画像形成装置
【課題】記録媒体Sに画像を形成する画像形成装置100において、操作性を向上させて、使用者が簡単にカートリッジを交換できるようにする。
【解決手段】カートリッジを収納する引出しトレイ61を備える画像形成装置において、ドア31の開閉に連動して動作するスライド部材71を備え、ドア開時にはスライド部材71の前進移動によりトレイ61を装置本体の内側位置から外側に一部飛び出させる。ドア閉時にはスライド部材71の後進移動によりトレイ61を装置本体の内側位置へ移動させる。ドア31の開閉動に連動してトレイ61が動作するため、トレイ61の操作性が向上し、カートリッジの交換作業性が向上する。
【解決手段】カートリッジを収納する引出しトレイ61を備える画像形成装置において、ドア31の開閉に連動して動作するスライド部材71を備え、ドア開時にはスライド部材71の前進移動によりトレイ61を装置本体の内側位置から外側に一部飛び出させる。ドア閉時にはスライド部材71の後進移動によりトレイ61を装置本体の内側位置へ移動させる。ドア31の開閉動に連動してトレイ61が動作するため、トレイ61の操作性が向上し、カートリッジの交換作業性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジを着脱可能であって、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで、画像形成装置には、例えば、電子写真方式・静電記録方式・磁気記録方式等の複写機、プリンタ(例えばレーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、フアクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0003】
また、カートリッジは、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有し、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なものである。装置本体はカートリッジ及びカートリッジを支持する移動部材を除いた画像形成装置部分である。
【0004】
カートリッジは、使用者自身によって装置本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0005】
像担持体は、現像剤で現像される潜像(静電荷潜像、電位潜像、抵抗潜像、磁気潜像等)が形成される部材である。例えば、電子写真プロセスにおける電子写真感光体(光導電体)、静電記録プロセスにおける静電記録誘電体、磁気記録プロセスにおける磁気記録磁性体などが挙げられる。
【背景技術】
【0006】
画像形成装置の装置本体に対するカートリッジの交換方式として、特許文献1のように引出しトレイに複数のカートリッジを収納し、引出しトレイを前方に引出した状態でカートリッジを交換する構成のものが知られている。
【特許文献1】特開2007−121983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような画像形成装置の場合、カートリッジの交換作業は、ドアを開け、引出しトレイのロックを解除後に引出しトレイを引出し、カートリッジの交換を行う。
【0008】
しかしながら、使用者が引出しトレイを引出す際、ロック機構が存在することを知らなかったり、ロックの解除方法を知らないと、引出しトレイを引出せず、カートリッジの交換ができない。
【0009】
本発明は、上記の従来技術に鑑みて提案されたもので、より操作性を向上させて、使用者が簡単にカートリッジを交換できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記移動部材が前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材に支持されている前記カートリッジの一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になることを特徴とする
また、上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の他の代表的な構成は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、前記移動部材の移動方向と同じ方向に移動可能なスライド部材であって、前記開閉部材と連結部材を介して連結されていて前記開閉部材の開動作に伴って前記引出し位置へ向かう方向に移動し、前記開閉部材の閉動作に伴って前記内側位置へ向かう方向に移動するスライド部材と、前記スライド部材と前記移動部材とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材と、を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になっている前記移動部材が前記スライド部材と共に前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材の一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になり、前記開閉部材の閉動作を行うときには、前記スライド部材に対して連結が解除されている状態の前記移動部材が前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になるまで前記開閉部材が閉まらないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カートリッジの交換作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[実施例1]
(画像形成装置の全体的な概略構成)
図1は本実施例のカラー電子写真画像形成装置100の外観斜視図、図2は同装置の概略の縦断右側面図である。この画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザープリンタである。プリンタは、パソコン・イメージリーダ・相手方ファクシミリ装置等の外部ホスト装置(不図示)から入力する電気的画像信号に基いて記録媒体(例えば、用紙、OHPシート、ラベル等)に対する画像形成を実行する。
【0013】
以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側又は正面側とは装置本体Aの開口部30に対する開閉部材であるドア31を配設した側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、装置本体Aの後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは装置本体Aを前側から見て左または右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。
【0014】
画像形成装置100の装置本体Aの内側には、後側から前側にかけて、第1から第4の4つのプロセスカートリッジPY・PM・PC・PKが水平方向(横方向)に並べられて配設されている(インライン構成、タンデム型)。各プロセスカートリッジ(以下、カートリッジと記す)は、収容させた現像剤(トナー)の色が異なるだけで、互いに同様の構成のものである。本実施例の各カートリッジは、それぞれ、潜像が形成される像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)1を有する。また、ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電手段2・現像手段3・クリーニング手段4を有する。そして、それら1・2・3・4がカートリッジ枠体5に一体的に組み付けられている。帯電手段2としては帯電ローラを用いている。現像手段3としては現像ローラ3aを用いている。また、現像剤容器3b内には現像剤(トナー)を収容させてある。クリーニング手段4としてはクリーニングブレード方式を用いている。
【0015】
第1のカートリッジPYは、容器3b内にイエロー色(Y色)の現像剤を収容させてあり、ドラム1面にY色の現像剤像を形成する。第2のカートリッジPMは、容器3bにマゼンタ色(M色)の現像剤を収容させてあり、ドラム1面にM色の現像剤像を形成する。第3のカートリッジPCは、容器3bにシアン色(C色)の現像剤を収容させてあり、ドラム1面にC色の現像剤像を形成する。第4のカートリッジPKは、容器3bにブラック色(K色)のトナーを収容させてあり、ドラム1面にK色の現像剤像を形成する。
【0016】
カートリッジPY・PM・PC・PKの上方部には、レーザースキャナユニット11が配設されている。このユニット11は、外部ホスト装置から入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザー光Lを出力する。そして、レーザー光Lは、カートリッジ枠体5の上面に設けた露光窓6を通過して、各カートリッジのドラム面を走査露光する。
【0017】
カートリッジPY・PM・PC・PKの下方部には、中間転写ベルトユニット12が配設されている。このユニット12は、可撓性を有するエンドレスベルト13と、このベルト13を懸回張設して循環移動させる駆動ローラ14・ターンローラ15・テンションローラ16と、を有する。駆動ローラ14とテンションローラ16は装置本体A内の後側に配設してある。ターンローラ15は装置本体A内の前側に配設してある。各カートリッジの有するドラム1は、その下面が、ベルト13の上行側ベルト部分の上面に接している。ベルト13の内側には、上行側ベルト部分を介して各カートリッジのドラム1に対向させて4個の一次転写ローラ17が配設されている。駆動ローラ14には、ベルト13を介して二次転写ローラ22が当接している。
【0018】
ベルトユニット12の下方部には、給送ユニット18が配設されている。このユニット18は、トレイ19、給出ローラ20、分離パッド21等を有する。トレイ19は装置本体Aの前側から出し入れ自由である(フロントローデング)。
【0019】
装置本体A内の後側の上部には、定着装置23と、排紙ローラ対24が配設されている。装置本体Aの上面は排出トレイ25にされている。定着装置23は定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bを有するものを用いている。排出ローラ対24はローラ24aとコロ24bである。
【0020】
装置本体A内の装着位置に装着されている状態にある各カートリッジは、押圧部材(不図示)により押圧されて所定の位置決め部に固定された状態に保持されている。また、そのカートリッジの駆動入力部(不図示)に対して装置本体A側の駆動出力部(不図示)が結合している。また、そのカートリッジの電気接点(不図示)に対して装置本体A側の給電系統(不図示)が導通化している。
【0021】
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1乃至第4の各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1が矢印の反時計方向に所定の制御速度で回転駆動される。ベルト13も矢印の時計方向(ドラム回転に順方向)にドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。スキャナユニット11も駆動される。この駆動に同期して、各カートリッジにおいてそれぞれ所定の制御タイミングで帯電ローラ2がドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。スキャナユニット11は各ドラム1の表面を各色の画像信号に応じて変調されたレーザー光Lで走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像ローラ3aにより現像剤像として現像される。
【0022】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYのドラム1にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するY色現像剤像が形成される。そして、その現像剤像がベルト13上に一次転写される。
【0023】
第2のカートリッジPMのドラム1にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するM色の現像剤像が形成される。その現像剤像が、ベルト13上にすでに転写されているY色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0024】
第3のカートリッジPCのドラム1にはフルカラー画像のシアン成分に対応するC色の現像剤像が形成され、その現像剤像が、ベルト13上にすでに転写されているY色+M色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0025】
第4のカートリッジPCのドラム1にはフルカラー画像のブラック成分に対応するK色の現像剤像が形成される。そして、その現像剤像が、ベルト13上にすでに転写されているY色+M色+C色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0026】
かくして、ベルト13上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着現像剤像が合成形成される。
【0027】
各カートリッジにおいて、ベルト13に対する現像剤像の一次転写後のドラム1面に残留した転写残現像剤はクリーニング手段4により除去される。
【0028】
一方、所定の制御タイミングで給出ローラ20が駆動される。これにより、ローラ20と分離パッド21との協働で、トレイ19上に積載されている記録媒体である用紙Sが1枚分離給送される。そして、用紙Sは、二次転写ローラ22とベルト13とのニップ部(二次転写ニップ部)に導入される。これにより、用紙Sが該ニップ部を挟持搬送されていく過程でベルト13上の4色重畳の現像剤像が用紙Sの面に順次に一括転写される。
【0029】
用紙Sはベルト13の面から分離されて定着装置23へ導入され、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色現像剤像の混色及び用紙への定着がなされる。そして用紙Sは、定着装置23を出て、フルカラー画像形成物として排出ローラ対24でトレイ25上に排出される。
【0030】
用紙分離後のベルト13の表面に残留した二次転写残現像剤は、本実施例の場合は、例えば第1のプロセスカートリッジPYの一次転写部においてドラム1の表面に静電的に付着し、クリーニング手段4にて除去される。
【0031】
(カートリッジ交換方式)
