説明

癌の治療における選択的erbB2阻害剤/抗erbB抗体の組合せ

本発明は、erbB2リガンド及び抗体の組合せでの哺乳動物における癌の治療の方法に関する。より特別には、本発明は、erbB抗体との組合せにおいてerbB2リガンドを投与することによって癌を治療する方法に関する。本発明はまた、哺乳動物、具体的にはヒトにおける異常な細胞増殖の治療に有用なキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願への相互参照
参照されるのは、米国仮特許出願番号60/517,636(2003年11月6日出願)である。また参照されるのは、米国仮特許出願番号60/549,600(2004年3月3日出願)である。これらの出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景技術
本発明は、erbB2阻害剤及び抗体の組合せでの哺乳動物における癌の治療の方法に関する。より特別には、本発明は、erbB抗体との組合せにおいてerbB2リガンドを投与することによって癌を治療する方法に関する。本発明はまた、哺乳動物、具体的にはヒトにおける異常な細胞増殖の治療に有用なキットに関する。
【0003】
細胞がそのDNAの一部の腫瘍遺伝子(即ち、活性化時に、悪性腫瘍細胞をもたらす遺伝子)への形質転換のために癌性になり得ることが知られている。多くの腫瘍遺伝子は、細胞の形質転換を引き起こすことが可能な異常チロシンキナーゼであるタンパク質をコードする。あるいは、正常な癌原遺伝子のチロシンキナーゼの過剰発現が増殖障害をもたらし、時には悪性腫瘍の表現型をもたらす場合もある。
【0004】
受容体チロシンキナーゼは、細胞膜にわたって、上皮増殖因子(EGF)のような増殖因子の細胞外結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び、キナーゼとしてタンパク質中の特定チロシン残基をリン酸化して、それ故に細胞増殖に影響を及ぼすように機能する細胞内部分を保有する。EGF受容体チロシンキナーゼファミリーには4つのメンバーがある:EGFR(HERI,erbB1);HER2(c−erbB2,erbB2);HER3(erbB3);及びHER4(erbB4)。このファミリーの別の表記は、neuである。一般に、ErbB受容体は、2つの経路を介してシグナルを伝達する。そのようなキナーゼは、乳癌、結腸、直腸、又は胃の胃腸癌、白血病、及び卵巣、気管支、又は膵臓の癌といった通常のヒト癌において頻繁かつ異常に発現されることが知られている。チロシンキナーゼ活性を保有する上皮増殖因子受容体(EGFR)は、脳、肺、扁平上皮細胞、膀胱、胃、乳房、頭頚部、食道、婦人科系、及び甲状腺の腫瘍のような多くのヒト癌において突然変異している、及び/又は過剰発現していることも示されている。
【0005】
故に、受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、哺乳動物の癌細胞の増殖の選択的阻害剤として有用であると認められてきた。例えば、エルブスタチン、チロシンキナーゼ阻害剤は、上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR)を発現する移植ヒト乳癌の無胸腺ヌードマウスにおける増殖を選択的に弱めるが、EGF受容体を発現しない別の癌腫の増殖に対しては効果がない。
【0006】
癌の治療に有用なある種の化合物が、その開示がそのまま参照により本明細書に組み込まれる、WO01/98277に開示されている。スチレン誘導体のような、様々な他の化合物も、チロシンキナーゼ阻害特性を保有することが示された。より最近では、5つのヨーロッパ特許公開公報、即ち、EP 0 566 226 A1(1993年10月20日公開)、EP 0 602 851 A1(1994年6月22日公開)、EP 0 635 507 A1(1995年1月25日公開)、EP 0 635 498 A1(1995年1月25日公開)、及びEP 0 520 722 A1(1992年12月30日公開)は、ある種の二環系誘導体、特にキナゾリン誘導体がそのチロシンキナーゼ阻害特性より生じる抗癌特性を保有すると言及している。また、国際特許出願WO92/20642(1992年11月26日公開)は、ある種のビス−モノ及び二環系アリール及びヘテロアリール化合物を、異常な細胞増殖を阻害するのに有用であるチロシンキナーゼ阻害剤として言及する。国際特許出願WO96/16960(1996年6月6日公開)、WO96/09294(1996年3月6日公開)、WO97/30034(1997年8月21日公開)、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、及びWO98/02438(1998年1月22日公開)も、置換された二環系複素芳香族誘導体を、同じ目的に有用であるチロシンキナーゼ阻害剤として言及する。抗癌化合物へ言及する他の特許出願は、米国特許出願番号09/488,350(2000年1月20日出願)及び09/488,378(2000年1月20日出願)であり、そのいずれもそのまま参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
erbB2への抗体が知られていて、治療有用性を有する。米国特許第5,725,856号は、一部、erbB2(HER2)受容体の細胞外ドメインへ結合する抗体を投与することによる治療へ向けられる。米国特許第5,677,171号は、HER2受容体へ結合するモノクローナル抗体へ向けられる。米国特許第5,720,954号は、細胞傷害性因子とHER2受容体への抗体の使用による治療へ向けられる。米国特許第5,770,195号は、腫瘍細胞の増殖を阻害することへ向けられる。米国特許第6,165,464号は、HER2受容体へ結合する単離ヒト抗体へ向けられる。米国特許第6,387,371号は、抗体と、癌細胞増殖を抑制する因子を投与することによって癌を治療する方法へ向けられる。
【0008】
発明の要約
1つの側面において、本発明は、癌のような、異常な細胞増殖を有する哺乳動物を治療する方法を含み、該方法は、そのような治療の必要な前記哺乳動物へ、(i)erbBファミリー遺伝子によりコードされるタンパク質への抗体の量;及び(ii)式1:
【0009】
【化1】

【0010】
[式中:
mは、0〜3の整数であり;
pは、0〜4の整数であり;
それぞれのR及びRは、HとC〜Cアルキルより独立して選択され;
は、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、前記複素環式基は、ベンゼン環又はC〜Cシクロアルキル基へ随意に縮合して、先のR基の−(CR−部分には、炭素−炭素二重又は三重結合が随意に含まれ、ここでtは2と5の間の整数であり、そして、上記に言及される任意の縮合環が含まれる先述のR基は、1〜5のR基により随意に置換され;
は、−(CR1617−C≡C−(CR1617、−(CR1617−C=C−(CR1617−R、−(CR1617−C≡C−(CR161713、−(CR1617−C=C−(CR161713、又は−(CR1617であり、ここでRへの付加点は、R基の炭素原子を介し、それぞれのkは1〜3の整数であり、それぞれのtは0〜5の整数であり、そしてそれぞれのmは0〜3の整数であり;
それぞれのRは、ハロ、ヒドロキシ、−NR、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、−NRC(O)R、−C(O)NR、−SONR、−NRC(O)NR、及び−NRC(O)ORより独立して選択され;
それぞれのR、R6a、及びRは、H、C〜Cアルキル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択され、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR及びR基のアルキル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ヒドロキシ、及びC〜Cアルコキシより独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換される;
又はR及びR、又はR6a及びRは、窒素原子(同じ窒素原子、又は、例えば、−C(O)又は−SO−による相互連結を介して互いに近傍にある2つの別々の窒素原子が含まれる)へ付くとき、一緒になって、前記R、R6a、及びRが付く窒素原子に加えて、N、N(R)、O、及びSより選択される1〜3の追加へテロ部分が含まれる場合がある4〜10員複素環式環を形成する場合があり(但し、2つのO原子、2つのS原子、又はO及びS原子は、互いへ直接付かない);
それぞれのRは、オキソ(=O)、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜C10アルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−NRSONR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−C(O)NR、−NR、−NROR、−SONR、−S(O)(C〜Cアルキル)(ここでjは、0〜2の整数である)、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRC(O)(CR(C〜C10アリール)、−(CRC(O)(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRO(CR(C〜C10アリール)、−(CRO(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRS(O)(CR(C〜C10アリール)、及び−(CRS(O)(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される(ここでjは、0、1、又は2であり、tは、それぞれ独立して、0〜5の整数である)、又は先述のR基の複素環式部分の1又は2の環炭素原子は、オキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NROR、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換され(ここでtは、0〜5の整数である);
は、非芳香族の単環式環、縮合又は架橋した二環式環、又はスピロ環式環であり、ここで前記環は、3〜12の炭素原子を含有し、このうち0〜3の炭素原子は、N、O、S(O)(ここでjは、0〜2の整数である)、及び−NR−より独立して選択されるヘテロ部分で随意に置き換えられ(但し、2つのO原子、2つのS(O)部分、O原子とS(O)部分、N原子とS原子、又はN原子とO原子は、前記環内で互いに直接付くことはなく、そしてここで、前記環の炭素原子は、1又は2のR基で随意に置換される);
それぞれのR11は、Rの定義において提供される置換基より独立して選択され(但しR11は、オキソ(=O)ではない);
12は、R、−OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−OCO、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)NR6a、−NRSONR6a、−NRCO、CN、−C(O)R、又はハロであり(ここでjは、0〜2の整数である);
13は、−NR14又は−OR14であり;
14は、H、R15、−C(O)R15、−SO15、−C(O)NR15、−SONR15、又は−CO15であり;
15は、R18、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR15基のアリール及び複素環式部分は、1〜3のR置換基で随意に置換され;
それぞれのR16及びR17は、H、C〜Cアルキル、及び−CHOHより独立して選択されるか、又はR16とR17は、−CHCH−又は−CHCHCH−として一緒になり;
18は、C〜Cアルキルであり、ここでN又はO原子、又はS(O)(ここでjは0〜2の整数である)へ結合しない各炭素は、R12で随意に置換され;
そしてここで、ハロゲノ、SO又はSO基へも、N、O又はS原子へも付かない、CH(メチル)、CH(メチレン)、又はCH(メチン)基を含んでなる、上記置換基のいずれも、ヒドロキシ、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、及び−NRより選択される基で随意に置換される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの治療有効量を、どの順序でも連続的に、同時に、又はその両方で投与することを含んでなる。
【0011】
本発明の具体的な態様において、Rは、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、前記複素環式基は、ベンゼン環又はC〜Cシクロアルキル基へ随意に縮合して、そして、上記に言及される任意の縮合環が含まれる先述のR基は、1〜3のR基により随意に置換される。
【0012】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR(4〜10員複素環式基)であり(ここでtは、0〜5の整数である)、先述のR基が1〜3のR基により随意に置換されるものが含まれる。
【0013】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが:
【0014】
【化2】

