより撮影された物体の3次元形状が復元される。
【0084】
<第3の実施の形態:カメラとプロジェクタの位置関係>
カメラとプロジェクタの位置関係は、事前に精密に計測しておくと精度の高い計測が可能となる。その際、校正儀を用いてキャリブレーションを行い、そのパラメータを用いることが出来る。一方で、事前の校正は負担の多い作業のため、計測の時に、静止物にパターンを複数回投影し自校正で求めておくと利便性が高い。この方法は、例えば、Ryo Furukawa, Hiroshi Kawasaki, "Dense 3D Reconstruction with an Uncalibrated Stereo System using Coded Structured Light," IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR'05) Workshop on Projector−Camera Systems, p. 107, 2005. に記載されている。
【0085】
<第4の実施の形態:投影されるパターンの配置>
次に、プロジェクタ12により投影されるパターンに関して説明する。
【0086】
投影パターンであるCVPP、CHPPの配置は、式(17)の探索の安定性に影響する。仮に、平面の真の対応が、vT→V、・・・、vT→V、h→H、・・・、h→Hであるとする。このとき、解に誤差が無いとすると、式(11)の真のsについて、V=v、・・・、V=v、H=h、・・・、H=hである。ここで、式(11)の真の値とは違うある値s’を代入して、真の位置とは別のUVPP及びUHPP(v、・・・、v、h、・・・、h)を定めたとき、任意のk、iについてV=v、(k≠q)、H=h、(i≠r)となるようなq、rが存在すると、このs’は真の値sと見分けが付かず、唯一解を求めることが出来なくなる。
【0087】
このような状況は一般には起こらないものの、CVPP、CHPPが規則的に配置されている場合などには、対応関係が1つずれても評価関数に大きな差が現れないため、解が不安定になることがある。これを防ぐ方法としては、CVPP、CHPPをプロジェクタの画像面上で不規則な間隔で配置することが挙げられる。この場合、V、Hの集合の配置が不規則なものになるため、上式の条件が成立しにくくなる。実際には縦および横の両方が不規則である必要はなく、例えば、CHPPは不規則な間隔で配置し、CVPPはCHPPよりも高密度に規則的(等間隔)に配置することが考えられる。このようなパターンにすると、CHPPの不規則性によって探索の安定性が確保され、CVPPの密度によって再構成される形状の密度が高くなる利点がある。このようなパターンの例を図7に示す。また、CHPPの配置が不規則でなく、ある規則に基づいたものであっても、間隔が均一でなければ、探索の安定性の向上に効果があるので、そのようにしてもよい。
【0088】
本発明は、一般的なのワンショットスキャンのように、個々にパターンを同定する訳ではないため、deBruijn系列のようにコード化可能なパターンである必要性が無く、しかも1色だけで良い。このように単色で良いため、対象物体表面のテクスチャの影響を受けにくくなり、簡単な画像処理で、安定した検出が可能となる。また空間的にエンコードされる訳ではないため1ピクセル幅のパターンで良く、非常に密な形状復元が可能となる。
【0089】
更に、本発明は、単色パターンを縦か横か識別するだけでよいため、テクスチャ等に関してはロバストになるものの、形状に関する問題は残る。例えば、円筒のように、正面と側面で視点からの法線方向が大きく異なる形状の場合、同じ周波数のパターンを投影したとしても、撮影画像上では側面付近のパターンが圧縮され潰れてしまうことで計測出来なくなることが起こりうる。そこで、本発明では周波数の異なるパターンを追加することで解決する。今回は、市販のプロジェクタおよびカメラを前提としているため、RGBの3色のみによる識別を考え、1色を疎で不規則な横パターン、他の2色を疎・密の規則的な縦パターンとすることができる。実際に作成したパターンを図8(A)に示す。このパターンを利用して縦横パターンを検出した結果を図8(B)および図8(C)に示す。疎なグリッドと密なグリッドがそれぞれ識別されていることが分かる。この様なパターンの配置を以下の説明では、coarse−to−fineと呼ぶ。
【0090】
coarse−to−fineに用いる複数のパターンは、異なるパターンどうしはそれぞれ平行で疎密だけ異なるパターンでも良いし、全く独立したパターンを用いても良い。
【0091】
また、さらにcoarse−to−fineを効率化するためにさらに疎密の異なるパターンを増やすことも考えられる。ただし、その場合であっても、提案手法はあくまでも空間周波数を上げる目的であるため、カメラの解像度が1024の場合、最悪のケース(最も多くパターン数を要するケース)を想定しても、1024=10ビットで足りることから、10パターンだけ識別できれば良く、過去の空間に情報をコード化する方式とは根本的に異なる。10パターン程度であれば、狭帯域バンドパスフィルタなどを用いれば容易に実現できる。
