説明

画像記録装置

【課題】画像を記録する記録担体と通信を行う機能を有する画像記録装置の提供。
【解決手段】出力指示がある場合(S11:YES)、用紙の給送を開始し(S12)、ICタグに情報の書込みを行う(S13)。次いで、画像の記録が完了する前、又は画像の記録が完了した後にジャムが発生したか否かを判断し(S14,S16)、ジャムが発生したと判断した場合(S14又はS16:YES)、ICタグから情報の読込みを行う。そして、ICタグから応答があった場合、ジャム位置を特定し、特定したジャム位置を操作パネル上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録する記録担体と通信を行う機能を有する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録用紙にICタグを備え、装置本体とICタグとが無線通信を用いて情報通信を行い、記録用紙上の画像に関する管理制御を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1で提案されているシステムは、記録用紙が給紙され画像の記録を行う前に装置本体と記録用紙上のICタグとが通信を行い、装置本体から送信される画像データに関する情報をICタグ内のメモリに書込む構成である。
【特許文献1】特開2004−82348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成においては、画像記録時にジャムが発生した場合、ICタグ内に記憶された情報を消去することなくジャム紙として取扱われることから、ICタグに書込まれた情報が漏洩する虞があるという問題点を有していた。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、通信素子を備える記録担体を所定の搬送路に沿って搬送する手段を備え、前記通信素子と通信を行う通信手段を搬送路の複数箇所に設ける構成とすることにより、搬送路の中途にて記録担体が詰まった場合であっても、その通信素子に記憶されている情報を無効化し、情報の漏洩を防止することができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像記録装置は、通信素子を備えた記録担体を取込み、外部から受付けた画像データに基づく画像を、取込んだ記録担体上に記録する画像記録装置において、所定の搬送路に沿って前記記録担体を搬送する手段を備え、前記記録担体が備える通信素子と通信を行う通信手段を前記搬送路の複数箇所に設けてあることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、通信素子を備える記録担体を所定の搬送路に沿って搬送する手段を備え、前記通信素子と通信を行う通信手段を搬送路の複数箇所に設けているため、搬送路の中途にて記録担体が詰まった場合であっても、通信手段による記録担体上の通信素子との通信状態を調べることにより、詰まった記録担体の場所が特定される。
【0008】
本発明に係る画像記録装置は、情報の送受信を行う通信素子、及び受信した情報の書込みと送信すべき情報の読出しとが行われるメモリを備えた記録担体を取込み、外部から受付けた画像データに基づく画像を、取込んだ記録担体上に記録する画像記録装置において、所定の搬送路に沿って前記記録担体を搬送する手段を備え、前記記録担体が備える通信素子と情報の送受信を行う通信手段を前記搬送路の複数箇所に設けてあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、通信素子及びメモリを備えた記録担体を所定の搬送路に沿って搬送する手段を備え、前記通信素子と通信を行う通信手段を搬送路の複数箇所に設けているため、搬送路の中途にて記録担体が詰まった場合であっても、通信手段による記録担体上の通信素子との通信状態を調べることにより、詰まった記録担体の場所が特定される。
【0010】
本発明に係る画像記録装置は、前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、通信手段と記録担体上の通信素子との通信状態より記録担体の詰りが検出される。特に、搬送路の複数箇所に設けた通信手段が搬送路の中途にて停滞している記録担体上の通信素子と通信可能であるか否かを調べることにより、詰まっている記録担体の場所が特定される。
【0012】
本発明に係る画像記録装置は、前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段と、該手段が前記記録担体の詰りを検出した場合、該記録担体が備えるメモリに書込まれている情報を無効化する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、記録担体の詰りを検出した場合、メモリに書込まれている情報を無効化するため、情報の漏洩が防止される。
【0014】
