説明

画像形成装置、画像形成方法、及び印刷データ生成プログラム

【課題】色材を供給する処理を色毎に行う画像形成装置であって、当該処理に起因して発生するいわゆるレジずれに対する補正処理を、画質の劣化を招くことなく簡便に行うことのできる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】画像形成に複数の色材を用い、各画素が前記色材の各色の階調値を有するビットマップデータに基づいて前記画像形成を行なう画像形成装置が、前記ビットマップデータにおいて、黒色以外の前記色材の階調値が0で、黒色の前記色材の階調値が0でない画素の少なくとも一部について、前記階調値を補正する補正処理を実行する補正手段を有し、前記補正手段は、処理対象となる前記画素が有する、前記ビットマップデータの黒色の階調値が、最高値である場合と、当該最高値よりも低い値である場合とで、異なる処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色材を供給する処理を色毎に行う画像形成装置等に関し、特に、当該処理に起因して発生するいわゆるレジずれに対する補正処理を、画質の劣化を招くことなく簡便に行うことのできる画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタなどの画像形成装置においては、各色の色材を用紙、中間媒体や感光体に供給して付着させる処理が色毎に独立して行われる。従って、装置の機械的な精度等に起因して、形成される各色の画像が相対的にずれてしまう不具合が発生する場合がある。かかるレジずれ(色ずれともいう。)が発生すると、例えば、文字と背景の境界に本来は存在しない白い部分が現れる(白抜け)など出力品質に悪影響を与えるため、従来、このレジずれによる不具合を防止するために事前に出力対象の画像データを補正する処理がなされていた。
【0003】
下記特許文献1では、当該技術分野において、いわゆるエッジ淡色化を有効に防止し高速な処理が行える装置等について提案されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、版ずれが生じてもオブジェクトが実際のものと同程度の大きさに見えるトラッピング処理を行う装置等について示されている。
【特許文献1】特許3852234号公報
【特許文献2】特開2002−165104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したレジずれによる不具合を防止するための補正処理では、通常、元の画像データを変更してしまうため、元の画像の色に悪影響を及ぼさないようにすることが重要である。
【0006】
上記特許文献1に記載の方法では、上記補正処理において、対象画素のデータに追加される各色の階調値が対象画素の黒色の濃度(階調)によって定められており、そのためのテーブルを予め用意しておく必要がある。
【0007】
また、上記特許文献2の方法では、上記補正処理において、隣接する領域の明度差で補正範囲と補正色を決めており、処理が複雑である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、色材を供給する処理を色毎に行う画像形成装置であって、当該処理に起因して発生するいわゆるレジずれに対する補正処理を、画質の劣化を招くことなく簡便に行うことのできる画像形成装置、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、画像形成に複数の色材を用い、各画素が前記色材の各色の階調値を有するビットマップデータに基づいて前記画像形成を行なう画像形成装置が、前記ビットマップデータにおいて、黒色以外の前記色材の階調値が0で、黒色の前記色材の階調値が0でない画素の少なくとも一部について、前記階調値を補正する補正処理を実行する補正手段を有し、前記補正手段は、処理対象となる前記画素が有する、前記ビットマップデータの黒色の階調値が、最高値である場合と、当該最高値よりも低い値である場合とで、異なる処理を実行する、ことである。
【0010】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記補正手段は、前記黒色の階調値が最高値である場合には、当該処理対象の画素を含む補正対象領域が隣接する画素における、前記ビットマップデータの各色の階調値を、当該処理対象の画素のビットマップデータに付加し、前記最高値よりも低い値である場合には、当該処理対象の画素の黒色を、黒単色を黒以外の色を含む混色で表現する場合の色に置き換えるように、当該処理対象の画素のビットマップデータを変更する、ことを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、画像形成に複数の色材を用い、各画素が前記色材の各色の階調値を有するビットマップデータに基づいて前記画像形成を行なう画像形成装置における画像形成方法が、前記ビットマップデータにおいて、黒色以外の前記色材の階調値が0で、黒色の前記色材の階調値が0でない画素の少なくとも一部について、前記階調値を補正する補正処理を実行する補正工程を有し、前記補正工程では、処理対象となる前記画素が有する、前記ビットマップデータの黒色の階調値が、最高値である場合と、当該最高値よりも低い値である場合とで、異なる処理が実行される、ことである。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、画像形成に複数の色材を用い、各画素が前記色材の各色の階調値を有するビットマップデータに基づいて前記画像形成を行なう画像形成装置用の前記ビットマップデータの生成を、前記画像形成装置のホスト装置に実行させる印刷データ生成プログラムが、前記ビットマップデータにおいて、黒色以外の前記色材の階調値が0で、黒色の前記色材の階調値が0でない画素の少なくとも一部について、前記階調値を補正する補正処理を実行する補正工程を前記ホスト装置に実行させ、前記補正工程では、処理対象となる前記画素が有する、前記ビットマップデータの黒色の階調値が、最高値である場合と、当該最高値よりも低い値である場合とで、異なる処理が実行される、ことである。
