画像処理装置及びプログラム
【課題】ドラフトモード時のカラー画像の視認性を向上させることのできる画像データを画像形成装置に提供する。
【解決手段】カラーのインクを吐出可能なノズル32C,32M,32Yは第1解像度すなわち120dpiで形成され、ブラックのインクを吐出可能なノズル32K1,32K2は第2解像度すなわち360dpiで形成されている。そして、カラー画像データの縦方向の印刷解像度は第2解像度となっている。この場合において、x座標が1,4,7・・・,3*n+1(nは0以上の整数)の画素はノズル32C,32M,32Y,32K1に対応した位置にあるためカラー画像データとして画像形成装置に送信し、それ以外の画素はノズル32K2に対応した位置にあるためグレースケール画像データに色変換して画像形成装置に送信する。
【解決手段】カラーのインクを吐出可能なノズル32C,32M,32Yは第1解像度すなわち120dpiで形成され、ブラックのインクを吐出可能なノズル32K1,32K2は第2解像度すなわち360dpiで形成されている。そして、カラー画像データの縦方向の印刷解像度は第2解像度となっている。この場合において、x座標が1,4,7・・・,3*n+1(nは0以上の整数)の画素はノズル32C,32M,32Y,32K1に対応した位置にあるためカラー画像データとして画像形成装置に送信し、それ以外の画素はノズル32K2に対応した位置にあるためグレースケール画像データに色変換して画像形成装置に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置として、無彩色のインクを吐出する無彩色ノズルを有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルよりも高い解像度で用紙の搬送方向に配列したヘッドを備えたものが知られている。例えば、特許文献1に記載のカラーインクジェット記録装置は、ブラックインク用のノズルがカラーインク用のノズルの2倍の解像度で形成されたヘッドを備えている。このカラーインクジェット記録装置では、テキストデータを高品質で印刷するときには、ブラックインク用のノズルで1パス分の印刷を行ったあとノズルピッチの1/2分だけヘッドを紙送り方向に移動させて1パス分の印刷を行うことにより、ブラックインク用のノズルの2倍の解像度で印刷を行う。また、テキストデータをドラフトモードで印刷するときには、高品質印刷とは異なりノズルピッチの1/2分だけの移動は行わず、ブラックインク用のノズルの解像度で印刷を行う。これにより、高品質印刷ではドラフトモードの2倍の解像度で印刷が可能となり、ドラフトモードでは高品質印刷の2倍の速度で印刷が可能となる。一方、カラー画像データの印刷を行うときには、常に、カラーインク用のノズルで1パス分の印刷を行ったあとノズルピッチの1/2分だけ紙送りを行って1パス分の印刷を行う。これにより、カラーインク用のノズルの2倍の解像度(=ブラックインク用のノズルの解像度)で印刷を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−301812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、カラー画像データについてもドラフトモードにより高速に画像形成を行いたいという要望がある。しかし、無彩色ノズルを有彩色ノズルよりも高い解像度で用紙の搬送方向に配列したヘッドを備えた画像形成装置においては、有彩色ノズルの元々の解像度が低い。そのためドラフトモードで、すなわち1パスで形成したドットの用紙搬送方向の隙間にドットを形成することなく画像形成を行うと、有彩色ノズルからのドットの用紙搬送方向の間隔が広くなり、形成されたカラー画像の視認性が低下しやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、ドラフトモード時のカラー画像の視認性を向上させることのできる画像データを画像形成装置に提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像処理装置は、
有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルを用紙の搬送方向に第1解像度で並べた有彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第1無彩色ノズルを前記有彩色ノズル列と前記搬送方向の位置が揃うように前記第1解像度で並べた第1無彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第2無彩色ノズルを前記第1無彩色ノズルの前記搬送方向の隙間をa等分(aは2以上の整数)するように並べた第2無彩色ノズル列と、を有するヘッドと、前記ヘッドを前記用紙の搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、前記用紙を前記搬送方向に移動させる用紙送り手段と、を備え、前記ヘッドから前記インクを吐出して前記用紙に画像を形成可能な画像形成装置に接続される画像処理装置であって、
前記用紙搬送方向に対応する縦方向に前記第1解像度のa倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ前記主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなるカラー画像データを取得するカラー画像データ取得手段と、
前記カラー画像データの各画素のうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する変換画像データ生成手段と、
前記変換画像データを前記画像形成装置に送信する送信手段と、
を備えたものである。
【0008】
この画像処理装置は、ヘッドと、ヘッドを用紙の搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、用紙を搬送方向に移動させる用紙送り手段と、を備え、ヘッドからインクを吐出して前記用紙に画像を形成可能な画像形成装置に接続されるものである。また、この画像形成装置のヘッドは、有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルを用紙の搬送方向に第1解像度で並べた有彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第1無彩色ノズルを有彩色ノズル列と搬送方向の位置が揃うように第1解像度で並べた第1無彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第2無彩色ノズルを第1無彩色ノズルの搬送方向の隙間をa等分(aは2以上の整数)するように並べた第2無彩色ノズル列と、を有している。そして、この画像処理装置は、用紙の搬送方向に対応する縦方向に第1解像度のa倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなるカラー画像データを取得する。続いて、カラー画像データの各画素のうち、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成し、変換画像データを画像形成装置に送信する。こうすることで、変換画像データは、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素、すなわち画像形成装置の第2無彩色ノズルの位置に対応する画素が、グレースケールの画素に変換されたものとなる。そのため、この画像形成装置がドラフトモードで変換画像データの画像形成を行うときは、ヘッド移動手段がヘッドを主走査方向に1回移動(1パス)する間に、有彩色ノズル列及び第1無彩色ノズル列のノズルからインクを吐出することで変換画像データのうち縦方向で第1解像度に対応して配置された画素の階調値に基づく画像(カラーの画像)を形成できると共に、第2無彩色ノズル列のノズルからインクを吐出することで第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像(グレースケールの画像)を形成できる。これにより、従来のドラフトモードでは有彩色ノズルで形成したドットの用紙搬送方向の隙間になってしまう部分に第2無彩色ノズルのドットが形成されるため、用紙に形成したカラー画像の視認性が向上する。なお、第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像を有彩色ノズル及び第1無彩色ノズルから吐出したインクにより形成する必要がない、すなわち有彩色ノズル及び第1無彩色ノズルのノズルピッチの1/a分だけ用紙を搬送して1パス分の画像形成を行うといった動作の必要がないため、画像形成の速度は従来のドラフトモードと変わらない。このように、本発明の画像処理装置は、ドラフトモード時のカラー画像の視認性を向上させることのできる画像データ(変換画像データ)を画像形成装置に提供することができる。なお、「グレースケール」は画像(画素)を白から黒までの明暗だけで表現したものであり、2階調(黒と白のみ)で表現したものも含む意である。
【0009】
本発明の画像処理装置において、前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し、該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正し、該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値としてもよい。ここで、カラーの画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換する場合、特に彩度の高い画素については色変換後の画素が暗く表されやすく、用紙に形成された画像の色再現性が低下する場合がある。この画像処理装置では、画素の彩度が高いほど画素の輝度を高輝度に補正し、補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とするため、彩度の高い画素の色変換後の画素を明るくして、色再現性を向上させることができる。
【0010】
上述した輝度の補正を行う本発明の画像処理装置において、前記カラー画像データにおけるエッジ部分に相当するエッジ画素を検出するエッジ検出手段を備え、前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値とするものとしてもよい。こうすることで、エッジ画素の視認性の低下を防止しつつ、エッジ画素以外の画素の色再現性を向上させることができる。すなわち、上述した輝度の補正を行うと、特に画像のエッジ部分に相当するエッジ画素については輝度の補正を行わない場合と比べて視認性が低下する場合があるが、これを防止できる。この態様の本発明の画像処理装置において、前記カラー画像データのうち前記エッジ検出手段に検出されたエッジ画素に対してエッジ強調処理を行うエッジ強調手段を備え、前記変換画像データ生成手段は、前記エッジ強調処理を行ったカラー画像データのうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する手段であり、該色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を該色変換後の画素の階調値とするものとしてもよい。こうすれば、エッジ画素については強調処理を行い且つ輝度の補正を行わないことで視認性の低下を防止しつつ、エッジ画素以外の画素については輝度の補正を行って色再現性を向上させることができる。
【0011】
本発明のプログラムは、コンピューターを上述したいずれかの本発明の画像処理装置として機能させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述した本発明の画像処理装置として機能するため、本発明の画像処理装置と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】インクジェットプリンター10の構成の概略を示す構成図。
【図2】印刷ヘッド28の構成の概略を示す構成図。
【図3】ドラフト印刷ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】画素の位置と印刷ヘッド28の各ノズルとの位置関係を示す説明図。
【図5】CMYK色変換処理の一例を示すフローチャート。
【図6】生成率導出テーブルの説明図。
【図7】ディザマトリクスを用いてドットのオンオフを決定する様子を表す説明図。
