説明

画像符号化装置及び画像符号化方法

【課題】不要な色信号の符号量の発生を防止して、符号化効率を向上できるようにする。
【解決手段】輝度信号と色差信号を一定のブロックに分割し、そのブロックに対して予測符号化、変換符号化を行うようにする。そして、輝度信号に対して、第1の閾値及び第2の閾値を定め、ブロック内の輝度信号のレベルが、前記第1の閾値より全て低い場合または第2の閾値より全て高い場合には、そのブロックがイントラ予測を行う場合は、色差信号をDC予測信号で置換する。また、そのブロックがインター予測を行う場合は、色差信号を予測信号で置換するか、もしくは、差分信号無しのフラグを立てることにより、色差信号の符号量を削減できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像符号化装置及び画像符号化方法に関し、特に、画像データを輝度信号と色差信号とに変換して符号化処理を行うために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データを圧縮、符号化する際に、図9に示すように、画像データを、色変換部で輝度信号と色差信号とに変換した後、さらにブロック分割部で、一定の画素単位のブロックに分け、そのブロックを単位として予測や変換処理等の符号化処理を行っている。以下、代表的な色変換の方式と、符号化処理の方式について、簡単に説明する。
【0003】
画像データがRGBの3原色で表現されている場合、通常圧縮処理に先駆けて、輝度信号Yと2つの色差信号Cb及びCrに変換される。よく知られているBT601方式では、次の式に従って変換する。
【0004】
【数1】

【0005】
このように変換された輝度信号、色差信号は、通常それぞれ8ビットの精度で表現される。元となるRGBの値が0から1である場合、各規格上、有効となる輝度信号と色差信号の範囲は、16<Y<235,16<Cb,Cr<240とされている。さらに、輝度信号Yの値によって、色差信号Cb、Crが取り得る範囲は制限されている。
【0006】
この様子を、図10に示す。図10で、縦軸は輝度信号Yを表し、横軸は色差信号Cb,Crの取り得る範囲を表している。ここで、色差信号に必要な解像度は、輝度信号Yよりも低いので、色差信号については、さらにサブサンプル処理を行って、輝度信号よりも少ないデータ数とすることが多い。よく用いられるのは、「4:2:2、4:2:0」、「4:1:1」の各方式である。
【0007】
【特許文献1】特開平5―153407号公報
【特許文献2】特開2004−235811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、人間の視覚特性として、輝度信号の大小によって、色の認識可能な範囲が異なることが知られている。すなわち、図10に示したように、8ビットの輝度信号と色差信号で表される組み合わせのうち、視覚上色彩を感じられる範囲は、図10中の菱形(太線部)内に制限されている。例えば、輝度信号が小さい場合(暗い場合)は、色はほとんど感じられない。
【0009】
また、輝度信号が大きい場合(明るい場合)も、色はほとんど感じられない。特に、輝度信号が予定された最大値である235を越えるような場合は、ほぼ白色とだけ感じられる(視覚上認識できない)。従来は、このような人間の視覚特性を超える色差信号であっても、通常の符号化処理によって圧縮し、圧縮データに加えていた。
【0010】
このため、従来は視覚上認識できない色信号についても符号化処理を行っていたので、不要な色信号の符号量が発生してしまい、符号化効率を向上させる妨げになっていた。
本発明は前述の問題点に鑑み、不要な色信号の符号量の発生を防止して、符号化効率を向上できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像符号化装置は、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化装置であって、前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出手段と、前記範囲検出手段の検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の画像符号化装置の他の特徴とするところは、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化装置であって、前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化手段と、前記符号化手段によって符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化手段と、前記復号化手段によって復号された輝度成分の値にフィルター処理を行うフィルター処理手段と、前記フィルター処理手段によりフィルター処理された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出手段と、前記範囲検出手段の検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の画像符号化装置のその他の特徴とするところは、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化装置であって、前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出手段と、前記範囲検出手段の検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合は、ブロックを特定の予測モードで予測するものとし、ブロック内の色差成分の全ての値をその予測モードの予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合は、ブロック内の色差成分を、インター予測先の色差成分で置換する色差成分置換手段とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の画像符号化方法は、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化方法であって、前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の画像符号化方法の他の特徴とするところは、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化方法であって、前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化工程と、前記符号化工程において符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化工程と、前記復号化工程において復号された輝度成分の値にフィルター処理を行うフィルター処理工程と、前記フィルター処理工程においてフィルター処理された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の画像符号化方法のその他の特徴とするところは、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化方法であって、前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合は、ブロックを特定の予測モードで予測するものとし、ブロック内の色差成分の全ての値をその予測モードの予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合は、ブロック内の色差成分を、インター予測先の色差成分で置換する色差