説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置においてユーザ認証を行う際の操作性を改善する。
【解決手段】画像形成装置1は、指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体2と、装置本体2に取り付けられる操作パネル6と、操作パネル6に対して支持台7を介して取り付けられ、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取装置8と、生体情報読取装置8から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に画像処理ユニット5に関する各種機能の実行を許可するCPU10とを備えている。生体情報読取装置8は操作パネル6に対して所定の軸周りに回動可能に取り付けられ、操作パネル6に対する姿勢を調整可能とした構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を用いてユーザを特定する機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと呼ばれる画像形成装置は、近年、ネットワーク環境で使用されるようになっており、例えば画像形成装置において原稿を読み取った際の画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力することや、画像形成装置がネットワーク上のコンピュータにアクセスし、そこに保存されている画像データを読み出して出力することなどが可能である。そのため画像形成装置を使用することによる情報の流出や消失などを防止するため、近年は画像形成装置を使用するに際して高いセキュリティ機能が求められるにようになっている。
【0003】
従来、画像形成装置のセキュリティを高める技術として、例えばユーザの指紋などの生体情報を読み取ってユーザ認証を行い、その認証結果に応じて画像形成装置における各種機能の利用を許可する技術が知られている(例えば、特許文献1)。かかる技術によれば、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取装置は操作パネルの内側に組み込むように構成されており、生体情報読取装置は操作パネルに対して固定された状態となる。そのため、従来はユーザ認証を行う際、ユーザは操作パネルに固定された生体情報読取装置に対して生体情報の読み取りが可能なように手の指を載せることが必要となる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−123699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置を使用するユーザの身長、腕の長さや手の大きさなどは、ばらつきが大きく、生体情報読取装置が操作パネルに固定されていると、ユーザ認証を行うために生体情報読取装置に対して指を載せる際、ユーザによっては無理な姿勢を強いられることがある。そのため、従来の画像形成装置は、ユーザ認証を行う際の操作性が悪いという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、ユーザ認証を行う際の操作性を改善した画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体と、前記装置本体に取り付けられる操作パネルと、前記操作パネルに対して取り付けられ、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取手段と、前記生体情報読取手段から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に前記画像処理ユニットに関する各種機能の実行を許可する制御手段と、を備え、前記生体情報読取手段は所定の軸周りに回動可能に取り付けられることを特徴としている。
【0008】
かかる構成によれば、操作パネルに対して取り付けられる生体情報読取手段が所定の軸周りに回動可能であるので、操作パネルに対する生体情報読取手段の姿勢を変化させることができる。そのため、ユーザ認証を行う際には、ユーザ自身が無理な姿勢をとることなく、生体情報読取手段を操作しやすい姿勢に適宜調整したうえで生体情報読取手段に対する操作を行うことができ、画像形成装置においてユーザ認証を行う際の操作性が改善される。
【0009】
また請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、前記操作パネルに対して上下方向及び/又は左右方向に回動可能に取り付けられることを特徴としている。
【0010】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が、操作パネルに対して上下方向及び/又は左右方向に回動可能である。そのためユーザ認証を行う際には、生体情報読取手段を上下方向及び/又は左右方向に回動させることによって生体情報読取手段の姿勢を操作しやすい姿勢に適宜調整することができるようになる。尚、生体情報読取手段は、操作パネルに対して上下方向及び左右方向の2方向に回動可能であっても良いし、いずれかの1方向のみに回動可能であっても良い。また上下方向及び左右方向の2方向に加え、さらに他の方向にも回動可能として良い。
【0011】
また請求項3にかかる発明は、請求項2記載の画像形成装置において、上下方向及び/又は左右方向に回動する第1の回動機構を介して前記操作パネルに取り付けられた支持台を更に備えており、前記生体情報読取手段が、前記支持台に配置されることを特徴としている。
【0012】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が支持台に設けられており、その支持台が上下方向及び/又は左右方向に回動する第1の回動機構を介して操作パネルに取り付けられる。そのため、第1の回動機構を調整して操作パネルに対する支持台の姿勢を調整することにより、操作パネルに対する生体情報読取手段の姿勢を調整することができる。
【0013】
また請求項4にかかる発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記第1の回動機構には、予め定められた回動位置で回動を停止させ、前記支持台の姿勢を保持する保持手段が設けられることを特徴としている。
【0014】
かかる構成によれば、第1の回動機構に設けられた保持手段が、回動調整された支持台の姿勢を保持するので、支持台および生体情報読取手段の姿勢が安定し、ユーザ認証を行う際の操作性がより向上する。
【0015】
また請求項5にかかる発明は、請求項3又は4に記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段は、ユーザの手の指から生体情報を読み取るように構成され、前記支持台は、前記生体情報読取手段がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材を備えることを特徴としている。
【0016】
かかる構成によれば、ユーザ認証を行うためにユーザが手の指を生体情報読取手段に配置する際、ユーザの手を補助部材に置いて支持させることができる。したがって、ユーザの手が安定し、生体情報読取手段に配置する指がぶれることを抑制できるので、生体情報の読み取りエラーなどが減少し、安定したユーザ認証が行えるようになる。
【0017】
また請求項6にかかる発明は、請求項3乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記支持台が、前記生体情報読取手段の周囲に設けた規制手段を備えており、前記生体情報読取手段は、前記規制手段によって規定される範囲内で移動可能であることを特徴としている。
