説明

発光装置、その駆動方法および画像形成装置

【課題】発光素子の発光量のばらつきを改善する。
【解決手段】複数のOLED素子の発光量は、光測定システム20によって測定され、発
光量が一定になる電流データがメモリ330に記憶される。複数のOLED素子の各々に
対応して電流供給回路が設けられており、各電流供給回路はOLED素子に供給する駆動
電流の大きさを保持する。コントローラ310は読み出した電流データに基づいて、電流
源340を制御して設定電流Isetを生成し電流供給回路に供給する。またコントローラ
310はOLED素子が点灯する時間を指定する指定データDaを生成して出力する。電
流供給回路は指定データDaに基づいて生成された発光制御信号に従って駆動電流をOL
ED素子に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料を利用した発光装置、
その駆動方法および発光装置を利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としてのプリンタには、感光体ドラムなどの像担持体に静電潜像を形成す
るためのヘッド部として、多数の発光素子がアレイ状に配列された発光装置が用いられる
。ヘッド部は、複数の発光素子を主走査方向に沿って配置した1本のラインで構成される
ことが多い。
また、発光素子としては、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、
以下適宜「OLED」と略称する)素子が知られている。OLED素子などの発光素子は
駆動電流の大きさに応じて発光量、具体的には光度が変化する。このOLED素子の駆動
方法として特許文献1にはOLED素子に供給する駆動電流のパルス幅を階調に応じて調
整するPWM(pulse width modulation)方式が開示されている。
【特許文献1】特開2004−330472号公報(請求項10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、実際のヘッド部では、複数のOLED素子を均一に形成することが困難
である。このため、同じ大きさの駆動電流を同じ期間だけ複数のOLED素子の各々に供
給しても発光量がばらつく。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発光素子の光度のばらつきを
補正して均一の発光量を得ることを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、駆動信号の大きさに応じた光度
で発光する複数の発光素子と、前記複数の発光素子ごとに設けられ、前記複数の発光素子
の光度が一定になるように調整した前記駆動信号の大きさを各々保持する複数の保持部と
、前記複数の発光素子ごとに設けられ、発光すべき階調に応じた期間だけ対応する発光素
子に前記保持部に保持された大きさの前記駆動信号を供給する複数の供給部とを備える。
【0006】
この発明によれば、保持部が複数の発光素子の各々に対応して設けられており、そこに
は光度が一定になるように調整された駆動信号の大きさが保持されている。供給部は、発
光すべき階調に応じた期間だけ保持部に保持された大きさの駆動信号を供給するので、均
一な輝度で複数の発光素子を発光させることができる。なお、駆動信号は発光素子を発光
させることができればよいので、電圧信号であっても電流信号であってもよい。また、発
光素子は、例えば、有機発光ダイオード素子や無機発光ダイオード素子などの発光ダイオ
ードであってもよい。また、発光装置は、画像形成装置の光ヘッドであってもよいし、複
数の発光素子をマトリクス状に配置した表示装置であってもよい。
【0007】
本発明に係る他の発光装置は、駆動信号の大きさに応じた光度で発光する複数の発光素
子と、前記複数の発光素子ごとに設けられ、対応する発光素子に供給する前記駆動信号の
大きさを各々保持する複数の保持部と、前記複数の発光素子ごとに設けられ、発光すべき
階調に応じた期間だけ対応する発光素子に前記保持部に保持された大きさの前記駆動信号
を供給する複数の供給部と、前記複数の発光素子の光度が一定になるように調整した前記
駆動信号の大きさを示す信号データを前記複数の発光素子の各々について記憶する記憶部
と、前記記憶部から前記信号データを順次読み出して、前記信号データに基づいて設定信
