説明

画像読取装置

【課題】 ドロップアウトすべき印刷部の照明光の各波長に依存した帳票からの読み取り画像データの特徴を抽出し、ドロップアウトする画素を白判定されるデータと置換するリアルタイム動作の画像読取装置を提供する。
【解決手段】 色画像位置同期回路部と、色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を受光部の同一画素位置における発光色毎のデータが指定した範囲内にある場合にドロップアウトデータとして画素位置情報を出力する色判定部と、色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算する画像モノクロ化ゲイン部310と、受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、単色データを色判定部の画素位置情報に対応する画素をドロップアウトレベルにデータ置換するデータ置換部とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は投票券、マークシートなど所定の書式で印刷された原稿に使用者が記入する帳票などの読み取りに用いる画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種競技場、例えば競馬、競輪や競艇で発行する投票券やLOTOなど記入式の番号を選択して投票する宝くじの投票券を機械で読み取り、記入された数値や記号を判別し、投票券控えとして利用者に読み取り結果を通知返却する読み取り機器や画像処理機器が普及している。
【0003】
一般に投票券は利用者の利便性と読み取り機器の記入数値、記号位置の特定処理簡便化のために数値や記号を記入する部分に記入のガイドとなる印刷が施されている。このガイド印刷部は多様な色彩や種類の筆記具で記入された数値、記号を帳票から抽出する際には不要情報となるため、このガイド印刷部を読み取り画像からドロップアウトさせ記入された数値、記号のみを読み取る手段を備えた画像処理装置やドロップ処理装置が提案されている。
【0004】
例えば、特開2006−339875号公報図1(特許文献1参照)には、画像情報の所定領域にある画像データを抽出し、その抽出された画素データに基づき特定色を所定画素データに置換することでドロップアウト処理を行う画像処理装置が開示されている。特定色は認識可能な色空間を色空間領域に分割し、色空間領域の代表色をカラーパレットとして画像処理装置の表示機に表示し、ユーザがドロップアウトを指定する色を選択することにより行われる。また特定色が置換された画像は表示機に表示され、ユーザが処理結果を確認できるようにしている。
【0005】
特開2003−216894号公報図1(特許文献2参照)には、ヒストグラム作成部14は部分領域画像のRGBをSVH変換して、S、V、Hのヒストグラムを生成し、色情報設定部15はヒストグラムからドロップアウトさせる色情報を求め、その値をカラーテーブルに設定して記憶させ、2値化部16は、帳票3のカラー画像の画素がカラーテーブルの色情報に該当する場合にその画素を背景画素として2値化するドロップアウト処理するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−339875(第1図)
【特許文献2】特開2003−216894(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、ドロップアウトしたい特定色表示を見ながら選択する必要があり、表示されるカラーパレットの色と実際の帳票の色が同一であることを保障する必要がある。また、R,G,Bの各読み取り画像の変動に対しては毎回の補正入力が必要となり、オペレータが読み取り結果を管理するような環境が必要となるという課題があった。
【0008】
特許文献2に記載のものでは、帳票の画像における各色のヒストグラム結果をもとにドロップアウト判定を実施するために、帳票全体の読み取り画像結果が必要となり、帳票1面分の画像記録部およびその記録された画像を高速に演算する専用回路が必要となる。
【0009】
また連続的に入力される帳票を処理する場合は、後段のドロップアウト処理部の処理能力が帳票の最大連続読み取り枚数内で処理を完了されるだけの能力が必要となり、簡易な構成でのドロップアウトカラー処理を行うことが困難であるという課題があった。
【0010】
このような従来技術の場合においては帳票画像データの色(R,G,Bの独立データ)やそのヒストグラムを用いてドロップアウトさせる画素を決めるため、帳票の画像読み取り部で取得したデータを視認される色の集合体として処理されることになる。一般に人間が視認する色情報は同一色と視認される色の組み合わせが複数存在し、ディスプレイなどに表示される色と印刷物で印刷される色とではその分光波長の構成が異なっている。
【0011】
従って、表示機に表示された色と実際の帳票でドロップアウトさせる色情報との間には帳票原稿が反射している正確な反射色を反映していないことになる。
【0012】
