説明

異物検査装置および異物検査方法

【課題】本発明は検査対象の色に拘わらずに食品に混入した細くて小さな異物の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査方法を提供する。
【解決手段】本発明の異物検査方法は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を光源から照射し、前記光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光をハーフミラーを介して1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の分光した反射光と透過した透過光とに分離させて受光し、この受光した前記波長域の反射光及び透過光に基づいて反射光画像及び透過光画像を撮影し、この撮影した前記波長域の反射光画像及び透過光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の製造および販売の過程で食品に混入した毛髪、虫類等の異物を高精度に検出する異物検査装置および異物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の製造過程や販売過程において、金属、石、ガラス、毛髪、虫等の異物が混入する可能性があり、食品衛生上の課題となっている。
【0003】
このため、近年では多くの食品製造メーカが金属検査機やX線検査装置を採用して、食品の製造過程において食品に混入した金属や石、ガラスの除去作業を可能としている。
【0004】
しかしながら、上記のような金属検査機やX線検査装置では、毛髪や虫の異物が食品に混入している場合には、混入した毛髪や虫が細くて小さいためにこれらのものを検出することが非常に困難であり、現状は作業員による目視検査に頼らざるを得ないことから、検査コストの増大や異物の見逃しの可能性が課題となっている。
【0005】
このような課題を解決する技術として、次の3件の特許文献には、食品に混入した異物を検出する方法が開示されている。
【0006】
特開2001−99783号公報には、広帯域光を食品に照射してその反射光又は透過光から中赤外線領域、近中赤外線領域、及び可視光領域の3波長領域の画像を夫々撮像し、各波長領域の食品と異物との吸光度差による撮影画像の輝度に基づいて、これらの撮像画像の画像データを2値化処理して異物を検出する技術が開示されている。
【0007】
特開2006−177890号公報には、可視光と近赤外光とを食品に照射してその反射光から可視光と近赤外光の画像を撮像し、可視光と近赤外光では食品と異物の吸光度特性が正反対となる特性を利用して撮影した画像間の輝度レベルを演算することにより異物を強調させて異物を検出する技術が開示されている。
【0008】
特開2004−301690号公報には、白色光を食品に照射してその反射光から食品と異物の可視ー近赤外の吸収スペクトルを測定し、食品と異物の2次微分スペクトルを計算して両者の間で差異のある波長を特定する。そしてその特定波長を利用した2次微分画像を生成して異物を検出する技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−99783号公報
【特許文献2】特開2006−177890号公報
【特許文献3】特開2004−301690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特開2001−99783号公報に記載された技術の2値化処理では、照明条件が変動した場合に二値化処理が正常に機能せず、異物の検出が困難になるという課題がある。
【0011】
また特開2006−177890号公報に記載された技術では、可視光を利用していることから、食品が異物と類似色である場合には異物の検出が困難になるという課題がある。
【0012】
また、特開2004−301690号公報に記載された技術では、検査対象の食品が変わる度に食品と異物の吸収スペクトルを測定し、差異のある波長を特定する作業が発生する。
【0013】
特に可視域も対象としているため、近赤外の食品と異物の組成による安定的なスペクトル反応よりも食品の色を示す可視光のスペクトル反応の影響を受けやすく、しかも2次微分により検出される波長域が食品によって変化するため、検査物の色によって光源や画像撮影手段を変更する手間とコストがかかるといった課題がある。
【0014】
本発明の目的は、検査対象の色に拘わらずに金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した細くて小さな異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の異物検査装置は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を照射する光源と、光源から前記波長光を照射して食品及び食品に含まれた異物からの反射光を受光してこの受光した反射光を1000nm−1500nmの波長域内の複数の波長域を有する分光した反射光と透過した透過光とに分離させるハーフミラーと、このハーフミラーを介して分光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域をそれぞれ有する反射光及び透過光をそれぞれ撮像して反射光画像及び透過光画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域の反射光画像及び透過光画像を画像処理によって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また本発明の異物検査装置は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を照射する光源と、光源から前記波長光を照射して食品及び食品に含まれた異物からの反射光を受光してこの受光した反射光を1000nm−1500nmの波長域内の複数の波長域を有する分光した反射光と透過した透過光とに分離させる第1のハーフミラー、及びこの第1のハーフミラーを透過した透過光を受光して1000nm−1500nmの波長域内の複数の波長域を有する分光した第2の反射光と透過した第2の透過光とに分離させる第2のハーフミラーと、この第1のハーフミラーを介して分光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域をそれぞれ有する反射光、及び第2のハーフミラーを介した第2の反射光、及び第2の透過光をそれぞれ撮像して反射光画像及び透過光画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域の反射光画像及び透過光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
また本発明の異物検査装置は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる複数の波長光をそれぞれ照射する複数の光源と、前記複数の光源から食品に対して前記複数の波長光を発光時刻をずらして照射して食品及び食品に含まれた異物からの反射光をそれぞれ受光してこの受光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域を有する反射光から反射光画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域を有する反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
また本発明の異物検査装置は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる波長光をそれぞれ照射する複数の光源と、前記複数の光源から食品に対して前記波長光をそれぞれ照射することによる食品及び食品に含まれた異物からの反射光をそれぞれ受光してこの受光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域を有する反射光から反射光画像をそれぞれ生成する複数の撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域を有する複数の反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明の異物検査方法は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を光源から照射し、前記光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光をハーフミラーを介して1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の分光した反射光と透過した透過光とに分離させて受光し、この受光した前記波長域の反射光及び透過光に基づいて反射光画像及び透過光画像を撮影し、この撮影した前記波長域の反射光画像及び透過光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする。
【0020】
また本発明の異物検査方法は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる波長光を複数の光源からそれぞれ照射し、前記複数の光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光である1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の反射光を受光し、この受光した前記波長域の反射光に基づいて反射光画像を撮影し、この撮影した前記波長域の反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする。
【0021】