本発明に係る画像記録装置は、前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段と、該手段が前記記録担体の詰りを検出した場合、利用者の認証を行う手段と、該手段により利用者が認証された場合、前記記録担体が備えるメモリに書込まれている情報の送信を要求する手段と、該手段による要求に応じて前記記録担体から送信される情報を受信する手段と、受信した情報を報知する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、記録担体の詰りを検出した場合、利用者認証を行った上でメモリに書き込まれている情報を報知するようにしているため、情報の漏洩が防止される。
【0016】
本発明に係る画像記録装置は、前記搬送路を覆う開閉可能な開閉部と、前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段と、該手段が前記記録媒体の詰りを検出した場合、利用者の認証を行う手段と、該手段により利用者が認証された場合、前記開閉部の開閉を許可する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、記録担体の詰りを検出した場合、利用者認証を行った開閉部の開閉を許可するため、第三者が装置内部にアクセスすることを防止することができ、情報の漏洩が防止される。
【0018】
本発明に係る画像記録装置は、前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の前記搬送路における搬送位置を検出する手段を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、通信手段と記録担体上の通信素子との通信状態に基づいて記録担体の搬送位置を検出するようにしているため、記録担体が詰まった場合、その場所が特定される。
【0020】
本発明に係る画像記録装置は、検出された搬送位置を報知する手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、通信手段と記録担体上の通信素子との通信状態に基づいて記録担体の搬送位置を検出し、検出した搬送位置を報知するようにしているため、記録担体が詰まった場合、その場所を特定して利用者に知らしめることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による場合は、通信素子を備える記録担体を所定の搬送路に沿って搬送する手段を備え、前記通信素子と通信を行う通信手段を搬送路の複数箇所に設けている。したがって、搬送路の中途にて記録担体が詰まった場合であっても、通信手段による記録担体上の通信素子との通信状態を調べることにより、詰まった記録担体の場所を特定することができる。
【0023】
本発明による場合は、通信素子及びメモリを備えた記録担体を所定の搬送路に沿って搬送する手段を備え、前記通信素子と通信を行う通信手段を搬送路の複数箇所に設けている。したがって、搬送路の中途にて記録担体が詰まった場合であっても、通信手段による記録担体上の通信素子との通信状態を調べることにより、詰まった記録担体の場所を特定することができる。
【0024】
本発明による場合は、通信手段と記録担体上の通信素子との通信状態より記録担体の詰りを検出することができる。特に、搬送路の複数箇所に設けた通信手段が搬送路の中途にて停滞している記録担体上の通信素子と通信可能であるか否かを調べることにより、詰まっている記録担体の場所を特定することができる。
【0025】
本発明による場合は、記録担体の詰りを検出した場合、メモリに書込まれている情報を無効化するため、その記録担体が第三者によって持出された場合であっても、情報の抽出を困難にすることができ、セキュリティの向上を図ることができる。
【0026】
本発明による場合は、記録担体の詰りを検出した場合、利用者認証を行った上でメモリに書込まれている情報を報知するようにしている。したがって、メモリに書込まれている情報を第三者が閲覧することが防止され、セキュリティの向上を図ることができる。
【0027】
本発明による場合は、記録担体の詰りを検出した場合、利用者認証を行った開閉部の開閉を許可するため、第三者が装置内部にアクセスすることを防止することができ、情報の漏洩を防止することができる。
【0028】
本発明による場合は、通信手段と記録担体上の通信素子との通信状態に基づいて記録担体の搬送位置を検出するようにしているため、記録担体が詰まった場合、その場所を特定することができる。
【0029】
本発明による場合は、通信手段と記録担体上の通信素子との通信状態に基づいて記録担体の搬送位置を検出し、検出した搬送位置を報知するようにしているため、記録担体が詰まった場合、その場所を特定して利用者に知らしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係る画像記録装置の全体構成を示す構成図である。本実施の形態に係る画像記録装置は、モノクロコピー機能、カラーコピー機能、モノクロプリント機能、カラープリンタ機能、ファクシミリ機能などを有するデジタル複合機であり、スキャナユニット1、モノクロプリンタユニット3、カラープリンタユニット5、後処理ユニット7を備えている。