第1乃至第4の各カートリッジPY・PM・PC・PKは、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、現像手段3に収容されている現像剤(トナー)が消費される。そこで、例えば、個々のカートリッジの現像剤残量を検知する手段(不図示)を具備させて、制御回路部101において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったカートリッジについては、表示部(不図示)に、そのカートリッジについての寿命予告あるいは寿命警告を表示させる。これにより使用者に、交換用のカートリッジの準備を促す、あるいはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持するようにしている。
【0032】
本実施例の画像形成装置100において、カートリッジの交換は、ユーザビリティ向上のために、カートリッジを移動部材としての枠型部材である引出しトレイ61に乗せ、フロントアクセスにより交換する方式である。以下、これについて詳述する。
【0033】
装置本体Aの前面側には、装置本体A内へカートリッジを挿入させる、及び、装置本体Aからカートリッジを取り出すために、カートリッジを通過させる開口部30が設けられている。そして、この開口部30を閉じる閉鎖位置と、開口部30を開放する開放位置と、の間を移動可能な開閉部材としてのドア31が設けられている。本実施例においては、このドア31は、ドア下辺側の横軸(ヒンジ軸)32を中心に装置本体Aに対して開閉回動可能である。すなわち、ドア31は、ヒンジ軸32を中心に立て起こし方向に回動して(閉動作)、図1・図2のように、装置本体Aの開口部30に対して閉じ込んだ状態にすることができる。このドア31の閉じにより開口部30が閉鎖される。また、ヒンジ軸32を中心に装置本体Aの手前側に倒し回動して(開動作)、図1の2点鎖線示のように、装置本体Aから開いた状態にすることができる。これにより、装置本体前面の開口部30が大きく開放される。31aはドア31に設けた指掛け部(把持部)である。
【0034】
装置本体Aの骨格となるメインフレームの左右フレーム102L・102Rの各内側には、図3のように、左右対称に対向させて、前後方向を長手とする上下並行2条の左ガイドレール41L・42Lと右ガイドレール41R・42Rが配設されている。なお、図3には、左ガイドレール41L・42Lを配設した左フレーム102L、及び右ガイドレール41R・42Rを配設した右フレーム102Rは省略してある。
【0035】
左ガイドレール上41Lと右ガイドレール上41Rの先端部は、それぞれ、前方に上がる斜め下向きの傾斜面部aにされている。左ガイドレール下42Lと右ガイドレール下42Rの先端部は、それぞれ、上向きに鉤型に折り曲げてフック形状部bにされている。左ガイドレール下42Lと右ガイドレール下42Rの後端部は、それぞれ、後方に下がる斜め上向きの傾斜面部cにされている。また、左ガイドレール下42Lと右ガイドレール下42Rの後端部側には、それぞれ、該ガイドレールに一連一体に、前後方向を長手とする第2のガイドレール(スライド部材用ガイドレール)43L・43Rが配設されている。
【0036】
図4は、移動部材である引出しトレイ(以下、トレイと記す)61とスライド部材71の斜視図である。図5は、トレイ61が左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に保持され、スライド部材71が左右の第2のガイドレール43L・43R間に保持されている状態の斜視図である。図6は図5の部分的な拡大図である。
【0037】
トレイ61の左枠61cと右枠61dの外面側には、それぞれ、左右対称に第1乃至第4の4つのコロ62L・63L・64L・65L、62R・63R・64R・65Rが配設されている。第1のコロ62L・62Rと第2のコロ63L・63Rは、それぞれ、トレイ61の左枠61cと右枠61dの先端側において上下に間隔をおいて配設されている。また、第3のコロ64L・64Rと第4のコロ65L・65Rは、それぞれ、トレイ61の左枠61cと右枠61dの後端側において前後に間隔をおいて配設されている。左側のコロ62L・63L・64L・65Lは左ガイドレール41L・42Lに対して係合する。右側のコロ62R・63R・64R・65Rは右ガイドレール41R・42Rに対して係合する。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間において前後方向に水平にスライド移動可能に保持される。
【0038】
また、スライド部材71の左側面の外面と右側面外面には、それぞれ、左右対称に第5と第6の2つのコロ72L・73L、72R・73Rが配設されている。第6のコロ73L・73Rは第5のコロ72L・72Rよりも後方で、かつ少し下方に位置している。左側のコロ72L・73Lは、それぞれ、第2のガイドレール左43Lの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。また、右側のコロ72R・73Rは、それぞれ、第2のガイドレール右43Rの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。これにより、スライド部材71は、左右の第2のガイドレール43L・43間において前後方向に水平にスライド移動可能に保持される。
【0039】
スライド部材71はトレイ61の後側に配設されている。そして、スライド部材71とドア31は、図7のように、左右側において連結部材としてのワイヤー81L・81Rで連結されている。84L・84Rはワイヤー81L・81Rとドア31との係止部である。また、スライド部材71は左右側において、ワイヤー82L・82Rを介してダンパーバネ(バネ部材)83L・83Rに連結されている。90はワイヤー81L・81R、82L・82Rの懸け回しガイドプリーである。
【0040】
スライド部材71には、トレイ61を結合するためのストッパ部材74(図2)が備えられている。ストッパ部材74はバネ75により常時押し上げ付勢されていて、上端部が弾性的に突出している。トレイ61の後枠61bには上記ストッパ部材74の上端部が嵌係合する下向きの凹部61f(図9)が配設されている。そして、ストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合により、スライド部材71に対してトレイ61が結合状態に保持される(図2)。本実施例においては、上記のストッパ部材74と凹部61fが、スライド部材71とトレイ61とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材である。
【0041】
図1・図2のように、ドア31が装置本体Aの開口部30に対して閉じられている状態においては、スライド部材71はダンパーバネ83L・83Rの縮み力によりワイヤー82L・82Rを介して後方に引かれて、図2の最後退位置において停止している。スライド部材71の最後退位置は、図6、図10の(a)のように、第6のコロ左73Lが第2のガイドレール左43Lの下段側のレールeの後部壁fに当たって受け止められている状態の位置である。また、第6のコロ右73Lが第2のガイドレール右43Rの下段側のレールeの後部壁fに当たって受け止められている状態の位置である。
【0042】
そして、トレイ61はストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によりスライド部材71に対して連結されている状態にあり、スライド部材71の最後退位置に対応した内側位置(画像形成位置、転写接触位置)に位置している。
【0043】
トレイ61が内側位置に位置している状態においては、第1のコロ62L・62Rが、図10の(a)のように、ガイドレール上41L・41Rの上面g側においてレール先端部に載っている。また、第3のコロ64L・64Rが、ガイドレール下42L・42Rの後端部の斜め上向きの傾斜面部cと第2のガイドレール43L・43Rの上面hとの会合部に位置していて第2のガイドレール43L・43Rの上面hに乗っている。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に水平姿勢で保持されている。第2のコロ63L・63Rは、ガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aに当接して位置している。これにより、トレイ61のそれ以上の後方移動が規制されて位置決めされる。第4のコロ65L・65Rは、ガイドレール上41L・41Rとの下面iと第2のガイドレール43L・43Rの上面hとの間に位置している。
【0044】
トレイ61が内側位置に位置している状態においては、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に接触している。そして、トレイ61が内側位置に位置していて、ドア31が閉じられている状態においては、各カートリッジPY・PM・PC・PKは、押圧部材(不図示)により押圧されて装置本体A側の所定の位置決め部に固定された装着位置に保持されている。これにより、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に対して所定に安定に接触している。また、そのカートリッジの駆動入力部(不図示)に対して装置本体側の駆動出力部(不図示)が結合している。また、そのカートリッジの電気接点(不図示)に対して装置本体側の給電系統(不図示)が導通化している。この状態において、画像形成装置は画像形成動作が可能である。
【0045】
上記の状態からのトレイ61の引出しとカートリッジの交換は次のようにしてなされる。
【0046】
1)閉じられているドア31を、図1の2点鎖線示、図8のように、横軸32を中心に回動終点まで十分に開き回動する。このドア31の開動作における初期回動に連動する連動機構(不図示)の動作により、各カートリッジPY・PM・PC・PKの駆動入力部に対する装置本体A側の駆動出力部の結合が解除された状態になる(駆動解除)。また、各カートリッジを位置決め固定している押圧部材の押圧が解除される(押圧解除)。また、各カートリッジの電気接点に対する装置本体側の給電系統の導通が解除される(給電解除)。
【0047】
2)ドア31の更なる開き回動によりワイヤー81L・81Rが引かれる。これにより、最後退位置にあるスライド部材71がワイヤー82L・82Rを介してダンパーバネ83L・83Rを引き伸ばしながら、第2のガイドレール43L・43Rに沿って前方へ移動する。これに伴って、係脱部材74・61fによりスライド部材71に対して連結状態になっているトレイ61もスライド部材71に押されてスライド部材71と一緒に前方へ移動する。
【0048】
3)トレイ61の前方移動の初期において、第3のコロ64L・64Rが、図10の(b)のように、ガイドレール下42L・42Rの後端部の斜め上向きの傾斜面部cを登ってガイドレール下42L・42Rの上面jに乗り上がる。また、第4のコロ65L・65Rが、ガイドレール上41L・41Rの下面iに接触する。第1のコロ62L・62Rは、ガイドレール上41L・41Rの上面gのレール先端部から前方に離れる。第2のコロ63L・63Rは、ガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aから前方に離れる。
【0049】
この状態においては、第3のコロ64L・64Rがガイドレール下42L・42Rの上面jに接触しており、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの下面iに接触している。これにより、第1のコロ62L・62Rがガイドレール上41L・41Rの上面gのレール先端部から前方に離れても、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に水平に保持される。また、トレイ61は、第2のガイドレール43L・43Rの上面hの高さレベルからガイドレール下42L・42Rの上面jの高さレベルに上昇動する。このトレイ61の上昇動により、トレイ61に保持されている各カートリッジPY・PM・PC・PKも一緒に上昇動して、各カートリッジPY・PM・PC・PK1のドラム1がベルト1から浮き上がって離間する。
【0050】
ここで、係脱部材であるストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によるスライド部材71に対するトレイ61の連結状態(結合状態)は、トレイ61が上記のように上昇動してもストッパ部材74の追随的な上昇動作により保持される。
【0051】
4)更に引き続くドア31の開き回動に伴うワイヤー81L・81Rの引っ張りにより、スライド部材71が第2のガイドレール43L・43Rに沿って前方移動する。これにより、トレイ61もそのスライド部材71に押されてガイドレール41L・42L、41R・41Lに沿って水平姿勢が保持されながら更に前方へ移動する。この移動時には、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1とベルト13とは離間しているので両者間での擦れは生じない。
【0052】
5)ドア31が回動終点まで十分に開かれると、スライド部材71は最前進位置に至る。スライド部材71の最前進位置は、図10の(c)のように、第5のコロ左72Lが第2のガイドレール左43Lの上段側のレールdの前部壁kに当たって受け止められている状態の位置である。また、第5のコロ右72Rが第2のガイドレール右43Rの上段側のレールdの前部壁kに当たって受け止められている状態の位置である。
【0053】
そして、ドア31が回動終点まで十分に開かれて、スライド部材71が最前進位置に移動した状態において、トレイ61は、図8のように、前枠61a側が装置本体Aの開放状態の開口部30から外側に突出した状態になる。即ち、トレイ61の一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。
【0054】
ここで、ドア31が回動終点まで十分に開かれている状態においては、ドア31のヒンジ軸32を中心とする開き方向への、ドア自重による回動モーメントの方が、ダンパーバネ83L・83Rによるスライド部材引き戻し力よりも大きい力関係にしてある。これにより、開いたドア31から手を離してもドア31の開き状態が安定に保持される。
【0055】
そこで、図8の状態において、トレイ61の前枠61aの前面に設けられている把持部68を持って、トレイ61を前方へ引出す方向へ力をかける。そうすると、スライド部材71側のストッパ部材74が、トレイ61側の凹部61fの斜面部に押されてバネ75による押し上げ付勢力に抗して下降動して凹部61fから外れる。即ち、トレイ61のスライド部材71に対する連結が解除された状態になる。ストッパ部材74は凹部61fから外れると、バネ75による押し上げ付勢力により上方に押し上げられた状態に復帰した状態になる。
