説明

画像形成システム

【課題】 操作者が異なっても前にしたのと同一の動作条件で画像を形成すること。
【解決手段】 画像形成システムは、給紙ケースと連続紙プリンタとから構成される。給紙ケースは、記録紙に関する記録紙情報を記憶する非接触型ICメモリが装着される。連続紙プリンタは、給紙ケースが装着されると、非接触型ICメモリからデータを読出し(S03)、データに含まれる記録紙情報に基づき動作条件の第1の部分を決定し(S04)、予め定められた動作条件の第1の部分を、決定された動作条件に変更して第1の動作条件し(S05)、動作条件のうち画像に基づき定まる第2の部分を操作パネルから受付け(S06)、第1の動作条件の第2の部分を、受付けられた動作条件に変更して第2の動作条件とし(S07)、第2の動作条件をメモリに書込み(S09)、画像形成装置を第2の動作条件で動作させるために第2の動作条件を設定する(S08)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成システムに関し、特に、記録紙を収納した給紙カセットと給紙カセットが着脱可能な画像形成装置とから構成される画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタなどの印刷装置では、画像が形成される記録媒体が多様化している。たとえば、用紙に加え、プラスチック製のカードなどに画像形成することが可能となっている。また、用紙であっても、熱に弱い用紙や逆に耐熱性の用紙など材質が異なるものや、材質が同じであっても色が異なるものがある。
【0003】
用紙が多様化すると、プリンタの動作条件が異なってくる。例えば、トナーを用いて画像形成する画像形成装置では、トナーを記録媒体に転写させるためにカードを帯電させる必要がある。しかし、プラスチック製のカードは、紙に比較して電気抵抗が高いために転写電流を高く設定する必要がある。このため、用紙に適合した動作条件を設定することが必要とされる。
【0004】
特開2003−267559号公報(特許文献1)には、シート材供給カセットが装着されると、シート供給カセットの通信・制御部と非接触で通信状態となり、通信・制御部から送信されるシート材情報を受信する情報送受信部と、情報送受信部により通信・制御部から受信したシート材情報に基づいて、画像記録部におけるシート材に対する動作条件を制御する制御手段とを有する画像形成装置が記載されている。
【0005】
しかしながら、特開2003−267559号公報に記載の画像形成装置は、シート材情報に基づいて、画像記録部におけるシート材に対する動作条件を制御するものであるが、動作条件は、シート材情報だけから定まるものではない。例えば、カラーで画像形成するか、モノクロで画像形成するかの別や、解像度の選択などの条件がある。このため、同じ画像を同じ種類の用紙に画像形成したとしても、画像形成装置を操作するユーザが異なれば、画質が異なってしまう。
【特許文献1】特開2003−267559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、操作者が異なっても前にしたのと同一の動作条件で画像を形成することが可能な画像形成システムを提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、未熟な操作者が操作する場合であっても適切な動作条件で画像を形成することが可能な画像形成システムを提供することである。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、画像形成される画像の画質を均一にすることが可能な画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像形成システムは、記録紙が収納された給紙ケースと、給紙ケースが装着された状態で該給紙ケースに収納された記録紙に画像を形成する画像形成装置とから構成される画像形成システムであって、給紙ケースは、収納された記録紙に関する記録紙情報を記憶するメモリが装着されており、画像形成装置は、メモリにアクセスしてデータを読出しまたは書込みするアクセス手段と、給紙ケースが装着されると、アクセス手段を制御してメモリからデータを読出す読出手段と、読出されたデータに含まれる記録紙情報に基づき動作条件の第1の部分を決定する決定手段と、予め定められた動作条件のうち第1の部分を、決定手段により決定された動作条件に変更して第1の動作条件とする第1の変更手段と、動作条件のうち画像形成する画像に基づき定まる第2の部分を外部から受付ける受付手段と、第1の動作条件のうち第2の部分を、受付手段により受付けられた動作条件に変更して第2の動作条件とする第2の変更手段と、アクセス手段を制御して、第2の動作条件をメモリに書込む書込手段と、画像形成装置を第2の動作条件で動作させるために第2の動作条件を設定する動作条件設定手段とを含む。