また、ヒストグラム情報を使用してドロップアウトカラーを指定する場合にも 実際の原稿反射データを色指定時に用いているものの最終的な色判定はドロップアウトプレーンを決定した後は特定色プレーンのみでの画像判定となり中間色に対する色判定には不確実性を残すものである。
【0013】
この発明は、印刷された帳票およびユーザにより記入される数字、文字、記号の光の波長に対する分光反射率により画像読み取り時に帳票を照明する複数の照明波長を照射して画像のデータを採取し、ドロップアウトすべき印刷部の照明光の各波長に依存した帳票からの読み取り画像データの特徴を抽出し、ドロップアウトする画素を2値化の際に白判定されるデータと置換することによりドロップアウト部とユーザ記入部の分離が小規模な回路でリアルタイムに行える画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明の画像読取装置は、複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力信号を、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力するものである。
【0015】
請求項2に係る発明の画像読取装置は、複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を発光色毎に乗算してから出力する乗算器と、この乗算器の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力信号を、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力するものである。
【0016】
請求項3に係る発明の画像読取装置は、複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する前記上限値と前記下限値とを異ならせた複数の色判定部と、この複数の色判定部からの信号を選択又は照合してから出力する選択信号を有する論理照合部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部と前記論理照合部からの信号が入力され、前記論理照合部の選択信号により選択又は照合された前記色判定部からの画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力するものである。
【0017】
請求項4に係る発明の画像読取装置は、複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する原稿の読み取り幅より長い光源と、原稿の前記読み取り幅の外側に設けられた基準板と、この基準板及び原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部とで演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力信号を、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部と、前記色画像位置同期回路部に前置して設けられ、前記基準板で反射した光を読み取った情報を所定の基準値と比較し、前記画像データの出力を調整するデジタル可変器とを備え、前記基準板で読み取った情報の出力が所定の基準値より高い場合には前記画像データの出力を減少し、前記基準板で読み取った情報の出力が所定の基準値より低い場合には前記画像データの出力を増加し、前記色画像位置同期回路部の入力レベルを所定の基準値における画像データに漸近させながら前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力するものである。
【0018】
請求項5に係る発明の画像読取装置は、複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力から分岐させた一方の信号が入力され、前記画像モノクロ化回路部の単色データのピーク出力を検出する背景検出部と、前記画像モノクロ化回路部の出力から分岐させた他方の信号が入力されると共に前記背景検出部の出力信号が入力され、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を前記単色データのピーク出力値データに置き換えることにより画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の画像読取装置によれば、順次発光色毎に得られた画像データを、色画像位置同期回路部で画素単位の色情報として揃え、色判定部で同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合にドロップアウトデータとする画素位置を決め、画像モノクロ化回路部で発光色毎に決められた定数データを乗算した同一画素位置データを加算し単色データとし、データ置換部で色判定部の画素位置情報に対応する単色データの画素をドロップアウトするデータに置換するのでドロップアウトカラー処理すべき画像データを小規模な回路でリアルタイムに行え、原稿(帳票)の印刷下地やガイド印刷部を確実に読み飛ばすことが可能な画像読取装置を得ることが可能であると共に色判定用画像にかけた比較的大きなゲインとモノクロ化用画像のゲインの差異によるドロップアウト処理の精度低下を防止できる。