【0056】
6)更にトレイ61を前方へ引出すと、スライド部材71の左右側に左右対称に対向させて配設されているロック機構76L・76R(図4・図5・図6)が動作して、最前進位置に位置しているスライド部材71が装置本体Aに対して固定(ロック)される。
【0057】
このロック機構76L・76Rの構成・動作を図11により説明する。図11は左側のロック機構76Lを示すものであるが、右側のロック機構76Rも同様な構成・動作である。ロック機構76(76R)は、バネ77により前方に移動付勢されているロッド部材78と、このロッド部材78の後退動と前進動に伴って上下移動するロック部材79と、を有する。ロッド部材78は、トレイ61がストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によりスライド部材71に対して結合にされている状態においては図11の(a)の位置に保持されている。即ち、ロッド部材78の前端部がトレイ61の後枠61bの外面により押されてバネ77を押し縮めた状態で後退位置に移動している。ロッド部材78が後退位置に移動しているときには、ストッパ部材74はロッド部材78の斜面カム78aの上位部に位置して保持されている。これにより、ストッパ部材74はロック機構76Rの内側に上昇移動された非ロック状態に保持されている。
【0058】
このように、スライド部材71が最前進位置に移動した状態において、トレイ61が前方へ引き出されることで、ストッパ部材74と凹部61fの嵌係合が外れてトレイ61のスライド部材71に対する結合状態が解除され、トレイ61が前方へ移動する。そうすると、トレイ61の後枠61bの外面によるロック部材79の押え込みが解除されて、ロック部材79が、図11の(b)のように、バネ77の突っ張り力により前進位置に移動した状態になる。ロッド部材78が前進位置に移動すると、ストッパ部材74はロッド部材78の斜面カム78aの下位部に位置して保持された状態になる。これにより、ストッパ部材74はロック機構76Rの内側から外側に下降移動して、ストッパ部材74の下端部が装置本体A側のステイ部材103の穴103aに進入して嵌係合する。即ち、スライド部材71が最前進位置(図8・図9)において装置本体Aに対して固定(ロック)される。
【0059】
7)トレイ61を更に前方へ引出し位置まで十分に引出し移動すると、図10の(d)のように、第3のコロ64L・64Rがガイドレール下42L・42Rの先端部のフック形状部bに至り、このフック形状部bに当接して移動止めされる。更に、トレイ61が、フック形状部bで移動止めされている第3のコロ64L・64Rを中心に自重により少し下方に回動する。この回動により、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aに当接する。また、トレイ61の左枠61cと右枠61dの後端部に、それぞれ、第4のコロ65L・65Rよりも後方の位置において配設されている突片66L・66Rがガイドレール上41L・41Rの下面iに当接する。これにより、把持部68から手を放してもトレイ61の装置本体Aからの引出し位置状態が安定に保持される。図9はトレイ61が引出し位置に引き出されている状態を示している。また、この状態のとき、ドア31を閉じようとすると、ドア31がトレイ61の凸部67に干渉して、ドア31は閉じることができない。
【0060】
8)トレイ61は、複数個のカートリッジPY・PM・PC・PKを、図8の位置から図9の引出し位置まで移動される間において移動方向下流側のカートリッジから順次に取り外し可能に支持する。そして、図9の引出し位置において複数個のカートリッジPY・PM・PC・PKの全てが取り外し可能となる。即ち、トレイ61に保持されている第1乃至第4の4つカートリッジPY・PM・PC・PKの全体が開口部30を通過して装置本体Aの外側に露出し、全てのカートリッジPY・PM・PC・PKの上面が開放される。
【0061】
トレイ61は、個々のカートリッジを上方に取り出し可能に支持している。また、トレイ61は、個々のカートリッジを下方に向かって移動させることによって支持する。そこで、交換すべき使用済みのカートリッジを、図9の2点鎖線示のように、トレイ61から上方に持ち上げて抜き外す。そして、新しいカートリッジをトレイ61に対して上から嵌め入れて乗せる。即ち、トレイ61が水平方向に移動し、図9の引出し位置において、トレイ61は、カートリッジを上方に取り出し可能に支持されており、及び、カートリッジを下方に向かって移動させることによって支持する様に構成している。これにより、カートリッジをトレイ61へ挿入させる操作性を向上させた画像形成装置を提供する事ができる。
【0062】
9)トレイ61に保持されているカートリッジのうち交換すべきカートリッジについて交換したら、図9の引出し状態のトレイ61の把持部68を持って、トレイ61を装置本体A内に押し移動する。そうすると、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aを下方側に移動してガイドレール上41L・41Rの下面iに移行する。これにより、トレイ61がフック形状部bで移動止めされている第3のコロ64L・64Rを中心に上方に回動してガイドレール41L・42L、41R・42Rと並行な水平姿勢になる。また、トレイ61が水平姿勢になることで、ガイドレール上41L・41Rの下面iに対する突片66L・66Rの当接が解除される。この状態において、第3のコロ64L・64Rがガイドレール下42L・42Rの上面jに接触しており、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの下面iに接触している。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に水平に保持されて、ガイドレール41L・42L、41R・42Rに沿って移動可能となる。
【0063】
10)そこで、水平姿勢のトレイ61をガイドレール41L・42L、41R・42Rに沿って装置本体A内に押し込んでいく。このトレイ35の押し込み移動時も、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1とベルト13とは離隔しているので両者間での擦れは生じない。
【0064】
トレイ61を更に押し込んでいくと、トレイ61は、最前進位置に位置していてロック機構76L・76Rにより装置本体Aに対して固定されるスライド部材71の位置に至る。そして、トレイ61の後枠61bの外面がロック機構76L・76Rのロッド部材78をバネ77の突っ張り力に抗して押圧して後退位置に移動させる。これにより、ストッパ部材74はロック機構76Rの内側に上昇移動して下端部が装置本体A側のステイ部材103の穴103aから抜け出る。即ち、スライド部材71の最前進位置における装置本体Aに対する固定が解除される。また、この固定解除とほぼ同時的に、スライド部材71側のストッパ部材74が、トレイ61側の凹部61fの斜面部に押されてバネ75による押し上げ付勢力に抗して下降動する。更にトレイ61を押し込むと、ストッパ部材74と凹部61fが嵌係合して、トレイ61がスライド部材71に対して結合した状態になる。ストッパ部材74はバネ75により上方に付勢されている。即ち、トレイ61は図8の状態になる。
【0065】
11)次に、図8の状態からドア31を閉じ回動する。このドア31の閉じ回動に伴って、図7の(b)のように引き伸ばし状態のダンパーバネ83L・83Rの収縮力により、スライド部材71がワイヤー82L・82Rを介して戻し移動される。即ち、スライド部材71が最前進位置から最後退位置に引き戻し移動される。そして、ストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によりスライド部材71に対して結合されているトレイ61もこのスライド部材71と一緒に引き戻し移動される。
【0066】
そして、ドア31が完全に閉じ込まれる前時点において、第3のコロ64L・64Rが、図10の(a)のように、ガイドレール下42L・42Rの後端部の斜め上向きの傾斜面部cを下る。即ち、第3のコロ64L・64Rが、ガイドレール下42L・42Rの後端部の傾斜面部cと第2のガイドレール43L・43の上面hとの会合部に位置していて第2のガイドレール43L・43の上面hに乗る。また、第1のコロ62L・62Rが、ガイドレール上41L・41Rの上面gのレール先端部に載る。第2のコロ63L・63Rは、ガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aに当接して位置する。第4のコロ65L・65Rは、ガイドレール上41L・41Rとの下面iと第2のガイドレール43L・43Rの上面hとの間に位置する。この状態において、トレイ61はストッパ部材74と凹部61fとの結合によりスライド部材71に対して連結されている状態にあり、スライド部材71の最後退位置に対応した内側位置に位置する。即ち、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に対して接触した状態になる。
【0067】
12)そして、ドア31の閉動作における終期回動に連動する連動機構(不図示)の動作により、各カートリッジPY・PM・PC・PKが、押圧部材(不図示)により押圧されて装置本体A側の所定の位置決め部に固定された状態に保持される。これにより、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に対して所定に安定に接触している。また、そのカートリッジの駆動入力部(不図示)に対して装置本体側の駆動出力部(不図示)が結合する。また、そのカートリッジの電気接点(不図示)に対して装置本体側の給電系統(不図示)が導通化する。そして、ドア31を十分に閉じ込んだ状態において、画像形成装置は画像形成動作が可能な状態になる。
【0068】
ダンパーバネ83L・83Rはダンパーバネ力によってスライド部材71及びトレイ61を内側位置へ引き込む作用をすると共に、ドア31の開動作・閉動作を滑らかにする。
【0069】
以上のように本実施例によればドア31を開き状態にすることにより、トレイ61の一部を装置本体Aの開口部30から飛び出させ、使用者にトレイ61の存在を認識しやすくする。
【0070】
また、トレイ61を装置本体Aに収納する場合は、ドア31の閉じ動作のみでトレイ61を画像形成(プリント)可能状態にセットすることが可能になる。
【0071】
トレイ61をストッパ部材74と係合しない場所で停止させ、ドア31を閉めようとした場合、スライド部材71はロック部材74と本体本体側の穴103aで固定されているため、図8の位置までトレイ61が移動しないと動かない。
【0072】
ここで、上記実施例の画像形成装置100の構成をまとめると次のとおりである。
【0073】
記録媒体Sに画像を形成する画像形成装置である。画像形成装置の装置本体Aに設けられた開口部30を有する。この開口部を閉じる閉鎖位置と、開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材31を有する。潜像が形成される像担持体1又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段3の少なくとも1つを有するカートリッジPを支持する移動部材61を有する。この移動部材61は、開口部30を通過して装置本体Aから外側へ引出されてカートリッジを装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、カートリッジを装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な部材である。そして、開閉部材31の開動作を行うと、移動部材が61の引出し位置へ向かう方向に移動して移動部材61に支持されているカートリッジの一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。
【0074】
移動部材61を、前記露出した状態から前記内側位置の方へ移動させた後に、開閉部材31の閉動作が可能となる。
【0075】
また、記録媒体Sに画像を形成する画像形成装置である。画像形成装置の装置本体Aに設けられた開口部30を有する。この開口部を閉じる閉鎖位置と、開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材31を有する。潜像が形成される像担持体1又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段3の少なくとも1つを有するカートリッジPを支持する移動部材61を有する。この移動部材61は、開口部30を通過して装置本体Aから外側へ引出されてカートリッジを装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、カートリッジを装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な部材である。また、移動部材61の移動方向と同じ方向に移動可能なスライド部材71を有する。このスライド部材71は、開閉部材31と連結部材81を介して連結されていて開閉部材の開動作に伴って引出し位置へ向かう方向に移動し、開閉部材の閉動作に伴って内側位置へ向かう方向に移動する。また、スライド部材71と移動部材61とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材74・61fを有する。そして、開閉部材31の開動作を行うと、係脱部材74・61fによりスライド部材71に対して連結した状態になっている移動部材61がスライド部材と共に引出し位置へ向かう方向に移動する。これにより、移動部材61の一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。また、開閉部材31の閉動作を行うときには、スライド部材71に対して連結が解除されている状態の移動部材61が係脱部材74・61fによりスライド部材71に対して連結した状態になるまで開閉部材31が閉まらない。また、スライド部材71を内側位置へ向かう方向に移動付勢するバネ部材83を備えている。移動部材61は、カートリッジの有する像担持体1又は現像手段3の長手方向と交差する方向へ移動可能である。移動部材61は、その移動方向において、複数のカートリッジPY・PM・PC・PKを並べて支持可能である。移動部材61は、複数のカートリッジPY・PM・PC・PKを、内側位置から引出し位置まで移動される間において移動方向下流側のカートリッジから順次に取り外し可能に支持すると共に、引出し位置において複数のカートリッジの全てが取り外し可能となる。移動部材61は、カートリッジを引出し位置において上方に取り出し可能に支持する、及び、カートリッジを下方に向かって移動させることによって支持する。
