説明

画像形成装置

【課題】 電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、印刷画質維持ならびに現像剤と現像スリーブの摩擦による現像スリーブ固着を低減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 フロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定した0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合が4〜7個数%、0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が8〜12個数%、0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が18〜22個数%のトナーを用い、磁性粒子の帯電能力が、40〜60[μC/g]であり、現像スリーブ31上の単位面積あたりの現像剤担持量ρ[mg/(cm・mm)]を、感光体11と現像スリーブ31との現像ギャップPGで除算した値(ρ/PG)が、130〜260[mg/(cm・mm)]以下も画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置に係り、詳しくは、乾式粉砕法で製造された所定の粒度分布を有するトナーを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた作像プロセスにおいて、二成分現像剤を用いて像担持体上の静電潜像を現像する画像形成装置が広く用いられている。
この画像形成装置は、トナーと磁性粒子のキャリアとからなる二成分現像剤を現像剤担持体表面に磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、磁気ブラシ中のトナーを現像電界によって潜像に転移させることによって潜像を現像するものである。
また、二成分現像剤を用いる画像形成装置に限らず一般的な画像形成装置では、転写紙上に画像を転写し、転写紙上の画像を加熱して溶融した後、画像に圧力を加えて定着させる加熱定着が行われている。そして、この画像形成物質は少なくともトナーと呼ばれる黒色等の粉体から構成されている。
【0003】
この加熱定着を行う定着装置が画像を加熱して溶融するときに使用する電力が画像形成装置の必要電力の大半を占めている。
近年、省エネの観点から画像形成装置の低電力化が要求されるようになってきているが、そのためには、この画像を溶融するための温度を引き下げ、低温定着を可能にする必要がある。また、画質においても電子写真方式でもオフセット印刷並みの高画質が得られることが市場から要求されている。
この観点に鑑み、近年小粒径のトナーの開発が盛んに行われている。トナーを小粒径化することで従来よりも定着の際に必要な熱量が削減できるため、低温定着を実現することが可能である。
【0004】
また、小粒径化することで一画素あたりの粒子数が増える、ドット形状が均一になるため、画像解像度が高くなる。よって高画質化につながる。
ところが、小粒径トナーには、一般に付着力が強い傾向があり、現像装置の現像剤担持体(以下、「現像スリーブ」と呼ぶ。)にトナーがしだいにこびりつき、現像を阻害するようになってしまう。これをスリーブ固着と呼んでいる。
スリーブ固着は、同一の原稿を連続でプリントした場合に、非画像部に発生しやすいことから、非画像部位のトナーを現像スリーブに引き付ける電界によって、該トナーが現像スリーブに押し付けられる。それが現像スリーブ上で何度もキャリアによって摺擦される過程で融着まで進行すると考えられる。スリーブ固着が進行すると、トナーの濃度制御に影響を及ぼし、画像の濃度が薄くなるなど画像品質を劣化させてしまう。
【0005】
トナーの濃度調整には、一般的に、像担持体上に基準のトナーパターンを形成し、このトナーパターンの濃度を光反射型フォトセンサによって検出し、その検出結果に応じてトナー補給装置から現像装置へのトナー補給を制御するトナー濃度制御方式が利用されている。
このトナー濃度制御方式においては、光反射型フォトセンサの出力値のうち、像担持体上のトナーパターンに対する光反射型フォトセンサの出力をVsp、像担持体上のトナー非付着部(地肌部)に対する光反射型フォトセンサの出力値をVsgとすると、通常はVsp/Vsgが一定になるようにトナー補給制御を行う。
基準のトナーパターンのトナー付着量が少なくなるとVsp/Vsgが上昇し高くなった場合は、現像装置内の現像剤のトナー濃度が低いと判断されて、トナー補給装置から現像装置へトナー補給が行われることでトナー濃度が一定に保たれる。逆に、Vsp/Vsgが低い場合には、現像装置内の現像剤のトナー濃度が高いと判断されて、トナー補給は行われない。
基準のトナーパターンを形成する位置でスリーブ固着が進行していると、トナーパターンを作像する際、実際の電圧よりもトナーが固着した分、実効的な現像電圧が高くなり、像担持体上のトナーパターンの付着量が多くなるため、Vsp/Vsgが低くなってしまう。この状態になるとトナー補給量が必要量に対して少なくなる傾向になる。
さらに、スリーブ固着が進行すると、この傾向が顕著になり濃度調整に不具合が起こり、濃度が薄くなるなどの問題を引き起こす。また、このスリーブ固着によってトナー付着量が多くなる現象は、作像開始からスリーブ一周分作像されるまでが顕著であり、画像の先端からスリーブ1周分が濃くなる現象が見られる。
【0006】