【図8】グレースケール色変換処理の一例を示すフローチャート。
【図9】補正輝度Y’を導出する様子を表す説明図。
【図10】ドラフト印刷ルーチンにより印刷を行う様子を示す説明図。
【図11】別例のドラフトモードで印刷する様子を表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるインクジェットプリンター10の構成の概略を示す構成図であり、図2は印刷ヘッド28の構成の概略を示す構成図である。本実施形態のインクジェットプリンター10は、図1に示すように、用紙Sに画像を印刷するプリンターユニット20と、各種処理を実行するコントローラー40と、ユーザーへ情報を表示可能でありユーザーの指示を入力可能である操作パネル50と、携帯用の記憶媒体であり画像データが保存されたメモリーカードMCとの接続に用いられるカードインターフェース(I/F)70と、を備えている。コントローラー40や操作パネル50,カードI/F70はバス80によって電気的に接続されている。
【0014】
プリンターユニット20は、ASIC21とプリンター機構22とを備える。ASIC21は、プリンター機構22を制御する集積回路であり、コントローラー40から印刷指令を受けると、その印刷指令の対象となる画像データに基づいて用紙Sに画像を印刷するようプリンター機構22を制御する。プリンター機構22は、キャリッジモーター23と左右方向(主走査方向)にループ状に架け渡されたベルト24とにより駆動されガイド25に沿って左右に往復動するキャリッジ26と、このキャリッジ26に搭載されシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)(以下、適宜C,M,Y,Kとする)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ27と、各インクカートリッジ27から供給された各インクに圧力をかけて用紙Sに向かってインクを吐出する印刷ヘッド28と、背面側から供給された用紙Sを手前側へ送り出す搬送ローラー29とを備える。印刷ヘッド28には、図2に示すように、CMYの各色のインクを個別に吐出可能なノズル32C,32M,32Yが用紙Sの搬送方向(副走査方向)に配置されたノズル列30C,30M,30Yと、ブラック(K)のインクを吐出可能なノズル32Kが副走査方向に配置されたノズル列30K1,30K2とが形成されている。ノズル列30Cは、ピッチが所定長さLとなるようにノズル32Cを並べたものである。ノズル列30M,30Y,30K1についても、同様にピッチが所定長さLとなるようにノズル32M,32Y,32K1を並べたものである。本実施形態では、所定長さLはドットの搬送方向の解像度が120dpiとなるように設定されている。また、ノズル32C,32M,32Y,32K1は数が同じであり、ノズル32M,32Y,32K1の搬送方向の位置が揃うように形成されている。ノズル列30K2は、ノズル列30K1のノズル32K1の搬送方向の隙間(長さL)を3等分するようにノズル32K2を並べたものである。また、ノズル32K2の数はノズル32K1の2倍であり、ノズル32K2は副走査方向に沿って千鳥(ジグザグ)になるように配置されている。これにより、ノズル32K1とノズル32K2との両方からKのインクを吐出した場合には、Kのドットの搬送方向の解像度は120dpiの3倍の360dpiとなる。このように、印刷ヘッド28は、CMYのドットの解像度が120dpi、Kのドットの解像度が360dpiとなるよう構成されている。即ち、CMYのノズル密度に比してKのノズル密度が高密度となっている。以下、120dpiを第1解像度、360dpiを第2解像度と表記する場合がある。また、印刷ヘッド28は、各ノズルに個々に設けられた圧電素子に電圧を印加して変形させ、これにより加圧されたインクが吐出されることで用紙Sに大,中,小のドットを形成できるようになっている。大、中、小のドットの打ち分けは、圧電素子へ印可する電圧の波形を調整することによって行うことができる。
【0015】
操作パネル50は、ユーザーがインクジェットプリンター10に対して各種の指示を入力するためのデバイスであり、各種の指示に応じた文字や画像が表示されるカラー液晶パネルにより構成された表示部52や、各種操作を行なう際にユーザーが押下するカーソルキーや決定キーなどが配置された操作部54が設けられている。なお、ユーザーが操作部54を操作して印刷を指示する際には、印刷速度を重視するドラフトモードと印刷品質を重視する高品質モードとが選択可能になっている。
【0016】
カードI/F70は、メモリーカードMCにデータを書き込んだりメモリーカードMCからデータを読み出したりするデバイスである。メモリーカードMCは、データの書き込み及び消去可能な不揮発性のメモリーであり、例えばデジタルカメラなどの撮影装置により撮影されたカラー画像データや、図や写真などの画像とテキストとを含むカラー画像データが複数記憶されている。本実施形態では、これらのカラー画像データはRGB色空間で表される画素をマトリックス状に並べて構成されており、各画素データのRGB値はRGBの濃淡に応じてそれぞれ値0〜255(8ビット)の階調値で表されているものとする。なお、値0が最も色が濃く、値255が最も色が薄いことを表すものとした。
【0017】
コントローラー40は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶したROM44と、一時的に印刷データなどを記憶するRAM46と、を備える。このコントローラー40は、プリンターユニット20,カードI/F70からの各種動作信号や各種検出信号を入力したり、操作パネル50の操作部54の操作に応じて発生する操作信号を入力したりする。また、メモリーカードMCからデータを読み出してコントローラー40へ出力する読出指令をカードI/F70に出力したり、画像データの印刷を実行するようプリンターユニット20に印刷指令を出力したり、操作パネル50に表示部52の制御指令を出力したりする。
【0018】
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンター10の動作、特に、メモリーカードMCに記憶されたカラー画像データをドラフトモードで用紙Sに印刷するドラフト印刷を行なう場合の動作について説明する。図3は、コントローラー40により実行されるドラフト印刷ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーがメモリーカードMCに記憶されたカラー画像データを選択し、選択した画像データをドラフトモードで印刷するよう操作パネル50を介して指示したときに実行される。
【0019】
図3の印刷処理ルーチンが開始されると、コントローラー40は、まず、ユーザーにより操作パネル50を介して印刷を指示されたカラー画像データを入力して(ステップS110)、入力したカラー画像データの解像度を用紙Sに画像を印刷する際の印刷解像度に変換する(ステップS120)。具体的には、カラー画像データを用紙Sに印刷したときの搬送方向に対応する方向(以下、縦方向)の解像度が第2解像度になり、且つ、カラー画像データを用紙Sに印刷したときの主走査方向に対応する方向(以下、横方向)の解像度が第2解像度になるように解像度を変換する。なお、横方向の解像度は印刷ヘッド28により用紙Sにドットを形成可能な解像度であれば、例えば720dpiなど、第2解像度以外の解像度でもよい。解像度の変換は、例えば、ステップS110で入力したカラー画像データの解像度が印刷解像度より低いときには、カラー画素データの隣り合うカラー画素データ同士の間に新たに補間(例えばコピー)により画素を生成することで行う。また、入力した画像データの解像度が印刷解像度より高いときには、一定の割合で画素を間引くことで解像度の変換を行う。このようにステップS120では、適宜、入力したカラー画像データの補間や間引きを行う。なお、縦方向をx方向,横方向をy方向として、カラー画像データの画素の位置を座標(x、y)で表すものとする。また、印刷解像度に変換後のカラー画像データは、縦にxmax個,横にymax個の画素がマトリックス状に配置されているものとする。
【0020】
続いて、コントローラー40は、ステップS120の解像度変換により得られたカラー画像データについて、各画素がカラー画像データのエッジ部分に相当するエッジ画素であるか否かを判定するエッジ検出処理を行う(ステップS130)。エッジ検出処理は、例えば注目画素を中心とした上下左右9つの画素の輝度をそれぞれの画素のRGBの階調値から導出し、導出した輝度とSobelフィルターとを用いてエッジ強度を算出し、エッジ強度と閾値とを比較することにより行うことができる。なお、Prewittフィルターなど他のフィルターを用いてエッジ検出処理を行ってもよい。なお、CPU62は、エッジ検出処理の結果(いずれの画素がエッジ画素であるか)をRAM46に記憶する。
【0021】
次に、ポインターpを値1に初期化して(ステップS140)、x座標が値pである画素がノズル32C,32M,32Y,32K1に対応する位置の画素であるか否かを判定する(ステップS150)。画素の位置と印刷ヘッド28の各ノズルとの位置関係を図4に示す。上述したように、本実施形態では、ノズル32C,ノズル32M,32Y,32K1は第1解像度すなわち120dpiで形成され、カラー画像データの縦方向の印刷解像度は第2解像度すなわち360dpi(第1解像度の3倍)となっている。そのため、x座標が1,4,7・・・,3*n+1(nは0以上の整数)の画素はノズル32C,32M,32Y,32K1に対応した位置(第1解像度に対応した位置)にあり、それ以外の画素はノズル32K2に対応した位置にある。したがって、ステップS150では、値pが1,4,7・・・,3*n+1のときには肯定的な判定をし、それ以外の時には否定的な判定をする。
【0022】
そして、ステップS150で肯定的な判定をすると、コントローラー40は、x座標が値pである画素をRGBからCMYKに色変換するCMYK色変換処理を実行し(ステップS160)、ステップS150で否定的な判定をすると、x座標が値pである画素をRGBからK(グレールケール)に色変換するグレースケール色変換処理を実行する(ステップS170)。
【0023】
ここで、ドラフト印刷ルーチンの説明を中断し、ステップS160のCMYK色変換処理及びステップS170のグレースケール色変換処理について説明する。まず、CMYK色変換処理について説明する。図5は、CMYK色変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、図中の[]内の数値は画素のビット数を示す。このCMYK色変換処理では、コントローラー40は、まず、ポインターqを値1に初期化して(ステップS300)、座標(p,q)がエッジ画素であるか否かを調べる(ステップS310)。エッジ画素であるか否かは、上述したステップS130のエッジ検出処理の結果をRAM46から読み出すことで判定する。そして、エッジ画素であるときには、座標(p,q)の画素を強調するエッジ強調処理を行う(ステップS320)。エッジ強調処理は、例えばUSM(アンシャープマスク)を用いて行うことができる。具体的には、まず、アンシャープマスクとして、座標(p,q)の画素を中心として上下左右9つの画素のRGBの各階調値の平均値R’G’B’を導出する。そして、座標(p,q)の画素のRGBの階調値とR’G’B’との色毎の差を取る。そして、その差を座標(p,q)の画素のRGBの階調値に色毎に加えて得られる値を、エッジ強調後のRGBの階調値とする。これにより、エッジ画素と周囲の画素との色の差が大きくなり、エッジがより強調された画素となる。
【0024】
ステップS310で否定的な判定をするか又はステップS320の処理を行うと、コントローラー40は、座標(p,q)の画素のRGBの階調値(各8ビット)をCMYKの階調値(各8ビット)に色変換した変換画像データを生成する(ステップS330)。この色変換は、3次元の入力値であるRGBの階調値とCMYKの階調値とを対応づけた3次元LUT(ルックアップテーブル)を参照することにより行う。この3次元LUTは、予めROM44に記憶されている。
【0025】
続いて、コントローラー40は、色変換後の座標(p,q)の画素のCMYKの階調値をそれぞれ8ビットから2ビットに変換するハーフトーン処理を実行する(ステップS340)。この2ビットの階調値は、CMYK各色について設定され、“00”はドット形成なし、“01”は小ドットの形成、“10”は中ドットの形成、“11”は大ドットの形成を示す。本実施形態では、ハーフトーン処理にディザ法を利用するものとする。