【0076】
[実施例2]
次に、第2の実施例について図12乃至図15を用いて説明する。なお、上述した実施例1の装置と共通する構成部材・部分には共通の符号を付して再度の説明を省略する。
【0077】
本実施例の画像形成装置100は、スライド部材71と移動部材であるトレイ61は自由状態においては自重力によって内側位置へ向かって斜め下方向に移動するように配設されている。即ち、本実施例の画像形成装置100は、実施例1の画像形成装置100との対比において、ベルト13の上行側部分を水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させた形態にしてベルトユニット12が配設されている。これに対応させて、左右のガイドレール41L・42L、41R・42Rも水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させた形態にして配設されている。第2のガイドレール43L・43Rも水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させた形態にして配設されている。
【0078】
トレイ61及び左右のガイドレール41L・42L、41R・42Rの構成は実施例1の画像形成装置100のものと同様である。トレイ61の左側のコロ62L・63L・64L・65Lは左ガイドレール41L・42Lに対して係合する。右側のコロ62R・63R・64R・65Rは右ガイドレール41R・42Rに対して係合する。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間において前後方向にスライド移動可能に保持される。
【0079】
スライド部材71及び左右の第2のガイドレール43L・43Rも実施例1の画像形成装置100のものと同様である。左側のコロ72L・73Lは、それぞれ、第2のガイドレール左43Lの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。また、右側のコロ72R・73Rは、それぞれ、第2のガイドレール右43Rの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。これにより、スライド部材71は、左右の第2のガイドレール43L・43間において前後方向にスライド移動可能に保持される。
【0080】
本実施例においては、上記のように、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R及び第2のガイドレール43L・43Rを水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させてある。これにより、スライド部材71と移動部材であるトレイ61を自由状態においては自重力によって内側位置へ向かって斜め下方向に移動するようにしている。そこで、本実施例においては、スライド部材71を内側位置へ向かう方向に移動付勢するバネ部材であるダンパーバネ83L・83Rは無にしている。また、ロック機構76L・76Rも無にしている。その他の構成は実施例1の画像形成装置100と同様である。
【0081】
図12のように閉じられているドア31を開くと、ワイヤー81L・81Rを介してスライド部材71が引っ張られて最後退位置から前方移動を開始する。トレイ61もスライド部材71に押されて前方移動する。そして、ドア31が回動終点まで十分に開かれて、スライド部材71が最前進位置に移動した状態において、トレイ61は、図13のように、前枠61a側が装置本体Aの開放状態の開口部30から外側に突出した状態になる。即ち、トレイ61の一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。この間におけるトレイ61及びスライド部材71の動作は実施例1の画像形成装置100と同様である。
【0082】
ここで、ドア31が回動終点まで十分に開かれている状態においては、ドア31のヒンジ軸32を中心とする開き方向への、ドア自重による回動モーメントの方が、トレイ61及びスライド部材71の自重による戻り力よりも大きい力関係にしてある。これにより、開いたドア31から手を離してもドア31の開き状態が安定に保持される。
【0083】
図15にドア開動作時のワイヤー81L・81Rとスライド部材71・トレイ61の動作を示す。ドア31とスライド部材71はワイヤー81L・81Rで結合されている。ドア31を図13の位置まで開くとスラスト部材71が移動し、トレイ61の前枠61a側が装置本体Aの開放状態の開口部30から外側に突出した状態になる。即ち、ドア31が開かれることによりトレイ61の前側が装置本体Aの内部から外側に飛び出す。そこで、前枠61aの前面の把手部68を持って、トレイ61を図14のように更に前方へ十分に引出す。このトレイ61の引出し状態は実施例1の画像形成装置100と同様に安定に保持される。この位置で使用者はカートリッジの交換を行う。
【0084】
トレイ61に対するカートリッジの交換をしたら、トレイ61を図14の位置から装置本体A内へ押し込んで行く。この間のトレイ61の動作は実施例1の画像形成装置100と同様である。本実施例においては、装置本体A内へ押し込んだトレイ61は自重により装置本体A内の後端側へ移動し、最前進位置に位置しているスライド部材71のストッパ部材74との当接位置まで移動して、図13の状態になる。
【0085】
次に、ドア31を閉じ回動すると、ワイヤー81L・81Rが緩み、トレイ61の自重によりストッパ部材74を本体後方へ押し込む。そして、ドア31を十分に閉じ回動させることで、図12の状態になり、画像形成装置はプリント可能状態になる。この間のトレイ61及びスライド部材71の動作は実施例1の画像形成装置100と同様である。
【0086】
本実施例2においても、実施例1のようにスライド部材がダンパーバネ83L・83Rと連動してもよいし、スライド部材71にロック機構76L・76Rを備えてもよい。更に、トレイ61はドア31によって図12のプリント位置へ押し込んでもよい。
【0087】
[実施例3]
実施例1及び2ではドア31とスライド部材71との連結部材としてワイヤー81L・81Rを使用していたが、図16・図17に示すようにリンク機構200を使用することもできる。本実施例のリンク機構200において、201は案内コロ202に保持されて前後方向に移動可能な第1部材である。この第1部材202の後端にスライド部材71が連結されている。203は第2部材であり、一端側がドア31に回動自由に連結されている。また、他端側のピン204が第1部材202の先端側に具備させたスリット穴205に係合している。このリンク機構200により、ドア31の開動作・閉動作に連動して、スライド部材71が最前進位置と最後退位置との間を移動する。なお、図16・図17は説明のためにトレイ61及びガイド類を省略している。
【0088】
以上、実施例1乃至3のように、カートリッジを収納する引出しトレイ61を備える画像形成装置において、ドア31の開閉に連動して動作するスライド部材71を備える。そして、ドア開時にはスライド部材71の前進移動によりトレイ61を装置本体Aの内側位置から外側に一部飛び出させる。ドア閉時にはスライド部材71の後進移動によりトレイ61を装置本体の内側位置へ移動させる。即ち、ドア31の開閉動に連動してトレイ61が動作するため、トレイ61の操作性が向上し、カートリッジの交換作業性が向上する。
【0089】
ここで、各実施例においては、カートリッジは、像担持体1と、これに作用するプロセス手段としての帯電手段2・現像手段3・クリーニング手段4とを一体的にカートリッジ化したプロセスカートリッジであるが、このカートリッジに限られるものではない。即ち、カートリッジは、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するものであればよい。前記プロセス手段は、例えば、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つである。像担持体は現像剤で現像される潜像が形成される部材である。実施例のように、電子写真プロセスにおける電子写真感光体の他、静電記録プロセスにおける静電記録誘電体、磁気記録プロセスにおける磁気記録磁性体等が挙げられる。
【0090】
移動部材としてのトレイ61は、実施例においては、その移動方向において、4つのカートリッジ(PY・PM・PC・PK)を並べて支持するものを示したけれども、トレイ35に支持させるカートリッジは1つにした画像形成装置構成であってもよい。また、トレイ35に、2つ或いは3つ、若しくは5つ以上の複数のカートリッジを並べて支持可能である画像形成装置構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例1の画像形成装置の外観斜視図
【図2】同装置の概略の縦断右側面図
【図3】左右のガイドレールの斜視図
【図4】引出しトレイとスライド部材の斜視図
【図5】引出しトレイが左右のガイドレール間に保持され、スライド部材が左右の第2のガイドレール間に保持されている状態の斜視図
【図6】図5の部分的な拡大図
【図7】(a)と(b)はそれぞれドアが閉じられている状態時と開かれている状態時とにおける、ワイヤーとダンパーバネとスライド部材と引出しトレイの状態を示した図
【図8】ドアが十分に開かれている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図9】引出しトレイが更に引出し位置に引出されている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図10】ドアの開き回動及び引出しトレイの引出し位置への移動に伴う、左右のガイドレールに対する第1乃至第6のコロの移動位置を示した図
【図11】ロック機構の動作説明図
【図12】実施例2の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図13】ドアが十分に開かれている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図14】引出しトレイが更に引出し位置に引出されている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図15】(a)と(b)はそれぞれドアが閉じられている状態時と開かれている状態時とにおける、ワイヤーとスライド部材と引出しトレイの状態を示した図
【図16】実施例3の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図17】ドアが十分に開かれている状態時の同装置の概略の縦断右側面図
【符号の説明】
【0092】
100・・画像形成装置、A・・画像形成装置の装置本体、S・・記録媒体、P(PY・PM・PC・PK)・・カートリッジ、1・・像担持体、3・・現像手段、30・・開口部、31・・開閉部材、61・・移動部材、71・・スライド部材、81・・連結部材、74・61f・・係脱部材、83・・バネ部材(ダンパーバネ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジを着脱可能であって、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで、画像形成装置には、例えば、電子写真方式・静電記録方式・磁気記録方式等の複写機、プリンタ(例えばレーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、フアクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0003】
また、カートリッジは、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有し、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なものである。装置本体はカートリッジ及びカートリッジを支持する移動部材を除いた画像形成装置部分である。
【0004】
カートリッジは、使用者自身によって装置本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0005】
像担持体は、現像剤で現像される潜像(静電荷潜像、電位潜像、抵抗潜像、磁気潜像等)が形成される部材である。例えば、電子写真プロセスにおける電子写真感光体(光導電体)、静電記録プロセスにおける静電記録誘電体、磁気記録プロセスにおける磁気記録磁性体などが挙げられる。
【背景技術】
【0006】
画像形成装置の装置本体に対するカートリッジの交換方式として、特許文献1のように引出しトレイに複数のカートリッジを収納し、引出しトレイを前方に引出した状態でカートリッジを交換する構成のものが知られている。
【特許文献1】特開2007−121983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような画像形成装置の場合、カートリッジの交換作業は、ドアを開け、引出しトレイのロックを解除後に引出しトレイを引出し、カートリッジの交換を行う。
【0008】
しかしながら、使用者が引出しトレイを引出す際、ロック機構が存在することを知らなかったり、ロックの解除方法を知らないと、引出しトレイを引出せず、カートリッジの交換ができない。
【0009】
本発明は、上記の従来技術に鑑みて提案されたもので、より操作性を向上させて、使用者が簡単にカートリッジを交換できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記移動部材が前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材に支持されている前記カートリッジの一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になることを特徴とする