【0010】
この発明に従えば、給紙ケースが装着されると、給紙ケースに装着されたメモリから記録紙情報が読出された場合には、記録紙情報に基づき動作条件の第1の部分を決定し、予め定められた動作条件を、その第1の部分を決定された動作条件に変更した第1の動作条件とする。そして、動作条件のうち画像形成する画像に基づき定まる第2の部分が外部から受付けられると、動作条件の第2の部分が受付けられた動作条件に変更されて、メモリに書込まれ、設定される。このため、動作条件のうち記録紙に関する記録情報で定まる動作条件に変更されるのに加えて、画像に基づき定まる動作条件に変更される。その結果、操作者が異なっても前にしたのと同一の動作条件で画像形成することが可能な画像形成システムを提供することができる。特に、未熟な操作者が操作する場合であっても適切な動作条件で画像が形成されるので、画像形成される画像の画質を均一にすることが可能な画像形成システムを提供することができる。
【0011】
好ましくは、動作条件設定手段は、読出手段により読出されたデータに第2の動作条件が含まれる場合に、画像形成装置を第2の動作条件で動作させるために、読出された第2の動作条件を設定する。
【0012】
この発明に従えば、給紙ケースを装着するだけで動作条件が設定される。このため、操作者が異なっても前にしたのと同一の動作条件で画像形成することが可能となる。
【0013】
好ましくは、給紙ケースは、メモリに接続された第1の通信手段を備え、画像形成装置のアクセス手段は、第1の通信手段と無線により通信するための第2の通信手段を含む。
【0014】
この発明に従えば、画像形成装置は、無線通信により、給紙ケースに装着されたメモリからデータを読出し、またはメモリへデータを書込みするので、給紙ケースの装着部分を簡単な構成にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける連続紙プリンタの概略構成を示す模式的断面図である。図1を参照して、連続紙プリンタ1は、連続紙プリンタ1の全体を制御するための制御部100と、外部から画像データを受信するための外部インターフェース10と、受信された画像データをプリントに適したデータに処理するための画像処理部20と、通信制御部13と、ユーザによる操作を受付けるための操作パネル11と、プリント部12とを含む。
【0017】
外部インターフェース10は、イメージスキャナ、コンピュータ等と接続され、画像データが入力される。画像処理部20は、外部インターフェース10で受信された画像データに所定の画像処理を施してレーザ装置21にデジタル信号を出力する。
【0018】
画像処理部20からレーザ装置21に出力されるデジタル信号は、イエロー用の画像色データYと、マゼンタ用の画像色データMと、シアン用の画像色データCと、ブラック用の画像色データKである。レーザ装置21は、入力された画像データC,M,Y,Kに基づいて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kにレーザビームを出力する。
【0019】
プリント部12において、レーザ装置21から出力されるレーザビームは、帯電チャージャによって帯電された感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kを露光し、静電潜像を形成する。イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色の現像器23Y,23M,23C,23Kにより、感光体ドラム22Y,22M,22C,22K上の静電潜像が現像される。
【0020】
転写ベルト107は、駆動ローラにより弛まないように懸架され、転写ベルト107が図中で反時計回りに所定速度で回転する。転写ベルト107は、感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kそれぞれと接する。感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kそれぞれに現像されたトナー像は、感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kそれぞれが転写ベルト107と接する位置で、感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kそれぞれと対をなす転写チャージャにより、転写ベルト107に一次転写される。したがって、転写ベルト107には、4色のトナー像が重畳して転写される。
【0021】
連続紙プリンタ1には、給紙ケース15が装着される。給紙ケース15には、非接触型ICメモリ14が取付けられている。給紙ケース15は、画像形成の対象となる用紙101を収納し、連続紙プリンタ1に着脱自在に装着される。給紙ケース15には、予め定められた材質、形状の用紙が収納される。したがって、画像形成する対象となる用紙を取り替える際には、給紙ケース15ごと取り替えることになる。
