説明

画像処理装置

【課題】 部分的に動く領域を含む対象を撮影した断層像から3次元動画像を高速に生成することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】 画像処理装置100のCPU101は、対象領域を時間経過に伴い断続的に撮影した各一連の断層像から3次元動画を生成・表示する際に、対象領域のうち、時相間で変化が大きい変化領域を決定し、変化領域については忠実に3次元画像を生成し、その他の領域については簡略に3次元画像を生成し、生成された3次元画像を時系列に順次表示する。例えば、ある時相の一連の断層像を用いて、全領域3Dを生成するとともに、変化領域については、各時相の一連の断層像を用いて変化領域3Dをそれぞれ生成し、上記全領域3Dに各時相での変化領域3Dを上塗り合成し、時系列に順次表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の断層像から3次元画像を生成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばX線CT(computed tomography)装置やMRI(magnetic resonance imaging)装置、超音波診断装置等によって撮影される一連の断層像群を用い、対象物の3次元画像を生成する手法が知られている。例えば、特許文献1には、複数の断層像から3次元画像を構成し、ボリュームレンダリング法で用いられる陰影付けの勾配を断層像の画素値及び画素値勾配を用いることにより、部位に応じた適切な陰影付けを施す手法が開示されている。更に、時間の経過に伴い複数の時相で断続的に撮影された各断層像群から3次元画像を複数生成し、連続的な動画として表示させる手法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−11604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に3次元画像の構成処理は演算量が多く、処理時間が長くなる傾向があった。特に、動画のように多数の3次元画像を生成するにはより多くの処理時間が必要であった。
ところで、演算対象とする各断層像には、時間の経過に伴い、動きの大きい領域とほとんど動かない領域とが含まれることがある。例えば、心臓領域を対象に撮影した断層像では、動脈弁領域は時間の経過に伴い動きがあるが、その他の領域はほとんど動きがない。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、時間経過に伴い変化する領域を含む断層像に基づいて、高速に3次元動画を生成し、表示する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明は、対象領域を時間経過に伴い断続的に撮影した各一連の断層像を用いて、各時相の3次元画像をそれぞれ生成し、動画表示する画像処理装置であって、前記対象領域のうち、時相間で変化が大きい変化領域を決定する領域決定手段と、前記変化領域については忠実に3次元画像を生成し、その他の領域については簡略に3次元画像を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された3次元画像を時系列に順次表示する表示手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像処理装置により、時間経過に伴い変化する領域を含む断層像に基づいて、高速に3次元動画を生成し、表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像処理装置100の全体構成を示す図
【図2】本発明に係る画像処理装置100が実行する3次元動画表示処理の流れを説明するフローチャート
【図3】変化領域の決定の一例(前後時相での比較)について説明する図
【図4】変化領域の決定の一例(全時相での比較)について説明する図
【図5】変化領域の画像生成の一例(中心投影)について説明する図
【図6】変化領域の画像生成の一例(平行投影)について説明する図
【図7】埋め込み動画の生成・表示から全領域動画の生成・表示までの流れを説明するフローチャート
【図8】演算モードの選択画面と、高/低密度3次元画像とを説明する図
【図9】「高/低密度」モードの演算処理の流れを説明するフローチャート
【図10】「高/低フレームレート」モードの演算処理の流れを説明するフローチャート
【図11】「高/低フレームレート」モードにおける画像生成を説明する図
【図12】心拍等の周期的運動に応じた画像生成について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の画像処理装置100を適用した画像処理システム1の構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、画像処理システム1は、表示装置107、入力装置109を有する画像処理装置100と、画像処理装置100にネットワーク110を介して接続される画像データベース111と、画像撮影装置112とを備える。
【0012】
画像処理装置100は、画像生成、画像解析等の処理を行うコンピュータである。例えば、病院等に設置される医用画像処理装置を含む。
画像処理装置100は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、主メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース(通信I/F)104、表示メモリ105、マウス108等の外部機器とのインタフェース(I/F)106を備え、各部はバス113を介して接続されている。
【0013】