また、上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の他の代表的な構成は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、前記移動部材の移動方向と同じ方向に移動可能なスライド部材であって、前記開閉部材と連結部材を介して連結されていて前記開閉部材の開動作に伴って前記引出し位置へ向かう方向に移動し、前記開閉部材の閉動作に伴って前記内側位置へ向かう方向に移動するスライド部材と、前記スライド部材と前記移動部材とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材と、を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になっている前記移動部材が前記スライド部材と共に前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材の一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になり、前記開閉部材の閉動作を行うときには、前記スライド部材に対して連結が解除されている状態の前記移動部材が前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になるまで前記開閉部材が閉まらないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カートリッジの交換作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[実施例1]
(画像形成装置の全体的な概略構成)
図1は本実施例のカラー電子写真画像形成装置100の外観斜視図、図2は同装置の概略の縦断右側面図である。この画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザープリンタである。プリンタは、パソコン・イメージリーダ・相手方ファクシミリ装置等の外部ホスト装置(不図示)から入力する電気的画像信号に基いて記録媒体(例えば、用紙、OHPシート、ラベル等)に対する画像形成を実行する。
【0013】
以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側又は正面側とは装置本体Aの開口部30に対する開閉部材であるドア31を配設した側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、装置本体Aの後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは装置本体Aを前側から見て左または右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。
【0014】
画像形成装置100の装置本体Aの内側には、後側から前側にかけて、第1から第4の4つのプロセスカートリッジPY・PM・PC・PKが水平方向(横方向)に並べられて配設されている(インライン構成、タンデム型)。各プロセスカートリッジ(以下、カートリッジと記す)は、収容させた現像剤(トナー)の色が異なるだけで、互いに同様の構成のものである。本実施例の各カートリッジは、それぞれ、潜像が形成される像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)1を有する。また、ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電手段2・現像手段3・クリーニング手段4を有する。そして、それら1・2・3・4がカートリッジ枠体5に一体的に組み付けられている。帯電手段2としては帯電ローラを用いている。現像手段3としては現像ローラ3aを用いている。また、現像剤容器3b内には現像剤(トナー)を収容させてある。クリーニング手段4としてはクリーニングブレード方式を用いている。
【0015】
第1のカートリッジPYは、容器3b内にイエロー色(Y色)の現像剤を収容させてあり、ドラム1面にY色の現像剤像を形成する。第2のカートリッジPMは、容器3bにマゼンタ色(M色)の現像剤を収容させてあり、ドラム1面にM色の現像剤像を形成する。第3のカートリッジPCは、容器3bにシアン色(C色)の現像剤を収容させてあり、ドラム1面にC色の現像剤像を形成する。第4のカートリッジPKは、容器3bにブラック色(K色)のトナーを収容させてあり、ドラム1面にK色の現像剤像を形成する。
【0016】
カートリッジPY・PM・PC・PKの上方部には、レーザースキャナユニット11が配設されている。このユニット11は、外部ホスト装置から入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザー光Lを出力する。そして、レーザー光Lは、カートリッジ枠体5の上面に設けた露光窓6を通過して、各カートリッジのドラム面を走査露光する。
【0017】
カートリッジPY・PM・PC・PKの下方部には、中間転写ベルトユニット12が配設されている。このユニット12は、可撓性を有するエンドレスベルト13と、このベルト13を懸回張設して循環移動させる駆動ローラ14・ターンローラ15・テンションローラ16と、を有する。駆動ローラ14とテンションローラ16は装置本体A内の後側に配設してある。ターンローラ15は装置本体A内の前側に配設してある。各カートリッジの有するドラム1は、その下面が、ベルト13の上行側ベルト部分の上面に接している。ベルト13の内側には、上行側ベルト部分を介して各カートリッジのドラム1に対向させて4個の一次転写ローラ17が配設されている。駆動ローラ14には、ベルト13を介して二次転写ローラ22が当接している。
【0018】
ベルトユニット12の下方部には、給送ユニット18が配設されている。このユニット18は、トレイ19、給出ローラ20、分離パッド21等を有する。トレイ19は装置本体Aの前側から出し入れ自由である(フロントローデング)。
【0019】
装置本体A内の後側の上部には、定着装置23と、排紙ローラ対24が配設されている。装置本体Aの上面は排出トレイ25にされている。定着装置23は定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bを有するものを用いている。排出ローラ対24はローラ24aとコロ24bである。
【0020】
装置本体A内の装着位置に装着されている状態にある各カートリッジは、押圧部材(不図示)により押圧されて所定の位置決め部に固定された状態に保持されている。また、そのカートリッジの駆動入力部(不図示)に対して装置本体A側の駆動出力部(不図示)が結合している。また、そのカートリッジの電気接点(不図示)に対して装置本体A側の給電系統(不図示)が導通化している。
【0021】
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1乃至第4の各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1が矢印の反時計方向に所定の制御速度で回転駆動される。ベルト13も矢印の時計方向(ドラム回転に順方向)にドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。スキャナユニット11も駆動される。この駆動に同期して、各カートリッジにおいてそれぞれ所定の制御タイミングで帯電ローラ2がドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。スキャナユニット11は各ドラム1の表面を各色の画像信号に応じて変調されたレーザー光Lで走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像ローラ3aにより現像剤像として現像される。
【0022】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYのドラム1にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するY色現像剤像が形成される。そして、その現像剤像がベルト13上に一次転写される。
【0023】
第2のカートリッジPMのドラム1にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するM色の現像剤像が形成される。その現像剤像が、ベルト13上にすでに転写されているY色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0024】
第3のカートリッジPCのドラム1にはフルカラー画像のシアン成分に対応するC色の現像剤像が形成され、その現像剤像が、ベルト13上にすでに転写されているY色+M色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0025】
第4のカートリッジPCのドラム1にはフルカラー画像のブラック成分に対応するK色の現像剤像が形成される。そして、その現像剤像が、ベルト13上にすでに転写されているY色+M色+C色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0026】
かくして、ベルト13上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着現像剤像が合成形成される。
【0027】
各カートリッジにおいて、ベルト13に対する現像剤像の一次転写後のドラム1面に残留した転写残現像剤はクリーニング手段4により除去される。
【0028】
一方、所定の制御タイミングで給出ローラ20が駆動される。これにより、ローラ20と分離パッド21との協働で、トレイ19上に積載されている記録媒体である用紙Sが1枚分離給送される。そして、用紙Sは、二次転写ローラ22とベルト13とのニップ部(二次転写ニップ部)に導入される。これにより、用紙Sが該ニップ部を挟持搬送されていく過程でベルト13上の4色重畳の現像剤像が用紙Sの面に順次に一括転写される。
【0029】
用紙Sはベルト13の面から分離されて定着装置23へ導入され、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色現像剤像の混色及び用紙への定着がなされる。そして用紙Sは、定着装置23を出て、フルカラー画像形成物として排出ローラ対24でトレイ25上に排出される。
【0030】
用紙分離後のベルト13の表面に残留した二次転写残現像剤は、本実施例の場合は、例えば第1のプロセスカートリッジPYの一次転写部においてドラム1の表面に静電的に付着し、クリーニング手段4にて除去される。
【0031】
(カートリッジ交換方式)
第1乃至第4の各カートリッジPY・PM・PC・PKは、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、現像手段3に収容されている現像剤(トナー)が消費される。そこで、例えば、個々のカートリッジの現像剤残量を検知する手段(不図示)を具備させて、制御回路部101において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったカートリッジについては、表示部(不図示)に、そのカートリッジについての寿命予告あるいは寿命警告を表示させる。これにより使用者に、交換用のカートリッジの準備を促す、あるいはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持するようにしている。
【0032】
本実施例の画像形成装置100において、カートリッジの交換は、ユーザビリティ向上のために、カートリッジを移動部材としての枠型部材である引出しトレイ61に乗せ、フロントアクセスにより交換する方式である。以下、これについて詳述する。
【0033】
装置本体Aの前面側には、装置本体A内へカートリッジを挿入させる、及び、装置本体Aからカートリッジを取り出すために、カートリッジを通過させる開口部30が設けられている。そして、この開口部30を閉じる閉鎖位置と、開口部30を開放する開放位置と、の間を移動可能な開閉部材としてのドア31が設けられている。本実施例においては、このドア31は、ドア下辺側の横軸(ヒンジ軸)32を中心に装置本体Aに対して開閉回動可能である。すなわち、ドア31は、ヒンジ軸32を中心に立て起こし方向に回動して(閉動作)、図1・図2のように、装置本体Aの開口部30に対して閉じ込んだ状態にすることができる。このドア31の閉じにより開口部30が閉鎖される。また、ヒンジ軸32を中心に装置本体Aの手前側に倒し回動して(開動作)、図1の2点鎖線示のように、装置本体Aから開いた状態にすることができる。これにより、装置本体前面の開口部30が大きく開放される。31aはドア31に設けた指掛け部(把持部)である。
【0034】
装置本体Aの骨格となるメインフレームの左右フレーム102L・102Rの各内側には、図3のように、左右対称に対向させて、前後方向を長手とする上下並行2条の左ガイドレール41L・42Lと右ガイドレール41R・42Rが配設されている。なお、図3には、左ガイドレール41L・42Lを配設した左フレーム102L、及び右ガイドレール41R・42Rを配設した右フレーム102Rは省略してある。
【0035】
左ガイドレール上41Lと右ガイドレール上41Rの先端部は、それぞれ、前方に上がる斜め下向きの傾斜面部aにされている。左ガイドレール下42Lと右ガイドレール下42Rの先端部は、それぞれ、上向きに鉤型に折り曲げてフック形状部bにされている。左ガイドレール下42Lと右ガイドレール下42Rの後端部は、それぞれ、後方に下がる斜め上向きの傾斜面部cにされている。また、左ガイドレール下42Lと右ガイドレール下42Rの後端部側には、それぞれ、該ガイドレールに一連一体に、前後方向を長手とする第2のガイドレール(スライド部材用ガイドレール)43L・43Rが配設されている。
【0036】
図4は、移動部材である引出しトレイ(以下、トレイと記す)61とスライド部材71の斜視図である。図5は、トレイ61が左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に保持され、スライド部材71が左右の第2のガイドレール43L・43R間に保持されている状態の斜視図である。図6は図5の部分的な拡大図である。
【0037】
トレイ61の左枠61cと右枠61dの外面側には、それぞれ、左右対称に第1乃至第4の4つのコロ62L・63L・64L・65L、62R・63R・64R・65Rが配設されている。第1のコロ62L・62Rと第2のコロ63L・63Rは、それぞれ、トレイ61の左枠61cと右枠61dの先端側において上下に間隔をおいて配設されている。また、第3のコロ64L・64Rと第4のコロ65L・65Rは、それぞれ、トレイ61の左枠61cと右枠61dの後端側において前後に間隔をおいて配設されている。左側のコロ62L・63L・64L・65Lは左ガイドレール41L・42Lに対して係合する。右側のコロ62R・63R・64R・65Rは右ガイドレール41R・42Rに対して係合する。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間において前後方向に水平にスライド移動可能に保持される。
【0038】