【0020】
請求項2に記載の画像読取装置によれば、順次発光色毎に得られた画像データを、色画像位置同期回路部で画素単位の色情報として揃え、色画像位置同期回路部から分岐させた一方の出力を発光色単位で乗算器で増幅してから色判定部で同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合にドロップアウトデータとする画素位置を決め、画像モノクロ化回路部で発光色毎に決められた定数データを乗算した同一画素位置データを加算し単色データとし、データ置換部で色判定部の画素位置情報に対応する単色データの画素をドロップアウトするデータに置換するので、発光色毎の出力データが低い場合には色判定部で指定する上限値と下限値とのダイナミックレンジを広げドロップアウト画素位置を選定することによりドロップアウトすべき画素位置を高精度で特定することができる効果があると共に色判定用画像にかけた比較的大きなゲインとモノクロ化用画像のゲインの差異によるドロップアウト処理の精度低下を防止できる。
【0021】
請求項3に記載の画像読取装置によれば、順次発光色毎に得られた画像データを、色画像位置同期回路部で画素単位の色情報として揃え、複数の色判定部に入力し、同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合にドロップアウトデータとする指定範囲がそれぞれ異なる複数の色判定部からの選択又は照合データから画素位置を決め、画像モノクロ化回路部で発光色毎に決められた定数データを乗算した同一画素位置データを加算し単色データとし、データ置換部で色判定部の画素位置情報に対応する単色データの画素をドロップアウトするデータに置換するので、あらかじめ決める上限値と下限値とを複数の色判定部に亘り設定しておき複数の色判定部から論理照合部を介してドロップアウト画素位置を選定することによりドロップアウトすべき画素位置を高精度で特定することができる効果があると共に色判定用画像にかけた比較的大きなゲインとモノクロ化用画像のゲインの差異によるドロップアウト処理の精度低下を防止できる。
【0022】
請求項4に記載の画像読取装置によれば、順次発光色毎に得られた画像データを、色画像位置同期回路部に前置して、デジタル可変器を付加してから色画像位置同期回路部で画素単位の色情報として揃え、色判定部で同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合にドロップアウトデータとする画素位置を決め、画像モノクロ化回路部で発光色毎に決められた定数データを乗算した同一画素位置データを加算し単色データとし、データ置換部で色判定部の画素位置情報に対応する単色データの画素をドロップアウトするデータに置換するので、色画像位置同期回路部の入力レンジを狭めることができ安定した画素単位の色情報を導出することができる効果があると共に色判定用画像にかけた比較的大きなゲインとモノクロ化用画像のゲインの差異によるドロップアウト処理の精度低下を防止できる。
【0023】
請求項5に記載の画像読取装置によれば、画像モノクロ化回路部の出力から分岐させた一方の信号を背景検出部に入力することで、背景検出部は画像モノクロ化回路部の単色データのピーク出力値を検出するので、このピーク出力値をモノクロ画像の下地濃度と認識させることにより、データ置換部でドロップアウト指定画素の置き換えデータを作成することが容易となり、画素データが原稿の下地と同じデータとなる。従って原稿画像品位が良くなると共にドロップアウトすべき画素は2値化の際に原稿の白地同様に確実にドロップアウトされるという効果があると共に色判定用画像にかけた比較的大きなゲインとモノクロ化用画像のゲインの差異によるドロップアウト処理の精度低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1による画像読取装置の機能ブロック図である。
【図2】帳票の分光反射スペクトル例を説明する図である。
【図3】光源波長の色範囲指定を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態2による画像読取装置のドロップアウト処理部の機能ブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3による画像読取装置のドロップアウト処理部の機能ブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4による画像読取装置の機能ブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4による画像読取装置の乗算器による利得設定方法を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態5による画像読取装置のドロップアウト処理部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1による画像読取装置のブロック構成図である。