説明

画像形成装置、画像形成制御装置、及びプログラム

【課題】n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域を、このn個の色成分以外の色成分を使うことなく再現する。
【解決手段】画像形成装置において、主制御部30では、色域情報取得部31が色域を特定する色域情報を取得し、スクリーン制御部34が、濃度階調と面積階調の併用ルールとこの色域情報とに基づいて、濃度階調で表現する濃度を決定し、この濃度を画像形成部とスクリーン処理部75に出力する。一方、画像処理部70では、描画部72がRGB色信号をYMCK色信号に変換し中間コードで描画し、レンダリング部73がこの中間コードをレンダリングし、ガンマ補正部74が各色信号についてガンマ補正を行い、スクリーン処理部75が、ガンマ補正後の各色信号に対し、スクリーン制御部34から指示された濃度が濃度階調で表現される場合のスクリーン処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成制御装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
4色+α色の色材を持ち、複数種類の画像入力機能を持つ画像入出力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この画像入出力装置では、複数種類の画像入力機能ごとに、4色印刷、4色+α色印刷を自動もしくは手動で切り替える設定を行い、設定された内容に基づいて、画像データを4色データもしくは4色+α色データとして生成し、生成された画像データを4色データもしくは4色+α色データを印刷している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−19602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域を、このn個の色成分以外の色成分を使うことなく再現することことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、n個(nは自然数)の色成分を含む色信号を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記色信号に基づく画像を媒体に形成する画像形成手段と、前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度を、濃度階調と面積階調とで表現することにより、濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域内の色が前記画像に含まれるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、外部からの指示、又は、入力画像の解析に基づいて、再現すべき色域を決定する決定手段を更に備え、前記制御手段は、前記決定手段により決定された前記色域に応じた第1の濃度を濃度階調で表現し、前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度の当該第1の濃度を基準とした濃度である第2の濃度を面積階調で表現することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記画像形成手段は、像保持体を帯電させ前記色信号に基づいて露光することで静電潜像を形成し当該静電潜像に画像形成材料を付着させることによって形成された像に基づく前記画像を前記媒体に形成し、前記制御手段は、前記像保持体の帯電量を変化させることにより、前記n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記画像形成手段は、像保持体を帯電させ前記色信号に基づいて露光することで静電潜像を形成し当該静電潜像に画像形成材料を付着させることによって形成された像に基づく前記画像を前記媒体に定着する画像形成処理を行うことにより、前記画像を前記媒体に形成し、前記制御手段は、前記画像形成処理を複数回行うことにより、前記n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、n個(nは自然数)の色成分を含む色信号を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度を、濃度階調と面積階調とで表現することにより、濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域内の色を含む画像が媒体に形成されるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成制御装置である。
請求項6に記載の発明は、外部からの指示、又は、入力画像の解析に基づいて、再現すべき色域を決定する決定手段を更に備え、前記制御手段は、前記決定手段により決定された前記色域に応じた第1の濃度を濃度階調で表現し、前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度の当該第1の濃度を基準とした濃度である第2の濃度を面積階調で表現することを特徴とする請求項5に記載の画像形成制御装置である。