【0026】
ここで、ディザ法によるハーフトーン処理について詳細に説明する。ハーフトーン処理はCMYKの各色について同様に行うことができるため、代表してCの色について説明する。図6は、ハーフトーン処理を行う前のCの階調値と大,中,小の各ドットの生成率(%)との対応関係を示す生成率導出テーブルの説明図である。この図6において、横軸はCの階調値(0〜255)、右側の縦軸はドットの生成率(%)、左側の縦軸はレベルデータ(0〜255)を表す。ここで、レベルデータとは、ドットの生成率を値0〜255の256段階に変換したデータをいう。また、ドットの生成率とは、ある階調値に応じて一様な領域が再現されるときに、その領域内の画素のうちでドットが形成される画素の割合を意味する。例えば、ある階調値におけるドット生成率が、大ドット65%、中ドット25%、及び小ドット10%であり、このドット生成率で、縦方向に10画素であって横方向に10画素からなる100画素の領域内を印刷したとする。この場合には、100画素のうち大ドットが形成される画素が65個、中ドットが形成される画素が25個、小ドットが形成される画素が10個となる。
【0027】
いま、座標(p,q)の画素のCの階調値が値G1だったとする。そのとき、この値G1を図6の生成率導出テーブルに照らすと、大ドット、中ドット、小ドットのレベルデータ値はそれぞれ値L1,M1,S1となる。図7は、大ドットのディザマトリクスを用いてドットのオンオフを決定する様子を表す説明図である。このディザマトリクスは、本実施形態では16×16の画素を有する正方形の画素ブロックに、0〜254までの値が現れるように設定されている。但し、図7では、図示の都合上、4×4のマトリクスで示している。そして、大ドットのディザマトリクスのうち今回のCの画素の位置(p,q)に対応して設定されているしきい値THL1を読み出し、大ドットのレベルデータ値L1としきい値THL1とを比較する。このときレベルデータ値L1がしきい値THL1を超えていれば大ドットを形成する(つまりオンする)ためにハーフトーン処理後のCの2ビットの値を“11”とする。一方、レベルデータ値L1がしきい値THL1を超えていなければ、続いて図示しない中ドットのディザマトリクスのうち今回のCの画素の位置(p,q)に対応して設定されているしきい値THM1を読み出し、中ドットのレベルデータ値M1としきい値THM1とを比較する。このとき、レベルデータ値M1がしきい値THM1を超えていれば中ドットを形成する(つまりオンする)ためにハーフトーン処理後のCの2ビットの値を“10”に設定する。一方、レベルデータ値M1がしきい値THM1を超えていなければ、続いて図示しない小ドットのディザマトリクスのうち今回のCの画素の位置(p,q)に対応して設定されているしきい値THS1を読み出し、小ドットのレベルデータ値S1としきい値THS1とを比較する。このとき、レベルデータ値S1がしきい値THS1を超えていれば小ドットを形成する(つまりオンする)ためにハーフトーン処理後のCの2ビットの値を“01”に設定し、超えていなければドットを何も形成しないために2ビットの値を“00”に設定する。このようにして、Cの階調値をそれぞれ8ビットから2ビットに変換する。また、M,Y,Kの階調値についても、同様に2ビットに変換する。ここで、生成率導出テーブルや各ドットのディザマトリクスは、元の画素の階調値(8ビット)が小さいほど、ドットによって形成される領域を人間が見たときにその領域の濃度が濃く見えるように設計されている。また、CMYK各色の生成率導出テーブルや各ドットのディザマトリクスはROM44に予め記憶されている。
【0028】
ステップS340のハーフトーン処理を行うと、コントローラー40は、ポインターqを値1インクリメントして(ステップS350)、ポインターqが値ymaxを超えたか否かを判定する(ステップS360)。そして否定的な判定をするとステップS310に進み、ステップS360で肯定的な判定をするまでステップS310〜S360の処理を繰り返す。これにより座標(p,1)〜(p,ymax)までの画素について順次処理が行われる。そして、ステップS360で肯定的な判定をすると、CMYK色変換処理を終了する。
【0029】
次に、ステップS170のグレースケール色変換処理について説明する。図8は、グレースケール色変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、図中の[]内の数値は画素のビット数を示す。このグレースケール色変換処理では、コントローラー40は、まず、ポインターqを値1に初期化して(ステップS400)、座標(p,q)がエッジ画素であるか否かを調べ(ステップS410)、肯定的な判定をすると座標(p,q)の画素を強調するエッジ強調処理を行う(ステップS420)。このステップS410,S420の処理は、上述したステップS310,S320の処理と同様であるため詳細な説明は省略する。そして、ステップS420の処理を行うと、座標(p,q)の画素のRGBの階調値(各8ビット)をKの階調値、すなわちグレースケールの階調値(8ビット)に色変換した変換画像データを生成する(ステップS430)。この色変換は、座標(p,q)の画素のRGBの各階調値の値を用いて、次式(1)により座標(p,q)の画素の輝度Yを導出し、導出した輝度Yの値をそのままグレースケールの階調値とすることで行う。なお、輝度Yは、値が大きいほど輝度が高いことを表し、グレースケールの階調値は、値が大きいほど白に近い(薄い)ことを表す。また、輝度Yは値0〜255までの整数であり、式(1)で導出した値が整数でないときには適宜切り捨てなどの処理を行う。
【0030】
Y=(3*R+11*G+2*B)/16 (1)
【0031】
一方、ステップS410で否定的な判定をすると、コントローラー40は、座標(p,q)の画素のRGBの階調値から画素の輝度Y及び彩度(色差)Dを導出する(ステップS440)。ここで、輝度Yは、上述した式(1)により導出する。また、彩度Dは次式(2)により導出する。例えば、座標(p,q)の階調値が(R,G,B)=(240,160,0)のときには、輝度Yは値155、彩度Dは値240となる。なお、彩度Dは、値が大きいほど彩度が高いことを表す。
【0032】
D=MAX(R,G,B)-MIN(R,G,B) (2)
【0033】
続いて、コントローラー40は、ステップS440で導出した輝度Y,彩度Dに基づいて、彩度が高い(=彩度Dの値が大きい)ほど、輝度Yをより高輝度に(=輝度Yの値が大きく)なるよう補正した補正輝度Y’(8ビット)を導出する(ステップS450)。具体的には、以下のように導出する。まず、輝度Yから次式(3)により補正輝度Y’の上限Yhを導出する。続いて、彩度D,輝度Y,上限Yhから式(4)により補正輝度Y’を導出する。なお、上限Yhは値191〜255までの整数であり、補正輝度Y’は値0〜255までの整数である。式(3),(4)で導出した値が整数でないときには適宜切り捨てなどの処理を行う。図9に、ステップS450で補正輝度Y’を導出する様子を表す説明図を示す。図9において、横軸はステップS440で導出した輝度Yの値、縦軸は補正輝度Y’の値を表す。補正輝度Y’は、輝度Y以上で上限Yh以下の値として導出する。そして、補正輝度Y’は、彩度Dが値255のときは上限Yhと同じ値、彩度Dが値0のときは輝度Yと同じ値となり、輝度Yから上限Yhまでの範囲で彩度Dの値に比例して輝度Yの補正幅(=補正輝度Y’−輝度Y)が大きくなるようになっている。例えば、輝度Yが値55であるときには、上限Yhは値205となる。そのため補正輝度Y’は、輝度Y(値55)から上限Yh(値205)の間で彩度Dの値が大きいほど大きい値として導出される。例えば彩度Dが値0であれば補正輝度Y’は値55、彩度Dが値100であれば補正輝度Y’は値114、彩度Dが値255であれば補正輝度Y’は値205となる。このようにすることで、輝度Yが同じ値の画素同士で比較したときに、彩度Dが高いほど輝度Yを高輝度に補正した補正輝度Y’が得られる。補正輝度Y’を導出すると、導出した補正輝度Y’の値をそのまま座標(p,q)の画素のグレースケールの階調値(8ビット)とする(ステップS460)。このステップS440〜S460の処理により、座標(p,q)の画素のRGBの階調値を、彩度Dが高いほど輝度Yが高輝度に補正したうえでKの階調値すなわちグレースケールの階調値(8ビット)に色変換した変換画像データを生成する処理が行われることになる。
【0034】
Yh=255-(255-Y)/4 (3)
Y'=[D*Yh+(255-D)*Y]/255 (4)
【0035】
ステップS430又はステップS460の処理を行うと、色変換後の座標(p,q)の画素のグレースケールの階調値をそれぞれ8ビットから2ビットに変換するハーフトーン処理を実行する(ステップS470)。この処理は、上述したステップS340の処理と同様にして行う。すなわち、図6と同様にハーフトーン処理を行う前のグレースケールの階調値と大,中,小の各ドットの生成率(%)との対応関係を示す生成率導出テーブルから生成率(レベルデータ)を導出し、このレベルデータとディザマトリクスとから大,中,小,なしのいずれかの状態を表す2ビットの値を導出する。なお、ステップS470で用いる生成率導出テーブルや各ドットのディザマトリクスは、グレースケールの階調値(8ビット)の値が小さいほど、ドットによって形成される領域を人間が見たときにその領域の濃度が濃く(黒に近く)見えるように設計されている。また、エッジ画素以外の画素についてはステップS450で説明した輝度の補正を行っているため、元の画素のRGBの階調値が同じであってもエッジ画素と比べてエッジ画素以外の画素の方が濃度が薄く(白に近く)見える傾向になる。
【0036】
ステップS470のハーフトーン処理を行うと、コントローラー40は、ポインターqを値1インクリメントして(ステップS480)、ポインターqが値ymaxを超えたか否かを判定する(ステップS490)。そして否定的な判定をするとステップS410に進み、ステップS490で肯定的な判定をするまでステップS410〜S490の処理を繰り返す。これにより座標(p,1)〜(p,ymax)までの画素について順次処理が行われる。そして、ステップS490で肯定的な判定をすると、グレースケール色変換処理を終了する。
【0037】
図3のドラフト印刷ルーチンに戻る。ステップS160のCMYK色変換処理又はステップS170のグレースケール色変換処理が終了すると、コントローラー40は、ポインターpを値1インクリメントして(ステップS180)、上述したステップS340又はステップS470によるハーフトーン処理済みで且つ未印刷の画素が1パス分揃ったか否かを判定する(ステップS190)。例えば、印刷ヘッド28のノズル32C,M,Y,K1がそれぞれ90個、ノズルK2が180個である場合には、1パスで印刷可能な画素は縦270(=90+180)画素であるため、ハーフトーン処理済みで未印刷の画素が縦270画素×横ymax画素分揃ったときに肯定的な判定をする。そして、否定的な判定をすると、ステップS150に進み、ステップS190で肯定的な判定をするまでステップS150〜S190の処理を繰り返す。そして、ステップS190で肯定的な判定をすると、ステップS340又はステップS470によるハーフトーン処理済みで且つ未印刷の1パス分の画素のデータ(画素の座標及び色変換後の階調値(2ビット))を印刷指令と共にプリンターユニット20に送信する(ステップS200)。そして、印刷指令と1パス分の画素のデータを入力したプリンターユニット20のASIC21は、キャリッジモーター23及び搬送ローラー29を制御して印字ヘッド25と用紙Sとの位置を調整し、印字ヘッド25を主走査方向に移動させながら、プリンター機構22の圧電素子に電圧を印加して用紙Sへの画像の印刷を行う。これにより、1パス分の画素の階調値に基づく画像が用紙Sに形成される。また、ステップS200の処理を行うと、コントローラー40は、ポインターpが値xmaxを超えたか否かを判定する(ステップS210)。そして否定的な判定をするとステップS150に進み、ステップS210で肯定的な判定をするまでステップS150〜S210の処理を繰り返す。これにより1パスずつの印刷が順次行われる。そして、ステップS210で肯定的な判定をすると、ドラフト印刷ルーチンを終了する。
【0038】