【0018】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が、規制手段によって規定された範囲内で支持台の上を移動可能であるため、生体情報読取手段のとり得る姿勢がさらに多様なものとなり、生体情報読取手段をより一層操作しやすい姿勢に調整することができる。
【0019】
また請求項7にかかる発明は、請求項3乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段には、読み取った生体情報を出力するケーブルが接続され、前記支持台は、前記生体情報読取手段から延びる前記ケーブルを所定長さの位置で固定する固定手段を備えることを特徴としている。
【0020】
かかる構成においても、生体情報読取手段は、所定長さ分のケーブルによって規定された範囲内で支持台の上を移動可能となるため、生体情報読取手段のとり得る姿勢がさらに多様なものとなり、生体情報読取手段をより一層操作しやすい姿勢に調整することができる。
【0021】
また請求項8にかかる発明は、請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記操作パネルは、上下方向及び/又は左右方向に回動する第2の回動機構を介して前記装置本体に取り付けられることを特徴としている。
【0022】
かかる構成によれば、装置本体に取り付けられる操作パネルが上下方向及び/又は左右方向に回動可能となるため、装置本体に対する操作パネルの姿勢を変化させることができる。そのため、操作パネルに取り付けられる生体情報読取手段は、装置本体に対して多様な姿勢を示すことができ、ユーザ認証を行う際には、ユーザ自身が無理な姿勢をとることなく、生体情報読取手段を操作しやすい姿勢に適宜調整したうえで生体情報読取手段に対する操作を行うことができるようになる。
【0023】
また請求項9にかかる発明は、請求項8記載の画像形成装置において、前記第2の回動機構には、予め定められた回動位置で回動を停止させ、前記操作パネルの姿勢を保持する保持手段が設けられることを特徴としている。
【0024】
かかる構成によれば、第2の回動機構に設けられた保持手段が、回動調整された操作パネルの姿勢を保持するので、支持台および生体情報読取手段の姿勢も安定して保持されるようになり、ユーザ認証を行う際の操作性がより向上する。
【0025】
また請求項10にかかる発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記支持台は、前記操作パネルに対して折りたたみ可能であることを特徴としている。
【0026】
かかる構成によれば、画像形成装置に対するメンテナンス作業時など、支持台が作業の妨げになるような場合には、支持台を操作パネルに対して折りたたむことができ、作業性を向上させることができる。
【0027】
また請求項11にかかる発明によれば、請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段は、ユーザの手の指の静脈パターンを読み取る静脈パターン読取装置であることを特徴としている。
【0028】
かかる構成によれば、利用しやすく、かつ高いセキュリティレベルでのユーザ認証が行えるようになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる画像形成装置によれば、画像形成装置を使用するユーザの身長、腕の長さや手の大きさなどに応じて生体情報読取手段の姿勢を調整することができ、ユーザ認証時にユーザ自身が無理な姿勢をとることなく、生体情報読取手段に対して適切に指などを載せることができるようになる。したがって、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する幾つかの実施形態において互いに共通する部材については同一符号を付しており、それらについて繰り返しとなる説明は省略する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態における画像形成装置1の外観構成を示す斜視図である。この画像形成装置1は、いわゆる複合機やMFPなどと呼ばれる装置であり、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャナ機能など、複数の機能を備えており、例えばLANなどのネットワークに接続可能であると共に、電話回線などの通信網にも接続可能である。そして画像形成装置1において原稿を読み取った際の画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力することや、画像形成装置1がネットワーク上のコンピュータにアクセスし、そこに保存されている画像データを読み出して出力することなどができると共に、通信網を介してFAXデータなどのデータの送受信ができるように構成されている。この画像形成装置1は、装置本体2の上部に設けられた画像読取部3と、装置本体2のほぼ中央内部に設けられた画像形成部4とを備えており、これら画像読取部3と画像形成部4とにより、ユーザによって指定されたジョブを実行する画像処理ユニット5が構成されている。
【0032】
画像読取部3は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取手段であり、例えば画像形成装置1のコピー機能、FAX機能又はスキャナ機能が使用される際に動作する。画像読取部3は、読取ガラス3aの上に載置された原稿を読み取って画像データを生成する。尚、読取ガラス3aの上部には、読取ガラス3aに対して接離自在なように回動する蓋部材3bが設けられているが、この蓋部材3bの代わりに複数枚の原稿を1枚ずつ画像読取部3に搬送する自動原稿搬送装置(いわゆるADF)を設けても良い。
【0033】
例えば画像形成装置1においてコピー機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像読取部3は原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データを画像形成部4に出力する。またFAX機能又はスキャナ機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像読取部3は原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データは画像形成装置1の外部に出力される。
【0034】
画像形成部4は、入力する画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段であり、例えば画像形成装置1のコピー機能、FAX機能又はプリンタ機能が使用される際に動作する。この画像形成部4は、入力する画像データに基づいて画像形成媒体となる用紙に画像形成を行い、プリント出力を行う。
【0035】
例えば画像形成装置1においてコピー機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像形成部4は、画像読取部3から入力する画像データに基づいて用紙に画像形成を行って出力する。またFAX機能又はプリンタ機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像形成部4は画像形成装置1の外部から入力する画像データに基づいて用紙に画像形成を行って出力する。
【0036】
画像形成装置1の装置本体2の側面には、画像読取部3とほぼ同じ高さ位置にワーキングテーブル9が設けられている。このワーキングテーブル9はユーザが一時的な作業スペースとして利用するものであり、例えば読み取り対象となる原稿やプリント出力された用紙を一時的に置くことができるようになっている。尚、図例では、ワーキングテーブル9は、装置本体2の右側面に設けた場合を示しているが、左側面に設けても構わない。またこのようなワーキングテーブル9は画像形成装置1に対するオプション部品としても構わない。