スリーブ固着の対策として、特許文献1では、現像剤規制部材を接地し、現像剤担持体との間の電界を形成することによって、現像剤担持体に弱く付着したトナーを、この電界によって現像剤規制部材に移行させ、スリーブ固着を防いでいる。しかし、付着力の低いトナーを引き剥がす事はできるが、トナーの微粉など付着力の強いトナーは、スリーブに固着したままとなってしまう。
また、特許文献2では、像担持体と現像剤担持体のギャップをある程度広く設定し、電界効果によってトナーが現像剤担持体表面に付着したり押し付けられたりすることを防止することが提案されている。しかし、これもトナーの現像剤担持体への付着力を弱める事ができるが、トナーの粒径が非常に小さいものでは熱に弱く融解しやすいため、スリーブ固着が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、印刷画質維持ならびに現像剤と現像スリーブの摩擦による現像スリーブ固着を低減できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、潜像を形成する像担持体と、前記潜像にトナーを用いて現像しトナー像を形成する現像装置と、を少なくとも有する画像形成装置において、前記現像装置は、像担持体に対向して設けられ、表面に磁性粒子とトナーとを含む二成分現像剤を担持して、前記像担持体との間に現像ギャップを形成する現像剤担持体と、前記現像剤担持体と対向して現像領域に搬送する現像剤量を規制する現像剤規制部材とを備え、前記トナーは、フロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定した0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合が4〜7個数%、0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が8〜12個数%、0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が18〜22個数%であり、前記磁性粒子の帯電能力が、40〜60[μC/g]であり、前記像担持体と前記現像剤担持体とのギャップPGが、0.4〜0.55[mm]であって、かつ、前記現像剤担持体上の単位面積あたりの現像剤担持量ρ[mg/cm]を、前記像担持体と前記現像剤担持体との現像ギャップPGで除算した値(ρ/PG)が、130〜260[mg/(cm・mm)]であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記トナーは、粉砕式製法で製造されていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記トナー像を、中間転写体を介して又は直接に記録媒体に転写する転写装置を備え、前記記録媒体への転写されずに像担持体上に残ったトナーを回収し、前記現像装置へ戻すリサイクル機構を備えていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを備え、かつ、前記プロセスカートリッジは、少なくとも前記像担持体と前記現像装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の画像形成装置は、磁性粒子とトナーとを用いる二成分現像剤の電子写真方式に関し、経時での印刷画質維持ならびに二成分現像剤と現像スリーブとの摩擦による現像スリーブへのトナー固着を低減できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態における構成を示す概略図である。
【図2】本発明の画像形成装置における主要部の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の画像形成装置におけるプロセスカートリッジの着脱を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置におけるトナーリサイクル機構を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置における現像装置と感光体との状態を説明する図である。
【図6】本発明の画像形成装置における現像スリーブと現像ドクタとの状態を説明する図である。
【図7】本発明の画像形成装置における感光体と現像スリーブとの状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態における構成を示す概略図である。
図2は、本発明の画像形成装置における主要部の構成を示す概略図である。
図1からわかるとおり、本発明に係る画像形成装置1は、上の方から、置かれた原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5と、原稿を読み取る読取装置4、トナー画像を形成する画像形成部3、そして、その下に記録媒体9を収納する給紙部2が配置されている。その他に、読取装置4と画像形成部6との間に、画像が形成された記録部材9を積載する排紙装置90は配置されている。
像担持体である感光体11のまわりには、その横に設けるローラ状の帯電装置20から感光体11の矢印Aで示す回転方向に順に、下に現像装置30、横に転写装置60としての転写チャージャ61と用紙分離装置である分離チャージャ62、上にクリーニング装置40を備える。
そして、コピーを取るときは、公知のとおり、不図示のコンタクトガラス上に原稿をセットしてから、または、ADF5に原稿をセットして、コピースイッチを押し、図示しないセンサ等を有する光学読取装置4で原稿の画像を読み取ると同時に、感光体11と転写装置60との間に用紙等の記録媒体9を送り込む。
