説明

画像処理装置、画像読取処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム、記録媒体

【課題】カラー設定の変更を希望する場合でも、原稿読取装置から再度原稿を読み取ることなく、出力処理を行うことが可能な画像処理装置を実現する。
【解決手段】画像処理装置102は、出力画像データに対して指示されたカラー設定の設定内容に拘わらず、カラー画像データが、カラー原稿を表わす画像データであるかモノクロ原稿を表わす画像データであるかを判定するカラーモノクロ判定部と、カラーモノクロ判定部による判定結果をカラー画像データと関連付けて記憶装置107に記録する制御部108を備えている。そして、制御部は、上記カラー設定の変更指示を受け付けることができる。そして、画像処理装置102は、制御部108がカラー設定の変更指示を受け付けると、当該変更指示で変更されたカラー設定に従った出力画像データを、記憶装置107に記録されている判定結果およびカラー画像データに基づいて生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示されたカラー設定に従って入力画像データに画像処理を施し、出力画像データを出力する画像処理装置、画像読取処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機などの画像形成装置は、原稿種別や設定条件(印刷濃度,変倍処理の倍率,片面印刷または両面印刷,余白サイズ等)に応じて、印刷対象の画像を示す画像データに画像処理を施す。さらに、画像形成装置には、上記画像処理が施された画像データに基づいて、印刷対象の画像のプレビューを表示装置の表示部に表示するものも存在する。なお、プレビュー表示の形態には、印刷対象の画像を表示部に1頁ずつ表示する形態や、複数頁からなる印刷対象の画像を一度に表示部に表示する形態がある。
【0003】
また、画像形成装置には、利用者から指示されたカラー設定に従って、印刷出力される画像の色を変更する機能を有するものがある。この場合、利用者は、カラー設定としてフルカーモード、モノクロモードなどを設定する。ただし、原稿がカラーであるのかモノクロであるのかを利用者が把握していない場合がある。そのため、原稿がカラー原稿であるのか、モノクロ原稿であるのかを自動的に判定する自動カラー選択(Auto Color Selection:ACS)機能を有するものがある。例えば、特許文献1には、自動カラー選択モード(ACSモード)が設定されたときのみACS処理を行う画像形成装置が開示されている。また、特許文献2には、画像形成時に利用者が、自動カラー選択モード、フルカラーモード、または白黒モードのいずれかを明示的に指定しなかったときに画像形成に使用されるモード(標準のモード)を指定することが可能な画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−83759号公報(平成13年3月30日公開)
【特許文献2】特開2004−4622号公報(平成16年1月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、利用者が一旦フルカラーモードまたはモノクロモードを設定して、原稿の読み取りを実行させた後に、カラー設定を変更することを希望する場合がある。例えば、原稿において、多数の白黒頁の中にカラー頁が数頁混ざっていることに気付き、カラー頁についてはカラーで印刷することを希望するような場合である。また、上記のようにプレビュー表示を行う形態の場合、プレビュー表示された画像を見て、カラー設定の変更を希望する場合がある。
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では、利用者は、原稿の読み取りを実行させた後にカラー設定を変更したい場合、最初に設定したカラー設定による印刷が終了後に、再度原稿をセットして読み取らせる必要がある。また、この場合、最初のカラー設定による印刷用紙も無駄になる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カラー設定の変更を希望する場合でも、原稿読取装置から再度原稿を読み取ることなく、出力処理を行うことが可能な画像処理装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、上記課題を解決するために、原稿読取装置にて原稿の画像をカラーとして読み取ることにより得られたカラー画像データから、画像印刷ジョブ、画像送信ジョブ、画像ファイリングジョブのうちのいずれかのジョブで取り扱われる出力画像データを生成して当該ジョブを実行するジョブ装置に出力する出力制御手段を備えた画像処理装置であって、上記出力画像データに対して指示されたカラー設定の設定内容に拘わらず、上記カラー画像データが、カラー原稿を表わす画像データであるかモノクロ原稿を表わす画像データであるかを判定するカラーモノクロ判定手段と、上記カラーモノクロ判定手段による判定結果を上記カラー画像データと関連付けて記憶装置に記録する記録手段と、上記カラー設定の変更指示を受け付ける変更指示受付手段とを備え、上記出力制御手段は、上記変更指示受付手段が変更指示を受け付けると、当該変更指示で変更されたカラー設定に従った上記出力画像データを、上記記憶装置に記録されている上記判定結果および上記カラー画像データに基づいて生成することを特徴としている。ここで、モノクロ画像とは、白黒2値画像(白と黒との2値からなる画像)およびグレースケール画像(階調性を有する画像)を総称したものである。
【0009】
上記の構成によれば、画像処理装置は、最初に指示したカラー設定の設定内容に拘わらず、原稿読取装置にて読み取られた原稿を表わすカラー画像データが、カラー原稿を表わす画像データであるかモノクロ原稿を表わす画像データであるかを判定する。そして、画像処理装置は、判定結果をカラー画像データと関連付けて記憶装置に記録する。また、画像処理装置は、カラー設定の変更指示を受け付けると、当該変更指示で変更されたカラー設定に基づいて、記憶装置に記録された判定結果およびカラー画像データから出力画像データを生成する。
【0010】
従って、本発明に係る画像処理装置は、カラー設定が変更されたとしても、原稿読取装置から再度原稿を読み取ることなく、出力処理を行うことができるという効果を奏する。
【0011】
本発明に係る画像処理方法は、上記課題を解決するために、原稿読取装置にて原稿の画像をカラーとして読み取ることにより得られたカラー画像データから、画像印刷ジョブ、画像送信ジョブ、画像ファイリングジョブのうちのいずれかのジョブで取り扱われる出力画像データを生成して当該ジョブを実行するジョブ装置に出力する出力制御工程を含んだ画像処理方法であって、上記出力画像データに対して指示されたカラー設定の設定内容に拘わらず、上記カラー画像データが、カラー原稿を表わす画像データであるかモノクロ原稿を表わす画像データであるかを判定するカラーモノクロ判定工程と、上記カラーモノクロ判定工程における判定結果を上記カラー画像データと関連付けて記憶装置に記録する記録工程と、上記カラー設定の変更指示を受け付ける変更指示受付工程と、を含み、上記出力制御工程において、上記変更指示で変更されたカラー設定に従った上記出力画像データを、上記記憶装置に記録されている上記判定結果および上記カラー画像データに基づいて生成することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、本発明に係る画像処理方法は、本発明に係る画像処理装置と同様の作用効果を奏する。
【0013】
上記出力制御手段は、上記出力画像データとは別に、上記カラー画像データから、画像表示装置で表示するための上記カラー設定に従った表示用画像データを生成し、当該画像表示装置に出力することが望ましい。
【0014】
上記の構成によれば、ジョブ装置で出力される画像を画像表示装置で確認することができる。そのため、利用者は、画像表示装置で表示される画像を確認することにより、カラー設定の変更の要否を判断することができる。例えば、カラー原稿であることを把握している利用者がモノクロモードを最初に選択していたが、画像表示装置に表示された画像を見て、カラーの方が好ましいと判断した場合、その時点で容易にカラー設定を変更することができる。
【0015】
上記画像処理装置は、上記原稿が複数頁からなる場合、上記カラーモノクロ判定手段は、各頁の画像を表わすカラー画像データに対して上記判定を行い、上記記録手段は、頁毎に当該カラーモノクロ判定手段による判定結果を当該カラー画像データと関連付けて記憶装置に記録することが望ましい。
【0016】
上記の構成によれば、画像読取装置にて、カラー頁とモノクロ頁とからなる複数頁の原稿について、頁毎に判別結果を記録しておく。そのため、カラー設定が自動カラー選択モードに変更されたとしても、原稿読取装置から再度原稿を読み取ることなく、カラー頁についてはカラーモードで、モノクロ頁についてはモノクロモードで原稿画像を生成して出力処理を行うことができるというさらなる効果を奏する。
【0017】
上記画像処理装置は、上記カラーモノクロ判定手段が、カラー設定の設定内容に拘わらず、上記カラー画像データが、カラー原稿、グレースケール原稿、および白黒2値原稿のいずれの原稿を表わす画像データであるかを判定し、上記出力制御手段が、上記変更指示受付手段が受け付けた変更指示で変更されたカラー設定が自動カラー選択モードであるとき、上記記憶装置に記録されている上記判定結果がグレースケール原稿を表わしている場合には、上記出力画像データとして白黒多値画像データを生成し、上記記憶装置に記録されている上記判定結果が白黒2値原稿を表わしている場合には、上記出力画像データとして白黒2値画像データを生成することが望ましい。
【0018】
上記の構成によれば、画像読取装置が読み取ったモノクロ原稿が白黒2値原稿である場合には、出力画像データとして白黒2値画像データを出力するので、白黒多値画像データを処理する場合に比べて、画像処理装置の出力処理をする際の負荷を減らすことができるというさらなる効果を奏する。
【0019】
また、本発明は、上記画像処理装置および原稿読取装置を備えた画像読取処理装置であってもよいし、上記画像処理装置、原稿読取装置、および画像表示装置を備えた画像読取処理装置であってもよい。また、本発明は、上記画像処理装置およびジョブ装置を有し、上記ジョブ装置が印刷装置である画像形成装置であってもよい。
【0020】
なお、上記画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記画像処理装置をコンピュータにおいて実現する画像処理プログラム、およびその画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る画像処理装置は、以上のように、原稿読取装置にて原稿の画像をカラーとして読み取ることにより得られたカラー画像データから、画像印刷ジョブ、画像送信ジョブ、画像ファイリングジョブのうちのいずれかのジョブで取り扱われる出力画像データを生成して当該ジョブを実行するジョブ装置に出力する出力制御手段を備えた画像処理装置であって、上記出力画像データに対して指示されたカラー設定の設定内容に拘わらず、上記カラー画像データが、カラー原稿を表わす画像データであるかモノクロ原稿を表わす画像データであるかを判定するカラーモノクロ判定手段と、上記カラーモノクロ判定手段による判定結果を上記カラー画像データと関連付けて記憶装置に記録する記録手段と、上記カラー設定の変更指示を受け付ける変更指示受付手段と、を備え、上記出力制御手段は、上記変更指示受付手段が変更指示を受け付けると、当該変更指示で変更されたカラー設定に従った上記出力画像データを、上記記憶装置に記録されている上記判定結果および上記カラー画像データに基づいて生成する。
【0022】
従って、本発明に係る画像処理装置は、カラー設定の変更を希望する場合でも、原稿読取装置から再度原稿を読み取ることなく、出力処理を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示したブロック図である。
【図2】(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにてプレビュー表示が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図であり、(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにてプレビュー表示が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置が備える原稿種別自動判別部を示したブロック図である。
【図4】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにて再プレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示したブロック図である。
【図5】(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにて再プレビュー表示が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図であり、(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにて再プレビュー表示が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図である。
【図6】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像データの流れを示したブロック図である。
【図7】(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図であり、(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図である。
【図8】(a)は、画像表示装置の表示特性に応じたガンマ曲線の一例を示した図である。(b)は、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線を実線で示し、画像表示装置の表示特性に応じたガンマ曲線を破線で示した図である。
【図9】コピアモード且つフルカラーモードが選択されている場合の画像形成装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、ファクシミリ送信モードにて送信処理を行う際の画像データの流れを示した図である。
【図11】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、ファクシミリ送信モードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示した図である。
