説明

画像形成装置

【課題】装置本体内における熱的影響を受けずに、現像カートリッジ毎の記憶素子に正確かつ迅速にアクセス可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】現像ロータリーユニット15内の現像カートリッジ14のいずれかが感光体ドラム12に対面してその表面の静電潜像をトナー現像し、このトナー像を記録用紙に転写定着させることにより画像形成する画像形成装置であって、現像カートリッジに各種情報を書換可能に保持するメモリタグ41が貼付され、本体側アンテナ51に対面する通信位置で送受信回路52がそのメモリタグとの間でやり取りして各種情報の読出や書換を行う機能を備え、定着ローラ対18などの発熱体から離隔する外装カバー100の隣接位置をその通信位置に設定し、この通信位置の周囲の空気を排気経路62内に吸込むように吸込口が形成された排気ダクト60を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、トナーを収容するカートリッジ毎に設置されている記憶素子に、正確かつ迅速にアクセスして利用することができるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体により作製した担持体の表面に静電潜像を露光形成する電子写真記録方式の画像形成装置が知られており、この画像形成装置では、その静電潜像をトナー現像して担持させた担持体表面のトナー像を、記録用紙などの記録媒体に転写して画像形成する。このトナー像は、担持体表面に対面する現像ローラを回転させてそのローラの外周面上のトナーを、その担持体表面の静電潜像に選択的に乗り移らさせて付着させることによりトナー現像する。
【0003】
この電子写真記録方式を採用する画像形成装置は、担持体に対面させる現像ローラなどと共にトナーを収容する容器を備える現像カートリッジ(現像器)が挿脱可能に装着されており、この現像カートリッジを現像ロータリーユニット内に複数収納可能に構成された装置も存在する。この画像形成装置では、その現像ロータリーユニットを回転軸を中心に回転させることにより、担持体に現像ローラを対面させる現像位置の現像カートリッジを切り換えることができる。
【0004】
このことから、このような画像形成装置は、担持体表面にトナーを付着させる現像カートリッジとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーをそれぞれ収容する現像カートリッジを現像ロータリーユニットに収納(装着)可能に構成することにより、現像カートリッジを順次に切り換えて各色トナーを重ねたカラー画像を形成することができる。なお、この構成では、一色のトナーによる単色画像、例えば、ブラック(K)のトナーによる白黒のモノクロ画像(以下、単にモノクロ画像ともいう)を形成することができることはいうまでもない。
【0005】
そして、この現像ロータリーユニットを備える画像形成装置は、複数の現像カートリッジ毎にトナーの色などを任意に選択することができ、またトナー残量なども異なることから、その現像カートリッジ毎に各種情報を記憶保持するメモリ(記憶素子)を設置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合には、現像カートリッジのメモリにアクセスすることにより、そのメモリ内の情報を読み出して現像カートリッジの種別の確認を可能にしたり、収容するトナーの残量などを書き換えるなどして、現像カートリッジに自身の各種情報を付帯させることができる。
【特許文献1】国際公開WO03/098356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような画像形成装置にあっては、担持体表面に静電潜像を露光形成する装置や、トナー像を転写された記録用紙などに加熱圧接してそのトナー像を定着させる定着器などのように発熱する機器が装置本体内に配置されている。このため、その熱的影響を現像カートリッジに設置されているメモリが受けてしまうと、その画像形成装置の現像カートリッジに設置する記憶素子には、少なくとも悪影響しかなく、最悪の場合には、そのメモリ内の記憶情報の読出や書込(書換)にエラーが生じる恐れがある。
【0007】
また、装置本体側から現像カートリッジのメモリに非接触通信してその記憶情報の読出や書込を行う場合に、通信制御部が装置本体内の熱的な影響を受けてしまうと、同様に、少なくとも悪影響しかなく、最悪の場合には、通信能力が低下してしまう恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、装置本体内における熱的影響をできるだけ受けないようにすることにより、記憶情報の処理にエラーが生じたり、通信能力の低下が生じないようにして、現像カートリッジ毎の記憶素子に正確かつ迅速にアクセスして利用することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための主たる発明は、静電潜像を担持するための担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、前記現像カートリッジに関する情報を記憶保持する記憶素子であって、前記現像ロータリーユニットにより回転移動して前記現像カートリッジが停止する複数の停止位置のうち、前記装置本体の外装カバーに前記現像カートリッジの外面が最近接する停止位置に停止して前記装置本体と通信する際に、前記現像カートリッジの前記外面のうち前記外装カバーとの距離が最も近くなる位置に設けられている記憶素子と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0012】
