説明

画像形成装置用現像装置の軸受シール構造、現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤の凝集体が生成されるのを抑制できる画像形成装置用現像装置の軸受シール構造、現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転軸73aを中心に回転可能に設けられ現像剤を搬送する現像剤搬送部73bを回転軸方向にわたって有する現像剤搬送部材73と、現像剤搬送部材73の回転軸端部を回転可能に軸支する軸受部材18を有する軸受部16と、軸受部16に設けられ、軸受部材18よりも回転軸中央側で現像剤搬送部材73の回転軸端部の外周面に接触してシールする弾性密封リップを有する、第1シール材20及び第1シール材20よりも回転軸中央側に位置する第2シール材19と、第1シール材20と第2シール材19との間に設けられたグリス26bと、を備えた、画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、現像剤搬送部材73は現像剤搬送部の回転軸方向端部よりも第2シール材19側にフランジ732を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の現像装置の軸受部で現像剤をシールするための画像形成装置用現像装置の軸受シール構造、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感光体上に潜像が作成された画像形成装置に用いられる現像装置は、現像装置内で現像剤の搬送を行う現像剤搬送部材を複数備えている。近年の画像形成装置は、形成する画像品質を向上させるために、より小径の現像剤を用いるようになってきている。このため、現像装置において現像剤が外部へ漏れやすい箇所である、現像剤搬送部材の回転軸端部を軸受部材により軸支する軸受部のシール構造にも種々の改良が望まれている。
【0003】
特許文献1に記載の現像装置では、現像剤搬送部材の回転軸の外周面に接触してシールする弾性密封リップを有する第1シール材及び第2シール材を軸受部に設けている。第1シール材は現像剤搬送部材の回転軸端部を軸支する軸受部材よりも回転軸中央側に位置しており、第2シール材は第1シール材よりも回転軸中央側に位置している。また、第1シール材と第2シール材との間、及び、第1のシール材と軸受部材との間に、グリスを封入している。
【0004】
現像剤搬送部材による搬送力などによって第2シール材が現像剤から圧力を受け、第2シール材の弾性密封リップと回転軸の外周面との接触部に現像剤が入り込み第2シール材を通過して、第1シール材と第2シール材との間に現像剤が侵入することがある。これに対し、第1シール材と第2シール材との間にグリスを封入することで、第1シール材と第2シール材との間に侵入する現像剤をグリスによって止めてシールすることが可能となる。また、第1シール材と第2シール材との間に侵入した現像剤が、この領域内のグリスでは止めきれずに第1シール材を通過して第1シール材と軸受部材との間に侵入することがある。これに対し、第1シール材と軸受部材との間にグリスを封入することで、第1シール材と軸受部材との間に侵入するトナーをグリスによって止めてシールすることが可能となる。このように、第1シール材と第2シール材との間、及び、第1のシール材と軸受部材との間に、グリスを封入することで長期間にわたってシール効果を維持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第2シール材の弾性密封リップと回転軸の外周面との接触部に入り込んだ現像剤が、第1シール材と第2シール材との間に封入されたグリスによって止められ前記接触部で停滞し回転軸の回転により摺擦されると、現像剤の凝集体が生成されてしまう。この凝集体が前記接触部から離脱して現像剤搬送部材によって搬送される現像剤中に混入し、その凝集体が混入された現像剤よって感光体上の潜像が現像されると異常画像が発生するといった問題が生じる。
【0006】
また、第1シール材と軸受部材との間にはグリスを封入せず、第1シール材と第2シール材との間にだけグリスを封入させた場合でも、上述したの同様の問題が生じる。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤の凝集体が生成されるのを抑制できる画像形成装置用現像装置の軸受シール構造、現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転軸を中心に回転可能に設けられ現像剤を搬送する現像剤搬送部を回転軸方向にわたって有する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材の回転軸端部を回転可能に軸支する軸受部材を有する軸受部と、前記軸受部に設けられ、前記軸受部材よりも回転軸中央側で前記現像剤搬送部材の回転軸端部の外周面に接触してシールする弾性密封リップを有する、第1シール材及び該第1シール材よりも回転軸中央側に位置する第2シール材と、前記第1シール部材と前記第2シール部材との間に設けられたグリスと、を備えた、画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、前記現像剤搬送部材は前記現像剤搬送部の回転軸方向端部よりも前記第2シール材側にフランジを備えることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、上記フランジの上記回転軸に直交する方向の大きさが、上記第2シール材の前記回転軸に直交する方向の大きさ以上であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、上記現像剤搬送部材は、上記現像剤搬送部として回転軸に螺旋状の羽部を備え、回転することにより現像剤を搬送する現像剤搬送スクリュであり、前記現像剤搬送部材の上記フランジに隣接する羽部を、フランジ近傍の現像剤がフランジ側から回転軸中央側に向かって搬送されるような巻き形状にしたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、上記現像剤搬送部材の上記フランジに隣接する羽部を覆うように壁部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、上記現像剤が磁性を有するものであり、上記フランジの上記第2シール材と対向する面にマグネットシールを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、上記マグネットシールの磁極配置が異方性であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5または6の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、上記マグネットシールを上記第2シール材の外径と同径だけ中を抜いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、画像形成装置に用いられる現像装置において、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、像担持体と、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、前記現像手段として、請求項8の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、現像剤搬送部材に設けられたフランジによって、第2シール材へ向かう現像剤の流れの流路が遮断され、現像剤がフランジよりも回転軸端部側の領域に流れ込み難くすることができる。これにより、フランジを設けずに第2シール材へ向かう現像剤の流れの流路を遮断しない場合よりも、第2シール材が現像剤から受ける圧力を低減することができ、第2シール材の弾性密封リップと回転軸の外周面との接触部に現像剤を入り込み難くすることができる。よって、前記接触部で現像剤が停滞し摺擦されて凝集体が生成されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によれば、現像剤の凝集体が生成されるのを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のシール構造について説明する図。
【図2】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】作像部の概略断面図。
【図4】供給搬送路、回収搬送路及び攪拌搬送路を示す現像装置の縦断面図。
【図5】現像装置の現像剤の流れについて説明する図。
【図6】従来技術の軸受シール構造について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ50という)の一実施形態について説明する。
【0013】
まず、プリンタ50の基本的な構成について説明する。図2は、本実施形態に係るプリンタ50を示す概略構成図である。
【0014】
図2に示すようにプリンタ50は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(以下、Y、C、M、Kと記す)用の4つの作像部51Y,51M,51C,51Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。Yトナー像を生成するためのY用の作像部51Yを例にすると、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向(図中矢印A方向)に回転駆動せしめられる感光体ドラム54Yの周囲に、感光体ドラム54上の未転写トナーなどの付着物を回収するクリーニング装置59Y、感光体ドラム54Y上を除電する不図示の除電手段、感光体ドラム54Y上を帯電する帯電装置55Y、感光体ドラム54Y上に形成された静電潜像を現像する現像装置56Yなどを有している。
【0015】
また、作像部51Yの上方には、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて変調したレーザー光あるいはLED光などの露光光Lを感光体ドラム54Y上に向けて照射し、感光体ドラム54Y上に潜像を形成する露光部53が設けられている。
【0016】
感光体ドラム54Yは、図中の反時計方向に回転しており、まず、帯電装置55との対向位置でその表面が一様に帯電される。そして、帯電装置55で帯電された感光体ドラム54Y表面は、露光光Lの照射位置に達する。そして、この位置で画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0017】
図中反時計まわりに回転している感光体ドラム54Yに対向するように配設された帯電装置55Yは、チャージワイヤーに不図示の帯電バイアス電源から帯電バイアスが印加される帯電チャージャーである。そして、帯電装置55Yが感光体ドラム54Yとの間に放電を生じせしめることで、感光体ドラム54Yの表面を一様帯電せしめる。帯電チャージャーを用いた帯電装置55Yの代わりに、帯電ローラを感光体ドラム54Yに対して接触あるいは所定の間隙を介して対向するように配置して、感光体ドラム54Yを一様帯電せしめるものを用いてもよい。
【0018】
帯電装置55Yによって一様帯電せしめられた感光体ドラム54Yの表面は、露光部53から発せられる露光光Lによって露光走査されてY用の潜像を担持する。
【0019】
現像手段たる現像装置56Yには、Yトナーと磁性キャリアとからなる現像剤が収納されており、感光体ドラム54Yに対向する現像領域で、周知の技術により、感光体ドラム54Y表面に担持された潜像にYトナーを付着させることで、潜像を現像してYトナー像を得る。
【0020】
詳しく説明すると、潜像が形成された感光体ドラム54Yの表面は、現像装置56Yとの対向部に達する。そして、現像装置56Yによって、感光体ドラム54Y上の潜像が現像される。詳しくは、現像装置56Y内のトナーは、トナーボトル1からトナーホッパ(図には省略されている)を介して供給されたトナーとともに磁性キャリアと混合される。そして、摩擦帯電したトナーは、磁性キャリアとともに後述する現像ローラ上に供給される。その後、現像ローラ上に担持されたトナーは、ドクタブレード77の位置を通過した後に、感光体ドラム54Yとの対向位置に達する。そして、その対向位置で、トナーは、感光体ドラム54Y表面に形成された静電潜像に付着する。
【0021】
なお、トナーホッパから供給されるトナーは、現像装置56内のトナーの消費にともない、現像装置56内に適宜に供給されるものである。
【0022】
