説明

画像記録装置

【課題】 出力バッファの記憶容量を越えて画像が欠けたり複数頁に分割されて記録されてしまうことなく、拡大または縮小した画像を被記録媒体により大きく収めて記録することが可能な画像記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 多機能装置(画像記録装置)1は、プリンタ機能,スキャナ機能,コピー機能,ファクシミリ機能及びメール受信機能など種々の機能を実現する。ここで、メール受信機能は、定期的にメールチェックを行い、電子メールを受信すると、それをプリンタ部によって記録用紙に印刷する機能であり、電子メール版ファクシミリ機能とも呼ぶべき機能である。ここで、受信した電子メールに添付画像が含まれている場合には、添付画像(入力画像データ)IMを記録用紙Pの記録可能領域RPに効率良く収めることができる倍率を求め、拡大または縮小した後に印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンタ機能やスキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を一体的に備えた装置が実用化されている。このように複数の機能を備えた装置は、一般に多機能装置(Multi Function Device)と呼ばれる。
【0003】
【特許文献1】特開平5−270055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリンタは、出力バッファに記憶されたページ単位の画像データをまとめて記録用紙に印刷するページプリンタ(レーザプリンタ)が主流となりつつある。しかしながら、このようなプリンタにおいて画像を拡大または縮小して記録用紙に記録する場合、拡大または縮小した画像データのデータ量が出力バッファの記憶容量を越えてしまうことがあり、画像が欠けたり複数頁に分割された状態で記録用紙に記録されてしまい、ユーザが画像全体を把握しづらくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、拡大または縮小した画像を欠けたり複数頁に分割された状態とすることなく被記録媒体に収めて記録することが可能な画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の画像記録装置は、入力された入力画像データから画像記録のための出力画像データを生成する画像生成手段と、1頁分に対応する出力画像データを一時的に記憶する出力バッファと、出力バッファに記憶されている出力画像データに基づいて被記録媒体に画像記録する画像記録手段と、を備える画像記録装置であって、画像生成手段は、入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した出力画像データのデータ量が、出力バッファの記憶容量を越えない範囲となる倍率をバッファ基準倍率として求めるバッファ基準倍率演算部と、設定された倍率に拡大または縮小された出力画像データを得る画像拡縮部と、を有することを特徴とする。
【0007】
これによると、入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した出力画像データのデータ量が出力バッファの記憶容量を越えない範囲となるバッファ基準倍率を求め、それを設定倍率として拡大または縮小された出力画像データを得ることにより、出力画像データのデータ量が出力バッファの記憶容量を越えてしまって画像が欠けたり複数頁に分割されて被記録媒体に記録されてしまう事態を避けつつも、被記録媒体に画像をより大きく収めて記録することができるため、出力バッファを効率良く利用した画像の拡大または縮小が可能となる。なお、本発明における画像データの拡大または縮小とは、アスペクト比を保った状態の拡大または縮小をいう。
【0008】
次に、請求項2の画像記録装置は、画像生成手段が、入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した出力画像データのサイズが、被記録媒体において画像記録が可能な記録可能領域の第1方向の幅を越えない範囲となる倍率を第1方向倍率として求める第1方向倍率演算部と、同じく、第1方向と直交する第2方向の幅を越えない範囲となる倍率を第2方向倍率として求める第2方向倍率演算部と、バッファ基準倍率と第1方向倍率と第2方向倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定する倍率比較部と、を有するように構成することができる。
【0009】