【0013】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの実施の形態例に係る構成図である。図1に示すプリンタ2が本発明を適用したプリンタであり、レジずれに対する補正処理において、処理対象画素の黒の階調値が、最高値(最高濃度)の場合とそれより低い値である場合とで処理内容を変え、当該補正処理を画質の劣化を招くことなく、かつ、簡便に行おうとするものである。
【0016】
図1に示すホストコンピュータ1は、プリンタ2に対して印刷要求を行なうホスト装置であり、パーソナルコンピュータなどで構成される。ホストコンピュータ1にはプリンタドライバ11が備えられ、印刷要求時には、ユーザ操作等に基づいて、当該プリンタドライバ11が画像データと制御コマンドを含む印刷データを生成してプリンタ2に送信する。なお、ここでは、プリンタドライバ11がプリンタ2に送信するデータはPDLで記述されているものとする。また、プリンタドライバ11は、上記処理を実行させるプログラムと、当該プログラムに従って処理を実行するホストコンピュータ1の制御装置(図示せず)等によって構成することができる。また、プリンタドライバ11用の当該プログラムは、インターネット等のネットワークを介して所定のサイトからダウンロードすることにより、あるいは、CDなどの記憶媒体から、ホストコンピュータ1にインストールすることができる。
【0017】
次に、プリンタ2は、図1に示すように、コントローラ21及びエンジン22等で構成される、いわゆるレーザープリンタである。
【0018】
コントローラ21は、前記ホストコンピュータ1からの印刷要求を受けてエンジン22に印刷指示を出す処理などを司り、図1に示すように、I/F23、CPU24、RAM25、ROM26、及びエンジンI/F27を備える。
【0019】
I/F23は、ホストコンピュータ1から送信される前記印刷データを受信する部分である。
【0020】
CPU24は、コントローラ21において行われる各種処理を制御する部分であるが、ホストコンピュータ1から印刷要求を受けた際には、受信した印刷データに含まれる画像データに所定の画像処理を施してエンジン22側へ出力するためのビットマップデータ(各色のプレーンデータ)を生成する処理、前記印刷データに含まれる制御コマンドを解釈してエンジン22に対して適切な印刷処理を指示する処理等を司る。また、CPU24は、上記ビットマップデータを生成する処理に関し、レジずれ対策としての補正処理を実行するが、本プリンタ2では、当該補正処理に特徴を有し、その具体的な内容については後述する。なお、CPU24が実行する処理は、主にROM26に記憶されたプログラムに従って行われるものである。
【0021】
RAM25は、受信した印刷データ、各処理後の画像データ等を格納するメモリであり、前述した各色のビットマップデータ(プレーンデータ)、当該ビットマップデータに対して生成される種別データ(種別プレーン)を格納する。なお、これらビットマップデータ及び種別データの詳細については後述する。
【0022】
ROM26は、CPU24が実行する各処理のプログラム等を格納するメモリである。
【0023】
次に、エンジンI/F27は、エンジン22で印刷を実行する際に、所定のタイミングで前述したRAM25に格納されている画像データ(上記補正処理後のビットマップデータ)を読み出し、それらに所定の処理を施した後にエンジン22側に引き渡す、コントローラ21とエンジン22側とのインターフェースを司る部分である。なお、このエンジンI/F27には、図示していないが、データを一時的に格納するメモリ、解凍部、スクリーン処理部等が備えられ、RAM25から読み出した画像データに対して、圧縮されたデータの解凍、ドットのデータへ変換するスクリーン処理などがなされる。また、エンジンI/F27は、具体的には、ASICで構成されている。
【0024】
次に、エンジン22は、図示していないが、メカコンと印刷機構から構成され、印刷機構には、図示していないが、感光体ドラム、帯電ユニット、露光ユニット、現像装置、転写ユニット等が備えられる。印刷実行時には、帯電ユニットにより感光体ドラムを帯電し、露光ユニットが内蔵するレーザーやLEDアレイなどの光源からのビームを帯電された感光体ドラムに照射して静電気による潜像を形成する。その後、現像材(トナー)を収容するトナーカートリッジを備える現像装置により、潜像が現像材による像に現像され、転写ユニットによって現像されたトナー像が紙などの印刷媒体に転写され、定着ユニットにより定着されて、プリンタ2外に排出される。なお、本プリンタ2では、現像材としてCMYK各色の色材が用いられ、感光体への色材の供給、中間転写媒体への色材の供給、印刷媒体上への色材の供給のうち、少なくとも1つの処理では、色材の供給が色毎に独立して行なわれる。従って、本プリンタ2においても印刷媒体上での画像位置が色によってずれる可能性がある。
【0025】
以上説明したような構成を有する本プリンタ2では、ホストコンピュータ1から印刷要求を受けると、その印刷データが解釈されて、PDL形式であった画像データから、画素毎に各色の階調値を有するビットマップデータが生成される。このビットマップデータは、印刷媒体1枚に対して、色材であるCMYK各色のプレーンデータから構成され、RAM25のイメージバッファに格納される。その後、当該ビットマップに対してレジずれ対策としての補正処理が施され、補正処理後のビットマップデータがエンジンI/F27から読み出されて、前述した処理の後に、エンジン22での印刷処理が実行される。
【0026】