号を生成する設定部と、前記設定信号の大きさに関連する大きさの前記駆動信号を前記保
持部に順次供給して保持させる書込回路とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば各発光素子のばらつきを補正するための信号データを記憶部に記憶し
ておき、そこから読み出した信号データに基づく駆動信号を保持部に供給することができ
る。より具体的には、前記保持部は揮発性のメモリであり、前記記憶部は不揮発性のメモ
リであることが好ましい。揮発性のメモリであれば簡単に構成することができるので、複
数の発光素子および複数の保持部を一体に構成した発光パネルと記憶部を不揮発性のメモ
リチップを備えた発光装置とすることができる。この場合、発光パネルの面積を削減する
ことができる。しかも、不揮発性のメモリチップと別体に構成することができるので発光
装置の分留りを向上させることができる。
【0009】
また、上述した発光装置において、前記設定信号は、電流信号または電圧信号であって
もよい。即ち、保持部を電流プログラミング形式で構成してもよいし、あるいは電圧プロ
グラミング形式で構成してもよい。
また、上述した発光装置は、画像データに基づいて前記発光素子が発光すべき期間を指
定する指定データを生成する指定データ生成部と、前記複数の発光素子ごとに設けられ、
前記指定データに基づいて前記発光素子が発光する期間だけ有効となる発光制御信号を生
成する複数の発光制御部とを備え、前記供給部は、前記発光制御信号が有効な期間だけ対
応する発光素子に前記保持部に保持された大きさの前記駆動信号を供給するとよい。ここ
で、指定データは、例えば、発光デューティ比を指示する階調データと、発光期間の開始
時点を指示する位置データとから構成してもよいし、あるいは、発光デューティ比を指示
する階調データのみから構成してもよい。前者の場合は、隣接するドットの関係で画像の
輪郭を滑らかにすることが可能となる。
【0010】
また、上述した発光装置は、前記複数の発光素子の光度を各々計測する計測部と、前記
複数の発光素子を順次選択する処理と、選択された発光素子を発光させる前記指定データ
を生成するように前記発光制御部を制御する処理と、前記計測部の計測結果に基づいて、
選択された発光素子の光度が所定範囲内に収まる信号データを生成する処理と、生成した
前記信号データを前記記憶部に書き込む処理とを実行する制御部とを備えることが好まし
い。
この発明の発光装置は、発光素子の光度を自ら測定して、信号データを生成することが
できる。したがって、経時変化や環境温度が変化して発光素子の発光特性が変化した場合
に信号データを更新することが可能となる。これにより、正確な階調を刻むことが可能と
なる。
【0011】
より具体的には、前記複数の発光素子は、一列又は複数列に配列されており、前記計測
部は、前記複数の発光素子の両端に設けられた少なくとも2個の光センサを備え、前記制
御部は、前記少なくとも2個の光センサから出力される出力信号の和に基づいて、選択さ
れた発光素子の光度を計測することが好ましい。この場合には、2個の光センサの和によ
って発光素子の光度が計測されるので、正確に光度を計測することができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定められた所
定頻度に達すると、外部から前記所定頻度に達した発光素子を特定する特定データを受け
取る処理と、前記特定データに基づいて前記所定頻度に達した発光素子を選択する処理と
、選択された発光素子を発光させる前記指定データを生成するように前記発光制御部を制
御する処理と、前記計測部の計測結果に基づいて、選択された発光素子の光度が所定範囲
内に収まる信号データを生成する処理と、生成した信号データを前記記憶部に書き込む処
理とを実行することが好ましい。この場合には、使用頻度が所定頻度に達すると信号デー
タを更新するので、経時変化によって発光素子の発光特性が変化しても正確な階調を刻む
ことができる。なお、発光装置を光ヘッドとして使用する場合には、印字してない期間に
上述した信号データの更新を実行することが好ましい。
【0013】
また、上述した発光装置は、前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定めら
れた所定頻度に達すると、外部から前記所定頻度に達した発光素子を特定する特定データ