【0015】
より選択されて、先述のR基が1〜3のR基により随意に置換されるものが含まれる。
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが、1〜3のR基により随意に置換されるピリジン−3−イルであるものが含まれる。
【0016】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C≡C−(CR1617である(ここで、mは0〜3の整数であり、そしてtは0〜5の整数である)ものが含まれる。
【0017】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C≡C−(CR1617であり(ここで、mは0〜3の整数であり、そしてtは0〜5の整数である)、ここでRは、そのそれぞれが1又は2のR基で随意に置換される3−ピペリジニル及び4−ピペリジニルより選択されるものが含まれる。
【0018】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C=C−(CR1617である(ここで、mは0〜3の整数であり、そしてtは0〜5の整数である)ものが含まれる。
【0019】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C=C−(CR1617であり(ここで、mは0〜3の整数であり、そしてtは0〜5の整数である)、ここでRは、(1又は2のR基で随意に置換される)3−ピペリジニル及び4−ピペリジニルより選択されるものが含まれる。
【0020】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C≡C−(CR161713である(ここで、kは1〜3の整数であり、そしてmは0〜3の整数である)ものが含まれる。
【0021】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C≡C−(CR161713であり(ここで、kは1〜3の整数であり、そしてmは0〜3の整数である)、ここでR13は−NR14であり、ここでR14は、−C(O)R15、−SO15、及び−C(O)NR15より選択されるものが含まれる。
【0022】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C=C−(CR161713である(ここで、kは1〜3の整数であり、そしてmは0〜3の整数である)ものが含まれる。
【0023】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C=C−(CR161713であり(ここで、kは1〜3の整数であり、そしてmは0〜3の整数である)、ここでR13は−NR14であり、ここでR14は、−C(O)R15、−SO15、及び−C(O)NR15より選択されるものが含まれる。
【0024】
式1の化合物の他の具体的な態様には、Rが−(CR1617−C≡C−(CR161713又は−(CR1617−C=C−(CR161713あり(ここで、kは1〜3の整数であり、そしてmは0〜3の整数である)、R13は、−NR14又は−OR14であり、R14はR15であり、R15はR18であり、そしてR18は、−OR、S(O)、−NR、−NRC(O)R、−NRSO、−NRCO、CN、−C(O)R、又はハロにより随意に置換されるC〜Cアルキルであるものが含まれる。
【0025】
なお別の側面において、本発明の方法は、erbB2タンパク質を過剰発現する癌の治療を含む。特別な態様において、erbB2の発現のレベルは、0(正常)〜+1〜+2〜+3に及ぶ4値スケールで+2又は+3である。+3の数値は、きわめて攻撃的な腫瘍に関連する。
【0026】
本発明の方法及びキットに特に好ましい化合物には、以下の化合物:
(±)−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−3−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
(±)−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−3−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−4−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
2−フルオロ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−4−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
2−メトキシ−N−(1−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イルエチニル}−シクロプロピル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−2−メトキシ−アセトアミド;
N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−2−エトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
1−エチル−3−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−尿素;
ピペラジン−1−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド;
(±)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド;
2−ジメチルアミノ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−メタンスルホンアミド;
イソオキサゾール−5−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド;
1−(1,1−ジメチル−3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−3−エチル−尿素;
及び、先述の化合物の医薬的に許容される塩、プロドラッグ、及び溶媒和物の1以上を包含するものが含まれる。
【0027】
本発明はまた、本発明の組合せ、即ち、式1の化合物とerbBファミリー遺伝子によりコードされるタンパク質への抗体の組合せを提供して、抗腫瘍剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗生物質、植物由来抗腫瘍剤、カンプトテシン誘導体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗体、インターフェロン、及び生物学的応答調節剤からなる群より選択される1以上の追加治療薬剤を投与することをさらに含んでなる。
【0028】
1つの態様において、追加治療薬剤は、カンプトテシン、イリノテカンHCl、エドテカリン、SU−11248、エピルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、リツキシマブ、ベバシツマブ、Erbitux、ゲフィチニブ、エキセメスタン、Lupron、アナストロゾール、タモキシフェン、Trelstar、Filgrastim、オンダンセトロン、Fragmin、Procrit、Aloxi、Emend、及びこれらの組合せからなる群より選択される。特別な態様において、追加治療薬剤は、パクリタキセル、エキセメスタン、タモキシフェン、及びこれらの組合せからなる群より選択される。
【0029】
特別な態様において、本発明は、式1の化合物、Herceptin、及び随意に、パクリタキセル、エキセメスタン、タモキシフェン、及びこれらの組合せより選択される1以上の薬剤を含んでなる組合せを提供する。
【0030】
本発明の方法はまた、ヒトが含まれる哺乳動物における異常な細胞増殖の治療の方法に関し、該方法は、異常な細胞増殖を治療するのに有効である、上記に定義される、式1の化合物又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの量をerbB2タンパク質への抗体との組合せにおいて前記哺乳動物へ投与することを含んでなる。この方法の1つの態様において、異常な細胞増殖は癌であり、限定されないが、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚又は眼内の黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌、子宮内膜癌、頚部癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、柔組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性又は急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、又は1以上の上記癌の組合せが含まれる。前記方法の別の態様において、前記異常な細胞増殖は、良性の増殖性疾患であり、限定されないが、乾癬、良性前立腺肥大症、又は再狭窄が含まれる。
【0031】
別の側面において、本発明の方法は、上記の工程(i)と上記の工程(ii)の組合せへ向けられ、ここでその組合せは、どちらか単独に比較して相乗的である。好ましくは、その組合せは、超相加的(superadditive)である。
【0032】
本発明はまた、上記に定義される式1の薬剤と、erbB2タンパク質への抗体との同時投与についての使用説明書を含んでなる、異常な細胞増殖の治療用のキットに関する。特別な側面において、抗体は、HerceptinTMとして使用説明書に記載される。本発明のキットの別の特別な側面において、使用説明書は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの投与を特定する。前記キットの1つの態様において、前記異常な細胞増殖は癌であり、限定されないが、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚又は眼内の黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌、子宮内膜癌、頚部癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、柔組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性又は急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、又は1以上の上記癌の組合せが含まれる。前記キットの別の態様において、前記異常な細胞増殖は、良性の増殖性疾患であり、限定されないが、乾癬、良性前立腺肥大症、又は再狭窄が含まれる。
【0033】
式1の化合物とその医薬的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグは、EGFR抗体、EGF抗体、及びEGFR阻害剤である分子のように、EGFR(上皮増殖因子受容体)応答を阻害することができる薬剤;並びに、erbB2受容体へ結合する有機分子又は抗体のようなerbB2受容体阻害剤、例えば、HerceptinTM(ジェネンテク社、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ、米国)といった、シグナル伝達阻害剤との組合せにおいて使用してもよい。
【0034】
EGFR阻害剤は、例えば、WO95/19970(1995年7月27日公開)、WO98/14451(1998年4月9日公開)、WO98/02434(1998年1月22日公開)、及び米国特許第5,747,498号(1998年5月5日発行)に記載されている。EGFR阻害性の薬剤には、限定されないが、モノクローナル抗体C225及び抗EGFR 22Mab(ImClone Systems社、ニューヨーク州ニューヨーク、米国)、化合物、ZD−1839(アストラゼネカ)、BIBX−1382(ベーリンガー・インゲルハイム)、MDX−447(メダレクス社、ニュージャージー州アナンデール、米国)、及びOLX−103(メルク社、ニュージャージー州ホワイトハウスステーション、米国)、VRCTC−310(Ventech Research)、及びEGF融合毒素(セラージェン社、マサチューセッツ州ホプキントン)が含まれる。
【0035】
GW−282974(グラクソ・ウェルカム社)とモノクローナル抗体、AR209(Aronex Pharmaceuticals社、テキサス州ウッドランズ、米国)及び2B−1(カイロン)のようなErbB2受容体阻害剤を式1の化合物との組合せにおいて投与してよい。そのようなerbB2阻害剤には、Herceptin、2C4、及びペルツツマブが含まれる。そのような阻害剤には、そのいずれもそのまま参照により本明細書に組み込まれる、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO99/35146(1999年7月15日公開)、WO99/35132(1999年7月15日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、WO97/13760(1997年4月17日公開)、WO95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許第5,587,458号(1996年12月24日発行)、及び米国特許第5,877,305号(1999年3月2日発行)に記載されるものも含まれる。本発明に有用なerbB2受容体阻害剤は、そのいずれもそのまま参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願番号60/117,341(1999年1月27日出願)、及び米国仮特許出願番号60/117,346(1999年1月27日出願)にも記載されている。
【0036】
本明細書に使用する「異常な細胞増殖」は、他に示さなければ、正常な調節機序から独立している細胞増殖(例えば、接触阻害の喪失)に関連する。これには:(1)突然変異したチロシンキナーゼを発現すること、又は受容体チロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)異常なチロシンキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞;(4)受容体チロシンキナーゼによって増殖するあらゆる腫瘍;(5)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化によって増殖するあらゆる腫瘍;及び(6)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞の異常な増殖が含まれる。
【0037】
本明細書に使用する用語「治療すること」は、他に示さなければ、そのような用語が適用される障害又は状態、又はそのような障害又は状態の1以上の症状を逆転させる、軽減する、その進行を阻害する、又は予防することを意味する。本明細書に使用する用語「治療」は、他に示さなければ、治療することの行為に関連する(「治療すること」は、直前に定義されている)。
【0038】
本明細書に使用する用語「ハロ」には、他に示さなければ、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードが含まれる。好ましいハロ基は、フルオロ及びクロロである。
本明細書に使用する用語「アルキル」には、他に示さなければ、直鎖、環式(単環又は多環の部分が含まれる)又は分岐鎖の部分を有する、飽和の1価炭化水素残基が含まれる。前記アルキル基に環式部分が含まれるには、それが少なくとも3つの炭素原子を含有しなければならないと理解される。
【0039】
本明細書に使用する用語「シクロアルキル」には、他に示さなければ、環式(単環又は多環の部分が含まれる)部分を有する、飽和の1価炭化水素残基が含まれる。
本明細書に使用する用語「アルケニル」には、他に示さなければ、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、上記に定義されるようなアルキル基が含まれる。
【0040】
本明細書に使用する用語「アルキニル」には、他に示さなければ、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、上記に定義されるようなアルキル基が含まれる。
本明細書に使用する用語「アリール」には、他に示さなければ、芳香族炭化水素より1つの水素の除去により誘導される、フェニル又はナフチルのような有機残基が含まれる。
【0041】
本明細書に使用する用語「アルコキシ」には、他に示さなければ、−O−アルキル基が含まれ、ここでアルキルは、上記に定義される通りである。
本明細書に使用する用語「4〜10員複素環式基」には、他に示さなければ、O、S、及びNよりそれぞれ選択される1以上のヘテロ原子を含有する芳香族及び非芳香族の複素環式基が含まれ、ここでそれぞれの複素環式基は、その環系に4〜10の原子を有する。非芳香族の複素環式基には、その環系に4つだけの原子を有する基が含まれるが、芳香族の複素環式基は、その環系に少なくとも5つの原子を有さなければならない。複素環式基には、ベンゾ縮合環系と、1以上のオキソ部分で置換された環系が含まれる。4員複素環式基の例は、アゼチジニル(アゼチジンより誘導される)である。5員複素環式基の例はチアゾリルであり、10員複素環式基の例はキノリルである。非芳香族の複素環式基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、及びキノリジニルである。芳香族の複素環式基の例は、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。上記に列挙される化合物より誘導される先述の基は、可能である場合、C付加しても、N付加してもよい。例えば、ピロールより誘導される基は、ピロール−1−イル(N付加)でも、ピロール−3−イル(C付加)でもよい。
【0042】
用語「Me」はメチルを意味し、「Et」はエチルを意味し、そして「Ac」はアセチルを意味する。
上記のXの定義において、−(CR−及び(CR1617部分と他の類似の部分は、上記に示されるように、1を超える下付き文字(即ち、m、k、等)のそれぞれの繰返しについてのR1、R2、R16、及びR17の定義において変化してよい。従って、−(CR−には、mが2である場合、−CHC(Me)(Et)−を含めてよい。
【0043】
本明細書に使用する句「医薬的に許容される塩」には、他に示さなければ、本発明の化合物に存在し得る酸性又は塩基性の基の塩が含まれる。性質が塩基性である本発明の化合物は、様々な無機及び有機酸と多種多様な塩を形成することが可能である。そのような塩基性化合物の医薬的に許容される酸付加塩を製造するために使用し得る酸は、無毒の酸付加塩、即ち、薬理学的に許容されるアニオンを含有する、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモエート[即ち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)]塩のような塩を形成するものである。アミノ基のような塩基性部分が含まれる本発明の化合物は、上記に言及した酸に加えて、様々なアミノ酸と医薬的に許容される塩を形成することができる。
【0044】
性質が酸性である本発明の化合物は、様々な薬理学的に許容されるカチオンと塩基性塩を形成することが可能である。そのような塩の例には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩、そして特に、本発明の化合物のカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウム塩が含まれる。
【0045】
本発明の化合物内に含有されるある種の官能基は、バイオ同配性(bioisosteric)基、即ち、元の基に類似した空間又は電子要求性を有するが、異なるか又は改善された物理化学的又は他の特性を明示する基で置換することができる。好適な例は当業者によく知られていて、限定されないが、Patini et al., Chem. Rev, 1996, 96, 3147-3176 と本明細書に引用する参考文献に記載される部分が含まれる。
【0046】
本発明の化合物は、不斉中心を有するので、異なるエナンチオマー及びジアステレオマー型で存在する。本発明は、本発明の化合物のすべての光学異性体及び立体異性体とそれらの混合物の使用に、そしてそれらを利用又は含有し得るすべての医薬組成物と治療の方法に関する。式1の化合物は、互変異性体として存在してもよい。本発明は、すべてのそのような互変異性体とその混合物の使用に関する。
【0047】
本発明の主題物質には、天然で通常見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子に1以上の原子が置き換えられること以外は、式1に引用されるものと同一である、同位体標識された化合物とその医薬的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグも含まれる。本発明の化合物へ取り込むことができる同位体の例には、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、及び36Clのような、それぞれ水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体が含まれる。上記の同位体、及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物、そのプロドラッグ、及び前記化合物又は前記プロドラッグの医薬的に許容される塩は、本発明の範囲内にある。本発明のある種の同位体標識化合物、例えば、H及び14Cのような放射活性同位体が取り込まれたものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム化、即ちHと、炭素−14、即ち14Cの同位体は、その調製の容易さと検出可能性のために特に好ましい。さらに、重水素、即ちHのようなより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性より生じるある種の治療上の利点、例えば、in vivo 半減期の増加又は投与必要量の抑制をもたらすことができるので、ある状況において好ましい場合がある。本発明の式1の同位体標識化合物とそのプロドラッグは、一般に、容易に利用可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬に代用することによって、以下のスキーム及び/又は実施例及び製法に開示される手順を行うことによって製造することができる。
【0048】
本発明には、式1の化合物のプロドラッグを含有する医薬組成物と、それを投与することを介して細菌感染症を治療する方法も含まれる。フリーのアミノ、アミド、ヒドロキシ、又はカルボン酸基を有する式1の化合物は、プロドラッグへ変換することができる。プロドラッグには、アミノ酸残基、又は2以上(例えば、2、3、又は4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド又はエステル結合を介して式1の化合物のフリーのアミノ、ヒドロキシ、又はカルボン酸基へ共有結合する化合物が含まれる。アミノ酸残基には、限定されないが、通常3文字記号により表記される20の天然に存在するアミノ酸が含まれ、また、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、及びメチオニンスルホンが含まれる。追加の種類のプロドラッグも含まれる。例えば、フリーのカルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導化することができる。フリーのヒドロキシ基は、Advanced Drug Delivery Reviews, 1996, 19, 115 に概説されるように、限定されないが、ヘミスクシネート、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート、及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルが含まれる基を使用して、誘導化することができる。ヒドロキシ及びアミノ基のカルバミン酸プロドラッグも、カルボネートプロドラッグ、ヒドロキシ基のスルホン酸エステル及び硫酸エステルと同じように含まれる。ヒドロキシ基の(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしての誘導化(ここで、アシル基は、限定されないが、エーテル、アミン、及びカルボン酸官能基が含まれる基で随意に置換されるアルキルエステルであり得るか、又はここでアシル基は、上記に記載されるようなアミノ酸エステルである)も含まれる。この種のプロドラッグは、J. Med. Chem. 1996, 39, 10 に記載されている。フリーアミンも、アミド、スルホンアミド、又はホスホンアミドとして誘導化することができる。これらのプロドラッグ部分のいずれも、限定されないが、エーテル、アミン、及びカルボン酸官能基が含まれる基を取り込んでよい。
【0049】
用語「シナジー」及び「相乗的」は、2以上のエフェクター又は活性剤の組合せが、その効果において少なくとも相加的であることを意味する。好ましくは、シナジーは、相加的より大きい。より好ましくは、シナジーは、超相加的である。用語「相加的」は、2以上のエフェクター又は薬剤の組合せの結果が、それぞれのエフェクター又は薬剤の一緒の合計より大きく、好ましくは、この組合せの加算効果より少なくとも10%大きいことを意味するために使用する。用語「超相加的」は、2以上のエフェクターの組合せの結果が、この組合せの加算効果より少なくとも25%大きいことを意味するために使用する。
【0050】
「リガンド」は、受容体へ結合する低分子を記載するために特に使用する。本発明において重要なリガンドの群は、上皮増殖因子ファミリーの受容体へ結合する式1のリガンドである。リガンドは、受容体機能の阻害剤であり得て、アクチベーターの作用のアンタゴニストであり得る。
【0051】
当該技術分野で一般的なある種の略語を自由に使用して、それは文脈で理解されるものである。その中には、薬物動態(PK)、薬力学(PD)、胎仔ウシ血清(FBS)、ペニシリン/ストレプトマイシン(pen/strep)、ロズウェル・パーク・メモリアル研究所(RPMI)、経口(PO)、1日1回(QD)、腹腔内(IP)、皮下(SC)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、PK分析における分析物の最高濃度(Cmax)、PK分析における分析物の平均濃度(Cave)、がある。
【0052】
発明の詳細な説明
式1の化合物は、以下の式Iに概説する合成スキームに従って製造することができる。
【0053】
【化3】