上記課題を解決する画像形成装置の第1の発明は、画像データに基づく静電潜像が表面に形成されて該静電潜像を現像したトナー像を担持する担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像する現像カートリッジと、該現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの現像カートリッジを担持体表面に対面させる現像ロータリーユニットと、受け取った画像データや各種情報に基づいて担持体および現像カートリッジを含む装置各部の駆動を制御する制御部と、を備えて、担持体表面のトナー像を記録媒体に転写して定着させることにより画像を形成する画像形成装置であって、現像カートリッジに関する情報を記憶保持する記憶素子を当該現像カートリッジの外面に設置するとともに、制御部の処理する情報として少なくとも該記憶素子内の情報を読み出す通信を実行する通信手段を具備して、現像ロータリーユニットにより回転移動して装置本体の外装カバーの近傍に停止したときに該外装カバーに沿う位置に記憶素子を配置するとともに、該停止位置を通信手段による通信位置として設定されていることを特徴とするものである。
【0013】
この発明では、回転停止して記憶情報のやり取りをする通信時(位置)における現像カートリッジ外面の記憶素子は、装置本体の外装カバーに沿う位置に、言い換えると、現像カートリッジの外面で設置可能な箇所で、装置本体の外装カバーに最も接近する位置に設置されている。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子は、通信時には、装置本体の外装カバーを介する外気温に近い環境で、記憶情報の読出あるいは書込を行うことができ、装置本体内の発熱体となる装置からの熱的な影響を受けることを少なくすることができる。
【0014】
上記課題を解決する画像形成装置の第2の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記通信位置の記憶素子は、装置本体内の発熱体から最も離隔する領域に位置することを特徴とするものである。
この発明では、現像カートリッジ外面の記憶素子は、通信時には、装置本体の外装カバーに最も接近するのと同時に、装置本体内の発熱体から最も離隔する領域に位置するようにその通信位置が設定されている。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子は、装置本体の外装カバーを介する外気温に近い環境で、同時に、装置本体内の発熱体となる装置からの熱的影響をできるだけ少なくすることができる。
【0015】
上記課題を解決する画像形成装置の第3の発明は、上記第1または第2の発明の特定事項に加え、前記外装カバーには、通信位置に位置する記憶素子の近傍に通気孔が形成されていることを特徴とするものである。
この発明では、現像カートリッジ外面の記憶素子は、通信時には、装置本体の外装カバーに最も接近して、その外装カバーの通気孔から流入する外気に曝される。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子は、装置本体外部の外気温に近い環境で、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。
【0016】
上記課題を解決する画像形成装置の第4の発明は、上記第1から第3のいずれかの発明の特定事項に加え、前記通信位置の記憶素子付近に強制的に空気の流れを発生させて該記憶素子付近の部材表面に空気を送る送風手段を備えることを特徴とするものである。
この発明では、現像カートリッジ外面の記憶素子は、通信時には、装置本体の外装カバーに最も接近する位置で、強制的に発生させる空気の流れに曝される。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子は、装置本体外部の外気温に近い空気が強制的に吹き付けられることにより、熱が持ち去られて温度上昇することが回避され、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。
【0017】
上記課題を解決する画像形成装置の第5の発明は、上記第4の発明の特定事項に加え、装置本体内の一部を吸引して装置外に排気する排気ダクトを備えており、前記送風手段は、通信位置の記憶素子の近傍の排気ダクトに吸込口が形成されることにより構成され、該排気ダクト内に周囲の空気が吸い込まれることにより該記憶素子付近に強制的に空気の流れを発生させることを特徴とするものである。
この発明では、現像カートリッジ外面の記憶素子は、通信時には、装置本体の外装カバーに最も接近する位置で、排気ダクトの吸込口から周囲の空気が吸われて発生する空気の流れに曝される。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子は、特別な送風装置を設けることなく、温度上昇することが回避され、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。
【0018】
上記課題を解決する画像形成装置の第6の発明は、上記第1から第5のいずれかの発明の特定事項に加え、前記通信手段は、現像カートリッジ側および装置本体側の対面可能な位置にアンテナが設置されて非接触通信する機能を備えるとともに、該現像カートリッジ側のアンテナには記憶素子が隣接していることを特徴とするものである。
この発明では、現像カートリッジ外面の記憶素子には通信手段のアンテナが隣接するとともに、通信時には、装置本体側のアンテナが対面する。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子に加えて、現像カートリッジ側と装置本体側の双方のアンテナや、このアンテナを介して通信制御する装置本体側の構成部品が外気温に近い環境で、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ、その非接触の通信処理や記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。
【0019】
また、静電潜像を担持するための担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、前記現像カートリッジに関する情報を記憶保持する記憶素子であって、前記現像ロータリーユニットにより回転移動して前記現像カートリッジが停止する複数の停止位置のうち、前記装置本体の外装カバーに前記現像カートリッジの外面が最近接する停止位置に停止して前記装置本体と通信する際に、前記現像カートリッジの前記外面のうち前記外装カバーとの距離が最も近くなる位置に設けられている記憶素子と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0020】