図2に示す現像装置56Yは、現像ローラとして、上現像ローラ741Yと下現像ローラ742Yとの2つの現像ローラを備えた構成である。上現像ローラ741Yと下現像ローラ742Yとの2つの現像ローラを用いて感光体ドラム54Y上の潜像を現像することによって、感光体ドラム54Yの周速を高速にした場合、1つの現像ローラによって現像を行うものよりも、より確実に潜像の現像を行うことができる。
【0023】
感光体ドラム54Y上のYトナー像は、一次転写部で中間転写ベルト52上に一次転写される。
【0024】
クリーニング装置59Yは、一次転写工程を経た後の感光体ドラム54Yの表面に付着している転写残トナーを除去する。なお、クリーニング装置59Yとしては、クリーニングブレードよりも感光体ドラム回転方向下流側の感光体ドラム表面に接触摺擦するようにクリーニングブラシを配し、さらにクリーニングブラシに接触してトナー回収ローラを配し、トナー回収ローラからゴムブレードによってトナーを除去し、クリーニング装置59Y内に回収する構成を適用することができる。なお、クリーニング装置59Yとしては、この構成に限るものではない。
【0025】
クリーニング装置59Yで回収されたトナーは、廃トナーとして、不図示の廃トナー搬送経路を経て廃トナーボトル90に向けて搬送される。
【0026】
クリーニング装置59Yによって、クリーニング処理が施された感光体ドラム54Yの表面は、図示しない除電ランプ等の除電手段によって除電されて、次の画像形成に備えられる。
【0027】
図2において、他色用の作像部51M,51C,51Kにおいても、同様にして感光体ドラム54M,54C,54K上にM,C,Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト52上に中間転写される。
【0028】
作像部51Y,51M,51C,51Kの図中下方には、トナー像担持体である中間転写ベルト52を張架しながら図中時計回り方向(図中矢印B方向)に無端移動せしめる転写ユニット70が配設されている。転写手段たる転写ユニット70は、中間転写ベルト52の他、二次転写対向ローラ9、及び、2つの張架ローラ7a,7b、一次転写部材としての4つの一次転写ローラ58Y,58M,58C,58K、二次転写ローラ8、ベルトクリーニング装置80などを備えている。
【0029】
中間転写ベルト52は、そのループ内側に配設された張架ローラ7aや張架ローラ7bや二次転写対向ローラ9などの複数のローラ部材によって張架されながら、これら複数のローラ部材のうちの一つが回転駆動することによって図中時計回りに無端移動せしめられる。
【0030】
4つの一次転写ローラ58Y,58M,58C,58Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト52を挟んで感光体ドラム54Y,54M,54C,54Kと対向し、Y,M,C,K用の一次転写部を形成している。そして、中間転写ベルト52の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト52は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の一次転写部を順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体ドラム54Y,54M,54C,54K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト52上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0031】
中間転写ベルト52上のトナー像を記録媒体である記録紙S上に二次転写する二次転写部60の中間転写ベルト52のループ外側には、図示しない電源から出力される二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ8が配設されており、これは中間転写ベルト52のベルトループ内側の二次転写対向ローラ9との間に中間転写ベルト52を挟み込んで二次転写ニップを形成している。
【0032】
中間転写ベルト52に形成された4色トナー像は、中間転写ベルト52の回転に伴って二次転写部60に搬送される。
【0033】
転写ユニット70の下方には、給紙カセット61,62,63が配設されている。これら給紙カセット61,62,63内には、記録紙Sが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されている。そして、給紙カセット61,62,63のうち、1つの給紙カセットが自動または手動で選択されると給紙カセットに収容された記録紙束の一番上の記録紙Sを所定のタイミングで搬送経路Rの位置に向けて搬送される。この搬送経路Rの末端には、レジストローラ対81が配設されている。レジストローラ対81は、互いに当接しながら回転するローラ間に搬送されてきた記録紙Sを挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Sを中間転写ベルト52上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写部60に向けて送り出す。
【0034】
中間転写ベルト52上に形成された4色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ8と接地された二次転写対向ローラ9との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写部60の二次転写ニップ内で記録紙Sに一括二次転写される。そして、記録紙Sの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0035】
二次転写部60の二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト52には、記録紙Sに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、二次転写部60よりも中間転写ベルト回転方向下流側で中間転写ベルト52のループおもて面に対向して設けられたベルトクリーニング装置80によって除去され、廃トナーとして、不図示の廃トナー搬送経路を経て廃トナーボトル90に向けて搬送される。
【0036】
二次転写部60よりも記録紙搬送方向下流側には、定着装置64が配設されている。この定着装置64は、加圧や加熱によって記録紙S上のトナー像を記録紙Sに定着せしめるものである。そして、このように定着装置64によってトナー像が定着せしめられた記録紙Sは、出力画像としてプリンタ50の内から外に排出され、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0037】