前述したように、本プリンタ2では、上記レジずれ対策としての補正処理に特徴を有し、以下、当該処理の具体的な内容について説明する。
【0027】
図2は、CPU24が行なう上記補正処理の全体の手順を例示したフローチャートである。前述したように、印刷要求受信時に、CPU24によってビットマップデータの生成が完了すると、当該補正処理を開始し、まず、ラベリングの処理を行なう(ステップS100)。具体的には、上記生成されたビットマップデータに基づいて、各画素を所定のグループに種別し、その種別されたグループに応じたラベルを各画素に付加する。より具体的には、前述した種別データ(種別プレーン)を生成する。
【0028】
図3は、ビットマップデータと種別データを例示した図である。図3の(a)は、上記生成されたビットマップデータを例示しており、前述の通り、Cプレーン、Mプレーン、Yプレーン、Kプレーンから構成される。各プレーンの各画素(図中のp)は、各色の階調値を有しており、ここでは、0〜255の256階調で各色が表現されるものとして、各画素が0〜255のいずれかの値を有している。
【0029】
図3の(b)は、図3の(a)に示すビットマップデータから生成される上記種別プレーンを例示しており、各画素(図中のp)は、上記ラベルを有している。本プリンタ2では、上記所定のグループを「白」、「カラー」、「混色K」、「単色K淡」、及び「単色K濃」の5種類としており、前記ビットマップデータのCMYK全ての値が0の画素については「白」に種別され、前記ビットマップデータのCMYのいずれかが0でない値でありKの値が0の画素については「カラー」に種別され、前記ビットマップデータのCMYのいずれかが0でない値でありKの値が0でない画素については「混色K」に種別され、前記ビットマップデータのCMY全ての値が0でKの値が予め定めた所定値a(例えば、4≦a≦255)未満の画素については「単色K淡」に種別され、前記ビットマップデータのCMY全ての値が0でKの値が上記所定値a以上の画素については「単色K濃」に種別される。
【0030】
従って、CPU24は、まず、前記ビットマップデータの各プレーンの値から各画素を上記の規則に従って種別し、その種別されたグループのラベルを種別プレーンの値とする。そして、例えば、「白」に種別された画素についてはラベルを0とし、「カラー」に種別された画素についてはラベルを1とし、「混色K」に種別された画素についてはラベルを2とし、「単色K淡」に種別された画素についてはラベルを3とし、「単色K濃」に種別された画素についてはラベルをK(プレーン)の階調値(a〜255)とする。
【0031】
このようにしてラベリングの処理が終了すると、CPU24は、当該種別データ(プレーン)を用いて対象としているビットマップデータの補正対象領域を検出し、当該領域について適宜補正を実行していく処理を行なう(ステップS200)。なお、かかる処理の具体的な内容については後述する。
【0032】
次に、CPU24は、上記補正後のビットマップデータについて色材の総量による調整処理を実行し(ステップS400)、さらに、上記グループ「白」に種別された画素に接している部分についての変更処理(ステップS500)を実行する。上記調整処理は、印刷媒体に付着させる色材の総量が所定値以上になると不具合を起こす可能性があるため、上記補正後の各画素の階調値を当該所定値以下になるように調整するものであり、また、上記変更処理は、白い領域に隣接する部分にレジずれのための補正がなされることによる弊害を除去するために補正後のビットマップデータを変更するものである。これら処理についてもその具体的な内容については後述する。
【0033】
このような手順で、レジずれ対策としての全体の処理が行なわれるが、次に、上述したステップS200の処理、すなわち、補正対象領域の検出と補正の処理について具体的に説明する。図4は、当該処理を説明するために例示したビットマップデータを示す図である。また、図5は、当該処理の手順を例示したフローチャートである。
【0034】
まず、CPU24は、一つの注目画素を選択する(ステップS210)。ここで、画素の選択は、例えば、ビットマップデータの左上の画素から開始して、その行の右へ順次選択していき、右端に達したら下の行に移って、左端から右へ順次選択していく、という手順を、繰り返して行なわれる。図4に示す例では、pで示す各四角が画素を表しており、左上からの矢印で示す順番で画素が選択されていく。
【0035】
次に、選択された注目画素が「カラー」であるか否かがチェックされる(ステップS220)。すなわち、当該注目画素が前述のラベリング処理で「カラー」のグループに種別されたものであるか否かが判断される。具体的には、前記生成した種別プレーンを参照して、当該画素が1の値を有しているか否かをチェックする。そして、1の値を有していない場合には当該画素は「カラー」でないと判断し(ステップS220のNo)、当該注目画素に関する処理を終了し、対象としているビットマップデータの全画素について処理が終了していなければ(ステップS390のNo)、次の注目画素を上記順番で選択する(S210)。
【0036】
図4に示す例では、白色で表される画素(図中のC)は、「白」のグループに種別された白色の画素であり、グレーで表される画素(図中のA)は、「単色K濃」のグループに種別された濃いグレー又は黒色の画素であり、また、点や斜線で表される画素(図中のB)は、「カラー」のグループに種別された画素である。そして、当該例において、左上の画素が注目画素である場合には、上記処理によって、当該画素が「白」であって「カラー」でないので、注目画素が右隣の画素に移行する。そして、この処理が、図中のXで示す画素が注目画素として選択されるまで繰り返されることになる。
【0037】
