説明

画像濃度制御方法及び画像形成装置

【課題】トナー濃度の変化によって生じる検出差の変化について適正な補正を行い、プロセス線速切り替え時のトナー濃度制御の精度を向上させる。
【解決手段】潜像担持体1上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置4を備えた画像形成装置において、現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段5と、トナーを現像装置へ補給するためのトナー補給手段17と、トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによってトナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを備え、現像装置内のトナー濃度に応じて、プロセス線速差によるトナー濃度検出差の補正量を可変とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置における画像濃度制御方法、及び、その画像濃度制御方法を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置においては、高画質化が求められると同時に高安定も望まれている。つまり、環境変動による画質の変化が少なく、また常に安定した画像を経時において提供していかなければならない。従来より、非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤(以下、現像剤と記す)を現像剤担持体(以下現像スリーブと記す)上に保持し、内包される磁極によって磁気ブラシを形成させ、現像スリーブに潜像担持体(以下感光体と記す)と対向する位置で現像バイアスを印加することにより現像を行う2成分現像方式が広く知られている。この2成分現像方式は、カラー化が容易なことから現在広く用いられている。この方式において、2成分現像剤は現像スリーブの回転に伴い、現像領域に搬送される。現像剤が現像領域に搬送されるに従い、現像極の磁力線に沿いながら、現像剤中の多数の磁性キャリアがトナーを伴って集合し、磁気ブラシを形成する。
【0003】
これら2成分現像方式は、1成分現像方式と異なり、トナーとキャリアの重量比(トナー濃度)を精度よく制御することが、安定性を向上させる上で非常に重要とされている。例えばトナー濃度が高すぎると、画像に地肌汚れが発生や、細部解像力の低下が生じる。また、トナー濃度が低い場合には、ベタ画像部の濃度が低下や、キャリア付着が発生するという不具合が生じる。そのため、画像濃度を適正に制御するには、トナー補給量を制御して、現像剤の中のトナー濃度を適正範囲に調整する必要がある。
ここで、トナー濃度制御は、トナー濃度検出手段(透磁率センサ)の出力値:Vtをトナー濃度の制御基準値:Vtrefと比較し、その結果に基づきトナー補給量を設定することにより行われる。
【0004】
トナー濃度を検知する方法としては、透磁率センサを用いたものが一般的である。この方式においては、トナー濃度が変化することによる現像剤の透磁率変化を基準濃度の出力と比較してトナー濃度の現在値を検知するものである。
また、別のトナー濃度検知方法としては、光学センサを用いる方法があり、潜像担持体、または中間転写ベルト上に基準パターンを形成し、この基準パターンの画像部と非画像部の反射濃度を光学センサにより検出し、その結果に基づいてトナー濃度を検知するものである。また、印刷中においても、紙間で基準パターンを作成し、逐次透磁率センサの基準値:Vtrefを制御する方法も公知である。しかしながら、紙間でパターンを作成することによるトナーの過剰な消費を極力低減する要望があり、紙間の基準パターン作成による補正は行わない方向である。さらに、中間転写ベルト上にパターンを作成する場合、二次転写ローラ上にクリーニング装置を設置する必要があり、メカ的なコスト削減の観点からも紙間のパターン作成を極力抑える傾向がある。こうした場合、連続印字時や画像モード変更(プロセス線速の変更)時の透磁率センサ単独によるトナー濃度制御がさらに正確に行われることが必要となってくる。
【0005】
透磁率検知方式は、磁性キャリアの透磁率により現像剤の透磁率を検知する方式であるので、現像剤の嵩密度が変化すると現像剤の透磁率も変化し、検知出力が変化する。従って、現像装置内の現像剤のトナーとキャリアの比率が同一(現像剤のトナー濃度が同一)でも、現像剤の嵩密度が変化すると、現像剤における一定体積内のキャリアの量が変わってしまうため、現像剤の透磁率も変化する。そのため、トナー濃度センサの出力値に変化が生じていた。
【0006】
例えば、複数線速による画像出力モードを有し、それに伴い現像器中の攪拌スクリュの回転速度が変化するシステムにおいては、プロセス線速切り替え時の現像器中の攪拌速度の変化によって、現像剤の帯電量や流動性、嵩密度に変化が生じるため、同一トナー濃度であっても出力値が変化する。以下、このプロセス線速の差に対応するトナー濃度センサの出力Vt値の差を“線速シフト”と呼ぶ。
このように同一のトナー濃度であるにも係らず、線速の切り替えによってトナー濃度センサの出力値が変化すると、現像器内のトナー濃度を所望のトナー濃度に制御することができなくなってしまう。そこで、この線速を切り替えた際に生じる線速シフト量をあらかじめ実験データから求めておき、トナー補給制御補正量とする方法が知られている。
【0007】
例えば特許文献1(特開2002−207357号公報)には、現像装置内の現像剤のトナー濃度をトナー濃度検出手段としての透磁率センサにて検出してその検出値をしきい値と比較し、その比較結果により現像装置内のトナー濃度を制御するとともに、感光体の線速の変化に応じてトナー濃度検出手段の検出値に対する上記しきい値を変更するという手法を用いた画像形成装置が記載されている。
【0008】
また、特許文献2(特開2007−71985号公報)には、線速シフト量を検知するための調整モードを実装し、所定の条件を満たした場合に調整モードを実行し、線速シフト量を更新する方法が記載されている。これにより、現像剤の状態(経時、環境)に応じて線速シフト量を更新することが可能となる。