一方、感光体11は、所定の周速度で回転し、その回転にともない、クリーニングパッド22で帯電ローラ21を清掃する帯電装置20で表面を一様に帯電する。その表面に不図示の光書込み用の露光装置12からレーザ光Lを照射して書き込みを行い、感光体11上に、上記読み取った原稿画像の静電潜像を形成する。続いて現像装置30の位置を通るときトナーを付着して同静電潜像を逐次可視像化する。
そして、この可視像化して形成したトナー画像を、感光体11と転写装置60間に搬送した記録媒体9上に転写する。
転写後、記録媒体9は、分離チャージャ62で放電して、静電的に付着する感光体11から分離し、不図示の定着装置70へ搬送して、そこで転写画像を定着し、不図示の排紙装置90へと排出する。分離チャージャ62に代えて分離爪を設け、感光体11から機械的に分離するようにしてもよい。
他方、画像転写後の感光体11は、表面に残った残留トナーを、クリーニング装置40に備えるクリーニングブレード41で掻き落として表面を清掃した後、不図示の除電ランプで除電して表面電位を初期化する。
【0013】
図3は、本発明の画像形成装置におけるプロセスカートリッジの着脱を示す図である。
ところで、図示例では、上述した感光体11と帯電装置20と現像装置30とクリーニング装置40とを1つのカートリッジケースも枠体101内に備え、プロセスカートリッジ10を構成する。
そして、このプロセスカートリッジ10を、図3に示すように画像形成装置本体1に対して正面側から矢示方向に出し入れして着脱自在とする。
【0014】
このようなプロセスカートリッジ10では、現像装置30は、図2に示すように、下部側に現像剤収容部34を設け、上部側に現像剤担持部37を設けて構成する。現像剤収容部34には、キャリアとトナーとよりなる乾式二成分現像剤を収容し、その現像剤を撹拌しながら搬送する撹拌部材35を設ける。また、図示しないが、現像剤中のトナーとキャリアとの混合比を検知するトナー濃度センサを設けてなる。
一方、現像剤担持部37には、現像窓36を通して感光体11と対向する位置に、内部に磁石を有する現像剤担持体としての現像スリーブ31を設ける。また、感光体11への現像剤の供給量を制御する現像剤規制部材としての現像ドクタ32を設けている。
感光体11の上に備えるクリーニング装置40には、カートリッジケースの枠体101のクリーニング装置40内に、ホルダ42に支持されているクリーニングブレード41で掻き落した残留トナーを掻き上げる回収羽根43と、その回収羽根43により掻き上げた残留トナーを図4から判るように感光体11の軸方向に搬送するコイル状のトナー搬送部材46とを備える。
図4は、本発明の画像形成装置におけるトナーリサイクル機構を示す図である。
そして、プロセスカートリッジ10に、クリーニング装置40で回収したトナーを、さらにパイプ等で形成した搬送通路を通して、スクリュ・コイル・ベルト等のトナー搬送部材46を用いたり重力を利用したりして現像装置30の現像剤収容部34へと戻すトナーリサイクル機構45を備える。
【0015】
そして、図4で説明すると、現像装置30では、コピー時、不図示の駆動モータを駆動し、その駆動を伝達して現像スリーブ31を回転するとともに、撹拌部材35を回転して現像剤を撹拌し、トナーとキャリアを摩擦帯電しながら現像スリーブ31へ搬送する。一方、現像スリーブ31に所定バイアスを印加して現像剤中のトナーを感光体11の表面に静電的に付着し、その表面上の潜像を可視像化する。
一方、クリーニング装置40では、感光体11の回転をギヤを介して伝達してトナー搬送部材46を回転駆動し、感光体11から除去した残留トナーをトナー搬送部材46で搬送してクリーニング装置40の内の手前側に集め、トナーリサイクル機構45で現像装置30に戻すようになっている。
【0016】
図5は、本発明の画像形成装置における現像装置と感光体との状態を説明する図である。
図5に示すように、本発明の画像形成装置1の現像装置30では、像担持体である感光体11はA方向(図中反時計まわり)に回転し、現像剤担持体である現像スリーブ31はB方向(図中時計まわり)に回転する。現像スリーブ31には、現像剤規制部材であるブレード状の現像ドクタ32の先端が対向する。現像ドクタ32は、薄い金属板で基端を上向きに折り曲げて断面L形状につくり、現像スリーブ31の軸方向に沿って水平に配置して、両端を不図示の支持板で支持する。現像スリーブ上の現像剤量は、現像ドクタ29により規制され、現像領域へと搬送される。
図6は、本発明の画像形成装置における現像スリーブと現像ドクタとの状態を説明する図である。
この搬送される現像剤量が多い場合、図6中の点線で囲った部分である感光体11と現像スリーブ31との間で強いストレスが掛かり、現像スリーブ31上にトナーが固着してしまう。つまりスリーブ上の現像剤量ρ、感光体11と現像スリーブ31とのギャップPGを調整することにより、スリーブ固着を防ぐことができる。現像スリーブ31上の単位面積あたりの現像剤担持量ρ[mg/cm]を、感光体11と現像スリーブ31との現像ギャップPG[mm]で除算した値(以下、「ρ/PG」と記す。)で制御することができる。ここで、ρ/PGは、ギャップPG間における単位長さ当たりの現像剤量として考えることができる。したがって、ρ/PGを制御することで、現像剤、現像スリーブ31に対するストレスを制御することができる。
ρ/PGの関係が130〜260の範囲であれば画質を維持し、スリーブ固着を防ぐことが可能である。ρ/PG[mg/(cm・mm)]が130[mg/(cm・mm)]未満の場合、現像領域でのストレスが小さくスリーブ固着には有効であるが、現像能力低下による不具合として、トナー濃度上昇による地肌汚れやトナー飛散が懸念される。また、ρ/PGが260[mg/(cm・mm)]を超える場合、現像領域でのストレスが強くなり、スリーブ固着が促進される。