また本発明の異物検査方法は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる波長光を複数の光源からそれぞれ照射し、前記複数の光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光である1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の反射光を波長光別に受光し、この受光した複数の反射光に基づいて複数の反射光画像を撮影し、この撮影した前記波長域の複数の反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする。
【0022】
また本発明の異物検査方法は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を光源から照射し、前記光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光を第1のハーフミラーを介して1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の分光した第1の反射光と透過した第1の透過光とに分離させて該第1の反射光を受光し、この第1のハーフミラーを介して透過した第1の透過光を第2のハーフミラーを介して受光して1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の分光した第2の反射光と透過した第2の透過光とに分離させて夫々受光し、この第1のハーフミラーを介した前記波長域の第1の反射光、及び第2のハーフミラーを介した前記波長域の第2の反射光及び第2の透過光に基づいてそれぞれ反射光画像及び透過光画像を撮影し、これらの撮影した前記波長域の複数の反射光画像及び透過光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、検査対象の色に拘わらずに金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した細くて小さな異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明の実施例である異物検査装置及び異物検査方法について、図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0025】
まず最初に、食品に混入する代表的な異物及び食品類に対する分光反射スペクトルの一例を説明する。
【0026】
図4は食品の製造過程や販売過程で食品に混入する可能性がある代表的な異物で金属検査装置やX線検査装置での検出が困難な異物(毛髪、ショウジョウバエ)、及び、野菜や米、肉を含む冷凍食品、パン、チョコレートといった幅広いカテゴリの食品類について、それらの分光反射スペクトル(1000nmー1500nm)示したものである。
【0027】
そして図4(a)は食品類の分光反射スペクトルを示し、図4(b)は毛髪、ショウジョウバエ等の異物の分光反射スペクトルを示している。
【0028】
上記した図4(a)で示したように、食品は全てに共通して1000nmから1500nmにかけてピーク値の凸部と、裾値の凹部とを備えた凹凸を示すことが分かる。
【0029】
これは脂肪酸と水分を含む物質にみられる特徴であり、上記以外の多くの食品にも共通する反応である。
【0030】
一方、上記した図4(b)で示した異物である黒髪、白髪、染め毛等の毛髪やショウジョウバエについては、1000nm−1500nmの反射率の変動が非常に小さいことが分かる。
【0031】
異物の毛髪やショウジョウバエについても内部に水分、脂肪を有するが、毛髪表面のキューティクルやショウジョウバエの殻の影響により、水分や脂肪の反応が小さくなっているものと予想される。
【0032】
本発明の異物検査装置では、食品等の水分および脂肪酸を含有する物質が、該物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の特徴的な波長分布を利用して食品類と区別して異物を検出するものである。以下、本発明の実施例である異物検査装置の具体例を説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施例である食品の異物検査装置100の概略構成を示したものであり、この異物検査装置100には食品、異物の画像を撮影するための光源101及び撮影手段123、撮影手段123で撮影した画像から異物を検出するための画像間演算手段116及び異物検出手段118、画像を撮影する対象となる食品を搬送し、異物が検出された場合に異物を含む食品102を仕分けする搬送手段121、上記した各機器の動作タイミングを制御する制御手段120が備えられている。
【0034】
この異物検査装置100の各構成要素について詳細を説明すると、光源101は、1000−1500nmの範囲内に光強度をもつLEDやハロゲンランプ等の照明であり、検査対象の食品102に1000−1500nmの範囲内の赤外光を照射するものである。
【0035】
即ち光源101は、食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を照射している。
【0036】
撮影手段123は、被写体である検査対象の食品102から反射された光103を集光する対物レンズ104と、この光103を対物レンズ104を透過した透過光111と反射光106とに分解するハーフミラー105を備えている。
【0037】
撮影手段123は、このハーフミラー105からの反射光106である1000−1500nm範囲内の第1の波長光108を受光して、この第1の波長光108のうち、特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第1のバンドパスフィルタ107と、この第1のバンドパスフィルタ107を透過した特定範囲の波長帯の第1の波長光108を第1の画像信号110に変換するCCDやCMOS等の第1の撮像素子109を備えている。
【0038】
撮影手段123は更に、ハーフミラー105からの透過光111である1000−1500nm範囲内の透過光111を受光して、この透過光111のうち、異なる特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第2のバンドパスフィルタ112と、この第2のバンドパスフィルタ112を透過した特定範囲の波長帯の第2の波長光113を第2の画像信号115に変換するCCDやCMOS等の第2の撮像素子114とが備えられており、これらの第1、第2の撮像素子109、114で生成した画像信号110、115をそれぞれ画像間演算手段116に出力するように構成されている。
【0039】
そして第1のバンドパスフィルタ107と第2のバンドパスフィルタ112は、1000nmー1500nm範囲内にそれぞれ透過波長域のピークを有し、かつ透過波長域のピークが相互に異なるように形成された2種のバンドパスフィルタである。
【0040】
第1の撮像素子109は第1の波長光108の帯域に感度を有し、第2の撮像素子114は第2の波長光113の帯域に感度を有するものである。
【0041】
光源101については、光が食品102に均一に照射されるように拡散板等を搭載したものが望ましい。
【0042】
食品102が厚みが大きい立体物の場合は対物レンズ104の絞りを調整し、被写界深度を深くして広範囲にピントを合わせることが望ましい。
【0043】
撮影手段123において、特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第1のバンドパスフィルタ107、及び異なる特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第2のバンドパスフィルタ112をそれぞれ透過して取得する第1の波長光108と第2の波長光113は以下のような組み合わせが望ましいが、1000nm〜1500nm範囲内で、食品102に含まれた水分および脂肪による吸収波長の凹凸を構成する2波長の組み合わせであれば、この組み合わせと波長帯域幅(+/−α)を限定するものではない。
【0044】
以下に示した波長帯域幅の組み合せは、第1のバンドパスフィルタ107及び第2のバンドパスフィルタ112に設定した透過させる特定範囲の波長帯の例示である。
【0045】
[波長セット1]第1の波長光(1100−50nm〜1100+50nmの波長帯域)+第2の波長光(1200−50nm〜1200+50nmの波長帯域):1100nm付近の食品の反射率>1200nm付近の食品の反射率の関係を利用する。
【0046】
[波長セット2]第1の波長光(1200−50nm〜1200+50nmの波長帯域)+第2の波長光(1300−50nm〜1300+50nmの波長帯域):1200nm付近の食品の反射率<1300nm付近の食品の反射率の関係を利用する。
【0047】
[波長セット3]第1の波長光(1300−50nm〜1300+50nmの波長帯域)+第2の波長光(1400−50nm〜1400+50nmの波長帯域):1300nm付近の食品の反射率>1400nm付近の食品の反射率の関係を利用する。
【0048】
以上説明した光源101と撮影手段123で生成した食品102の画像は例えば波長セット1を適用した場合、図6(a)及び図6(b)で示したようになる。
【0049】
図6(a)は図1の異物検査装置100で食品102の食品像601の表面に異物である毛髪が付着した状態の異物像602の被写体を撮影した第1の波長光108の画像110を模式的に示したものである。
【0050】
図6(b)は図1の異物検査装置100で同被写体を撮影した第2の波長光113の画像115を模式的に示したもので、食品像603の表面に異物像604が存在しているものである。
【0051】
波長セット1の説明にあるように、食品102の反射率は第1の波長光の反射率>第2の波長光の反射率の関係にあるので、図6(b)に示した食品像603よりも図6(a)に示した食品像601の輝度値が高くなり白く画像化される。
