説明

画像形成装置

【課題】 廃トナー処理に費用をかけること無く、また、本体サイズを大きくすること無く、本体寿命まで廃トナー処理が行なえることと、廃トナーの再利用の際、本体構成を複雑にすることなく、簡便に廃トナーを現像装置に戻すことを可能にすることである。
【解決手段】 補給トナー容器と廃トナー容器とが互いに付け替え可能であるため、不要になった補給トナー容器を廃トナー容器として利用でき、また、廃トナーの溜まった廃トナー容器を補給トナー容器と付け替えることで廃トナーの再利用ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録材にトナー像を形成する電子写真方式の複写機・レーザービームプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナーを用いた複写機・レーザービームプリンタ等の画像形成装置では、感光体上や中間転写体上のトナー像を転写紙上へ静電的に転写する。その際、感光体上や中間転写体上のトナーは、完全に転写されず、一部は感光体上や中間転写体上に残トナーとして残る。この残った残トナーは、板状ゴムブレード等を用いたクリーニング装置によってクリーニングされ、回収される。このクリーニング装置によって回収された残トナーは、一般的に、廃トナーとして廃トナー容器等に溜められ廃棄される。廃トナー容器に廃トナーが所定の量溜まると廃トナー容器を交換する場合や、画像形成装置本体の寿命までの全廃トナーを収容できる廃トナー容器を本体内に設けて、本体寿命まで廃トナーを溜める場合などがある。(例えば、特許文献1参照)
一方、転写されずに残った残トナーを廃棄せず、再利用する場合もある。クリーニング装置によりクリーニングされ回収された残トナーを、スクリュー等で現像装置に搬送し、再度、現像させる。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平10−268659
【特許文献2】特開2005−049689
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の残トナー措置では以下のような問題があった。残トナーを廃トナーとして廃トナー容器に回収し、廃トナー容器を交換する場合には、廃トナー容器の交換時期が来る前に、先立って新しい廃トナー容器を用意しておかなければならない。また、廃トナー容器の交換に費用がかかるという欠点があった。一方、本体寿命まで廃トナーを溜める場合には、大きな廃トナー容器を備える必要があるため、本体サイズが大きくなるといった問題があった。また、残トナーを再利用する場合には、残トナーを現像装置に搬送するためのスクリュー等の搬送手段が必要であり、本体構成を複雑にするだけでなく、本体コストを増やす原因となっていた。
【0004】
本発明の目的は、廃トナー処理に費用をかけること無く、また、本体サイズを大きくすること無く、本体寿命まで廃トナー処理が行なえることである。さらに、本発明の目的は、廃トナーの再利用の際、本体構成を複雑にすることなく、簡便に廃トナーを現像装置に戻すことを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するため、代表的な発明は、トナーと、トナー像を担持する像担持体と、前記トナーを現像する現像手段と、該現像手段に前記トナーを補給するまで前記トナーを収容しておく着脱可能な補給トナー容器と、前記像担持体上の不要トナーを回収する回収手段と、該回収手段によって回収されたトナーを収容する着脱可能な廃トナー容器と、を有する画像形成装置において、前記補給トナー容器は、前記廃トナー容器を前記画像形成装置から取り外した部分に、取り付け可能であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
以上より、本発明によれば、補給トナー容器と廃トナー容器とが互いに付け替え可能であるため、不要になった補給トナー容器を廃トナー容器として利用できる。そのため廃トナー処理に費用をかけること無く、また、本体サイズを大きくすること無く、本体寿命まで廃トナー処理が行なえる。また、廃トナーの溜まった廃トナー容器を補給トナー容器と付け替えることで廃トナーの再利用ができる。廃トナーの再利用の際、本体構成を複雑にすることなく、簡便に廃トナーを現像装置に戻すことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施例1)
本発明の第1の実施形態を以下に説明する。まず、本実施例における画像形成装置の構成を説明し、次いで、本発明に係わるトナー容器について詳しく説明する。
【0008】
[本体構成]
本実施例の画像形成装置は、電子写真方式のモノカラー画像形成装置であり、図1に画像形成装置の概略図を示す。像担持体である感光ドラム1の周面には、回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電器2、レーザー光Lを感光ドラム1に照射する露光装置3、現像器5、転写ローラ10、および、感光ドラムクリーナー16が配置されている。