これによると、上記のバッファ基準倍率と、記録可能領域の第1方向の幅を越えない第1方向倍率と、同じく第2方向の幅を越えない第2方向倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定することにより、出力バッファの記憶容量を越えず、且つ、記録可能領域に画像をより大きく収められるような倍率が適宜設定され、かかる倍率に拡大または縮小された出力画像データが被記録媒体に記録されることになる。
【0010】
次に、請求項4の画像記録装置は、画像生成手段が、バッファ基準倍率と所定倍率との小さい方を適用する倍率として設定する倍率比較部を有するように構成することができる。これによると、所定倍率に、例えばこれ以上画像を拡大するとユーザにとって良好な印字結果あるいは快適な処理速度を得られなくなる境界となる倍率等を適宜設定することにより、必要以上に拡大された出力画像データが記録されてしまうことを避けることができる。
【0011】
なお、以上の構成を組み合わせ、倍率比較部において、バッファ基準倍率と第1方向倍率と第2方向倍率と所定倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定するように構成することもできる。
すなわち、請求項5の画像記録装置は、入力された入力画像データから画像記録のための出力画像データを生成する画像生成手段と、1頁分に対応する出力画像データを一時的に記憶する出力バッファと、出力バッファに記憶されている出力画像データに基づいて被記録媒体に画像記録する画像記録手段と、を備える画像記録装置であって、画像生成手段は、入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した出力画像データのデータ量が、出力バッファの記憶容量を越えない範囲となる倍率をバッファ基準倍率として求めるバッファ基準倍率演算部と、入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した出力画像データのサイズが、被記録媒体において画像記録が可能な記録可能領域の第1方向の幅を越えない範囲となる倍率を第1方向倍率として求める第1方向倍率演算部と、同じく、第1方向と直交する第2方向の幅を越えない範囲となる倍率を第2方向倍率として求める第2方向倍率演算部と、バッファ基準倍率と第1方向倍率と第2方向倍率と所定倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定する倍率比較部と、設定された倍率に拡大または縮小された出力画像データを得る画像拡縮部と、を有することを特徴とする。
【0012】
次に、請求項7の画像形成装置では、通信網を通じて画像データを受信する通信手段と、受信した画像データを記憶する記憶手段とを備え、画像生成手段は、当該記憶手段から画像データを入力画像データとして読み出し、出力画像データを生成するように構成することができる。これによると、後述するファクシミリ機能やメール受信機能といった、画像データを受信してそれを記録するような装置において、上述のように出力バッファを効率良く利用しつつ画像を被記録媒体により大きく収めて記録することができる。
【0013】
特に、請求項8の画像形成装置では、メールサーバから通信網を通じて電子メールを受信する通信手段と、受信した電子メールを記憶する記憶手段とを備え、画像生成手段は、当該記憶手段から電子メールに添付されている画像データを入力画像データとして読み出し、出力画像データを生成するように構成することができる。かかる構成によって、後述するメール受信機能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(1)多機能装置の構成
図1は、本発明の画像記録装置の実施形態としての多機能装置1の外観構成を示す斜視図である。多機能装置1は、上部にスキャナ部3、下部にプリンタ部(画像記録手段)2を一体的に備え、プリンタ機能,スキャナ機能,コピー機能,ファクシミリ機能及びメール受信機能を有するMFD(Multi Function Device)である。図2は、多機能装置1の電気的構成を表すブロック図である。多機能装置1の動作を制御する制御部100とともに、プリンタ機能を実現するプリンタ部2やスキャナ機能を実現するスキャナ部3等がASIC(Application Specific Integrated Circuit)106に接続されている。
【0015】
(1−1)プリンタ部
プリンタ部2の構成について説明する。図1に示すように、多機能装置1の正面側には開口4が形成されており、この開口4には、図示しない給紙トレイ及び排紙トレイが装着される。給紙トレイには、A4サイズやB5サイズ等のサイズの記録用紙(被記録媒体)が収容される。さらに、プリンタ部2の内部には、記録用紙の搬送路を構成する給紙ローラ,搬送ローラ,排紙ローラ等の搬送手段が設けられており、給紙トレイから繰り出された記録用紙は、搬送路により印刷位置へ案内され、印刷が行われた後、排紙トレイに排出される。