【0052】
一方、図4(a)に食品類の分光反射スペクトルを示し、図4(b)に毛髪、ショウジョウバエ等の異物の分光反射スペクトルを示したものから理解できるように、毛髪、ショウジョウバエ等の異物は、第1の波長光1と第2の波長光の反射率がほとんど同じなので、図6(a)及び図6(b)には同様の輝度値を持つ異物像602、604として画像化される。
【0053】
画像間演算手段116は、撮影手段123からの第1の画像信号110と第2の画像信号115から異物を強調した画像(以下、異物強調画像117と称する)117を生成するものであり、画像信号間の像位置の調整や、輝度信号の調整、画像信号間の差分演算や比計算を行う。
【0054】
画像間演算手段116は、例えば複数のカメラリンクインターフェースやIEEE1394インターフェース等の画像入力インターフェースを備えた画像処理装置やパーソナルコンピュータのソフトウェア処理で実現可能である。
【0055】
また、近年のキャプチャーボードや汎用画像処理装置は、以下に示す画像間演算や像の位置ずれ量の検出等をFPGAやASIC等のハードウェアで高速化処理するものがあり、そのようなハードウェア処理でも十分に実現できる。
【0056】
前記画像間演算手段116の処理手順を図7のフローチャートにより説明する。
【0057】
まず、図7のフローチャートにおける画像信号の調整の処理701では、図1の異物検査装置100における画像間演算手段116に入力された2つの画像信号110、115の調整を行う。撮影手段123ではハーフミラー105を利用するため、画像信号110と画像信号115は像が反転している。このため、ハーフミラー105の反射光106を受光した側の画像信号の像を反転させる。
【0058】
次に輝度信号の補正を行う。輝度信号の補正は場合によっては不要であるが、撮影手段123のバンドパスフィルタ107、112や、撮像素子109、114は製品のばらつきや仕様によって光の透過率や感度が異なることがあり、第1と第2のバンドパスフィルタ107、112が同一強度の光を受光した場合でも、最終的に異なる輝度の画像信号110、115を生成してしまう場合がある。
【0059】
また、検査に利用する波長光108、113の帯域によって光源の強度が一定とは限らないため、被写体が発する各波長の反射光の強度が正確に画像信号の差として反映できない可能性がある。
【0060】
このような問題を防ぐため、上述した光源101や撮影手段123による機差、誤差情報を予め取得しておき、画像間演算手段116に入力された画像信号110、115に対して輝度の補正を行うものである。
【0061】
具体的には、画像間演算手段116において、第1の波長光108と第2の波長光113を照射した場合に同一強度の光を反射する基準像を用意しておき、図13のフローチャートに示す各手順に基づいて補正値を算出する。
【0062】
即ち、図13のフローチャートにおいて、基準パターンの撮影の手順1301にて最初に基準像を第1と第2の撮像素子109、114で撮影する。
【0063】
光源101や撮影手段123の機差、誤差がある場合には第1と第2の画像信号110、115に輝度差が生じる。
【0064】
そこで撮像素子の信号値を比較して、輝度差の有無の手順1302として、輝度差が有りの場合には機差、誤差情報を利用して補正信号を生成する補正値生成の手順1303に進み、その後、補正値保存の手順1304に進んで生成した前記の補正値を保持する。また、輝度差が無しの場合には補正値=0となる。
【0065】
例えば、基準パターンの撮影の手順1301にて基準像を撮影した際に、第1の画像信号110の輝度値が100で第2の画像信号115の輝度値が80だった場合には、100−80=20の輝度値が機差、誤差情報である。
【0066】
そして、補正値生成の手順1303によって、食品の異物検査時には第1の画像信号110に対しては輝度の補正は行わず、第2の画像信号115を1.25倍(100/80)に補正する。
【0067】
この場合の補正信号は誤差、機差情報より求めた1.25である。このような画像信号の輝度補正を行うことで、異物検査装置100の光源101や撮影手段123に機差や誤差がある場合でも、被写体が発する波長域毎の光の強度差を正確に画像信号の差として取得することができる。
【0068】
また、搬送手段121上の基準像位置を示した図11のように、基準像1104を搬送手段121の表面1100上に破線で表示した撮影範囲内1102で、かつ食品102が乗る検査領域1103より外側の領域となる領域1104に連続配置する。
【0069】
即ち、基準像1104は領域1104と一致することになる。
【0070】
図1の異物検査装置100に備えた画像間演算手段116による異物強調画像117の生成時に、この基準像1104を配置した領域1104の画像信号から図13にフローチャートで示した手順に沿って輝度差を検出し、補正値を求めるように構成されている。
【0071】
これによって、異物検査装置100が動作中に発生した誤差をリアルタイムに補正することができる。
【0072】
次に図7のフローチャートにおける像位置のずれ量算出の手順702では、第1の画像信号110と第2の画像信号115の像位置のずれ量を検出する。後述の画像間演算の手順703では、画像信号間の演算で異物を強調した画像信号を生成するため、第1の画像信号110と第2の画像信号115の像位置の対応が取れていない場合に異物ではない部分を異物として強調してしまう可能性がある。
【0073】
このため、像位置のずれ量算出の手順702では、例えば、第1の画像信号110の局所的な2次元画像をテンプレートとし、第2の画像信号115から前記テンプレートと一致する領域をテンプレートマッチングにより検出することで、第1の画像信号110と、第2の画像信号115との像位置のずれ量を求めることができる。
【0074】
なお、像位置の調整については、撮影手段123の第1の撮像素子109および第2の撮像素子114が取得する像位置が一致している場合は不要である。
【0075】
次に、図7のフローチャートにおける画像間演算の手順703では、求めた画像信号間のずれ量を考慮し、画像信号110、115間、もしくは輝度補正後の画像信号間の差分計算や比計算等の画像間演算を行い、画像間演算手段116により異物強調画像117を生成して該異物強調画像117を異物検出手段118に出力する。
【0076】
例えば波長セット1の組み合わせの場合、図6(a)及び図6(b)に示したような画像信号が得られ、第1の画像信号110から第2の画像信号115の差分計算を行い、その差分値を画像信号化すると、図6(c)に示したような異物を強調した異物像606と食品像605が得られる。
【0077】
食品像605については、第1の波長光の反射率>第2の波長光の反射率であり、その差分が輝度値として反映される。一方、食品102については、図4に示したように第1の波長光の反射率≒第2の波長光の反射率であり、その差分は0に等しくなる。
【0078】
また、比計算による画像間演算でも異物を強調した画像を生成することができる。例えば、食品の輝度信号(波長光1:100、波長光2:70)で、異物の輝度信号(波長光1:60、波長光2:60)の場合、波長光1の輝度信号/波長光2輝度信号を計算すると、食品=1.42、異物=1.0となる。
【0079】
この値を画像信号のレンジに調整すれば、図6(c)で示した異物を強調した異物像606のような画像を生成することができる。
【0080】
以上の手順に基づいて図1の異物検査装置100に備えた画像間演算手段116により演算して求めた異物と食品の輝度差は、検査対象の食品と異物との組み合わせによっては1波長光のみで得た異物と食品の輝度差よりも小さくなる場合もある。
【0081】
よって、1波長のみでは検査対象の食品と異物の組み合わせが変わると、その差が非常に小さくなってしまう可能性が高い。
【0082】
そこで、本発明の実施例の異物検査装置100では、2波長による画像間差分を利用することで、食品の種類に依存せず、安定的に異物の強調画像を生成することが可能となる。
【0083】
図5に、波長セット1を利用した場合の食品サンプルと異物サンプルの2波長差分値を示す。異物501は、ショウジョウバエ、黒髪、白髪、白髪染め、おしゃれ染めの5種類であり、食品502はホワイトチョコレートやブラックチョコレートやクラッカー等の菓子類10種類、人参、うどん、米、えび等の冷凍食品の具材26種、パン類11種である。
【0084】
このように、2波長差分値の値に大小はあるが、異物501は2波長差分値の閾値503以下の値に、食品502は閾値503以上の値となっていることから、異物501と食品502とが一つの閾値503で分別可能なことが分かる、
次に図1の異物検査装置100に備えた異物検出手段118では、画像間演算手段116で演算された異物強調画像117を解析し、画像内に異物が含まれている場合に異物検出信号119を生成する。
【0085】
異物検出手段118も画像間演算手段116と同様に、画像信号を取り込む画像処理装置やパーソナルコンピュータのソフトウェア処理、ハードウェア処理で実現可能である。この異物検出手段118による異物の検出は図8のフローチャートに示した手順で行う。
【0086】
図8のフローチャートにおいて、まず、ノイズ低減の手順801では、図1の異物検査装置100の画像間演算手段116で演算して得た異物強調画像117に対し、ガウシアンフィルタや平均化フィルタ等のフィルタリング処理を施し、画像中に含まれたノイズを低減する。
【0087】
次に二値化の手順802では、図5で示したような2波長差分値の閾値503を利用して二値化処理を行い、異物と食品の像を分別する。
【0088】
二値化閾値については、例えば上述した波長セット1の比計算による異物強調画像117の場合(実際にはこれを画像信号に変換した値で実行する)、1.2あたりに閾値を設定し、1.2以上を食品、それ以下を異物と判断している。
【0089】
