説明

画像形成装置

【課題】 飛散トナーを吸引回収する排気ファンと作像ユニットの現像装置及びクリーニング装置とを接続するダクトの使用を廃止乃至短縮できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 作像ユニット14〜12の現像装置31の排出開口31fは現像装置ハウジングに形成された搬送路(31g)を経て隣接する作像ユニットのクリーニング装置40の空気吸引口44に対向接合され、クリーニング装置40の空気排出口45はダクトを経て排気ファン50に連接される。現像装置の排出開口31fから排出された飛散トナーは、隣接する作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口44から吸引され、クリーニング装置40の空気排出口45から、ダクト、排気ファン50を経て外部に放出される。排出開口31f及び排気ファン50には粉塵フイルタを設けて飛散トナーを捕捉し、画像形成装置外部に放出されることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に像担持体、帯電装置、現像装置、クリーニング装置等を一体に収納した作像ユニットを装着するように構成された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置における画像形成プロセスは、帯電装置を使用して像担持体の表面を一様に帯電させ、露光装置から画像信号で変調したレーザ光を像担持体の表面に投射して画像潜像を形成し、現像装置に収納された現像剤(トナー)により像担持体の表面に形成された画像潜像を現像してトナー像を形成する。
【0003】
そして形成されたトナー像を転写装置を使用して中間転写体或いは記録紙に転写し、中間転写体に転写されたトナー像ではさらに記録紙に転写し、記録紙に転写されたトナー像を定着装置により記録紙上に定着処理し、画像形成を完了し、この後、クリーニング装置を使用して像担持体上に残留したトナーを清掃するというプロセスを経るのが一般的である。
【0004】
上記した画像形成装置の画像形成プロセスに関与する部材装置のうち、像担持体、帯電装置、現像装置、クリーニング装置などを一体に収納した作像ユニット(イメージングユニット)が使用されるようになったが、これは、画像形成装置の保守点検を容易且つ迅速に行うためである。
【0005】
現像装置は、トナーとキャリアの混合物を使用する2成分現像方式が主流となっている。
【0006】
2成分現像方式の現像装置は、多数の磁極を備えた棒状のマグネットと、その周囲を覆うように配置された非磁性体の材料で構成された回転スリーブとから構成される現像ローラを像担持体に対向して配置する。回転スリーブの上には、棒状のマグネットの磁極部分に対向する部分にキャリアが吸着し、キャリアに付着したトナーにより磁気ブラシが形成される。現像ローラは像担持体に対向して配置されているので、上記磁気ブラシが像担持体上に形成された画像潜像に摺擦して接触し、画像潜像はトナーで現像され、トナー像が形成される。
【0007】
この方式の現像装置では、トナーとキャリアは現像装置の現像槽に収容されており、現像槽に現像ローラが配置されていて、現像ローラの回転スリーブが回転することでトナーが像担持体に向けて搬送される。このため、現像ローラに確実に保持されず、また現像に寄与しなかったトナーの一部が現像装置と像担持体との隙間から現像装置の外部に飛散してしまう。
【0008】
そこで、外部に飛散したトナーを回収するように構成して画像形成装置内部がトナーで汚染されることを防止するものが提案されている。即ち、フルカラー画像形成装置の後側に排気ダクトを設け、並列配置された4色(マゼンタ、シアン、イエロー、黒)の作像ユニット(イメージングユニット)(像担持体、帯電装置、現像装置、クリーニング装置等を一体に収納したユニット)に形成した開口部を前記排気ダクトに接続し、排気ダクトの端部に設けたフイルタ付きの排気ファンで現像装置の外部に飛散したトナーを吸引し、帯電装置や画像形成装置内部がトナーで汚染されることを防止するように構成したものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−20753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した構成では以下のような不都合がある。第1の不都合は、排気ダクトの設置が必要となることである。排気ダクトは、並列配置された4色のイメージングユニットのそれぞれに接続するため横方向に延びた長いダクトとなるため吸引効率が低下する。また、排気ダクトの排気口にはトナーが画像形成装置の外部に流出しないようにフィルターが必要であるが、このフィルターによっても吸引効率が低下する。
【0010】