【0009】
まず、感光ドラム1は、帯電器電源15により交番電圧に直流電圧を重畳された帯電器2によって、その表面が負極性に帯電される。次に、帯電された感光ドラム1は、露光手段3の露光Lにより表面に静電潜像が形成(露光された部分は表面電位が上がる)される。静電潜像が形成された感光ドラム1は、現像器5によりトナー像が現像される。本実施例における現像方式は、磁性紛(キャリア)とトナーからなる二成分現像剤を用いた磁性二成分現像方式である。補給トナー容器8中のトナーTは、図1中矢印R3方向に回転するトナー搬送パドル9によって、トナー投入部13に搬送され、トナー投入部13より現像器5に搬送される。現像器5に搬送されたトナーTは、攪拌ローラ4によって攪拌され、現像器5中のキャリアと混ざり、二成分現像剤となる。二成分現像剤は、磁石7に引き寄せられ、図中矢印R2方向に回転する現像スリーブ6上に吸着し、磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、感光ドラム1上の静電潜像に対して摺擦され、静電潜像が現像される。そして不図示の搬送機構により転写材Pが転写ニップ部Nに搬送されると、転写バイアス電源17から正極性のバイアスが印加された転写ローラ10によって、転写材Pにトナー像が転写される。表面に未定着トナー像を担持した転写材Pは、定着器(不図示)に搬送され、表面のトナー像が定着されて画像形成が完了する。
【0010】
一方、転写材Pに転写されずに感光ドラム1上に残った転写残トナーがある。この転写残トナーは、クリーニングブレード14を具備したクリーニング装置16によって掻き取られる。掻き取られた転写残トナーは、クリーニング装置に設けられた残トナー搬送パドル11によって、廃トナー容器12に搬送され、廃トナーとして回収される。
【0011】
[トナー容器]
次に、本実施例のトナー容器の構成について以下に詳しく説明する。本実施例の画像形成装置には、図1に示すように、現像器5にトナーを補給するまでトナーを入れておく補給トナー容器8と、クリーニング装置16に掻き取られた転写残トナーを溜める廃トナー容器12の2つのトナー容器が設けられている。補給トナー容器8と廃トナー容器12は、どちらも画像形成装置から着脱可能であり、また同一の形状をしている。補給トナー容器8と廃トナー容器12が同一形状をしているため、画像形成装置から廃トナー容器12を取り外した部分に、補給トナー容器8を装着することが可能である。トナー容器の着脱は、長手方向に差し込むようにスライドさせて行なわれ、補給トナー容器8は、トナー投入部13が下向きになるように着脱されている。そして、廃トナー容器12は、補給トナー容器8とは180°回転したトナー投入部13が上向きになるように着脱される。図1中矢印A1方向から見た補給トナー容器8の概略図を図2に示す。図2中矢印A2、A3が上記トナー容器着脱方向であり、矢印A2が装着方向、矢印A3が取り外し方向である。補給トナー容器8は、図2中矢印A2方向から画像形成装置本体に装着されると、画像形成装置本体側のギヤ22と、トナー搬送パドル9と連結されたトナー搬送パドルギヤ23とが噛み合う。そして、ギヤ22が回転することでトナー搬送パドル9が回転し、トナーを搬送するようになっている。補給トナー容器8の内部容量は600ccであり、トナーを最大で200g収容することができる。未使用時の補給トナー容器8内にはトナーが150g入っており、印字率4%で印字した場合、約5000枚印字可能である。トナー容器内のトナー量は、画像形成装置本体側に設けられたトナー量検知センサー25によって検知される。トナー量検知センサー25は、発光素子26と受光素子27から構成され、発光素子26の光が、補給トナー容器8に設けられた無色透明な樹脂からなる透過性樹脂24を通り、受光素子27で発光素子26の光を検知するようになっている。補給トナー容器8内にトナーが十分ある場合は、発光素子26の光はトナーに遮られ受光素子27に光が届かず、補給トナー容器8内のトナーが減少しトナーが発光素子26の光を遮らなくなるとの受光素子27に光が届くようになる。この受光素子27による光の検知により、トナー容器内のトナー量を見ている。本実施例の画像形成装置では、補給トナー容器8内のトナーが減少し、トナー残量が10%以下(15g以下)になると、発光素子26の光が受光素子27で検知され、ユーザーに補給トナー容器8の交換を促すようになっている。
【0012】
一方、廃トナー容器12は、上述の通り、補給トナー容器8と同一形状である。そして、トナー容器内のトナー量検知も、上記補給トナー容器8と同じように画像形成装置側に設けられたトナー量検知センサーによって行なわれる。本実施例の画像形成装置では、廃トナー容器内の廃トナー量が、廃トナー容器12の容量の92.5%である185g以上になると、発光素子の光が受光素子に届かなくなり、ユーザーに廃トナー容器12の交換を促すようになっている。
【0013】