したがって、現像剤に対するストレスも小さいことからトナーの劣化が生じにくく、リサイクル機構45に用いても、継続して高い品位の画像を得ることができる。
【0017】
図7は、本発明の画像形成装置における感光体と現像スリーブとの状態を説明する図である。
現像スリーブ31の上の現像剤量ρを変化させるには、現像スリーブ31と現像ブレード32のギャップDGを調整することで可能となる。
ギャップDGは0.4m以上であることが好ましく、この範囲以下であると、図7のように現像スリーブ31と現像ドクタ32と間のストレスにより、現像スリーブ31の上にトナーが固着してしまい、現像剤量不足による画像濃度低下、白スジが発生するため、注意が必要である。
ギャップPGにも適正な範囲があり、0.40mm以上0.55mm以上が好ましい。これ以下になると、感光体11と、現像スリーブ31との間が狭くなり、感光体キズやスリーブ固着の悪化が懸念される。また、この範囲以上になると現像ギャップPGが大きくなることから、エッジ効果が強くなり、ハーフトーンのムラや、ベタの均一性が悪化する。
【0018】
次に、本発明のトナーであるが、フロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定した0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合が4〜7個数%、0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が8〜12個数%、0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が18〜22個数%とすることが良い。
前述したように、トナーの小粒径化が進むと高画質化に向かうが、スリーブ固着等の副作用も生じる。スリーブ固着に関して特に不利になるのは粒径が3μm以下の超微粉と言われる領域のトナーである。超微粉トナーは熱に弱いため、現像領域における剤ストレスによってスリーブ固着しやすいと考えられる。
トナーの製法としては、粉砕法および重合法に大別することができる。粉砕法では結着樹脂、着色剤、ワックス等の原料を混合し、熱をかけながら剪断力をかけ樹脂中に着色剤、ワックス等を分散させた混練物を圧延冷却し板状にしたものを粉砕してから所望の粒径分布になるように分級し、最後に外添剤を混合してトナーが製造される。
重合法と比較して粉砕トナーは一つ一つの形状がいびつであるため、重合トナーよりも製造コストが安いこと、粉砕方式によっては形状を円形に近くできるため画質を向上できるなど有利な点がある。しかしながら、粉砕過程において発生する超微粉をすべて回収することは不可能である。また、高画質化を志向して小粒径化をおこなうとそれに伴う超微粉の発生量も多くなり、上記に述べたスリーブ汚れが問題になる。よって粉砕トナー製造の上で、超微粉量を管理することが重要になってくる。
【0019】
ところでトナーの粒子径を測定する方法としてはコールターカウンター法、レーザ光回折法、光散乱法、画像解析法等が用いられる。この中でも超微粉のような3μm以下の粒子を精度よく測定するには画像解析法が適している。その中でもフロー式粒子像分析装置(FPIA、シスメックス社製)は3μm以下のトナー1粒子の円相当径(粒子の周囲長と同じ周囲長を持つ円の直径)の測定に適している。
本発明では粉砕法で作成したトナーの超微粉量をフロー式粒子像分析装置の測定値で規定したことがポイントである。この結果、粉砕工法でコストを抑えつつ、工法上発生しやすい超微粉を抑えることでスリーブ汚れを低減できるトナーを提供することができる。
本発明ではスリーブ汚れは、0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合が7個数%以下、0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が12個数%以下、0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が22個数%以下とすることで、スリーブ汚れという課題を克服できる。0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合が7個数%を越えると、0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が12個数%を越えると、0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が22個数%を越えると、スリーブ汚れはもちろんのこと、現像時にトナー飛散が発生しやすくなり、機内汚れが起こってしまう。
粉砕法において超微粉を除去するのは主に分級工程にて行う。外添剤混合後にふるいにかける際やふるいにかけたトナーを容器に充填する際にも超微粉が飛散し、結果として超微粉含有量は減少するが、積極的に低減させることはできない。
分級は粉砕物を風力式分級機等によって所望の粒度分布に調整する。風力式分級機を用いる際にはトナーを分級機内に投入する際の風量を調節することで超微粉、微粉のカットを調節することができる。
ここで、例としてFPIA2100でのトナー粒子径測定法について説明する。ビーカーにスパチュラ1杯のトナーを入れ、界面活性剤1mLを加えて30秒間水中にて超音波を当てる。さらに生理食塩水を60mL加え60秒間水中にて超音波を当てる。このようにして作成した分散液0.30μLを吸引させ、1倍希釈で0.6〜400μmの範囲にてHPFモードにて測定する。得られたデータから1μm以下、2μm以下、3μm以下の粒子含有率を求める。