CPU101は、主メモリ102または記憶装置103等に格納されるプログラムを主メモリ102のRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス113を介して接続された各部を駆動制御し、画像処理装置100が行う各種処理を実現する。
【0014】
また、CPU101は、後述する3次元動画表示処理(図2参照)において、時間の経過に伴い複数の時相で断続的に撮影された各一連の断層像について、時相間の変化が大きい変化領域を決定し、変化領域については忠実な3次元動画を生成し、その他の領域(変化の少ない領域)については既に生成した3次元画像を利用する等して演算処理を簡略化し、これらの各領域の画像を合成した埋め込み動画を表示する。
変化領域の決定や埋め込み動画の生成についての詳細は後述する。
【0015】
主メモリ102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。また、RAMは、ROM、記憶装置103等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、CPU101が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0016】
記憶装置103は、HDD(ハードディスクドライブ)や他の記録媒体へのデータの読み書きを行う記憶装置であり、CPU101が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、アプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、CPU101により必要に応じて読み出されて主メモリ102のRAMに移され、各種の手段として実行される。
【0017】
通信I/F104は、通信制御装置、通信ポート等を有し、画像処理装置100とネットワーク110との通信を媒介する。また通信I/F104は、ネットワーク110を介して、画像データベース111や、他のコンピュータ、或いは、X線CT装置、MRI装置等の画像撮影装置112との通信制御を行う。
I/F106は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器とのデータの送受信を行う。例えば、マウス108やスタイラスペン等のポインティングデバイスをI/F106を介して接続させるようにしてもよい。
【0018】
表示メモリ105は、CPU101から入力される表示データを一時的に蓄積するバッファである。蓄積された表示データは所定のタイミングで表示装置107に出力される。
【0019】
表示装置107は、液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路で構成され、表示メモリ105を介してCPU101に接続される。表示装置107はCPU101の制御により表示メモリ105に蓄積された表示データを表示する。
【0020】
入力装置109は、例えば、キーボード等の入力装置であり、操作者によって入力される各種の指示や情報をCPU101に出力する。操作者は、表示装置107、入力装置109、及びマウス108等の外部機器を使用して対話的に画像処理装置100を操作する。
【0021】
ネットワーク110は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、インターネット等の各種通信網を含み、画像データベース111やサーバ、他の情報機器等と画像処理装置100との通信接続を媒介する。
【0022】
画像データベース111は、画像撮影装置112によって撮影された画像データを蓄積して記憶するものである。図1に示す画像処理システム1では、画像データベース111はネットワーク110を介して画像処理装置100に接続される構成であるが、画像処理装置100内の例えば記憶装置103に画像データベース111を設けるようにしてもよい。
【0023】
次に、図2〜図7を参照して、画像処理装置100の動作について説明する。
【0024】
画像処理装置100のCPU101は、主メモリ102から図2の3次元動画表示処理に関するプログラム及びデータを読み出し、このプログラム及びデータに基づいて処理を実行する。
【0025】
なお、以下の3次元動画表示処理の実行開始に際して、演算対象とする断層像データは画像データベース111等からネットワーク110及び通信I/F104を介して取り込まれ、画像処理装置100の記憶装置103に記憶されているものとする。
【0026】
図2の3次元動画表示処理において、まず画像処理装置100のCPU101は、対象領域を時間経過に伴い断続的に撮影した各一連の断層像を入力画像データとして読み込む。ここで読み込む画像は、例えば心臓の動脈弁のように動きのある領域を含む対象についての一連の断層像群とし、対象領域は全時相で同一のままとする。入力画像データの好適な例として、超音波画像、CT画像、またはMR画像等が挙げられる。
なお、対象領域は心臓に限定されるものではなく、他の臓器としてもよい。
【0027】
CPU101は、読み込んだ画像データから、時相間で変化する領域(変化領域)を決定する。
すなわち、CPU101は、時相の異なる断層像のうち対応するスライス位置の画像(以下、対応画像という)間で差分を算出し(ステップS1)、差分値の大きさが大きい領域を変化領域として決定する(ステップS2)。
【0028】
変化領域を決定する際、CPU101は、図3に示すように前後する時相の対応画像から各画素の差分を算出し、その差分値の大きさが所定の閾値より大きい領域を変化領域として決定する。また、変化領域の別の決定方法として、図4に示すように、CPU101は、全時相の対応画像から各画素の最大画素値と最小画素値との差分を算出し、その差分値の大きさが所定の閾値より大きい領域を変化領域として決定するようにしてもよい。
