画像形成装置及び画像形成方法
【課題】利用者が画質調整を行う場合に、利用者が特別に意識すること無く操作しても、簡単な階調バランスがとれ、適切に画質調整の行える画像形成装置等を提供すること。
【解決手段】画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部500と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部100と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部200と、記憶したテスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする。
【解決手段】画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部500と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部100と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部200と、記憶したテスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、トナー像を形成するために、1成分トナーを用いる1成分現像方式と、非磁性トナーと磁性を有するキャリアとを含む2成分現像剤を用いる2成分現像装置に大別される。
【0003】
1成分現像方式ではコンパクト化に適しているものの高速現像には適さないため、高速・長寿命の画像形成装置においては、2成分現像装置がほとんど採用されている。この2成分現像剤を用いるタイプの現像装置では、2成分現像剤中のキャリア自体は消費されず、装置内部に残るため減少しないが、トナーは現像により消費されて減少していく。そこで、画質を安定化させるために、2成分現像剤のトナー濃度を一定に維持するように、トナーが適宜補給されている。
【0004】
また、画像形成装置は、感光体や現像剤の劣化や環境条件の変化などの影響を受けて印刷画質が変化してしまうため、その現象を防止すべく各種の画質調整(プロセスコントロール、もしくはプロコンともいう)技術が開示されており、最近では、画像形成装置が長時間使用にされない場合にもそれらの調整モードが実施されるようになっている。また、定期メンテナンスの時期においても、サービスマンがテストチャートなどを用いて画質調整を行っている。
【0005】
例えば、特許文献1には、カラーイメージスキャナ及びフルカラープリンタを含むカラー画像処理システムにおいて、プリンタより複数のカラーパッチからなるテストシートをプリントアウトし、該テストシートをイメージスキャナで読みとって、自動的にカラーバランス調整を行うにあたり、前記カラーパッチが印刷されたテストシートを読みとる際に、プリンタもしくはテストシートの状況を診断することを特徴とするカラーバランス調整前処理方法が開示されている。
【0006】
具体的には、テストシートのセット状態で、表裏もしくは位置関係が適切でない時は警告を発し、再セットの操作を促すことや、カラーパッチの読みとりに先行してテストシートに付された位置検出用マークを読みとり、カラーパッチの相対的な位置が設定されていることを利用してメモリ上で論理的にスキューを補正しながらパッチの読みとりタイミングを調整することが記載されている。
【特許文献1】特開平9−186899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のカラーバランス調整前処理方法では、位置検出用マークとして十字を用いているため、位置精度は非常に高いが、十字自体は感光体や現像剤の劣化に起因する画像形成条件により、印刷されるたびに細ったり太ったりする。そのため、位置検出が逆に困難になる欠点を有していた。
【0008】
しかし、位置検出精度を高めるためには、画像読取部(イメージスキャナ)の解像度を高くする必要があり、それが原因で読取処理速度を低下させたり、コストアップにもつながったりするといった問題点があった。
【0009】
上述した課題に鑑み、本発明が目的とするところは、利用者が画質調整を行う場合に、利用者が特別に意識すること無く操作しても、簡単な階調バランスがとれ、適切に画質調整の行える画像形成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像読取部における読み取りラインを、原稿の搬送方向に対して垂直の方向の原稿幅方向に外す場合に、それぞれ異なる方向に外すことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、前記テスト原稿は、階調パッチに対応する位置検出パッチを更に有し、前記画像読取部は、前記位置検出パッチにより検出された位置に基づいて読み取りラインを決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、前記位置検出パッチを、ある色の階調パッチの中心仮想線上に設けることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像形成装置において、前記画質調整部は、各階調パッチのディザ値により階調補正することを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成方法は、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶し、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成ステップと、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る読取ステップと、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整ステップと、を有する画像形成方法において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記読取ステップにおける読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、記憶したテスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すこととなる。これにより、テスト原稿が斜めに載置された場合であっても、いずれかの階調パッチを読み取ることが可能となり、殆ど1回の操作で階調バランスを取ることができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記画像読取部における読み取りラインを、原稿の搬送方向に対して垂直の方向の原稿幅方向に外す場合に、それぞれ異なる方向に外すこととなる。したがって、テスト原稿がいずれの方向に傾いたとしても、階調パッチを読み取ることが可能となる。
【0018】
また本発明によれば、前記テスト原稿は、階調パッチに対応する位置検出パッチを更に有し、前記画像読取部は、前記位置検出パッチにより検出された位置に基づいて読み取りラインを決定することができる。これにより、位置検出パッチを利用してより確実に階調パッチを読み取り可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、前記位置検出パッチを、ある色の階調パッチの中心仮想線上に設けることとなる。従って、読み取りラインをある色の階調パッチの位置と兼用することが可能となるため、余計な位置補正処理を行う必要がなくなる。
【0020】
また、本発明によれば、前記画質調整部は、各階調パッチのディザ値により階調補正することで、指数値で簡単に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0022】
[1.装置構成]
まず、本実施形態における画像形成装置1の構成について図1を用いて説明する。図1は、この発明の実施形態に係る画像形成装置1の簡単な構成を示す説明図である。本体装置である画像形成装置1は、読み取った原稿の画像データやネットワーク等を介して送信された画像データに基づいて用紙に対して多色及び単色の画像を形成する。ここで、画像形成装置1は、画像形成部100と、画像読取部200とを備えて構成されている。まず、画像形成部100の構成について説明する。
【0023】
[1.1 画像形成部の構成]
画像形成部100は、露光ユニットE、感光体ドラム(本発明の像担持体に相当する。)101(101a〜101d)、現像装置102(102a〜102d)、帯電ローラ103(103a〜103d)、クリーニングユニット104(104a〜104d)、中間転写ベルト11、一次転写ローラ13(13a〜13d)、二次転写ローラ14、定着装置15、用紙搬送路P1,P2,P3、給紙カセット16、手差し給紙トレイ17及び排紙トレイ18等を備えている。
【0024】