このような画像形成装置によれば、記憶素子と装置本体とが通信する際に現像カートリッジが停止する位置は、複数の停止位置のうち、現像カートリッジの外面と外装カバーとが最近接する停止位置であり、その外面において、記憶素子が設けられている位置は、記憶素子と外装カバーとの距離が最も近くなる停止位置なので、通信時には、外装カバーの外側の気温、すなわち、外気温に近い環境で、記憶情報の読出あるいは書込を行うことが可能である。このため、装置本体内の発熱体となる部位からの熱的な影響が少なく、良好に通信することが可能である。
【0021】
かかる画像形成装置において、装置本体と記憶素子とが通信する位置では、前記記憶素子が前記装置本体内の発熱体から最も離隔する領域に位置することが望ましい。
このような画像形成装置によれば、通信時には、現像カートリッジ外面の記憶素子は、装置本体の外装カバーに最接近するのと同時に、装置本体内の発熱体から最も離隔する領域に位置するようにその通信位置が設定されている。このため、装置本体と記憶素子とが通信する位置では、発熱体から最も離隔された、装置内の温度の低い位置に配置されるとともに、発熱体により温度が上昇した装置内の温度より低い温度の外気と接する外装カバーに最近接しているので、記憶素子の温度が上昇することを抑えることが可能であり、また、温度の上昇による通信への影響を抑えて、装置本体との良好な通信を確保することが可能である。
【0022】
かかる画像形成装置において、前記外装カバーには、前記装置本体と前記記憶素子とが通信する位置の近傍に通気孔が形成されていることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、装置本体と記憶素子とが通信する位置では、現像カートリッジ外面の記憶素子は、装置本体の外装カバーに最も接近している。このため、外装カバーに通気孔が形成されていることにより、当該通気孔から流入する外気に曝され、記憶素子が冷却されることになる。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子は、装置本体外部の外気温に近い環境で、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。
【0023】
かかる画像形成装置において、前記装置本体と前記記憶素子とが通信する位置では、前記記憶素子付近に強制的に空気の流れを発生させて該記憶素子付近の部材表面に空気を送る送風手段を備えることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、送風手段により強制的に発生された空気の流れにより、記憶素子付近の部材表面に空気が送られる。すなわち、装置本体と前記記憶素子とが通信する位置では、現像カートリッジ外面の記憶素子は、送風手段により送られた空気により強制的に曝される。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子は、空気が強制的に吹き付けられることにより、熱が持ち去られて温度上昇することが回避され、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。
【0024】
かかる画像形成装置において、前記装置本体と前記記憶素子とが通信する位置における前記記憶素子の近傍に吸込口が形成され、前記装置本体内の空気を吸引して装置外に排気するための排気ダクトを有し、前記送風手段は、前記排気ダクト内に空気が吸い込まれることにより、前記記憶素子付近に強制的に空気の流れを発生させることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、装置本体と記憶素子とが通信する位置における記憶素子の近傍に排気ダクトの吸込口が形成されているので、排気ダクトの吸込口から空気が吸われることにより記憶素子の周囲に気流が発生する。このため、発生した気流により現像カートリッジ外面の記憶素子は、特別な送風装置を設けることなく、温度上昇することが回避され、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。
【0025】
かかる画像形成装置において、前記記憶素子と前記装置本体とは、現像カートリッジ側および装置本体側の対面可能な位置にアンテナが設置されて非接触にて通信し、該現像カートリッジ側の前記アンテナには前記記憶素子が隣接していることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、装置本体側と現像カートリッジ側のアンテナが非接触状態で対向して非接触通信する。このため、例えば装置本体側の接点と記憶素子側の接点とが物理的に接触して通信する場合のように、接点同士を接触させるためにいずれかの接点を移動させるなどの制御動作を行うことなく、現像カートリッジ外面の記憶素子に迅速にアクセスすることができる。そして、アンテナは記憶素子と隣接しているので、記憶素子とほぼ同様の環境下にアンテナを配置させ、エラーの発生や処理能力の低下を効果的に回避しつつ、その非接触の通信処理や記憶情報の読出あるいは書込を行うことができる。例えば、アンテナが記憶素子同様に外装カバーに最近接している場合には、外気温に近い環境で、記憶情報の読出あるいは書込を良好に行うことが可能であり、記憶素子が発熱体から最も離隔された領域に位置すればアンテナも発熱体から最も離隔されるので、熱的な影響が少なく、良好に通信することが可能である。
【0026】
===画像形成装置===
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【0027】
図1および図2において、画像形成装置は、文字等の画像を作成・出力するパーソナルコンピュータPCなどの外部装置に接続して利用するプリンターであり、この画像形成装置は、画像形成する文字等の画像データを受け取って電子写真方式により記録用紙(記録媒体)の一面側または両面側に記録形成する画像記録装置10と、積載する複数枚の記録用紙をこの画像記録装置10に搬送するとともに画像を記録形成されたその記録用紙を装置外に搬出して積載する用紙搬送装置20と、パーソナルコンピュータPCに接続されて受け取った画像データなどに基づいて画像記録装置10および用紙搬送装置20を含む装置全体を統括制御することにより記録用紙に画像を形成してプリントアウトする制御ユニット30と、により構成されている。