このような異物強調画像117の二値化処理により、図6(d)に示したような食品像607と異物像608の結果を得ることができる。
【0090】
次に、異物認識の手順803では、二値化処理の結果から異物形状の特徴と一致するパターンを認識処理で検出する。例えば、異物の毛髪は細長い。このため、異物強調画像117内から細長いパターンを検出する。
【0091】
具体的には、図6(d)に示したように異物像608の毛髪が黒、食品像607の食品が白という状態になるように二値化処理される場合、細線化処理により太さ1画素幅の黒画素のパターンを生成する。
【0092】
次に細線化結果から連続した黒画素を探索し、黒画素が数画素以上連続している場合に毛髪として判定し、異物の検出信号を生成する。
【0093】
また、異物の形状が予め既知な場合は、画像間演算手段116で説明したパターンマッチング処理の適用も可能である。
【0094】
これは予め異物の撮影画像を複数テンプレートとして登録しておき、テンプレートと一致もしくは類似する画像上の領域をパターンマッチングで検出するものである。
【0095】
図1の異物検査装置100の異物検出手段118によるパターンマッチング処理でテンプレートとの一致度、もしくは類似度が一定以上の領域が検出された場合に、異物混入と判断し、異物検出信号119を生成する。
【0096】
異物検出手段118から出力される異物検出信号119は、異物の有無や、搬送手段121上の異物混入位置、異物混入画像等であり、制御手段120に入力させることで搬送手段121の制御や、異物検査装置100の操作オペレータに開示する情報として利用される。
【0097】
次に図1の異物検査装置100に備えられた食品搬送手段121は、仕分け機能を有するベルトコンベア等の食品搬送手段であり、異物検出手段118により異物を検出した検出信号119が発行された場合に、制御手段120からの操作によって異物もしくは異物を含む食品を食品搬送手段121上からダストボックス122等に投入するように仕分けする。
【0098】
以上説明した本発明の実施例である異物検査装置100の各構成要素は、制御手段120で動作を制御している。
【0099】
制御手段120は上述した画像処理装置やパーソナルコンピュータのソフトウェア処理で実現できる。この制御手段120を操作させる手順のフローチャートを図9に示す。
【0100】
図9に示したフローチャートにおける光源、撮像素子の起動の手段901では、まず、図1の異物検査装置100に備えられた光源101および撮影手段123を起動し、そして、搬送台の動作開始の手順902で搬送手段121を起動する。
【0101】
次に、撮影、画像間演算、異物検出の実行の手順903では、搬送過程にある食品102を全て検査可能な間隔で、画像撮影、画像間演算、異物検出を実行する。
【0102】
そして、異物の有無の手順904では、図1の異物検査装置100に備えられた異物検出手段118によって食品102中に異物が検出された異物有りの場合に、搬送台の仕分け実行の手順905に進んで、異物を検出した領域にある搬送台121上の異物や異物を含む食品をダストボックス122などに仕分けする。
【0103】
異物の有無の手順904で異物が検出されない異物無しの場合に、異物検出停止の手順906に進んで異物検出を終了する。
【0104】
この場合、光源、撮像素子の停止の手順907に進んで、図1の異物検査装置100に備えられた光源101や撮影手段123の稼動を停止し、次の搬送台の動作停止の手順908に進んで、搬送手段121の運転を停止する。
【0105】
尚、搬送手段121から異物或いは異物を含んだ食品を仕分ける仕分け位置は、搬送手段121の送り速度と撮影手段123の撮影タイミングから異物検出タイミングのずれを考慮した位置に設定する。
【0106】
また、上述した異物検査装置100には、図12に示すような画像表示手段1201や操作手段1202を搭載したユーザインタフェースを設けることによって、図1の異物検査装置100における検査過程の異物強調画像117や、異物検出結果119を異物検査装置100の操作オペレータに供給でき、また、異物検査装置100の起動停止を容易に実行できる。
【0107】
画像表示手段1201は、CRTや液晶モニタ等の画像表示装置である。また、操作手段1202はキーボードやタッチパネルやマウス等の情報入力装置である。
【0108】
図1の異物検査装置100における異物強調画像117や異物検査結果119の表示、オペレータからの操作手段1202からの入力による異物検査装置100の制御は、図10に示したフローチャートに基づいた手順によって、操作手段1202のソフトウェア処理で実行される。
【0109】
即ち、図10に示したフローチャートにおける装置起動停止の手順1001では異物検査装置100の起動操作を確認後に次の装置起動の手順1002に進み、操作手段1202からの異物検査装置100の起動指示を受けて、図9のフローチャートに示した手順901〜905に沿って異物検査装置100を起動して異物及び異物を含んだ食品の検査を実行する。
【0110】
そして次の信号補正値の取得の手順1003では、必要に応じて前述した画像間差分で利用する画像信号の補正値を算出する。
【0111】
次に、複数の波長画像、異物強調画像の表示の手順1004に進んで、画像間演算手段116に入力された画像信号110、115や異物強調画像117を画像表示手段1201に出力する。
【0112】
そして異物検出の手順1005では異物検出手段118から異物が検出された場合に、異物検査位置の表示の手順1006に進んで、その画像に対応する搬送手段121上の異物検出位置と警告を画像表示手段1201に出力する。
【0113】
その後、装置終了操作の手順107で、操作手段1202から異物検査装置100の終了指示が発行された場合に、装置終了の手順1008に進んで図9のフローチャートに示した手順906以降の手順に沿って装置の稼動を終了させる。
【0114】
なお、上記に説明したユーザインタフェースは、後述する本発明の他の実施例2乃至実施例4の異物検査装置にも適用可能である。
【0115】
以上の説明から明らかなように、本実施例の異物検査装置によれば、1つの光源と複数個の撮像素子を備えた構成で、食品等の水分および脂肪酸を含有する物質が、該物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長画像を2つ取得して2画像演算を行うことにより、金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【0116】
本発明の実施例によれば、検査対象の色に拘わらずに金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した細くて小さな異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【実施例2】
【0117】
次に本発明の他の実施例である異物検査装置100を図2を用いて説明する。
【0118】
図2に示した本実施例の異物検査装置100は、図1に示した先の実施例の異物検査装置100と基本的な構成は類似しているので、両者に共通な構成については説明を省略し、両者が相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0119】
図2に示した本実施例の異物検査装置100では、食品に照射する光の波長ピークが異なる2つの光源201及び光源202と、一つの撮像素子205とを用いて図1の実施例で示した異物検査装置100における異物強調画像117と同等な画像を取得するものである。
【0120】
本実施例の異物検査装置100における光源201、202、撮影手段210、画像間演算手段216、搬送手段121、及び制御手段220以外の構成については図1の実施例の異物検査装置100で示したものと同じなので説明を割愛する。
【0121】
第1の光源201と第2の光源202の波長の組み合わせは、図1の実施例で示した異物検査装置100の波長セットの組み合わせと同等である。
【0122】
波長セット1を例にとって説明すると、第1の光源201の波長域は1100−50nm〜1100+50nm、第2の光源202の波長域は1200−50nm〜1200+50nmの波長帯域で、これらの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が相互に異なるものである。
【0123】
それぞれの光源201、202は互いの発光時刻が重ならないように発光時刻をずらして光を検査対象の食品102に照射する。
【0124】
第1の光源201及び第2の光源202から検査対象の食品102に発光時刻をずらして光を照射して、この食品102から反射したそれぞれの反射光203を撮影手段210に備えられた対物レンズ204で集光し、この集光した光204を撮影手段210の撮像素子205に導く。
【0125】
この撮像素子205の感度波長域は、第1の光源201と第2の光源202の波長域をカバーするものである。
【0126】
撮像素子205は、第1の光源201と第2の光源202の照射タイミングに同期してそれぞれの照射光を食品102に照射して反射した反射光203を夫々撮影し、撮影したそれらの画像信号206を撮像素子205から画像間演算手段216に出力する。
【0127】
なお、光源201、202については、光が食品102に均一に照射されるように拡散板等を搭載したものが望ましい。
【0128】
更に、食品102が厚みが大きい立体物の場合は対物レンズ204の絞りを調整し、被写界深度を深くして広範囲にピントを合わせることが望ましい。
【0129】
画像間演算手段216は、撮像素子205から順番に送られてくる第1の光源201の照射光による反射光203を撮影した画像信号206と、第2の光源202の照射光による反射光203を撮影した画像信号206とについて画像間演算を実行し、異物強調画像117を生成するように構成されている。
【0130】