成分置換工程とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明のプログラムは、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムの他の特徴とするところは、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化工程と、前記符号化工程において符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化工程と、前記復号化工程において復号された輝度成分の値にフィルター処理を行うフィルター処理工程と、前記フィルター処理工程においてフィルター処理された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムのその他の特徴とするところは、輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合は、ブロックを特定の予測モードで予測するものとし、ブロック内の色差成分の全ての値をその予測モードの予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合は、ブロック内の色差成分を、インター予測先の色差成分で置換する色差成分置換工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、人間の視覚特性上、色の認識が困難な輝度信号であるブロックにおける色信号に対する符号量を、予測方式に適した方式で削減するようにしたので、不要な色信号の符号量の発生を防止することが可能となり符号化効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態の画像符号化装置の背景技術について説明する。
輝度信号(輝度成分)及び色差信号(色差成分)に対して圧縮処理を行う、代表的な符号化処理方式について説明する。
図11に、MPEG2方式における画像符号化装置の構成例のブロック図を示す。図11において、1100は、CPU、ROM、RAMより成る制御部であり、本実施形態の画像符号化装置全体の制御及び色信号処理を行う。1101は入力画像信号であり、この入力画像信号1101は入力バッファ(図示せず)に一旦保存された後、必要な並び替えやブロック分割等が行われる。
【0016】
1102は差分器であり、入力画像信号と予測信号との差分信号を出力する。1103は予測モード切替器であり、予測先をイントラ予測先またはインター予測先に切り替えるものである。具体的には、イントラ予測(スイッチがb側)またはインター予測(スイッチがa側)の切り替えを行う。1104はDCT変換器、1105は量子化器である。また、1106は可変長符号化器であり、1107はイントラ予測でのDC予測値である。
【0017】
1108は出力信号であり、画像符号化装置において圧縮符号化された信号である。1109は逆量子化器、1110は逆DCT変換器である。1111は加算器であり、逆変換した差分信号から、参照画像を作成する。1112はフレームメモリ、1113は動き補償部(MC部)、1114は動き検出部(ME部)である。
【0018】
このように構成された画像符号化装置において、入力画像信号1101は、マクロブロックに分割する。そして、フレーム間予測を行わないイントラ符号化を行う場合は、そのままの画像データに対して、DCT変換器1104においてDCT変換(Discrete Cosine Transform:離散コサイン変換)を行う。
【0019】
また、フレーム間予測を行うインター符号化では、異なるフレームから予測したブロックの画像データを予測信号として、その差分信号1102を求め、この差分信号1102に対して、離散コサイン変換を行う。そして、離散コサイン変換後、設定された量子化値(Q値)で量子化器1105で量子化処理した後、可変長符号化器1106で可変長符号化を行い、必要なヘッダ情報などを付加して出力信号1108を生成する。
【0020】
一方、量子化したデータの内、インター予測の参照画像として使用する画像のデータは、内部で逆量子化器1109で逆量子化し、その後、逆DCT変換器1110で逆DCT変換を行う。そして、逆DCT変換を行った後で加算器1111に入力して予測信号と加算し、フレームメモリ1112に蓄積し、インター予測での参照画像に用いる。
【0021】
図11では、動き検出部1114でフレーム間の動き検出を行い、動きベクトルをヘッダ情報として符号化し、動き補償部1113で参照画像から、予測信号を作成する動き補償を行っている。
【0022】
ここで、図12に、MPEG2方式で、主に用いられる代表的な、輝度、色差のブロックを示す(4:2:0方式で説明する)。MPEG2方式では、輝度信号を16x16画素単位に、対応する2つの色差信号を8x8画素単位に分割し、まとめて1つのマクロブロックとして扱う。
【0023】
イントラ符号化のマクロブロックに対しては、DCT変換後、さらに図13に示すように、隣接ブロックのDC値を予測値としたDC予測が行われ、その予測誤差が符号化される。
【0024】
一方、図14に示すようにインター予測を行う場合、マクロブロック単位で、参照画像との相関を調べ、最も相関が高いブロックを予測信号として、その差分信号に対して符号化を行う。なお、同一マクロブロックの輝度信号と色差信号は、同一の動きベクトルを用いて符号化されている。
【0025】
また、インター予測の場合、8x8単位で行ったDCT係数の有無を、coded block pattern(CBP)として記述している。CBPは、4:2:0方式の場合、6ビットで表され、図15に示すように、各bitが8x8単位のブロックにそれぞれ対応している。CBPのビットが1である場合、対応するブロックのDCT係数あり、これが符号されていることを示す。例えば、図15の斜線で塗りつぶしたブロックがDCT係数を持ち、他のブロックはDCT係数を持たない場合、CBPは、「100110(2進数)」と表させる。
【0026】
さらに、新しい符号化方式として、MPEG4 Part-10 AVCまたはH.264(以下H.264)といわれる符号化方式が登場している。図16に、H.264方式の符号化方式を示す。
【0027】
図16において、1600は、CPU、ROM、RAMより成る制御部であり、本実施形態の画像符号化装置全体の制御及び色信号処理を行う。1601は入力画像信号である。入力画像信号1601は、図示しない入力バッファ(図示せず)に一旦保存された後、必要な並び替えやブロック分割等が行われる。1602は差分器であり、入力画像信号と予測信号との差分信号を出力する。1603は予測モード切替器であり、イントラ予測(スイッチがb側)またはインター予測(スイッチがa側)の切り替えを行う。1604は整数変換器である。
【0028】
1605はエントロピー符号化器であり、可変長符号化(CAVLC)または算術符号化(CABAC)を行う。1606は出力信号であり、図16の画像符号化装置で圧縮符号化された信号を示す。1607は逆整数変換器である。1608は加算器であり、逆変換した差分信号から、イントラ予測用参照画像を作成する。1609は、イントラ予測用フレームメモリであり、1610はイントラ予測部である。1611は、ループ内フィルターである。1612はインター予測用フレームメモリであり、1613はインター予測部である。1614は動き検出部(ME部)である。
【0029】
入力画像信号1601は、マクロブロックに分割される。フレーム内予測を行うイントラ符号化の場合は、フレーム内の周辺画素を予測信号として用いる。また、インター符号化では、異なるフレームから予測したブロックの画像データを予測信号として、その差分信号を求める。この差分信号に対して、整数変換器1604において量子化を含む整数変換を行うとともに、エントロピー符号化器1605でエントロピー符号化(CAVLCまたはCABAC)を行う。その後、必要なヘッダ情報などを付加して出力信号1606を生成する。