【0016】
プリンタ部2は、ページ単位をまとめて印刷するページプリンタであるレーザプリンタとして構成されている。図3に、詳細なブロック図を示す。プリンタ部2は、感光ドラムや各種ローラ(給紙ローラ,搬送ローラ,排紙ローラ等)を回転させるためのモータ201及びそれを駆動するモータ駆動回路20、ローラへのモータ201の駆動力の伝達を断続するためのソレノイド211及びそれを駆動するソレノイド駆動回路21、定着用のヒータ221及びそれを駆動するヒータ駆動回路22、感光ドラム露光用のスキャナ231及びそれを駆動するスキャナモータ駆動回路23を備えており、ASIC106はこれらに対して動作のための信号を出力している。また、プリンタ部2は、バイアス回路24を備えており、このバイアス回路24には、感光ドラムを一様に帯電させる帯電器241,感光ドラムの静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ242,そのトナー像を記録用紙に転写する転写ローラ243に、それぞれに応じたバイアス電圧を印加するものである。また、プリンタ部2は、記録用紙の有無を検出するための検出センサ等のセンサ25を備えている。以上の構成により、プリンタ部2は、出力バッファ103A(後述)に記憶されているページ単位の画像データ(出力画像データ)に基づき、感光ドラムのうち画像に該当する部分を帯電させた状態にしてトナーを付着させ、これを記録用紙に転写して熱定着することによって印刷を行う。
【0017】
(1−2)スキャナ部
スキャナ部3の構成について説明する。図1に示すように、スキャナ部3は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台5に対して、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder、以下「ADF」という)6を備えた原稿カバー7が開閉自在に取り付けられてなる。原稿載置台5の上面には、原稿を載置するためのプラテンガラス(図示せず)が配設されている。また、プラテンガラスは、ADF6を用いて画像読み取りを行う際の読取面をも構成している。原稿載置台5の内部には、コンタクトイメージセンサ(Contact Image Sensor)を有する画像読取ユニット(図示せず)が内蔵されており、これがプラテンガラスに沿って走査されることにより、FBSによる原稿の画像読み取りが行われる。
【0018】
(1−3)通信部
多機能装置1は、図2に示すように、パラレルケーブルを介してコンピュータとデータの送受信を行うためのパラレルインターフェース111,USBケーブルを介してコンピュータとデータの送受信を行うためのUSBインターフェース112を備える。また、LAN(Local Area Network)に接続されたコンピュータ等とデータの送受信を行うためのLANインターフェース113(通信手段)も備えており、これによって、LAN上またはその先のインターネット上にあるメールサーバとの通信が可能となり、後述するメール受信機能が実現している。さらに、多機能装置1は、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)114およびMODEM115を備える。
【0019】
(1−4)操作パネル
多機能装置1には、図1に示すように、原稿載置台5の正面側に操作パネル9が設けられている。操作パネル9は、各種操作キー10と液晶表示部11とを具備する。使用者は、操作パネル9を用いて、所望の指令を入力する。多機能装置1は、所定の入力を受けて所定の動作を行う。図2に示すように、操作キー10は、操作キー10の押下を検出して所定のコード信号を出力するパネルゲートアレイ121を介してASIC106に接続されており、液晶表示部11は、画面表示を制御するLCDコントローラ122を介してASIC106に接続されている。
【0020】
(1−5)制御部
制御部100の構成について説明する。図4に、詳細なブロック図を示す。制御部100は、プリンタ部2やスキャナ部3等の多機能装置1の動作を制御するものであり、図に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、フラッシュメモリ(Flash Memory)104を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス105を介してASIC106に接続されている。ROM102には、多機能装置1の各種動作を制御するための制御プログラム102Pが格納されている。RAM103には、CPU101が制御プログラム102Pを実行する際に作業領域としてのワークメモリ103Wが形成される。以上の構成により、制御部100は、印刷のための出力画像データを生成する本発明の画像生成手段として機能する。
