画像処理装置
【課題】拡大縮小処理が指定された場合に、処理速度が遅い印象を与えることなく、プレビュー画像を表示できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中解像度画像３２４、低解像度画像３２２及び高解像度画像３２０を記憶する記憶装置１７２と、低解像度画像からプレビュー画像３６２を生成して表示するプレビュー画像生成部３５４と、表示されているプレビュー画像に対するユーザの拡大縮小指示に応答して、低解像度画像を拡大縮小して表示する低解像度プレビュー画像生成部３５６と、ユーザの拡大縮小指示に応答して、原稿の種別に応じて高解像度画像又は低解像度画像から中解像度画像を生成して拡大縮小し、低解像度のプレビュー画像に代えて表示する中解像度プレビュー画像生成部３５８とを含む。これにより、低解像度のプレビュー画像を速やかに表示した後、高画質のプレビュー画像に差替えて表示できる。
【解決手段】中解像度画像３２４、低解像度画像３２２及び高解像度画像３２０を記憶する記憶装置１７２と、低解像度画像からプレビュー画像３６２を生成して表示するプレビュー画像生成部３５４と、表示されているプレビュー画像に対するユーザの拡大縮小指示に応答して、低解像度画像を拡大縮小して表示する低解像度プレビュー画像生成部３５６と、ユーザの拡大縮小指示に応答して、原稿の種別に応じて高解像度画像又は低解像度画像から中解像度画像を生成して拡大縮小し、低解像度のプレビュー画像に代えて表示する中解像度プレビュー画像生成部３５８とを含む。これにより、低解像度のプレビュー画像を速やかに表示した後、高画質のプレビュー画像に差替えて表示できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、プレビュー機能を有する画像処理装置に関し、特に、拡大縮小等の画像処理によって得られる出力画像を適切に表すプレビュー画像を高速に表示できる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
電子機器である画像処理装置の１種として、多くの事業所（会社、事務所等）に、記録用紙に画像を形成する画像形成装置（代表的にはコピー機）が導入されている。このような事業所において、プリンタ機能、コピー機能等を備えた画像形成装置をネットワークに接続し、画像形成装置を複数のユーザで共用するケースが多くなっている。このような画像処理装置の１種である複合機（ＭＦＰ（ＭｕｌｔｉＦｕｎｃｔｉｏｎ Ｐｅｒｉｐｈｅｒａｌ））は、コピーモード、ファクシミリモード（以下、ファクシミリをＦＡＸ又はファクスと記載する場合がある。）、ネットワーク対応のプリンタモード、及びスキャナモードのように、複数の基本的な動作モードを備える。これらの画像処理装置においては、各々のユーザが、動作モードを選択して、両面印刷、集約（２ページを１枚にする２ｉｎ１、４ページを１枚にする４ｉｎ１等）等の機能を設定して、所望の態様で記録用紙に画像を形成している。さらに、これらの複数の機能を適宜組合せて利用されることも多くなってきている。
【０００３】
画像処理装置として電子写真プロセスの画像形成部を備えたデジタル機を考える。デジタル機は、画像を形成する前に、デジタル画像に対して様々な処理を電子的に容易に行なうことができる。例えば上記した集約処理を実行する、両面印刷の設定を行なう、画像の一部をマスクする、画像の一部を別の位置に移動するなどの処理を、画像処理プログラムにより容易に行なうことができる。こうした作業を確実に行なうために、予想される出力態様（印刷画像）を事前に表示するプレビュー画像が常に表示装置に表示されるようにできれば便利である。そのため、画像を表示可能な液晶表示装置等の表示パネルと、表示パネルの上面に積層して形成されたタッチパネルとからなる操作ユニットを、操作パネルとして用いる画像処理装置が増えている。
【０００４】
このような画像処理装置において、原稿読取部で読取った原稿の画像をそのまま使用して表示処理を行なうと、データ処理量が大きいので処理に時間がかかり、操作性が悪くなる。そこで、原稿を読取る際に、高解像度の画像とともに、低解像度の画像を同時に読取る、又は、高解像度の画像から自動的に低解像度の画像を生成するなどの機能を備え、表示には低解像度の画像を用いる画像処理装置が知られている。
【０００５】
例えば、下記特許文献１には、スキャナ装置による１回の読取時に、複数種類の解像度又は複数種類の階調のイメージデータを生成し、データ転送先での使用目的に合うように異なったイメージデータを転送することが開示されている。特許文献１に記載された画像形成装置では、画像内容を確認するプレビュー表示では低解像度の画像を高速に表示し、記録紙上への出力及び外部への画像送信には、高解像度で読取った画像を用いる。
【０００６】
また、下記特許文献２には、圧縮された画像データを高速にスクロール又はズーム表示するために、復号された解像度が異なる複数の画像をキャッシュに保存しておき、スクロール又はズーム表示する場合に、キャッシュの画像を使用することが開示されている。
【０００７】
また、下記特許文献３には、多くのメモリを消費することなく、サムネイル画像及びプレビュー画像を高速に表示するために、特定画面の次に表示される画面上に表示されるサムネイル及びプレビュー画像のみを予め生成しておくことが開示されている。
【０００８】
また、下記特許文献４には、コンピュータからプリンタサーバ装置等に印刷を指示するシステムにおいて、コンピュータでプレビュー処理を行なう場合、プリンタサーバ装置から最初は粗い解像度でプレビューデータの送信を行ない、コンピュータから特定領域について拡大要求があった場合、プリンタサーバ装置で解像度を高くしたプレビューデータを生成して送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平１１−２８９４１６号公報
【特許文献２】特開２００９−２０６８８４号公報
【特許文献３】特開２００６−２０３７０２号公報
【特許文献４】特開平１１−１１０１７０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
プレビュー画像を生成して表示する場合、プレビュー画像を速やかに生成すること、及び、プレビュー画像が実際の出力態様（以下「仕上り」ともいう）を適切に表していることが要求される。特に、これらをバランスよく両立させることが要求される。しかし、上記特許文献１〜４に記載された発明の何れによっても、処理速度の要求とプレビュー画像の画質の要求とをバランスよく両立させることはできない。
【００１１】
上記特許文献１の画像形成装置では、プレビュー表示する場合には、低解像度の画像を使用するので、画像形成部による仕上りイメージとは異なる画質の画像がプレビュー表示され、ユーザが望む仕上りイメージで画像を出力できない可能性が高いという問題がある。また、スキャナ装置による読取時に、使用目的に合うように複数解像度又は複数階調のイメージデータを生成するので、データ記憶容量が大きくなる問題もある。
【００１２】
上記特許文献２においても、解像度が異なる複数の画像をキャッシュに保存しておくので、データ記憶容量が大きくなる問題がある。また、キャッシュした全ての画像が使用されるとは限らず、実際には使用されない画像を生成する不要な処理を実行しなければならない問題がある。
【００１３】
上記特許文献３においても、サムネイル及びプレビュー画像を予め生成しておくので、表示されない無駄なデータを生成する不要な処理を実行しなければならない問題がある。
【００１４】
上記特許文献４においては、プレビュー画像に対して拡大要求があったときに、解像度を高くしたプレビューデータを生成するので、生成が完了するまで、拡大処理後のプレビュー画像が表示されず、ユーザにストレスを与える可能性がある。
【００１５】
したがって、本発明は、拡大縮小などの画像処理が指定された場合に、ユーザに処理速度が遅い印象を与えることなく、処理対象画像に応じた適切なプレビュー画像を表示することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明の第１の局面によれば、プレビュー画像を生成する画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、第１解像度の画像と、第１解像度よりも低い第２解像度の画像と、第１解像度よりも高い第３解像度で原稿を読取って生成された第３解像度の画像とを記憶するための画像記憶手段と、第２解像度の画像からプレビュー画像を生成して表示装置に表示するためのプレビュー表示手段と、ユーザによる、表示装置に表示されているプレビュー画像に対する拡大縮小指示に応答して、第２解像度の画像を拡大縮小指示にしたがって処理し、処理後の画像を表示装置に表示するための第１拡大縮小手段と、拡大縮小指示に応答して、原稿の種別に応じて第３解像度の画像又は第２解像度の画像から、第１解像度の画像を生成し、この第１解像度の画像を拡大縮小指示にしたがって処理し、処理により得られた画像を、第１拡大縮小手段により表示された画像に代えて表示装置に表示するための第２拡大縮小手段と、を含む。
【００１７】
好ましくは、画像処理装置は、さらに、表示装置に表示されているプレビュー画像の表示態様を変更する指示、又は、予めユーザにより特定された指示に応答して、原稿の種別に応じて、第３解像度の画像又は第２解像度の画像から、第１解像度の画像を生成し、この第１解像度の画像からプレビュー画像を生成する手段を含む。
【００１８】
より好ましくは、第２拡大縮小手段は、プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指示がなされた場合、所定領域内の画素のうち、文字領域に属する画素の数が、写真領域に属する画素の数よりも多いとき、第２解像度の画像から第１解像度の画像を生成し、所定領域内の画素のうち、写真領域に属する画素の数が、文字領域に属する画素の数よりも多い場合、第３解像度の画像から第１解像度の画像を生成する。
【００１９】
画像処理装置は、第３解像度の画像の画素毎に、原稿の種別に対応する数値を付与する手段と、プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指定がなされた場合、所定領域の原稿種別情報を、所定領域内の画素に付与された数値の平均値又は最頻値から決定する手段とを含み、第２拡大縮小手段は、所定領域に対して決定された原稿種別情報に応じて、第３解像度の画像又は第２解像度の画像から、第１解像度の画像を生成してもよい。
【００２０】
さらに好ましくは、原稿の種別は、ユーザによって指定される。
【００２１】
好ましくは、画像処理装置は、ユーザにより、プレビュー画像に対して画質関係の処理が指定された場合、第３解像度の画像から、第１解像度と第３解像度との間の第４解像度の画像を生成する手段と、第４解像度の画像に対して、指定された画質関係の処理を実行してプレビュー画像を生成する手段とを含む。
【００２２】
より好ましくは、画質関係の処理は、カラー画像であるプレビュー画像に対する拡大縮小処理である。
【発明の効果】
【００２３】
本発明によれば、ユーザがプレビュー画像に対して拡大縮小等の画像処理を指示した場合、低解像度ではあるが、短時間でプレビュー画像が表示された後、より画質の高い中解像度のプレビュー画像に差替えて表示される。ユーザにとって画像処理装置の処理速度が速く感じられる上、最終的に表示されるプレビュー画像の画質が高いので、ユーザは画像処理後の仕上りイメージを正確に把握することができる。
【００２４】
また、プレビュー画像を生成する元画像として、原稿種別を自動的に判定した結果に応じた解像度の画像を使用するので、文字を多く含む原稿及び写真を多く含む原稿の何れの場合にも、それぞれに応じた適切な解像度のプレビュー画像を生成することができる。即ち、不必要な処理を抑制することができ、プレビュー画像の速やかな生成と、仕上りイメージを適切に表すプレビュー画像の生成とをバランスよく両立させることができる。
【００２５】
また、ユーザが原稿種別を指定することができるので、ユーザの要望に応じた処理速度及び解像度でプレビュー画像を表示することができる。即ち、画質を重視するか処理速度を重視するかに応じて最適なプレビュー表示を行なうことができる。
【００２６】
また、プレビュー画像に対して画質関係の処理が指定された場合、中解像度よりも画質の高い中高解像度の画像を使用するので、ユーザは処理後の仕上りイメージをより正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の外観を示す斜視図である。
【図２】図１に示す画像処理装置の内部構成を簡略化して示す断面図である。
【図３】図１に示す画像処理装置のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
【図４】図１に示す画像処理装置における原稿読取時の表示画面の一例を示す図である。
【図５】フィット・トゥー・スクリーン表示時の表示画面の一例を示す図である。
【図６】２ｉｎ１表示時の表示画面の一例を示す図である。
【図７】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のプレビュー画像生成処理に関する機能を示すブロック図である。
【図８】プレビュー画像生成処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図９】拡大縮小処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図１０】拡大縮小処理以外の処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図１１】原稿種別情報を指定するための部分画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００２８】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【００２９】
本発明の実施の形態に係る画像処理装置の一例である画像処理装置は、原稿を読取って２種類の解像度で画像を保存する。一方の解像度は６００ｄｐｉ（本明細書ではこれを「高解像度」と呼ぶ。）、他方の解像度は７５ｄｐｉ（本明細書ではこれを「低解像度」と呼ぶ。）である。さらに、これらの中間の解像度である１５０ｄｐｉ（本明細書ではこれを「中解像度」と呼ぶ。）の画像、３００ｄｐｉ（本明細書ではこれを「中高解像度」と呼ぶ。）の画像も使用する。
【００３０】
この画像処理装置は、電子写真方式により記録用紙に画像を形成する。この画像処理装置は、動作モードとして、コピーモード、ＦＡＸモード、ドキュメントファイリングモード（スキャンした画像を画像処理装置内部の記憶装置に記憶するモード）及びメールモード（スキャンした画像を電子メールに添付する形式で送信するモード）を備える。なお、この画像処理装置は、さらにネットワークプリンタモードを備えていても構わない。
【００３１】
［画像処理装置：機能］
図１〜図３を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置１００の概略について説明する。なお、以下において、「画像」とは表示される画像自体を意味するだけでなく、画像データをも意味する。
【００３２】
これらの図１〜図３を参照して、画像処理装置１００は、原稿読取部１０２、画像形成部１０４、給紙部１０６、排紙処理装置１０８、及び操作ユニット１２０を含む。操作ユニット１２０は、図１に示すように、タッチパネルディスプレイ１３０と操作キー部１４０とを含む。タッチパネルディスプレイ１３０は、液晶パネル等で構成された表示パネル１３２と、表示パネル１３２に重ねて配置されたユーザの指で押圧された位置を検出するタッチパネル１３４とを含む。操作キー部１４０には、図示しないいくつかの機能キーと、テンキーとが配置される。画像処理装置１００は以下の動作モードのいずれかで動作する。
【００３３】
−コピーモード−
コピーモードでは、主として、原稿読取部（以下、スキャナ部と記載する場合がある。）１０２及び画像形成部１０４が動作する。
【００３４】
画像処理装置１００においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られる。読取られた画像は、図３に示される、複数個の演算処理部を有するマルチコアＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ：中央演算処理装置）１７０に入力され、種々の画像処理が施される。処理後の画像が画像形成部１０４へと出力される。マルチコアＣＰＵ１７０は同時に複数の処理を並行して実行可能である。
【００３５】
画像形成部１０４は、画像によって示される原稿の画像を記録媒体（多くの場合、記録用紙）に印刷する。画像形成部１０４は、感光体ドラム２２２、帯電装置２２４、レーザスキャンユニット２２６、現像装置２２８、転写装置２３０、クリーニング装置２３２、加熱定着部である定着装置２３４、及び図示しない除電装置等を備えている。
【００３６】
画像形成部１０４には、主搬送路２３６及び反転搬送路２３８が設けられており、給紙部１０６から給紙されてきた記録用紙が主搬送路２３６に沿って搬送される。給紙部１０６は、用紙カセット２４０に収納された記録用紙、又は手差トレイ２４２に載置された記録用紙を１枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部１０４の主搬送路２３６へと送り出す。
【００３７】
画像形成部１０４の主搬送路２３６に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラム２２２と転写装置２３０との間を通過し、さらに定着装置２３４を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
【００３８】
感光体ドラム２２２は、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置２３２と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置２２４により均一に帯電される。
【００３９】
レーザスキャンユニット２２６は、印刷対象の画像に基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム２２２の表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラム２２２の表面に形成する。
【００４０】
現像装置２２８は、トナーを感光体ドラム２２２の表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム２２２の表面に形成する。
【００４１】
転写装置２３０は、転写装置２３０と感光体ドラム２２２との間を通過する記録用紙に感光体ドラム２２２表面のトナー像を転写する。
【００４２】
定着装置２３４は、記録用紙を加熱するための加熱ローラ２４８と、記録用紙を加圧するための加圧ローラ２５０とを含む。記録用紙が、加熱ローラ２４８によって加熱され、かつ、加圧ローラ２５０によって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。
【００４３】
主搬送路２３６と反転搬送路２３８との接続位置には、分岐爪２４４が配設されている。記録用紙の片面のみに印刷が行なわれる場合は、分岐爪２４４が位置決めされ、分岐爪２４４により定着装置２３４からの記録用紙が排紙トレイ２４６又は排紙処理装置１０８の方へと導かれる。
【００４４】
記録用紙の両面に印刷が行なわれる場合には、分岐爪２４４が所定方向に回動されて記録用紙が反転搬送路２３８の方へと導かれる。記録用紙は、反転搬送路２３８を通過して、その表裏を反転されて主搬送路２３６へと再び搬送され、主搬送路２３６の再度の搬送途中で、その裏面への印刷が行なわれて排紙トレイ２４６又は排紙処理装置１０８の方へと導かれる。
【００４５】
上述のようにして印刷された記録用紙は、排紙トレイ２４６又は排紙処理装置１０８の方へと導かれて排紙トレイ２４６に排出され、又は排紙処理装置１０８の各排紙トレイ１１０のいずれかに排出される。
【００４６】