画像形成部100は、ブラック(K)及びカラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色の各色相に対応した画像データを用いて画像形成各色部Pa〜Pdにおいて画像形成を行う。画像形成各色部Pa〜Pdは、同様の構成であり、例えばブラックの画像形成黒色部Paは、感光体ドラム101a、現像装置102a、帯電ローラ103a、転写ローラ13a及びクリーニングユニット104a等から構成される。この画像形成各色部Pa〜Pdは、中間転写ベルト11の移動方向(副走査方向)に一列に配列されている。
【0025】
帯電ローラ103は、感光体ドラム101の表面を所定の電位に均一に帯電させる接触方式の帯電器である。帯電ローラ103に代えて、帯電ブラシを用いた接触方式の帯電器又は帯電ワイヤを用いた非接触方式の帯電器を用いることもできる。この発明の露光装置である露光ユニットEは、図示しない半導体レーザ、ポリゴンミラー4及び第1反射ミラー7及び第2反射ミラー8等を備えており、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによって変調されたレーザビーム等の光ビームのそれぞれを感光体ドラム101a〜101dのそれぞれに照射する。感光体ドラム101a〜101dのそれぞれには、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによる静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置102は、静電潜像が形成された感光体ドラム101の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像する。現像装置102a〜102dのそれぞれは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相のトナーを収納しており、感光体ドラム101a〜101dのそれぞれに形成された各色相の静電潜像をブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相のトナー像に顕像化する。クリーニングユニット104は、現像・画像転写後における感光体ドラム101上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0027】
感光体ドラム101の上方に配置されている中間転写ベルト11は、駆動ローラ11aと従動ローラ11bとの間に張架されてループ状の移動経路を形成している。中間転写ベルト11の外周面は、感光体ドラム101d、感光体ドラム101c、感光体ドラム101b及び感光体ドラム101aにこの順に対向する。この中間転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム101a〜101dに対向する位置に、一次転写ローラ13a〜13dが配置されている。中間転写ベルト11が感光体ドラム101a〜101dに対向する位置のそれぞれが一次転写位置である。また、中間転写ベルト11は、厚さ100〜150μm程度のフィルムで形成されている。
【0028】
一次転写ローラ13a〜13dには、感光体ドラム101a〜101dの表面に担持されたトナー像を中間転写ベルト11上に転写するために、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム101(101a〜101d)に形成された各色相のトナー像は中間転写ベルト11の外周面に順次重ねて転写され、中間転写ベルト11の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0029】
但し、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色相の一部のみの画像データが入力された場合には、4つの感光体ドラム101a〜101dのうち、入力された画像データの色相に対応する一部の感光体ドラム101のみにおいて静電潜像及びトナー像の形成が行われる。例えば、モノクロ画像形成時には、ブラックの色相に対応した感光体ドラム101aのみにおいて静電潜像の形成及びトナー像の形成が行われ、中間転写ベルト11の外周面にはブラックのトナー像のみが転写される。
【0030】
各一次転写ローラ13a〜13dは、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)を素材とする軸の表面を導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により被覆して構成されており、導電性の弾性材によって中間転写ベルト11に均一に高電圧を印加する。
【0031】
各一次転写位置において中間転写ベルト11の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11の回転によって、二次転写ローラ14との対向位置である二次転写位置に搬送される。二次転写ローラ14は、画像形成時において、内周面が駆動ローラ11aの周面に接触する中間転写ベルト11の外周面に所定のニップ圧で圧接されている。給紙カセット16又は手差し給紙トレイ17から給紙された用紙が二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間を通過する際に、二次転写ローラ14にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト11の外周面から用紙の表面にトナー像が転写される。
【0032】
なお、感光体ドラム101から中間転写ベルト11に付着したトナーのうち用紙上に転写されずに中間転写ベルト11上に残存したトナーは、次工程での混色を防止するために、クリーニングユニット12によって回収される。
【0033】
トナー像が転写された用紙は、定着装置15に導かれ、加熱ローラ15aと加圧ローラ15bとの間を通過して加熱及び加圧を受ける。これによって、トナー像が、用紙の表面に堅牢に定着する。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ18aによって排紙トレイ18上に排出される。
【0034】
画像形成部100には、給紙カセット16に収納されている用紙を二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間及び定着装置15を経由して排紙トレイ18に送るための略垂直方向の用紙搬送路P1が設けられている。用紙搬送路P1には、給紙カセット16内の用紙を一枚ずつ用紙搬送路P1内に繰り出すピックアップローラ16a、繰り出された用紙を上方に向けて搬送する搬送ローラr、搬送されてきた用紙を所定のタイミングで2次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間に導くレジストローラ19、及び、用紙を排紙トレイ18に排出する排紙ローラ18aが配置されている。
【0035】
また、画像形成部100の内部には、手差し給紙トレイ17からレジストローラ19に至る間に、ピックアップローラ17a及び搬送ローラrを配置した用紙搬送路P2が形成されている。さらに、排紙ローラ18aから用紙搬送路P1におけるレジストローラ19の上流側に至る間には、用紙搬送路P3が形成されている。
【0036】
排紙ローラ18aは、正逆両方向に回転自在にされており、用紙の片面に画像を形成する片面画像形成時、及び、用紙の両面に画像を形成する両面画像形成における第2面画像形成時に正転方向に駆動されて用紙を排紙トレイ18に排出する。一方、両面画像形成における第1面画像形成時には、排紙ローラ18aは、用紙の後端が定着装置15を通過するまで正転方向に駆動された後、用紙の後端部を挟持した状態で逆転方向に駆動されて用紙を用紙搬送路P3内に導く。これによって、両面画像形成時に片面のみに画像が形成された用紙は、表裏面及び前後端を反転した状態で用紙搬送路P1に導かれる。
【0037】
レジストローラ19は、給紙カセット16若しくは手差し給紙トレイ17から給紙され、又は、用紙搬送路P3を経由して搬送された用紙を、中間転写ベルト11の回転に同期したタイミングで2次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間に導く。このため、レジストローラ19は、感光体ドラム101や中間転写ベルト11の動作開始時には回転を停止しており、中間転写ベルト11の回転に先立って給紙又は搬送された用紙は、前端をレジストローラ19に当接させた状態で用紙搬送路P1内における移動を停止する。この後、レジストローラ19は、2次転写ローラ14と中間転写ベルト11とが圧接する位置で、用紙の前端部と中間転写ベルト11上に形成されたトナー像の前端部とが対向するタイミングで回転を開始する。
【0038】
なお、画像形成各色部Pa〜Pdの全てにおいて画像形成が行われるフルカラー画像形成時には、一次転写ローラ13a〜13dが中間転写ベルト11を感光体ドラム101a〜101dの全てに圧接させる。一方、画像形成黒色部Paのみにおいて画像形成が行われるモノクロ画像形成時には、一次転写ローラ13aのみを中間転写ベルト11を感光体ドラム101aに圧接させる。