【0037】
画像形成装置1の装置本体2の前面側(正面側)には、ユーザが画像形成装置1を使用する際に各種設定や操作を行うための操作入力手段として操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、各種情報を表示するための表示部61を備えており、この表示部61の前面にはタッチパネル62が設けられている。また表示部61の周囲には、画像形成装置1に対する各種設定操作を行ったり、ジョブの実行を指示したりするための複数の操作ボタン63が配置されている。このような操作パネル6は装置本体2の前面側から張り出した張出部2aの先端に取り付けられ、この張出部2aによってユーザが視認しやすく、且つ操作しやすい角度で支持されている。
【0038】
操作パネル6には平板状の支持台7が取り付けられており、この支持台7の上面に生体情報読取装置8が設置されている。図例では、支持台7は操作パネル6の右側部に隣接して取り付けられているが、これを左側部に隣接して取り付けることも可能である。また操作パネル6の前方側に隣接して支持板8を取り付けても良い。尚、以下の実施形態では、図例の如く支持台7が操作パネル6の右側部に隣接して取り付けられる例について説明する。
【0039】
生体情報読取装置8は例えばその底面を支持台7の上面に固定することにより取り付けられる。したがって、生体情報読取装置8は支持台7を介して間接的に操作パネル6に取り付けられている。本実施形態では、後述するように生体情報読取装置8が操作パネル6に対して所定の軸周りに回動可能に取り付けられ、生体情報読取装置8の操作パネル6に対する姿勢を変化させることが可能なように構成されている。
【0040】
生体情報読取装置8はユーザの特定部位から生体情報を読み取る生体情報読取手段であり、本実施形態ではユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。生体情報読取装置8は読み取り対象となるユーザの指を配置するために凹溝状に形成された読取部8aを備えており、この読取部8aに配置された指の静脈パターンを読み取る構成である。生体情報読取装置8が読み取った生体情報は装置本体2の内部に出力され、画像形成装置1においてユーザの認証が行われる。すなわち、本実施形態では、ユーザ認証において、生体情報読取装置8が読み取った静脈パターンが、画像形成装置1に予め登録されたユーザの静脈パターンに一致するか否かの静脈認証が行われる。
【0041】
静脈認証は、静脈パターンという生体内部の特徴を利用してユーザの認証を行うものであるため、指紋認証や顔認証などのようにユーザの外見に現れる特徴を読み取って認証する場合と比較すれば、ユーザに与える心理的抵抗感は少なく、また偽造が極めて困難であるという利点を有している。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、利用しやすく、かつ高いセキュリティレベルでのユーザ認証が行えるようになっている。
【0042】
尚、生体情報読取装置8はユーザの掌の静脈パターンを読み取るものであっても良いが、その場合には装置が大型化する。そのため、装置の小型化を図る点では、上述したようにユーザの手の指の静脈パターンを読み取る装置とすることがより好ましい。
【0043】
図2は、装置本体2の前面側に設けられた操作パネル6などの構成を抽出拡大した図である。図2に示すように支持台7の裏面側には操作パネル6から延設された第1回動機構20が設けられており、この第1回動機構20が操作パネル6に対して支持台7を回動可能に支持している。第1回動機構20は、図2に示すように2つの回動軸R1,R2を備えている。回動軸R1は左右横方向に沿って設けられたほぼ水平の軸であり、支持台7はこの回動軸R1周りに矢印M1方向に回動する。また回動軸R2は支持台7のほぼ中央に設けられ、支持台7の上面に対してほぼ直角の軸であり、支持台7はこの回動軸R2周りに矢印M2方向に回動する。したがって、支持台7は、操作パネル6に対し、回動軸R1周りに回動することによって上下方向に回動し、回動軸R2周りに回動することによって左右方向に回動する。
【0044】
図3は操作パネル6のパネル面に対向する側から操作パネル6および支持台7を観た図である。支持台7は、上述した第1回動機構20を介して操作パネル6の側面に隣接して取り付けられている。この支持台7が左右方向に回動することにより支持台7と操作パネル6とが互いに接触することを防止するため、図3に示すように支持台7の操作パネル6に対向する面7aは曲面状に形成される。したがって、支持台7と操作パネル6とが互い干渉することはなく、支持台7の左右方向への回動が許容されるようになっている。これにより、支持台7は操作パネル6に対してより近接した位置に配置することができ、支持台7と操作パネル6から成る構成をコンパクトに配置できる。
【0045】
図4は第1回動機構20の詳細を示す図であり、図3のA−A断面における要部拡大図である。図4に示すように第1回動機構20は、一端が操作パネル6に固定され操作パネル6から支持台7の裏面側に延びる軸部材21と、この軸部材21に回動可能に装着された支持部材22と、支持台7の裏面側ほぼ中央の位置から突出して形成された軸部7bとを備えて構成される。
【0046】
軸部材21は上述の回動軸R1に対応している。この軸部材21の所定位置には、図4に示すように軸方向に対して直角の貫通孔21aが形成されており、その貫通孔21aにネジ24、バネ25および球状体26が設けられている。ネジ24は貫通孔21aの一方側から貫通孔21aの内部に装着され固定される。またバネ25は貫通孔21aの他方側から貫通孔21aの内部に挿入され、そのバネ25の更に外側に球状体26が配置されている。バネ25はネジ24と球状体26の間に収縮させた状態で設けられ、球状体26に対して付勢力を作用させる。なお、貫通孔21aにおけるネジ24の位置を調整することにより、バネ25の付勢力を調整できるようになっている。また図例では貫通孔21aにおいてネジ24が固定される部分の孔径が大径となっており、バネ25および球状体26が挿入される部分の孔径が小径となっている場合を示しているが、必ずしもこのような形態である必要はない。
【0047】
支持部材22は、軸部材21の貫通孔21aが形成された位置に対応して軸部材21の周方向に複数の孔22aが設けられている。これらの孔22aは、その直径が球状体26の直径よりも若干小さく形成されている。したがって、支持部材22に対して軸部材21周りの回動方向へ、ある程度の外力が作用すると、球状体26は貫通孔21aの内側に沈み込み、支持部材22が軸部材21の周りに回動する。そして球状体26はその回動方向に位置する次の孔22aに達すると、バネ25の付勢力によってその孔22aに向かって押し出され、球状体26と孔22aとが互いに係合して支持部材22の回動が停止する。この状態で支持部材22はその姿勢が保持され、その結果、支持台7の姿勢も保持される。そして支持部材22に対して更なる外力が作用すると、球状体26は再び貫通孔21aの内側に沈み込み、支持部材22が軸部材21の周りに回動し、球状体26がさらにその次の孔22aに達したときに支持部材22の回動が停止する。
【0048】
したがって、第1回動機構20に設けられたネジ24、バネ25、球状体26および複数の孔22aは、支持部材22を予め定められた回動位置で停止させ、支持台7の姿勢を保持する保持手段20aとして設けられている。なお、保持手段20aは、操作パネル6に対して回動可能な支持台7の姿勢を保持することができれば良く、必ずしも上述した構造のものに限定されない。