図3は、作像部51の概略断面図である。図4は、現像装置56における供給搬送路71A、回収搬送路72A及び攪拌搬送路73Aを示す縦断面図である。図5は、現像装置56の現像剤の流れを示した図である。なお、図5中の矢印は現像剤の搬送経路を示している。
【0038】
本実施形態の作像部51は、現像装置56及び感光体ドラム54以外の作像部材として、クリーニング装置59、不図示の除電装置、帯電装置55を一体として支持し、プリンタ50本体に対して着脱可能となっている。
【0039】
現像装置56は、現像剤を図3中の手前側から奥側へと搬送しながら2つの現像ローラである上現像ローラ741及び下現像ローラ742に現像剤を供給する供給スクリュ71を備える。また、両現像ローラに供給され、両現像ローラと感光体ドラム54との対向部である現像領域を通過した後の現像剤を回収し、図3中手前側から奥側へと搬送する回収スクリュ72を備える。さらに、回収スクリュ72の搬送方向下流端まで到達した現像剤を撹拌しながら搬送し供給スクリュ71の搬送方向上流端に受け渡して現像剤を循環させる攪拌スクリュ73を備える。攪拌スクリュ73は、現像装置56の図3中の奥側端部では、回収スクリュ72と同じ高さとなり、手前側端部では供給スクリュ71と同じ高さとなるように、奥側から手前側に向けて斜め上方となるように配置されている。ここで、現像装置56の供給スクリュ71が配置されている空間を供給搬送路71A、回収スクリュ72が配置されている空間を回収搬送路72A、そして、攪拌スクリュ73が配置されている空間を攪拌搬送路73Aとする。また、上現像ローラ741と下現像ローラ742とを配置し、感光体ドラム54と対向する空間を現像室79とする。また、現像装置56は、下現像ローラ742の下方で感光体ドラム54と対向するキャッチローラ76を備えている。
【0040】
上現像ローラ741やこれの下方に配設された下現像ローラ742は、それぞれ、図示しないモータや駆動伝達系などからなる駆動手段によって図中時計周り方向に回転駆動される非磁性パイプからなる現像スリーブと、これに連れ回らないように内包される図示しないマグネットローラとを有している。
【0041】
上現像ローラ741や下現像ローラ742を収容している現像室79は、感光体ドラム54と対向する側の壁に開口を有しており、そこから上現像ローラ741や下現像ローラ742の現像スリーブの周面の一部を露出させている。この現像室79における感光体ドラム54との対向側とは反対側は、両現像ローラの軸線方向の全域に渡って、供給搬送路71A及び回収搬送路72Aが連通している。供給搬送路71Aは回収搬送路72Aの鉛直方向の真上に配設されており、これら供給搬送路71A及び回収搬送路72Aが何れも図中右側(感光体側)を長手方向の全域に渡って現像室79に連通しているのである。
【0042】
供給搬送路71A内に配置されている供給スクリュ71は、感光体ドラム54や両現像ローラと同様に水平方向に延在する姿勢をとっている。そして、供給スクリュ71は、棒状の回転軸であるスクリュ軸71aとこれの周面に回転軸方向にわたって螺旋状に立設せしめられ現像剤を搬送する現像剤搬送部であるスクリュ羽根71bとからなり、図示しないモータや駆動伝達系などからなる駆動手段によって図3中の反時計回り方向に一体的に回転駆動される。
【0043】
回収搬送路72A内に収容されている回収スクリュ72も、感光体ドラム54、両現像ローラ、供給スクリュ71と同様に、水平方向に延在する姿勢をとっている。そして、図示しない駆動手段によってスクリュ軸72aとスクリュ羽根72bとが図中時計回り方向に一体的に回転駆動される。
【0044】
供給搬送路71Aや回収搬送路72Aにおける現像室79側とは反対側には、攪拌搬送路73Aが隣接している。この攪拌搬送路73Aは、他の現像剤搬送路とは異なり、図4に示すように水平方向から傾いた姿勢で延在するように形成されている。そして、回転軸であるスクリュ軸73aの周面上に軸方向にわたって螺旋状に立設せしめられ現像剤を搬送する現像剤搬送部であるスクリュ羽根73bを有する攪拌スクリュ73も、かかる攪拌搬送路73A内において傾斜した姿勢で延在しており、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。なお、攪拌搬送路73Aは、仕切壁78によってその大部分が供給搬送路71Aや回収搬送路72Aから仕切られている。但し、仕切壁78に設けられた開口によって、供給搬送路71Aや回収搬送路72Aと部分的に連通している。
【0045】
供給搬送路71A内においては、供給スクリュ71のスクリュ羽根71a内に保持された図示しない現像剤が、供給スクリュ71の回転に伴って、紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送される。この搬送の過程において、現像剤は現像室79内の上現像ローラ741の現像スリーブ(以下、上現像スリーブという)に順次供給されていく。そして、上現像スリーブ内のマグネットローラの磁力によって上現像スリーブに汲み上げられる。
【0046】
上現像スリーブに汲み上げられた現像剤は、先端を上現像スリーブの表面と所定の間隙を介して対向させているドクタブレード77によって上現像スリーブ上での層厚が規制される。そして、感光体ドラム54に対向する第1現像領域まで搬送されて、ここで現像に寄与する。
【0047】
上現像スリーブに汲み上げられずに供給スクリュ71の現像剤搬送方向下流側端部付近(図中奥側端部付近)まで搬送された現像剤は、供給搬送路71Aの底壁に設けられた不図示の落とし込み開口から回収搬送路72A内に落下する。
【0048】
また、上現像スリーブの回転に伴って、上現像スリーブと感光体ドラム54とが対向する第1現像領域まで搬送されて現像に寄与した現像剤は、その後、上現像スリーブの回転に伴って第1現像領域を通過する。そして、上現像ローラ741の下方に配設された下現像ローラ742の現像スリーブ(以下、下現像スリーブという)に受け渡される。その後、下現像スリーブの回転に伴って、下現像スリーブと感光体ドラム54とが対向する第2現像領域に送られて、ここで再び現像に寄与する。2度目の現像工程を終えた現像剤は、現像室79と回収搬送路72Aとの連通位置まで搬送される。そして、下現像ローラ742のマグネットローラの形成する反発磁界の影響によって下現像スリーブ表面から離脱した後、回収搬送路72A内に落下する。