【0031】
また、本実施の形態に係る画像記録装置は、ICタグ(通信素子)を備えた用紙上に画像を記録するようにしている。また、画像記録装置は、このICタグと通信を行うRF−IDリーダ/ライタRWを用紙搬送路の複数箇所に設置しており、ICタグに対して適宜の情報を書き込めるようにしていると共に、ICタグに書き込まれている情報を読出せるようにしている。これらのRF−IDリーダ/ライタRW,…,RWはジャムが発生し易い搬送ローラの近傍に設置されており、用紙の搬送中にジャムが発生した場合、RF−IDリーダ/ライタRWとICタグとの通信状況に基づいてジャムが発生した位置を特定できるようにしている。
【0032】
図2はスキャナユニット1及びモノクロプリンタユニット3の構成を示す断面図である。スキャナユニット1は、光源ユニット11、ミラーユニット12、及びCCD読取ユニット13を備えており、ガラス製の原稿台14に載置された原稿から画像を光学的に読取る機能を有する。光源ユニット11は、光源と、この光源が照射する読取用の照射光を原稿台14の所定の読取り位置に集光する凹面のリフレクタと、原稿からの反射光のみを通過させるスリットと、スリットを通過した光の光路を90度変換するために原稿台14の面に対して反射面を45度にして配置されたミラー等により構成されている。また、光源ユニット11を原稿台14の下面に沿って移動させるためのステッピングモータ(不図示)を備えており、光源ユニット11を前記ステッピングモータにより移動させながら原稿台14に載置された原稿の画像を読取るように構成されている。
【0033】
ミラーユニット12は、光源ユニット11を経由した反射光をCCD読取ユニット13へ折り返すために、反射面が相互に直交するように配置された一対のミラーを備えている。CCD読取ユニット13は、スキャナユニット1の所定位置に固定されており、ミラーユニット12を経由した反射光を結像レンズによって光電変換素子上に結像させて、光信号を電気信号に変換させる。ここで、電気信号に変換されたアナログの画像信号はAD変換器によりデジタル変換される。デジタル変換して得られた画像データは、モノクロプリンタユニット3又はカラープリンタユニット5へ転送される。
【0034】
モノクロプリンタユニット3は、用紙(記録担体)上にモノクロ(黒)の画像を記録するプロセス部30と、このプロセス部30に対して用紙を供給する用紙供給部40とを備えている。プロセス部30は、その表面に画像が形成される感光体ドラム31、感光体ドラム31を帯電させる帯電器32、帯電された感光体ドラム31上に潜像を書込む露光装置33、感光体ドラム31上の潜像を現像する現像装置34、現像されたトナー像を用紙上に転写するための転写装置35、トナー像が転写された用紙に対して熱及び圧力を加えることによりトナー像を用紙上に定着させる定着装置36等を備えており、用紙供給部40から搬送される用紙上に画像の記録を行う。
【0035】
また、モノクロプリンタユニット3の下方には、プロセス部30に対して用紙を供給する用紙供給部40が設置されており、複数種の用紙を収容するために複数の給紙カセット41,42,43,44を備えている。給紙カセット41,42は、例えば、A4サイズの用紙を大量に収容することができる大容量給紙カセットであり、給紙カセット43,44は、各種のサイズの用紙を収容できる多目的給紙カセットである。給紙カセット41〜44に収容されている用紙は、用紙搬送路近傍に設けられたピックアップローラによって一枚ずつ分離給送される。また、プリンタユニット3の側面には手差給紙カセット45が設置されており、給紙カセット41〜44に収容されていない種類の用紙を取込めるようにしている。
【0036】
用紙カセット41,43,44から供給される用紙は、用紙搬送路S1及びS3に沿って設けられた複数の搬送ローラによって用紙供給部40上方(下流側)のプロセス部30へ搬送される。用紙供給部40から供給される用紙は、プロセス部30のすぐ上流側に設けられたレジストローラ37によって一時的に保持される。プロセス部30では、感光体ドラム31上のトナー像を用紙の適宜箇所に転写するために用紙の搬送を再開させるタイミングを調整する。プロセス部30を搬送される用紙には、感光体ドラム31と転写装置35とによって形成される転写ニップを通過する際に感光体ドラム31上のトナー像が転写され、定着装置36を通過する際に転写されたトナー像が定着されて画像の記録が完成する。
【0037】
用紙の両面に画像の記録を行わない場合、プロセス部30にて画像が記録された用紙は、プロセス部30上方(下流側)の用紙搬送路S4に沿って搬送され、排紙ローラ38を通じて排紙トレイ39へ排出される。また、用紙の両面に画像の記録を行う場合には、プロセス部30で画像が記録された用紙を排紙ローラ38によって一旦保持し、排紙ローラ38を逆転駆動することにより保持した用紙を用紙搬送路S5及びS6へ導き、プロセス部30を再度通過させて用紙の裏面側に画像の記録を行う。用紙の両面に画像が記録された用紙は用紙搬送路S4に沿って搬送され、排紙ローラ38を通じて排紙トレイ39へ排出される。なお、片面又は両面に画像が記録された用紙に対して後処理を施す必要がある場合には、用紙搬送路S5を通じてカラープリンタユニット5へ導き、カラープリンタユニット5経由で用紙を後処理ユニット7へ搬送させる。