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、n個(nは自然数)の色成分を含む色信号を取得する機能と、取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度を、濃度階調と面積階調とで表現することにより、濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域内の色を含む画像が媒体に形成されるように制御する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域を、このn個の色成分以外の色成分を使うことなく再現することができる。
請求項2の発明によれば、外部からの指示や入力画像の解析に基づいて決定した色域を再現することができる。
請求項3の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、色成分の濃度を濃度階調で表現する際の画像の乱れを少なくすることができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、色成分の濃度を濃度階調で表現することが可能な濃度を高くすることができる。
請求項5の発明によれば、n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域を、このn個の色成分以外の色成分を使うことなく再現することができる。
請求項6の発明によれば、外部からの指示や入力画像の解析に基づいて決定した色域を再現することができる。
請求項7の発明によれば、n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域を、このn個の色成分以外の色成分を使うことなく再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】これまでの一般的な色の表現方法を用いた場合の用紙上のトナーの状態を示した図である。
【図2】これまでの一般的な色の表現方法を用いた場合の色域の例を示した図である。
【図3】トナーの量を変えると色相及び彩度が変わることについて説明するための図である。
【図4】本実施の形態における色の表現方法を用いた場合の用紙上のトナーの状態を示した図である。
【図5】本実施の形態における色の表現方法を用いた場合の色域の例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態の画像形成装置における主制御部及び画像処理部の構成例を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態の主制御部におけるスクリーン制御部の動作例を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態を実現可能なコンピュータのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本実施の形態の基本的な原理について説明する。
近年、パーソナルコンピュータ(PC)の普及とディスプレイの発達により、従来の印刷物とは異なる色域の画像を取り扱う機械が増えてきている。従来の印刷物はJapan Colorと呼ばれる色域の中で表現されるが、例えば、デジタルカメラは、より広い色をカバーするため、sRGB、Adobe RGBといった色域を標準的に用いている。そのため、ディスプレイで見ている色を実際にプリンタで印刷すると、かなり違った色が出力される場合がある。
【0009】
こうした問題を解決する方法としては、2つの方法が考えられる。1つは、プリンタで使われる色を従来の4色(YMCK)から6色又は7色へと増やして色域をカバーする方法であり、もう1つは、現在使われている4色の色味を変えてディスプレイに対応した色域を出力できるようにする方法である。
しかしながら、前者の方法では、プリンタ本体を大幅に変更する必要が生じ、後者の方法では、従来出力してきた印刷物の色域を満足できなくなってしまう。
そこで、本実施の形態では、従来と同じ4色(YMCK)を使用しながら、印刷物に向いたJapan Colorの色域とディスプレイ表示に近いsRGBの色域の両方を出力できるようにした。
【0010】
ここで、これまでの一般的な色の表現方法について説明する。
この一般的な色の表現方法は、ベタ塗りの色を色域の外郭とし、スクリーン処理によりハーフトーンを作って薄い色(色域の内側)を表現するというものである。尚、このような色の表現方法を面積階調と呼ぶ。
【0011】
図1に、濃い色を再現した場合における用紙上のトナーの状態と、一般的な色の表現方法を用いて薄い色を再現した場合における用紙上のトナーの状態とを示す。このうち、(a)は、1次色を再現したときのトナーの状態であり、(b)は、1次色を混ぜることで2次色を再現したときのトナーの状態である。図から明らかなように、この一般的な色の表現方法の場合、1次色、2次色の何れにおいても、薄い色はハーフトーンで表現している。尚、(b)の右図は模式図であり、実際にはスクリーンのかけ方によって2種類のトナーの重なりはずれることが考えられる。ここでは、必ずしも2種類もしくはそれ以上のトナーの全てが重なる必要があると述べているわけではない。
【0012】
また、図2は、一般的な色の表現方法を用いた場合の色域を示した図である。
