説明

画像形成システム

【課題】特殊トナー像を必要とないユーザーに対してはコストを負担させず、特殊トナー像を必要とするユーザーに対しては、より低コストで且つ耐久性・利用性に優れた画像形成システムを提供する。
【解決手段】カラー画像を形成する第一画像形成装置1に対して透明画像を形成する第二画像形成装置2がオプション搭載される画像形成システムにおいて、第一画像形成装置1における帯電装置12Y,M,C,Kは、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより感光体11Y,M,C,Kを帯電し、第二画像形成装置2における帯電装置32は、直流成分のみの電圧を印加することにより感光体31を帯電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式を用いてトナー像を作像する第一画像形成装置に対して特殊トナー像を作像する第二画像形成装置をオプション搭載可能な画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画質の多様化が進められている近年においては、光沢感、立体感など、通常のトナーの使用では得ることができない特殊な画質を実現しうる画像形成装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、転写材上にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンといった通常の有色トナー像と共に透明トナー像を転写・定着する画像形成装置が提案されている。この画像形成装置によれば、用紙全体に透明樹脂をスプレーしたり、コーティングしたりするものに比べて複雑な機構を組み込む必要がなく、普通紙等を用いても見栄えのよい光沢感のある画像を容易に得ることができる。
【0004】
また、特許文献2では、転写材上に有色トナー像を転写・定着した後に、透明トナー像を転写・定着する画像形成装置が提案されている。この画像形成装置では、有色トナー像が転写・定着された転写材を転写材搬送経路を通して再給紙し、転写材上の有色トナー像上に透明トナー像を転写した後、先と同じ定着装置により定着して画像を出力する。この画像形成装置によれば、有色トナー像と透明トナー像とを重ね合わせて形成する際の色にじみが生じることを防止するとともに、光沢度の向上を図っている。さらに、有色トナー像の定着時よりも透明トナー像の定着時の定着性を上げる、例えば転写材の搬送速度を遅くすることで光沢度の向上を図っている。
【0005】
また、特許文献3では、有色トナー像及び/又は透明トナー像を転写材上に転写・定着した後、透明トナー像を転写材上に転写・定着する画像形成装置が提案されている。この画像形成装置では、一回目の定着工程における定着ニップ内でのトナーの到達溶融粘度η1と、二回目の定着工程における定着ニップ内でのトナーの到達溶融粘度η2が、(到達溶融粘度η1)<(到達溶融粘度η2)の関係を満足している。これにより、二回目の定着工程における透明トナー像の溶融状態を一回目の定着工程よりも抑えることができるので、二回目の画像形成工程で得られる透明トナー像を一回目の画像形成工程で得られる透明トナー像に比べ低光沢部とすることができる。つまり、同一画像面内での任意の部分に対し、高光沢部、低光沢部を出力可能である。
【0006】
しかしながら、特許文献1乃至3に提案される画像形成装置は、同一画像形成装置内に、少なくともイエロー・シアン、マゼンタ・ブラック・透明トナーの5つ以上の現像機を備えたリボルバー方式、もしくは5つ以上の現像装置及び感光体ドラムを備えたタンデム方式となってしまい、生産コストが非常に高くなる。透明トナーを必要とするユーザーは増加しているものの、ほとんどのユーザーにとって、出力画像はモノクロもしくは4色のカラー画像のみであるため、全ての画像形成装置に対してあらかじめ透明トナーでの画像形成を可能とするのはコスト高となり適切でない。
【0007】
これに対し、有色トナーを用いる基本機となる第一画像形成機に対して、特殊トナーを用いる第二画像形成機をオプション搭載できる画像形成システムが提案されている(例えば、特許文献4など)。この画像形成システムでは、特殊画像を所望する際には、基本機となる第一画像形成機はそのままで、これに第二画像形成機を付設する。一方、特殊画像を所望しないユーザーに対しては、第二画像形成機を付設しない構成をとることができ、余計なコストを負担させることがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した第一画像形成機とこれにオプション搭載される第二画像形成機からなる画像形成システムにおいて、第一画像形成機と第二画像形成機とに互いに同一の帯電手段を用いると以下に説明する不都合があった。
【0009】