【0022】
給紙ケース15に収納された用紙101は、操作者によりトラクタピン117に掛けられる。トラクタピン117は、モータにより駆動されて用紙101を搬送する。搬送される用紙101は、転写前ガイド108によって転写ベルト107に押付けられ、転写チャージャ115Aにより転写ベルト107上に形成された4色のトナー像が用紙101に2次転写される。その後、分離チャージャ115Bにより用紙101は転写ベルト107から分離され、搬送ベルト110に導かれる。
【0023】
トナー像が転写された用紙101は、吸引ファン109によって搬送ベルト110に吸引されながら搬送ベルト110によってプレヒート部111、次いでフラッシュ定着部112に搬送される。フラッシュ定着部112は、用紙101上に二次転写されたトナー像をフラッシュの熱により溶かして用紙101に定着させる。また、フラッシュ定着部112が発する熱量では、トナーを用紙101に定着させるには不十分であるため、プレヒート部111で用紙101が暖められる。さらに、フラッシュ定着部112に対向する位置に設けられた面上ヒータ116により搬送ベルト110が暖められ、トナーを用紙101に定着させるための熱量が確保される。
【0024】
トナーが定着された用紙101は、中間ローラ113、排紙ローラ114によって搬送され、連続紙プリンタ1より排紙ケース16に排出される。なお、必要に応じて、用紙101はバースタ118により切断されて排紙される。
【0025】
通信制御部13は、アンテナ13Aを有し、給紙ケース15に取付けられた非接触型ICメモリ14と無線により通信することが可能となる。
【0026】
制御部100は、画像処理部20、転写チャージャ115A、分離チャージャ115B、フラッシュ定着部112、プレヒート部111、面上ヒータ116と接続されている。制御部100は、転写チャージャ115Aに流れる転写電流を制御し、分離チャージャ115Bに流れる電流を制御する。また、制御部100は、フラッシュ定着部112、プレヒート部111および面上ヒータ116を制御し、熱量を制御する。
【0027】
図2は、通信制御部13の構成の一例を示す回路ブロック図である。図2を参照して、通信制御部13は、通信制御回路201と、変調部202と、送信回路203と、コンデンサ206と、受信回路204と、復調回路205とを含む。
【0028】
制御部100は、通信制御回路201へ、非接触型ICメモリ14に書込むためのデータ信号DATAと、通信制御回路201を制御するための制御信号CTとを送信する。
【0029】
通信制御回路201は、制御信号CTに応じて、制御部100から受信したデータ信号DATAを変調部202へ出力する。変調部202は、入力されたデータ信号DATAを振幅変調して、搬送波に重畳した信号を送信回路203に出力する。送信回路203は、増幅回路を有する。増幅回路は、A級増幅回路またはAB級増幅回路である。なお、増幅回路は、A級増幅回路またはAB級増幅回路に限定されることなく、増幅させる際ひずみが少ない他の方式の増幅回路であってもよい。送信回路203で増幅された信号は、コンデンサ206およびアンテナ13Aに出力される。
【0030】
アンテナ13Aは、コイルで形成されている。なお、アンテナ13Aと、コンデンサ206とにより共振回路が構成されている。共振回路は、送信回路203および受信回路204とに接続されている。送信回路203は、アンテナ13Aを利用して電磁波を出力する。
【0031】
受信回路204は、アンテナ13Aで受信された信号を、増幅して復調回路205へ出力する。復調回路205では、受信回路204から出力された信号を復調して、通信制御回路201へ出力する。通信制御回路201は、復調回路205から出力された信号を受信データRDATAとして、制御部100へ送信する。
【0032】
図3は、非接触型ICメモリの内部構成を示すブロック図である。図3を参照して、非接触型ICメモリ14は、アンテナ218と、コンデンサ219と、CPU211と、ROM(Read Only Memory)212と、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)213と、変調回路214と、復調回路215と、整流・平滑回路216と、バス217とを含む。CPU211、ROM212、EEPROM213、変調回路214および復調回路215は、バス217に接続され、バス217との間でデータを授受する。
【0033】
なお、本発明では、非接触型ICメモリ14におけるデータを記憶するメモリとして、EEPROMを利用しているが、これに限定されることなく、不揮発的にデータを記憶保持可能な構成を有する回路であれば、EEPROMの代わりに別のメモリを利用してもよい。
【0034】
