説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】像担持体上の転写残トナーを、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧を印加したクリーニング部材により静電的に除去するクリーニング装置において、良好なクリーニング性能を得る。
【解決手段】感光体1上の転写残トナーを除去するクリーニング装置20が、転写残トナーの帯電極性を制御する電圧の印加された導電性ブレード22と、導電性ブレード22より下流に配置され感光体1を除電するクリーニング部除電ランプ25と、クリーニング部除電ランプ25より下流に配置され転写残トナーを静電的に除去する導電性のクリ−ニングブラシ23と、クリーニングブラシ23上のトナーを回収するトナー回収手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、および、これに採用されるプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記画像形成装置に採用されるクリーニング装置として、弾性部材よりなるクリーニングブレードを像担持体上の周面に押し当てて像担持体上のトナーを掻き落として除去するブレードクリーニング方式が知られている。ブレードクリーニング方式は、構成が簡易で性能が安定していることから広く用いられている。
【0003】
また、近年、画像品質向上の要求が強まっており、その要求に応えるべく、トナーの小粒径化、球形化が進められている。小粒径化により、より高精度で高精細な高解像度の画像を得ることができ、球形化により現像性、転写性の向上を図ることができる。
【0004】
しかしながら、小粒径化、球形化が進んだトナーを用いた場合には、一般的なクリーニングブレード方式では良好なクリーニングをおこなうことが難しくなってくる。これは、クリーニングブレードは像担持体表面を摺擦しながらトナーを除去するが、像担持体との摩擦抵抗によりクリーニングブレードのエッジの部分が変形する、所謂、スティックスリップのため、像担持体とクリーニングブレードのと間に微小な空間が生じてしまう。小粒径のトナーであるほど、この空間に侵入しやすく、侵入したトナーが球形に近い形状であるほど、トナーに回転モーメントが発生してこの空間で転がりやすい。このため、小粒径化、球形化が進んだトナーは、クリーニングブレードを押し上げて、クリーニングブレードと像担持体との間にもぐり込みやすくなってしまうためである。
【0005】
小粒径化、球形化が進んだトナーを用いる場合には、像担持体に対するクリーニングブレードの押し当て力(線圧)を強め、トナーのもぐり込みを阻止することが考えられる。しかしながら、押し当て力を強めて高い荷重を付加すると、像担持体やクリーニングブレードの磨耗が進み、寿命が極端に短くなってしまう。近年、装置の高寿命化が求められるため、このような耐久性に関わる不具合は避けなければならない。
【0006】
一方、小粒径化、球形化の進んだトナーを良好にクリーニングする方法として、静電クリーニング方式がある。これは、像担持体に当接する導電性のクリーニングブラシ等の静電クリーニング部材にトナーの帯電極性とは逆極性の電圧を印加して、静電的にトナーを像担持体上から除去するものである。
【0007】
ところが、静電クリーニング方式でもトナーが除去しきれない場合がある。これは、以下に説明するように、クリーニング部に達する転写残トナーの帯電量のばらつきによるものである。図3は、転写前の像担持体上のトナーの帯電量分布と、転写後に像担持体上に残留した転写残トナーの帯電量分布を示すグラフである。図3に示すように、転写前の像担持体上のトナーは、そのほとんどがトナーの正規帯電極性(ここでは、負極性)に帯電している。転写部では、像担持体上のトナーは、トナーの正規帯電極性と逆極性(ここでは、正極性)の転写電界を受けることにより被転写体に転写されるが、そのまま像担持体上に付着して転写残トナーとなるものがある。転写残トナーは、転写部で印加された正極性の電荷注入を受けるなどして、電荷量が正極性側にシフトしたものである。このため、像担持体上の転写残トナーは、図3に示すように、正極性のトナーと負極性のトナーとが混在したブロードな分布となる。上記静電クリーニング方式では、クリーニングブラシにトナーの帯電極性とは逆極性の正極性の電圧を印加して静電的にクリーニングをおこなうので、正極性にシフトしてしまったトナーは回収困難となってしまう。
【0008】
そこで、本出願人は、特許文献1で、静電クリーニング部材の上流に転写残トナーの帯電極性を揃える極性制御手段を設けるものを提案している。この極性制御手段により像担持体上の転写残トナーの帯電極性をトナーの正規帯電極性である負極性に揃えることで、下流の正極性の電圧が印加されたクリーニングブラシによるトナー回収をしやすくしている。
【0009】
【特許文献1】特開2004−212823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、極性制御手段として、像担持体表面に離間して設けられたコロナチャージャのマイクロ放電電荷を用いるものや、像担持体に接触して設けられた電圧を印加された導電性ブラシローラからの電荷注入によるものが開示されている。また、小型で装置が簡易な極性制御手段として、電圧を印加された導電性ブレードからの電荷注入によるものも考えられる。
【0011】
このような極性制御手段を用いるものでは、転写残トナーの帯電制御すると同時に転写残トナーを担持する像担持体も帯電させてしまう。このため、像担持体は負極性側に高い電位に帯電した状態で、正極性の電圧が印加されたクリーニングブラシの位置に達することになる。ここで、像担持体から転写残トナーを除去するクリーニングブラシのブラシ繊維は導電性材料であるため、像担持体とクリーニングブラシとの間でトナーへの電荷注入が発生する可能性がある。特に、像担持体とクリーニングブラシとの電位差が大きいと、電位差解消のために、像担持体とクリーニングブラシとの間に存在する転写残トナーに対して電荷注入を受けるほど多くの電流が流れ、転写残トナーの帯電極性が正極性側に反転してしまう。極性反転した転写残トナーに対してはクリーニングブラシによる良好な静電クリーニングがおこなわれなくなってしまう。このため、像担持体上に正極性のクリーニング残トナーが多く残ってしまうという問題があった。このような、クリーニング残トナーを少なくする為には、クリーニングブラシ位置での転写残トナーへの電荷注入をできるだけ少なくすることが望まれる。
【0012】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、像担持体上の転写残トナーを、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧を印加したクリーニング部材により静電的に除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置およびブロセスカートリッジにおいて、良好なクリーニング性能を得ることのできる画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体を帯電する帯電装置と、該像担持体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、該像担持体上の静電潜像をトナー像化する現像装置と、該像担持体上のトナー像を被転写材に転写する転写装置と、該像担持体上の転写残トナーを除去するクリーニング装置とを備え、該クリーニング装置は、該転写残トナーの帯電極性を制御する極性制御手段と、該像担持体の表面移動方向に関して該極性制御手段より下流に配置され該転写残トナーを静電的に除去する表面移動可能なクリーニング部材と、該クリーニング部材上のトナーを回収するトナー回収手段とを有する画像形成装置において、上記極性制御手段よりも下流で上記クリーニング部材よりも上流に上記像担持体を除電する除電部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記極性制御手段は上記像担持体の帯電電位と同極性の電圧が印加されることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記現像装置で用いられるトナーが球形トナーであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記現像装置で用いられるトナーの形状係数SF1が100〜150であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像形成装置において、上記極性制御手段が導電性弾性ブレードであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記除電部材が除電ランプであることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、上記像担持体上にトナー像を形成する複数の現像装置を備え、該像担持体上に形成された複数のトナー像を重ね合わせて多色画像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、複数の像担持体と、該複数の像担持体上にトナー像を形成する現像装置をそれぞれ備え、複数の像担持体上に形成されたトナー像を重ね合わせて多色画像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体がフィラーを分散させた感光体であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体が充填材で補強された表面層を有した有機感光体、または、架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体がアモルファスシリコン感光体であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置に採用されるプロセスカ−トリッジにおいて、上記像担持体の転写残トナーの帯電極性を制御する極性制御手段と、該像担持体の表面移動方向に関して該極性制御手段より下流に配置され該転写残トナーを静電的に除去する表面移動可能なクリーニング部材と、該クリーニング部材上のトナーを回収するトナー回収手段と、該極性制御手段よりも下流で該クリーニング部材よりも上流に配置され該像担持体を除電する除電部材とを備えたクリーニング装置と、該像担持体とを一体的に構成し、画像形成装置本体に脱着可能であることを特徴とするものである。