【0092】
復元に際しては、図8(B)と図8(C)、それぞれで独立して復元を行い、それらをマージすれば良い。マージの手法としては、実装が容易な単純な集合和をとる手法が考えられる。その他にも、疎密で共有しているラインの整合性を統計的に取れば、なお高い精度での復元が実現できる。
【0093】
また、二つのパターンについて独立に復元する方法の他に、横パターンと、疎な縦パターン、密な縦パターンを全て利用して復元を行なう方法もある。図8(A)の例のように疎な縦パターンと密な縦パターンが平行な場合には、疎な縦パターンと密な縦パターンをあわせて、すべて縦パターンの集合として扱えばよい。
【0094】
また、解の精度を高めるために、基本的な格子状のパターンに、さらに別の直線状のパターンを追加しても良い、追加した直線については、上記の方法と同様に、数式1のように平面パラメータで表し、全てのパターンの交点について数式3と同様に線形方程式を作り、また、それぞれのパターンを表す平面は、パターンの方向によって決まる共通な直線を含むので、数式9、10と同様に線形方程式を作ることで、連立方程式を作ることができる。これを解くことで、3個以上の方向の直線を持つパターンについて、復元を行なうことができる。この方法を用いると、図8(A)の例と違って、疎な縦パターンと密な縦パターンが平行でない場合でも、まとめて一つの方程式として解くことができる。
【0095】
<第5の実施の形態:平行な平面を投影する投影手段の利用>
第2の実施の形態において、縦パターンおよび横パターンに対応する平面の集合は、それぞれ同一の直線を通る平面の集合であるとしたが、かわりに平行な平面の集合としてもよい。この場合、平面が同一の直線を通る、という条件を、平面が「同一の無限遠直線を通る」という条件に置き換えればよい。この時、第2の実施の形態における直線Lおよび直線Lは、同一の無限遠点Oを通ると考えて良い。このように考えると、式5の方程式Ok=−1は、Ok=0という式に、置き換えられる。同様に、式5、6、7の方程式で右辺が−1の式を、全て右辺を0に置き換えた方程式にすれば、平行な平面の集合が満たす制約式になる。これを制約式として解くことで、第2の実施の形態と同様に1自由度の解を得ることができる。
【0096】
実際のシステムとしては、ラインレーザ光源を平行に並べることで実現できる。このような配置の場合、光源から遠くに離れても同じ間隔のパターン光を得られるため、対象物体から離れて光源を設置することができ、3次元計測における利便性が高まる。
【0097】
<第6の実施の形態:パターンの検出アルゴリズム>
赤と青でそれぞれ縦横の投影パターンとした場合、撮影した画像を赤・青のプレーンで分離した画像からラインを検出し、交点を検出する。ラインの検出方法としては、画像全体に対して単純な閾値処理を行うことも考えられるが、光源からの距離の違いや物体の法線方向の違いにより、明るさが変化してしまうため、画像全体を通して精度の高いライン検出が困難となることが起こる。そこで、Cannyフィルタのようなエッジフィルタを用いると、安定した処理が実現できる。しかしエッジフィルタを用いると、テクスチャにエッジがある場合や、物体境界のエッジが撮影されていると、それらが検出され誤検出の原因となることもある。これらの回避方法としては、画像全体を細かいサブブロックに分割し、そのサブブロック内で個別の閾値を算出し、閾値処理によってラインを検出する方式が考えられる。
【0098】
また、カメラとプロジェクタの向きは平行なままで、斜め45度の方向にずらして配置すれば、縦と横に直交した投影パターンが、カメラ座標系においても縦横平行に直交したままのため、撮影した画像上で縦や横方向にスキャンした場合、同一パターンを2回以上通ることが無くなる。このような配置でスキャンライン上でピーク(複数)を検出するアルゴリズムとすれば、上記の単純な閾値による問題や、テクスチャや物体境界エッジの問題を解決することが出来る。
【0099】
<第7の実施の形態:方程式の削減>
上記した第2の実施の形態では、mをUVPPの数、nをUHPPの数とした場合、方程式に含まれる変数の数は、3(m+n)であった。この変数の数を削減したら、画像処理に必要とされる時間を大幅に短くすることができる。以下のように方程式の変数を削減することにより、自由度を含む解を算出するステップ(図2に示すステップS11)に必要とされる時間を1/10000程度にして、高速に3次元形状が復元される。
【0100】
以下では、全てが共通な平面を通る性質を利用して、平面のパラメータを1つの変数にて表現することで、変数の数を1/3に削減して、3次元形状を復元するのに必要とされる処理時間を短縮している。
【0101】
具体的には、v、hは、どちらもo(PHPであり、pで表される)を通り、それぞれl、lに法線が垂直な平面である。これは、
【0102】
【数18】