図1において、1は投票券、マークシートなど所定の書式で印刷された原稿(帳票)、2はLEDチップなどの光源であり、2aは赤色発光光源(R光源)、2bは緑色発光光源(G光源)、2cは青色発光光源(B光源)である。3は光源2で照射された光を原稿1の読取方向に光を伝播させると共に均一に光りを原稿1に照射する導光体、4は原稿1に照射された光の反射光を収束させるロッドレンズアレイ(レンズ)、5は多数の光電変換素子を直線的に読み取り方向に配列した駆動部を含む受光部(センサチップ)、5aは受光部5の一部であり画素と呼ぶ。6はセンサチップ5を搭載するセンサ基板である。
【0026】
7は原稿1と導光体3との間に介在し、光源2からの光を通過させるガラス板(透過体)、8はセンサチップ5で光電変換されたアナログ信号をデジタル変換するアナログ・デジタル変換部(ADC)、9は黒レベルのばらつきを補正する黒補正部であり、9aは黒補正用のメモリ、10は白レベルのばらつきを補正する白補正部であり、10aは白補正用のメモリ、11は発光色毎の各信号のゲインを調整するPGA(Programmable Gain Amp)、12は光源2、センサチップ5及びADC8に電源や制御信号を供給する制御部である。
【0027】
13は同期用ラインメモリなどで構成され、発光色毎に順次、時系列で読み出された画像データをライン画素単位で読み取った色情報に揃える画像位置同期回路部、14は同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合にドロップアウトデータとする画素位置を決める色判定部、15は発光色毎に決められた定数データを乗算したあと同一画素位置データを加算し単色データとする画像モノクロ化回路部、16は色判定部の画素位置情報に対応する単色データの画素をドロップアウトするデータに置換するデータ置換部、17は画像モノクロ化回路部15の単色データの最大値を検出し、データ置換部16に原稿1の下地の反射濃度を参照出力する背景検出部、18はデータ置換部16の画素データが色判定部14の指定により置換された画像データをあらかじめ指定した値で2値化する2値化部、19はドロップアウトカラー処理された画像データを外部に出力するセレクタである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0028】
次に動作について説明する。図1において、原稿(帳票)1が搬送される速度に対応して光源2a、2b、2cが順番に点灯・消灯を繰り返し、照明は点灯制御される。個々の点灯制御により、センサチップ5で光電変換が実施され、照明色に応じた画像データがアナログ信号として順次アナログ・デジタル変換部8でデジタル化される。黒補正部9では、光源2は消灯状態で黒補正するので受光部5が有する固定パターンノイズを全画素に亘り補正する(全画素補正)場合と、一定の画素単位で補正する場合とがある。いずれの場合にも周知の手段で一定値(例えば10bit精度での“0h”)に揃える補正が行われる。それらの補正データは補正メモリ9aに収納して使用する。
【0029】
また、白補正部10では、各色光源2の主走査方向(センサチップ5の配列方向)における照明強度のばらつきやセンサチップ5の感度のばらつきが存在するために照明強度およびセンサチップ5の感度ばらつきに起因する画像データのダイナミックレンジのばらつきを補正する白補正が行われる。それらの補正データは補正メモリ10aに収納して使用する。PGA11では、各色光源2からの画像データ出力の増幅を各色毎に行う。
【0030】
次にドロップアウトカラー処理について説明する。色判定を行うためには 色毎の画像ラインデータとして入力されるデータを 画素単位で色情報として判定できるようにするため帳票1上の同じラインを読み取った全ての色画像ラインデータを同期させる。このため色判定部14前段の色(RGB)画像位置同期回路部13で画像位置の同期処理を行い、RGBの3色データが画素毎に同時に後段回路に出力されるように処理される。同期化された画像データは 色判定部14に送られドロップアウトすべき色の判定を画素毎に行う。
【0031】
色判定部14では、色画像位置同期回路部13において画素単位で同期された色画像情報を元に 各色データの光電変換されたデータが予め指定した範囲に存在するか、しないかを判定し、画素単位で全色データが予め指定した範囲に存在する場合には当該光電変換素子で読み取られたデータはドロップアウトさせるべきデータと判定する。このドロップアウト判定は画像モノクロ化回路部15で処理される画素と同期して行われ、ドロップアウトすべき画素と判定された画素の値を 予め設定された画素値にデータ置換部16においてリアルタイムで置換する。この処理によりドロップアウトされるべき画像が消去され、後段の2値化部18で2値化される際には確実に下地として読み飛ばされることになる。