画像間演算手段216による画像間演算では像位置を一致させる必要があるため、このような光源201及び光源202と撮影手段210との構成をとる場合に、画像撮影の度に搬送手段121の移動を制御手段220の操作によって停止させることが望ましい。
【0131】
制御手段220の操作で搬送手段121を停止させて撮影手段210の撮像素子205によって第1の光源201及び第2の光源202から食品102に照射した照射光による反射光203を夫々撮影してそれらの画像信号206を生成する。
【0132】
次に、この食品102の撮影後に制御手段220の操作によって再度搬送手段121を移動させ、撮像素子205の撮影範囲に食品102の未検査の領域を導く。
【0133】
そして、制御手段220の操作によって再度、搬送手段121の移動を停止させ、撮影手段210の撮像素子205で第1の光源201を食品102に照射した照射光による反射光203を撮影した画像信号206と、第2の光源202を食品102に照射した照射光による反射光203を撮影した画像信号206を生成する。以後も順次、上記の操作を繰り返して搬送手段121上の検査対象の食品102の撮像を継続して実施する。
【0134】
また、搬送手段121による食品102の搬送を停止させずに第1の光源201を食品102に光を照射して反射した反射光203を撮影した画像信号206と、第2の光源202を食品102に光を照射して反射した反射光203を撮影した画像信号206とを撮影手段210の撮像素子205によって撮影して生成する場合には、図14に示すように第1の光源201による画像と、第2の光源202による画像の撮影領域を重複させるようにすることで可能となる。
【0135】
図14は、図2に示した本発明の実施例の異物検査装置における搬送手段121の表面1400上に破線で示した撮影手段210による撮影範囲1401よりも広い範囲の領域となる撮影範囲1402を検査する際の、第1の光源201と第2の光源202の光照射時刻と、撮影手段210による撮影時刻を示したものである。
【0136】
まず搬送手段121の表面1400上の撮影範囲1401に食品102が搬送されて、第1の光源201は検査対象の食品102に対する照射光の照射→照射光の停止を、第2の光源202も検査対象の食品102に対する照射光の照射→照射光の停止を夫々繰り返す。
【0137】
撮影手段210の撮像素子205による検査対象の食品102の画像の撮影は、第1の光源201と第2の光源202の照射時刻に合わせて実行する。
【0138】
第1の光源201による撮影間隔および第2の光源202による撮影間隔は、検査不可能な領域の発生を防ぐため、光源201及び光源202の応答性能や搬送手段121の送り性能、撮影手段210の撮影速度、画像間演算手段216や異物検出手段218の処理性能に合わせて調整する。
【0139】
以上説明した図2に示す本実施例である異物検査装置の制御は、図1に示した実施例の異物検査装置100の場合と同様に、図9及び図10で示した各フローチャートの手順に基づき、本実施例の異物検査装置100に備えられた制御手段220によって行う。
【0140】
また、画像間演算手段216では、図1の実施例の異物検査装置100で説明した画像信号の補正や、像位置のずれ量検出を行うことも可能である。
【0141】
なお、以上説明した本実施例の異物検査装置100における第1の光源201と第2の光源202は個別に設置されている必要はない。
【0142】
例えば、図17に示すように、第1の光源201の光を発光するLED素子1702と第2の光源202の光を発光するLED素子1703を環状に交互に配置して、2種の光源となるLED素子1702及びLED素子1703の照射タイミングを制御可能に構成した光源1701であってもよい。
【0143】
以上の説明から明らかなように、本実施例の異物検査装置によれば、2種類の波長光を発光する複数個の光源と1つの撮像素子を備えた構成で、食品等の水分および脂肪酸を含有する物質が、該物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長画像を2つ取得して2画像演算を行うことにより、金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【0144】
本発明の実施例によれば、検査対象の色に拘わらずに金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した細くて小さな異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【実施例3】
【0145】
次に本発明の更に他の実施例である異物検査装置100を図3を用いて説明する。
【0146】
図3に示した本実施例の異物検査装置100は、図1に示した先の実施例の異物検査装置100と基本的な構成は類似しているので、両者に共通な構成については説明を省略し、両者が相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0147】
図3に示した本実施例の異物検査装置100では、食品に照射する光の波長ピークが異なる2種の光源301及び光源306と、2つの撮影手段314及び撮影手段315とを用いて図1の実施例で示した異物検査装置100における異物強調画像117と同等な画像を取得するものである。
【0148】
本実施例の異物検査装置100における光源301、306、撮影手段314、315、画像間演算手段316、及び制御手段320以外の構成要素については図1の実施例の異物検査装置100で示したものと同じなので説明を割愛する。
【0149】
第1の光源301と第2の光源306の波長の組み合わせは、図1の実施例で示した異物検査装置100の波長セットの組み合わせと同等である。
【0150】
波長セット1を例にとって説明すると、第1の光源301の波長域は1100−50nm〜1100+50nm、第2の光源306の波長域は1200−50nm〜1200+50nmの波長帯域である。
【0151】
第1の光源301及び第2の光源306は、検査対象の食品102に対する異物検査中は常時、食品102に光を照射する。
【0152】
本実施例の異物検査装置100における第1の撮影手段314は、第1の光源301から照射した光が食品102から反射した反射光302を集光する対物レンズ303と、対物レンズ302で集光された反射光302を第1の画像信号305に変換する第1の光源301の波長と同波長域に感度を持つ第1の撮像素子304とで構成されている。
【0153】
また、第2の撮影手段315は、第2の光源306から照射した光が食品102から反射した反射光307を集光する対物レンズ308と、対物レンズ308で集光された反射光307を第2の画像信号310に変換する第2の光源306の波長と同領域に感度を持つ第2の撮像素子309とで構成されている。
【0154】
第1の撮影手段314及び第2の撮影手段315は、搬送手段121の送り方向に対して前後の位置関係になるように相互に平行に配置され、搬送手段121上の異なる領域を撮影する。
【0155】
なお、光源310及び光源306については、光が食品102に均一に照射されるように拡散板等を搭載したものが望ましい。
【0156】
更に、食品102が厚みの大きい立体物の場合は対物レンズ303、308の絞りを調整し、被写界深度を深くして広範囲にピントを合わせることが望ましい。
【0157】
また、正確な2波長の画像の取得を行うためには、例えば、第1の光源301から食品102に照射した光が食品102により反射した反射光302は、第1の撮影手段314によって確実に受光させて第2の撮影手段315では受光しないようにする対策が必要である。
【0158】
この対策のためには、光源301と光源306との配置間隔を広げたり、図15に示したように撮影手段314と光源301を通の暗室ボックス1505を設置し、光源302から食品102に照射する光1503や、食品102からこの光1503を反射した反射光302がこの暗室ボックス1505の外部に漏れないような構成にすればよい。
【0159】
尚、撮影手段315と光源306に対しても図15に示した場合と同様に両者を内部に収容する共通の暗室ボックス1505を設置して、光源306から食品102に照射する光1503や、食品102からこの光1503を反射した反射光307がこの暗室ボックス1505の外部に漏れないように構成すればよいが、その図示は省略する。
【0160】
また、図16に示したような波長感度と波長の関係を有する特性をもつローパスフィルタやハイパスフィルタを、撮影手段314の対物レンズ303や撮像素子304の前面に、並びに撮影手段315の対物レンズ308や撮像素子309の前面に夫々取り付けることでも対応が可能である。
【0161】
具体的には、第1の光源301の波長域<第2の光源306の波長域の場合、第1の光源301の波長域1601と第2の光源306の波長域1602の中間点にある波長1603から短波長域を透過するハイパスフィルタを第1の撮影手段314の対物レンズ303や撮像素子304の前面に取り付け、前記中間点にある波長1603から長波長域を透過するローパスフィルタを第2の撮影手段315の対物レンズ308や撮像素子309の前面に取り付けることで、外部波長光の侵入を防ぐことができる。
【0162】
本実施例の異物検査装置100における画像間演算手段316は、第1の撮影手段314で撮影して撮像素子304から出力した第1の画像信号305と、第2の撮影手段315で撮影して撮像素子309から出力した第2の画像信号310を受け取り、画像間演算を行う。ただし、第1の撮影手段314と第2の撮影手段315は前述したように搬送手段121上の撮影位置が異なる。
【0163】
例えば、第1の撮影手段314と第2の撮影手段315とが搬送手段121の送り方向に対して前後の位置関係になるように配置されているため、第1の撮影手段314で時刻tに撮影された搬送手段121上の領域は、第2の撮影手段315では時刻t+nに撮影されるため、n時間分ずれが発生する。
【0164】