【0014】
本発明においては、除電部材により極性制御手段により帯電した像担持体の除電を行って、像担持体とクリーニング部材との電位差が小さくする。像担持体とクリーニング部材との電位差を小さくすると、電位差解消のために像担持体とクリーニング部材との間に存在する転写残トナーに対して流れる電流が小さくなり、転写残トナーへの電荷注入が抑制される。よって、帯電極性が反転してしまう転写残トナーは少なくなり、極性制御手段により帯電極性を制御されたままの状態で、良好に静電クリーニングされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、像担持体上の転写残トナーを、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧を印加したクリーニング部材により静電的に除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置およびブロセスカートリッジにおいて、良好なクリーニング性能を得ることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真プリンタ(以下、単にプリンタ100という)に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。プリンタ100は、単一色の複写を行うものであり、図示しない画像読み取り部で読み取った画像データに基づいてモノクロ画像形成を行う。
【0017】
まず、プリンタ100全体の構成について説明する。
図1に示すように、プリンタ100は、像担持体としてのドラム状の感光体1を備えている。感光体1の周囲には帯電装置としての帯電ローラ3、潜像をトナー像化するトナー像形成手段である現像装置6、トナー像を記録媒体としての転写紙に転写する転写装置としての転写ローラ15、転写後の感光体1上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置20、感光体1を除電する除電ランプ2等が配置されている。また、除電ランプ2と帯電ローラ3との間には、除電ランプの光を遮光する遮光板40が設けられている。
【0018】
帯電ローラ3は、感光体1に所定の距離を持って非接触で配置され、感光体1を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。プリンタ100では、感光体1を負極性に一様に帯電させる。
帯電ローラ3によって一様帯電された感光体1は、図示しない露光装置から画像データに基づいてレーザー光4が照射され静電潜像が形成される。
【0019】
現像装置6は、磁界発生手段としてのマグネットを内包した現像剤担持体としての現像ローラ8を有している。この現像ローラ8には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置6のケーシング7内には、ケーシング7内に収容されたトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ9及び攪拌スクリュ10が設けられている。また、現像ローラ8に担持された現像剤を規制するためのドクタ5も設けられている。供給スクリュ9及び攪拌スクリュ10の2本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、負極性に帯電される。そして、現像剤は現像ローラ8に内包されたマグネットの作用により、現像ローラ8に汲み上げられる。汲み上げられた現像剤は、ドクタ5により規制され、感光体1と対向する現像領域でマグネットの磁力により穂立ち状態となって磁気ブラシを形成する。
【0020】
また、転写ローラ15には、図示しない電源から転写バイアスが印加されるようになっている。
【0021】
また、クリーニング装置20には、詳細は後述するクリーニングブラシ23が備えられており、静電的に感光体1上の転写残トナーを除去する。
【0022】
次に、プリンタ100における画像形成動作を説明する。
プリンタ100では、図示しない操作部のコピースタートボタンが押されると、図示しない画像読み取り部で原稿の読み取りが開始される。帯電ローラ3、現像ローラ8、転写ローラ15及びクリーニングブラシ23に、それぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により感光体1が図中矢印A方向に回転駆動される。感光体1の回転駆動と同時に、現像ローラ8、転写ローラ15、供給スクリュ9、攪拌スクリュ10、及び詳細は後述するトナー排出スクリュ19、クリーニングブラシ23、回収ローラ24も所定の方向に回転駆動される。
【0023】
感光体1が図中矢印A方向に回転すると、まず感光体1が、帯電ローラ3によって例えば−700[V]の電位に帯電される。そして、図示しない露光装置から画像信号に対応したレーザー光4が感光体1に照射され、レーザー光4が照射された部分の感光体1の電位が例えば−120[V]に低下し静電潜像が形成される。
【0024】
静電潜像の形成された感光体1は、現像装置6との対向部で現像ローラ8上に形成された現像剤の磁気ブラシで感光体1の表面を摺擦される。このとき、現像ローラ8上の負帯電トナーは、現像ローラ8に印加された例えば−450[V]の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。このように、本実施形態では、感光体1上に形成された静電潜像を、現像装置6により負極性に帯電されたトナーによる反転(ネガポジ(N/P):電位が低い所にトナーが付着する)現像を用いて現像する。
【0025】
感光体1上に形成されたトナー像は、図示しない給紙部から上レジストローラ11と下レジストローラ12との対向部を経て、ガイド板13、14にガイドされて感光体1と転写ローラ15との間に形成される転写領域に給紙される転写紙に転写される。このとき、転写紙は上レジストローラ11と下レジストローラ12との対向部で画像先端と同期を取り供給される。また、転写紙への転写時には、転写ローラ15に、例えば+10[μA]に定電流制御された転写バイアスが印加される。トナー像が転写された転写紙は、分離手段としての分離爪16によって感光体1から分離され、搬送ガイド板41にガイドされて図示しない定着手段としての定着装置へ搬送される。そして、定着装置を通過することにより、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙上に定着されて、転写紙は機外に排出される。
一方、転写後の感光体1は、クリーニング装置20で転写残トナーが除去され、さらに除電ランプ2で除電される。
【0026】
次に、感光体1上の転写残トナーを除去するクリーニング装置20について説明する。
【0027】
まず、従来のブレードクリーニング方式のクリーニング装置について説明する。
画像形成装置においては、より高精度および高精細な画像が形成できるよう、高解像度を有することが要求されている。その達成手段の1つとしてより粒径を小さくしたトナーを用いることがあげられる。また、転写率向上のためにトナーの形状を不定形からより球に近い形状のものが使われるようになってきている。しかしながら、従来ブレードクリーニング方式では、小粒径化や球形化の進んだトナーをクリーニングすることが困難な状況である。
また、ブレードクリーニング方式ででも、線圧を極端に高くすれば(具体的には線圧:100[gf/cm]以上)、小粒径化や球形化の進んだトナーをクリーニングできるが、その分感光体やクリーニングブレードの寿命が極端に短くなる。通常の線圧(20[gf/cm])での感光体寿命(感光層が1/3程度削れる時の寿命)は直径30[mm]で約10万枚、クリーニングブレード寿命(削れてクリーニング不良が発生する時の寿命)約12万枚である。一方、高い線圧(100[gf/cm])の時は、感光体の寿命は約2万枚、クリーニングブレードの寿命は約2万枚程度であり、耐久性が1/5〜1/6になるといえる。
【0028】
これに対し、小粒径化や球形化の進んだトナーのクリーニング時にも良好なクリーニング性を備え、かつ、感光体表面の膜削れを軽減できる機械的な摺擦を抑えたクリーニング方式として、静電クリーニング方式がある。
【0029】