排紙処理装置１０８では、複数の記録用紙を各排紙トレイ１１０に仕分けして排出する処理、各記録用紙にパンチングする処理、及び各記録用紙にステープルする処理を施す。例えば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ１１０に印刷物の一部ずつが割り当てられるように、各記録用紙を各排紙トレイ１１０に仕分けして排出し、排紙トレイ１１０毎に、排紙トレイ１１０上の各記録用紙にパンチング処理又はステープル処理を施して印刷物を作成する。
【００４７】
−ファクシミリモード−
ファクシミリモードでは、送信動作時には、主として原稿読取部（スキャナ部）１０２及びＦＡＸ通信部１６０が動作し、受信動作時には、主としてＦＡＸ通信部１６０及び画像形成部１０４が動作する。
【００４８】
・送信動作
画像処理装置１００においては、ファクシミリモードが指定され、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られる。読取られた画像が図３に示すマルチコアＣＰＵ１７０に入力され、ここで画像に各種の画像処理が施される。この画像がＦＡＸ通信部（図３のＦＡＸ通信部１６０）へと出力される。
【００４９】
送信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０は、指定された送信側の回線を指定された送信先に接続する。接続後、画像をファクシミリ通信規格に合致した通信データに変換して、受信側のファクシミリ装置（例えばファクシミリ機能を備えた画像処理装置）へ送信する。
【００５０】
・通信動作
回線が接続されると、受信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０は、送信側の画像処理装置のＦＡＸ通信部からの通信要求信号を検出して、応答信号を送信する。その後、例えば、ＦＡＸ通信部１６０は、送信側及び受信側で互いに実装されている能力情報の受渡しを行ない利用可能な最大能力での通信速度及び画像の符号化・符号訂正方式等を決定してモデムの通信方式を設定する。この通信方式にあわせた画像信号形式を用いて、送信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０から受信側の画像処理装置のＦＡＸ通信部へデータを送信する。送信が終了すると回線が切断される。
【００５１】
・受信動作
受信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０は、受信したデータを画像に変換して、画像形成部１０４へ送る。なお、受信したデータを画像に変換するのは画像形成部１０４であっても構わない。画像形成部１０４は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、受信したデータから変換された画像によって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【００５２】
−ドキュメントファイリングモード−
ドキュメントファイリングモードでは、主として、原稿読取部（スキャナ部）１０２及び画像形成部１０４が動作する。
【００５３】
画像処理装置１００においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られる。読取られた画像はマルチコアＣＰＵ１７０に入力され、ここで画像に各種の画像処理が施される。この画像が、この画像処理装置１００が備える記憶装置（後述するハードディスク１７２）に記憶される。
【００５４】
記憶された画像は、ユーザによりファイル名が指定されて、記憶装置から読出されて、上述したコピーモードと同じ動作で記録用紙に印刷される。
【００５５】
−メールモード（スキャンｔｏメール）−
メールモードでは、主として、原稿読取部（スキャナ部）１０２及びネットワークインターフェイス（以下、ネットワークＩ／Ｆという）１７４が動作する。
【００５６】
なお、この画像処理装置１００が備える画像通信モードとして、ＦＡＸ通信部１６０を介して画像を公衆回線により送受信する上述したファクシミリモード、及び、ネットワークＩ／Ｆ１７４を介して画像を電子メールに添付する形式でインターネット回線により送受信する電子メール通信モード（メールモード）がある。このほかに、ネットワークＩ／Ｆ１７４を介して画像をインターネット回線により送受信するインターネットファクシミリモード、又は、ネットワーク回線を用いて画像を特定のコンピュータのフォルダに転送する画像転送モード（スキャンｔｏＰＣフォルダ）等を備えていても構わない。
【００５７】
画像処理装置１００においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られ、読取られた画像はマルチコアＣＰＵ１７０に入力され、各種の画像処理が施される。この画像が電子メールに添付されて送信される。
【００５８】
ファクシミリモードでは、送信先の電話番号が指定されるのに対して、メールモードでは、送信先のメールアドレスが指定される点が異なる。
【００５９】
［画像処理装置：制御ブロック構成］
図３を参照して、画像処理装置１００はさらに、コピーモード、ファクシミリモード、ドキュメントファイリングモード、及びメールモードに関する機能の設定が可能な、走査表示パネルとして動作する操作ユニット１２０と、プログラム等を記憶するためのＲＯＭ（Ｒｅａｄ−Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ：読出専用メモリ）１７６と、通電が遮断された場合であってもプログラム及びデータ等を維持可能な不揮発性記憶領域であるハードディスク（以下、ＨＤＤという）１７２と、プログラムを実行する際の記憶領域を提供するためのＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ：随時読出書込可能メモリ）１７８とを含む。
【００６０】
画像処理装置１００はさらに、原稿読取部１０２、画像形成部１０４、ＦＡＸ通信部１６０、操作ユニット１２０、ＲＯＭ１７６、ＨＤＤ１７２、及びＲＡＭ１７８に接続されるバス１８０と、バス１８０に接続され、ＨＤＤ１７２等に記憶されたプログラムを実行することにより画像処理装置としての一般的機能を実現するためのマルチコアＣＰＵ１７０とを含む。
【００６１】
画像処理装置１００はさらに、バス１８０を介して画像処理装置１００の各部と通信可能であり、マルチコアＣＰＵ１７０からのコマンドにしたがって、画像形成部１０４に関する給紙の制御を実行するための給紙部１６２と、同じくバス１８０に接続され、マルチコアＣＰＵ１７０からのコマンドにしたがって画像形成部１０４からの記録用紙の排出を制御する排出部１６４とを含む。
【００６２】
ＨＤＤ１７２には、画像処理装置１００でスキャンした原稿の画像のファイルが、フォルダ別に、保存日時及び保存ユーザ名ととともに記憶されている。ＨＤＤ１７２には、各動作モードの初期画面データが記憶されている。
【００６３】
ＲＯＭ１７６には、画像処理装置１００の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。このＲＯＭ１７６にプログラムとともに記憶するデータとして、各動作モードの初期画面データを記憶するようにしても構わない。マルチコアＣＰＵ１７０は、ＲＯＭ１７６に格納されているプログラム及びデータにしたがって画像処理装置１００の制御を行なうとともに画像処理装置１００の各機能に関する制御を実行する。マルチコアＣＰＵ１７０は複数個の演算処理部を有するため、同時に２つ以上の処理を並列的に実行できる。
【００６４】
図３に示すように、画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０には、画像の送受信用に公衆回線が接続され、ネットワークＩ／Ｆ１７４はネットワーク回線に接続される。ネットワーク回線には、画像処理装置１００をネットワーク対応のプリンタとして使用するコンピュータ等が接続される。ネットワーク回線には、インターネットを介して指定されたＵＲＬ（Ｕｎｉｆｏｒｍ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ｌｏｃａｔｏｒ）により特定されるコンピュータ等が接続されることもある。このようにインターネットに接続されると、画像処理装置１００は、インターネットを介して、必要な情報を取得できる。
【００６５】
ＲＡＭ１７８は、マルチコアＣＰＵ１７０による演算及び処理の結果を一時的に記憶するワーキングメモリとしての機能と、画像を記憶するフレームメモリとしての機能とを提供する。
【００６６】
原稿読取部１０２、画像形成部１０４、操作ユニット１２０を構成するタッチパネルディスプレイ１３０、給紙部１６２、排出部１６４及び操作キー部１４０、ならびにＲＯＭ１７６、ＨＤＤ１７２、及びＲＡＭ１７８に対する制御は、マルチコアＣＰＵ１７０が所定のプログラムを実行することにより行なわれる。なお、操作ユニット１２０は、入出力インターフェイスを介してマルチコアＣＰＵ１７０と通信する。
【００６７】
操作ユニット１２０は、ユーザが目視しやすいように傾斜して設けられたパネルである。操作ユニット１２０の表面の左側領域にはタッチパネルディスプレイ１３０が、右側領域には操作キー部１４０が、それぞれ配置されている。タッチパネルディスプレイ１３０及び操作キー部１４０は一体となって操作ユニット１２０を形成している。
【００６８】
上述したように、このタッチパネルディスプレイ１３０は、表示パネル１３２と、表示パネル１３２に重ねて配置されたタッチパネル１３４とを含む。このタッチパネルディスプレイ１３０においては、表示パネル１３２に、画像処理装置１００における動作モードを選択するホーム画面、画像処理装置１００の現在の状態、宛先指定状況、ジョブの処理状況等が表示される。表示パネル１３２の表示領域上にはソフトウェアボタンである選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネル１３４がその押された位置を検出する。プログラムによって、選択ボタンの表示位置とタッチパネル１３４が押された位置とを照合することにより、画像処理装置１００の動作モード選択、機能設定及び動作指示等が行なわれる。画像処理装置１００は、このようなタッチ操作（ユーザによる押圧位置に基づくコマンド入力操作）に加えて、ジェスチャー操作（ユーザによる操作軌跡に基づくコマンド入力操作）にも対応している。
【００６９】
以下、画像処理装置１００のタッチパネルディスプレイ１３０における表示について説明する。本実施の形態では、例えば原稿を画像として読取って様々な設定を行なってからコピーを実行する場合、設定される毎に、タッチパネルディスプレイ１３０に設定に応じたプレビュー画像を表示する。プレビュー画像を常時表示することで、ユーザは仕上りイメージを正確に捉えることができ、コピー処理を誤りなく行なうことができる。
【００７０】
図４に、画像処理装置１００のタッチパネルディスプレイ１３０における基本レイアウトを示す。図４を参照して、横長のタッチパネルディスプレイ１３０（例えば、横１０２４ピクセル×縦６００ピクセル）における画面の基本レイアウトは、最上部に配置されたシステム領域２００、中央部に配置されたプレビュー領域２０４、プレビュー領域２０４の左側に配置された機能選択領域２０２、プレビュー領域２０４の右側上部に配置されたアクションパネル領域２０６、及び、プレビュー領域２０４の右側下部に配置されタスクトリガー領域２０８を含む。機能選択領域２０２には、機能設定及び設定状態確認のためのアイコンボタン及び機能説明を表示する。アクションパネル領域２０６には、おすすめ機能等、現在ユーザが行なおうとしている作業とは直接関係はないが、表示するとユーザにとって有益と思われる情報を表示する。タスクトリガー領域２０８には、コピーの開始及び原稿の走査の開始等を指示するボタン群を表示する。
【００７１】
なお、領域の数は５つに限定されるものではない。左右の並びも図４に示したものには限定されない。ユーザが操作しやすいようにカスタマイズ可能とすることもできる。例えば、システム領域２００の位置は画面の最下部であってもよい。
【００７２】
システム領域２００には、現時点の画像処理装置１００に関する情報、すなわち操作中の動作モードのタイトル、及び画像処理装置１００の状態に関する情報が表示される。例えば、システム領域２００には、動作モード名、割り込みキー、ログインユーザ名、処理中のジョブ状況、内蔵メモリ使用状態、時刻等が表示される。
【００７３】
機能選択領域２０２には、各機能の設定、表示の切換え、設定の確認のためにユーザにより操作される機能選択メニュー（アイコン、ボタン等）が、動作モードにより異なる表示態様で表示される。動作モードには、アイコンモード、レギュラーモード及びエキスプレスモードがある。アイコンモードでは、プレビュー領域２０４が最も広くなるように機能選択領域２０２には機能設定用のアイコンのみが表示される。エキスプレスモードでは、プレビュー領域２０４が最も狭くなって、機能選択領域２０２には機能を一度に設定できる画面が大きく表示される。レギュラーモードにおいては、プレビュー領域２０４の大きさはアイコンモードとエキスプレスモードとの中間の大きさであって、機能選択領域２０２には機能設定のアイコンとともに機能名称がテキスト表示される。レギュラーモードでは、機能名称をテキスト表示するのみ（機能設定のアイコンを表示しない）であってもよい。
【００７４】
これらのアイコンモード、レギュラーモード及びエキスプレスモードの切換えはユーザの操作に基づく。すなわち、プレビュー領域２０４の大きさが、ユーザの操作に応じて自動的に変更される。アイコンは、小さい領域でユーザへの情報を伝達できるので、全ての機能に対して準備しておいて、プレビュー領域２０４が大きく表示できることが好ましい。一方、プレビュー領域をそれほど大きくする必要がない場合には、逆に機能選択領域２０２にアイコンだけでなく機能説明も表示することで、ユーザにとっては操作が分かりやすくなる。
【００７５】
機能選択領域２０２には、その下部に機能選択領域２０２の表示スタイルを変更する変更ボタン群２１０を備える。変更ボタン群２１０には、アイコンモードで機能選択領域２０２を表示するボタン、「お気に入り」登録した機能を表示させるボタン、設定が変更された機能を表示させるボタン、選択されている動作モードにおいて設定可能な全ての機能の一覧を表示するボタン、レギュラーモードで機能選択領域２０２を表示するボタン、及び、エキスプレスモードで機能選択領域２０２を表示するボタン等が配置されている。
【００７６】
なお、機能選択領域２０２に表示される情報が多い場合には、この機能選択領域２０２において上下方向にスクロール可能に情報が表示される。この場合において、この変更ボタン群２１０はスクロールされないで、機能選択領域２０２の最下部に常に表示される。
【００７７】
プレビュー領域２０４には、画像処理装置１００の出力態様（例えば印刷画像）を表すプレビュー画像が表示される。ダミーデータ又はスキャンデータを用いてイメージ表示し、ユーザが画像処理を指示する毎に、プレビュー領域２０４に表示されるプレビュー画像が変更される。
【００７８】
このプレビュー領域２０４の下部には、プレビュー領域２０４の表示スタイルを変更するプレビュー変更ボタン群２１２が配置される。プレビュー変更ボタン群２１２は、プレビュー画像を左に９０度回転させる左回転ボタン、プレビュー画像を右に９０度回転させる右回転ボタン、カラー調整をするためのカラー変更ボタン、及びプレビュー画像の拡大縮小を手動で行なうためのズームバー領域２１４等が配置されている。
【００７９】
左回転ボタンに１回タッチするとプレビュー画像が左に９０度回転されて、２回タッチするとプレビュー画像が左に１８０度回転される。右回転ボタンについても、回転方向が反対であることを除き左回転ボタンに対する操作と同様の処理が行なわれる。なお、ジェスチャー操作によっても、プレビュー画像を回転させることができる。例えば、プレビュー画像の上に指先を置いたまま、円弧を描くように反時計回転方向に指先を１８０度回転させると、プレビュー画像が左に１８０度回転される。ジェスチャー操作による右回転も同様である。
【００８０】
ズームバー領域２１４は、プレビュー画像の拡大を指示するプラスボタン２１６と、プレビューの縮小を指示するマイナスボタン２２０と、プレビュー画像の表示倍率を連続的に調整するためのスライダ２１８とを含む。
【００８１】
プラスボタン２１６をタッチする、又はスライダ２１８をプラスボタン２１６側へジェスチャー操作（スライド）すると、プレビュー画像が拡大して表示される。プレビュー領域に表示されたプレビュー画像をジェスチャー操作（例えば、プレビュー画像に対して指先をピンチアウト（ピンチオープン））しても、プレビュー画像が拡大して表示される。
【００８２】
ズームバー領域２１４のマイナスボタン２２０をタッチする、又はスライダ２１８をマイナスボタン２２０側へジェスチャー操作（スライド）すると、プレビュー画像が縮小して表示される。プレビュー領域に表示されたプレビュー画像をジェスチャー操作（例えば、プレビュー画像に対して指先をピンチイン（ピンチクローズ））しても、プレビューが縮小して表示される。
【００８３】
なお、プレビュー領域２０４に表示されるプレビュー画像の枚数が多い場合には、タッチ操作可能な表示ページ選択ボタン（ページ番号入力ボタン、ページ送りボタン、ページ戻しボタン、単ページ表示ボタン、複数ページ表示ボタン等）を表示するようにしても構わない。なお、プレビュー画像をジェスチャー操作（例えば、フリック）してもプレビュー画像のページ送り、ページ戻しを行なうことができる。また、プレビュー領域２０４に表示されるプレビュー画像が大きい場合には、タッチ操作又はジェスチャー操作可能なスクロールバーを表示するようにしても構わない。
【００８４】
アクションパネル領域２０６には、操作についての補助・助言・提案についての情報が表示される。このアクションパネル領域２０６には、例えば、あるユーザが特定の機能を選択すると、その機能に関連する機能を表示したり、目的指向でその機能についての他の機能を表示したり、このユーザ又はこのユーザが所属するグループのユーザが過去に組合せて選択した機能を「おすすめ機能」として表示したりする。
【００８５】
タスクトリガー領域２０８には、特定の動作モードにおいて全ての設定が完了して、画像処理装置１００を実際に動作させるためにユーザにより操作されるトリガーボタンが表示される。本実施の形態では、タスクトリガー領域２０８は、原稿の白黒コピーを開始させるモノクロコピーボタン２７０と、カラーコピーを開始させるカラーコピーボタン２７２と、原稿を一旦スキャンし、画像として画像処理装置１００に取込む処理を開始させるスキャンインボタン２７４と、設定をすべてクリアするためのクリアオールボタン２７６とを含む。
【００８６】
この場合において、トリガーされるジョブが開始できる状態の場合にのみ、そのジョブのトリガーとなるスタートボタンを表示することも好ましい。ジョブが開始できる状態とは、印字を伴う動作モードの場合には、全ての設定が終了し、かつ消耗品（記録用紙及びトナー）切れでない状態である。印字を伴わない動作モードであるファクシミリモード（送信）の場合には、ジョブが開始できる状態とは、宛先を含む全ての送信パラメータの設定が終了した状態である。
【００８７】
これら５つの領域が配置される位置は、動作モードが変更されても（どの動作モードの初期画面においても）、変更されない。アイコンモード／レギュラーモード／エキスプレスモードを切換えた場合、タッチパネルディスプレイ１３０の画面横方向（長手方向）に、機能選択領域２０２及びプレビュー領域２０４が伸縮する。
【００８８】
これら５つの領域の配置は、従来機におけるユーザインターフェイスをも考慮しつつ、ユーザの視点の動線及び操作の動線に着目して配置されている。このような配置により、タッチパネルディスプレイ１３０において、左上から右下へユーザの視線が動いて、左上から右下へユーザの操作（利き手の指先）が動く。これにより、ユーザフレンドリーな操作が可能という効果を得ることができる。
【００８９】
なお、ある動作モードから他の動作モードへ遷移するためには、操作キー部１４０に配置されたホームキー（図示せず）を押下する。ファクスも含めて動作モードが選択可能なホーム画面が表示される。このホーム画面において他の動作モードを選択できる。
【００９０】