を受け取ると、前記記憶部から前記特定データに対応する信号データを読み出す読出部と
、前記読み出した信号データに、使用頻度を補正する演算を施して補正済信号データを生
成する演算部と、前記補正済信号データを前記記憶部に書き込む書込部と、を備えること
が好ましい。この場合には、光度を計測する計測部がなくても使用頻度に応じて信号デー
タを更新することができる。演算部は、例えば、使用時間が500時間に達したら駆動信
号の大きさを110%にし、使用時間が500時間に達したら駆動信号の大きさを120
%にするといった演算を実行すればよい。
【0014】
この発明の簡単な態様では、前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記信号データ
が示す大きさの前記設定信号を生成し、前記書込回路は前記設定信号の大きさと同じ大き
さの前記駆動信号を前記保持部に順次供給して保持させる。しかし、発光素子は、同じ電
流を流しても、温度が変化すると光度が変化するので、以下のように温度補償を行うよう
にすると好ましい。
【0015】
一つの温度補償可能な態様は、現在の温度を測定して温度信号を出力する温度測定部を
さらに備え、前記記憶部は、基準温度で前記複数の発光素子の光度が一定になるように調
整した前記駆動信号の大きさを示す前記信号データを前記複数の発光素子の各々について
記憶し、前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記信号データに対して、前記温度信
号の示す現在の温度と前記基準温度との差分に応じて演算処理を施して、前記設定信号を
生成し、前記書込回路は前記設定信号の大きさと同じ大きさの前記駆動信号を前記保持部
に順次供給して保持させる。この態様によれば信号データを生成した時点の基準温度と設
定信号を生成する時点の現在の温度とが相違する場合であっても、現在の温度を測定して
、基準温度との差分に応じて発光素子の発光輝度が等しくなるように演算処理を施して設
定信号を生成するので、温度変化があっても正確に階調を刻むことが可能となる。
【0016】
ここで、前記記憶部は前記信号データと共に前記基準温度を示す温度データを記憶して
おり、前記設定部は、前記温度信号の示す現在の温度と前記温度データの示す前記基準温
度との差分に応じて前記信号データに演算処理を施すことが好ましい。この場合には、記
憶部は温度データを記憶しているので、信号データを生成する際に環境の温度を厳密に管
理する必要がなく、信号データの生成が容易になる。また、温度測定部で生成した温度信
号に基づいて温度データを生成すれば、温度測定部の誤差を相殺することが可能となる。
例えば、信号データを生成した時点の基準温度と現在の温度が一致する場合に、同じ温度
測定部で温度を測定すれば誤差を含んでいても両者は一致するが、異なる部で測定すれば
誤差によって不一致となる場合がある。従って、温度測定部で生成した温度信号に基づい
て温度データを生成し、これを記憶部に記憶することが好ましい。
【0017】
また、前記記憶部は、複数の基準温度の各々について前記複数の発光素子の光度が一定
になるように調整した前記駆動信号の大きさを示す信号データを前記複数の発光素子の各
々について記憶しており、前記設定部は、前記演算処理として、前記温度信号の示す現在
の温度と前記複数の基準温度との差分に応じて、前記記憶部から読み出した前記複数の基
準温度における前記信号データを補間して前記設定信号を生成することが好ましい。これ
によれば、実際に測定した信号データを補間して設定信号を生成するので、温度補償の精
度をより一層向上させることができる。
【0018】
前記記憶部は前記信号データと共に前記複数の基準温度を示す各温度データを記憶して
おり、前記設定部は、前記温度信号の示す現在の温度と前記各温度データの示す複数の基
準温度との差分に応じて、前記記憶部から読み出した前記複数の基準温度における前記信
号データを補間して前記複数の発光素子の光度が一定になるように前記設定信号を生成す
ることが好ましい。この場合には、記憶部は温度データを記憶しているので、信号データ
を生成する際に環境の温度を厳密に管理する必要がなく、信号データの生成が容易になる
。くわえて、温度測定部で生成した温度信号に基づいて各温度データを生成することが、
測定誤差を相殺する観点から好ましい。
【0019】