図2は、本実施形態のプリンタに採用される静電クリーニング方式のクリーニング装置の概略構成図である。クリーニング装置20は、クリーニング部材としてのクリーニングブラシ23と、クリーニング電源28から正極性の電圧が印加される回収ローラ24と、回収ローラ24上に移動したトナーを掻き落とす回収ローラ用クリーニングブレード27とを備えている。また、クリーニングブラシ23が感光体1上の転写残トナーを除去する位置に対して感光体1表面移動方向上流側には、転写残トナーの帯電極性を制御する極性制御手段として、ブレード電源29から負極性の電圧が印加された導電性ブレード22備えている。さらに、導電性ブレード22よりも下流側でクリーニングブラシ23よりも上流側には、感光体1を除電する除電部材としてのクリーニング部除電ランプ25を備えている。
【0030】
クリーニングブラシ23は、ブラシ回転軸を中心に回転駆動するブラシローラであり、クリーニング電源28より回収ローラ24に電圧が印加され、回収ローラ24からクリーニングブラシ23へ給電されトナーを感光体1上からクリーニングブラシ23へ移動させる。また、クリーニング電源28に加え、直接ブラシ回転軸に電圧を印加する電源を設けても良い。
【0031】
また、導電性ブレード22は、例えばポリウレタンゴムを素材とした弾性体である。導電性ブレード22の電気抵抗は10〜10[Ω・cm]である。導電性ブレード22は、感光体1とカウンター方向で当接し、当接角度は20[°]、当接圧は20〜40[g/cm]、感光体への喰い込みは0.6[mm]で構成されている。ここでは、電気抵抗は10[Ω・cm]で、当接圧は20[g/cm]のものをもちいた。また、導電性ブレード22は板金のブレード支持部材21上に接着された板状によって構成され、厚みが2[mm]、自由長が7[mm]、JIS−A硬度計で60〜80、反発弾性は30[%]、である。この導電性ブレード22は、上述のように感光体1への当接圧が低く、小粒径化、球形化が進んだトナーについてはトナーのすり抜け量が多くなる。しかし、導電性ブレード22は、転写残トナーをクリーニングブラシ23で感光体1上から除去するためにトナー帯電量を片側に揃える極性制御手段であるので、トナーすり抜けが多くてもかまわない。
【0032】
クリーニング部除電ランプ25は、発光ダイオードを等間隔に複数個並べたものである。
【0033】
ここで、転写残トナーとして、感光体1に付着し、クリーニング装置20との対向部に到達するトナーの帯電量と感光体の帯電電位について説明する。
図3は、転写前の感光体1上のトナーの帯電量分布と、転写後に感光体1上に残留した転写残トナーの帯電量分布を示すグラフである。なお、帯電量分布はホソカワミクロン製 E−スパートアナライザで計測したもので、縦軸が収集した個数に対する比率を、横軸がトナー1個の帯電量を表す。今回の収集個数は転写残トナーが少ないためトナー個数を500個とした。
図3に示すように、転写前の感光体1上のトナーは、そのほとんどが負極性に帯電している。転写時には、感光体1上のトナーは、転写ローラ15に印加された正極性の転写バイアスにより転写紙に転写するが、転写前から正極性に帯電していたトナーのほとんどはそのまま感光体1に付着する。さらに、転写前に負極性に帯電していたトナーでも転写ローラ15に印加された正極性の電荷注入を受けるなどして、帯電極性が正極性側にシフトし、その一部は正極性に反転することがある。よって、感光体1上の転写残トナーは、図3に示すように、正極性のトナーと負極性のトナーとが混在したブロードな分布となる。
【0034】
さらに、環境条件が変化した時の転写残トナーの帯電量について説明する。図4は、使用環境が高温高湿(30[℃]、90[%])、常温常湿(20[℃]、50[%])、低温低湿(10[℃]、15[%])での転写前のトナーの帯電量分布を示すグラフである。図4に示すように、低温低湿時にはトナーは帯電しやすいため帯電量が上がり、高温高湿時には帯電し難いため帯電量が下がる。このため、低温低湿時はトナー帯電量は負極性の電荷量の高い位置に分布しているが、高温高湿時はトナー帯電量は低温低湿時に較べ帯電量の低い位置で分布している。このような環境によって異なる帯電量分布を有する転写前の感光体上のトナーが、転写部を通過すると、各環境により異なる帯電量分布を示す。図5は、高温高湿時の転写前の感光体上トナーの帯電量分布と、転写残トナーの帯電量分布を表したものである。また、図6は、低温低湿時の転写前の感光体上のトナーの帯電量分布と、転写残トナーの帯電量分布を表したものである。なお、上述の図3は、常温常湿時の転写前の感光体上トナーの帯電量分布と、転写残トナーの帯電量分布を表したものである。図3、図5、図6からわかるように、高温高湿時では常温常湿時に比べ転写残トナーは正極性側が増加した分布になり、低温低湿時では負極性側が増加した分布になる。すなわち、高温高湿時では感光体1上の転写残トナー帯電量分布は正極性側にシフトしている。
【0035】
このような帯電量分布をもつ転写残トナーは、感光体1の表面移動により導電性ブレード22との対向位置まで到達する。図7は、感光体1表面移動時の導電性ブレード22の説明図である。導電性ブレード22との対向部まで到達したトナーの一部は機械的に掻き落されるが、導電性ブレード22にスティックスリップ(図中状態C)が発生し、一部はすり抜けていく。
【0036】
導電性ブレード22には、正極性側に偏った転写残トナーを負極性側にするために、ブレード電源29より高めの負極性の電圧、ここでは−1400[V]が印加されている。転写残トナーが導電性ブレード22と感光体1との間にはさまれた時、導電性ブレード22に印加された電圧でトナーに電流が流れ込みトナーは負極性に帯電して導電性ブレード22を通過する。また、感光体1と導電性ブレード22で形成された楔部の入り口と出口の微小ギャップ部の放電によりトナーは負極性に帯電する。すなわち、トナーが導電性ブレード22と感光体1との対向部をすり抜けるときに、導電性ブレード22が、電荷注入により、トナーを正規の帯電極性(負極性)に帯電させる。図8は、常温常湿時の転写残トナー帯電量分布と、導電性ブレード22通過後の転写残トナー帯電量分布とを表すものである。図8に示すように、導電性ブレード22を用いることで、感光体1上の転写残トナー帯電量分布は負極性側にシフトする。これと同時に、感光体1は、導電性ブレード22に印加された高い電圧により負極性に帯電する。なお、導電性ブレード22にこのような高い電圧を印加する必要があるのは、上述のように高温高湿時で感光体1上の転写残トナーの帯電量分布が極端に正極性側にシフトしたような場合である。
【0037】
導電性ブレード22によって負極性に帯電された感光体1とトナーは、感光体1の表面移動により、クリーニング部除電ランプ25の位置に移送される。ここで、導電性ブレード22により帯電させられた感光体1を、クリーニング部除電ランプ25により除電する。
【0038】
図9は、導電性ブレード22への印加電圧とクリーニング部除電ランプ25通過後の感光体1の表面電位の関係を示すグラフである。また、図9では、比較のためにクリーニング部除電ランプ25不点灯時の感光体1の表面電位も示している。クリーニング部除電ランプ25不点灯の場合、導電性ブレード22に高い電圧を印加したとき、感光体1は導電性ブレード22から電荷注入を受けて負極性に帯電している。このように導電性ブレード22により感光体1が帯電した場合においても、クリーニング部除電ランプ25を設けることで、クリーニング部除電ランプ25通過後の感光体1を除電し、表面電位をゼロに近づけることができる。
【0039】
負極性に帯電された転写残トナーおよび除電された感光体1はクリーニングブラシ23の位置に移送される。クリーニングブラシ23へはトナーの帯電極性とは逆の電圧(正極性)が給電されており、導電性ブレード22をすり抜けた転写残トナーを静電的に吸着する。
【0040】
ここで、従来の感光体1を除電しないものでは、図9の除電ランプ不点灯が示すように、感光体1は負極性側に高い電位に帯電した状態のままでクリーニングブラシ23の位置に移送されるので、正極性の電圧が給電されるクリーニングブラシ23との電位差が大きくなる。このため、多くの電流が感光体1上の転写残トナーに流れ、転写残トナーはクリーニングブラシ23からの電荷注入を受けて帯電極性が再び正極性側に反転する。よって、クリーニングブラシ23による静電クリーニングが良好に行われずにクリーニング残トナーを生じてしまう。この結果、次の画像形成時にクリーニング残トナーが感光体1上に残留していることによる異常画像や、クリーニング残トナーが帯電ローラ3に付着するこによる異常画像を引き起こす。
【0041】
しかし、クリーニング部除電ランプ25を設け感光体1の除電をおこなったものでは、感光体1とクリーニングブラシ23間の電位差は十分小さいため、転写残トナーの帯電極性は反転せずに、クリーニングブラシ23により感光体1上から良好に除去される。
【0042】
図10は、クリーニングブラシ23に印加する電圧を+500[V]としたときの導電性ブレード22への印加電圧とクリーニング残トナーIDとの関係を示すグラフである。図10に示すように、クリーニング部除電ランプ25を設けたものでは、導電性ブレード22への印加電圧を高い電圧としてもクリーニング残トナーは増加しないことがわかる。一方、クリーニング部除電ランプ25を設けないものでは、導電性ブレード22に印加する電圧を高い電圧としたときクリーニング残トナーが増加することがわかる。
【0043】
クリーニングブラシ23上に移動したトナーはクリーニングブラシ23より更に高い正極性の電位である回収ローラ24へ電位勾配により移動する。回収ローラ24上のトナーは回収ローラ用クリーニングブレード27により掻き落とされ、トナー排出スクリュー19で機外に排出又は現像装置6に戻される。
【0044】