【0049】
下現像スリーブの回転とともに第2現像領域を通過した後、回収搬送路72Aから比較的離れた位置で下現像スリーブ表面から離脱してしまった現像剤は、下現像スリーブの直下に配設されたキャッチローラ76の回転力により、回収搬送路72Aに向けて搬送される。
【0050】
回収搬送路72A内では、回収スクリュ72のスクリュ軸72aの周面に軸方向にわたって螺旋状に立設せしめられ現像剤を搬送する現像剤搬送部であるスクリュ羽根72b内に保持された図示しない現像剤が、回収スクリュ72の回転に伴って、紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送される。そして、この搬送の過程において、不図示のトナー補給装置によって回収搬送路72A内の現像剤にトナーが補給される。また、供給搬送路71Aの落とし込み開口から落下してくる現像剤を取り込む。その後、回収スクリュ72の現像剤搬送方向下流側端部付近(図中奥側端部付近)まで搬送された現像剤は、仕切壁78に設けられた開口部を通って、攪拌搬送路73A内に進入する。
【0051】
攪拌搬送路73A内に進入した現像剤は、攪拌スクリュ73の現像剤搬送方向上流側端部に取り込まれる。そして、現像剤搬送方向上流側から現像剤搬送方向下流側への斜め上向きの姿勢で配設された攪拌スクリュ73の回転に伴って、図4の矢印で示すように昇り勾配で搬送される。現像剤が攪拌スクリュ73の剤搬送方向下流側端部付近まで搬送されると、仕切壁78に設けられた開口部を通って、供給搬送路71Aに戻される。そして、供給スクリュ71の剤搬送方向上流側端部に取り込まれる。なお、図4に符号Wで示される領域は、感光体ドラム54の軸線方向における画像形成可能領域を示している。
【0052】
時間当たりの印刷量が多く求められるようなプリンタにおいては、現像装置56としても単位時間あたりの現像量が必要となり、必然的に現像剤搬送部材たる各スクリュの回転も高速となる。そのため、各スクリュの端部にはこのような高速回転の負荷を少なくスムーズに行うために、スクリュ軸の端部を回転可能に軸支する軸受部を備えている。
【0053】
ここで、図6を用いて従来技術の軸受シール構造について説明する。
従来技術では、図6に示すように、Gシール19と、Gシール20と、軸受ケース17の内周面と、スクリュ軸73aとで形成される空間25bに、この空間25bを埋める程度の量のグリス26bを充填する。更に、Gシール20と、玉軸受18と、軸受ケース17の内周面と、スクリュ軸73aとで形成される空間25aに、この空間25aを埋める程度の量のグリス26aを充填する。Gシールとは、リング本体の内周部に一体に形成された弾性密封リップによって軸をラジアル方向に締め付けてシールする断面略G字型のゴム製のシールリングである。なお、現像剤へのグリス混入防止のため、Gシール19より軸受の外側へはグリス付着がないよう注意する。そして、空間25aや空間25bにグリスを充填した後、スクリュ軸端部からネジ止めする。
【0054】
Gシール19とGシール20との間の空間25bに封入してあるグリス26bは、Gシール19とスクリュ軸73aとの摺動面やGシール20とスクリュ軸73aとの摺動面を潤滑して摩擦熱の発生を低減し、Gシール19を通過して空間25bに侵入したトナーがこれらの部分で固着することを防止する。また、空間25bに多量のグリス26bが封入されているので、空間25bに侵入してくるトナーをグリス26bによってシールすることができる。
【0055】
グリス26bを封入する空間25bが、Gシール19とGシール20との2つの弾性密封リップで囲まれているので、空間25bの外部にグリス26bが漏れることはなく、グリス26bは、Gシール19やGシール20の摺動部分に常に存在して安定した潤滑作用を与える。
【0056】
更に、Gシール20と玉軸受18との間の空間25aに封入してあるグリス26aは、Gシール20の弾性密封リップとスクリュ軸73aの摺動面とを潤滑して摩擦熱の発生を低減し、Gシール20を通過して空間25aに侵入したトナーがこれらの部分で固着することを防止する。また、空間25aに多量のグリス26aが封入されているので、空間25aに侵入してくるトナーをグリス26aによってシールすることができる。
【0057】
グリス26aを封入する空間25aが、Gシール20と玉軸受18とで囲まれているので、空間25aの外部にグリス26aが漏れることはなく、グリス26aは、Gシール20と玉軸受18との摺動部分に常に存在して安定した潤滑作用を与える。
【0058】
このようなシール構造によって、トナーが軸受部16近傍に存在することにより発生する異常、例えば軸受部16での玉軸受18とスクリュ軸73aとの嵌合部からの剤漏れや玉軸受18のロックを阻止しているが、1段目のGシール19の周りには現像剤が常に存在することになり、また搬送されてくる現像剤(図6中矢印C)からの圧力(図6中矢印P)が直接かかることとなる。大型で高速の画像形成装置になるほど、現像装置内の現像剤からGシール19にかかる圧力は大きくなり、Gシール19にトナーが入り込む可能性が高まる。Gシール19を通過しようとするトナーは弾性密封リップとスクリュ軸73aとの摺動部分に停滞し摺擦され、トナー凝集体を生成し始める。そして、トナー凝集体が現像装置56内の現像剤に混入し、そのトナー凝集体が混入した現像剤によって感光体ドラム54上の潜像が現像されると、その結果として印刷物にトナーの凝集体が印刷されてその凝集体によって異常画像が発生しやすい状態になってしまう。
【0059】
図1は、本発明のシール構造について説明する図である。
図1に示すように攪拌スクリュ73の軸端を軸支する軸受部16において、Gシール19と、Gシール20と、軸受ケース17の内周面と、スクリュ軸73aとで形成される空間25bに、この空間25bを埋める程度の量のグリス26bが充填されている。更に、Gシール20と、玉軸受18と、軸受ケース17の内周面と、スクリュ軸73aとで形成される空間25aに、この空間25aを埋める程度の量のグリス26aが充填されている。空間25aや空間25bにグリスを充填した後、スクリュ軸端部からネジ止めする。なお、現像剤へのグリス混入防止のため、Gシール19より軸受部16の外側へはグリス付着がないよう注意する。
【0060】