このように、この画像処理装置１００においては、ユーザの視点の動線及び操作の動線に着目して、情報を表示するタッチパネルディスプレイ１３０を備える。このタッチパネルディスプレイ１３０において、プレビュー領域２０４の表示モードには複数種類があり、スキャンの進行状況又は／及び原稿の重要度合いに応じてこれらの表示モードを切換えて、ユーザに適切にプレビュー情報を伝達する。
【００９１】
図４は、スキャン実行中のタッチパネルディスプレイ１３０の表示状態を示す。図４を参照して、複数枚の原稿を読取中には、プレビュー領域２０４の右側部分に、読取中の原稿の１枚前の既に読取られた原稿のプレビュー画像（最初の原稿の読取中にはダミー画像）２８０が表示される。１ページ分の原稿の読取りが完了すると、プレビュー画像２８０が左側に移動するアニメーションが表示され、原稿がスタックされた（積み重ねられた）状態を示すプレビュー画像２８２が表示される。原稿の読取が完了してからプレビュー画像を生成するまでには若干の時間がかかるので、タッチパネルディスプレイ１３０に表示されるプレビュー画像は、実際の読取完了よりやや時間遅れのあるタイミングで表示される。本実施の形態では、原稿の読取時、印刷等に用いられる高解像度の画像と、プレビュー表示に使用される低解像度の画像との双方が生成される。
【００９２】
図５に、スキャンインが完了したときのタッチパネルディスプレイ１３０の表示画面を示す。図５の表示形式はフィット・トゥー・スクリーンと呼ぶ。フィット・トゥー・スクリーンでは、プレビュー領域２０４にできるだけ大きく原稿のプレビュー画像２８４が表示されるよう、プレビュー画像のサイズが調整される。フィット・トゥー・スクリーンで最初に表示されるプレビュー画像は、低解像度の画像から生成される。
【００９３】
例えば、ズームバー領域２１４を操作して、プレビュー画像の拡大縮小が行なわれる場合、本実施の形態では、一旦低解像度画像から中解像度画像（高解像度及び低解像度の中間の解像度の画像）を生成し、中解像度画像の拡大縮小を行なう。中解像度画像を拡大縮小するので、最終的に得られる画像は、低解像度画像から得られるものと比較して仕上りイメージに近く、ユーザは操作の結果を正しく認識できる。しかしこの場合、中解像度画像を生成し、その中解像度画像に対する拡大縮小処理を行なうまでは最終のプレビュー画像を表示することができない。したがって、ユーザから見るとレスポンスが悪いことになり、画像処理装置１００の操作性が低くなる。そこで本実施の形態では、中解像度の画像に対する拡大縮小処理を行なうのと並行して、低解像度画像に対する拡大縮小処理を行なってその結果をプレビュー画像として先に表示する。中解像度画像に対する拡大縮小処理が完了すると同時に、その結果得られたプレビュー画像を画面上で低解像度画像から得られたプレビュー画像と差替える。低解像度画像に対する拡大縮小処理は、中解像度画像に対する処理よりも短い時間で完了させることが可能である。したがって、このような表示をすることにより、ユーザには、拡大縮小の結果が早く提示される上、最終的には中解像度画像から得られたプレビューに置き換えられるので、処理も高速で、かつ画質も高く保った形で拡大縮小後のプレビューを確認できる。
【００９４】
図６に、集約機能の一例としていわゆる２ｉｎ１印刷を行なうときのプレビュー表示を示す。図６を参照して、２ｉｎ１印刷では、プレビュー領域２０４に、印刷イメージと同じようにページ画像２８６及び２８８を並べたプレビュー画像を生成して表示する。これら集約印刷に関するプレビュー画像の場合、低解像度の画像から生成しても高解像度の画像から生成してもその画質は変わらない。したがって、このような場合には、計算量が少なくて済む低解像度の画像からプレビュー画像を生成する。
【００９５】
このように本実施の形態では、原稿読取時に高解像度の画像と低解像度の画像との双方を生成する。読取完了時には、低解像度の画像からプレビュー画像を生成して表示する。その後、ユーザが読取った画像を編集（拡大縮小を含む）する場合、低解像度又は高解像度の画像から中間の解像度の画像を生成し、これを用いてプレビュー画像を生成して表示する。例えば、拡大率を変更した場合、原稿の種別に応じて、高解像度画像又は低解像度画像から中解像度画像を生成し、低解像度の画像に対する拡大縮小と中解像度の画像に対する拡大縮小とを並列的に実行する。低解像度画像から得られたプレビュー画像を先に表示し、中解像度画像からプレビュー画像が得られた時点で、プレビュー画像を差替える。
【００９６】
以下、画像処理装置１００におけるプレビュー表示に関する画像処理について説明する。
【００９７】
図７は、画像処理装置１００のうち、プレビュー表示に関連した表示画像処理を担う機能部分のみを抽出して表示画像処理部３１０として示したものである。図７を参照して、表示画像処理部３１０は、低解像度画像生成部３４０、中解像度画像生成部３４２、中高解像度画像生成部３４４、画像加工部３５０、出力処理部３５２、プレビュー画像生成部３５４、制御部３８０、セレクタ３８４、表示処理部３８６、タッチパネル１３４、及びＨＤＤ１７２を含む。プレビュー画像生成部３５４は、低解像度プレビュー画像生成部３５６、中解像度プレビュー画像生成部３５８、及び中高解像度プレビュー画像生成部３６０を含む。図７に示した各部（ＨＤＤ１７２、タッチパネル１３４を除く）の機能は、例えば、図３のマルチコアＣＰＵ１７０によって実現される機能である。しかし、一部の機能をハードウェア（例えば、ＡＳＩＣ）によって実現することも可能である。
【００９８】
低解像度画像生成部３４０は、原稿読取部１０２により読取られた高解像度画像３２０から低解像度画像３２２を生成する。中解像度画像生成部３４２は、高解像度画像３２０又は低解像度画像３２２から中解像度画像３２４を生成する。中高解像度画像生成部３４４は、高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６を生成する。特定の解像度の画像から異なる解像度の画像を生成する処理には、周知の画像処理を使用することができる。例えば、補間処理を使用すればよい。
【００９９】
画像加工部３５０は、高解像度画像３２０に対して指定された画像処理を実行して出力画像を生成し、出力処理部３５２に入力する。出力処理部３５２は、入力された画像データを用いて画像形成に必要な処理を行なう。
【０１００】
プレビュー画像生成部３５４は、制御部３８０の制御を受けて、低解像度画像３２２、中解像度画像３２４、又は中高解像度画像３２６に対して所定の画像処理（例えば拡大縮小処理）を実行し、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、又は中高解像度プレビュー画像３６６を生成する。具体的には、低解像度プレビュー画像生成部３５６が、低解像度画像３２２から低解像度プレビュー画像３６２を生成する。中解像度プレビュー画像生成部３５８が、中解像度画像３２４から中解像度プレビュー画像３６４を生成する。中高解像度プレビュー画像生成部３６０が、中高解像度画像３２６から中高解像度プレビュー画像３６６を生成する。中解像度プレビュー画像生成部３５８、中高解像度プレビュー画像生成部３６０は、プレビュー画像の生成が完了すれば、処理完了信号を制御部３８０に出力する。
【０１０１】
セレクタ３８４は、制御部３８０によって制御され、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、及び中高解像度プレビュー画像３６６のうちの１つを選択して、表示処理部３８６に出力する。表示処理部３８６は、入力された画像データに対して表示パネル１３２に表示するための処理を行なう。
【０１０２】
制御部３８０は、マルチコアＣＰＵ１７０に対応し、プレビュー画像に対して所定の画像処理（例えば拡大縮小処理）がタッチパネル１３４により指定されたことに応答して、中解像度画像生成部３４２、中高解像度画像生成部３４４、プレビュー画像生成部３５４、セレクタ３８４を制御する。
【０１０３】
高解像度画像３２０、低解像度画像３２２、中解像度画像３２４、中高解像度画像３２６、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、及び中高解像度プレビュー画像３６６はいずれもＨＤＤ１７２に記憶される。なお、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４及び中高解像度プレビュー画像３６６は一時的にＨＤＤ１７２に記憶されるが、これらは、プレビュー表示中の原稿に対する処理が終了して別のページのプレビュー表示に画面が遷移したとき、プレビュー画面が閉じられるときなどに削除される。
【０１０４】
［プログラムの制御構造］
画像処理装置１００において、コピー又はファクスに関係する機能部分のうち、原稿をスキャンして処理する機能部分は、図３に示すマルチコアＣＰＵ１７０により実行されるコンピュータプログラムと、マルチコアＣＰＵ１７０、ＨＤＤ１７２、ＲＡＭ１７８、操作ユニット１２０等のハードウェアとの協働により実現される。このコンピュータプログラムの制御構造について、以下説明する。
【０１０５】
画像処理装置１００においてコピー又はファクスに関し、原稿をスキャンして印刷又は送信する機能を実現するためのプログラムは、ホーム画面においてコピー又はファクスに関係する機能が選択され、図４に示すモノクロコピーボタン２７０、カラーコピーボタン２７２又はスキャンインボタン２７４が押されたことにより起動する。なお、図４ではコピーのときの画面を示しているが、ファクス送信のときにもこの画面と同様の画面が表示される。最終的に画像処理装置１００により記録用紙上に原稿が印刷されるのか、送信先に画像がファクス送信されるのか、という違いがあるだけである。
【０１０６】
なお、画像処理は全てマルチコアＣＰＵ１７０が実行することが可能であるが、一部の機能をＡＳＩＣなどのハードウェアで実現することも可能である。したがって、以下の説明においては、適宜、図７の機能ブロックを引用して説明する。以下、マルチコアＣＰＵを、単にＣＰＵとも記載する。
【０１０７】
図８を参照して、このプログラムは、ステップ４００において、ＣＰＵ１７０が原稿読取部１０２を制御して高解像度（６００ｄｐｉ）で原稿の画像を読取る。読取られた画像データはＲＡＭ１７８に記憶される。
【０１０８】
ステップ４０２において、低解像度画像生成部３４０は、ＲＡＭ１７８上に記憶された高解像度の画像データに対して公知の画像処理を行ない、低解像度（７５ｄｐｉ）の画像データを生成し、ＲＡＭ１７８に記憶する。
【０１０９】
ステップ４０４において、ＣＰＵ１７０は、ＲＡＭ１７８上の高解像度及び低解像度の画像を、それぞれ高解像度画像３２０及び低解像度画像３２２としてＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１１０】
ステップ４０６において、ＣＰＵ１７０は、押されたボタンに応じて、プレビュー表示が必要か否かを判定する。プレビュー表示が必要と判定した場合、ステップ４０８に移行し、そうでなければ、ステップ４１４に移行する。例えば、スキャンインボタン２７４が押された場合、プレビュー表示が必要と判定される。単なるコピー又はファクス送信の場合、プレビュー表示が必要とは判定されない。
【０１１１】
ステップ４０８において、ＣＰＵ１７０は、プレビュー画像生成部３５４を制御して、低解像度画像３２２から低解像度プレビュー画像３６２を生成し、ＨＤＤ１７２に記憶する。ここでは、低解像度画像は７５ｄｐｉ（原稿１ページ全体をリアルに表示するのに適した解像度）の画像であり、そのままプレビュー画像として使用できるので、図７に示したように、低解像度画像３２２に対して何もしない。即ち、低解像度画像３２２を低解像度プレビュー画像３６２として扱う、又は、低解像度画像３２２をコピーして低解像度プレビュー画像３６２を生成する。低解像度画像が７５ｄｐｉと異なる場合には、低解像度画像３２２を、低解像度プレビュー画像生成部３５６に入力して、低解像度プレビュー画像３６２を生成してもよい。
【０１１２】
ステップ４１０において、ＣＰＵ１７０は、セレクタ３８４を制御し、低解像度プレビュー画像３６２を表示処理部３８６に出力する。表示処理部３８６は、入力される低解像度プレビュー画像３６２を用いて、タッチパネルディスプレイ１３０に表示する画面データを生成する。これによって、タッチパネルディスプレイ１３０に、図４に示すような画面が表示される。例えば、表示処理部３８６は、画像メモリ（ＲＡＭ１７８の一部）上に、図４に示した画面に対応する画像データ（プレビュー領域２０４の画像２８０、２８２を除く）を生成し、そのプレビュー領域２０４にセレクタ３８４から入力されたプレビュー画像を合成して、タッチパネルディスプレイ１３０に表示する画面データを生成する。生成された画像データはビデオドライバによってタッチパネルディスプレイ１３０の表示パネル１３２に表示される。
【０１１３】
ステップ４１２において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによって拡大縮小処理が指定されたか否かを判定する。拡大縮小処理が指定されたと判定した場合、ステップ４１４に移行して、後述する拡大縮小処理を実行する。そうでなければ、ステップ４１６に移行する。
【０１１４】
ステップ４１６において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによって他の処理が指定されたか否かを判定する。他の処理が指定されたと判定した場合、ステップ４１８に移行して、後述する他の処理を実行する。そうでなければ、ステップ４２０に移行する。
【０１１５】
ステップ４２０において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによってファクス送信が選択されたか否かを判定する。ファクス送信が選択されたと判定した場合、ステップ４２２に移行する。ステップ４２２において、画像加工部３５０が、高解像度画像３２０に対して、所定の画像処理を行なった後に、指定された番号のファクス送受信機に送信し、処理を終了する。具体的には、画像加工部３５０が、高解像度画像３２０に対してユーザによって設定された画像処理（例えば拡大縮小処理）を実行し、処理後結果を出力処理部３５２に出力する。出力処理部３５２は、入力された画像データを、ＦＡＸ通信部を介して公衆回線に送信するために必要な処理を行なう。ステップ４２０において、ファクス送信が選択されていないと判定した場合、ステップ４２４に移行する。
【０１１６】
ステップ４２４において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによって選択された機能が画像印刷（記録紙上への画像形成）か否かを判定する。画像印刷が選択されたと判定した場合、ステップ４２６に移行する。ステップ４２６において、高解像度画像３２０に対して、設定にしたがった画像処理を行なった後、画像形成部１０４（図３参照）により画像形成を行なって処理を終了する。具体的には、画像加工部３５０が、高解像度画像３２０に対して画像処理を実行し、処理結果を出力処理部３５２に出力する。出力処理部３５２は、入力された画像データを、画像形成部１０４に入力し、これによって画像が記録紙に印刷される。ステップ４２４において、画像印刷が選択されていないと判定した場合、ステップ４１２に戻る。
【０１１７】
このように、ステップ４１２、ステップ４１６、ステップ４２０及びステップ４２４によって、ユーザによる指定を待ち受けて、プレビュー画像に対して何らかの処理が指定された場合、ステップ４１４又はステップ４１８の処理を実行する。その後、ファクス送信又は印刷が選択された場合に、対応する処理を実行する。
【０１１８】
以下に、拡大縮小処理が指定された場合に実行されるステップ４１４の処理を具体的に説明する。図９を参照して、ステップ５００において、ＣＰＵ１７０は、低解像度画像３２２の拡大縮小処理を実行するプログラムを起動する。ＣＰＵ１７０は、複数のプログラムを同時に実行できるので、本プログラムと並行して、低解像度画像３２２の拡大縮小処理を実行することができる。低解像度画像３２２の拡大縮小処理は、具体的には、低解像度プレビュー画像生成部３５６が、ＨＤＤから読出した低解像度画像３２２を、ステップ４１２で指定された倍率で拡大（倍率が１より大きい場合拡大、倍率が１より小さい場合縮小）し、処理結果を低解像度プレビュー画像３６２としてＨＤＤに記憶する。拡大縮小処理には、公知の画像処理を使用すればよい。例えば、補間処理を使用すればよい。
【０１１９】
ステップ５０２において、ＣＰＵ１７０は、処理対象がカラー画像であるか否かを判定する。カラー画像であると判定した場合、ステップ５２６に移行し、そうでなければ、ステップ５０４に移行する。
【０１２０】
ステップ５０４において、ＣＰＵ１７０は、処理対象の画像の原稿種別情報を自動的に求めるか否かを判定する。例えば、タッチパネルディスプレイに図１１に示すような部分画面（ウィンドウ）を表示して、ユーザの操作を待ち受ける。図１１の画面上で、ユーザが自動ボタン７００を押せば、ステップ５０６に移行する。ユーザが、手動設定領域７０２に表示されている文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、及び、淡い原稿のうちの１つのボタンを押せば、ステップ５０８に移行する。
【０１２１】
原稿種別情報とは、原稿の全体又は所定領域の種類を、例えば文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、淡い原稿に分類するための情報である。原稿種別が「文字」である原稿とは、文字のみを含む原稿を意味する。「印刷写真」、「印画紙写真」、「地図」である原稿とは、それぞれ印刷写真、印画紙写真、地図のみを含む原稿を意味する。原稿種別が「淡い原稿」である原稿とは、色が比較的薄い原稿を意味する。「文字／印刷写真」である原稿とは、文字及び印刷写真を含む原稿を意味する。同様に、「文字／印画紙写真」である原稿とは、文字及び印画紙写真を含む原稿を意味する。
【０１２２】
原稿読取時には、有効領域部分を画素毎に処理して、その画素が属する原稿の種類（文字、印刷写真、印画紙写真など）を決定し、処理結果を画素と対応させてＨＤＤ１７２に記憶する。画素毎の処理は、例えば、注目画素とその周囲の画素を用いて、特徴量を求める処理である。文字、印刷写真、印画紙写真などには、それぞれ、カラー分布、輝度分布などに特徴がある。したがって、例えば、ＣＭＹにカラー分離した画像について、注目画素を含む局所領域内における濃度分布、濃度勾配、濃度勾配の方向などを求め、その結果に応じて注目画素に、原稿種別に対応する数値（以下「画素種別情報」という）を割り当てる。このようにして、原稿読取時に、原稿に対応する画像の画素種別情報が求められるので、これを用いて、後述するように原稿種別情報を求める。例えば、画素種別情報には、原稿種別毎（例えば、文字、印刷写真、印画紙写真、地図、淡い原稿）に予め定められた離散的な値（所定ビット数の値）を用いることができる。
【０１２３】
ステップ５０６において、ＣＰＵ１７０は、原稿読取時に求められた画素種別情報を用いて原稿種別情報を決定する。具体的には、画像全体の画素種別情報に対して所定の処理を実行して、その結果に応じて原稿種別情報を決定する。例えば、画像全体について画素種別情報の平均値を求める、最頻値を求めるなどによって、画像全体に対して１つの値を決定し、決定された値から画像全体に関する原稿種別情報を決定する。最頻値を求める場合には得られた値が直接原稿種別情報に対応するが、平均値を求める場合には、平均値をしきい値処理して、原稿種別情報を決定することができる。原稿種別毎に予め定められた離散的な数値が割り当てられている場合、しきい値には、原稿種別毎に予め設定された上限値及び下限値を用いることができる。しきい値は、画像処理装置の出荷時に予め設定されている値であっても、出荷後に設定及び調節される値であってもよい。
【０１２４】
ステップ５０８において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５０４で押されたボタンに対応する原稿種別情報を決定する。そのためには、例えば、図１０に示した文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、及び、淡い原稿のそれぞれに、所定の原稿種別情報が割り当てられていればよい。
【０１２５】