ステップS220に戻って、注目画素の種別データが1であり、当該画素が「カラー」であると判断された場合には(ステップS220のYes)、当該注目画素の一つの周辺画素が選択される(ステップS230)。図6は、周辺画素及び検出方向を説明するための図である。図6に示すXが上記注目画素を表しており、それに隣接する8画素(図中の1〜8)が周辺画素である。当該周辺画素の番号は選択される順番を例示している。従って、この例では、まず、「1」の画素が周辺画素として選択される。また、各周辺画素に示される矢印は、その周辺画素を基点として行なわれる、以下で説明する、補正すべき領域の検出方向を示している。従って、本プリンタ2では、画素の周辺8方向について補正を行なうか否かが判断され、補正が必要な方向については補正処理がなされることになる。
【0038】
次に、上記選択された周辺画素が「単色K濃」であるか否かが判断される(ステップS240)。当該処理も、前述した種別プレーンが参照されて、当該周辺画素の有する値がa〜255であれば、「単色K濃」であると判断し、そうでなければ、「単色K濃」でないと判断する。
【0039】
当該判断の結果、「単色K濃」でないと判断された場合には(ステップS240のNo)、当該周辺がその処理を終了し、当該注目画素について上記8つの全ての周辺画素について処理が終了していなければ、すなわち8方向全部について処理が終了していなければ(ステップS380のNo)、次の周辺画素を選択する(S230)。図4及び図6に示す例では、周辺画素「2」、「4」、及び「8」については、「単色K濃」でないので上述のように処理がなされ、これらの方向については、補正処理がなされないことになる。
【0040】
一方、周辺画素が「単色K濃」であると判断された場合には(ステップS240のYes)、当該周辺画素の上記検出方向(主方向)に同じ階調値のKの領域が存在しているか否かを判断する。具体的には、当該周辺画素から、主方向及びその左右方向に、予め定めた数b(例えば、5)個の画素について種別データをチェックし、それらの画素に、周辺画素と階調値が異なる「単色K濃」、「単色K淡」、または「混色K」が含まれていない場合には、当該処理を、主方向に1画素づつずらしながら順次進めていく。そして、主方向に「カラー」又は「白」の画素が出現すれば、主方向に前記周辺画素から当該画素までの間が同一階調値のKの領域であると判断する。従って、「カラー」である注目画素と同一階調値のKの領域が隣接していると判断し、当該主方向のKの領域について補正の対象とする。一方、上記処理の過程で、主方向に「カラー」又は「白」の画素が出現する前に、周辺画素と階調値が異なる「単色K濃」、「単色K淡」、または「混色K」が出現すれば、当該方向には、同一階調値のKの領域が存在しないと判断して、処理を次の周辺画素(方向)に移行させる。
【0041】
かかる選択された周辺画素についての補正対象の検出処理は、より具体的には、図5のステップS250〜S360によって実現される。図7は、主方向が上である場合の補正対象検出処理を説明するための図である。
【0042】
まず、選択された周辺画素をスタート画素とし(ステップS250)、順次、主方向に次の画素の階調値が周辺画素と同一であるかを種別データでチェックしていく(ステップS260、S270、及びS280のNo)。そして、b個の画素について同一階調値である場合には(ステップS280のYes)、処理が主方向に対して左右方向のいずれかの方向に移行し、当該方向について、上記スタート画素から、順次、次の画素の階調値が周辺画素と同一であるかを種別データでチェックしていく(ステップS290、S300、及びS310のNo)。そして、b個の画素について同一階調値である場合には(ステップS310のYes)、処理が残る左右方向のいずれかの方向に移行する(ステップS320及びS330)。そして、同様に、順次、b個の画素について同一階調値であるか否かのチェックがなされる。この結果、当該方向についてもb個の画素について同一階調値である場合には、前記設定したスタート画素についての一連の処理が終了し、主方向に次の画素をスタート画素として(ステップS350)、同様の処理が順次行なわれる(S260へ)。
【0043】
図7に示す例では、まず、「0」で示される周辺画素がスタート画素とされて、主方向である上方向について、5画素(図中の「1」の画素)の上記チェックがなされる。次に、左方向5画素(図中の「2」の画素)及び右方向5画素(図中の「3」の画素)について、順次、上記チェックがなされる。その後は、スタート画素が、周辺画素の一つ上の画素(図中のp1)に設定されて、順次、同様の処理がなされることになる。
【0044】
また、上記左右方向の同一階調チェック(S300)において、同一階調でない場合には(ステップS300のNo)、その画素が「カラー」又「白」のいずれかであるか否かが種別データでチェックされ(ステップS340)、「カラー」又「白」のいずれかである場合には(ステップS340のYes)、その方向の処理を終了して処理がS320に移行する。一方、「カラー」又「白」のいずれかでない場合には(ステップS340のNo)、当該周辺画素の処理を終了して、処理がS380に移行する。
【0045】
また、前記主方向の処理において同じ階調値でない画素が出現した場合には(ステップS270のNo)、その画素が「カラー」又「白」のいずれかであるか否かが種別データでチェックされる(ステップS360)。その結果、「カラー」又「白」のいずれかでない場合には(ステップS360のNo)、当該周辺画素の処理を終了して、処理がS380に移行する。
【0046】
一方、「カラー」又「白」のいずれかである場合には(ステップS360のYes)、前述の通り、当該周辺画素(主方向)についての補正範囲が確定し、処理がステップS370に移行する。
【0047】
図4に示す例において、例えば、注目画素Xの上方向(実線の矢印L1)について上記補正対象範囲の検出処理がなされると、図中で点線で示される矢印の方向に上述した主方向及び左右方向の処理がなされて、上部の「白」の画素で処理が終了し、実線の矢印L1の部分が補正対象範囲として確定する。