【0029】
前後時相の断層像に基づいて変化領域を決定する場合は、具体的には、図3(A)に示すように、ある時相t1の断層像群51と次の時相t2の断層像群52との差分を算出する。時相t1の断層像群51は、断層像SL511,SL512,SL513,SL514,・・・から構成され、時相t2の断層像群52は、複数の断層像SL521,SL522,SL523,SL524,・・・から構成されるものとする。CPU101は、例えばSL511とSL521、SL512とSL522のように、対応画像の各画素について画素値(濃度値)の差分を算出する。
【0030】
そしてCPU101は、対応画像の画素値の差分が所定値より大きい画素についてはフラグ「1」、上記差分が所定値以下の画素についてはフラグ「0」として画素毎に変化フラグを設定し、フラグ格納面6に格納する。同様に全てのスライス位置についてのフラグ格納面6を主メモリ102に保持する。なお、このフラグ格納面6は比較した時相毎に作成されることとなる。
【0031】
図3(B)に示すように、変化フラグ「1」が設定された領域を変化領域61、62として決定することができる。
また、図3(C)に示すように、算出した変化領域61,62の周囲を拡張し、拡張した領域63,64を変化領域とすることが望ましい。領域の拡張は、拡張領域63のように直方体に拡張しても良いし、拡張領域64のように相似形に拡張しても良いし、図示しないが楕円球としてもよい。このように変化領域を広く抽出しておくことにより、後の処理で生成される3次元画像の正確さを向上でき、医用画像としての信頼性を高めることができる。また拡張領域63のように直方体に拡張した場合は、変化領域が三軸方向の各最大座標及び最小座標のみで決定されることとなるため小さなデータ量で保存でき、メモリ領域の縮小に寄与できる。
【0032】
一方、変化領域を決定する別の手法として、全時相の対応画像から各画素の最大画素値と最小画素値との差分を算出する場合には、CPU101は、図4(A)に示すように、時相t1〜tNの全ての時相の断層像群51〜断層像群5Nから、各画素について最小画素値及び最大画素値を求める。この演算はスキャン中に行ってもよいし、スキャン終了後に行ってもよい。
図4(B)に示すように、各断層像の各画素について最小画素値及び最大画素値が決定すると、CPU101は最小画素値と最大画素値との差分を算出する。
【0033】
そしてCPU101は、図3の例と同様に、上記差分が所定値より大きい画素については変化フラグ「1」、上記差分が所定値以下の画素については変化フラグ「0」のように画素毎に変化フラグを設定し、フラグ格納面6に格納する。同様に全てのスライス位置についてフラグ格納面6を生成し、主メモリ102に保持する。なお、この場合フラグ格納面6は全時相に一つとなる。
この結果、図4(C)に示すように、変化フラグ「1」が設定された領域を変化領域61として決定することができる。また、図3の例と同様に図4(D)に示すように、変化領域61の周囲を拡張し、拡張領域63を変化領域とすることが望ましい。
【0034】
なお、図4の例では、上述のようにすべての時相について画素値の大きさを比較してもよいし、処理時間の短縮のためにある程度時相を間引いて変化領域を決定してもよい。
【0035】
図3に示す例では、前後する時相(連続する二つの時相)の断層像間で対応画像を比較するため、変化領域の抽出結果は時相毎に異なるのに対し、図4に示す例では、時相全体で対応画像を比較して変化領域を抽出するため、変化領域が時相毎に変化しない。よって、図3の手法では時間による変化をより細かく捉え、より信頼性の高い3次元動画を得ることとなる。一方、図4の手法では全体的な変化の要所を捉えつつ、変化領域決定に要する処理量を比較的少なくできる。従って、変化領域の決定にどちらの手法を使用するかは、要求される画像の信頼性や、処理時間、あるいは対象領域に応じて選択すべきである。
【0036】
ステップS1〜ステップS2の処理によって変化領域を決定すると、次に、CPU101は3次元画像の生成を開始する。
このとき、CPU101はある時相、例えば最初の時相について全体の3次元画像を生成し、ステップS1〜S2で決定した変化領域については更に、各時相についてそれぞれ3次元画像を生成する(ステップS3)。
そして、ある時相(例えば最初の時相)についての3次元画像内に、変化領域の各時相の3次元画像をそれぞれ合成した埋め込み画像を生成し、時系列に順次表示することにより動画表示とする(ステップS4)。
【0037】
3次元画像の生成は、図5に示すような中心投影法としてもよいし、図6にしめすような平行投影法としてもよい。
図5に示すように、時相t2の断層像群52の3次元画像を生成する場合、CPU101は時相t2についてのフラグ格納面6を参照して変化領域61(または拡張した変化領域63)、変化領域62(または拡張した変化領域64)についての3次元画像71、72を構成する。その他の領域については、既に演算済みの別の時相(例えばt1)の全領域3次元画像73を利用(コピー)する。
【0038】
図5の投影面7には、時相t2の断層像52の変化領域61(その拡張領域63)の3次元画像71と、時相t2の断層像52の変化領域62(その拡張領域64)の3次元画像72とが投影されるとともに、その他の領域の画像としてある時相(例えばt1)の3次元画像73が投影される。他の時相についても、同様に、変化領域の3次元画像を生成し、その他の領域については既に演算済みの時相の3次元画像を利用し、合成する。
【0039】