【0021】
また、RAM103には、レーザプリンタとして構成されたプリンタ部2が印刷を行う際に、1頁分に対応する出力画像データを一時的に記憶する出力バッファ103Aが形成される。また、RAM103には、後述する電子メールの受信処理(図5のS13を参照)において、受信する電子メールを一時的に記憶するメール受信バッファ103B(記憶手段)も形成される。
【0022】
(2)多機能装置の動作
多機能装置1の動作について説明する。多機能装置1は、CPU101が制御プログラム102Pを実行することにより、プリンタ機能,スキャナ機能,コピー機能,ファクシミリ機能及びメール受信機能など種々の機能を実現する。中でも、メール受信機能は、図5〜図8のフローチャートに示すように、定期的にメールチェックを行い、電子メールを受信すると、それをプリンタ部2によって記録用紙に印刷する機能であり、電子メール版ファクシミリ機能とも呼ぶべき機能である。ここで、受信した電子メールに添付画像が含まれている場合には、図9及び図10に示すように、添付画像(入力画像データ)IMを記録用紙Pの記録可能領域RPに効率良く収めることができる倍率を求め、拡大または縮小して印刷を行う。以下、これらの処理の詳細な説明を行う。
【0023】
(2−1)主ルーチン
図5のフローチャートに示すように、CPU101は、メール受信機能として、LAN上またはその先のインターネット上にあるメールサーバ(POP3サーバ等)に対し、LANインターフェース113を通じて、定期的にメールチェックを行う(S11→S14)。メールサーバに電子メールがある場合には(S12:YES)、電子メールを受信する(S13)。この際、受信した電子メールは、RAM103上のメール受信バッファ103B(記憶手段)に一時的に格納され、次に説明する印刷ルーチンS2において読み出される。また、受信後の電子メールは、フラッシュメモリ104に格納される。
【0024】
(2−2)印刷ルーチン
印刷ルーチンS2では、図6のフローチャートに示すように、まず、電子メールに含まれるヘッダーや本文などのテキストを印刷する設定となっているか否かを判断する(S21)。かかる設定は、操作パネル9において予め行うことができる。そして、テキストを印刷する設定となっている場合(S21:YES)、電子メールに含まれるヘッダーや本文などのテキストを印刷する(S22)。一方、テキストを印刷しない設定となっている場合(S21:No)またはテキストを印刷した後(S22)には、電子メールに添付画像が含まれているか否かを判断し(S23)、電子メールに添付画像が含まれている場合は(S23:YES)、CPU101は、添付画像を入力画像データとして読み出し、印刷のための画像形式に変換(出力画像データを生成)しつつ、後述する倍率設定ルーチンS3AまたはS3Bによって設定した倍率に出力画像データを拡大または縮小して(S24:画像拡縮部としての機能)、これを出力バッファ103Aに格納してプリンタ部2により記録用紙に印刷する(S25)。ここで、印刷のための画像形式に変換は、例えば添付画像がJPEG画像である場合には、まず、圧縮を解いたRGBカラーモデルのビットマップ形式のデータに変換し、次に、そのデータを印刷に利用されるCMYKカラーモデルのビットマップ形式のデータに変換することによって行われる。
【0025】
(2−3)倍率設定ルーチン
倍率設定ルーチンの第1例S3Aについて説明する。これによると、図7のフローチャート及び図9,10の説明図に示すように、まず、記録用紙Pの記録可能領域RPの範囲(S×S inch)および記録解像度(R×R dpi)の設定値を取得する(S31)。これらの設定値は、例えばフラッシュメモリ104に記憶されている。これにより、記録可能領域RPのサイズ(ピクセルサイズ:S×S pixel)が求められる。次に、添付画像(入力画像データ)IMのサイズ(P×P pixel)を取得する。なお、Y方向は記録用紙Pの搬送方向(長方形の記録用紙Pの長手方向)に沿った方向であり、X方向はそれと直行する方向である。ここで、X方向は本発明の第1方向、Y方向は本発明の第2方向に当たる。
【0026】
次に、図9及び図10の上段に示すように、添付画像IM(P×P pixel)を拡大または縮小した場合に、記録用紙Pの記録可能領域RPのX方向の幅(S pixel)を越えない範囲となる倍率をX方向倍率として求める(S33:第1方向倍率演算部としての機能)。ここでは、拡大または縮小した添付画像IMのX方向の幅が記録可能領域RPのX方向の幅(S pixel)となる倍率、すなわちS/PをX方向倍率とする。また、図9及び図10の中段に示すように、Y方向倍率(S/P)も同様にして求める(S34:第2方向倍率演算部)。
【0027】