本実施例では、画像形成装置から廃トナー容器12を取り外した部分に、補給トナー容器8を装着することが可能である。そのため、廃トナー容器12の交換時期がきたら、不要になった補給トナー容器8を廃トナー容器12として使用可能である。本実施例の画像形成装置は、感光ドラム1から転写材Pへの転写効率が印字パターンによらず90%以上である。そして、必ず廃トナー容器12が交換時期より先に補給トナー容器8の交換時期がくる。そのため、廃トナー容器12の交換時期に先立った新しい廃トナー容器の準備の必要がない。また、廃トナー容器12の交換時期がくる前でも、補給トナー容器8内のトナーが無くなったら(交換時期がきたら)、廃トナー容器12を取り外し、この空になった補給トナー容器8に付け替えても良い。
【0014】
以上説明した構成では、本体寿命まで廃トナーの処理に、不要となった補給トナー容器を廃トナー容器として使用できる。そのため廃トナー容器を買い換える手間と費用を必要とせずに、本体寿命まで廃トナー処理を行なうことが出来る。
【0015】
また、本実施例においては、磁性二成分現像方式について述べた。しかし、現像方式はこれに限らず、非磁性の一成分現像方式においても、画像形成装置から廃トナー容器を取り外した部分に、補給トナー容器を装着することが可能であれば、同様の効果作用を得ることができる。
【0016】
(実施例2)
本発明の第2の実施形態を以下に説明する。まず、本実施例における画像形成装置の構成を説明し、次いで、本発明に係わるトナー容器について詳しく説明する。
【0017】
[本体構成]
本実施例の画像形成装置は、中間転写方式のフルカラー画像形成装置であり、図3に画像形成装置の概略図を示す。実施例1の部材と同一の作用のある部材は、同一記号で示す。
【0018】
本実施例における画像形成装置は、中間転写ベルト91上にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像を順次一次転写した後、一括して転写材P上に二次転写する中間転写方式である。感光ドラム1の周面には、回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電器2、露光装置3、現像器5、一次転写ローラ100及び感光ドラムクリーナー16が配置されている。まず、感光ドラム1は、その表面が帯電器2によって負極性に帯電される。次に、帯電された感光ドラム1は、露光手段3により表面に静電潜像が形成(露光された部分は表面電位が上がる)される。1色目のイエロートナーが入った現像器5によって、感光ドラム1上の静電潜像部にトナーを付着させ、トナー像を形成する。本実施例における現像方式は、実施例1と同様であり、説明を略する。
【0019】
中間転写ベルト91は、三つの支持軸(駆動ローラ120、二次転写対向ローラ130、テンションローラ140)に支持され、図中矢印R4方向に回転する駆動ローラ120によって矢印R6方向に回転する。そして、中間転写ベルト91に従動回転する一次転写ローラ100に、不図示の一次転写電源から正極性の一次転写バイアスが印加される。すると、感光ドラム1上のトナー像は、一次転写ニップ部N1を介して中間転写ベルト91上に一次転写される。
【0020】
以上の帯電、露光、現像、一次転写の一連の画像形成プロセスを、2色目マゼンタM30、3色目シアンC30、4色目ブラックK30の各現像カートリッジについても順次行い、中間転写ベルト91上に4色のトナー像を重ねる。そして不図示の搬送機構により転写材Pが二次転写ニップ部N2に搬送されると、二次転写ローラ110により、4色のトナー像が転写材P表面に一括して二次転写される。表面に4色の未定着トナー像を担持した転写材Pは、定着器(不図示)に搬送され、表面のトナー像が定着されて画像形成が完了する。
【0021】
一方、各現像カートリッジでは、一次転写において、中間転写ベルト91に転写されずに感光ドラム1上に残った一次転写残トナーがある。この一次転写残トナーは、クリーニング装置16によって掻き取られる。掻き取られた一次転写残トナーは、実施例1同様に各色の廃トナー容器Y12、M12、C12、K12に搬送され、廃トナーとして回収される。また二次転写において、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト91上に残った二次転写残トナーがある。この二次転写残トナーは、クリーニング装置D16によって掻き取られる。掻き取られた二次転写残トナーは、廃トナー容器D12に搬送され、廃トナーとして回収される。
【0022】
[トナー容器]