また、極性制御手段は感光体1上の転写残トナーの帯電極性を負極性へ揃える機能を保持するものであれば上述のような導電性ブレード22の形態に限らず、図11に示すコロナチャージャ42、図12に示すブラシローラ43などを用いることができる。しかし、導電性ブレード23の形態であれば、簡易な方法で、クリーニングブラシ23による静電クリーニングの前段階においてクリーニング機能を持たせることが可能であるというメリットがあり、好適と考えられる。
【0045】
また、除電部材は感光体1の帯電電位を除電するものであれば上述のようなクリーニング部除電ランプ25の形態に限らず、図13に示すコロナチャージャ45、図14に示す帯電ローラ47などを用いることができる。しかし、感光体1上に存在する転写残トナーの帯電極性に影響を与えないものが適しているため、除電ランプが好適と考えられる。
【0046】
また、クリーニング部材は、感光体1上の転写残トナーを静電的に除去する機能を保持するものであれば上述のようなクリーニングブラシ23の形態に限らず、図15に示す回収ローラ24などを用いることができる。しかし、効率よくクリーニングするためには転写残トナーに対して接触面積が大きいものが適しているので、クリーニングブラシ23が好適と考えられる。
【0047】
このように、クリーニング部除電ランプ25を設けることで、クリーニングブラシ23位置での転写残トナーへの電荷注入を低減させ、クリーニング残トナーを少なくすることができる。
【0048】
さらに、電荷注入はブラシ繊維の構造によっても低減させることができる。以下、ブラシローラ23のブラシ繊維構造による電荷注入について説明する。電荷注入はブラシ繊維内の導電性材料32を通じてトナーに電流が流れ込むことで起きると考えられている。図16、17は、一般的に使用されているクリーニングブラシ23のブラシ繊維31の断面図である。図16、17に示すブラシ繊維は、導電性材料32がブラシ繊維31の表層の絶縁性材料33中に分散されている。このようなものでは、クリーニングブラシ23が転写残トナーをクリーニングする際、導電性材料32とトナーとの接触確立が増えトナーに電流が流れ込み易くなるので、電荷注入が起こりやすい。
【0049】
図18、19は、本実施形態のクリーニング装置20が備えるクリーニングブラシ23のブラシ繊維31の断面図であり、図19は、一つ目の実施例の断面図であり、図20は、二つ目の実施例の断面図である。また、図20は、本実施形態のクリーニング装置20が備えるクリーニングブラシ23の感光体1と接触する一本のブラシ繊維31の縦断面図である。図18、19、20に示すように、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31は、内部が導電性材料32からなり、表面部が絶縁性材料33からなる二層構造の芯鞘構造となっている。このような芯鞘構造のブラシ繊維31は表面部である表層が絶縁性材料33の為、繊維の切断面以外は導電性材料32とトナーとが接触しない。これにより、クリーニングブラシ23から除去するトナーへの電荷注入を抑制することができる。
【0050】
ブラシ繊維31としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材料が一般的で、何れの材料の場合もクリーニングブラシ23から除去するトナーへの電荷注入を抑制することができる。また、芯鞘構造の代表的な繊維は特開平10−310974号公報、特開平10−131035号公報、特開平01−292116号公報、特公平07−033637号公報、特公平07−033606号公報、及び、特公平03−064604号公報などに開示されている。
【0051】
さらに、本実施形態のクリーニングブラシ23のブラシ繊維31は、図20に示すようにクリーニングブラシ23の回転方向(図中矢印B方向)後方側に繊維を倒した、所謂、斜毛(倒毛とも言う)となっている。
一方、図21は、内部が導電性材料32、表面部が絶縁性材料33からなる芯鞘構造のブラシ繊維31が、ブラシ回転軸23aに放射状に取り付けられた、所謂、直毛の場合の一本のブラシ繊維31の縦断面図である。図21中の矢印Bは、クリーニングブラシ23の回転方向、すなわち、ブラシ繊維31の移動方向を示す。図21に示すように、ブラシ繊維31が直毛であると、ブラシ繊維31先端の繊維の断面で導電性材料32とトナーTとが接触し、クリーニングブラシ23からトナーへの電荷注入が発生するおそれがある。
一方、ブラシ繊維31が斜毛であれば、図20に示すように、ブラシ繊維31内部の導電性材料32はトナーとはほとんど接触しない。これにより、感光体1からクリーニングブラシ23、クリーニングブラシ23から回収ローラ24へとトナーが移動する間、クリーニングブラシ23からトナーへの電荷注入を抑制することができる。
【0052】
上述のように、クリーニング部除電ランプ25を設けることにより、感光体1とクリーニングブラシ23との電位差を減少させ、転写残トナーへの電荷注入を抑えることができるため、クリーニングブラシ23の形態は上述のいずれのものも適用できる。しかし、転写残トナーへの電荷注入をさらに抑えるためには、本実施形態のプリンタのように、図18,19に示す芯鞘構造をとるブラシ繊維31を用い、図20に示す斜毛の形態をとるクリーニングブラシ23を用いることが好ましい。
【0053】
次に電荷注入が発生する部位について、図22に示すクリーニングブラシ23が直毛である概略構成図を用いて説明する。図22で示すように、回収ローラ24にクリーニング電源22から電圧が印加され、回収ローラ24からクリーニングブラシ23へ給電されトナーを感光体1上からクリーニングブラシ23へ移動させる。トナーへの電荷注入は、図22中の領域E及び領域Fで発生する。領域Eでの電荷注入はトナーがブラシ繊維31の導電性材料32と接触した瞬間に起き、帯電量の低いトナーは印加電圧側の極性に反転する為、クリーニングブラシ23には移動せず、そのままクリーニングブラシ23を通過してクリーニング残トナーとなる。また、帯電量の高いトナーでも電荷注入はするが、帯電量が高い為トナーの極性は反転せずクリーニングブラシ23に移動する。
一方、領域Fでは感光体1からクリーニングブラシ23へ移動した印加電圧と逆極性のトナーは回収ローラ24へ移動する。このとき、感光体1とクリーニングブラシ23との間と同じことが起きる。すなわち、帯電量の低いトナーは極性が反転し回収ローラ24へは移動せずクリーニングブラシ23上に残ったままクリーニングブラシ23の回転で再び感光体1と出会い、感光体1へ再度付着し、クリーニング残トナーとなる。このため、クリーニングブラシ23を上述のような芯鞘構造の斜毛ブラシにすれば、図20に示すように繊維の導電性材料32とトナーは接触し難くなり、感光体1とクリーニングブラシ23間、クリーニングブラシ23と回収ローラ24間での電荷注入が低減できる。
【0054】
次の領域E及び領域Fで電荷注入が発生していることの確認を行った。
図23は、図22を用いて説明した構成から、転写部と導電性ブレード22を外しクリーニングブラシ23への入力トナーを現像後のほぼ100[%]負極性トナーにしてクリーニングさせた。そして、トナー像先端がクリーニングブラシ23と感光体1の接触部からクリーニングブラシ23の周長の2倍分(2回転)を過ぎた所で感光体1を停止し、クリーニングブラシ23の2周目に相当する感光体1上のトナーq/d分布を計測した。このとき、クリーニングブラシ23がトナー像をクリーニングし始めてから1回転して感光体1と再び出会う時は、回収ローラ24とは1度接触しているのでクリーニングブラシ23と回収ローラ24との間での電荷注入は発生しておりクリーニングブラシ23が2回転した時の感光体1上のトナーq/d分布を計測すれば電荷注入が判断できる。
【0055】
図24は、電荷注入が主にクリーニングブラシ23と回収ローラ24間で発生することを計測する為、図23の構成から回収ローラ24と回収ローラ用クリーニングブレード27を外し、クリーニングブラシ23のブラシ回転軸23aに電圧を印加するものの概略構成図である。感光体1の停止位置は図23の構成の場合と同じでクリーニングブラシ23を2回転で停止させた。なお、図24の構成のクリーニングブラシ23のブラシ繊維は直毛である。また、図25は、図24の構成のクリーニングブラシ23のブラシ繊維を斜毛とした場合の概略構成図である。
【0056】
図26は、図23、図24及び図25の各構成でのクリーニング性を比較した結果を示すグラフである。図26では横軸が回収ローラ24又はクリーニングブラシ23への印加電圧、縦軸がクリーニング残IDである。
縦軸のクリーニング残IDは、次のようにして求める。先ず、クリーニングブラシ23によってクリーニングした後の感光体1上のトナーをスコッチテープでテープ転写する。次に、このスコッチテープ紙上に貼り付けてそれを分光測色計(アムテック社製Xライト)で測定する。一方、スコッチテープでテープのみを紙上に貼り付けて分光測色計で測定し、感光体1上の反射濃度からスコッチテープでテープのみを引いた値がクリーニング残IDである。IDとトナー個数は相関関係が有り、トナー個数が多いとIDの値は増加する。従ってIDでクリーニング性の判断ができる。
【0057】