として、
【0103】
【数19】

と表せる。ここで、式19では、vおよびhが1つのパラーメータ(η、ρ)により表現されている。よって、式(3)から、
【0104】
【数20】

である。i番目の交点が、vとhの交点であるとき、α(i)≡k、β(i)≡lとする。また、すると、i番目の交点の式は、
【0105】
【数21】

と表される。
【0106】
この条件は、mをUVPPの数、nをUHPPの数、Kを交点数として、
【0107】
【数22】

【0108】
【数23】

【0109】
【数24】

という定義を用いて、
【0110】
【数25】

という斉次線形方程式になる。この方程式は、式(3)の条件を表したものであり、式(19)によって、UVPPがLを含み、UHPPがLを含むという条件が表されることから、この方程式を解くことで前節の一般解を得ることができる。この方程式の変数ベクトルqはm+n次元ベクトルであるから、これによって、3(m+n)個の変数を、m+n個に削減できたことになる。
【0111】
次に、上記した方程式を、例えば横平面(UHPP)のみのパラメータを変数とする方程式に変換して、変数の数を横平面の数まで削減する方法を説明する。
【0112】
先ず、誤差を考慮して、方程式(25)の左辺のノルムを最小化することでこの方程式を解く。左辺のノルムの自乗をEp≡‖Pq‖と書くと、
【0113】
【数26】

である。これを、ηについて偏微分する。α-1(j)≡{k|α(k)=j}とすると、
【0114】
【数27】

Epを最小化するために∂Ep/∂ρと置くと、
【0115】
【数28】

より
【0116】
【数29】

が得られる。よって、ρはηの線形結合で表される。これを行列で表すと、
【0117】
【数30】

である。ただし、
【0118】
【数31】

【0119】
【数32】

【0120】
【数33】

【0121】
【数34】

【0122】
【数35】

の定義を利用した。Tの定義において、列番号k、k、・・・は、α-(j)の要素、つまり、j番目のUVPPと交点を持つ全てのUHPPの番号を表す。この時、
【0123】
【数36】