【図12】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、ファクシミリ受信モードにて印刷処理を行う際の画像データの流れを示した図である。
【図13】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、ファクシミリ受信モードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示した図である。
【図14】本実施形態の画像形成装置の変形例を示したブロック図である。
【図15】コピアモードにおいてプレビュー表示の指示を行うための画面を示した図である。
【図16】コピアモードにおいてプレビュー表示される画像を示した図である。
【図17】カラーモード、両面コピー、特別機能から設定する項目を選択するための画面を示した図である。
【図18】コピアモードにおいて、カラー設定として設定可能なモードを選択するための画面を示した図である。
【図19】イメージ送信モードにおいて、カラー設定として設定可能なモードを選択するための画面を示した図である。
【図20】コピアモードにおいて、再プレビューを実行するか否かを選択するための画面を示した図である。
【図21】コピアモードにおいて再プレビュー表示される画像を示した図である。
【図22】部分的に変色した原稿のヒストグラムの例であり、(a)はR成分を示し、(b)はG成分を示し、(c)はB成分を示す。
【図23】色つき用紙や全体的に変色した用紙の原稿のヒストグラムの例であり、(a)はR成分を示し、(b)はG成分を示し、(c)はB成分を示す。
【図24】一般的なカラー原稿の有彩画素ヒストグラムの例であり、(a)はR成分を示し、(b)はG成分を示し、(c)はB成分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の画像形成装置の一形態について図に基づいて説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態の画像形成装置100は、コピアモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード・ファクシミリ受信モード・イメージ送信モードの中からいずれかのモードが選択されると、選択されたモードを実行するデジタルカラー複合機である。
【0026】
コピアモード(複写モード)とは、画像データを読み込み(原稿を読み取って画像データを生成し)、この画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。また、プリントモードとは、画像形成装置100に接続されている端末装置から送られてくる画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。ファクシミリ送信モードとは、原稿を読み取って得られる画像データを電話回線によって外部装置に送信する通常のファクシミリモードと、前記画像データをメールに添付してインターネットによって送信するインターネットファクシミリモードとを意味する。ファクシミリ受信モードとは、外部装置から画像データをファクシミリにて受信し、受信した画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。イメージ送信モードとは、(1)原稿を読み取って生成した画像データを電子メールに添付して指定されたアドレスへ送信するモード(scan to e-mailモード)、(2)原稿を読み取って生成した画像データを利用者により指定されたフォルダに送信するモード(scan to ftpモード)、(3)原稿を読み取って生成した画像データを画像形成装置100に装着されたUSBメモリなどに送信するモード(scan to usbモード)を意味する。なお、本実施形態においては、画像処理の動作上から、ファクシミリ送信モードとイメージ送信モードとを上記のように分類している。
【0027】
また、利用者は、モノクロ画像を出力するモノクロモード,フルカラーの画像を出力するフルカラーモード,利用者の所望する1色のみからなる単色画像を出力するシングルカラーモード,利用者の所望する1色と黒色とからなる2色画像を出力する2色カラーモードのいずれかをカラー設定として選択できるようになっている。
【0028】
例えば、コピアモードまたはプリントモードにおいて、利用者がシングルカラーモードを選択した場合、上記単色画像が印刷されることになる。また、コピアモードまたはプリントモードにおいて、利用者が2色カラーモードを選択した場合、上記2色画像の画像データが印刷される。なお、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、利用者は、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色を1つ選択することになる。
【0029】
また、本実施形態では、自動カラー選択モードを設定することが可能である。この自動カラー選択モードが設定されている場合、画像形成装置100は、複写対象がカラー原稿かモノクロ原稿であるかを判別する自動カラー判別(ACS)処理を行い、カラー原稿と判別される場合は上記のフルカラーモードで出力処理を行い、モノクロ原稿と判別される場合は上記のモノクロモードで出力処理を行うようになっている。
【0030】
画像形成装置100は、図1に示されるように、画像入力装置101、画像処理装置102、画像出力装置103、画像表示装置104、受信装置105、送信装置106、記憶装置107、制御部108を有している。
【0031】
画像入力装置101は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取手段である。より具体的に説明すると、画像入力装置101は、CCD(Charge Coupled Device)を備えたスキャナ部を有し、原稿から反射してきた光を、RGBに色分解された電気信号(アナログの画像信号)に変換し、この電気信号を画像処理装置102に入力するものである。
【0032】
なお、画像入力装置101は、上記のフルカラーモード,シングルカラーモード,2色カラーモードのいずれのモードが選択されている場合であっても、フルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。また、画像入力装置101は、画像処理装置102において前述した自動カラー判別処理が行われる場合であってもフルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。
【0033】
画像処理装置102は、画像データ(画像信号)に対して画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成されるものである
。この画像処理装置102は、図1に示すように、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、領域分離信号復号部10、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17、中間調生成部18の各ブロックを有している。画像処理装置102に含まれる各ブロックの処理内容については後で詳述する。
【0034】
なお、画像処理装置102は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、画像入力装置101から送られてきた画像データに画像処理を行い、プリントモードにおいて、端末装置から送信されてきた画像データに画像処理を行い、ファクシミリ受信モードにおいて、外部装置から受信した画像データに画像処理を行うようになっている。そして、画像処理装置102は、コピアモード、プリントモード、ファクシミリ受信モードにおいて、画像処理を施した画像データを画像出力装置103に送信し、ファクシミリ送信モードにおいて、画像処理を施した画像データを送信装置106に送信するようになっている。また、画像処理装置102は、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいて、画像処理を施した画像データをメール処理部(不図示)に送信し、scan to ftpモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のフォルダに送信し、scan to usbモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のUSBメモリに送信するようになっている。
【0035】
画像出力装置(プリンタ)103は、画像処理装置102から送られてきた画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷(形成)するものであり、例えば、電子写真方式またはインクジェット方式を用いたカラープリンタを挙げることができる。なお、本実施形態においての「印刷」とは、プリントモードにおける印刷、コピアモードでの印刷、ファクシミリ受信モードでの印刷のいずれかを意味する。
【0036】
画像表示装置104は、画像形成装置100の操作パネル(不図示)に備えられている液晶ディスプレイであり、カラー画像の表示が可能な表示手段である。また、画像表示装置104は、タッチパネルに覆われており、画像形成装置100の入力インターフェイスとしての機能を有している。つまり、画像表示装置104には、画像形成装置100に対して各種コマンドの入力を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)や操作ガイドが表示される。
【0037】
また、本実施形態の画像形成装置100では、コピアモードまたはファクシミリ受信モードにおいて、印刷実行前に、印刷対象となる画像のプレビューを画像表示装置104に表示することが可能になっている。さらに、本実施形態の画像形成装置100では、ファクシミリ送信モードまたはイメージ送信モードにおける送信実行前において、送信対象となる画像のプレビューを画像表示装置104に表示することが可能になっている。
【0038】
また、コピアモードまたはイメージ送信モードにおいて、フルカラーモードが選択されている場合はフルカラー画像のプレビューが表示され、シングルカラーモードが選択されている場合は単色画像のプレビューが表示され、2色カラーモードが選択されている場合は2色画像のプレビューが表示されるようになっている。
【0039】
なお、画像表示装置104は、液晶ディスプレイに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ以外の表示手段(例えば、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)であってもよい。
【0040】
受信装置105は、電話回線またはインターネットに接続しており、ファクシミリ通信によって外部装置から画像データを受信する装置である。また、送信装置106は、電話回線またはインターネットに接続しており、画像入力装置101にて入力された画像データをファクシミリ通信によって外部装置へ送信する装置である。
【0041】
記憶装置107は、画像処理装置102にて扱われる画像データを一旦保存するためのハードディスクである。
【0042】
制御部108は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータであり、画像形成装置100に備えられる各種ハードウェアを統括的に制御するものである。また、制御部108は、画像形成装置100に備えられる各ハードウェア間のデータ転送を制御する機能も有する。なお、図1において、制御部108は、画像処理装置102の外部の構成として示しているが、画像処理装置102内の構成として備えられていてもよい。
【0043】
本実施形態の画像形成装置100では、制御部108は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードの各モードのジョブ実行指示を利用者から受け付け、当該実行指示に従って、処理を開始する。そして、制御部108は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードの何れかのジョブ実行指示を受け付ける際に、出力される画像についてのカラー設定の入力を受け付ける。ここで、カラー設定とは、上述したように、モノクロモード,フルカラーモード,シングルカラーモード,2色カラーモード、自動カラー選択モードがある。
【0044】
ただし、本実施形態に係る画像形成装置100では、制御部108は、ジョブ実行指示を受け付けた後に、当該ジョブ実行指示とともに受け付けたカラー設定の変更指示を受け付け可能である。これは、利用者が原稿の読み取りを実行させた後に、原稿において、多数の白黒頁の中にカラー頁が数頁混ざっていることに気付き、カラー頁についてはカラーで印刷することを希望する場合や、プレビュー表示された画像を見て、カラー設定の変更を希望する場合があるためである。
【0045】
そこで、画像処理装置102は、ジョブ実行指示とともに受け付けたカラー設定の設定内容に拘わらず、画像入力装置101が読み取った画像データについて、上記の自動カラー判別(ACS)処理を行い、原稿がカラー原稿であるかモノクロ原稿であるかの判別結果を画像データと関連付けて記憶装置107に記録させておく。そして、制御部108は、カラー設定の変更指示を受け付けた場合、変更後のカラー設定に基づいて、記憶装置107に記録された画像データおよび判別結果から、ジョブ実行用の画像データを生成させるように画像処理装置102を制御する。
【0046】
つぎに、コピアモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードの各モードにおいて、画像処理装置102の各ブロックにて実行される処理の内容を詳細に説明する。なお、本実施形態の画像処理装置102には、或るモードaが選択されている時は動作する一方で前記モードaとは異なるモードbが選択されている時は動作しないようなブロックが存在する(モードa、モードbは、コピアモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードのいずれかである)。また、画像処理装置102には、選択されているモードに応じて処理内容を変更するブロックも存在する。さらに、画像処理装置102には、選択されているモードが同じであっても、印刷用(送信用)の画像データの処理時は動作する一方でプレビュー用の画像データの処理時は動作しないようなブロックや、印刷用(送信用)の画像データの処理時とプレビュー用の画像データの処理時とで処理内容を変更するブロックが存在する。そこで、以下では、画像処理装置102に含まれる各ブロックにて実行される処理の内容について、モード別に説明すると共に、印刷処理時(または送信処理時)とプレビュー表示時とで分けて説明する。