図26に示すように、図23の構成より図24の構成のほうが、また図24の構成よりも図25の構成の方がクリーニング残IDの値が低くなる。印加電圧を高くした時のクリーニング残トナーは全て印加電圧極性側、つまり電荷注入されたトナーである。逆に印加電圧が低い方のクリーニング残IDはクリーニングできないトナーである。この場合500[V]以上のクリーニング残IDは全て正極性トナーである。一方、図中200[V](図24の構成では100V)以下のトナーは全て負極性トナーである。図26からわかるように電荷注入がそれぞれ感光体1とクリーニングブラシ23との間、クリーニングブラシ23と回収ローラ24との間で発生していることがわかる。また、図25の構成の結果を見れば、クリーニングブラシ23のブラシ繊維として芯鞘構造の斜毛ブラシを使用すればほとんど電化注入が発生していないことがわかる。
【0058】
次に、本実施形態に適用可能なクリーニングブラシ及び回収ローラの具体的な構成を下記に示す。
・回収ローラ材質:SUS、径:10[mm]
・ブラシ材質:導電性ポリエステル、幅:5[mm]、毛足長さ:5[mm]
・ブラシの感光体への食いこみ量:1[mm]
・ブラシ原糸抵抗:10[Ω・cm]
・ブラシ植毛密度:10[万本/inch
【0059】
次に、回収ローラ用クリーニングブレード27の具体的な構成を以下に示す。
・回収ローラブレード当接角度:20[°]
・回収ローラへ喰い込み量:1[mm]
・回収ローラブレード材質:ポリウレタンゴム
【0060】
ブラシ繊維31の倒れ量は感光体1や回収ローラ24の径で異なる為、感光体1または回収ローラ24とブラシ繊維31との導電性材料32とが接触しないように適宜決めればよい。クリーニングブラシ23の斜毛方法は、通常の直毛(軸に対して放射状)状態からクリーニングブラシ23の径と同じの内径に作られた冶具に熱を加えながら回転させてブラシ繊維31を永久的に変形させることでブラシ繊維31を傾斜させる。ブラシ回転軸23aからブラシ繊維31先端までの長さは、直毛の場合より長くしておく必要がある。また、ブラシ繊維31が曲がった形状でなくとも、ブラシの付け根からブラシの先端までの長さがブラシの付け根から感光体1表面までの距離よりも十分に長く、感光体1に対してブラシ繊維31の側面が接触し、先端部が接触しない程度の長さのブラシ繊維31を備え、感光体1に対してカウンター方向に回転するクリーニングブラシ23であれば、ブラシ繊維31の先端部がトナーと接触することを抑制することができ、クリーニングブラシ23からトナーへの電荷注入を抑制することができる。
【0061】
球形トナーを用いた場合は、粉砕トナーを用いた場合に比べて導電性ブレード22による感光体1上からのトナー除去は少なくなるが、トナーすり抜けが多くても上記で説明したように導電性ブレード22でトナー帯電量を片側に揃えてクリーニングブラシ23で感光体1上から除去するので良好なクリーニング性能が得られる。
【0062】
次に、回収ローラ24によるトナーの除去が可能なことを説明する。回収ローラ24はクリーニングブラシ23に付着したトナーをクリーニングブラシ23と回収ローラ24間の電位勾配で回収ローラ24へ転位させる機能があれば良い訳で、表面は導電性であれば、感光体1とは異なり、光導電性にとらわれずに材料は任意に選択できる。そこで回収ローラ24の表面を摩擦係数の低い材料でコーティングしたり、金属ローラに摩擦係数の低い導電性チューブを巻いたりすれば球形トナーでも容易に除去できる。具体的にはフッ素コーティングやPVDF、PFAチューブを巻いた回収ローラ24にすればよい。
【0063】
また、回収ローラ24は、表面を絶縁にしても良い。その場合はクリーニングブラシ23、回収ローラ24への電圧印加を別々に行う。回収ローラ24の絶縁表面材料としては、PVDFチューブ、PIチューブ、アクリルコート、シリコーンコート(例えばシリコーン粒子を含有したPCをコート)、セラミックスなどがある。このとき、導電性ブレード22、クリーニングブラシ23、回収ローラ24への印加電圧は、それぞれ−400V、+450V、+750Vとした。これらの印加電圧の値は、使用環境などを加味して適切にすればよい。
【0064】
次に、クリーニング部除電ランプ25を設けたことによる効果の確認実験として、図1に示す画像形成装置で、実際に記録体上に画像形成をおこないその結果を評価した。画像形成動作は、導電性ブレード22による極性制御が行いにくい条件、すなわち、高温高湿環境下とし、導電性ブレード22に−1600[V]の電圧をかけて極性制御を行った。さらに、転写部で転写されずにクリーニング装置20に入力されるトナーが多くなる条件で実験を行った。そして、図1の構成において、クリーニング部除電ランプ25を点灯させて画像形成動作を行った。比較として、クリーニング部除電ランプ25を点灯させずに画像形成動作を行った。
画像形成動作時の条件を下に示す。
コピー機:リコー製Imagio Neo C600
出力枚数:A4横 40,000枚
実験環境:30℃80%
【0065】
この実験の結果、クリーニング部除電25ランプを点灯させた場合は、正常な画像が得られた。一方、クリーニング部除電ランプ25を点灯させなかった場合は、地肌部にトナーが付着した画像(地肌汚れ画像)が得られた。クリーニング部除電ランプ25を点灯させない場合は、トナーがクリーニングブラシ23を通過するとき感光体1表面とクリーニングブラシ23との電位差が大きい。この電位差解消のために、感光体1表面とクリーニングブラシ23との間に存在する転写残トナーに対して電荷注入を受けるほどの電流が流れ、転写残トナーの帯電極性が正極性側に反転する。よって、正極性の電圧を有するクリーニングブラシ23では、帯電極性が正極性側に反転したトナーの回収を行えず、地肌汚れ画像が発生したと考える。これに対し、クリーニング部除電ランプ25を点灯させた場合は、感光体1表面とクリーニングブラシ23の電位差が大きくならないため、転写残トナーの帯電極性は正極性側に反転せず、クリーニングブラシ23でのトナーの回収が確実に行え、画像に異常が表れなかったといえる。
【0066】
次に、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる感光体1について詳しく説明する。
本実施形態で用いる感光体1としては、導電性支持体を50[℃]〜400[℃]に加熱し、この支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりアモルファスシリコン(a−Si)からなる光導電層を有するアモルファスシリコン系感光体(以下、「a−Si系感光体」と称する。)を用いることができる。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして用いられている。
【0067】
まず、a−Si系感光体の層構成について説明する。a−Si系感光体の層構成は、例えば以下のようなものである。図27は、層構成を説明するための模式的構成図である。図27(a)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上にa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502が設けられている。図27(b)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503とから構成されている。図27(c)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504とから構成されている。図27(d)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、光導電層502が設けられている。光導電層502はa−Si:H,Xからなる電荷発生層505ならびに電荷輸送層506とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層503が設けられている。
【0068】
a−Si系感光体500の支持体501としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
上記支持体501の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体501としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体501は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10[μm]以上とされる。
【0069】
a−Si系感光体500には必要に応じて導電性の支持体501と光導電層502との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのあるアモルファスシリコン系電荷注入阻止層504を設けるのがいっそう効果的である(図27(c))。すなわち、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体501側より光導電層502側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、所謂、極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504には伝導性を制御する原子を光導電層502に比べ比較的多く含有させる。
アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5[μm]、より好ましくは0.3〜4[μm]、最適には0.5〜3[μm]とされるのが望ましい。
【0070】
光導電層502は、必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層502の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜100[μm]、より好ましくは20〜50[μm]、最適には23〜45[μm]とされるのが望ましい。