カラー画像を形成する画像形成装置においては、文字だけではなく写真などのハーフトーン画像が多用され、高画質であることが求められている。高画質なハーフトーン画像を得るためには、像担持体である感光体を均一に帯電させる必要がある。そこで、一般にカラー画像形成装置においては、帯電手段として直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加する帯電手段が用いられている。しかしながら、交流成分の電圧を印加する電源は、直流成分のみの電圧を印加する電源に比べ高価である。また、交流成分の電圧を印加した場合には、帯電ハザードによって感光体表面が劣化し徐々に感光層を消失してしまい、感光体が長期に亘って同じ性能を維持することが困難となる。なお、その対策として、ステアリン酸亜鉛を始めとした保護剤を感光体表面に塗布することで、感光体表面を交番電圧から保護している。しかし、感光体上に残留するトナーをリサイクルしようとすると、この保護剤が混入してトナーの帯電性を劣化させるためトナーの再利用が困難になるという問題がある。
【0010】
一方、透明トナー等の特殊トナー像は、殆どの用途がベタ画像である。そのため、特殊トナー像形成時は、カラー画像形成時ほどの帯電性能を必ずしも必要とせず、上述したように、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加する帯電手段を必ずしも必要としない。
【0011】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものである。その目的は、特殊トナー像を必要とないユーザーに対してはコストを負担させず、特殊トナー像を必要とするユーザーに対しても低コストで且つ耐久性・利用性に優れた画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、像担持体を一様に帯電する帯電手段と一様に帯電された該像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と該像担持体上の静電潜像を現像する現像手段とを有して記録媒体上に重ね合わせ有色トナー像を形成する第一画像形成装置と、像担持体を一様に帯電する帯電手段と一様に帯電された像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と像担持体上の静電潜像を現像する現像手段とを有し重ね合わせ有色トナー像が形成された記録媒体上に特殊トナー像を形成する第二画像形成装置とを備え、該第一画像形成装置に対して該第二画像形成装置がオプション搭載される画像形成システムにおいて、第一画像形成装置における帯電手段は、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより像担持体を帯電し、第二画像形成装置における帯電手段は、直流成分のみの電圧を印加することにより像担持体を帯電することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の画像形成システムにおいて、上記第二画像形成装置は、作像時に排出されるトナーを再利用するためのトナー再利用機構を備えることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成システムにおいて、上記記録媒体の両面に画像形成を行う場合には、上記第一画像形成装置で該記録媒体の両面に有色トナー像を転写定着した後に、上記第二画像形成装置で該記録媒体の両面に透明トナー像を転写定着させることを特徴とするものである。
本発明において、第一画像形成装置の帯電手段は、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加して、像担持体を均一に帯電する。第二画像形成装置の帯電手段は、直流成分のみの電圧を印加する。本発明は、特殊トナー像を必要とするユーザーに対しても、オプション搭載する第二画像形成装置の帯電手段に交流電源より安価な直流電源を用いることで、低コスト化を図ることが可能である。また、第二画像形成装置の像担持体には、交流成分の電圧の影響がないので、長期に亘り像担持体の性能を維持することができ、耐久性を向上させることができる。さらに、第二画像形成装置の像担持体には保護剤を使用しなくてよいことから、第二画像形成装置ではトナーリサイクルも容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、特殊トナー像を必要とないユーザーに対してはコストを負担させず、特殊トナー像を必要とするユーザーに対しても低コストで且つ耐久性・利用性に優れた画像形成システムを提供できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した画像形成システムとして、電子写真方式によって画像を形成する画像形成システムの実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図である。この画像形成システムは、第一画像形成装置1と、これにオプション搭載される第二画像形成装置2とを有している。