【0009】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載の従来技術においては、線速シフト補正量はトナー濃度が変化した場合も常に一定である。つまりは、ある一点におけるトナー濃度に対するセンサの出力値については補正を行えるが、トナー濃度の変化に対して線速シフト量が変化するような現像装置の場合には補正量に誤差が生じることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、2成分現像剤の同一トナー濃度におけるプロセス線速切り替え時に起こるトナー濃度センサの検出差の補正を行う際に、トナー濃度の変化によって生じる検出差の変化について適正な補正を行い、プロセス線速切り替え時のトナー濃度制御の精度を向上させることができる画像濃度制御方法及び画像形成装置を提供することを課題(目的)とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の解決手段は、潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置の画像濃度制御方法において、前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを用い、前記現像装置内のトナー濃度に応じて、プロセス線速差によるトナー濃度検出差の補正量を可変とすることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段の画像濃度制御方法において、プロセス線速切り替え直前の標準線速のトナー濃度センサ出力値に応じて、前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする(請求項2)。
また、本発明の第3の解決手段は、第2の解決手段の画像濃度制御方法において、前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値以下の場合に前記補正量を基準値以上とし、前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値より高い場合には前記補正量を基準値以下とすることを特徴とする(請求項3)。
【0013】
本発明の第4の解決手段は、潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置の画像濃度制御方法において、前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを用い、標準速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式を用いてトナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする(請求項4)。
【0014】
本発明の第5の解決手段は、第4の解決手段の画像濃度制御方法において、前記関係式を算出するモードを有することを特徴とする(請求項5)。
また、本発明の第6の解決手段は、第1〜第5のいずれか一つの解決手段の画像濃度制御方法において、前記プロセス線速が標準速から低速に切り替わった直後に前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴する(請求項6)。
【0015】
本発明の第7の解決手段は、第5の解決手段の画像濃度制御方法において、前記関係式を算出するモードは前記現像装置の新品検知時であることを特徴とする(請求項7)。
また、本発明の第8の解決手段は、第5の解決手段の画像濃度制御方法において、前記関係式を算出するモードは低速から標準速に切り替わった時のトナー濃度検出差がある所定の値より大きい場合に実行することを特徴とする(請求項8)。
【0016】
本発明の第9の解決手段は、潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置において、前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを備え、前記現像装置内のトナー濃度に応じて、プロセス線速差によるトナー濃度検出差の補正量を可変とすることを特徴とする(請求項9)。
【0017】
本発明の第10の解決手段は、第9の解決手段の画像形成装置において、プロセス線速切り替え直前の標準線速のトナー濃度センサ出力値に応じて、前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする(請求項10)。
また、本発明の第11の解決手段は、第10の解決手段の画像形成装置において、前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値以下の場合に前記補正量を基準値以上とし、前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値より高い場合には前記補正量を基準値以下とすることを特徴とする(請求項11)。
【0018】
本発明の第12の解決手段は、潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置において、前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを備え、標準速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式を用いてトナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする(請求項12)。
【0019】
本発明の第13の解決手段は、第12の解決手段の画像形成装置において、前記関係式を算出するモードを有することを特徴とする(請求項13)。
また、本発明の第14の解決手段は、第9〜第13のいずれか一つの解決手段の画像形成装置において、前記プロセス線速が標準速から低速に切り替わった直後に前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴する(請求項14)。
【0020】
本発明の第15の解決手段は、第13の解決手段の画像形成装置において、前記関係式を算出するモードは前記現像装置の新品検知時であることを特徴とする(請求項15)。
また、本発明の第16の解決手段は、第13の解決手段の画像形成装置において、前記関係式を算出するモードは低速から標準速に切り替わった時のトナー濃度検出差がある所定の値より大きい場合に実行することを特徴とする(請求項16)。
【発明の効果】
【0021】
第1の解決手段の画像濃度制御方法では、現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを用い、前記現像装置内のトナー濃度に応じて、プロセス線速差によるトナー濃度検出差の補正量を可変とすることにより、現像装置内のトナー濃度に応じて線速シフトの補正量を変更することが可能となるため、プロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0022】
第2の解決手段の画像濃度制御方法では、第1の解決手段の効果に加え、プロセス線速切り替え直前の標準線速のトナー濃度検出手段の出力値に応じて、トナー濃度検出差の補正量を求めることで、線速シフトを適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
また、第3の解決手段の画像濃度制御方法では、第2の解決手段の効果に加え、トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値以下の場合に補正量を基準値以上とし、トナー濃度センサの出力値がある所定の値より高い場合には補正量を基準値以下とすることで、線速シフトを適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0023】
第4、第5の解決手段の画像濃度制御方法では、現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを用い、標準速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式を用いてトナー濃度検出差の補正量を求め、かつ前記関係式を算出するモードを有することにより、標準線速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式より線速シフト量を算出することができ、トナー濃度(トナー濃度検出手段の出力値)に応じた補正をより正確に行うことが可能となる。そのためプロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0024】
第6の解決手段の画像濃度制御方法では、第1〜第5のいずれか一つの解決手段の効果に加え、プロセス線速切り替えが行われた際に補正量を算出することで現像器内のトナー濃度に応じて線速シフトの補正量を変更することが可能となるため、プロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0025】
第7の解決手段の画像濃度制御方法では、第4、第5の解決手段の効果に加え、現像装置が新品である場合にトナー濃度とトナー濃度センサ出力値の関係式を算出することで、現像剤の特性を把握することができ、プロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。また、新しい現像装置、現像剤に交換された場合にも対応することが可能となる。
また、第8の解決手段の画像濃度制御方法では、第4、第5の解決手段の効果に加え、低速から標準速に切り替わった時のトナー濃度検出差がある所定の値より大きい場合にトナー濃度とトナー濃度センサ出力の関係式を更新することで、現像剤の特性に変化が生じ、トナー濃度とトナー濃度センサ出力値のプロファイルが変化した場合にも対応でき適正な線速シフト量の補正を行うことが可能となる。
【0026】
第9の解決手段の画像形成装置では、現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを備え、前記現像装置内のトナー濃度に応じて、プロセス線速差によるトナー濃度検出差の補正量を可変とすることにより、現像装置内のトナー濃度に応じて線速シフトの補正量を変更することが可能となるため、プロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0027】
第10の解決手段の画像形成装置では、第9の解決手段の効果に加え、プロセス線速切り替え直前の標準線速のトナー濃度検出手段の出力値に応じて、トナー濃度検出差の補正量を求めることで、線速シフトを適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
また、第11の解決手段の画像形成装置では、第10の解決手段の効果に加え、トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値以下の場合に補正量を基準値以上とし、トナー濃度センサの出力値がある所定の値より高い場合には補正量を基準値以下とすることで、線速シフトを適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0028】
第12、第13の解決手段の画像形成装置では、現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを備え、標準速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式を用いてトナー濃度検出差の補正量を求め、かつ前記関係式を算出するモードを有することにより、標準線速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式より線速シフト量を算出することができ、トナー濃度(トナー濃度検出手段の出力値)に応じた補正をより正確に行うことが可能となる。そのためプロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0029】
第14の解決手段の画像形成装置では、第9〜第13のいずれか一つの解決手段の効果に加え、プロセス線速切り替えが行われた際に補正量を算出することで現像器内のトナー濃度に応じて線速シフトの補正量を変更することが可能となるため、プロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0030】