また、図6に示すように、平行投影法により3次元画像を生成する場合も同様に、変化領域61(または拡張した変化領域63)や変化領域62(または拡張した変化領域64)について3次元画像81、82を構成し、その他の領域については、既に演算済みの別の時相(例えばt1)の3次元画像83を利用(コピー)する。
図6の投影面8には、時相t2の断層像52の変化領域61(その拡張領域63)の3次元画像81と、変化領域62(その拡張領域64)の3次元画像82とが投影されるとともに、ある時相(例えばt1)の3次元画像83が投影される。他の時相についても、同様に、変化領域の3次元画像を生成し、その他の領域については既に演算済みの時相の3次元画像を合成する。
【0040】
次に、図7を参照して、3次元動画表示処理における画像の生成及び表示の手順を詳細に説明する。
なお、図7に示す処理の開始までに、図2のステップS1及びステップS2の処理によって、対象画像から変化領域が決定されているものとする。
【0041】
図7の処理において、まず、CPU101は、最初の時相t1の全領域の3次元画像(全領域3D)を構成する(ステップS101)。その後、次の時相t2の変化領域の3次元画像(変化領域3D)を構成する(ステップS102)。そして、最初時相t1の全領域3Dに次の時相t2の変化領域3Dを上塗りするように合成し、3次元合成画像とする。
【0042】
ここで上塗りとは、既に生成済みの全領域3Dを投影面にコピーし、そのコピー画像の変化領域の部分のみを新たに生成した画像に更新することをいう。或いはその逆に、変化領域の画像を生成した投影面に、既に生成済みの全領域3Dの変化領域以外の部分の画像をコピーして合成する。
つまり、変化領域については時刻t2の画像、その他の領域については時刻t1の画像が1画面内に合成される。
この上塗り合成された画像を以下、埋め込み画像と呼ぶ。
この段階で生成されている各時相の3次元画像(時刻t1の全領域3Dと時刻t2の埋め込み画像)は表示装置107に順次表示される。或いは、ユーザの選択操作に応じて、非表示としてもよい(ステップS103)。
【0043】
CPU101は、全時相での変化領域3Dが終了したか否かを判定し、まだ全時相での変化領域3Dを構成していない場合は(ステップS104;No)、ステップS102に戻り、次の時相での変化領域3Dを構成し、最初時相の全領域3Dに上塗り合成する。
【0044】
全時相での変化領域3Dの構成が終了した場合は(ステップS104;Yes)、次に、全時相の全領域3Dの構成を開始する。ここでは全領域3Dの構成処理は、本処理(ステップS101〜S110)の別のプロシジャ、プロセスまたはメソッドとして実行されるようにする。
【0045】
CPU101は、ステップS101〜ステップS104の処理によって生成した埋め込み画像を時系列に順次表示している(ステップS105)。
【0046】
一方で、ステップS104の後に起動したプロシジャ(全領域3D構成処理)では、まず最初時相の全領域3Dを演算し(ステップS201)、演算結果を本処理側に渡す(ステップS202)。なお、最初時相の全領域3Dは、ステップS101において生成済みであるため、ステップS201〜ステップS202の処理は省略してもよい。また、次の時相の全領域3Dを演算し(ステップS203)、演算結果を本処理側に渡す(ステップS204)。ステップS203〜ステップS204を全ての時相について繰り返し、全ての時相について全領域3Dの演算が終了した場合は(ステップS205)、全領域3D構成処理を終了する。
【0047】
一方、本処理側では、埋め込み3D動画を表示しつつ、プロシジャ(全領域3D構成処理)が特定時相での全領域3Dを演算したかを調べ、演算結果を得ている場合には(ステップS106;Yes)、その時相の全領域3Dで、同じ時相の埋め込み画像を置き換える(ステップS107)。CPU101は、ステップS106〜ステップS107の置き換え処理を全ての時相について順次画像を置き換える。
【0048】
CPU101は、全ての時相についての置き換えが終了すると(ステップS108;Yes)、全領域3Dを時系列に順次表示して動画表示とする(ステップS109)。その後、ユーザにより終了指示が入力されると(ステップS110;Yes)、本処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、第1の実施の形態の画像処理装置100は、対象領域を時間経過に伴い断続的に撮影した各一連の断層像について、対象領域のうち、時相間で変化が大きい変化領域を決定する。そして、ある時相の一連の断層像を用いて、前記対象領域全体についての3次元画像(全領域3D)を生成するとともに、変化領域については、各時相の一連の断層像を用いて3次元画像(変化領域3D)をそれぞれ生成する。そして、ある時相の全領域3Dに各時相での変化領域3Dを上塗り合成し、各時相の3次元合成画像(埋め込み画像)を生成し、時系列に順次表示する。
【0050】
従って、対象領域のうち、動きの大きい部位(変化領域)についてのみ、各時相の3次元画像を構成するが、その他の領域についてはある時相についての3次元画像を利用できるので、演算量を少なくでき、3D動画の演算処理に要する時間が短縮できる。そのため、3D動画を表示させるための待ち時間を短くすることができる。
【0051】
また、対象領域から変化領域を決定する際に、前後する時相(連続する二つの時相)で対応画像を比較する手法を用いる場合には、変化を細かく捉えることができ、より信頼性の高い3次元動画を得られる。
また、時相全体で対応画像を比較する手法を用いる場合には、変化領域決定に要する処理量がより少なくなり、処理時間をより短縮できる。
【0052】
