説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の作像モードが切り替わったときに、画像形成の生産性低下を招くことなく、高画質な画像を形成できるようにする。
【解決手段】ベルト部材(中間転写ベルト)1の走行方向に沿って画像形成ユニット8〜11が配置され、その各感光体ドラム8a〜11aに対してベルト部材1を挟む位置に転写ローラ8e〜11eを備える。作像モードの切り替えにより、転写ローラ8e〜10eをベルト部材1に接触又は離れる位置に移動させる接離機構6等を有し、ベルト部材1の従動ローラ3をステアリングローラとし、ベルト部材1の周長を変えない方向に傾けてその寄り変動を制御する。さらに、作像モードの切り替え時にベルト部材1の姿勢が変化する領域に配置した位置調整ローラ20を、転写ローラ8e〜10eがベルト部材1から離れる作像モードでベルト部材1に所定の巻き付き角で接触させ、それを傾けることによりベルト部材1の幅方向の位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、単色モードと多色モードを切り替える機構を備えた、中間転写方式又は直接転写方式の各種画像形成装置、例えばカラー複写機、カラープリンタ、カラー複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置には、中間転写ベルト、感光体ベルト又は用紙搬送ベルトなどの周回するベルト部材を用いて、多色(カラー)画像を形成するカラー画像形成装置がある。また、この種のカラー画像形成装置には、複数のローラの間に張り渡された中間転写ベルト等のベルト部材上に、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色や、光沢などを目的とした特殊色の各トナー画像を形成する画像形成ユニットを個別に備えた、タンデム型のカラー画像形成装置がある。
【0003】
そのタンデム型のカラー画像形成装置は、各画像形成ユニットの感光体上にそれぞれ上記のような異なる色のトナー画像を形成し、それを中間転写ベルト上又は用紙搬送ベルトによって搬送される記録媒体(用紙)上に順次重ねて転写する。なお、中間転写ベルト上にトナー画像を転写する中間転写方式の場合には、その中間転写ベルト上のトナー画像を用紙等の記録媒体上に二次転写する。いずれの場合もその後、トナー画像が転写された記録媒体を定着器を通してトナー画像を定着させて排出する。
【0004】
また、このような画像形成装置では一般に、カラー画像を形成する多色モードと単色画像(一般に白黒画像)を形成する単色モードとを切り替えて使用できるようにしている。
そのため、多色モード時にはベルト部材を複数の画像形成ユニットの全ての感光体に当接させ、単色モード時にはベルト部材を複数の画像形成ユニットのうちの一つの感光体にだけ当接させるように、その張り渡し姿勢を切り替える機構を備えている。
【0005】
一般に、周回ベルトを複数のローラで支持し、そのいずれかのローラを駆動ローラとして周回ベルトを周回走行させるベルト駆動装置では、走行中の周回ベルトが幅方向(ベルト走行方向と直交する方向)に移動する所謂ベルトの寄り(ベルトウォーク)が発生する。
上記タンデム型のカラー画像形成装置においては、このベルトの寄り現象により、例えば中間転写ベルト上に各色の画像を重ねて転写する際に、各色の画像に相対的な位置ずれが発生し、それが色ずれや色むら等の原因になる。
そのため、高品質な出力画像すなわちカラー画像を得るには、ベルトの寄りを適切に修正する必要がある。
【0006】
この寄りについては、ベルトが張り渡されているローラの位置が変わると、寄り速度が変化し、安定するまで一定の時間がかかることが分かっている。そのため、中間転写ベルト等のベルト部材の張り渡し姿勢を変更することによって、単色モードとフルカラーモードとを切り替える動作が入った場合、ベルトの寄り速度が変化する。
それにより、フルカラーモードへの切り替え時に、ベルト部材の寄りが原因で各色のトナー画像の転写位置が主走査方向(ベルトの幅方向)にずれて、色ずれした異常画像が発生することがある。
【0007】
このようなベルトの寄りを修正する方式としては、これまで幾つかの技術が提案されている。その代表的な技術の一つとして、周回するベルト部材を支持する複数のローラのうちの一つを寄り補正用ローラ(ステアリングローラと称す)とし、それをベルトの周長を変えない方向に僅かに傾けるように動作させて、ベルトの寄りを制御する方式(以下、「ステアリング方式」という)が知られている。また、ベルトの寄りをリブやガイド等によって強制的に抑える方式(以下、「寄り止め方式」という)もある。しかし、その寄り止め方式よりも上述したステアリング方式の方が、ベルトに加わる力が小さく、高い信頼性が得られる。
【0008】
しかし、ステアリング方式においても、一次転写ローラがベルト部材に対して接触又は離れる動作時には、初期的に寄り速度が変化する時間が有り、その時間に多色の画像を出力すると色ずれが発生する。
ステアリング方式ではまた、作像モードの切り替え時に急峻な寄り方向の変化が生じる。さらに、ベルト部材の張り渡し姿勢ごとにステアリングローラの安定位置が異なるという問題もある。
【0009】
そのため、例えば特許文献1に記載された画像形成装置では、単色モードからフルカラーモードに切り替えられたとき、主走査方向へのベルト寄りによる色ずれが発生しないように、中間転写ベルト等のベルト部材の幅方向の変位を検出して、その検出値が所定値以下になるまでカラー画像の形成を行わないように待ち時間を設けることによって、異常画像が発生しないようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このように、単色モードからフルカラーモードに切り替えた後、ベルト部材の寄り変動が安定するまで待ち時間を設けると、特に市場要求として重要な生産性、すなわち画像形成の効率を落とす結果になるという問題があった。
【0011】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、単色モードとフルカラーモードのようにベルト部材の掛け渡し姿勢が変化する複数の作像モードを有する画像形成装置において、その作像モードが切り替えられたときの待ち時間を最小限にして、なるべく画像形成の生産性低下を招くことなく、高画質な画像を形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明による画像形成装置は、駆動ローラと複数の従動ローラとによって張り渡されたベルト部材を備え、そのベルト部材の走行方向に沿って、それぞれ感光体上に異なる色のトナー画像を形成する複数の画像形成ユニットが配置され、その複数の画像形成ユニットの各感光体と前記ベルト部材を挟んでそれぞれ対向する位置に複数の転写ローラを備えている。そして、上記複数の画像形成ユニットの各感光体上に形成されたトナー画像を、上記各転写ローラによって上記ベルト部材上又はベルト部材によって搬送される記録媒体上に順次重ねて転写する画像形成装置である。
【0013】
この画像形成装置において、上記の目的を達成するため、複数の作像モードの切り替えに応じて、上記複数の転写ローラのうちの一部を上記ベルト部材に対して接触する位置と離れる位置の一方から他方に移動させる接離手段を有し、上記複数の従動ローラのうちの一本を寄り補正用のステアリングローラとして上記ベルト部材の周長を変えない方向に傾けることによって、そのベルト部材の幅方向の位置変動を制御するステアリング制御手段を備えている。
さらに、上記作像モードの切り替えによって上記ベルト部材の張り渡し姿勢が変化する領域における上記転写ローラと同じ側に、位置調整ローラを上記ベルト部材の幅方向に沿って配置し、上記一部の転写ローラが上記ベルト部材から離れる作像モードにおいて、上記位置調整ローラが上記ベルト部材に所定の巻き付き角で接触するようにし、その位置調整ローラを上記ベルト部材の周長を変えない方向に傾けることによって、そのベルト部材の幅方向の位置を調整するベルト位置調整手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、上記のような画像形成装置において、作像モードが切り替わったときにベルト部材に発生する幅方向の寄りを、上記ステアリング制御手段とベルト位置調整手段とによって短時間で制御及び調整して安定させることができる。したがって、画像形成の生産性低下を招くことなく、作像モードの切り替え後速やかに作像を開始することができ、且つ色ずれ等のない高画質な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明による画像形成装置の第1実施例の内部構成を示す概略図である。
【図2】図1におけるベルトエッジセンサ13の具体的な構成例を示す概略図である。
【図3】図1におけるベルトエッジセンサ13の他の構成例を示す概略図である。
【図4】従来のステアリング方式による寄り制御を行なった場合における作像モード切り替え前後の寄り速度とベルト位置とステアリングモータの位置との時間的な変動の関係を示す線図である。
【図5】作像モードの切り替え前後でステアリングローラ位置が略同じ位置になっている時のベルト位置とステアリングモータの位置の変化を示す線図である。
【0016】
【図6】図1に示した画像形成装置における中間転写ベルトとそれに接触し得る各ローラの全色モードでの状態を示す図である。
【図7】同じくその単色モードでの状態を示す図である。
【図8】図1に示した第1実施例における制御部とその関連部分の構成例を示すブロック図である。
【図9】この発明の第1実施例において全色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のメインルーチンのフロー図である。
【図10】同じく単色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のメインルーチンのフロー図である。
【0017】
【図11】図9及び図10における全色モードのベルト制御のサブルーチンのフロー図である。
【図12】この発明の第2実施例における中間転写ベルトとそれに接触し得る各ローラの全色モードでの状態を示す図である。
【図13】同じくその4色モードでの状態を示す図である。
【図14】同じくその単色モードでの状態を示す図である。
【0018】
【図15】この発明の第2実施例における制御部とその関連部分の構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の第2実施例において単色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のメインルーチンの途中までのフロー図である。
【図17】図16の続きのフロー図である。
【図18】同じく全色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のメインルーチンの途中までのフロー図である。
【図19】図18の続きのフロー図である。
【0019】
【図20】同じく4色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のメインルーチンの途中までのフロー図である。
【図21】図20の続きのフロー図である。
【図22】図16、図18及び図20における4色モードのベルト制御のサブルーチンのフロー図である。
【図23】この発明の第3実施例において全色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のフロー図である。
【図24】同じく単色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔第1実施例の画像形成装置としての構成〕
図1は、この発明による画像形成装置の第1実施例の内部構成を示す概略図である。
この画像形成装置では、周回するベルト部材である中間転写ベルト1が、駆動ローラ2と従動ローラ3及び二次転写対向ローラ4と多数の従動ローラ50〜55によって、所定の張力をもって張り渡されている。
【0021】
また、中間転写ベルト1上には、そのベルト走行方向(矢示X方向)に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した画像形成ユニット8,9,10,11が順に配設されている。これらの色順はY、M、Cに対しては問わない。ブラック用の画像形成ユニット11は中間転写ベルト1の走行方向の一番下流側(駆動ローラ2に近い側)に配置されている。
【0022】