第15の解決手段の画像形成装置では、第12、第13の解決手段の効果に加え、現像装置が新品である場合にトナー濃度とトナー濃度センサ出力値の関係式を算出することで、現像剤の特性を把握することができ、プロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。また、新しい現像装置、現像剤に交換された場合にも対応することが可能となる。
また、第16の解決手段の画像形成装置では、第12、第13の解決手段の効果に加え、低速から標準速に切り替わった時のトナー濃度検出差がある所定の値より大きい場合にトナー濃度とトナー濃度センサ出力の関係式を更新することで、現像剤の特性に変化が生じ、トナー濃度とトナー濃度センサ出力値のプロファイルが変化した場合にも対応でき適正な線速シフト量の補正を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略を示す断面構成図である。
【図2】トナー濃度検出手段であるトナー濃度センサの特性の一例を示す図である。
【図3】各プロセス線速におけるトナー濃度センサの出力値:Vtとトナー濃度:TCとの関係を示す図である。
【図4】トナー濃度センサの出力値の補正制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】標準速時と低速時のトナー濃度センサとトナー濃度の関係式より線速シフト補正量を求めて補正を行う制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】トナー濃度とトナー濃度センサ出力値の関係式を算出するモードを行う制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】各プロセス線速におけるトナー濃度センサの出力値:Vtとトナー濃度:TCとの関係と、最小二乗法による1次直線式を示す図である。
【図8】本発明の実施例で用いたルックアップテーブル(線速シフト補正テーブル)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態について、図示の実施例に基いて詳細に説明する。
【実施例】
【0033】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略を示す断面構成図である。
図1に示すフルカラープリンタの装置本体内の中央部には潜像担持体である4つのドラム状の感光体(感光体ドラムと言う)1Y,1M,1C,1Bkが等間隔で並列に配設されている。なお、Y,M,C,Bkは各々イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色を示す。ここではイエロー画像用の感光体ドラム1Yに着目して以下説明を行う。感光体ドラム1Yは図中時計回り方向に駆動モータ(図示しない)により回転駆動される。感光体1Yの下方側周囲には電子写真プロセスに従い画像形成を行うための帯電装置(図示の例では帯電ローラ)2、現像ローラ3を有する現像装置4、クリーニング装置7等の作像手段が順に配設されている。また、マゼンタ、シアン、ブラックの作像手段についても同様である。
【0034】
感光体ドラム1(1Y,1M,1C,1Bk)は帯電装置の帯電ローラ2により、表面を一様に帯電された後、光書込装置30の図示しない光学系により露光され、画像情報に対応した静電潜像が形成される。そして現像装置4内の現像ローラ3により、現像装置4内の現像剤は感光体ドラム1と対向する現像ニップ領域に搬送され、感光体ドラム1に形成された静電潜像にトナーを付着させ顕像化する。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、感光体ドラム1の上部に配置され、駆動ローラ18と複数の従動ローラ15に張架されている中間転写ベルト8上に、1次転写装置(図示の例では1次転写ローラ)6により転写される。中間転写ベルト8上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト8の移動に伴い、Y,M,C,Bkの各色のトナー像が順に中間転写ベルト8上に転写され、色重ねが行われる。色重ねされたトナー像は、2次転写装置(図示の例では接離可能に設けられた2次転写ローラ)12と対向する2次転写部に移動し、図示しない給紙部(給紙カセット、給紙トレイ等)から給紙手段(給紙ローラ、分離ローラ、搬送ローラ等)により給紙・搬送され、レジストローラ20により所定のタイミングで2次転写部に給紙された記録媒体(例えば転写紙)Pに2次転写装置12により転写され、転写紙P上に画像が形成される。一方、クリーニング装置7は、転写後の感光体ドラム1上に残留した不要なトナーを拭い去り、図示しない廃トナーボトルに不要なトナーを貯留する。また、中間転写ベルト8に対してもベルトクリーニング装置14が設けられており、ベルトクリーニング装置14は、2次転写後の中間転写ベルト8上に残留した不要なトナーを拭い去り、図示しない廃トナーボトルに不要なトナーを貯留する。感光体ドラム1や中間転写ベルト8のクリーニング後、上記した手順を再度行うことで、繰り返し画像形成を行う。
【0035】
Y,M,C,Bkの各色の作像手段の現像装置4は、現像剤担持体である現像ローラ3を備えており、現像ローラ3は感光体ドラム1に対向させるように配置される。この現像ローラ3は、非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を担持搬送する円筒状の現像スリーブと、その現像スリーブの内部に固定配置された複数の磁極(複数の磁石、または複数の磁極が着磁されたマグネットローラ)からなる。また、現像装置4は第1スクリュー13及び第2スクリュー19からなる2軸の搬送スクリュを備えている。そして、第2スクリュー19側の現像剤室の下部に位置してトナー濃度検出手段であるトナー濃度センサ5が設けられている。トナー濃度センサ5としては、例えば現像装置4内のトナー透磁率を測定するものを使用する。
【0036】
図2はトナー濃度センサ5の特性の一例を示しており、縦軸がトナー濃度センサ5の出力値で、横軸がトナー濃度である。図2からわかるように、トナー濃度センサ5は、トナー濃度が高いほど、出力値が小さくなる特性を示す。また、図2に示すように、トナー濃度とトナー濃度センサ5の出力値の関係は直線近似することが可能である。
【0037】
