説明

画像形成装置

【課題】
発生したエラーがユーザが入力したジョブにかかるものであるか否かを的確に知ることができると共に、他人が入力したジョブが実行されているときには、エラー画面ではなく待機要求画面をユーザに対して表示することで、ユーザによる給紙トレイの挿抜等のエラー解除にかかる操作の実行を抑制し、他人が入力したジョブに対する妨害を防止することが可能な画像形成装置の提供。
【解決手段】
入力されたジョブを順次印刷処理する処理部と、ジョブにかかる処理で発生したエラーを検出する検出部と、特定のユーザにより入力されたジョブにかかる処理において検出部がエラーを検出した場合、エラーにかかるジョブを待避させると共に、次のジョブを処理部へ入力する待避部と、エラーの特定のユーザへの表示を制御する表示制御部と、を備え、表示制御部は次のジョブにかかる処理が終了するまで特定のユーザへの表示方法を変更することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のジョブを処理可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリントジョブや通信系ジョブ及びスキャナジョブを複数並列して動作可能で、複数のシステムファンクション(プリンタ/ファクシミリ/スキャナ)を切り替え可能な画像形成装置において、ユーザが優先して使用したいシステムファンクションとは無関係のシステムファンクションのエラー表示により表示画面が覆われ、優先的に使用したいシステムファンクションに関する操作を潤滑に行うことができないといった問題があった。
【0003】
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、発生したエラーをシステムファンクション毎に分類し、ユーザが頻繁、且つ優先的に使用するシステムファンクションに対するエラーを優先的に表示する装置についての発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−232626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の装置では、表示されたエラーがユーザ自身が入力したジョブにかかるものか、他人が入力したジョブにかかるものであるかが判別しづらいといった問題があった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、発生したエラーがユーザが入力したジョブにかかるものであるか否かを的確に知ることができると共に、他人が入力したジョブが実行されているときには、エラー画面ではなく待機要求画面をユーザに対して表示することで、ユーザによる給紙トレイの挿抜等のエラー解除にかかる操作の実行を抑制し、他人が入力したジョブに対する妨害を防止することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、入力されたジョブを順次印刷処理する処理部と、ジョブにかかる処理で発生したエラーを検出する検出部と、特定のユーザにより入力されたジョブにかかる処理において検出部がエラーを検出した場合、エラーにかかるジョブを待避させると共に、次のジョブを処理部へ入力する待避部と、エラーの特定のユーザへの表示を制御する表示制御部と、を備え、表示制御部は次のジョブにかかる処理が終了するまで特定のユーザへの表示方法を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発生したエラーがユーザが入力したジョブにかかるものであるか否かを的確に知ることができると共に、他人が入力したジョブが実行されているときには、エラー画面ではなく待機要求画面をユーザに対して表示することで、ユーザによる給紙トレイの挿抜等のエラー解除にかかる操作の実行を抑制し、他人が入力したジョブに対する妨害を防止することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の機能構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】表示画面の構成例の一例を説明する図である。
【図3】表示画面の構成例の一例を説明する図である。
【図4】表示画面の構成例の一例を説明する図である。
【図5】表示画面の構成例の一例を説明する図である。
【図6】給紙部の概略構成を説明する側面断面図である。
【図7】給紙部の概略構成を説明する側面断面図である。
【図8】ジョブキューの構成例の一例を説明する図である。
【図9】印刷ジョブデータを受信したときに画像形成装置が実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図10】発生したエラーが解除された際に画像形成装置が実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図11】ユーザによる画像形成装置へのログイン処理にかかる処理動作を説明するフローチャートである。