【0030】
一方、整数変換したデータは、逆整数変換器1607で逆整数変換するとともに、加算器1608で加算処理されて、イントラ予測用の画像データとして、イントラ予測用フレームメモリ1609に蓄積される。このデータから、イントラ予測部1610では、イントラ予測モードを決定し、予測信号を作成する。
【0031】
さらに、インター予測の参照画像として使用する画像のデータの場合は、ループ内フィルター1611でループ内フィルター処理を行い、インター予測用フレームメモリ1612に蓄積し、イントラ予測の参照画像に用いる。図16では、動き検出部1614でフレーム間の動き検出を行い、動きベクトルをヘッダ情報として符号化し、インター予測部(1613)で参照画像から、予測信号を作成している。
【0032】
H.264方式で用いるマクロブロックは、4:2:0方式では、図12のMPEG2方式と同様である。すなわち、輝度信号を16x16画素単位に、対応する2つの色差信号を8x8画素単位に分割し、まとめて1つのマクロブロックとして扱う。
【0033】
ここで、H.264方式のイントラ予測について図17を用いて説明する。
図17では、色差信号に対するイントラ予測の方式を示している。色差信号は、8x8画素のブロックの周辺画素を予測信号として、4通りの予測方向が用意されている。通常は、この中から最も符号量の少ない予測方向を比較して決定し、イントラ予測に用いる。なお、輝度信号については、4x4画素単位での予測と16x16画素単位の予測が用意されているが詳細は省略する。
【0034】
H.264のインター予測は、参照ピクチャを複数枚から選択できる、マクロブロックをさらに小さいブロック(マクロブロック・パーティション)などの機能が追加されている。同一ブロックの輝度信号と色差信号で、同一のベクトルを用いること、及び整数変換後の係数の有無をcoded block patternとして記述するところは、同様である。しかしながら、輝度信号がイントラ16x16予測を行った場合に、coded block patternをmacro block typeに含める等の記述上の違いはある。
【0035】
ところで、輝度信号と色差信号を符号化する際の問題として、特許文献1が知られている。これは、カラー画像と白黒画像が混在した場合の問題を解決しており、色変換部により、輝度信号と色差信号に分解した後、色差信号が予め設定した値より小さい場合は、輝度信号のみの符号化を行っている。
【0036】
また、特許文献2では、輝度信号と色差信号への変換結果が、発生しえない組み合わせである場合、その輝度信号と色差信号を再度変換して、所定の範囲内の輝度信号と色差信号を得ることで、符号量の削減を実現している。
【0037】
次に、図1を参照しながら本発明の第1の実施形態を示す。
図1において、100は、CPU、ROM、RAMより成る制御部であり、本実施形態の画像符号化装置全体の制御及び色信号処理を行う。101は入力画像信号である。入力画像信号101は、入力バッファ(図示せず)に一旦保存された後、必要な並び替えやブロック分割等が行われる。102は差分器であり、入力画像信号と予測信号との差分信号を出力する。103は予測モード切替器であり、イントラ予測またはインター予測の切り替えを行う。
【0038】
104はDCT変換器、105は量子化器である。106は可変長符号化器であり、107はイントラ予測でのDC予測値である。108は出力信号であり、圧縮符号化された信号を示す。109は逆量子化器、110は逆DCT変換器である。111は加算器であり、逆変換した差分信号から、参照画像を作成する。112はフレームメモリ、113は動き補償部(MC部)、114は動き検出部(ME部)である。
【0039】
115は、輝度信号検出部であり、マクロブロック内の輝度信号のレベルを調べる。通常の場合、差分器102から動き検出部114で行われる動作は、従来のMPEG2符号化と同等な動作である。ただし、輝度信号については、逆量子化器109で行われる逆量子化、逆DCT変換器110で行われる逆DCT、及び加算器111で行われる加算処理は、インター予測の参照画像として使用しない画像のデータであっても処理を行う。
【0040】
本実施形態では、加算器111において予測信号と加算して、参照画像を作り出したところで、輝度信号検出部115で、マクロブロック単位内の輝度信号のレベルが所定の検出範囲内にあるかどうかを調べる。本実施形態においては、輝度信号検出部115は範囲検出手段として機能し、輝度レベルに対して、閾値1(第1の閾値)と閾値2(第2の閾値)で所定の範囲を指定しておく。例えば、閾値1に対して16、閾値2に対して235を与える。
【0041】
輝度信号検出部115では、この閾値と輝度信号レベルとを比較し、輝度信号のレベルが、閾値1より全て低い場合、または閾値2より全て高い場合は、輝度信号が所定の範囲外であることを、可変長符号化器106に送る。
【0042】
可変長符号化器106では、輝度信号が範囲外である場合、当該マクロブロックの色差信号のブロックに対して、その差分信号の値にかかわらず、符号がほとんど発生しないような(符号無し)符号化処理を行う。本実施形態においては、可変長符号化器106は符号の発生が最も少ないデータに置換する色差成分置換手段として機能する。
【0043】
この様子を、図2のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の動作は、CPU、ROM、RAMより成る制御部100の制御により実行される。
先ず、ステップS201において、可変長符号化器106により可変長符号化を行い、マクロブロックの変換、量子化後のデータを取得する。その後、ステップS202で符号化対象が色差信号ブロックであるかどうかを判断する。
【0044】
この判断の結果、色差信号ブロックでない場合、すなわち輝度信号ブロックの場合は、ステップS203に進み、通常通りの符号化処理を行う。また、ステップS202の判断の結果、色差信号ブロックであった場合にはステップS204に進み、輝度信号検出部115で行った輝度レベルを調べた結果を判定する。
【0045】
ステップS204の判定の結果、輝度信号が範囲内である場合はステップS203に進み、通常通りの符号化処理を行う。一方、ステップS204の判定の結果、輝度信号が範囲外である場合は、取得した色差信号ブロックのデータの値に関わらず、特定の符号割当てを行う処理に移行する。すなわち、まず、ステップS205において、当該ブロックの予測がインター予測であるかどうかを判断する。この判断の結果、インター予測でない場合、すなわち、イントラ処理されていた場合にはステップS206に進んでイントラ処理を行う。また、ステップS205の判断の結果、インター予測である場合は、ステップS207に進んでインター処理を行う。
【0046】
ステップS206で行うイントラ処理では、色差信号のデータは、ステップS201で取得したデータにかかわらず、DC成分はDC予測値107と等しく、AC成分は全て0であるデータを取得したものとして、符号化を行う。すなわち、DC成分については、符号化されるのはDC予測の差分値であるから、この差分値として0が符号化される。それ以降のAC成分は0であるため、符号は発生せず、ただちにEOB(End of Block)を符号化して、そのブロックの符号化処理を終了する。
【0047】