【0039】
[1.2 画像読取部の構成]
つづいて、画像形成部100の上部に設けられた画像読取部200の構成について説明する。画像読取部200には、原稿が載置される透明ガラスからなるプラテンガラス(原稿載置台)210が設けられ、そのプラテンガラス210の上側には自動原稿読取装置220が取り付けられている。自動原稿読取装置220は、プラテンガラス210の上に自動で原稿を搬送する。
【0040】
また、自動原稿読取装置220は、矢印M方向に回動自在に構成され、プラテンガラス210の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0041】
自動原稿読取装置220は、原稿を載置する原稿トレイが備えられており、原稿トレイに載置された原稿は、ピックアップローラ及び給送ローラにより1枚ずつ給紙され搬送される。そして、原稿読取窓を通過することにより、原稿が画像データとして読み取られる。
【0042】
具体的には、原稿が原稿読取窓を通過する際に、走査ユニットの光源ランプ201によって原稿表面を露光し、ミラーを経由して原稿表面の画像をCCD(Charge Coupled Device)202上に結像する。CCD202は、原稿表面の画像を主走査方向に繰り返し読み取り、原稿表面の画像を示す画像データを出力する。
【0043】
また、原稿がプラテンガラス(原稿載置台)210上に載置された場合には、走査ユニットが所定の速度で移動し、プラテンガラス210上の原稿表面を露光し、同様に原稿表面を露光し、ミラーを経由して原稿表面の画像をCCD202上に結像する。
【0044】
[2.機能構成]
つづいて、画像形成装置1の機能構成について、図2を用いて説明する。図2に示すように、画像形成装置1は、CPU1000と、画像形成部100と、画像読取部200と、操作部300と、表示部400と、記憶部500と、画像メモリ600とを備えて構成されている。
【0045】
CPU1000(Central Processing Unit)は、画像形成装置1の各種動作及び制御を行う機能部である。画像形成装置1に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行することにより各処理を実現することとなる。
【0046】
画像形成部100は、画像メモリ600に記憶された画像データに基づいて、画像を形成し、記録紙に記録(印刷)するための機能部であり、画像読取部200は、原稿台に載置された原稿を読み取り、画像データとして画像メモリ600に出力する機能部である。画像形成部100及び画像読取部200は上記説明をした通りである。
【0047】
操作部300は、操作のために必要な情報を表示する表示部と、使用者の操作により制御命令などの情報が入力されるタッチパネル部やテンキー等を備えて構成されている。また、画像形成装置1における各種設定情報及び動作状況等が、表示部400に表示されることにより、利用者に報知されることとなる。
【0048】
記憶部500は、画像形成装置1を動作させる為の各種データやプログラムなどを記憶している機能部である。CPU1000は、記憶部500に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、制御処理を実行する。
【0049】
また、記憶部500には画質調整プログラム510と、パッチ階調データ520とが記憶されている。CPU10は、画質調整プログラム510を読み出して実行することにより、画質調整処理(図3)を実現する。
【0050】
また、パッチ階調データ520は、画像読取部200において読み取られたパッチに関する階調データが記憶されている。パッチ階調データ520を利用することにより、画像形成装置1における画質が調整されることとなる。
【0051】
また、記憶部500には、原稿の画質調整用のテスト原稿の画像データが記憶されている。利用者からの指示があると、CPU1000は、記憶部500に記憶されているテスト原稿を画像形成部100から出力する。
【0052】
画像メモリ600は、画像データを一時的に記憶するメモリである。具体的には、画像読取部200で生成された画像データが、一度画像メモリ600に記憶される。そして、印刷する画像データを、画像形成部100に出力する。
【0053】
[3.画質調整の動作説明]
続いて、具体的に画質調整を行う動作について、図を用いて説明する。まず、カラー調整を行うテスト原稿P200の一例を図3に示す。本実施形態における、テスト原稿P200は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)のカラーと、黒(K)の階調パッチ(17階調)をそれぞれ2つずつ有している。
【0054】
また、テスト原稿P200の読み取り方向(搬送方向)の先端側には、2つの位置検出パッチP210、P212を有している。ここで、搬送方向とは、図3に示しているように、テスト原稿が読み取られる方向であり、原稿幅方向とは、搬送方向と垂直になるテスト原稿の幅の方向(図3においては短尺方向)である。
【0055】
また、位置検出パッチとは、階調パッチと同一直線上に設けられており、階調パッチの中心部と、位置検出パッチの中心部とが同一直線上に配置されることとなる。この、階調パッチの中心部を仮想的に結ぶ線を中心仮想線といい、位置検出パッチ及び階調パッチの中心部を、中心仮想線が通ることとなる。
【0056】
まず、図3の場合、画像読取部200は、中心仮想線を読み取りラインとして、画像(階調パッチ)を読み取ることとなる。中心仮想線にそって、画像を読み取ることにより、画質調整に用いられる階調パッチをすべて読み取ることができるようになる。
【0057】
具体的に、図5を用いて説明する。テスト原稿が搬送されることにより、画像読取部200においてテスト原稿が読み取られる。すると、はじめに位置検出パッチP210が検出される。ここで、位置検出パッチP210の中心部を通る直線が中心仮想線と検出され、中心仮想線上に読み取りラインL310(図5の2点鎖線)が設定される。そして、読み取りラインL310にそって、画像読取部200は、階調パッチP220から階調パッチP230を読み取ることとなる。
【0058】
同様に、位置検出パッチP212が検出されると、位置検出パッチP212の中心部に読み取りラインL312が設定され、読み取りラインL312に沿って階調パッチP222からP232が読み取られることとなる。
【0059】
図6は、テスト原稿が斜めに載置された場合について説明する為の図である。この場合、位置検出パッチの中心部が、読み取りラインとして設定された場合、すべての階調パッチを読み取ることができない。
【0060】
すなわち、位置検出パッチP210が検出された後、位置検出パッチP210の中心部に読み取りラインL310が設定される。この場合、階調パッチP220を読み取ることは可能だが、階調パッチP230を読み取ることができない。
【0061】
同様に、位置検出パッチP212が検出された後、位置検出パッチP212の中心部に読み取りラインL312が設定された場合にも、階調パッチP222を読み取ることは可能だが、階調パッチP232を読み取ることができない。
【0062】
そこで、本発明を適用した場合について、図7を用いて説明する。図7に示しように、位置検出パッチP210の中心を通る中心仮想線は、L320である。そこからテスト原稿の外側に所定量ずらした場所に読み取りラインL330を設定する。同様に、位置検出パッチP212の中心を通る中心仮想線は、L322である。そこから原稿幅方向の外側に所定量ずらした場所に読み取りラインL332を設定する。すなわち、読み取りラインを、中心仮想線から外して設定する。
【0063】
ここで、中心仮想線から、読み取りラインをずらす幅(量)としては、あらかじめ設定してあるものとするが、利用者が可変できることとしても良い。また、読み取りラインとしてずらす幅の最大としては、位置検出パッチが検出可能な範囲に限られるものとする。
【0064】
さらに、図4と比較して読み取り可能領域M210を小さくすることにより、読み取り精度を向上させることが可能となる。図7においては、一例として4.1mm角と小さく設定することにより、図4と比較して、より読み取り精度を向上させることが可能となっている。
【0065】
さらに、位置検出パッチが2つ以上ある場合に、相反する方向に読み取りラインを中心仮想線からずらすことにより、載置された原稿がずれた向きの両方向にカバーすることが可能である。
【0066】
図8を用いて原稿全体について説明する。位置検出パッチP210を検出すると、位置検出パッチP210の中心部から所定の量だけ原稿幅方向の外側に(用紙上方に)ずらして読み取りラインL340を設定する。また、位置検出パッチP212を検出すると、位置検出パッチP212の中心部から所定の量だけ原稿幅方向の外側に(用紙下方に)ずらして読み取りラインL342を設定する。
【0067】