上述したドラフト印刷ルーチンにより印刷を行う様子を図10を用いて説明する。なお、説明の便宜のために、カラー画像データは縦12画素×横11画素のマトリックス状の画素からなるものとし、印刷ヘッド28のノズル32C,32M,32Y,32K1の数はそれぞれ2個、ノズル32K2の数は4個とする。図10(a)は、ステップS110で解像度変換処理をした後のカラー画像データの一例である。図10(b)は、比較例として、このカラー画像データに対して印刷ヘッド28で従来のドラフトモード印刷を行った場合の印刷されたカラー画像の一例である。図示するように、カラーの画像を形成できるノズル32C,32M,32Y,32K1は解像度が低いため、1パス目で形成したカラーのドットの用紙搬送方向の隙間にカラーのドットを形成しないとドットの隙間が大きくなり、画像の視認性が低下してしまう。図10(c)は、本実施形態のドラフト印刷ルーチンにより印刷を行ったカラー画像の一例である。図示するように、1回のパスで印刷する際に、ノズル32C,32M,32Y,32K1のドットの隙間にノズル32K2からのドットによるグレースケールの画像を形成しているため、画像の視認性が向上する。また、本実施形態では、ノズル32K2によりグレースケールの画像を形成する画素のうち、エッジ画素以外の画素については、画素の彩度Dが高いほど輝度Yが高くなるように補正した補正輝度Y’によりグレースケールの階調値を定めている。これにより、エッジ画素以外についての色再現性を向上させることができる。さらに、エッジ画素についてはエッジ強調処理を行い、且つ輝度の補正は行わないため、画像のエッジの視認性が低下するのを防止できる。なお、実際の画像形成では、カラーの画素、グレースケールの画素のいずれもハーフトーン処理により大中小のドットが形成されるが、図10(b),(c)では、輝度補正を行ったことにより小さいドットが増える(印刷が薄くなる)傾向にある画素のみを小さいドットで図示している。
【0039】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のステップS120の解像度変換処理を行って印刷解像度のカラー画像データを得るコントローラー40が、本発明のカラー画像データ取得手段に相当し、ステップS150,S170の処理を行うコントローラー40が変換画像データ生成手段に相当し、ステップS200の1パス分の画素データの送信を行うコントローラー40が送信手段に相当し、ステップS130の処理を行うコントローラー40がエッジ検出手段に相当し、ステップS320,S420の処理を行うコントローラー40がエッジ強調手段に相当する。
【0040】
以上詳述した本実施形態のインクジェットプリンター10は、印刷ヘッド28と、印刷ヘッド28を用紙Sの搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるキャリッジモーター23と、用紙Sを搬送方向に移動させる搬送ローラー29と、を備え、印刷ヘッド28からインクを吐出して用紙Sに画像を形成可能なプリンターユニット20に、コントローラー40がバス80を介して接続されるものである。また、このプリンターユニット20の印刷ヘッド28は、CMYのインクを吐出するノズル32C,32M,32Yを用紙Sの搬送方向に第1解像度で並べたノズル列30C,30M,30Yと、Kのインクを吐出するノズル32K1をノズル列30C,30M,30Yと搬送方向の位置が揃うように第1解像度で並べたノズル列30K1と、Kのインクを吐出するノズル32K2をノズル32K1の搬送方向の隙間を3等分するように並べたノズル列30K2と、を有している。そして、このコントローラー40は、用紙Sの搬送方向に対応する縦方向に第1解像度の3倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなる解像度変換後のカラー画像データを取得する。続いて、カラー画像データの各画素のうち、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換し、色変換後の画素のデータをプリンターユニット20に送信する。こうすることで、プリンターユニット20に送信する画素のデータは、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素、すなわちプリンターユニット20のノズル32K2の位置に対応する画素が、グレースケールの画素に変換されたものとなる。そのため、このプリンターユニット20がドラフトモードで画像形成を行うときには、印刷ヘッド28を主走査方向に1回移動(1パス)する間に、ノズル列30C,30M,30Y,30K1のノズルからインクを吐出することで縦方向で第1解像度に対応して配置された画素の階調値に基づく画像(カラーの画像)を形成できると共に、ノズル列30K2のノズルからインクを吐出することで第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像(グレースケールの画像)を形成できる。これにより、従来のドラフトモードではノズル列30C,30M,30Y,30K1で形成したドットの用紙搬送方向の隙間になってしまう部分にノズル32K2のドットが形成されるため、用紙に形成したカラー画像の視認性が向上する。なお、第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像をノズル32C,32M,32Y,32K1から吐出したインクにより形成する必要がない、すなわちノズル32C,32M,32Y,32K1のノズルピッチの1/3分だけ用紙を搬送して1パス分の画像形成を行うといった動作の必要がないため、画像形成の速度は従来のドラフトモードと変わらない。このように、本実施形態のコントローラー40が上述したドラフト印刷ルーチンを実行することで、ドラフトモード時のカラー画像の視認性を向上させることのできる画像データをプリンターユニット20に提供することができる。
【0041】
また、エッジ画素検出を行って、エッジ画素については輝度補正を行わずにグレースケールの画素への色変換を行い、エッジ画素以外の画素については彩度が高いほど輝度が高輝度になるように輝度補正を行ってグレースケールの画素への色変換を行うため、エッジ画素の視認性の低下を防止しつつ、エッジ画素以外の画素の色再現性を向上させることができる。すなわち、輝度の補正を行うと、特に画像のエッジ部分に相当するエッジ画素については輝度の補正を行わない場合と比べて視認性が低下する場合があるが、これを防止できる。
【0042】
さらに、エッジ画素についてはエッジ強調処理を行うため、エッジ画素の視認性の低下をより防止できる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、エッジ画素についてはエッジ強調処理を行うものとしたが、エッジ強調処理を行わないものとしてもよい。また、図8のグレースケール色変換処理を行うにあたり、エッジ画素についてはステップS440〜S460の輝度補正を行わないものとしたが、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行わないものとしてもよいし、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行うものとしてもよい。図10(a)のカラー画像データについて、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行わないものとした場合にドラフトモードで印刷した画像を図11(a)に、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行うものとした場合にドラフトモードで印刷した画像を図11(b)に示す。なお、図11(a),(b)のいずれも、エッジ画素のエッジ強調処理は行わない場合について示した。
【0045】
上述した実施形態では、図2のようにノズル列30K1のノズル32K1の搬送方向の隙間(長さL)を3等分するようにノズル32K2を並べたものとしたが、これに限られずa等分(aは2以上の整数)するように並べたものであればよい。本実施形態では、印刷ヘッド28はノズル列30C,30M,30Yからの3種類の有彩色インクを吐出できるものとしたが、4種類以上の有彩色インクを吐出可能な印刷ヘッドとしてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、ドラフト印刷ルーチンを実行するコントローラー40と用紙Sに印刷を行うプリンターユニット20とを備えたインクジェットプリンター10として説明したが、本発明の画像処理装置はこれに限られるものではない。例えば、本発明の画像処理装置は、ドラフト印刷処理ルーチンを実行可能なプリンタードライバーをインストールしたコンピューターであってもよい。この場合でも、例えばUSB接続などにより、コンピューターをインクジェットプリンターと接続すれば、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
。
【0047】
上述した実施形態では、ステップS110で入力したカラー画像データに対して解像度変換処理を行って印刷解像度のカラー画像データを取得するものとしたが、初めから印刷解像度のカラー画像データがメモリーカードMCに記憶されているものとして、これを入力するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 インクジェットプリンター、20 プリンターユニット、21 ASIC、22 プリンター機構、23 キャリッジモーター、24 ベルト、25 ガイド、26 キャリッジ、27 インクカートリッジ、28 印刷ヘッド、29 搬送ローラー、30C,30M,30Y,30K1,30K2 ノズル列、32C,32M,32Y,32K1,30K2 ノズル、40 コントローラー、42 CPU、42 ROM、44 RAM、50 操作パネル、52 表示部、54 操作部、70 カードインターフェース(I/F)、80 バス、MC メモリーカード、S 用紙。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置として、無彩色のインクを吐出する無彩色ノズルを有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルよりも高い解像度で用紙の搬送方向に配列したヘッドを備えたものが知られている。例えば、特許文献1に記載のカラーインクジェット記録装置は、ブラックインク用のノズルがカラーインク用のノズルの2倍の解像度で形成されたヘッドを備えている。このカラーインクジェット記録装置では、テキストデータを高品質で印刷するときには、ブラックインク用のノズルで1パス分の印刷を行ったあとノズルピッチの1/2分だけヘッドを紙送り方向に移動させて1パス分の印刷を行うことにより、ブラックインク用のノズルの2倍の解像度で印刷を行う。また、テキストデータをドラフトモードで印刷するときには、高品質印刷とは異なりノズルピッチの1/2分だけの移動は行わず、ブラックインク用のノズルの解像度で印刷を行う。これにより、高品質印刷ではドラフトモードの2倍の解像度で印刷が可能となり、ドラフトモードでは高品質印刷の2倍の速度で印刷が可能となる。一方、カラー画像データの印刷を行うときには、常に、カラーインク用のノズルで1パス分の印刷を行ったあとノズルピッチの1/2分だけ紙送りを行って1パス分の印刷を行う。これにより、カラーインク用のノズルの2倍の解像度(=ブラックインク用のノズルの解像度)で印刷を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−301812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、カラー画像データについてもドラフトモードにより高速に画像形成を行いたいという要望がある。しかし、無彩色ノズルを有彩色ノズルよりも高い解像度で用紙の搬送方向に配列したヘッドを備えた画像形成装置においては、有彩色ノズルの元々の解像度が低い。そのためドラフトモードで、すなわち1パスで形成したドットの用紙搬送方向の隙間にドットを形成することなく画像形成を行うと、有彩色ノズルからのドットの用紙搬送方向の間隔が広くなり、形成されたカラー画像の視認性が低下しやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、ドラフトモード時のカラー画像の視認性を向上させることのできる画像データを画像形成装置に提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像処理装置は、