【図12】、印刷ジョブの処理終了時にジョブ管理部が実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図13】画像形成装置の機能構成を説明する機能ブロック図である。
【図14】表示画面の構成例の一例を説明する図である。
【図15】エラー表示可否判定表の構成例の一例を説明する図である。
【図16】ジョブキューの構成例の一例を説明する図である。
【図17】ユーザによる画像形成装置500へのログイン処理にかかる処理動作を説明するフローチャートである。
【図18】FAX送信ジョブデータを受信したときに画像形成装置が実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図19】発生したエラーが解除された際に画像形成装置が実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる画像形成装置100の機能構成を説明する機能ブロック図である。画像形成装置100は、例えば、電子写真方式の印刷エンジンを備え、入力された印刷ジョブデータに基づく画像を用紙上に印刷することができるプリンタであり、例えば、LAN(Local Area Network)等の通信ケーブルによって、プリンタドライバを用いて印刷ジョブデータを生成するPC(Personal Computer)200、PC201、PC202に接続されている。
【0012】
そして、画像形成装置100は、操作部101と、表示部102と、表示制御部103と、印刷部104と、給紙部105と、接続部106と、ジョブ情報解析部107と、ジョブ管理部108と、画像変換部109と、記憶部110と、制御部111と、を備え、これらの各部材はシステムバス112を介して接続されている。
【0013】
操作部101は、例えば、数字の入力を受付けるテンキー、アルファベット等の入力を受付ける入力ボタンキー、又は操作の確定を受付ける確定ボタンキー等の各ボタンキーを備え、ユーザによるユーザIDの入力や各種設定入力を受付ける。
【0014】
表示部102は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備え、後述する表示制御部103の制御に基づき、図2〜図5に例示するような各表示画面を表示する。ここで、図2〜図5に例示する各表示画面について説明する。図2は、ユーザID入力画面301の一形態を説明する図である。ユーザID入力画面301は、ユーザによるユーザIDの入力を受付ける画面であり、画像形成装置100の起動時、またはログイン待ち状態の初期画面である。そして、ユーザID入力画面301が表示された状態で操作部101を介してユーザIDが入力されると、画像形成装置100はログイン処理を実行する。図3は、通常画面302の一形態を説明する図である。通常画面302は、ジョブ処理にかかるエラーが発生していないときに、ユーザがログインすると画像形成装置100が表示する画面であると共に、画像形成装置100の装置状態を表示する表示画面である。図4は、待機要求画面303の一形態を説明する図である。待機要求画面303は、ユーザに対して処理中の印刷ジョブが終了するまで待機するよう要求する画面である。なお、待機要求画面303は、画像形成装置100が他人により入力された印刷ジョブを処理中であり、且つ、ログインしたユーザにより入力された印刷ジョブがエラーの発生により待避させられているときに表示される。図5は、エラー通知画面304の一形態を説明する図である。エラー通知画面304は、ユーザに対してエラーを通知する画面である。エラー通知画面304は、画像形成装置100が他人により入力された別の印刷ジョブの処理中ではなく(印刷ジョブがない状態)、且つ、ログインしたユーザにより入力された印刷ジョブがエラーの発生により待避させられているときに表示される。なお、エラー通知画面304に表示される表示内容は、特には限定はされないが、例えば、図5に示すように、発生したエラー内容と、その解除方法を表示する形態としてもよい。
【0015】
表示制御部103は、上記のユーザID入力画面301、通常画面302、待機要求画面303、又はエラー通知画面304等の表示部102が表示する表示内容を決定すると共に、当該画面の表示内容を記憶するメッセージ格納部120を備える。
【0016】
印刷部104は、例えば、電子写真方式の印刷エンジンを備え、用紙サイズデータや印刷ジョブデータに基づくビットマップ形式の画像データが入力されると、給紙部105から給紙された用紙上に画像を印刷する。
【0017】
給紙部105は、用紙を積載する給紙トレイ、給紙トレイから用紙を一枚ずつ取り出すと共に、印刷部104に用紙を搬送する用紙搬送機構を備える。
【0018】