【0038】
図3はカラープリンタユニット5の構成を示す断面図である。カラープリンタユニット5は、用紙(記録担体)上にカラーの画像を記録するプロセス部50と、このプロセス部50に対して用紙を供給する用紙供給部60とを備えている。プロセス部50は、中間転写ベルト51とシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色に対応したトナー像が生成される感光体ドラム52C,52M,52Y,52Kとを備えている。各色に対応した感光体ドラム52C,52M,52Y,52Kの周囲には、図に示していない帯電器、露光装置、現像装置などがそれぞれ配置されており、帯電器によって帯電させた感光体ドラム52C,52M,52Y,52K上に露光装置が静電潜像を書込み、現像装置によって静電潜像を現像することにより各色のトナー像が生成される。
【0039】
中間転写ベルト51は、厚さ75μm〜120μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、その内側にて駆動ローラ51a及び従動ローラ51bにより張架されている。駆動ローラ51aは図に示していないモータの駆動力によって回転駆動し、中間転写ベルト51を回転させるように構成されている。中間転写ベルト51を挟んで感光体ドラム52C,52M,52Y,52Kの各対向位置には中間転写ローラ53C,53M,53Y,53Kが設けられている。中間転写ローラ53C,53M,53Y,53Kには、トナー像を転写するための高電圧の転写バイアス、すなわち、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加される。感光体ドラム52C,52M,52Y,52K上に生成されたトナー像は、これらの中間転写ローラ53C,53M,53Y,53Kの作用により中間転写ベルト51上に互いに重なり合うように順次的に転写され、多色トナー像が中間転写ベルト51上に形成される。
【0040】
中間転写ベルト51の下側には転写装置54が設けられている。転写装置54は、中間転写ベルト51を挟んで設置される第1の転写ローラ54a及び第2の転写ローラ54b、並びに第2の転写ローラ54bの対向位置であって用紙搬送路S13を挟んで設置される第3の転写ローラ54cを備えている。中間転写ベルト51上に形成された多色トナー像は、第1の転写ローラ54aの作用によって第2の転写ローラ54bへ転写される。また、第2の転写ローラ54bに転写された多色トナー像は、第3の転写ローラ54cの作用によって用紙搬送路S13に沿って搬送される用紙上に転写される。
【0041】
用紙供給部60は、複数種の用紙を収容するために複数の給紙カセット61,62,63,64を備えている。給紙カセット61,62は、例えば、A4サイズの用紙を大量に収容することができる大容量給紙カセットであり、給紙カセット63,64は、各種のサイズの用紙を収容できる多目的給紙カセットである。給紙カセット61〜64に収容されている用紙は、用紙搬送路近傍に設けられたピックアップローラによって一枚ずつ分離給送される。
【0042】
用紙カセット61から供給される用紙は、用紙搬送路S11,S13に沿って設けられた複数の搬送ローラにより用紙供給部60上方のプロセス部50へ搬送される。また、用紙カセット62,63,64から供給される用紙は、用紙搬送路S12,S13に沿って設けられた複数の搬送ローラにより用紙供給部60上方のプロセス部50へ搬送される。用紙供給部60から供給される用紙は、転写ローラ54b,54cの上流側に設けられたレジストローラ55によって一時的に保持される。プロセス部50では、転写ローラ54bの表面に転写される多色トナー像を用紙の適宜箇所に記録するために用紙の搬送を再開させるタイミングを調整する。用紙搬送路S13を搬送される用紙には、2つの転写ローラ54b,54cによって形成される転写ニップを通過する際に転写ローラ54b上の多色トナー像が転写され、図に示していない定着装置を通過する際に転写された多色トナー像が用紙上に定着されてカラー画像の記録が完成する。
【0043】
用紙の両面にカラー画像の記録を行わない場合、プロセス部50にてカラー画像が記録された用紙は用紙搬送路S14に沿って搬送され、後処理ユニット7の排紙トレイ74(図4参照)上に排出される。また、用紙の両面にカラー画像の記録を行う場合には、プロセス部50でカラー画像が記録された用紙を用紙搬送路S15へ導き、スイッチバックさせて用紙搬送路S16へ導き、プロセス部50を再度通過させて用紙の裏面側に画像の記録を行う。用紙の両面にカラー画像が記録された用紙は用紙搬送路S14に沿って搬送され、後処理ユニット7の排紙トレイ74上に排出される。なお、片面又は両面に画像が記録された用紙に対して後処理を施す場合にも用紙搬送路S14を通じて後処理ユニット7へ用紙を導く。