【0047】
(1)コピアモード
(1−1)プレビュー表示時
以下では、図1に基づいて画像処理装置102について説明するが、図1はコピアモード且つフルカラーモードにてプレビュー表示処理を行う際における画像処理装置102内の画像データの流れを示したものである事を述べておく。
【0048】
A/D(アナログ・デジタル)変換部2は、画像入力装置101から送られてきたカラー画像信号(RGBアナログ信号)をデジタルの画像データ(RGBデジタル信号)に変換するブロックである。シェーディング補正部3は、A/D変換部2から送られてきた画像データに対して、画像入力装置101の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すブロックである。入力処理部4は、シェーディング補正部3より送られてくるRGBの画像データのそれぞれに対してγ補正処理などの階調変換処理を施すブロックである。
【0049】
原稿種別自動判別部5は、図3に示すように、カラーモノクロ判定部51、原稿種別判定部52、およびブランク原稿判定部53からなり、入力処理部4にてγ補正等の処理がなされたRGBの画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、画像入力装置101にて読み取られた原稿の種別の判定を行う。具体的には、カラーモノクロ判定部51が、上記画像データに基づき、読み取られた原稿がカラー原稿であるかモノクロ原稿であるかを判別する処理である自動カラー判別処理(ACS:Auto Color Selection)を行う。自動カラー判別処理による判定結果は、カラーモノクロ判定信号として、圧縮部7に出力されるようになっている。
【0050】
なお、読み取られた原稿が複数頁からなる場合、カラーモノクロ判定部51は、各頁の画像を表わす画像データに対してカラー/モノクロの判定を行い、頁毎の判定結果を出力する。
【0051】
また、原稿種別判定部52が、上記画像データに基づき、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿、印画紙写真原稿、および、文字印画紙写真原稿のうち、読み取られた原稿がいずれの原稿であるかの判別を行う処理である原稿種別判定処理を行う。原稿種別判定処理による判定結果は、原稿種別判定信号として、圧縮部7に出力されるようになっている。
【0052】
さらに、ブランク原稿判定部53は、上記画像データに基づき、ブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)を判定する処理であるブランク原稿判定処理も行うことができる。ブランク原稿判定処理による判定結果は、ブランク原稿判定信号として、圧縮部7に出力されるようになっている。
【0053】
なお、上記原稿種別自動判別部5の動作は、カラー設定として設定されているモードがいずれのモードであるかに拘わらず、実行される。
【0054】
領域分離処理部6は、原稿種別自動判別部5から送られてくるRGBの画像データに基づき、入力画像の画素毎に、当該画素がどのような画像領域に分類されるのかを判別し、この判別結果を示す領域分離信号を生成する処理を行う。ここで、領域分離処理部6において判別される画像領域には、黒文字領域,色文字領域,網点領域等がある。なお、領域分離処理は、画素毎に画像領域の判定を行う形態ではなく、複数の画素よりなるブロック毎に画像領域の判定が行われる形態であってもよい。
【0055】
圧縮部7は、原稿種別自動判別部5から送られてくる画像データ(RGB信号)を符号化する処理を行うブロックである。なお、上記符号化は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式に基づいて行われる。
【0056】
領域分離信号圧縮部8は、画素毎に生成された領域分離信号に対して圧縮処理を施すブロックである。なお、領域分離信号圧縮部8における圧縮処理は、例えば、可逆圧縮方法であるMMR(Modified Modified Reed)方式、MR(Modified Reed)方式に基づいて
行われる。
【0057】
制御部108は、圧縮部7から出力された符号化コード(符号化された画像データ)と領域分離信号圧縮部8から出力された領域分離信号コード(圧縮された領域分離信号)とカラーモノクロ判定信号として圧縮部7から出力され、カラー判別処理による判定結果を表わすデータとを関連付けて記憶装置107に保存し、ファイリングデータとして管理する。なお、原稿が複数頁からなる場合には、頁毎に、画像データとカラーモノクロ判定部51による判定結果とを関連付けて記憶装置107に保存する。
【0058】
そして、制御部108は、プレビュー表示動作が指示された場合、記憶装置107から上記の符号化コード、および当該符号化コードに対応する領域分離信号コードを読み出し、復号部9、領域分離信号復号部10にそれぞれ引き渡す。
【0059】
なお、制御部108は、上記符号化コードの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離信号コードの保存アドレスとを対応付けて管理テーブルに記入する。つまり、制御部108は、当該管理テーブルを用いて、符号化コードおよび領域分離信号コードの読み出しまたは書き込みの制御を行っている。
【0060】
復号部9は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。また、領域分離信号復号部10は、上記領域分離信号コードに対して復号化処理を施す。復号化した領域分離信号は、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、中間調生成部18に引き渡される。そして、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、中間調生成部18においては、画像領域の種類に応じて画像処理内容の切替えが行われる。
【0061】
領域分離信号復号部10は、図1に示すように、プレビュー表示時において、復号化した領域分離信号を空間フィルタ部15および出力階調補正部17に引き渡す。
【0062】
画質調整部11は、復号部9から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整部11は、利用者によって操作パネル(不図示)から入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
【0063】
さらに、画質調整部11は、シングルカラーモードが選択されている場合、RGBの画像データを、RGBの補色となるCMYの画像データに変換する処理を行う。ここで、シングルカラーモードにおいてのRGBの画像データからCMYの画像データへの変換処理は、下記の式1を用いることによって実行される。なお、式1における係数r1〜r3は〔表1〕に基づいて定められる。例えば、利用者がシングルカラーモードにおいて所望の色としてシアンを選択している場合、〔表1〕の「Cyan」の欄に属するr1〜r3の値が参照され、r1=1,r2=0,r3=0が選択されることになる。
【0064】
【数1】

【0065】
【表1】

【0066】
つまり、フルカラーモードの場合の画質調整部11からの出力は、図1に示されるように、RGBの画像データとなるところ、シングルカラーモードが選択されている場合の画質調整部11からの出力は、図2(a)に示されるように、CMYの画像データとなる。なお、2色カラーモードが選択されている場合の画質調整部11からの出力は、図2(b)に示されるように、RGBの画像データとなる。なお、図2(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものであり、図2(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものである。
【0067】
なお、2色カラーモードが選択されている場合の画質調整部11からの出力は、図2(b)に示されるように、RGBの画像データとなる。なお、図2(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものであり、図2(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものである。
【0068】
また、画質調整部11にて実行される鮮やかさの調整は、式1のマトリクスのr1〜r3およびa1〜a3の各値を変更した上で当該マトリクスを用いることによって実現可能である。それゆえ、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理(RGBからCMYへの変換)とについては、マトリクスを共用でき、画像処理回路を共用できる。よって、本実施形態では、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理とが、同じ処理部(画質調整部11)で行われるのである。
【0069】
なお、モノクロモードが選択されている場合、画質調整部11は、復号部9から送られてくるRGBの画像データをKの画像データ(グレースケールの濃淡を表わす値からなるデータ)に変換して、Kの画像データを2色化処理部12に出力する。その後、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は、画質調整部11から出力された画像データをスルーする。
【0070】
2色化処理部12は、2色カラーモードが選択されている場合、図2(b)に示すように、画質調整部11から出力されたRGBの画像データをCMYの画像データに変換する処理を行うブロックである。なお、2色カラーモードにおいてのRGBの画像データからCMYの画像データへの変換処理は、例えば、特開2007−28336号公報に記載されている〔実施例1〕または〔実施例2〕の手法にて実現できる。
【0071】
また、2色化処理部12は、フルカラーモードが選択されている場合、図1に示されるように、画質調整部11から出力されたRGBの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部13へ引き渡す(スルーする)。さらに、2色化処理部12は、シングルカラーモードが選択されている場合、図2(a)に示すように、画質調整部11から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部13へ引き渡す(スルーする)。
【0072】
色補正部13は、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データを入力する。なお、RGBの画像データは、スキャナ(画像入力装置101)の色空間に適合しているデータである。そして、色補正部13は、このRGBの画像データを画像表示装置104の色空間に適合するR’G’B’の画像データへ変換する処理を行う。
【0073】
つまり、色補正部13は、スキャナの画像読取特性に適合したRGBの画像データを表示装置の表示特性に適合したR’G’B’の画像データに変換する処理を行っているのである。なお、RGBの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理も、入力値(RGB)と出力値(R’G’B’)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0074】
そして、本実施形態では、フルカラーモードにおいて、後述する印刷処理時のRGBの画像データからCMYKの画像データへの変換処理と、プレビュー表示時のRGBの画像データからR’G’B’ の画像データへの変換処理とについて、画像処理回路を共用している。
【0075】
ここで、図1は、フルカラーモードが選択されている場合の画像形成装置100を示したものであり、色補正部13は、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データを入力するようになっている。しかし、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、図2(a)(b)に示すように、色補正部13はCMYの画像データを入力するようになっている。なお、図2(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものであり、図2(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものである。
【0076】
そして、色補正部13は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、CMYの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理を行う。つまり、色補正部13は、印刷処理の印刷特性に適合したCMYの画像データを表示装置の表示特性に適合したR’G’B’の画像データに変換する処理を行っているのである。なお、上記の色補正処理は、入力値(CMY)と出力値(R’G’B’)とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)を作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0077】
黒生成/下色除去部14は、図1および図2に示すように、シングルカラーモード,2色カラーモード,フルカラーモードのいずれのモードであっても、色補正部13から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
【0078】
空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14より出力されたR’G’B’の画像データに対して、領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部15では、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
【0079】
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたR’G’B’の画像データからなる画像の画素数を画像表示装置104の画素数に変換する間引き処理(画素数を減少する処理)を行う。画像形成装置100の操作パネルに備えられる画像表示装置104は、印刷を行う画像データの解像度と比較すると低解像度であり、通常、極めて小型のディスプレイである。それゆえ、プレビュー表示時においては、画像データを間引く必要がある。また、変倍部16では、画像形成装置に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
【0080】