次に、図9及び図10の下段に示すように、添付画像IMのサイズ(P×P pixel)を拡大または縮小した場合の出力画像データのデータ量が、出力バッファ103Aの記憶容量を越えない範囲となる倍率をバッファ基準倍率として求める(S35:バッファ基準倍率演算部としての機能)。ここでは、拡大または縮小した添付画像IM(P×P pixel)が、出力バッファ103Aに収めることができるピクセル量(以下、これを「バッファ量」という。ピクセル換算値であって、出力バッファ103Aの記憶容量(byte)とは異なる。)となる倍率、すなわち√(バッファ量/(P×P))をバッファ基準倍率とする。詳細には、出力バッファ103AにCMKYカラーモデルのデータが収められる場合、出力バッファ103Aの記憶容量(byte)を原色の数である4で割った値が、画像データの1色分を記憶可能な容量となる。例えば1bit/pixelの場合、出力バッファ103Aの記憶容量(byte)を4(原色数)で割り、8を乗じた(byte→bit)値が、出力バッファ103Aに収めることができる画像のピクセル量(バッファ量)となる。なお、出力バッファ103Aの記憶容量(byte)は、バッファ量とした場合に記録可能領域RPのサイズ(S×S pixel)を超えない範囲で設定されている。
【0028】
次に、以上のように求めたバッファ基準倍率と第1方向倍率と第2方向倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定する(S36〜S40,S5:倍率比較部としての機能)。すなわち、第1方向倍率と第2方向倍率とを比較し(S36)、その小さい方を候補倍率として(S37またはS38)、さらに、その候補倍率とバッファ基準倍率とを比較し(S39)、その小さい方を候補倍率とする(S40)。そして、S36〜S40の結果、候補倍率となっていたものを適用する倍率として設定する(S5)。このように、倍率を設定することによって、出力バッファ103Aの記憶容量を越えず、且つ、記録可能領域RPに収められるよう拡大または縮小された添付画像(出力画像データ)が記録用紙Pに印刷されることになる(印刷ルーチンS2のS22,S23:図6)。
【0029】
倍率設定ルーチンの第2例S3Bについて説明する。なお、上述した第1例S3Aと重複する箇所については、同番号を付して説明を省略する。これによると、図8に示すように、S36〜S42において、バッファ基準倍率と第1方向倍率と第2方向倍率と所定倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定する。すなわち、バッファ基準倍率と第1方向倍率と第2方向倍率とから選ばれた候補倍率と所定倍率とを比較し(S41)、その小さい方を候補倍率として(S42)、適用する倍率として設定する(S5)。この所定倍率には、例えばこれ以上画像を拡大するとユーザにとって見づらくなる倍率などを適宜設定することで、添付画像が必要以上に拡大されて印刷されることを防止できる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの形式に限定されるものではなく、これらに具現された発明と同一性の範囲内において適宜変更して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の画像記録装置の実施形態としての多機能装置の外観構成を示す斜視図
【図2】多機能装置の電気的構成を表すブロック図
【図3】図2におけるプリンタ部の詳細を表すブロック図
【図4】図2における制御部の詳細を表すブロック図
【図5】制御プログラムによる処理を表すフローチャート
【図6】印刷ルーチンを表すフローチャート
【図7】倍率設定ルーチンの第1例を表すフローチャート
【図8】倍率設定ルーチンの第2例を表すフローチャート
【図9】倍率設定ルーチンの処理内容を表す第1説明図
【図10】倍率設定ルーチンの処理内容を表す第2説明図
【符号の説明】
【0032】
1 多機能装置(画像記録装置)
2 プリンタ部(画像記録手段)
3 スキャナ部
100 制御部(画像生成手段)
101 CPU
102 ROM
103 RAM
103A 出力バッファ
103B メール受信バッファ(記憶手段)
104 フラッシュメモリ
111 パラレルI/F
112 USB I/F
113 LAN I/F(通信手段)
114 NCU
115 モデム
IM 添付画像(入力画像データ)
RP 記録可能領域
P 記録用紙(被記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された入力画像データから画像記録のための出力画像データを生成する画像生成手段と、
1頁分に対応する前記出力画像データを一時的に記憶する出力バッファと、