【0048】
そして、ステップS370では、前記ビットマップデータについて実際の補正処理が実行される。具体的な処理の内容については後述する。
【0049】
以上説明した1周辺画素についての処理が、前述した8つの周辺画素すべてについて実行される。図8は、右上の周辺画素についての処理を示した図である。図8では、図7と同様に、右上の周辺画素についてその主方向(右斜め上方向)の補正対象検出処理を示している。この方向の場合にも、まず、周辺画素(図中の0)をスタート画素として主方向及びその左右方向のチェックがなされ、必要に応じて、スタート画素が順次主方向に移動して同様の処理が繰り返されることになる。
【0050】
図4及び図6に示す注目画素Xについては、上記全周辺画素についての処理がなされると、5つの周辺画素(図6の1、3、5、6、7)について、図4の実線矢印の方向に「白」の領域に達するまで補正処理がなされることになる。
【0051】
このようにして、1注目画素についての処理が終了し(ステップS380のYes)、同様に、前述した順番で対象としているビットマップデータの全ての画素について処理が終了すると(ステップS390のYes)、補正対象の検出と補正の処理(S200)を終了する。
【0052】
以上説明した本プリンタ2における補正対象の検出と補正の処理では、「カラー」の画素に注目して、それに隣接する同一階調の濃い黒色領域を補正の対象として処理を行う。また、前述したように、本プリンタ2では、周辺画素についての処理において、その主方向に対して左右方向の所定幅についてチェックを行い、周辺画素と階調値が異なる「単色K濃」、「単色K淡」、または「混色K」が出現すれば、その主方向については補正処理を行なわない。これは、当該主方向に存在した「単色K濃」の画素が、同一階調の濃い黒色領域の一部ではなく、写真画像や黒色のグラデーションとなった領域の一部であると判断するものであり、従って、本プリンタ2では、写真画像や黒色のグラデーションとなった領域に対しては、補正処理が行なわれない。
【0053】
このような処理が行なわれることにより、本プリンタ2では、カラーを背景とする黒色の文字や図形の外側に発生する、レジずれによる白抜けに対して有効な補正ができると共に、写真画像や黒色のグラデーションとなった領域に対しては元の色が保たれ、画質の劣化が生じない。
【0054】
図4に示した例では、Aで示す濃いグレー又は黒色の画素の領域に対して上記補正処理がなされることになる。
【0055】
次に、上述した補正処理(S370)について詳しく説明する。図9は、検出された補正箇所に対する補正処理の手順を例示したフローチャートである。前述したように、ある注目画素の一つの周辺画素について補正処理を実行することが決定されると(S360のYes)、当該周辺画素のKの階調値が255であるか否かがチェックされる(ステップS371)。すなわち、Kの最高階調である真黒か、前記所定値a以上の濃いグレーであるかが判断される。具体的には、当該周辺画素の種別データを参照して判断する。
【0056】
その結果、前記周辺画素のKの階調値が255であれば(ステップS371のYes)、当該注目画素(「カラー」)の各色の階調値を前記ビットマップデータから取得する(ステップS372)。
【0057】
一方、前記周辺画素のKの階調値が255でなければ(ステップS371のNo)、予め用意されているコンポジットKの対応テーブルを参照して、当該周辺画素の階調値に対応するコンポジットKの各色の階調値を取得する(ステップS373)。図10は、当該コンポジットKの対応テーブルを例示した図である。ここで、コンポジットKとは、単色Kの色をCMYKの混色で表現したものであり、その各色の階調値は、単色Kの値に対してプリンタの機種等によって定められている。図10に示す例では、例えば、単色Kの階調値が203である場合には、その色を表現するコンポジットKの各色の階調値は、それそれ、128(C)、114(M)、96(Y)、139(K)となる。上記処理では、このようなテーブルが参照されて対応する各色の階調値が取得される。なお、当該対応テーブルは、ROM26等に格納される。
【0058】
次に、上述した階調値の取得(S372又はS373)がなされると、まず、上記周辺画素が選択され(ステップS374)、当該画素に対する上記取得した階調値による補正処理を行う(ステップS375)。すなわち、取得した階調値によって当該画素のビットマップデータを変更する。
【0059】
上記取得の処理で、注目画素の階調値を取得した場合には(S372)、当該取得した階調値をその時点のビットマップデータの値に加える処理を行う。当該画素に始めて当該補正処理がなされる場合には、ビットマップデータの各色の階調値は、CMYKの順に(0,0,0,255)であるので、注目画素(「カラー」、K=0)のCMYの値cmyが加えられて当該画素のビットマップデータは(c,m,y,255)に補正される。例えば、注目画素の階調値が(100,0,0,0)であれば、(100,0,0,255)に補正される。また、当該画素にすでに当該補正処理がなされていて、CMYに0以外の値を有している場合には、色毎に、すでに有している値と今回加える値の平均値を補正後の値とする。例えば、(100,0,0,255)である状態に注目画素の階調値が(50,0,0,0)の補正処理を行う場合には、(75,0,0,255)という値に補正される。
【0060】
また、上記取得の処理で、コンポジットKの階調値を取得した場合には(S373)、その時点のビットマップデータが取得したコンポジットKの階調値に置き換えられる。例えば、(0,0,0,203)である場合には、図10のテーブルに示される(128,114,96,139)の値に変更される。
【0061】