【0054】
本発明の化合物を製造するのに参照し得る一般的な合成法は、米国特許第5,747,498号(1998年5月5日発行)、米国特許出願番号08/953078(1997年10月17日出願)、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO98/02438(1998年1月22日公開)、WO96/40142(1996年12月19日公開)、WO96/09294(1996年3月6日公開)、WO97/03069(1997年1月30日公開)、WO95/19774(1995年7月27日公開)、及びWO97/13771(1997年4月17日公開)に提供される。追加の手順は、米国特許出願番号09/488,350(2000年1月20日出願)及び09/488,378(2000年1月20日出願)が参考になる。上記の特許及び特許出願は、そのまま参照により本明細書に組み込まれる。ある種の出発材料は、当業者に馴染みの方法に従って製造してよく、ある種の合成の変更は、当業者に馴染みの方法に従って行ってよい。6−ヨードキナゾリンを製造するための標準手順は、Stevenson, T. M., Kazmierczak, F., Leonard, N. J., J. Org. Chem. 1986, 51, 5, p. 616 に提供される。パラジウム触媒によるボロン酸カップリングは、Miyaura, N., Yanagi, T., Suzuki, A. Syn. Comm. 1981, 11, 7, p. 513 に記載されている。パラジウム触媒によるHeckカップリングは、Heck et al. Organic Reactions 1982, 27, 345 又は Cabri et. al., Acc. Chem. Res. 1995, 28, 2 に記載されている。末端アルキンのハロゲン化アリールへのパラジウム触媒によるカップリングの例については:Castro et al. J. Org. Chem. 1963, 28, 3136 又は Sonogashira et. al. Synthesis, 1977, 777 を参照のこと。末端アルキン合成は、Colvin, E. W. J. et. al. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1977, 869; Gilbert, J. C. et. al. J. Org. Chem., 47, 10, 1982; Hauske, J. R. et. al. Tet. Lett., 33, 26, 1992, 3715; Ohira, S. et. al. J. Chem. Soc. Chem. Commun., 9, 1992, 721: Trost, B. M. J. Amer. Chem. Soc., 119, 4, 1997, 698; 又は Marshall, J. A. et. al. Org. Chem., 62, 13, 1997, 4313 に記載されるように、適切に置換/保護されたアルデヒドを使用して実施することができる。
【0055】
あるいは、末端アルキンは、2工程手順によって製造してよい。最初に、Nakatani, K. et. al. Tetrahedron, 49, 9, 1993, 1901 のように、適切に置換/保護されたアルデヒドへTMS(テトラメチルシリル)アセチレンのリチウムアニオンを付加する。次いで、Malacria, M., Tetrahedron, 33, 1977, 2813; 又は White, J. D. et. al. Tet. Lett., 31, 1, 1990, 59 のように、後続の塩基による脱保護を使用して、中間体の末端アルキンを単離することができる。
【0056】
その合成について上記に具体的に記載しない出発材料は、市販品を利用可能であるか、当業者によく知られた方法を使用して製造することができる。
上記のスキームに考察又は例示される反応のそれぞれにおいて、圧力は、他に示さなければ、さして重要ではない。約0.5気圧〜約5気圧の圧力が概して受容され、周囲圧、即ち、約1気圧が便宜上好ましい。
【0057】
上記のスキーム1に関して言えば、式1の化合物は、式D(ここでRとRは、上記に定義される通りである)の化合物を式E(ここでR、R、及びR11は、上記に定義される通りである)のアミンと、無水溶媒、特に、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DME(エチレングルコールジメチルエーテル)、DCE(ジクロロエタン)、及びt−ブタノール、及びフェノール、又は上記溶媒の混合物より選択される溶媒において、約50〜150℃の範囲内の温度で、1時間〜48時間に及ぶ時間の間カップリングすることによって製造することができる。式Eのヘテロアリールオキシアニリンは、対応するニトロ中間体の還元のような、当業者に知られた方法によって製造することができる。芳香族ニトロ基の還元は、Brown, R. K., Nelson, N. A. J. Org. Chem. 1954, p. 5149; Yuste, R., Saldana, M, Walls, F., Tet. Lett. 1982, 23, 2, p. 147; 又は上記に参照したWO96/09294に概説される方法によって実施することができる。適切なヘテロアリールオキシニトロベンゼン誘導体は、Dinsmore, C. J. et. al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 7, 10, 1997, 1345; Loupy, A. et. al., Synth. Commun., 20, 18, 1990, 2855; 又は Brunelle, D. J., Tet. Lett., 25, 32, 1984, 3383 に記載されるように、ハロニトロベンゼン前駆体より、このハロゲン化物の適切なアルコールでの求核置換によって製造することができる。RがC〜Cアルキル基である式Eの化合物は、元のアニリンのRCH(O)での還元アミノ化によって製造することができる。式Dの化合物は、式C(ここでZは、ブロモ、ヨード、−N、又は−OTf(−OSOCFである)のような活性化基であるか、NO、NH、又はOHのような活性化基の前駆体である)の化合物を、末端アルキン、末端アルケン、ハロゲン化ビニル、スズ酸ビニル、ビニルボラン、アルキルボラン、又はアルキル若しくはアルケニル亜鉛試薬のようなカップリングパートナーで処理することによって製造することができる。式Cの化合物は、ハロゲン化溶媒において、約60℃〜150℃に及ぶ温度で、約2〜24時間に及ぶ時間の間、POCl、SOCl、又はClC(O)C(O)Cl/DMFのような塩素化試薬で式Bの化合物を処理することによって製造することができる。式Bの化合物は、式A(ここでZは、上記に記載される通りであり、Zは、NH、C〜Cアルコキシ、又はOHである)の化合物より、上記に参照したWO95/19774に記載される1以上の手順に従って製造することができる。
【0058】
式1のどの化合物も、R基への標準操作によって、式1の別の化合物へ変換することができる。これらの方法は、当業者に知られていて、a)T. W. Greene and P. G. M. Wuts,「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Syjthesis)」第2版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1991年)に概説される方法による保護基の除去;b)脱離基(ハロゲン化物、メシレート、トシラート、等)を一級又は二級アミン、チオール、又はアルコールで置換して、それぞれ二級又は三級アミン、チオエーテル、又はエーテルを形成すること;c)Thavonekham, B et al. Synthesis (1997), 10, p1189 にあるように、フェニル(又は置換フェニル)カルバメートを一級又は二級アミンで処理して、対応する尿素を形成すること;d)Denmark, S. E., Jones, T. K. J. Org. Chem. (1982) 47, 4595-4597 又は van Benthem, R. A. T. M.; Michels, J. J.; Speckamp, W. N. Synlett (1994), 368-370 にあるような、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red−Al)での処理による、プロパルジル若しくはホモプロパルジルアルコール又はN−BOC保護化一級アミンの対応するE−アリル若しくはE−ホモアリル誘導体への還元;e)Tomassy, B. et. al. Synth. Commun. (1998), 28, p1201 にあるような、水素ガス及びPd触媒での処理による、アルキンの対応するZ−アルケン誘導体への還元;f)一級及び二級アミンをイソシアネート、酸クロリド(又は他の活性化カルボン酸誘導体)、クロロギ酸アルキル/アリール、又は塩化スルホニルで処理して、対応する尿素、アミド、カルバメート、又はスルホンアミドを得ること;g)RCH(O)を使用する、一級若しくは二級アミンの還元アミノ化;及びh)アルコールをイソシアネート、酸クロリド(又は他の活性化カルボン酸誘導体)、クロロギ酸アルキル/アリール、又は塩化スルホニルで処理して、対応するカルバメート、エステル、カルボネート、又はスルホン酸エステルを得ることが含まれる。
【0059】
本発明の化合物は、不斉炭素原子を有する場合がある。ジアステレオマー混合物は、その物理化学的な差異に基づいて、当業者に知られた方法によって、例えば、クロマトグラフィー又は分画結晶化によって、その個別のジアステレオマーへ分離することができる。エナンチオマーは、エナンチオマー混合物を適切な光学活性化合物(例、アルコール)との反応によりジアステレオマー混合物へ変換すること、このジアステレオマーを分離すること、そして個別ジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーへ変換すること(例えば、加水分解)によって分離することができる。ジアステレオマー混合物や純粋なエナンチオマーが含まれる、すべてのそのような異性体が本発明の一部とみなされる。
【0060】
性質が塩基性である式1の化合物は、様々な無機及び有機酸と多種多様な異なる塩を形成することが可能である。そのような塩は、動物への投与のために医薬的に許容されなければならないが、実践では、式1の化合物を反応混合物より医薬的に許容されない塩としてはじめに単離してから、アルカリ性の試薬での処理によって後者をフリーの塩基化合物へ単に戻し変換して、その後で後者のフリー塩基を医薬的に許容される酸付加塩へ変換することがしばしば望ましい。本発明の塩基性化合物の酸付加塩は、水性溶媒において、又はメタノール又はエタノールのような好適な有機溶媒において、実質的に等量の選択された鉱酸又は有機酸でこの塩基性化合物を処理することによって容易に製造される。溶媒の慎重な蒸発時に、所望される固体塩が容易に入手される。所望される酸塩も、有機溶媒中のフリー塩基の溶液より、その溶液へ適切な鉱酸又は有機酸を加えることによって、沈殿させることができる。
【0061】
性質が酸性である式1の化合物は、様々な薬理学的に許容されるカチオンと塩基性塩を形成することが可能である。そのような塩の例には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩、そして特に、ナトリウム及びカリウム塩が含まれる。これらの塩は、いずれも慣用の技術によって製造される。本発明の医薬的に許容される塩基性塩基を製造するための試薬として使用する化学塩基は、式1の酸性化合物と無毒の塩基性塩を形成するものである。そのような無毒の塩基性塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウム、等のような薬理学的に許容されるカチオンより誘導されるものが含まれる。これらの塩は、対応する酸性化合物を、所望される薬理学的に許容されるカチオンを含有する水溶液で処理すること、そして次いで生じる溶液を、好ましくは減圧で蒸発乾固させることによって容易に製造することができる。あるいは、それらは、酸性化合物の低級アルカノール溶液と所望されるアルカリ金属アルコキシドを一緒に混合してから、生じる溶液を上記と同じやり方で蒸発乾固させることによって製造してもよい。いずれの場合でも、反応の完全性と所望される最終生成物の最大収率を確実にするには、好ましくは、化学量論量の試薬を利用する。本発明の単一化合物には、1以上の酸性若しくは塩基性部分が含まれる場合があるので、本発明の化合物には、単一の化合物に一塩、二塩、又は三塩が含まれる場合がある。
【0062】
本発明の方法は、癌を有する哺乳動物を治療することを含み、該方法は:そのような治療の必要な前記哺乳動物へ(i)上記に定義される、式1の化合物の治療有効量と、(ii)erbBファミリーの遺伝子によりコードされるタンパク質への抗体の量を、どの順序でも連続的に、同時に、又はその両方で投与することを含んでなる。好ましい態様において、本発明の方法は、癌を有する哺乳動物を治療することを含み、該方法は:そのような治療の必要な前記哺乳動物へ(i)上記に定義される、式1の化合物の治療有効量と、(ii)erbBファミリーの遺伝子によりコードされるタンパク質への抗体の治療有効量を、どの順序でも連続的に、同時に、又はその両方で投与することを含んでなる。
【0063】
erbB遺伝子は、erbB1、erbB2、erbB3、erbB4、又はこれらの組合せであり得る。1つの側面において、遺伝子は、erbB1である。別の側面において、遺伝子は、erbB2である。なお別の側面において、遺伝子は、erbB3である。さらに別の側面において、遺伝子は、erbB4である。
【0064】
本発明の1つの側面において、抗体は、上記タンパク質の細胞外ドメインを認識することができる。
癌は、固形癌であり得る。特別な側面において、癌は固形腫瘍ではなく、例えば、白血病又はリンパ腫が含まれる。固形癌の体積は、本発明の方法の投与時に、減少する可能性がある。
【0065】
抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよい。特別な側面において、抗体は、モノクローナル抗体である。従って、抗体は、Herceptin、2C4、及びペルツツマブからなる群より選択することができる。1つの態様において、抗体は、ペルツツマブである。別の態様において、抗体は、2C4である。なお別の態様において、抗体は、Herceptinである。
【0066】
投与するHerceptinの量は、約2mg/kg/週未満であってよい。1つの側面において、投与するHerceptinの量は、約0.6mg/kg/週である。この抗体は、1週につき少なくとも約1回投与してよい。別の側面において、この抗体は、2週につき約1回投与してよい。
【0067】
本発明の方法が有用であるのは、癌がerbB遺伝子の増幅、erbBタンパク質の過剰発現、又はその両方を特徴とする場合である。1つの側面において、erbB遺伝子、erbBタンパク質、又はその両方がerbB2である。過剰発現は、+2又は+3レベルを特徴とする場合がある。当該技術分野のどの標準法も、増幅又は過剰発現のレベルを測定するために使用してよい。例えば、増幅は、蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)によって測定することができる。有利な方法が、Coussens et al. Science 230, 1132 (1032) に記載されている。過剰発現は、免疫組織化学(IHC)により測定することができる。有利な方法が Coussens et al. Id. にも記載されている。あるいは、erbBの過剰発現のレベルは、IHCの明白な測定の使用を伴うことなく、むしろ患者の既往歴、身体診断、又は診断の他の要素に基づいて、臨床所見より推測される。
【0068】
本抗体は、有利には、抗体依存型細胞の細胞毒性のメディエーターであり得る。
本発明の方法の1つの側面では、式1の化合物を少なくともほぼ毎日投与する。別の側面では、式1の化合物を毎日少なくとも約2回投与する。式1の化合物の治療有効量は、約25mg/kg/日であり得る。別の側面において、式1の化合物の治療有効量は、約50mg/kg/日である。
【0069】
式1の化合物は、経口、頬内、舌下、膣内、十二指腸内、非経口、局所、又は直腸投与することができる。本製剤は、好ましくは、特別な投与形式へ適合させる。抗体は、式1の化合物と実質的に同時に投与してよい。
【0070】
本発明の方法は、ヒトへ適用可能である。非ヒトも治療することができる。例えば、哺乳動物は、ウマであってよい。
本発明の方法は、雌の哺乳動物への投与に有用である。本方法は、雄にも有用であり得る。哺乳動物は、成体であり得る。別の側面では、幼児、小児、青年、又は高齢者を本発明の方法で治療することができる。
【0071】
本発明の方法は、多種多様な異常な細胞増殖状態に適用可能である。1つの側面において、本方法及びキットは、有利にも、癌へ適用される。癌は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚又は眼内の黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌、子宮内膜癌、頚部癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、柔組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性又は急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、又は1以上の上記癌の組合せからなる群より選択してよい。他の癌も、本発明の方法での治療に感受性があり得る。1つの側面において、癌は、卵巣癌及び乳癌からなる群より選択される。別の側面において、癌は、乳癌である。
【0072】
本発明の方法は、例えば、哺乳動物が化学療法剤のクールを受けたか又は受けているアジュバント療法にも適用可能である。そのような側面において、残存する癌は、最小の残余疾患であり得る。別の側面において、本発明の方法は、予防手段として適用することができる。従って、例えば、本方法は、測定可能な疾患を検出し得ない、癌退縮状態の哺乳動物へ適用することができる。
【0073】
本発明の方法の1つの側面において、erbBタンパク質への抗体の量は、治療シナジーをもたらすのに、少なくとも十分である。結果として、本発明の方法の工程の組合せは、いずれか単独と比較するとき、改善された癌の治療法となる。
【0074】
本発明は、(a)上記に記載される式1の薬剤、及び(b)(a)とともに包装される、erbB遺伝子によりコードされるタンパク質への抗体との同時又は連続投与のための使用説明書を含んでなる、癌の治療用のキットも含む。従って、使用説明書は、投与の形式を詳述して、限定する場合がある。