ここで、給紙部105について図6、図7を用いて説明する。図6は給紙部105の概略構成を説明する側面断面図であり、図7は給紙部105から給紙トレイ401が抜かれた状態を説明する側面断面図である。
【0019】
図6に示すように、給紙部105には、給紙トレイ401、及び給紙トレイ402が装着され、例えば、給紙トレイ402に積載された用紙451は、給紙ローラ403により溝422、溝421を通過して印刷部104に給紙される。そして、給紙トレイ401、及び給紙トレイ402に積載可能な用紙のサイズは、給紙トレイ401、及び給紙トレイ402に設けられた図示せぬダイヤルにより設定可能であり、例えば、給紙トレイ401にはA3サイズの用紙、給紙トレイ402にはA4サイズの用紙といった異なるサイズの用紙を積載することが可能である。さらに、給紙部105は給紙トレイ401、又は給紙トレイ402の挿抜と、給紙トレイ上の用紙の有無を検出する図示せぬセンサを備える。
【0020】
ここで、用紙452を給紙トレイ401にを補充する場合には、図7に示すように、給紙トレイ401を給紙部105から引き抜いた状態で用紙452を積載し、再び給紙トレイ401を給紙部105に装着することで用紙452を補充することができる。
【0021】
なお、図7に示すような状態、つまり、給紙部105から給紙トレイ401が引き抜かれた状態において、給紙トレイ401上の用紙451が印刷部104に向けて給紙されると、用紙451が通過する溝421の位置がずれているために、用紙451が用紙搬送途中で詰まることになる。また、印刷部104が用紙上に画像を形成している最中に、給紙トレイ401、又は給紙トレイ402を挿抜すると、印刷部104に振動が伝わり、印刷部104が用紙上に形成する画像が乱れることがある。
【0022】
接続部106は、例えば、ネットワークカード等を備え、LAN等の通信ケーブルを介してPC200、PC201、PC202から印刷ジョブデータを受信する。
【0023】
ジョブ情報解析部107は、接続部106を介して受信した印刷ジョブデータの先頭部を解析し、印刷ジョブデータを入力したユーザのユーザIDを読取る。
【0024】
ジョブ管理部108は、生成した印刷ジョブを管理するジョブキュー121、及びエラー検出部122を備え、複数の印刷ジョブの実行順や印刷ジョブの開始タイミングを制御する。
【0025】
ここで、図8に示すジョブキュー121について説明する。ジョブキュー121は、画像形成装置100に入力された順に印刷ジョブを登録する。具体的には、ジョブキー121は、新しく入力された印刷ジョブは末尾に登録し、先頭にある印刷ジョブから順に印刷処理する。ここで、ジョブキー121により登録される印刷ジョブの情報としては、ジョブ番号、状態、ユーザID、用紙サイズ、文書名、及びエラー種別である。ジョブ番号は、プリンタにより受信するジョブ毎に順に割付られる番号である。状態は、画像形成装置100が何の印刷ジョブ処理を実行しておらず、印刷ジョブ処理開始指示を待っている状態を表す「待機中」、画像形成装置100がまさに印刷ジョブ処理を実行している最中である状態を表す「処理中」、画像形成装置100が印刷ジョブ処理中に処理を継続することができない状態となり、印刷ジョブを待避させた状態を表す「エラー」の3種類の値をとる。ユーザIDは、ジョブ内に格納され、印刷ジョブデータを入力したユーザを識別するための識別番号である。用紙サイズは、ジョブ内で指定され、ジョブ処理にかかる画像の用紙上の大きさである。文書名は、ジョブ内に格納された文書名である。エラー種別は、例えば、A3用紙切れ等のエラーの種別情報である。
【0026】
このような構成を有するジョブキー121を使用し、ジョブ管理部108は印刷ジョブの処理順番を決定する。そして、ジョブ管理部108は、画像形成装置100が処理中の印刷ジョブが無い場合は、ジョブキー121の先頭から待機中の印刷ジョブを探索し、最初に見つかった印刷ジョブの処理を開始する。また、ジョブ管理部108は、エラーの発生によって印刷ジョブの処理が継続可能であるか否かを判定すると共に、各印刷ジョブの実行や待避を行うためにそれに関与する各部材の制御を行う。
【0027】
エラー検出部122は、画像形成装置100を監視し、当該画像形成装置100が印刷ジョブの処理を継続できない状態となったことをエラーとして検出すると共に、当該エラーが解除されたことも検出する。エラー検出部122がエラーの発生を検出すると、ジョブ管理部108は、処理中の印刷ジョブの中間データを記憶部110へ待避させ、印刷ジョブの処理を中断し、印刷ジョブの状態を「エラー」へ変更する。また、エラー検出部122がエラーの解除を検出すると、ジョブ管理部108は、解除されたエラーに起因して変更された印刷ジョブの状態を「エラー」から「待機中」に変更する。
【0028】
画像変換部109は、印刷ジョブデータに含まれる、ページ記述言語を解析し、用紙サイズを決定すると共に、画像形成にかかる部分を印刷部104が解釈可能なビットマップ形式の画像データに変換する。