また、スライド部材71の左側面の外面と右側面外面には、それぞれ、左右対称に第5と第6の2つのコロ72L・73L、72R・73Rが配設されている。第6のコロ73L・73Rは第5のコロ72L・72Rよりも後方で、かつ少し下方に位置している。左側のコロ72L・73Lは、それぞれ、第2のガイドレール左43Lの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。また、右側のコロ72R・73Rは、それぞれ、第2のガイドレール右43Rの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。これにより、スライド部材71は、左右の第2のガイドレール43L・43間において前後方向に水平にスライド移動可能に保持される。
【0039】
スライド部材71はトレイ61の後側に配設されている。そして、スライド部材71とドア31は、図7のように、左右側において連結部材としてのワイヤー81L・81Rで連結されている。84L・84Rはワイヤー81L・81Rとドア31との係止部である。また、スライド部材71は左右側において、ワイヤー82L・82Rを介してダンパーバネ(バネ部材)83L・83Rに連結されている。90はワイヤー81L・81R、82L・82Rの懸け回しガイドプリーである。
【0040】
スライド部材71には、トレイ61を結合するためのストッパ部材74(図2)が備えられている。ストッパ部材74はバネ75により常時押し上げ付勢されていて、上端部が弾性的に突出している。トレイ61の後枠61bには上記ストッパ部材74の上端部が嵌係合する下向きの凹部61f(図9)が配設されている。そして、ストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合により、スライド部材71に対してトレイ61が結合状態に保持される(図2)。本実施例においては、上記のストッパ部材74と凹部61fが、スライド部材71とトレイ61とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材である。
【0041】
図1・図2のように、ドア31が装置本体Aの開口部30に対して閉じられている状態においては、スライド部材71はダンパーバネ83L・83Rの縮み力によりワイヤー82L・82Rを介して後方に引かれて、図2の最後退位置において停止している。スライド部材71の最後退位置は、図6、図10の(a)のように、第6のコロ左73Lが第2のガイドレール左43Lの下段側のレールeの後部壁fに当たって受け止められている状態の位置である。また、第6のコロ右73Lが第2のガイドレール右43Rの下段側のレールeの後部壁fに当たって受け止められている状態の位置である。
【0042】
そして、トレイ61はストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によりスライド部材71に対して連結されている状態にあり、スライド部材71の最後退位置に対応した内側位置(画像形成位置、転写接触位置)に位置している。
【0043】
トレイ61が内側位置に位置している状態においては、第1のコロ62L・62Rが、図10の(a)のように、ガイドレール上41L・41Rの上面g側においてレール先端部に載っている。また、第3のコロ64L・64Rが、ガイドレール下42L・42Rの後端部の斜め上向きの傾斜面部cと第2のガイドレール43L・43Rの上面hとの会合部に位置していて第2のガイドレール43L・43Rの上面hに乗っている。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に水平姿勢で保持されている。第2のコロ63L・63Rは、ガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aに当接して位置している。これにより、トレイ61のそれ以上の後方移動が規制されて位置決めされる。第4のコロ65L・65Rは、ガイドレール上41L・41Rとの下面iと第2のガイドレール43L・43Rの上面hとの間に位置している。
【0044】
トレイ61が内側位置に位置している状態においては、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に接触している。そして、トレイ61が内側位置に位置していて、ドア31が閉じられている状態においては、各カートリッジPY・PM・PC・PKは、押圧部材(不図示)により押圧されて装置本体A側の所定の位置決め部に固定された装着位置に保持されている。これにより、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に対して所定に安定に接触している。また、そのカートリッジの駆動入力部(不図示)に対して装置本体側の駆動出力部(不図示)が結合している。また、そのカートリッジの電気接点(不図示)に対して装置本体側の給電系統(不図示)が導通化している。この状態において、画像形成装置は画像形成動作が可能である。
【0045】
上記の状態からのトレイ61の引出しとカートリッジの交換は次のようにしてなされる。
【0046】
1)閉じられているドア31を、図1の2点鎖線示、図8のように、横軸32を中心に回動終点まで十分に開き回動する。このドア31の開動作における初期回動に連動する連動機構(不図示)の動作により、各カートリッジPY・PM・PC・PKの駆動入力部に対する装置本体A側の駆動出力部の結合が解除された状態になる(駆動解除)。また、各カートリッジを位置決め固定している押圧部材の押圧が解除される(押圧解除)。また、各カートリッジの電気接点に対する装置本体側の給電系統の導通が解除される(給電解除)。
【0047】
2)ドア31の更なる開き回動によりワイヤー81L・81Rが引かれる。これにより、最後退位置にあるスライド部材71がワイヤー82L・82Rを介してダンパーバネ83L・83Rを引き伸ばしながら、第2のガイドレール43L・43Rに沿って前方へ移動する。これに伴って、係脱部材74・61fによりスライド部材71に対して連結状態になっているトレイ61もスライド部材71に押されてスライド部材71と一緒に前方へ移動する。
【0048】
3)トレイ61の前方移動の初期において、第3のコロ64L・64Rが、図10の(b)のように、ガイドレール下42L・42Rの後端部の斜め上向きの傾斜面部cを登ってガイドレール下42L・42Rの上面jに乗り上がる。また、第4のコロ65L・65Rが、ガイドレール上41L・41Rの下面iに接触する。第1のコロ62L・62Rは、ガイドレール上41L・41Rの上面gのレール先端部から前方に離れる。第2のコロ63L・63Rは、ガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aから前方に離れる。
【0049】
この状態においては、第3のコロ64L・64Rがガイドレール下42L・42Rの上面jに接触しており、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの下面iに接触している。これにより、第1のコロ62L・62Rがガイドレール上41L・41Rの上面gのレール先端部から前方に離れても、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に水平に保持される。また、トレイ61は、第2のガイドレール43L・43Rの上面hの高さレベルからガイドレール下42L・42Rの上面jの高さレベルに上昇動する。このトレイ61の上昇動により、トレイ61に保持されている各カートリッジPY・PM・PC・PKも一緒に上昇動して、各カートリッジPY・PM・PC・PK1のドラム1がベルト1から浮き上がって離間する。
【0050】
ここで、係脱部材であるストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によるスライド部材71に対するトレイ61の連結状態(結合状態)は、トレイ61が上記のように上昇動してもストッパ部材74の追随的な上昇動作により保持される。
【0051】
4)更に引き続くドア31の開き回動に伴うワイヤー81L・81Rの引っ張りにより、スライド部材71が第2のガイドレール43L・43Rに沿って前方移動する。これにより、トレイ61もそのスライド部材71に押されてガイドレール41L・42L、41R・41Lに沿って水平姿勢が保持されながら更に前方へ移動する。この移動時には、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1とベルト13とは離間しているので両者間での擦れは生じない。
【0052】
5)ドア31が回動終点まで十分に開かれると、スライド部材71は最前進位置に至る。スライド部材71の最前進位置は、図10の(c)のように、第5のコロ左72Lが第2のガイドレール左43Lの上段側のレールdの前部壁kに当たって受け止められている状態の位置である。また、第5のコロ右72Rが第2のガイドレール右43Rの上段側のレールdの前部壁kに当たって受け止められている状態の位置である。
【0053】
そして、ドア31が回動終点まで十分に開かれて、スライド部材71が最前進位置に移動した状態において、トレイ61は、図8のように、前枠61a側が装置本体Aの開放状態の開口部30から外側に突出した状態になる。即ち、トレイ61の一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。
【0054】
ここで、ドア31が回動終点まで十分に開かれている状態においては、ドア31のヒンジ軸32を中心とする開き方向への、ドア自重による回動モーメントの方が、ダンパーバネ83L・83Rによるスライド部材引き戻し力よりも大きい力関係にしてある。これにより、開いたドア31から手を離してもドア31の開き状態が安定に保持される。
【0055】
そこで、図8の状態において、トレイ61の前枠61aの前面に設けられている把持部68を持って、トレイ61を前方へ引出す方向へ力をかける。そうすると、スライド部材71側のストッパ部材74が、トレイ61側の凹部61fの斜面部に押されてバネ75による押し上げ付勢力に抗して下降動して凹部61fから外れる。即ち、トレイ61のスライド部材71に対する連結が解除された状態になる。ストッパ部材74は凹部61fから外れると、バネ75による押し上げ付勢力により上方に押し上げられた状態に復帰した状態になる。
【0056】
6)更にトレイ61を前方へ引出すと、スライド部材71の左右側に左右対称に対向させて配設されているロック機構76L・76R(図4・図5・図6)が動作して、最前進位置に位置しているスライド部材71が装置本体Aに対して固定(ロック)される。
【0057】
このロック機構76L・76Rの構成・動作を図11により説明する。図11は左側のロック機構76Lを示すものであるが、右側のロック機構76Rも同様な構成・動作である。ロック機構76(76R)は、バネ77により前方に移動付勢されているロッド部材78と、このロッド部材78の後退動と前進動に伴って上下移動するロック部材79と、を有する。ロッド部材78は、トレイ61がストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によりスライド部材71に対して結合にされている状態においては図11の(a)の位置に保持されている。即ち、ロッド部材78の前端部がトレイ61の後枠61bの外面により押されてバネ77を押し縮めた状態で後退位置に移動している。ロッド部材78が後退位置に移動しているときには、ストッパ部材74はロッド部材78の斜面カム78aの上位部に位置して保持されている。これにより、ストッパ部材74はロック機構76Rの内側に上昇移動された非ロック状態に保持されている。
【0058】
このように、スライド部材71が最前進位置に移動した状態において、トレイ61が前方へ引き出されることで、ストッパ部材74と凹部61fの嵌係合が外れてトレイ61のスライド部材71に対する結合状態が解除され、トレイ61が前方へ移動する。そうすると、トレイ61の後枠61bの外面によるロック部材79の押え込みが解除されて、ロック部材79が、図11の(b)のように、バネ77の突っ張り力により前進位置に移動した状態になる。ロッド部材78が前進位置に移動すると、ストッパ部材74はロッド部材78の斜面カム78aの下位部に位置して保持された状態になる。これにより、ストッパ部材74はロック機構76Rの内側から外側に下降移動して、ストッパ部材74の下端部が装置本体A側のステイ部材103の穴103aに進入して嵌係合する。即ち、スライド部材71が最前進位置(図8・図9)において装置本体Aに対して固定(ロック)される。
【0059】
7)トレイ61を更に前方へ引出し位置まで十分に引出し移動すると、図10の(d)のように、第3のコロ64L・64Rがガイドレール下42L・42Rの先端部のフック形状部bに至り、このフック形状部bに当接して移動止めされる。更に、トレイ61が、フック形状部bで移動止めされている第3のコロ64L・64Rを中心に自重により少し下方に回動する。この回動により、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aに当接する。また、トレイ61の左枠61cと右枠61dの後端部に、それぞれ、第4のコロ65L・65Rよりも後方の位置において配設されている突片66L・66Rがガイドレール上41L・41Rの下面iに当接する。これにより、把持部68から手を放してもトレイ61の装置本体Aからの引出し位置状態が安定に保持される。図9はトレイ61が引出し位置に引き出されている状態を示している。また、この状態のとき、ドア31を閉じようとすると、ドア31がトレイ61の凸部67に干渉して、ドア31は閉じることができない。
【0060】
8)トレイ61は、複数個のカートリッジPY・PM・PC・PKを、図8の位置から図9の引出し位置まで移動される間において移動方向下流側のカートリッジから順次に取り外し可能に支持する。そして、図9の引出し位置において複数個のカートリッジPY・PM・PC・PKの全てが取り外し可能となる。即ち、トレイ61に保持されている第1乃至第4の4つカートリッジPY・PM・PC・PKの全体が開口部30を通過して装置本体Aの外側に露出し、全てのカートリッジPY・PM・PC・PKの上面が開放される。
【0061】
トレイ61は、個々のカートリッジを上方に取り出し可能に支持している。また、トレイ61は、個々のカートリッジを下方に向かって移動させることによって支持する。そこで、交換すべき使用済みのカートリッジを、図9の2点鎖線示のように、トレイ61から上方に持ち上げて抜き外す。そして、新しいカートリッジをトレイ61に対して上から嵌め入れて乗せる。即ち、トレイ61が水平方向に移動し、図9の引出し位置において、トレイ61は、カートリッジを上方に取り出し可能に支持されており、及び、カートリッジを下方に向かって移動させることによって支持する様に構成している。これにより、カートリッジをトレイ61へ挿入させる操作性を向上させた画像形成装置を提供する事ができる。
【0062】