各画像形成ユニット8,9,10,11は、それぞれ装置本体のフレームに回転可能に支持された感光体である感光体ドラム8a,9a,10a,11aを有している。その各感光体ドラム8a,9a,10a,11aの周囲には、そのドラム回転方向(図で反時計廻り方向)に沿って、帯電器8c,9c,10c,11c、現像器8d,9d,10d,11d、およびクリーナー8f,9f,10f,11fが順に配設されている。
【0023】
この画像形成ユニット8,9,10,11上には、各感光体ドラム8a,9a,10a,11aの表面を、レーザビームで露光走査する画像書込ユニット22が設けられている。
さらに、各画像形成ユニット8,9,10,11に対して中間転写ベルト1を挟んで対向する位置に、転写ローラである一次転写ローラ8e,9e,10e,11eが配置されている。
【0024】
その一次転写ローラ8e,9e,10e,11eのうち、中間転写ベルト1の走行方向上流側のカラー画像転写用の3個の一次転写ローラ8e,9e,10eは、カラーブラケット7に保持されており、偏心カム6a等による接離機構6及び接離駆動モータ60によって、感光体ドラム8a,9a,10aとの距離が変化するように設けられている。これらのカラーブラケット7、接離機構6、及び接離駆動モータ60によって接離手段を構成している。ここで「接離」とは、接触する状態と離れた状態とに変位したり切り替えたりすることを意味している。
【0025】
接離駆動モータ60は、この画像形成装置全体を制御する制御部30によって駆動を制御される。カラーブラケット7は、図示しないスプリング等によって下降方向に弾性力が付与されている。そして、接離駆動モータ60によって接離機構6の偏心カム6aが図示の位置へ回転されると上昇して、転写ローラである一次転写ローラ8e,9e,10eを図示のように中間転写ベルト1に接触して各感光体ドラム8a,9a,10aに接近する位置に移動させる。
【0026】
単色(ブラック)画像転写用の一次転写ローラ11eは、カラーブラケット7に保持されておらず、感光体ドラム11aとの距離が変化しない。
さらに、一次転写ローラ8eと9eとの間に、その間の中間転写ベルト1の下面に接するように位置調整ローラ20を設けている。この位置調整ローラ20の機能については、追って詳述する。
【0027】
この画像形成装置は、フルカラー画像を形成する全色モード(フルカラーモード)と単色画像を形成する単色モード(モノクロモード)とに切り替え可能である。そして、全色モードの場合には、一次転写ローラ8e,9e,10e,11eが全て中間転写ベルト1に接する位置になり、各画像形成ユニット8,9,10,11の感光体ドラム8a,9a,10a,11aとの間に中間転写ベルト1を挟んで対向する状態になる。
【0028】
単色モードの場合には、上述した接離手段によって一次転写ローラ8e,9e,10eは中間転写ベルト1から離れた位置に移動され、感光体ドラム8a,9a,10aからも離れ、ブラック画像転写用の一次転写ローラ11eのみが中間転写ベルト1に接して、ブラック用の感光体ドラム11aとの間に中間転写ベルト1を挟んで対向する状態になる。
【0029】
一方、画像形成対象となる記録媒体である用紙14は、給紙カセット25に収容されており、その給紙カセット25の用紙繰り出し側に設けられたピックアップローラ15により一枚ずつ繰り出される。その繰り出された用紙14は、複数の搬送ローラ対16により図1に破線で示す経路を辿って搬送され、二次転写ローラ5と二次転写対向ローラ4とが中間転写ベルト1を挟んで対向している二次転写位置へ送られる。
その二次転写位置から用紙搬送方向下流側には、用紙搬送装置17と定着器18、および排紙用搬送ローラ対19等が配設されている。
【0030】
次に、このように構成された画像形成装置によって、全色モードでカラー画像を形成する場合の動作手順の概略を図1によって説明する。
まず、各画像形成ユニット8,9,10,11での作像工程が順に開始され、各感光体ドラム8a,9a,10a,11aの表面が帯電器8c,9c,10c,11cによって均一に帯電され、画像書込ユニット22による光走査によって各色の画像に応じて露光されて、その各表面に静電潜像が形成される。それが現像器8d,9d,10d,11dの各色のトナーによってそれぞれ現像されて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像が順次形成される。
【0031】
その各感光体ドラム8a,9a,10a,11a上のトナー画像が、バイアス電圧が印加された一次転写ローラ8e,9e,10e,11eの作用によって中間転写ベルト1上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト1上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのフルカラー画像が形成される。
【0032】
その後、そのカラー画像は中間転写ベルト1の走行とともに二次転写位置に送り込まれ、バイアス電圧が印加された二次転写ローラ5の作用によって、所定のタイミングで搬送されて来る記録媒体である用紙14上に一括転写(二次転写)される。
カラー画像が転写された用紙14は、用紙搬送装置17によって定着器18へ搬送され、そこで加熱及び加圧による定着処理がなされた後、複数の排紙用搬送ローラ対19によって図示していない排紙トレイに排出される。
【0033】
記録媒体はトナー画像を転写して定着できる媒体であればよく、用紙の他に、転写紙、印刷用紙、記録紙、印刷シート、記録シートなどとも称される。
こうした一連の画像形成動作において、中間転写ベルト1の位置がその幅方向にベルト寄りが発生すると、各画像形成ユニット8,9,10,11によって中間転写ベルト1上に転写されるトナー画像の位置に相対的なずれが生じ、それが出力画像(カラー画像)の色ずれや色むらとなって現れる。
【0034】
そこで、この画像形成装置では、中間転写転ベルト1の幅方向への寄りを防ぐために、ステアリング方式の制御を行う。そのため、中間転写転ベルト1を張り渡している複数のローラのうち、駆動ローラから一番遠い従動ローラ3をベルト寄り補正用ローラであるステアリングローラ(以下「ステアリングローラ3」と称す)として使用し、それを中間転写転ベルト1の周長を変えない方向に僅かに傾けるように駆動制御することによってベルト寄りを補正する。
【0035】
この実施例では、このようにステアリング方式で中間転写ベルト1のベルト寄りを修正するために、中間転写ベルト1の幅方向の側端(エッジ)位置を検出するベルトエッジセンサ13と、ステアリングローラ3を傾けるための公知の機構が組み込まれている。
ベルトエッジセンサ13は、中間転写ベルト1の走行経路上に配置され、中間転写ベルト1の側端(エッジ)位置を検出するもので、ベルト走行方向(矢示X方向)においてステアリングローラ3より下流側で、二次転ローラ5までの間のいずれかの位置に配置される。この実施例では、駆動ローラ2と二次転写対向ローラ4との間の位置に配置されている。
【0036】
〔ベルトエッジセンサの例〕
図2はそのベルトエッジセンサ13の具体的な構成例を示す概略図である。図2において、中間転写ベルト1の幅方向における一側端部に対して、接触子131の一端側131aをスプリング132の引っ張り力によって押し圧力をかけて接触させている。
【0037】
この場合、スプリング132による接触子131の押し圧力は、中間転写ベルト1を変形させない程度の適度な大きさに設定されている。また、接触子131は、その中間部を軸133によって揺動自在に支持されている。その接触子131の軸133を中心として一端側131aと反対側に延びた他端側131bに、変位センサ134を対向させて設けている。
【0038】
このベルトエッジセンサ13においては、ベルト寄り発生時における中間転写ベルト1の幅方向(y方向)への動きが、その一側端部(ベルトエッジ)に接する接触子131の揺動に置き換えられる。その接触子131の揺動による他端側131bの変位に応じて、変位センサ134との間の距離が変化するため、反射型フォトセンサである変位センサ134の出力レベルが変動する。その変位センサ134の出力レベルに基づいてベルトエッジの位置変動を検出することができる。
【0039】
なお、ベルトエッジセンサ13は、中間転写ベルト1の幅方向のベルト寄りによる位置変動に応じた出力を発生するものであれば、どのような構成のものを採用しても構わない。
例えば、図3に示すように、中間転写ベルト1の幅方向における一側端部(エッジ部)を介して発光ダイオード(LED)135と光量センサ136を対向させて配置したものであってもよい。この場合、LED135から射出された光が、中間転写ベルト1の幅方向における一側端部の位置によって光量センサ136に入射される光量が変化し、その光量に応じて光量センサ136の出力レベルが変化する。
【0040】
〔ステアリング方式の寄り制御について〕
図1に記載した実施例では、中間転写ベルト1を矢示X方向に周回走行させながら、ステッピングモータであるステアリングモータによって駆動されるカムやレバー等の移動機構によって、ステアリングローラ3の図1で紙面に垂直な方向に延びる軸の一端側を、上下方向に移動させる。それによって、ステアリングローラ3を中間転写ベルト1の周長を変えない方向に僅かに傾けて、中間転写ベルト1の幅方向の寄りを修正し、ベルトエッジセンサ13によって検出されるエッジ位置すなわちベルト位置が所定の基準位置になるように制御する。
【0041】
図4は、従来のステアリング方式による寄り制御を行なった場合の作像モード切り替え前後の寄り速度とベルト位置とステアリングモータの位置との時間的な変動の関係を示す線図である。
ベルト位置〔μm〕は、ベルトエッジセンサ13によって検出される中間転写ベルト1の幅方向における一側端部の位置(エッジ位置)であり、寄りのない基準位置を0として、その基準位置からのずれ量をずれ方向に対応した正負のμm単位で示す値であり、曲線Aで示している。
【0042】
ステアリングローラ3を傾けるように駆動するステアリングモータとしてステッピングモータを使用するので、そのモータの回転位置がステアリングローラ3の傾き量と対応する。そのステアリングモータの位置を回転方向に対応する正負のステップ数によって、曲線Bで示している。寄り速度は、中間転写転ベルト1が幅方向に変位する速度であり、変位方向に対応した正負のμm/s単位の値であり、曲線Cで示している。
横軸は、秒(s)単位の時間を20秒間隔で示している。
【0043】
この図4から分かるように、ステアリング方式による中間転写ベルト1の寄り制御を行なっていても、作像モード切り替え直後からベルト位置(曲線A)が大きく変化し、寄り速度(曲線C)も一時的に急増しており、ベルト位置が略基準位置に安定するまでにはかなりの時間がかかっている。したがって、従来のステアリング方式による寄り制御だけでは、作像モード切り替えに伴う急激なベルト位置の変動に対しては十分な制御を行うことが難しい。
また、このような急激なベルト位置の変動時に作像した画像は色ずれなどの異常画像が発生することになる。
【0044】
図5は作像モードの切り替え前後でステアリングローラの位置(傾き)が略同じになっている時の、ベルト位置〔μm〕(曲線A)とステアリングモータの位置〔step〕(曲線B)の変化を示す線図である。この場合は、モード切り替えによって挙動が大きく変化していないことが分かる。
この発明は、ステアリングローラの他に別の寄り修正用のローラである位置調整ローラも用いて、この結果と同様なモード切り替え時の挙動が得られるようにするものである。
【0045】
〔第1実施例の要部とその制御〕
そこで、この発明の第1実施例の要部とその制御について、主として図6〜図11によって説明する。図6及び図7は、図1に示した画像形成装置におけるベルト部材である中間転写ベルト1とそれに接触し得る各ローラを示す図であり、図6は全色モードでの状態を、図7は単色モードでの状態をそれぞれ示している。これらの図に示す各部には全て図1の対応する各部と同じ符号を付している。
図8は、この発明の第1実施例における制御部30とその関連部分の構成を示すブロック図である。この図においても図1に示された各部には同一の符号を付している。
【0046】
図1でも説明したが、図6及び図7に一層明瞭に示すように、中間転写ベルト1は、駆動ローラ2とステアリングローラ3及び二次転写対向ローラ4と多数の従動ローラ50〜55によって、所定の張力をもって張り渡されている。
そして、駆動ローラ2の回転によって中間転写ベルト1を矢示X方向に所定の速度で周回させながら、ステアリングローラ3を前述したように、その軸の一端側を矢示aで示すように、中間転写ベルト1を引っ張る方向に直交する方向に移動させて僅かに傾けることによって、周長を変化させずにステアリング方式で寄りを制御する。すなわち、ベルトエッジセンサ13によって検出されるベルト位置が基準位置になるように、中間転写ベルト1の幅方向(紙面に垂直な方向)の寄りをなくすように制御する。