他の温度補償可能な態様は、前記設定信号を現在の温度に応じて補償する温度補償回路
をさらに備え、前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記信号データが示す大きさの
設定信号を生成し、前記書込回路は、前記温度補償回路で補償された設定信号の大きさと
同じ大きさの前記駆動信号を前記保持部に順次供給して保持させる。この態様によれば、
温度補償回路を有するので、ハードウエアで温度補償を実行することができ、演算処理の
処理負荷を軽減することができる。しかも、温度補償回路は、複数の発光素子に共通して
設けられているから、構成を簡素化することができる。
【0020】
上述した発光装置は、前記複数の保持部の少なくとも一つおよび前記複数の供給部の少
なくとも一つを各々が有する複数の集積回路チップと、前記設定信号を供給する制御回路
チップと、その長辺に沿って前記複数の発光素子が配置され、前記複数の発光素子に沿っ
て前記複数の集積回路が一列に配置された第1の基板と、前記制御回路チップが固着され
た第2の基板とを備え、前記第2の基板は前記第1の基板の一方の短辺に接続され、前記
第1の基板の一方の短辺から他方の短辺に向けて前記設定信号を供給することが好ましい
。具体的には、例えば、後述する実施形態の図10に示す第1の態様が該当する。この場
合には、長辺側に接続部を設ける必要がないので、第1の基板の面積を削減することが可
能となる。また、2以上の集積回路チップを用いるので、個々の集積回路チップを検査し
て良品のみを組み合わせて発光装置を製造することが可能となる。これにより歩留まりを
向上しコストを削減することが可能となる。なお、第2の基板には、固定の基板のみなら
ずフレキシブル基板が含まれる。また、制御回路チップは少なくとも設定部を有し、第2
の基板に記憶部を配置し、第1の基板に温度測定部を配置してもよい。あるいは、制御回
路チップは少なくとも設定部を有し、第2の基板に記憶部及び温度補償回路を配置しても
よい。
【0021】
また上述した発光装置は、前記複数の保持部の少なくとも一つおよび前記複数の供給部
の少なくとも一つを各々が有する複数の集積回路チップと、前記設定信号を供給する制御
回路チップと、その長辺に沿って前記複数の発光素子が配置され、前記複数の発光素子に
沿って前記複数の集積回路が一列に配置された第1の基板と、前記制御回路チップが固着
された第2の基板とを備え、前記第2の基板は前記第1の基板の長辺の中央部分に接続さ
れ、前記第1の基板の長辺の中央部分から、一方の短辺へ向けて前記設定信号を供給する
と共に他方の短辺に向けて前記設定信号を供給することが好ましい。具体的には、例えば
、後述する実施形態の図11に示す第2の態様が該当する。この場合には、第1の基板の
中央部分から設定信号を左右に分かれるように供給することができるので、各種の設定信
号の遅延時間を短縮することができる。また、制御回路チップは少なくとも設定部を有し
、第2の基板に記憶部を配置し、第1の基板に温度測定部を配置してもよい。あるいは、
制御回路チップは少なくとも設定部を有し、第2の基板に記憶部及び温度補償回路を配置
してもよい。
【0022】
さらに、隣接する前記集積回路チップ間の少なくとも1つにおいて、前記設定信号を伝
送するための配線が形成されたフレキシブル基板を備えると好ましい。フレキシブル基板
を用いることによって、設定信号の遅延時間をより一層短縮することができる。
【0023】
本発明に係る画像形成装置は、上述した発光装置と、前記複数の発光素子の各々からの
出射光によって静電潜像が形成される像担持体と、を備えることを特徴とする。このよう
な画像形成装置としては、例えば、プリンタ、複写機、複合機などが該当する。
【0024】
次に、本発明に係る発光装置の駆動方法は、駆動信号の大きさに応じた光度で発光する
複数の発光素子を備えた発光装置の駆動方法であって、前記複数の発光素子ごとに、前記
複数の発光素子の光度が一定になるように調整した前記駆動信号の大きさを各々保持し、
前記複数の発光素子ごとに、発光すべき階調に応じた期間だけ対応する発光素子に保持さ
れた大きさの前記駆動信号を供給することを特徴とする。この発明によれば、複数の発光
素子の各々について光度が一定になるように調整された駆動信号の大きさを保持し、発光
すべき階調に応じた期間だけ対応する発光素子に保持された大きさの駆動信号を供給する
から、均一な輝度で複数の発光素子を発光させることができる。