【0071】
電荷輸送層506は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層である。この電荷輸送層506は、その構成要素として少なくともシリコン原子と炭素原子と弗素原子とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−SiC(H、F、O)からなり、所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。本発明においては酸素原子を含有することが特に好ましい。
電荷輸送層506の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層506については、好ましくは5〜50[μm]、より好ましくは10〜40[μm]、最適には20〜30[μm]とされるのが望ましい。
【0072】
電荷発生層505は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層である。この電荷発生層505は、構成要素として少なくともシリコン原子を含み、実質的に炭素原子を含まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hから成り、所望の光導電特性、特に電荷発生特性,電荷輸送特性を有する。
電荷発生層505の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5〜15[μm]、より好ましくは1〜10[μm]、最適には1〜5[μm]とされる。
【0073】
a−Si系感光体500には必要に応じて、上述のようにして支持体501上に形成された光導電層502の上に、更に表面層を設けることができ、アモルファスシリコン系表面層503を形成することが好ましい。このアモルファスシリコン系表面層503は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
アモルファスシリコン系表面層503の層厚としては、通常0.01〜3[μm]、好適には0.05〜2[μm]、最適には0.1〜1[μm]とされるのが望ましいものである。層厚が0.01[μm]よりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由によりアモルファスシリコン系表面層503が失われてしまい、3[μm]を超えると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
【0074】
a−Si系感光体500は、表面硬度が高く、半導体レーザ(770〜800[nm])などの長波長光に高い感度を示し、しかも繰返し使用による劣化もほとんど認められない。このため、高速複写機やレーザービームプリンタ(LBP)などに用いるのに好適な電子写真用感光体である。
【0075】
また、本実施形態で用いる感光体1としては、耐摩耗性を向上する目的でフィラーを添加したものとしてもよい。ここでは、最表面に保護層を設け、この保護層にフィラーを添加したものを用いて説明する。有機フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラーとしては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。これらのフィラーは単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラーは、保護層用塗工液に適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、0.5[μm]以下、好ましくは0.2[μm]以下にあることが保護層の透過率の点から好ましい。また、実施形態において保護層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0076】
また、本実施形態で用いる感光体1としては、充填材で補強された表面層を有する有機感光体、または、架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体を用いても良い。これにより、耐磨耗性を上げることができる。
【0077】
感光体の表面層としては、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルより選ばれる化合物の重合体もしくは共重合が挙げられる。
【0078】
導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダーまたはフィルムが用いられる。これらの支持体の上には、バリアー機能と下引機能をもつ下引層(接着層)を設けることができる。下引層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的被覆に対する保護などのために形成される。下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、等が知られている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その膜厚は0.2〜2[μm]程度である。
【0079】
感光層としては、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造を有するもの、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単一の層から成るものなどがある。
【0080】
電荷発生物質としては、ピリリウム、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニンなどを用いることができる。
【0081】
電荷輸送物質としては、架橋型電荷輸送材料を使用することが好ましい。具体的には、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テトラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)エタン等のポリアリールアルカン類、およびトリアリールアミン類などを用いることができる。
【0082】
次に、本実施形態のプリンタに好適に用いられるトナーについて説明する。本実施形態においては、形状係数SF−1が100〜150である真円度の高い球形トナーを用いている。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1が150を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0083】
図28は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記(1)式で表される。トナーを二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
つまり次式、
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・(1)
によって定義されるものである。
また、図29は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−2は、図29に示すように、物質の形状の凹凸の割合を示す数値であり、物質を二次元平面上に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで割って、100/4πを乗じた値で表される。
つまり次式、
SF2={(PELI)/AREA}×(100/4π)
によって定義されるものである。
なお、本実施形態でのSF−2は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー像を100回無作為にサンプリングし、その画像情報は、インターフェースを介して、ニコレ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入して解析を行い、上式より算出したものである。
【0084】
また、上述したプリンタでは、感光体1を帯電させる帯電装置としての帯電ローラ3を、感光体1に所定の距離をもって非接触で配置しているが、図30に示すように感光体1に接触させても良い。また、帯電ローラ3に限らず、図31に示すようなコロナチャージャ3aで帯電させるようにしても良い。また、帯電装置として、図32のようなファーブラシ3cや、図33に示すような磁気ブラシ3bを用いることもできる。
【0085】
また、図34に示すように、感光体1とクリーニング装置20とを枠体83内に一体に支持し、プリンタ100本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ300としてもよい。なお、図34では、感光体1及びクリーニング装置20のほか、帯電ローラ3及び現像装置6も一体に支持したプロセスカートリッジであるが、少なくとも、感光体1及びクリーニング装置20を一体に支持したものであればよい。
【0086】
次に、本発明のクリーニング装置20をカラープリンタに適用した例について、図35、及び、図36を用いて説明する。
【0087】