【0047】
この実施例では、全色モード(フルカラーモード)の場合は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した画像形成ユニット8,9,10,11を全て使用して作像する。そのため、図1に示した接離機構6によりカラーブラケット7が上昇され、図6に示すようにY,M,C用の各一次転写ローラ8e,9e,10eが上昇して中間転写ベルト1に接触する。それにより、K用の一次転写ローラ11eを含む全ての一次転写ローラ8e,9e,10e,11eが、中間転写ベルト1を挟んで各画像形成ユニット8,9,10,11の感光体ドラム8a,9a,10a,11aと対向する。
【0048】
単色モード(モノクロモード)の場合は、ブラック(K)に対応した画像形成ユニット11のみを使用して作像する。そのため、図1に示した接離機構6によりカラーブラケット7が下降され、図7に示すようにY,M,C用の各一次転写ローラ8e,9e,10eは下降して中間転写ベルト1から離れる。したがって、K用の一次転写ローラ11eのみが中間転写ベルト1を挟んで画像形成ユニット11の感光体ドラム11aと対向する。
【0049】
この実施例ではこのように、中間転写ベルト1の従動ローラ55とK用の一次転写ローラ11eとの間に張り渡された部分は、全色モードのときにはY,M,C用の各感光体ドラム8a,9a,10a,11aと一次転写ローラ8e,9e,10eとによって挟まれるが、単色モードのときには解放される。
一次転写ローラ8e,9e,10e,11eが全て完全に水平であれば、作像モードを切り替えても中間転写ベルト1の張り渡し姿勢が変化しないはずであるが、実際にはそれぞれ僅かな傾きを有しているため、作像モードの切り替えによって中間転写ベルト1の張り渡し姿勢が変化し、前述した寄りが発生することになる。
【0050】
そこで、この中間転写ベルト1の張り渡し姿勢が変化する部分の一次転写ローラと同じ側に、位置調整ローラ20を中間転写ベルト1の幅方向に沿って配置する。この実施例では、Y用の一次転写ローラ8eとM用の一次転写ローラ9eとの間の位置に、その位置調整ローラ20を設けている。
【0051】
この位置調整ローラ20は、全色モードのときには図6に示すように、その外周面が中間転写ベルト1から僅かに離れた位置にあり、単色モードのときには、図7に示すようにその外周面が中間転写ベルト1に所定の巻き付け角で接触するように配置されている。
あるいは、全色モードのときにも位置調整ローラ20の外周面が中間転写ベルト1に、巻き付け角なし(0度)か僅かな巻き付け角で接触するようにし、単色モードのときには、その巻き付け角が全色モードのときより大きい所定の巻き付け角になるようにしてもよい。
【0052】
図8は、この第1実施例における制御部30とその関連部分の構成を示すブロック図である。制御部30は、コントローラ31、ベルト駆動モータドライバ32、ステアリングモータドライバ33、接離駆動モータドライバ34、位置調整モータドライバ36、及びメモリ38から構成されている。この制御部30は、この画像形成装置全体を制御する制御部を兼ねることができるが、ここではこの発明に直接係わる部分の構成のみを示している。
【0053】
コントローラ31は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを備えている。そして、ベルトエッジセンサ13の検出値(ベルト位置に対応する)を入力し、ベルト駆動モータドライバ32、ステアリングモータドライバ33、接離駆動モータドライバ34、位置調整モータドライバ36、及びメモリ38をそれぞれ制御する。
【0054】
ベルト駆動モータドライバ32は、コントローラ31に制御されて駆動ローラ2を回転させるベルト駆動モータ40を駆動して、中間転写ベルト1を所定の速度で周回移動させる。
ステアリングモータドライバ33は、コントローラ31に制御されて、ステッピングモータであるステアリングモータ41を正逆方向にステップ回転させ、図示していない移動機構を介してステアリングローラ3を、前述したように中間転写ベルト1の周長を変えない方向(図6及び図7おける矢示a方向)に傾けて、ステアリング方式の寄り制御を行う。これらがステアリング制御手段に相当する。
【0055】
接離駆動モータドライバ34は、コントローラ31に制御されて接離駆動モータ60を駆動し、図1に示した接離機構6及びカラーブラケット7を介してY,M,C用の各一次転写ローラ8e,9e,10eを移動させる。そして、全色モードのときには図6に示すように、一次転写ローラ8e,9e,10eを全て中間転写ベルト1に接触させ、単色モードのときには図7に示すように、全て中間転写ベルト1から引き離す。これらが接離手段に相当する。
【0056】
位置調整モータドライバ36は、図7に示す単色モードの場合に、コントローラ31に制御されて必要に応じてステッピングモータである位置調整モータ42を正又は逆方向にステップ回転させ、図示していない移動機構を介して位置調整ローラ20の軸の一端側を矢示b方向に移動させる。それによって、位置調整ローラ20を中間転写ベルト1の周長を変えない方向に僅かに傾けて、中間転写ベルト1の幅方向(紙面に垂直な方向)の位置を調整し、ステアリングローラ3の傾きを全色モードで寄りを無くした安定位置と同じ位置にしても、ベルトの寄りをなくせるように調整する。これらがベルト位置調整手段に相当する。その詳細は後述する。
【0057】
メモリ38は、後述する全色モードのベルト制御(ステアリング制御)において、ベルトエッジセンサ13の検出値(ベルト位置に対応する)が基準位置の所定範囲内になった等の所定条件を満たしたとコントローラ31が判断したとき、ステアリングローラ3の傾きの安定位置の情報として、そのときのステアリングモータ41の回転ステップ数(正負の整数)を保存する手段である。また、全色モード又は単色モードのベルト制御で、最初に目標値とするステアリングモータ41の回転ステップ数のデフォルト値として、設計上の最適値が予め設定され、このメモリ38に記憶される。
このメモリ38は、コントローラ31内のROM、RAM、あるいはNVRAMなどのメモリが兼ねてもよい。
【0058】
次に、この第1実施例におけるこの制御部30による処理を図9〜図11によって説明する。図9は全色モード(フルカラーモード)で作像を開始した場合の処理のメインルーチン、図10は単色モード(モノクロモード)で作像を開始した場合の処理のメインルーチン、図11は全色モードのベルト制御のサブルーチンのフロー図である。
【0059】
<全色モードで作像を開始した場合>
図6に示した全色モードで作像を開始すると、図9に示す処理を開始する。そして、先ずステップS1で「全色モードのベルト制御」を実行し、その後に全色モードで作像を行う。なお、この発明によれば、全色モードで作像を開始する際の中間転写ベルト1の寄り変動は少ないので、画像品質の要求が厳しくなく多少の色ずれは許容できる場合には、全色モードで作像を開始してから、「全色モードのベルト制御」を並行して行うようにしてもよい。
【0060】
図9におけるステップS1の「全色モードのベルト制御」のサブルーチンでは、図11に示すように、ステップS101で「ベルト駆動」と「ステコン制御」をスタートする。「ベルト駆動」は、ベルト駆動モータ40を駆動して図6に示した駆動ローラ2を回転させ、中間転写ベルト1を矢示X方向に所定の速度で周回走行させることである。
「ステコン制御」は、ステッピングモータであるステアリングモータ41を正方向又は逆方向にステップ回転させ、ステアリングローラ3を中間転写ベルト1の周長を変えない方向に傾けて、ステアリング方式の寄り制御を行うことである。
【0061】
最初にこの「全色モードのベルト制御」を行う場合には、設計上全色モードでの最適値として、予めメモリ38に記憶されたステアリングモータ41の回転ステップ数のデフォルト値NAdを目標値として、ステアリングモータ41を回転させ、ステアリングローラ3を傾けてこの制御を開始する。以前にこの「全色モードのベルト制御」を行っている場合には、その時のステアリングローラ3の傾きの安定位置の情報としてのステップ数NAを保存しているので、その値を目標値としてステアリングモータ41を回転させて制御を開始する。
【0062】
そして、ステップS102で、中間転写ベルト1の幅方向の位置を示すベルトエッジセンサ13の検出値Psを読み取る。次いで、ステップS103でその検出値Psが所定条件を満たすか否かを判断する。この所定条件とは、検出値Psが基準位置の所定範囲(基準位置±Δ)内にあることが所定時間以上継続していることである。その判断がYESになるまで、ステップS104で検出値Psと基準値との差(正負も)に応じてステコン制御し、ステップS102に戻って検出値Psの読み取りとステップS103の判断を繰り返す。
【0063】
S103の判断でYESになるとステアリングローラ3が安定したので、そのときまでにステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を、ステアリングローラの傾きの安定位置NAとして図8に示したメモリ38に記憶して保存する。その後図9のメインルーチンへリターンする。
【0064】
メインルーチンの次のステップS2では全色モードで作像を実行する。これは、Y,M,C,K用の各画像形成ユニット8,9,10,11を全て使用する通常のフルカラーモードの作像処理と同じであるから、詳細な説明は省略する。
全色モードで作像を開始してから、「全色モードのベルト制御」を並行して行う場合にも、図11に示すサブルーチンと同様なベルト制御を全色モードでの作像処理と並行して実行するが、ステアリングローラの傾きの安定位置NAを記憶して保存した後は、その制御状態を維持して、全色モードでの作像処理を継続する。
【0065】
1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS3で画像形成を終了する(作像するデータがない)か否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS3で終了しないと判断すると、ステップS4でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS2へ戻って全色モードで作像を繰り返し実行する。
【0066】
ステップS4でモード切り替えと判断すると、ステップS5で図7に示した単色モードに切り替える。そして、単色モードでは色ずれの問題は発生しないので、ステップS6ですぐに単色モードで作像を開始する。これは、K用の画像形成ユニット11のみを使用する通常のモノクロモードの作像処理と同じであるから、詳細な説明は省略する。
このステップS6では、単色モードの作像処置と並行して「単色モードのベルト制御」を行う。それは、ベルト駆動モータ40によって中間転写ベルト1を回動させながら、先のステップS1の「全色モードのベルト制御」で保存した安定位置NAを目標値をとしてステコン制御を行うと共に、位置調整ローラ20を制御することである。
【0067】
すなわち、メモリ38に保存している安定位置NAのステップ数までステアリングモータ41を回転させて、ステアリングローラ3の傾きが前回の「全色モードのベルト制御」における安定位置と同じになるようにしながら、ステッピングモータである位置調整モータ42を正方向又は逆方向にステップ回転させて、位置調整ローラ20を図7における矢示b方向に傾け、前述したベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たすように制御する。
【0068】
前回保存した安定位置NAをステコン制御の目標値とするのは、ステアリングローラ3の傾きをなるべく前回の全色モードでの安定位置と同じにして、次に全色モードに切り替ったときに、すぐに全色モードの作像を開始できるようにするためである。
また、単色モードでは色ずれは発生しないが、この場合もベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たすように制御するのは、中間転写ベルト1の位置が幅方向にずれ過ぎると、他の部材に接触したりして回動不良を起こしたり、極端な場合は破損する恐れがあるし、どのモードでも中間転写ベルト1がなるべく所定の位置にあるのが動作の安定上望ましいからである。
【0069】