【0028】
画像記録装置10は、簡単に説明すると、図1に示すように、画像データに基づいてレーザ光Lを走査するレーザ光走査装置11と、このレーザ光走査装置11からのレーザ光Lを照射・走査されて画像データに基づく静電潜像が表面に露光・形成される感光体ドラム(担持体)12と、レーザ光Lの照射により静電潜像を形成可能に感光体ドラム12の外周表面を帯電させる帯電器13と、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)のトナーを収容して感光体ドラム12上の静電潜像をトナー現像する各色毎の現像カートリッジ14(1箇所のみ図示)と、この現像カートリッジ14をその各色毎の設置空間15a内に収納して回転軸15bを中心に回転する現像ロータリーユニット15と、感光体ドラム12上に現像されたトナー像を受け取って記録用紙上に転写記録可能なトナー画像(モノクロ画像あるいはカラー画像)を形成する中間転写ベルト(中間転写媒体)16と、搬送されてきた記録用紙を中間転写ベルト16との間で挟むように圧接(ニップ)することによりその中間転写ベルト16が担持するトナー像を転写させるとともにその記録用紙を挟持しつつ下流へと搬送する転写ローラ17と、トナー像を転写されて搬送されてきた記録用紙を加熱圧接することによりそのトナー画像を定着させるとともにその記録用紙をさらに下流側へと挟持搬送する定着ローラ対18と、感光体ドラム12上に残留するトナーをブレード19aにより回収して貯留する廃トナータンク19と、を備えている。
【0029】
これにより、画像記録装置10は、レーザ光走査装置11により感光体ドラム12表面に形成された画像データに基づく静電潜像を、その画像データに応じて切り換えられた現像ロータリーユニット15内の現像カートリッジ14がトナー現像するようになっておりこの後に、その感光体ドラム12上のトナー像を、中間転写ベルト16を介して用紙搬送装置20により搬送されてきた記録用紙に転写記録した後に定着ローラ対18が加熱圧接して定着させることにより画像形成する。なお、この画像記録装置の中間転写ベルト16および転写ローラ17や、定着ローラ対18は、記録用紙を搬送する機能も備えることから、以下で説明する用紙搬送装置20の一部をも構成している。また、中間転写ベルト16のユニットにも、そのベルト16上に残留するトナーをブレードにより回収して貯留する廃トナータンクが設けられている。
【0030】
用紙搬送装置20は、簡単に説明すると、図1に示すように、装置本体下部に着脱可能にセットされて複数枚の記録用紙を積載する用紙カセット21と、この用紙カセット21の底面の昇降板21aにより上昇された記録用紙束に圧接して回転することにより最上の記録用紙を引き出して搬送経路fへと送り出すピックアップローラ22と、このピックアップローラ22により送り出されてきた記録用紙を受け取ってさらに下流の搬送経路fへと挟持搬送する中継搬送ローラ対23a、23bと、この中継搬送ローラ対23a、23bが搬送する搬送経路f内の記録用紙を受け取って画像記録装置10の中間転写ベルト16および転写ローラ17による画像の記録形成位置に挟持搬送するレジストローラ対24と、このレジストローラ対24から中間転写ベルト16および転写ローラ17の間や定着ローラ対18間を経る搬送経路fを搬送されることにより一面側に定着画像が形成された記録用紙を受け取って装置本体上部の排紙テーブル29上に搬出・排紙して積載する排紙ローラ対25a、25bと、を備えている。
【0031】
これにより、用紙搬送装置20は、用紙カセット21内からピックアップローラ22により引き出された記録用紙を、中継搬送ローラ対23a、23bを介してレジストローラ対24に受け渡した後に、そのレジストローラ対24が画像記録装置10の動作に同期するように、中間転写ベルト16と転写ローラ17が圧接する画像の記録形成位置に給紙するようになっており、その中間転写ベルト16上のトナー像を転写記録させて定着ローラ対18を介して画像データに基づく画像を定着(記録形成)させた記録用紙を、排紙ローラ対25a、25bが排紙テーブル29上に搬出・排紙して積載する。
【0032】
なお、この用紙搬送装置20は、一面側に画像形成された記録用紙を反転させてレジストローラ対24の上流側の搬送経路fに送り出すための再搬送経路rおよびその経路rに配設された中間搬送ローラ対27を備えており、排紙ローラ対25a、25bが反転することにより再搬送経路r内に送られてきた記録用紙を中間搬送ローラ対27が受け取ってレジストローラ対24に受け渡すことにより、記録用紙の両面に画像形成することができる。また、この用紙搬送装置20は、手差しする記録用紙をレジストローラ対24の上流側の搬送経路fに送り出すための手差し経路mおよびその経路mに配設された手差し給送ローラ対28を備えており、その手差し経路m内に差し込まれた記録用紙を手差し給送ローラ対28が受け取ってレジストローラ対24に受け渡すことにより、記録用紙の片面または両面に画像形成することができる。
【0033】
制御ユニット30は、図2に示すように、装置本体内に搭載される回路基板上に構築されたコントローラ部31およびエンジン制御部32により構成されており、これらが予め準備されているプログラムに従って各種のデータ処理制御や装置各部の駆動制御を実行する。
【0034】
簡単に説明すると、コントローラ部31は、不図示のCPUがメモリ内に格納されている処理プログラムに従って各種処理手順を実行することにより、パーソナルコンピュータPCのプリンタドライバとの間で印字命令などの各種情報をやり取りするとともに、記録用紙に画像形成(印字)するテキスト等の画像データを受け取って不図示のメモリ内に一時記憶する。このコントローラ部31は、パーソナルコンピュータPCから受け取る画像データ(画像情報信号)がレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の所謂、RGBデータであることから、これらを印刷可能なイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の所謂、YMCKデータの画像データに変換しつつ、メモリ内から読み出してエンジン制御部32に受け渡す。