出力階調補正部17は、変倍部16から出力されてきた画像データに対して、領域分離信号を基に出力γ補正処理を行っている。より具体的に説明すると、出力階調補正部17は、領域分離信号を基に、画像領域に応じて異なるガンマ曲線を選択し、画像領域毎に出力γ補正処理の内容を異ならせている。例えば、文字以外の領域に対しては、画像表示装置104の表示特性に応じたガンマ曲線が選択され、文字領域に対しては、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線が選択される。ここで、図8(a)は、画像表示装置104の表示特性に応じたガンマ曲線である。また、図8(b)の実線で示される曲線は文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線である。なお、図8(b)の破線は、画像表示装置104の表示特性に応じたガンマ曲線であり、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線と比較するために図示したものである。
【0081】
なお、本実施形態では、出力階調補正部17は、領域分離信号に基づいてガンマ曲線の選択を行っているが、領域分離信号による選択を行わないで図8(a)のガンマ曲線のみを用いて出力階調補正を行うようにしても良い。
【0082】
そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の画像表示装置104へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置104は、R’G’B’の画像データに基づいて、コピー対象となる画像のプレビューを表示できる。
【0083】
なお、出力階調補正部17において実行されている出力γ補正処理は、画質調整部11にて実行されてもよい。
【0084】
さらに、コピアモードのプレビュー表示時において、カラー設定がフルカラーモードに設定されているとき、出力処理(印刷処理・表示処理)がフルカラーで行われる事を利用者に認識させるための識別情報(例えば「フルカラー」の文字)を画像表示装置104に表示する。一方、画像形成装置100は、カラー設定がモノクロモードに設定されているとき、出力処理が白黒モードで行われる事を利用者認識させるための識別情報(例えば「白黒」を示す文字)を画像表示装置104に表示する。
【0085】
また、出力処理がフルカラーまたはモノクロで行われる事を利用者に認識させるための識別情報(「フルカラー」または「白黒」の文字)は、図16に示されるように、プレビュー画像と重ならないように当該プレビュー画像とともに表示される。さらに、プレビュー画像が表示されている状態にて所定のボタン(例えば図16の仕上がり表示キー)を押すと、識別情報が表示されるような形態であってもよい。
【0086】
なお、原稿種別自動判別部5にて行われる自動カラー判別処理の手法として、例えば特開平4−282968号公報に記載されている方法を用いることができる。この方法は、画素毎にカラー画素であるか白黒画素(モノクロ画素)であるかを判別し、所定の順序且つ所定数以上の連続するカラー画素群の存在が検知されると、この連続するカラー画素群をカラーブロックと認識し、1ライン中に所定数以上のカラーブロックが存在していれば、そのラインをカラーラインとして認定する。そして、原稿画像中にカラーラインが所定数存在していれば当該原稿画像をカラー画像と判断し、そうでない場合は白黒画像(モノクロ画像)と判断するものである。
【0087】
(1−3)再プレビュー表示時
つぎに、コピアモードにて印刷対象画像をプレビュー表示しているときに、利用者からの指示によりカラー設定が変更され印刷対象画像を再プレビューする場合に画像処理装置102の各ブロックにて実行される処理の内容を図4、および図5に基づいて説明する。図4は、図1の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、コピアモード且つ自動カラー選択モードにて再プレビュー表示を行う際の画像データの流れを示した図である。
【0088】
A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8は、再プレビューに関する動作は何も行わないので、説明を省略する。
【0089】
制御部108は、カラー設定が変更が指示され、再プレビュー表示動作が指示された場合、記憶装置107に記録されている再プレビュー表示する画像データの符号化コード、当該符号化コードに対応する領域分離信号コード、およびカラー判別処理による判定結果を表わすデータを読み出し、復号部9、領域分離信号復号部10にそれぞれ引き渡す。
【0090】
復号部9は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。
【0091】
領域分離信号復号部10は、図4に示すように、再プレビュー表示時において、復号化した領域分離信号を空間フィルタ部15および出力階調補正部17に引き渡す。
【0092】
画質調整部11は、復号部9から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整部11は、利用者によって操作パネル(不図示)から入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
【0093】
そして、図4に示すように、変更後のカラー設定が自動カラー選択モードであるとき、画質調整部11は、復号部9から送られてくる自動カラー判別処理による判定結果を表わすデータがモノクロ原稿である旨を表わしている場合には、画質調整部11は、RGBの画像データをKの画像データ(グレースケールの濃淡を表わす値からなるデータ)に変換して、Kの画像データを2色化処理部12に出力する。なお、この変換は、所定のマトリクス係数や下記の式2を用いることによって行われる。
輝度値(Kの画像データの値)=0.299r+0.587g+0.114b 式2
rは赤の画像データの値(濃度値)であり、gは緑の画像データの値であり、bは青の画像データの値である。
【0094】
一方、自動カラー選択モードにおいて、画質調整部11は、復号部9から送られてくるカラー判別処理による判定結果を表わすデータがカラー原稿である旨を表わしている場合には、フルカラーモードに設定されている状態でプレビュー表示処理を行う場合と同様の処理を行う。
【0095】
なお、図5に示すように、カラー設定が自動カラー選択モード以外のモードに設定されている場合に、画像調整部11が行う処理は、プレビュー表示処理時と同様である。
【0096】
図4に示すように、2色化処理部12は、自動カラー選択モードにおいて、画質調整部11からKの画像データを受け付けた場合、当該画像データをそのまま色補正部13へ引き渡す(スルーする)。一方、2色化処理部12は、自動カラー選択モードにおいて、画質調整部11からRGBの画像データを受け付けた場合、フルカラーモードに設定されている状態でプレビュー表示処理を行う場合と同様の処理を行う。
【0097】
また、図5に示すように、カラー設定が自動カラー選択モード以外のモードに設定されている場合に、2色化処理部12が行う処理は、プレビュー表示処理時と同様である。
【0098】
ACSモードにおいて、色補正部13には、RGBの画像データ、またはKの画像データが入力される。また、フルカラーモードにおいて、色補正部13には、RGBの画像データが入力される。なお、RGBの画像データは、スキャナ(画像入力装置101)の色空間に適合しているデータである。そして、色補正部13は、2色化処理部12からRGBの画像データを受け付けた場合、このRGBの画像データを画像表示装置104の色空間に適合するR’G’B’の画像データへ変換する処理を行う。なお、RGBの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理は、プレビュー表示処理時と同様に、入力値(RGB)と出力値(R’G’B’)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。また、色補正部13は、2色化処理部12からKの画像データを受け付けた場合、当該画像データをそのまま黒生成/下色除去部14へ引き渡す(スルーする)。
【0099】
なお、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、図5(a)(b)に示すように、色補正部13は、プレビュー表示処理時と同様の動作を行う。
【0100】
黒生成/下色除去部14は、図4および図5に示すように、シングルカラーモード,2色カラーモード,フルカラーモード、自動カラー選択モードのいずれのモードであっても、色補正部13から出力されたR’G’B’の画像データ(または、Kの画像データ)に対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
【0101】
空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14より出力されたR’G’B’の画像データに対して、領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部15では、印刷処理時と同様、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
【0102】
また、空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14からKの画像データを受け付けた場合、当該画像データに対してデジタルフィルタを用いてぼかし処理等を行う。
【0103】
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたR’G’B’の画像データからなる画像の画素数を画像表示装置104の画素数に変換する間引き処理(画素数を減少する処理)を行う。画像形成装置100の操作パネルに備えられる画像表示装置104は、印刷を行う画像データの解像度と比較すると低解像度であり、通常、極めて小型のディスプレイである。それゆえ、プレビュー表示時においては、画像データを間引く必要がある。また、変倍部16では、画像形成装置に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
【0104】
なお、変倍部16は、空間フィルタ部15からKの画像データを受け付けた場合にも、当該画像データに対して上記間引き処理を行う。
【0105】
出力階調補正部17は、プレビュー表示処理時と同様に、変倍部16から出力されてきた画像データに対して、領域分離信号を基に出力γ補正処理を行っている。
【0106】
そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたR’G’B’の画像データ(Kの画像データ)に対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の画像表示装置104へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置104は、R’G’B’の画像データ(Kの画像データ)に基づいて、コピー対象となる画像のプレビューを表示できる。
【0107】
なお、出力階調補正部17において実行されている出力γ補正処理は、画質調整部11にて実行されてもよい。
【0108】
(1−3)印刷処理時(画像印刷ジョブ時)
つぎに、コピアモード且つフルカラーモードにて、プレビュー表示を行わずに、印刷対象画像の印刷処理を行う場合に画像処理装置102の各ブロックにて実行される処理の内容を図6に基づいて説明する。図6は、図1の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像データの流れを示した図である。
【0109】
なお、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、画質調整部11、2色化処理部12の処理については、プレビュー表示処理時と同じであるため、以下ではその説明を省略する。
【0110】
原稿種別自動判別部5は、入力処理部4にてγ補正等の処理がなされたRGBの画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、画像入力装置101にて読み取られた原稿の種別の判定を行う。ここで、判定される原稿の種別としては、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿等がある。また、原稿種別自動判別部5は、上記画像データに基づき、読み取られた原稿がカラー原稿であるか白黒原稿(モノクロ原稿)であるのかの判別を行う処理である自動カラー判別処理(ACS:Auto Color Selection)やブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)の判定処理も行うことができる。なお、原稿種別自動判別部5から出力されるRGBの画像データは、領域分離処理部6および圧縮部7に入力するようになっている。
【0111】
また、原稿種別自動判別部5から出力されるRGBの画像データは、領域分離処理部6および圧縮部7に出力されるようになっている。
【0112】
画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は、入力されたカラー設定に従った処理を行うものである。つまり、ジョブ実行指示(ここでは、コピアモードの実行指示)を受け付けた際に指示されたカラー設定から変更指示を受けていない場合には、当該カラー設定に従った処理を行う。一方、ジョブ実行指示(ここでは、コピアモードの実行指示)を受け付けた際に指示されたカラー設定から変更指示を受け付けた場合、色補正部13は、変更後のカラー設定に従った処理を行う。
【0113】
なお、各モードにおける画質調整部11および2色化処理部12の処理内容は、プレビュー表示のときと同様である。
【0114】
色補正部13は、フルカラーモードが選択されている場合、2色化処理部12から出力されるRGBの画像データをCMYの画像データに変換する色補正処理を行うと共に、当該画像データに対して色再現性を高める処理を施すブロックである。なお、RGBの画像データをCMYの画像データに変換する処理も、入力値(RGB)と出力値(CMY)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0115】
また、色補正部13は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図7(a)(b)に示されるように、2色化処理部12から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま黒生成/下色除去部14へ引き渡す(スルーする)。
【0116】