より
【0124】
【数37】

と定義すると、‖Pq‖の最小化は
【0125】
【数38】

の最小化となる。この式の最小化は、誤差のある線形方程式
【0126】
【数39】

を誤差の自乗和を最小化する意味で解くことに相当し、これは、RPRの最小固有値に対応する固有ベクトルを求めることに帰着される。RPRは、n×n行列である。縦パターンを密に、横パターンを疎にした場合、n(UHPPの数)はm(UVPPの数)よりずっと小さい。この場合、上記の問題は、元の‖Pq‖をqについて最小化する問題より、はるかに効率的に解くことができる。
【0127】
<第8の実施の形態:実験結果>
最初に提案手法の有効性を示すために、シミュレーションにより作成されたデータを用いて本手法の検証を行なった。シミュレーションは、複数のグリッドパターンを用いて行った。第1のパターンは均一な間隔のパターンとし、第2のパターンは、第1のパターンにおいて、水平パターンの間隔を意図的に乱数によって乱したものを利用した。第2のパターンは、上述した理由によって、対応探索の安定性が上がると考えられる。それぞれのパターンを仮定して生成されたシミュレーション画像を図9(A)、図9(B)に示す。これらの画像において、縦パターンの間隔は約5画素であった。グリッドパターンの交点を画像から抽出し、UHPP及びUVPPからCVPP及びCHPPへの対応関係を提案手法によって抽出した。それぞれのパターンにおいて、UHPPとUVPPの正しい対応関係が抽出され、再構成された形状は、真の形状に一致した。第2のパターンの画像での再構成結果と真の形状を図9(C)に示す。
【0128】
次に、入力データ(画像からキャプチャされた交点集合の位置)にノイズを加えた場合の、提案手法の安定性を調べるための実験を行なった。本手法の安定性は、投影するパターンによって変化するので、図9(A)、図9(B)に示される2種類のパターンについて実験を行なった。キャプチャされた交点の位置には、様々な大きさの分散を持った、等方的な2次元ガウシアンノイズを加え、それぞれの分散値ごとに、提案手法による3次元再構成を20回ずつ行った。i’minの探索の失敗の割合を、図10に示す。この結果から、不規則な間隔を持ったパターンを利用することで、アルゴリズムの安定性が向上したことがわかる。
【0129】
次に、図11に示す実験装置を用いて実物体の計測実験を行った。投光パターンの解像度は1024x768であり、これを720x480画素の解像度のCCDカメラで撮影し、3次元復元を行った。
【0130】
図12に、計測対象と計測結果の例を示す。実験では、複雑な形状を持った物体や、テクスチャの付いた物体などを用いて計測を行ったが、いずれも密で正確な形状を復元することができた。具体的には、図12(A)は対象物体を示し、図12(B)−図12(E)は再構成結果を示す。更に、図12(F)は対象物体を示し、図12(G)−図12(I)は再構成結果を示す。
【0131】
次に、図13を参照して、箱(大きさ:0.4mx0.3mx0.3m)と円筒(高さ:0.2m、半径:0.2m)のシーンを、上記したcoarse−to−fineによる手法で計測した。評価のために、同一のシーンをパターンコード化法によって計測し、真の形状とした。ここで、図13(A)は撮影された物体を示し、図13(B)および図13(C)入力された画像を示し、図13(D)は検出された横パターンを示し、図13(E)は検出された密な縦パターンを示し、図13(F)は検出された疎な縦パターンを示し、図13(G)は密パターンの交点を示し、図13(H)は疎なパターンの交点を示し、図13(I)は密パターンの復元を示し、図13(J)は疎なパターンの復元を示し、図13(K)は統合結果を示している。そして、図13(L)−図13(N)は、復元された形状と真の形状とを重ねて示している。
【0132】
疎密を組み合わせた縦パターンを用いることで、法線方向が大きく異なる形状を欠損無く密に計測できていることが分かる。また、復元結果には少しずれが観測されるものの、この実験におけるRMS誤差は0.52mmであり、高い精度で復元できたことが分かる。
【0133】
最後に、図14を参照して、変形する物体の3次元計測実験として、人物の顔の形状計測を行った。実験の様子を図14(A)、図14(B)に示す。また、計測結果として3つの表情の復元例を同図(C)−(E)に示す。それぞれ複雑な表情が密で正確な形状として復元できていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】(A)は本発明の画像処理装置を示す図であり、(B)は画像処理手段の構成を示す図である。
【図2】本発明の画像処理方法を示す図である。
【図3】本発明の画像処理方法を示す図であり、プロジェクタから照射されるパターンの平面に関連する平面を示す図である。
【図4】本発明の画像処理方法を示す図であり、プロジェクタから照射されるパターンの平面に関連する平面を示す図である。
【図5】本発明の画像処理方法を示す図であり、プロジェクタから照射されるパターンの平面の集合を示す図である。
【図6】本発明の画像処理方法を示す図であり、3次元形状復元の方法を示す図である。
【図7】本発明の画像処理方法を示す図であり、(A)は照射されるパターンを示し、(B)は、抽出された線状パターンを示している。
【図8】本発明の画像処理方法を示す図であり、(A)は縦パターンに疎なパターンと密なパターンの両方を採用したパターンを示し、(B)は検出された疎なパターンを示し、(C)は検出された密なパターンを示す。
【図9】本発明の画像処理方法を示す図であり、(A)は均等なパターンによる入力画像であり、(B)は乱雑な間隔のパターンによる入力画像、(C)は乱雑な間隔のパターンによる画像の処理結果である。
【図10】本発明の画像処理方法を示す図であり、雑音の大きさに対する誤り率を示すグラフである。
【図11】本発明の画像処理方法を示す図であり、スキャンを行う際の装置を撮影した画像である。
【図12】本発明の画像処理方法を示す図であり、(A)および(B)は対象物体を示す図であり、(C)(D)および(E)は再構成結果を示し、(F)は対象物体であり、(G)および(H)は再構成結果を示し、(I)はテクスチャマッピングされたモデルである。