【0035】
エンジン制御部32は、CPU33がROM34内に格納されている制御プログラムに従って、コントローラ部31から例えば、ページ単位で画像データを受け取って本体メモリ35内に一時記憶するとともに、RAM36をワークエリアとして使用しつつ画像記録装置10および用紙搬送装置20との間で各種情報をやり取りすることにより、その画像データに基づく画像を記録用紙に形成する。また、このときに、CPU33は、この画像形成制御を実行する際には、内蔵するタイマー機能(計時手段)33aにより各種処理時間などを計時することにより、装置各部を最適に動作させる。
【0036】
これにより、制御ユニット30は、パーソナルコンピュータPCなどから画像データを受け取ると、コントローラ部31が一次記憶しつつRGBデータからYMCKデータに変換した画像データをエンジン制御部32に出力するようになっており、このエンジン制御部32のCPU33が、ROM34内の制御プログラムに従って本体メモリ35内にページ単位に記憶するコントローラ部31からの画像データに基づいてRAM36をワークエリアとして使用しつつ装置各部の駆動を統括制御することにより、用紙搬送装置20が用紙カセット21内から記録用紙を引き出して排紙テーブル29上に搬出する一方、画像記録装置10がその画像データに基づいて感光体ドラム12上に形成した静電潜像を現像カートリッジ14によりトナー現像して、そのトナー像を搬送されてきた記録用紙の片面または両面に転写・定着させて画像形成する。
【0037】
なお、図2中、I/Oインターフェース37は、各種情報をやり取り可能に、画像記録装置10、用紙搬送装置20およびコントローラ部31と、エンジン制御部32と、の間を接続している。D/Aコンバータ38およびA/Dコンバータ39は、エンジン制御部32が画像記録装置10、用紙搬送装置20およびコントローラ部31との間でやり取りするその各種情報をそれぞれで処理することができるように、デジタル信号(D)をアナログ信号(A)に変換したり、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
そして、画像記録装置10の現像カートリッジ14は、現像ロータリーユニット15の回転軸15bを中心に回転する区画フレーム15cにより区画されている複数の収納位置内に収納可能に外形を相似形状に形成されており、エンジン制御部32のCPU(制御部)33がコントローラ部31を介して受け取ったパーソナルコンピュータPCからの画像データを含む印字命令に基づいて現像ロータリーユニット15が回転軸15bを中心に回転させることにより、感光体ドラム12に対面する現像カートリッジ14が切り換えられて記録用紙の片面または両面に転写・定着させて画像形成するトナー像を現像する。
【0039】
例えば、この画像記録装置10は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の各色トナーを収容する現像カートリッジ14を現像ロータリーユニット15内に収納して感光体ドラム12上の静電潜像を現像するトナーの色を切り換えることにより、受け取った画像データに基づいてその各色のトナーを色重ねしたり選択してカラー画像から単色画像までを印字形成することができる。
【0040】
また、この画像記録装置10は、すべての現像カートリッジ14内に同色のトナーを収容して現像ロータリーユニット15に収納しても画像形成することができ、例えば、同色のブラック(K)のトナーを収容する4本の現像カートリッジ14を収納することにより、感光体ドラム12上の静電潜像を現像する現像カートリッジ14を順次に切り換えてモノクロ画像を連続印字して形成する専用機として利用することができる。
【0041】
この現像カートリッジ14には、全体として極小型で薄型に作製された所謂、メモリタグ41が片面の粘着面により所定の外面に貼付されており、メモリタグ41は、図1に図示する装置本体側の本体側アンテナ51に対面する回転位置(通信位置)に移動したときに、装置本体の外装カバー100に沿う位置、言い換えると、その外装カバー100に最も接近するように現像カートリッジ14の外面に設置(貼付)されている。このメモリタグ41は、その本体側アンテナ51を介して装置本体側の送受信回路52との間で非接触通信して各種情報のやり取りをすることにより必要な情報を記憶保持するとともにエンジン制御部32のCPU33に必要な情報を受け渡すように設計されている。ここで、装置本体側の本体側アンテナ51は、後述する現像側アンテナ43と略同様に作製されてメモリタグ41との間で非接触通信可能に、通信位置のメモリタグ41に対して、例えば、離隔間隔が10mm以内になるように設置されている。この本体側アンテナ51には、送受信回路52を構成してメモリタグ41との間で非接触通信を行う回路基板が接続されており、この送受信回路52は、I/Oインターフェース37を介して装置本体側のエンジン制御部32のCPU33に接続されている。
【0042】
具体的には、現像カートリッジ14側のメモリタグ41は、図3(a)に示すように、本体側アンテナ51を介する送受信回路52からの命令に基づいて各種情報を記憶保持するとともにその各種情報のうち必要な情報を読み出してその送受信回路52に受け渡す非接触ICチップ42と、この非接触ICチップ42および金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ43aを並列接続された平面状コイルよりなる現像側アンテナ43と、がプラスチックフィルム上に実装されて透明なカバーシートにより被覆されている。これにより、メモリタグ41は、装置本体側の送受信回路52で発生された高周波信号により本体側アンテナ51を介して誘起される高周波磁界を現像側アンテナ43が受け取って(吸収して)、非接触ICチップ42に入力することができる。
【0043】