【0020】
本発明で用いる結着樹脂としては低温定着が達成可能なポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂はアルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。使用されるアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1.4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1、2、4−ベンゼントリカルボン酸、1、2、5−ベンゼントリカルボン酸、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、1、2、4−ナフタレントリカルボン酸、1、2、5−ヘキサントリカルボン酸、1、3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1、2、7、8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。ここで、ポリエステル樹脂のガラス転位温度Tgは熱保存性の関係から55℃以上がよく、より好ましくは60℃以上が良い。
【0021】
本発明において、トナー中の樹脂成分として、ポリエステル樹脂以外の樹脂を、トナーの性能を損なわない範囲で、併用することもできる。この場合の使用可能な樹脂としては、例えば次のようなものが挙げられるが、これらに限定はされない。ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体(スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体(スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン/酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン/エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂。これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することもできる。また、これらの製造法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれも利用できる。
【0022】
本発明の着色剤としては、例えばカーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。これらの着色剤の使用量はトナー樹脂成分に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
本発明では必要に応じて帯電制御剤を用いてもよい。帯電制御剤としては、ニグロシン染料、金属錯塩型染料、第四級アンモニウム塩等の従来公知のいかなる帯電制御剤も、ジルコニウム系化合物と混合して使用できる。これらの帯電制御剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0023】
粉砕トナーを製法する際のトナーを溶融混練する装置としては、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機や、連続式の1軸混練機等が好適に用いられる。
粉砕については、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができ、平均粒径が3〜15μmになるように行なうのが望ましい。
外添剤のトナー母体の外添は、トナー母体と外添剤とをミキサー類を用いて混合・攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー表面に被覆される。このとき、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤が均一にかつ強固にトナー母体に付着させることが耐久性の点で重要である。
【0024】
また、二成分現像剤(現像剤)中のキャリアの含有量は、90〜98重量%であることが好ましく、93〜97重量%がさらに好ましい。
次に、本発明に用いられる磁性粒子であるキャリアについて説明する。
本発明の画像形成装置1に用いられるキャリアは、磁性である芯材粒子と、その表面を被覆する非磁性の結着樹脂とからなる。結着樹脂には、帯電特性を調整する目的で帯電制御剤が添加される。芯材として公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉が挙げられる。また、結着樹脂には、公知のものが用いることができ、シリコーン樹脂を用いることができる。キャリアの芯材は、体積平均粒径が10〜150μmであることが好ましく、20〜80μmがさらに好ましい。