また、ステップS207のインター処理の場合では色差信号成分のデータは、ステップS201で取得したデータにかかわらず、全ての成分が0であるデータを取得したものとして符号化を行う。すなわち、色信号成分のデータについては、直接符号は発生せず、CBPの色差ブロックに対応するビット列のみを変更する。すなわち、CBPの色差ブロックに対応するビット列(2進表示で、下2桁)を0にして、色差信号成分のデータが無いものとして、そのブロックの符号化処理を終了する。
【0048】
以上の処理により、輝度信号が所定の範囲外であったマクロブロックは、輝度信号については従来通りの符号化が行われ、色信号については、その符号がほとんど発生しないように符号化される。
【0049】
このように符号化されたマクロブロックを復号化した場合、輝度成分については従来通りの復号が行われる。また、色差成分については、イントラ処理を行った場合、マクロブロックの全ての色差信号がDC予測値に等しい値の信号となり、インター処理を行った場合は、インター予測の参照先の色差信号に等しい値の信号となる。
【0050】
すなわち、色差成分については、符号化前の色差信号と大きく異なる値として復号される可能性がある。しかしならが、このときの輝度信号値は、人間の視覚特性として、色を認識しにくい範囲になっている。すなわち、輝度信号は、符号化時に設定した閾値1よりも低いか、閾値2よりも高い場合である。したがって、復号された色差信号が、符号化前の色差信号と大きく異なっていても、符号化劣化はほとんど感じられない。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、輝度信号のレベルが色を認識できないような範囲にあるマクロブロックに対して、色差信号の符号をほとんど発生させていない。このような符号化処理を行った結果として、画像データ全体の符号量を削減することができ、符号化効率の向上を図ることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
図3に、本発明による第2の実施形態を示す。第2の実施形態では、入力画像データについて輝度信号のレベルを調べ、このレベルが所定の範囲外の場合、予測信号を用いて色差信号の値を置換するものである。
【0053】
図3で、300は、CPU、ROM、RAMより成る制御部であり、本実施形態の画像符号化装置全体の制御及び色信号処理を行う。301は入力画像信号であり、入力バッファ(図示せず)に一旦保存された後、必要な並び替えやブロック分割等が行われる。302は差分器であり、入力画像信号301と予測信号との差分信号を出力する。303は予測モード切替器であり、イントラ予測またはインター予測の切り替えを行う。304はDCT変換器、305は量子化器である。
【0054】
306は可変長符号化器であり、307はイントラ予測でのDC予測値である。308は出力信号であり、圧縮符号化された信号を示す。309は逆量子化器、310は逆DCT変換器である。311は加算器であり、逆変換した差分信号から、参照画像を作成する。312はフレームメモリ、313は動き補償部(MC部)、314は動き検出部(ME部)である。
【0055】
315は、輝度信号検出部であり、マクロブロック内の輝度信号のレベルを調べるものである。316は、色差信号置換部であり、輝度信号検出部315の検出結果に応じて、色差信号の値を予測値で置換する。
【0056】
通常の場合、差分器302から動き検出部314の各部は、従来のMPEG2符号化と同等な動作を行う。
本実施形態では、入力画像データに対して、輝度信号検出部315で、マクロブロック単位の輝度信号のレベルが所定の範囲内にあるかどうかを調べる。そして、前述した第1の実施形態と同様に、輝度レベルに対して、閾値1と閾値2で所定の範囲を指定しておく。例えば、閾値1に対して16、閾値2に対して235を与える。
【0057】
輝度信号検出部315では、この閾値と輝度信号レベルとを比較し、輝度信号のレベルが、閾値1より全て低い場合、または閾値2より全て高い場合は、輝度信号が所定の範囲外であるという検出結果を、色差信号置換部316に送る。
【0058】
色差信号置換部316では、輝度信号が範囲外である場合、当該マクロブロックの色差信号のブロックに対して、その差分信号の値を予測信号の値で置換する。この様子を、図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の動作は、CPU、ROM、RAMより成る制御部300の制御により実行される。
【0059】
まず、ステップS401において、可変長符号化器306による可変長符号化が行われ、入力画像データのマクロブロックのデータを取得する。その後、ステップS402に進み、符号化対象が色差信号ブロックであるかどうかを判断する。この判定の結果、色差信号ブロックでない場合、すなわち、輝度信号ブロックの場合は、何の処理も行わず、次の処理へ移る(図4のフローチャートの処理を終了する)。
【0060】
一方、ステップS402の判断の結果、色差信号ブロックを符号化する場合にはステップS403に進み、輝度信号検出部で行った輝度レベルを調べた結果を判定する。この判定の結果、輝度信号が範囲内である場合は、何の処理も行わず、次の処理へ移る(図4のフローチャートの処理を終了する)。また、ステップS403の判定の結果、輝度信号が範囲外である場合には取得した色差信号ブロックのデータの値に関わらず、色差信号の値を、その色差信号ブロックに対する予測信号の値で置換する処理に移行する。
【0061】
すなわち、まず、ステップS404において、当該ブロックの予測がインター予測であるかどうかを判断する。この判断の結果、インター予測でない場合、すなわちイントラ処理されていた場合にはステップS405に進み、イントラDC置換を行う。また、ステップS404の判断の結果、インター予測である場合は、ステップS406に進んでインター予測置換を行う。
【0062】
ステップS405のイントラDC置換では、色差信号のデータは、ステップS401で取得したデータにかかわらず、全てのデータをDC予測値307で置換する。ステップS406のインター予測置換の場合では色差信号成分のデータは、ステップS401で取得したデータにかかわらず、動き補償部313から送られる予測信号で置換する。
【0063】
色差信号置換部316で色差信号が置換された場合、色差信号に対する符号は、ほとんど発生しない状態となる。すなわち、ステップS405においてイントラDC置換が行われた場合、マクロブロックの全ての色差信号データが、イントラ予測でのDC予測値307に等しくなる。このため、色差信号データは、DCT変換器304によるDCT変換後、DC成分のみが残り、AC成分は全てが0となる。
【0064】
次に、このDC成分については、量子化器305で量子化されるが、隣接ブロックのQ値と同一の値で量子化した場合、量子化後の値もDC予測値に等しくなる。このため、可変長符号化器306による可変長符号化でDC予測を行った結果、その予測誤差は0となる。すなわち、符号化対象となる色差信号データは、全て0となり、符号をほとんど発生しない状態となる。
【0065】
量子化器305での量子化を、隣接ブロックのQ値と異なる値で量子化した場合、DC予測値と異なる値が出力される。この場合でも、可変長符号化器306による可変長符号化でDC予測を行った結果、発生する予測誤差は、小さい値にとどまる。したがって、符号化対象となる色差信号データは、わずかなDC予測誤差と、0であるAC係数であり、符号はほとんど発生しない状態となる。
【0066】
一方、ステップS406においてインター予測置換が行われた場合、マクロブロックの色差信号データは、動き補償部313で予測された色差信号データに等しい。すなわち、302の差分器から出力される色差信号は、残差が全て0となる。したがって、DCT変換器304によるDCT変換、量子化器305の量子化後も、全ての色差信号データは0のままとなる。このため、可変長符号化器306による可変長符号化では、全てのデータが0である。このことから、CBPの色差ブロックに対応するビットを(2進表示で、下2桁)を0にして、色差信号成分のデータが無いものとして、符号化処理を行う。このため、色差信号に対応する符号は発生しない。