9)トレイ61に保持されているカートリッジのうち交換すべきカートリッジについて交換したら、図9の引出し状態のトレイ61の把持部68を持って、トレイ61を装置本体A内に押し移動する。そうすると、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aを下方側に移動してガイドレール上41L・41Rの下面iに移行する。これにより、トレイ61がフック形状部bで移動止めされている第3のコロ64L・64Rを中心に上方に回動してガイドレール41L・42L、41R・42Rと並行な水平姿勢になる。また、トレイ61が水平姿勢になることで、ガイドレール上41L・41Rの下面iに対する突片66L・66Rの当接が解除される。この状態において、第3のコロ64L・64Rがガイドレール下42L・42Rの上面jに接触しており、第4のコロ65L・65Rがガイドレール上41L・41Rの下面iに接触している。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間に水平に保持されて、ガイドレール41L・42L、41R・42Rに沿って移動可能となる。
【0063】
10)そこで、水平姿勢のトレイ61をガイドレール41L・42L、41R・42Rに沿って装置本体A内に押し込んでいく。このトレイ35の押し込み移動時も、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1とベルト13とは離隔しているので両者間での擦れは生じない。
【0064】
トレイ61を更に押し込んでいくと、トレイ61は、最前進位置に位置していてロック機構76L・76Rにより装置本体Aに対して固定されるスライド部材71の位置に至る。そして、トレイ61の後枠61bの外面がロック機構76L・76Rのロッド部材78をバネ77の突っ張り力に抗して押圧して後退位置に移動させる。これにより、ストッパ部材74はロック機構76Rの内側に上昇移動して下端部が装置本体A側のステイ部材103の穴103aから抜け出る。即ち、スライド部材71の最前進位置における装置本体Aに対する固定が解除される。また、この固定解除とほぼ同時的に、スライド部材71側のストッパ部材74が、トレイ61側の凹部61fの斜面部に押されてバネ75による押し上げ付勢力に抗して下降動する。更にトレイ61を押し込むと、ストッパ部材74と凹部61fが嵌係合して、トレイ61がスライド部材71に対して結合した状態になる。ストッパ部材74はバネ75により上方に付勢されている。即ち、トレイ61は図8の状態になる。
【0065】
11)次に、図8の状態からドア31を閉じ回動する。このドア31の閉じ回動に伴って、図7の(b)のように引き伸ばし状態のダンパーバネ83L・83Rの収縮力により、スライド部材71がワイヤー82L・82Rを介して戻し移動される。即ち、スライド部材71が最前進位置から最後退位置に引き戻し移動される。そして、ストッパ部材74と凹部61fとの嵌係合によりスライド部材71に対して結合されているトレイ61もこのスライド部材71と一緒に引き戻し移動される。
【0066】
そして、ドア31が完全に閉じ込まれる前時点において、第3のコロ64L・64Rが、図10の(a)のように、ガイドレール下42L・42Rの後端部の斜め上向きの傾斜面部cを下る。即ち、第3のコロ64L・64Rが、ガイドレール下42L・42Rの後端部の傾斜面部cと第2のガイドレール43L・43の上面hとの会合部に位置していて第2のガイドレール43L・43の上面hに乗る。また、第1のコロ62L・62Rが、ガイドレール上41L・41Rの上面gのレール先端部に載る。第2のコロ63L・63Rは、ガイドレール上41L・41Rの先端部の斜め下向きの傾斜面部aに当接して位置する。第4のコロ65L・65Rは、ガイドレール上41L・41Rとの下面iと第2のガイドレール43L・43Rの上面hとの間に位置する。この状態において、トレイ61はストッパ部材74と凹部61fとの結合によりスライド部材71に対して連結されている状態にあり、スライド部材71の最後退位置に対応した内側位置に位置する。即ち、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に対して接触した状態になる。
【0067】
12)そして、ドア31の閉動作における終期回動に連動する連動機構(不図示)の動作により、各カートリッジPY・PM・PC・PKが、押圧部材(不図示)により押圧されて装置本体A側の所定の位置決め部に固定された状態に保持される。これにより、各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム1がベルト13に対して所定に安定に接触している。また、そのカートリッジの駆動入力部(不図示)に対して装置本体側の駆動出力部(不図示)が結合する。また、そのカートリッジの電気接点(不図示)に対して装置本体側の給電系統(不図示)が導通化する。そして、ドア31を十分に閉じ込んだ状態において、画像形成装置は画像形成動作が可能な状態になる。
【0068】
ダンパーバネ83L・83Rはダンパーバネ力によってスライド部材71及びトレイ61を内側位置へ引き込む作用をすると共に、ドア31の開動作・閉動作を滑らかにする。
【0069】
以上のように本実施例によればドア31を開き状態にすることにより、トレイ61の一部を装置本体Aの開口部30から飛び出させ、使用者にトレイ61の存在を認識しやすくする。
【0070】
また、トレイ61を装置本体Aに収納する場合は、ドア31の閉じ動作のみでトレイ61を画像形成(プリント)可能状態にセットすることが可能になる。
【0071】
トレイ61をストッパ部材74と係合しない場所で停止させ、ドア31を閉めようとした場合、スライド部材71はロック部材74と本体本体側の穴103aで固定されているため、図8の位置までトレイ61が移動しないと動かない。
【0072】
ここで、上記実施例の画像形成装置100の構成をまとめると次のとおりである。
【0073】
記録媒体Sに画像を形成する画像形成装置である。画像形成装置の装置本体Aに設けられた開口部30を有する。この開口部を閉じる閉鎖位置と、開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材31を有する。潜像が形成される像担持体1又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段3の少なくとも1つを有するカートリッジPを支持する移動部材61を有する。この移動部材61は、開口部30を通過して装置本体Aから外側へ引出されてカートリッジを装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、カートリッジを装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な部材である。そして、開閉部材31の開動作を行うと、移動部材が61の引出し位置へ向かう方向に移動して移動部材61に支持されているカートリッジの一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。
【0074】
移動部材61を、前記露出した状態から前記内側位置の方へ移動させた後に、開閉部材31の閉動作が可能となる。
【0075】
また、記録媒体Sに画像を形成する画像形成装置である。画像形成装置の装置本体Aに設けられた開口部30を有する。この開口部を閉じる閉鎖位置と、開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材31を有する。潜像が形成される像担持体1又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段3の少なくとも1つを有するカートリッジPを支持する移動部材61を有する。この移動部材61は、開口部30を通過して装置本体Aから外側へ引出されてカートリッジを装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、カートリッジを装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な部材である。また、移動部材61の移動方向と同じ方向に移動可能なスライド部材71を有する。このスライド部材71は、開閉部材31と連結部材81を介して連結されていて開閉部材の開動作に伴って引出し位置へ向かう方向に移動し、開閉部材の閉動作に伴って内側位置へ向かう方向に移動する。また、スライド部材71と移動部材61とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材74・61fを有する。そして、開閉部材31の開動作を行うと、係脱部材74・61fによりスライド部材71に対して連結した状態になっている移動部材61がスライド部材と共に引出し位置へ向かう方向に移動する。これにより、移動部材61の一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。また、開閉部材31の閉動作を行うときには、スライド部材71に対して連結が解除されている状態の移動部材61が係脱部材74・61fによりスライド部材71に対して連結した状態になるまで開閉部材31が閉まらない。また、スライド部材71を内側位置へ向かう方向に移動付勢するバネ部材83を備えている。移動部材61は、カートリッジの有する像担持体1又は現像手段3の長手方向と交差する方向へ移動可能である。移動部材61は、その移動方向において、複数のカートリッジPY・PM・PC・PKを並べて支持可能である。移動部材61は、複数のカートリッジPY・PM・PC・PKを、内側位置から引出し位置まで移動される間において移動方向下流側のカートリッジから順次に取り外し可能に支持すると共に、引出し位置において複数のカートリッジの全てが取り外し可能となる。移動部材61は、カートリッジを引出し位置において上方に取り出し可能に支持する、及び、カートリッジを下方に向かって移動させることによって支持する。
【0076】
[実施例2]
次に、第2の実施例について図12乃至図15を用いて説明する。なお、上述した実施例1の装置と共通する構成部材・部分には共通の符号を付して再度の説明を省略する。
【0077】
本実施例の画像形成装置100は、スライド部材71と移動部材であるトレイ61は自由状態においては自重力によって内側位置へ向かって斜め下方向に移動するように配設されている。即ち、本実施例の画像形成装置100は、実施例1の画像形成装置100との対比において、ベルト13の上行側部分を水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させた形態にしてベルトユニット12が配設されている。これに対応させて、左右のガイドレール41L・42L、41R・42Rも水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させた形態にして配設されている。第2のガイドレール43L・43Rも水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させた形態にして配設されている。
【0078】
トレイ61及び左右のガイドレール41L・42L、41R・42Rの構成は実施例1の画像形成装置100のものと同様である。トレイ61の左側のコロ62L・63L・64L・65Lは左ガイドレール41L・42Lに対して係合する。右側のコロ62R・63R・64R・65Rは右ガイドレール41R・42Rに対して係合する。これにより、トレイ61は、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R間において前後方向にスライド移動可能に保持される。
【0079】
スライド部材71及び左右の第2のガイドレール43L・43Rも実施例1の画像形成装置100のものと同様である。左側のコロ72L・73Lは、それぞれ、第2のガイドレール左43Lの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。また、右側のコロ72R・73Rは、それぞれ、第2のガイドレール右43Rの上段側と下段側のレールd・eに対して係合する。これにより、スライド部材71は、左右の第2のガイドレール43L・43間において前後方向にスライド移動可能に保持される。
【0080】
本実施例においては、上記のように、左右のガイドレール41L・42L、41R・42R及び第2のガイドレール43L・43Rを水平方向Tに対して後下がりにα°傾斜させてある。これにより、スライド部材71と移動部材であるトレイ61を自由状態においては自重力によって内側位置へ向かって斜め下方向に移動するようにしている。そこで、本実施例においては、スライド部材71を内側位置へ向かう方向に移動付勢するバネ部材であるダンパーバネ83L・83Rは無にしている。また、ロック機構76L・76Rも無にしている。その他の構成は実施例1の画像形成装置100と同様である。
【0081】
図12のように閉じられているドア31を開くと、ワイヤー81L・81Rを介してスライド部材71が引っ張られて最後退位置から前方移動を開始する。トレイ61もスライド部材71に押されて前方移動する。そして、ドア31が回動終点まで十分に開かれて、スライド部材71が最前進位置に移動した状態において、トレイ61は、図13のように、前枠61a側が装置本体Aの開放状態の開口部30から外側に突出した状態になる。即ち、トレイ61の一部が開口部30を通過して装置本体Aから外側に露出した状態になる。この間におけるトレイ61及びスライド部材71の動作は実施例1の画像形成装置100と同様である。
【0082】
ここで、ドア31が回動終点まで十分に開かれている状態においては、ドア31のヒンジ軸32を中心とする開き方向への、ドア自重による回動モーメントの方が、トレイ61及びスライド部材71の自重による戻り力よりも大きい力関係にしてある。これにより、開いたドア31から手を離してもドア31の開き状態が安定に保持される。
【0083】
図15にドア開動作時のワイヤー81L・81Rとスライド部材71・トレイ61の動作を示す。ドア31とスライド部材71はワイヤー81L・81Rで結合されている。ドア31を図13の位置まで開くとスラスト部材71が移動し、トレイ61の前枠61a側が装置本体Aの開放状態の開口部30から外側に突出した状態になる。即ち、ドア31が開かれることによりトレイ61の前側が装置本体Aの内部から外側に飛び出す。そこで、前枠61aの前面の把手部68を持って、トレイ61を図14のように更に前方へ十分に引出す。このトレイ61の引出し状態は実施例1の画像形成装置100と同様に安定に保持される。この位置で使用者はカートリッジの交換を行う。
【0084】