ここで、読み取りラインL340においては、階調パッチをすべて読み取ることはできないが、読み取りラインL342においては、階調パッチをすべて読み取ることができる。
【0068】
このように、読み取りラインを位置検出パッチの中心部から原稿幅方向にずらす(中心仮想線から外す)ことにより、テスト原稿が正しく載置されなかった場合でも、一度で階調パッチを読み取り可能となり、適切な画質調整を行うことが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態においては、2つの読み取りラインをずらすこととして説明したが、一つだけずらすこととしても良い。
【0070】
また、2つの読み取りラインを相反する方向(用紙外側)にずらすこととして説明したが、同方向にずらすこととしても良い。例えば、画像読取部200において、テスト原稿のずれる向きが決まっている場合は、同方向にずらした方がテスト原稿の載置ミスを精度良く判断でき、適切に階調パッチを読み取ることが可能となる。
【0071】
[4.処理の流れ]
続いて、画像形成装置1における画質調整処理について、図9を用いて説明する。図9の画質調整処理は、CPU1000により、画質調整プログラム510が読み出されて実行されることにより、実現される処理である。
【0072】
まず、操作部300にある画質ボタンが利用者により押下されたことを検知すると(ステップS10)、テスト原稿が印刷される(ステップS12)。そして、印刷されたテスト原稿が、画像読取部200に載置された否かを判定する(ステップS14)。
【0073】
ここで、画像読取部200に載置された場合は(ステップS14;Yes)、テスト原稿をスキャンする(ステップS16)。ここで、テスト原稿が、載置されたとは、例えば、自動原稿読取装置220に載置されても、プラテンガラス(原稿載置台)210に載置されても良い。
【0074】
ここで、テスト原稿の載置ミスがあった場合は、再度印刷原稿の読み取りを行う(ステップS18;Yes→ステップS14)。他方、テスト原稿の載置ミスが無い場合は、スキャンしたパッチ階調データを記憶部500に記憶する(パッチ階調データ520)。
【0075】
続いて、4色(K、C、M、Y)の17個のパッチデータを紙面左から右側に測定していき、測定ライン毎にその読み込まれたパッチデータを分析し、濃度が徐々に大きくなる測定データを分析/抽出する(ステップS22)。その後、予め記憶されたテスト原稿の標準の濃度値と測定データとを比較し、補正量を算出する(ステップS24)。
【0076】
具体的には、予めテスト原稿を正常に配置した場合の各パッチの光学反射濃度が実際の画像形成装置を用いて測定され、測定された光学反射濃度が標準値として記憶されている。これにより、その標準値との差異が算出される。その算出された補正量(補正値)を基に、ベタ濃度補正と階調補正を行い(ステップS26)、画質調整処理を終了する。実施内容としては、現像特性を加味したベタ画像濃度と中間調画像濃度(ガンマ特性)とが行われる。
【0077】
ここで、具体的な中間調(ハーフトーン)パッチの画像濃度の補正には、種々の方法が考えられるが、本実施形態では、17個のハーフトーンパッチのディザ値を変更するようにしている。例えば、図10に示すように、色(K、C、M、Y)毎にディザ値max960に対する指数が予め設定されている。画質調整時にその初期ディザ値に修正するように制御するようにする。
【0078】
また、ステップS16におけるスキャン処理について、図11を用いてさらに説明する。まず、テスト原稿から、位置検出パッチが検出されると(ステップS50;Yes)、中心仮想線を判定する(ステップS52)。ここで、中心仮想線は、位置検出パッチの中心を通る原稿の搬送方向の直線となる。
【0079】
つづいて、中心仮想線から原稿幅方向に所定量をずらした読み取りラインを決定する(ステップS54)。ここで、読み取りラインについては、例えば画像形成装置1においてあらかじめずらす量が指定されており(例えば、「3mm」)、その所定量だけ中心仮想線から外側方向にずれた位置に読み取りラインが決定される。
【0080】
なお、読み取りラインを決定する方法としては種々の方法が考えられ、例えば位置検出パッチの境界部分(テスト原稿外側)を検出し、当該境界部分を含む位置を読み取りライン等としても良い。
【0081】
続いて、読み取りラインに基づいて階調パッチを読み取る(ステップS56)。ここで、同一階調の階調パッチをすべて読み取れた場合は、スキャン成功と判定し(ステップS58;Yes→ステップS60)、同一階調の階調パッチをすべて読み取れなかった場合にはスキャン失敗と判定する(ステップS58;No→ステップS62)。
【0082】
なお、ステップS50において、位置検出パッチを検出できなかった場合も、スキャンが失敗したと判定する(ステップS50;No→ステップS62)。
【0083】
このように、本実施形態によれば、載置ミスにより、テスト原稿が傾いて置かれた場合であっても、適切に階調パッチを読み取ることができるようになる。そのため、画質調整の知識に乏しい利用者が行った場合であっても、殆ど1回の操作で階調バランスを取ることができる。
【0084】
[5.変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
また、上述した実施形態において、階調パッチ(位置検出パッチ)を2つとして説明したが、3つ以上有することとしても良いことはもちろんである。この場合、各階調パッチに対応する読み取りラインの位置をずらすことにより、より適切に階調パッチが読み取り可能となる。
【0086】
また、上述した実施形態においては、位置検出パッチが、階調パッチと同一直線上に設けられていたが、位置検出パッチの配置位置を階調パッチ中心部のライン上から原稿幅方向にずらしておいても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態における画像形成装置の断面図である。
【図2】本実施形態における画像形成装置の機能構成を説明するための図である。
【図3】本実施形態におけるテスト原稿について説明する為の図である。
【図4】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図5】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図6】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図7】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図8】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図9】本実施形態における画質調整処理の一例を示す図である。
【図10】本実施形態におけるディザ値の一例を示す図である。
【図11】本実施形態における原稿スキャン処理を説明する動作フローである。
【符号の説明】
【0088】
1 画像形成装置
100 画像形成部
Pa〜Pd 画像形成各色部
200 画像読取部
300 操作部
400 表示部
500 記憶部
510 画質調整プログラム
520 パッチ階調データ
600 画像メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、トナー像を形成するために、1成分トナーを用いる1成分現像方式と、非磁性トナーと磁性を有するキャリアとを含む2成分現像剤を用いる2成分現像装置に大別される。
【0003】
1成分現像方式ではコンパクト化に適しているものの高速現像には適さないため、高速・長寿命の画像形成装置においては、2成分現像装置がほとんど採用されている。この2成分現像剤を用いるタイプの現像装置では、2成分現像剤中のキャリア自体は消費されず、装置内部に残るため減少しないが、トナーは現像により消費されて減少していく。そこで、画質を安定化させるために、2成分現像剤のトナー濃度を一定に維持するように、トナーが適宜補給されている。
【0004】
また、画像形成装置は、感光体や現像剤の劣化や環境条件の変化などの影響を受けて印刷画質が変化してしまうため、その現象を防止すべく各種の画質調整(プロセスコントロール、もしくはプロコンともいう)技術が開示されており、最近では、画像形成装置が長時間使用にされない場合にもそれらの調整モードが実施されるようになっている。また、定期メンテナンスの時期においても、サービスマンがテストチャートなどを用いて画質調整を行っている。
【0005】
例えば、特許文献1には、カラーイメージスキャナ及びフルカラープリンタを含むカラー画像処理システムにおいて、プリンタより複数のカラーパッチからなるテストシートをプリントアウトし、該テストシートをイメージスキャナで読みとって、自動的にカラーバランス調整を行うにあたり、前記カラーパッチが印刷されたテストシートを読みとる際に、プリンタもしくはテストシートの状況を診断することを特徴とするカラーバランス調整前処理方法が開示されている。
【0006】