ステップS6で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS7で画像形成を終了する(作像するデータがない)か否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS7で終了しないと判断すると、ステップS8でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS6へ戻って、単色モードで作像処理と上述したベルト制御を繰り返し実行する。
【0070】
ステップS8でモード切り替えと判断すると、ステップS9で、そのときのステアリングローラ3の傾き位置に相当するステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を、切替直前値N1としてメモリ38又はコントローラ31内のメモリに記憶する。このとき既にステコン制御が目標値になっていれば、この切替直前値N1は前回の全色モードでの安定位置NAと等しくなっているはずである。しかし、まだステコン制御が目標値になっていないにうちにモード切り替えがなされた場合は、N1としてNAとは異なる値(ステップ数)が記憶されることになる。
【0071】
そして、ステップS10で図6に示した全色モードに切り替えた後、ステップS11で前回の全色モードでの安定位置NAと切替直前値N1の差、すなわち|NA−N1|が所定値未満か否かを判断する。そのNAとN1の差(絶対値)が所定値未満であれば、モード切り替え直前のステアリングローラの位置と全色モードでのステアリングローラの安定位置との差が小さい(殆ど同じである)ので、そのままステップS2へ戻って全色モードの作像を実行する。この場合は待ち時間なく、直ちに全色モードの作像を開始することができる。ほとんどの場合はN1≒NAになっているので、直ちに全色モードの作像を開始する。
【0072】
しかし、単色モードになってから短時間で全色モードに切り替わったような場合には、N1≒NAになっておらず、ステップS11の判断でNOになる。その場合は、モード切り替え直前のステアリングローラ3の位置と全色モードでのステアリングローラ3の安定位置との差が大きいので、ステップS1に戻って「全色モードのベルト制御」(図11)を実行してから、ステップS2で全色モードの作像を実行する。
以下、上述した処理を、ステップS3又はS7で終了と判断するまで繰り返し実行する。
【0073】
<単色モードで作像を開始した場合>
図7に示した単色モードで作像を開始すると、図10に示す処理を開始する。
そして、図10のステップS21で単色モードで作像処理を実行し、それと並行して図9におけるステップS6で説明したような「単色モードのベルト制御」を実行する。
【0074】
すなわち、ベルト駆動モータ40によって中間転写ベルト1を回動させ、以前の「全色モードのベルト制御」でメモリ38に保存した安定位置NAを目標値としてステコン制御を行ないながら、位置調整ローラ20を制御して、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たすように調整する。ただし、まだ「全色モードのベルト制御」を行っておらず、安定位置NAが保存されていない場合は、設計上全色モードでの最適値として予めメモリ38に記憶されたステアリングモータ41の回転ステップ数のデフォルト値NAdを目標値としてステコン制御を行う。
【0075】
ステップS21で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS22で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS22で終了しないと判断すると、ステップS23でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS21へ戻って、単色モードで作像処理と上述したベルト制御を繰り返し実行する。
【0076】
ステップS23でモード切り替えと判断すると、ステップS24で、そのときのステアリングローラ3の傾き位置に相当するステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を切替直前値N1としてメモリ38又はコントローラ31内のメモリに記憶する。このとき既にステコン制御が目標値になっていれば、この切替直前値N1は前回の全色モードでの安定位置NA又はデフォルト値NAdと等しくなっている。
【0077】
その後、ステップS25で図6に示した全色モードに切り替え、ステップS26で、全色モードでの安定位置NAと切替直前値N1と差である|NA−N1|が所定値未満か否かを判断する。
そのNAとN1との差(絶対値)が所定値未満であれば、モード切り替え直前のステアリングローラ3の位置と全色モードでのステアリングローラ3の安定位置との差が小さい(殆ど同じである)ので、そのままステップS27へ進んで全色モードの作像を実行する。この場合は待ち時間なく、直ちに全色モードの作像を開始できる。
【0078】
しかし、ステップS26の判断でNOの場合は、モード切り替え直前のステアリングローラの位置と全色モードでのステアリングローラの安定位置との差が大きいので、ステップS28で図11に示した「全色モードのベルト制御」を実行してから、ステップS27で全色モードの作像を実行する。
最初は全色モードでのステアリングローラの安定位置NAが保存されていないため、|NA−N1|が所定値未満になることはなく、ステップS28で「全色モードのベルト制御」を実行することになる。
【0079】
しかし、通常はモード切り替え時にN1≒NAdになっているので、図11に示した「全色モードのベルト制御」のサブルーチンで、略デフォルト値NAdからステコン制御を開始することになり、すぐにベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たし、それまでにステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数を、ステアリングローラ3の安定位置NAとして保存できる。その後、すぐにステップS27で全色モードの作像を開始できる。
【0080】
ステップS27で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS29で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS29で終了しないと判断すると、ステップS30でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS27へ戻って全色モードで作像を繰り返し実行する。
【0081】
ステップS30でモード切り替えと判断すると、ステップS31で図7に示した単色モードに切り替える。そして、ステップS21に戻って単色モードで作像処理と単色モードのベルト制御を並行して実行する。
以下、上述した処理を、ステップS22又はS29で終了と判断するまで繰り返し実行する。
【0082】
上述した図9におけるステップS11と、図10におけるステップS26の判断では、全色モードでの安定位置NAと切替直前値N1との差である|NA−N1|が所定値未満か否かを判断したが、所定値以下か否かを判断するようにしてもよい。その場合は、|NA−N1|が所定値以下であれば、待ち時間なく直ちに全色モードで作像を開始できる。この所定値は任意に設定できる。
【0083】
単色モードのベルト制御では、前回の全色モードのベルト制御で保存した安定位置NAを目標値としてステコン制御を行うので、殆んどの場合は切替直前値N1が略NAになっている。そのため、単色モードから全色モードに切り替えたとき、|NA−N1|の値は小さい場合が多く、殆どの場合は待ち時間なく全色モードで作像を開始できる。
また、多少の色ずれが許容される場合には、前述したように、単色モードから全色モードに切り替えたときにも|NA−N1|の判断を行わずに、すぐに全色モードで作像を開始し、その処理と並行して全色モードのベルト制御と同様な制御を行うようにしてもよい。
【0084】
〔第2実施例の要部とその制御〕
次に、この発明による画像形成装置の第2実施例について、主に図12〜図22によって説明する。
この第2実施例の画像形成装置としての構成は、図1に示した第1実施例と略同様である。しかし、ステアリングローラ3は図1の位置より左方にずれた位置にあり、中間転写ベルト1が画像形成ユニット8より左方に延びて張り渡されている。そして、その中間転写ベルト1の上側のイエロー(Y)用の画像形成ユニット8の左側(中間転写ベルト1の走行方向の上流側)に、もう1個の画像形成ユニットを配置している。
【0085】
その画像形成ユニットは、他の画像形成ユニット8〜11と同じ構成であるが、YMCKでは再現できない領域を再現できる特殊色の画像を形成するものである。そのため、その現像器は特殊色のトナーを使用する。この特殊色としては、例えば透かしや光沢などにも使えるクリアトナーや、金色、銀色などがある。
その特殊色用の画像形成ユニットの感光体ドラムと中間転写ベルト1を挟んで対向する位置に、図12〜図14に示す一次転写ローラ12eが設けられている。
【0086】
図12〜図14は、その第2実施例の画像形成装置における中間転写ベルトとそれに接触し得る各ローラを示す図であり、図12は全色モード、図13は4色モード、図14は単色モードでの各状態を示している。これらの各図において、図6及び図7と対応する各部には同一の符号を付しており、それらの説明は省略する。
【0087】
この実施例における全色モードは、特殊色及びY,M,C,K用の全ての画像形成ユニットを使用して作像するモードである。4色モードは、特殊色を除く全ての画像形成ユニットを使用して作像するモードであり、前述した第1実施例における全色モードすなわちフルカラーモードに相当する。単色モードは、K用の画像形成ユニットのみを使用して作像するモードであり、第1実施例における単色モードと同じである。
【0088】
特殊色用の一次転写ローラ12eは、Y,M,C用の各一次転写ローラ8e,9e,10eとは別の接離駆動モータとカム等の接離機構によって、中間転写ベルト1に接触する位置と接触しない位置とに上下に移動される。
そして、この第2実施例においては、全ての画像形成ユニットを使用して作像する「全色モード」の場合には、図12に示すように全ての一次転写ローラ8e,9e,10e,11e,12eを中間転写ベルト1に接触させる。
【0089】
特殊色用の画像形成ユニット以外の4個の画像形成ユニットを使用して作像する「4色モード」の場合は、図13に示すように特殊色用の一次転写ローラ12eのみを中間転写ベルト1から引き離す。
K用の画像形成ユニットのみを使用して作像する「単色モード」の場合は、図14に示すように一次転写ローラ8e,9e,10e,12eがいずれも中間転写ベルト1から離れ、K用の一次転写ローラ11eのみが中間転写ベルト1に接触している。
【0090】
このように、この第2実施例によれば、図12に示す全色モードでは一次転写ローラ12eが中間転写ベルト1に接触しており、図13に示す4色モードでは一次転写ローラ12eが中間転写ベルト1から離れる。そのため、この全色モードと4色モードの切り替えによって、中間転写ベルト1の張り渡し姿勢が変化することになる。
【0091】
そこで、この中間転写ベルト1の張り渡し姿勢が変化する部分の一次転写ローラと同じ側に、もう1個の位置調整ローラ21を中間転写ベルト1の幅方向に沿って配置する。この実施例では、Y用の一次転写ローラ8eと特殊色用の一次転写ローラ12eとの間の位置に、その位置調整ローラ21を設けている。
【0092】
この位置調整ローラ21は、全色モードのときには図12に示すように、その外周面が中間転写ベルト1から僅かに離れた位置にある。そして、4色モード及び単色モードのときには、図13及び図14に示すように、その外周面が中間転写ベルト1に所定の巻き付け角で接触するように配置される。
あるいは、全色モードのときにも位置調整ローラ21の外周面が中間転写ベルト1に、巻き付け角なし(0度)か僅かな巻き付け角で接触するようにし、4色モード及び単色モードのときには、その巻き付け角が全色モードのときより大きい所定の巻き付け角になるようにしてもよい。
【0093】
第1実施例と同じ位置調整ローラ20は、全色モード及び4色モードのときには、図12及び図13に示すように、その外周面が中間転写ベルト1から僅かに離れた位置にあるか、巻き付け角なし(0度)又は僅かな巻き付け角で接触している。単色モードのときには図14に示すように、その外周面が中間転写ベルト1に所定の巻き付け角(全色モード及び4色モードのときより大きい)で接触する。
【0094】
図15は、この第2実施例における制御部とその関連部分の構成を示すブロック図である。これは第1実施例における図8に相当する図であって、図8の各部と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