【図13】本発明の画像処理方法を示す図であり、(A)は撮影された物体を示し、(B)および(C)入力された画像を示し、(D)は検出された横パターンを示し、(E)は検出された密な縦パターンを示し、(F)は検出された疎な縦パターンを示し、(G)は密パターンの交点を示し、(H)は疎なパターンの交点を示し、(I)は密パターンの復元を示し、(J)は疎なパターンの復元を示し、(K)は統合結果を示している。そして、(L)−(N)は、復元された形状と真の形状とを重ねて示している。
【図14】本発明の画像処理方法を示す図であり、(A)は入力シーンを示し、(B)は入力画像を示し、(C)−(E)は3つの表情の復元例を示す。
【符号の説明】
【0135】
10 画像処理装置
12 プロジェクタ
14 カメラ
16 画像処理手段
18 物体
20 制御部
22 入力部
24 記憶部
26 表示部
28 操作部
30 画像処理部
32 交点獲得部
34 第1解算出部
36 第2解算出部
38 3次元形状復元部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間中で、平面状のパターン光を投影する光源を用いて、共通の制約条件である第1制約条件が存在するように配置された1つ以上の第1パターンと、前記第1パターンと交わり、共通の制約条件である第2制約条件が存在するように配置された1つ以上の第2パターンとを物体に対して投影する投影手段と、
前記パターン光を前記物体に投影することにより前記物体から反射された光を撮影して2次元画像を得る撮影手段と、
前記2次元画像から前記物体の3次元形状を復元する画像処理手段と、を備え、
前記画像処理手段は、
前記2次元画像において、前記第1パターンを反射光として観測した観測第1パターンと、前記第2パターンを反射光として観測した観測第2パターンとの交点を獲得する第1計算部と、
前記観測第1パターンを含む空間中の第1暫定平面と、前記観測第2パターンを含む空間中の第2暫定平面が、前記交点を共有することから得られる制約条件と、前記第1制約条件と、前記第2制約条件と、前記投影手段と前記撮影手段との相対位置関係である第1相対位置関係とを用いて、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面について自由度を含む第1解を算出する第2計算部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1制約条件は、平面状の前記第1パターンが同一の第1共有直線を通る制約条件または前記第1パターン同士が互いに平行である制約条件であり、
前記第2制約条件は、平面状の前記第2パターンが同一の第2共有直線を通る制約条件または前記第2パターン同士が互いに平行である制約条件である、ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2計算部で用いられる前記第1相対位置関係は、事前にキャリブレーションして獲得されていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2計算部では、
前記交点の位置座標と前記第1暫定平面のパラメータと前記第2暫定平面のパラメータから得られる第1方程式と、前記第1制約条件と前記第1相対位置関係から得られる第2方程式と、前記第2制約条件と前記第1相対位置関係から得られる第3方程式とを連立方程式として解くことで、前記交点、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面について自由度を含む第1解を算出することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2計算部では、
前記第1暫定平面が前記第1共有直線を通るかまたは互いに平行であることを利用して、前記第1暫定平面を1つのパラメータでパラメータ表現し、
前記第2暫定平面が前記第2共有直線を通るかまたは互いに平行であることを利用して、前記第2暫定平面を1つのパラメータでパラメータ表現し、
前記交点の位置座標と前記第1暫定平面のパラメータ表現と前記第2暫定平面のパラメータ表現から得られる方程式を第1連立線形方程式として解くことで、前記交点、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面について自由度を含む第1解を算出することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2計算部では、
前記第1暫定平面が前記第1共有直線を通るかまたは互いに平行であることを利用して、前記第1暫定平面を1つのパラメータでパラメータ表現し、
前記第2暫定平面が前記第2共有直線を通るかまたは互いに平行であることを利用して、前記第2暫定平面を1つのパラメータでパラメータ表現し、
前記交点の位置座標と前記第1暫定平面のパラメータ表現と前記第2暫定平面のパラメータ表現から得られる第1連立線形方程式が成立する、あるいは前記第1連立線形方程式の誤差が最小になる時に、前記第2暫定平面のパラメータ表現のパラメータが前記第1暫定平面のパラメータ表現のパラメータの線形結合で表されることと、前記第1連立線形方程式とから得られる、前記第1暫定平面のパラメータ表現のパラメータのみを変数として持つ第2連立線形方程式を解くことで、前記交点、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面について自由度を含む第1解を算出することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、
前記第1パターンの前記投影手段との相対位置関係である第2相対位置関係および前記第1相対位置関係から得られる第1確定平面と、前記第1暫定平面との対応関係と、前記第2パターンの前記投影手段との相対位置関係である第3相対位置関係および前記第1相対位置関係から得られる第2確定平面と、前記第2暫定平面との対応関係、の両方あるいはいずれか片方を比較し対応付けることで、前記第1解の自由度を解消した解である、第2解を算出する第3計算部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、