具体的には、テストシートのセット状態で、表裏もしくは位置関係が適切でない時は警告を発し、再セットの操作を促すことや、カラーパッチの読みとりに先行してテストシートに付された位置検出用マークを読みとり、カラーパッチの相対的な位置が設定されていることを利用してメモリ上で論理的にスキューを補正しながらパッチの読みとりタイミングを調整することが記載されている。
【特許文献1】特開平9−186899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のカラーバランス調整前処理方法では、位置検出用マークとして十字を用いているため、位置精度は非常に高いが、十字自体は感光体や現像剤の劣化に起因する画像形成条件により、印刷されるたびに細ったり太ったりする。そのため、位置検出が逆に困難になる欠点を有していた。
【0008】
しかし、位置検出精度を高めるためには、画像読取部(イメージスキャナ)の解像度を高くする必要があり、それが原因で読取処理速度を低下させたり、コストアップにもつながったりするといった問題点があった。
【0009】
上述した課題に鑑み、本発明が目的とするところは、利用者が画質調整を行う場合に、利用者が特別に意識すること無く操作しても、簡単な階調バランスがとれ、適切に画質調整の行える画像形成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像読取部における読み取りラインを、原稿の搬送方向に対して垂直の方向の原稿幅方向に外す場合に、それぞれ異なる方向に外すことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、前記テスト原稿は、階調パッチに対応する位置検出パッチを更に有し、前記画像読取部は、前記位置検出パッチにより検出された位置に基づいて読み取りラインを決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、前記位置検出パッチを、ある色の階調パッチの中心仮想線上に設けることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像形成装置において、前記画質調整部は、各階調パッチのディザ値により階調補正することを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成方法は、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶し、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成ステップと、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る読取ステップと、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整ステップと、を有する画像形成方法において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記読取ステップにおける読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、記憶したテスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すこととなる。これにより、テスト原稿が斜めに載置された場合であっても、いずれかの階調パッチを読み取ることが可能となり、殆ど1回の操作で階調バランスを取ることができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記画像読取部における読み取りラインを、原稿の搬送方向に対して垂直の方向の原稿幅方向に外す場合に、それぞれ異なる方向に外すこととなる。したがって、テスト原稿がいずれの方向に傾いたとしても、階調パッチを読み取ることが可能となる。
【0018】
また本発明によれば、前記テスト原稿は、階調パッチに対応する位置検出パッチを更に有し、前記画像読取部は、前記位置検出パッチにより検出された位置に基づいて読み取りラインを決定することができる。これにより、位置検出パッチを利用してより確実に階調パッチを読み取り可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、前記位置検出パッチを、ある色の階調パッチの中心仮想線上に設けることとなる。従って、読み取りラインをある色の階調パッチの位置と兼用することが可能となるため、余計な位置補正処理を行う必要がなくなる。
【0020】
また、本発明によれば、前記画質調整部は、各階調パッチのディザ値により階調補正することで、指数値で簡単に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0022】
[1.装置構成]
まず、本実施形態における画像形成装置1の構成について図1を用いて説明する。図1は、この発明の実施形態に係る画像形成装置1の簡単な構成を示す説明図である。本体装置である画像形成装置1は、読み取った原稿の画像データやネットワーク等を介して送信された画像データに基づいて用紙に対して多色及び単色の画像を形成する。ここで、画像形成装置1は、画像形成部100と、画像読取部200とを備えて構成されている。まず、画像形成部100の構成について説明する。
【0023】
[1.1 画像形成部の構成]
画像形成部100は、露光ユニットE、感光体ドラム(本発明の像担持体に相当する。)101(101a〜101d)、現像装置102(102a〜102d)、帯電ローラ103(103a〜103d)、クリーニングユニット104(104a〜104d)、中間転写ベルト11、一次転写ローラ13(13a〜13d)、二次転写ローラ14、定着装置15、用紙搬送路P1,P2,P3、給紙カセット16、手差し給紙トレイ17及び排紙トレイ18等を備えている。
【0024】
画像形成部100は、ブラック(K)及びカラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色の各色相に対応した画像データを用いて画像形成各色部Pa〜Pdにおいて画像形成を行う。画像形成各色部Pa〜Pdは、同様の構成であり、例えばブラックの画像形成黒色部Paは、感光体ドラム101a、現像装置102a、帯電ローラ103a、転写ローラ13a及びクリーニングユニット104a等から構成される。この画像形成各色部Pa〜Pdは、中間転写ベルト11の移動方向(副走査方向)に一列に配列されている。
【0025】
帯電ローラ103は、感光体ドラム101の表面を所定の電位に均一に帯電させる接触方式の帯電器である。帯電ローラ103に代えて、帯電ブラシを用いた接触方式の帯電器又は帯電ワイヤを用いた非接触方式の帯電器を用いることもできる。この発明の露光装置である露光ユニットEは、図示しない半導体レーザ、ポリゴンミラー4及び第1反射ミラー7及び第2反射ミラー8等を備えており、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによって変調されたレーザビーム等の光ビームのそれぞれを感光体ドラム101a〜101dのそれぞれに照射する。感光体ドラム101a〜101dのそれぞれには、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによる静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置102は、静電潜像が形成された感光体ドラム101の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像する。現像装置102a〜102dのそれぞれは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相のトナーを収納しており、感光体ドラム101a〜101dのそれぞれに形成された各色相の静電潜像をブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相のトナー像に顕像化する。クリーニングユニット104は、現像・画像転写後における感光体ドラム101上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0027】
感光体ドラム101の上方に配置されている中間転写ベルト11は、駆動ローラ11aと従動ローラ11bとの間に張架されてループ状の移動経路を形成している。中間転写ベルト11の外周面は、感光体ドラム101d、感光体ドラム101c、感光体ドラム101b及び感光体ドラム101aにこの順に対向する。この中間転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム101a〜101dに対向する位置に、一次転写ローラ13a〜13dが配置されている。中間転写ベルト11が感光体ドラム101a〜101dに対向する位置のそれぞれが一次転写位置である。また、中間転写ベルト11は、厚さ100〜150μm程度のフィルムで形成されている。