図では、1次色をベタ塗りしたときの色相及び彩度を黒塗りの四角で、1次色のベタ塗りを重ねて2次色としたときの色相及び彩度を実線で、それぞれa*b*平面上に示している。この図において、ハーフトーンで表現される色は、ベタ塗りの色相及び彩度を表す点と原点とを結んだ直線上にあるので、実線で囲まれた六角形の範囲内の色が表現可能となっている。即ち、この六角形の範囲が、一般的な色の表現方法を用いた場合の色域である。
尚、図では、Japan colorの色相及び彩度もa*b*平面上に示している。即ち、一般的な色の表現方法では、Japan colorに近い色が再現できるようになっている。
また、本実施の形態では、一般的な色の表現方法におけるトナー量を100%とし、この一般的な色の表現方法を用いた場合の色域の外郭を「100%ベタ塗り」と表記している。
【0013】
これに対し、本実施の形態では、トナーの量を変えることにより、色域を変化させることが可能であることを発見した。
図3は、マゼンタについて、トナーの量を変えたときの色相及び彩度の変化を示した図である。このうち、(a)は、顔料としてPR122を用いた場合の色相及び彩度の変化であり、(b)は、顔料としてPR238を用いた場合の色相及び彩度の変化である。尚、何れの図においても、原点が濃度0%に対応し、他の点は、曲線に沿って原点から遠ざかる順に、濃度20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%に対応している。
また、シアン、イエローについても、トナーの量を変えたときの色相及び彩度の変化を示す同様の図が得られる。
【0014】
このような発見に基づき、本実施の形態では、トナーの量を変えることで色を表現するようにした。尚、このような色の表現方法を濃度階調と呼ぶ。また、本実施の形態では、ある色域を実現するトナーの量を基準として、それよりも薄い色は、面積階調で表現する。
【0015】
図4に、濃い色を再現した場合における用紙上のトナーの状態と、本実施の形態における色の表現方法を用いて薄い色を再現した場合における用紙上のトナーの状態とを示す。このうち、(a)は、1次色を再現したときのトナーの状態を示している。このとき、薄い色はトナー量を減らすことで表現している。(b)は、(a)の薄い色を混ぜることで2次色を再現したときのトナーの状態を示している。このとき、(a)の薄い色がトナー量を減らすことで表現されているので、これよりも薄い色はハーフトーンで表現している。尚、(b)の右図は、図1(b)の右図と同様模式図である。
【0016】
また、図5は、本実施の形態における色の表現方法を用いた場合の色域を示した図である。
図3に示したように、マゼンタのトナー量を変えると、色相及び彩度は、細い一点鎖線の曲線に沿って変化する。また、シアン、イエローも同様に、トナー量を変えると、色相及び彩度は、それぞれ細い点線、細い破線の曲線に沿って変化する。このとき、トナー量を減らすと、色相及び彩度は曲線上を原点に近づく方向に変化し、トナー量を増やすと、色相及び彩度は曲線上を原点から遠ざかる方向に変化する。
図では、図2と同様、100%ベタ塗りの1次色の色相及び彩度を黒塗りの四角で、100%ベタ塗りの1次色を重ねて2次色としたときの色相及び彩度を太い実線で、それぞれa*b*平面上に示している。そして、ベタ塗りするトナーの量を70%にしたときの色域を太い点線で、150%にしたときの色域を太い一点鎖線で、それぞれ示している。即ち、トナーの量を、100%から70%まで連続的に減らしたり、100%から150%まで連続的に増やしたりすることで、太い一点鎖線の色域から太い実線の色域を経て太い点線の色域までの色を満遍なくカバーすることが可能となる。特に100%よりも薄い濃度の側の色域が、一般的な色の表現方法ではカバーできなかったディスプレイのsRGB色域に近いものとなっている。
【0017】
次に、本実施の形態を適用可能な画像形成装置について説明する。
図6は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成手段の一例としての画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作を制御する主制御部30と、を備えている。更には、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3等との通信を行って画像データを受信する通信部35と、原稿から画像を読み取って読取画像データを生成する画像読取部50と、通信部35にて受信された画像データや画像読取部50によって生成された読取画像データ等に対し予め定めた画像処理を施し画像形成部10に転送する画像処理部70と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部80とを備えている。
【0018】
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する構成部であって、並列して配置される4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(以下、「画像形成ユニット11」という)を備えている。各画像形成ユニット11は、機能部材として、例えば、矢印A方向に回転しながら静電潜像が形成され、その後にトナー像が形成される像保持体の一例としての感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器13と、帯電器13により帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16とを備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0019】