【0029】
記憶部110は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記録装置を用いることができ、記憶部110上の待避エリア123に画像変換部109が変換途中でジョブ管理部108により処理が中断された印刷ジョブデータの中間データであるビットマップ形式の画像データを記憶する。
【0030】
制御部111は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)を備え、画像形成装置100を構成する各部材を統括的に制御する。
【0031】
システムバス112は、画像形成装置100を構成する各部材間を接続し、各データや処理の実行命令を伝達する。
【0032】
このような構成を備えた画像形成装置100の処理動作について以下のフローチャートを用いて説明する。図9は、印刷ジョブデータを受信したときに画像形成装置100が実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【0033】
まず、ステップS101において、画像形成装置100は接続部106を介してPC200、PC201、又はPC202から印刷ジョブデータを受信する。
【0034】
接続部106を介して印刷ジョブデータを受信すると、ジョブ管理部108は印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブをジョブキー121の末尾に登録する(ステップS102)。
【0035】
次に、ジョブ情報解析部107は印刷ジョブデータの先頭部分を解析することでユーザIDを読出し、ジョブキー121の情報を更新する(ステップS103)。
【0036】
そして、ジョブ管理部108は処理中の印刷ジョブが存在しない場合には、ジョブキュー121の先頭から待機中の印刷ジョブを探索し、最初に見つかった印刷ジョブがステップS103で登録された印刷ジョブであれば、ジョブ管理部108は当該印刷ジョブの状態を「処理中」に変更し、以降の処理を継続する(ステップS104)。
【0037】
ステップS105において、画像変換部109は、印刷ジョブデータに含まれる、ページ記述言語を解析し、用紙のサイズを、例えば、A3と決定すると共に、画像形成にかかる部分を印刷部104が解釈可能なビットマップ形式の画像データに変換する。そして、ジョブ管理部108は、ジョブキー121の用紙サイズをA3へ更新する。
【0038】
ここで、例えば、給紙部105が備える図示せぬセンサが給紙トレイ401のA3用紙の用紙切れを検出すると、給紙部105は当該検出信号をエラー検出部122へ通知する(ステップS106 Yes)。そして、エラー検出部122はエラー「用紙無しA3」が発生した旨をジョブ管理部108へ通知する。エラー「用紙無しA3」の通知を受けたジョブ管理部108は、処理中の印刷ジョブを待避させる。つまり、ジョブ管理部108は、画像変換部109が変換し、未印刷のビットマップ形式の画像データを記憶部110の待避エリア123に記憶させる。そして、ジョブ管理部108はジョブキュー121の状態を「エラー」に変更する。
【0039】
一方、エラー「用紙無しA3」等が発生しなかった場合(ステップS106 No),印刷部104は給紙部105から給紙された用紙に対して入力された画像データに基づく画像を印刷する(ステップS108)。
【0040】
そして、ジョブ管理部108は、印刷部104により印刷ジョブデータに含まれる全ての画像データの印刷が終了するまでステップS106からの処理を繰り返す(ステップS109)。
【0041】
印刷部104による印刷ジョブデータに含まれる全ての画像データの印刷が終了すると(ステップS109 Yes)、ジョブ管理部108は、完了した印刷ジョブをジョブキュー121から削除し、処理を終了する(ステップS110)。
【0042】
次に、図9のステップS106において発生したエラーが解除された際に画像形成装置100が実行する処理動作について図10のフローチャートを用いて説明する。なお、ここで発生したエラーはA3用紙切れとし、発生したエラーの解除方法としてはA3用紙の補充として説明する。
【0043】
まず、ステップS201において、給紙部105が備える図示せぬセンサが給紙トレイ401にA3用紙が補充されたことを検出すると、給紙部105は当該検出信号をエラー検出部122へ通知する。そして、エラー検出部122は、給紙トレイ401にA3用紙が補充され、エラー「用紙無しA3」が解除された旨をジョブ管理部108に通知する。
【0044】
エラー検出部122からエラー「用紙無しA3」が解除された旨の通知を受けると、ジョブ管理部108は、印刷ジョブの処理が当該エラー解除により再開可能であるか否かを判定する。ここで、印刷ジョブの処理が再開不可能であると判定した場合、つまり、ジョブキュー121のエラー種別が「用紙切れA3」以外、あるいは複数のエラー種別が登録されている場合(ステップS202 No)、ジョブ管理部108は印刷ジョブの処理を実行しない。一方、ジョブキュー121のエラー種別が「用紙切れA3」のみである印刷ジョブにおいては、ジョブ管理部108は、印刷ジョブの処理が再開可能であると判定する(ステップS202 Yes)。