【0049】
また支持部材22には、支持台7の裏面側ほぼ中央に対応して円筒状の支持部23が立設されている。この支持部23は、その内側に支持台7の裏面側から突出する軸部7bを装着して支持台7を支持する。また支持部23に装着された軸部7bは、上述の回動軸R2に対応し、支持部23の内側で回動する。軸部7bには、図4に示すように軸芯を通り、かつ軸方向に直角の貫通孔7cが形成されており、その貫通孔7cにネジ27、バネ28および球状体29が設けられている。ネジ27は貫通孔7cの一方側から貫通孔7cの内部に装着され固定される。またバネ28は貫通孔7cの他方側から貫通孔7cの内部に挿入され、そのバネ28の更に外側に球状体29が配置されている。バネ28はネジ27と球状体29の間に収縮させた状態で設けられ、球状体29に対して付勢力を作用させる。なお、貫通孔7cにおけるネジ27の位置を調整することにより、バネ28の付勢力を調整できるようになっている。またこの場合も、貫通孔7cにおいてネジ27が固定される部分の孔径が大径となっており、バネ28および球状体29が挿入される部分の孔径が小径となっている場合を示しているが、必ずしもこのような形態である必要はない。
【0050】
支持部材22の支持部23は、軸部7bの貫通孔7cが形成された位置に対応して軸部7bの周方向に複数の孔22bが設けられている(図例では1個のみ図示している。)。これらの孔22bは、その直径が球状体29の直径よりも若干小さく形成されている。したがって、軸部7bに対してその軸周り方向へのある程度の外力が作用すると、球状体29は貫通孔7cの内側に沈み込み、軸部7bがその軸周りに回動する。そして球状体29はその回動方向に位置する次の孔22bに達すると、バネ28の付勢力によってその孔22bに向かって押し出され、球状体29と孔22bとが互いに係合して軸部7bの回動が停止する。この状態で軸部7bはその姿勢が保持され、その結果、支持台7の姿勢も保持される。そして軸部7bに対して更なる外力が作用すると、球状体29は再び貫通孔7cの内側に沈み込み、軸部7bがその軸周りに回動し、球状体29がさらにその次の孔22bに達したときに軸部7bの回動が停止する。
【0051】
したがって、第1回動機構20に設けられたネジ27、バネ28、球状体29および複数の孔22bは、軸部7bを予め定められた回動位置で停止させ、支持台7の姿勢を保持する保持手段20bとして設けられている。なお、保持手段20bについても、操作パネル6に対して回動可能な支持台7の姿勢を保持することができれば良く、必ずしも上述した構造のものに限定されない。
【0052】
上記のような第1回動機構20により、支持台7は操作パネル6に対して上下方向及び左右方向に回動可能なように支持されており、その支持台7の上に設置される生体情報読取装置8が操作パネル6に対する姿勢を変化させることができる。そして上述した保持手段20a,20bにより、生体情報読取装置8の変化させた姿勢がそのまま保持されるので、ユーザは、生体情報読取装置8が回動しない安定した状態で生体情報読取装置8の読取部8aに指を置くことができ、ユーザ認証のための生体情報の読み取りを行うことが可能である。
【0053】
つぎに図5は、本実施形態における画像形成装置1の機能的な構成を示したブロック図である。図5に示すように、画像形成装置1の装置本体2には、上述した画像読取部3および画像形成部4の他、CPU10と、メモリ11と、データ通信部13とが設けられている。画像読取部3および画像形成部4は上述したように画像形成装置1における画像処理ユニット5を構成しており、この画像処理ユニット5によってコピー機能、FAX機能、プリンタ機能およびスキャナ機能における各種の画像処理が行われ、ユーザによって指定されたジョブが実行される。データ通信部13は、その内部に通信インタフェースを備えており、ネットワークや通信網と接続して外部の装置(例えばコンピュータやFAX装置など)とデータの送受信を行う。
【0054】
生体情報読取装置8は、凹溝状の読取部8aの側面に配置された投光部81と、読取部8aの底面に配置された撮像部82とを備えており、投光部81が読取部8aに配置されたユーザの指の側面から赤外光を照射し、指を透過して読取部8aの底面に向かう光が撮像部82に入射するように構成されている。生体情報読取装置8には装置本体2の図示しない電源から常時電力が供給されており、投光部81は常時赤外光を照射し続けると共に、撮像部82は常時赤外光を検知できるようになっている。撮像部82が出力する情報には2種類の情報があり、ひとつは読取部8aに何らかの物体が配置されたときに出力する検知情報であり、もうひとつは例えばCPU10から読取指令を受信した場合にユーザの手の指の静脈パターンを読み取って出力する生体情報である。したがって、生体情報読取装置8は、読取部8aにユーザの手の指など何らかの物体が配置されたか否かを常時監視しており、それを検知した時点で検知情報を出力すると共に、CPU10から読取指令を受信するとそれに応答して静脈パターンの読み取りを行い、生体情報を出力する。なお、生体情報は静脈パターンを撮像した画像データであるが、検知情報は画像データである必要はなく、単なるオン・オフ信号で良い。
【0055】
尚、生体情報読取装置8は必ずしも上述した2種類の情報を出力することが可能なものである必要はなく、CPU10から読取指令を受信した場合の生体情報のみを出力するものであっても構わない。
【0056】
メモリ11は、各種情報やプログラムなどを記憶する記憶手段であり、本実施形態ではユーザ管理データ12が格納されている。ユーザ管理データ12は、画像形成装置1のセキュリティを向上させるため、画像形成装置1を使用することができるユーザを管理するデータである。このユーザ管理データ12には、画像形成装置1を使用することが許可されたユーザごとに生体情報登録データ12aと機能登録データ12bとが互いに関連づけられて予め登録されている。生体情報登録データ12aは、ユーザ登録時に生体情報読取装置8で読み取った生体情報を予め登録したデータである。また機能登録データ12bは、登録されたユーザが使用できる画像形成装置1の機能を予め登録したデータである。例えば、あるユーザは画像形成装置1のコピー機能のみを使用できるが、別のユーザはコピー機能とスキャナ機能とを使用することができ、さらに別のユーザは画像形成装置1の全ての機能を使用することができる、というように機能登録データ12bにはユーザごとに使用することが許可された機能が登録されている。
【0057】
CPU10は、所定のプログラムを実行することにより、画像形成装置1の動作を制御する制御手段である。このCPU10は、生体情報読取装置8からユーザの生体情報(静脈パターン)を入力してユーザの認証を行い、その認証の結果、ユーザを特定することができた場合にそのユーザに対して予め許可された1つ又は複数の機能を実行許可状態とし、ユーザがそれら機能を使用できる状態とする。
【0058】
例えばCPU10は、生体情報読取装置8から検知情報を入力すると、生体情報読取装置8に対して読取指令を送出し、生体情報読取装置8の読取部8aに置かれたユーザの手の指からの生体情報の読み取りを行わせる。またCPU10は、操作ボタン63に含まれる認証キー(ユーザ認証の開始を指示する操作ボタン)が操作された場合にも、生体情報読取装置8に対して読取指令を送出し、生体情報読取装置8の読取部8aに置かれたユーザの手の指からの生体情報の読み取りを行わせる。そしてCPU10は生体情報読取装置8から生体情報を取得し、その取得した生体情報を、メモリ11に格納されている生体情報登録データ12aと照合して生体情報の認証、すなわちユーザの認証を行い、生体情報読取装置8から取得した生体情報が、生体情報登録データ12aに含まれる複数ユーザの生体情報のうちいずれか一つと適合する場合には、その適合した生体情報の登録ユーザを特定する。