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)する一次転写ロール21とを備えている。更に、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール22と、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着器60とを備えている。
【0020】
画像形成部10の画像形成ユニット11各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に静電転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印B方向)に伴って二次転写ロール22が配置された二次転写領域Trに搬送され、用紙収容容器40から供給される用紙P上に一括して静電転写される。その後、用紙P上に静電転写された合成トナー像は、定着器60によって定着処理を受けて用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部45に搬送され集積される。
【0021】
一方、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、及び二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、及びベルトクリーナ25によって除去される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
【0022】
ところで、本実施の形態では、トナーの量を変えて画像形成を行える画像形成装置1において、これまでの一般的な色の表現方法を用いた場合の色域、及び、この色域とは異なる例えばsRGB色域のような色域のどちらの色域で画像を形成するかを選択できるようにし、選択された色域に応じたトナー量に調節して画像形成を行う。
尚、トナー量を調節する方法としては、帯電器13が感光体ドラム12を帯電する際の帯電量を制御する方法が考えられる。そこで、以下では、この感光体ドラム12の帯電量を制御する方法を例にとり、主制御部30及び画像処理部70について詳細に説明する。
【0023】
図7は、主制御部30及び画像処理部70の構成例を示したものである。
まず、主制御部30は、色域情報取得部31と、色域情報記憶部32と、併用ルール記憶部33と、スクリーン制御部34とを含む。
【0024】
色域情報取得部31は、ユーザがUI部80から再現したい色域の情報を入力すると、この入力に基づいて、色域を特定する情報(色域情報)を取得する。本実施の形態では、再現すべき色域を決定する決定手段の一例として、色域情報取得部31を設けている。
色域情報記憶部32は、色域情報取得部31が取得した色域情報を記憶する。
併用ルール記憶部33は、YMCの各色信号の濃度を濃度階調と面積階調とで表現する場合に、如何なる濃度まで濃度階調で表現するか(如何なる濃度から面積階調で表現するか)を規定した規則(以下、「併用ルール」という)を記憶する。例えば、C信号の濃度が35%の場合、濃度階調で70%を表現し、面積階調で50%を表現する方法や、濃度階調で50%を表現し、面積階調で70%を表現する方法がある。このうち、前者は、70%まで濃度階調で表現すること(70%から面積階調で表現すること)を規定した規則に基づく方法であり、色域に応じた第1の濃度の一例として70%を採用し、第1の濃度を基準とした第2の濃度の一例として50%を採用したものである。また、後者は、50%まで濃度階調で表現すること(50%から面積階調で表現すること)を規定した規則に基づく方法であり、色域に応じた第1の濃度の一例として50%を採用し、第1の濃度を基準とした第2の濃度の一例として70%を採用したものである。
スクリーン制御部34は、色域情報記憶部32に記憶された色域情報と、併用ルール記憶部33に記憶された併用ルールとに基づいて、画像処理部70のスクリーン処理部75におけるスクリーン処理を制御する。本実施の形態では、濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域内の色が画像に含まれるように制御する制御手段の一例として、スクリーン制御部34を設けている。
【0025】
また、画像処理部70は、描画部72と、レンダリング部73と、ガンマ補正部74と、スクリーン処理部75とを含む。
【0026】
描画部72は、通信部35でPDL(Page Description Language:ページ記述言語)を解釈して得られた色信号又は画像読取部50から送られた色信号(図ではRGB)を画像形成部10の色信号(YMCK)に変換する。その際、画像形成部10の解像度に応じた中間コードで描画する。
レンダリング部73は、描画部72で描画された中間コードをラスタ画像データにレンダリングする。
ガンマ補正部74は、YMCKの各色信号についてガンマ補正を行う。
スクリーン処理部75は、ガンマ補正部74によるガンマ補正後の各色信号(多値の色信号)に対し、ディザパターンを用いてスクリーン処理(二値化処理)を施し、スクリーン処理された色信号(二値の色信号)を画像形成部10に出力する。本実施の形態では、色信号を取得する取得手段の一例として、スクリーン処理部75を設けている。