ここで、本発明の画像形成装置における画像濃度制御方法としては、図示しない制御部によりトナー濃度制御を行うものであり、このトナー濃度制御は、トナー濃度センサ5の出力値:Vtをトナー濃度の制御基準値:Vtrefと比較し、その差分に応じてトナー補給量を演算式から算出し、トナー補給容器(トナーボトル)9に収納されているトナーを、トナー補給手段であるトナー補給装置17により現像装置4中にトナー補給を行うことによりなされている。また、トナー補給容器(トナーボトル)9には、トナー補給容器内のトナー量を検出するトナーセンサ16が設けられている。
【0038】
本発明の画像形成装置では、図示しない制御部を備え、この制御部は、マイクロコンピュータからなる中央演算処理装置(CPU)や、記憶手段である各種メモリ(ROM,RAM,不揮発RAM等)、クロック、タイマー、入・出力装置(I/O、I/F)、各種制御回路等を備えており、トナー濃度センサ5の出力値に応じてトナー補給量を算出し、トナー補給の制御を行う。すなわち、この制御部は、トナー濃度センサ5の出力を記憶手段(メモリ)に記憶しているトナー濃度基準値:Vtrefと比較することによってトナー補給装置17を制御するトナー補給制御手段と、異なる2種類以上のプロセス線速間のトナー濃度検出センサ5の出力差を補正する補正手段の機能を有しており、後述する補正方法を用いた制御動作に従って、適切なトナー補給量を算出し、トナー補給制御を実行する。
また、この制御部には、中間転写ベルト8上に転写された画像の位置ズレや色ズレ等を検出する光学センサ10や、画像形成装置内の温度、湿度を検出する温・湿度センサ11等の、各種センサの出力が入力されており、制御部は、これら各種センサの出力値に応じて画像形成装置の各部の動作や状態を制御するようになっている。
【0039】
以下、本実施例の画像形成装置における現像剤特性値測定と補正制御動作について、具体的に説明する。
図3は各プロセス線速におけるトナー濃度センサ5の出力値:Vtとトナー濃度:TCとの関係を示している。図3に示すように、標準モードのプロセス線速(例えば標準速:120mm/sec)と低速モードのプロセス線速(例えば低速:60mm/sec)を比較すると、プロセス線速が遅い方が同一トナー濃度に対するVt値が高くなる傾向(線速シフト)がある。この線速シフトが有るため、低速での現像装置4内のトナー濃度に対するトナー濃度センサ5の出力Vt値をそのまま用いてトナー補給量を算出するとトナー補給量にずれが生じてしまう。
【0040】
そこで、低速での通紙時には、低速でのトナー濃度センサ5の出力値をVt1、標準速でのトナー濃度センサ5の出力値をVtとすると、
Vt=Vt1−ΔVt
として、低速時のトナー濃度センサ5の出力値:Vt1を標準速のVtに変換する。そして、変換されたVtを用いてトナー補給制御を行う方法が知られている。ここでΔVtの値は予め実験で求められた固定値を用いることが一般的であった。
【0041】
しかしながら、図3に示すように、線速シフト量は現像装置4によってはトナー濃度に応じて変化が生じる場合がある。そのため、線速シフト量を固定値として補正を行うと、トナー濃度によっては過補正や補正不足となり、低速通紙時のトナー補給量が狙いのトナー補給量とズレを生じてトナー濃度が安定しないこととなる。そこで、トナー濃度に応じて線速シフト量を変更する必要がある。
【0042】
次に本実施例のトナー濃度センサ5の出力値:Vtの補正方法について図4のフローチャートを用いて説明する。この図4のフローチャートに示す制御動作は、前述の制御部で実行される。
本実施例においては、線速モードは標準線速(120mm/sec)と低速(60mm/sec)の2種類として以下説明を行っていく。
【0043】
まず、図4のステップS10において現在のプロセス線速を取得する。次に、ステップS20において、トナー濃度センサ5の出力値Vt’を検知する。ここで、Vt’は検出した値そのものであり、補正が行われる前の値である。
次に、ステップS30において取得したプロセス線速の判定を行う。プロセス線速が標準線速である場合にはステップS40に進み、ステップS20で検出したVt’を、
Vt0=Vt’
とする。
【0044】
その後、ステップS50に進みVt0を保存する。ステップS50のVt0の保存は、1枚印刷ごとに行っても良いし、ジョブエンドに1回だけ保存してもよい(本実施例においては、プロセス線速を切り替える際には必ずジョブエンドとなるため)。また、ジョブ中に線速を切り替えることが可能なシステムにおいては切り替え直前のVt0の値を保存する。このVt0の値は後述する低速時の制御フローにおいて使用する。
【0045】
その後、ステップS60においてVt=Vt0とし、ステップS70においてVt(=Vt0=Vt’)の値とトナー濃度制御基準値Vtrefを用いてトナー補給量の算出を行う。つまり、プロセス線速が標準線速の場合にはトナー濃度センサ5の出力値の値をそのままトナー補給制御に使用し(補正は行わない)、トナー補給量を算出する。
【0046】
次に、ステップS10において取得したプロセス線速が低速(60mm/sec)であった場合、ステップS30の判定によりステップS80に進み、
Vt1=Vt’
とする。そして、ステップS90において、前回印刷が標準線速かどうか判定する。標準線速であった場合にはステップS100に進む。
【0047】
次に、ステップS100において、保存してある標準線速時のトナー濃度センサ出力値であるVt0を読み出す。ここで、読み出したVt0の値はプロセス線速を低速に切り替える直前の標準速時のVt0が保存されている。この線速を切り替える直前の標準速時のVt0を用いてステップS110においてルックアップテーブル(LUT)より線速シフト補正量ΔVt1を決定する。ここで、線速切り替え直前のVt0を用いるのは、線速切り替え前後において現像装置4内のトナー濃度はほぼ一定であるためである。ステップS120においてΔVt1を保存する。
【0048】