【0059】
このようにしてユーザが特定されると、CPU10は、画像形成装置1における各種機能のうち、特定されたユーザに予め許可された機能を使用可能な状態に移行させる。具体的には、メモリ11から機能登録データ12bを読み込み、特定されたユーザに対して機能登録データ12bに登録されている1つ又は複数の機能を特定し、画像形成装置1においてそれらの機能を実行することが可能な実行許可状態とする。これに伴い、CPU10は、操作パネル6の表示部61の表示画面を初期画面から更新し、画像形成装置1において実行許可状態となった各種機能を操作するための操作案内画面(例えば、メニュー画面や設定画面など)を表示すると共に、タッチパネル62および操作ボタン63に対する入力操作を受け付け、その入力情報を許可された各種機能に反映させる。これにより、例えば画像形成装置1のコピー機能が使用される場合には、コピー部数の設定や両面/片面コピーの選択設定などが可能になる。そしてユーザが操作ボタン63に含まれる実行キー(ジョブの実行を指示する操作ボタン)を操作した場合、CPU10が画像処理ユニット5およびデータ通信部13を制御することにより指定されたジョブを実行させる。
【0060】
このように本実施形態では、画像形成装置1を使用するユーザの生体情報を生体情報読取装置8によって読み取り、その生体情報に基づいてユーザ認証を行った結果、ユーザを特定することができた場合に限り、画像形成装置1の各種機能を使用することができる状態に移行させるので、不特定者によって画像形成装置1が使用されることを防止でき、画像形成装置1のセキュリティが確保されるようになっている。
【0061】
そして本実施形態の画像形成装置1は、上述したように生体情報読取装置8を設けた支持台7が操作パネル6に対して上下方向および左右方向に回動可能であり、生体情報読取装置8の姿勢を自由に設定できるようになっている。そのため、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を変化させることにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定できるので、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要はなく、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。そしてユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対して適切な角度で指を載せることができるので、生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなり、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになる。したがって、ユーザ認証の信頼性も向上させることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、生体情報読取装置8を設けた支持台7が操作パネル6に対して上下方向および左右方向の2方向に回動可能とした構成を例示したが、これに限定するものではなく、上下方向および左右方向のいずれか1方向のみに回動可能な構成としても良い。ただし、生体情報読取装置8のとり得る姿勢をより多様なものとするためには、支持台7が回動する回動軸は多い方が好ましく、1方向のみに回動可能な構成よりも本実施形態のように2方向に回動可能な構成の方がより好ましい。
【0063】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施形態では、生体情報読取装置8のとり得る姿勢を第1の実施の形態よりも多様なものとするため、装置本体2の前面側に取り付けられた操作パネル6を装置本体2に対して回動可能とした構成例について説明する。なお、本実施形態でも、画像形成装置の全体的な外観構成および機能的な構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0064】
図6は、本実施形態において装置本体2の前面側に設けられる操作パネル6などの構成を抽出拡大した図である。本実施形態では、操作パネル6の裏面側に第2回動機構30(図7参照)が設けられており、その第2回動機構30が装置本体2に対して操作パネル6を回動可能に支持している。その第2回動機構30は、操作パネル6を回動させる回動軸として、図6に示すように2つの回動軸R3,R4を備えている。回動軸R3は左右横方向に沿って設けられたほぼ水平の軸であり、操作パネル6はこの回動軸R3周りに矢印M3方向に回動する。また回動軸R4は操作パネル6に対してほぼ直角の軸であり、操作パネル6はこの回動軸R4周りに矢印M4方向に回動する。したがって、操作パネル6は、装置本体2に対し、回動軸R3周りに回動することによって上下方向に回動し、回動軸R4周りに回動することによって左右方向に回動する。
【0065】
図7は、第2回動機構30の詳細を示す拡大断面図である。図7に示すように第2回動機構30は、上述した第1回動機構20(図4参照)と同様の構成を採用している。第2回動機構30は、装置本体2の前面側から張り出した張出部2aの先端にその両端が支持された軸部材31と、この軸部材31に回動可能に装着された支持部材32と、操作パネル6の裏面側から突出して形成された軸部6bとを備えて構成される。
【0066】
軸部材31は上述の回動軸R3に対応している。この軸部材31の所定位置には、図7に示すように軸方向に対して直角の貫通孔31aが形成されており、その貫通孔31aにネジ34、バネ35および球状体36が設けられている。ネジ34は貫通孔31aの一方側から貫通孔31aの内部に装着され固定される。またバネ35は貫通孔31aの他方側から貫通孔31aの内部に挿入され、そのバネ35の更に外側に球状体36が配置されている。バネ35はネジ34と球状体36の間に収縮させた状態で設けられ、球状体36に対して付勢力を作用させる。なお、貫通孔31aにおけるネジ34の位置を調整することにより、バネ35の付勢力を調整できるようになっている。
【0067】
支持部材32は、軸部材31の貫通孔31aが形成された位置に対応して軸部材31の周方向に複数の孔32aが設けられている。これらの孔32aは、その直径が球状体36の直径よりも若干小さく形成されている。したがって、支持部材32に対して軸部材31周りの回動方向へ、ある程度の外力が作用すると、球状体36は貫通孔31aの内側に沈み込み、支持部材32が軸部材31の周りに回動する。そして球状体36はその回動方向に位置する次の孔32aに達すると、バネ35の付勢力によってその孔32aに向かって押し出され、球状体36と孔32aとが互いに係合して支持部材32の回動が停止する。この状態で支持部材32はその姿勢が保持され、その結果、操作パネル6の姿勢も保持される。そして支持部材32に対して更なる外力が作用すると、球状体36は再び貫通孔31aの内側に沈み込み、支持部材32が軸部材31の周りに回動し、球状体36がさらにその次の孔32aに達したときに支持部材32の回動が停止する。
【0068】
したがって、第2回動機構30に設けられたネジ34、バネ35、球状体36および複数の孔32aは、支持部材32を予め定められた回動位置で停止させ、操作パネル6の姿勢を保持する保持手段30aとして設けられている。なお、保持手段30aは、装置本体2に対して回動可能な操作パネル6の姿勢を保持することができれば良く、必ずしも上述した構造のものに限定されない。
【0069】