【0027】
次に、主制御部30及び画像処理部70の動作について説明する。尚、この動作に先立ち、濃度階調と面積階調とを併用して再現される色域については、併用ルールが併用ルール記憶部33に記憶されているものとする。
【0028】
まず、ユーザがUI部80に対して、再現したい色域を特定する情報(色域情報)を入力する。尚、ここでは、色域情報として、Japan Colorを特定する情報とsRGBを特定する情報の何れかが入力されるものとする。
すると、主制御部30では、色域情報取得部31が、入力された色域情報を取得する。そして、取得した色域情報を色域情報記憶部32に記憶する。
これにより、スクリーン制御部34の動作が開始する。
【0029】
図8は、スクリーン制御部34の動作例を示したフローチャートである。
まず、スクリーン制御部34は、色域情報記憶部32に記憶された色域情報を読み出す(ステップ301)。
次に、読み出した色域情報がJapan Colorを特定する情報であるかsRGBを特定する情報であるかを判定する(ステップ302)。
【0030】
その結果、読み出した色域情報がsRGBを特定する情報であると判定した場合、スクリーン制御部34は、併用ルール記憶部33に記憶された併用ルールを参照して、何%の濃度までを濃度階調で表現するかを決定する(ステップ303)。例えば、併用ルール記憶部33に、sRGBに対して、70%まで濃度階調で表現することを規定した併用ルールが記憶されていたとすると、70%の濃度までを濃度階調で表現することに決定する。
これにより、スクリーン制御部34は、画像形成部10の帯電器13に対して、ステップ303で決定した濃度を実現する帯電量にするための帯電量制御信号を出力する(ステップ304)。
そして、スクリーン制御部34は、画像処理部70のスクリーン処理部75に対して、ステップ303で決定した濃度まで濃度階調で表現する場合のスクリーン処理を行うよう指示する(ステップ305)。例えば、70%の濃度まで濃度階調で表現することをスクリーン処理部75に指示したとすると、スクリーン処理部75では、描画部72、レンダリング部73、ガンマ補正部74を介して入力されたYMCの各色信号について、スクリーン制御部34から指示された濃度まで濃度階調で表現されることを前提としたスクリーン処理を行う。例えば、入力されたC信号の濃度が35%であり、スクリーン制御部34から指示された濃度が70%であったとすると、スクリーン処理部75は、濃度を50%にするスクリーン処理を行い、スクリーン処理後の各色信号を画像形成部10に出力することになる。
【0031】
一方、ステップ302で、読み出した色域情報がJapan Colorを特定する情報であると判定した場合、スクリーン制御部34は、画像処理部70のスクリーン処理部75に対して、通常のスクリーン処理(図1、2を参照して説明した一般的な色の表現方法におけるスクリーン処理)を行うよう指示する(ステップ306)。これにより、スクリーン処理部75では、描画部72、レンダリング部73、ガンマ補正部74を介して入力されたYMCの各色信号について、通常のスクリーン処理を行い、スクリーン処理後の各色信号を画像形成部10に出力することになる。
【0032】
尚、本実施の形態では、YMCKの4色を用いて画像を形成する画像形成装置1において、これまでの一般的な色の表現方法では再現できなかった色域を再現するものとしたが、これには限らない。より一般化し、n色を用いて画像を形成する画像形成装置において、これまでの一般的な色の表現方法では再現できなかった色域を再現するものと捉えてもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、ユーザのUI部80からの指示に応じて、再現したい色域を特定するようにしたが、これもかかる方法には限らない。例えば、通信部35や画像読取部50から入力された画像を解析し、解析結果に基づいて、再現したい色域を特定するようにしてもよい。このような画像の解析方法としては、例えば、sRGBで表現するのが望ましい色の画像中の出現頻度を調べ、そのような色が多く含まれていれば、再現すべき色域としてsRGBを特定する方法等が考えられる。
【0034】
更に、本実施の形態では、図8に示したように、Japan Colorの場合は、併用ルール記憶部33に記憶された併用ルールを参照することなく、通常のスクリーン処理を指示した。しかしながら、併用ルール記憶部33に、Japan Colorに対して、100%の濃度まで濃度階調で表現し、100%の濃度から面積階調で表現する旨の規則を記憶しておき、その規則を参照することで通常のスクリーン処理を指示するようにしてもよい。
【0035】
更にまた、本実施の形態では、色信号の濃度を濃度階調で表現するための方法として、感光体ドラム12の帯電量を制御することによりトナー量を変化させるという方法を採用したが、その他の方法を採用してもよい。例えば、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kで形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に一次転写し、一次転写された各色トナー像を中間転写ベルト20から記録媒体に二次転写し、二次転写された各色トナー像を定着器60が記録媒体に定着させるという一連の画像形成処理を複数回行うことによりトナー量を変化させるような方法を採用してもよい。尚、このような方法は、一度定着器60で定着した記録媒体を再び画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kへ搬送するパスを設けることにより実現される。