【0044】
また、カラープリンタユニット5は、モノクロプリンタユニット3から導かれる用紙を後処理ユニット7へ搬送するために、プロセス部50の上方に設けられた用紙搬送路S17を備えている。用紙搬送路S17に沿って複数の搬送ローラが設けられており、これらの搬送ローラを回転駆動させることによって適宜の速度で用紙を搬送させる。用紙搬送ローラS17は、その下流側で前述した用紙搬送路S14に合流する。
【0045】
図4は後処理ユニット7の構成を示す断面図である。後処理ユニット7としては、穿孔装置71とステープル装置72とを備えている。穿孔装置71は、用紙搬送路S21の上側に配設した穿孔ユニット710と下側に配設した台座ユニット712とを備えている。穿孔ユニット710の内部には、用紙に穿孔を施すための穿孔刃711設けられており、この穿孔刃711をモータなどの駆動源により鉛直方向に往復運動させることで用紙上の適宜箇所に穿孔を施すように構成されている。台座ユニット712には、穿孔刃711が下降したときに挿通されるパンチ孔713が設けられている。なお、穿孔刃711及びパンチ孔713は用紙搬送方向と交叉する方向に適宜の間隔を隔てて複数設けられている。また、穿孔刃711を鉛直方向に往復運動させる駆動源は穿孔処理を施すことが設定されている場合にのみ作動するように構成されている。
【0046】
ステープル装置72は、用紙搬送路S22により搬送されてくる複数の用紙を積層するスタッカ721とスタッカ721に積層された複数の用紙に対して綴じ処理を施す綴じ処理ユニット722とを備えている。ステープル装置72は、綴じ処理ユニット722を作動させることにより、スタッカ721に積層された用紙に対して綴じ処理を行い、複数の用紙を綴じた用紙束を排紙トレイ73上に排出する。また、ステープル装置72にて綴じ処理を行わない場合、後処理ユニット7に導かれた用紙は、用紙搬送路S23に沿って搬送され、排紙トレイ74上に排出される。
【0047】
図5は本実施の形態に係る画像記録装置で使用される用紙の構成を説明する模式図である。図5(a)正面図、図5(b)は断面図を示している。この画像記録装置で使用される用紙200は、台紙201と台紙201上に貼られたラベルシート202とからなり、この台紙201とラベルシート202との間に通信素子として機能するICタグ210が間挿されている。
【0048】
図6はICタグ210の模式的構成図である。ICタグ210は、絶縁基板211、絶縁基板211上に導体パターン印刷によって形成されたアンテナ回路213、このアンテナ回路213に接続されたICチップ212を備えている。ICタグ210には、前述したRF−IDリーダ/ライタRWから発信される信号によってアンテナ回路213に電力が供給される。アンテナ回路213を通じて電力の供給を受けたICチップ212は、内蔵のメモリ212aに予め格納してある識別番号のデータに基づいて応答信号を生成し、生成した応答信号をアンテナ回路213を通じて外部へ発信させる。また、RF−IDリーダ/ライタRWから送信されるデータの書込要求を受信した場合、ICチップ212は受信したデータを内蔵のメモリ212aに書込み、RF−IDリーダ/ライタRWから送信されるデータの読出要求を受信した場合、ICチップ212は内蔵のメモリ212aから所望のデータを読出し、そのデータに基づいて発信信号を生成し、アンテナ回路213から生成した発信信号を発信する。
【0049】
図7はRF−IDリーダ/ライタRWによるジャムの検出状況を説明する説明図である。前述したように、RF−IDリーダ/ライタRWはジャムが発生し易い搬送ローラの近傍に設置されている。図7に示した如く、用紙搬送方向の下流側及び上流側に2つのRF−IDリーダ/ライタRW,RWが設置されている状況下で、上流側でジャムが発生したときに上流側のRF−IDリーダ/ライタRWとは通信可能であるが、下流側のRF−IDリーダ/ライタRWとは通信可能でない場合、ジャムの発生箇所は上流側のRF−IDリーダ/ライタRWの近傍であると特定することができる。
【0050】
このようにしてジャムの発生箇所を特定した場合、利用者に対してジャムの発生箇所を報知し、利用者認証を行った上で装置の開放を許可し、ジャムを発生させた用紙200を除去できるようにしている。また、利用者が認証された場合、ICタグ210に記憶されているデータを上流側のRF−IDリーダ/ライタRWで読出し、画像記録装置の操作パネル105(図8参照)に表示することができるようにしている。一方、利用者が認証されない場合、ICタグ210に内蔵されているメモリ212aにゼロ又はランダム値を書き込むことによって、ICタグ210に記憶されているデータを無効化する。
【0051】