本実施例で用いたルックアップテーブル(線速シフト補正テーブル)の一例を図8の[1]に示す。図3からわかるように、トナー濃度が高い場合には線速シフト量が大きく、トナー濃度が低い場合には線速シフト量が小さくなる傾向にある。そのため、図8[1]のルックアップテーブルでは、トナー濃度がある所定の値以上の場合(トナー濃度センサ5の出力値がある所定の値以下の場合)に補正量が基準値以上とし、トナー濃度がある所定の値より低い場合(トナー濃度センサ5の出力値がある所定の値より高い場合)には補正量が基準値以下としている。なお、線速シフト補正テーブルは現像装置4の特性に合わせて図8の[2]や[3]のように設定してもよい。また、ルックアップテーブルは現像特性に合わせてさらに細かいステップとしてもよい。
【0049】
次に、ステップS130では、ステップS80でのVt1とステップS110で求められた線速シフト補正量ΔVt1を用いて以下の式(1)よりVtを算出する。
Vt=Vt1−ΔVt1 ・・・(1)
そして、ステップS70において、補正されたトナー濃度センサ出力値Vtとトナー濃度制御基準値Vtrefよりトナー補給量を算出する。
【0050】
次に、ステップS90において、前回印刷が標準線速ではない場合はステップS140に進む。ステップS140では、ステップS120で保存したΔVt1を読み出し、ステップS150において、式(1)を用いてVtを算出する。つまり、低速モードでの印刷が続く場合には線速切り替え時に算出したΔVt1の値を用いて補正を行う。
【0051】
以上が、本実施例によるVt補正方式である。このように、線速切り替え直前の標準速時のVtの値より線速シフト補正量を算出することで、プロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を補正することが可能となる。
【0052】
なお、図4のフローチャートのステップS100において、ルックアップテーブルを参照せずに、標準速時と低速時のトナー濃度センサ5とトナー濃度の関係式より線速シフト補正量を求めて補正を行うようにしてもよい。その方法について図5のフローチャートを用いて説明を行う。この図5のフローチャートに示す制御動作も、前述の制御部で実行される。
【0053】
前述した図4のフローチャートと同様に、標準線速の場合にはVt0をVtとしてそのまま用いてトナー補給量の算出を行う(図5のステップS10〜S70)。
次に、図5のステップS10において取得したプロセス線速が低速(60mm/sec)であった場合、ステップS30の判定によりステップS80に進み、Vt1=Vt’とする。次に、ステップS90において、前回印刷が標準線速かどうか判定する。標準線速であった場合にはステップS100に進む。そして、ステップS100において、保存してある標準線速時のトナー濃度センサ出力値であるVt0を読み出す。
【0054】
続いて、Vt0の値より、線速シフト補正量の算出を行う。
ステップS110において、Vt0の値よりVt1を以下の式(2)より算出する。
Vt1=a1/a0×(Vt0−b0)+b1 ・・・(2)
Vt1はVt0と同一トナー濃度における低速時のトナー濃度センサ出力の算出値である。そのため、このVt1とVt0の差分値がそのトナー濃度における線速シフト量となる。
【0055】
ここで、式(2)について説明を行う。図3に示すように、標準速、低速のトナー濃度とトナー濃度センサ5の出力値の関係はそれぞれ1次直線式で表すことができるため、以下の式(3)、(4)のように表すことができる。
標準速:y=a0×x+b0 ・・・(3)
低速 :y=a1×x+b1 ・・・(4)
但し、
xはトナー濃度、
yはトナー濃度センサの出力値、
a0:標準線速時における横軸:トナー濃度[wt%]、縦軸:トナー濃度センサの出力値[V]としたときの傾き、
a1:低速時における傾き、
b0:標準線速時のY切片、
b1:低速時のY切片、
である。
【0056】
標準線速のトナー濃度センサ出力値Vt0と同一トナー濃度における低速時のトナー濃度センサ出力値をVt1とすると、式(3)と(4)から式(2)を求めることができる。
以上が式(2)の導出方法である。
ここで、式(3)、(4)は後述するトナー濃度とトナー濃度センサの出力値の関係式を算出するモードを用いて求める。または、予め実験などにより代表値を求めておいてその値を制御に用いても効果的である。
【0057】
図5のステップS120において、ステップS110で求められたVt1とVt0の値より線速シフト補正量ΔVt1を以下の式(5)を用いて算出する。
ΔVt1=Vt1−Vt0 ・・・(5)
そしてステップS130において、式(5)によって求められたΔVt1を保存する。
【0058】
次に、ステップS140において、式(5)によって求められた線速シフト補正量を式(1)に代入してVtを算出する。
そして、ステップS70において補正されたトナー濃度センサ出力値Vtとトナー濃度制御基準値Vtrefよりトナー補給量を算出する。
【0059】
次に、ステップS90において、前回印刷が標準線速ではない場合はステップS150に進む。ステップS150では、ステップS130で保存したΔVt1を読み出し、ステップS160において、式(1)を用いてVtを算出する。つまり低速モードでの印刷が続く場合には線速切り替え時に算出したΔVt1の値を用いて補正を行う。
【0060】
以上が、標準速時と低速時のトナー濃度センサ5とトナー濃度の関係式より線速シフト補正量を求めて補正を行う方法である。
このように、低速時と標準速時のトナー濃度センサ5の出力値とトナー濃度の関係より線速シフト量を算出することで、トナー濃度(トナー濃度センサ出力値)に応じた補正を行うことが可能となる。そのためプロセス線速を切り替えた際の線速シフト量を適正に補正することが可能となり、トナー補給制御の精度を向上させることが可能となる。
【0061】
次に、本実施例におけるトナー濃度とトナー濃度センサ出力値の関係式を算出するモードについて図6のフローチャートを用いて説明する。この図6のフローチャートに示す制御動作も、前述の制御部で実行される。
図6のステップS10において、標準線速で駆動を行い、ステップS20でトナー濃度センサ5の出力値Vt’0[M]を検出する。次に、ステップS30において線速を標準速から低速に切り替えて駆動を行い、ステップS40でトナー濃度センサ出力値Vt’1[M]を求める。このとき現像装置4内には基準トナー濃度の現像剤が充填されており、本実施例においては7.0wt%のトナー濃度となっている。
【0062】