また、フィルター表面にはトナーが滞積して目詰まりを起し、吸引効率が低下するから、定期的な交換が必要となる。交換の頻度を減らすためにはフィルター表面積を大きくすることで解決できるが、大型の排気ファンを使用することになり、結果として画像形成装置が大型になり、製造コストを高めることになる。
【0011】
第2の不都合は、排気ダクトの製造に関する不都合である。排気ダクトには、機能として気密性が求められるから、一体形状で構成することが望ましいが、画像形成装置の内部には様々な部品が配置されており、それらの部品を避けて排気ダクトを配置するため排気ダクトの形状は複雑になる。
【0012】
複雑な形状の排気ダクトを製造するには合成樹脂の射出成型が適しているが、成型用の金型が複雑となり、また大型の部品製造には向いていない。また、合成樹脂のブロー成型はダクトのような一体形状品の成型に適しているが、複雑な形状部品や開口部があると2次加工を必要とする。
【0013】
そのため、排気ダクトの製造では、排気ダクトを複数の部材に分割し、分割した部材を合成樹脂の射出成型で製造し、出来上がった部材を組み立てるという工程を採用するが、組み立て工程で部材相互の間の隙間をシール等で塞ぐ作業が必要となり、部材点数の増加のほか組み立て工程にシール等で塞ぐ作業が加わり、組み立て作業が繁雑となり製造コストを高めることになる。この発明は上記課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、像担持体表面を一様に帯電させる帯電装置と、表面に画像潜像が形成される像担持体と、像担持体上の画像潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、像担持体上のトナー像を記録紙に転写した後に残留するトナーを清掃するクリーニング装置を一体に収納した作像ユニットを、転写ベルトに沿って複数個備えた画像形成装置において、前記現像装置は、像担持体上の画像潜像をトナーで現像する際、飛散するトナーを吸引する吸引開口と、吸引開口から吸引された飛散トナーを排出する排出開口とを備え、前記クリーニング装置は、前記像担持体上の残留トナーを清掃するクリーニングブレードと、クリーニングブレード付近の飛散トナーを吸引する空気吸引口を備え、前記現像装置の排出開口は、前記現像装置に隣接する他の作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口に接続されることを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
そして、前記現像装置には、前記飛散トナーを吸引する吸引開口から排出開口に向かう搬送路が現像装置ハウジングに形成されており、前記飛散トナーは吸引される空気流により搬送路を経て排出開口に搬送される。
【0016】
そして、前記クリーニング装置は、空気排出口を備え、空気排出口はダクトを介して排気ファンに接続されている。
【0017】
また、前記画像形成装置は、さらに複数個の作像ユニットに沿って移動する転写ベルトと、その転写ベルト上の残留するトナーを清掃するベルトクリーニング装置を備え、前記現像装置に隣接する他の作像ユニットが存在しない位置に配置された作像ユニットでは、その作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口がベルトクリーニング装置に接続されるものとする。
【0018】
そして、前記クリーニング装置の空気排出口、及び前記ベルトクリーニング装置の空気排出口には、トナーの流出を防止する粉塵フイルタと、粉塵フイルタの表面に堆積したトナーを排除する排除部材を設けるとよい。
【0019】
そして、前記ベルトクリーニング装置は空気排出口を備え、当該空気排出口はダクトを介して排気ファンに接続されている。
【0020】
また、前記クリーニング装置の空気吸引口には、クリーニング装置が作像ユニットから取り外されると空気吸引口を閉鎖するシャッタ装置が備えられており、そのシャッタ装置は前記作像ユニットへのクリーニング装置の装着及び離脱動作に連動して空気吸引口が開閉されるように構成するとよい。
【発明の効果】
【0021】
以上、この発明の画像形成装置の現像装置は、像担持体上の画像潜像をトナーで現像する際、飛散するトナーを吸引する吸引開口と、吸引開口から吸引された飛散トナーを排出する排出開口とを備え、クリーニング装置はクリーニングブレード付近の飛散トナーを吸引する空気吸引口を備え、現像装置の排出開口と前記現像装置に隣接する他の作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口に接続されている。現像装置には、飛散トナーを吸引する吸引開口から排出開口に向かう搬送路が現像装置ハウジングに形成されているから、飛散トナーを搬送するために長い複雑な形状のダクトを設ける必要がない。
【0022】