図8は画像記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。画像記録装置はCPU101を備えており、このCPU101がROM103に予め格納された制御プログラムをRAM104上にロードして実行することにより、バス102に接続されたハードウェアを制御し、全体として本発明に係る画像記録装置として動作させる。
【0052】
以下、バス102に接続されている各種ハードウェアの構成について説明する。
操作パネル105は、利用者による操作を受付ける操作部105aと、利用者に対して報知すべき情報を報知する表示部105bとにより構成されている。操作部105aは、機能の切替操作、プリント処理における出力枚数、コピー処理における変倍、ファクシミリ送信処理における送信先などの設定を受付けるための各種操作キー、数値キー等を備えている。表示部105bは液晶ディスプレイ装置を備えており、装置全体の動作状況、操作部105aから入力された設定値等を表示する。また、表示部105bの一部は利用者の押下操作により設定の選択を受付けるようにしたタッチパネル方式のソフトウェアキーを備えている。
【0053】
スキャナユニット1は、前述したように光源ユニット11、ミラーユニット12、及びCCD読取ユニット13を備えている。原稿台14にセットされた原稿の画像をCCD読取ユニット13の光電変換素子に結像させることにアナログ形式の画像信号を取得し、デジタル変換後の信号に対して原稿読取時の光源の配光特性、光電変換素子の感度ムラの補正等を施すことによりデジタル形式の画像データを生成する。
【0054】
通信IF106は、ローカルエリアネットワーク等の所定の通信規格に準拠したインタフェースを備えており、外部コンピュータを接続できるようにしている。通信IF106では、接続された外部コンピュータからのプリントジョブを受信し、逆に、通知すべき情報を送信する。通信IF106ではこのような各種データの送受信の制御を行う。
【0055】
ファクシミリモデム107は、外部ファクシミリ装置を接続するための回線終端回路を備えており、公衆電話回線網を介してファクシミリデータの送受信を行うことができるようにしている。そのため、ファクシミリモデム107は、受信したファクシミリデータを復号するための復号回路、送信すべきファクシミリデータを符号化するための符号化回路を備えている。ファクシミリモデム107は、このようなファクシミリデータの送受信、並びに符号化処理及び復号処理を実行する。
【0056】
画像メモリ108は半導体メモリにより構成されており、原稿の画像を読取ることによりスキャナユニット1が生成した画像データ、通信IF106にて受信したプリントジョブを展開することにより得られる画像データ、及びファクシミリモデム107にて受信したファクシミリデータから展開される画像データを一時的に記憶する。画像メモリ108に一時的に記憶された画像データは、CPU101の指示によりその利用目的に応じた転送先に転送される。
【0057】
モノクロ画像の記録を行うプロセス部30は、前述したように感光体ドラム31、帯電器32、露光装置33、現像装置34、転写装置35、定着装置36を備えており、画像メモリ108から転送される画像データに基づく画像を用紙供給部40から供給される用紙上に記録する。また、カラー画像の記録を行うプロセス部50は、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色に対応したトナー像が生成される感光体ドラム52C,52M,52Y,52Kを備えており、画像メモリ108から転送される画像データに基づく画像を用紙供給部60から供給される用紙上に記録する。なお、画像メモリ108に一時的に格納された画像データをモノクロ画像の記録を行うプロセス部30へ転送するか、又はカラー画像の記録を行うプロセス部50へ転送するかについては、スキャナユニット1で取得する画像データの種類、受信したプリントジョブにより指定される事項等に基づいて決定される。
【0058】
駆動制御部110には、給紙モータ111及び搬送モータ112が接続されている。給紙モータ111は、各給紙カセット41〜44,61〜64に収容されている用紙を1枚ずつ分離給送するピックアップローラの駆動源であり、搬送モータ112は、用紙搬送路S1〜S6,S11〜S17,S21〜S23に沿って配設されている搬送ローラの駆動源である。駆動制御部110は、CPU101からの指示に従って駆動制御信号を生成し、生成した駆動制御信号を給紙モータ111又は搬送モータ112へ出力することにより、ピックアップローラ又は搬送ローラを回転させるように構成されている。
【0059】
RF−IDリーダ/ライタRW,…,RWは、ICタグ210と通信を行うためのインタフェースであり、CPU101からの指示に応じて発信信号を生成し、アンテナANTを通じて生成した発信信号をICタグ210へ送信する。
【0060】