有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルを用紙の搬送方向に第1解像度で並べた有彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第1無彩色ノズルを前記有彩色ノズル列と前記搬送方向の位置が揃うように前記第1解像度で並べた第1無彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第2無彩色ノズルを前記第1無彩色ノズルの前記搬送方向の隙間をa等分(aは2以上の整数)するように並べた第2無彩色ノズル列と、を有するヘッドと、前記ヘッドを前記用紙の搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、前記用紙を前記搬送方向に移動させる用紙送り手段と、を備え、前記ヘッドから前記インクを吐出して前記用紙に画像を形成可能な画像形成装置に接続される画像処理装置であって、
前記用紙搬送方向に対応する縦方向に前記第1解像度のa倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ前記主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなるカラー画像データを取得するカラー画像データ取得手段と、
前記カラー画像データの各画素のうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する変換画像データ生成手段と、
前記変換画像データを前記画像形成装置に送信する送信手段と、
を備えたものである。
【0008】
この画像処理装置は、ヘッドと、ヘッドを用紙の搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、用紙を搬送方向に移動させる用紙送り手段と、を備え、ヘッドからインクを吐出して前記用紙に画像を形成可能な画像形成装置に接続されるものである。また、この画像形成装置のヘッドは、有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルを用紙の搬送方向に第1解像度で並べた有彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第1無彩色ノズルを有彩色ノズル列と搬送方向の位置が揃うように第1解像度で並べた第1無彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第2無彩色ノズルを第1無彩色ノズルの搬送方向の隙間をa等分(aは2以上の整数)するように並べた第2無彩色ノズル列と、を有している。そして、この画像処理装置は、用紙の搬送方向に対応する縦方向に第1解像度のa倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなるカラー画像データを取得する。続いて、カラー画像データの各画素のうち、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成し、変換画像データを画像形成装置に送信する。こうすることで、変換画像データは、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素、すなわち画像形成装置の第2無彩色ノズルの位置に対応する画素が、グレースケールの画素に変換されたものとなる。そのため、この画像形成装置がドラフトモードで変換画像データの画像形成を行うときは、ヘッド移動手段がヘッドを主走査方向に1回移動(1パス)する間に、有彩色ノズル列及び第1無彩色ノズル列のノズルからインクを吐出することで変換画像データのうち縦方向で第1解像度に対応して配置された画素の階調値に基づく画像(カラーの画像)を形成できると共に、第2無彩色ノズル列のノズルからインクを吐出することで第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像(グレースケールの画像)を形成できる。これにより、従来のドラフトモードでは有彩色ノズルで形成したドットの用紙搬送方向の隙間になってしまう部分に第2無彩色ノズルのドットが形成されるため、用紙に形成したカラー画像の視認性が向上する。なお、第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像を有彩色ノズル及び第1無彩色ノズルから吐出したインクにより形成する必要がない、すなわち有彩色ノズル及び第1無彩色ノズルのノズルピッチの1/a分だけ用紙を搬送して1パス分の画像形成を行うといった動作の必要がないため、画像形成の速度は従来のドラフトモードと変わらない。このように、本発明の画像処理装置は、ドラフトモード時のカラー画像の視認性を向上させることのできる画像データ(変換画像データ)を画像形成装置に提供することができる。なお、「グレースケール」は画像(画素)を白から黒までの明暗だけで表現したものであり、2階調(黒と白のみ)で表現したものも含む意である。
【0009】
本発明の画像処理装置において、前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し、該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正し、該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値としてもよい。ここで、カラーの画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換する場合、特に彩度の高い画素については色変換後の画素が暗く表されやすく、用紙に形成された画像の色再現性が低下する場合がある。この画像処理装置では、画素の彩度が高いほど画素の輝度を高輝度に補正し、補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とするため、彩度の高い画素の色変換後の画素を明るくして、色再現性を向上させることができる。
【0010】
上述した輝度の補正を行う本発明の画像処理装置において、前記カラー画像データにおけるエッジ部分に相当するエッジ画素を検出するエッジ検出手段を備え、前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値とするものとしてもよい。こうすることで、エッジ画素の視認性の低下を防止しつつ、エッジ画素以外の画素の色再現性を向上させることができる。すなわち、上述した輝度の補正を行うと、特に画像のエッジ部分に相当するエッジ画素については輝度の補正を行わない場合と比べて視認性が低下する場合があるが、これを防止できる。この態様の本発明の画像処理装置において、前記カラー画像データのうち前記エッジ検出手段に検出されたエッジ画素に対してエッジ強調処理を行うエッジ強調手段を備え、前記変換画像データ生成手段は、前記エッジ強調処理を行ったカラー画像データのうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する手段であり、該色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を該色変換後の画素の階調値とするものとしてもよい。こうすれば、エッジ画素については強調処理を行い且つ輝度の補正を行わないことで視認性の低下を防止しつつ、エッジ画素以外の画素については輝度の補正を行って色再現性を向上させることができる。
【0011】
本発明のプログラムは、コンピューターを上述したいずれかの本発明の画像処理装置として機能させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述した本発明の画像処理装置として機能するため、本発明の画像処理装置と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】インクジェットプリンター10の構成の概略を示す構成図。
【図2】印刷ヘッド28の構成の概略を示す構成図。
【図3】ドラフト印刷ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】画素の位置と印刷ヘッド28の各ノズルとの位置関係を示す説明図。
【図5】CMYK色変換処理の一例を示すフローチャート。
【図6】生成率導出テーブルの説明図。
【図7】ディザマトリクスを用いてドットのオンオフを決定する様子を表す説明図。
【図8】グレースケール色変換処理の一例を示すフローチャート。
【図9】補正輝度Y’を導出する様子を表す説明図。
【図10】ドラフト印刷ルーチンにより印刷を行う様子を示す説明図。
【図11】別例のドラフトモードで印刷する様子を表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるインクジェットプリンター10の構成の概略を示す構成図であり、図2は印刷ヘッド28の構成の概略を示す構成図である。本実施形態のインクジェットプリンター10は、図1に示すように、用紙Sに画像を印刷するプリンターユニット20と、各種処理を実行するコントローラー40と、ユーザーへ情報を表示可能でありユーザーの指示を入力可能である操作パネル50と、携帯用の記憶媒体であり画像データが保存されたメモリーカードMCとの接続に用いられるカードインターフェース(I/F)70と、を備えている。コントローラー40や操作パネル50,カードI/F70はバス80によって電気的に接続されている。
【0014】
プリンターユニット20は、ASIC21とプリンター機構22とを備える。ASIC21は、プリンター機構22を制御する集積回路であり、コントローラー40から印刷指令を受けると、その印刷指令の対象となる画像データに基づいて用紙Sに画像を印刷するようプリンター機構22を制御する。プリンター機構22は、キャリッジモーター23と左右方向(主走査方向)にループ状に架け渡されたベルト24とにより駆動されガイド25に沿って左右に往復動するキャリッジ26と、このキャリッジ26に搭載されシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)(以下、適宜C,M,Y,Kとする)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ27と、各インクカートリッジ27から供給された各インクに圧力をかけて用紙Sに向かってインクを吐出する印刷ヘッド28と、背面側から供給された用紙Sを手前側へ送り出す搬送ローラー29とを備える。印刷ヘッド28には、図2に示すように、CMYの各色のインクを個別に吐出可能なノズル32C,32M,32Yが用紙Sの搬送方向(副走査方向)に配置されたノズル列30C,30M,30Yと、ブラック(K)のインクを吐出可能なノズル32Kが副走査方向に配置されたノズル列30K1,30K2とが形成されている。ノズル列30Cは、ピッチが所定長さLとなるようにノズル32Cを並べたものである。ノズル列30M,30Y,30K1についても、同様にピッチが所定長さLとなるようにノズル32M,32Y,32K1を並べたものである。本実施形態では、所定長さLはドットの搬送方向の解像度が120dpiとなるように設定されている。また、ノズル32C,32M,32Y,32K1は数が同じであり、ノズル32M,32Y,32K1の搬送方向の位置が揃うように形成されている。ノズル列30K2は、ノズル列30K1のノズル32K1の搬送方向の隙間(長さL)を3等分するようにノズル32K2を並べたものである。また、ノズル32K2の数はノズル32K1の2倍であり、ノズル32K2は副走査方向に沿って千鳥(ジグザグ)になるように配置されている。これにより、ノズル32K1とノズル32K2との両方からKのインクを吐出した場合には、Kのドットの搬送方向の解像度は120dpiの3倍の360dpiとなる。このように、印刷ヘッド28は、CMYのドットの解像度が120dpi、Kのドットの解像度が360dpiとなるよう構成されている。即ち、CMYのノズル密度に比してKのノズル密度が高密度となっている。以下、120dpiを第1解像度、360dpiを第2解像度と表記する場合がある。また、印刷ヘッド28は、各ノズルに個々に設けられた圧電素子に電圧を印加して変形させ、これにより加圧されたインクが吐出されることで用紙Sに大,中,小のドットを形成できるようになっている。大、中、小のドットの打ち分けは、圧電素子へ印可する電圧の波形を調整することによって行うことができる。
【0015】
操作パネル50は、ユーザーがインクジェットプリンター10に対して各種の指示を入力するためのデバイスであり、各種の指示に応じた文字や画像が表示されるカラー液晶パネルにより構成された表示部52や、各種操作を行なう際にユーザーが押下するカーソルキーや決定キーなどが配置された操作部54が設けられている。なお、ユーザーが操作部54を操作して印刷を指示する際には、印刷速度を重視するドラフトモードと印刷品質を重視する高品質モードとが選択可能になっている。