【0025】
また、本発明に係る発光装置の他の駆動方法は、駆動信号の大きさに応じた光度で発光
する複数の発光素子と、前記複数の発光素子ごとに設けられ、対応する発光素子に供給す
る前記駆動信号の大きさを各々保持する複数の保持部と、前記複数の発光素子ごとに設け
られ、発光すべき階調に応じた期間だけ対応する発光素子に前記保持部に保持された大き
さの前記駆動信号を供給する複数の供給部と、前記複数の発光素子の光度が一定になるよ
うに調整した前記駆動信号の大きさを示す信号データを前記複数の発光素子の各々につい
て記憶する記憶部とを備えた発光装置を駆動する方法であって、電源を投入したときに、
前記記憶部から前記信号データを順次読み出し、読み出した前記信号データに基づいて設
定信号を生成し、生成した前記設定信号の大きさに関連する大きさの前記駆動信号を前記
保持部に順次供給して保持させることを特徴とする。この発明によれば、電源が投入され
るたびに保持部に駆動信号の大きさを書き込むので、保持部を揮発性のメモリで構成する
ことができる。
【0026】
また、上述した発光装置の駆動方法において、前記複数の発光素子を順次選択し、選択
された発光素子を発光させ、選択された発光素子の光度を計測し、選択された発光素子の
光度が所定範囲内に収まる信号データを生成し、生成した信号データを前記記憶部に書き
込むことが好ましい。この場合には、記憶部に光度が所定範囲内に収まる信号データを記
憶することができるので、各発光素子の光度が均一になるように補正することができる。
【0027】
また、上述した発光装置の駆動方法において、前記記憶部に前記信号データを書き込ん
だ後、前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定められた所定頻度に達したか
否かを判定して前記所定頻度に達した発光素子を特定し、特定した発光素子を発光させ、
特定した発光素子の光度を計測し、特定した発光素子の光度が所定範囲内に収まる信号デ
ータを生成し、生成した信号データを前記記憶部に書き込む、ことを特徴とする。この場
合には、使用頻度が所定頻度に達すると信号データを更新するので、経時変化によって発
光素子の発光特性が変化しても正確な階調を刻むことができる。
【0028】
また、上述した発光装置の駆動方法において、前記記憶部に前記信号データを書き込ん
だ後、前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定められた所定頻度に達したか
否かを判定して前記所定頻度に達した発光素子を特定し、前記記憶部から特定した発光素
子の信号データを読み出し、前記読み出した信号データに、使用頻度を補正する演算を施
して補正済信号データを生成し、前記補正済信号データを前記記憶部に書き込むことが好
ましい。この場合には、光度を計測する計測部がなくても使用頻度に応じて信号データを
更新することができる。
【0029】
この発明の駆動方法の簡単な態様では、前記設定信号は、前記信号データが示す大きさ
を有し、 前記保持部に順次供給される前記駆動信号は、前記設定信号の大きさと同じ大
きさを有する。しかし、発光素子は、同じ電流を流しても、温度が変化すると光度が変化
するので、以下のように温度補償を行うようにすると好ましい。
【0030】
本発明に係る発光装置の他の駆動方法は、駆動信号の大きさに応じた光度で発光する複
数の発光素子と、基準温度で前記複数の発光素子の光度が一定になるように調整した前記
駆動信号の大きさを示す信号データを前記複数の発光素子の各々について記憶する記憶部
とを備えた発光装置の駆動方法であって、前記記憶部から前記信号データを順次読み出し
、前記読み出した前記信号データに対して、現在の温度と前記基準温度との差分に応じて
演算処理を施して設定信号を生成し、前記設定信号に基づいて前記複数の発光素子ごとに
前記駆動信号の大きさを各々保持し、発光すべき階調に応じた期間だけ保持された大きさ
の前記駆動信号を前記複数の発光素子ごとに供給する。この方法によれば信号データを生
成した時点の基準温度と設定信号を生成する時点の現在の温度とが相違する場合であって
も、現在の温度を測定して、基準温度との差分に応じて発光素子の発光輝度が等しくなる
ように演算処理を施して設定信号を生成するので、温度変化があっても正確に階調を刻む
ことが可能となる。
【0031】