次に、本実施例のトナー容器の構成について以下に詳しく説明する。本実施例の画像形成装置には、現像器5にトナーを補給するまでトナーを入れておく4色分の補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)が設けられている。そして、画像形成装置には、クリーニング装置16に掻き取られた一次転写残トナーを溜める4色分の廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)が設けられている。そしてさらに、画像形成装置には、中間転写ベルト91上に残留する二次転写残トナーを溜める廃トナー容器D12の合計9つのトナー容器が設けられている。各色の現像カートリッジの補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)と廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)及び二次転写残トナーの廃トナー容器D12は、どれも画像形成装置から着脱可能であり、また全て同一の形状をしている。補給トナー容器と廃トナー容器が全て同一形状をしているため、画像形成装置から廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、D12)を取り外した部分に、補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)を装着することが可能である。本実施例においては、各色の補給トナー容器(Y12、M12、C12、K12)が、各廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、D12)に付け替えることが可能である。そのため、どの廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、D12)が交換時期になっても、色を問わず、不要になった補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)を廃トナー容器として使用可能である。また、実施例1同様、廃トナー容器の交換時期がくる前でも、補給トナー容器(内のトナーが無くなったものがあれば、廃トナー量の多い廃トナー容器を取り外す。そして、このトナーが無くなった補給トナー容器に付け替え、新たな廃トナー容器としても良い。本実施例の画像形成装置は、中間転写方式であり、4色のトナーを転写材P上に一括転写した際に残る二次転写残トナー量が、各色の一次転写残トナー量よりも多い。そのため、廃トナー容器D12が5つの廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、D12)の中では、一番早く廃トナーが溜まる。しかし、感光ドラム1から中間転写ベルト91への一次転写効率と、中間転写ベルト91から転写材Pへの二次転写効率は共に印字パターンによらず90%以上である。そして、一番早く廃トナーが溜まる廃トナー容器D12が交換時期になるよりも、必ず先に補給トナー容器8の交換時期がくる。そのため、廃トナー容器D12の交換時期に先立った新しい廃トナー容器の準備の必要がない。また、各色の廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)の交換時期は、補給トナー容器8を約8回交換するころにくる。そのため、どの廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、D12)が交換時期になっても、廃トナー容器として使用できる空になった補給トナー容器が必ず存在し、廃トナー容器を準備しておく必要がない。
【0023】
本実施例において、各トナー容器の容量、トナー容器内のトナー量検知方法及びトナー容器の交換タイミングは、実施例1と同様であり説明を略する。
【0024】
以上説明した中間転写方式のフルカラー画像形成装置においても、実施例1同様に、本体寿命まで廃トナーの処理に、不要となった補給トナー容器を廃トナー容器として使用できる。そのため廃トナー容器を買い換える手間と費用を必要とせずに、本体寿命まで廃トナー処理を行なうことが出来る。
【0025】
(実施例3)
本発明の第3の実施形態を以下に説明する。まず、本実施例における画像形成装置の構成を説明し、次いで、本発明に係わるトナー容器について詳しく説明する。
【0026】
[本体構成]
図4に本実施例における画像形成装置の概略図を示す。実施例1及び実施例2の部材と同一の作用のある部材は、同一記号で示す。本実施例の画像形成装置は、フルカラー画像形成装置であり、記録材搬送ベルト90上に担持した記録材P上に、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像を順次転写することで、一つの画像を形成する方式である。感光ドラム1の周面には、実施例1と同様に、回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電器2、露光装置3、現像器5、転写ローラ10、および、感光ドラムクリーナー16が配置されている。まず、感光ドラム1は、その表面が帯電器2によって負極性に帯電される。次に 帯電された感光ドラム1は、露光手段3の露光Lにより表面に静電潜像が形成(露光された部分は表面電位が上がる)される。1色目のイエロートナーが入った現像器5によって、感光ドラム1上の静電潜像部にトナーを付着させ、トナー像を形成する。本実施例における現像方式は、実施例1と同様であり、説明を略する。
【0027】