この制御部30′は、図8に示した制御部30に、接離駆動モータドライバ35と位置調整モータドライバ37とを追加したものである。
【0095】
接離駆動モータドライバ35は、コントローラ31に制御されて接離駆動モータ61を駆動し、接離機構6Bを介して特殊色用の一次転写ローラ12eを移動させる。そして、全色モードのときには図12に示すように、一次転写ローラ12eを中間転写ベルト1に接触させる。4色モード及び単色モードのときには図13及び図14に示すように、一次転写ローラ12eを中間転写ベルト1から引き離す。これらも接離手段に相当する。
【0096】
位置調整モータドライバ37は、図13及び図14に示す4色モード及び単色モードの場合に、コントローラ31に制御されて必要に応じてステッピングモータである位置調整モータ43を正又は逆方向にステップ回転させ、図示していない移動機構を介して位置調整ローラ21の軸の一端側を矢示c方向に移動させる。それによって、前回の全色モード又は4色モードのベルト制御で保存した安定位置NA又はN4を目標値としてステコン制御を行なっても、位置調整ローラ21を中間転写ベルト1の周長を変えない方向に僅かに傾けて、中間転写ベルト1の幅方向(紙面に垂直な方向)の寄りをなくすように調整する。これらも、ベルト位置調整手段に相当する。
【0097】
次に、この第2実施例におけるこの制御部30′による処理を図16〜図22及び図11によって説明する。
図16及び図17は単色モードで作像を開始した場合の処理のメインルーチン、図18及び図19は全色モードで作像を開始した場合の処理のメインルーチン、図20及び図21は4色モードで作像を開始した場合の処理のメインルーチンのフロー図である。これらの図は、いずれも各メインルーチンの処理を図示の都合で2つの図に分けて示しているが、それぞれ端子に同じ記号を記した流れ線は接続されている。
【0098】
図22は4色モードのベルト制御のサブルーチンである。全色モードのベルト制御のサブルーチンは、図11に示した第1実施例と同じであるため省略するが、特殊色用の一次転写ローラ12eを中間転写ベルト1に接触させているので、実際の作像モードは異なっている。。
【0099】
<単色モードで作像を開始した場合>
図14に示した単色モードで作像を開始すると、図16及び図17に示す処理を開始する。そして、単色モードの場合は色ずれの問題はないので、図16に示すステップS41で直ちに単色モードで作像処理を開始し、その処理と並行して単色モードのベルト制御を実行する。
【0100】
その「単色モードのベルト制御」は、中間転写ベルト1を回動させ、前回の全色モードのベルト制御で保存した安定位置NA(ステアリングモータ41の初期位置からの回転ステップ数)を目標値としてステコン制御を行いながら、位置調整ローラ20,21の両方を制御する。それによって、ステアリングローラ3の傾き位置を前回の全色モードでの安定位置と同じにしながら、中間転写ベルト1の幅方向の位置を基準位置付近に安定させるように調整する。
なお、以前に全色モードのベルト制御を行ったことがなく、安定位置NAが保存されていない場合には、全色モードでの最適値として予めメモリ38に記憶されたステアリングモータ41の回転ステップ数のデフォルト値NAdを目標値としてステコン制御を行う。
【0101】
ステップS41で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS42で画像形成を終了する(作像するデータがない)か否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS42で終了しないと判断すると、ステップS43でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS41へ戻って、単色モードでの作像処理と単色モードのベルト制御を繰り返し実行する。
【0102】
ステップS43でモード切り替えと判断すると、ステップS44で、そのときのステアリングローラ3の位置(傾き)に相当するステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を切替直前値N1としてメモリ38又はコントローラ31内のメモリに記憶する。このとき既にステコン制御が目標値になっていれば、この切替直前値N1は前回の全色モードでの安定位置NA(又はデフォルト値NAd)と等しくなっているはずである。
【0103】
そして、ステップS45で4色モードか否かを判断する。その結果、4色モードであればステップS46で図13に示した4色モードに切り替える。そして、ステップS47で|N4−N1|が所定値未満か否かを判断する。N1は前述した切替直前値であり、N4は4色モードのベルト制御において保存したステアリングローラ3の安定位置である。
【0104】
そのN4とN1の差(絶対値)が所定値未満であれば、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化は少ないはずなので、そのままステップS48へ進んで4色モードの作像を実行する。この「所定値未満」か否かの判断は、「所定値以下」か否かの判断にしてもよく、以下の各モード切り替え前後のステアリングローラの安定位置の差の判断ステップにおいても同様である。この所定値についても、前述した実施例と同様である。
【0105】
ステップS47の判断でNOの場合は、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が大きくなるので、ステップS49で図22に示す「4色モードのベルト制御」を実行してから、ステップS48で4色モードの作像を実行する。
最初は、ステアリングローラの安定位置N4が保存されていないので、|N4−N1|が所定値未満になることはないから、ステップS47の判断でNOになり、ステップS49で図22に示す「4色モードのベルト制御」を実行する。
【0106】
その図22に示す「4色モードのベルト制御」では、「ベルト駆動」と「ステコン制御(NAを目標値とする)」と「位置調整ローラ21の制御」をスタートし、ベルトエッジセンサ13の検出値Psを読み取り、その検出値Psが所定条件を満たすかどうかを判断する。その所定条件とは、基準位置の所定範囲(基準位置±Δ)内にあることが所定時間以上継続していることである。
検出値Psが所定条件を満たすまでは、ステップS204で検出値Psと基準位置との差に応じて位置調整ローラ21を制御し、ステップS202〜S204の処理を繰り返す。
【0107】
ステップS203で所定条件を満たしたら、そのときまでにステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数を、ステアリングローラの傾きの安定位置N4としてメモリ38に記憶して保存して、図16のメインルーチンへリターンする。このとき、殆どの合はN4≒NAになっている。
【0108】
その後、図16のステップS48で4色モードで作像を実行する。そして、1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS50で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS50で終了しないと判断すると、ステップS51でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS48へ戻って4色モードで作像を繰り返し実行する。
【0109】
ステップS51でモード切り替えと判断すると、図17のステップS52へ進んで、単色モードか否かを判断する。その結果、単色モードであればステップS53で図14に示した単色モードに切り替え、図16のステップS41に戻って、単色モードで作像を開始すると共に、それと並行して前述した単色モードのベルト制御を実行する。
【0110】
図16ステップS45で4色モードでなかった場合と、図18のステップS52で単色モードでなかった場合は、図17ステップS55へ進んで図12示した全色モードに切り替える。
そして、ステップS56で|NA−N1又はN4|が所定値未満か否かを判断する。NAは前回の「全色モードのベルト制御」において保存したステアリングローラ3の安定位置、N1はステップS44で記憶した切替直前値であり、N4はステップS49の「4色モードのベルト制御」で保存したステアリングローラ3の傾きの安定位置である。
【0111】
そのステップS56でYES、すなわちNAとN1又はN4との差が所定値未満であれば、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化は少ないはずなので、そのままステップS57へ進んで全色モードの作像を実行する。通常は、N1もN4もNAと殆ど同じ値になっているはずであるから、|NA−N1又はN4|が所定値未満になり、直ちにステップS57へ進んで全色モードの作像を実行できる。
【0112】
しかし、ステップS56の判断でNOの場合は、モード切り替えによるステアリングローラの傾きの変化が大きくなるので、ステップS58で「全色モードのベルト制御」を実行してから、ステップS57で全色モードの作像を実行する。
最初は、前回の全色モードでの安定値NAが保存されてないので、|NA−N1又はN4|が所定値未満になることはなく、ステップS58で「全色モードのベルト制御」を実行する。
その「全色モードのベルト制御」は、図11に示した第1実施例における「全色モードのベルト制御」と同様である。この場合は、位置調整ローラ20,21による制御はいずれも行なわない。
【0113】
その後、図17のステップS57で全色モードで作像を実行する。そして、1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS59で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS59で終了しないと判断すると、ステップS60でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS57へ戻って全色モードで作像を繰り返し実行する。
【0114】
ステップS60でモード切り替えと判断すると、ステップS61で単色モードか否かを判断する。その結果、単色モードであればステップS62で図14に示した単色モードに切り替える。そして、図16のステップS41へ戻って、単色モードで作像を開始すると共に、それと並行して前述した単色モードのベルト制御を実行する。
しかし、ステップS61の判断でNOの場合は、ステップS63へ進んで図13に示した4色モードに切り替える。
【0115】
そして、ステップS64で|N4−NA|が所定値未満か否かを判断する。N4はステップS49の「4色モードのベルト制御」において、NAはステップS58の「全色モードのベルト制御」において、それぞれ保存したステアリングローラの安定位置である。そのN1とNAの差が所定値未満であれば、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が少ないはずなので、そのまま図16のステップS48へ戻って4色モードの作像を実行する。通常は、N4≒NAになっているので、ステップS64で|N4−NA|が所定値未満になり、直ちにステップS48へ戻って4色モードの作像を実行できる。
【0116】
しかし、ステップS64の判断でNOの場合は、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が大きくなるので、図16のステップS49へ戻って「4色モードのベルト制御」(図22)を実行してから、ステップS48で4色モードの作像を実行する。
以下、上述した処理をステップS43、S50又はS59で終了と判断するまで繰り返し実行する。
【0117】
<全色モードで作像を開始した場合>
図12に示した全色モードで作像を開始すると、図18及び図19に示す処理を開始する。そして、先ず図18に示すステップS71で図11に示したのと同様な「全色モードのベルト制御」を実行する。
【0118】
その後、ステップS72で全色モードで作像を実行する。そして、1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS73で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS73で終了しないと判断すると、ステップS74でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS72へ戻って全色モードで作像を繰り返し実行する。
【0119】