前記記憶部は、複数の基準温度の各々について前記複数の発光素子の光度が一定になる
ように調整した前記駆動信号の大きさを示す信号データを前記複数の発光素子の各々につ
いて記憶しており、前記設定信号を生成する工程において、前記演算処理として、現在の
温度と前記複数の基準温度との差分に応じて、前記記憶部から読み出した前記複数の基準
温度における前記信号データを補間して前記設定信号を生成することが好ましい。この場
合には、実際に測定した信号データを補間して設定信号を生成するので、温度補償の精度
をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図面を参照しながら本発明に好適な実施の形態を説明する。なお、各図において共通す
る部分には同一の符号を付す。
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る発光装置を利用した画像形成装置の一部の構成を示す斜視
図である。同図に示されるように、この画像形成装置は、発光装置1と集光性レンズアレ
イ15と感光体ドラム110とを有する。発光装置1は、一列又は複数列のアレイ状に配
列された多数の発光素子を有する。これらの発光素子は、用紙などの記録材に印刷される
べき画像に応じて選択的に発光する。例えば、発光素子として有機発光ダイオード素子(
以下、OLED素子と称する。)が用いられる。集光性レンズアレイ15は、発光装置1
と感光体ドラム110との間に配置される。この集光性レンズアレイ15は、各々の光軸
を発光装置10に向けた姿勢でアレイ状に配列された多数の屈折率分布型レンズを含む。
このような集光性レンズアレイ15としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能な
SLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板
硝子株式会社の登録商標)。発光装置10の各発光素子から発せられた光は集光性レンズ
アレイ15の各屈折率分布型レンズを透過して感光体ドラム110の表面に到達する。こ
の露光によって感光体ドラム110の表面には所望の画像に応じた潜像が形成される。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る発光装置1とその周辺構成を含むブロック図である。この
図に示すように発光装置1は、m個のドライバ回路A1〜Amと、これらを制御する制御
回路300を備える。また、各ドライバ回路A1〜Amの各々にはn個のOLED素子1
0が接続されている。制御回路300はドライバ回路A1〜Amを制御するために各種の
制御信号を生成する。この発光装置1において各OLED素子10はPWM方式によって
駆動される。PWM方式の場合、各OLED素子10の発光パワーは、駆動電流Ioledの
大きさと発光デューティ比の積で定まる。本実施形態では、駆動電流Ioledの大きさを調
整することによって複数のOLED素子10の発光特性のばらつきを補償し、発光デュー
ティ比を変化させることによって、所望の階調でOLED素子10を発光させる。
【0034】
制御回路300は、後述するように不揮発性のメモリを備えており、そこに各OLED
素子10の駆動電流Ioledの大きさを指定する電流データが記憶される。また、制御回路
300は、光測定システム(計測部)20と接続可能である。光測定システム20は各O
LED素子10の光度を個別に測定する。制御回路300は測定結果に基づいて、各OL
ED素子10の発光特性を補正した電流データを記憶する。
【0035】
図3にドライバ回路A1のブロック図を示す。なお、他のドライバ回路A2〜Amも同
様に構成されている。このドライバ回路A1は、n個のOLED素子10をPWM方式で
駆動する。即ち、OLED素子10が発光すべき発光量(発光パワー)に応じて、その点
灯期間と消灯期間との合計に対する点灯時間の比である発光デューティ比が調整される。
【0036】
n個の処理ユニットU1〜Unは、制御回路300から供給される指定データDaなど
の各種の制御信号に基づいて、OLED素子10に供給する駆動電流Ioledの通電時間と
そのタイミングを決定する。この例の指定データDaは6ビットの信号であり、図4に示
すように、下位4ビットに表示すべき階調を指示する階調データDbが割り当てられてお