ステップ５１０において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５０６又はステップ５０８で決定された原稿種別情報が、写真系に該当するか否かを判定する。写真系とは、例えば、印刷写真、印画紙写真、及び、淡い原稿を意味する。したがって、これらに対応する原稿種別情報の何れかに、ステップ５０６又はステップ５０８で決定された原稿種別情報が該当するか否かを判定すればよい。写真系であると判定した場合、ステップ５１２に移行し、そうでなければ、ステップ５１４に移行する。
【０１２６】
ステップ５１２において、ＣＰＵ１７０は、高解像度画像３２０から中解像度画像３２４を生成する。ステップ５１４において、ＣＰＵ１７０は、低解像度画像３２２から中解像度画像３２４を生成する。具体的には、ステップ５１２では、中解像度画像生成部３４２がＣＰＵ１７０によって制御され、高解像度画像３２０をＨＤＤ１７２から読出し、その画像よりも解像度の低い画像を生成（例えば、６００ｄｐｉから１５０ｄｐｉの画像を生成）して、中解像度画像３２４としてＨＤＤ１７２に記憶する。ステップ５１４では、中解像度画像生成部３４２がＣＰＵ１７０によって制御され、低解像度画像３２２をＨＤＤ１７２から読出し、その画像よりも解像度の高い画像を生成（例えば、７５ｄｐｉから１５０ｄｐｉの画像を生成）して、中解像度画像３２４としてＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１２７】
ステップ５１６において、ＣＰＵ１７０は、中解像度画像３２４から拡大縮小されたプレビュー画像を生成するプログラムを起動する。このプログラムは、中解像度プレビュー画像生成部３５８によって、中解像度画像３２４を、指定された倍率で拡大処理し、生成された画像を中解像度プレビュー画像３６４としてＨＤＤ１７２に記憶する処理を実現する。これによって、本プログラムと並行して、低解像度画像３２２の拡大縮小処理のプログラム、及び、中解像度画像３２４の拡大縮小処理のプログラムが実行される。
【０１２８】
一方、ステップ５０２においてカラー画像であると判定した場合、ステップ５２６において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像（３００ｄｐｉ）で仕上りを確認すべきか否かを判定する。中高解像度画像で仕上りを確認すべきと判定した場合、ステップ５２８に移行する。そうでなければ、ステップ５０４に移行して、上記したステップ５０４以降の処理を実行する。中高解像度画像で仕上りを確認すべき場合とは、例えば、拡大率が所定値以上の場合である。大きく拡大する場合、より解像度の高い画像を使用する方がより適切に仕上りイメージを表示できるプレビュー画像を生成することができる。
【０１２９】
ステップ５２８において、ＣＰＵ１７０は、高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６を生成する。具体的には、中高解像度画像生成部３４４がＣＰＵ１７０によって制御され、高解像度画像３２０をＨＤＤ１７２から読出し、高解像度と中解像度との間の解像度の画像を生成（例えば、３００ｄｐｉの画像を生成）して、中高解像度画像３２６としてＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１３０】
ステップ５３０において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像３２６から拡大縮小されたプレビュー画像を生成するプログラムを起動する。このプログラムは、中高解像度プレビュー画像生成部３６０によって、中高解像度画像３２６を指定された倍率で拡大処理し、生成された画像を中高解像度プレビュー画像３６６としてＨＤＤ１７２に記憶する処理を実現する。これによって、本プログラムと並行して、低解像度画像３２２の拡大縮小処理のプログラム、及び、中高解像度画像３２６の拡大縮小処理のプログラムが実行される。
【０１３１】
ステップ５１８において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５００で起動したプログラムが終了し、低解像度プレビュー画像３６２が生成されたか否かを繰り返し判定する。具体的には、制御部３８０が、低解像度プレビュー画像生成部３５６から出力される処理完了信号を受信したか否かによって判定する。低解像度プレビュー画像３６２が生成されたと判定した場合、ステップ５２０に移行する。
【０１３２】
ステップ５２０において、ＣＰＵ１７０は、低解像度プレビュー画像３６２をタッチパネルディスプレイ１３０に表示する。具体的には、セレクタ３８４がＣＰＵ１７０によって制御され、低解像度プレビュー画像３６２を表示処理部３８６に出力する。これによって、上記したように、プレビュー領域２０４に、拡大縮小されたプレビュー画像が表示される。この画像は、低解像度画像３２２を拡大縮小して得られた画像であり、画質は低い。
【０１３３】
ステップ５２２において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５１６又はステップ５３０で起動したプログラムが終了したか否かを繰り返し判定する。具体的には、制御部３８０が、中解像度プレビュー画像生成部３５８又は中高解像度プレビュー画像生成部３６０から出力される処理完了信号を受信したか否かによって判定する。終了したと判定した場合、ステップ５２４に移行する。このとき、中解像度プレビュー画像３６４又は中高解像度プレビュー画像３６６の生成が完了している。
【０１３４】
ステップ５２４において、ＣＰＵ１７０は、中解像度プレビュー画像３６４又は中高解像度プレビュー画像３６６をタッチパネルディスプレイ１３０に表示した後、復帰する。具体的には、セレクタ３８４がＣＰＵ１７０によって制御され、中解像度プレビュー画像３６４又は中高解像度プレビュー画像３６６を表示処理部３８６に出力する。これによって、上記したように、プレビュー領域２０４に、拡大縮小されたプレビュー画像が表示される。表示されるプレビュー画像は、中解像度画像３２４又は中高解像度画像３２６を拡大縮小して得られたプレビュー画像であり、低解像度画像３２２を拡大縮小して生成されたプレビュー画像よりも高画質である。特に、ステップ５３０が実行されて高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６が生成され、これを拡大縮小した場合、より高画質のプレビュー画像が表示される。
【０１３５】
以上によって、拡大縮小処理が指定された場合、速やかに低解像度画像を拡大縮小したプレビュー画像が表示された後、より画質の高いプレビュー画像が表示される。
【０１３６】
原稿種別と、プレビュー画像を生成するときに使用される元画像との対応の一例を表１に示す。表１の場合、原稿が、印刷写真、印画紙写真、又は淡い原稿の場合、高解像度画像から中解像度画像を生成し、これを拡大縮小してプレビュー画像が生成される。それ以外の原稿の場合、低解像度画像から中解像度画像を生成し、これを拡大縮小してプレビュー画像が生成される。
【０１３７】
【表１】
【０１３８】
次に、他の処理が指定された場合に実行されるステップ４１８の処理を具体的に説明する。図１０を参照して、ステップ６００において、ＣＰＵ１７０は、カラー関係処理であるか否かを判定する。カラー関係処理であると判定した場合、ステップ６０２に移行し、そうでなければ、ステップ６１２に移行する。カラー関係処理とは、例えばカラー調整（ＲＧＢ又はＣＭＹでのガンマ補正など）、カラー階調数の増減（２色カラー化など）などである。
【０１３９】
ステップ６０２において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像３２６がＨＤＤ１７２に存在するか否かを判定する。例えば、図９のステップ５２８の処理が一度実行された場合、中高解像度画像３２６がＨＤＤ１７２に記憶されている。中高解像度画像３２６が存在すると判定した場合、ステップ６０６に移行し、そうでなければ、ステップ６０４に移行する。
【０１４０】
ステップ６０４において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像で仕上りを確認すべきか否かを判定する。例えば、中高解像度画像で仕上りを確認するか否かを画面に表示して、ユーザに選択させる。中高解像度画像で仕上りを確認すべきと判定した場合、ステップ５２８に移行して、高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６を生成する。そうでなければ、ステップ６１０に移行する。
【０１４１】
ステップ６０６において、ＣＰＵ１７０は、既存の中高解像度画像又はステップ５２８で生成された中高解像度画像に対して、指定された画像編集処理を実行し、その結果の画像をＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１４２】
中高解像度画像で仕上りを確認する必要がない場合、ステップ６１０において、ＣＰＵ１７０は、低解像度画像３２２に対して指定された処理を実行して、その結果をＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１４３】
ステップ５０２において、カラー関係処理であると判定されなかった場合、ステップ６１２に移行し、ステップ６１２において、ユーザにより選択された機能が、拡大縮小処理以外の画像編集に関係する処理であるか否かを判定する。画像編集に関係する処理であると判定した場合、ステップ６１４に移行し、そうでなければ、ステップ６１８に移行する。
【０１４４】
ステップ６１４において、ＣＰＵ１７０は、中解像度画像３２４がＨＤＤ１７２に存在するか否かを判定する。例えば、図９のステップ５１２が一度実行された場合、中解像度画像３２４がＨＤＤ１７２に存在する。中解像度画像３２４が存在すると判定した場合、ステップ６１６に移行し、ステップ６１６において、ＣＰＵ１７０は、中解像度画像３２４に対して指定された処理を実行して、その結果をＨＤＤ１７２に記憶する。そうでなければ、ステップ６１０に移行し、ＣＰＵ１７０は、上記したステップ６１０の処理を実行する。
【０１４５】
ステップ６１８において、セレクタ３８４はＣＰＵ１７０の制御を受けて、ステップ６０４、ステップ６１０又はステップ６１６で生成された画像をＨＤＤ１７２から読出し、表示処理部３８６に出力する。これによって、画像編集後の画像がプレビュー画像としてタッチパネルディスプレイ１３０に表示される。
【０１４６】
以上によって、処理効率を低下することなく、指定された画像編集処理（拡大縮小以外）において、画質処理の重要度に応じたプレビュー画像が生成されて表示される。画質が重要となるカラー関係の処理が指定された場合には、ステップ６０６によって、中高解像度画像３２６に対して画像編集が実行される。画質が重要でない画像編集の場合には、ステップ６１０によって、低解像度画像３２２に対して画像編集が実行される。但し、カラー処理であっても、画質がそれほど重要では無く、かつ、中高解像度画像がＨＤＤ１７２に無い場合には、処理速度を優先して、低解像度画像３２２に対して画像編集が実行される。また、画質が重要でない画像編集の場合であっても、中解像度画像がＨＤＤ１７２に存在する場合には、中解像度画像に対して画像編集が実行される。
【０１４７】
ステップ６２０において、ＣＰＵ１７０は、ユーザからプレビュー表示を終了する指示を受けたか否かを判定する。プレビュー表示を終了する指示を受けたと判定した場合、ステップ６２２において、一時的に生成された画像、即ち低解像度画像３２２、中解像度画像３２４、中高解像度画像３２６、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、及び中高解像度プレビュー画像３６６をＨＤＤ１７２から削除して復帰し、図８のステップ４２０に移行する。そうでなければ、何もせずに復帰し、図８のステップ４２０に移行する。
【０１４８】
［変形例］
上記の実施の形態では、ステップ４００、ステップ５１６、ステップ５３２においては、低解像度画像、中解像度画像、中高解像度画像の拡大縮小処理のプログラムを起動し、これらの処理が並列して実行される。これは、画像処理装置１００がマルチコアＣＰＵ１７０を採用しているために可能となっている。また、ＣＰＵが演算処理部を１つしか持たない場合であっても、拡大縮小処理を行なうハードウェア（例えばＡＳＩＣ）を複数備えていれば、同様に並列処理が可能である。しかし、並列処理ができない場合には、低解像度画像に対して拡大縮小をし、処理後の画像を表示した後に、中解像度画像又は中高解像度画像を生成し拡大縮小をしてその結果を表示するようにすればよい。
【０１４９】
上記の実施の形態では、プレビュー画像全体を拡大縮小する場合を説明したが、プレビュー画像の一部に対して拡大縮小を指定することもできる。その場合には、対象とされた領域内の画素の画素種別情報を用いて、上記と同様にその領域の原稿種別情報を決定して、決定された原稿種別情報を用いて、上記と同様に中解像度画像を生成して拡大縮小すればよい。
【０１５０】
上記の実施の形態では、プレビューの拡大縮小の指示があったときに中解像度画像を生成している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、表示態様の変更が指示された場合、又は、明示的に拡大縮小の処理が指定されないが、その後の段階で必ず拡大縮小が行なわれるような動作モードが選択された場合には、指示又は選択されたときに中解像度画像の生成を開始するようにしてもよい。そうした動作モードとしては、例えば、画像のトリミング、マスキング、エリア内外消去、部分領域の移動又はコピー等、一般的に画像内で座標を指定して何らかの処理を行なうような動作モードがある。中解像度画像を生成するか否かを、ユーザが設定できるようにしても良い。また、中解像度画像を生成する指示を、予めユーザが特定してもよい。
【０１５１】
上記の実施の形態では、ユーザが、拡大縮小の倍率を繰返し変更してプレビュー画像をして、仕上りを確認する場合（図８のステップ４２４からステップ４１２に戻る）、中解像度画像又は中高解像度画像が生成されるが、既に生成された中解像度画像又は中高解像度画像３２６を使用することが効率的である。そのためには、例えば、ステップ５１２、ステップ５１４、及びステップ５２８において、生成しようとする画像が、ＨＤＤ１７２に存在するか否かを判定し、存在しない場合にのみ生成するようにすればよい。
【０１５２】
また、１つの画像に対して拡大縮小を繰返す間、ユーザによって原稿種別情報が変更されない限り、中解像度画像が存在すればそれを使用すればよい。しかし、同じ画像に対する拡大縮小処理であっても、ユーザによって原稿種別情報が変更された場合（図９のステップ５０８）、中解像度画像が存在していたとしても、それを使用することはできない。したがって、処理対象の原稿種別情報が変更されたか否かを判定する処理を追加し、中解像度画像が存在し、且つ原稿種別情報に変更がない場合には、存在する中解像度画像を使用するようにすればよい。そうでなければ、中解像度画像が存在していても、変更された原稿種別情報に応じて、高解像度画像又は低解像度画像３２２から新たに中解像度画像を生成する。
【０１５３】
また、ステップ５０８で原稿種別の指定を受け付ける場合、自動的に決定された画素種別情報を画面に提示して、指定を受け付けてもよい。
【０１５４】
また、ステップ５０６において、画素種別情報から、指定された領域の原稿種別情報を決定する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、画像読取時に決定された画素種別情報から原稿１ページ全体の原稿種別情報を決定しておき、原稿全体の拡大縮小処理が指定された場合には、ステップ５０６を実行せず、決定済みの原稿種別情報を用いてステップ５１０の判定を実行してもよい。
【０１５５】
また、原稿種別情報を決定する方法は、上記した平均値、最頻値を用いる方法に限定されない。中解像度画像を生成するときに使用される元画像の解像度が、原稿に応じて適切に決定できる方法であればよい。
【０１５６】
また、高解像度、中高解像度、中解像度及び低解像度をそれぞれ、６００ｄｐｉ、３００ｄｐｉ、１５０ｄｐｉ及び７５ｄｐｉとして説明したが、これに限定されない。例えば、原稿読取時の最大解像度を高解像度とし、表示装置の解像度を考慮して低解像度を決定し、高解像度＞中高解像度＞中解像度＞低解像度を満たすように、中高解像度及び中解像度を決定すればよい。
【０１５７】
また、原稿種別は、文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、及び、淡い原稿に限定されない。
【０１５８】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【０１５９】
１００ 画像処理装置
１０２ 原稿読取部
１０４ 画像形成部
１２０ 操作ユニット
１３０ タッチパネルディスプレイ
１４０ 操作キー部
１７０ マルチコアＣＰＵ
１７２ ハードディスク（ＨＤＤ）
３１０ 表示画像処理部
３２０ 高解像度画像
３２２ 低解像度画像
３２４ 中解像度画像
３２６ 中高解像度画像
３４０ 低解像度画像生成部
３４２ 中解像度画像生成部
３４４ 中高解像度画像生成部
３５０ 画像加工部
３５２ 出力処理部
３５４ プレビュー画像生成部
３５６ 低解像度プレビュー画像生成部
３５８ 中解像度プレビュー画像生成部
３６０ 中高解像度プレビュー画像生成部
３６２ 低解像度プレビュー画像
３６４ 中解像度プレビュー画像
３６６ 中高解像度プレビュー画像
３８０ 制御部
３８４ セレクタ
３８６ 表示処理部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、プレビュー機能を有する画像処理装置に関し、特に、拡大縮小等の画像処理によって得られる出力画像を適切に表すプレビュー画像を高速に表示できる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
電子機器である画像処理装置の１種として、多くの事業所（会社、事務所等）に、記録用紙に画像を形成する画像形成装置（代表的にはコピー機）が導入されている。このような事業所において、プリンタ機能、コピー機能等を備えた画像形成装置をネットワークに接続し、画像形成装置を複数のユーザで共用するケースが多くなっている。このような画像処理装置の１種である複合機（ＭＦＰ（ＭｕｌｔｉＦｕｎｃｔｉｏｎ Ｐｅｒｉｐｈｅｒａｌ））は、コピーモード、ファクシミリモード（以下、ファクシミリをＦＡＸ又はファクスと記載する場合がある。）、ネットワーク対応のプリンタモード、及びスキャナモードのように、複数の基本的な動作モードを備える。これらの画像処理装置においては、各々のユーザが、動作モードを選択して、両面印刷、集約（２ページを１枚にする２ｉｎ１、４ページを１枚にする４ｉｎ１等）等の機能を設定して、所望の態様で記録用紙に画像を形成している。さらに、これらの複数の機能を適宜組合せて利用されることも多くなってきている。
【０００３】
画像処理装置として電子写真プロセスの画像形成部を備えたデジタル機を考える。デジタル機は、画像を形成する前に、デジタル画像に対して様々な処理を電子的に容易に行なうことができる。例えば上記した集約処理を実行する、両面印刷の設定を行なう、画像の一部をマスクする、画像の一部を別の位置に移動するなどの処理を、画像処理プログラムにより容易に行なうことができる。こうした作業を確実に行なうために、予想される出力態様（印刷画像）を事前に表示するプレビュー画像が常に表示装置に表示されるようにできれば便利である。そのため、画像を表示可能な液晶表示装置等の表示パネルと、表示パネルの上面に積層して形成されたタッチパネルとからなる操作ユニットを、操作パネルとして用いる画像処理装置が増えている。
【０００４】
このような画像処理装置において、原稿読取部で読取った原稿の画像をそのまま使用して表示処理を行なうと、データ処理量が大きいので処理に時間がかかり、操作性が悪くなる。そこで、原稿を読取る際に、高解像度の画像とともに、低解像度の画像を同時に読取る、又は、高解像度の画像から自動的に低解像度の画像を生成するなどの機能を備え、表示には低解像度の画像を用いる画像処理装置が知られている。