また、この発明の画像形成装置では、複数個の作像ユニットに沿って移動する転写ベルトと、その転写ベルト上の残留するトナーを清掃するベルトクリーニング装置を備えており、現像装置に隣接する他の作像ユニットが存在しない位置に配置された作像ユニットでは、その作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口がベルトクリーニング装置に接続されているから、飛散トナーを搬送するために長い複雑な形状のダクトを設ける必要がない。
【0023】
そして、クリーニング装置の空気排出口、及びベルトクリーニング装置の空気排出口には、トナーの流出を防止する粉塵フイルタと、粉塵フイルタの表面に堆積したトナーを排除する排除部材を設けているから、回収された飛散トナーを外部に放散してしまうことがなく、粉塵フイルタの表面にトナーが堆積することもないなど、従来の画像形成装置の構成からは得られない顕著な効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0025】
[フルカラー画像形成装置の構成の概略]
図1は、この発明を実施するに適したタンデム方式のフルカラー画像形成装置10の構成の概略を説明する断面図である。以下の説明では、フルカラー画像形成装置を、単に画像形成装置という場合がある。タンデム方式のフルカラー画像形成装置自体は公知の構成であるから、構成の概要だけを簡単に説明する。
【0026】
図1において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、および黒(K)の各色の画像を形成する作像ユニット11、12、13、14が、駆動ローラ15および従動ローラ16の間に架設された中間転写体である中間転写ベルト17の下に直列に配置され、中間転写ベルト17は、図示しないモータ及び駆動装置を経て駆動される駆動ローラ15により矢印a方向に一定の速度で移動するように構成されている。
【0027】
各作像ユニット11〜14は、それぞれ像担持体である感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、及び感光体上の転写残トナーを清掃するクリーニング装置が配置されている。
【0028】
画像信号処理装置20には、図示しないスキャナから出力された画像信号、或いはパソコン等から出力された画像信号が入力され、各作像ユニット11〜14の露光装置に、形成する画像の色に対応した画像信号が出力される。また、画像信号処理装置20の下側には給紙部21が配置されている。
【0029】
各作像ユニット11〜14には転写装置は備えられておらず、これに代えて中間転写ベルト17を挟んで作像ユニット11〜14と反対側に、一次転写ローラ11T、12T、13T、14Tが配置されている。
【0030】
また、従動ローラ16と対向する位置には中間転写ベルト17を挟んで二次転写ローラ18が配置され、駆動ローラ15と対向する位置には中間転写ベルト17を挟んでベルトクリーニング装置19が配置されている。
【0031】
また、二次転写ローラ18の記録紙搬送方向下流側には、記録紙に転写されたトナー像を定着処理する定着装置22が配置され、その下流側には、排紙ローラ23、排紙トレイ24が配置されている。
【0032】
以上は、タンデム方式のフルカラー画像形成装置の構成の概略であるが、図示しないがモノクロ画像のみを形成するために1個の作像ユニット、例えば黒色作像ユニットのみを配置した画像形成装置もある。
【0033】
[現像装置の構成]
図2は、作像ユニット11〜14の内部に配置される現像装置31の構成を説明する断面図で、ここでは作像ユニット11の内部に配置される現像装置31の構成を説明するが、その他の作像ユニット12〜14の内部に配置される現像装置も同様の構成であるから、他の作像ユニット12〜14の内部に配置される現像装置の説明は省略する。
【0034】
現像装置31は、現像ハウジング31aの内部に現像ローラ31b、撹拌ローラ31c、図示しないトナーホッパーから補給されたトナーを現像ハウジング31a内部に補給する補給ローラ31dが配置されており、現像ハウジング31a内部にはトナーと磁性体であるキャリアの混合物である現像剤Dが収容されている。
【0035】
現像ローラ31bは、内部に多数の磁極を備えて棒状に形成されたマグネット31b1と、マグネット31b1の周囲を覆い、回転自在に配置された非磁性体の現像スリーブ31b2とから構成され、現像ローラ31bは感光体30に隣接して配置される。
【0036】
撹拌ローラ31cが回転することで、トナーは感光体上の潜像を現像するに適した所定の極性に帯電され、現像剤Dのキャリアに付着して現像スリーブ31b2の上に磁気ブラシを形成する。現像スリーブ31b2の上に形成されたトナーを含む磁気ブラシは感光体上の潜像に接触し、潜像はトナーで現像され感光体上にトナー像が形成される。
【0037】