さらに、自動カラー選択モードが選択されている場合、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は、記憶装置107に記録されている判別結果に従った処理を行う。すなわち、判別結果がカラーを示す場合、フルカラーモードに従った処理を行う。一方、判別結果がモノクロを示す場合、モノクロモードに従った処理を行う。
【0117】
黒生成/下色除去部14は、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、色補正部13から出力されたCMYの画像データから黒(K)の画像データを生成する黒生成を行う一方、元のCMYの画像データから黒(K)の画像データを差し引いて新たなCMYの画像データを生成する処理を行うブロックである。これにより、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図6および図7(b)に示されるように、CMYの画像データは黒生成/下色除去部14によってCMYKの4色の画像データに変換される。
【0118】
また、黒生成/下色除去部14は、シングルカラーモードが選択されている場合、図7(a)に示されるように、色補正部13から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
【0119】
なお、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部14の出力、および、黒生成/下色除去部14よりも後段の各ブロックの入出力は、図1のように、CMYKの画像データとなる。しかし、シングルカラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部14の出力、および、黒生成/下色除去部14よりも後段の各ブロックの入出力は、図6とは異なり、CMYの画像データとなる。
【0120】
空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14より出力されるCMYKまたはCMYの画像データに対して、領域分離信号(領域識別信号)を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部15では、プレビュー表示処理時と同様、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
【0121】
変倍部16は、操作パネル(不図示)を介して利用者によって入力される変倍コマンド(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大や縮小処理を行うブロックである。
【0122】
出力階調補正部17は、変倍部16から出力された画像データに対して、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理を行うブロックである。中間調生成部18は、誤差拡散法やディザ法を用いて、画像出力装置103において画像を印刷するために必要な階調再現処理(中間調生成処理)を実行するものである。
【0123】
そして、中間調生成部18から出力されるCMYKまたはCMYの画像データは画像出力装置103に引き渡され、画像出力装置103は、当該画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷する。
【0124】
一方、プレビュー表示を行った後に、コピアモード且つフルカラーモードにて、印刷対象画像の印刷処理が指示された場合には、制御部108が、記憶装置107に記録されている印刷対象画像の画像データの符号化コード、当該符号化コードに対応する領域分離信号コード、およびカラー判別処理による判定結果を表わすデータを読み出し、復号部9、領域分離信号復号部10にそれぞれ引き渡す。すなわち、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8は、プレビュー表示後の印刷に関する動作は何も行わない。
【0125】
なお、領域分離信号復号部10、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17、中間調生成部18の各動作は、プレビュー表示を行わずに印刷処理をする場合の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0126】
(1−4)各ブロックの動作/非動作について
以上のように、フルカラーモードの印刷時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図6参照)。これに対し、自動カラー選択モードでカラー原稿と判定された画像のプレビュー表示時(再プレビュー表示時)やフルカラーモードのプレビュー表示時(再プレビュー表示時)では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12と黒生成/下色除去部14と中間調生成部18とは動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図1参照)。
【0127】
また、2色カラーモードの印刷時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、色補正部13は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図7(b)参照)。これに対し、2色カラーモードのプレビュー表示時(再プレビュー表示時)では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、黒生成/下色除去部14と中間調生成部18とが動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図2(b)、図5(b)参照)。
【0128】
さらに、シングルカラーモードの印刷時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12と色補正部13と黒生成/下色除去部14とが動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図7(a)参照)。これに対し、シングルカラーモードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12と黒生成/下色除去部14と中間調生成部18とが動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図2(a)、図5(a)参照)。
【0129】
さらに、再プレビュー表示時やプレビュー表示後の印刷処理時には、カラー設定がいずれのモードに設定されている場合でも、A/D変換部2〜領域分離信号圧縮部8が動作しないことになる。
【0130】
(1−5)処理手順について
つぎに、コピアモード且つフルカラーモードが選択された場合の処理手順の一例を図9に基づいて説明する。図9は、コピアモード且つフルカラーモードが選択された場合の画像形成装置の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【0131】
画像形成装置100は、コピアモードが選択され、スタートキーが押されると(S1にてYES)、原稿をスキャンすることによって(S2)、RGBのアナログ信号を生成する。なお、S1のスタートキーを押す前において、利用者は、プレビュー表示の要否を示す設定情報を入力することにより、画像形成装置100に対してプレビュー表示の有無を設定しているものとする。
【0132】
S2の後、画像形成装置100は、RGBのアナログ信号をRGBの画像データ(デジタルデータ)に変換し(S3)、上記画像データに対してシェーディング補正を施し(S4)、シェーディング補正後のRGBの画像データに対して入力γ補正処理を施す(S5)。
【0133】
S5の後、画像形成装置100は、「プレビュー表示有」が設定されているか否かを判定し(S6)、「プレビュー表示有り」が設定されていない場合はS7〜S16を実行し、「プレビュー表示有」が設定されている場合はS17〜S27を実行することになる。以下では、まずS7〜S16について説明し、その後、S17〜S27について説明する。
【0134】
「プレビュー表示有」が設定されていない場合(S6においてNO)、画像形成装置100は、RGBの画像データに基づいて原稿種別判定および領域分離処理を行い(S7)、さらに、RGBの画像データを記憶装置107に保存する(S8)。
【0135】
S8の後、画像形成装置100は、RGBの画像データを記憶装置107から読み出し、下地除去補正や鮮やかさの調整等の画質調整処理を行う(S9)。その後、画像形成装置100は、スキャナの特性に応じたRGBの画像データを、プリンタの特性に応じたCMYの画像データに変換し(S10)、さらに、CMYの画像データをCMYKの画像データに変換する(S11)。その後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基にCMYKの画像データに対して空間フィルタ処理を行い(S12)、空間フィルタ処理後のCMYKの画像データに対して変倍処理を施す(S13)。S13の後、画像形成装置100は、CMYKの画像データに対して出力γ補正処理および階調再現処理を行い(S14,S15)、当該画像データの画像を用紙に印刷し(S16)、処理を終了する。
【0136】
S6において「プレビュー表示有」が設定されていると判定された場合(S6においてYES)、画像形成装置100は、RGBの画像データに基づいて自動カラー判別処理、および領域分離処理を行い(S17)、さらに、自動カラー判別処理から出力されたカラーモノクロ判別信号をRGBの画像データと関連付けて記憶装置107に保存する(S18)。
【0137】
そして、画像形成装置100は、RGBの画像データを記憶装置107から読み出し、S9の画質調整処理と同じ画質調整処理を行う(S19)。その後、画像形成装置100は、スキャナの特性に応じたRGBの画像データを、表示装置の特性に応じたR’G’B’の画像データに変換する(S20)。S18の後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基にR’G’B’の画像データに対して空間フィルタ処理を行い(S21)、R’G’B’の画像データがディスプレイの解像度およびサイズに適合するものになるように当該R’G’B’の画像データに対して間引き処理を行う(S22)。S22の後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基に、R’G’B’の画像データに対して出力γ補正処理を行う(S23)。S23の後、画像形成装置100は、R’G’B’の画像データに基づいてプレビュー表示を行う(S24)。そして、S24の後、プレビュー表示された画像のカラー設定を変更する旨のコマンドが利用者から入力されると(S25においてYES)、画像形成装置100は、記憶装置107に記憶されているRGBの画像データ、および自動カラー判別処理による判定結果を表わすデータを読み出し、変更後のカラー設定に応じた再プレビュー表示処理を行い(S26)、S25の処理に戻る。
【0138】
一方、プレビュー表示された画像のカラー設定を変更する旨のコマンドが利用者から入力されず(S25においてNO)、プリント許可を示すコマンドが利用者から入力されると(S27にてYES)、画像形成装置100は、記憶装置107に記憶されているRGBの画像データ、および自動カラー判別処理による判定結果を表わすデータを再度読み出し、これらのデータに基づいて印刷処理を実行する。これに対し、プリント取消を示すコマンドが利用者から入力されると(S27にてNO)、画像形成装置100は処理を終了する。
【0139】
(1−6)画像表示装置のユーザインターフェース
コピアモードにおいて、利用者がプレビュー表示を行い、その後、カラー設定を変更して再プレビュー表示を行うときのユーザインターフェースの変化(画面遷移)について、図15〜図18、図20、図21を用いて以下に説明する。
【0140】
図15は、プレビュー表示の有無を設定する画面であり、画像表示装置104に表示されているユーザインターフェースを示す図である。「カラーモード」で、カラー設定として、フルカラーモード、自動カラー選択モード、モノクロモード、シングルカラーモード、または、2色カラーモードを選択することができる。また、プレビュー確認ボタンを選択して、スタートボタンを押下すると、「プレビュー表示有」が設定され、プレビュー確認ボタンを選択せずに、スタートボタンを押下すると「プレビュー表示無」が設定される。
【0141】
図16は、利用者が図15のユーザインターフェースで「カラーモード」としてモノクロモードを選択した場合に、画像表示装置104に表示されるユーザインターフェースを示す図である。
【0142】
モノクロモードが設定されているので、原稿種別として「白黒」と表示され、プレビュー画像もモノクロ画像となっている。また、「再設定」ボタンは、表示している原稿についてカラー設定を変更したい場合に選択するボタンである。「再設定」ボタンが選択されると図17のユーザインターフェースが画像表示装置104に表示される。
【0143】
図17は、「カラーモード」「両面コピー」「特別機能」について、再設定を行うためのユーザインターフェースである。カラー設定を変更するために、利用者が「カラーモード」を選択すると、図18のユーザインターフェースが画像表示装置104に表示される。なお、特別機能は、例えば、2in1や4in1として出力する場合、または日付、ページ数、スタンプ等を原稿に付加する場合に選択するモードである。
【0144】
図18は、「カラーモード」として、フルカラーモード、自動カラー選択モード、白黒(モノクロ)モード、シングルカラーモード、または、2色カラーモードを選択するためのユーザインターフェースである。利用者がいずれかのモード(例えばフルカラーモード)を選択すると、図20に示すように確認画面が表示され、図21に示すように、設定後のカラー設定(例えばフルカラーモード)による再プレビュー表示のユーザインターフェースが画像表示装置104に表示される。
【0145】
(2)ファクシミリ送信モード
(2−1)送信処理時(画像送信ジョブ時)
図10は、図1の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ送信モードにて白黒モードでプレビュー表示を行わずに送信処理を行う際の画像データの流れを示した図である。なお、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9の処理については、コピアモードの場合と同じであるため、以下ではその説明を省略する。
【0146】
領域分離信号復号部10は、ファクシミリ送信モードでは、記憶装置107から領域分離信号コードを読み出して復号化し、復号化した領域分離信号を空間フィルタ部15へ送信する。
【0147】
画質調整部11は、復号部9から出力されたRGBの画像データをKの画像データ(グレーの濃淡を示す値)に変換する。