Gシール19とGシール20との間の空間25bに封入してあるグリス26bは、Gシール19とスクリュ軸73aとの摺動面やGシール20とスクリュ軸73aとの摺動面を潤滑して摩擦熱の発生を低減し、Gシール19を通過して空間25bに侵入したトナーがこれらの部分で固着することを防止する。また、空間25bに多量のグリス26bが封入されているので、空間25bに侵入してくるトナーをグリス26bによってシールすることができる。
【0061】
グリス26bを封入する空間25bが、Gシール19とGシール20との2つの弾性密封リップで囲まれているので、空間25bの外部にグリス26bが漏れることはなく、グリス26bは、Gシール19やGシール20の摺動部分に常に存在して安定した潤滑作用を与える。
【0062】
一方、Gシール20と玉軸受18との間の空間25aに封入してあるグリス26aは、Gシール20の弾性密封リップとスクリュ軸73aの摺動面とを潤滑して摩擦熱の発生を低減し、Gシール20を通過して空間25aに侵入したトナーがこれらの部分で固着することを防止する。また、空間25aに多量のグリス26aが封入されているので、空間25aに侵入してくるトナーをグリス26aによってシールすることができる。
【0063】
グリス26aを封入する空間25aが、Gシール20と玉軸受18とで囲まれているので、空間25aの外部にグリス26aが漏れることはなく、グリス26aは、Gシール20と玉軸受18との摺動部分に常に存在して安定した潤滑作用を与える。
【0064】
攪拌スクリュ73のスクリュ軸端部におけるスクリュ羽根73bの終端には、図1に示すように、スクリュ軸73aに直交する方向の大きさである外径がGシール19の外径以上であり、スクリュ羽根の外径と同径あるいはやや大きめの円形のフランジ732が設けられている。
【0065】
本実施形態においては、攪拌スクリュ73のスクリュ軸端部に設けられたフランジ732によって、Gシール19へ向かう現像剤の流れの流路が遮断され、現像剤をフランジ732よりもスクリュ軸端部側の領域に流れ込み難くすることができる。なお、本実施形態のように、フランジ732の外径がGシール19の外径以上であることで、Gシール19へ向かう現像剤の流れの流路をフランジ732によってより確実に遮断することができる。これにより、図6に示すようなフランジ732を設けずにGシール19へ向かう現像剤の流れの流路を遮断しない構成よりも、Gシール19が現像剤から受ける圧力を低減することができ、Gシール19の弾性密封リップとスクリュ軸73aの外周面との接触部に現像剤を入り込み難くすることができる。よって、前記接触部で現像剤が停滞し摺擦されてトナーの凝集体が生成されるのを抑制することができる。また、前記接触部に現像剤が入り込み難くすることができるので、現像剤がGシール19を通過することも抑制でき、安定したシール性を維持することができる。
【0066】
また、攪拌スクリュ73にはフランジ732に隣接して、フランジ732近傍の現像剤がフランジ732側からスクリュ軸中央側に向かって搬送されるような巻き形状であり、現像装置内における現像剤の循環方向で現像剤搬送方向上流側から下流側に現像剤を搬送する部分のスクリュ羽根73bとは逆巻でピッチの狭い逆巻きスクリュ部733が設けられている。これにより、逆巻きスクリュ部733によってフランジ732近傍の現像剤をフランジ732側からスクリュ軸中央側に向かって搬送し、フランジ732から遠ざけることができる。よって、現像剤をフランジ732よりもスクリュ軸端部側の領域に、より流れ込み難くすることができる。また、前記接触部に現像剤が入り込み難くすることができるので、現像剤がGシール19を通過することも抑制でき、より安定したシール性を維持することができる。
【0067】
また、軸受ケース17を取り付けてある現像装置56のケース56aには逆巻きスクリュ部733を囲うように仕切壁34が設けられている。この仕切壁34は、逆巻きスクリュ部733による現像剤をスクリュ軸中央側に押し戻す機能を十分に発揮させることと、現像剤搬送方向が変わる際に、隣接する供給スクリュ71の端部へ現像剤が流れ込むのを防ぐ効果を持つ。
【0068】
ここで、図6に示す従来技術の軸受シール構造の攪拌スクリュ73のスクリュ軸端部における現像剤の搬送方向は矢印C方向であり、この現像剤の搬送により発生した圧力(図6中矢印P)がGシール19へ直接かかるようになっていた。これに対し、図1に示す攪拌スクリュ73のスクリュ軸端部における現像剤の搬送方向も矢印C方向であるが、フランジ732と逆巻きスクリュ部733とにより現像剤がフランジ732よりもスクリュ軸端部側の領域に流れ込み難くなっている。これにより、攪拌スクリュ73のスクリュ軸端部における現像剤の矢印C方向の搬送により発生した圧力(図1中矢印P)が、Gシール19へ直接かかるのを抑制することができる。この際、フランジ732だけで現像剤がフランジ732よりもスクリュ軸端部側の領域に流れ込み難くする場合よりも、逆巻きスクリュ部733により現像剤をスクリュ軸中央側に押し戻すことが合わさることによって、Gシール19が現像剤から受ける圧力をより低減することができる。よって、Gシール19の弾性密封リップとスクリュ軸73aの外周面との接触部に現像剤をより入り込み難くすることができ、前記接触部で現像剤が停滞し摺擦されてトナーの凝集体が生成されるのをより抑制することができる。また、前記接触部に現像剤が入り込み難くすることができるので、現像剤がGシール19を通過することも抑制でき、より安定したシール性を維持することができる。
【0069】
また、本実施形態においては、フランジ732のGシール19に対向する面にGシール19の外径分だけ中を抜いたマグネットシール731を設けている。これにより、逆巻きスクリュ部733と外ケース56bとの隙間やフランジ732と外ケース56bとの隙間から図中矢印D方向に抜けてくる現像剤を、マグネットシール731の持つ磁力によって磁気的に保持し、フランジ732と軸受ケース17との隙間を埋めるような剤シールEを形成させることができる。そして、その剤シールEによって、逆巻きスクリュ部733と外ケース56bとの隙間やフランジ732と外ケース56bとの隙間から現像剤がGシール19近傍へ直接流れ込んでくることを抑制し、現像剤の圧力がGシール19へ直接かからないようにしてシール性を向上させることができる。
【0070】
なお、マグネットシール731の磁極配置が異方性であることで、色々な方向でマグネットシール731の持つ磁力により現像剤を磁気的に保持することができ、シール性をより高めることができる。