このメモリタグ41の非接触ICチップ42は、図3(b)に示すように、現像側アンテナ43を介して受け取る装置本体側の送受信回路52からの高周波磁界(高周波信号)を整流してチップ内の各回路を駆動する直流電力源とする整流器44と、この受け取った高周波磁界の高周波信号を解析するとともに、装置本体側の送受信回路52に受け渡す各種信号に基づく高周波信号を生成して現像側アンテナ43に入力することにより本体側アンテナ51が吸収可能な高周波磁界を発生させる信号解析RF(Radi Frequency)45と、書き込まれた情報を記憶保持するとともに、その記憶情報を外部から読出可能で不揮発性の例えば、NAND型フラッシュROMなどのメモリセル46と、整流器44を介する直流電源で駆動しつつ信号解析RF45を介して各種信号を装置本体側の送受信回路52との間でやり取りすることによりメモリセル46内の記憶情報を書き換えるとともに読み出した記憶情報をその送受信回路52に受け渡す制御部47と、を備えている。すなわち、メモリセル46が記憶素子を構成するとともに、このメモリセル46を内蔵する非接触ICチップ42が現像側アンテナ43に隣接する現像カートリッジ14側の通信手段を構成しており、本体側アンテナ51と送受信回路52が装置本体側の通信手段を構成している。
【0044】
ここで、この非接触ICチップ42のメモリセル46内には、メモリタグ41毎のシリアル番号等の固有のID情報、現像カートリッジ14の製造年月日や製造番号などの製造情報、現像カートリッジ14の仕向地情報、現像カートリッジ14を装着可能な機種情報、現像カートリッジ14内に収容されているトナーの色や残量などのトナー情報、また、現像カートリッジ14のリサイクル回数や着脱回数などの必要な各種情報が記憶保持されている。これにより、制御ユニット30のエンジン制御部32は、現像ロータリーユニット15の収納位置における現像カートリッジ14の有無や位置などと共に、その現像カートリッジ14のトナーの色情報などの各種情報をCPU33が本体メモリ35内に記憶保持させて適宜把握することにより最適な画像形成制御を実行することができ、また、エラーが発生した場合には、その各種情報をオペレーションポートなどに表示出力することにより原因の追跡などに役立てることができる。
【0045】
この非接触ICチップ42のメモリセル46内の記憶情報は、エンジン制御部32のCPU33がROM34内の制御プログラムに従って送受信回路52を介してメモリタグ41との間で非接触通信を行うことにより、書き換えたり読み出したりするようになっており、例えば、電源投入時や現像カートリッジ14の交換時には、CPU33は、非接触通信に必要な時間だけ、現像カートリッジ14毎のメモリタグ41(現像側アンテナ43)が本体側アンテナ51に対面するように現像ロータリーユニット15を少なくとも一回転させて書換・読出処理を実行する。
【0046】
また、定常動作時には、CPU33は、例えば、図4に示すように、画像データの印字命令を受け取ると、待機位置のホームポジションから現像ロータリーユニット15の回転を開始させることにより、まずは、イエロー(Y)のトナーを収容する現像カートリッジ14Yを感光体ドラム12に対面する画像の記録形成位置Pに位置させて、その現像カートリッジ14Yにより感光体ドラム12表面に形成する静電潜像のトナー現像を行わせる。この後には、CPU33は、同様に、シアン(C)のトナーを収容する現像カートリッジ14C、マゼンダ(M)のトナーを収容する現像カートリッジ14M、ブラック(K)のトナーを収容する現像カートリッジ14Kを、順次に画像の記録形成位置Pに位置させて(切り換えて)それぞれトナー現像を行わせることにより、画像データに基づくカラーのトナー像を形成して記録用紙に転写定着させて画像データの印字処理を行う。
【0047】
CPU33は、この印字制御と並行して、シアン(C)の現像カートリッジ14Cの現像動作時には、その直前に現像動作を行っていたイエロー(Y)の現像カートリッジ14Yのメモリタグ41Yが本体側アンテナ51に対面する通信位置に位置しているので、装置本体側の送受信回路52を介する非接触通信をそのメモリタグ41Yとの間で実行することにより、そのメモリタグ41Yのメモリセル46内の記憶情報の書換や読出を行わせる。この後には、CPU33は、同様に、シアン(C)の現像カートリッジ14Cのメモリタグ41C、マゼンダ(M)の現像カートリッジ14Mのメモリタグ41Mが、マゼンダ(M)の現像カートリッジ14M、ブラック(K)の現像カートリッジ14Kの現像動作時に本体側アンテナ51に対面する通信位置に順次に位置するので、装置本体側の送受信回路52を介する非接触通信をそのメモリタグ41C、41Mとの間でも実行することにより、そのメモリタグ41C、41Mのメモリセル46内の記憶情報の書換や読出も続けて行わせる。そして、CPU33は、ブラック(K)の現像カートリッジ14Kによる現像動作が終了した後には、イエロー(Y)の現像カートリッジ14Yを画像の記録形成位置Pに画像形成処理を行うことなく再度位置させることにより、そのブラック(K)の現像カートリッジ14Kのメモリタグ41Kを、本体側アンテナ51に対面する通信位置に位置させて装置本体側の送受信回路52を介する非接触通信をそのメモリタグ41Kとの間で実行する。これにより、CPU33は、すべてのメモリタグ41Y〜41Kのメモリセル46内の記憶情報の書換や読出を完了し、この後に、現像ロータリーユニット15をホームポジションまで回転させて待機状態に移行する。
【0048】
このとき、本体側アンテナ51に対面する通信位置の現像カートリッジ14のメモリタグ41は、感光体ドラム12に対面する画像の記録形成位置Pに対して、現像ロータリーユニット15(現像カートリッジ14)を挟んで外装カバー100に最接近する上側に位置している。このために、その通信位置のメモリタグ41は、チャージ電圧を印加する際にノイズの発生源となる感光体ドラム12付近から離隔しているとともに、現像ロータリーユニット15や現像カートリッジ14を挟んでいることにより、ノイズによる影響を受けることなく、メモリセル46内の記憶情報の書換や読出をエラーの発生なく行うことができる。また、通信位置のメモリタグ41は、発熱体となる定着ローラ対18やレーザ光走査装置11から最も離隔しているとともに、外装カバー100を介して最も外気温に近い環境に位置することにより、できるだけ非接触ICチップ42内の各素子が熱的影響を受けることなく、装置本体側の送受信回路52との間で効率よく(処理速度などが低下することなく)非接触通信することができとともに、メモリセル46内の記憶情報の書換や読出をエラーなく行うことができる。
【0049】