このようにして当該画素についての補正が終わると、前記主方向に次の画素を選択し(ステップS376)、その画素が「白」又は「カラー」でなければ(ステップS377のNo)、処理がS375に戻って、当該選択された画素について前述した補正処理がなされる。
【0062】
この次画素の選択と補正の処理が「白」又は「カラー」の画素に達するまで繰り返し行われ、「白」又は「カラー」の画素に達すれば(ステップS377のYes)、当該補正処理(S370)を終了する。なお、上記「白」又は「カラー」の画素であるか否かの判断は、前述した種別データによって行われる。
【0063】
以上説明した処理により、一つの周辺画素(注目画素の一方向)について処理が実行されることになる。具体的には、注目画素である「カラー」の画素から当該周辺画素の方向に続く同じ階調値を有する濃いグレーの画素の列であって、注目画素の反対側において「白」又は「カラー」の画素に接する列、に対して補正処理がなされ、当該列の画素について、ビットマップデータがCMYいずれかの階調値を有することになる。図4に示した例において、例えば、注目画素Xの上方向については、実線矢印L1で示す列の画素に対して補正処理がなされることになる。
【0064】
このように、補正処理がなされることにより、レジずれによってKの色材の供給処理が注目画素から離れる方向にずれてしまった場合にも、注目画素と隣接する領域にK以外の色の色材が供給される画像データとなっているのでいわゆる白抜けは発生しなくなる。
【0065】
また、本プリンタ2では、上述のように補正対象領域のKの階調値によって補正処理が異なり、最高階調値(255)であれば注目画素の色が加えられ、所定階調値以上の濃いグレーであればコンポジットKに置き換えられる。これは、真黒でないグレーの部分に注目画素の色を加えてしまうと視覚的に色が変わって、画質の劣化を招く可能性があるためであり、このよう部分にコンポジットKを用いることで、当該弊害を防ぐことができる。
【0066】
次に、前述した色材の総量による調整処理(S400)について説明する。前述した処理により、対象としているビットマップデータの全体について補正の処理までが終了すると、CPU24は、各画素毎に、その時点でのビットマップデータの各色の階調値の総計が、予め定められている総量を超えているか否かをチェックする。そして、超えている画素については、各色の階調値の総計が当該総量以内となるように、ビットマップデータを修正する。具体的には、CMYの各階調値を、上記総量からKの階調値を指し引いた残分をその時点でのCMYの各階調値に応じて比例配分した値とする。例えば、その時点でのビットマップデータが、(255,0,255,255)であり、上記総量が612(最高階調値255を100%として240%)の場合には、ビットマップデータの値を(178,0,178,255)に修正する。このような総量調整の処理を行うことにより、印刷媒体に付着させる色材の総量が多すぎて不具合を起こすことを防止することができる。
【0067】
次に、前述した「白」に接している部分についての変更処理(S500)についてその具体的な処理内容を説明する。図11は、当該変更処理の手順を例示したフローチャートである。
【0068】
以上説明した総量調整処理(S400)が終了すると、CPU24は、「白」の画素に隣接し、前述した補正処理(S370)が施されている領域を検出し、当該検出された領域についてビットマップデータの変更処理を行う。具体的には、図5に基づいて説明した補正箇所の検出と同様に、順次、各画素を注目画素として選択し、「白」の注目画素の場合には、その周囲8方向について補正がなされているか否かを検出し、補正がなされている方向については所定の変更処理を実行する。より具体的には、以下のように処理を実行する。
【0069】
まず、補正箇所の検出の場合と同様な順番でビットマップデータの各画素を注目画素として選択する(ステップS501)。そして、その画素が「白」であるか否かを種別データで判別し(ステップS502)、「白」でなければ次の画素を注目画素として選択する(S502のNo、S510のNo、S501)。
【0070】
一方、「白」であれば(ステップS502のYes)、補正箇所の検出の場合と同様に、一つの周辺画素を選択し(ステップS503)、その画素が「単色K濃」であるか否かを種別データにより判断する(ステップS504)。
【0071】
そして、「単色K濃」でない場合には(ステップS504のNo)、その方向には補正箇所がないと判断して、次の方向に移行し、次の周辺画素を選択する(S509のNo、S503)。
【0072】
一方、「単色K濃」である場合には(ステップS504のYes)、主方向に次の画素を選択し(ステップS505)、その画素が「カラー」であるか否かを種別データによりチェックする(ステップS506)。そして、「カラー」でない場合には(ステップS506のNo)、当該画素が前記周辺画素と同一階調値の「単色K濃」であるか否かをチェックする(ステップS507)。そして、同一階調値の「単色K濃」である場合には(ステップS507のYes)、処理がS505に戻って、主方向に次の画素を選択する。
【0073】
このように、「カラー」の画素、あるいは、前記周辺画素と同一階調値の「単色K濃」でない画素に達するまで、順次、主方向に進んでいき、前記周辺画素と同一階調値の「単色K濃」でない画素に達した場合には(ステップS507のNo)、当該方向には補正された領域はないと判断して、次の方向に処理が移行する(S509のNo、S503)。
【0074】
一方、「カラー」の画素に達した場合には(ステップS506のYes)、当該方向に補正された領域があると判断してビットマップデータの変更処理を行う(ステップS508)。具体的には、注目画素(「白」)から上記「カラー」の画素間の、前記補正処理が施されている画素列のうち、注目画素(「白」)側の画素について、上記補正処理前のビットマップデータの状態に戻す変更を行う。すなわち、K以外の色の階調値を0にする。