【0071】
また、マグネットシール731をGシール19の外径だけ中抜きにすることで、フランジ732と軸受ケース17との隙間を埋めるように形成される剤シールEがGシール19へ接触するのを抑制することができる。よって、Gシール19は剤シールEからマグネットシール731の中抜き部分に飛散するトナーのみを防ぐだけでよくなる。
【0072】
表1は、対策の効果について説明する表である。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示した結果にあるように、図6に示した従来技術の軸受シール構造を採用した構成においては、およそ10万頁でGシール19をトナーが通過するものが出てしまったが、図1に示した本発明の軸受シール構造を採用した構成においては、80万頁を超えてもGシール19をトナーが通過することは無かった。
【0075】
なお、本発明の軸受シール構造は、図1で攪拌スクリュ74を例示して説明したような現像剤搬送部材である搬送スクリュの現像剤搬送方向下流側端部における軸受シール構造だけに適用されるものではない。すなわち、搬送スクリュの現像剤搬送方向上流側端部における軸受シール構造にも適用することができ、搬送スクリュの現像剤搬送方向下流側における軸受シール構造と同様の効果を得ることができる。
【0076】
本実施形態においては、図1に示すように攪拌スクリュ74から現像剤が受け渡される供給スクリュ71の現像剤搬送方向上流側端部の軸受部16に対して、Gシール19と、Gシール20と、軸受ケース17の内周面と、スクリュ軸71aとで形成される空間25bに、この空間25bを埋める程度の量のグリス26bが充填されている。更に、Gシール20と、玉軸受18と、軸受ケース17の内周面と、スクリュ軸71aとで形成される空間25aに、この空間25aを埋める程度の量のグリス26aが充填されている。
【0077】
供給スクリュ71の現像剤搬送方向上流側のスクリュ軸端部におけるスクリュ羽根71bの終端には、図1に示すようにスクリュ羽根71bの外径と同径あるいはやや大きめのフランジ712が設けられている。
【0078】
また、供給スクリュ71にはフランジ712に隣接して、フランジ712近傍の現像剤がフランジ712側からスクリュ軸中央側に向かって搬送されるような巻き形状のスクリュ部713が設けられている。
【0079】
さらに、フランジ712のGシール19に対向する面にGシール19の外径分だけ中を抜いたマグネットシール711が設けられている。
【0080】
これにより、供給スクリュ71の現像剤搬送方向上流側のスクリュ軸端部における軸受シール構造が、上述したような攪拌スクリュ73の軸受シール構造と同様に機能し、攪拌スクリュ73の軸受シール構造で得られる上述したのと同様の効果が得られる。
【0081】
以上、本実施形態によれば、回転軸であるスクリュ軸73aを中心に回転可能に設けられ現像剤を搬送する現像剤搬送部を回転軸方向にわたって有する現像剤搬送部材である攪拌スクリュ73と、攪拌スクリュ73の回転軸端部を回転可能に軸支する軸受部材である玉軸受18を有する軸受部16と、軸受部16に設けられ、玉軸受18よりもスクリュ軸中央側で攪拌スクリュ73のスクリュ軸端部の外周面に接触してシールする弾性密封リップを有する、第1シール材であるGシール20及びGシール20よりもスクリュ軸中央側に位置する第2シール材であるGシール19と、Gシール19とGシール20との間に設けられたグリス26bと、を備えた、画像形成装置に用いられる現像装置の軸受シール構造において、攪拌スクリュ73は前記現像剤搬送部の回転軸方向端部よりもGシール19側にフランジ732を備える。攪拌スクリュ73に設けられたフランジ732によって、Gシール19へ向かう現像剤の流れの流路が遮断され、現像剤をフランジ732よりもスクリュ軸端部側の領域に流れ込み難くすることができる。これにより、フランジ732を設けずにGシール19へ向かう現像剤の流れの流路を遮断しない場合よりも、Gシール19が現像剤から受ける圧力を低減することができ、Gシール19の弾性密封リップとスクリュ軸73aの外周面との接触部に現像剤を入り込み難くすることができる。よって、前記接触部で現像剤が停滞し摺擦されて凝集体が生成されるのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、フランジ732のスクリュ軸73aに直交する方向の大きさである外径が、Gシール19のスクリュ軸73aに直交する方向の大きさである外径以上であることで、Gシール19へ向かう現像剤の流れの流路をフランジ732によってより確実に遮断することができる。
また、本実施形態によれば、攪拌スクリュ73は、前記現像剤搬送部としてスクリュ軸73aに螺旋状の羽部であるスクリュ羽根73bを備え、回転することにより現像剤を搬送する現像剤搬送スクリュであり、攪拌スクリュ73のフランジ732に隣接する羽部をフランジ732近傍の現像剤がフランジ732側からスクリュ軸中央側に向かって搬送されるような巻き形状にしたことで、フランジ732近傍の現像剤をフランジ732側からスクリュ軸中央側に向かって搬送し、フランジ732から遠ざけることができる。よって、現像剤をフランジ732よりもスクリュ軸端部側の領域に、より流れ込み難くすることができる。
また、本実施形態によれば、攪拌スクリュ73のフランジ732に隣接する羽部である逆巻きスクリュ部733を覆うように壁部材である仕切壁34を設けたことで、逆巻きスクリュ部733による現像剤を押し戻す機能を十分に発揮させるとともに、現像剤搬送方向が変わる際に、隣接する搬送スクリュの端部へ現像剤が流れ込むのを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、現像剤が磁性を有しており、フランジ732のGシール19と対向する面にマグネットシール731を設けたことで、マグネットシール731の持つ磁力によって現像剤を磁気的に保持し、シール性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、フランジ732のGシール19に対向する面に貼り付けるマグネットシール731の磁極配置が異方性であることで、色々な方向でマグネットシール731の持つ磁力により現像剤を磁気的に保持することができ、シール性をより高めることができる。