次に、ステップS50において、現像装置4内のトナー濃度が4.0wt%となるようにトナーの消費を行う。例えば現像剤容量が225gであった場合、トナー濃度を7.0wt%から4.0wt%にするには6.75gトナーを消費すれば良い。トナーを消費する方法はベタパッチを形成してトナー消費を行う。
【0063】
次に、ステップS60において、標準線速で駆動を行い、ステップS70でトナー濃度センサ5の出力値Vt’0[L]を検出する。ステップS80において線速を標準速から低速に切り替えて駆動を行い、ステップS90でトナー濃度センサ出力値Vt’1[L]を求める。
【0064】
次に、ステップS100において、現像装置4内のトナー濃度が11.0wt%となるようにトナー補給を行う。
現像剤容量が225gであった場合、トナー濃度を4.0wt%から11.0wt%にするには15.75gトナーを補給すればよい。ここで、トナー補給装置17の補給能力が0.3[g/sec]であった場合、52.5[sec]の時間、トナー補給装置17を駆動してトナー補給を行う。
【0065】
同様に、ステップS110において標準線速で駆動を行い、ステップS120でトナー濃度センサ5の出力値Vt’0[H]を検出する。次に、ステップS130において線速を標準速から低速に切り替えて駆動を行い、ステップS140でトナー濃度センサ出力値Vt’1[H]を求める。
【0066】
続いて、ステップS150において図7に示すように横軸をトナー濃度、縦軸をトナー濃度センサ出力値として、最小二乗法により1次直線式を標準速、低速の各々の場合において算出する。
ステップS150で求められた、標準線速、低速の一次直線式を前述した式(3)、式(4)に代入する。
以上のようにして、標準速、低速におけるトナー濃度とトナー濃度センサ出力の関係式を算出することができる。
【0067】
本モードは新品の現像装置4を投入した場合、新品の現像装置4、現像剤に交換した場合の電源ON時に実行するようにする。また、図5の制御動作のフローチャートを用いて線速シフト補正量を求めた結果にズレが生じた場合などに本モードを実行してもよい。このズレは低速から標準速に線速を切り替えた際に、線速を切り替える直前の補正後のVtと標準速に切り替え後の検知したVtに大きな差異があるかどうかで判定を行う。
【0068】
ここで、補正量にズレが生じるのは現像剤に大きな変化が起き、トナー濃度とトナー濃度センサ出力値のプロファイルが変化した場合と考えられる。そのため、トナー濃度とトナー濃度センサ出力の関係式を算出するモードを実行して関係式を更新することで、上記したような現像特性の変化にも対応することが可能となる。
例えば、補正誤差がある所定の値以上となった場合には、トナー濃度とトナー濃度センサ出力の関係式を算出するモード実行フラグを立てるようにする。そして、所定のタイミング(例えば、電源ONなど)で本モードを実行して前記関係式を更新するようにする。
【0069】
以上のように本モードを実行してトナー濃度とトナー濃度センサ出力の関係式を更新することで、現像剤の特性に変化が生じ、トナー濃度とトナー濃度センサ出力値のプロファイルが変化した場合にも適正な線速シフト量の補正を行うことが可能となる。
【0070】
ここで、図5のフローチャートについて具体的な例を用いて説明する。図6の制御動作のフローチャートを実行した結果、図7に示すように1次直線式が得られたとすると、
標準速:y=−0.3708×x+5.2404 ・・・(6)
低速 :y=−0.3260×x+5.2668 ・・・(7)
となる。
この式(6)、式(7)の傾きとY切片の値を、図5のフローチャートのステップS110の式(2)に代入すると、
Vt1=0.8791×(Vt0−5.2404)+5.2668 ・・・(8)
となる。
【0071】
ここで、読み出したVt0の値(線速切り替え直前の標準線速のトナー濃度センサ出力値)が2.40[V]であったとすると、Vt1は2.77[V]となり、線速シフト補正量ΔVt1の値は、図5のフローチャートのステップS120の式(5)より、
ΔVt1=2.77−2.40=0.37
となる。
このΔVt1を低速時のトナー濃度センサ出力値Vt1より引くことでVtを求めることができる。
【0072】
以上のように、標準速時、低速時のトナー濃度とトナー濃度センサ出力値の関係式を求め、線速シフト補正量を算出することで、より精度の高い補正を行うことが可能となり、トナー補給制御の精度をさらに向上させることが可能となる。
従って、本発明によれば、より制度の高いトナー補給制御を行いことができる画像濃度制御方法を実現でき、この画像濃度制御方法を用いて適切な画像濃度の画像形成を行うことができる画像形成装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
1(1Y,1M,1C,1Bk):感光体ドラム(潜像担持体)
2:帯電装置(帯電ローラ)
3:現像ローラ
4:現像装置
5:トナー濃度センサ(トナー濃度検出手段)
6:1次転写装置
7:クリーニング装置
8:中間転写ベルト
9:トナー補給容器(トナーボトル)
10:光学センサ
11:温・湿度センサ
12:2次転写装置
13:第1スクリュー
14:ベルトクリーニング装置
15:従動ローラ
16:トナーセンサ
17:トナー補給装置(トナー補給手段)
18:駆動ローラ
19:第2スクリュー
20:レジストローラ
21:定着装置
30:光書込装置
P:転写紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2002−207357号公報
【特許文献2】特開2007−71985号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置の画像濃度制御方法において、
前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、
トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、
前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、
異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを用い、
前記現像装置内のトナー濃度に応じて、プロセス線速差によるトナー濃度検出差の補正量を可変とすることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像濃度制御方法において、