【0016】
カードI/F70は、メモリーカードMCにデータを書き込んだりメモリーカードMCからデータを読み出したりするデバイスである。メモリーカードMCは、データの書き込み及び消去可能な不揮発性のメモリーであり、例えばデジタルカメラなどの撮影装置により撮影されたカラー画像データや、図や写真などの画像とテキストとを含むカラー画像データが複数記憶されている。本実施形態では、これらのカラー画像データはRGB色空間で表される画素をマトリックス状に並べて構成されており、各画素データのRGB値はRGBの濃淡に応じてそれぞれ値0〜255(8ビット)の階調値で表されているものとする。なお、値0が最も色が濃く、値255が最も色が薄いことを表すものとした。
【0017】
コントローラー40は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶したROM44と、一時的に印刷データなどを記憶するRAM46と、を備える。このコントローラー40は、プリンターユニット20,カードI/F70からの各種動作信号や各種検出信号を入力したり、操作パネル50の操作部54の操作に応じて発生する操作信号を入力したりする。また、メモリーカードMCからデータを読み出してコントローラー40へ出力する読出指令をカードI/F70に出力したり、画像データの印刷を実行するようプリンターユニット20に印刷指令を出力したり、操作パネル50に表示部52の制御指令を出力したりする。
【0018】
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンター10の動作、特に、メモリーカードMCに記憶されたカラー画像データをドラフトモードで用紙Sに印刷するドラフト印刷を行なう場合の動作について説明する。図3は、コントローラー40により実行されるドラフト印刷ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーがメモリーカードMCに記憶されたカラー画像データを選択し、選択した画像データをドラフトモードで印刷するよう操作パネル50を介して指示したときに実行される。
【0019】
図3の印刷処理ルーチンが開始されると、コントローラー40は、まず、ユーザーにより操作パネル50を介して印刷を指示されたカラー画像データを入力して(ステップS110)、入力したカラー画像データの解像度を用紙Sに画像を印刷する際の印刷解像度に変換する(ステップS120)。具体的には、カラー画像データを用紙Sに印刷したときの搬送方向に対応する方向(以下、縦方向)の解像度が第2解像度になり、且つ、カラー画像データを用紙Sに印刷したときの主走査方向に対応する方向(以下、横方向)の解像度が第2解像度になるように解像度を変換する。なお、横方向の解像度は印刷ヘッド28により用紙Sにドットを形成可能な解像度であれば、例えば720dpiなど、第2解像度以外の解像度でもよい。解像度の変換は、例えば、ステップS110で入力したカラー画像データの解像度が印刷解像度より低いときには、カラー画素データの隣り合うカラー画素データ同士の間に新たに補間(例えばコピー)により画素を生成することで行う。また、入力した画像データの解像度が印刷解像度より高いときには、一定の割合で画素を間引くことで解像度の変換を行う。このようにステップS120では、適宜、入力したカラー画像データの補間や間引きを行う。なお、縦方向をx方向,横方向をy方向として、カラー画像データの画素の位置を座標(x、y)で表すものとする。また、印刷解像度に変換後のカラー画像データは、縦にxmax個,横にymax個の画素がマトリックス状に配置されているものとする。
【0020】
続いて、コントローラー40は、ステップS120の解像度変換により得られたカラー画像データについて、各画素がカラー画像データのエッジ部分に相当するエッジ画素であるか否かを判定するエッジ検出処理を行う(ステップS130)。エッジ検出処理は、例えば注目画素を中心とした上下左右9つの画素の輝度をそれぞれの画素のRGBの階調値から導出し、導出した輝度とSobelフィルターとを用いてエッジ強度を算出し、エッジ強度と閾値とを比較することにより行うことができる。なお、Prewittフィルターなど他のフィルターを用いてエッジ検出処理を行ってもよい。なお、CPU62は、エッジ検出処理の結果(いずれの画素がエッジ画素であるか)をRAM46に記憶する。
【0021】
次に、ポインターpを値1に初期化して(ステップS140)、x座標が値pである画素がノズル32C,32M,32Y,32K1に対応する位置の画素であるか否かを判定する(ステップS150)。画素の位置と印刷ヘッド28の各ノズルとの位置関係を図4に示す。上述したように、本実施形態では、ノズル32C,ノズル32M,32Y,32K1は第1解像度すなわち120dpiで形成され、カラー画像データの縦方向の印刷解像度は第2解像度すなわち360dpi(第1解像度の3倍)となっている。そのため、x座標が1,4,7・・・,3*n+1(nは0以上の整数)の画素はノズル32C,32M,32Y,32K1に対応した位置(第1解像度に対応した位置)にあり、それ以外の画素はノズル32K2に対応した位置にある。したがって、ステップS150では、値pが1,4,7・・・,3*n+1のときには肯定的な判定をし、それ以外の時には否定的な判定をする。
【0022】
そして、ステップS150で肯定的な判定をすると、コントローラー40は、x座標が値pである画素をRGBからCMYKに色変換するCMYK色変換処理を実行し(ステップS160)、ステップS150で否定的な判定をすると、x座標が値pである画素をRGBからK(グレールケール)に色変換するグレースケール色変換処理を実行する(ステップS170)。
【0023】
ここで、ドラフト印刷ルーチンの説明を中断し、ステップS160のCMYK色変換処理及びステップS170のグレースケール色変換処理について説明する。まず、CMYK色変換処理について説明する。図5は、CMYK色変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、図中の[]内の数値は画素のビット数を示す。このCMYK色変換処理では、コントローラー40は、まず、ポインターqを値1に初期化して(ステップS300)、座標(p,q)がエッジ画素であるか否かを調べる(ステップS310)。エッジ画素であるか否かは、上述したステップS130のエッジ検出処理の結果をRAM46から読み出すことで判定する。そして、エッジ画素であるときには、座標(p,q)の画素を強調するエッジ強調処理を行う(ステップS320)。エッジ強調処理は、例えばUSM(アンシャープマスク)を用いて行うことができる。具体的には、まず、アンシャープマスクとして、座標(p,q)の画素を中心として上下左右9つの画素のRGBの各階調値の平均値R’G’B’を導出する。そして、座標(p,q)の画素のRGBの階調値とR’G’B’との色毎の差を取る。そして、その差を座標(p,q)の画素のRGBの階調値に色毎に加えて得られる値を、エッジ強調後のRGBの階調値とする。これにより、エッジ画素と周囲の画素との色の差が大きくなり、エッジがより強調された画素となる。
【0024】
ステップS310で否定的な判定をするか又はステップS320の処理を行うと、コントローラー40は、座標(p,q)の画素のRGBの階調値(各8ビット)をCMYKの階調値(各8ビット)に色変換した変換画像データを生成する(ステップS330)。この色変換は、3次元の入力値であるRGBの階調値とCMYKの階調値とを対応づけた3次元LUT(ルックアップテーブル)を参照することにより行う。この3次元LUTは、予めROM44に記憶されている。
【0025】
続いて、コントローラー40は、色変換後の座標(p,q)の画素のCMYKの階調値をそれぞれ8ビットから2ビットに変換するハーフトーン処理を実行する(ステップS340)。この2ビットの階調値は、CMYK各色について設定され、“00”はドット形成なし、“01”は小ドットの形成、“10”は中ドットの形成、“11”は大ドットの形成を示す。本実施形態では、ハーフトーン処理にディザ法を利用するものとする。
【0026】
ここで、ディザ法によるハーフトーン処理について詳細に説明する。ハーフトーン処理はCMYKの各色について同様に行うことができるため、代表してCの色について説明する。図6は、ハーフトーン処理を行う前のCの階調値と大,中,小の各ドットの生成率(%)との対応関係を示す生成率導出テーブルの説明図である。この図6において、横軸はCの階調値(0〜255)、右側の縦軸はドットの生成率(%)、左側の縦軸はレベルデータ(0〜255)を表す。ここで、レベルデータとは、ドットの生成率を値0〜255の256段階に変換したデータをいう。また、ドットの生成率とは、ある階調値に応じて一様な領域が再現されるときに、その領域内の画素のうちでドットが形成される画素の割合を意味する。例えば、ある階調値におけるドット生成率が、大ドット65%、中ドット25%、及び小ドット10%であり、このドット生成率で、縦方向に10画素であって横方向に10画素からなる100画素の領域内を印刷したとする。この場合には、100画素のうち大ドットが形成される画素が65個、中ドットが形成される画素が25個、小ドットが形成される画素が10個となる。
【0027】
いま、座標(p,q)の画素のCの階調値が値G1だったとする。そのとき、この値G1を図6の生成率導出テーブルに照らすと、大ドット、中ドット、小ドットのレベルデータ値はそれぞれ値L1,M1,S1となる。図7は、大ドットのディザマトリクスを用いてドットのオンオフを決定する様子を表す説明図である。このディザマトリクスは、本実施形態では16×16の画素を有する正方形の画素ブロックに、0〜254までの値が現れるように設定されている。但し、図7では、図示の都合上、4×4のマトリクスで示している。そして、大ドットのディザマトリクスのうち今回のCの画素の位置(p,q)に対応して設定されているしきい値THL1を読み出し、大ドットのレベルデータ値L1としきい値THL1とを比較する。このときレベルデータ値L1がしきい値THL1を超えていれば大ドットを形成する(つまりオンする)ためにハーフトーン処理後のCの2ビットの値を“11”とする。一方、レベルデータ値L1がしきい値THL1を超えていなければ、続いて図示しない中ドットのディザマトリクスのうち今回のCの画素の位置(p,q)に対応して設定されているしきい値THM1を読み出し、中ドットのレベルデータ値M1としきい値THM1とを比較する。このとき、レベルデータ値M1がしきい値THM1を超えていれば中ドットを形成する(つまりオンする)ためにハーフトーン処理後のCの2ビットの値を“10”に設定する。一方、レベルデータ値M1がしきい値THM1を超えていなければ、続いて図示しない小ドットのディザマトリクスのうち今回のCの画素の位置(p,q)に対応して設定されているしきい値THS1を読み出し、小ドットのレベルデータ値S1としきい値THS1とを比較する。このとき、レベルデータ値S1がしきい値THS1を超えていれば小ドットを形成する(つまりオンする)ためにハーフトーン処理後のCの2ビットの値を“01”に設定し、超えていなければドットを何も形成しないために2ビットの値を“00”に設定する。このようにして、Cの階調値をそれぞれ8ビットから2ビットに変換する。また、M,Y,Kの階調値についても、同様に2ビットに変換する。ここで、生成率導出テーブルや各ドットのディザマトリクスは、元の画素の階調値(8ビット)が小さいほど、ドットによって形成される領域を人間が見たときにその領域の濃度が濃く見えるように設計されている。また、CMYK各色の生成率導出テーブルや各ドットのディザマトリクスはROM44に予め記憶されている。
【0028】
ステップS340のハーフトーン処理を行うと、コントローラー40は、ポインターqを値1インクリメントして(ステップS350)、ポインターqが値ymaxを超えたか否かを判定する(ステップS360)。そして否定的な判定をするとステップS310に進み、ステップS360で肯定的な判定をするまでステップS310〜S360の処理を繰り返す。これにより座標(p,1)〜(p,ymax)までの画素について順次処理が行われる。そして、ステップS360で肯定的な判定をすると、CMYK色変換処理を終了する。
【0029】