アンテナ218は、コイルで形成されており、アンテナ218とコンデンサ219とにより共振回路が構成されている。アンテナ218は、アンテナ13Aから送信された電磁波を受信して、整流・平滑回路216および復調回路215に出力する。整流・平滑回路216は、入力された信号を平滑化して一定電圧にして、CPU211、ROM212およびEEPROM213に電圧を供給する。すなわち、非接触型ICメモリ14は、受信した信号により動作電力を得る。復調回路215は入力された信号を復調する。
【0035】
ROM212には、CPU211を制御するための制御プログラムが記録されている。CPU211は、制御プログラムにより、復調回路215により復調された信号に応じて、所定の処理を行なう。復調された信号は、コマンドとアドレスとを含む。CPU211は、読出しを指示するコマンドの場合には、EEPROM213の指定されたアドレスのデータを読出し、アンテナ218から出力するように、変調回路214に出力する。また、CPU211は、書込を指示するコマンドの場合には、EEPROM213の指定されたアドレスに、コマンドとともに受信されたデータを書込む。
【0036】
図4は、操作パネルの平面図である。操作パネル11は、連続紙プリンタ1の上面に設けられる。図4を参照して、操作パネル11には、液晶タッチパネル150と、テンキー151と、セットされた数値を初期値に戻すためのクリアキー152と、画像形成の開始を指示するためのスタートボタン154とが設けられている。液晶タッチパネル150は、液晶表示装置上に、透明な部材からなるタッチパネルを積載してなる。液晶表示装置は、表示部に相当する。タッチパネル、テンキー151、クリアキー152およびスタートボタン154が入力部に相当する。液晶表示装置に指示ボタンを表示させ、タッチパネルでそのボタンの指示を検出することで、種々の操作の入力が可能となる。
【0037】
次に、本実施の形態における連続紙プリンタ1で実行される処理について説明する。給紙ケース15に取付けられた非接触型ICメモリ14には、用紙101に関する記録紙情報が記憶される。この記録紙情報は、給紙ケース15に用紙101を収納する時点で、給紙ケース15を連続紙プリンタ1に装着し、操作者が操作パネル11から記録紙情報を入力して、非接触型ICメモリ14に記憶させる。また、非接触型ICメモリ14と通信可能な他の装置を用いて、記録紙情報を非接触型ICメモリ14に記憶させるようにしてもよい。
【0038】
記録紙情報は、用紙101のサイズ、厚さ、材質、色、残量を含む。また、記録紙情報は、用紙101がラベルを剥離紙に貼り付けたラベル紙の場合には、ラベルのサイズ、厚さ、材質、色に加えて、ラベルの割付け位置、ラベル剥離紙の厚さ、材質を含む。
【0039】
図5は、本実施の形態における連続紙プリンタ1で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図5を参照して、連続紙プリンタ1では、給紙ケース15が連続紙プリンタ1に新たに装着されたか否かが判断される(ステップS01)。この判断は、給紙ケース15が装着されたことを検出するためのセンサを設けて検出するようにしてもよいし、通信制御部13で、非接触型ICメモリ14との通信が可能となったことを検出するようにしてもよい。給紙ケース15が新たに装着されたことが検出されると、ステップS02へ進み、装着されない場合には待機状態となる。すなわち、給紙ケース15が新たに装着されることを条件に、ステップS02以降の処理が実行される。給紙ケ−ス15の新たな装着とは、連続紙プリンタ1に給紙ケース15が装着されていない状態から、給紙ケース15が装着される場合である。連続紙プリンタ1に給紙ケース15が装着されていた状態から給紙ケース15が取り外され、別の給紙ケースが装着される場合も含む。
【0040】
ステップS02では、制御部100は、通信制御部13を制御して、装着された給紙ケース15に取付けられている非接触型ICメモリ14に記憶されているデータを読出す。そして、読出したデータに動作条件が含まれているか否かを判断する。動作条件は、後述するステップS12で非接触型ICメモリ14に書込まれる。すなわち、装着された給紙ケース15が、前に少なくとも一度連続紙プリンタ1に装着されており、ステップS04〜ステップS12までの処理が実行されたものであるか否かが判断される。データに動作条件が含まれる場合にはステップS08に進み、動作条件が含まれていない場合にはステップS03に進む。
【0041】
ステップS03では、読出したデータに動作条件は含まれないが記録紙情報が含まれているか否かを判断する。データに記録紙情報が含まれる場合にはステップS04に進み、記録紙情報が含まれていない場合にはステップS06に進む。
【0042】