プロセス線速切り替え直前の標準線速のトナー濃度センサ出力値に応じて、前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像濃度制御方法において、
前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値以下の場合に前記補正量を基準値以上とし、前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値より高い場合には前記補正量を基準値以下とすることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項4】
潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置の画像濃度制御方法において、
前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、
トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、
前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、
異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを用い、
標準速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式を用いてトナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像濃度制御方法において、
前記関係式を算出するモードを有することを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像濃度制御方法において、
前記プロセス線速が標準速から低速に切り替わった直後に前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴する画像濃度制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の画像濃度制御方法において、
前記関係式を算出するモードは前記現像装置の新品検知時であることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載の画像濃度制御方法において、
前記関係式を算出するモードは低速から標準速に切り替わった時のトナー濃度検出差がある所定の値より大きい場合に実行することを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項9】
潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置において、
前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、
トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、
前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、
異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを備え、
前記現像装置内のトナー濃度に応じて、プロセス線速差によるトナー濃度検出差の補正量を可変とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、
プロセス線速切り替え直前の標準線速のトナー濃度センサ出力値に応じて、前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値以下の場合に前記補正量を基準値以上とし、前記トナー濃度検出手段の出力値がある所定の値より高い場合には前記補正量を基準値以下とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
潜像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する現像手段として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収納する現像装置を備えた画像形成装置において、
前記現像装置内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、
トナーを前記現像装置へ補給するためのトナー補給手段と、
前記トナー濃度検出手段の出力を記憶手段に記憶しているトナー濃度基準値と比較することによって前記トナー補給手段を制御するトナー補給制御手段と、
異なる2種類以上のプロセス線速間の該トナー濃度検出手段の出力差を補正する補正手段とを備え、
標準速時と低速時のトナー濃度検出手段の出力値とトナー濃度の関係式を用いてトナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、
前記関係式を算出するモードを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記プロセス線速が標準速から低速に切り替わった直後に前記トナー濃度検出差の補正量を求めることを特徴する画像形成装置。
【請求項15】
請求項13に記載の画像形成装置において、
前記関係式を算出するモードは前記現像装置の新品検知時であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項13に記載の画像形成装置において、
前記関係式を算出するモードは低速から標準速に切り替わった時のトナー濃度検出差がある所定の値より大きい場合に実行することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−204519(P2010−204519A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51669(P2009−51669)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】