ステップS74でモード切り替えと判断すると、ステップS75で4色モードか否かを判断する。4色モードであればステップ76で、図13に示した4色モードに切り替える。
そして、ステップS77で|N4−NA|が所定値未満か否かを判断する。そのN4とNAの差が所定値未満であれば、そのままステップS78へ進んで4色モードの作像を実行する。通常はN4≒NAになっているはずなので、モード切り替え後待ち時間なく、直ちに4色モードの作像を開始できる。
【0120】
しかし、ステップS77の判断でNOの場合は、ステップS79で図22に示した「4色モードのベルト制御」を実行してから、ステップS78で4色モードの作像を実行する。
最初は、ステアリングローラの安定位置N4が保存されていないので、|N4−NA|が所定値未満になることはないから、ステップS77の判断でNOになり、ステップS79で「4色モードのベルト制御」を実行し、ステアリングローラの安定位置N4を保存する。
【0121】
その後、ステップS78で4色モードで作像を実行する。そして、1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS80で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS80で終了しないと判断すると、ステップS81でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS78へ戻って4色モードで作像を繰り返し実行する。
【0122】
ステップS81でモード切り替えと判断すると、図19のステップS82へ進んで、全色モードか否かを判断する。その結果、全色モードであればステップS83で図12に示した全色モードに切り替える。
そして、ステップS84で|NA−N4|が所定値未満か否かを判断する。NAはステップS71の「全色モードのベルト制御」において、N4はステップS79の「4色モードのベルト制御」において、それぞれ保存したステアリングローラの安定位置である。
【0123】
したがって、通常はN4≒NAになっており、NAとN4の差が所定値未満であるから、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が少ないはずなので、そのまま図18のステップS72へ戻って全色モードの作像を実行する。
しかし、ステップS84の判断でNOの場合は、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が大きくなるので、図18のステップS71に戻って「全色モードのベルト制御」(図11)を実行してから、ステップS72で全色モードの作像を実行する。
【0124】
図18のステップS75で4色モードでなかった場合と、図19のステップS82で全色モードでなかった場合は、図19のステップS85へ進んで図14に示した単色モードに切り替える。
そして、ステップS86で単色モードの作像を実行し、それと並行してステップS41で説明したのと同様な単色モードのベルト制御を実行する。
【0125】
その後、1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS87で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS87で終了しないと判断すると、ステップS88でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS86へ戻って単色モードで作像処理と単色モードのベルト制御を繰り返し実行する。
【0126】
ステップS88でモード切り替えと判断すると、スッテプS89で、そのときのステアリングローラ3の傾き位置に相当するステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を切替直前値N1としてメモリ38又はコントローラ31内のメモリに記憶する。このとき既にステコン制御が目標値になっていれば、この切替直前値N1は前回の全色モードでの安定位置NAと等しくなっているはずである。
【0127】
そして、ステップS90で全色モードか否かを判断する。その結果、全色モードであればステップS91で、図12に示した全色モードに切り替え、ステップS92で|NA−N1|が所定値未満か否かを判断する。そのNAとN1の差が所定値未満であれば、そのまま図18のステップS72へ戻って全色モードの作像を実行する。通常は、上述したようにN1≒NAになっているので、全色モードに切り替え後、直ちに全色モードの作像を実行できる。
【0128】
しかし、ステップS93の判断でNOの場合は、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が大きくなるので、図18のステップS71へ戻って「全色モードのベルト制御」(図11)を実行してから、ステップS72で全色モードの作像を実行する。
図19のステップ90で全色モードではないと判断した場合は、ステップS93へ進んで図13に示した4色モードに切り替える。
【0129】
そして、ステップS94で|N4−N1|が所定値未満か否かを判断する。N4はステップS79の「4色モードのベルト制御」において保存したステアリングローラの安定位置であり、N1はステップS89で記憶した切替直前値である。そのN4とN1の差が所定値未満であれば、そのまま図18のステップS78へ戻って4色モードの作像を実行する。通常は前述したようにN4≒NA,N1≒NAになっているから、N4≒N1であり、|N4−N1|は所定値未満になる。したがって、4色モードに切り替え後、直ちに4色モードの作像を実行できる。
【0130】
しかし、ステップS94の判断でNOの場合は、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が大きくなるので、図18のステップS79へ戻って「4色モードのベルト制御」(図22)を実行してから、ステップS78で4色モードの作像を実行する。
以下、上述した処理をステップS73、S80又はS87で終了と判断するまで繰り返し実行する。
【0131】
<4色モードで作像を開始した場合>
図13に示した4色モードで作像を開始すると、図20及び図21に示す処理を開始する。そして、先ず図20に示すステップS301で、図22に示した「4色モードのベルト制御」を実行する。そこでNA(保存されていない場合はデフォルト値NAd)を目標値としてステコン制御を行いながら、位置調整ローラ21を制御して、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たしたら、そのときまでにステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数を、ステアリングローラ3の安定位置N4として保存する。
【0132】
その後、図20のステップS302で4色モードで作像を実行する。そして、1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS303で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS303で終了しないと判断すると、ステップS304でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS302へ戻って4色モードで作像を繰り返し実行する。
【0133】
ステップS304でモード切り替えと判断すると、ステップS305で全色モードか否かを判断する。全色モードであればステップS306で、図12に示した全色モードに切り替える。
そして、ステップS307で|NA−N4|が所定値未満か否かを判断する。NAは「全色モードのベルト制御」において保存するステアリングローラの安定位置である。N4はステップS301の「4色モードのベルト制御」において保存したステアリングローラの安定位置である。そのNAとN4の差が所定値未満であれば、そのままステップS308へ進んで全色モードの作像を実行する。
【0134】
しかし、ステップS307の判断でNOの場合は、ステップS309で「全色モードのベルト制御」を実行してから、ステップS308で全色モードの作像を実行する。
最初は、ステアリングローラの安定位置NAが保存されていないので、|NA−N4|が所定値未満になることはないから、ステップS307の判断でNOになり、ステップS309で図11に示した「全色モードのベルト制御」を実行する。
そして、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たすと、そのときまでにステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数を、ステアリングローラの傾きの安定位置NAとして保存する。
【0135】
その後、ステップS308で全色モードで作像を実行する。そして、1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS310で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS310で終了しないと判断すると、ステップS311でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS308へ戻って、全色モードで作像を繰り返し実行する。
【0136】
ステップS311でモード切り替えと判断すると、図21のステップS312へ進んで、4色モードか否かを判断する。その結果、4色モードであればステップS313で図13に示した4色モードに切り替える。
そして、ステップS314で|N4−NA|が所定値未満か否かを判断する。そのN4とNAの差が所定値未満であれば、そのまま図21のステップS302へ戻って4色モードの作像を実行する。
【0137】
通常は、N4≒NAになっているはずなので、|N4−NA|が所定値未満になり、4色モードに切り替えると、待ち時間なく4色モードの作像を開始できる。
しかし、ステップS314の判断でNOの場合は、モード切り替えによるステアリングローラ3の傾きの変化が大きくなるので、図20のステップS301に戻って「4色モードのベルト制御」(図22)を実行してから、ステップS302で4色モードの作像を実行する。
【0138】
図20のステップS305で全色モードでなかった場合と、図21のステップS312で4色モードでなかった場合は、図21のステップS315へ進んで図14に示した単色モードに切り替える。
その後ステップS316で、単色モードで作像を開始するとともに、その処理と並行してステップS41及びS86で説明したのと同様な「単色モードのベルト制御」を実行する。
【0139】
そして、ステップS316で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS3179で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
ステップS317で終了しないと判断すると、ステップS318でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS316へ戻って単色モードでの作像処理とベルト制御を繰り返し実行する。
【0140】
ステップS318でモード切り替えと判断すると、ステップS319で、そのときのステアリングローラ3の傾き位置に相当するステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を切替直前値N1としてメモリ38又はコントローラ31内のメモリに記憶する。このとき既にステコン制御が目標値になっていれば、この切替直前値N1は前回の全色モードでの安定位置NAと等しくなっているはずである。
【0141】
その後、ステップS320で4色モードか否かを判断する。その結果、4色モードであればステップS321で図13に示した4色モードに切り替える。
そして、ステップS322で|N4−N1|が所定値未満か否かを判断する。そのN4とN1の差が所定値未満であれば、そのまま図20のステップS302へ戻って4色モードの作像を実行する。
【0142】
通常は前述したようにN4≒NA,N1≒NAになっているから、N4≒N1であり、|N4−N1|は所定値未満になる。したがって、4色モードに切り替え後、直ちに4色モードの作像を実行できる。
しかし、ステップS322の判断でNOの場合は、図20のステップS301へ戻って「4色モードのベルト制御」(図22)を実行してから、ステップS302で4色モードの作像を実行する。
【0143】