感光体上に形成されたトナー像は、この後、中間転写ベルト17に転写される。そして、前記トナー像の上に、他の作像ユニット12〜14の感光体上に形成されたトナー像が順次重畳して転写されてフルカラーのトナー像が形成される。形成されたフルカラーのトナー像は記録紙に転写され、定着処理されてフルカラーの画像が形成される。
【0038】
現像スリーブ上に形成された磁気ブラシに含まれるトナーは感光体上に転写されてトナー像を形成して消費されるが、トナーの一部は転写されずに現像スリーブと感光体との間の隙間から現像装置31の外部に飛散してしまい、画像形成装置の内部や外部を汚染させてしまうので、以下説明する構成でトナーの飛散を防止する。
【0039】
図3は現像装置31の一方の端部付近を説明する斜視図、図4は同じく現像装置31の一方の端部付近の飛散トナーの吸引経路を説明する斜視図で、図4ではシール部材31hを外して示してある。
【0040】
現像ローラ31bを構成するマグネット31b1はその構造上、左右端部付近の磁力が弱く、現像装置31の外部にトナーが飛散しやすい。そのため、現像装置31の端部付近には、飛散トナーを吸引する吸引開口31eが設けられているほか、現像装置31の中央部付近には吸引した飛散トナーを排出する排出開口31fが設けられており、現像ハウジング31aの上には、吸引開口31eから排出開口31fに向かう搬送路31g(点線で図示)が形成されており、その上面はシール部材31hで覆われて搬送路31gは密閉されている。
【0041】
また、現像装置31の他方の端部付近にも、図3及び図4に示すものと同様に飛散トナーを吸引する吸引開口31e、吸引したトナーを排出する排出開口31f、搬送路31gが形成されている。
【0042】
現像装置31の左右端部付近で吸引開口31eから吸引された飛散トナーは、現像装置ハウジングに形成された搬送路31gを経て搬送され、排出開口31fから排出される。排出開口31fから排出されたトナーの処理は、後で詳細に説明する。
【0043】
[クリーニング装置の構成]
図5は感光体上に残留したトナーを清掃するクリーニング装置40の構成を説明する断面図、図6はクリーニング装置40の一方の端部付近を説明する斜視図で、クリーニング装置40は、前記した作像ユニット11〜14のそれぞれに同一構成のものが配置されるが、ここではその1つのクリーニング装置40について説明する。
【0044】
図7及び図8はクリーニング装置40の一方の端部付近の内部構成を説明する斜視図で、図8は図7に示すクリーニング装置40の一方の端部付近の内部構成を上方から見た斜視図である。また、図9はクリーニング装置40の一方の端部付近の内部構成を説明する斜視図、図10はクリーニング装置40の他端部付近の構成を説明する斜視図、図11はクリーニング装置40の他端部付近の構成を上方から見た斜視図である。
【0045】
図5乃至図11を参照してクリーニング装置40の端部付近の内部構成を説明する。図5に示すように、クリーニング装置40は、感光体30に隣接して配置され、ハウジング41に取り付けられたクリーニングブレード42が感光体30に圧接して、感光体30上に残留したトナーを掻き落とす。
【0046】
クリーニングブレード42の上方はシール部材49aでシールされており、クリーニングブレード42の右はシール部材49bで、左はシール部材49cでシールされており(図7参照)、掻き落されたトナーはクリーニング装置40の外部に漏れることなく、ハウジング41内部のトナー溜まり41aに滞積する。
【0047】
トナー溜まり41aに滞積したトナーは、トナー溜まり41aの底部に配置された搬送スクリュー43によりクリーニング装置の端部に向けて搬送され(図5〜図10参照)、搬送スクリュー43端部の開口43aから図示しない回収ボックスに排出される。
【0048】
現像装置31の排出開口31f(図4参照)は、隣接する作像ユニット12(現像装置31が作像ユニット11の場合)のクリーニング装置40の空気吸引口44(図6参照)に対向接合されるように構成されており、排出開口31fと空気吸引口44との接合部は、搬送された飛散トナーが外部に漏れることがないようシール部材44aでシールされている。
【0049】
図12は、黒(K)の作像ユニット14、シアン(C)の作像ユニット13、マゼンタ(M)の作像ユニット12のそれぞれに設けられた、現像装置31の排出開口と隣接する作像ユニットのクリーニング装置40の空気吸引口44とが対向接合され、飛散トナーが隣接する作像ユニットに吸引される構成を説明する概念図であり、また、黒(K)の作像ユニット14、シアン(C)の作像ユニット13、マゼンタ(M)の作像ユニット12のそれぞれに設けられたクリーニング装置40のハウジング41(図5参照)の空気を排気ファン50で排気する構成を説明する概念図である。
【0050】