【0016】
まず、第一画像形成装置1の基本的な構成について説明する。第一画像形成装置1は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の有色トナー像を形成するための4つのプロセスユニット10Y,M,C,Kを備えている。以下添字Y、M、C、Kはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色をそれぞれ示す。このプロセスユニット10Y、M、C、Kは、それぞれ各色のトナー像を担持する像担持体である感光体11Y,M,C,Kを備えている。これら各感光体11Y,M,C,Kの周囲には、各感光体11表面を一様に帯電する帯電装置12Y,M,C,Kや、一様に帯電された各感光体11表面を画像データに基づき露光して静電潜像を形成する露光装置13Y,M,C,K、各感光体11表面に形成される静電潜像を現像する現像装置14Y,M,C,K、トナー像転写後の各感光体11表面をクリーニングするクリーニング装置15Y,M,C,K等を備えている。なお、画像データとは、図示しない外付けのスキャナによる原稿読取で得られた画像情報や、外部のパーソナルコンピュータから送られている画像情報等である。また、プロセスユニット10Y,M,C,Kは、感光体11の周囲に配設される各種装置12、14、15とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、第一画像形成装置1本体に対して着脱可能になっている。
【0017】
また、第一画像形成装置1は、感光体11Y,M,C,Kに形成された有色トナー画像を用紙Pに転写する転写ユニット20を備えている。この転写ユニット20は、駆動ローラを含む複数のローラにより張架されて図中矢印方向に回転駆動する中間転写ベルト21を備えている。中間転写ユニット20は、感光体11Y,M,C,Kと所定の電圧が印加される一次転写ローラ22Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト21を挟み込んで一次転写ニップを形成する。また、中間転写ユニット20は二次転写バックアップローラ23と所定の電圧が印加される二次転写ローラ24の間に中間転写ベルト21を挟み込んで二次転写ニップを形成している。さらに、中間転写ユニット20は、中間転写ベルト21上に残留する転写残トナーを除去する図示しないクリーニング装置等も備えている。上記プロセスユニット10Y,M,C,Kで形成された感光体11Y,M,C,K上の有色トナー像は、一次転写ニップで中間転写ベルト21に順次重ね合わされて一次転写される。中間転写ベルト21上に転写された4色重ね合わせ有色トナー像は、二次転写ニップで用紙Pに二次転写されることになる。
【0018】
また、第一画像形成装置1は、転写ユニット20の下方に、給紙カセット25、図示しないレジストローラ対、第一定着装置26、また第一画像形成装置1の筐体内で用紙を搬送する第一紙搬送路27等を備えている。給紙カセット25は、第一画像形成装置1の筺体内に出し入れ可能に構成され、収容する用紙Pの一番上の用紙を一枚づつレジストローラ対に向けて送り出す。レジストローラ対は、給紙カセット25により供給された用紙Pをローラ間に挟み込み、中間転写ベルト21上の4色重ね合わせ有色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。第一定着装置26は、後述するように、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ26aと、これに向けて押圧される加圧ローラ26bとの当接による定着ニップに用紙Pを挟み込み、加熱や加圧の作用によりトナー像を定着せしめる。第一紙搬送路27は、後述するように、給紙カセット25から給紙される用紙Pを二次転写ニップや第一定着装置26に案内するための第一転写定着用紙搬送路27aや、片面に対する転写定着処理を終えた用紙Pを図示しない切換爪で反転させ再び二次転写ニップに案内するための第一反転用紙搬送路27b等から構成される。
【0019】
ここで、第一画像形成装置1の帯電装置12Y,M,C,Kには、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加する交流電源を用いる。これにより、帯電装置12Y,M,C,Kは、感光体11Y,M,C,Kを一様に均一に帯電することができる。その結果、プロセスユニット10Y,M,C,Kでは、高画質が求められるハーフトーン画像に対しても十分に対応できる。また、帯電装置12Y,M,C,Kの利用により感光体11Y,M,C,K表面が劣化しやすいことから、感光体表面にはステアリン酸亜鉛等の保護剤を塗布することが好ましい。
【0020】