【０００５】
例えば、下記特許文献１には、スキャナ装置による１回の読取時に、複数種類の解像度又は複数種類の階調のイメージデータを生成し、データ転送先での使用目的に合うように異なったイメージデータを転送することが開示されている。特許文献１に記載された画像形成装置では、画像内容を確認するプレビュー表示では低解像度の画像を高速に表示し、記録紙上への出力及び外部への画像送信には、高解像度で読取った画像を用いる。
【０００６】
また、下記特許文献２には、圧縮された画像データを高速にスクロール又はズーム表示するために、復号された解像度が異なる複数の画像をキャッシュに保存しておき、スクロール又はズーム表示する場合に、キャッシュの画像を使用することが開示されている。
【０００７】
また、下記特許文献３には、多くのメモリを消費することなく、サムネイル画像及びプレビュー画像を高速に表示するために、特定画面の次に表示される画面上に表示されるサムネイル及びプレビュー画像のみを予め生成しておくことが開示されている。
【０００８】
また、下記特許文献４には、コンピュータからプリンタサーバ装置等に印刷を指示するシステムにおいて、コンピュータでプレビュー処理を行なう場合、プリンタサーバ装置から最初は粗い解像度でプレビューデータの送信を行ない、コンピュータから特定領域について拡大要求があった場合、プリンタサーバ装置で解像度を高くしたプレビューデータを生成して送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平１１−２８９４１６号公報
【特許文献２】特開２００９−２０６８８４号公報
【特許文献３】特開２００６−２０３７０２号公報
【特許文献４】特開平１１−１１０１７０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
プレビュー画像を生成して表示する場合、プレビュー画像を速やかに生成すること、及び、プレビュー画像が実際の出力態様（以下「仕上り」ともいう）を適切に表していることが要求される。特に、これらをバランスよく両立させることが要求される。しかし、上記特許文献１〜４に記載された発明の何れによっても、処理速度の要求とプレビュー画像の画質の要求とをバランスよく両立させることはできない。
【００１１】
上記特許文献１の画像形成装置では、プレビュー表示する場合には、低解像度の画像を使用するので、画像形成部による仕上りイメージとは異なる画質の画像がプレビュー表示され、ユーザが望む仕上りイメージで画像を出力できない可能性が高いという問題がある。また、スキャナ装置による読取時に、使用目的に合うように複数解像度又は複数階調のイメージデータを生成するので、データ記憶容量が大きくなる問題もある。
【００１２】
上記特許文献２においても、解像度が異なる複数の画像をキャッシュに保存しておくので、データ記憶容量が大きくなる問題がある。また、キャッシュした全ての画像が使用されるとは限らず、実際には使用されない画像を生成する不要な処理を実行しなければならない問題がある。
【００１３】
上記特許文献３においても、サムネイル及びプレビュー画像を予め生成しておくので、表示されない無駄なデータを生成する不要な処理を実行しなければならない問題がある。
【００１４】
上記特許文献４においては、プレビュー画像に対して拡大要求があったときに、解像度を高くしたプレビューデータを生成するので、生成が完了するまで、拡大処理後のプレビュー画像が表示されず、ユーザにストレスを与える可能性がある。
【００１５】
したがって、本発明は、拡大縮小などの画像処理が指定された場合に、ユーザに処理速度が遅い印象を与えることなく、処理対象画像に応じた適切なプレビュー画像を表示することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明の第１の局面によれば、プレビュー画像を生成する画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、第１解像度の画像と、第１解像度よりも低い第２解像度の画像と、第１解像度よりも高い第３解像度で原稿を読取って生成された第３解像度の画像とを記憶するための画像記憶手段と、第２解像度の画像からプレビュー画像を生成して表示装置に表示するためのプレビュー表示手段と、ユーザによる、表示装置に表示されているプレビュー画像に対する拡大縮小指示に応答して、第２解像度の画像を拡大縮小指示にしたがって処理し、処理後の画像を表示装置に表示するための第１拡大縮小手段と、拡大縮小指示に応答して、原稿の種別に応じて第３解像度の画像又は第２解像度の画像から、第１解像度の画像を生成し、この第１解像度の画像を拡大縮小指示にしたがって処理し、処理により得られた画像を、第１拡大縮小手段により表示された画像に代えて表示装置に表示するための第２拡大縮小手段と、を含む。
【００１７】
好ましくは、画像処理装置は、さらに、表示装置に表示されているプレビュー画像の表示態様を変更する指示、又は、予めユーザにより特定された指示に応答して、原稿の種別に応じて、第３解像度の画像又は第２解像度の画像から、第１解像度の画像を生成し、この第１解像度の画像からプレビュー画像を生成する手段を含む。
【００１８】
より好ましくは、第２拡大縮小手段は、プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指示がなされた場合、所定領域内の画素のうち、文字領域に属する画素の数が、写真領域に属する画素の数よりも多いとき、第２解像度の画像から第１解像度の画像を生成し、所定領域内の画素のうち、写真領域に属する画素の数が、文字領域に属する画素の数よりも多い場合、第３解像度の画像から第１解像度の画像を生成する。
【００１９】
画像処理装置は、第３解像度の画像の画素毎に、原稿の種別に対応する数値を付与する手段と、プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指定がなされた場合、所定領域の原稿種別情報を、所定領域内の画素に付与された数値の平均値又は最頻値から決定する手段とを含み、第２拡大縮小手段は、所定領域に対して決定された原稿種別情報に応じて、第３解像度の画像又は第２解像度の画像から、第１解像度の画像を生成してもよい。
【００２０】
さらに好ましくは、原稿の種別は、ユーザによって指定される。
【００２１】
好ましくは、画像処理装置は、ユーザにより、プレビュー画像に対して画質関係の処理が指定された場合、第３解像度の画像から、第１解像度と第３解像度との間の第４解像度の画像を生成する手段と、第４解像度の画像に対して、指定された画質関係の処理を実行してプレビュー画像を生成する手段とを含む。
【００２２】
より好ましくは、画質関係の処理は、カラー画像であるプレビュー画像に対する拡大縮小処理である。
【発明の効果】
【００２３】
本発明によれば、ユーザがプレビュー画像に対して拡大縮小等の画像処理を指示した場合、低解像度ではあるが、短時間でプレビュー画像が表示された後、より画質の高い中解像度のプレビュー画像に差替えて表示される。ユーザにとって画像処理装置の処理速度が速く感じられる上、最終的に表示されるプレビュー画像の画質が高いので、ユーザは画像処理後の仕上りイメージを正確に把握することができる。
【００２４】
また、プレビュー画像を生成する元画像として、原稿種別を自動的に判定した結果に応じた解像度の画像を使用するので、文字を多く含む原稿及び写真を多く含む原稿の何れの場合にも、それぞれに応じた適切な解像度のプレビュー画像を生成することができる。即ち、不必要な処理を抑制することができ、プレビュー画像の速やかな生成と、仕上りイメージを適切に表すプレビュー画像の生成とをバランスよく両立させることができる。
【００２５】
また、ユーザが原稿種別を指定することができるので、ユーザの要望に応じた処理速度及び解像度でプレビュー画像を表示することができる。即ち、画質を重視するか処理速度を重視するかに応じて最適なプレビュー表示を行なうことができる。
【００２６】
また、プレビュー画像に対して画質関係の処理が指定された場合、中解像度よりも画質の高い中高解像度の画像を使用するので、ユーザは処理後の仕上りイメージをより正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の外観を示す斜視図である。
【図２】図１に示す画像処理装置の内部構成を簡略化して示す断面図である。
【図３】図１に示す画像処理装置のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
【図４】図１に示す画像処理装置における原稿読取時の表示画面の一例を示す図である。
【図５】フィット・トゥー・スクリーン表示時の表示画面の一例を示す図である。
【図６】２ｉｎ１表示時の表示画面の一例を示す図である。
【図７】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のプレビュー画像生成処理に関する機能を示すブロック図である。
【図８】プレビュー画像生成処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図９】拡大縮小処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図１０】拡大縮小処理以外の処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図１１】原稿種別情報を指定するための部分画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００２８】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【００２９】
本発明の実施の形態に係る画像処理装置の一例である画像処理装置は、原稿を読取って２種類の解像度で画像を保存する。一方の解像度は６００ｄｐｉ（本明細書ではこれを「高解像度」と呼ぶ。）、他方の解像度は７５ｄｐｉ（本明細書ではこれを「低解像度」と呼ぶ。）である。さらに、これらの中間の解像度である１５０ｄｐｉ（本明細書ではこれを「中解像度」と呼ぶ。）の画像、３００ｄｐｉ（本明細書ではこれを「中高解像度」と呼ぶ。）の画像も使用する。
【００３０】
この画像処理装置は、電子写真方式により記録用紙に画像を形成する。この画像処理装置は、動作モードとして、コピーモード、ＦＡＸモード、ドキュメントファイリングモード（スキャンした画像を画像処理装置内部の記憶装置に記憶するモード）及びメールモード（スキャンした画像を電子メールに添付する形式で送信するモード）を備える。なお、この画像処理装置は、さらにネットワークプリンタモードを備えていても構わない。
【００３１】
［画像処理装置：機能］
図１〜図３を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置１００の概略について説明する。なお、以下において、「画像」とは表示される画像自体を意味するだけでなく、画像データをも意味する。
【００３２】
これらの図１〜図３を参照して、画像処理装置１００は、原稿読取部１０２、画像形成部１０４、給紙部１０６、排紙処理装置１０８、及び操作ユニット１２０を含む。操作ユニット１２０は、図１に示すように、タッチパネルディスプレイ１３０と操作キー部１４０とを含む。タッチパネルディスプレイ１３０は、液晶パネル等で構成された表示パネル１３２と、表示パネル１３２に重ねて配置されたユーザの指で押圧された位置を検出するタッチパネル１３４とを含む。操作キー部１４０には、図示しないいくつかの機能キーと、テンキーとが配置される。画像処理装置１００は以下の動作モードのいずれかで動作する。
【００３３】
−コピーモード−
コピーモードでは、主として、原稿読取部（以下、スキャナ部と記載する場合がある。）１０２及び画像形成部１０４が動作する。
【００３４】
画像処理装置１００においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られる。読取られた画像は、図３に示される、複数個の演算処理部を有するマルチコアＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ：中央演算処理装置）１７０に入力され、種々の画像処理が施される。処理後の画像が画像形成部１０４へと出力される。マルチコアＣＰＵ１７０は同時に複数の処理を並行して実行可能である。
【００３５】
画像形成部１０４は、画像によって示される原稿の画像を記録媒体（多くの場合、記録用紙）に印刷する。画像形成部１０４は、感光体ドラム２２２、帯電装置２２４、レーザスキャンユニット２２６、現像装置２２８、転写装置２３０、クリーニング装置２３２、加熱定着部である定着装置２３４、及び図示しない除電装置等を備えている。
【００３６】
画像形成部１０４には、主搬送路２３６及び反転搬送路２３８が設けられており、給紙部１０６から給紙されてきた記録用紙が主搬送路２３６に沿って搬送される。給紙部１０６は、用紙カセット２４０に収納された記録用紙、又は手差トレイ２４２に載置された記録用紙を１枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部１０４の主搬送路２３６へと送り出す。
【００３７】
画像形成部１０４の主搬送路２３６に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラム２２２と転写装置２３０との間を通過し、さらに定着装置２３４を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
【００３８】
感光体ドラム２２２は、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置２３２と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置２２４により均一に帯電される。
【００３９】
レーザスキャンユニット２２６は、印刷対象の画像に基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム２２２の表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラム２２２の表面に形成する。
【００４０】
現像装置２２８は、トナーを感光体ドラム２２２の表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム２２２の表面に形成する。
【００４１】
転写装置２３０は、転写装置２３０と感光体ドラム２２２との間を通過する記録用紙に感光体ドラム２２２表面のトナー像を転写する。
【００４２】
定着装置２３４は、記録用紙を加熱するための加熱ローラ２４８と、記録用紙を加圧するための加圧ローラ２５０とを含む。記録用紙が、加熱ローラ２４８によって加熱され、かつ、加圧ローラ２５０によって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。
【００４３】
主搬送路２３６と反転搬送路２３８との接続位置には、分岐爪２４４が配設されている。記録用紙の片面のみに印刷が行なわれる場合は、分岐爪２４４が位置決めされ、分岐爪２４４により定着装置２３４からの記録用紙が排紙トレイ２４６又は排紙処理装置１０８の方へと導かれる。
【００４４】
記録用紙の両面に印刷が行なわれる場合には、分岐爪２４４が所定方向に回動されて記録用紙が反転搬送路２３８の方へと導かれる。記録用紙は、反転搬送路２３８を通過して、その表裏を反転されて主搬送路２３６へと再び搬送され、主搬送路２３６の再度の搬送途中で、その裏面への印刷が行なわれて排紙トレイ２４６又は排紙処理装置１０８の方へと導かれる。
【００４５】
上述のようにして印刷された記録用紙は、排紙トレイ２４６又は排紙処理装置１０８の方へと導かれて排紙トレイ２４６に排出され、又は排紙処理装置１０８の各排紙トレイ１１０のいずれかに排出される。
【００４６】
排紙処理装置１０８では、複数の記録用紙を各排紙トレイ１１０に仕分けして排出する処理、各記録用紙にパンチングする処理、及び各記録用紙にステープルする処理を施す。例えば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ１１０に印刷物の一部ずつが割り当てられるように、各記録用紙を各排紙トレイ１１０に仕分けして排出し、排紙トレイ１１０毎に、排紙トレイ１１０上の各記録用紙にパンチング処理又はステープル処理を施して印刷物を作成する。
【００４７】
−ファクシミリモード−
ファクシミリモードでは、送信動作時には、主として原稿読取部（スキャナ部）１０２及びＦＡＸ通信部１６０が動作し、受信動作時には、主としてＦＡＸ通信部１６０及び画像形成部１０４が動作する。
【００４８】
・送信動作
画像処理装置１００においては、ファクシミリモードが指定され、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られる。読取られた画像が図３に示すマルチコアＣＰＵ１７０に入力され、ここで画像に各種の画像処理が施される。この画像がＦＡＸ通信部（図３のＦＡＸ通信部１６０）へと出力される。
【００４９】
送信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０は、指定された送信側の回線を指定された送信先に接続する。接続後、画像をファクシミリ通信規格に合致した通信データに変換して、受信側のファクシミリ装置（例えばファクシミリ機能を備えた画像処理装置）へ送信する。
【００５０】
・通信動作
回線が接続されると、受信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０は、送信側の画像処理装置のＦＡＸ通信部からの通信要求信号を検出して、応答信号を送信する。その後、例えば、ＦＡＸ通信部１６０は、送信側及び受信側で互いに実装されている能力情報の受渡しを行ない利用可能な最大能力での通信速度及び画像の符号化・符号訂正方式等を決定してモデムの通信方式を設定する。この通信方式にあわせた画像信号形式を用いて、送信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０から受信側の画像処理装置のＦＡＸ通信部へデータを送信する。送信が終了すると回線が切断される。
【００５１】
・受信動作
受信側の画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０は、受信したデータを画像に変換して、画像形成部１０４へ送る。なお、受信したデータを画像に変換するのは画像形成部１０４であっても構わない。画像形成部１０４は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、受信したデータから変換された画像によって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【００５２】
−ドキュメントファイリングモード−
ドキュメントファイリングモードでは、主として、原稿読取部（スキャナ部）１０２及び画像形成部１０４が動作する。
【００５３】
画像処理装置１００においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られる。読取られた画像はマルチコアＣＰＵ１７０に入力され、ここで画像に各種の画像処理が施される。この画像が、この画像処理装置１００が備える記憶装置（後述するハードディスク１７２）に記憶される。
【００５４】
記憶された画像は、ユーザによりファイル名が指定されて、記憶装置から読出されて、上述したコピーモードと同じ動作で記録用紙に印刷される。
【００５５】
−メールモード（スキャンｔｏメール）−
メールモードでは、主として、原稿読取部（スキャナ部）１０２及びネットワークインターフェイス（以下、ネットワークＩ／Ｆという）１７４が動作する。
【００５６】
なお、この画像処理装置１００が備える画像通信モードとして、ＦＡＸ通信部１６０を介して画像を公衆回線により送受信する上述したファクシミリモード、及び、ネットワークＩ／Ｆ１７４を介して画像を電子メールに添付する形式でインターネット回線により送受信する電子メール通信モード（メールモード）がある。このほかに、ネットワークＩ／Ｆ１７４を介して画像をインターネット回線により送受信するインターネットファクシミリモード、又は、ネットワーク回線を用いて画像を特定のコンピュータのフォルダに転送する画像転送モード（スキャンｔｏＰＣフォルダ）等を備えていても構わない。