【0075】
キットの1つの側面において、使用説明書は、Herceptin、2C4、ペルツツマブ、又はこれらの組合せの投与を特定する。有利には、使用説明書は、Herceptinの投与を特定する。キットの特別な側面において、キットは、Herceptinをさらに含む。さらに、キットは、抗体が乾燥状態で供給されるならば、それを復元するための流体を含んでよい。別の側面において、使用説明書は、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの投与を特定する。なお別の側面において、キットは、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドをさらに含む。
【0076】
本発明の化合物は、腫瘍原性及び前腫瘍原性のタンパク質チロシンキナーゼのerbBファミリー、特にerbB2の強力な阻害剤であるので、いずれも哺乳動物における、特にヒトにおける抗増殖剤(例えば、抗癌剤)としての治療使用に適用される。特に、本発明の化合物は、腎臓、膀胱、乳房、胃、卵巣、結直腸、前立腺、膵臓、肺、外陰部、甲状腺、肝臓癌、肉腫、膠芽腫、頭頚部の悪性及び良性腫瘍のような多様なヒト過剰増殖性障害や、皮膚の良性過形成(例、乾癬)や前立腺の良性過形成(例、BPH)のような他の過形成状態の予防及び治療に有用である。さらに、本発明の方法及びキットは、一群の白血病及びリンパ様悪性腫瘍に対して有効であり得ると期待されている。
【0077】
本発明の化合物は、様々なプロテインチロシンキナーゼに関連した異常な発現、リガンド/受容体相互作用又は活性化又はシグナル伝達イベントが関与する追加の障害の治療にも有用であり得る。そのような障害には、erbBチロシンキナーゼの異常な機能、発現、活性化、又はシグナル伝達が関与する、神経細胞、神経膠、星状細胞、下垂体や他の腺、マクロファージ、上皮、基質、及び割腔性の障害が含まれる場合がある。さらに、本発明の化合物は、本発明の化合物によって阻害される、同定されたチロシンキナーゼとまだ未同定のチロシンキナーゼの両方が関与する炎症、血管新生、及び免疫学的な障害に治療有用性があるかもしれない。
【0078】
式1の化合物の in vitro 活性は、以下の手順によって定量することができる。
c−erbB2キナーゼアッセイは、Schrang et. al. Anal. Biochem. 211, 1993, p233-239 にすでに記載されたものに類似している。Nunc Maxisorp 96ウェルを、ウェルにつき100mLのPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)中0.25mg/mL Poly(Glu,Tyr)4:1(PGT)(シグマケミカル社、ミズーリ州セントルイス)との37℃で一晩のインキュベーションによってコートする。過剰のPGTを吸引により除去し、プレートを洗浄緩衝液(PBS中0.1% Tween 20)で3回洗浄する。125mM 塩化ナトリウム、10mM 塩化マグネシウム、0.1mM オルトバナジン酸ナトリウム、1mM ATP、0.48mg/mL(24ng/ウェル)c−erbB2細胞内ドメインを含有する50mLの50mM HEPES(pH7.5)において、キナーゼ反応を実施する。erbB2チロシンキナーゼの細胞内ドメイン(アミノ酸674〜1255)をバキュロウイルスにおいてGST融合タンパク質として発現させて、グルタチオンコートビーズへの結合とそれからの溶出により精製する。DMSO(ジメチルスルホキシド)中の化合物を加えて、約2.5%の最終DMSO濃度とする。ATP(アデノシン三リン酸)の添加によりリン酸化を開始して、一定して振り混ぜながら、室温で6分間進行させた。反応混合物の吸引と洗浄緩衝液(上記参照)での後続の洗浄によって、キナーゼ反応を止める。阻止緩衝液(PBS中3% BSA及び0.05% Tween 20)で0.2mg/mLへ希釈した、ウェルにつき50mLのHRP共役PY54(Oncogene Science社、ニューヨーク州ユニオンデール)抗ホスホチロシン抗体との25分のインキュベーションによって、リン酸化PGTを測定する。抗体を吸引により除去し、プレートを洗浄緩衝液で4回洗浄する。ウェルにつき50mLのTMB Microwell Peroxidase Substrate(Kirkegaard and Perry,メリーランド州ゲイサースブルグ)の添加により比色シグナルを発色させて、ウェルにつき50mLの0.09M 硫酸の添加により止める。ホスホチロシンは、450nmでの吸光度の測定により推定する。対照のシグナルは、典型的には0.6〜1.2吸光度単位であり(PGT基質のないウェルではほとんどバックグラウンドがない)、10分間のインキュベーションの時間に比例している。阻害剤のないウェルと比べたシグナルの低下により阻害剤を同定して、50%阻害に必要とされる化合物の濃度に対応するIC50値を決定する。式1に対応する、本明細書に例示した化合物は、erbB2キナーゼに対して<10μMのIC50値を有する。
【0079】
式1の化合物の in vivo 活性は、対照に対する、試験化合物による腫瘍増殖の阻害の量によって決定することができる。様々な化合物の腫瘍増殖阻害効果は、Corbett T. H., et al.,「発癌物質の構造に注目した、化学療法アッセイ用マウスにおける結腸の移植可能癌の発症における腫瘍誘導関連性(Tumor Induction Relationships in Development of Transplantable Cancers of the Colon in Mice for Chemotherapy Assays, with a Note on Carcinogen Structure)」Cancer Res., 35, 2434-2439 (1975) と Corbett T. H., et al.,「実験療法用のマウス結腸腫瘍モデル(A Mouse Colon-tumor Model for Experimental Therapy)」Cancer Chemother. Rep. (Part 2), 5, 169-186 (1975) の方法に従って、やや変更を加えて、測定する。Matrigel(PBS中1:1)に懸濁させた5百万の対数増殖期の培養腫瘍細胞(BT−474ヒト乳腺癌)の皮下(sc)注射により、左脇腹に腫瘍を誘導する。腫瘍が触知可能になる(約120mmのサイズ)のに十分な時間が経過した後で、試験動物(無胸腺雌マウス)を担体(0.5% メチルセルロース 10ml/kg PO QD,PBS 5ml/kg IP 週2回、又はその両方)、試験化合物(薬剤182、0.5% メチルセルロース中10〜15mg/mlの濃度で製剤化、25又は50mg/kg PO QD)、Herceptin単独(0.1又は0.3mg/kg IP 週2回)、又は薬剤182とHerceptinの両方(表1)で連続28日間処置する。抗腫瘍効果を決定するために、Geran, R. I., et al,「動物腫瘍や他の生物系に抗する化学薬剤及び天然産物をスクリーニングするためのプロトコール(Protocols for Screening Chemical Agents and Natural Products Against Animal Tumors and Other Biological Systems)」第3版、Cancer Chemother. Rep., 3, 1-104 (1972) の方法に従って、腫瘍について交差する2つの直径をノギスで測定(ミリメートル)して、腫瘍サイズ(mm)を式:腫瘍サイズ(mm)=(長さx[幅]2)/2を使用して算出する。結果は、式:阻害(%)=(TuW[対照]−TuW[試験])/TuW[対照]x100%に従って、阻害百分率として表す。腫瘍移植の脇腹部位は、多様な化学療法剤について再現可能な用量/応答効果を提供し、この測定(腫瘍直径)方法は、腫瘍増殖率を評価するのに信頼できる方法である。
【0080】
本発明の化合物(以下、「活性化合物」)の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にするどの方法でも行うことができる。これらの方法には、経口経路、十二指腸内径路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内、又は注入が含まれる)、局所、及び直腸投与が含まれる。
【0081】
投与する活性低分子化合物(又はリガンド)の量は、治療される被検者、障害又は状態の重症度、投与の速度、化合物の性質、及び処方医の判断に依存するものである。しかしながら、有効投与量は、単回又は分割投薬で約0.001〜約100mg/kg体重/日、好ましくは、約1〜約35mg/kg体重/日の範囲にある。70kgのヒトでは、これは、約0.05〜約7g/日、好ましくは、約0.2〜約2.5g/日に相当する。上記の範囲の下限未満の投与量レベルで十分以上であるという場合もあれば、有毒な副作用を引き起こすことなく、さらに多い用量を利用し得る場合もある。但し、そのような高用量は、はじめは、1日全体での投与のためにいくつかの低用量へ分割する。
【0082】
本医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、溶液剤、懸濁液剤として経口投与に、無菌の溶液剤、懸濁液剤又は乳剤として非経口注射に、軟膏剤又はクリーム剤として局所投与に、又は坐剤として直腸投与に適した形態であり得る。医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形であってよい。医薬組成物には、慣用の医薬担体又は賦形剤と、本発明による化合物が有効成分として含まれる。さらに、それには、他の医療薬剤又は医薬剤、担体、アジュバント、等を含めてよい。
【0083】
例示の非経口投与形態には、無菌の水溶液剤、例えば、水性プロピレングリコール又はデキストロース溶液剤中の活性化合物の溶液剤又は懸濁液剤が含まれる。そのような剤形は、所望されるならば、適切に緩衝化することができる。
【0084】
好適な医薬担体には、不活性な希釈剤又は充填剤、水、そして様々な有機溶媒が含まれる。医薬組成物は、所望されるならば、芳香剤、結合剤、賦形剤、等のような追加成分を含有してよい。このように、経口投与では、クエン酸のような様々な賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸、及びある種の複合ケイ酸塩のような様々な崩壊剤と、そしてショ糖、ゼラチン、及びアカシアのような結合剤と一緒に利用することができる。追加的に、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルクのような滑沢剤が、錠剤化の目的にしばしば有用である。似た種類の固形製剤も軟及び硬充填ゼラチンカプセル剤に利用してよい。そのための好ましい材料には、ラクトース又は乳糖と高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水系の懸濁液剤又はエリキシル剤が経口投与に所望される場合、そこでの活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、又はこれらの組合せのような希釈剤と一緒に、様々な甘味又は芳香剤、着色物質又は色素と、そして所望されるならば、乳化剤又は懸濁剤と組み合わせてよい。
【0085】
特定量の活性化合物のある様々な医薬組成物を調製する方法は、当業者に知られているか、又は明らかであろう。例えば、「レミントン製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、マック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルヴェニア州イースター、第15版(1975)を参照のこと。
【0086】
本発明の方法に有用な抗体は、腹腔内、好ましくは静脈内で投与する。抗体は、有利には、ボーラスとしてではなく、生理食塩水の点滴注入によりゆっくり投与する。抗体は、液体型又は乾燥型で供給してよい。抗体の乾燥組成物は、無菌の生理食塩水、注射水、又は注射用の静菌水において、抗体調製と患者の両方に適切なように、復元することができる。
【0087】
Herceptin(トラスツツマブ)は、HER2によりコードされるタンパク質の細胞外ドメインへ高アフィニティーで結合するヒト化モノクローナル抗体である。ペルツツマブは、やはりHER2へ結合するモノクローナル抗体である。
【0088】
本発明の方法には、受容体上の異なるエピトープへ結合する抗体の組合せの使用が含まれる。
本発明はまた、哺乳動物における異常な細胞増殖の治療の方法に関し、該方法は、抗erbB2抗体と、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗体、細胞毒性薬、抗ホルモン剤、及び抗アンドロゲン剤からなる群より選択される別の抗腫瘍剤との組合せにおいて異常な細胞増殖を治療するのに有効である、式1の化合物又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの量を前記哺乳動物へ投与することを含む。
【0089】
本発明はまた、異常な細胞増殖を治療するのに有効である、上記に定義される式1の化合物又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの量、抗erbB2抗体、及び医薬的に許容される担体を含んでなる、ヒトが含まれる哺乳動物における異常な細胞増殖の治療用の医薬組成物を考慮する。本組成物は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗体、細胞毒性薬、抗ホルモン剤、及び抗アンドロゲン剤からなる群より選択される別の抗腫瘍剤も含んでよい。
【0090】
本発明はまた、ヒトが含まれる哺乳動物における血管新生に関連した障害の治療の方法に関し、該方法は、抗erbB2抗体との組合せにおいて前記障害を治療するのに有効である、上記に定義される式1の化合物又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの量を前記哺乳動物へ投与することを含んでなる。そのような障害には、黒色腫のような癌性腫瘍;加齢に関連した黄斑変性、眼推定ヒストプラズマ症候群、及び増殖性糖尿病性網膜症からの網膜新血管形成のような眼の障害;慢性関節リウマチ;骨粗鬆症、ページェット病、悪性腫瘍の体液性高カルシウム血症、骨転移性腫瘍からの高カルシウム血症、及びグルココルチコイド治療により誘発される骨粗鬆症のような骨損失障害;冠血管再狭窄;及び、アデノウイルス、ハンタウイルス、Borrelia burgdorferi、Yersinia spp.、Bordetella pertussis 及びA群連鎖球菌より選択される微生物病原体と関連したものが含まれるある種の微生物感染症が含まれる。
【0091】
本発明はまた、異常な細胞増殖を哺乳動物において治療する方法(及びそのための医薬組成物)に関し、それは、式1の化合物又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの量を、抗erbB2抗体と、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤より選択される1以上の物質の量との組合せにおいて含み、該量は、一緒になって、前記異常な細胞増殖を治療するのに有効である。
【0092】
MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤、及びCOX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤のような抗血管新生剤を、本明細書に記載の方法及び医薬組成物において式1の化合物と組み合わせて使用することができる。有用なCOX−II阻害剤の例には、CELEBREXTM(セレコキシブ)、Bextra(バルデコキシブ)、パラコキシブ、Vioxx(ロフェコキシブ)、及びArcoxia(エトリコキシブ)が含まれる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、WO96/33172(1996年10月24日公開)、WO96/27853(1996年3月7日公開)、ヨーロッパ特許出願番号97304971.1(1997年7月8日出願)、ヨーロッパ特許出願番号99308617.2(1999年10月29日出願)、WO98/07697(1998年2月26日公開)、WO98/03516(1998年1月29日公開)、WO98/34918(1998年8月13日公開)、WO98/34915(1998年8月13日公開)、WO98/33768(1998年8月6日公開)、WO98/30566(1998年7月16日公開)、ヨーロッパ特許公開公報606,046(1994年7月13日公開)、ヨーロッパ特許公開公報931,788(1999年7月28日公開)、WO90/05719(1990年5月31日公開)、WO99/52910(1999年10月21日公開)、WO99/52889(1999年10月21日公開)、WO99/29667(1999年6月17日公開)、PCT国際特許出願番号PCT/IB98/01113(1998年7月21日出願)、ヨーロッパ特許出願番号99302232.1(1999年3月25日出願)、英国特許出願番号9912961.1(1999年6月3日出願)、米国仮特許出願番号60/148,464(1999年8月12日出願)、米国特許第5,863,949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号(1999年1月19日発行)、及びヨーロッパ特許公開公報780,386(1997年6月25日公開)に記載されていて、これらはいずれもそのまま参照により本明細書に組み込まれる。好ましいMMP−2及びMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性をほとんど又は全く持たないものである。より好ましいのは、他のマトリックス−メタロプロテイナーゼ(即ち、MMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12、及びMMP−13)に比べて、MMP−2及び/又はMMP−9を選択的に阻害するものである。
【0093】
本発明の化合物との組合せにおいて有用なMMP阻害剤のいくつかの具体的な例は、AG−3340、RO32−3555、RS13−0830、及び以下のリストに引用する化合物:
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロペンチル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−エクソ−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R)1−[4−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;