【0045】
次に、ジョブ管理部108は、処理中の印刷ジョブが存在しない場合は、ジョブキュー121の先頭から待機中の印刷ジョブを探索し、最初に見つかった印刷ジョブの状態を「処理中」に変更すると共に、以下の処理を継続して実行する(ステップS203)。
【0046】
次に、ジョブ管理部108は、記憶部110の待避エリア123に記憶させた未印刷のビットマップ形式の画像データを読み出す(ステップS204)。
【0047】
ここで、例えば、給紙部105が備える図示せぬセンサが給紙トレイ401のA3用紙の用紙切れを検出すると、給紙部105は当該検出信号をエラー検出部122へ通知する(ステップS205 Yes)。そして、エラー検出部122はエラー「用紙無しA3」が発生した旨をジョブ管理部108へ通知する。エラー「用紙無しA3」の通知を受けたジョブ管理部108は処理中の印刷ジョブを待避させる。つまり、ジョブ管理部108は、画像変換部109が変換し、未印刷のビットマップ形式の画像データを記憶部110の待避エリア123に記憶させる。そして、ジョブ管理部108はジョブキュー121の状態を「エラー」に変更する。
【0048】
一方、エラー「用紙無しA3」等が発生しなかった場合(ステップS205 No),印刷部104は給紙部105から給紙された用紙に対して入力された画像データに基づく画像を印刷する(ステップS207)。
【0049】
そして、ジョブ管理部108は、印刷部104により印刷ジョブデータに含まれる全ての画像データの印刷が終了するまでステップS205からの処理を繰り返す(ステップS208)。
【0050】
印刷部104による印刷ジョブデータに含まれる全ての画像データの印刷が終了すると(ステップS208 Yes)、ジョブ管理部108は、完了した印刷ジョブをジョブキュー121から削除すると共に、記憶部110の待避エリア123に記憶させた未印刷のビットマップ形式の画像データを削除し、処理を終了する(ステップS209)。
【0051】
次に、ユーザによる画像形成装置100へのログイン処理にかかる処理動作について図11を用いて説明する。
【0052】
まず、表示部102にユーザID入力画面301が表示された状態で、ユーザは操作部101を介してユーザIDを入力する(ステップS301)。
【0053】
次に、表示制御部103はジョブ管理部108に問い合わせ、ユーザにより入力されたユーザIDと同じユーザIDとが設定された印刷ジョブにおいてジョブキュー121に登録されたエラーのリストを取得する。ここで、取得したリストにエラーが無い場合(ステップS302 No)、表示制御部103による処理はステップS303に移行し、表示制御部103は表示部102に通常表示画面302を表示させる(ステップS303)。一方、取得したリストにエラーがあった場合(ステップS302 Yes)、表示制御部103はジョブ管理部108に対して印刷ジョブの処理を実行中か否かを問合せる。
【0054】
ここで、印刷ジョブの処理が実行されている場合(ステップS304 Yes)、表示制御部103は表示部102に待機要求画面303を表示させる(ステップS305)。そして、表示制御部103は印刷ジョブの処理が終了するまで表示部102に待機要求画面303を表示させ、印刷ジョブの処理が終了した時点で(ステップS306 Yes)、エラー通知画面307を表示させる(ステップS307)。一方、印刷ジョブの処理が実行されていない場合(ステップS304 No)、表示制御部103は表示部102にエラー通知画面307を表示させる(ステップS307)。
【0055】
ステップS307において、表示部102によりエラー通知画面304が表示された後、所定の操作タイムアウト時間(例えば、1分)が経過すると(ステップS308 Yes)、表示制御部103は、表示部102にユーザID入力画面301を表示させる(ステップS309)。
【0056】
次に、印刷ジョブの処理終了時にジョブ管理部108が実行する処理動作について図12のフローチャートを用いて説明する。
【0057】
まず、印刷ジョブが終了した時点で、ジョブ管理部108は、表示制御部103に対して待機要求画面303を表示部102に表示させているか否かを問合せる。ここで、表示制御部103が待機要求画面303を表示部102に表示させている場合(ステップS402 Yes)、ジョブ管理部108は、表示制御部103に対してエラー通知画面304を表示するよう指示を与える。指示を受けた表示制御部103は、表示部102にエラー通知画面304を表示する(ステップS403)。一方、表示制御部303が待機要求画面303を表示部102に表示させていない場合(ステップ402 No)、ジョブ管理部108はジョブキュー121に登録されている次に実行可能な印刷ジョブを探索し、当該印刷ジョブが存在している場合には印刷ジョブの処理を実行する(ステップS406)。