前記第1暫定平面と前記第2暫定平面との交線の集合と、
前記第1パターンの前記投影手段との相対位置関係である第2相対位置関係および前記第1相対位置関係から得られる第1確定平面と、前記第2パターンの前記投影手段との相対位置関係である第3相対位置関係および前記第1相対位置関係から得られる第2確定平面との交線の集合とを比較し対応付けることで、前記第1解の自由度を解消した解である、第2解を算出する第3計算部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第3計算部では、
前記第1解の自由度を定めることで得られる、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面と、前記第1確定平面あるいは前記第2確定平面とを対応させた時の差が全体として最小となるように前記第1解の自由度を決定する、ことを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第1パターンまたは前記第2パターンの両方あるいは何れか一方を不均一な間隔で配置することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記投影手段は、前記第2パターンに加えて、前記第2パターンとは異なる第3パターンを前記物体に対して投影し、
前記画像処理手段では、前記第1パターンおよび前記第2パターンを用いた3次元形状の復元とは別に、前記第2パターンの代わりに前記第3パターンを用いた3次元形状復元を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記投影手段は、前記第1パターンおよび第2パターンに加えて、共通の制約条件である第3制約条件が存在するように配置された1つ以上の第3パターンを前記物体に対して投影し、
前記第1計算部は、前記第3パターンを観測した観測第3パターンを獲得し、かつ前記第1計算部は、前記観測第1パターン、前記観測第2パターンおよび前記観測第3パターンの相互の交点を獲得し、
前記第2計算部は、前記第1暫定平面と、前記第2暫定平面と、前記観測第3パターンを含む空間中の第3暫定平面のいずれかが前記交点を共有することから得られる制約条件と、前記第1制約条件と、前記第2制約条件と、前記第3制約条件と、前記第1相対位置関係とを用いて、前記第1暫定平面、前記第2暫定平面あるいは前記第3暫定平面について自由度を含む第1解を算出することを特徴とする請求項1の画像処理装置。
【請求項13】
前記第2計算部で算出される前記第1解は、1つの自由度を含むことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項14】
3次元空間中で、平面状のパターン光を投影する光源を用いて、共通の制約条件である第1制約条件が存在するように配置された1つ以上の第1パターンと、前記第1パターンと交わり、共通の制約条件である第2制約条件が存在するように配置された1つ以上の第2パターンとを物体に対して投影するステップと、
前記パターン光を前記物体に投影することにより前記物体から反射された光を撮影して2次元画像を得るステップと、
前記2次元画像から前記物体の3次元形状を復元するステップと、を備え、
前記復元するステップは、
前記2次元画像において、前記第1パターンを反射光として観測した観測第1パターンと、前記第2パターンを反射光として観測した観測第2パターンとの交点を獲得するステップと、
前記観測第1パターンを含む空間中の第1暫定平面と、前記観測第2パターンを含む空間中の第2暫定平面が、前記交点を共有することから得られる制約条件と、前記第1制約条件と、前記第2制約条件と、前記投影手段と前記撮影手段との相対位置関係である第1相対位置関係とを用いて、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面について自由度を含む第1解を算出するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
入力された2次元画像から3次元形状を復元する機能を画像処理装置に実行させるプログラムであり、
前記2次元画像は、
3次元空間中で、平面状のパターン光を投影する光源を用いて、共通の制約条件である第1制約条件が存在するように配置された1つ以上の第1パターンと、前記第1パターンと交わり、共通の制約条件である第2制約条件が存在するように配置された1つ以上の第2パターンとを物体に対して投影する投影手段と、
前記パターン光を前記物体に投影することにより前記物体から反射された光を撮影して2次元画像を得る撮影手段と、を用いて撮影され、
前記画像処理装置に、
前記2次元画像において、前記第1パターンを反射光として観測した観測第1パターンと、前記第2パターンを反射光として観測した観測第2パターンとの交点を獲得する機能と、
前記観測第1パターンを含む空間中の第1暫定平面と、前記観測第2パターンを含む空間中の第2暫定平面が、前記交点を共有することから得られる制約条件と、前記第1制約条件と、前記第2制約条件と、前記投影手段と前記撮影手段との相対位置関係である第1相対位置関係とを用いて、前記第1暫定平面あるいは前記第2暫定平面について自由度を含む第1解を算出する機能と、
を実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−300277(P2009−300277A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155605(P2008−155605)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【出願人】(596053079)
【出願人】(302010622)有限会社テクノドリーム二十一 (6)
【Fターム(参考)】