【0067】
本実施形態では、入力画像データについて輝度信号のレベルを調べ、このレベルが所定の範囲外の場合、色差信号の値を予測信号を用いて置換する。その結果、輝度信号が所定の範囲外であったマクロブロックは、輝度信号については従来通りの符号化が行われ、色信号については、その符号がほとんど発生しないように符号化される。
【0068】
一方、第1の実施形態の場合と異なり、本実施形態では入力画像データに対して処理を行った。このため、マクロブロックに対するQ値が変化した場合、復号される輝度値が、量子化誤差の影響で所定の範囲を外れたり、色差データについて、符号が第1の実施形態よりもやや多い場合が発生したりする。
【0069】
しかしながら本実施形態では、輝度信号の検出と、色差信号の置換処理を、符号化処理の主要部(差分器302から動き検出部314まで)の前段階の処理として行うため、符号化処理の主要部の動作を変更することなく、本実施形態の機能を加えることができる。すなわち、符号化処理の主要部がハードウェア等で構成されている既存の画像符号化装置を利用する場合でも、前処理として本実施形態を実現することができるのである。
【0070】
なお、図3では、既存の画像符号化装置から、イントラDC予測値を、色差信号置換部316に入力するように構成していた。しかしながら、このイントラDC予測値に換えて、色差信号置換部316内に、隣接マクロブロックの色差信号のDC値を検出し記憶する手段を設けることは可能である。すなわち、隣接ブロックの色差信号に対してDC値(平均値に等しい)を求め、それを記憶して、ステップS405で行うイントラDC置換の際のDC予測値とすればよい。この場合、可変長符号化器306による可変長符号化で発生する予測残差は、多少増える可能性はあるが、本実施形態の画像符号化装置を、既存の画像符号化装置と全く独立に実現することができるようになる。
【0071】
また、本実施形態では、輝度信号についても、量子化誤差の影響で、復号後に所定の範囲を外れる場合があると述べた。ただし、その影響は一般に量子化誤差の程度にとどまるので、色信号が認識しにくい輝度信号レベルに近いことに変わりはない。したがって、復号された色差信号が、符号化前の色差信号と大きく異なっていても、符号化劣化はほとんど感じられない。
【0072】
以上、説明したように、本実施形態では、輝度信号の検出と色差信号に対する処理を、符号化の前処理として行っている。この結果、既存の画像符号化装置にほとんど変更を加えることなく、本実施形態の画像符号化装置を実現することができる。すなわち、輝度信号のレベルが色を認識できないような範囲にあるマクロブロックに対しては、色差信号の符号をほとんど発生させない。このような符号化処理を行った結果として、画像データ全体の符号量を削減することができ、符号化効率の向上を図ることができる。
【0073】
(第3の実施形態)
図5に、本発明による第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、第1の実施形態と同等の構成を、H.264符号化方式に適用した場合である。図5において、500は、CPU、ROM、RAMより成る制御部であり、本実施形態の画像符号化装置全体の制御及び色信号処理を行う。501は入力画像信号であり、入力バッファ(図示せず)に一旦保存された後、必要な並び替えやブロック分割等が行われる。502は差分器であり、入力画像信号と予測信号との差分信号を出力する。
【0074】
503は予測モード切替器であり、イントラ予測(スイッチがb側)またはインター予測(スイッチがa側)の切り替えを行う。504は整数変換器である。505はエントロピー符号化器であり、可変長符号化(CAVLC)または算術符号化(CABAC)を行う。506は出力信号であり、圧縮符号化された信号を示す。507は逆整数変換器である。508は加算器であり、逆変換した差分信号から、イントラ予測用参照画像を作成する。509は、イントラ予測用フレームメモリであり、510はイントラ予測部である。511は、ループ内フィルターである。512はインター予測用フレームメモリであり、513はインター予測部である。514は動き検出部(ME部)である。
【0075】
515は、輝度信号検出部であり、マクロブロック内の輝度信号のレベルを調べる。
通常の場合、差分器502から動き検出部514は、従来のH.264符号化と同等な動作を行う。ただし、輝度信号については、逆整数変換器507の逆整数変換処理、加算器508の加算処理及びループ内フィルター511のループ内フィルター処理は、インター予測の参照画像として使用しない画像のデータであっても、処理を行う。
【0076】
本実施形態の画像符号化装置では、加算器508において予測信号と加算して、ループ内フィルター511においてループ内フィルター処理を終えたところで、輝度信号検出部515でマクロブロック単位の輝度信号のレベルが所定範囲内にあるかどうかを調べる。
【0077】
ここでは、第1の実施形態と同様に、輝度レベルに対して、閾値1と閾値2で所定の範囲を指定しておく。例えば、閾値1に対して16、閾値2に対して235を与える。輝度信号検出部515では、この閾値と輝度信号レベルとを比較し、輝度信号のレベルが、閾値1より全て低い場合、または閾値2より全て高い場合は、輝度信号が所定の範囲外であることを、エントロピー符号化器505に送る。
【0078】
エントロピー符号化器505では、輝度信号が範囲外である場合、当該マクロブロックの色差信号のブロックに対して、その差分信号の値にかかわらず、符号がほとんど発生しないような符号化処理を行うことができる。
【0079】
この様子を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS601においてマクロブロックデータを取得する。その後、ステップS602において色差信号ブロックか否かを判断する。ステップS602の判断の結果、色差ブロックではない場合にはステップS603に進んで通常の符号化処理を行う。また、ステップS602の判断の結果、色差ブロックであった場合にはステップS604に進む。
【0080】
ステップS604の輝度レベルの判定及びステップS605のインター予測か否かの判断は、第1の実施形態と同様に行われる。ステップS605の判断の結果、当該ブロックの予測がインター予測でない場合、すなわちイントラ処理されていた場合、ステップS606に進んでイントラ処理を行う。また、ステップS605の判断の結果、インター予測である場合は、ステップS607に進んでインター処理を行う。
【0081】
ステップS606で行うイントラ処理では、色差信号のデータは、ステップS601で取得したデータ及びそのイントラ予測モードにかかわらず、特定のイントラ予測モードで、その予測残差が0であるものとして、符号化を行う。例えば、特定のイントラ予測モードをDC予測とする。予測値は、隣接画素から求めた値であり、これとの予測残差が0であるとする。
【0082】
したがって、このマクロブロックの色差信号データについては符号化対象が無いことになり、その旨をcoded block patternに記述する。すなわち、輝度信号の予測がイントラ16x16予測の場合には、coded block patternをmacro block typeに含める旨を記述する。そうでない場合は、独立したcoded block patternの色差信号に対応する部分に、色差残差データが無い旨を記述する。
【0083】