次に、ステップS170のグレースケール色変換処理について説明する。図8は、グレースケール色変換処理の一例を示すフローチャートである。なお、図中の[]内の数値は画素のビット数を示す。このグレースケール色変換処理では、コントローラー40は、まず、ポインターqを値1に初期化して(ステップS400)、座標(p,q)がエッジ画素であるか否かを調べ(ステップS410)、肯定的な判定をすると座標(p,q)の画素を強調するエッジ強調処理を行う(ステップS420)。このステップS410,S420の処理は、上述したステップS310,S320の処理と同様であるため詳細な説明は省略する。そして、ステップS420の処理を行うと、座標(p,q)の画素のRGBの階調値(各8ビット)をKの階調値、すなわちグレースケールの階調値(8ビット)に色変換した変換画像データを生成する(ステップS430)。この色変換は、座標(p,q)の画素のRGBの各階調値の値を用いて、次式(1)により座標(p,q)の画素の輝度Yを導出し、導出した輝度Yの値をそのままグレースケールの階調値とすることで行う。なお、輝度Yは、値が大きいほど輝度が高いことを表し、グレースケールの階調値は、値が大きいほど白に近い(薄い)ことを表す。また、輝度Yは値0〜255までの整数であり、式(1)で導出した値が整数でないときには適宜切り捨てなどの処理を行う。
【0030】
Y=(3*R+11*G+2*B)/16 (1)
【0031】
一方、ステップS410で否定的な判定をすると、コントローラー40は、座標(p,q)の画素のRGBの階調値から画素の輝度Y及び彩度(色差)Dを導出する(ステップS440)。ここで、輝度Yは、上述した式(1)により導出する。また、彩度Dは次式(2)により導出する。例えば、座標(p,q)の階調値が(R,G,B)=(240,160,0)のときには、輝度Yは値155、彩度Dは値240となる。なお、彩度Dは、値が大きいほど彩度が高いことを表す。
【0032】
D=MAX(R,G,B)-MIN(R,G,B) (2)
【0033】
続いて、コントローラー40は、ステップS440で導出した輝度Y,彩度Dに基づいて、彩度が高い(=彩度Dの値が大きい)ほど、輝度Yをより高輝度に(=輝度Yの値が大きく)なるよう補正した補正輝度Y’(8ビット)を導出する(ステップS450)。具体的には、以下のように導出する。まず、輝度Yから次式(3)により補正輝度Y’の上限Yhを導出する。続いて、彩度D,輝度Y,上限Yhから式(4)により補正輝度Y’を導出する。なお、上限Yhは値191〜255までの整数であり、補正輝度Y’は値0〜255までの整数である。式(3),(4)で導出した値が整数でないときには適宜切り捨てなどの処理を行う。図9に、ステップS450で補正輝度Y’を導出する様子を表す説明図を示す。図9において、横軸はステップS440で導出した輝度Yの値、縦軸は補正輝度Y’の値を表す。補正輝度Y’は、輝度Y以上で上限Yh以下の値として導出する。そして、補正輝度Y’は、彩度Dが値255のときは上限Yhと同じ値、彩度Dが値0のときは輝度Yと同じ値となり、輝度Yから上限Yhまでの範囲で彩度Dの値に比例して輝度Yの補正幅(=補正輝度Y’−輝度Y)が大きくなるようになっている。例えば、輝度Yが値55であるときには、上限Yhは値205となる。そのため補正輝度Y’は、輝度Y(値55)から上限Yh(値205)の間で彩度Dの値が大きいほど大きい値として導出される。例えば彩度Dが値0であれば補正輝度Y’は値55、彩度Dが値100であれば補正輝度Y’は値114、彩度Dが値255であれば補正輝度Y’は値205となる。このようにすることで、輝度Yが同じ値の画素同士で比較したときに、彩度Dが高いほど輝度Yを高輝度に補正した補正輝度Y’が得られる。補正輝度Y’を導出すると、導出した補正輝度Y’の値をそのまま座標(p,q)の画素のグレースケールの階調値(8ビット)とする(ステップS460)。このステップS440〜S460の処理により、座標(p,q)の画素のRGBの階調値を、彩度Dが高いほど輝度Yが高輝度に補正したうえでKの階調値すなわちグレースケールの階調値(8ビット)に色変換した変換画像データを生成する処理が行われることになる。
【0034】
Yh=255-(255-Y)/4 (3)
Y'=[D*Yh+(255-D)*Y]/255 (4)
【0035】
ステップS430又はステップS460の処理を行うと、色変換後の座標(p,q)の画素のグレースケールの階調値をそれぞれ8ビットから2ビットに変換するハーフトーン処理を実行する(ステップS470)。この処理は、上述したステップS340の処理と同様にして行う。すなわち、図6と同様にハーフトーン処理を行う前のグレースケールの階調値と大,中,小の各ドットの生成率(%)との対応関係を示す生成率導出テーブルから生成率(レベルデータ)を導出し、このレベルデータとディザマトリクスとから大,中,小,なしのいずれかの状態を表す2ビットの値を導出する。なお、ステップS470で用いる生成率導出テーブルや各ドットのディザマトリクスは、グレースケールの階調値(8ビット)の値が小さいほど、ドットによって形成される領域を人間が見たときにその領域の濃度が濃く(黒に近く)見えるように設計されている。また、エッジ画素以外の画素についてはステップS450で説明した輝度の補正を行っているため、元の画素のRGBの階調値が同じであってもエッジ画素と比べてエッジ画素以外の画素の方が濃度が薄く(白に近く)見える傾向になる。
【0036】
ステップS470のハーフトーン処理を行うと、コントローラー40は、ポインターqを値1インクリメントして(ステップS480)、ポインターqが値ymaxを超えたか否かを判定する(ステップS490)。そして否定的な判定をするとステップS410に進み、ステップS490で肯定的な判定をするまでステップS410〜S490の処理を繰り返す。これにより座標(p,1)〜(p,ymax)までの画素について順次処理が行われる。そして、ステップS490で肯定的な判定をすると、グレースケール色変換処理を終了する。
【0037】
図3のドラフト印刷ルーチンに戻る。ステップS160のCMYK色変換処理又はステップS170のグレースケール色変換処理が終了すると、コントローラー40は、ポインターpを値1インクリメントして(ステップS180)、上述したステップS340又はステップS470によるハーフトーン処理済みで且つ未印刷の画素が1パス分揃ったか否かを判定する(ステップS190)。例えば、印刷ヘッド28のノズル32C,M,Y,K1がそれぞれ90個、ノズルK2が180個である場合には、1パスで印刷可能な画素は縦270(=90+180)画素であるため、ハーフトーン処理済みで未印刷の画素が縦270画素×横ymax画素分揃ったときに肯定的な判定をする。そして、否定的な判定をすると、ステップS150に進み、ステップS190で肯定的な判定をするまでステップS150〜S190の処理を繰り返す。そして、ステップS190で肯定的な判定をすると、ステップS340又はステップS470によるハーフトーン処理済みで且つ未印刷の1パス分の画素のデータ(画素の座標及び色変換後の階調値(2ビット))を印刷指令と共にプリンターユニット20に送信する(ステップS200)。そして、印刷指令と1パス分の画素のデータを入力したプリンターユニット20のASIC21は、キャリッジモーター23及び搬送ローラー29を制御して印字ヘッド25と用紙Sとの位置を調整し、印字ヘッド25を主走査方向に移動させながら、プリンター機構22の圧電素子に電圧を印加して用紙Sへの画像の印刷を行う。これにより、1パス分の画素の階調値に基づく画像が用紙Sに形成される。また、ステップS200の処理を行うと、コントローラー40は、ポインターpが値xmaxを超えたか否かを判定する(ステップS210)。そして否定的な判定をするとステップS150に進み、ステップS210で肯定的な判定をするまでステップS150〜S210の処理を繰り返す。これにより1パスずつの印刷が順次行われる。そして、ステップS210で肯定的な判定をすると、ドラフト印刷ルーチンを終了する。
【0038】
上述したドラフト印刷ルーチンにより印刷を行う様子を図10を用いて説明する。なお、説明の便宜のために、カラー画像データは縦12画素×横11画素のマトリックス状の画素からなるものとし、印刷ヘッド28のノズル32C,32M,32Y,32K1の数はそれぞれ2個、ノズル32K2の数は4個とする。図10(a)は、ステップS110で解像度変換処理をした後のカラー画像データの一例である。図10(b)は、比較例として、このカラー画像データに対して印刷ヘッド28で従来のドラフトモード印刷を行った場合の印刷されたカラー画像の一例である。図示するように、カラーの画像を形成できるノズル32C,32M,32Y,32K1は解像度が低いため、1パス目で形成したカラーのドットの用紙搬送方向の隙間にカラーのドットを形成しないとドットの隙間が大きくなり、画像の視認性が低下してしまう。図10(c)は、本実施形態のドラフト印刷ルーチンにより印刷を行ったカラー画像の一例である。図示するように、1回のパスで印刷する際に、ノズル32C,32M,32Y,32K1のドットの隙間にノズル32K2からのドットによるグレースケールの画像を形成しているため、画像の視認性が向上する。また、本実施形態では、ノズル32K2によりグレースケールの画像を形成する画素のうち、エッジ画素以外の画素については、画素の彩度Dが高いほど輝度Yが高くなるように補正した補正輝度Y’によりグレースケールの階調値を定めている。これにより、エッジ画素以外についての色再現性を向上させることができる。さらに、エッジ画素についてはエッジ強調処理を行い、且つ輝度の補正は行わないため、画像のエッジの視認性が低下するのを防止できる。なお、実際の画像形成では、カラーの画素、グレースケールの画素のいずれもハーフトーン処理により大中小のドットが形成されるが、図10(b),(c)では、輝度補正を行ったことにより小さいドットが増える(印刷が薄くなる)傾向にある画素のみを小さいドットで図示している。
【0039】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のステップS120の解像度変換処理を行って印刷解像度のカラー画像データを得るコントローラー40が、本発明のカラー画像データ取得手段に相当し、ステップS150,S170の処理を行うコントローラー40が変換画像データ生成手段に相当し、ステップS200の1パス分の画素データの送信を行うコントローラー40が送信手段に相当し、ステップS130の処理を行うコントローラー40がエッジ検出手段に相当し、ステップS320,S420の処理を行うコントローラー40がエッジ強調手段に相当する。
【0040】
以上詳述した本実施形態のインクジェットプリンター10は、印刷ヘッド28と、印刷ヘッド28を用紙Sの搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるキャリッジモーター23と、用紙Sを搬送方向に移動させる搬送ローラー29と、を備え、印刷ヘッド28からインクを吐出して用紙Sに画像を形成可能なプリンターユニット20に、コントローラー40がバス80を介して接続されるものである。また、このプリンターユニット20の印刷ヘッド28は、CMYのインクを吐出するノズル32C,32M,32Yを用紙Sの搬送方向に第1解像度で並べたノズル列30C,30M,30Yと、Kのインクを吐出するノズル32K1をノズル列30C,30M,30Yと搬送方向の位置が揃うように第1解像度で並べたノズル列30K1と、Kのインクを吐出するノズル32K2をノズル32K1の搬送方向の隙間を3等分するように並べたノズル列30K2と、を有している。そして、このコントローラー40は、用紙Sの搬送方向に対応する縦方向に第1解像度の3倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなる解像度変換後のカラー画像データを取得する。続いて、カラー画像データの各画素のうち、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換し、色変換後の画素のデータをプリンターユニット20に送信する。こうすることで、プリンターユニット20に送信する画素のデータは、縦方向で第1解像度に対応して配置された画素以外の画素、すなわちプリンターユニット20のノズル32K2の位置に対応する画素が、グレースケールの画素に変換されたものとなる。そのため、このプリンターユニット20がドラフトモードで画像形成を行うときには、印刷ヘッド28を主走査方向に1回移動(1パス)する間に、ノズル列30C,30M,30Y,30K1のノズルからインクを吐出することで縦方向で第1解像度に対応して配置された画素の階調値に基づく画像(カラーの画像)を形成できると共に、ノズル列30K2のノズルからインクを吐出することで第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像(グレースケールの画像)を形成できる。これにより、従来のドラフトモードではノズル列30C,30M,30Y,30K1で形成したドットの用紙搬送方向の隙間になってしまう部分にノズル32K2のドットが形成されるため、用紙に形成したカラー画像の視認性が向上する。なお、第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値に基づく画像をノズル32C,32M,32Y,32K1から吐出したインクにより形成する必要がない、すなわちノズル32C,32M,32Y,32K1のノズルピッチの1/3分だけ用紙を搬送して1パス分の画像形成を行うといった動作の必要がないため、画像形成の速度は従来のドラフトモードと変わらない。このように、本実施形態のコントローラー40が上述したドラフト印刷ルーチンを実行することで、ドラフトモード時のカラー画像の視認性を向上させることのできる画像データをプリンターユニット20に提供することができる。