記録材搬送ベルト90は、二つの支持軸(駆動ローラ120、テンションローラ140)に支持され、図中矢印R4方向に回転する駆動ローラ120によって矢印R5方向に回転する。記録紙は、不図示の給紙ローラによって給紙されると、正極性のバイアスが印加された吸着ローラ60によって帯電され、記録材搬送ベルト90上に静電吸着し搬送される。記録材が転写ニップNに搬送されると、記録材搬送ベルト90に従動回転し、正極性のバイアスが印加された転写ローラ10により感光ドラム1上のイエロートナー像は、転写ニップ部Nを介して記録材P上に転写される。
【0028】
以上の帯電、露光、現像、転写の一連の画像形成プロセスを、2色目マゼンタ M30、3色目シアンC30、4色目ブラックK30の各現像カートリッジについても順次行い、記録材搬送ベルト90上の記録材Pに4色のトナー像を重ねる。表面に未定着トナー像を担持した転写材Pは、定着器(不図示)に搬送され、表面のトナー像が定着されて画像形成が完了する。
【0029】
一方、各現像カートリッジでは、転写材Pに転写されずに感光ドラム1上に残った転写残トナーがある。この転写残トナーは、クリーニング装置16によって掻き取られる。掻き取られた転写残トナーは、実施例1同様に各色の廃トナー容器Y12、M12、C12、K12に搬送され、廃トナーとして回収される。
【0030】
本実施例の画像形成装置では、画像形成に先立って、各色の色レジを合わせるための色レジ調整と各色の濃度を調整する濃度調整が行われる。この色レジ調整および濃度調整は、各色の色レジ調整用のパターンや濃度調整用のパッチを、感光ドラム1上から直接、記録材搬送ベルト90に転写する。そして、不図示の光学センサーにより、記録材搬送ベルト90上の色レジ調整用パターンや濃度調整用のパッチの検知することで各調整が行なわれる。そのため、本実施例では、実施例2の中間転写ベルトのクリーニングをするクリーニング装置D16と同様に、記録材搬送ベルト90をクリーニングするクリーニング装置E16が設けられている。記録材搬送ベルト90上の色レジ調整用パターンや濃度調整用のパッチが光学センサーにより検知された後、記録材搬送ベルト90上の各調整用トナー像は、このクリーニング装置E16によって掻き取られる。そして、実施例2の二次転写残トナー同様に、廃トナー容器E12に搬送され、廃トナーとして回収される。
【0031】
[トナー容器]
次に、本実施例のトナー容器の構成について以下に詳しく説明する。本実施例の画像形成装置には、実施例2と同様に、4色分の補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)と、4色分の廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)と、廃トナー容器E12の合計9つのトナー容器が設けられている。各色の現像カートリッジの補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)と廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)及び廃トナー容器E12は、どれも画像形成装置から着脱可能であり、また全て同一の形状をしている。補給トナー容器と廃トナー容器が同一形状をしているため、画像形成装置から廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、E12)を取り外した部分に、補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)を装着することが可能である。実施例2同様、本実施例においても、各色の補給トナー容器(Y12、M12、C12、K12)が、各廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、E12)に付け替えることが可能である。そのため、どの廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、E12)が交換時期になっても、色を問わず、不要になった補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)を廃トナー容器として使用可能である。また、実施例2同様、廃トナー容器の交換時期がくる前でも、補給トナー容器内のトナーが無くなった(交換時期がきた)ものがあれば、廃トナー量の多い廃トナー容器を取り外すことができる。そして、このトナーが無くなった補給トナー容器に付け替え、新たな廃トナー容器としても良い。廃トナー容器E12には、基本的に上述のような色レジ調整と濃度調整が行なわれるときのみに廃トナーが溜められる。そのため、5つの廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、E12)の中では、廃トナー容器E12が、一番廃トナーの溜まる量が少ない。廃トナー容器E12よりも先に、交換時期のくる各色の廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)は、補給トナー容器8を約8回交換するころに交換時期がくる。そのため、どの廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12、E12)が交換時期になっても、廃トナー容器として使用できる空になった補給トナー容器が必ず存在し、廃トナー容器を準備しておく必要がない。