また、3次元画像の生成と表示の手順として、本実施の形態に示すように、例えば最初時相の対象領域全体についての3次元画像(全領域3D)を生成した後に、各時相の変化領域についてのみ3次元画像(変化領域3D)をそれぞれ生成し、はじめに、前記最初時相の全領域3Dと、各時相の前記変化領域3Dとを合成した3次元合成画像(埋め込み画像)を時系列に順次表示し、次に、全ての時相について全領域3Dを生成して時系列に順次表示するようにすれば、正確な3次元画像の演算が終了するまでの間に、埋め込み画像を高速に構成して表示できるため、ユーザは少ない待ち時間で埋め込み画像による大まかな表示内容を視認でき、かつ後の段階では正確な3次元画像を用いて画像診断を行える。
【0053】
なお、上述の実施の形態では、最初時相(t1)の全領域3Dを基準画像とし、変化領域3Dをこの基準画像に合成し、埋め込み画像を生成する例を示したが、基準画像は、最初時相に限らず他の時相の全領域3Dとしてもよい。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に、図8〜図11を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態の画像処理装置100のハードウエア構成は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略し、同一の各部は同一の符号を用いることとする。
【0055】
第2の実施の形態の画像処理装置100は、3次元画像生成の演算モードとして、「変化領域のみモード」、「高/低密度」モード、「高/低フレームレート」モードの3種類のモードを有し、操作者の所望する演算モードを選択可能とする。各モードの説明は後述する。
【0056】
図8に示すように、3次元画像を生成する処理の実行に先立ち、CPU101は演算モード選択画面9を表示装置107に表示する。演算モード選択画面9には、画像表示エリア91と、演算モードを選択するための各種ボタン96、97、98、及び終了ボタン99等が表示される。
【0057】
「変化領域のみ」モードは、第1の実施の形態にて説明したように、変化領域のみ各時相の3次元画像を生成し、これを既に演算済みの、ある時相の全領域3Dに上塗り合成して、埋め込み動画を表示するモードである。
【0058】
「高/低密度」モードとは、図8に示すように、変化領域95については高画素密度に3次元画像を生成し、その他の領域93については低画素密度に3次元画像を生成するモードである。
【0059】
「高/低フレームレート」モードとは、変化領域については3次元画像を高フレームレート(例えば、全時相)で生成し、その他の領域を含む全領域については低フレームレート、すなわち時相を間引いて3次元画像を生成するモードである。例えば、全時相を複数時相毎に区切り、各区間に1つ全領域3Dを生成するとともに各時相の変化領域3Dを生成し、その区間の全領域3Dに上塗り合成して埋め込み画像とする。
【0060】
演算モード選択画面9において、演算モードの選択ボタン96が押下操作され、「高/低密度」モードが選択されると、CPU101は、図9に示す「高/低密度」モードの演算処理を実行する。
なお、図9に示す「高/低密度」モードの演算処理の開始までに、図2のステップS1及びステップS2の処理によって、対象画像から変化領域が決定されているものとする。
【0061】
図9の「高/低密度」モードの演算処理において、まずCPU101は、最初の時相t1について、全領域低密度で3次元画像を構成し、これを基準画像とする(ステップS301)。その後、次の時相t2について、変化領域のみ高密度で3次元画像を構成する(ステップS302)。そして、変化領域3D(高密度)を、ステップS301で演算済みの基準画像(全領域低密度画像)に上塗り合成し、高/低密度3次元画像(高/低密度3D)とする(ステップS303)。この段階で生成されている各時相の高/低密度3Dは表示装置107に順次表示される。或いは、ユーザの選択操作に応じて、非表示としてもよい(ステップS303)。
【0062】
CPU101は、全時相での高/低密度3Dの構成が終了したか否かを判定し、まだ全時相での高/低密度3Dを構成していない場合は(ステップS304;No)、ステップS302に戻り、次の時相での高/低密度3Dを構成する。
【0063】
全時相での高/低密度3Dの構成が終了した場合は(ステップS304;Yes)、次に、CPU101は、全領域について高密度に3次元画像を構成する処理を開始する。ここでは全領域高密度3Dの構成処理は、高/低密度モード演算処理の別のプロシジャ、プロセスまたはメソッドとして実行されるようにする。
【0064】
CPU101は、ステップS301〜ステップS304の処理によって生成した高/低密度3Dを時系列に順次表示する(ステップS305)。
【0065】
一方、ステップS304で起動したプロシジャ(全領域高密度3D構成処理)では、まず最初時相の全領域高密度3Dを演算し(ステップS401)、演算結果を本処理側に渡す(ステップS402)。また、次の時相の全領域高密度3Dを演算し(ステップS403)、演算結果を本処理側に渡す(ステップS404)。ステップS403〜ステップS404を全ての時相について繰り返し、全ての時相について全領域高密度3Dの演算が終了した場合は(ステップS405)、このプロシジャを終了する。
【0066】
一方、高/低密度モードの演算処理では、高/低密度3Dを表示しつつ、プロシジャ(全領域高密度3D構成処理)が特定時相での全領域高密度3Dを演算したかを調べ、演算結果を得ている場合には(ステップS306;Yes)、その時相の全領域高密度3Dで、同じ時相の高/低密度3Dを置き換える(ステップS307)。CPU101は、ステップS306〜ステップS307の置き換え処理を全ての時相について順次画像を置き換える。
【0067】