【0041】
また、エッジ画素検出を行って、エッジ画素については輝度補正を行わずにグレースケールの画素への色変換を行い、エッジ画素以外の画素については彩度が高いほど輝度が高輝度になるように輝度補正を行ってグレースケールの画素への色変換を行うため、エッジ画素の視認性の低下を防止しつつ、エッジ画素以外の画素の色再現性を向上させることができる。すなわち、輝度の補正を行うと、特に画像のエッジ部分に相当するエッジ画素については輝度の補正を行わない場合と比べて視認性が低下する場合があるが、これを防止できる。
【0042】
さらに、エッジ画素についてはエッジ強調処理を行うため、エッジ画素の視認性の低下をより防止できる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、エッジ画素についてはエッジ強調処理を行うものとしたが、エッジ強調処理を行わないものとしてもよい。また、図8のグレースケール色変換処理を行うにあたり、エッジ画素についてはステップS440〜S460の輝度補正を行わないものとしたが、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行わないものとしてもよいし、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行うものとしてもよい。図10(a)のカラー画像データについて、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行わないものとした場合にドラフトモードで印刷した画像を図11(a)に、エッジ画素か否かに関わらず輝度補正を行うものとした場合にドラフトモードで印刷した画像を図11(b)に示す。なお、図11(a),(b)のいずれも、エッジ画素のエッジ強調処理は行わない場合について示した。
【0045】
上述した実施形態では、図2のようにノズル列30K1のノズル32K1の搬送方向の隙間(長さL)を3等分するようにノズル32K2を並べたものとしたが、これに限られずa等分(aは2以上の整数)するように並べたものであればよい。本実施形態では、印刷ヘッド28はノズル列30C,30M,30Yからの3種類の有彩色インクを吐出できるものとしたが、4種類以上の有彩色インクを吐出可能な印刷ヘッドとしてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、ドラフト印刷ルーチンを実行するコントローラー40と用紙Sに印刷を行うプリンターユニット20とを備えたインクジェットプリンター10として説明したが、本発明の画像処理装置はこれに限られるものではない。例えば、本発明の画像処理装置は、ドラフト印刷処理ルーチンを実行可能なプリンタードライバーをインストールしたコンピューターであってもよい。この場合でも、例えばUSB接続などにより、コンピューターをインクジェットプリンターと接続すれば、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
。
【0047】
上述した実施形態では、ステップS110で入力したカラー画像データに対して解像度変換処理を行って印刷解像度のカラー画像データを取得するものとしたが、初めから印刷解像度のカラー画像データがメモリーカードMCに記憶されているものとして、これを入力するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 インクジェットプリンター、20 プリンターユニット、21 ASIC、22 プリンター機構、23 キャリッジモーター、24 ベルト、25 ガイド、26 キャリッジ、27 インクカートリッジ、28 印刷ヘッド、29 搬送ローラー、30C,30M,30Y,30K1,30K2 ノズル列、32C,32M,32Y,32K1,30K2 ノズル、40 コントローラー、42 CPU、42 ROM、44 RAM、50 操作パネル、52 表示部、54 操作部、70 カードインターフェース(I/F)、80 バス、MC メモリーカード、S 用紙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルを用紙の搬送方向に第1解像度で並べた有彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第1無彩色ノズルを前記有彩色ノズル列と前記搬送方向の位置が揃うように前記第1解像度で並べた第1無彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第2無彩色ノズルを前記第1無彩色ノズルの前記搬送方向の隙間をa等分(aは2以上の整数)するように並べた第2無彩色ノズル列と、を有するヘッドと、前記ヘッドを前記用紙の搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、前記用紙を前記搬送方向に移動させる用紙送り手段と、を備え、前記ヘッドから前記インクを吐出して前記用紙に画像を形成可能な画像形成装置に接続される画像処理装置であって、
前記用紙搬送方向に対応する縦方向に前記第1解像度のa倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ前記主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなるカラー画像データを取得するカラー画像データ取得手段と、
前記カラー画像データの各画素のうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する変換画像データ生成手段と、
前記変換画像データを前記画像形成装置に送信する送信手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し、該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正し、該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値とする手段である、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記カラー画像データにおけるエッジ部分に相当するエッジ画素を検出するエッジ検出手段、
を備え、
前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値とする、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記カラー画像データのうち前記エッジ検出手段に検出されたエッジ画素に対してエッジ強調処理を行うエッジ強調手段、
を備え、
前記変換画像データ生成手段は、前記エッジ強調処理を行ったカラー画像データのうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する手段であり、該色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を該色変換後の画素の階調値とする、
画像処理装置。
【請求項5】
コンピューターを請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
有彩色のインクを吐出する有彩色ノズルを用紙の搬送方向に第1解像度で並べた有彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第1無彩色ノズルを前記有彩色ノズル列と前記搬送方向の位置が揃うように前記第1解像度で並べた第1無彩色ノズル列と、無彩色のインクを吐出する第2無彩色ノズルを前記第1無彩色ノズルの前記搬送方向の隙間をa等分(aは2以上の整数)するように並べた第2無彩色ノズル列と、を有するヘッドと、前記ヘッドを前記用紙の搬送方向と略直交する主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、前記用紙を前記搬送方向に移動させる用紙送り手段と、を備え、前記ヘッドから前記インクを吐出して前記用紙に画像を形成可能な画像形成装置に接続される画像処理装置であって、
前記用紙搬送方向に対応する縦方向に前記第1解像度のa倍の第2解像度で複数の画素を並べ、且つ前記主走査方向に対応する横方向に複数の画素を並べたマトリックス状の画素からなるカラー画像データを取得するカラー画像データ取得手段と、
前記カラー画像データの各画素のうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する変換画像データ生成手段と、
前記変換画像データを前記画像形成装置に送信する送信手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し、該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正し、該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値とする手段である、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記カラー画像データにおけるエッジ部分に相当するエッジ画素を検出するエッジ検出手段、
を備え、
前記変換画像データ生成手段は、前記色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については前記色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を前記色変換後の画素の階調値とする、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記カラー画像データのうち前記エッジ検出手段に検出されたエッジ画素に対してエッジ強調処理を行うエッジ強調手段、
を備え、
前記変換画像データ生成手段は、前記エッジ強調処理を行ったカラー画像データのうち、前記縦方向で前記第1解像度に対応して配置された画素以外の画素の階調値をグレースケールの階調値に色変換した変換画像データを生成する手段であり、該色変換の対象となる画素のうち、前記エッジ画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の輝度を導出して該導出した輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を色変換後の画素の階調値とし、前記エッジ画素以外の画素については該色変換の対象となる画素の階調値から該画素の彩度及び輝度を導出し該導出した彩度が高いほど該色変換の対象となる画素の輝度を高輝度に補正して該補正後の輝度を反映させて得られるグレースケールの階調値を該色変換後の画素の階調値とする、
画像処理装置。
【請求項5】
コンピューターを請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−259121(P2011−259121A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130732(P2010−130732)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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