【0036】
ところで、本実施の形態では、画像形成装置1内の主制御部30が、色域を変更する制御を行うようにしたが、この処理は汎用のコンピュータで行ってもよい。
そこで、汎用のコンピュータをコンピュータ90として、コンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
【0037】
図9は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0038】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…画像形成装置、3…PC、10…画像形成部、30…主制御部、31…色域情報取得部、32…色域情報記憶部、33…併用ルール記憶部、34…スクリーン制御部、35…通信部、50…画像読取部、70…画像処理部、72…描画部、73…レンダリング部、74…ガンマ補正部、75…スクリーン処理部、80…UI部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個(nは自然数)の色成分を含む色信号を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記色信号に基づく画像を媒体に形成する画像形成手段と、
前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度を、濃度階調と面積階調とで表現することにより、濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域内の色が前記画像に含まれるように制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
外部からの指示、又は、入力画像の解析に基づいて、再現すべき色域を決定する決定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記決定手段により決定された前記色域に応じた第1の濃度を濃度階調で表現し、前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度の当該第1の濃度を基準とした濃度である第2の濃度を面積階調で表現することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、像保持体を帯電させ前記色信号に基づいて露光することで静電潜像を形成し当該静電潜像に画像形成材料を付着させることによって形成された像に基づく前記画像を前記媒体に形成し、
前記制御手段は、前記像保持体の帯電量を変化させることにより、前記n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、像保持体を帯電させ前記色信号に基づいて露光することで静電潜像を形成し当該静電潜像に画像形成材料を付着させることによって形成された像に基づく前記画像を前記媒体に定着する画像形成処理を行うことにより、前記画像を前記媒体に形成し、
前記制御手段は、前記画像形成処理を複数回行うことにより、前記n個の色成分の各々の濃度を濃度階調で表現することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
n個(nは自然数)の色成分を含む色信号を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度を、濃度階調と面積階調とで表現することにより、濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域内の色を含む画像が媒体に形成されるように制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項6】
外部からの指示、又は、入力画像の解析に基づいて、再現すべき色域を決定する決定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記決定手段により決定された前記色域に応じた第1の濃度を濃度階調で表現し、前記取得手段により取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度の当該第1の濃度を基準とした濃度である第2の濃度を面積階調で表現することを特徴とする請求項5に記載の画像形成制御装置。
【請求項7】
コンピュータに、
n個(nは自然数)の色成分を含む色信号を取得する機能と、
取得された前記色信号に含まれる前記n個の色成分の各々の濃度を、濃度階調と面積階調とで表現することにより、濃度階調で表現せずに面積階調で表現した場合に再現できない色域内の色を含む画像が媒体に形成されるように制御する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−164160(P2011−164160A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23780(P2010−23780)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】