図35は、本発明のクリーニング装置20を、所謂、1ドラム型のフルカラー画像形成装置であるプリンタ100に適用した例を示す図である。このプリンタ100では、図示しない本体筐体内に、感光体1が収納されている。この感光体1の周囲には、それぞれ、帯電手段としての帯電ローラ3、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色に対応した現像装置6C,6M,6Y,6K、中間転写手段としての中間転写部70、クリーニング手段としてのクリーニング装置20等が設けられている。また、このプリンタは、複数枚の記録材としての記録紙Pを収納する図示しない給紙カセットを備えている。給紙カセット内の記録紙は、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、二次転写部77と中間転写部70との間の二次転写領域に送り出される。
【0088】
図35のプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、感光体1を図中反時計方向に回転駆動するとともに中間転写部の中間転写ベルト69を図中時計方向に回転駆動する。そして、感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電した後、感光体1の表面に対してC用画像データで変調されたレーザー光4を照射して、感光体1の表面にC用静電潜像を形成する。そして、このC用静電潜像を現像装置6CによりCトナーで現像を行う。これにより得られたC用トナー像は、中間転写部の中間転写ベルト69上に一次転写される。その後、感光体1の表面に残留した転写残トナーをクリーニング装置20で除去した後、再び感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電する。次に、感光体1の表面に対してM用画像データで変調されたレーザー光4を照射して、感光体1の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像を現像装置6MによりMトナーで現像を行う。これにより得られたM用トナー像は、中間転写部の中間転写ベルト69上に既に一次転写されているC用トナー像と重なり合うようにして、中間転写ベルト69上に一次転写される。以後、Y及びKについても、同様に中間転写ベルト69上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態の中間転写ベルト69上の各色トナー像は、二次転写部77により二次転写領域に搬送されてきた記録紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、紙搬送ベルト81によって、図示しない定着部に搬送される。この定着部で、記録紙Pを加熱、加圧して、記録紙P上のトナー像を記録紙Pに定着させる。定着後の記録紙Pは、図示しない排紙トレー上に排出する。転写後の感光体1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置20で除去される。また、中間転写ベルト69の表面に残留した転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置(不図示)で除去される。
【0089】
図35に示した1ドラム型のフルカラー画像形成装置において、感光体1の表面に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置として、上記クリーニング装置20を用いることで、球形トナーであっても、感光体1表面から転写残トナーを良好に除去することができる。また、環境変動によって、転写残トナーのほとんどが正極性になったり、負極性となったりしても、良好に転写残トナーを感光体1から除去することができる。
【0090】
図36は、本発明のクリーニング装置20を、所謂、タンデム型のフルカラー画像形成装置であるプリンタ100に適用した例を示す図である。このプリンタ100は、水平面上に設置したときに、水平方向に長尺な状態となるように、複数のローラ65、64、67に張架された中間転写ベルト69を備えている。この中間転写ベルト69は、図中矢印Dの向きに表面移動する。中間転写ベルト69における水平方向に延在する平面部分には、4つの感光体1Y、1M、1C、1Kが並んで配設されている。各感光体1の周囲には、それぞれ、帯電ローラ3(Y,M,C,K)、現像装置6(Y,M,C,K)、クリーニング装置20(Y,M,C,K)等が設けられている。また、プリンタ100は、複数枚の記録材としての記録紙Pを収納する図示しない給紙カセットを備えている。給紙カセット内の記録紙Pは、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、二次転写ローラ66と中間転写ベルト69との間の二次転写領域に送り出される。
【0091】
図36のプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、各感光体1を図中反時計方向に回転駆動するとともに中間転写ベルト69を図中反時計方向に回転駆動する。そして、各感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電した後、各感光体1の表面に対して画像データで変調されたレーザー光4を照射して、各感光体1の表面に各色の静電潜像を形成する。各感光体1の表面上の各色静電潜像には、現像装置6により各色トナーがそれぞれ付着し、これにより各色トナー像が形成される。この各色トナー像は、中間転写ベルト69上に互いに重なり合うように一次転写される。中間転写ベルト69上の各色トナー像は、互いに重なり合った状態で、二次転写ローラ66により二次転写領域に搬送されてきた記録紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、図示しない定着部に搬送され、記録紙Pを加熱、加圧して、記録紙P上のトナー像を記録紙Pに定着させる。定着後の記録紙Pは、図示しない排紙トレー上に排出する。転写後の各感光体1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置20で除去される。また、中間転写ベルト69の表面に残留した転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置(不図示)で除去される。
【0092】
図36に示すタンデム型のフルカラー画像形成装置において、感光体1の表面に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置20(Y,M,C,K)として、上記クリーニング装置20を用いることで、球形トナーであっても、感光体1表面から転写残トナーを良好に除去することができる。また、環境変動によって転写残トナーのほとんどが正極性になったり、負極性となったりしても、良好に転写残トナーを感光体1から除去することができる。
【0093】
以上、本実施形態によれば、負極性の電圧を印加された導電性ブレード22よりも下流のクリーニング部除電ランプ25により、導電性ブレード22により帯電した感光体1の除電を行い、感光体と正極性のクリーニングブラシ23との電位差が小さくなるようにする。感光体1とクリーニングブラシ23との電位差を小さくすると、電位差解消のために感光体1とクリーニングブラシ23との間に存在する転写残トナーに対して流れる電流が小さくなり、転写残トナーへの電荷注入が抑制される。よって、帯電極性が反転してしまう転写残トナーは少なくなり、導電性ブレード22により帯電極性を制御されたままの状態で、良好に静電クリーニングされる。
なお、従来より、ブレードやファーブラシ等により機械的に感光体1上の転写残トナーを除去する装置において、クリーニング前に除電装置を設け、クリーニング部材位置での感光体とトナーとの静電引力を弱めてクリーニング性を向上させるクリーニング前チャージャや、クリーニング前ランプは知られている。しかし、本発明は、これとは異なり、転写残トナーが静電的に良好にクリーニングされるように、転写残トナーへの電荷注入を制御するためのクリーニング部除電部材25を設けるものである。
また、導電性ブレード22には、感光体1の帯電電位と同極性の電圧が印加される。このような装置では、導電性ブレード22からの電荷注入により感光体1の帯電電位は高電位になりやすいので、上記クリーニング装置20のクリーニング部除電ランプ25により、感光体1の除電を行い、感光体1とクリーニングブラシ23との電位差が小さくなるようにすることは、良好なクリーニング性能を得るために非常に有効である。
また、現像装置6で用いられるトナーを球形トナーとする。これにより、高品位な画像が得られると共に、上記クリーニング装置20を用いることで、良好な球形トナーのクリーニングがおこなえる。
また、球形トナーとして、形状係数SF−1が100〜150の真円度の高い球形トナーを用いている。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体1との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなる。したがって流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率を高くすることができ、高品位の画像を得ることができる。
また、極性制御手段として導電性ブレード22を用いることにより、クリーニングブラ23による静電クリーニングの前段階において簡易な方法でクリーニング機能を持たせることが可能であるというメリットがある。