【００５７】
画像処理装置１００においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部１０２により画像として読取られ、読取られた画像はマルチコアＣＰＵ１７０に入力され、各種の画像処理が施される。この画像が電子メールに添付されて送信される。
【００５８】
ファクシミリモードでは、送信先の電話番号が指定されるのに対して、メールモードでは、送信先のメールアドレスが指定される点が異なる。
【００５９】
［画像処理装置：制御ブロック構成］
図３を参照して、画像処理装置１００はさらに、コピーモード、ファクシミリモード、ドキュメントファイリングモード、及びメールモードに関する機能の設定が可能な、走査表示パネルとして動作する操作ユニット１２０と、プログラム等を記憶するためのＲＯＭ（Ｒｅａｄ−Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ：読出専用メモリ）１７６と、通電が遮断された場合であってもプログラム及びデータ等を維持可能な不揮発性記憶領域であるハードディスク（以下、ＨＤＤという）１７２と、プログラムを実行する際の記憶領域を提供するためのＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ：随時読出書込可能メモリ）１７８とを含む。
【００６０】
画像処理装置１００はさらに、原稿読取部１０２、画像形成部１０４、ＦＡＸ通信部１６０、操作ユニット１２０、ＲＯＭ１７６、ＨＤＤ１７２、及びＲＡＭ１７８に接続されるバス１８０と、バス１８０に接続され、ＨＤＤ１７２等に記憶されたプログラムを実行することにより画像処理装置としての一般的機能を実現するためのマルチコアＣＰＵ１７０とを含む。
【００６１】
画像処理装置１００はさらに、バス１８０を介して画像処理装置１００の各部と通信可能であり、マルチコアＣＰＵ１７０からのコマンドにしたがって、画像形成部１０４に関する給紙の制御を実行するための給紙部１６２と、同じくバス１８０に接続され、マルチコアＣＰＵ１７０からのコマンドにしたがって画像形成部１０４からの記録用紙の排出を制御する排出部１６４とを含む。
【００６２】
ＨＤＤ１７２には、画像処理装置１００でスキャンした原稿の画像のファイルが、フォルダ別に、保存日時及び保存ユーザ名ととともに記憶されている。ＨＤＤ１７２には、各動作モードの初期画面データが記憶されている。
【００６３】
ＲＯＭ１７６には、画像処理装置１００の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。このＲＯＭ１７６にプログラムとともに記憶するデータとして、各動作モードの初期画面データを記憶するようにしても構わない。マルチコアＣＰＵ１７０は、ＲＯＭ１７６に格納されているプログラム及びデータにしたがって画像処理装置１００の制御を行なうとともに画像処理装置１００の各機能に関する制御を実行する。マルチコアＣＰＵ１７０は複数個の演算処理部を有するため、同時に２つ以上の処理を並列的に実行できる。
【００６４】
図３に示すように、画像処理装置１００のＦＡＸ通信部１６０には、画像の送受信用に公衆回線が接続され、ネットワークＩ／Ｆ１７４はネットワーク回線に接続される。ネットワーク回線には、画像処理装置１００をネットワーク対応のプリンタとして使用するコンピュータ等が接続される。ネットワーク回線には、インターネットを介して指定されたＵＲＬ（Ｕｎｉｆｏｒｍ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ｌｏｃａｔｏｒ）により特定されるコンピュータ等が接続されることもある。このようにインターネットに接続されると、画像処理装置１００は、インターネットを介して、必要な情報を取得できる。
【００６５】
ＲＡＭ１７８は、マルチコアＣＰＵ１７０による演算及び処理の結果を一時的に記憶するワーキングメモリとしての機能と、画像を記憶するフレームメモリとしての機能とを提供する。
【００６６】
原稿読取部１０２、画像形成部１０４、操作ユニット１２０を構成するタッチパネルディスプレイ１３０、給紙部１６２、排出部１６４及び操作キー部１４０、ならびにＲＯＭ１７６、ＨＤＤ１７２、及びＲＡＭ１７８に対する制御は、マルチコアＣＰＵ１７０が所定のプログラムを実行することにより行なわれる。なお、操作ユニット１２０は、入出力インターフェイスを介してマルチコアＣＰＵ１７０と通信する。
【００６７】
操作ユニット１２０は、ユーザが目視しやすいように傾斜して設けられたパネルである。操作ユニット１２０の表面の左側領域にはタッチパネルディスプレイ１３０が、右側領域には操作キー部１４０が、それぞれ配置されている。タッチパネルディスプレイ１３０及び操作キー部１４０は一体となって操作ユニット１２０を形成している。
【００６８】
上述したように、このタッチパネルディスプレイ１３０は、表示パネル１３２と、表示パネル１３２に重ねて配置されたタッチパネル１３４とを含む。このタッチパネルディスプレイ１３０においては、表示パネル１３２に、画像処理装置１００における動作モードを選択するホーム画面、画像処理装置１００の現在の状態、宛先指定状況、ジョブの処理状況等が表示される。表示パネル１３２の表示領域上にはソフトウェアボタンである選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネル１３４がその押された位置を検出する。プログラムによって、選択ボタンの表示位置とタッチパネル１３４が押された位置とを照合することにより、画像処理装置１００の動作モード選択、機能設定及び動作指示等が行なわれる。画像処理装置１００は、このようなタッチ操作（ユーザによる押圧位置に基づくコマンド入力操作）に加えて、ジェスチャー操作（ユーザによる操作軌跡に基づくコマンド入力操作）にも対応している。
【００６９】
以下、画像処理装置１００のタッチパネルディスプレイ１３０における表示について説明する。本実施の形態では、例えば原稿を画像として読取って様々な設定を行なってからコピーを実行する場合、設定される毎に、タッチパネルディスプレイ１３０に設定に応じたプレビュー画像を表示する。プレビュー画像を常時表示することで、ユーザは仕上りイメージを正確に捉えることができ、コピー処理を誤りなく行なうことができる。
【００７０】
図４に、画像処理装置１００のタッチパネルディスプレイ１３０における基本レイアウトを示す。図４を参照して、横長のタッチパネルディスプレイ１３０（例えば、横１０２４ピクセル×縦６００ピクセル）における画面の基本レイアウトは、最上部に配置されたシステム領域２００、中央部に配置されたプレビュー領域２０４、プレビュー領域２０４の左側に配置された機能選択領域２０２、プレビュー領域２０４の右側上部に配置されたアクションパネル領域２０６、及び、プレビュー領域２０４の右側下部に配置されタスクトリガー領域２０８を含む。機能選択領域２０２には、機能設定及び設定状態確認のためのアイコンボタン及び機能説明を表示する。アクションパネル領域２０６には、おすすめ機能等、現在ユーザが行なおうとしている作業とは直接関係はないが、表示するとユーザにとって有益と思われる情報を表示する。タスクトリガー領域２０８には、コピーの開始及び原稿の走査の開始等を指示するボタン群を表示する。
【００７１】
なお、領域の数は５つに限定されるものではない。左右の並びも図４に示したものには限定されない。ユーザが操作しやすいようにカスタマイズ可能とすることもできる。例えば、システム領域２００の位置は画面の最下部であってもよい。
【００７２】
システム領域２００には、現時点の画像処理装置１００に関する情報、すなわち操作中の動作モードのタイトル、及び画像処理装置１００の状態に関する情報が表示される。例えば、システム領域２００には、動作モード名、割り込みキー、ログインユーザ名、処理中のジョブ状況、内蔵メモリ使用状態、時刻等が表示される。
【００７３】
機能選択領域２０２には、各機能の設定、表示の切換え、設定の確認のためにユーザにより操作される機能選択メニュー（アイコン、ボタン等）が、動作モードにより異なる表示態様で表示される。動作モードには、アイコンモード、レギュラーモード及びエキスプレスモードがある。アイコンモードでは、プレビュー領域２０４が最も広くなるように機能選択領域２０２には機能設定用のアイコンのみが表示される。エキスプレスモードでは、プレビュー領域２０４が最も狭くなって、機能選択領域２０２には機能を一度に設定できる画面が大きく表示される。レギュラーモードにおいては、プレビュー領域２０４の大きさはアイコンモードとエキスプレスモードとの中間の大きさであって、機能選択領域２０２には機能設定のアイコンとともに機能名称がテキスト表示される。レギュラーモードでは、機能名称をテキスト表示するのみ（機能設定のアイコンを表示しない）であってもよい。
【００７４】
これらのアイコンモード、レギュラーモード及びエキスプレスモードの切換えはユーザの操作に基づく。すなわち、プレビュー領域２０４の大きさが、ユーザの操作に応じて自動的に変更される。アイコンは、小さい領域でユーザへの情報を伝達できるので、全ての機能に対して準備しておいて、プレビュー領域２０４が大きく表示できることが好ましい。一方、プレビュー領域をそれほど大きくする必要がない場合には、逆に機能選択領域２０２にアイコンだけでなく機能説明も表示することで、ユーザにとっては操作が分かりやすくなる。
【００７５】
機能選択領域２０２には、その下部に機能選択領域２０２の表示スタイルを変更する変更ボタン群２１０を備える。変更ボタン群２１０には、アイコンモードで機能選択領域２０２を表示するボタン、「お気に入り」登録した機能を表示させるボタン、設定が変更された機能を表示させるボタン、選択されている動作モードにおいて設定可能な全ての機能の一覧を表示するボタン、レギュラーモードで機能選択領域２０２を表示するボタン、及び、エキスプレスモードで機能選択領域２０２を表示するボタン等が配置されている。
【００７６】
なお、機能選択領域２０２に表示される情報が多い場合には、この機能選択領域２０２において上下方向にスクロール可能に情報が表示される。この場合において、この変更ボタン群２１０はスクロールされないで、機能選択領域２０２の最下部に常に表示される。
【００７７】
プレビュー領域２０４には、画像処理装置１００の出力態様（例えば印刷画像）を表すプレビュー画像が表示される。ダミーデータ又はスキャンデータを用いてイメージ表示し、ユーザが画像処理を指示する毎に、プレビュー領域２０４に表示されるプレビュー画像が変更される。
【００７８】
このプレビュー領域２０４の下部には、プレビュー領域２０４の表示スタイルを変更するプレビュー変更ボタン群２１２が配置される。プレビュー変更ボタン群２１２は、プレビュー画像を左に９０度回転させる左回転ボタン、プレビュー画像を右に９０度回転させる右回転ボタン、カラー調整をするためのカラー変更ボタン、及びプレビュー画像の拡大縮小を手動で行なうためのズームバー領域２１４等が配置されている。
【００７９】
左回転ボタンに１回タッチするとプレビュー画像が左に９０度回転されて、２回タッチするとプレビュー画像が左に１８０度回転される。右回転ボタンについても、回転方向が反対であることを除き左回転ボタンに対する操作と同様の処理が行なわれる。なお、ジェスチャー操作によっても、プレビュー画像を回転させることができる。例えば、プレビュー画像の上に指先を置いたまま、円弧を描くように反時計回転方向に指先を１８０度回転させると、プレビュー画像が左に１８０度回転される。ジェスチャー操作による右回転も同様である。
【００８０】
ズームバー領域２１４は、プレビュー画像の拡大を指示するプラスボタン２１６と、プレビューの縮小を指示するマイナスボタン２２０と、プレビュー画像の表示倍率を連続的に調整するためのスライダ２１８とを含む。
【００８１】
プラスボタン２１６をタッチする、又はスライダ２１８をプラスボタン２１６側へジェスチャー操作（スライド）すると、プレビュー画像が拡大して表示される。プレビュー領域に表示されたプレビュー画像をジェスチャー操作（例えば、プレビュー画像に対して指先をピンチアウト（ピンチオープン））しても、プレビュー画像が拡大して表示される。
【００８２】
ズームバー領域２１４のマイナスボタン２２０をタッチする、又はスライダ２１８をマイナスボタン２２０側へジェスチャー操作（スライド）すると、プレビュー画像が縮小して表示される。プレビュー領域に表示されたプレビュー画像をジェスチャー操作（例えば、プレビュー画像に対して指先をピンチイン（ピンチクローズ））しても、プレビューが縮小して表示される。
【００８３】
なお、プレビュー領域２０４に表示されるプレビュー画像の枚数が多い場合には、タッチ操作可能な表示ページ選択ボタン（ページ番号入力ボタン、ページ送りボタン、ページ戻しボタン、単ページ表示ボタン、複数ページ表示ボタン等）を表示するようにしても構わない。なお、プレビュー画像をジェスチャー操作（例えば、フリック）してもプレビュー画像のページ送り、ページ戻しを行なうことができる。また、プレビュー領域２０４に表示されるプレビュー画像が大きい場合には、タッチ操作又はジェスチャー操作可能なスクロールバーを表示するようにしても構わない。
【００８４】
アクションパネル領域２０６には、操作についての補助・助言・提案についての情報が表示される。このアクションパネル領域２０６には、例えば、あるユーザが特定の機能を選択すると、その機能に関連する機能を表示したり、目的指向でその機能についての他の機能を表示したり、このユーザ又はこのユーザが所属するグループのユーザが過去に組合せて選択した機能を「おすすめ機能」として表示したりする。
【００８５】
タスクトリガー領域２０８には、特定の動作モードにおいて全ての設定が完了して、画像処理装置１００を実際に動作させるためにユーザにより操作されるトリガーボタンが表示される。本実施の形態では、タスクトリガー領域２０８は、原稿の白黒コピーを開始させるモノクロコピーボタン２７０と、カラーコピーを開始させるカラーコピーボタン２７２と、原稿を一旦スキャンし、画像として画像処理装置１００に取込む処理を開始させるスキャンインボタン２７４と、設定をすべてクリアするためのクリアオールボタン２７６とを含む。
【００８６】
この場合において、トリガーされるジョブが開始できる状態の場合にのみ、そのジョブのトリガーとなるスタートボタンを表示することも好ましい。ジョブが開始できる状態とは、印字を伴う動作モードの場合には、全ての設定が終了し、かつ消耗品（記録用紙及びトナー）切れでない状態である。印字を伴わない動作モードであるファクシミリモード（送信）の場合には、ジョブが開始できる状態とは、宛先を含む全ての送信パラメータの設定が終了した状態である。
【００８７】
これら５つの領域が配置される位置は、動作モードが変更されても（どの動作モードの初期画面においても）、変更されない。アイコンモード／レギュラーモード／エキスプレスモードを切換えた場合、タッチパネルディスプレイ１３０の画面横方向（長手方向）に、機能選択領域２０２及びプレビュー領域２０４が伸縮する。
【００８８】
これら５つの領域の配置は、従来機におけるユーザインターフェイスをも考慮しつつ、ユーザの視点の動線及び操作の動線に着目して配置されている。このような配置により、タッチパネルディスプレイ１３０において、左上から右下へユーザの視線が動いて、左上から右下へユーザの操作（利き手の指先）が動く。これにより、ユーザフレンドリーな操作が可能という効果を得ることができる。
【００８９】
なお、ある動作モードから他の動作モードへ遷移するためには、操作キー部１４０に配置されたホームキー（図示せず）を押下する。ファクスも含めて動作モードが選択可能なホーム画面が表示される。このホーム画面において他の動作モードを選択できる。
【００９０】
このように、この画像処理装置１００においては、ユーザの視点の動線及び操作の動線に着目して、情報を表示するタッチパネルディスプレイ１３０を備える。このタッチパネルディスプレイ１３０において、プレビュー領域２０４の表示モードには複数種類があり、スキャンの進行状況又は／及び原稿の重要度合いに応じてこれらの表示モードを切換えて、ユーザに適切にプレビュー情報を伝達する。
【００９１】
図４は、スキャン実行中のタッチパネルディスプレイ１３０の表示状態を示す。図４を参照して、複数枚の原稿を読取中には、プレビュー領域２０４の右側部分に、読取中の原稿の１枚前の既に読取られた原稿のプレビュー画像（最初の原稿の読取中にはダミー画像）２８０が表示される。１ページ分の原稿の読取りが完了すると、プレビュー画像２８０が左側に移動するアニメーションが表示され、原稿がスタックされた（積み重ねられた）状態を示すプレビュー画像２８２が表示される。原稿の読取が完了してからプレビュー画像を生成するまでには若干の時間がかかるので、タッチパネルディスプレイ１３０に表示されるプレビュー画像は、実際の読取完了よりやや時間遅れのあるタイミングで表示される。本実施の形態では、原稿の読取時、印刷等に用いられる高解像度の画像と、プレビュー表示に使用される低解像度の画像との双方が生成される。
【００９２】
図５に、スキャンインが完了したときのタッチパネルディスプレイ１３０の表示画面を示す。図５の表示形式はフィット・トゥー・スクリーンと呼ぶ。フィット・トゥー・スクリーンでは、プレビュー領域２０４にできるだけ大きく原稿のプレビュー画像２８４が表示されるよう、プレビュー画像のサイズが調整される。フィット・トゥー・スクリーンで最初に表示されるプレビュー画像は、低解像度の画像から生成される。
【００９３】
例えば、ズームバー領域２１４を操作して、プレビュー画像の拡大縮小が行なわれる場合、本実施の形態では、一旦低解像度画像から中解像度画像（高解像度及び低解像度の中間の解像度の画像）を生成し、中解像度画像の拡大縮小を行なう。中解像度画像を拡大縮小するので、最終的に得られる画像は、低解像度画像から得られるものと比較して仕上りイメージに近く、ユーザは操作の結果を正しく認識できる。しかしこの場合、中解像度画像を生成し、その中解像度画像に対する拡大縮小処理を行なうまでは最終のプレビュー画像を表示することができない。したがって、ユーザから見るとレスポンスが悪いことになり、画像処理装置１００の操作性が低くなる。そこで本実施の形態では、中解像度の画像に対する拡大縮小処理を行なうのと並行して、低解像度画像に対する拡大縮小処理を行なってその結果をプレビュー画像として先に表示する。中解像度画像に対する拡大縮小処理が完了すると同時に、その結果得られたプレビュー画像を画面上で低解像度画像から得られたプレビュー画像と差替える。低解像度画像に対する拡大縮小処理は、中解像度画像に対する処理よりも短い時間で完了させることが可能である。したがって、このような表示をすることにより、ユーザには、拡大縮小の結果が早く提示される上、最終的には中解像度画像から得られたプレビューに置き換えられるので、処理も高速で、かつ画質も高く保った形で拡大縮小後のプレビューを確認できる。
【００９４】
図６に、集約機能の一例としていわゆる２ｉｎ１印刷を行なうときのプレビュー表示を示す。図６を参照して、２ｉｎ１印刷では、プレビュー領域２０４に、印刷イメージと同じようにページ画像２８６及び２８８を並べたプレビュー画像を生成して表示する。これら集約印刷に関するプレビュー画像の場合、低解像度の画像から生成しても高解像度の画像から生成してもその画質は変わらない。したがって、このような場合には、計算量が少なくて済む低解像度の画像からプレビュー画像を生成する。
【００９５】
このように本実施の形態では、原稿読取時に高解像度の画像と低解像度の画像との双方を生成する。読取完了時には、低解像度の画像からプレビュー画像を生成して表示する。その後、ユーザが読取った画像を編集（拡大縮小を含む）する場合、低解像度又は高解像度の画像から中間の解像度の画像を生成し、これを用いてプレビュー画像を生成して表示する。例えば、拡大率を変更した場合、原稿の種別に応じて、高解像度画像又は低解像度画像から中解像度画像を生成し、低解像度の画像に対する拡大縮小と中解像度の画像に対する拡大縮小とを並列的に実行する。低解像度画像から得られたプレビュー画像を先に表示し、中解像度画像からプレビュー画像が得られた時点で、プレビュー画像を差替える。