【0058】
ステップS404において、エラー検出部122からエラーが解除された旨の通知を受けると(ステップS404 Yes)、ジョブ管理部108はジョブキュー121に登録されている次に実行可能な印刷ジョブを探索し、当該印刷ジョブが存在している場合には印刷ジョブの処理を実行する(ステップS406)。一方、エラー検出部122からエラーが解除された旨の通知を受けておらず(ステップS404 No)、且つ、表示制御部103がエラー通知画面304を表示部102に表示させている場合(ステップS405 Yes)、ジョブ管理部108は印刷ジョブの処理を実行しない。
【0059】
以上のように、第1の実施形態によれば、表示部が表示するエラー通知画面をユーザが入力した印刷ジョブに発生したエラーに限定することで、ユーザに関係の無いエラーが発生したとしてもユーザに対して表示されないことになる。したがって、発生したエラーがユーザが入力したジョブにかかるものであるか否かを的確に知ることができると共に、他人が入力したジョブが実行されているときには、エラー画面ではなく待機要求画面をユーザに対して表示することで、ユーザによる給紙トレイの挿抜等のエラー解除にかかる操作の実行を抑制し、他人が入力したジョブに対する妨害を防止することができる。
【0060】
[第2の実施形態]
第2の実施形態にかかる画像形成装置500の機能構成は第1の実施形態にかかる画像形成装置100と略同一である。したがって、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態と同一な箇所には同一の符号を付して説明は省略し、異なる箇所について説明する。
【0061】
図13は、第2の実施形態にかかる画像形成装置500の機能構成を説明する機能ブロック図である。画像形成装置500は、第1の実施形態にかかる画像形成装置100の表示制御部103に代えて表示制御部501、ジョブ情報解析部107に代えてジョブ情報解析部502、ジョブ管理部108に代えてジョブ管理部503、及び電話回線650を介して電話回線網651に接続されたFAX送信部504を備える。そして画像形成装置500は、例えば、LAN等の通信ケーブルによって、プリンタドライバを用いて印刷ジョブデータを生成するか、又はFAX送信用のプリンタドライバを用いてFAXジョブデータを生成するPC600、PC601、PC602に接続されている。
【0062】
表示制御部501は、ユーザID入力画面301、通常画面302、待機要求画面303、又はエラー通知画面304等の表示部102が表示する表示内容を決定すると共に、当該画面の表示内容、及び、例えば、図14に示すような、FAXジョブの処理実行中に表示されるエラー通知画面701の表示内容を記憶するメッセージ格納部520を備える。さらに、表示制御部501は、例えば、図15に示すような、エラー種別毎に、別のジョブの処理時にエラー通知画面304を表示して良いか否かを記憶したエラー表示可否判定表521を備える。
【0063】
ジョブ情報解析部502は、接続部106を介して受信したジョブデータの先頭部を解析し、ジョブを入力したユーザのユーザIDを読取る。また、ジョブ情報解析部502は、FAX送信ジョブデータの先頭部を解析し、FAX送信ジョブデータを入力したユーザのユーザIDと、FAXの送信先番号を読取る。さらに、ジョブ情報解析部502は、解析したジョブデータが印刷ジョブデータであるか、FAX送信ジョブデータであるかを判別する。
【0064】
ジョブ管理部503は、生成した印刷ジョブ、又はFAX送信ジョブを管理するジョブキュー522、及びエラー検出部122を備え、複数のジョブの実行順やジョブの開始タイミングを制御する。
【0065】
ここで、図16に示すジョブキュー522について説明する。ジョブキュー522は、第1の実施形態で説明したジョブキュー122の機能に加え、生成したジョブが印刷ジョブであるか、又はFAX送信ジョブであるかを区別するジョブ種別と、FAX送信ジョブの宛先番号であるFAXそ送信宛先番号と、を登録する。
【0066】
FAX送信部504は、FAX送信ジョブデータに含まれる、FAX送信データを電話回線650を介して電話回線網651上の指定されたFAXそ送信宛先番号へ送信する。
【0067】
このような構成を備えた画像形成装置500の処理動作について以下のフローチャートを用いて説明する。図17は、ユーザによる画像形成装置500へのログイン処理にかかる処理動作を説明するフローチャートである。なお、図17中、ステップS301からステップS309の処理は、図11で説明した、ユーザによる画像形成装置100へのログイン処理にかかる処理動作と同様に実行することができるため、ここでの説明は省略する。