り、上位2ビットに位置データDcが割り当てられている。例えば、階調データDbが最
大輝度を指定する場合には発光デューティ比が100%となるが、階調データDbが最大
輝度の80%である場合には、発光デューティ比が80%となる。ここで、発光輝度が1
00%の場合に発光が開始する時点を開始時点、発光が終了する時点を終了時点とした場
合、80%の発光デューティ比を得るために開始時点から発光を開始し全体の80%の期
間が経過した時点を終了時点としてもよいし、あるいは、開始時点から全体の20%が経
過した時点から点灯を開始し終了時点で消灯してもよい。位置データDcは点灯期間の開
始と終了を指定するデータであり、画像形成装置本体から指定される。位置データDcに
よって発光タイミングを調整することが可能となるが、これによって、印字された画像の
輪郭を滑らかにすることが可能となる。
【0037】
シフトレジスタ200は、開始パルスSPを第1クロック信号CK1に従って順次シフ
トして、ラッチパルスLAT1〜LATnを生成する。ラッチパルスLAT1〜LATn
は、図5に示すように排他的にハイレベル(アクティブ)となる。図3に示す処理ユニッ
トU1〜Unの各々は、ラッチ・デコード回路220(発光制御部)と電流供給回路23
0(供給部、書込回路)とを備える。各処理ユニットU1〜Unのラッチ・デコード回路
220は、ラッチパルスLAT1〜LATnに従って指定データDa(Da1、Da2、
…Dan)を順次取り込む。ここで、8ビットのカウンタ210は、第2クロック信号C
K2をカウントして得たカウントデータCNTを各処理ユニットU1〜Unのラッチ・デ
コード回路220に供給する。ラッチ・デコード回路220は、8ビットのカウントデー
タCNTのうちどのビットを使用するかを位置データDcによって決定し、決定したビッ
トと階調データDbに基づいて発光制御信号LSを生成する。発光制御信号LSは階調デ
ータDbの指示する階調に応じた期間だけアクティブとなり、位置データDcに応じてア
クティブ期間が開始する時点が調整される。
【0038】
図6に電流供給回路230の詳細な回路図を示す。同図において、トランジスタT1と
T2はカレントミラー回路を構成しており、トランジスタT3〜T6はキャパシタCとと
もにノードZの電位を保持する保持部として機能する。スイッチSW1およびSW2が同
時にオン状態であれば、駆動電流Ioledの大きさは、後述する制御回路300の電流源3
40を流れる設定電流Isetの大きさと一致する。また、スイッチSW1がオン状態とな
って設定電流Isetが流れると、キャパシタCに設定電流Isetに応じた電位が保持される
。この電位はスイッチSW1がオフ状態になっても保持されるので、その後、スイッチS
W2がオン状態になると、設定電流Isetと同じ大きさの駆動電流Ioledがトランジスタ
T2を介してOLED素子10に流れる。すなわち、電流供給回路230に外部から設定
電流Isetを供給することによって、OLED素子10に供給する駆動電流Ioledの大き
さをキャパシタCに記憶することができる。
【0039】
但し、保持される駆動電流Ioledの大きさは、電源Vddが遮断されるとクリアされる
。したがって、電源投入の際には、設定電流Isetを電流供給回路230に供給して駆動
電流Ioledの大きさをキャパシタCに書き込む必要がある。この意味において、上述した
保持部は、揮発性のメモリとして機能する。仮に、駆動電流Ioledの大きさを記憶するた
めに不揮発性のメモリを使用するとすれば、駆動電流Ioledの大きさをデジタルデータと
して記憶する必要がある。このため、電流供給回路230の回路規模が大きくなってしま
う。本実施形態では、駆動電流Ioledの大きさをアナログ信号としてキャパシタCに保持
するので、回路規模を大幅に削減することができる。
【0040】
スイッチSW1のオン・オフは制御回路300から供給される設定制御信号CTLによ
って制御され、設定制御信号CTLがアクティブ(ハイレベル)になるとスイッチSW1
はオン状態となる一方、非アクティブ(ローレベル)になるとスイッチSW1はオフ状態
となる。後述するように設定制御信号CTLは、各OLED素子10の光量(光度)を個
別に測定する測定モードおよび電源投入時に各OLED素子10の駆動電流Ioledの大き
さを設定する初期モードにおいてアクティブとなり、通常の動作時の通常動作モードにお