ステップS607のインター処理の場合では色差信号成分のデータは、ステップS601で取得したデータにかかわらず、全ての成分が0であるデータを取得したものとして、符号化を行う。すなわち、coded block patternの色差信号に対応する部分に、色差残差データが無い旨を記述する。
【0084】
以上のように、本発明によれば、輝度信号が所定の範囲外であったマクロブロックは、輝度信号については従来通りの符号化が行われ、色信号については、その符号がほとんど発生しないように符号化される。結果として、画像データ全体の符号量を削減でき、符号化効率の向上が図られている。
【0085】
(第4の実施形態)
次に、本発明の画像符号化装置の第4の実施形態を、図4を参照しながら説明する。
第4の実施形態の画像符号化装置は、第2の実施形態と同等の構成を、H.264符号化方式に適用した場合である。図7において、700は、CPU、ROM、RAMより成る制御部であり、本実施形態の画像符号化装置全体の制御及び色信号処理を行う。
【0086】
701は入力画像信号であり、入力バッファ(図示せず)に一旦保存された後、必要な並び替えやブロック分割等が行われる。702は差分器であり、入力画像信号と予測信号との差分信号を出力する。703は予測モード切替器であり、イントラ予測(スイッチがb側)またはインター予測(スイッチがa側)の切り替えを行う。704は整数変換器である。705はエントロピー符号化器であり、可変長符号化(CAVLC)または算術符号化(CABAC)を行う。706は出力信号であり、圧縮符号化された信号を示す。
【0087】
707は逆整数変換器である。708は加算器であり、逆変換した差分信号から、イントラ予測用参照画像を作成する。709は、イントラ予測用フレームメモリであり、710はイントラ予測部である。711は、ループ内フィルターである。712はインター予測用フレームメモリであり、713はインター予測部である。714は動き検出部(ME部)である。
【0088】
715は、輝度信号検出部であり、マクロブロック内の輝度信号のレベルを調べる。716は、色差信号置換部であり、715の検出結果に応じて、色差信号の値を、予測値で置換する。通常の場合、差分器702から動き検出部714は、従来のH.264符号化と同等な動作を行う。
【0089】
本実施形態の画像符号化装置では、第2の実施形態と同様に、入力画像データに対して、輝度信号検出部715で、マクロブロック単位の輝度信号のレベルが所定の範囲内にあるかどうかを調べる。第1の実施形態と同様に、輝度レベルに対して、閾値1と閾値2で所定の範囲を指定しておく。例えば、閾値1に対して16、閾値2に対して235を与える。輝度信号検出部715では、この閾値と輝度信号レベルとを比較し、輝度信号のレベルが、閾値1より全て低い場合、または閾値2より全て高い場合は、輝度信号が所定の範囲外であることを、色差信号置換部716に送る。
【0090】
色差信号置換部716では、輝度信号が範囲外である場合、当該マクロブロックの色差信号のブロックに対して、その差分信号の値を、予測信号の値で置換する。この様子を、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0091】
ステップS801のマクロブロックデータの取得、ステップS802の色差信号ブロックか否かの判断、ステップS803の輝度レベルの判定及びステップS804のインター予測かの判断は、第2の実施形態と同様に行われる。
【0092】
ステップS805のイントラ予測置換では、色差信号のデータは、ステップS801で取得したデータにかかわらず、予測モードを特定のモードに固定し、全てのデータをそれに対応した予測値に置換する。例えば、予測モードを8x8DC予測とし、色差データの全てを、イントラ予測部710からのDC予測値で置換する。
【0093】
また、ステップS806のインター予測置換の場合では色差信号成分のデータは、ステップS801で取得したデータにかかわらず、713のインター予測部から送られる予測信号で置換する。
【0094】
色差信号置換部716で色信号を置換した場合、差分器702から出力される色差信号は、残差が全て0となる。したがって、整数変換器704における整数変換後も、全ての色差信号データは0のままとなる。このため、エントロピー符号化器705で行われるエントロピー符号化では、全てのデータが0であることから、coded block patternの色差ブロックに対応するビットを、色差信号成分のデータが無いものとして、符号化処理を行う。このため、色差信号に対応する符号は発生しない。
【0095】
本実施形態では、第2の実施形態と同様に、入力画像データについて輝度信号のレベルを調べ、このレベルが所定の範囲外の場合、色差信号の値を予測信号を用いて置換する。すなわち、輝度信号の検出と、色差信号の置換処理を、符号化処理の主要部(差分器702から動き検出部714まで)の前段階の処理として行う。このため、符号化処理の主要部の動作を変更することなく、本発明の機能を加えることができる。すなわち、符号化処理の主要部がハードウェア等で構成されている既存の画像符号化装置を利用する場合でも、前処理として本発明を実現することができるのである。
【0096】
また、本実施形態でも、第2の実施形態と同様に、輝度信号について、量子化誤差の影響で、復号後に所定の範囲を外れる場合がある。ただし、その影響は一般に量子化誤差の程度にとどまるので、色信号が認識しにくい輝度信号レベルに近いことに変わりはない。したがって、復号された色差信号が、符号化前の色差信号と大きく異なっていても、符号化劣化はほとんど感じられない。
【0097】
以上、説明したように、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、輝度信号の検出と、色差信号に対する処理を、符号化の前処理として行っている。この結果、既存の画像符号化装置にほとんど変更を加えることなく、本発明が実現できる。すなわち、輝度信号のレベルが色を認識できないような範囲にあるマクロブロックに対して、色差信号の符号をほとんど発生させない。このような符号化処理を行った結果として、画像データ全体の符号量を削減することができ、符号化効率の向上を図ることができる。
【0098】
(本発明に係る他の実施の形態)
前述した本発明の実施の形態における画像符号化装置を構成する各手段は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0099】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施の形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0100】
なお、本発明は、前述した画像符号化方法における各工程を実行するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図2、図4、図6及び図8に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0101】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0102】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0103】