【0028】
一次転写ローラ13a〜13dには、感光体ドラム101a〜101dの表面に担持されたトナー像を中間転写ベルト11上に転写するために、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム101(101a〜101d)に形成された各色相のトナー像は中間転写ベルト11の外周面に順次重ねて転写され、中間転写ベルト11の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0029】
但し、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色相の一部のみの画像データが入力された場合には、4つの感光体ドラム101a〜101dのうち、入力された画像データの色相に対応する一部の感光体ドラム101のみにおいて静電潜像及びトナー像の形成が行われる。例えば、モノクロ画像形成時には、ブラックの色相に対応した感光体ドラム101aのみにおいて静電潜像の形成及びトナー像の形成が行われ、中間転写ベルト11の外周面にはブラックのトナー像のみが転写される。
【0030】
各一次転写ローラ13a〜13dは、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)を素材とする軸の表面を導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により被覆して構成されており、導電性の弾性材によって中間転写ベルト11に均一に高電圧を印加する。
【0031】
各一次転写位置において中間転写ベルト11の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11の回転によって、二次転写ローラ14との対向位置である二次転写位置に搬送される。二次転写ローラ14は、画像形成時において、内周面が駆動ローラ11aの周面に接触する中間転写ベルト11の外周面に所定のニップ圧で圧接されている。給紙カセット16又は手差し給紙トレイ17から給紙された用紙が二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間を通過する際に、二次転写ローラ14にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト11の外周面から用紙の表面にトナー像が転写される。
【0032】
なお、感光体ドラム101から中間転写ベルト11に付着したトナーのうち用紙上に転写されずに中間転写ベルト11上に残存したトナーは、次工程での混色を防止するために、クリーニングユニット12によって回収される。
【0033】
トナー像が転写された用紙は、定着装置15に導かれ、加熱ローラ15aと加圧ローラ15bとの間を通過して加熱及び加圧を受ける。これによって、トナー像が、用紙の表面に堅牢に定着する。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ18aによって排紙トレイ18上に排出される。
【0034】
画像形成部100には、給紙カセット16に収納されている用紙を二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間及び定着装置15を経由して排紙トレイ18に送るための略垂直方向の用紙搬送路P1が設けられている。用紙搬送路P1には、給紙カセット16内の用紙を一枚ずつ用紙搬送路P1内に繰り出すピックアップローラ16a、繰り出された用紙を上方に向けて搬送する搬送ローラr、搬送されてきた用紙を所定のタイミングで2次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間に導くレジストローラ19、及び、用紙を排紙トレイ18に排出する排紙ローラ18aが配置されている。
【0035】
また、画像形成部100の内部には、手差し給紙トレイ17からレジストローラ19に至る間に、ピックアップローラ17a及び搬送ローラrを配置した用紙搬送路P2が形成されている。さらに、排紙ローラ18aから用紙搬送路P1におけるレジストローラ19の上流側に至る間には、用紙搬送路P3が形成されている。
【0036】
排紙ローラ18aは、正逆両方向に回転自在にされており、用紙の片面に画像を形成する片面画像形成時、及び、用紙の両面に画像を形成する両面画像形成における第2面画像形成時に正転方向に駆動されて用紙を排紙トレイ18に排出する。一方、両面画像形成における第1面画像形成時には、排紙ローラ18aは、用紙の後端が定着装置15を通過するまで正転方向に駆動された後、用紙の後端部を挟持した状態で逆転方向に駆動されて用紙を用紙搬送路P3内に導く。これによって、両面画像形成時に片面のみに画像が形成された用紙は、表裏面及び前後端を反転した状態で用紙搬送路P1に導かれる。
【0037】
レジストローラ19は、給紙カセット16若しくは手差し給紙トレイ17から給紙され、又は、用紙搬送路P3を経由して搬送された用紙を、中間転写ベルト11の回転に同期したタイミングで2次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間に導く。このため、レジストローラ19は、感光体ドラム101や中間転写ベルト11の動作開始時には回転を停止しており、中間転写ベルト11の回転に先立って給紙又は搬送された用紙は、前端をレジストローラ19に当接させた状態で用紙搬送路P1内における移動を停止する。この後、レジストローラ19は、2次転写ローラ14と中間転写ベルト11とが圧接する位置で、用紙の前端部と中間転写ベルト11上に形成されたトナー像の前端部とが対向するタイミングで回転を開始する。
【0038】
なお、画像形成各色部Pa〜Pdの全てにおいて画像形成が行われるフルカラー画像形成時には、一次転写ローラ13a〜13dが中間転写ベルト11を感光体ドラム101a〜101dの全てに圧接させる。一方、画像形成黒色部Paのみにおいて画像形成が行われるモノクロ画像形成時には、一次転写ローラ13aのみを中間転写ベルト11を感光体ドラム101aに圧接させる。
【0039】
[1.2 画像読取部の構成]
つづいて、画像形成部100の上部に設けられた画像読取部200の構成について説明する。画像読取部200には、原稿が載置される透明ガラスからなるプラテンガラス(原稿載置台)210が設けられ、そのプラテンガラス210の上側には自動原稿読取装置220が取り付けられている。自動原稿読取装置220は、プラテンガラス210の上に自動で原稿を搬送する。
【0040】
また、自動原稿読取装置220は、矢印M方向に回動自在に構成され、プラテンガラス210の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0041】
自動原稿読取装置220は、原稿を載置する原稿トレイが備えられており、原稿トレイに載置された原稿は、ピックアップローラ及び給送ローラにより1枚ずつ給紙され搬送される。そして、原稿読取窓を通過することにより、原稿が画像データとして読み取られる。
【0042】
具体的には、原稿が原稿読取窓を通過する際に、走査ユニットの光源ランプ201によって原稿表面を露光し、ミラーを経由して原稿表面の画像をCCD(Charge Coupled Device)202上に結像する。CCD202は、原稿表面の画像を主走査方向に繰り返し読み取り、原稿表面の画像を示す画像データを出力する。
【0043】
また、原稿がプラテンガラス(原稿載置台)210上に載置された場合には、走査ユニットが所定の速度で移動し、プラテンガラス210上の原稿表面を露光し、同様に原稿表面を露光し、ミラーを経由して原稿表面の画像をCCD202上に結像する。
【0044】
[2.機能構成]
つづいて、画像形成装置1の機能構成について、図2を用いて説明する。図2に示すように、画像形成装置1は、CPU1000と、画像形成部100と、画像読取部200と、操作部300と、表示部400と、記憶部500と、画像メモリ600とを備えて構成されている。
【0045】
CPU1000(Central Processing Unit)は、画像形成装置1の各種動作及び制御を行う機能部である。画像形成装置1に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行することにより各処理を実現することとなる。
【0046】
画像形成部100は、画像メモリ600に記憶された画像データに基づいて、画像を形成し、記録紙に記録(印刷)するための機能部であり、画像読取部200は、原稿台に載置された原稿を読み取り、画像データとして画像メモリ600に出力する機能部である。画像形成部100及び画像読取部200は上記説明をした通りである。
【0047】
操作部300は、操作のために必要な情報を表示する表示部と、使用者の操作により制御命令などの情報が入力されるタッチパネル部やテンキー等を備えて構成されている。また、画像形成装置1における各種設定情報及び動作状況等が、表示部400に表示されることにより、利用者に報知されることとなる。