CPU101は、全ての時相についての置き換えが終了すると(ステップS308;Yes)、全領域高密度3Dを時系列に順次表示して、動画表示とする(ステップS309)。その後、ユーザにより終了指示が入力されると(ステップS310;Yes)、一連の高/低密度モードの演算処理を終了する。
【0068】
次に、図10、図11を参照して「高/低フレームレート」モードについて説明する。
【0069】
演算モード選択画面9において、演算モードの選択ボタン98が押下操作され、「高/低フレームレート」モードが選択されると、CPU101は、図10に示す「高/低フレームレート」モードの演算処理を実行する。
なお、図10に示す「高/低フレームレート」モードの演算処理の開始までに、図2のステップS1及びステップS2の処理によって、対象画像から変化領域が決定されているものとする。また、全時相を複数時相毎に区切り、区間を設定する。1区間の長さはユーザが任意に設定してもよいし、動画のフレームレート(時相刻み)や対象部位に応じて、予め適当な区間が設定されるものとしてもよい。
【0070】
図10の「高/低フレームレート」モードの演算処理において、まず、CPU101は、最初の区間内の最初の時相t1の全領域3Dを構成する(ステップS501)。その後、次の時相t2の変化領域3Dを構成する(ステップS502)。そして、最初時相t1の全領域3Dに次の時相t2の変化領域3Dを上塗りするように合成し、3次元合成画像(埋め込み画像)とする。つまり、変化領域については時刻t2の画像、その他の領域については時刻t1の画像が合成され、1つの埋め込み画像が生成される。
この段階で生成されている各時相の3次元画像(全領域3Dまたは埋め込み画像)は表示装置107に順次表示される。或いは、ユーザの選択操作に応じて、非表示としてもよい(ステップS503)。
【0071】
CPU101は、1区間内の全時相での変化領域3Dの構成が終了したか否かを判定し、まだ1区間内の全時相の変化領域3Dを構成していない場合は(ステップS504;No)、ステップS502に戻り、その区間の次の時相での変化領域3Dを構成し、最初時相に上塗り合成し、埋め込み画像を生成する。
【0072】
1区間内の全時相での変化領域3Dの構成が終了した場合は(ステップS504;Yes)、更に、全区間について上述のステップS501〜ステップS504の処理が終了したか否かを判定し(ステップS505)、終了していない場合はステップS501〜ステップS504の処理を繰り返す。全区間について処理が終了すると、次に、全時相の全領域3Dの構成を開始する(図7のステップS201へ)。ここでは全時相の全領域3Dの構成処理は、第1の実施の形態の処理手順と同様に、別のプロシジャ、プロセスまたはメソッドとして実行されるようにする。
【0073】
以降の処理は、図7のステップS105以降と同様とする。
すなわち、全時相の全領域3Dを生成し、演算結果を本処理(高/低フレームレート演算処理)側に渡す一方で、ステップS501〜ステップS505の処理で生成した埋め込み画像を表示する。そして、特定時相での全領域3Dが生成されると、その時相の全領域3Dで同じ時相の埋め込み画像を置き換える。このようにして全ての時相についての置き換えが終了すると、全領域3Dを時系列に順次表示して動画表示とする。その後、ユーザにより終了指示が入力されると一連の高/低フレームレート演算処理を終了する。
【0074】
図11に「高/低フレームレート」モードで構成された3次元画像を示す。
図11の例では、1区間をt1、t2、t3のように連続した3つの時相とする。すると、全領域3Dは、時相t1、t4、・・・、tN−2のように、所定の間隔で生成される。一方、変化領域の3次元画像は全ての時相t1、t2、t3、・・・tNについて生成され、該当区間の全領域3Dに上塗り合成される。よって、変化領域については各時相で更新され、その他の領域については所定の区間毎に更新されることとなる。
【0075】
以上説明したように、第2の実施の形態の画像処理装置100は、演算モードの選択を可能とし、「高/低密度」モードが選択された場合は、各時相の3次元画像を、変化領域については高密度に構成し、その他の領域については演算済みの全領域低密度3Dを利用する。そして、生成した高/低密度3次元画像を時系列に順次表示する。また、「高/低フレームレート」モードが選択された場合は、低フレームレートで全領域3Dを生成し、高フレームレートで変化領域3Dを生成する。
【0076】
従って、「高/低密度」モードでは、対象領域のうち、動きの大きい部位(変化領域)については、高密度で忠実に3次元画像を構成するが、その他の領域については低密度の3次元画像が利用されるため、演算量を省略することができ、処理時間を短縮できる。そのため、3次元動画を表示させるための待ち時間を短くすることができる。
また、「高/低フレームレート」モードでは、対象領域のうち、動きの大きい部位(変化領域)については、高フレームレートで忠実に3次元画像を構成するが、その他の領域については低フレームレートで3次元画像を構成するため、全体としては演算量を省略しつつも、第1実施形態の処理(「変化領域のみ」モード)と比較して、その他の領域についての画像の信頼性を向上できる。
【0077】
また、第1の実施の形態と同様に、3次元画像の構成と表示の手順として、はじめに、高/低密度3次元画像(或いは高/低フレームレートで生成した全領域画像及び埋め込み画像)を時系列に順次構成・表示し、次に、各時相の全領域高密度3Dを時系列に順次構成・表示するようにすれば、ユーザは少ない待ち時間で大まかな表示内容を視認でき、かつ後の段階では正確な3次元画像を確認できる。
【0078】
なお、第2の実施の形態の「高/低密度」モードにおける画素の密度は、要求される演算時間や画質に応じて適当なものに設定されることが望ましい。或いは、高/低の各画素密度をユーザが任意に設定可能としてもよい。