次に、第二画像形成装置2の基本的な構成について説明する。第二画像形成装置2は、画像に対する光沢性付与処理を必要に応じて行うことを要望するユーザーの意志により、第一画像形成装置1に対してオプション搭載されるものである。
【0021】
この第二画像形成装置2は、特殊トナー像となる透明トナー像を形成するためのプロセスユニット30を備えている。このプロセスユニット30は、ドラム状の感光体31の周囲に帯電装置32、露光装置33、現像装置34、転写ローラ36、クリーニング装置35などを有している。このプロセスユニット30の露光装置33は、帯電装置32によって一様に帯電された感光体31上の光沢性付与領域に対応する領域を露光装置によって露光してベタ状の静電潜像を形成する。現像装置34は、この静電潜像を透明トナーにより現像して透明トナー像を形成する。所定の電圧が印加される転写ローラ36は、感光体31との間に用紙Pを挟み込んで転写ニップを形成している。感光体31上に現像された透明トナー像は、転写ニップで用紙Pに転写されることになる。第一画像形成装置1のプロセスユニット10Y,M,C,Kが、通常の有色トナーを用いるのに対し、第二画像形成装置2のプロセスユニット30が透明トナーを用いる点以外は、第一画像形成装置1のものと第二画像形成装置2とは同様の構成である。透明トナーには、有色トナーに顔料成分を添加しないものが使用できる。
【0022】
また、第二画像形成装置2は、この他に、第二定着装置37、第二画像形成装置2内で用紙を搬送する第二紙搬送路等38等を備えている。上記第二定着装置37は、後述するように、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ37aと、これに向けて押圧される加圧ローラ37bとの当接による定着ニップに用紙Pを挟み込み、加熱や加圧の作用によりトナー像を定着せしめる。本実施形態で用いられる透明トナーは、第二定着装置37による加熱定着処理を施される前には白色を帯びる白色トナーであるが、加熱定着処理を施されると透明トナーに変化する性質を有している。第二紙搬送路38は、第一画像形成装置1より排出される用紙Pをプロセスユニット30の転写ニップ及び第二定着装置37に案内するための第二転写定着用紙搬送路38a、片面に対する透明トナー像の転写定着処理を終えた用紙Pを図示しない切換爪で反転させ再度転写ニップに案内するための第二反転用紙搬送路38b、第一画像形成装置1より排出される用紙Pをそのまま機外に排出するための排出用搬送路38等から構成される。
【0023】
ここで、第二画像形成装置2の帯電装置32には、直流成分のみの電圧を印加する直流電源を用いる。直流電源を用いる帯電装置32の利用では、ステアリン酸亜鉛等の保護剤を使用しなくても、長期に亘り感光体31の性能を維持することが可能である。また、後述するように、プロセスユニット30では、透明トナーに保護剤が混入しないため、透明トナーのリサイクルが容易となる。
【0024】
なお、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、第一画像形成装置1と第二画像形成装置2との機間位置を調整するための図示しない制御部を備えている。この制御部は、例えば、第一画像形成装置1における用紙Pに対する有色トナー像の形成位置と、第二画像形成装置2における透明トナー像の形成位置との位置ズレを測定した後、その結果に応じて透明トナー部の形成位置を補正する機間位置合わせ処理を実施することができる。本実施形態に係る第二画像形成装置2は、この機間位置合わせ処理で使用したテストシートTを、一般的なプリントジョブにおけるプリントアウト紙と区別して収容するためのテストシート収容カセット39や、テストシートTを搬送するテスト用紙搬送路38dも備えている。このテストシートTには、第一画像形成装置1内の給紙カセット25に収容されている一般的な白色の用紙を用いることができ、また、機間位置合わせ処理に用いられテストシート収容カセット内に収容されたテストシートTを再利用することもできる。
【0025】
以上のように構成される第一画像形成装置1及び第二画像形成装置2においては、次のように画像形成が行われる。まず、用紙Pの表面にのみ、有色トナー像及び透明トナー像を形成する片面光沢付与モードについて説明する。例えばイエロー用のプロセスユニット10Yでは、帯電装置12Yにより一様に帯電された感光体11Yの表面に、露光装置13Yで変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体11Y上の静電潜像は、現像装置14Yで現像されてイエロー色のトナー像となる。中間転写ベルト21を挟んで一次転写ローラ22Yに対向する一次転写ニップでは、感光体11Y上のトナー像が用紙Pに転写される。トナー像が転写された後の感光体11Yの表面は、クリーニング装置15Yでクリーニングされ、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0026】