また、この現像カートリッジ14は、感光体ドラム12の表面に隙間を介して対面する現像ローラ14aを同期回転させて、その表面に形成された静電潜像にトナーを乗り移らさせて付着させることによりトナー現像するようになっており、感光体ドラム12が図1中時計回りに回転するのに対して現像ローラ14aが図1中反時計回りに回転するので、その現像ローラ14aから感光体ドラム12に乗り移ろうとするトナーの極一部がその回転方向下流側に飛散して浮遊する。このことから、現像ローラ14aと感光体ドラム12の回転方向下流側には、その対面位置(現像位置)近傍上部を吸引口とする排気ダクト60が配置されている。なお、現像カートリッジ14の現像ローラ14aには、その現像カートリッジ14のトナーの収容空間内で回転する供給ローラ14bが圧接回転することによりトナーを供給するようになっている。
【0050】
排気ダクト60は、図1に示すように、感光体ドラム12に現像カートリッジ14の現像ローラ14aが対面する現像位置近傍(現像ロータリーユニット15の装置本体内部側の現像位置近傍)の上部に配置された吸引口61と、この吸引口61から側面側の外装カバー100側に向かってその現像ロータリーユニット15の上側を覆うように迂回した後に、その外装カバー100に沿うように降下させる排気流路を画成する排気経路62と、この排気経路62内の空気を吸引する吸引ファン63aが設置されて側面側の外装カバー100に隣接する現像ロータリーユニット15の下部付近に配置された排気口63と、を備えている。この排気ダクト60の排気経路62の途中には、現像ロータリーユニット15上側に位置して吸引空気内に混入するトナーを吸着除去するフィルタ64が配設されており、排気口63から吐出する排気空気内にトナーが含まれていて周囲を汚染してしまうことがないように設計されている。
【0051】
また、この排気ダクト60は、図5に示すように、感光体ドラム12に現像カートリッジ14の現像ローラ14aが対面する現像位置近傍上部の空気を、その主走査方向(軸長)の全体をカバーするように大きく開口する吸引口61が吸引して、吸引ファン63aが設置されて小さく開口する排気口63から吐出・排気することから、これらの間の排気経路62は、感光体ドラム12の全長幅程度の開口幅を有する吸引口61からその一端部程度の開口幅の排気口63に向かって絞るように形成されたダクト板65により画成されている。
【0052】
そして、この排気ダクト60は、装置本体側の本体側アンテナ51や送受信回路52と同様に、外装カバー100に沿って最も接近する位置に設置されており、その本体側アンテナ51や送受信回路52に隣接するダクト板65の壁面65aには、その周囲の装置本体内の空気が排気経路62内に流入可能に吸込口66が複数並列されている。すなわち、排気ダクト60は、吸引ファン63aが駆動して排気経路62内の空気を吸引・排気すると、現像カートリッジ14のメモリタグ41や本体側アンテナ51の通信位置付近(送受信回路52付近も含む)の空気を吸込口66から吸い込んで、結果的にそのメモリタグ41などに空気を強制的に送る送風手段を構成している。
【0053】
これにより、その現像カートリッジ14のメモリタグ41や送受信回路52は、外装カバー100に最も接近する通信位置(領域)に位置することによって、最も外気温に近い環境に位置して内部素子が熱的影響を受けて処理速度などが低下することをできるだけ回避可能にレイアウトされているのに加えて、装置本体の稼動時に排気ダクト60(吸引ファン63a)が感光体ドラム12と現像カートリッジ14の現像ローラ14aが対面する現像位置近傍の上部近傍を吸引するのに伴って、その周囲の空気が排気ダクト60の排気経路62内に吸込口66から流入することにより、常に外気温に近い空気が吹き付けられて(曝されて)熱が持ち去られることにより冷却される。したがって、現像カートリッジ14のメモリタグ41と装置本体側の送受信回路52は、内部素子が加熱してしまうことなく動作可能な環境内で、エラーの発生なく、同時に、効率よく、通信動作や記憶情報の読出や書換などの各種処理を行うことができる。
【0054】
このように本実施形態においては、通信位置の現像カートリッジ14外面のメモリタグ41や装置本体側の送受信回路52などは、装置本体の外装カバー100に最も接近する環境内で、定着ローラ対18やレーザ光走査装置11から最も離隔するとともに、排気ダクト60による空気の吸引(流通)を利用して周囲の空気を吹き付けることにより、不必要に温度上昇してしまうことを回避することができ、外部(装置本体内)や内部(内部素子内)における発熱による熱的影響を受けることなく、非接触通信や記憶情報の読出・書換を効率よく、またミスなく完了することができる。したがって、画像形成のプロセス処理の妨げになることなく、現像カートリッジ14毎のメモリタグ41内の各種情報の書換や読出処理を正確かつ迅速に行うことができ、装置各部の駆動制御に必要な情報を快適に利用可能に提供することができる。
【0055】
本実施形態の第1の他の態様としては、図6に示すように、本実施形態のように排気ダクト60が配置されていない場合でも、外装カバー100に隣接する(沿って最も接近する)通信位置の現像カートリッジ14のメモリタグ41と装置本体側の本体側アンテナ51や送受信回路52の間に、装置外の空気が装置本体内に流入して通過することができるように、通気孔71をその外装カバー100の上部と下部に配置してもよく、また、その流入する外部の空気が現像カートリッジ14のメモリタグ41と装置本体側の本体側アンテナ51などの間を流通するように案内板72を配置してもよい。この場合には、本実施形態のように強制的に空気を吹き付けることは行わないが、外部の空気が外装カバー100により妨げられることなく流入可能にすることができ、効果的にメモリタグ41などを冷却することができる。また、この通気孔71や案内板72を本実施形態に適用して、より効果的に冷却するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0056】