【0032】
この判定は図2に示す帳票1の分光反射スペクトル例に示す帳票1およびマークの際に利用される筆記具の分光反射率の実測結果により、図3に示すようにオレンジ色の判定をRGBの3色光源を用いて行っている。
【0033】
図2に示される分光反射率は 例えば印刷パターンの場合使用される印刷インクの組成および組み合わせにより決定される。図2では下地として 印刷対象となった紙の反射率を示し、背景は文字や記号などの印刷されている下地に当たる部分の薄い濃度の印刷を示している。本帳票1では読み飛ばす(ドロップアウトさせる)色は「ドロップアウト対象印刷」と記載された反射パターンであり光学波長が550nm付近で反射率が急激に変化することを特徴としている。その他の反射率データは ユーザがマークする際に使用すると考えられる筆記具の反射率を示し赤、青に大きな反射強度を持つ分光特性をもつことが判る。
【0034】
この結果として図3に示すように読み飛ばす(ドロップアウトさせる)色であるオレンジを抽出するためには緑色の画像を主判定のパラメータとし赤と青の情報を加味して判定すれば良いことが判る。
【0035】
例えば帳票1の裏面 下地色を100%として換算し、RGB光源、色順次読取での帳票ガイド印刷部の出力推定値を以下に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
これらの出力を画像のデジタル値に換算した値とし、帳票1のドロップアウト部の画素を判定する。具体的には 印刷ムラ、濃度などのバラツキを考慮し、この値を中心とした色範囲の指定を色判定部14で行い、ドロップアウトさせるべき色を持つ画素を、下地色のような反射率の高い例えば白色にデータ置換部16で置き換えることにより2値化の前に、ドロップアウトする画素が画像データ中から省かれる。
【0038】
本実施例の形態1の一例として、読み取ったRGBの画像データに対してRGB各色のドロップアウト画素を指定する判定値として赤データに対しては200−255digit、緑データに対しては120−255digit、青データに対しては0−200digitの範囲に各色データが存在する画素を指定し、帳票1の読み取り試験を実施した。その結果としてこの処理により ほぼ100%ガイド印刷部がドロップアウト画素指定されることが試験結果で確認した。
【0039】
次に画像位置同期回路部13から色判定部14に送られる画像データは同時に画像モノクロ化回路部15にも送られ、所定配合比率で画像のモノクロ化を実施する。画像モノクロ化回路部15では色画像位置同期回路部13において画素単位で同期された色画像情報をもとに あらかじめ指定された割合で各色データを以下の式で演算することによりモノクロ画像出力データを次式に基づき生成する。
【0040】
I(n)={Ir(n)*Cr}+{Ig(n)*Cg}+{Ib(n)*Cb}ここで、
Ir(n):赤色発光光源でのn画素目のデータ、Ig(n):緑色発光光源でのn画素目のデータ、Ib(n):青色発光光源でのn画素目のデータ、Cr:赤色発光光源係数、Cg:緑色発光光源係数、Cb:青色発光光源係数、I(n):n画素目のモノクロ化出力値。
【0041】
このモノクロ化処理は、後段の画像2値化のための前処理と色判定された画素の特定化のために行われる。モノクロ化された画像に対して色判定部14で判定された画素位置情報を用い、ドロップアウトさせるべき画素に2値化の際に確実に白判定されるあらかじめ設定された値と置換処理がなされ、ドロップアウトされるべき部分が削除されたモノクロ画像が生成される。
【0042】
画像読取装置としては、このモノクロ情報を出力とすることもあるが、マーク情報はマークの有無判定ができれば良いため、モノクロ画像データは後段の2値化部18へ送られ所定のスライスレベルで2値化され、白黒2値のデータとなる。この処理の際には読み飛ばす(ドロップアウトさせる)画素の情報はあらかじめ2値化の際に確実に白判定される値に置換するため、帳票1下地と記入されたマークのみのコントラストを考慮すれば良い。
【0043】
以上からドロップアウトカラー処理すべき画像データの作成を小規模な回路でリアルタイムに行うことができ、帳票などの印刷下地やガイド印刷部を確実に読み飛ばすことが可能な画像読取装置を得ることができる。
【0044】
また、モノクロ化された画像のデータピーク検出を行い、そのピーク値をモノクロ画像の下地濃度とし、データ置換部でドロップアウト指定画素の置き換えデータを作成することが可能となり、画素データが原稿の下地と同じデータとなるため原稿画像品位が良くなり、2値化の際に確実に白地と認識される効果がある。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態1では、この発明に係る画像読取装置の基本的な構成を示したが、一般に帳票の読み取り画像におけるドロップアウト色とマーク記入の筆記具の色との差はわずかであり、読み取り画像をそのまま色判定すると色分解の精度に問題が発生する場合があるので実施の形態2では、ダイナミックレンジを広げて色判定する構成について図4を用いて説明する。