上述の結着樹脂層に用いられるストレートシリコーン樹脂としては、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業社製)、SR2400、SR2406(東レダウコーニングシリコーン社製)等を例示することができる。樹脂層には、変性シリコーン樹脂も用いることができる。このようなものとしては、エポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーン等が挙げられる。これらのうち、変性シリコーン樹脂の具体例としては、エポキシ変性物:ES−1001N、アクリル変性シリコーン:KR−5208、ポリエステル変性物:KR−5203、アルキッド変性物:KR−206、ウレタン変性物:KR−305(以上、信越化学工業社製)、エポキシ変性物:SR2115、アルキッド変性物:SR2110(東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
【0025】
上述のシリコーン樹脂には、アミノシランカップリング剤を適量(0.001〜30重量%)含有させることができる。また、上述の結着樹脂層には、次に示すものを単独又は上述のシリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。即ち、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂等である。
【0026】
本発明で用いる外添剤としては、シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等、従来公知のいかなる外添剤をも単独あるいは混合して使用できる。これらの外添剤の使用量は、トナー重量に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。これらの外添剤を使用することにより、トナーの帯電の立ち上がりが未混合時と比較して格段によくなり、さらに流動性も上がることから、画質の向上につながる。
【0027】
キャリアの帯電特性を制御する帯電制御剤は、コート樹脂に極性基を導入して樹脂自体に帯電性を持たせる場合や、帯電性の微粒子成分を樹脂中に分散する例などがある。帯電制御剤としては、アミノシランカップリング剤などの反応性アミンや、メラミンやグアナミンなどの窒素系樹脂粒子などの使用例がある。
磁性粒子(以後キャリア)であるが、スリーブ固着とキャリアの帯電量には、関係が認められ、帯電能力が低いとスリーブ固着に不利に働くことがわかっている。これは、帯電量が低いと、キャリアとトナーとの電気的拘束力が小さくなり、トナーがキャリアから離れやすくなる結果、現像スリーブ表面に接触するトナーの数が増加し、スリーブ固着が生じやすくなるためである。キャリアの帯電量としては、40[μC/g]以上、60[μC/g]以下の範囲が望ましい。
キャリアの帯電能力が40[μC/g]未満になると、トナーの帯電量が下がり、上述した原因によりスリーブ固着やトナー飛散など懸念される。逆に、キャリアの帯電能力が60[μC/g]を超えると、トナー帯電量が上がり、現像能力が低下によるトナー濃度の上昇による地肌汚れが懸念される。
キャリアの帯電量の測定の方法の一例としては、キャリアとトナーを重量比95:5で10分間混合し、摩擦帯電させたサンプルを、ブローロフ装置(TB−200:東芝ケミカル社製)を用いて測定し、キャリアの帯電量を求めるなどが挙げられる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明について実施例の説明をする。
[実施例1]
<トナー1の製造例>
ポリエステル樹脂(A) 45部
(重量平均分子量5,000、Tg63℃、THF不溶分0%、軟化点143℃、
分子量ピーク4,200)
ポリエステル樹脂(B) 45部
(重量平均分子量5,800、Tg62℃、クロロホルム不溶分20%、軟化点99℃、
分子量ピーク3,600)
スチレン・アクリル樹脂 15部
(重量平均分子量26,000、Tg66℃、クロロホルム不溶分4%、軟化点143℃、
分子量ピーク4,300)
ワックス 5.2部
(脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス)
カーボンブラック 10部
(#44:三菱化学社製)
ジルコニア系化合物1 1部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で十分撹拌混合した後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミル、風力分級機で粉砕分級しトナー母体を得た。ジェットミルのエア圧は0.65MPa、分級機での風量は60m/hに設定した。得られたトナー母体に疎水性シリカ0.5wt%、酸化チタン0.5wt%添加混合し、[トナー1]とした。得られたトナーの0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合は4%、0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が8個数%、0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が18個数%であった。
【0029】
[評価]
<キャリアの製造>
シリコーン樹脂溶液 8000部
[固形分23質量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
アミノシラン 100部
[固形分100質量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
導電性粒子1 120部
[基体:アルミナ、表面処理;下層=二酸化スズ/上層=二酸化スズを含む
酸化インジウム、粒径:0.35μm、粒子粉体比抵抗:3.5Ω・cm]
トルエン 5000部