同様に、「高/低フレームレート」モードにおけるフレームの区間も、要求される演算時間や画質に応じて適当なものに設定されることが望ましい。
【0079】
また、「高/低密度」モードにおいて、変化領域以外の領域については、全時相にわたってある時相の低密度3Dを利用するものとしたが、各時相で変化領域以外の低密度3Dを構成し、変化領域の高密度3Dとともに表示すれば、画像の正確さが向上する。また、要求する画質や処理時間に応じて、「高/低密度」と「高/低フレームレート」とを適宜組み合わせ、変化領域については、高密度かつ高フレームレートで3次元画像を生成し、その他の領域では低密度かつ低フレームレートで3次元画像を生成するようにしてもよい。
【0080】
[第3の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態では、画像処理装置100は、時間経過に伴い断続的に撮影した各時相の各一連の断層像とともに、その時間に計測した被検者の心拍データ或いは呼吸データを取得し、取得した心拍データまたは呼吸データから動きの周期を解析し、この解析結果を利用して画像の演算処理を簡略化する。
【0081】
第3の実施の形態の画像処理装置100のハードウエア構成は、第1の実施の形態の画像処理装置100と同様であるので説明を省略し、同一の各部は同一の符号を用いることとする。
【0082】
第3の実施の形態の画像処理装置100において、更に演算量を減らすため、CPU101は、心拍データまたは呼吸データの周期的に対応する時相の、対応する断層像同士を比較し、差分のある領域についてのみ3次元画像を生成し、差分のない領域については演算済みの基準画像を利用する。なお、基準とする1周期分の画像については、第1の実施の形態或いは第2の実施の形態の手法(「変化領域のみ」モード、「高/低密度」モード、「高/低フレームレート」モードのいずれでもよい)により、各時相の3次元画像が生成されているものとする。
【0083】
図12に第3の実施の形態における3次元画像生成の概念図を示す。
図12(A)は、被検者の心電波形データであり、横軸は時間tである。
図12(A)に示す心電波形データの各周期をl1、l2、・・とすると、通常、時刻t1aと時刻t2a、時刻t1bと時刻t2b、時刻t1cと時刻t2cのように、周期的に対応する時刻(時相)における心電波形データはそれぞれほぼ一致する。そして周期の対応する時相同士は断層像の差分が小さい。
【0084】
そこで、図12(B)に示すように、時相t1a、t1b、t1c、・・・、t2a、t2b、t2c、・・・、t3a、t3b、t3c、・・・のように周期的に変化する一連の断層像が入力画像データとして用いられている場合において、CPU101は、まず1周期目について、第1及び第2の実施の形態の手法により各時相の3次元画像を生成し、2周期目以降については、1周期目と周期的に対応する時相の対応する断層像同士を比較し、差分を求め、差分のある領域についてのみ3次元画像を構成する。そして、CPU101は、周期的に対応する時相の、すでに生成済みの3次元画像(ここでは1周期目の3次元画像)に差分領域の画像を上塗り合成し、埋め込み画像とする。
【0085】
このように、心拍や呼吸のような周期的な動きのある画像については、その周期性を利用し、基準とする周期について、変化領域を忠実に演算した3次元画像を生成しておき、その他の周期については、周期的に対応する時相での差分領域のみを更新し、差分のない領域は演算済みの対応する時相の3次元画像をそのまま利用すればよい。
このように、第3の実施の形態の画像処理装置100では、動きの周期性を利用し、差分のみを演算するので、全体の演算量を低減させることができる。
【0086】
以上、第1〜第3の実施の形態にて説明したように、本発明の画像処理装置は、対象領域を時間経過に伴い断続的に撮影した各一連の断層像から3次元動画を生成・表示する際に、対象領域のうち、時相間で変化が大きい変化領域を決定し、変化領域については忠実に3次元画像を生成し、その他の領域については簡略に3次元画像を生成し、生成された3次元画像を時系列に順次表示する。
したがって、時間経過に伴い変化する領域を含む断層像に基づいて、高速に3次元動画を生成し、表示できる。
【0087】
なお、本発明は第1から第3の実施の形態を適宜組み合わせてもよい。例えば、第3の実施の形態において周期を考慮して生成した3次元動画像についても、第1、第2の実施の形態の各表示処理と同様に、はじめの段階では差分のみを生成した合成画像を表示し、後の段階で全領域の3次元画像を忠実に生成して表示することが望ましい。
【0088】
また、上述の各実施の形態において、変化領域を決定する際、ユーザが任意に変化領域を設定するようにしてもよい。この場合、時相毎に変化領域を設定してもよいし、全時相で一括して変化領域を設定するようにしてもよい。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像処理装置の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0090】
1・・・・・画像処理システム
100・・・・・画像処理装置
101・・・・・CPU
102・・・・・主メモリ
103・・・・・記憶装置
104・・・・・通信I/F
105・・・・・表示メモリ
106・・・・・I/F
107・・・・・表示装置
108・・・・・マウス
109・・・・・入力装置
110・・・・・ネットワーク
111・・・・・画像データベース
112・・・・・画像撮影装置
51・・・・・・時相t1における断層像群
52・・・・・・時相t2における断層像群
5N・・・・・・時相tNにおける断層像群