また、除電部材として除電ランプ24を用いることにより、感光体1上に存在する導電性ブレード22で制御した転写残トナーの帯電極性に影響を与えることがなく感光体1の除電ができるというメリットがある。
また、プリンタ100が1ドラム型のフルカラー画像形成装置である場合の感光体1のクリーニング手段として、本実施形態のクリーニング装置20を用いることにより、感光体1上の転写残トナーを良好にクリーニングすることができる。感光体1上の転写残トナーを良好にクリーニングできることにより、感光体1上の転写残トナーが他の色の現像装置6内に混入することを防止することができ、混色の発生を防止することができる。これにより、高品位な画像形成を実現することができる。
また、プリンタ100がタンデム型のフルカラー画像形成装置である場合の感光体1のクリーニング手段として、本実施形態のクリーニング装置20を用いることにより、各感光体1上の転写残トナーを良好にクリーニングすることができる。これにより、高品位な画像形成を実現することができる。
また、感光体1として、フィラーを分散させた材料からなるものを用いることで、感光体1の膜削れ量を低減することができ、耐摩耗性を向上することができる。
また、感光体1として、充填剤で補強された表面層を有する有機感光体または架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体、又はその両方の特徴を有する有機感光体を用いることで、感光体1の膜削れ量を低減することができ、耐摩耗性を向上することができる。
また、感光体1として、アモルファスシリコン感光体を用いていることで、感光体1の膜削れ量を低減することができ、摩耗を抑制することができる。これにより、摩耗によって、感光体表面が削れて凹凸ができることを抑制できる。
また、感光体1と少なくともクリーニング装置20とを一体に備えたプロセスカートリッジ300とすることで、クリーニング装置20及び感光体1をプリンタに対して容易に着脱することができる。これにより、交換時の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】本実施形態のプリンタに採用されるクリーニング装置の概略構成図。
【図3】感光体上に担持されたトナーの転写前における帯電量分布と、転写残トナーの帯電量分布を示すグラフ。
【図4】各環境における転写前の感光体上のトナーの帯電量分布を示す図。
【図5】高温高湿環境下における転写前の感光体上のトナーの帯電量分布と、転写残トナーの帯電量分布を示す図。
【図6】低温低湿環境下における転写前の感光体上のトナーの帯電量分布と、転写残トナーの帯電量分布を示す図。
【図7】感光体表面移動時のブレードの説明図。
【図8】感光体上に担持されたトナーの転写後における帯電量分布と、導電性ブレードとの対向部を通過した転写残トナーの帯電量分布を示すグラフ。
【図9】導電性ブレードへの印加電圧とクリーニング部除電ランプ通過後の感光体の表面電位の関係を示すグラフ。
【図10】導電性ブレードへの印加電圧とクリーニング残トナーIDとの関係を示すグラフ。
【図11】変形例に係るクリーニング装置の概略構成図。
【図12】変形例に係るクリーニング装置の概略構成図。
【図13】変形例に係るクリーニング装置の概略構成図。
【図14】変形例に係るクリーニング装置の概略構成図。
【図15】変形例に係るクリーニング装置の概略構成図。
【図16】従来のブラシ繊維の断面図。
【図17】従来のブラシ繊維の断面図。
【図18】ブラシ繊維の断面図。
【図19】ブラシ繊維の断面図。
【図20】クリーニングブラシのブラシ繊維が斜毛である場合の縦断面図。
【図21】クリーニングブラシのブラシ繊維が直毛である場合の縦断面図。
【図22】クリーニングブラシで電荷注入が発生する部位の説明図。
【図23】図22の構成から、転写部と導電性ブレードとを外した構成の概略構成図。
【図24】図23の構成から回収ローラと回収ローラ用ブレードを外した構成の概略構成図。
【図25】図24の構成のクリーニングブラシのブラシ繊維を斜毛とした構成の概略構成図。
【図26】図23、図24及び図25の構成でのクリーニング性を比較した結果を示すグラフ。
【図27】アモルファスシリコン感光体の層構成の説明図。
【図28】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
【図29】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
【図30】帯電ローラを感光体に接触させた構成を示す図。
【図31】帯電手段をコロナチャージャとした構成を示す図。
【図33】帯電手段を磁気ブラシブローラとした構成を示す図。
【図32】帯電手段をファーブラシローラとした構成を示す図。
【図34】プロセスカートリッジの概略構成図。
【図35】1ドラム型のフルカラー画像形成装置の要部構成図。
【図36】タンデム型フルカラー画像形成装置の要部構成図。
【符号の説明】
【0095】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電ローラ
6 現像装置
8 現像ローラ
15 転写ローラ
19 トナー排出スクリュ
20 クリーニング装置
21 ブレードホルダ
22 導電性ブレード
23 クリーニングブラシ
23a ブラシ回転軸
24 回収ローラ
25 クリーニング部除電ランプ
27 回収ローラ用クリーニングブレード
28 クリーニング電源
29 ブレード電源
30 ブラシ電源
31 ブラシ繊維
32 導電性材料
33 絶縁性材料
69 中間転写ベルト
70 導電性ブレード部材
79 搬送ベルト
100 プリンタ
300 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を帯電する帯電装置と、該像担持体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、該像担持体上の静電潜像をトナー像化する現像装置と、該像担持体上のトナー像を被転写材に転写する転写装置と、該像担持体上の転写残トナーを除去するクリーニング装置とを備え、該クリーニング装置は、該転写残トナーの帯電極性を制御する極性制御手段と、該像担持体の表面移動方向に関して該極性制御手段より下流に配置され該転写残トナーを静電的に除去する表面移動可能なクリーニング部材と、該クリーニング部材上のトナーを回収するトナー回収手段とを有する画像形成装置において、
上記極性制御手段よりも下流で上記クリーニング部材よりも上流に上記像担持体を除電する除電部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、上記極性制御手段は上記像担持体の帯電電位と同極性の電圧が印加されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、上記現像装置で用いられるトナーが球形トナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、上記現像装置で用いられるトナーの形状係数SF1が100〜150であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の画像形成装置において、上記極性制御手段が導電性弾性ブレードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記除電部材が除電ランプであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、上記像担持体上にトナー像を形成する複数の現像装置を備え、該像担持体上に形成された複数のトナー像を重ね合わせて多色画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、複数の像担持体と、該複数の像担持体上にトナー像を形成する現像装置をそれぞれ備え、複数の像担持体上に形成されたトナー像を重ね合わせて多色画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体がフィラーを分散させた感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体が充填材で補強された表面層を有した有機感光体、または、架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記像担持体がアモルファスシリコン感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置に採用されるプロセスカ−トリッジにおいて、上記像担持体の転写残トナーの帯電極性を制御する極性制御手段と、該像担持体の表面移動方向に関して該極性制御手段より下流に配置され該転写残トナーを静電的に除去する表面移動可能なクリーニング部材と、該クリーニング部材上のトナーを回収するトナー回収手段と、該極性制御手段よりも下流で該クリーニング部材よりも上流に配置され該像担持体を除電する除電部材とを備えたクリーニング装置と、該像担持体とを一体的に構成し、画像形成装置本体に脱着可能であることを特徴とするプロセスカ−トリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2008−170616(P2008−170616A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2422(P2007−2422)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】