トレイ61に対するカートリッジの交換をしたら、トレイ61を図14の位置から装置本体A内へ押し込んで行く。この間のトレイ61の動作は実施例1の画像形成装置100と同様である。本実施例においては、装置本体A内へ押し込んだトレイ61は自重により装置本体A内の後端側へ移動し、最前進位置に位置しているスライド部材71のストッパ部材74との当接位置まで移動して、図13の状態になる。
【0085】
次に、ドア31を閉じ回動すると、ワイヤー81L・81Rが緩み、トレイ61の自重によりストッパ部材74を本体後方へ押し込む。そして、ドア31を十分に閉じ回動させることで、図12の状態になり、画像形成装置はプリント可能状態になる。この間のトレイ61及びスライド部材71の動作は実施例1の画像形成装置100と同様である。
【0086】
本実施例2においても、実施例1のようにスライド部材がダンパーバネ83L・83Rと連動してもよいし、スライド部材71にロック機構76L・76Rを備えてもよい。更に、トレイ61はドア31によって図12のプリント位置へ押し込んでもよい。
【0087】
[実施例3]
実施例1及び2ではドア31とスライド部材71との連結部材としてワイヤー81L・81Rを使用していたが、図16・図17に示すようにリンク機構200を使用することもできる。本実施例のリンク機構200において、201は案内コロ202に保持されて前後方向に移動可能な第1部材である。この第1部材202の後端にスライド部材71が連結されている。203は第2部材であり、一端側がドア31に回動自由に連結されている。また、他端側のピン204が第1部材202の先端側に具備させたスリット穴205に係合している。このリンク機構200により、ドア31の開動作・閉動作に連動して、スライド部材71が最前進位置と最後退位置との間を移動する。なお、図16・図17は説明のためにトレイ61及びガイド類を省略している。
【0088】
以上、実施例1乃至3のように、カートリッジを収納する引出しトレイ61を備える画像形成装置において、ドア31の開閉に連動して動作するスライド部材71を備える。そして、ドア開時にはスライド部材71の前進移動によりトレイ61を装置本体Aの内側位置から外側に一部飛び出させる。ドア閉時にはスライド部材71の後進移動によりトレイ61を装置本体の内側位置へ移動させる。即ち、ドア31の開閉動に連動してトレイ61が動作するため、トレイ61の操作性が向上し、カートリッジの交換作業性が向上する。
【0089】
ここで、各実施例においては、カートリッジは、像担持体1と、これに作用するプロセス手段としての帯電手段2・現像手段3・クリーニング手段4とを一体的にカートリッジ化したプロセスカートリッジであるが、このカートリッジに限られるものではない。即ち、カートリッジは、潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するものであればよい。前記プロセス手段は、例えば、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つである。像担持体は現像剤で現像される潜像が形成される部材である。実施例のように、電子写真プロセスにおける電子写真感光体の他、静電記録プロセスにおける静電記録誘電体、磁気記録プロセスにおける磁気記録磁性体等が挙げられる。
【0090】
移動部材としてのトレイ61は、実施例においては、その移動方向において、4つのカートリッジ(PY・PM・PC・PK)を並べて支持するものを示したけれども、トレイ35に支持させるカートリッジは1つにした画像形成装置構成であってもよい。また、トレイ35に、2つ或いは3つ、若しくは5つ以上の複数のカートリッジを並べて支持可能である画像形成装置構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例1の画像形成装置の外観斜視図
【図2】同装置の概略の縦断右側面図
【図3】左右のガイドレールの斜視図
【図4】引出しトレイとスライド部材の斜視図
【図5】引出しトレイが左右のガイドレール間に保持され、スライド部材が左右の第2のガイドレール間に保持されている状態の斜視図
【図6】図5の部分的な拡大図
【図7】(a)と(b)はそれぞれドアが閉じられている状態時と開かれている状態時とにおける、ワイヤーとダンパーバネとスライド部材と引出しトレイの状態を示した図
【図8】ドアが十分に開かれている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図9】引出しトレイが更に引出し位置に引出されている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図10】ドアの開き回動及び引出しトレイの引出し位置への移動に伴う、左右のガイドレールに対する第1乃至第6のコロの移動位置を示した図
【図11】ロック機構の動作説明図
【図12】実施例2の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図13】ドアが十分に開かれている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図14】引出しトレイが更に引出し位置に引出されている状態時の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図15】(a)と(b)はそれぞれドアが閉じられている状態時と開かれている状態時とにおける、ワイヤーとスライド部材と引出しトレイの状態を示した図
【図16】実施例3の画像形成装置の概略の縦断右側面図
【図17】ドアが十分に開かれている状態時の同装置の概略の縦断右側面図
【符号の説明】
【0092】
100・・画像形成装置、A・・画像形成装置の装置本体、S・・記録媒体、P(PY・PM・PC・PK)・・カートリッジ、1・・像担持体、3・・現像手段、30・・開口部、31・・開閉部材、61・・移動部材、71・・スライド部材、81・・連結部材、74・61f・・係脱部材、83・・バネ部材(ダンパーバネ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、
前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、
潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、
を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記移動部材が前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材に支持されている前記カートリッジの一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移動部材を、前記露出した状態から前記内側位置の方へ移動させた後に、前記開閉部材の閉動作が可能となることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、
前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、
潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、
前記移動部材の移動方向と同じ方向に移動可能なスライド部材であって、前記開閉部材と連結部材を介して連結されていて前記開閉部材の開動作に伴って前記引出し位置へ向かう方向に移動し、前記開閉部材の閉動作に伴って前記内側位置へ向かう方向に移動するスライド部材と、
前記スライド部材と前記移動部材とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材と、
を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になっている前記移動部材が前記スライド部材と共に前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材の一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になり、前記開閉部材の閉動作を行うときには、前記スライド部材に対して連結が解除されている状態の前記移動部材が前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になるまで前記開閉部材が閉まらないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記スライド部材を前記内側位置へ向かう方向に移動付勢するバネ部材を備えていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記スライド部材と前記移動部材は自由状態においては自重力によって前記内側位置へ向かって斜め下方向に移動するように配設されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記移動部材は、カートリッジの有する前記像担持体又は前記現像手段の長手方向と交差する方向へ移動可能であることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記移動部材は、その移動方向において、複数の前記カートリッジを並べて支持可能であることを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記移動部材は、前記複数のカートリッジを、前記内側位置から前記引出し位置まで移動される間において移動方向下流側のカートリッジから順次に取り外し可能に支持すると共に、前記引出し位置において前記複数のカートリッジの全てが取り外し可能となることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記移動部材は、前記カートリッジを前記引出し位置において上方に取り出し可能に支持する、及び、前記カートリッジを下方に向かって移動させることによって支持することを特徴とする請求項3乃至8の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、
前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、
潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、
を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記移動部材が前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材に支持されている前記カートリッジの一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移動部材を、前記露出した状態から前記内側位置の方へ移動させた後に、前記開閉部材の閉動作が可能となることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成装置の装置本体に設けられた開口部と、
前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材と、
潜像が形成される像担持体又は像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段の少なくとも1つを有するカートリッジを支持して、前記開口部を通過して前記装置本体から外側へ引出されて前記カートリッジを前記装置本体の外側において着脱出来る引出し位置と、前記カートリッジを前記装置本体の内側に位置させるための内側位置と、を取り得る移動可能な移動部材と、
前記移動部材の移動方向と同じ方向に移動可能なスライド部材であって、前記開閉部材と連結部材を介して連結されていて前記開閉部材の開動作に伴って前記引出し位置へ向かう方向に移動し、前記開閉部材の閉動作に伴って前記内側位置へ向かう方向に移動するスライド部材と、
前記スライド部材と前記移動部材とを連結した状態、及び、連結を解除した状態にする係脱部材と、
を有し、前記開閉部材の開動作を行うと、前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になっている前記移動部材が前記スライド部材と共に前記引出し位置へ向かう方向に移動して前記移動部材の一部が前記開口部を通過して前記装置本体から外側に露出した状態になり、前記開閉部材の閉動作を行うときには、前記スライド部材に対して連結が解除されている状態の前記移動部材が前記係脱部材により前記スライド部材に対して連結した状態になるまで前記開閉部材が閉まらないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記スライド部材を前記内側位置へ向かう方向に移動付勢するバネ部材を備えていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記スライド部材と前記移動部材は自由状態においては自重力によって前記内側位置へ向かって斜め下方向に移動するように配設されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記移動部材は、カートリッジの有する前記像担持体又は前記現像手段の長手方向と交差する方向へ移動可能であることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記移動部材は、その移動方向において、複数の前記カートリッジを並べて支持可能であることを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記移動部材は、前記複数のカートリッジを、前記内側位置から前記引出し位置まで移動される間において移動方向下流側のカートリッジから順次に取り外し可能に支持すると共に、前記引出し位置において前記複数のカートリッジの全てが取り外し可能となることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記移動部材は、前記カートリッジを前記引出し位置において上方に取り出し可能に支持する、及び、前記カートリッジを下方に向かって移動させることによって支持することを特徴とする請求項3乃至8の何れかに記載の画像形成装置。
【図11】
【図13】
【図14】
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図15】
【図16】
【図13】
【図14】
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−102175(P2010−102175A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274278(P2008−274278)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]