【0068】
ステップS501において、表示制御部501は、エラー表示可否判定表521を参照し、ステップS302で取得したエラーのリストから、別のジョブの処理時に表示可否が否であるエラー種別を取り除く。
【0069】
ここで、エラーのリストにエラーが残っている場合(ステップS501 Yes)、表示制御部501による処理はステップS307に移行し、表示部102にエラー通知画面701を表示させる。一方、エラーのリストにエラーが残っていない場合(ステップS501 No)、表示制御部501による処理はステップS305に移行し、表示部102に待機要求画面303を表示させる。
【0070】
次に、FAX送信ジョブデータを受信したときに画像形成装置500が実行する処理動作について図18を用いてを説明する。
【0071】
まず、ステップS601において、画像形成装置500は接続部106を介してPC600、PC601、又はPC602からFAX送信ジョブデータを受信する。
【0072】
接続部106を介してFAX送信ジョブデータを受信すると、ジョブ管理部503はFAX送信ジョブを生成し、生成したFAX送信ジョブをジョブキー522の末尾に登録する(ステップS602)。
【0073】
次に、ジョブ情報解析部502はFAX送信ジョブデータの先頭部分を解析することで、生成したジョブがFAX送信ジョブであると判定し、ユーザIDとFAX送信宛先番号を読み出し後、ジョブキー522の情報を更新する(ステップS603)。
【0074】
そして、ジョブ管理部503は処理中のジョブが存在しない場合には、ジョブキュー522の先頭から待機中のジョブを探索し、最初に見つかったジョブがステップS603で登録されたFAX送信ジョブであれば、ジョブ管理部503は当該ジョブの状態を「処理中」に変更し、以降の処理を継続する(ステップS604)。
【0075】
ここで、例えば、FAX送信部504が画像形成装置500に電話回線650が接続されていないことを検出すると、FAX送信部504は当該検出信号をエラー検出部122へ通知する(ステップS605 Yes)。そして、エラー検出部122はエラー「電話回線未接続」が発生した旨をジョブ管理部503へ通知する。エラー「電話回線未接続」の通知を受けたジョブ管理部503は処理中のジョブを待避させる。つまり、ジョブ管理部503は、受信したFAX送信ジョブデータに含まれるFAX送信データを記憶部110の待避エリア123に記憶させる。そして、ジョブ管理部503はジョブキュー522の状態を「エラー」に変更する。
【0076】
一方、エラー「電話回線未接続」等が発生しなかった場合(ステップS605 No),FAX送信部504はFAX送信データを指定されたFAX送信宛先番号に対して送信する(ステップS607)。
【0077】
そして、ジョブ管理部503は、FAX送信部504によりFAX送信ジョブデータに含まれる全てのFAX送信データの送信が終了するまでステップS605からの処理を繰り返す(ステップS608)。
【0078】
FAX送信部504によるFAX送信ジョブデータに含まれる全てのFAX送信データの送信が終了すると(ステップS608 Yes)、ジョブ管理部503は、完了したFAX送信ジョブをジョブキュー522から削除し、処理を終了する(ステップS609)。
【0079】
次に、図18のステップS605において発生したエラーが解除された際に画像形成装置500が実行する処理動作について図19のフローチャートを用いて説明する。なお、ここで発生したエラーは電話回線未接続、発生したエラーの解除方法としては電話回線接続として説明する。
【0080】
まず、ステップS701において、FAX送信部504が電話回線650が接続されたことを検出すると、FAX送信部504は当該検出信号をエラー検出部122へ通知する。そして、エラー検出部122は、電話回線650が接続され、エラー「電話回線未接続」が解除された旨をジョブ管理部503に通知する。
【0081】
エラー検出部122からエラー「電話回線未接続」が解除された旨の通知を受けると、ジョブ管理部503は、ジョブの処理が当該エラー解除により再開可能であるか否かを判定する。ここで、ジョブの処理が再開不可能であると判定した場合、つまり、ジョブキュー522のエラー種別が「電話回線未接続」以外、あるいは複数のエラー種別が登録されている場合(ステップS702 No)、ジョブ管理部503はジョブの処理を実行しない。一方、ジョブキュー522のエラー種別が「電話回線未接続」のみであるジョブにおいては、ジョブ管理部503は、ジョブの処理が再開可能であると判定する(ステップS702 Yes)。
【0082】
次に、ジョブ管理部503は、処理中のジョブが存在しない場合は、ジョブキュー522の先頭から待機中のジョブを探索し、最初に見つかったジョブの状態を「処理中」に変更すると共に、以下の処理を継続して実行する(ステップS703)。
【0083】