【0075】
より具体的には、補正を施された画素のKの階調値が255である場合には、加えられた前記注目画素(「カラー」)の階調値を消し、補正を施された画素のKの階調値が255でない場合には、コンポジットKの表現を元の単色Kの表現に戻す。また、当該変更処理を施す範囲は、上記補正処理が施されている画素列で、「カラー」の画素側から所定数の画素を除いた部分とする。当該所定数は、レジずれによって起こりうる色間の最大位置ずれの値とする。すなわち、レジずれによって、例えば、最大5画素位置がずれる可能性がある場合には当該所定数は5とする。なお、上記画素列に含まれる画素がこの所定数に満たない場合には、「白」側の1画素について前記変更を施す。
【0076】
図12は、当該変更処理を説明するための図である。図12の(a)は、K=255の「単色K濃」の画素列に補正がなされ、その後、左端において「白」の画素に接していることにより上記変更処理がなされた場合を示している。図中において「100」は、右端の「カラー」画素の階調値の100%がその下の画素に加えられていることを示している。この場合、上述した所定数は5であり、従って、「カラー」画素側の5つの画素は変更処理がなされず、「白」画素側の5つの画素については変更処理がなされて「100」の追加が消されている。
【0077】
図12の(b)に示す例は、K=255の「単色K濃」の画素列が両側を「カラー」画素に挟まれている場合であり、「白」画素に接していないので上記変更処理がなされず、補正処理の結果(「100」)がそのまま残っている。
【0078】
また、図12の(c)は、K=255でない「単色K濃」の画素列に補正がなされ、その後、左端において「白」の画素に接していることにより上記変更処理がなされた場合を示している。図12の(a)の場合と同様に、右の「カラー」画素側の5画素については、補正処理によってコンポジットKとされた状態が残っており、「白」画素側の5画素については、変更処理によって元の単色Kになっている。
【0079】
図12の(d)に示す例は、K=255でない「単色K濃」の画素列が両側を「カラー」画素に挟まれている場合であり、「白」画素に接していないので上記変更処理がなされず、補正処理の結果(コンポジットK)がそのまま残っている。
【0080】
なお、上記の説明では、「カラー」画素側の所定数の画素について、補正処理の結果をそのまま残しているが、補正処理によって追加した「カラー」の値を、「白」画素側に行くに従って徐々に減らすようにしてもよい。例えば、所定数の画素の次の画素で追加量が0になるように、直線的に値を減らしていくことができる。図4のDに示す例では、右側の「カラー」画素の100%の階調値が、補正対象画素列の右端の画素に加えられ、順次、左側に行くに従って、その80%、60%、40%、20%と追加される階調値が少なくなり、6つ目の画素で補正がされていない状態となる。
【0081】
図11に戻って、以上説明したように変更処理(S508)がなされると、当該方向(周辺画素)についての処理が終了する。
【0082】
以上説明したような処理が、8方向全てについて完了すると(ステップS509のYes)、当該注目画素についての処理が終了する。そして、同様に、当該ビットマップデータの全画素について処理が終了すれば(ステップS510のYes)、当該変更処理(S500)が終了する。
【0083】
このように、本プリンタ2では、「カラー」に隣接する黒又は濃いグレーの領域にレジずれ対策としての補正処理、すなわち、CMYいずれかの色の追加が行われるが、その領域が「白」に接している場合には、その「白」側の上記色の追加が取り消される。これにより、レジずれによってKの色材が上記「白」から離れる方向にずれた場合に、本来必要のない補正処理によって追加したCMYの色が現れてしまうという不具合を防止することができる。また、その際、上記「カラー」側では、必要量の補正された領域が残っているので、「カラー」側のレジずれ対策に支障をきたすことはない。
【0084】
以上説明した本実施の形態例では、レジずれ対策としての上記補正処理(図2に示す処理)をプログラムに従ったCPU24の処理としたが、エンジンI/F27などASICによる処理で実行するようにしてもよい。また、前記ビットマップデータをホストコンピュータ1側で生成する印刷システムでは、当該補正処理をプリンタドライバ11で実行するようにしてもよい。この場合には、上記補正処理後のデータがプリンタ2へ送信されて、同様の印刷が実行される。
【0085】
以上説明したように本実施の形態例に係るプリンタ2では、レジずれに対する補正処理において、処理対象画素の黒の階調値が、最高値(255)の場合とそれより低い値である場合とで処理内容を変え、最高値の場合には、当該画素値に、補正対象領域に隣接する「カラー」の各階調値を付加し、それより低い値である場合には、当該画素値がコンポジットKの値に置き換えられる。これにより、真黒でないグレーの部分に他の領域のカラー色を加えてしまって画質の劣化を招くことを防止することができ、かつ、K以外の色材の供給がなされるようになるので、レジずれ対策の効果も有する。また、上記補正処理に用いる各階調値は、いずれの場合も当該補正処理のために用意されたものではなく、当該処理のためのデータテーブルなどの準備は不要である。また、補正処理自体も、階調値の付加又は階調値の置き換えであり、簡便である。本実施の形態例では、黒の階調値が最高値の場合にのみ、補正対象領域に隣接する「カラー」の各階調値を付加するようにしたが、隣接するカラーの階調値を付加してもその付加された色が目立たないほぼ真黒の階調値をもつ補正処理対象の黒の画素にも隣接するカラーの階調値を付加するようにしてもよい。
【0086】