また支持部材32には、操作パネル6の裏面側から突出する軸部6bに対応して円筒状の支持部33が立設されている。この支持部33は、その内側に軸部6bを装着して操作パネル6を支持する。また支持部33に装着された軸部6bは、上述の回動軸R4に対応し、支持部33の内側で回動する。軸部6bには、図7に示すように軸芯を通り、かつ軸方向に直角の貫通孔6cが形成されており、その貫通孔6cにネジ37、バネ38および球状体39が設けられている。ネジ37は貫通孔6cの一方側から貫通孔6cの内部に装着され固定される。またバネ38は貫通孔6cの他方側から貫通孔6cの内部に挿入され、そのバネ38の更に外側に球状体39が配置されている。バネ38はネジ37と球状体39の間に収縮させた状態で設けられ、球状体39に対して付勢力を作用させる。なお、貫通孔6cにおけるネジ37の位置を調整することにより、バネ38の付勢力を調整できるようになっている。
【0070】
支持部材32の支持部33は、軸部6bの貫通孔6cが形成された位置に対応して軸部6bの周方向に複数の孔32bが設けられている(図例では1個のみ図示している。)。これらの孔32bは、その直径が球状体39の直径よりも若干小さく形成されている。したがって、軸部6bに対してその軸周り方向へのある程度の外力が作用すると、球状体39は貫通孔6cの内側に沈み込み、軸部6bがその軸周りに回動する。そして球状体39はその回動方向に位置する次の孔32bに達すると、バネ38の付勢力によってその孔32bに向かって押し出され、球状体39と孔32bとが互いに係合して軸部6bの回動が停止する。この状態で軸部6bはその姿勢が保持され、その結果、操作パネル6の姿勢も保持される。そして軸部6bに対して更なる外力が作用すると、球状体39は再び貫通孔6cの内側に沈み込み、軸部6bがその軸周りに回動し、球状体39がさらにその次の孔32bに達したときに軸部6bの回動が停止する。
【0071】
したがって、第2回動機構30に設けられたネジ37、バネ38、球状体39および複数の孔32bは、軸部6bを予め定められた回動位置で停止させ、操作パネル6の姿勢を保持する保持手段30bとして設けられている。なお、保持手段30bについても、装置本体2に対して回動可能な操作パネル6の姿勢を保持することができれば良く、必ずしも上述した構造のものに限定されない。
【0072】
上記のような第2回動機構30により、操作パネル6は装置本体2に対して上下方向及び左右方向に回動可能なように支持されている。そのため、操作パネル6は装置本体2に対してその姿勢を変化させることができるようになっており、上述の保持手段30a,30bによりその変化させた姿勢をそのまま保持できる構成である。
【0073】
また本実施形態でも、図6に示すように、支持台7の裏面側には操作パネル6から延設された第1回動機構20が設けられている。この第1回動機構20は第1の実施の形態で説明したものと同様である。したがって、支持台7は、操作パネル6に対し、回動軸R1周りに回動することによって上下方向(矢印M1方向)に回動し、回動軸R2周りに回動することによって左右方向(矢印M2方向)に回動する。また本実施形態においても、支持台7の操作パネル6に対向する面が曲面状に形成され、支持台7と操作パネル6とが互い干渉することはなく、支持台7の左右方向への回動が許容されるようになっている。
【0074】
したがって、本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を設けた支持台7が操作パネル6に対して上下方向および左右方向に回動可能であることに加え、操作パネル6が装置本体2に対して上下方向および左右方向に回動可能であるため、第1の実施の形態に比べて生体情報読取装置8のとり得る姿勢がより多様なものとなる。そのため、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を適宜変化させることにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定でき、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要がなくなるので、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。そして本実施形態においても、ユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対して適切な角度で指を載せることができるので、生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなり、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになる。したがって、ユーザ認証の信頼性も向上させることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、操作パネル6が装置本体2に対して上下方向および左右方向の2方向に回動可能とした構成を例示したが、これに限定するものではなく、上下方向および左右方向のいずれか1方向のみに回動可能な構成としても良い。ただし、生体情報読取装置8のとり得る姿勢をより多様なものとするためには、操作パネル6が回動する回動軸は多い方が好ましく、1方向のみに回動可能な構成よりも本実施形態のように2方向に回動可能な構成の方がより好ましい。
【0076】
また支持台7が操作パネル6に対して上下方向および左右方向の2方向に回動可能とした構成を、上下方向および左右方向のいずれか1方向のみに回動可能な構成としても良い点については第1の実施の形態と同様である。
【0077】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施形態では、生体情報読取装置8のとり得る姿勢を第2の実施の形態よりも更に多様なものとし、ユーザ認証時の操作性をより向上させた構成例について説明する。なお、本実施形態でも、画像形成装置の全体的な外観構成および機能的な構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0078】
図8は、本実施形態において装置本体2の前面側に設けられる操作パネル6などの構成を抽出拡大した図である。本実施形態の画像形成装置1は、第1の実施の形態と同様の第1回動機構20を備えており、生体情報読取装置8を配置するための支持台7が操作パネル6に対し、回動軸R1周りの矢印M1方向(上下方向)に回動可能であると共に、回動軸R2周りの矢印M2方向(左右方向)に回動可能である。また第2の実施の形態と同様の第2回動機構30も備えており、操作パネル6が装置本体2に対し、回動軸R3周りの矢印M3方向(上下方向)に回動可能であると共に、回動軸R4周りの矢印M4方向(左右方向)に回動可能である。そして本実施形態では、更に、操作パネル6に対して支持台7を矢印M5方向(左右方向)に回動させる回動軸R5が設けられている。この回動軸R5は、例えば回動軸R1,R3,R4にほぼ直交するように配置されている。
【0079】
図9は、図8から支持台7を取り外した状態を示す図である。本実施形態では、支持台7を回動可能に支持する第1回動機構20と操作パネル6との間に第3回動機構40が設けられている。第3回動機構40は、操作パネル6の側面に固定された固定部材41と、固定部材41の内側に設けられ、固定部材41に対して回動可能な軸部材42と、軸部材42の両端に連結され、軸部材42と一体的に回動する回動部材43とを備え、この回動部材43に対して第1回動機構20の軸部材21が固定されている。
【0080】
第3回動機構40の軸部材42は上述の回動軸R5に対応している。この第3回動機構40には、上述した第1回動機構20および第2回動機構30と同様に、ネジ、バネ、球状体および複数の孔から成る保持手段が設けられており、軸部材42が固定部材41に対して回動可能であると共に、軸部材42を予め定められた回動位置で停止させた状態でその姿勢を保持することができるように構成されている。