ステップS04では、読取った記録紙情報に基づいて、連続紙プリンタ1の動作条件が決定される。このステップS04で決定される動作条件は、連続紙プリンタ1の動作条件の少なくとも1部を含む。ステップS04で決定される部分を、連続紙プリンタ1の動作条件の第1の部分という。第1の部分は、連続紙プリンタ1の動作条件の全てであってもよい。動作条件の第1の部分は、画像処理部20による画像処理のパラメータの設定、転写チャージャ115Aに流れる電流値の設定、分離チャージャ115Bに印加する電圧の値の設定、フラッシュ定着部112、プレヒート部111および面上ヒータ116により発せられる熱量(定着エネルギ)を定めるための値の設定が含まれる。
【0043】
ここで、動作条件の第1の部分を決定する具体例を示す。
【0044】
(1) 用紙101がカードなどの場合、それの電気抵抗が普通紙の電気抵抗よりも高くなる。この場合には、転写チャージャに流れる転写電流を高くする。用紙101が普通紙の場合に転写チャージャ115Aに流れる転写電流が50μAであれば、それを125μAにする。これにより、トナーがカードに確実に転写される。
【0045】
(2) 用紙101が合成紙(ユポ)などの場合、それの耐熱性が普通紙よりも小さい。この場合には、フラッシュ定着部112、プレヒート部111および面上ヒータ116により発せられる熱量の値(定着エネルギ)を小さくする。用紙101が普通紙の場合の定着エネルギが710J(ジュール)であれば、それを500Jにする。
【0046】
(3) 用紙101がICチップを内蔵している場合、用紙101に高電圧を印加すると、ICチップが破損する恐れがある。この場合には、分離チャージャ115Bを不能動化する。
【0047】
(4) 用紙101の色に基づいて、画像形成する色別の濃度の最高値を変更する。用紙101が白色でない場合は、用紙の色と同じ色の最高濃度を下げて画像形成すると、用紙の色の影響をすくなくすることができる。例えば、用紙101が黄色の場合には、画像処理部20における画像処理においてイエローの最高濃度を下げた値に設定する。
【0048】
連続紙プリンタ1に予め定められたデフォルトの動作条件のうち第1の部分を、ステップS04で決定された動作条件に変更する(ステップS05)。ステップS05で変更された動作条件を第1の動作条件という。
【0049】
ステップS06では、ユーザが操作パネル11を用いて動作条件を入力したか否かが判断される。入力があった場合にはステップS07に進み、ない場合にはステップS09に進む。ユーザが入力する動作条件は、画像形成する画像に基づき定まる動作条件であり、連続紙プリンタ1の動作条件の少なくとも1部を含む。ユーザが入力する動作条件を、連続紙プリンタ1の動作条件の第2の部分という。第2の部分は、連続紙プリンタ1の動作条件の全てであってもよい。動作条件の第2の部分は、カラープリントまたはモノクロプリントの別、イメージクオリティ、ハイライトカット、各色の最高濃度などの値の設定が含まれる。
【0050】
ステップS08では、ステップS05で変更された第1の動作条件のうち第2の部分を、ステップS06で入力された動作条件に変更する。連続紙プリンタ1に予め定められたデフォルトの動作条件、または、現在連続紙プリンタ1に設定されている動作条件を、ステップS02で非接触型ICメモリから読出された動作条件に変更する。その後ステップS09に進む。
【0051】
そして、連続紙プリンタ1で動作する動作条件が設定される(ステップS09)。ここで設定される動作条件は、ステップS02で動作条件が読出された場合には、読出された動作条件である。ステップS02で動作条件が読出されなかった場合で、かつ、ステップS06でユーザにより動作条件の入力があった場合には、それを反映した第2の動作条件である。また、ステップS02で動作条件が読出されなかった場合で、かつ、ユーザにより動作条件の入力がなかった場合には、第1の動作条件である。
【0052】
そして、設定された動作条件を非接触型ICメモリ14に書込む(ステップS10)。これにより、次に給紙ケース15が連続紙プリンタ1に装着された場合には、上述したステップS02で動作条件が読み出され、ステップS08で読取った動作条件に変更されるので、操作するユーザが異なったとしても前に設定された動作条件と同じ動作条件が設定される。
【0053】
次のステップS11では、スタートボタン154の押下が検出され、プリント指示があったか否かが判断される。プリント指示があった場合にはステップS12に進み、ない場合には待機状態となる。ステップS12では、ステップS09で設定された動作条件で画像形成が開始される。
【0054】