他のプロセスユニット10M、C、Kについても、上述した画像形成行程が中間転写ベルト21の移動に同期して実行され、中間転写ベルト21上に、4色重ね合わせトナー像が形成される。一方、給紙カセット25から給送された用紙は、レジストローラ対により所定のタイミングで送出されて二次転写ニップに搬送される。そして、二次転写ニップで4色重ね合わせトナー像が用紙Pに一括転写される。4色重ね合わせトナー像が一括転写された用紙Pは、第一転写定着用紙搬送路27aを搬送されて第一定着装置26でトナー像が定着せしめられる。第一定着装置26を通過した用紙Pは、切換爪による搬送路選択に応じて、第二画像形成装置2内の第二転写定着用紙搬送路38aに送り込まれる。
【0027】
第二画像形成装置2内のプロセスユニット30では、帯電装置32により一様に帯電された感光体31の表面上に、露光装置33により光沢性を付与すべき光沢性付与領域に対応する領域が露光され、ベタ状の静電潜像が形成される。そして、感光体31上の静電潜像は、現像装置34の透明トナーにより現像され、現像された透明トナー像は、転写ニップで第一画像形成装置1から送り込まれた用紙Pに転写される。透明トナー像が転写された用紙Pは、第二定着装置37による加熱・加圧作用により定着処理が施され、機外に排出される。
【0028】
ここで、本実施形態では、第二定着装置37における第二定着温度を第一画定着装置26における第一定着温度よりも低くして定着処理を施している。第二定着温度を低くすることで、透明トナーの溶融が抑えられ表面粗さを保つため、透明トナー像のみ光沢度が低くなる。逆に4色重ね合わせトナー像は、第一定着装置26及び第二定着装置37を通過するため、光沢度は若干上昇する。これによって、同一画像内で4色重ね合わせトナー像と透明トナー像に大きな光沢差を付与することができる。
【0029】
次に、用紙Pの表裏の両面に有色トナー像と透明トナー像を形成する両面光沢付与モードが選択された場合について説明する。第一画像形成装置1では、上述した片面光沢付与モードと同様に、用紙Pの表面に4色重ね合わせトナー像の転写処理と定着処理が施される。この転写処理と定着処理が施された用紙Pは、切換爪による搬送路選択に応じて、第一画像形成装置1内の第一反転用搬送路27bに送り込まれ、再度二次転写ニップ部に送り出される。そして、用紙Pの裏面にも、上述したように4色重ね合わせトナー部の二次転写処理と定着処理が施される。表裏の両面に4色重ね合わせトナー像が形成された用紙Pは、切換爪による搬送路選択に応じて、第二画像形成装置2内の第二転写定着用搬送路38aに送り込まれる。
【0030】
第二画像形成装置2では、上述したように第二転写定着用搬送路38aに送り込まれた用紙Pの裏面に透明トナー像の転写処理と定着処理が施される。この転写処理と定着処理が施された用紙Pは、切換爪による搬送路選択に応じて、第二画像形成装置2内の第二反転用搬送路38bに送り込まれ、再度転写ニップ部に送り出される。そして、用紙Pの表面にも、上述したように透明トナー像の二次転写処理と定着処理が施される。そして、用紙Pの表裏の両面に4色重ね合わせ有色トナー像と透明トナー像が形成された用紙Pは、そのまま機外に排出される。
【0031】
両面印刷の場合には、通常は表面を作像した後に裏面の作像を行うが、本実施形態においては、第一画像形成装置1で両面に4色重ね合わせトナー像を作像した後、第二画像形成装置2で両面に透明トナー像を作成する。第二画像形成装置2で表面に透明トナー像を作像した後、第一画像形成装置1で裏面に4色重ね合わせトナー像を作像しようとすると、4色重ね合わせトナー像と一緒に表面の透明トナー像も第一定着装置で高い第一定着温度で定着処理が施されることになる。そのために、透明トナー像の光沢度が高くなってしまい、4色重ね合わせトナー像との光沢差が小さくなってしまうからである。よって、本実施形態では、両面印刷の場合であっても、透明トナー像作像後は、高い温度で定着をさせないことにより、表裏のどちらの面の画像も透明トナーにより光沢差を付与することができる。
【0032】
以上の画像形成動作は、光沢性付与処理を行うモードが選択された時の動作であるが、例えば、光沢性付与処理を行わない無処理モードを選択することも可能である。この場合には、第一画像形成装置1から排出された用紙Pは、切換爪による搬送路選択に応じて、第二画像形成装置2内の排出用搬送路38cに送り込まれ、そのまま機外に排出される。
【0033】
また、本実施形態に係る画像形成システムおいては、第二画像形成装置2のプロセスユニット30が、透明トナー像の作像時に排出される透明トナーを再利用するためのトナー再利用機構を備えている。トナーの再利用に際しては、用紙から発生する紙粉やステアリン酸亜鉛等の保護剤が悪影響を及ぼすことがあるが、第二画像形成装置2には、第一画像形成装置を通過した用紙Pが供給されるため、紙粉の影響がほとんどない。また、プロセスユニット30の感光体31には、上述したようにステアリン酸亜鉛等の保護剤を使用していない。よって、プロセスユニット30では、トナーを再利用しても紙粉や保護剤等の影響による異常画像が発生せず、低コストと高品質を両立できる。