前記出力バッファに記憶されている前記出力画像データに基づいて被記録媒体に画像記録する画像記録手段と、を備える画像記録装置であって、
前記画像生成手段は、
前記入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した前記出力画像データのデータ量が、前記出力バッファの記憶容量を越えない範囲となる倍率をバッファ基準倍率として求めるバッファ基準倍率演算部と、
設定された倍率に拡大または縮小された前記出力画像データを得る画像拡縮部と、を有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記画像生成手段は、
前記入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した前記出力画像データのサイズが、前記被記録媒体において画像記録が可能な記録可能領域の第1方向の幅を越えない範囲となる倍率を第1方向倍率として求める第1方向倍率演算部と、
同じく、前記第1方向と直交する第2方向の幅を越えない範囲となる倍率を第2方向倍率として求める第2方向倍率演算部と、
前記バッファ基準倍率と前記第1方向倍率と前記第2方向倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定する倍率比較部と、
を有する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記倍率比較部は、前記第1方向倍率と前記第2方向倍率とを比較し、その小さい方と前記バッファ基準倍率とを比較し、その小さい方を適用する倍率として設定する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記画像生成手段は、前記バッファ基準倍率と所定倍率との小さい方を適用する倍率として設定する倍率比較部を有する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
入力された入力画像データから画像記録のための出力画像データを生成する画像生成手段と、
1頁分に対応する前記出力画像データを一時的に記憶する出力バッファと、
前記出力バッファに記憶されている前記出力画像データに基づいて被記録媒体に画像記録する画像記録手段と、を備える画像記録装置であって、
前記画像生成手段は、
前記入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した前記出力画像データのデータ量が、前記出力バッファの記憶容量を越えない範囲となる倍率をバッファ基準倍率として求めるバッファ基準倍率演算部と、
前記入力画像データのサイズに対し拡大または縮小した前記出力画像データのサイズが、前記被記録媒体において画像記録が可能な記録可能領域の第1方向の幅を越えない範囲となる倍率を第1方向倍率として求める第1方向倍率演算部と、
同じく、前記第1方向と直交する第2方向の幅を越えない範囲となる倍率を第2方向倍率として求める第2方向倍率演算部と、
前記バッファ基準倍率と前記第1方向倍率と前記第2方向倍率と所定倍率とのうち最も小さいものを適用する倍率として設定する倍率比較部と、
設定された倍率に拡大または縮小された前記出力画像データを得る画像拡縮部と、を有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項6】
前記倍率比較部は、前記第1方向倍率と前記第2方向倍率とを比較し、その小さい方と前記バッファ基準倍率とを比較し、その小さい方と前記所定倍率とを比較し、その小さい方を適用する倍率として設定する請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
通信網を通じて画像データを受信する通信手段と、受信した前記画像データを記憶する記憶手段とを備え、
前記画像生成手段は、当該記憶手段から前記画像データを前記入力画像データとして読み出し、前記出力画像データを生成する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
メールサーバから通信網を通じて電子メールを受信する通信手段と、受信した前記電子メールを記憶する記憶手段とを備え、
前記画像生成手段は、当該記憶手段から前記電子メールに添付されている画像データを前記入力画像データとして読み出し、前記出力画像データを生成する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−67799(P2007−67799A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250863(P2005−250863)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】