図21のステップ320で4色モードではないと判断した場合は、ステップS323へ進んで図12に示した全色モードに切り替える。
そして、ステップS324で|NA−N1|が所定値未満か否かを判断する。そのNAとN1の差が所定値未満であれば、そのまま図20のステップS308へ戻って全色モードの作像を実行する。
【0144】
通常はN1≒NAになっているから、|NA−N1|は所定値未満になる。したがって、全色モードに切り替え後、直ちに全色モードの作像を実行できる。
しかし、ステップS324の判断でNOの場合は、図20のステップS309へ戻って「全色モードのベルト制御」(図11)を実行してから、ステップS308で4色モードの作像を実行する。
以下、上述した処理をステップS303、S310又はS317で終了と判断するまで繰り返し実行する。
【0145】
この実施例においても、全色モード又は4色モードへの切り替え前後の、メモリ38に保存されているステアリングローラの安定位置NAとN4、あるいはNA又はN4と単色モードからの切替直前値N1との差が所定値未満あるいは所定値以下であれば、待ち時間なく直ちに切り替え後の全色モード又は4色モードで作像を開始できる。
【0146】
しかも、4色モード及び単色モードのベルト制御において、前回の全色モードにおけるステアリングローラの安定位置NAの値を目標値としてステコン制御を行うので、4色モードのベルト制御において安定位置N4も、単色モードからの切替直前値N1も、殆どの場合に前回の全色モードでの安定位置NAと略等しくなっているから、直ちに切り替え後の全色モード又は4色モードで作像を開始できることが多い。
単色モードへの切り替え時には、常に直ちに単色モードで作像を開始できる。
【0147】
そこで、この実施例でも画像の色ずれについての品質要求が特に厳しくない場合には、全色モード又は4色モードへの切り替え後も、ステアリングローラの安定位置又は切替直前値との差に関する判断を省略して、常に待ち時間なく直ちに切り替え後のモードで作像を開始するようにしてもよい。その場合、その作像処理と並行して全色モード又は4色モードのベルト制御を行うことができる。
【0148】
また、いずれの実施例においても、単色モード及び4色モードのベルト制御では位置調整ローラ20又は20と21を用いて、各作像モードでのベルト部材の寄りを調整できるので、ステアリングローラ3の安定位置を各作像モードで略同じ位置(全色モードでの安定位置NA)に合わせることが可能になる。そのため、モード切り替え直後におけるべルト部材の急激な寄り変動を抑えることができ、モード切り替え後のステアリングローラの傾きの変化が殆どなくなるので、待ち時間なく直ちに切り替え後のモードで作像を開始できる場合が多くなる。
【0149】
〔第3実施例〕
次に、この発明による画像形成装置のベルト制御を簡単にした第3実施例について、主に図23及び図24によって説明する。
この第3実施例の画像形成装置としての構成は、図1に示した第1実施例と同じである。また、図1に示した画像形成装置における中間転写ベルト1とそれに接触し得る各ローラの全色モードでの状態及び単色モードでの状態も、図6及び図7と同じである。その画像形成装置における制御部とその関連部分の構成も図8に示したブロック図と同じである。
図23はこの発明の第3実施例において全色モードで作像を開始した場合の制御部による処理のフロー図であり、図24は単色モードで作像を開始した場合の処理のフロー図である。
【0150】
<全色モードで作像を開始した場合>
この実施例において、図6に示した全色モード(フルカラーモード)で作像を開始すると、図23に示す処理を開始する。
そして、ステップS401で全色モードで作像を開始すると共に、その処理と並行して、第1実施例において図11によって説明したのと同様な「全色モードのベルト制御」を実行する。
【0151】
このとき、前回の全色モードにおけるステアリングローラの安定位置NAが保存されていれば、中間転写ベルト1を回動させながら、まずステアリングローラの傾斜位置をその安定位置NAにしてステコン制御を開始する。しかし、最初は安定位置NAが保存されていないので、ステアリングローラの傾斜位置を前述した予め設定して図8のメモリ38に記憶されたデフォルト値NAdにして、ステコン制御を開始する。
【0152】
その後、図11に示した処理を行って、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たすと、そのときまでにステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を、ステアリングローラの新たな安定位置NAとして、図8に示したメモリ38に記憶して保存する。
このベルト制御の途中で1枚の画像形成が完了すると、ステップS402へ進むが、次のステップS403でモード切替と判断するまで、ベルト制御は継続する。そして、ステアリングローラの安定位置NAを保存した後は、その状態を維持するようにベルト制御を継続する。
【0153】
1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS402で画像形成を終了する(作像するデータがない)か否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。終了しないと判断すると、ステップS403でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS401へ戻って全色モードで作像とベルト制御を繰り返し実行する。
【0154】
ステップS403でモード切り替えと判断すると、ステップS404で図7に示した単色モードに切り替える。そして、ステップS405で単色モードで作像を開始するとともに、その処理と並行してベルト制御も行う。そのベルト制御では、ステアリングローラ3の傾斜位置を全色モードでの安定位置NAに固定したまま、中間転写ベルト1を回動させ、位置調整ローラ20の傾きを制御して、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが基準位置付近で安定するように調整する。
【0155】
ステップS405で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS406で画像形成を終了する(作像するデータがない)か否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。終了しないと判断すると、ステップS407でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS405へ戻って、単色モードでの作像処理と上述したベルト制御を繰り返し実行する。
【0156】
ステップS407でモード切り替えと判断すると、ステップS408で全色モードに切り替えた後、ステップS401に戻って全色モードでの作像処置と前述した全色モードのベルト制御を実行する。
以下、上述した処理を、ステップS403又はS406で終了と判断するまで繰り返し実行する。
【0157】
<単色モードで作像を開始した場合>
この実施例において、図7に示した単色モードで作像を開始すると、図24に示す処理を開始する。
そして、ステップS411で単色モードで作像処理を実行し、それと並行してベルト制御も行う。
【0158】
そのベルト制御では、ステアリングローラ3の傾斜位置を全色モードでの安定位置NAが保存されていれば、その安定位置NAにして中間転写ベルト1を回動させ、位置調整ローラ20の傾きを制御して、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが基準位置付近で安定するように調整する。但し、最初はまだ全色モードでの安定位置NAが保存されていないため、ステアリングローラの傾斜位置を、前述した予め設定して図8のメモリ38に記憶されたデフォルト値NAdにして、中間転写ベルト1を回動させながら位置調整ローラ20の傾きを制御する。
【0159】
ステップS411で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS412で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
終了しないと判断すると、ステップS413でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS411へ戻って、単色モードで作像処理と上述したベルト制御を繰り返し実行する。
【0160】
ステップS413でモード切り替えと判断すると、ステップS414で図6に示した全色モードに切り替え、ステップS415で全色モードの作像を開始するとともに、その処理と並行して前述したステップS401と同様に全色モードのベルト制御を実行する。
このとき、前回の全色モードにおけるステアリングローラの安定位置NAが保存されていれば、まずステアリングローラの傾斜位置をその安定位置NAにしてから、ステコン制御を開始する。
【0161】
しかし、最初は安定位置NAが保存されていないので、ステアリングローラの傾斜位置を前述した予め設定して図8のメモリ38に記憶されたデフォルト値NAdにして、ステコン制御を開始する。
また、モード切り替え時のステアリングローラの傾斜位置は、略安定位置NA又はデフォルト値NAdと同じになっている筈であるから、そのままの状態からステコン制御を開始してもよい。
【0162】
その後、図11に示したのと同様な処理を行って、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが所定条件を満たすと、そのときまでにステアリングモータ41が初期位置から回転したステップ数(正負の整数)を、ステアリングローラの新たな安定位置NAとして、図8に示したメモリ38に記憶して保存する。その後は、その状態を維持するようにベルト制御を継続する。
【0163】
ステップS415で1枚分の画像の作像処理が完了すると、ステップS416で画像形成を終了するか否かを判断し、終了する場合はこのメインルーチンの処理を終了する。
終了しないと判断すると、ステップS417でモード切り替えか否かを判断し、モード切り替えでなければステップS415へ戻って全色モードで作像処理と全色モードのベルト制御を繰り返し実行する。
【0164】
ステップS30でモード切り替えと判断すると、ステップS31で図7に示した単色モードに切り替える。そして、ステップS21に戻って単色モードで作像処理と単色モードのベルト制御を並行して実行する。
この2回目以降のステップS411では、ステアリングローラ3の傾斜位置を、ステップS415におけるステアリングローラ3の安定位置NAのままに固定して、位置調整ローラ20の傾きを制御して、ベルトエッジセンサ13の検出値Psが基準位置付近で安定するように調整する。
以下、上述した処理を、ステップS412又はS416で終了と判断するまで繰り返し実行する。
【0165】
この実施例によれば、モード切り替え時に、常に待ち時間なく直ちに切り替え後のモードで作像を開始することができる。しかも、単色モードにおけるベルト制御は、ステアリングローラの傾斜位置をモード切り替え前の全色モードでの安定位置に固定して、位置調整ローラ20の制御のみの単純な制御で済む。
全色モードのベルト制御も、ステアリングローラの傾斜位置を、モード切り替え直前の傾斜位置(殆ど前回の全色モードでの安定位置と同じになっている)からステコン制御を開始すればよいので、制御が簡単であり、しかもすぐに新たな安定位置にすることができる。
【0166】
前述した第2実施例のように、単色モードと4色モードと全色モードとを有する画像形成装置においても、4色モードに切り替わったときには、ステアリングローラをその前の全色モードでの安定位置NAに固定して、位置調整ローラ21の制御のみを行い、単色モードに切り替わったときには、ステアリングローラをその直前の4色モード又は全色モードでの傾き位置(NA)のまま、位置調整ローラ20,21の制御のみを行うようにしてもよい。
【0167】
このように、ベルト部材である中間転写ベルト1に接触する前記転写ローラの数が減少する作像モードに切り替わった場合には、ステアリング制御手段が、ステアリングローラ3を作像モードが切り替わる直前の傾き位置、又は複数の転写ローラの全てが中間転写ベルト1に接触する作像モード(全色モード)におけるステアリングローラ3の傾きの安定位置に固定して、ベルト位置調整手段が、位置調整ローラ21又は20と21を制御して中間転写ベルト1の幅方向の位置を調整するようにすればよい。
そして、全色モード又は4色モードへの切り替え後も、ステアリングローラの安定位置又は切替直前値との差に関する判断を行うことなく、直ちに切り替え後のモードで作像を開始することができる。そして、その作像処理と並行して、上述したベルト制御を実行することができる。