をホモミキサーで10分間分散し、シリコーン樹脂被覆膜形成溶液を得た。芯材として体積平均粒径;55μm焼成フェライト粉を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度40℃で塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて300℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き125μmの篩を用いて解砕し、[キャリア1]を得た。
得られたキャリアの帯電能力は、55μC/gであった。
【0030】
上記のようにして作製したトナー1の4質量%と、上記試作したキャリア1の96質量%とを混合し、得られた二成分現像剤の図1に示す現像装置を用いた画像形成装置imagioMP5000(リコー製MFP)にて印刷を行い、50,000枚/日で、初期及び100,000枚でそれぞれ評価画像を出す。
現像剤担持体量ρ、感光体と現像スリーブとのギャップPGを測定した結果、現像剤担持体量ρをギャップPGで除した値(以下、「ρ/PG」と記す。)は130[mg/(cm・mm)]であり、PGは0.55[mm]であった。
画像評価は100,000枚印刷後の印刷画像と1枚目の印刷画像について、地肌汚れ、解像力、ベタ均一性を、画像見本を用いて目視にて判断した。
スリーブ評価とは、スリーブ固着の評価であり、現像スリーブ上の汚れの一番ひどい箇所をマクベス濃度計にて測定し、濃度から判断した。結果を表1に示している。
【0031】
<画像評価>
地肌汚れ:5(未発生)、3(若干発生:限度レベル)、1(酷く発生)
地肌汚れは、3.5以上であれば実用上問題が無く、3.5未満では実用上問題がある。
解像力:5(細線まで問題なし)、3(普通の文字は問題ない)、1(普通の文字でにじみ発生)
解像力は、4以上であれば実用上問題が無く、4未満では実用上問題がある。
ベタ均一性:5(均一)、3(若干不均一)、1(不均一)、それぞれの4、2は5と3、3と1の中間
ベタ均一性は、3.5以上であれば実用上問題が無く、3.5未満では実用上問題がある。
<スリーブ評価>
○:濃度が1.0以下
×:濃度が1.0以上
【0032】
[実施例2]
アミノシランを50部にした以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
[実施例3]
ρ/PGを260[mg/(cm・mm)]、PGを0.4[mm]にした以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
[実施例4]
分級機での風量を500m/h、ρ/PGを260[mg/(cm・mm)]、PGを0.4[mm]にした以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
[実施例5]
アミノシランを50部、分級機での風量を500m/h、ρ/PGを260[mg/(cm・mm)]、PGを0.4[mm]にした以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
[実施例6]
分級機での風量を500m/hにしたこと以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
[実施例7]
imagioMP5000のリサイクル機構をONにし、現像部にリサイクルトナーを戻すこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。
[比較例1]
分級機での風量は650m/hにした以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例1は、実施例と比較し、スリーブ固着には効果があったものの、トナーの微粉成分が少ないために画質への影響(解像力低下)を及ぼしたと考えられる。
[比較例2]
アミノシランを150部にしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例2は、スリーブ固着に効果があったものの、キャリア帯電能力が高く、現像能力が低いため、トナー濃度が上昇してしまい、地肌汚れが悪化してしまった。
[比較例3]
アミノシランを25部にしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例3は、キャリア帯電能力が低く、トナーとの電気的拘束力が小さくなり、地肌汚れ、スリーブ固着が悪化したと考えられる。
[比較例4]
分級機での風量は450m/h、ρ/PGを260[mg/(cm・mm)、PGを0.4[mm]にしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例4は、熱に弱く融解しやすいトナーの微粉成分が多いためにスリーブ固着が悪化したと考えられる。
[比較例5]
分級機での風量を500m/h、PGを0.65[mm]にしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例5は、PGが広く現像能力が低いため、比較例2と同様、地肌汚れが悪化している。
[比較例6]
アミノシランを50部、分級機での風量を500m/h、ρ/PGを300[mg/(cm・mm)]、PGを0.4[mm]にしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例6は、ρ/PGが高く、現像領域での剤ストレスによりスリーブ固着が悪くなっている。
[比較例7]
アミノシランを50部、分級機での風量を500m/h、ρ/PGを120[mg/(cm・mm)]、PGを0.4[mm]にしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例7は、ρ/PGが高く現像能力が高いため、比較例2、5と同様に地肌汚れが悪化したと考えられる。