4−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロブチル)−アミノ]−プロピオン酸;
4−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R)1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−1−メチル−エチル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−ヒドロキシカルバモイル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−エクソ−3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−エンド−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;及び
3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−フラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド、並びに前記化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物及びプロドラッグである。
【0094】
VEGF阻害剤、例えば、SU−11248、SU−5416、及びSU−6668(スジェン社、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ、アメリカ)も、式1の化合物と組み合わせることができる。VEGF阻害剤は、例えば、WO99/24440(1999年5月20日公開)、PCT国際特許出願PCT/IB99/00797(1999年5月3日出願)、WO95/21613(1995年8月17日公開)、WO99/61422(1999年12月2日公開)、米国特許第5,834,504号(1998年11月10日発行)、WO98/50356(1998年11月12日公開)、米国特許第5,883,113号(1999年3月16日発行)、米国特許第5,886,020号(1999年3月23日発行)、米国特許第5,792,783号(1998年8月11日発行)、WO99/10349号(1999年3月4日公開)、WO97/32856(1997年9月12日公開)、WO97/22596(1997年6月26日公開)、WO98/54093(1998年12月3日公開)、WO98/02438(1998年1月22日公開)、WO99/16755(1999年4月8日公開)、及びWO98/02437(1998年1月22日公開)に記載され、そのいずれもそのまま参照により本明細書に組み込まれる。他のいくつかの具体的なVEGF阻害剤の例は、IM862(Cytran社、ワシントン州カークランド、アメリカ);Avastin、カルフォルニア州サウスサンフランシスコのジェネンテク社の抗VEGFモノクローナル抗体;及び、アンジオザイム、Ribozyme(コロラド州ボールダー)及びカイロン(カリフォルニア州エメリヴィレ)からの合成リボザイムである。
【0095】
QW−282974(グラクソウェルカム社)のようなerbB2受容体阻害剤とモノクローナル抗体のAR−209(Aronex Pharmaceuticals社、テキサス州ウッドランズ、アメリカ)及び2B−1(カイロン)を式1の化合物と組み合わせて投与することができる。そのようなerbB2阻害剤には、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO99/35146(1999年7月15日公開)、WO99/35132(1999年7月15日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、WO97/13760(1997年4月17日公開)、WO95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許第5,587,458号(1996年12月24日発行)、及び米国特許第5,877,305号(1999年3月2日発行)に記載されるものが含まれ、このそれぞれはそのまま参照により本明細書に組み込まれる。本発明に有用なerbB2受容体阻害剤が米国仮特許出願番号60/117,341(1999年1月27日出願)と米国仮特許出願番号60/117,346(1999年1月27日出願)にも記載され、これらはいずれもそのまま参照により本明細書に組み込まれる。他のerbB2受容体阻害剤には、TAK−165(武田薬品)とGW−572016(グラクソウェルカム)が含まれる。
【0096】
本発明の化合物と使用し得る他の抗増殖剤には、酵素ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害剤と受容体チロシンキナーゼ、PDGFrの阻害剤が含まれ、以下の米国特許出願:09/221946(1998年12月28日出願);09/454058(1999年12月2日出願);09/501163(2000年2月9日出願);09/539930(2000年3月31日出願);09/202796(1997年5月22日出願);09/384339(1999年8月26日出願);及び09/383755(1999年8月26日出願)に開示されて特許請求される化合物;並びに、以下の米国仮特許出願:60/168207(1999年11月30日出願);60/170119(1999年12月10日出願);60/177718(2000年1月21日出願);60/168217(1999年11月30日出願)、及び60/200834(2000年5月1日出願)に開示されて特許請求される化合物が含まれる。上記の特許出願及び仮特許出願のそれぞれは、そのまま参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
式1の化合物は、異常な細胞増殖又は癌を治療するのに有用な他の薬剤とともに使用してよく、限定されないが、CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)抗体のように、抗腫瘍免疫応答を高めることが可能な薬剤と、CTLA4を遮断することが可能な他の薬剤;並びに、他のファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤のような抗増殖剤、例えば、上記「背景技術」の項に引用する参考文献に記載されるファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤が含まれる。本発明に使用し得る具体的なCTLA4抗体には、そのまま参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願60/113,647(1998年12月23日出願)に記載されるものが含まれる。
【0098】
式Iの化合物と抗erbB2抗体の組合せ(本明細書では、「発明の組合せ」又は「本発明の組合せ」と呼ぶ)は、単独療法として適用しても、1以上の他の抗腫瘍物質、例えば、例えば有糸分裂阻害剤(例、ビンブラスチン);アルキル化剤(例、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、及びシクロホスファミド);代謝拮抗薬(例、5-フルオロウラシル、カペシタビン、シトシンアラビノシド、及びヒドロキシ尿素、又は、ヨーロッパ特許出願番号239362に開示される、N−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸のような好ましい代謝拮抗薬の1つ);増殖因子阻害剤;細胞周期阻害剤;挿入抗生物質(例、アドリアマイシン及びブレオマイシン);酵素(例、インターフェロン);及び抗ホルモン剤(例えば、NorvadexTM(タモキシフェン)のような抗エストロゲン剤、又は、例えば、CasodexTM(4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)のような抗アンドロゲン剤)より選択されるものを伴ってもよい。
【0099】
本発明の組合せは、単独で使用しても、1以上の多様な抗癌剤又は補助ケア剤との組合せにおいて使用してもよい。例えば、本発明の組合せは、細胞毒性剤、例えば、カンプトテシン、イリノテカンHCl(Camptosar)、エドテカリン、SU−11248、エピルビシン(Ellence)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、リツキシマブ(Ritixan)、ベバシツマブ(Avastin)、イマチニブメシレート(Gleevac)、Erbitux、ゲフィチニブ(Iressa)、及びこれらの組合せからなる群より選択される1以上とともに使用してよい。本発明はまた、ホルモン療法、例えば、エクセメスタン(Aromatin)、Lupron、アナストロゾール(Arimidex)、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex)、Trelstar、及びこれらの組合せと一緒の本発明の組合せの使用を考慮する。さらに、本発明は、1以上の補助ケア製品、例えば、Filgrastim(Neupogen)、オンダンセトロン(Zofran)、Fragmin、Procrit、Aloxi、Emend、又はこれらの組合せからなる群より選択される製品と抗erbB2抗体と式Iの化合物の組合せを提供する。そのような併用治療は、個々の治療成分の同時、連続、又は分離投薬により達成することができる。
【0100】
本発明の組合せは、抗腫瘍剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗生物質、植物由来抗腫瘍剤、カンプトテシン誘導体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗体、インターフェロン、及び/又は生物学的応答調節剤とともに使用してよい。これに関して、以下は、本発明の組合せとともに使用し得る二次薬剤の例の非限定的なリストである。
【0101】
アルキル化剤には、限定されないが、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、又はテモゾロミドが含まれる;
代謝拮抗薬には、限定されないが、メトトレキセート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル(5−FU)単独又はロボコリンとの組合せ、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ゲンシタビン、又はフルダラビンが含まれる;
抗生物質には、限定されないが、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノマイシン、ブレオマイシン、ペプレオマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、ジノスタチンスチマラマー、又はイダルビシンが含まれる;
植物由来抗腫瘍剤には、限定されないが、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、又はビノレルビンが含まれる;
白金配位化合物には、限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、又はオキサリプラチンが含まれる。
【0102】
カンプトテシン誘導体には、限定されないが、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、エドテカリン、及びトポテカンが含まれる;
チロシンキナーゼ阻害剤は、Iressa又はSU5416である;
抗体には、Iressa、Erbitux、Avastin、又はRituximabが含まれる;
インターフェロンには、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、又はインターフェロンγ−n1が含まれる;
生物学的応答調節剤は、生物体の防御機構、又は抗腫瘍活性を有するように指令する、組織細胞の生存、増殖、又は分化のような生物学的応答を改善する薬剤である。そのような薬剤には、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、又はウベニメクスが含まれる;及び
他の抗腫瘍剤には、ミトザントロン、l−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、デカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、又はトレチノインが含まれる。
【0103】
以下に提供する実施例、結果、及び製法は、本発明の方法、キット、及び化合物と式1の化合物を製造する方法についてさらに例示して例証する。本発明の範囲が以下の実施例、結果、及び製法の範囲により決して限定されないことを理解されたい。
【0104】
実施例の背景及び目的:E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド(本明細書では、この薬剤を「薬剤182」とも呼ぶ)は、erbB2を過剰発現するヒト乳腺癌腫瘍、BT−474に対して有効である。薬剤182の効力を、FRE erbB2、SK−OV−3、及びBT−474と呼ばれる動物腫瘍モデルにおいてHerceptin(IP)とも比較する。Herceptinと薬剤182は、ともにerbB2へ結合するが、薬剤182と異なり、Herceptinは、いくつかの腫瘍モデルにおいて、リン酸化erbB2(p−erbB2)の低下をほとんど引き起こさない。本データは、薬剤182及びHerceptin同時投与の利益をBT−474異種移植片の腫瘍増殖阻害おいて例証する。
【0105】
材料及び方法、試験デザイン:対数増殖期のBT−474細胞(10mM HEPES、10% FBS、及びpen/strep[ギブコ]入りのRPMI 1640)を採取し、洗浄して、Matrigel(PBS中1:1,200μl/動物)に懸濁させた。細胞を雌の無胸腺マウスへSC接種(5百万個の細胞/動物)した。BT−474腫瘍(約120mmのサイズ)を担うマウスをそれぞれ6〜7匹の動物からなる11の群へ無作為化した。薬剤182を0.5% メチルセルロースに製剤化して、Herceptinを生理食塩水に溶かした。表1に記載するように、担体(PO QD、IP週2回、又はPO,QD及びIP、週2回)、薬剤182(PO,QD)、Herceptin(IP、週2回)、又は薬剤182(PO,QD)及びHerceptin(IP、週2回)で動物を処置した。腫瘍測定値と体重変化は、1、5、8、12、15、19、22、26、及び28日目に得た。以下の式:腫瘍体積(mm)=(WxW)/2xL(L=長さ、W=幅)により腫瘍体積を算出した。
【0106】
以下に記載のPK分析用に、全血試料(約50μl)を28日目の投薬後0.5、1,2、4、及び4時間で採取した。ELISAによるPD分析用に、28日目の投薬後0.5時間で腫瘍を単離した。
【0107】
血液試料分析:内部標準(CP−702,453 0.5μg/ml)を含有する100μL アセトニトリル(25%)で全血のアリコート(100μL)を希釈した。96ウェル技術を使用する液体−液体抽出によって、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)及び0.1M 水酸化ナトリウムで試料を抽出した。短時間の振とうの後で、試料を遠心分離(3000rpm,10分間)して、上清を96ウェルプレートへ移し、窒素ガスの遅流下に40℃で蒸発乾固させた。残渣を200μLの25%アセトニトリルで復元して、ほぼ2分間振とうした。
【0108】
Sciex API 4000三重四重極質量分析計を使用するLC−MS/MS法により薬剤182と内部標準の濃度を定量した。薬剤182と内部標準(CP−702,453)は、逆相分析カラム(50x2.1mm;5μm粒子、Waters XTerra(登録商標)MS C18 5μm)を250μL/分の流速、周囲温度で使用して、クロマトグラフィーにより分離した。移動相は、はじめの1分間は90% 10mM酢酸アンモニウム+0.1%ギ酸及び10%アセトニトリルとして、続いて10%〜90%アセトニトリルの1分にわたる線形勾配により送達した。次いで、移動相は、90%アセトニトリルで1分間、定比的に送達した後で、後続の勾配を0.1分にわたり10%アセトニトリルへ戻した。次いで、カラムを90% 10mM酢酸アンモニウム+0.1%ギ酸及び10%アセトニトリルで1分間再平衡化した後で、次の試料注入をした。
【0109】
薬剤182と内部標準を、陽イオンモードで機能するターボイオンスプレーインターフェース(turbo ionspray interface)によって、それぞれ470.3→381.2と454.2→383.1amuのMRM m/z転移である多重反応モニタリング(MRM)により分析した。薬剤182と内部標準の保持時間は、それぞれほぼ2.54分と2.62分であった。データの採取及び統合は、Analyst(バージョン1.2)を使用して行った。内部標準に対する薬物のピーク面積応答の比率を使用して、1/x重みづけの線形最小2乗法を用いた標準曲線を作成した。このアッセイのダイナミック・レンジは、1.0〜1000ng/mLであった。このアッセイの性能は、マウス全血で調製した、別の重みづけの品質管理試料を含めることによってモニタリングした。さらなる詳細を注記#62874に示す。
【0110】
PKデータ算出:WinNonLinTM、バージョン3.2を使用するノンコンパートメント法により薬物動態変数を定量した。最高全血濃度(Cmax)とこの濃度に達成する時間(Tmax)は、生データより直接得た。時間曲線に対する全血濃度下の面積(AUC)は、線形台形近似を使用して算出した。平均値及び薬物動態変数の推定のために、0時間での濃度と<LLOQ(1ng/mL)のそれを0ng/mLであると仮定した。50%以上のデータがアッセイのLLOQを超える場合のみ平均値を算出した。
【0111】
統計解析:腫瘍増殖の統計解析は、SAS Version 8,PROC GLMを使用して、非臨床統計グループにより行った。
結果の解釈:本検討を実施して、BT−474モデルにおいてHerceptin処置(0.1mg/kg又は0.3mg/kg IP、週2回)と組み合わせた薬剤182(25及び50mg/kg,QD)の経口での抗腫瘍効果を決定した(表1)。薬剤182単独投与(25mg/kg,PO QD)28日間は、約20%の増殖阻害をもたらした(表2、図1及び2)。Herceptin処置単独(即ち、0.1又は0.3mg/kg,IP 週2回)は、それぞれ4%と24%の増殖阻害を引き起こした。0.1mg/kg又は0.3mg/kg Herceptinと上記用量の薬剤182の同時投与は、各剤単独に比較して、より有効であった(それぞれ、44%及び55%の増殖阻害)。
【0112】
表1:試験デザイン
【0113】
【表1】