【００９６】
以下、画像処理装置１００におけるプレビュー表示に関する画像処理について説明する。
【００９７】
図７は、画像処理装置１００のうち、プレビュー表示に関連した表示画像処理を担う機能部分のみを抽出して表示画像処理部３１０として示したものである。図７を参照して、表示画像処理部３１０は、低解像度画像生成部３４０、中解像度画像生成部３４２、中高解像度画像生成部３４４、画像加工部３５０、出力処理部３５２、プレビュー画像生成部３５４、制御部３８０、セレクタ３８４、表示処理部３８６、タッチパネル１３４、及びＨＤＤ１７２を含む。プレビュー画像生成部３５４は、低解像度プレビュー画像生成部３５６、中解像度プレビュー画像生成部３５８、及び中高解像度プレビュー画像生成部３６０を含む。図７に示した各部（ＨＤＤ１７２、タッチパネル１３４を除く）の機能は、例えば、図３のマルチコアＣＰＵ１７０によって実現される機能である。しかし、一部の機能をハードウェア（例えば、ＡＳＩＣ）によって実現することも可能である。
【００９８】
低解像度画像生成部３４０は、原稿読取部１０２により読取られた高解像度画像３２０から低解像度画像３２２を生成する。中解像度画像生成部３４２は、高解像度画像３２０又は低解像度画像３２２から中解像度画像３２４を生成する。中高解像度画像生成部３４４は、高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６を生成する。特定の解像度の画像から異なる解像度の画像を生成する処理には、周知の画像処理を使用することができる。例えば、補間処理を使用すればよい。
【００９９】
画像加工部３５０は、高解像度画像３２０に対して指定された画像処理を実行して出力画像を生成し、出力処理部３５２に入力する。出力処理部３５２は、入力された画像データを用いて画像形成に必要な処理を行なう。
【０１００】
プレビュー画像生成部３５４は、制御部３８０の制御を受けて、低解像度画像３２２、中解像度画像３２４、又は中高解像度画像３２６に対して所定の画像処理（例えば拡大縮小処理）を実行し、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、又は中高解像度プレビュー画像３６６を生成する。具体的には、低解像度プレビュー画像生成部３５６が、低解像度画像３２２から低解像度プレビュー画像３６２を生成する。中解像度プレビュー画像生成部３５８が、中解像度画像３２４から中解像度プレビュー画像３６４を生成する。中高解像度プレビュー画像生成部３６０が、中高解像度画像３２６から中高解像度プレビュー画像３６６を生成する。中解像度プレビュー画像生成部３５８、中高解像度プレビュー画像生成部３６０は、プレビュー画像の生成が完了すれば、処理完了信号を制御部３８０に出力する。
【０１０１】
セレクタ３８４は、制御部３８０によって制御され、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、及び中高解像度プレビュー画像３６６のうちの１つを選択して、表示処理部３８６に出力する。表示処理部３８６は、入力された画像データに対して表示パネル１３２に表示するための処理を行なう。
【０１０２】
制御部３８０は、マルチコアＣＰＵ１７０に対応し、プレビュー画像に対して所定の画像処理（例えば拡大縮小処理）がタッチパネル１３４により指定されたことに応答して、中解像度画像生成部３４２、中高解像度画像生成部３４４、プレビュー画像生成部３５４、セレクタ３８４を制御する。
【０１０３】
高解像度画像３２０、低解像度画像３２２、中解像度画像３２４、中高解像度画像３２６、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、及び中高解像度プレビュー画像３６６はいずれもＨＤＤ１７２に記憶される。なお、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４及び中高解像度プレビュー画像３６６は一時的にＨＤＤ１７２に記憶されるが、これらは、プレビュー表示中の原稿に対する処理が終了して別のページのプレビュー表示に画面が遷移したとき、プレビュー画面が閉じられるときなどに削除される。
【０１０４】
［プログラムの制御構造］
画像処理装置１００において、コピー又はファクスに関係する機能部分のうち、原稿をスキャンして処理する機能部分は、図３に示すマルチコアＣＰＵ１７０により実行されるコンピュータプログラムと、マルチコアＣＰＵ１７０、ＨＤＤ１７２、ＲＡＭ１７８、操作ユニット１２０等のハードウェアとの協働により実現される。このコンピュータプログラムの制御構造について、以下説明する。
【０１０５】
画像処理装置１００においてコピー又はファクスに関し、原稿をスキャンして印刷又は送信する機能を実現するためのプログラムは、ホーム画面においてコピー又はファクスに関係する機能が選択され、図４に示すモノクロコピーボタン２７０、カラーコピーボタン２７２又はスキャンインボタン２７４が押されたことにより起動する。なお、図４ではコピーのときの画面を示しているが、ファクス送信のときにもこの画面と同様の画面が表示される。最終的に画像処理装置１００により記録用紙上に原稿が印刷されるのか、送信先に画像がファクス送信されるのか、という違いがあるだけである。
【０１０６】
なお、画像処理は全てマルチコアＣＰＵ１７０が実行することが可能であるが、一部の機能をＡＳＩＣなどのハードウェアで実現することも可能である。したがって、以下の説明においては、適宜、図７の機能ブロックを引用して説明する。以下、マルチコアＣＰＵを、単にＣＰＵとも記載する。
【０１０７】
図８を参照して、このプログラムは、ステップ４００において、ＣＰＵ１７０が原稿読取部１０２を制御して高解像度（６００ｄｐｉ）で原稿の画像を読取る。読取られた画像データはＲＡＭ１７８に記憶される。
【０１０８】
ステップ４０２において、低解像度画像生成部３４０は、ＲＡＭ１７８上に記憶された高解像度の画像データに対して公知の画像処理を行ない、低解像度（７５ｄｐｉ）の画像データを生成し、ＲＡＭ１７８に記憶する。
【０１０９】
ステップ４０４において、ＣＰＵ１７０は、ＲＡＭ１７８上の高解像度及び低解像度の画像を、それぞれ高解像度画像３２０及び低解像度画像３２２としてＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１１０】
ステップ４０６において、ＣＰＵ１７０は、押されたボタンに応じて、プレビュー表示が必要か否かを判定する。プレビュー表示が必要と判定した場合、ステップ４０８に移行し、そうでなければ、ステップ４１４に移行する。例えば、スキャンインボタン２７４が押された場合、プレビュー表示が必要と判定される。単なるコピー又はファクス送信の場合、プレビュー表示が必要とは判定されない。
【０１１１】
ステップ４０８において、ＣＰＵ１７０は、プレビュー画像生成部３５４を制御して、低解像度画像３２２から低解像度プレビュー画像３６２を生成し、ＨＤＤ１７２に記憶する。ここでは、低解像度画像は７５ｄｐｉ（原稿１ページ全体をリアルに表示するのに適した解像度）の画像であり、そのままプレビュー画像として使用できるので、図７に示したように、低解像度画像３２２に対して何もしない。即ち、低解像度画像３２２を低解像度プレビュー画像３６２として扱う、又は、低解像度画像３２２をコピーして低解像度プレビュー画像３６２を生成する。低解像度画像が７５ｄｐｉと異なる場合には、低解像度画像３２２を、低解像度プレビュー画像生成部３５６に入力して、低解像度プレビュー画像３６２を生成してもよい。
【０１１２】
ステップ４１０において、ＣＰＵ１７０は、セレクタ３８４を制御し、低解像度プレビュー画像３６２を表示処理部３８６に出力する。表示処理部３８６は、入力される低解像度プレビュー画像３６２を用いて、タッチパネルディスプレイ１３０に表示する画面データを生成する。これによって、タッチパネルディスプレイ１３０に、図４に示すような画面が表示される。例えば、表示処理部３８６は、画像メモリ（ＲＡＭ１７８の一部）上に、図４に示した画面に対応する画像データ（プレビュー領域２０４の画像２８０、２８２を除く）を生成し、そのプレビュー領域２０４にセレクタ３８４から入力されたプレビュー画像を合成して、タッチパネルディスプレイ１３０に表示する画面データを生成する。生成された画像データはビデオドライバによってタッチパネルディスプレイ１３０の表示パネル１３２に表示される。
【０１１３】
ステップ４１２において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによって拡大縮小処理が指定されたか否かを判定する。拡大縮小処理が指定されたと判定した場合、ステップ４１４に移行して、後述する拡大縮小処理を実行する。そうでなければ、ステップ４１６に移行する。
【０１１４】
ステップ４１６において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによって他の処理が指定されたか否かを判定する。他の処理が指定されたと判定した場合、ステップ４１８に移行して、後述する他の処理を実行する。そうでなければ、ステップ４２０に移行する。
【０１１５】
ステップ４２０において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによってファクス送信が選択されたか否かを判定する。ファクス送信が選択されたと判定した場合、ステップ４２２に移行する。ステップ４２２において、画像加工部３５０が、高解像度画像３２０に対して、所定の画像処理を行なった後に、指定された番号のファクス送受信機に送信し、処理を終了する。具体的には、画像加工部３５０が、高解像度画像３２０に対してユーザによって設定された画像処理（例えば拡大縮小処理）を実行し、処理後結果を出力処理部３５２に出力する。出力処理部３５２は、入力された画像データを、ＦＡＸ通信部を介して公衆回線に送信するために必要な処理を行なう。ステップ４２０において、ファクス送信が選択されていないと判定した場合、ステップ４２４に移行する。
【０１１６】
ステップ４２４において、ＣＰＵ１７０は、ユーザによって選択された機能が画像印刷（記録紙上への画像形成）か否かを判定する。画像印刷が選択されたと判定した場合、ステップ４２６に移行する。ステップ４２６において、高解像度画像３２０に対して、設定にしたがった画像処理を行なった後、画像形成部１０４（図３参照）により画像形成を行なって処理を終了する。具体的には、画像加工部３５０が、高解像度画像３２０に対して画像処理を実行し、処理結果を出力処理部３５２に出力する。出力処理部３５２は、入力された画像データを、画像形成部１０４に入力し、これによって画像が記録紙に印刷される。ステップ４２４において、画像印刷が選択されていないと判定した場合、ステップ４１２に戻る。
【０１１７】
このように、ステップ４１２、ステップ４１６、ステップ４２０及びステップ４２４によって、ユーザによる指定を待ち受けて、プレビュー画像に対して何らかの処理が指定された場合、ステップ４１４又はステップ４１８の処理を実行する。その後、ファクス送信又は印刷が選択された場合に、対応する処理を実行する。
【０１１８】
以下に、拡大縮小処理が指定された場合に実行されるステップ４１４の処理を具体的に説明する。図９を参照して、ステップ５００において、ＣＰＵ１７０は、低解像度画像３２２の拡大縮小処理を実行するプログラムを起動する。ＣＰＵ１７０は、複数のプログラムを同時に実行できるので、本プログラムと並行して、低解像度画像３２２の拡大縮小処理を実行することができる。低解像度画像３２２の拡大縮小処理は、具体的には、低解像度プレビュー画像生成部３５６が、ＨＤＤから読出した低解像度画像３２２を、ステップ４１２で指定された倍率で拡大（倍率が１より大きい場合拡大、倍率が１より小さい場合縮小）し、処理結果を低解像度プレビュー画像３６２としてＨＤＤに記憶する。拡大縮小処理には、公知の画像処理を使用すればよい。例えば、補間処理を使用すればよい。
【０１１９】
ステップ５０２において、ＣＰＵ１７０は、処理対象がカラー画像であるか否かを判定する。カラー画像であると判定した場合、ステップ５２６に移行し、そうでなければ、ステップ５０４に移行する。
【０１２０】
ステップ５０４において、ＣＰＵ１７０は、処理対象の画像の原稿種別情報を自動的に求めるか否かを判定する。例えば、タッチパネルディスプレイに図１１に示すような部分画面（ウィンドウ）を表示して、ユーザの操作を待ち受ける。図１１の画面上で、ユーザが自動ボタン７００を押せば、ステップ５０６に移行する。ユーザが、手動設定領域７０２に表示されている文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、及び、淡い原稿のうちの１つのボタンを押せば、ステップ５０８に移行する。
【０１２１】
原稿種別情報とは、原稿の全体又は所定領域の種類を、例えば文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、淡い原稿に分類するための情報である。原稿種別が「文字」である原稿とは、文字のみを含む原稿を意味する。「印刷写真」、「印画紙写真」、「地図」である原稿とは、それぞれ印刷写真、印画紙写真、地図のみを含む原稿を意味する。原稿種別が「淡い原稿」である原稿とは、色が比較的薄い原稿を意味する。「文字／印刷写真」である原稿とは、文字及び印刷写真を含む原稿を意味する。同様に、「文字／印画紙写真」である原稿とは、文字及び印画紙写真を含む原稿を意味する。
【０１２２】
原稿読取時には、有効領域部分を画素毎に処理して、その画素が属する原稿の種類（文字、印刷写真、印画紙写真など）を決定し、処理結果を画素と対応させてＨＤＤ１７２に記憶する。画素毎の処理は、例えば、注目画素とその周囲の画素を用いて、特徴量を求める処理である。文字、印刷写真、印画紙写真などには、それぞれ、カラー分布、輝度分布などに特徴がある。したがって、例えば、ＣＭＹにカラー分離した画像について、注目画素を含む局所領域内における濃度分布、濃度勾配、濃度勾配の方向などを求め、その結果に応じて注目画素に、原稿種別に対応する数値（以下「画素種別情報」という）を割り当てる。このようにして、原稿読取時に、原稿に対応する画像の画素種別情報が求められるので、これを用いて、後述するように原稿種別情報を求める。例えば、画素種別情報には、原稿種別毎（例えば、文字、印刷写真、印画紙写真、地図、淡い原稿）に予め定められた離散的な値（所定ビット数の値）を用いることができる。
【０１２３】
ステップ５０６において、ＣＰＵ１７０は、原稿読取時に求められた画素種別情報を用いて原稿種別情報を決定する。具体的には、画像全体の画素種別情報に対して所定の処理を実行して、その結果に応じて原稿種別情報を決定する。例えば、画像全体について画素種別情報の平均値を求める、最頻値を求めるなどによって、画像全体に対して１つの値を決定し、決定された値から画像全体に関する原稿種別情報を決定する。最頻値を求める場合には得られた値が直接原稿種別情報に対応するが、平均値を求める場合には、平均値をしきい値処理して、原稿種別情報を決定することができる。原稿種別毎に予め定められた離散的な数値が割り当てられている場合、しきい値には、原稿種別毎に予め設定された上限値及び下限値を用いることができる。しきい値は、画像処理装置の出荷時に予め設定されている値であっても、出荷後に設定及び調節される値であってもよい。
【０１２４】
ステップ５０８において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５０４で押されたボタンに対応する原稿種別情報を決定する。そのためには、例えば、図１０に示した文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、及び、淡い原稿のそれぞれに、所定の原稿種別情報が割り当てられていればよい。
【０１２５】
ステップ５１０において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５０６又はステップ５０８で決定された原稿種別情報が、写真系に該当するか否かを判定する。写真系とは、例えば、印刷写真、印画紙写真、及び、淡い原稿を意味する。したがって、これらに対応する原稿種別情報の何れかに、ステップ５０６又はステップ５０８で決定された原稿種別情報が該当するか否かを判定すればよい。写真系であると判定した場合、ステップ５１２に移行し、そうでなければ、ステップ５１４に移行する。
【０１２６】
ステップ５１２において、ＣＰＵ１７０は、高解像度画像３２０から中解像度画像３２４を生成する。ステップ５１４において、ＣＰＵ１７０は、低解像度画像３２２から中解像度画像３２４を生成する。具体的には、ステップ５１２では、中解像度画像生成部３４２がＣＰＵ１７０によって制御され、高解像度画像３２０をＨＤＤ１７２から読出し、その画像よりも解像度の低い画像を生成（例えば、６００ｄｐｉから１５０ｄｐｉの画像を生成）して、中解像度画像３２４としてＨＤＤ１７２に記憶する。ステップ５１４では、中解像度画像生成部３４２がＣＰＵ１７０によって制御され、低解像度画像３２２をＨＤＤ１７２から読出し、その画像よりも解像度の高い画像を生成（例えば、７５ｄｐｉから１５０ｄｐｉの画像を生成）して、中解像度画像３２４としてＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１２７】
ステップ５１６において、ＣＰＵ１７０は、中解像度画像３２４から拡大縮小されたプレビュー画像を生成するプログラムを起動する。このプログラムは、中解像度プレビュー画像生成部３５８によって、中解像度画像３２４を、指定された倍率で拡大処理し、生成された画像を中解像度プレビュー画像３６４としてＨＤＤ１７２に記憶する処理を実現する。これによって、本プログラムと並行して、低解像度画像３２２の拡大縮小処理のプログラム、及び、中解像度画像３２４の拡大縮小処理のプログラムが実行される。
【０１２８】
一方、ステップ５０２においてカラー画像であると判定した場合、ステップ５２６において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像（３００ｄｐｉ）で仕上りを確認すべきか否かを判定する。中高解像度画像で仕上りを確認すべきと判定した場合、ステップ５２８に移行する。そうでなければ、ステップ５０４に移行して、上記したステップ５０４以降の処理を実行する。中高解像度画像で仕上りを確認すべき場合とは、例えば、拡大率が所定値以上の場合である。大きく拡大する場合、より解像度の高い画像を使用する方がより適切に仕上りイメージを表示できるプレビュー画像を生成することができる。
【０１２９】
ステップ５２８において、ＣＰＵ１７０は、高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６を生成する。具体的には、中高解像度画像生成部３４４がＣＰＵ１７０によって制御され、高解像度画像３２０をＨＤＤ１７２から読出し、高解像度と中解像度との間の解像度の画像を生成（例えば、３００ｄｐｉの画像を生成）して、中高解像度画像３２６としてＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１３０】
ステップ５３０において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像３２６から拡大縮小されたプレビュー画像を生成するプログラムを起動する。このプログラムは、中高解像度プレビュー画像生成部３６０によって、中高解像度画像３２６を指定された倍率で拡大処理し、生成された画像を中高解像度プレビュー画像３６６としてＨＤＤ１７２に記憶する処理を実現する。これによって、本プログラムと並行して、低解像度画像３２２の拡大縮小処理のプログラム、及び、中高解像度画像３２６の拡大縮小処理のプログラムが実行される。
【０１３１】
ステップ５１８において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５００で起動したプログラムが終了し、低解像度プレビュー画像３６２が生成されたか否かを繰り返し判定する。具体的には、制御部３８０が、低解像度プレビュー画像生成部３５６から出力される処理完了信号を受信したか否かによって判定する。低解像度プレビュー画像３６２が生成されたと判定した場合、ステップ５２０に移行する。