このため、画像間演算手段316によって第1の撮影手段314で撮影した画像をn時間分一次保存し、第2の撮影手段315で撮影した画像と、保存しておいたn時間前の第1の撮影手段314で撮影した前記画像を画像間演算することで、同領域の異物強調画像117を生成することができる。
【0165】
また、画像間演算手段316では、図1の実施例の異物検査装置100で説明したものと同様に、画像信号の補正や、像位置のずれ量検出を行うことも可能である。
【0166】
以上説明した本実施例の上記の機器の制御は、図1に示した実施例の異物検査装置100の場合と同様に、図9及び図10で示した各フローチャートの手順に基づき、図3に示す本実施例の異物検査装置100に備えられた制御手段320によって行う。
【0167】
以上の説明から明らかなように、本実施例の異物検査装置によれば、2種類の波長光を発光する複数個の光源と複数個の撮像素子を備えた構成で、食品等の水分および脂肪酸を含有する物質が、該物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長画像を2つ取得し、これらの画像に対して二値化処理の演算を行って異物を検出するようにしたので、金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置が実現できる。
【0168】
本発明の実施例によれば、検査対象の色に拘わらずに金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した細くて小さな異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【実施例4】
【0169】
次に本発明の別の実施例である異物検査装置100を図18を用いて説明する。
【0170】
図18に示した本実施例の異物検査装置100は、図1に示した先の実施例の異物検査装置100と基本的な構成は類似しているので、両者に共通な構成については説明を省略し、両者が相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0171】
図18に示した本発明の異物検査装置100では、食品に光を照射する撮影するための光源101と撮影手段410とを用いて図1の実施例で示した異物検査装置100における異物強調画像117と同等な画像を取得するものである。
【0172】
本実施例の異物検査装置100における撮影手段410、画像間演算手段416、制御手段420以外の構成要素については図1の実施例で示したものと同等なため説明を割愛する。
【0173】
本実施例の異物検査装置100では、図1の実施例で説明した光源と同様に、1000−1500nmの範囲内に光強度をもつLEDやハロゲンランプ等の証明である光源101から食品102に光を照射する。
【0174】
本実施例の異物検査装置100における撮影手段410は、光源101から照射した光が食品102から反射した反射光103を集光する対物レンズ402と、この対物レンズ402で集光された反射光103を導いて反射させた第1の反射光464と、透過させた第1の透過光466とに分光する第1のハーフミラー436を備えている。
【0175】
撮影手段410は、この第1のハーフミラー436からの反射光103から分光された第1の反射光464である1000−1500nmの範囲内の第1の波長光465を受光して、この第1の波長光465のうち、特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第1のバンドパスフィルタ431と、この第1のバンドパスフィルタ431を透過した特定範囲の波長帯の第1の波長光465の波長域に感度を持ち該第1の波長光465を第1の画像信号451に変換する第1の撮像素子405とを備えている。
【0176】
また撮影手段410は、第1のハーフミラー436によって反射光103から分光された第1の透過光466を導いて反射させた第2の反射光467と透過させた第2の透過光469とに分光する第2のハーフミラー437を備えている。
【0177】
撮影手段410は、この第2のハーフミラー437によって第1の透過光466から分光された第2の反射光467のうち、1000−1500nmの範囲内の第2の波長光468を受光して、この第2の波長光468のうち、異なる特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第2のバンドパスフィルタ432と、この第2のバンドパスフィルタ432を透過した第2の波長光468の波長域に感度を持ち該第2の波長光468を第2の画像信号452に変換する第2の撮像素子406とを備えている。
【0178】
また撮影手段410は、この第2のハーフミラー437によって第1の透過光466から分光された第2の透過光469のうち、1000−1500nmの範囲内の第3の波長光470を受光して、この第3の透過光470のうち、更に異なる特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第3のバンドパスフィルタ433と、この第3のバンドパスフィルタ433を透過した第3の波長光470の波長域に感度を持ち該第3の波長光470を第3の画像信号453に変換する第3の撮像素子407とを備えている。
【0179】
そして第1のバンドパスフィルタ431、第2のバンドパスフィルタ432及び第3のバンドパスフィルタ433は、1000nmー1500nm範囲内にそれぞれ透過波長域のピークを有し、かつ透過波長域のピークが相互に異なるように形成された3種のバンドパスフィルタである。
【0180】
以上説明したように撮影手段410を構成することにより、1000−1500nmの範囲内の第1〜第3の波長光465、468、470による画像信号451、452、453を取得することができる。
【0181】
なお、光源101については、光が食品102に均一に照射されるように拡散板等を搭載したものが望ましい。
【0182】
更に、食品102が厚みの大きな立体物の場合は、対物レンズ402の絞りを調整して被写界深度を深くして広範囲にピントを合わせることが望ましい。
【0183】
撮影手段410において、特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第1のバンドパスフィルタ431、異なる特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第2のバンドパスフィルタ432及び更に異なる特定範囲の波長帯を透過させる透過波長ピークを有する第3のバンドパスフィルタ433をそれぞれ透過して取得する第1〜第3の波長光465、468、470は以下のような組み合わせが望ましいが、1000nm〜1500nm範囲内で、食品102に含まれた水分および脂肪による吸収波長の凹凸を構成する3波長の組み合わせであれば、この組み合わせと波長帯域幅(+/−α)を限定するものではない。
【0184】
以下に示した波長帯域幅の組み合せは、第1のバンドパスフィルタ431、第2のバンドパスフィルタ432及び第3のバンドパスフィルタ433に設定した透過させる特定範囲の波長帯の例示である。
【0185】
[波長セット1]第1の波長光(1100−50nm〜1100+50nmの波長帯域)+第2の波長光:(1200−50nm〜1200+50nmの波長帯域)+第3の波長光:(1300−50nm〜1300+50nmの波長帯域):1100nm付近の食品の反射率>1200nm付近の食品の反射率と、1200nm付近の食品の反射率<1300nm付近の食品の反射率の関係を利用する。
【0186】
[波長セット2]第1の波長光(1200−50nm〜1200+50nmの波長帯域)+第2の波長光:(1300−50nm〜1300+50nmの波長帯域)+第3の波長光:(1400−50nm〜1400+50nmの波長帯域):1200nm付近の食品の反射率<1300nm付近の食品の反射率と、1300nm付近の食品の反射率>1400nm付近の食品の反射率の関係を利用する。
【0187】
撮影手段410は上記に説明した波長セットによる3波長の画像信号451、453、452を画像間演算手段416に出力する。
【0188】
撮影手段410では、ハーフミラーを第1のハーフミラー436と第2のハーフミラー437との2段階で介しているので、第1のハーフミラー436による第1の反射光464を受光した画像信号451と、第2のハーフミラー437による第2の反射光467を受光した第2の画像信号452は、第3の画像信号453に対して画像が反転している。
【0189】
このため第1の画像信号451と第2の画像信号452の画像を反転させる。
【0190】
また、第1の反射光464の強度に対し、第2の反射光467の強度と、第3の画像信号453に変換される第2の透過光469の強度はそれぞれ半分になっている。
【0191】
そこで、第2の画像信号452、第3の画像信号453を夫々増幅した上で、第1の画像信号451との比較を行う。
【0192】
前記した波長セット1を利用する場合には、図7のフローチャートに示したような手順で、第1〜第3の画像信号451、453、452の調整を行い、画像間の像のずれ量を検出する。
【0193】
画像間演算手段416による画像間演算では、画像の像位置を合わせた上で、第1の画像信号451>第3の画像信号453<第2の画像信号452の条件を満足する像を高い輝度(食品)、それ以外の像を低い輝度(異物)に置き換えるような演算を行うことで、図6(c)に示したような食品像605に対して異物像606が強調された異物強調画像を生成する。
【0194】
以上説明した本実施例の上記の機器の制御は、図1に示した実施例の異物検査装置100の場合と同様に、図9及び図10で示した各フローチャートと同様の手順に基づき、図18に示す本実施例の異物検査装置100に備えられた制御手段420によって行う。
【0195】