以上説明したように本実施の形態における連続紙プリンタ1では、給紙ケース15が装着されると、給紙ケース15に装着された非接触型ICメモリ14から記録紙情報が読出された場合には、記録紙情報に基づき動作条件の第1の部分を決定し、予め定められた動作条件を、その第1の部分を決定された動作条件に変更した第1の動作条件とする。そして、操作パネル11から動作条件のうち第2の部分が外部から受付けられると、動作条件の第2の部分が受付けられた動作条件に変更されて、非接触型ICメモリ14に書込まれ、連続紙プリンタ1の動作条件として設定される。このため、動作条件のうち記録紙に関する記録情報で定まる動作条件に変更されるのに加えて、画像に基づき定まる動作条件に変更される。その結果、連続紙プリンタ1を操作するユーザが異なっても前のユーザが設定したのと同一の動作条件で画像形成することができる。特に、未熟なユーザが操作する場合であっても適切な動作条件で画像が形成されるので、画像形成される画像の画質を均一にすることができる。
【0055】
また、非接触型ICメモリ14から読出されたデータに動作条件が含まれる場合に、連続紙プリンタ1が読出された動作条件に設定されるので、操作するユーザが異なっても前にしたのと同一の動作条件で画像形成することが可能となる。
【0056】
また、連続紙プリンタ1は、無線通信により、給紙ケース15に装着された非接触型ICメモリ14からデータを読出し、または非接触型ICメモリ14へデータを書込みするので、給紙ケース15の装着部分を簡単な構成にすることができる。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態における連続紙プリンタの概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】通信制御部の構成を示す回路ブロック図である。
【図3】非接触型ICメモリの内部構成を示すブロック図である。
【図4】操作パネルの平面図である。
【図5】本実施の形態における連続紙プリンタ1で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 連続紙プリンタ、10 外部インターフェース、11 操作パネル、12 プリント部、13 通信制御部、13A アンテナ、14 非接触型ICメモリ、15 給紙ケース、16 排紙ケース、20 画像処理部、21 レーザ装置、22Y,22M,22C,22K 感光体ドラム、23Y,23M,23C,23K 現像器、100 制御部、101 用紙、107 転写ベルト、108 転写前ガイド、109 吸引ファン、110 搬送ベルト、111 プレヒート部、112 フラッシュ定着部、113 中間ローラ、114 排紙ローラ、115A 転写チャージャ、115B 分離チャージャ、116 面上ヒータ、117 トラクタピン、118 バースタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙が収納された給紙ケースと、前記給紙ケースが装着された状態で該給紙ケースに収納された記録紙に画像を形成する画像形成装置とから構成される画像形成システムであって、
前記給紙ケースは、収納された記録紙に関する記録紙情報を記憶するメモリが装着されており、
前記画像形成装置は、前記メモリにアクセスしてデータを読出しまたは書込みするアクセス手段と、
前記給紙ケースが装着されると、前記アクセス手段を制御して前記メモリからデータを読出す読出手段と、
読出された前記データに含まれる前記記録紙情報に基づき前記動作条件の第1の部分を決定する決定手段と、
予め定められた動作条件のうち前記第1の部分を、前記決定手段により決定された動作条件に変更して第1の動作条件とする第1の変更手段と、
前記動作条件のうち画像形成する画像に基づき定まる第2の部分を外部から受付ける受付手段と、
前記第1の動作条件のうち前記第2の部分を、前記受付手段により受付けられた動作条件に変更して第2の動作条件とする第2の変更手段と、
前記アクセス手段を制御して、前記第2の動作条件を前記メモリに書込む書込手段と、
前記画像形成装置を前記第2の動作条件で動作させるために前記第2の動作条件を設定する動作条件設定手段とを含む、画像形成システム。
【請求項2】
前記読出手段により読出された前記データに前記第2の動作条件が含まれる場合に、前記画像形成装置を前記第2の動作条件で動作させるために、読出された前記第2の動作条件を設定する第2の動作条件設定手段をさらに含む、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記給紙ケースは、前記メモリに接続された第1の通信手段を備え、
前記画像形成装置の前記アクセス手段は、前記第1の通信手段と無線により通信するための第2の通信手段を含む、請求項1に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−162690(P2006−162690A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350155(P2004−350155)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】