【0114】
この組合せの優れた効力は、より高用量の薬剤182(50mg/kg,PO QD)でより明確であった。薬剤182及び0.1mg/kg Herceptinの同時投与は、薬剤182(40%増殖阻害)又はHerceptin(4%増殖阻害)のいずれか単独より有効であった(60%増殖阻害)(表2、図1及び2)。同様に、薬剤182及び0.3mg/kg Herceptin(IP、週2回)の組合せは、薬剤182(40%増殖阻害)又はHerceptin(24%増殖阻害)のいずれか単独よりずっと有効であった(100%増殖阻害)。実のところ、この組合せ処置は、20%の腫瘍退縮をもたらした。このように、2つの薬剤の組合せは、定性的に異なる、好ましい結果をもたらした(即ち、各剤単独では、腫瘍退縮が得られなかった)。上記の結果は、Herceptinと薬剤182の超相加相互作用と解釈することができる(P<0.001,表3及び6)。
【0115】
表2:担体及び薬剤182で処置した動物における腫瘍体積及び体重の変化
【0116】
【表2】

【0117】
表3:増殖阻害についての統計解析の要約
【0118】
【表3】

【0119】
表4:BT−474担腫瘍マウスにおける薬剤182の薬物動態
【0120】
【表4】

【0121】
表5:BT−474担腫瘍マウスにおける薬剤182の薬力学
【0122】
【表5】

【0123】
表6:薬剤182及びHerceptin相互作用の要約
【0124】
【表6】

【0125】
薬剤182、Herceptin、又はその組合せの投与は、十分に耐えられて、体重損失も動物の死亡もなかった(表2)。Herceptinはヒト化モノクローナル抗体であり、マウスerbB2受容体を認識せず、それと相互作用しない可能性がある。故に、無胸腺マウスにおいて薬剤182とHerceptinの間で観察された安全な相互作用は、安全性に関しては臨床状況を表さない可能性がある。
【0126】
本試験において観察された薬剤182及びHerceptin同時投与の利益は、薬剤182の in vivo PK及び/又はPDにおける有意な変化(腫瘍p−erbB2低下)による可能性がある。PK変化の課題に対処するために、上記に記載のように、すべての薬剤182処置群(Herceptin同時投与を伴うか又は伴わない)で28日目に入手した試料において、薬剤182の血液濃度を定量した。28日目の薬剤182(25mg/kg及び50mg/kg群)の全血PK(Cmax、Cave0−1時間、又はCave0−2時間)は、薬剤182処置単独とHerceptin(0.1mg/kg又は0.3mg/kg,表4)との組合せの間で同様であった。しかしながら、25mg/kg群で見出された薬剤182のCmax(365ng/ml)は、先に観察されたもの(417〜967ng/ml)よりやや低かった。これらのデータは、Herceptin及び薬剤182同時投与のBT−747腫瘍増殖阻害に対する利益が薬剤182の全血PKにおける有意な変化とは関連しないこと示唆する。
【0127】
p−erbB2レベル、即ち、erbB2のリン酸化型のレベルも、28日目の投薬後0.5時間での全群の腫瘍試料において定量した(表5)。25mg/kg(PO QD)の薬剤182処置群では、ほぼ16%のp−erbB2の低下を観察した。Herceptin処置単独、即ち0.1又は0.3mg/kg(IP、週2回)では、それぞれ27%及び17%のp−erbB2低下(本アッセイにおける約20%のベースラインノイズに近い)を引き起こした。対照的に、薬剤182(25mg/kg,PO QD)を0.1mg/kg及び0.3mg/kgのHerceptinと同時投与した場合は、それぞれほぼ47%及び41%のp−erbB2の低下を観察した(表5)。Herceptin処置群でのp−erbB2低下はELISAのベースラインノイズに非常に近かったが、組合せ群において各剤単独に対して観察されたより高いp−erbB2低下は、相加的な相互作用を示唆する。対照的に、より高用量の薬剤182(50mg/kg,PO QD)を0.1mg/kg又は0.3mg/kgのいずれかのHerceptinと同時投与した場合は、そのような相加的な相互作用を観察しなかった(約57〜66%のp−erbB2低下)。本組合せのこれらのPD効果はさらなる試験を保証するが、この組合せがp−erbB2の相加的な低下より実質的に多くのことをもたらすわけではないことは明らかである。
【0128】
従って、Herceptin及び薬剤182の投与の組合せは、BT−474腫瘍増殖の阻害において、各剤単独に優る利益を与える。さらに、BT−474モデルにおけるこの組合せ(即ち、薬剤182及びHerceptinの同時投与)の相加又は超相加的な相互作用は、薬剤182の全血PKにおける有意な変化と関連しない(表4)。
【0129】
本発明の低分子リガンドは、以下の情報に従って製造することができる。以下の実施例において、単一のキラル中心のある分子は、他に注記しなければ、ラセミ混合物として存在する。2以上のキラル中心のある分子は、他に注記しなければ、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。当業者に知られた方法によって、単一のエナンチオマー/ジアステレオマーを入手することができる。
【0130】
以下の製法及び実施例においてHPLCクロマトグラフィーについて言及する場合、使用する一般条件は、他に示さなければ、以下の通りである。使用するカラムは、長さ150mm、内径4.6mmのZORBAXTM RXC18カラム(製造元:ヒューレットパッカード)である。試料は、Hewlett Packard−1000システムで操作した。100%酢酸アンモニウム/酢酸緩衝液(0.2M)〜100%アセトニトリルを10分にわたり操作する勾配溶媒法を使用する。次いで、このシステムを100%アセトニトリルで1.5分間、次いで100%緩衝溶液で3分間の洗浄サイクルで進行させる。この時間全体の流速は、一定の3mL/分である。
【0131】
以下の実施例及び製法において、「Et」はエチルを意味し、「AC」はアセチルを意味し、「Me」はメチルを意味し、「ETOAC」又は「ETOAc」は酢酸エチルを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、そして「Bu」はブチルを意味する。
【0132】
方法A:[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−4−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン(1)の合成
4−(4−クロロ−キナゾリン−6−イルエチニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:無水THF(20mL)中の4−エチニル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.12g,5.35ミリモル)、4−クロロ−6−ヨードキナゾリン(1.35g,4,65ミリモル)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.16g,0.23ミリモル)、ヨウ化銅(I)(0.044g,0.23ミリモル)、及びジイソプロピルアミン(0.47g,4.65ミリモル)の混合物を窒素下に室温で2時間撹拌した。濃縮後、残渣をCHCl(100mL)に溶かし、NHCl水溶液と塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を茶褐色のオイルとして得た。ヘキサン中20% EtOAcを使用するシリカゲルカラムによる精製によって、1.63g(94%)の表題化合物を粘稠な黄色いオイルとして得た:
【0133】
【化4】

【0134】
[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−4−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン:4−(4−クロロ−キナゾリン−6−イルエチニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(80mg,0.21ミリモル)及び3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミン(43mg,0.21ミリモル)をtert−ブタノール(1mL)及びジクロロエタン(1mL)中で一緒に混合して、密封バイアルにおいて90℃で20分間加熱した。この反応物を冷却して、HCl(ガス)を5分間泡立てて通した。次いで、EtOACを加えると、このとき黄色い沈殿が生じた。この沈殿を採取し、乾燥させて、所望される生成物、[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−4−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン(96mg,95%)を黄色い固形物として得た。
【0135】
【化5】

【0136】
方法B:2−クロロ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド(2)の合成:
2−クロロ−N−[3−(4−クロロ−キナゾリン−6−イル)−プロプ−2−イニル]−アセトアミド:2−クロロ−N−プロプ−2−イニル−アセトアミド(385mg,2.93ミリモル)と4−クロロ−6−ヨードキナゾリン(850mg,1当量)を乾燥THFとジイソプロピルアミン(296mg,0.41mL,1当量)に溶かした。この混合物へ0.04当量のヨウ化銅(22mg)とPd(PPhCl(82mg)を加えた。この反応物を窒素雰囲気下に室温で一晩(約20時間)撹拌した。次いで、溶媒を真空で除去し、残渣をCHClに溶かした。この溶液を分液漏斗へ移し、1x飽和NHCl、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、溶媒を真空で除去した。1:1 ヘキサン/EtOAcで溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーにより生成物を精製して、Rf=0.25の分画を採取した。2−クロロ−N−[3−(4−クロロ−キナゾリン−6−イル)−プロプ−2−イニル]−アセトアミド(454mg,53%)をオフホワイトの固形物として入手した。
【0137】
【化6】