【0081】
このように本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を設けた支持台7が操作パネル6に対して上下方向および左右方向に回動可能であると共に、操作パネル6が装置本体2に対して上下方向および左右方向に回動可能であり、そして更に支持台7が操作パネル6に対して回動軸R5周りに回動可能となっている。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、第1および第2の実施の形態に比べて生体情報読取装置8のとり得る姿勢がより多様なものとなる。
【0082】
図8に戻り、本実施形態では支持台7に設置される生体情報読取装置8は、支持台7の上面70に固定されるのではなく、支持台7の上面70に載置することにより設置される。そして支持台7には、生体情報読取装置8が読み取った生体情報を出力するために接続されているケーブル8bを所定位置で固定する固定具71が設けられている。図10は、支持台7の断面を示す図である。固定具71は、図10に示すようにケーブル8bに一定の撓みが生じるように生体情報読取装置8から所定長さの位置でケーブル8bを固定する。したがって、支持台7の上に載置された生体情報読取装置8は、ケーブル8bの撓み分によって許容される範囲内で上面70を移動可能となっている。
【0083】
また支持台7の上面70には、図8に示すように生体情報読取装置8が載置される部分の周囲に規制部材72が設けられている。この規制部材72は、支持台7に載置された生体情報読取装置8の移動範囲を規制する規制手段として設けられており、ケーブル8bの撓み分によって許容される生体情報読取装置8の移動範囲を更に狭い範囲に規制することにより、ケーブル8bの固定具71で固定された部分および生体情報読取装置8との接続部分に対して過大な負荷がかかることを防止する。なお、図例では、生体情報読取装置8の周囲3箇所に矩形状の規制部材72を突出形成した場合を例示しているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば生体情報読取装置8の移動可能な範囲を凹部として形成し、その凹部の周壁によって規制部材を構成しても良い。
【0084】
このように本実施形態では、支持台7に設置される生体情報読取装置8が規制部材72によって規制された範囲内で縦横に移動可能となり、かつその姿勢も自由に変化させることができるため、生体情報読取装置8のとり得る姿勢がより多様なものとなる。
【0085】
また本実施形態では、支持台7の前面側下部にユーザの手を置くことができる補助部材74が更に前方に突出するように設けられている。この補助部材74は、生体情報読取装置8がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するものである。そのためユーザはこの補助部材74に手を置いて安定させた状態で、その手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに置くことができる。したがって、ユーザ認証を行う際、生体情報読取装置8の読取部8aに置いた指がぶれることを抑制でき、生体情報読取装置8の読み取りエラーやユーザ認証時の認証エラーが生じる可能性を低減させることができるようになる。そして画像形成装置1Fの信頼性を高めることができる。なお、図例では補助部材74を平板状に構成した場合を示しているが、補助部材74の形態は平板状に限られるものではなく、ユーザ認証を行うためにユーザが生体情報読取装置8の読取部8aに指を置く際、そのユーザの手を補助的に支持することができるものであればどのような形態であっても良い。
【0086】
図11は、本実施形態の生体情報読取装置8に対してユーザの指を置いた状態の一例を示す図である。上述したように生体情報読取装置8は規制部材72で規制される範囲内でその位置および姿勢を変化させることができるので、図11に示すようにユーザが支持台7に対して斜め前方側から手を置いたとしても、生体情報読取装置8はその方向に適合するように姿勢を変化させることができる。また上述した補助部材74がユーザの手を補助的に支持するので、生体情報読取装置8の読取部8aに置いたユーザの指がぶれることはない。
【0087】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、装置本体2に対する生体情報読取装置8のとり得る姿勢が最も多様なものとなり、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を適宜変化させることにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定でき、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要がなくなるので、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。また本実施形態においても、ユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対して適切な角度で指を載せることができる。またユーザは上述の補助部材74に手を置いて安定させることができるので、本実施形態の場合には生体情報読取装置8における読み取りエラーが特に少なくなり、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになる。したがって、ユーザ認証の信頼性も著しく向上させることができる。
【0088】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施形態では、支持台7が操作パネル6に対して折りたたみ可能である構成例について説明する。なお、本実施形態でも、画像形成装置1の全体的な外観構成および機能的な構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0089】
図12および図13は、本実施形態において装置本体2の前面側に設けられる操作パネル6などの構成を抽出拡大した図である。本実施形態の画像形成装置1は、第3の実施の形態と同様の第3回動機構40を備えており、支持台7はこの第3回動機構40に取り付けられている。そのため、支持台7は、操作パネル6に対し、回動軸R5周りの矢印M5方向(左右方向)に回動可能となっている。第3回動機構40は、支持台7を回動軸R5周りに180°以上回動可能に支持しており、図13に示すように支持台7を操作パネル6の裏面側に折りたたんだ状態とすることができるように構成されている。そして第3回動機構40に設けられた保持手段は、支持台7を予め定められた回動位置で停止させ、その姿勢を安定して保持することができ、図13に示すよう支持台7が操作パネル6に対して折りたたまれた状態においてもその状態を安定して保持することができる。なお、本実施形態の場合、生体情報読取装置8は、その底面を支持台7に固定した状態で取り付けておくことが好ましい。
【0090】
したがって、本実施形態の画像形成装置1は、操作パネル6に対する支持台7の取り付け角度を適宜調整することができ、ユーザ認証を行う際にはユーザは支持台7の角度を調整することによって生体情報読取装置8の読取部8aに指を置きやすい状態を適宜選択することができるようになる。
【0091】