[比較例8]
ρ/PGを260[mg/(cm・mm)]、PGを0.3[mm]にしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に記す。
比較例8は、PGが狭いため、現像領域での剤ストレスによりスリーブ固着が悪くなっている。
【0033】
以下の表1に、実施例及び比較例での条件とスリーブ濃度、画像品質の結果を示している。
【表1】

【0034】
表1に示すように、0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合が4〜7個数%以下、0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が8〜12個数%以下、0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が18〜22個数%以下、キャリアの帯電能力が、40〜60[μC/g]、ρ/PGが130[mg/(cm・mm)]以上、260[mg/(cm・mm)]以下の実施例1〜7については、スリーブ濃度、画像評価における結果が良好であった。また、実施例7でのリサイクル機構をONにした場合でも良好な結果を得られた。これで、総合判断で、実施例1〜7についてはいずれも良好であった。
しかし、比較例1〜8では、スリーブ固着、地肌汚れ、解像力、ベタ均一性のいずれかが実使用上問題があるランクとなり、総合判断で、いずれも不良であった。
【符号の説明】
【0035】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
9 被搬送材
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
101 枠体
11 感光体
12 露光装置
13 除電装置
20 帯電装置
21 帯電ローラ
22 クリーニングパッド
30 現像装置
31 現像スリーブ
32 現像ドクタ
33 マグネット
34 現像剤収納部
35 攪拌部材
36 現像窓
37 現像剤担持部
40 クリーニング装置
41 クリーニングブレード
42 ホルダ
43 回収羽根
45 トナーリサイクル機構
46 トナー搬送部材
60 転写装置
61 転写チャージャ
62 分離チャージャ
70 定着装置
80 給紙装置
80a 給紙カセット
84 レジストローラ
85 排紙ローラ
86 排紙トレイ
89 被搬送材反転搬送装置
90 排紙装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2002−323797
【特許文献2】特開2004−004209

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を形成する像担持体と、
前記潜像にトナーを用いて現像しトナー像を形成する現像装置と、を少なくとも有する画像形成装置において、
前記現像装置は、
像担持体に対向して設けられ、表面に磁性粒子とトナーとを含む二成分現像剤を担持して、前記像担持体との間に現像ギャップを形成する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体と対向して現像領域に搬送する現像剤量を規制する現像剤規制部材とを備え、
前記トナーは、フロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定した
0.6〜1.0μmの円相当径を有する粒子の割合が4〜7個数%、
0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が8〜12個数%、
0.6〜3.0μmの円相当径を有する粒子の割合が18〜22個数%であり、
前記磁性粒子の帯電能力が、40〜60[μC/g]で、
前記像担持体と前記現像剤担持体とのギャップPGが、0.4〜0.55[mm]であって、かつ、前記現像剤担持体上の単位面積あたりの現像剤担持量ρ[mg/cm]を、前記像担持体と前記現像剤担持体との現像ギャップPGで除算した値(ρ/PG)が、130〜260[mg/(cm・mm)]である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置は、
前記トナーは、粉砕式製法で製造されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置は、
前記画像形成装置は、さらに、前記トナー像を、中間転写体を介して又は直接に記録媒体に転写する転写装置を備え、
前記記録媒体への転写されずに像担持体上に残ったトナーを回収し、前記現像装置へ戻すリサイクル機構を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、前記画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを備え、かつ、前記プロセスカートリッジは、少なくとも前記像担持体と前記現像装置とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−177847(P2012−177847A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41704(P2011−41704)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】