【0046】
図4は、この発明の実施の形態2による画像読取装置のドロップアウト処理部の機能ブロック図である。図4において、20は色画像位置同期回路部13の出力から分岐し、色判定部14に乗算入力する乗算器である。図中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。乗算器20は色判定部14の前段で各色データに所定のゲインを掛けるためにあらかじめ設定した各色毎に対応した数値を画像データに乗算することで色判定に必要な中間調領域に集中している色判定に必要な部分、例えば低い出力値部分を引き伸ばす(拡大)役目を行う。従って色判定に必要な判定領域の設定範囲を確保し、確実な色判定、分離を行うことができる効果がある。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態2では、ダイナミックレンジを広げて色判定する方法について説明したが実施の形態3では、複数の色判定部を設けて色判定する構成について図5を用いて説明する。
【0048】
図5は、この発明の実施の形態3による画像読取装置のドロップアウト処理部の機能ブロック図である。図5において、140は色画像位置同期回路部13の出力から分岐された信号をパラレルに信号処理する色判定部であり、140aは第1色判定部、140bは第2色判定部、140nは第n色判定部である。150はそれぞれの色判定部140からの出力を論理演算し、制御信号により選択又は照合したデータをデータ置換部16に送出する論理照合部である。図中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0049】
実施の形態3においては、複数の色判定部で判定したで複数の判定条件を組み合わせることができる。すなわち、判定結果をあらかじめ指定したOR回路、AND回路、XOR回路などの論理回路を介在させることにより組み合わせ選択した出力をデータ置換部に送出する。例えば、読み飛ばしたい(ドロップアウトさせたい)色が複数ある場合には この複数の色判定部140を用いてその判定結果をOR回路で選択することでドロップアウト色の全ての色に対してのドロップアウト指定が可能となる。また、AND回路を使用して色判定部140そのもののデータ照合を行って論理照合部から出力することでデジタルノイズに起因するデータ不良を改善することができる。
【0050】
また、ドロップアウトカラーに近い色として読み取られる記入マークに対しても色判定部140で記入マークの色を指定し、その判定結果をXORで組み合わせることにより、色判定で指定されるドロップアウト指定画素からこの記入マークの色判定結果で有意と判定された画素が除外される。すなわち、一部の色判定部140を色検出回路として利用し、他のドロップアウトカラーに対する色判定部140からの出力に対して該色検出として使用することで判別しにくいマーク色の検出が可能となる。
【0051】
実施の形態4.
実施の形態1乃至3では、主として画像読取装置の基本動作・構成について説明したが、実施の形態4では、環境温度や供給される電源電圧変動、使用する光源の照明変動等による環境変化に起因する読み取り変動があっても安定に読み取り画像の精度を確保することが可能な画像読取装置について図6を用いて説明する。図6はこの発明の実施の形態4による画像読取装置の機能ブロックである。図6において、200は原稿の読み取り幅の外側に設けられた基準板、201は色画像位置同期回路部13に前置したデジタル可変器である。図中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0052】
図6において、基準板200は透過体7又は、原稿1の読取領域外部に設置され、反射率が高い反射部材で構成される。実施の形態4では透過体7に白色で構成したシートを貼り付けた構造としている。画像の読み取り動作時には常に基準板(基準白原稿)からの出力値をモニタし、初期の読み取り結果を不揮発メモリ(図示せず)などに記憶させ、読み取り画像データの変動に対してその基準白部の値が常に初期データと漸近した一定値となるようにデジタル可変器201で画像信号にゲインを掛けることによるフィードバックの構成としている。すなわち、光源2から照明され、基準板200で反射した光りを端部周辺の画素5aで基準信号として光電変換し、読み取り動作時に毎ライン出力が読み取られる構成としたものである。
【0053】
このように基準板200を配置することにより、基準板200からの出力は初期値の光源の光量が変動しない場合 常に一定の出力となる。光源2に変動があった場合には、基準板200においても光量変化があり、黒補正部及び白補正部を経由した画像データも変動するもののPGAから基準板200の位置に対応する画素5aからの情報をデジタル可変器201で調整することにより図7に示す一例のように画像データ入力と画像データ出力とを乗算器などを用いてフィードバック系の処理を行い、ゲインの設定が自動で行う。すなわち、基準画素を平均化し、システムクロック信号(XSYNC)とレジスタ信号を用いて補正数値計算を行い補正係数(Pcor)を決め乗算器で利得を可変する。