【0032】
本実施例において、各トナー容器の容量、トナー容器内のトナー量検知方法及びトナー容器の交換タイミングは、実施例1と同様であり説明を略する。
【0033】
以上説明したフルカラー画像形成装置においても、実施例2同様に、本体寿命まで廃トナーの処理に、不要となった補給トナー容器を廃トナー容器として使用できる。そのため廃トナー容器を買い換える手間と費用を必要とせずに、本体寿命まで廃トナー処理を行なうことが出来る。
【0034】
以上説明した第1から第3の実施形態では、補給トナー容器と廃トナー容器の形状が同一の場合について述べた。しかし、補給トナー容器と廃トナー容器が同一形状で無くても良く、画像形成装置から廃トナー容器を取り外した部分に、補給トナー容器を装着することが可能であれば、同様の効果作用を得ることができる。
【0035】
(実施例4)
本発明の第4の実施形態を以下に説明する。
【0036】
記録材に転写されずに残った残トナーは、転写バイアスなどの影響を受けやすい不安定なトナーであったり、現像装置内で劣化してしまったトナーが多い。そして、再び帯電させても所望の帯電特性が得られないことが多く、残トナーを再び現像し転写すると画像不良が発生する場合がある。そのため一般的には、記録材に転写されずに残った残トナーは、クリーニング部材等で回収され、廃トナーとして処分される。しかし、環境保全などの観点から、回収した残トナーを再び現像装置に戻し、リサイクルする場合がある。残トナーを再利用する場合には、残トナーを現像装置に搬送するためのスクリュー等の搬送手段が必要であり、本体構成を複雑にするだけでなく、本体コストを増やす原因となっていた。
【0037】
本実施例では、画像形成装置から補給トナー容器を取り外した部分に、廃トナー容器を装着することが可能であり、廃トナー容器内に溜まったトナーを簡便に再利用できることを特徴としている。以下に詳しく説明する。
【0038】
実施例1から実施例3の画像形成装置では、補給トナー容器と廃トナー容器が同一形状であり、画像形成装置から廃トナー容器を取り外した部分に、補給トナー容器を装着することができた。しかし、本実施例では、補給トナー容器と廃トナー容器がお互いに付け替え可能である。そのため、実施例1から実施例3と同様に、不要になった補給トナー容器を廃トナー容器として使用できるだけでなく、画像形成装置から補給トナー容器を取り外した部分に、廃トナー容器を装着する。そして、廃トナー容器内に溜まったトナーを簡便に現像装置に戻し、再利用することが可能である。そのため、本実施例の構成においては、廃トナー容器内のトナーを補給トナー容器や現像装置に搬送するためのスクリューなどが無く、装置本体構成を簡略化することが可能である。また、残トナーの再利用は、ユーザーが必要に応じて選択することが可能である。補給トナー容器内のトナーが無くなり、臨時的に残トナーを再利用したい場合や、環境保全などの観点から全ての残トナーを再利用したい場合など、ユーザーが残トナーの再利用を必要に応じて選択することができる。基本的に、残トナーの再利用は、同じ色内で行う。しかし、実施例2と実施例3のように、中間転写ベルト91や記録材搬送ベルト90上の残留トナーをクリーニングした際に廃トナー容器に溜まる混色トナーも、ブラックトナーとしてブラックの現像装置に廃トナー容器を取り付け、臨時的に再利用してもよい。
【0039】
以上説明した構成では、残トナーの溜まった廃トナー容器を補給トナー容器と付け替えるだけで、残トナーを再利用できる。そのため、トナーを補給トナー容器や現像装置に搬送するためのスクリューなどが無く、本体構成を複雑にすることなく、簡便に廃トナーを現像装置に戻すことが可能である。
【0040】
また、本実施例では、補給トナー容器と廃トナー容器の形状が同一の場合について述べたが、補給トナー容器と廃トナー容器とが互いに付け替え可能であれば、補給トナー容器と廃トナー容器が同一形状で無くても良い。例えば、実施例2及び実施例3のような4色のフルカラー画像形成装置であれば、各色の補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)及び廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)の形状を色ごとで異なる形状にしても良い。図5に例として、ブラックとシアンの補給トナー容器(C8、K8)及び廃トナー容器(C12、K12)を画像形成装置に着脱する際の斜視図を示す。廃トナー容器及び補給トナー容器の着脱方法は、実施例1と同様であり、長手方向にスライドさせて行なわれ、矢印A2が装着方向、矢印A3が取り外し方向である。各色の補給トナー容器及び廃トナー容器には長手方向に、ブラックとシアンとで、形状と位置が異なる段差B1、B2が設けられておいる。そして、ブラックのトナー容器とシアンのトナー容器が付け替えできないようになっている。各色内での補給トナー容器と廃トナー容器の段差形状と位置は、それぞれのトナー容器を180°回転させると一致するため、付け替えることが可能である。イエローとマゼンダの補給トナー容器と廃トナー容器も、これと同様に、色ごとに形状と位置の異なる段差が長手方向に設けられている。そのため色の異なるトナー容器の交換は出来なくなっている。このように、各色の補給トナー容器(Y8、M8、C8、K8)及び廃トナー容器(Y12、M12、C12、K12)の形状を色ごとで異なる形状にしている。そして、色の異なるトナー容器の交換を出来なくさせることで、上述の残トナー再利用の際、トナーの色を誤って再利用することを防止できる。