【0148】
2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は、画質調整部11から出力されたKの画像データ(信号)に対して何も処理を行わず、このKの画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
【0149】
空間フィルタ部15は、Kの画像データに対して、領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理,平滑化処理等)を行っている。変倍部16は、送信解像度に応じてKの画像データに対して変倍処理を行う。出力階調補正部17は、変倍部16から出力されたKの画像データに対して出力γ補正処理(用紙等の記録媒体に出力するためのγ補正)を行う。中間調生成部18は、例えば誤差拡散法によって、Kの画像データを2値化画像データに変換する。そして、2値化画像データは、不図示の回転処理部によって必要に応じて回転処理がなされ、不図示の圧縮/伸張処理部によって所定の形式で圧縮されて、不図示のメモリに格納される。
【0150】
その後、送信装置(例えば、モデム)106は、相手先との送信手続きを行い送信可能な状態を確保すると、上記メモリに格納されている2値化画像データを所定の形式で圧縮された状態で読み出し、圧縮形式の変更など必要な処理を施し、通信回線を介して当該2値化画像データを相手先に順次送信する。
【0151】
一方、プレビュー表示を行った後に、ファクシミリ送信モード且つ白黒モードにて送信処理が指示された場合には、制御部108が、記憶装置107に記録されている送信処理対象画像の画像データの符号化コード、当該符号化コードに対応する領域分離信号コード、およびカラー判別処理による判定結果を表わすデータを読み出し、復号部9、領域分離信号復号部10にそれぞれ引き渡す。すなわち、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8は、プレビュー表示後のファクシミリ送信に関する動作は何も行わない。
【0152】
なお、領域分離信号復号部10、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17、中間調生成部18の各動作は、プレビュー表示を行わずにファクシミリ処理をする場合の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0153】
(2−2)プレビュー表示時および再プレビュー表示時
図11は、図1の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ送信モードにて白黒モードでプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示した図である。なお、ファクシミリ送信モードにおけるプレビュー表示とは、ファクシミリ送信前において当該ファクシミリ送信する画像のプレビュー表示を行う処理を意味する。
【0154】
プレビュー表示時において、A/D変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、領域分離信号復号部10、画質調整部11、空間フィルタ部15の処理は、ファクシミリの送信処理時と同じであるため、その説明を省略する。また、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14での処理は、ファクシミリの送信処理時と同じように、スルーされる。
【0155】
また、原稿種別自動判別部5、および画質調整部11の処理は、コピアモードにおいてプレビュー表示時に行う処理と同じであるため、説明を省略する。
【0156】
さらに、プレビュー表示時においては、送信処理時と異なり、図11に示すように、画質調整部11から画像表示装置104に渡って各画素においてKの画像データを3つ送信するようにしている(全て同一値)。これは、フルカラー仕様である画像表示装置104が1画素に対して3つの値(画像データ)を必要とするからである。
【0157】
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたKの画像データからなる画像の画素数が画像表示装置104の表示サイズの画素数に適合するように、Kの画像データに対して間引き処理を行う。また、変倍部16では、画像形成装置に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
【0158】
出力階調補正部17は、変倍部16から出力されたKの画像データに対して、画像表示装置104の表示特性に応じたγ補正を行う。そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたKの画像データに対して何も処理を行わず、当該Kの画像データをそのまま後段の画像表示装置104へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置104は、Kの画像データに基づいて、ファックス送信の対象となる画像のプレビューを表示できる。
【0159】
また、ファクシミリ送信モードのプレビュー表示処理時では、画質調整部11において、RGBの画像データが3つのKの画像データに変換される形態となっている。しかし、このような形態に限定されるものではなく、例えば、出力階調補正部17まではRGBの画像データをKの画像データに変換することなく画像処理を行い、出力階調補正部17から出力されたRGBの画像データをブラウザによってKの画像データに変換するような形態であってもよい。
【0160】
なお、画像形成装置100が、ファクシミリ送信モード、且つ、フルカラーモードで行うプレビュー表示処理は、コピアモード、且つ、フルカラーモードで行うプレビュー表示処理と同じであるので、説明を省略する。
【0161】
また、画像形成装置100が、ファクシミリ送信モードで行う再プレビュー表示処理は、コピアモードで行う再プレビュー表示処理と同じであるので、説明を省略する。
【0162】
(2−3)各ブロックの動作/非動作について
以上のように、ファクシミリ送信モードの送信処理時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図10参照)。これに対し、ファクシミリ送信モードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、中間調生成部18は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図11参照)。
【0163】
また、再プレビュー表示時やプレビュー表示後の印刷処理時には、カラー設定がいずれのモードに設定されている場合でも、A/D変換部2〜領域分離信号圧縮部8が動作しないことになる。
【0164】
(2−4)処理手順
つぎに、ファクシミリ送信モードにおける処理手順の一例を説明する。画像形成装置100において「プレビュー表示有り」の設定がされていない状態で、利用者によってファックス送信コマンドが入力された場合、図7に示されるように画像データが処理され、当該画像データが外部装置へ送信されることになる。
【0165】
これに対し、画像形成装置100において「プレビュー表示有り」の設定がされている状態で、利用者によってファックス送信コマンドが入力された場合、図8に示されるように画像データが処理されることによって、当該画像データが記憶装置107に保存され、且つ、当該画像データの画像のプレビューが画像表示装置104に表示される。そして、プレビューが表示されている状態において送信許可を示すコマンドが利用者から入力されると、記憶装置107の画像データが読み出され、読み出された画像データは図7に示されるように復号部9〜中間調生成部18によって処理され、送信装置106によって外部装置に送信される。
【0166】
(3)ファクシミリ受信モード
(3−1)印刷処理時(画像印刷ジョブ時)
図12は、図1の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ受信モードにて印刷処理を行う際の画像データの流れを示した図である。
【0167】
ファクシミリを受信する場合、受信装置105が、通信手続きを行いながら相手先から送信されてくるKの画像データ(1ビット)を受信する。そして、受信装置105にて受信されたKの画像データは、圧縮/伸張処理部(不図示)にて伸張処理が施され、回転処理部(不図示)にて必要に応じて回転処理が施され、解像度変換部(不図示)にて必要に応じて解像度変換処理が行なわれる。その後、当該画像データは、一旦、記憶装置107に保存される。
【0168】
さらに、記憶装置107に書き込まれた画像データは、制御部108によって画像処理装置102の復号部9に引き渡される。復号部9、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17および中間調生成部18は、記憶装置107から送られてきた画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の画像出力装置103へ引き渡す(スルーする)。画像出力装置103は、中間調生成部18より送られてきたKの画像データに基づいて記録媒体(例えば紙等)上に画像を形成する。なお、ファクシミリ受信モードにて印刷処理を行う場合、上記のように画像処理を行わないので、記憶装置107に格納されている画像データを直接画像出力装置103に出力するようにしても良い。
【0169】
(3−2)プレビュー表示時
図13は、図1の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ受信モードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示した図である。なお、ファクシミリ受信モードにおけるプレビュー表示とは、ファクシミリにて画像データを受信した場合、当該画像データの画像を印刷する前に印刷される画像のプレビュー表示を行う処理を意味する。
【0170】
ファクシミリ受信モードにおけるプレビュー表示時においても、ファクシミリ受信モードにおける印刷処理時と同様、記憶装置107に書き込まれた画像データは、制御部108によって画像処理装置102の復号部9に引き渡される。復号部9は、記憶装置107から送られてきた画像データに対して何も処理を行わず、不図示のビット数変換処理部に当該画像データを引き渡す(スルーする)。そして、ビット数変換処理部は、復号部9から受け取った画像データのビット数を変換し(例えば1ビットから8ビットへ変換)、ビット数変換された画像データを後段の画質調整部11へ引き渡す。つまり、図示はしていないものの、図13において復号部9と画質調整部11との間にビット数変換処理部が備えられていることになる。
【0171】
画質調整部11は、図13に示すように、画素毎に、1つのKの画像データを入力すると、このKの画像データを3つ生成して出力している(全て同一値)。これは、フルカラー仕様である画像表示装置104が1画素に対して3つの値を必要とするからである。
【0172】
その後、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は、画質調整部11から送られてきたKの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。空間フィルタ部15は、Kの画像データに対してデジタルフィルタを用いてぼかし処理等を行う。
【0173】
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたKの画像データからなる画像の画素数が画像表示装置104の表示サイズの画素数に適合するように、Kの画像データに対して間引き処理を行う。また、変倍部16では、画像形成装置100に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
【0174】
出力階調補正部17は、変倍部16から出力されたKの画像データに対して、画像表示装置104の表示特性に応じた出力γ補正処理を行う。そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたKの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の画像表示装置104へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置104は、Kの画像データに基づいて、ファックス受信された画像のプレビューを表示できる。
【0175】
(3−3)各ブロックの動作/非動作について
以上のように、ファクシミリ受信モードの印刷処理時では、画質調整部11〜中間調生成部18は動作しない(図12参照)。これに対し、ファクシミリ受信モードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、中間調生成部18は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図13参照)。
【0176】
(3−4)処理手順
つぎに、ファクシミリ受信モードの処理手順の一例を説明する。画像形成装置100においてファクシミリによって画像データが受信された場合、受信された画像データは一旦記憶装置107に書き込まれる。ここで、画像データが記憶装置107に書き込まれてから画像の印刷が行われるまでにはタイムラグがあるが、このタイムラグ中に利用者から「プレビューコマンド」が入力された場合、上記画像データは図10に示されるような流れで処理され、当該画像データの画像のプレビューが画像表示装置104に表示される。また、画像の印刷が行われる際は、図9に示されるような流れで処理され、当該画像データの画像が画像出力装置103にて印刷されることになる。
【0177】
(4)イメージ送信モード
(4−1)送信処理時(画像送信ジョブ時)
イメージ送信モードにおいて、画像形成装置100にフルカラーモードでプレビュー表示を行わずに送信処理の動作させる場合、画像入力装置101、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9の処理内容は、コピアモードの場合と同じである。なお、領域分離信号復号部10は空間フィルタ部15および出力階調補正部17に対して領域分離信号を供給している。
【0178】
そして、画質調整部11にて下色除去やカラーバランス調整が行われ、色補正部13において、一般に普及している表示装置の表示特性に適合したR”G”B”の画像データ(例えば、sRGBデータ)に変換され、空間フィルタ部15にて領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理,平滑化処理)が行われている。変倍部16にて画像の拡大や縮小処理が行われる。また、出力階調補正部17では、例えば、文字領域に対しては図5(b)のガンマ曲線を用いた補正が行われ、文字以外の領域に対しては図5(a)のガンマ曲線を用いた補正が行われる。なお、2色化処理部12、黒生成/下色除去部14は、入力される画像データに対して処理を行わず、この画像データをそのまま後段のブロックにスルーする。したがって、出力階調補正部17から出力されるのはR”G”B”の画像データである。