また、例えば画像形成装置1において紙詰まりが生じた場合などのメンテナンス作業を行う際には、支持台7を操作パネル6の裏面側に折りたたんだ状態として画像形成装置1の前面側に作業スペースを広く確保することができ、メンテナンス作業が行いやすくなる。また画像形成装置1においてユーザ認証機能をオプション機能とする場合、ユーザ認証機能を付加しない状態では、支持台7を操作パネル6の裏面側に折りたたんでおくことにより、支持台7が操作や作業の妨げになることを防止でき、またユーザ認証機能を付加する状態では、支持台7を回動させて操作パネル6の横に配置しておくことができる。さらに生体情報読取装置8を支持台7に固定しておけば、支持台7を折りたたんだ状態のままであってもユーザ認証が行えるので、画像形成装置1の多様な使用形態を提供することができる。
【0092】
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではなく、本発明には種々の変形例が適用可能である。
【0093】
例えば、上述した各実施形態では、画像形成装置が、いわゆる複合機やMFPなどと呼ばれる複数の機能を備えた装置である場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばコピー専用機、FAX専用機、プリンタ専用機又はスキャナ専用機などの単機能機であっても良い。
【0094】
また上記第4の実施の形態で説明した支持台7の折りたたみ可能な機構(すなわち回動軸R5周りに180°以上回動する機構)を、第3の実施の形態で説明した第3回動機構40に適用し、第3の実施の形態における支持台7を操作パネル6に対して折りたたみ可能な構成とすることもできる。この場合、画像形成装置1を使用する際の使用態様がより多様なものとなり、操作性が著しく向上する。
【0095】
また上述した各実施形態では、生体情報読取装置8がユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置である場合を例示したが、これに限定されるものでもない。生体情報読取装置には静脈パターン読取装置の他、指紋読取装置など、静脈パターン以外の生体情報を読み取る装置もあるため、そのような他の装置を採用しても良い。ただし、静脈パターン読取装置は、上述したようにユーザに与える心理的抵抗感は少なく、また偽造が極めて困難であるという利点を有しているため、画像形成装置を利用しやすいものとし、かつ、より信頼性の高いセキュリティを求める場合には、生体情報読取装置8として静脈パターン読取装置を採用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の外観構成の一例を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態における装置本体の前面側に設けられた操作パネルなどの構成を抽出拡大した図である
【図3】操作パネルのパネル面に対向する側から操作パネルおよび支持台を観た図である。
【図4】支持台を操作パネルに対して回動可能とする第1回動機構の詳細な構成の一例を示す図である。
【図5】画像形成装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態において装置本体の前面側に設けられる操作パネルなどの構成を抽出拡大した図である。
【図7】操作パネルを装置本体に対して回動可能とする第2回動機構の詳細な構成の一例を示す図である。
【図8】第3の実施の形態において装置本体の前面側に設けられる操作パネルなどの構成を抽出拡大した図である。
【図9】図8から支持台を取り外した状態を示す図である。
【図10】第3の実施の形態における支持台の断面を示す図である。
【図11】第3の実施の形態において生体情報読取装置に対してユーザの指を置いた状態の一例を示す図である。
【図12】第4の実施の形態において装置本体の前面側に設けられる操作パネルなどの構成を抽出拡大した図である。
【図13】第4の実施の形態において装置本体の前面側に設けられる操作パネルなどの構成を抽出拡大した図であり、支持台を操作パネルの裏面側に折りたたんだ状態を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
2 装置本体
5 画像処理ユニット
6 操作パネル
7 支持台
8 生体情報読取装置(生体情報読取手段)
8b ケーブル
10 CPU(制御手段)
20 第1回動機構
20a,20b 保持手段
30 第2回動機構
30a,30b 保持手段
40 第3回動機構
71 固定具(固定手段)
72 規制部材(規制手段)
R1,R2,R3,R4,R5 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体と、
前記装置本体に取り付けられる操作パネルと、
前記操作パネルに対して取り付けられ、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取手段と、
前記生体情報読取手段から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に前記画像処理ユニットに関する各種機能の実行を許可する制御手段と、
を備え、
前記生体情報読取手段は所定の軸周りに回動可能に取り付けられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記生体情報読取手段は、前記操作パネルに対して上下方向及び/又は左右方向に回動可能に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上下方向及び/又は左右方向に回動する第1の回動機構を介して前記操作パネルに取り付けられた支持台を更に備え、
前記生体情報読取手段は、前記支持台に配置されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の回動機構には、予め定められた回動位置で回動を停止させ、前記支持台の姿勢を保持する保持手段が設けられることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記生体情報読取手段は、ユーザの手の指から生体情報を読み取るように構成され、
前記支持台は、前記生体情報読取手段がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持台は、前記生体情報読取手段の周囲に設けた規制手段を備えており、
前記生体情報読取手段は、前記規制手段によって規定される範囲内で移動可能であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記生体情報読取手段には、読み取った生体情報を出力するケーブルが接続され、
前記支持台は、前記生体情報読取手段から延びる前記ケーブルを所定長さの位置で固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作パネルは、上下方向及び/又は左右方向に回動する第2の回動機構を介して前記装置本体に取り付けられることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2の回動機構には、予め定められた回動位置で回動を停止させ、前記操作パネルの姿勢を保持する保持手段が設けられることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記支持台は、前記操作パネルに対して折りたたみ可能であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記生体情報読取手段は、ユーザの手の指の静脈パターンを読み取る静脈パターン読取装置であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−192860(P2009−192860A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34035(P2008−34035)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】