また、画像記録装置は、装置内部へのアクセスを制限するために施錠装置122,124付きの開閉扉121,123を備えている。画像記録装置の電源が投入された場合、施錠装置122,124はそれぞれ開閉扉121,123を電子的に施錠し、CPU101によって装置の開放が許可された場合に解錠するように構成されている。CPU101は、用紙の搬送中にジャムが発生した場合、利用者認証を行い、利用者が認証されたときに装置の開放を許可するようにしている。
【0061】
以下、画像記録時の動作について説明する。図9及び図10は画像記録時に画像記録装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。画像記録装置のCPU101は、スキャナユニット1にてコピーすべき原稿の画像を読取ったか、通信IF106にてプリントジョブを受信したか、又はファクシミリモデム107にてファクシミリデータを受信したかを判断することにより、出力指示があるか否かを判断する(ステップS11)。出力指示がない場合(S11:NO)、出力指示があるまで待機する。
【0062】
出力指示があると判断した場合(S11:YES)、CPU101は、駆動制御部110を制御して給紙モータ111を回転駆動させることにより、予め設定されている給紙カセット又は利用者によって指定された給紙カセット(例えば、給紙カセット41)から用紙200の給送を開始する(ステップS12)。そして、給紙カセットの近傍に設置されているRF−IDリーダ/ライタRWにより、搬送されてきた用紙200が備えるICタグ210に情報の書込みを行う(ステップS13)。ここで、ICタグ210に書込まれる情報は、用紙200上に記録する画像に関する情報、利用者に関する情報等である。
【0063】
次いで、CPU101は、モノクロ画像を記録するプロセス部30又はカラー画像を記録するプロセス部50へ用紙200を搬送する際にジャムが発生したか否かを判断する(ステップS14)。ジャムが発生していないと判断した場合(S14:NO)、CPU101は、画像の記録が完了したか否かを判断する(ステップS15)。画像の記録が完了していない場合(S15:NO)、CPU101は、処理をステップS14へ戻す。
【0064】
画像の記録が完了したと判断した場合(S15:YES)、画像を記録した用紙200を排出するまでの間にジャムが発生したか否かを判断する(ステップS16)。ジャムが発生しない場合(S16:NO)、予め設定されている排出先又は利用者によって指定された排出先(例えば、排紙トレイ39)に画像を記録した用紙200を排出する(ステップS17)。
【0065】
ステップS14又はステップS16でジャムが発生したと判断した場合(S14,S16:YES)、ジャムを起こした用紙200が備えるICタグ210から情報の読込みを行う(ステップS18)。ここで、CPU101は、RF−IDリーダ/ライタRWを制御することにより、情報の送信要求をアンテナANTから発信させる。次いで、CPU101は、情報の送信要求に対してICタグ210から応答があるか否かを判断する(ステップS19)。応答がないと判断した場合(S19:NO)、CPU101は、処理をステップS18へ戻す。
【0066】
応答があると判断した場合(S19:YES)、CPU101は、応答を受信したRF−IDリーダ/ライタRWの設置場所を特定することにより、ジャムが発生した位置を特定する(ステップS20)。そして、CPU101は、ジャムが発生した位置の情報を操作パネル105の表示部105bに表示する(ステップS21)。図11はジャムの発生位置を報知する際に表示する画面の一例を示す模式図である。この画面では、ジャムの発生位置を逆三角の図形により模式的に示しており、表示した図形を点滅表示することによって利用者に知らしめる構成としている。
【0067】
次いで、CPU101は、利用者認証を実行し(ステップS22)、利用者を認証できるか否か判断する(ステップS23)。利用者を認証できないと判断した場合(S23:NO)、CPU101は、ICタグ210の内容を無効化する(ステップS24)。具体的には、RF−IDリーダ/ライタRWを通じてICタグ210に特定のデータ又はランダムデータを書込むことを行う。そして、CPU101は装置の開放を禁止する(ステップS25)。
【0068】
ステップS23で利用者を認証できると判断した場合(S23:YES)、ICタグ210の内容を確認することが要求されているか否かを判断する(ステップS26)。ICタグ210の内容を確認することが要求されている場合(S26:YES)、ICタグ210の内容を操作パネル105の表示部105bに表示する(ステップS27)。ステップS27でICタグ210の内容を表示した場合、又はステップS26でICタグ210の内容を確認する必要がないと判断した場合(S26:NO)、CPU101は、ICタグ210の内容を無効化する(ステップS28)。
【0069】