【0041】
補給トナー容器と廃トナー容器の形状は、これに限らず、補給トナー容器と廃トナー容器とが互いに付け替え可能な形状であれば、上述のように廃トナー容器内に溜まったトナーを簡便に再利用できることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施例における画像形成装置を示す図。
【図2】第1の実施例におけるトナー容器を示す図。
【図3】第2の実施例における画像形成装置を示す図。
【図4】第3の実施例における画像形成装置を示す図。
【図5】第4の実施例においてトナー容器の形状を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1 感光ドラム
2 帯電器
3 露光装置
4 攪拌ローラ
5 現像器
6 現像スリーブ
7 磁石
8、Y8、M8、C8、K8 補給トナー容器
9 トナー搬送パドル
10 転写ローラ
11 残トナー搬送パドル
12、Y12、M12、C12、K12、D12、E12 廃トナー容器
13 トナー投入部
14 クリーニングブレード
15 帯電器電源
16、D16、E16 ブレードによるクリーニング装置
17 転写バイアス電源
22 画像形成装置本体側のギヤ
23 トナー搬送パドルギヤ
24 透過性樹脂
25 トナー量検知センサー
26 発光素子
27 受光素子
60 吸着ローラ
90 記録材搬送ベルト
91 中間転写ベルト
100 一次転写ローラ
120 駆動ローラ
130 二次転写対向ローラ
140 テンションローラ
Y30、M30、C30、K30 イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの現像カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーと、トナー像を担持する像担持体と、前記トナーを現像する現像手段と、該現像手段に前記トナーを補給するまで前記トナーを収容しておく着脱可能な補給トナー容器と、前記像担持体上の不要トナーを回収する回収手段と、該回収手段によって回収されたトナーを収容する着脱可能な廃トナー容器と、を有する画像形成装置において、
前記補給トナー容器は、前記廃トナー容器を前記画像形成装置から取り外した部分に、取り付け可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記補給トナー容器内のトナーの量を検知する第一検知手段を有し、
前記第一検知手段によって、前記廃トナー容器を交換する必要が検知された場合に、前記廃トナー容器を該補給トナー容器に付け替え、該補給トナー容器を廃トナー容器として使用可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記廃トナー容器内のトナーの量を検知する第二検知手段を有し、
前記第二検知手段によって、前記補給トナー容器を交換する必要が検知された場合に、
前記補給トナー容器を前記廃トナー容器に付け替え、該補給トナー容器を廃トナー容器として使用可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補給トナー容器と、前記廃トナー容器とは、同一形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体は、感光体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体は、中間転写体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は、転写材担持体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記廃トナー容器内のトナーの量を検知する第二検知手段を有し、
前記第二検知手段によって、前記補給トナー容器を交換する必要が検知された場合に、該廃トナー容器を前記補給トナー容器に付け替え、該廃トナー容器内の廃トナーを前記現像手段に補給するトナーとして再利用できることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−163878(P2007−163878A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360650(P2005−360650)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】