まず、図12を参照して、黒(K)の作像ユニット14、シアン(C)の作像ユニット13、マゼンタ(M)の作像ユニット12のそれぞれに設けられた現像装置31の排出開口31fと隣接する作像ユニットのクリーニング装置40の空気吸引口44とが対向接合され、飛散トナーが隣接する作像ユニットに吸引される構成を説明する。
【0051】
図12に示すように、黒(K)の作像ユニット14の現像装置31の排出開口31fはシアン(C)の作像ユニット13のクリーニング装置40の空気吸引口44に対向接合され、シアン(C)の作像ユニット13の現像装置31の排出開口31fはマゼンタ(M)の作像ユニット12のクリーニング装置40の空気吸引口44に対向接合され、マゼンタ(M)の作像ユニット12の現像装置31の排出開口31fはイエロー(Y)の作像ユニット11のクリーニング装置40の空気吸引口44に対向接合される。
【0052】
イエロー(Y)の作像ユニット11のクリーニング装置40には、空気排出口46が形成され、空気排出口46は、ベルトクリーニング装置19に接続される。これについては、後で詳細に説明する。
【0053】
一方、現像装置31の排出開口31fから排出された飛散トナーをクリーニング装置のハウジング41内部に吸引するため、クリーニング装置40のハウジング41には、図9に示すように、空気吸引口44が形成されている。クリーニング装置40のハウジング41内部を負圧にするため、ハウジング41には空気排出口45が形成されており(図10参照)、空気排出口45は後述する排気ファン50に連接されている(図12参照)。
【0054】
この構成により、作像ユニットの現像装置31の排出開口31fから排出された飛散トナーは、隣接する作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口44からハウジング41の内部に吸引され、その大部分はトナー溜まり41aに滞積した後、搬送スクリュー43端部の開口43aから図示しない回収ボックスに排出される。イエロー(Y)の作像ユニット11のクリーニング装置40は、隣接する作像ユニットがなく、クリーニング装置の空気排出口46から排出された飛散トナーは、ベルトクリーニング装置19の回収ボックスに排出される。
【0055】
空気吸引口44は粉塵フイルタ44fが装着されているから、粉塵フイルタ44fの表面はトナーが付着して目詰まりを起こして吸引効果が低下する。この対策として、粉塵フイルタ44fの表面に付着したトナーを掻き落とす構成を設けてある。即ち、図9に示すように、上下移動自在な架橋防止部材43dと、架橋防止部材43dの端部に掻き取り部材43eが、搬送スクリュー43に沿って配置されている。
【0056】
この構成により、搬送スクリュー43が回転すると、架橋防止部材43dが搬送スクリュー43の螺旋体を越えて上下移動して搬送スクリュー43の上に付着したトナーを払うと同時に、掻き取り部材43eも上下移動して、粉塵フイルタ44fの表面に付着したトナーを掻き落とすことができる。
【0057】
図12に示すように、黒(K)の作像ユニット14、シアン(C)の作像ユニット13、マゼンタ(M)の作像ユニット12のそれぞれのクリーニング装置40に形成された空気排出口45は、ダクト45m及びダクト45nを経て(図12参照)、排気ファン50に連接されている。なお、クリーニング装置40のハウジング41にダクト形状体を構成してダクト45mの代りとすることもできる。
【0058】
この構成により、クリーニング装置40のハウジング41内部の空気排出口45から排出された飛散トナーを含む空気は、ダクト45m及びダクト45n、共通の排気ファン50を経て画像形成装置の外部に放出されるが、排気ファン50には、前記した粉塵フイルタ44fと同様の構成の粉塵フイルタを設けることで捕捉され、飛散トナーが画像形成装置の外部に放出されることはない。
【0059】
ベルトクリーニング装置19は、イエロー(Y)の作像ユニット11に隣接して配置され、ハウジングに取り付けられたクリーニングブラシ19aを中間転写ベルト17に圧接して、中間転写ベルト17の上に残留したトナーを掻き落とす。掻き落されたトナーはベルトクリーニング装置19の内部のトナー溜まりに滞積し、トナー溜まりの底部に配置された搬送スクリューによりベルトクリーニング装置の端部に向けて搬送され、搬送スクリュー端部の開口から図示しない回収ボックスに排出される。この構成は、前記した感光体30上に残留したトナーを掻き落とすクリーニング装置(図5〜図10参照)の構成と類似した構成で、クリーニングブレードをクリーニングブラシに変更したものであって公知の構成でもあるから、詳細な構成は図示及び説明を省略する。
【0060】
前記したイエロー(Y)の作像ユニット11のクリーニング装置40の空気排出口46は、排気ダクト19dを介してベルトクリーニング装置19に接続される。ベルトクリーニング装置19の排気ダクト19eは、ダクト45nを経て前記した共通の排気ファン50に接続される。
【0061】