【０１３２】
ステップ５２０において、ＣＰＵ１７０は、低解像度プレビュー画像３６２をタッチパネルディスプレイ１３０に表示する。具体的には、セレクタ３８４がＣＰＵ１７０によって制御され、低解像度プレビュー画像３６２を表示処理部３８６に出力する。これによって、上記したように、プレビュー領域２０４に、拡大縮小されたプレビュー画像が表示される。この画像は、低解像度画像３２２を拡大縮小して得られた画像であり、画質は低い。
【０１３３】
ステップ５２２において、ＣＰＵ１７０は、ステップ５１６又はステップ５３０で起動したプログラムが終了したか否かを繰り返し判定する。具体的には、制御部３８０が、中解像度プレビュー画像生成部３５８又は中高解像度プレビュー画像生成部３６０から出力される処理完了信号を受信したか否かによって判定する。終了したと判定した場合、ステップ５２４に移行する。このとき、中解像度プレビュー画像３６４又は中高解像度プレビュー画像３６６の生成が完了している。
【０１３４】
ステップ５２４において、ＣＰＵ１７０は、中解像度プレビュー画像３６４又は中高解像度プレビュー画像３６６をタッチパネルディスプレイ１３０に表示した後、復帰する。具体的には、セレクタ３８４がＣＰＵ１７０によって制御され、中解像度プレビュー画像３６４又は中高解像度プレビュー画像３６６を表示処理部３８６に出力する。これによって、上記したように、プレビュー領域２０４に、拡大縮小されたプレビュー画像が表示される。表示されるプレビュー画像は、中解像度画像３２４又は中高解像度画像３２６を拡大縮小して得られたプレビュー画像であり、低解像度画像３２２を拡大縮小して生成されたプレビュー画像よりも高画質である。特に、ステップ５３０が実行されて高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６が生成され、これを拡大縮小した場合、より高画質のプレビュー画像が表示される。
【０１３５】
以上によって、拡大縮小処理が指定された場合、速やかに低解像度画像を拡大縮小したプレビュー画像が表示された後、より画質の高いプレビュー画像が表示される。
【０１３６】
原稿種別と、プレビュー画像を生成するときに使用される元画像との対応の一例を表１に示す。表１の場合、原稿が、印刷写真、印画紙写真、又は淡い原稿の場合、高解像度画像から中解像度画像を生成し、これを拡大縮小してプレビュー画像が生成される。それ以外の原稿の場合、低解像度画像から中解像度画像を生成し、これを拡大縮小してプレビュー画像が生成される。
【０１３７】
【表１】
【０１３８】
次に、他の処理が指定された場合に実行されるステップ４１８の処理を具体的に説明する。図１０を参照して、ステップ６００において、ＣＰＵ１７０は、カラー関係処理であるか否かを判定する。カラー関係処理であると判定した場合、ステップ６０２に移行し、そうでなければ、ステップ６１２に移行する。カラー関係処理とは、例えばカラー調整（ＲＧＢ又はＣＭＹでのガンマ補正など）、カラー階調数の増減（２色カラー化など）などである。
【０１３９】
ステップ６０２において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像３２６がＨＤＤ１７２に存在するか否かを判定する。例えば、図９のステップ５２８の処理が一度実行された場合、中高解像度画像３２６がＨＤＤ１７２に記憶されている。中高解像度画像３２６が存在すると判定した場合、ステップ６０６に移行し、そうでなければ、ステップ６０４に移行する。
【０１４０】
ステップ６０４において、ＣＰＵ１７０は、中高解像度画像で仕上りを確認すべきか否かを判定する。例えば、中高解像度画像で仕上りを確認するか否かを画面に表示して、ユーザに選択させる。中高解像度画像で仕上りを確認すべきと判定した場合、ステップ５２８に移行して、高解像度画像３２０から中高解像度画像３２６を生成する。そうでなければ、ステップ６１０に移行する。
【０１４１】
ステップ６０６において、ＣＰＵ１７０は、既存の中高解像度画像又はステップ５２８で生成された中高解像度画像に対して、指定された画像編集処理を実行し、その結果の画像をＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１４２】
中高解像度画像で仕上りを確認する必要がない場合、ステップ６１０において、ＣＰＵ１７０は、低解像度画像３２２に対して指定された処理を実行して、その結果をＨＤＤ１７２に記憶する。
【０１４３】
ステップ５０２において、カラー関係処理であると判定されなかった場合、ステップ６１２に移行し、ステップ６１２において、ユーザにより選択された機能が、拡大縮小処理以外の画像編集に関係する処理であるか否かを判定する。画像編集に関係する処理であると判定した場合、ステップ６１４に移行し、そうでなければ、ステップ６１８に移行する。
【０１４４】
ステップ６１４において、ＣＰＵ１７０は、中解像度画像３２４がＨＤＤ１７２に存在するか否かを判定する。例えば、図９のステップ５１２が一度実行された場合、中解像度画像３２４がＨＤＤ１７２に存在する。中解像度画像３２４が存在すると判定した場合、ステップ６１６に移行し、ステップ６１６において、ＣＰＵ１７０は、中解像度画像３２４に対して指定された処理を実行して、その結果をＨＤＤ１７２に記憶する。そうでなければ、ステップ６１０に移行し、ＣＰＵ１７０は、上記したステップ６１０の処理を実行する。
【０１４５】
ステップ６１８において、セレクタ３８４はＣＰＵ１７０の制御を受けて、ステップ６０４、ステップ６１０又はステップ６１６で生成された画像をＨＤＤ１７２から読出し、表示処理部３８６に出力する。これによって、画像編集後の画像がプレビュー画像としてタッチパネルディスプレイ１３０に表示される。
【０１４６】
以上によって、処理効率を低下することなく、指定された画像編集処理（拡大縮小以外）において、画質処理の重要度に応じたプレビュー画像が生成されて表示される。画質が重要となるカラー関係の処理が指定された場合には、ステップ６０６によって、中高解像度画像３２６に対して画像編集が実行される。画質が重要でない画像編集の場合には、ステップ６１０によって、低解像度画像３２２に対して画像編集が実行される。但し、カラー処理であっても、画質がそれほど重要では無く、かつ、中高解像度画像がＨＤＤ１７２に無い場合には、処理速度を優先して、低解像度画像３２２に対して画像編集が実行される。また、画質が重要でない画像編集の場合であっても、中解像度画像がＨＤＤ１７２に存在する場合には、中解像度画像に対して画像編集が実行される。
【０１４７】
ステップ６２０において、ＣＰＵ１７０は、ユーザからプレビュー表示を終了する指示を受けたか否かを判定する。プレビュー表示を終了する指示を受けたと判定した場合、ステップ６２２において、一時的に生成された画像、即ち低解像度画像３２２、中解像度画像３２４、中高解像度画像３２６、低解像度プレビュー画像３６２、中解像度プレビュー画像３６４、及び中高解像度プレビュー画像３６６をＨＤＤ１７２から削除して復帰し、図８のステップ４２０に移行する。そうでなければ、何もせずに復帰し、図８のステップ４２０に移行する。
【０１４８】
［変形例］
上記の実施の形態では、ステップ４００、ステップ５１６、ステップ５３２においては、低解像度画像、中解像度画像、中高解像度画像の拡大縮小処理のプログラムを起動し、これらの処理が並列して実行される。これは、画像処理装置１００がマルチコアＣＰＵ１７０を採用しているために可能となっている。また、ＣＰＵが演算処理部を１つしか持たない場合であっても、拡大縮小処理を行なうハードウェア（例えばＡＳＩＣ）を複数備えていれば、同様に並列処理が可能である。しかし、並列処理ができない場合には、低解像度画像に対して拡大縮小をし、処理後の画像を表示した後に、中解像度画像又は中高解像度画像を生成し拡大縮小をしてその結果を表示するようにすればよい。
【０１４９】
上記の実施の形態では、プレビュー画像全体を拡大縮小する場合を説明したが、プレビュー画像の一部に対して拡大縮小を指定することもできる。その場合には、対象とされた領域内の画素の画素種別情報を用いて、上記と同様にその領域の原稿種別情報を決定して、決定された原稿種別情報を用いて、上記と同様に中解像度画像を生成して拡大縮小すればよい。
【０１５０】
上記の実施の形態では、プレビューの拡大縮小の指示があったときに中解像度画像を生成している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、表示態様の変更が指示された場合、又は、明示的に拡大縮小の処理が指定されないが、その後の段階で必ず拡大縮小が行なわれるような動作モードが選択された場合には、指示又は選択されたときに中解像度画像の生成を開始するようにしてもよい。そうした動作モードとしては、例えば、画像のトリミング、マスキング、エリア内外消去、部分領域の移動又はコピー等、一般的に画像内で座標を指定して何らかの処理を行なうような動作モードがある。中解像度画像を生成するか否かを、ユーザが設定できるようにしても良い。また、中解像度画像を生成する指示を、予めユーザが特定してもよい。
【０１５１】
上記の実施の形態では、ユーザが、拡大縮小の倍率を繰返し変更してプレビュー画像をして、仕上りを確認する場合（図８のステップ４２４からステップ４１２に戻る）、中解像度画像又は中高解像度画像が生成されるが、既に生成された中解像度画像又は中高解像度画像３２６を使用することが効率的である。そのためには、例えば、ステップ５１２、ステップ５１４、及びステップ５２８において、生成しようとする画像が、ＨＤＤ１７２に存在するか否かを判定し、存在しない場合にのみ生成するようにすればよい。
【０１５２】
また、１つの画像に対して拡大縮小を繰返す間、ユーザによって原稿種別情報が変更されない限り、中解像度画像が存在すればそれを使用すればよい。しかし、同じ画像に対する拡大縮小処理であっても、ユーザによって原稿種別情報が変更された場合（図９のステップ５０８）、中解像度画像が存在していたとしても、それを使用することはできない。したがって、処理対象の原稿種別情報が変更されたか否かを判定する処理を追加し、中解像度画像が存在し、且つ原稿種別情報に変更がない場合には、存在する中解像度画像を使用するようにすればよい。そうでなければ、中解像度画像が存在していても、変更された原稿種別情報に応じて、高解像度画像又は低解像度画像３２２から新たに中解像度画像を生成する。
【０１５３】
また、ステップ５０８で原稿種別の指定を受け付ける場合、自動的に決定された画素種別情報を画面に提示して、指定を受け付けてもよい。
【０１５４】
また、ステップ５０６において、画素種別情報から、指定された領域の原稿種別情報を決定する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、画像読取時に決定された画素種別情報から原稿１ページ全体の原稿種別情報を決定しておき、原稿全体の拡大縮小処理が指定された場合には、ステップ５０６を実行せず、決定済みの原稿種別情報を用いてステップ５１０の判定を実行してもよい。
【０１５５】
また、原稿種別情報を決定する方法は、上記した平均値、最頻値を用いる方法に限定されない。中解像度画像を生成するときに使用される元画像の解像度が、原稿に応じて適切に決定できる方法であればよい。
【０１５６】
また、高解像度、中高解像度、中解像度及び低解像度をそれぞれ、６００ｄｐｉ、３００ｄｐｉ、１５０ｄｐｉ及び７５ｄｐｉとして説明したが、これに限定されない。例えば、原稿読取時の最大解像度を高解像度とし、表示装置の解像度を考慮して低解像度を決定し、高解像度＞中高解像度＞中解像度＞低解像度を満たすように、中高解像度及び中解像度を決定すればよい。
【０１５７】
また、原稿種別は、文字、文字／印刷写真、文字／印画紙写真、印刷写真、印画紙写真、地図、及び、淡い原稿に限定されない。
【０１５８】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【０１５９】
１００ 画像処理装置
１０２ 原稿読取部
１０４ 画像形成部
１２０ 操作ユニット
１３０ タッチパネルディスプレイ
１４０ 操作キー部
１７０ マルチコアＣＰＵ
１７２ ハードディスク（ＨＤＤ）
３１０ 表示画像処理部
３２０ 高解像度画像
３２２ 低解像度画像
３２４ 中解像度画像
３２６ 中高解像度画像
３４０ 低解像度画像生成部
３４２ 中解像度画像生成部
３４４ 中高解像度画像生成部
３５０ 画像加工部
３５２ 出力処理部
３５４ プレビュー画像生成部
３５６ 低解像度プレビュー画像生成部
３５８ 中解像度プレビュー画像生成部
３６０ 中高解像度プレビュー画像生成部
３６２ 低解像度プレビュー画像
３６４ 中解像度プレビュー画像
３６６ 中高解像度プレビュー画像
３８０ 制御部
３８４ セレクタ
３８６ 表示処理部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
プレビュー画像を生成する画像処理装置であって、
第１解像度の画像と、前記第１解像度よりも低い第２解像度の画像と、前記第１解像度よりも高い第３解像度で原稿を読取って生成された第３解像度の画像とを記憶するための画像記憶手段と、
前記第２解像度の前記画像からプレビュー画像を生成して表示装置に表示するためのプレビュー表示手段と、
ユーザによる、前記表示装置に表示されているプレビュー画像に対する拡大縮小指示に応答して、前記第２解像度の前記画像を前記拡大縮小指示にしたがって処理し、処理後の画像を前記表示装置に表示するための第１拡大縮小手段と、
前記拡大縮小指示に応答して、原稿の種別に応じて前記第３解像度の画像又は前記第２解像度の画像から、前記第１解像度の画像を生成し、該第１解像度の画像を前記拡大縮小指示にしたがって処理し、処理により得られた画像を、前記第１拡大縮小手段により表示された前記画像に代えて前記表示装置に表示するための第２拡大縮小手段とを含む、画像処理装置。
【請求項２】
前記表示装置に表示されているプレビュー画像の表示態様を変更する指示、又は、予めユーザにより特定された指示に応答して、前記原稿の種別に応じて、前記第３解像度の画像又は前記第２解像度の画像から、前記第１解像度の画像を生成し、該第１解像度の画像からプレビュー画像を生成する手段をさらに含む、請求項１に記載の画像処理装置。
【請求項３】
前記プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指示がなされた場合、前記第２拡大縮小手段は、
前記所定領域内の画素のうち、文字領域に属する画素の数が、写真領域に属する画素の数よりも多いとき、前記第２解像度の画像から前記第１解像度の画像を生成し、
前記所定領域内の画素のうち、写真領域に属する画素の数が、文字領域に属する画素の数よりも多いとき、前記第３解像度の画像から前記第１解像度の画像を生成する、請求項１又は２に記載の画像処理装置。
【請求項４】
前記第３解像度の画像の画素毎に、原稿の種別に対応する数値を付与する手段と、
前記プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指示がなされた場合、前記所定領域の原稿種別情報を、前記所定領域内の画素に付与された前記数値の平均値又は最頻値から決定する手段とをさらに含み、
前記第２拡大縮小手段は、前記所定領域に対して決定された前記原稿種別情報に応じて、前記第３解像度の画像又は前記第２解像度の画像から、前記第１解像度の画像を生成する、請求項１又は２に記載の画像処理装置。
【請求項５】
前記原稿の種別は、ユーザによって指定される、請求項１又は２に記載の画像処理装置。
【請求項６】
ユーザにより、前記プレビュー画像に対して画質関係の処理が指定された場合、前記第３解像度の画像から、前記第１解像度と前記第３解像度との間の第４解像度の画像を生成する手段と、
前記第４解像度の前記画像に対して、指定された前記画質関係の処理を実行してプレビュー画像を生成する手段とをさらに含む、請求項１から５の何れか１項に記載の画像処理装置。
【請求項７】
前記画質関係の処理は、カラー画像である前記プレビュー画像に対する拡大縮小処理である、請求項６に記載の画像処理装置。
【請求項１】
プレビュー画像を生成する画像処理装置であって、
第１解像度の画像と、前記第１解像度よりも低い第２解像度の画像と、前記第１解像度よりも高い第３解像度で原稿を読取って生成された第３解像度の画像とを記憶するための画像記憶手段と、
前記第２解像度の前記画像からプレビュー画像を生成して表示装置に表示するためのプレビュー表示手段と、
ユーザによる、前記表示装置に表示されているプレビュー画像に対する拡大縮小指示に応答して、前記第２解像度の前記画像を前記拡大縮小指示にしたがって処理し、処理後の画像を前記表示装置に表示するための第１拡大縮小手段と、
前記拡大縮小指示に応答して、原稿の種別に応じて前記第３解像度の画像又は前記第２解像度の画像から、前記第１解像度の画像を生成し、該第１解像度の画像を前記拡大縮小指示にしたがって処理し、処理により得られた画像を、前記第１拡大縮小手段により表示された前記画像に代えて前記表示装置に表示するための第２拡大縮小手段とを含む、画像処理装置。
【請求項２】
前記表示装置に表示されているプレビュー画像の表示態様を変更する指示、又は、予めユーザにより特定された指示に応答して、前記原稿の種別に応じて、前記第３解像度の画像又は前記第２解像度の画像から、前記第１解像度の画像を生成し、該第１解像度の画像からプレビュー画像を生成する手段をさらに含む、請求項１に記載の画像処理装置。
【請求項３】
前記プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指示がなされた場合、前記第２拡大縮小手段は、
前記所定領域内の画素のうち、文字領域に属する画素の数が、写真領域に属する画素の数よりも多いとき、前記第２解像度の画像から前記第１解像度の画像を生成し、
前記所定領域内の画素のうち、写真領域に属する画素の数が、文字領域に属する画素の数よりも多いとき、前記第３解像度の画像から前記第１解像度の画像を生成する、請求項１又は２に記載の画像処理装置。
【請求項４】
前記第３解像度の画像の画素毎に、原稿の種別に対応する数値を付与する手段と、
前記プレビュー画像の所定領域に対する拡大縮小指示がなされた場合、前記所定領域の原稿種別情報を、前記所定領域内の画素に付与された前記数値の平均値又は最頻値から決定する手段とをさらに含み、
前記第２拡大縮小手段は、前記所定領域に対して決定された前記原稿種別情報に応じて、前記第３解像度の画像又は前記第２解像度の画像から、前記第１解像度の画像を生成する、請求項１又は２に記載の画像処理装置。
【請求項５】
前記原稿の種別は、ユーザによって指定される、請求項１又は２に記載の画像処理装置。
【請求項６】
ユーザにより、前記プレビュー画像に対して画質関係の処理が指定された場合、前記第３解像度の画像から、前記第１解像度と前記第３解像度との間の第４解像度の画像を生成する手段と、
前記第４解像度の前記画像に対して、指定された前記画質関係の処理を実行してプレビュー画像を生成する手段とをさらに含む、請求項１から５の何れか１項に記載の画像処理装置。
【請求項７】
前記画質関係の処理は、カラー画像である前記プレビュー画像に対する拡大縮小処理である、請求項６に記載の画像処理装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２０１２−１０５１７１（Ｐ２０１２−１０５１７１Ａ）
【公開日】平成２４年５月３１日（２０１２．５．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２５３５１８（Ｐ２０１０−２５３５１８）
【出願日】平成２２年１１月１２日（２０１０．１１．１２）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年５月３１日（２０１２．５．３１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１１月１２日（２０１０．１１．１２）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
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