【0168】
〔その他の変更例について〕
上述した第2実施例では、図15に示した単色モードにおけるベルト制御では、ステアリングローラ3によるステコン制御に加えて、位置調整ローラ20と21の両方を制御して中間転写ベルト1の寄り調整をするようにした。しかし、単色モードでは位置調整ローラ21が中間転写ベルト1から離れるようにして、位置調整ローラ20のみによって中間転写ベルト1の寄り調整をするようにしてもよい。
【0169】
上述した実施例は、画像形成ユニットを4個及び5個備えた画像形成装置にこの発明を適用した例を説明した。しかし、この発明は複数(2個以上)の画像形成ユニットを備え、その全てを使用して作像するモードと一部を使用して作像するモードがあり、その作像モードの切り替えによってベルト部材の掛け渡し姿勢が変わる画像形成装置には全て適用することができる。使用するトナーの色もイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等に限るものではない。また、作像モードが4種類以上あって、その各モードでベルト部材の掛け渡し姿勢が変わる場合には、3本以上の位置調整ローラを設けてもよい。
【0170】
さらに、上述した実施例では、ベルト部材が中間転写ベルトである間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置にこの発明を適用した例を説明した。しかし、これに限るものではなく、中間転写ベルトに相当するベルト部材が、記録媒体搬送ベルトである直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置でもよい。その場合は、複数の各画像形成ユニットの感光体上にそれぞれ形成された異なる色のトナー画像を、その記録媒体搬送ベルトによって搬送される記録媒体(用紙)上に直接順次重ねて転写する。したがって、この場合は間接転写方式の場合の一次転写ローラに相当する複数の転写ローラを設けるが、二次転写ローラは不要である。
【0171】
前述した実施例における位置調整ローラ20,21のように、ベルト部材の張り渡し姿勢を調整可能な位置調整ローラは、多色モード(全色モードや4色モード等)でベルト部材の寄り変動が安定したときのステアリングローラの位置である安定位置をステコン制御の目標値としながら、ベルト部材の張り渡し姿勢を調整することが可能である。複数の多色モードでのステアリングローラの安定位置が保存されている場合は、より多色のモード、すなわちより多くの画像形成ユニットを使用するモード(最多色モードは全色モード)での、ステアリングローラの安定位置を目標値とした方がよい。
【符号の説明】
【0172】
1:中間転写ベルト(ベルト部材) 2:駆動ローラ
3:従動ローラ(ステアリングローラ) 4:二次転写対向ローラ
5:二次転写ローラ 6,6B:接離機構 6a:偏心カム
7:カラーブラケット 8,9,10,11:Y,M,C,K用の画像形成ユニット
8a,9a,10a,11a:Y,M,C,K用の感光体ドラム
8c,9c,10c,11c:Y,M,C,K用の帯電器
8d,9d,10d,11d:Y,M,C,K用の現像器
8e,9e,10e,11e:Y,M,C,K用の一次転写ローラ(転写ローラ)
8f,9f,10f,11f:Y,M,C,K用のクリーナー
【0173】
12e:特殊色用の一次転写ローラ(転写ローラ)
13:ベルトエッジセンサ 14:用紙(記録媒体)
15:ピックアップローラ 16:搬送ローラ対 17:用紙搬送装置
18:定着器 19:排紙用搬送ローラ対 20,21:位置調整ローラ
22:画像書込ユニット 25:給紙カセット 30,30′:制御部
31:コントローラ 32:ベルト駆動モータドライバ
【0174】
33:ステアリングモータドライバ 34,35:接離駆動モータドライバ
36,37:位置調整モータドライバ 38:メモリ(記憶手段)
40:ベルト駆動モータ 41:ステアリングモータ 42,43:位置調整モータ
60,61:接離駆動モータ 50〜55:従動ローラ
131:接触子 132:スプリング 133:軸 134:変位センサ
135:発光ダイオード(LED) 136:光量センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0175】
【特許文献1】特開2009−63909号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラと複数の従動ローラとによって張り渡されたベルト部材を備え、そのベルト部材の走行方向に沿って、それぞれ感光体上に異なる色のトナー画像を形成する複数の画像形成ユニットが配置され、その複数の画像形成ユニットの各感光体と前記ベルト部材を挟んでそれぞれ対向する位置に複数の転写ローラを備え、
前記複数の画像形成ユニットの各感光体上に形成されたトナー画像を、前記各転写ローラによって前記ベルト部材上又は前記ベルト部材によって搬送される記録媒体上に順次重ねて転写する画像形成装置であって、
複数の作像モードの切り替えに応じて、前記複数の転写ローラのうちの一部を前記ベルト部材に対して接触する位置と離れる位置の一方から他方に移動させる接離手段を有し、
前記複数の従動ローラのうちの一本を寄り補正用のステアリングローラとして前記ベルト部材の周長を変えない方向に傾けることによって、該ベルト部材の幅方向の位置変動を制御するステアリング制御手段を備えるとともに、
前記作像モードの切り替えによって前記ベルト部材の張り渡し姿勢が変化する領域における前記転写ローラと同じ側に、位置調整ローラを前記ベルト部材の幅方向に沿って配置し、
前記一部の転写ローラが前記ベルト部材から離れる作像モードにおいて、前記位置調整ローラが前記ベルト部材に所定の巻き付き角で接触するようにし、その位置調整ローラを前記ベルト部材の周長を変えない方向に傾けることによって、該ベルト部材の幅方向の位置を調整するベルト位置調整手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
少なくとも前記複数の転写ローラの全てが前記ベルト部材に接触する作像モードで、前記ステアリング制御手段の制御により前記中間転写ベルトの幅方向の位置が安定したときの前記ステアリングローラの傾きの安定位置を保存する手段を有し、
前記一部の転写ローラが前記ベルト部材から離れる作像モードにおいては、前記ステアリング制御手段が、前記ステアリングローラの前記保存した安定位置を目標値として制御するとともに、前記ベルト位置調整手段が、前記位置調整ローラを制御して前記ベルト部材の幅方向の位置を調整するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記一部の転写ローラが前記ベルト部材から離れる作像モードから、前記複数の転写ローラの全てが前記ベルト部材に接触する作像モードに切り替わった場合、保存されている前記ステアリングローラの安定位置と、前記作像モードが切り替わる直前の前記ステアリングローラの傾き位置との差が所定値未満又は所定値以下であれば、直ちに切り替え後の作像モードで作像を開始し、所定値未満又は所定値以下でなければ、前記ステアリング制御手段のみ又は前記ステアリング制御手段と前記ベルト位置調整手段によって前記中間転写ベルトの幅方向の位置を安定させた後に、前記切り替え後の作像モードで作像を開始するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記ベルト部材に接触する前記転写ローラの数が減少する作像モードに切り替わった場合、前記ステアリング制御手段が、前記ステアリングローラを該作像モードが切り替わる直前の傾き位置、又は前記複数の転写ローラの全てが前記ベルト部材に接触する作像モードにおけるステアリングローラの傾きの安定位置に固定して、前記ベルト位置調整手段が、前記位置調整ローラを制御して前記ベルト部材の幅方向の位置を調整するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記一部の転写ローラが前記ベルト部材に接触する作像モードでは、前記位置調整ローラが前記ベルト部材に前記所定の巻き付き角より小さい巻き付き角又は巻き付き角なしで接触するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記一部の転写ローラが前記ベルト部材に接触する作像モードでは、前記位置調整ローラが前記ベルト部材から離れているようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
切り替え可能な作像モードが3種類あり、そのうちの2つの作像モードで前記複数の転写ローラのうちの一部が前記ベルト部材から離れ、該2つの作像モードの一方より他方の方が前記ベルト部材から離れる転写ローラの数が多く、
前記位置調整ローラを前記2つの作像モードに対応して二本配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記二本の位置調整ローラのうちの一方は、前記2つの作像モードのうちの前記他方でのみ前記ベルト部材に所定の巻き付き角で接触し、前記二本の位置調整ローラのうちの他方は、前記2つの作像モードの両方で前記ベルト部材に所定の巻き付き角で接触することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
感光体上に異なる色のトナー画像を形成する複数の画像形成ユニットが、ブラックのトナー画像を形成する1個のブラック用の画像形成ユニットと、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー画像を形成する3個のカラー用の画像形成ユニットであり、
前記複数の転写ローラが、前記ブラック用の画像形成ユニットの感光体と前記ベルト部材を挟んで対向する1個のブラック用の転写ローラと、前記3個のカラー用の画像形成ユニットの各感光体と前記ベルト部材を挟んでそれぞれ対向する3個のカラー用の転写ローラであり、
前記複数の作像モードが、前記複数の画像形成ユニットを全て使用する全色モードと、前記ブラック用の画像形成ユニットのみを使用する単色モードであり、
前記全色モードでは、前記複数の転写ローラを全て前記ベルト部材に接触させ、
前記単色モードでは、前記3個のカラー用の転写ローラを前記ベルト部材から引き離して、前記位置調整ローラが前記ベルト部材に所定の巻き付き角で接触するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の画像形成装置において、
感光体上に異なる色のトナー画像を形成する複数の画像形成ユニットが、ブラックのトナー画像を形成する1個のブラック用の画像形成ユニットと、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー画像を形成する3個のカラー用の画像形成ユニットと、特殊色のトナー画像を形成する1個の特殊色用の画像形成ユニットとであり、
前記複数の転写ローラが、前記ブラック用の画像形成ユニットの感光体と前記ベルト部材を挟んで対向する1個のブラック用の転写ローラと、前記3個のカラー用の画像形成ユニットの各感光体と前記ベルト部材を挟んでそれぞれ対向する3個のカラー用の転写ローラと、前記特殊色用の画像形成ユニットの感光体と前記ベルト部材を挟んで対向する1個の特殊色用の転写ローラであり、
前記3種類の作像モードが、前記複数の画像形成ユニットを全て使用する全色モードと、前記ブラック用の画像形成ユニットと前記3個のカラー用の画像形成ユニットを使用する4色モードと、前記ブラック用の画像形成ユニットのみを使用する単色モードであり、
前記全色モードでは、前記複数の転写ローラを全て前記ベルト部材に接触させ、
前記4色モードでは前記特殊色用の転写ローラだけを前記ベルト部材から引き離して、前記二本の位置調整ローラのうちの一本だけが前記ベルト部材に所定の巻き付き角で接触するようにし、
前記単色モードでは、前記3個のカラー用の転写ローラと前記特殊色用の転写ローラとを前記ベルト部材から引き離して、前記二本の位置調整ローラがいずれも前記ベルト部材に所定の巻き付き角で接触するようにしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−64837(P2013−64837A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203006(P2011−203006)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】