[クリーニング装置のシャッタ装置]
作像ユニット12〜14にはクリーニング装置40の空気吸引口にシャッタ装置が設けられており、作像ユニット12〜14を画像形成装置10から取り外すとクリーニング装置40の空気吸引口のシャッタが閉じ、トナーが外部に漏れないように構成されている。 ここでは、クリーニング装置40の空気吸引口に設けたシャッタ装置について説明するが、現像装置31についても、作像ユニット12〜14を画像形成装置10から取り外すと現像装置31の空気吸引口をシャッタで閉じる同様の構成のシャッタ装置を設けるとよい。
【0062】
図13は、クリーニング装置40のシャッタ装置を説明する図、図14は、クリーニング装置40のシャッタ装置の要部を拡大した斜視図である。作像ユニット12〜14のクリーニング装置40は同じ構成を備えているので、以下の説明では作像ユニット11のクリーニング装置のシャッタ装置について説明する。
【0063】
クリーニング装置40には、空気吸引口44(図5、図6参照)に、矢印A方向に摺動自在なシャッタ48が設けられており、シャッタ48はクリーニング装置40に植設されたピン48a、ピン48bに架設されたバネ48cにより、常時空気吸引口44を閉じる位置に付勢されている。
【0064】
一方、画像形成装置10には、図13(a)、(b)、(c)に示すように、作像ユニット11を装着するためのレール部材10Rが形成されており、レール部材10Rにはストッパ10Sが取り付けられている。
【0065】
画像形成装置10に作像ユニット11を装着するときは、図13(a)に示すように、作像ユニット11をレール部材10Rの側面に接触させながら矢印A方向にスライドさせると、図示しない係止部材により作像ユニット11は画像形成装置10に一旦、固定される。このとき、ストッパ10Sはシャッタ48に接触しておらず、シャッタ48は空気吸引口44を閉じる位置に留まる。
【0066】
作像ユニット11をレール部材10Rの側面に接触させながら、更に矢印A方向にスライドさせると、図13(b)に示す状態となり、ストッパ10Sはシャッタ48のピン48pに接触するが、シャッタ48は空気吸引口44を閉じる位置に留まる。
【0067】
作像ユニット11をレール部材10Rの側面に接触させながら、更に矢印A方向に一杯にスライドさせると、図13(c)に示す状態となり、ストッパ10Sはシャッタ48のピン48pに当接し、シャッタ48を矢印Aと反対方向に移動させる。この結果、空気吸引口44が開かれる。
【0068】
作像ユニット11をレール部材10Rの側面に接触させながら矢印Aと反対方向にスライドさせると図13(a)に示す初期状態に戻り、シャッタ48は空気吸引口44を閉じる位置に復帰し、作像ユニット11を取り外すことができる。
【0069】
以上のとおり、画像形成装置10に作像ユニット11が装着されていない状態では、作像ユニット11のクリーニング装置40の空気吸引口44はシャッタ48で閉鎖されており、トナーが外部に漏れることはない。画像形成装置10に作像ユニット11を装着すると、作像ユニット11のクリーニング装置40の空気吸引口44を閉鎖しているシャッタ48は開口位置に移動し、空気吸引口本来の機能を果たすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
複数の作像ユニットを備えた画像形成装置の感光体や転写ベルト上に残留したトナーを清掃するクリーニング装置である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明を実施するに適したタンデム方式のフルカラー画像形成装置の構成の概略を説明する断面図。
【図2】作像ユニットの内部に配置される現像装置の構成を説明する断面図。
【図3】現像装置の一方の端部付近を説明する斜視図。
【図4】現像装置の一方の端部付近の飛散トナーの吸引経路を説明する斜視図。
【図5】感光体上に残留したトナーを清掃するクリーニング装置の構成を説明する断面図。
【図6】クリーニング装置の一方の端部付近を説明する斜視図。
【図7】クリーニング装置の一方の端部付近の内部構成を説明する斜視図。
【図8】クリーニング装置の一方の端部付近の内部構成を上方から見た斜視図。
【図9】クリーニング装置の一方の端部付近の内部構成を説明する斜視図。
【図10】クリーニング装置の他端部付近の構成を説明する斜視図。
【図11】クリーニング装置の他端部付近の構成を上方から見た斜視図。
【図12】飛散トナーが隣接する作像ユニットに吸引される構成、及びクリーニング装置内部の空気を排気する構成を説明する概念図。
【図13】クリーニング装置のシャッタ装置を説明する斜視図。
【図14】クリーニング装置のシャッタ装置の要部を拡大した斜視図。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置(フルカラー画像形成装置)
10R レール部材