以上の説明から明らかなように、本実施例の異物検査装置によれば、1つの光源と3つの撮像素子を備えた構成で、食品等の水分および脂肪酸を含有する物質が、該物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長画像を3つ取得し、3画像演算と異物検出を行うことにより、金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【0196】
本発明の実施例によれば、検査対象の色に拘わらずに金属検査装置やX線検査装置では検出が困難な食品に混入した細くて小さな異物(毛髪、ショウジョウバエ等)の高精度な検出を容易且つ低コストで可能にした異物検査装置及び異物検査方法が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明は、食品の製造および販売の過程で食品に混入した毛髪、虫類等の異物を高精度に検出する異物検査装置および異物検査方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】本発明の一実施例である食品の異物検査装置を示す概略構成図。
【図2】本発明の他の実施例である食品の異物検査装置を示す概略構成図。
【図3】本発明の更に他の実施例である食品の異物検査装置を示す概略構成図。
【図4】食品類及び異物の水分や脂肪による吸収波長スペクトルを示すグラフ。
【図5】食品類及び異物の水分や脂肪による吸収波長スペクトルを構成する2波長の分光反射率の差分を示すグラフ。
【図6】図1の実施例の異物検査装置で撮影した食品像と異物像の各例を夫々示す模式図。
【図7】図1の実施例の異物検査装置における画像間演算手段による画像間演算の手順を示すフローチャート。
【図8】図1の実施例の異物検査装置における異物検出手段による異物検出の手順を示すフローチャート。
【図9】図1の実施例の異物検査装置における制御手段による制御の手順を示すフローチャート。
【図10】図1の実施例の異物検査装置におけるユーザインタフェースを利用した検査装置の制御の手順を示すフローチャート。
【図11】図1の実施例の異物検査装置における搬送手段上の基準像位置を示す説明図。
【図12】図1の実施例の異物検査装置におけるユーザインタフェースの一例を示す図。
【図13】図1に示した実施例の画像間演算手段における輝度補正値の算出手順を示すフローチャート。
【図14】図1の実施例の異物検査装置における光源の照射タイミングと画像撮影のタイミングを示した説明図。
【図15】図3の実施例の異物検査装置における撮影手段の一例である暗室ボックスを設置した図。
【図16】図3の実施例の異物検査装置における撮影手段に設置するローパスフィルタとハイパスフィルタの感度特性を示す図。
【図17】図2の実施例の異物検査装置における光源の一例を示す機器の図。
【図18】本発明の別の実施例である食品の異物検査装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0199】
100:異物検査装置、101:光源、102:食品、103:食品からの反射光、104:対物レンズ、105:ハーフミラー、106:ハーフミラーからの反射光、107:第1のバンドパスフィルタ、108:第1の波長光、109:第1の撮像素子、110:第1の画像信号、111:ハーフミラーからの透過光、112:第2のバンドパスフィルタ、113:第2の波長光、114:第2の撮像素子、115:第2の画像信号、116:画像間演算手段、117:異物強調画像、118:異物検出手段、119:異物検出信号、120:制御手段、121:搬送手段、122:ダストボックス、123:撮影手段、201:第1の光源、202:第2の光源、203:反射光、204:対物レンズ、205:撮像素子、206:画像信号、216:画像間演算手段、220:制御手段、301:第1の光源、302:第1の反射光、303:第1の対物レンズ、304:第1の撮像素子、305:第1の画像信号、306:第2の光源、307:第2の反射光、308:第2の対物レンズ、309:第2の撮像素子、310:第2の画像信号、314:第1の撮影手段、315:第2の撮影手段、316:画像間演算手段、320:制御手段、402:対物レンズ、405:第1の撮像素子、406:第2の撮像素子、407:第3の撮像素子、410:撮影手段、416:画像間演算手段、420:制御手段、431:第1のバンドパスフィルタ、432:第2のバンドパスフィルタ、433:第3のバンドパスフィルタ、436:第1のハーフミラー、437:第2のハーフミラー、451:第1の画像信号、452:第2の画像信号、453:第3の画像信号、464:第1の反射光、465:第1の波長光、466:第1の透過光、467:第2の反射光、468:第2の波長光、469:第2の透過光、470:第3の波長光、501:異物の2波長差分値、502:食品の2波長差分値、503:閾値、1100:搬送手段の表面、1102:撮影範囲、1103:食品の検査領域、1104:基準像、1201:画像表示手段、1202:操作手段、1400:搬送手段の表面、1401:撮影範囲、1402:検査領域、1503:光源の照射光、1505:暗室ボックス、1601:第1の光源の強度分布、1602:第2の光源の強度分布、1603:第1と第2光源の中間波長、1701:光源、1702:第1の波長の発光手段、1703:第2の波長の発光手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を照射する光源と、光源から前記波長光を照射して食品及び食品に含まれた異物からの反射光を受光してこの受光した反射光を1000nm−1500nmの波長域内の複数の波長域を有する分光した反射光と透過した透過光とに分離させるハーフミラーと、このハーフミラーを介して分光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域をそれぞれ有する反射光及び透過光をそれぞれ撮像して反射光画像及び透過光画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域の反射光画像及び透過光画像を画像処理によって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を照射する光源と、光源から前記波長光を照射して食品及び食品に含まれた異物からの反射光を受光してこの受光した反射光を1000nm−1500nmの波長域内の複数の波長域を有する分光した反射光と透過した透過光とに分離させる第1のハーフミラー、及びこの第1のハーフミラーを透過した透過光を受光して1000nm−1500nmの波長域内の複数の波長域を有する分光した第2の反射光と透過した第2の透過光とに分離させる第2のハーフミラーと、この第1のハーフミラーを介して分光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域をそれぞれ有する反射光、及び第2のハーフミラーを介した第2の反射光、及び第2の透過光をそれぞれ撮像して反射光画像及び透過光画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域の反射光画像及び透過光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる複数の波長光をそれぞれ照射する複数の光源と、前記複数の光源から食品に対して前記複数の波長光を発光時刻をずらして照射して食品及び食品に含まれた異物からの反射光をそれぞれ受光してこの受光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域を有する反射光から反射光画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域を有する反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項4】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる波長光をそれぞれ照射する複数の光源と、前記複数の光源から食品に対して前記波長光をそれぞれ照射することによる食品及び食品に含まれた異物からの反射光をそれぞれ受光してこの受光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域を有する反射光から反射光画像をそれぞれ生成する複数の撮影手段と、前記撮影手段で生成した前記波長域を有する複数の反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出する演算処理手段を備えたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段は、前記異物を強調した画像に基づいて画像処理によって異物を検出して異物検出信号、異物検出位置、異物検出画像のいずれかのデータを出力する手段を備えたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置は異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段によって出力される異物を強調した画像を表示する画像表示手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項7】
請求項5に記載の異物検査装置において、異物検査装置は、異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段によって出力される異物検出信号、異物検出位置、異物検出画像のいずれかのデータを表示する画像表示手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の異物検査装置において、異物検査装置はオペレータによる異物検査装置の制御を行う操作手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置は検査対象の食品を搬送する搬送手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項10】