【0179】
さらに、出力階調補正部17から出力されるR”G”B”の画像データは、図示しないフォーマット変換処理部にてPDFファイル等の画像ファイルに変換される。そして、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいて、当該画像ファイルは図示しないメール処理部(ジョブ装置)にて電子メールに添付され、当該電子メールがネットワークを介して相手先に送信されることになる。また、イメージ送信モードのscan to ftpモードにおいて当該画像ファイルは所定のフォルダに送信され、イメージ送信モードのscan to usbモードにおいて当該画像ファイルは所定のUSBメモリに送信される。
【0180】
一方、プレビュー表示を行った後に、イメージ送信モード且つフルカラーモードにて、送信処理が指示された場合には、制御部108が、記憶装置107に記録されている送信処理対象画像の画像データの符号化コード、当該符号化コードに対応する領域分離信号コード、およびカラー判別処理による判定結果を表わすデータを読み出し、復号部9、領域分離信号復号部10にそれぞれ引き渡す。すなわち、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8は、プレビュー表示後のイメージ送信に関する動作は何も行わない。
【0181】
なお、領域分離信号復号部10、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17、中間調生成部18の各動作は、プレビュー表示を行わずにイメージ送信処理をする場合の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0182】
また、プレビュー表示を行った後に、イメージ送信モード且つグレースケールモードにて、画像形成装置100が行う送信処理は、プレビュー表示を行った後にファクシミリ送信モードにて白黒モードで画像形成装置100が行う送信処理と同じである。一方、イメージ送信モード且つ白黒2値モードにて、プレビュー表示を行った後に画像形成装置100が行う送信処理は、プレビュー表示を行った後にファクシミリ送信モードにて白黒モードで画像形成装置100が行う送信処理と同様であるが、画質調整部11が、RGBの画像データをKの画像データ(白黒2値からなる白黒2値画像データ)に変換して、Kの画像データを2色化処理部12に出力する点において異なっている。なお、画像調整部11が、上記変換を行う代わりに、2色化処理部12が、Kの画像データ(グレースケールの濃淡を表わす値からなる白黒多値画像データ)をKの画像データ(白黒2値画像データ)に変換してもよい。
【0183】
さらに、プレビュー表示を行った後に、イメージ送信モード且つACSモードにて、画像形成装置100が行う送信処理は、画質調整部11は、受け付けた自動カラー判別処理による判定結果を表わすデータがグレースケール原稿である旨を表わしている場合には、RGBの画像データをKの画像データ(白黒多値画像データ)に変換して、当該Kの画像データを2色化処理部12に出力する。一方、画質調整部11は、受け付けた自動カラー判別処理による判定結果を表わすデータが白黒2値原稿である旨を表わしている場合には、RGBの画像データをKの画像データ(白黒2値画像データ)に変換して、当該Kの画像データを2色化処理部12に出力する。
【0184】
(4−2)プレビュー表示時および再プレビュー表示時
イメージ送信モードのプレビュー表示時にて画像形成装置100を動作させる場合、画像入力装置101、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、領域分離信号復号部10、2色化処理部12の処理内容は、イメージ送信モードの送信時と共通である。
【0185】
また、原稿種別自動判別部5、および画質調整部11の処理は、コピアモードにおいてプレビュー表示時に行う処理と同じであるため、説明を省略する。
【0186】
そして、イメージ送信モードのプレビュー表示時において、色補正部13は、RGBの画像データを画像表示装置104の色空間に適合するR’G’B’の画像データへ変換する処理を行う。
【0187】
その後、送信時と同様、空間フィルタ部15にて領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理,平滑化処理)が行われている。変倍部16にて画像表示装置104のサイズに適合するように間引き処理が行われる。また、出力階調補正部17では、例えば、文字領域に対しては図5(b)のガンマ曲線を用いた補正が行われ、文字以外の領域に対しては図5(a)のガンマ曲線を用いた補正が行われる。
【0188】
そして、出力階調補正部17から出力されるR’G’B’の画像データは画像表示装置104に供給され、画像表示装置104はR’G’B’の画像データに基づいてプレビュー表示を行う。
【0189】
なお、原稿種別自動判別部5は、イメージ送信モードの送信処理時およびプレビュー表示時においては、原稿画像がカラー原稿であるかモノクロ原稿であるかを判定するのみならず、モノクロ原稿と判定されたものについてはさらに白黒2値画像(白と黒との2値からなる画像)およびグレースケール画像(階調性を有する画像)のいずれであるかを判定する処理を行ってもよい。この判定処理の手法を以下簡単に説明する。まず、原稿種別自動判別部5は、モノクロ原稿と判定された画像について、白黒画素(モノクロ画素)と判定された全画素を対象に画素値の度数分布を作成する。そして、原稿種別自動判別部5は、この度数分布が主に白のピークと黒のピークとの2つのピークからなる場合は2値画像と判定し、この度数分布がなだらかである場合はグレースケール画像(階調性を有する画像)と判定する。
【0190】
さらに、画像形成装置100は、原稿種別自動判別部5が原稿画像をグレースケール画像と判定した場合、グレースケール画像であることを利用者に認識させるための識別情報(例えば「グレースケール」の文字)を画像表示装置104に表示してもよい。これにより、利用者は、送信される原稿がグレースケール画像であることを認識できる。なお、グレースケール画像であることを利用者に認識させるための識別情報は、プレビュー画像と重ならないように当該プレビュー画像とともに表示される。
【0191】
なお、画像形成装置100が、イメージ送信モード、且つ、フルカラーモードで行うプレビュー表示処理は、コピアモード、且つ、フルカラーモードで行うプレビュー表示処理と同じであるので、説明を省略する。
【0192】
また、画像形成装置100が、イメージ送信モードで行う再プレビュー表示処理は、コピアモードで行う再プレビュー表示処理と同じであるので、説明を省略する。
【0193】
(4−3)画像表示装置のユーザインターフェース
コピアモードにおいて、利用者がプレビュー表示を行い、その後、カラー設定を変更して再プレビュー表示を行うときのユーザインターフェースの変化(画面遷移)について、図15、図19〜図21を用いて以下に説明する。
【0194】
図15は、プレビュー表示の有無を設定する画面であり、画像表示装置104に表示されているユーザインターフェースを示す図である。「カラーモード」で、カラー設定として、フルカラーモード、自動カラー選択モード、グレースケールモード、または白黒2値モードを選択することができる。また、プレビュー確認ボタンを選択して、スタートボタンを押下すると、「プレビュー表示有」が設定され、プレビュー確認ボタンを選択せずに、スタートボタンを押下すると「プレビュー表示無」が設定される。
【0195】
利用者が図15のユーザインターフェースで「カラーモード」としてグレースケールモードを選択した場合に、画像表示装置104にグレースケールモードによりプレビューが表示される。
【0196】
グレースケールモードが設定されているので、原稿種別として「グレースケール」と表示され、プレビュー画像もグレースケール画像となっている。また、「再設定」ボタンは、表示している原稿についてカラー設定を変更したい場合に選択するボタンである。「再設定」ボタンが選択されると、「カラーモード」を選択するためのユーザインターフェースが画像表示装置104に表示される。
【0197】
カラー設定を変更するために、利用者が「カラーモード」を選択すると、図19のユーザインターフェースが画像表示装置104に表示される。
【0198】
図19は、「カラーモード」として、フルカラーモード、自動カラー選択モード、グレースケールモード、または白黒2値モードを選択するためのユーザインターフェースである。利用者がいずれかのモード(例えばフルカラーモード)を選択すると、図20に示すように確認画面が表示され、図21に示すように、設定後のカラー設定(例えばフルカラーモード)による再プレビュー表示のユーザインターフェースが画像表示装置104に表示される。
【0199】
(5)変形例
図1に示した画像形成装置100では、圧縮画像データ(符号化コード)と領域分離信号コードとを対応付けて記憶装置107に格納している。しかし、図11に示す画像形成装置100aのように、画像入力装置101にて画像データを読み取った後、領域分離処理および原稿種別判別処理を行う前に、読み取った画像データを符号化して一旦記憶装置107に格納しておき、記憶装置107から読み出して復号化した画像データについて原稿種別判別処理や領域分離処理を施すように構成しても良い。この場合には、原稿種別判別処理において、原稿の頁毎の画像データと、自動カラー判別処理による「フルカラー」、「モノクロ」の判定結果とが、関連付けて記憶装置107に格納される。
【0200】
また、図1に示した画像形成装置100は、コピアモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード・ファクシミリ受信モード・イメージ送信モード等のジョブの選択中に画像ファイリングモード(画像ファイリングジョブ)を実行可能としてもよい。この画像ファイリングモードとは、コピアモード等のジョブの選択中において、画像入力装置101にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データに基づいて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)を作成し、この画像ファイルを記憶装置107に保存するモードである。
【0201】
ここで、画像ファイリングモードのファイリング時において、画像入力装置101にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置102にて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)に変換され、その後、不図示のファイリング処理部(ジョブ装置)に送られ、このファイリング処理部が上記画像ファイルを記憶装置107に保存されるようになっている。
【0202】
また、各ジョブ(コピアモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード等)の選択中においてプレビューを行う場合、画像ファイリングモードの実行の有無に拘わらず、画像入力装置101にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置102にて処理され、その後、画像表示装置104に送られるようになっている。さらに、各ジョブの選択中においてプレビューを行う場合、画像ファイリングモードの実行の有無に拘わらず、画像処理装置102にて実行される画像処理の内容は同一である。例えば、コピアモードのプレビュー表示時、画像ファイリングモードの実行の有無に関係なく、画像処理装置102の処理内容は図3に示すものとなる。また、ファクシミリ送信モードのプレビュー表示時、画像ファイリングモードの実行の有無に関係なく、画像処理装置102の処理内容は図8に示すものとなる。
【0203】
(6)自動カラー判別処理の方法について
原稿種別自動判別部5のカラーモノクロ判定部51が行う自動カラー選択処理方法について、図22〜図24を用いて以下に説明する。
【0204】
本実施形態において、カラーモノクロ判定部51が行う自動カラー選択処理方法としては、例えば、特開2005−286571に記載の原稿判別処理の方法を用いてもよい。以下に、この方法を用いた場合のカラーモノクロ判定部51の処理について、具体的に説明する。なお、以下では、RGB信号を入力値として用いた場合の処理について説明するが、RGB信号を補色反転したCMY信号やRGB信号から変換されたCIE1976L信号(CIE: Commission International de l’Eclairage :国際照明委員会。L: 明度、a、b: 色度)を入力値として処理を行っても構わない。
【0205】
最初に、カラーモノクロ判定部51は、有彩・無彩画素判定を行う。具体的には、カラーモノクロ判定部51は、注目画素を中心とするn×mのブロック(例えば3×3)におけるRGBの入力信号毎の濃度値の平均値(R’、G’、B’)の算出を行う。そして、カラーモノクロ判定部51は、算出された各信号の濃度値の平均値(R’、G’、B’)のうち、最大値と最小値を算出し、最大値と最小値の差分値(最大濃度差分値)を求める。その後、前記算出した最大濃度差分値と予め設定されている有彩画素判定閾値(例えば、20)との比較を行い、最大濃度差分値が有彩画素判定閾値よりも大きければ、注目画素が有彩画素であると判定し、最大濃度差分値が有彩画素判定閾値よりも小さければ無彩画素であると判定する。
【0206】
次に、カラーモノクロ判定部51は、有彩・無彩画素判定により有彩画素と判定されたデータに対してのみヒストグラムを作成する。
【0207】
そして、カラーモノクロ判定部51は、作成されたヒストグラムの解析を行う。具体的には、カラーモノクロ判定部51は、有彩画素ヒストグラムにおける最も度数値の大きい濃度値(画素値)の検出を行い、その濃度値を最大度数濃度値とする。次に、カラーモノクロ判定部51は、求められた最大度数濃度値と、所定の濃度閾値(例えば、150)との比較を行い、最大度数濃度値が濃度閾値より小さければ、カラー原稿であると判定する。一方、最大度数濃度値が濃度閾値以上の時は、最大度数濃度値を中心に予め設定されている濃度幅の領域の総度数値(最大濃度領域の総度数値)を算出し、予め設定されている無彩判定度数閾値との比較を行う。そして、最大濃度領域の総度数値が無彩判定度数閾値よりも小さければカラー原稿であると判定する。上記濃度幅の値としては、例えば最大度数濃度値を中心として±8程度に設定する。また、無彩判定度数閾値は有彩画素と判定された総画素数に対する割合で設定されるものであり、例えば、有彩総画素数×90%といった値に設定する。