【0138】
2−クロロ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド:BuOH/DCE(5.0/5.0mL)中の2−クロロ−N−[3−(4−クロロ−キナゾリン−6−イル)−プロプ−2−イニル]−アセトアミド(0.90g,3.05ミリモル)及び3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミン(0.61g,3.05ミリモル)の混合物を窒素下に40分間還流して、濃縮した。残渣をMeOH(2.0mL)に溶かし、激しく撹拌しながらEtOAcへ加えてHCl塩生成物を黄褐色の固形物として沈殿させて、これを真空濾過により採取し、EtOAcで濯ぎ、さらに乾燥させて、1.24g(80%)の2−クロロ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミドを得た。
【0139】
【化7】

【0140】
方法C:2−ジメチルアミノ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド(3)の合成:
2−ジメチルアミノ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド:2−クロロ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド(99mg,0.20ミリモル)のMeOH(5mL)溶液へジメチルアミンのTHF溶液(2mL,4.0ミリモル)を加えた。生じる溶液を窒素下に1時間還流した。濃縮後、残渣をさらに乾燥させ、MeOH(1.0mL)に溶かし、HClガスで3分間処理した。生じる溶液を激しく撹拌しながらEtOAcへ加えてHCl塩生成物を黄色の固形物として沈殿させて、これを真空濾過により採取し、EtOAcで濯ぎ、さらに乾燥させて、110mg(99%)の表題化合物を得た。
【0141】
【化8】

【0142】
方法D:1−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−3−メチル−尿素(4)の合成:
1−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−3−メチル−尿素:方法Bによって製造した(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−カルバミン酸フェニルエステル(0.1g,0.18ミリモル)、メチルアミン(2.0Mメタノール溶液、1mL,2ミリモル)、及びDMSO(0.5mL)の混合物を80℃で一晩撹拌した。溶媒を真空(GeneVac HT−8)で除去して、残渣をMeOH(約1mL)に再び溶かした。この溶液にHClガスを泡立てて通し、EtOAcを加えると、所望される生成物の沈殿を生じた。表題化合物(80mg,収率90%)を濾過により黄色の固形物として入手した。
【0143】
【化9】

【0144】
方法E:3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−エン−1−オール(5)の合成:
3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−エン−1−オール:6mLの乾燥テトラヒドロフラン中の0.56g(1.47ミリモル)の3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イン−1−オール(方法Bにより製造)の溶液へ0℃で1mLのTHF中0.73mLの水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red−Al,2.35ミリモル)の65重量%トルエン溶液を加えた。この反応物を室温で3時間撹拌した。0℃へ再冷却後、1mLのTHF中の追加の0.73mLのRed−Al溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、10%炭酸カリウム水溶液の滴下でこの混合物を失活させて、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、650mgを得た。96:4:0.1 クロロホルム/メタノール/濃縮水酸化アンモニウムで溶出させる、90gのシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、268mgの表題化合物を得た。
【0145】
【化10】

【0146】
方法F:[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−[6−(3−モルホリン−4−イル−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(6)の合成:
[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−[6−(3−モルホリン−4−イル−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−アミン:0.5mLの塩化メチレンと1mLの二塩化エチレン中0.035g(0.091ミリモル)の3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−エン−1−オールの懸濁液へ1mLの塩化チオニルを加えた。この反応物を100℃で1時間加熱し、溶媒を蒸発させて、[6−(3−クロロ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミン[MS:M 403.1]を得て、これをTHFに溶かして、次の反応に直接使用した。[6−(3−クロロ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンの溶液へ0.10mLのモルホリンと0.044mLのトリエチルアミンを加えた。この混合物を85℃で16時間加熱し、室温へ冷やして、10%炭酸カリウム水溶液と酢酸エチルの間に分画した。水層を酢酸エチルでさらに抽出して、合わせた有機物を乾燥させ、蒸発させて、57mgの材料を得た。96:4:0.1 クロロホルム/メタノール/濃縮水酸化アンモニウムで溶出させるシリカゲル分取用プレートでこの生成物を精製して、26mgの表題化合物を得た。
【0147】
【化11】

【0148】
方法G:E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド(7)の合成:
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル:90mLのテトラヒドロフラン中7.53mLの水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red−Al,24.2ミリモル)の65重量%トルエン溶液へ5.0gの(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルエステルを固形物として加えた。この反応物を0℃で2時間撹拌し、10%炭酸カリウム水溶液で失活させ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機物を乾燥させて、蒸発させた。この粗製材料を、80%酢酸エチル/ヘキサンで溶出させる115gのシリカゲルで精製して、4.42gのE−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0149】
【化12】

【0150】
E−[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミン:4.42gのE−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの21mLのテトラヒドロフラン溶液へ21mLの2N塩酸を加えた。この混合物を60℃で3時間加熱し、室温へ冷やして、10%炭酸カリウム水溶液で塩基性にした。この水性混合物へ塩化メチレンを加えると、固形物が沈殿した。この固形物を濾過し、乾燥させて、2.98gのE−[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンを得た。
【0151】
【化13】

【0152】
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド:2mLの塩化メチレン中の14.4μL(0.25ミリモル)の酢酸と40.3mg(0.33ミリモル)のジシクロヘキシルカルボジイミドの混合物を10分間撹拌して、100.3mgのE−[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンで処理した。この反応物を室温で一晩撹拌した。生じる沈殿を濾過して、6〜10%メタノール/クロロホルムで溶出させるシリカゲルでクロマトグラフ処理して、106mgの表題化合物(融点:254〜256℃)を得た。
【0153】
【化14】

【0154】
方法H:E−2S−メトキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アミド(8)の合成:
0.125g(0.31ミリモル)のE−[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミン(方法Gに従って製造した)の1mLのジクロロメタン撹拌溶液へ0℃で60.3μL(0.34ミリモル)のヒューニッヒ塩基を加え、1mLのジクロロメタン中48.2μL(0.34ミリモル)の4−クロロフェニルクロロホルメート溶液の滴下を続けた。この反応物を30分撹拌して、減圧で蒸発させた。残渣を2mLのジメチルスルホキシドに溶かして、123μL(0.94ミリモル)の(S)−(+)−2−(メトキシメチル)−ピロリジンを薄めずに加えた。この反応物を室温で3時間撹拌した。この反応物を10%炭酸カリウム中で失活させて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で数回、そして塩水で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、量を減らして、粗製材料を得た。この材料を、96:4:0.1 クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムを溶出液として使用する90gのシリカゲルで精製して、75mg(0.14ミリモル)の表題化合物を得た。
【0155】
【化15】

【0156】
方法I:E−2−ヒドロキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−イソブチルアミド(9):
0.170g(0.42ミリモル)のE−[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミン(方法Gに従って製造した)の1mLのジクロロメタン溶液へ0℃で65μL(0.47ミリモル)のトリエチルアミンに続き、65μL(0.45ミリモル)の2−アセトキシイソブチリルクロリドの1mLのジクロロメタン溶液を加えた。この反応物を0℃で1時間撹拌した。この混合物を10%炭酸カリウムの滴下で失活させた。水層をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、蒸発させた。この粗製材料を96:4:0.1 クロロホルム/メタノール/水酸化アンモニウムで溶出させる90gのシリカゲルで精製して、2−アセトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−イソブチルアミドを得た。この材料の2mLのメタノール溶液を41mg(3.02ミリモル)の炭酸カリウムの0.5mLの水溶液で滴下処理した。この溶液を室温で1時間撹拌した。この反応物を蒸発させて、残渣を水とクロロホルムの間に分画した。水層をクロロホルムで2回抽出し、合わせた有機物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、100mg(47%)の表題化合物を得た。
【0157】
【化16】

【0158】
上記に記載の方法を使用して、以下の実施例を製造した。
表7
【0159】
【表7】

【0160】
【表8】

【0161】
【表9】

【0162】
【表10】

【0163】
【表11】

【0164】
【表12】

【0165】
【表13】

【0166】
【表14】

【0167】
【表15】

【0168】
【表16】

【0169】
【表17】

【0170】
【表18】

【0171】
【表19】

【0172】
【表20】

【0173】
【表21】

【0174】
【表22】

【0175】
【表23】

【0176】
【表24】

【0177】
【表25】

【0178】
【表26】

【0179】
【表27】

【0180】
【表28】

【0181】
【表29】

【0182】
【表30】

【0183】
表8
【0184】
【表31】

【0185】
【表32】

【0186】
【表33】

【0187】
【表34】

【0188】
【表35】

【0189】
【表36】

【0190】
【表37】

【0191】
【表38】

【0192】
【表39】

【0193】
【表40】

【0194】
【表41】

【0195】
【表42】

【0196】
【表43】

【0197】
方法A〜Iと適切な出発材料(当該技術分野で知られる方法論に従って製造する)を利用して、本発明の一部である以下の化合物:
Z−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド
E−2−(2−フルオロ−エトキシ)−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド
Z−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−2−フルオロ−アセトアミド
2−ヒドロキシ−N−(1−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イルエチニル}−シクロプロピル)−アセトアミド
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−イソブチルアミド
1−エチル−3−(1−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イルエチニル}−シクロプロピル)−尿素
1−エチル−3−[1−(2−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−エチル)−シクロプロピル]−尿素
3−メトキシ−アゼチジン−1−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド
N−(3−{7−(2−メトキシ−エトキシ)−4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド
E−1−メトキシ−シクロプロパンカルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アミド
N−(3−{4−[3−メチル−4−(2−メチル−ピリミジン−5−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド
(±)−E−1−(2−フルオロ−エチル)−3−(1−メチル−3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−尿素
E−N−[1−(2−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−ビニル)−シクロプロピル]−メタンスルホンアミド
(±)−E−テトラヒドロ−フラン−3−カルボン酸(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アミド
E−モルホリン−4−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アミド
N−[1−(2−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−エチル)−シクロプロピル]−メタンスルホンアミド
(±)−E−テトラヒドロ−フラン−2−カルボン酸(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アミド
(±)−エタンスルホン酸(1−メチル−3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド
(±)−ピリジン−2−カルボン酸(1−メチル−3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド、並びに上記化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物及びプロドラッグを製造することができる。
【0198】
本発明は、本明細書に記載した具体的な態様により範囲が限定されるものではない。実際、当業者には、上記の記載と付帯の図面より、本明細書に記載したものに加えて本発明の様々な変更が明らかになろう。そのような変更も付帯の特許請求項の範囲内に該当すると企図される。
【0199】
本明細書に引用したすべての特許、特許出願、公開公報、試験法、文献、そして他の材料は、そのまま参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】図1.BT−474担腫瘍マウスを、担体、Herceptin単独(0.1mg/kg,週2回)、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド(薬剤182,25又は50mg/kg,PO,QD)単独、又は、Herceptin(0.1mg/kg,IP 週2回)及びE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド(薬剤182,25又は50mg/kg,PO,QD)の組合せで28日間処置した。試験デザインに記載のように規則的な間隔で腫瘍測定値(長さと幅)を入手した。データは、平均±SEである。
【図2】図2.BT−474担腫瘍マウスを、担体、Herceptin単独(0.3mg/kg,週2回)、E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド(薬剤182,25又は50mg/kg,PO,QD)単独、又は、Herceptin(0.3mg/kg,IP 週2回)及びCP−724,714(薬剤182,25又は50mg/kg,PO,QD)の組合せで28日間処置した。試験デザインに記載のように規則的な間隔で腫瘍測定値(長さと幅)を入手した。データは、平均±SEである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を有する哺乳動物を治療する方法であって、そのような治療の必要な前記哺乳動物へ、(i)式1:
【化1】