プログラムを供給するための記録媒体としては種々の記録媒体を使用することができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0104】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0105】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0106】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0107】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の1部または全部を行うことによっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0108】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の1部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態を示し、第1の実施形態の画像符号化装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示し、第1の実施形態で行われる画像符号化装置の色信号処理手順の一例を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態を示し、第2の実施形態の画像符号化装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態を示し、第2の実施形態で行われる画像符号化装置の色信号処理手順の一例を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態を示し、第3の実施形態の画像符号化装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態を示し、第3の実施形態で行われる画像符号化装置の色信号処理手順の一例を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態を示し、第4の実施形態の画像符号化装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態を示し、第4の実施形態で行われる画像符号化装置の色信号処理手順の一例を説明するフローチャートである。
【図9】色差変換ブロック構成図である。
【図10】色差空間についての説明図である。
【図11】MPEG2エンコーダー構成例を説明するブロック図である。
【図12】4:2:0マクロブロック構成を説明する図である。
【図13】イントラDC予測の説明図である。
【図14】インター予測の説明図である。
【図15】coded block patternについての説明図である。
【図16】従来のH.264エンコーダーの構成例を説明するブロック図である。
【図17】イントラ8x8予測の説明図である。
【符号の説明】
【0110】
115 第1の実施形態の輝度信号検出部
315 第2の実施形態の輝度信号検出部
316 第2の実施形態の色差信号置換部
515 第3の実施形態の輝度信号検出部
715 第4の実施形態の輝度信号検出部
716 第4の実施形態の色差信号置換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化装置であって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出手段と、
前記範囲検出手段の検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て手段とを有することを特徴とする画像符号化装置。
【請求項2】
前記所定の範囲外とは、前記輝度成分の値に対して指定された第1の閾値よりも前記輝度成分の値が小さい場合、または前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも前記輝度成分の値が大きい場合であることを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
【請求項3】
前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化手段と、
前記符号化手段によって符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化手段とを有し、
前記範囲検出手段は、前記符号化手段により符号化された後で前記復号化手段により復号された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
【請求項4】
前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理されている場合は、そのDC成分はDC予測値と等しく、AC成分は全て0であるとして符号化し、
前記ブロックがインター処理されている場合は、ブロック単位の符号の有無を示すビット列について、色差成分の符号の有無を示すビットを符号無しの状態として符号化する符号化手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
【請求項5】
前記範囲検出手段による検出の結果、入力された画像データの輝度成分のブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に代えて、符号の発生が最も少ないデータに置換する色差成分置換手段を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像符号化装置。
【請求項6】
前記色差成分置換手段は、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合には、ブロック内の色差成分の全ての値をDC予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合には、ブロック内の色差成分をインター予測先の色差成分で置換することを特徴とする請求項5に記載の画像符号化装置。
【請求項7】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化装置であって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化手段と、
前記符号化手段によって符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化手段と、
前記復号化手段によって復号された輝度成分の値にフィルター処理を行うフィルター処理手段と、
前記フィルター処理手段によりフィルター処理された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出手段と、
前記範囲検出手段の検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て手段とを有することを特徴とする画像符号化装置。
【請求項8】
前記符号化手段は、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位の符号の有無を示すビット列について、色差成分の符号の有無を示すビットを符号無しの状態として、前記ブロック単位内の色差成分に割り当てる符号を符号化することを特徴とする請求項7に記載の画像符号化装置。
【請求項9】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化装置であって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出手段と、
前記範囲検出手段の検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合は、ブロックを特定の予測モードで予測するものとし、ブロック内の色差成分の全ての値をその予測モードの予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合は、ブロック内の色差成分を、インター予測先の色差成分で置換する色差成分置換手段とを有することを特徴とする画像符号化装置。