6・・・・・・・フラグ格納面
61,62・・・変化領域
63,64・・・拡張した変化領域
71,72・・・変化領域3D
73・・・・・・全領域3D
9・・・・・・・演算モード選択画面
93・・・・・・低密度3D
95・・・・・・高密度3D
96・・・・・・「高/低密度」モード選択ボタン
97・・・・・・「変化領域のみ」モード選択ボタン
98・・・・・・「高/低フレームレート」モード選択ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域を時間経過に伴い断続的に撮影した各一連の断層像を用いて、各時相の3次元画像をそれぞれ生成し、動画表示する画像処理装置であって、
前記対象領域のうち、時相間で変化が大きい変化領域を決定する領域決定手段と、
前記変化領域については忠実に3次元画像を生成し、その他の領域については簡略に3次元画像を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された3次元画像を時系列に順次表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
ある時相の一連の断層像を用いて前記対象領域全体についての3次元画像を生成する全領域画像生成手段と、
各時相の一連の断層像を用いて前記変化領域についての3次元画像をそれぞれ生成する変化領域画像生成手段と、
前記全領域画像生成手段によって生成された3次元画像と、前記変化領域画像生成手段によって生成された各時相での前記変化領域についての3次元画像とを合成し、各時相の3次元合成画像を生成する第1の合成手段と、を備え、
前記表示手段は、
前記第1の合成手段によって生成された各時相の3次元合成画像を時系列に順次表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
各時相の一連の断層像を用いて、前記変化領域については高画素密度で3次元画像を生成し、その他の領域については低画素密度で3次元画像を生成する高/低密度画像生成手段を備え、
前記表示手段は、
前記高/低密度画像生成手段によって生成された各時相の高/低密度3次元画像を時系列に順次表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記領域決定手段は、前後する時相の対応する断層像の各画素値を比較し、画素値の差の大きさが所定値より大きい領域を前記変化領域とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域決定手段は、全時相の対応する断層像の各画素について最大画素値と最小画素値とを比較し、最大画素値と最小画素値との差の大きさが所定値より大きい領域を前記変化領域とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記全領域画像生成手段は、
最初時相の一連の断層像を用いて、前記対象領域全体についての3次元画像を生成した後に、その他の時相の一連の断層像を用いて、前記対象領域全体についての3次元画像をそれぞれ生成し、
前記表示手段は、
はじめに、前記全領域画像生成手段によって生成された前記最初時相の対象領域全体についての3次元画像と、前記第1の合成手段によって合成された3次元合成画像を時系列に順次表示し、
次に、前記全領域画像生成手段によって生成された各時相の対象領域全体についての3次元画像を時系列に順次表示することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、更に、
全時相の一連の断層像を用いて、全時相についてそれぞれ前記対象領域全体の3次元画像を高画素密度で生成する高密度3次元画像生成手段を備え、
前記表示手段は、
はじめに、前記高/低密度3次元画像生成手段によって生成された高/低密度3次元画像を時系列に順次表示し、
次に、前記高密度3次元画像生成手段によって生成された高密度3次元画像を時系列に順次表示することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記一連の断層像を取得した際の心拍データまたは呼吸データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得したデータに基づき心拍または呼吸の周期を解析し、周期的に対応する時相を特定する周期特定手段と、を更に備え、
前記生成手段は、
ある周期について、前記変化領域については忠実に、その他の領域については簡略に基準3次元画像を生成する基準画像生成手段と、
その他の周期について、周期的に対応する時相の対応する断層像を比較し、差分のある領域の3次元画像を生成する差分領域画像生成手段と、
前記差分領域画像生成手段によって生成された差分のある領域の3次元画像をその時相に対応する時相の、既に生成済みの基準3次元画像と合成する第2の合成手段と、を備え、
前記表示手段は、
前記ある周期の各時相の3次元画像と、前記第2の合成手段によって生成された各時相の合成画像とを、時系列に順次表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記生成手段は、
前記変化領域についての3次元画像を高フレームレートで生成し、その他の領域についての3次元画像を低フレームレートで生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−36300(P2011−36300A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184087(P2009−184087)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】