【0208】
なお、上記判定処理を各色成分の信号毎に行い、全ての信号において最大濃度領域の総度数値が無彩判定度数閾値以上であった場合のみ、モノクロ原稿であると判定する。
【0209】
部分的な変色(汚れ・しみ)した原稿、色つき用紙や全体的に変色した用紙の原稿などには有彩画素が含まれるが、以上の判定処理によりこのような原稿をモノクロ原稿と判定できる。その理由は次の通りである。
【0210】
すなわち、一般的なカラー原稿の有彩画素ヒストグラムは、図22に示すように色数が増えるとともに、ピークの領域幅が広くなり、原稿におけるカラー領域が大きくなるとともに度数が大きくなるピークが形成される。一方、部分的な変色(汚れ・しみ)を有する原稿の有彩画素ヒストグラムは、同色系で原稿の一部分に存在するため、全ての信号において高濃度域側で濃度領域幅の狭い小さなピークが1つ形成されるためである(図23参照)。また、色つき用紙や全体的に変色した用紙の原稿についても、有彩画素の度数は大きくなるものの、部分的な変色(汚れ・しみ)した原稿と同様に、の有彩画素ヒストグラムは各信号ともに濃度が高く、同色であるため高濃度域側で濃度領域幅の狭いピークが形成されている(図24参照)。これにより、部分的な変色(汚れ・しみ)した原稿と色つき用紙や全体的に変色した用紙の原稿においては、ピークの度数は原稿における有彩総画素数に依存するため、ピークの濃度位置、濃度幅の度数で判定することが可能となる。
【0211】
また、上記設定した各閾値においては、任意に調節することにより、原稿データに適切な処理を行うことが可能となる。そして、これらの閾値については予想される複数の値を予めROM(Read Only Memory) 等に記憶させておき、必要に応じてスイッチ等により、メモリ等の図示しない記憶手段に格納される値を設定できるようにしておけばよい。
【0212】
また、本実施形態において、カラーモノクロ判定部51が行う自動カラー選択処理方法の別の方法としては、例えば、特開平4−282968に記載されている原稿の色種判別処理の方法を用いてもよい。この方法は、各画素毎にカラー画素であるかモノクロ画素であるかを判別し、与えられる画素群の中に所定数以上の連続するカラー画素の存在することが検知されると、この連続するカラー画素を1つのカラーブロックと認識し、1ライン中に所定数以上のカラーブロックが存在していれば、そのラインをカラーラインとして計数する。そして、原稿中のカラーラインが所定数存在していればカラー画像と判断し、そうでない場合はモノクロ画像と判断するものである。あるいは、カラーモノクロ判定部51が行う自動カラー選択処理方法のさらに別の方法として、有彩と判定された画素を原稿全体で計数し、例えば、有彩画素が7000以上である場合にカラー原稿であると判定し、有彩画素が7000未満である場合にモノクロ原稿であると判定するようにしても良い。
【0213】
また、有彩無彩の判別方法としては、上記説明した方法の他に、以下の公知の方法が挙げられる。
【0214】
(a)RGB信号の最大値と最小値を閾値THaとを比較する方法。すなわち、以下の式が真である場合、有彩と判別され、偽である場合には、無彩と判別される。
【0215】
max(R,G,B)−min(R,G,B)≧THa
(b)RGB信号の各色成分の差分の絶対値を求めて閾値とを比較する方法。すなわち、差分の絶対値が閾値以上であれば、有彩と判別され、閾値未満であれば、無彩と判別される。
【0216】
(7)本実施形態の画像処理装置の利点について
本実施の形態の画像処理装置102は、印刷ジョブ(コピアモード、プリントモード)を行う画像出力装置(ジョブ装置,印刷装置)103に対して画像データを供給し、上記印刷ジョブの実行前に画像表示装置104にプレビューを表示させるために、上記画像データを画像表示装置104に供給するものである。
【0217】
そして、画像処理装置102は、画像出力装置103に供給される画像データに対して実行される第1画像処理と、画像表示装置104に供給される画像データに対して実行され且つ第1画像処理とは異なる第2画像処理とを、両画像処理に共通の回路領域を用いて実行する第1画像処理部を含んでいる。ここで、第1画像処理部の一例としては、コピアモード且つフルカラーモードにおける色補正部13が挙げられる。この色補正部13においては、RGBからCMYへの変換処理(第1画像処理)と、RGBからR’G’B’への変換処理(第2画像処理)とを共通の回路領域にて行っているからである。
【0218】
これにより、印刷処理等用の画像処理のみならず、印刷処理前のプレビュー用の画像処理を行う画像処理装置であっても、画像処理回路の回路規模を抑制できるという効果を奏する。
【0219】
また、本実施形態では、コピアモード且つフルカラーモードの印刷時、色補正部13は、スキャナにて読み取られ且つスキャナの特性に応じた加法混色用の画像データ(RGB)を、画像出力装置103の特性に応じた減法混色用の画像データ(CMY)に変換する処理を行っている。これに対し、コピアモード且つフルカラーモードのプレビュー時、色補正部13は、スキャナにて読み取られ且つスキャナの特性に応じた加法混色用の画像データ(RGB)を、画像表示装置104の特性に応じた加法混色用の画像データ(R’G’B’)に変換する処理を行っている。つまり、プレビュー表示時、スキャナの特性に応じた加法混色用の画像データを画像表示装置104の特性に応じた加法混色用の画像データに直接変換している。したがって、本実施形態の画像処理装置102によれば、コピアモード且つフルカラーモードのプレビュー表示時、RGBの画像データからR’G’B’の画像データへの1回の非線形変換を行っているものの、特開平9−135316号公報の構成のように複数回の非線形変換を行うことがないため、変換誤差の蓄積を抑制でき、色再現性の低下を抑制できる。なお、特開平9−135316号公報では、RGBのデータからCMYのデータへの変換、CMYのデータからCMYKのデータへの変換、CMYKのデータからCMYのデータへの変換、CMYのデータからRGBのデータへ変換の計4回の変換が行われているため、変換誤差が蓄積され、色再現性が低下してしまう。
【0220】
また、本実施形態では、コピアモード且つシングルカラーモードのプレビュー時、または、コピアモード且つ2色カラーモードのプレビュー時、上記非線形変換を行っているものの、非線形変換の回数は2回のみであるため、計4回の非線形変換を行っている特開平9−135316号公報の構成よりも色再現性の低下を抑制できる。
【0221】
さらに、本実施形態では、コピアモード且つフルカラーモードの印刷時、黒生成/下色除去部14においては、CMYの画像データをCMYKの画像データに変換する処理が行われる一方、コピアモード且つフルカラーモードのプレビュー表示時、黒生成/下色除去部14においては、R’G’B’に対して処理を施さずにそのまま出力している。これにより、CMYからCMYKに変換する処理(黒生成/下色除去処理)を行う必要がある印刷用の画像データと、黒生成/下色除去処理を行う必要の無いプレビュー用の画像データとについて、画像処理回路内での画像データの経路を共通にでき、回路構成を簡略化できる。
【0222】
なお、本実施形態の画像処理装置102においては、原稿種別自動判別部5の判別結果に基づく画像処理,領域分離処理部6の処理結果に基づく画像処理,下地除去処理を行うことが可能であり、これら処理の効果は画像表示装置104に表示されるプレビュー画像にも反映される。
【0223】
(プログラム、記録媒体)
最後に、画像処理装置102に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0224】
すなわち画像処理装置102は、各機能を実現する制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。画像処理装置102(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0225】
プログラムコードを画像処理装置102に供給する記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0226】
また、画像処理装置102は、通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して画像処理装置102に供給する。この通信ネットワークは、画像処理装置102にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0227】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線などの有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0228】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0229】
本発明の画像処理装置は、画像データを取り扱う装置に用いることができるが、複合機、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置に特に好適である。
【符号の説明】
【0230】
5 原稿種別自動判別部
11 画質調整部(出力制御手段)
12 2色化処理部(出力制御手段)
13 色補正部(出力制御手段)
14 黒生成/下色除去部(出力制御手段)
15 空間フィルタ部(出力制御手段)
16 変倍部(出力制御手段)
17 出力階調補正部(出力制御手段)
18 中間調生成部(出力制御手段)
51 カラーモノクロ判定部(カラーモノクロ判定手段)
100 画像形成装置
101 画像入力装置(原稿読取装置)
102 画像処理装置
103 画像出力装置(ジョブ装置)
104 画像表示装置
105 受信装置
106 送信装置(ジョブ装置)
107 記憶装置
108 制御部(記録手段、変更指示受付手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取装置にて原稿の画像をカラーとして読み取ることにより得られたカラー画像データから、画像印刷ジョブ、画像送信ジョブ、画像ファイリングジョブのうちのいずれかのジョブで取り扱われる出力画像データを生成して当該ジョブを実行するジョブ装置に出力する出力制御手段を備えた画像処理装置であって、
上記出力画像データに対して指示されたカラー設定の設定内容に拘わらず、上記カラー画像データが、カラー原稿を表わす画像データであるかモノクロ原稿を表わす画像データであるかを判定するカラーモノクロ判定手段と、
上記カラーモノクロ判定手段による判定結果を上記カラー画像データと関連付けて記憶装置に記録する記録手段と、
上記カラー設定の変更指示を受け付ける変更指示受付手段とを備え、
上記出力制御手段は、上記変更指示受付手段が変更指示を受け付けると、当該変更指示で変更されたカラー設定に従った上記出力画像データを、上記記憶装置に記録されている上記判定結果および上記カラー画像データに基づいて生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記出力制御手段は、上記出力画像データとは別に、上記カラー画像データから、画像表示装置で表示するための上記カラー設定に従った表示用画像データを生成し、当該画像表示装置に出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記原稿が複数頁からなる場合、上記カラーモノクロ判定手段は、各頁の画像を表わすカラー画像データに対して上記判定を行い、上記記録手段は、頁毎に当該カラーモノクロ判定手段による判定結果を当該カラー画像データと関連付けて記憶装置に記録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記カラーモノクロ判定手段は、カラー設定の設定内容に拘わらず、上記カラー画像データが、カラー原稿、グレースケール原稿、および白黒2値原稿のいずれの原稿を表わす画像データであるかを判定し、
上記出力制御手段は、上記変更指示受付手段が受け付けた変更指示で変更されたカラー設定が自動カラー選択モードであるとき、上記記憶装置に記録されている上記判定結果がグレースケール原稿を表わしている場合には、上記出力画像データとして白黒多値画像データを生成し、上記記憶装置に記録されている上記判定結果が白黒2値原稿を表わしている場合には、上記出力画像データとして白黒2値画像データを生成することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置および原稿読取装置を備えていることを特徴とする画像読取処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像処理装置、原稿読取装置、および画像表示装置を備えていることを特徴とする画像読取処理装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置およびジョブ装置を有し、上記ジョブ装置が印刷装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
原稿読取装置にて原稿の画像をカラーとして読み取ることにより得られたカラー画像データから、画像印刷ジョブ、画像送信ジョブ、画像ファイリングジョブのうちのいずれかのジョブで取り扱われる出力画像データを生成して当該ジョブを実行するジョブ装置に出力する出力制御工程を含んだ画像処理方法であって、
上記出力画像データに対して指示されたカラー設定の設定内容に拘わらず、上記カラー画像データが、カラー原稿を表わす画像データであるかモノクロ原稿を表わす画像データであるかを判定するカラーモノクロ判定工程と、
上記カラーモノクロ判定工程における判定結果を上記カラー画像データと関連付けて記憶装置に記録する記録工程と、
上記カラー設定の変更指示を受け付ける変更指示受付工程と、を含み、
上記出力制御工程において、上記変更指示で変更されたカラー設定に従った上記出力画像データを、上記記憶装置に記録されている上記判定結果および上記カラー画像データに基づいて生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるため画像処理プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理プログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−183456(P2010−183456A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26657(P2009−26657)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】