請求項9に記載の異物検査装置において、異物検査装置の搬送手段は異物を検出した場合に異物や、異物を含む食品を仕分けする仕分け手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段は、前記撮影手段や前記光源の機差、誤差による輝度補正手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段は、前記複数の波長光による画像のずれ量を検出するずれ検出手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段は、前記複数の波長光による画像の輝度差によって異物を強調した画像を生成する演算手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段は、前記複数の波長光による画像の輝度比によって異物を強調した画像を生成する演算手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を強調した画像を生成する演算処理手段は、前記複数の波長光による画像の輝度値の高低の関係を利用して異物を強調した画像を生成する演算手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項16】
請求項5に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を検出する演算処理手段に備えられた異物検出手段は、前記異物を強調した画像の2値化処理と2値化処理結果の画素数によって異物を識別する演算手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項17】
請求項5に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を検出する演算処理手段に備えられた異物検出手段は、前記異物を強調した画像と、予め登録しておいた異物の画像との類似性を検証して異物を識別する演算手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項18】
請求項11に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を検出する演算処理手段に備えられた輝度補正手段は、輝度補正に利用する補正値が2つ以上の波長域で同ー強度の光を反射する基準像に2つ以上の波長光を照射し、その波長光を画像信号に変換した後に画像信号を比較して画像信号間で差分があった場合にその差分値から補正値を算出するように構成されていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項19】
請求項18に記載の異物検査装置において、異物検査装置の異物を検出する演算処理手段に備えられた輝度補正手段は、異物検査装置の搬送手段に配置された基準像の撮影画像から輝度補正値を算出することを特徴とする異物検査装置。
【請求項20】
請求項3に記載の異物検査装置において、異物検査装置の光源は、照射光の照射時刻を波長毎に設定可能に構成し、撮影手段は各波長光の照射時刻毎に反射光を撮影可能に構成し、異物を検出する演算処理手段は撮影画像の中から各光源の画像を選択して異物を強調した画像を生成する手段を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項21】
請求項4に記載の異物検査装置において、異物検査装置に前記撮影手段と光源とを取り囲むボックス部材を備えて外部から前記撮影手段への光の進入を防止するように構成したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項22】
請求項1に記載の異物検査装置において、ハーフミラーを介して分光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域をそれぞれ有する反射光と透過光のうち、反射光を受光してこの反射光が有する特定範囲の波長帯を透過させる第1のバンドパスフィルタと、透過光を受光してこの透過光が有する異なる特定範囲の波長帯を透過させる第2のバンドパスフィルタとを備え、これらの第1のバンドパスフィルタを透過した反射光及び第2のバンドパスフィルタを透過した透過光を前記撮影手段によってそれぞれ撮像して反射光画像及び透過光画像を生成するように構成したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項23】
請求項2に記載の異物検査装置において、ハーフミラーを介して分光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域をそれぞれ有する反射光と透過光のうち、反射光を受光してこの反射光が有する特定範囲の波長帯を透過させる第1のバンドパスフィルタと、ハーフミラーを透過した透過光を更に別のハーフミラーを介して分光した別の反射光を受光してこの別の反射光が有する異なる特定範囲の波長帯を透過させる第2のバンドパスフィルタと、前記別のハーフミラーを介して分光した透過光を受光してこの透過光が有する更に異なる特定範囲の波長帯を透過させる第3のバンドパスフィルタとを備え、これらの第1のバンドパスフィルタを透過した反射光及び第2のバンドパスフィルタを透過した別の反射光及び第3のバンドパスフィルタを透過した透過光を前記撮影手段によってそれぞれ撮像して反射光画像及び透過光画像を生成するように構成したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項24】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を光源から照射し、前記光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光をハーフミラーを介して1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の分光した反射光と透過した透過光とに分離させて受光し、この受光した前記波長域の反射光及び透過光に基づいて反射光画像及び透過光画像を撮影し、この撮影した前記波長域の反射光画像及び透過光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする異物検査方法。
【請求項25】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる波長光を複数の光源からそれぞれ照射し、前記複数の光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光である1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の反射光を受光し、この受光した前記波長域の反射光に基づいて反射光画像を撮影し、この撮影した前記波長域の反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする異物検査方法。
【請求項26】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内にピーク波長をもち、かつピーク波長域が異なる波長光を複数の光源からそれぞれ照射し、前記複数の光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光である1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の反射光を波長光別に受光し、この受光した複数の反射光に基づいて複数の反射光画像を撮影し、この撮影した前記波長域の複数の反射光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする異物検査方法。
【請求項27】
食品に対して水分および脂肪酸を含有する物質内に存在するOH結合の高調波および結合音によって吸収ピークと裾を示す1000nm−1500nmの波長域内の波長光を光源から照射し、前記光源から食品に対して照射された前記波長光が食品及び食品に含まれた異物から反射した反射光を第1のハーフミラーを介して1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の分光した第1の反射光と透過した第1の透過光とに分離させて該第1の反射光を受光し、この第1のハーフミラーを介して透過した第1の透過光を第2のハーフミラーを介して受光して1000nm−1500nmの波長域における複数の波長域の分光した第2の反射光と透過した第2の透過光とに分離させて夫々受光し、この第1のハーフミラーを介した前記波長域の第1の反射光、及び第2のハーフミラーを介した前記波長域の第2の反射光及び第2の透過光に基づいてそれぞれ反射光画像及び透過光画像を撮影し、これらの撮影した前記波長域の複数の反射光画像及び透過光画像を画像処理することによって異物を強調した画像を生成して食品に含まれた異物を検出することを特徴とする異物検査方法。
【請求項28】
請求項24又は請求項27に記載の異物検査方法において、ハーフミラーを介して分光した1000nm−1500nmの波長域内の前記複数の波長域をそれぞれ有する反射光と透過光のうち、反射光及び透過光をそれぞれ受光してこれらの反射光及び透過光が有する特定範囲の波長帯を透過させる複数のバンドパスフィルタをそれぞれ透過した反射光及び透過光に基づいてそれぞれ撮像して反射光画像及び透過光画像を生成するように構成したことを特徴とする異物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−209211(P2008−209211A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45667(P2007−45667)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】