【請求項10】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化方法であって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、
前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とを有することを特徴とする画像符号化方法。
【請求項11】
前記所定の範囲外とは、前記輝度成分の値に対して指定された第1の閾値よりも前記輝度成分の値が小さい場合、または前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも前記輝度成分の値が大きい場合であることを特徴とする請求項10に記載の画像符号化方法。
【請求項12】
前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化工程と、
前記符号化工程において符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化工程とを有し、
前記範囲検出工程は、前記符号化工程において符号化された後で前記復号化工程において復号された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出することを特徴とする請求項10に記載の画像符号化方法。
【請求項13】
前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理されている場合は、そのDC成分はDC予測値と等しく、AC成分は全て0であるとして符号化し、
前記ブロックがインター処理されている場合は、ブロック単位の符号の有無を示すビット列について、色差成分の符号の有無を示すビットを符号無しの状態として符号化する符号化工程を有することを特徴とする請求項10に記載の画像符号化方法。
【請求項14】
前記範囲検出工程における検出の結果、入力された画像データの輝度成分のブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に代えて、符号の発生が最も少ないデータに置換する色差成分置換工程を有することを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の画像符号化方法。
【請求項15】
前記色差成分置換工程は、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合には、ブロック内の色差成分の全ての値をDC予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合には、ブロック内の色差成分をインター予測先の色差成分で置換することを特徴とする請求項14に記載の画像符号化方法。
【請求項16】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化方法であって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化工程と、
前記符号化工程において符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化工程と、
前記復号化工程において復号された輝度成分の値にフィルター処理を行うフィルター処理工程と、
前記フィルター処理工程においてフィルター処理された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、
前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とを有することを特徴とする画像符号化方法。
【請求項17】
前記符号化工程は、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位の符号の有無を示すビット列について、色差成分の符号の有無を示すビットを符号無しの状態として、前記ブロック単位内の色差成分に割り当てる符号を符号化することを特徴とする請求項16に記載の画像符号化方法。
【請求項18】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う画像符号化方法であって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、
前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合は、ブロックを特定の予測モードで予測するものとし、ブロック内の色差成分の全ての値をその予測モードの予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合は、ブロック内の色差成分を、インター予測先の色差成分で置換する色差成分置換工程とを有することを特徴とする画像符号化方法。
【請求項19】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、
前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項20】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値に量子化処理を施して符号化する符号化工程と、
前記符号化工程において符号化されたブロック単位内の輝度成分の値を復号する復号化工程と、
前記復号化工程において復号された輝度成分の値にフィルター処理を行うフィルター処理工程と、
前記フィルター処理工程においてフィルター処理された輝度成分の値について、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、
前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合には、前記ブロック単位内の色差成分に対して、その成分にかかわらず最も符号量の少ない符号を割り当てる符号割り当て工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
輝度成分と色差成分とからなる画像データを複数の画素からなるブロック単位に分解し、このブロック単位に符号化処理を行う工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記ブロック単位内の輝度成分の値が、所定の範囲外であるかどうかを検出する範囲検出工程と、
前記範囲検出工程における検出の結果、前記ブロック単位内の輝度成分の値が所定の範囲外である場合、前記所定の範囲外のブロックがイントラ処理される場合は、ブロックを特定の予測モードで予測するものとし、ブロック内の色差成分の全ての値をその予測モードの予測値で置換し、前記ブロックがインター処理される場合は、ブロック内の色差成分を、インター予測先の色差成分で置換する色差成分置換工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
請求項19〜21の何れか1項に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−124585(P2009−124585A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298341(P2007−298341)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】