【0048】
記憶部500は、画像形成装置1を動作させる為の各種データやプログラムなどを記憶している機能部である。CPU1000は、記憶部500に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、制御処理を実行する。
【0049】
また、記憶部500には画質調整プログラム510と、パッチ階調データ520とが記憶されている。CPU10は、画質調整プログラム510を読み出して実行することにより、画質調整処理(図3)を実現する。
【0050】
また、パッチ階調データ520は、画像読取部200において読み取られたパッチに関する階調データが記憶されている。パッチ階調データ520を利用することにより、画像形成装置1における画質が調整されることとなる。
【0051】
また、記憶部500には、原稿の画質調整用のテスト原稿の画像データが記憶されている。利用者からの指示があると、CPU1000は、記憶部500に記憶されているテスト原稿を画像形成部100から出力する。
【0052】
画像メモリ600は、画像データを一時的に記憶するメモリである。具体的には、画像読取部200で生成された画像データが、一度画像メモリ600に記憶される。そして、印刷する画像データを、画像形成部100に出力する。
【0053】
[3.画質調整の動作説明]
続いて、具体的に画質調整を行う動作について、図を用いて説明する。まず、カラー調整を行うテスト原稿P200の一例を図3に示す。本実施形態における、テスト原稿P200は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)のカラーと、黒(K)の階調パッチ(17階調)をそれぞれ2つずつ有している。
【0054】
また、テスト原稿P200の読み取り方向(搬送方向)の先端側には、2つの位置検出パッチP210、P212を有している。ここで、搬送方向とは、図3に示しているように、テスト原稿が読み取られる方向であり、原稿幅方向とは、搬送方向と垂直になるテスト原稿の幅の方向(図3においては短尺方向)である。
【0055】
また、位置検出パッチとは、階調パッチと同一直線上に設けられており、階調パッチの中心部と、位置検出パッチの中心部とが同一直線上に配置されることとなる。この、階調パッチの中心部を仮想的に結ぶ線を中心仮想線といい、位置検出パッチ及び階調パッチの中心部を、中心仮想線が通ることとなる。
【0056】
まず、図3の場合、画像読取部200は、中心仮想線を読み取りラインとして、画像(階調パッチ)を読み取ることとなる。中心仮想線にそって、画像を読み取ることにより、画質調整に用いられる階調パッチをすべて読み取ることができるようになる。
【0057】
具体的に、図5を用いて説明する。テスト原稿が搬送されることにより、画像読取部200においてテスト原稿が読み取られる。すると、はじめに位置検出パッチP210が検出される。ここで、位置検出パッチP210の中心部を通る直線が中心仮想線と検出され、中心仮想線上に読み取りラインL310(図5の2点鎖線)が設定される。そして、読み取りラインL310にそって、画像読取部200は、階調パッチP220から階調パッチP230を読み取ることとなる。
【0058】
同様に、位置検出パッチP212が検出されると、位置検出パッチP212の中心部に読み取りラインL312が設定され、読み取りラインL312に沿って階調パッチP222からP232が読み取られることとなる。
【0059】
図6は、テスト原稿が斜めに載置された場合について説明する為の図である。この場合、位置検出パッチの中心部が、読み取りラインとして設定された場合、すべての階調パッチを読み取ることができない。
【0060】
すなわち、位置検出パッチP210が検出された後、位置検出パッチP210の中心部に読み取りラインL310が設定される。この場合、階調パッチP220を読み取ることは可能だが、階調パッチP230を読み取ることができない。
【0061】
同様に、位置検出パッチP212が検出された後、位置検出パッチP212の中心部に読み取りラインL312が設定された場合にも、階調パッチP222を読み取ることは可能だが、階調パッチP232を読み取ることができない。
【0062】
そこで、本発明を適用した場合について、図7を用いて説明する。図7に示しように、位置検出パッチP210の中心を通る中心仮想線は、L320である。そこからテスト原稿の外側に所定量ずらした場所に読み取りラインL330を設定する。同様に、位置検出パッチP212の中心を通る中心仮想線は、L322である。そこから原稿幅方向の外側に所定量ずらした場所に読み取りラインL332を設定する。すなわち、読み取りラインを、中心仮想線から外して設定する。
【0063】
ここで、中心仮想線から、読み取りラインをずらす幅(量)としては、あらかじめ設定してあるものとするが、利用者が可変できることとしても良い。また、読み取りラインとしてずらす幅の最大としては、位置検出パッチが検出可能な範囲に限られるものとする。
【0064】
さらに、図4と比較して読み取り可能領域M210を小さくすることにより、読み取り精度を向上させることが可能となる。図7においては、一例として4.1mm角と小さく設定することにより、図4と比較して、より読み取り精度を向上させることが可能となっている。
【0065】
さらに、位置検出パッチが2つ以上ある場合に、相反する方向に読み取りラインを中心仮想線からずらすことにより、載置された原稿がずれた向きの両方向にカバーすることが可能である。
【0066】
図8を用いて原稿全体について説明する。位置検出パッチP210を検出すると、位置検出パッチP210の中心部から所定の量だけ原稿幅方向の外側に(用紙上方に)ずらして読み取りラインL340を設定する。また、位置検出パッチP212を検出すると、位置検出パッチP212の中心部から所定の量だけ原稿幅方向の外側に(用紙下方に)ずらして読み取りラインL342を設定する。
【0067】
ここで、読み取りラインL340においては、階調パッチをすべて読み取ることはできないが、読み取りラインL342においては、階調パッチをすべて読み取ることができる。
【0068】
このように、読み取りラインを位置検出パッチの中心部から原稿幅方向にずらす(中心仮想線から外す)ことにより、テスト原稿が正しく載置されなかった場合でも、一度で階調パッチを読み取り可能となり、適切な画質調整を行うことが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態においては、2つの読み取りラインをずらすこととして説明したが、一つだけずらすこととしても良い。
【0070】
また、2つの読み取りラインを相反する方向(用紙外側)にずらすこととして説明したが、同方向にずらすこととしても良い。例えば、画像読取部200において、テスト原稿のずれる向きが決まっている場合は、同方向にずらした方がテスト原稿の載置ミスを精度良く判断でき、適切に階調パッチを読み取ることが可能となる。
【0071】
[4.処理の流れ]
続いて、画像形成装置1における画質調整処理について、図9を用いて説明する。図9の画質調整処理は、CPU1000により、画質調整プログラム510が読み出されて実行されることにより、実現される処理である。
【0072】
まず、操作部300にある画質ボタンが利用者により押下されたことを検知すると(ステップS10)、テスト原稿が印刷される(ステップS12)。そして、印刷されたテスト原稿が、画像読取部200に載置された否かを判定する(ステップS14)。
【0073】
ここで、画像読取部200に載置された場合は(ステップS14;Yes)、テスト原稿をスキャンする(ステップS16)。ここで、テスト原稿が、載置されたとは、例えば、自動原稿読取装置220に載置されても、プラテンガラス(原稿載置台)210に載置されても良い。
【0074】
ここで、テスト原稿の載置ミスがあった場合は、再度印刷原稿の読み取りを行う(ステップS18;Yes→ステップS14)。他方、テスト原稿の載置ミスが無い場合は、スキャンしたパッチ階調データを記憶部500に記憶する(パッチ階調データ520)。
【0075】
続いて、4色(K、C、M、Y)の17個のパッチデータを紙面左から右側に測定していき、測定ライン毎にその読み込まれたパッチデータを分析し、濃度が徐々に大きくなる測定データを分析/抽出する(ステップS22)。その後、予め記憶されたテスト原稿の標準の濃度値と測定データとを比較し、補正量を算出する(ステップS24)。
【0076】
具体的には、予めテスト原稿を正常に配置した場合の各パッチの光学反射濃度が実際の画像形成装置を用いて測定され、測定された光学反射濃度が標準値として記憶されている。これにより、その標準値との差異が算出される。その算出された補正量(補正値)を基に、ベタ濃度補正と階調補正を行い(ステップS26)、画質調整処理を終了する。実施内容としては、現像特性を加味したベタ画像濃度と中間調画像濃度(ガンマ特性)とが行われる。
【0077】