また、本実施形態によれば、マグネットシール731をGシール19の外径と同径だけ中を抜いたことで、上述したように、フランジ732と軸受ケース17との隙間を埋めるように形成される剤シールEがGシール19へ接触するのを抑制することができる。よって、Gシール19は剤シールEからマグネットシール731の中抜き部分に飛散するトナーのみを防ぐだけでよくなる。
また、本実施形態によれば、画像形成装置に用いられる現像装置56において、本発明の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造を採用することにより、トナー凝集体が現像装置56内の現像剤に混入するのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、像担持体である感光体ドラム54と、感光体ドラム54上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、前記現像手段として本発明の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造を採用した現像装置56を用いることにより、トナー凝集体によって異常画像が発生するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 トナーボトル
7a 張架ローラ
7b 張架ローラ
8 二次転写ローラ
9 二次転写対向ローラ
16 軸受部
17 軸受ケース
18 玉軸受
19 Gシール
20 Gシール
25a 空間
25b 空間
26a グリス
26b グリス
34 仕切壁
50 プリンタ
51 作像部
52 中間転写ベルト
53 露光部
54 感光体ドラム
56 現像装置
56a ケース
56b 外ケース
58 一次転写ローラ
59 クリーニング装置
60 二次転写部
61 給紙カセット
62 給紙カセット
63 給紙カセット
64 定着装置
70 転写ユニット
71 供給スクリュ
71a スクリュ軸
71b スクリュ羽根
71A 供給搬送路
72 回収スクリュ
72a スクリュ軸
72b スクリュ羽根
72A 回収搬送路
73 攪拌スクリュ
73a スクリュ軸
73b スクリュ羽根
73A 攪拌搬送路
74 攪拌スクリュ
76 キャッチローラ
77 ドクタブレード
78 仕切壁
79 現像室
80 ベルトクリーニング装置
81 レジストローラ対
90 廃トナーボトル
711 マグネットシール
712 フランジ
713 スクリュ部
731 マグネットシール
732 フランジ
733 逆巻きスクリュ部
741 上現像ローラ
742 下現像ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2004−226695号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転可能に設けられ現像剤を搬送する現像剤搬送部を回転軸方向にわたって有する現像剤搬送部材と、
前記現像剤搬送部材の回転軸端部を回転可能に軸支する軸受部材を有する軸受部と、
前記軸受部に設けられ、前記軸受部材よりも回転軸中央側で前記現像剤搬送部材の回転軸端部の外周面に接触してシールする弾性密封リップを有する、第1シール材及び該第1シール材よりも回転軸中央側に位置する第2シール材と、
前記第1シール部材と前記第2シール部材との間に設けられたグリスと、を備えた、画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、
前記現像剤搬送部材は前記現像剤搬送部の回転軸方向端部よりも前記第2シール材側にフランジを備えることを特徴とする画像形成装置用現像装置の軸受シール構造。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、
上記フランジの上記回転軸に直交する方向の大きさが、上記第2シール材の前記回転軸に直交する方向の大きさ以上であることを特徴とする画像形成装置用現像装置の軸受シール構造。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、
上記現像剤搬送部材は、上記現像剤搬送部として回転軸に螺旋状の羽部を備え、回転することにより現像剤を搬送する現像剤搬送スクリュであり、
前記現像剤搬送部材の上記フランジに隣接する羽部を、フランジ近傍の現像剤がフランジ側から回転軸中央側に向かって搬送されるような巻き形状にしたことを特徴とする画像形成装置用現像装置の軸受シール構造。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、
上記現像剤搬送部材の上記フランジに隣接する羽部を覆うように壁部材を設けたことを特徴とする画像形成装置用現像装置の軸受シール構造。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、
上記現像剤が磁性を有するものであり、
上記フランジの上記第2シール材と対向する面にマグネットシールを設けたことを特徴とする画像形成装置用現像装置の軸受シール構造。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、
上記マグネットシールの磁極配置が異方性であることを特徴とする画像形成装置用現像装置の軸受シール構造。
【請求項7】
請求項5または6の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造において、
上記マグネットシールを上記第2シール材の外径と同径だけ中を抜いたことを特徴とする画像形成装置用現像装置の軸受シール構造。
【請求項8】
画像形成装置に用いられる現像装置において、
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置用現像装置の軸受シール構造を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
像担持体と、
前記像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項8の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215251(P2011−215251A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81469(P2010−81469)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】