次に、ジョブ管理部503は、記憶部110の待避エリア123に記憶させたFAX送信データを読み出す(ステップS704)。
【0084】
ここで、例えば、FAX送信部504が電話回線未接続を検出すると、FAX送信部504は当該検出信号をエラー検出部122へ通知する(ステップS705 Yes)。そして、エラー検出部122はエラー「電話回線未接続」が発生した旨をジョブ管理部503へ通知する。エラー「電話回線未接続」の通知を受けたジョブ管理部503は処理中のFAX送信ジョブを待避させる。つまり、ジョブ管理部503は、受信したFAX送信ジョブデータに含まれるFAX送信データを記憶部110の待避エリア123に記憶させる。そして、ジョブ管理部503はジョブキュー522の状態を「エラー」に変更する。
【0085】
一方、エラー「電話回線未接続」等が発生しなかった場合(ステップS705 No),FAX送信部504はFAX送信データを指定されたFAX送信宛先番号に対して送信する(ステップS707)。
【0086】
そして、ジョブ管理部503は、FAX送信部504によりFAX送信ジョブデータに含まれる全てのFAX送信データの送信が終了するまでステップS705からの処理を繰り返す(ステップS708)。
【0087】
FAX送信部504によるFAX送信ジョブデータに含まれる全てのFAX送信データの送信が終了すると(ステップS708 Yes)、ジョブ管理部503は、完了したFAX送信ジョブをジョブキュー522から削除し、処理を終了する(ステップS709)。
【0088】
以上のように、第2の実施形態によれば、解除操作が別のジョブに影響しないエラーに対しては、別のジョブを実行中でもエラー画面が表示されるので、ユーザが別のジョブに影響しないエラーの発生については、素早く知ることができる。
【0089】
本実施形態の説明にかかる画像形成装置としては、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等を例示することができ、入力された印刷ジョブデータ、若しくはFAX送信ジョブデータをジョブキューで管理する機能を備えた画像形成装置であれば、本発明が適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0090】
100 画像形成装置
101 操作部
102 表示部
103 表示制御部
104 印刷部
105 給紙部
106 接続部
107 ジョブ情報解析部
108 ジョブ管理部
109 画像変換部
110 記憶部
111 制御部
120 メッセージ格納部
121 ジョブキュー
122 エラー検出部
123 待避エリア
200 PC
201 PC
202 PC
401 給紙トレイ
402 給紙トレイ
403 給紙ローラ
421 溝
422 溝
451 用紙
452 用紙
500 画像形成装置
501 表示制御部
502 ジョブ情報解析部
503 ジョブ管理部
504 FAX送信部
600 PC
601 PC
602 PC
650 電話回線
651 電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたジョブを順次印刷処理する処理部と、
前記ジョブにかかる処理で発生したエラーを検出する検出部と、
特定のユーザにより入力された前記ジョブにかかる処理において前記検出部が前記エラーを検出した場合、前記エラーにかかる前記ジョブを待避させると共に、次のジョブを前記処理部へ入力する待避部と、
前記エラーの前記特定のユーザへの表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は次のジョブにかかる処理が終了するまで前記特定のユーザへの表示方法を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記特定のユーザへの表示方法は次のジョブにかかる処理が終了するまで、前記エラーの内容に関する情報の一部または全部が隠された表示方法であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザによる操作を受付ける操作部を有し、
前記エラーにかかる前記ジョブが待避された状態で、前記操作部を介して前記ユーザにより所定の操作を受付けると、前記処理部は次のジョブの開始を一定時間遅延させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示制御部は前記エラーの種類により前記特定のユーザへの表示方法を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−167668(P2010−167668A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12022(P2009−12022)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】