【0034】
以上、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、4色重ね合わせトナー像を形成する第一画像形成装置1の帯電装置12は、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加する。一方、透明トナー像を形成する第二画像形成装置2の帯電装置32は、直流成分のみの電圧を印加する。本発明に係る画像形成システムは、第一画像形成装置1に対して第二画像形成装置2をオプション搭載することで低コスト化を図っているが、第二画像形成装置2の帯電装置32に交流電源より安価な直流電源を用いることで、更なる低コスト化を図ることが可能である。また、第二画像形成装置2では、保護剤等を使用しなくても、長期に亘り感光体331の性能を維持することができ、耐久性を向上させることができる。さらに、第二画像形成装置2の感光体31には保護剤を使用しなくてよいことから、第二画像形成装置2ではトナーリサイクルも容易となる。
【0035】
また、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、第二画像形成装置2のプロセスユニット30は、透明トナー像の作像時に排出される透明トナーを再利用するためのトナー再利用機構を備えている。第二画像形成装置2では、第一画像形成装置を通過した用紙Pが供給され、また感光体31には保護剤を使用しなくてもよいため、トナーを再利用してもこれらの影響による異常画像が発生せず、低コストと高品質を両立できる。
【0036】
また、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、両面印刷の場合であっても、透明トナー像作像後は、高い温度で定着をさせないことにより、表裏のどちらの面の画像も透明トナーにより光沢差を付与することができる。
【符号の説明】
【0037】
1:第一画像形成装置
2:第二画像形成装置
10:プロセスユニット
20:中間転写ユニット
26:第一定着装置
27:第一紙搬送路
30:プロセスユニット
37:第二定着装置
38:第二紙搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特公平7−38084号公報
【特許文献2】特開2002−318482号公報
【特許文献3】特開2009−109926号公報
【特許文献4】特開2004−361827号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を一様に帯電する帯電手段と一様に帯電された該像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と該像担持体上の静電潜像を現像する現像手段とを有して記録媒体上に重ね合わせ有色トナー像を形成する第一画像形成装置と、
像担持体を一様に帯電する帯電手段と一様に帯電された像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と像担持体上の静電潜像を現像する現像手段とを有し重ね合わせ有色トナー像が形成された記録媒体上に特殊トナー像を形成する第二画像形成装置とを備え、
該第一画像形成装置に対して該第二画像形成装置がオプション搭載される画像形成システムにおいて、
第一画像形成装置における帯電手段は、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより像担持体を帯電し、
第二画像形成装置における帯電手段は、直流成分のみの電圧を印加することにより像担持体を帯電することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1の画像形成システムにおいて、
上記第二画像形成装置は、作像時に排出されるトナーを再利用するためのトナー再利用機構を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成システムにおいて、
上記記録媒体の両面に画像形成を行う場合には、上記第一画像形成装置で該記録媒体の両面に有色トナー像を転写定着した後に、上記第二画像形成装置で該記録媒体の両面に透明トナー像を転写定着させることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−197321(P2011−197321A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63247(P2010−63247)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】