また、本プリンタ2では、レジずれ対策としての補正処理が、ビットマップデータの生成後に画素単位で実行される。そして、まず、各画素を識別するラベリングを実行し、当該ラベリングによって得られた各画素を識別するデータを利用して補正対象箇所の検出を行い、その検出結果に基づいて補正を実行する。従って、オブジェクト単位での処理のように補正対象に抜けがでることがなく、確実な処理が実行できると共に、上記ラベリングにより処理を簡便にかつ高速に行うことができる。
【0087】
また、補正対象としては、「カラー」領域に隣接する同一階調の「単色K濃」領域とし、その領域にK以外の色が追加される。従って、レジずれによってKの位置が「カラー」領域から離れる方向にずれてもいわゆる白抜けを防止することができる。すなわち、ビジネスユースで最も頻繁に起こるレジずれによる不具合を有効に防止することができる。
【0088】
また、上述した処理により、Kと他の色が混ざった写真画像などの領域やKのグラデーションとなった領域に対して補正処理が行われないので、当該領域の画質の劣化を起こすことがない。
【0089】
また、上述した補正対象の検出処理では、対象画素の全方向について補正をするか否かのチェックを行うので、抜けのない確実なレジずれ対策を取ることができる。
【0090】
なお、上記の実施の形態例では、本発明を適用する画像形成装置がプリンタであったが、本発明は複写機等にも適用することができる。
【0091】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの実施の形態例に係る構成図である。
【図2】CPU24が行なう補正処理の全体の手順を例示したフローチャートである。
【図3】ビットマップデータと種別データを例示した図である。
【図4】補正対象の検出と補正の処理を説明するために例示したビットマップデータを示す図である。
【図5】補正対象の検出と補正の処理を例示したフローチャートである。
【図6】周辺画素及び検出方向を説明するための図である。
【図7】主方向が上である場合の補正対象検出処理を説明するための図である。
【図8】右上の周辺画素についての処理を示した図である。
【図9】検出された補正箇所に対する補正処理の手順を例示したフローチャートである。
【図10】コンポジットKの対応テーブルを例示した図である。
【図11】白に接している部分の変更処理の手順を例示したフローチャートである。
【図12】白に接している部分の変更処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0093】
1 ホストコンピュータ、 2 プリンタ、 11 プリンタドライバ、 21 コントローラ(補正手段)、 22 エンジン、 23 I/F、 24 CPU、 25 RAM、 26 ROM、 27 エンジンI/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に複数の色材を用い、各画素が前記色材の各色の階調値を有するビットマップデータに基づいて前記画像形成を行なう画像形成装置であって、
前記ビットマップデータにおいて、黒色以外の前記色材の階調値が0で、黒色の前記色材の階調値が0でない画素の少なくとも一部について、前記階調値を補正する補正処理を実行する補正手段を有し、
前記補正手段は、処理対象となる前記画素が有する、前記ビットマップデータの黒色の階調値が、最高値である場合と、当該最高値よりも低い値である場合とで、異なる処理を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記補正手段は、前記黒色の階調値が最高値である場合には、当該処理対象の画素を含む補正対象領域が隣接する画素における、前記ビットマップデータの各色の階調値を、当該処理対象の画素のビットマップデータに付加し、前記最高値よりも低い値である場合には、当該処理対象の画素の黒色を、黒単色を黒以外の色を含む混色で表現する場合の色に置き換えるように、当該処理対象の画素のビットマップデータを変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
画像形成に複数の色材を用い、各画素が前記色材の各色の階調値を有するビットマップデータに基づいて前記画像形成を行なう画像形成装置における画像形成方法であって、
前記ビットマップデータにおいて、黒色以外の前記色材の階調値が0で、黒色の前記色材の階調値が0でない画素の少なくとも一部について、前記階調値を補正する補正処理を実行する補正工程を有し、
前記補正工程では、処理対象となる前記画素が有する、前記ビットマップデータの黒色の階調値が、最高値である場合と、当該最高値よりも低い値である場合とで、異なる処理が実行される
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
画像形成に複数の色材を用い、各画素が前記色材の各色の階調値を有するビットマップデータに基づいて前記画像形成を行なう画像形成装置用の前記ビットマップデータの生成を、前記画像形成装置のホスト装置に実行させる印刷データ生成プログラムであって、
前記ビットマップデータにおいて、黒色以外の前記色材の階調値が0で、黒色の前記色材の階調値が0でない画素の少なくとも一部について、前記階調値を補正する補正処理を実行する補正工程を前記ホスト装置に実行させ、
前記補正工程では、処理対象となる前記画素が有する、前記ビットマップデータの黒色の階調値が、最高値である場合と、当該最高値よりも低い値である場合とで、異なる処理が実行される
ことを特徴とする印刷データ生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−135886(P2009−135886A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182948(P2008−182948)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】