本実施形態の第2の他の態様としては、図7に示すように、本実施形態のように非接触通信するためのアンテナに換えて、装置本体側の送受信回路52には電極端子75を備えるコネクタ76を接続する一方、現像カートリッジ14側には不図示の電極端子を露出させるメモリタグ77を設置して、通信時にはコネクタ76がメモリタグ77に接近して電極端子75同士を圧接させることにより接触式に通信可能に接続する場合にも適用することができる。この場合には、上述実施形態と同様に、通信位置の現像カートリッジ14外面のメモリタグ77や装置本体側の送受信回路52などを、装置本体の外装カバー100に最も接近して定着ローラ対18などの発熱体から離隔する環境内で、排気ダクト60による空気の吸引(流通)を利用して周囲の空気を吹き付けることにより効果的に冷却することができる。
【0057】
本実施形態によれば、現像カートリッジ外面の記憶素子は、通信時には、装置本体の外装カバーに最も接近する位置に位置して、装置本体内の発熱体となる装置からの熱的な影響を少なく、記憶情報の読出・書込や通信処理を行うことができる。したがって、記憶素子内の記憶情報の読出や書込にエラーが生じたり、その記憶情報の通信処理能力が低下などしてしまうこと回避することができる。この結果、現像カートリッジ毎の記憶素子に正確かつ迅速にアクセスして、その記憶素子内の記憶情報を画像処理などの駆動制御に快適に利用することができる。
【0058】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。例えば、本実施形態では、現像カートリッジを現像ロータリーユニット内に収納する画像形成装置を説明するが、これに限るものではなく、例えば、現像カートリッジを並列したり、感光体ドラムの周囲に配置する構成を採用する画像形成装置にも適用することができる。また、本実施形態では、トナーを収容する容器内に現像ローラを一体に装着する現像カートリッジを一例に説明するが、これに限るものではなく、現像ローラなどの現像装置とトナーの収容容器(トナーカートリッジ)とを別体に作製して別個に装置本体に装着する現像カートリッジとしてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す図であり、その概略全体構成を示す透視正面図である。
【図2】その制御部を説明する関係ブロック図である。
【図3】その要部構成を示す図であり、(a)はその現像カートリッジ側に設置するメモリタグ(記憶素子)を示す透視平面図、(b)はその通信手段を示す関係ブロック図である。
【図4】その画像形成動作と通信動作とのタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図5】その要部構成を展開した状態を示す概念平面図である。
【図6】その第1の他の態様の概略構成を示す透視正面図である。
【図7】その第2の他の態様の概略構成を示す透視正面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 画像記録装置、11 レーザ光走査装置、12 感光体ドラム、
14 現像カートリッジ、14a 現像ローラ、15 現像ロータリーユニット、
16 中間転写ベルト、17 転写ローラ、18 定着ローラ対、
20 用紙搬送装置、30 制御ユニット、31 コントローラ部、
32 エンジン制御部、33 CPU、35 本体メモリ、41,77 メモリタグ、
42 非接触ICチップ、43 現像側アンテナ、44 整流器、
45 信号解析RF、46 メモリセル、47 制御部、51 本体側アンテナ、
52 送受信回路、60 排気ダクト、61 吸引口、62 排気経路、
63 排気口、63a 吸引ファン、65 ダクト板、65a 壁面、
66 吸込口、71 通気孔、72 案内板、75 電極端子 76 コネクタ、
100 外装カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持するための担持体と、
該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、
装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、
前記現像カートリッジに関する情報を記憶保持する記憶素子であって、前記現像ロータリーユニットにより回転移動して前記現像カートリッジが停止する複数の停止位置のうち、前記装置本体の外装カバーに前記現像カートリッジの外面が最近接する停止位置に停止して前記装置本体と通信する際に、前記現像カートリッジの前記外面のうち前記外装カバーとの距離が最も近くなる位置に設けられている記憶素子と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体と前記記憶素子とが通信する位置では、前記記憶素子が前記装置本体内の発熱体から最も離隔する領域に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外装カバーには、前記装置本体と前記記憶素子とが通信する位置の近傍に通気孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置本体と前記記憶素子とが通信する位置では、前記記憶素子付近に強制的に空気の流れを発生させて該記憶素子付近の部材表面に空気を送る送風手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置本体と前記記憶素子とが通信する位置における前記記憶素子の近傍に吸込口が形成され、前記装置本体内の空気を吸引して装置外に排気するための排気ダクトを有し、
前記送風手段は、前記排気ダクト内に空気が吸い込まれることにより、前記記憶素子付近に強制的に空気の流れを発生させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶素子と前記装置本体とは、現像カートリッジ側および装置本体側の対面可能な位置にアンテナが設置されて非接触にて通信し、該現像カートリッジ側の前記アンテナには前記記憶素子が隣接していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−227582(P2006−227582A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344567(P2005−344567)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】