その後、CPU101は装置の開放を許可する(ステップS29)。認証された利用者は開閉扉121,123を開くことにより装置内部にアクセスすることができ、ジャムを発生させた用紙200を除去することができる。CPU101は、ジャムを発生させた用紙200が除去されたか否かを、RF−IDリーダ/ライタRWを介してICタグ210と通信を行うことにより判断し(ステップS30)、用紙200が除去されない場合(S30:NO)、除去されるまで待機する。また、ジャムを発生させた用紙200が除去され(S30:YES)、開閉扉121,123が閉じられた場合、CPU101は、処理をステップS12へ戻し、用紙200の供給を再開させて画像の記録を再度実行する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施の形態に係る画像記録装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】スキャナユニット及びモノクロプリンタユニットの構成を示す断面図である。
【図3】カラープリンタユニットの構成を示す断面図である。
【図4】後処理ユニットの構成を示す断面図である。
【図5】本実施の形態に係る画像記録装置で使用される用紙の構成を説明する模式図である。
【図6】ICタグの模式的構成図である。
【図7】RF−IDリーダ/ライタによるジャムの検出状況を説明する説明図である。
【図8】画像記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】画像記録時に画像記録装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【図10】画像記録時に画像記録装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【図11】ジャムの発生位置を報知する際に表示する画面の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0071】
30 プロセス部
50 プロセス部
101 CPU
102 バス
103 ROM
104 RAM
105 操作パネル
106 通信IF
107 ファクシミリモデム
108 画像メモリ
110 駆動制御部
111 給紙モータ
112 搬送モータ
200 用紙
210 ICタグ
RW RF−IDリーダ/ライタ
ANT アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信素子を備えた記録担体を取込み、外部から受付けた画像データに基づく画像を、取込んだ記録担体上に記録する画像記録装置において、
所定の搬送路に沿って前記記録担体を搬送する手段を備え、前記記録担体が備える通信素子と通信を行う通信手段を前記搬送路の複数箇所に設けてあることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
情報の送受信を行う通信素子、及び受信した情報の書込みと送信すべき情報の読出しとが行われるメモリを備えた記録担体を取込み、外部から受付けた画像データに基づく画像を、取込んだ記録担体上に記録する画像記録装置において、
所定の搬送路に沿って前記記録担体を搬送する手段を備え、前記記録担体が備える通信素子と情報の送受信を行う通信手段を前記搬送路の複数箇所に設けてあることを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段と、該手段が前記記録担体の詰りを検出した場合、該記録担体が備えるメモリに書込まれている情報を無効化する手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段と、該手段が前記記録担体の詰りを検出した場合、利用者の認証を行う手段と、該手段により利用者が認証された場合、前記記録担体が備えるメモリに書込まれている情報の送信を要求する手段と、該手段による要求に応じて前記記録担体から送信される情報を受信する手段と、受信した情報を報知する手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記搬送路を覆う開閉可能な開閉部と、前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の詰りを検出する手段と、該手段が前記記録媒体の詰りを検出した場合、利用者の認証を行う手段と、該手段により利用者が認証された場合、前記開閉部の開閉を許可する手段とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記通信手段と前記通信素子との通信状態に基づいて前記記録担体の前記搬送路における搬送位置を検出する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の画像記録装置。
【請求項8】
検出された搬送位置を報知する手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−283638(P2007−283638A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113572(P2006−113572)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】