10S ストッパ
11、12、13、14 作像ユニット
11T、12T、13T、14T 一次転写ローラ
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 中間転写ベルト
18 二次転写ローラ
19 ベルトクリーニング装置
19a クリーニングブラシ
19d 排気ダクト
19e 排気ダクト
20 画像信号処理装置
21 給紙部
22 定着装置
23 排紙ローラ
24 排紙トレイ
30 感光体
31 現像装置
31a 現像ハウジング
31b 現像ローラ
31b1 マグネット
31b2 現像スリーブ
31c 撹拌ローラ
31d 補給ローラ
31e 吸引開口
31f 排出開口
31g 搬送路
31h シール部材
40 クリーニング装置
41 ハウジング
41a トナー溜まり
42 クリーニングブレード
43 搬送スクリュー
43d 架橋防止部材
43e 掻き取り部材
43a 開口
44 空気吸引口
44a シール部材
44f 粉塵フイルタ
44a シール部材
45 空気排出口
45m ダクト
45n ダクト
45y ダクト
46 空気排出口
48 シャッタ
48a、48b ピン
48c バネ
49a、49b、49c シール部材
50 排気ファン
D 現像剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体表面を一様に帯電させる帯電装置と、表面に画像潜像が形成される像担持体と、像担持体上の画像潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、像担持体上のトナー像を記録紙に転写した後に残留するトナーを清掃するクリーニング装置を一体に収納した作像ユニットを、転写ベルトに沿って複数個備えた画像形成装置において、
前記現像装置は、像担持体上の画像潜像をトナーで現像する際、飛散するトナーを吸引する吸引開口と、吸引開口から吸引された飛散トナーを排出する排出開口とを備え、
前記クリーニング装置は、前記像担持体上の残留トナーを清掃するクリーニングブレードと、クリーニングブレード付近の飛散トナーを吸引する空気吸引口を備え、
前記現像装置の排出開口は、前記現像装置に隣接する他の作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口に接続されること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置には、前記飛散トナーを吸引する吸引開口から排出開口に向かう搬送路が現像装置ハウジングに形成されており、前記飛散トナーは吸引される空気流により搬送路を経て排出開口に搬送されること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニング装置は空気排出口を備え、空気排出口はダクトを介して排気ファンに接続されること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、さらに複数個の作像ユニットに沿って移動する転写ベルトと、その転写ベルト上の残留するトナーを清掃するベルトクリーニング装置を備え、
前記現像装置に隣接する他の作像ユニットが存在しない位置に配置された作像ユニットでは、その作像ユニットのクリーニング装置の空気吸引口がベルトクリーニング装置に接続されること
を特徴とする請求項1乃至3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルトクリーニング装置は空気排出口を備え、当該空気排出口はダクトを介して排気ファンに接続されること
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クリーニング装置の空気排出口、及び前記ベルトクリーニング装置の空気排出口には、トナーの流出を防止する粉塵フイルタと、粉塵フイルタの表面に堆積したトナーを排除する排除部材が設けられていること
を特徴とする請求項1乃至3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニング装置の空気吸引口には、クリーニング装置が作像ユニットから取り外されると空気吸引口を閉鎖するシャッタ装置が備えられており、シャッタ装置は前記作像ユニットへのクリーニング装置の装着及び離脱動作に連動して空気吸引口が開閉されること
を特徴とする請求項1乃至3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−151933(P2010−151933A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327642(P2008−327642)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】