【0054】
以上から画素5aの一部を用いて常時基準板200からの反射光を読み取り、あらかじめPGA11又はデジタル可変器201内部などに設定したRGB基準値と比較することにより画像位置同期回路部13に一定の出力を送出するようにデジタル可変器を設けたので色判定部14には常に一定範囲の画像データが入力されることにより安定な色判定が可能となる。なお、基準値は赤緑青(RGB)のそれぞれについて設定したが、RGBのいずれかを利用する場合であっても良い。
【0055】
実施の形態1乃至4では、カラー画像の読み取りが可能なRGBの3色光源としたが、カラー画像の読み取りが必要のない場合には読み取り対象物の分光反射スペクトルに最適な光源の組み合わせとすることでより効果的な帳票などの読み取り処理が可能となる。すなわち、RGB以外の赤外光光源や黄緑発色光源、青緑発色光光源などを採用することで分光反射スペクトル中の特徴的な色画像を採取することで判定精度が向上する。また判定に使用する発光波長は2波長以上で有れば相応の効果を奏する。
【0056】
実施の形態5.
図8は、この発明の実施の形態5による画像読取装置のドロップアウト処理部の機能ブロック図である。図8において、310は色画像位置同期回路部13の出力から分岐し、画像モノクロ化回路部15に乗算入力する画像モノクロ化ゲイン部である。画像モノクロ化ゲイン部310は画像モノクロ化回路部15の前段で各色データに所定のゲインを掛けるためにあらかじめ設定した各色毎に対応した数値を画像データに乗算する役割を行う。図中、図4と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0057】
画像モノクロ化ゲイン部310は、発光色毎に決められた定数データを乗算し、この画像モノクロ化ゲイン部310の信号に受光部5の同一画素位置データを加算し単色データとして出力させる。例えば、実施の形態2において色判定部14の前段にある乗算機20に比較的大きなゲイン(例えば1.25倍以上)をかけると、画像モノクロ化回路部15の出力と色判定時出力のゲインとの差異により色判定に基づきデータ置換した際にドロップアウトカラーの境界部が完全に除去しきれず残ってしまいドロップアウト処理の精度を低下させる場合がある。
【0058】
本実施の形態5では、色判定部14の前段の乗算器20に比較的大きなゲインをかけた場合でも、画像モノクロ化回路部15の前段に設けた画像モノクロ化ゲイン部310によって、画像モノクロ化回路部15の出力と色判定時出力のゲインの差異を調整することでドロップアウトカラーの境界部が完全に除去できるようになり、ドロップアウト処理の精度が向上する。
【0059】
このように色判定に必要な中間調領域に集中している色判定に必要な部分(多くは低い出力値部分)を引き伸ばす(拡大)際に、色判定部14のゲインに制約されることなく色判定に必要な判定領域の設定範囲を確保し、確実な色判定、分離を行うことができる構成とした。
【0060】
なお、実施の形態5で説明した以外のその他の構成・機能については、実施の形態1乃至4に説明したものと同一とする。また、実施の形態3で説明した図5に示す論理照合部150、実施の形態4で説明した図6に示すデジタル可変器201をそれぞれ本実施の形態5で説明したものに付加しても色判定・分離などのドロップアウト処理の精度に対して相応の効果がある。
【0061】
以上から、読み取り画像をモノクロ化に際して画像モノクロ化回路部15にデータを入力する前に色毎に独立に画像データに対して予め指定したゲインを乗じることにより、色判定用画像にかけた比較的大きなゲインと、モノクロ化用画像のゲインの差異によるドロップアウト処理の精度低下を防止し、反射率として微妙な差となる色反射データに対して、大きなゲインを設定することが可能となり、色反射データを拡大することが可能となり、結果、色の指定閾値幅を大きく確保できる。
【符号の説明】
【0062】
1・・原稿(帳票) 2・・光源 2a・・赤色発色光源 2b・・緑色発色光源
2c・・青色発色光源 3・・導光体 4・・ロッドレンズアレイ(レンズ)
5・・センサIC(受光部) 5a・・画素
6・・センサ基板 7・・ガラス板(透過体)
8・・アナログ・デジタル変換部(ADC) 9・・黒補正部 9a・・補正メモリ
10・・白補正部 10a・・補正メモリ 11・・PGA
12・・制御部 13・・色画像位置同期回路部 13a・・ラインメモリ
14・・色判定部 15・・画像モノクロ化回路部 16・・データ置換部
17・・背景検出部 18・・2値化部 19・・セレクタ
20・・乗算器 140・・色判定部 140a・・第1色判定部
140b・・第2色判定部 140n・・第n色判定部
150・・論理照合部 200・・基準板(白基準原稿)
201・・デジタル可変器