[式中:
mは、0〜3の整数であり;
pは、0〜4の整数であり;
それぞれのR及びRは、HとC〜Cアルキルより独立して選択され;
は、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、前記複素環式基は、ベンゼン環又はC〜Cシクロアルキル基へ随意に縮合して、先のR基の−(CR−部分には、炭素−炭素二重又は三重結合が随意に含まれ、ここでtは2と5の間の整数であり、そして、上記に言及される任意の縮合環が含まれる先述のR基は、1〜5のR基により随意に置換され;
は、−(CR1617−C≡C−(CR1617、−(CR1617−C=C−(CR1617−R、−(CR1617−C≡C−(CR161713、−(CR1617−C=C−(CR161713、又は−(CR1617であり、ここでRへの付加点は、R基の炭素原子を介し、それぞれのkは1〜3の整数であり、それぞれのtは0〜5の整数であり、そしてそれぞれのmは0〜3の整数であり;
それぞれのRは、ハロ、ヒドロキシ、−NR、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、−NRC(O)R、−C(O)NR、−SONR、−NRC(O)NR、及び−NRC(O)ORより独立して選択され;
それぞれのR、R6a、及びRは、H、C〜Cアルキル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択され、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR及びR基のアルキル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ヒドロキシ、及びC〜Cアルコキシより独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換される;
又はR及びR、又はR6a及びRは、窒素原子(同じ窒素原子、又は、例えば、−C(O)又は−SO−による相互連結を介して互いに近傍にある2つの別々の窒素原子が含まれる)へ付くとき、一緒になって、前記R、R6a、及びRが付く窒素原子に加えて、N、N(R)、O、及びSより選択される1〜3の追加へテロ部分が含まれる場合がある4〜10員複素環式環を形成する場合があり(但し、2つのO原子、2つのS原子、又はO及びS原子は、互いへ直接付かない);
それぞれのRは、オキソ(=O)、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜C10アルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−NRSONR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−C(O)NR、−NR、−NROR、−SONR、−S(O)(C〜Cアルキル)(ここでjは、0〜2の整数である)、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRC(O)(CR(C〜C10アリール)、−(CRC(O)(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRO(CR(C〜C10アリール)、−(CRO(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRS(O)(CR(C〜C10アリール)、及び−(CRS(O)(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される(ここでjは、0、1、又は2であり、tは、それぞれ独立して、0〜5の整数である)、又は先述のR基の複素環式部分の1又は2の環炭素原子は、オキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NROR、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換され(ここでtは、0〜5の整数である);
は、非芳香族の単環式環、縮合又は架橋した二環式環、又はスピロ環式環であり、ここで前記環は、3〜12の炭素原子を含有し、このうち0〜3の炭素原子は、N、O、S(O)(ここでjは、0〜2の整数である)、及び−NR−より独立して選択されるヘテロ部分で随意に置き換えられ(但し、2つのO原子、2つのS(O)部分、O原子とS(O)部分、N原子とS原子、又はN原子とO原子は、前記環内で互いに直接付くことはなく、そしてここで、前記環の炭素原子は、1又は2のR基で随意に置換される);
それぞれのR11は、Rの定義において提供される置換基より独立して選択され(但しR11は、オキソ(=O)ではない);
12は、R、−OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−OCO、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)NR6a、−NRSONR6a、−NRCO、CN、−C(O)R、又はハロであり(ここでjは、0〜2の整数である);
13は、−NR14又は−OR14であり;
14は、H、R15、−C(O)R15、−SO15、−C(O)NR15、−SONR15、又は−CO15であり;
15は、R18、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR15基のアリール及び複素環式部分は、1〜3のR置換基で随意に置換され;
それぞれのR16及びR17は、H、C〜Cアルキル、及び−CHOHより独立して選択されるか、又はR16とR17は、−CHCH−又は−CHCHCH−として一緒になり;
18は、C〜Cアルキルであり、ここでN又はO原子、又はS(O)(ここでjは0〜2の整数である)へ結合しない各炭素は、R12で随意に置換され;
そしてここで、ハロゲノ、SO又はSO基へも、N、O又はS原子へも付かない、CH(メチル)、CH(メチレン)、又はCH(メチン)基を含んでなる、上記置換基のいずれも、ヒドロキシ、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、及び−NRより選択される基で随意に置換される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの治療有効量と、
(ii)erbBファミリーの遺伝子によりコードされるタンパク質への抗体の量を、どの順序でも連続的に、同時に、又はその両方で投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項2】
erbB遺伝子が、erbB1、erbB2、erbB3、erbB4、又はそれらの組合せである、請求項1の方法。
【請求項3】
遺伝子がerbB1である、請求項1〜2のいずれか1項の方法。
【請求項4】
遺伝子がerbB2である、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
【請求項5】
抗体が、Herceptin、2C4、及びペルツツマブからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項の方法。
【請求項6】
抗体がHerceptinである、請求項1〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】
式1の化合物が:
(±)−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−3−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
(±)−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−3−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−4−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
2−フルオロ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−(6−ピペリジン−4−イルエチニル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
2−メトキシ−N−(1−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イルエチニル}−シクロプロピル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−2−メトキシ−アセトアミド;
N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−2−エトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
1−エチル−3−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−尿素;
ピペラジン−1−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド;
(±)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド;
2−ジメチルアミノ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−メタンスルホンアミド;
イソオキサゾール−5−カルボン酸(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−アミド;
1−(1,1−ジメチル−3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−プロプ−2−イニル)−3−エチル−尿素;
及び、上記化合物の医薬的に許容される塩、プロドラッグ、及び溶媒和物からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】
式1の化合物がE−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドである、請求項1〜7のいずれか1項の方法。
【請求項9】
癌を有する哺乳動物を治療する方法であって、そのような治療の必要な前記哺乳動物へ、(i)erbB2タンパク質への抗体の量;及び(ii)式1:
【化2】

[式中:
mは、0〜3の整数であり;
pは、0〜4の整数であり;
それぞれのR及びRは、HとC〜Cアルキルより独立して選択され;
は、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、前記複素環式基は、ベンゼン環又はC〜Cシクロアルキル基へ随意に縮合して、先のR基の−(CR−部分には、炭素−炭素二重又は三重結合が随意に含まれ、ここでtは2と5の間の整数であり、そして、上記に言及される任意の縮合環が含まれる先述のR基は、1〜5のR基により随意に置換され;
は、−(CR1617−C≡C−(CR1617、−(CR1617−C=C−(CR1617−R、−(CR1617−C≡C−(CR161713、−(CR1617−C=C−(CR161713、又は−(CR1617であり、ここでRへの付加点は、R基の炭素原子を介し、それぞれのkは1〜3の整数であり、それぞれのtは0〜5の整数であり、そしてそれぞれのmは0〜3の整数であり;
それぞれのRは、ハロ、ヒドロキシ、−NR、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、−NRC(O)R、−C(O)NR、−SONR、−NRC(O)NR、及び−NRC(O)ORより独立して選択され;
それぞれのR、R6a、及びRは、H、C〜Cアルキル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択され、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR及びR基のアルキル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ヒドロキシ、及びC〜Cアルコキシより独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換される;
又はR及びR、又はR6a及びRは、窒素原子(同じ窒素原子、又は、例えば、−C(O)又は−SO−による相互連結を介して互いに近傍にある2つの別々の窒素原子が含まれる)へ付くとき、一緒になって、前記R、R6a、及びRが付く窒素原子に加えて、N、N(R)、O、及びSより選択される1〜3の追加へテロ部分が含まれる場合がある4〜10員複素環式環を形成する場合があり(但し、2つのO原子、2つのS原子、又はO及びS原子は、互いへ直接付かない);
それぞれのRは、オキソ(=O)、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜C10アルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−NRSONR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−C(O)NR、−NR、−NROR、−SONR、−S(O)(C〜Cアルキル)(ここでjは、0〜2の整数である)、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRC(O)(CR(C〜C10アリール)、−(CRC(O)(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRO(CR(C〜C10アリール)、−(CRO(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRS(O)(CR(C〜C10アリール)、及び−(CRS(O)(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される(ここでjは、0、1、又は2であり、tは、それぞれ独立して、0〜5の整数である)、又は先述のR基の複素環式部分の1又は2の環炭素原子は、オキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NROR、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換され(ここでtは、0〜5の整数である);
は、非芳香族の単環式環、縮合又は架橋した二環式環、又はスピロ環式環であり、ここで前記環は、3〜12の炭素原子を含有し、このうち0〜3の炭素原子は、N、O、S(O)(ここでjは、0〜2の整数である)、及び−NR−より独立して選択されるヘテロ部分で随意に置き換えられ(但し、2つのO原子、2つのS(O)部分、O原子とS(O)部分、N原子とS原子、又はN原子とO原子は、前記環内で互いに直接付くことはなく、そしてここで、前記環の炭素原子は、1又は2のR基で随意に置換される);
それぞれのR11は、Rの定義において提供される置換基より独立して選択され(但しR11は、オキソ(=O)ではない);
12は、R、−OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−OCO、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)NR6a、−NRSONR6a、−NRCO、CN、−C(O)R、又はハロであり(ここでjは、0〜2の整数である);
13は、−NR14又は−OR14であり;
14は、H、R15、−C(O)R15、−SO15、−C(O)NR15、−SONR15、又は−CO15であり;
15は、R18、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR15基のアリール及び複素環式部分は、1〜3のR置換基で随意に置換され;
それぞれのR16及びR17は、H、C〜Cアルキル、及び−CHOHより独立して選択されるか、又はR16とR17は、−CHCH−又は−CHCHCH−として一緒になり;
18は、C〜Cアルキルであり、ここでN又はO原子、又はS(O)(ここでjは0〜2の整数である)へ結合しない各炭素は、R12で随意に置換され;
そしてここで、ハロゲノ、SO又はSO基へも、N、O又はS原子へも付かない、CH(メチル)、CH(メチレン)、又はCH(メチン)基を含んでなる、上記置換基のいずれも、ヒドロキシ、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、及び−NRより選択される基で随意に置換される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグの治療有効量を、どの順序でも連続的に、同時に、又はその両方で投与することを含んでなり、
ここで癌は、erbB2遺伝子によりコードされるタンパク質の過剰発現を有する、前記方法。
【請求項10】
(a)式1の薬剤と、
(b)(a)とともに包装される、erbB遺伝子によりコードされるタンパク質への抗体との同時又は連続投与のための使用説明書を含んでなる、癌の治療用キット[ここで、式1は、
【化3】

又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであり、式中:
mは、0〜3の整数であり;
pは、0〜4の整数であり;
それぞれのR及びRは、HとC〜Cアルキルより独立して選択され;
は、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、前記複素環式基は、ベンゼン環又はC〜Cシクロアルキル基へ随意に縮合して、先のR基の−(CR−部分には、炭素−炭素二重又は三重結合が随意に含まれ、ここでtは2と5の間の整数であり、そして、上記に言及される任意の縮合環が含まれる先述のR基は、1〜5のR基により随意に置換され;
は、−(CR1617−C≡C−(CR1617、−(CR1617−C=C−(CR1617−R、−(CR1617−C≡C−(CR161713、−(CR1617−C=C−(CR161713、又は−(CR1617であり、ここでRへの付加点は、R基の炭素原子を介し、それぞれのkは1〜3の整数であり、それぞれのtは0〜5の整数であり、そしてそれぞれのmは0〜3の整数であり;
それぞれのRは、ハロ、ヒドロキシ、−NR、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、−NRC(O)R、−C(O)NR、−SONR、−NRC(O)NR、及び−NRC(O)ORより独立して選択され;
それぞれのR、R6a、及びRは、H、C〜Cアルキル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択され、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR及びR基のアルキル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ヒドロキシ、及びC〜Cアルコキシより独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換される;
又はR及びR、又はR6a及びRは、窒素原子(同じ窒素原子、又は、例えば、−C(O)又は−SO−による相互連結を介して互いに近傍にある2つの別々の窒素原子が含まれる)へ付くとき、一緒になって、前記R、R6a、及びRが付く窒素原子に加えて、N、N(R)、O、及びSより選択される1〜3の追加へテロ部分が含まれる場合がある4〜10員複素環式環を形成する場合があり(但し、2つのO原子、2つのS原子、又はO及びS原子は、互いへ直接付かない);
それぞれのRは、オキソ(=O)、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜C10アルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−NRSONR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−C(O)NR、−NR、−NROR、−SONR、−S(O)(C〜Cアルキル)(ここでjは、0〜2の整数である)、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRC(O)(CR(C〜C10アリール)、−(CRC(O)(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRO(CR(C〜C10アリール)、−(CRO(CR(4〜10員複素環式基)、−(CRS(O)(CR(C〜C10アリール)、及び−(CRS(O)(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される(ここでjは、0、1、又は2であり、tは、それぞれ独立して、0〜5の整数である)、又は先述のR基の複素環式部分の1又は2の環炭素原子は、オキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及び複素環式部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NROR、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−(CR(C〜C10アリール)、及び−(CR(4〜10員複素環式基)より独立して選択される1〜3の置換基で随意に置換され(ここでtは、0〜5の整数である);
は、非芳香族の単環式環、縮合又は架橋した二環式環、又はスピロ環式環であり、ここで前記環は、3〜12の炭素原子を含有し、このうち0〜3の炭素原子は、N、O、S(O)(ここでjは、0〜2の整数である)、及び−NR−より独立して選択されるヘテロ部分で随意に置き換えられ(但し、2つのO原子、2つのS(O)部分、O原子とS(O)部分、N原子とS原子、又はN原子とO原子は、前記環内で互いに直接付くことはなく、そしてここで、前記環の炭素原子は、1又は2のR基で随意に置換される);
それぞれのR11は、Rの定義において提供される置換基より独立して選択され(但しR11は、オキソ(=O)ではない);
12は、R、−OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−OCO、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)NR6a、−NRSONR6a、−NRCO、CN、−C(O)R、又はハロであり(ここでjは、0〜2の整数である);
13は、−NR14又は−OR14であり;
14は、H、R15、−C(O)R15、−SO15、−C(O)NR15、−SONR15、又は−CO15であり;
15は、R18、−(CR(C〜C10アリール)、−(CR(4〜10員複素環式基)であり、ここでtは0〜5の整数であり、複素環式基の1又は2の環炭素原子はオキソ(=O)部分で随意に置換され、先述のR15基のアリール及び複素環式部分は、1〜3のR置換基で随意に置換され;
それぞれのR16及びR17は、H、C〜Cアルキル、及び−CHOHより独立して選択されるか、又はR16とR17は、−CHCH−又は−CHCHCH−として一緒になり;
18は、C〜Cアルキルであり、ここでN又はO原子、又はS(O)(ここでjは0〜2の整数である)へ結合しない各炭素は、R12で随意に置換され;
そしてここで、ハロゲノ、SO又はSO基へも、N、O又はS原子へも付かない、CH(メチル)、CH(メチレン)、又はCH(メチン)基を含んでなる、上記置換基のいずれも、ヒドロキシ、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、及び−NRより選択される基で随意に置換される]。
【請求項11】
抗腫瘍剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗生物質、植物由来抗腫瘍剤、カンプトテシン誘導体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗体、インターフェロン、及び生物学的応答調節剤からなる群より選択される1以上の追加治療薬剤を投与することをさらに含んでなる、請求項1〜10のいずれか1項の方法。
【請求項12】
前記追加治療薬剤が、カンプトテシン、イリノテカンHCl、エドテカリン、SU−11248、エピルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、リツキシマブ、ベバシツマブ、Erbitux、ゲフィチニブ、エキセメスタン、Lupron、アナストロゾール、タモキシフェン、Trelstar、Filgrastim、オンダンセトロン、Fragmin、Procrit、Aloxi、Emend、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1〜11のいずれか1項の方法。
【請求項13】
前記追加治療薬剤が、パクリタキセル、エキセメスタン、タモキシフェン、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1〜12のいずれか1項の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−510708(P2007−510708A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538975(P2006−538975)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003551
【国際公開番号】WO2005/044302
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】