ここで、具体的な中間調(ハーフトーン)パッチの画像濃度の補正には、種々の方法が考えられるが、本実施形態では、17個のハーフトーンパッチのディザ値を変更するようにしている。例えば、図10に示すように、色(K、C、M、Y)毎にディザ値max960に対する指数が予め設定されている。画質調整時にその初期ディザ値に修正するように制御するようにする。
【0078】
また、ステップS16におけるスキャン処理について、図11を用いてさらに説明する。まず、テスト原稿から、位置検出パッチが検出されると(ステップS50;Yes)、中心仮想線を判定する(ステップS52)。ここで、中心仮想線は、位置検出パッチの中心を通る原稿の搬送方向の直線となる。
【0079】
つづいて、中心仮想線から原稿幅方向に所定量をずらした読み取りラインを決定する(ステップS54)。ここで、読み取りラインについては、例えば画像形成装置1においてあらかじめずらす量が指定されており(例えば、「3mm」)、その所定量だけ中心仮想線から外側方向にずれた位置に読み取りラインが決定される。
【0080】
なお、読み取りラインを決定する方法としては種々の方法が考えられ、例えば位置検出パッチの境界部分(テスト原稿外側)を検出し、当該境界部分を含む位置を読み取りライン等としても良い。
【0081】
続いて、読み取りラインに基づいて階調パッチを読み取る(ステップS56)。ここで、同一階調の階調パッチをすべて読み取れた場合は、スキャン成功と判定し(ステップS58;Yes→ステップS60)、同一階調の階調パッチをすべて読み取れなかった場合にはスキャン失敗と判定する(ステップS58;No→ステップS62)。
【0082】
なお、ステップS50において、位置検出パッチを検出できなかった場合も、スキャンが失敗したと判定する(ステップS50;No→ステップS62)。
【0083】
このように、本実施形態によれば、載置ミスにより、テスト原稿が傾いて置かれた場合であっても、適切に階調パッチを読み取ることができるようになる。そのため、画質調整の知識に乏しい利用者が行った場合であっても、殆ど1回の操作で階調バランスを取ることができる。
【0084】
[5.変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
また、上述した実施形態において、階調パッチ(位置検出パッチ)を2つとして説明したが、3つ以上有することとしても良いことはもちろんである。この場合、各階調パッチに対応する読み取りラインの位置をずらすことにより、より適切に階調パッチが読み取り可能となる。
【0086】
また、上述した実施形態においては、位置検出パッチが、階調パッチと同一直線上に設けられていたが、位置検出パッチの配置位置を階調パッチ中心部のライン上から原稿幅方向にずらしておいても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態における画像形成装置の断面図である。
【図2】本実施形態における画像形成装置の機能構成を説明するための図である。
【図3】本実施形態におけるテスト原稿について説明する為の図である。
【図4】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図5】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図6】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図7】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図8】本実施形態における動作について説明する為の図である。
【図9】本実施形態における画質調整処理の一例を示す図である。
【図10】本実施形態におけるディザ値の一例を示す図である。
【図11】本実施形態における原稿スキャン処理を説明する動作フローである。
【符号の説明】
【0088】
1 画像形成装置
100 画像形成部
Pa〜Pd 画像形成各色部
200 画像読取部
300 操作部
400 表示部
500 記憶部
510 画質調整プログラム
520 パッチ階調データ
600 画像メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、
前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、
前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像読取部における読み取りラインを、原稿の搬送方向に対して垂直の方向の原稿幅方向に外す場合に、それぞれ異なる方向に外すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記テスト原稿は、階調パッチに対応する位置検出パッチを更に有し、
前記画像読取部は、前記位置検出パッチにより検出された位置に基づいて読み取りラインを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置検出パッチを、ある色の階調パッチの中心仮想線上に設けることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画質調整部は、各階調パッチのディザ値により階調補正することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶し、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成ステップと、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取ステップと、前記テスト原稿の光学反射濃度と、印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整ステップと、を有する画像形成方法において、
前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、
前記画像読取ステップにおける読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶する記憶部と、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成部と、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取部と、前記テスト原稿の光学反射濃度と印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整部と、を有する画像形成装置において、
前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、
前記画像読取部における読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像読取部における読み取りラインを、原稿の搬送方向に対して垂直の方向の原稿幅方向に外す場合に、それぞれ異なる方向に外すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記テスト原稿は、階調パッチに対応する位置検出パッチを更に有し、
前記画像読取部は、前記位置検出パッチにより検出された位置に基づいて読み取りラインを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置検出パッチを、ある色の階調パッチの中心仮想線上に設けることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画質調整部は、各階調パッチのディザ値により階調補正することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
画質調整用のテスト原稿及びその光学反射濃度情報を記憶し、前記テスト原稿を印刷画像として出力する画像形成ステップと、印刷出力された印刷画像を読み取りラインに従って光学的に読み取る画像読取ステップと、前記テスト原稿の光学反射濃度と、印刷出力された印刷画像の光学反射濃度とを比較することにより印刷画質を制御する画質調整ステップと、を有する画像形成方法において、
前記テスト原稿は、同一の階調パッチを2つ以上有し、
前記画像読取ステップにおける読み取りラインを、テスト原稿の階調パッチ内の中心仮想線から、テスト原稿の搬送方向に対して垂直方向の原稿幅方向に外すことを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−98491(P2010−98491A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267035(P2008−267035)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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