310 画像モノクロ化ゲイン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力信号を、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力する画像読取装置。
【請求項2】
複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を発光色毎に乗算してから出力する乗算器と、この乗算器の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力信号を、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力する画像読取装置。
【請求項3】
複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する前記上限値と前記下限値とを異ならせた複数の色判定部と、この複数の色判定部からの信号を選択又は照合してから出力する選択信号を有する論理照合部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部と前記論理照合部からの信号が入力され、前記論理照合部の選択信号により選択又は照合された前記色判定部からの画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力する画像読取装置。
【請求項4】
複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する原稿の読み取り幅より長い光源と、原稿の前記読み取り幅の外側に設けられた基準板と、この基準板及び原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部とで演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力信号を、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部と、前記色画像位置同期回路部に前置して設けられ、前記基準板で反射した光を読み取った情報を所定の基準値と比較し、前記画像データの出力を調整するデジタル可変器とを備え、前記基準板で読み取った情報の出力が所定の基準値より高い場合には前記画像データの出力を減少し、前記基準板で読み取った情報の出力が所定の基準値より低い場合には前記画像データの出力を増加し、前記色画像位置同期回路部の入力レベルを所定の基準値における画像データに漸近させながら前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力する画像読取装置。
【請求項5】
複数の波長の発光色を順次点灯制御して原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を収束するレンズと、このレンズで収束された光を受光し、光電変換する多数の画素を有する受光部と、この受光部で光電変換されたアナログ信号をアナログ・デジタル変換するアナログ・デジタル変換部と、このアナログ・デジタル変換部でデジタル変換された光電変換出力を前記受光部の画素毎に暗時の出力データを生成し均一化補正する黒補正部と、前記光源から照射された光を前記受光部で受光し、画素毎に明時の出力データを生成し均一化補正する白補正部と、この白補正部と前記黒補正部で演算処理した発光色毎に得られた画像データを、前記受光部の同一画素の発光色毎に同期して全ライン画素に亘り出力する色画像位置同期回路部と、この色画像位置同期回路部の出力から分岐させた一方の信号を、前記受光部の同一画素位置における発光色毎のデータがあらかじめ上限値と下限値とを指定した範囲内にある場合に、ドロップアウトデータとして当該画素位置情報を出力する色判定部と、前記色画像位置同期回路部の出力から分岐させた他方の信号を発光色毎に決められた定数データを乗算してから出力する画像モノクロ化ゲイン部と、この画像モノクロ化ゲイン部の信号に対して前記受光部の同一画素位置データを加算し単色データとして出力する画像モノクロ化回路部と、この画像モノクロ化回路部の出力から分岐させた一方の信号が入力され、前記画像モノクロ化回路部の単色データのピーク出力を検出する背景検出部と、前記画像モノクロ化回路部の出力から分岐させた他方の信号が入力されると共に前記背景検出部の出力信号が入力され、前記色判定部の画素位置情報に対応する画素を前記単色データのピーク出力値データに置き換えることにより画像データとして出力されないレベルにデータ置換してから出力するデータ置換部とを備え、前記データ置換部のデータを2値化のドロップアウトカラー処理した画像データとして出力する画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−244331(P2010−244331A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92912(P2009−92912)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】