いて非アクティブとなる。一方、スイッチSW2のオン・オフはラッチ・デコード回路2
20から供給される発光制御信号LSによって制御され、発光制御信号LSがアクティブ
(ハイレベル)になるとスイッチSW2はオン状態となる一方、非アクティブ(ローレベ
ル)になるとスイッチSW2はオフ状態となる。
【0041】
図7に制御回路300の詳細なブロック図を示す。制御回路300は、コントローラ3
10(設定部、指定データ生成部、制御部)、インターフェース回路320、メモリ33
0(記憶部)、および電流源340を備える。コントローラ310は、発光装置1全体を
制御する制御中枢として機能する。メモリ330は、書き込み可能な不揮発性のメモリで
構成され、そこには各OLED素子10に供給すべき駆動電流Ioledの大きさが電流デー
タとして記憶される。この電流データは、測定モードで書き込まれ、初期モードで読み出
される。読み出された電流データがコントローラ310に供給されると、コントローラ3
10は電流源340に指令を与える。電流源340はコントローラ310からの指令に従
って設定電流Isetの大きさを変化させて各処理ユニットU1〜Unに出力する。また、
通常動作モードにおいて、プリンタ本体から画像データDinが供給されると、画像デー
タDinがインターフェース回路320を介してコントローラ310に供給される。コン
トローラ310は、画像データDinに基づいて、階調データDbと位置データDcから
なる指定データDaを生成し、これを各ドライバ回路A1〜Amに供給する。また、コン
トローラ310は、第1クロック信号CK1、第2クロック信号CK2、イネーブル信号
EN、および設定制御信号CTLを生成し、これらの制御信号をドライバ回路A1〜Am
に出力する。
【0042】
図8は、測定モードにおける発光装置1および光測定システム20の動作を示すフロー
チャートである。測定モードにおいて、コントローラ310は、測定の対象となるOLE
D素子10を特定する(ステップS1)。最初の測定では、例えば、左端のOLED素子
10を特定する。次に、コントローラ310は設定電流Isetが初期値となるように電流
源340を制御し(ステップS2)、特定したOLED素子10に対応する設定制御信号
CTLをアクティブ(ハイレベル)にする。これにより、特定したOLED素子10に対
応する電流供給回路230のスイッチSW1がオン状態となり、初期値の設定電流Iset
が電流供給回路230のキャパシタCに書き込まれる(ステップS3)。次に、コントロ
ーラ310は、設定制御信号CTLを非アクティブにしてスイッチSW1をオフ状態にす
ると共に、特定されたOLED素子10に対応するスイッチSW2がオン状態になるよう
に指定データDaを生成して出力する(ステップS4)。これにより、特定されたOLE
D素子10に初期値の駆動電流Ioledが供給され、当該OLED素子10が発光する。こ
のとき、他のOLED素子10は消灯している。
【0043】
この後、光測定システム20は特定されたOLED素子10の発光量(光度)を測定し
(ステップS5)、発光量が所定範囲内か否かを判定する(ステップS6)。所定範囲は
、ヘッド部の発光量のばらつきとして許容できる範囲に設定される。所定範囲外であれば
、ステップS9に進み、光測定システム20はこのOLED素子10が不合格である旨の
判定情報をインターフェース回路320を介してコントローラ310に伝える。すると、
コントローラ310は、設定電流Isetの大きさを所定値だけ変更するように電流源34
0を制御する(ステップS9)。この後、処理をステップS3に戻す。このような変更を
繰り返すことによって、特定されたOLED素子10の発光量が所定範囲内になると、光
測定システム20はこのOLED素子10が合格である旨の判定情報をインターフェース
回路320を介してコントローラ310に伝える。すると、コントローラ310は、現在
の設定電流Isetの大きさを示す電流データをインターフェース回路320を介してメモ
リ330に書き込む。この後、コントローラ310は、全てのOLED素子10について
測定が終了したか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8の判定条件が充足され
ない場合、コントローラ310は処理をステップS1に戻しステップS8までの処理を繰
り返す。そして、全てのOLED素子10の測定が終了すると、測定モードが終了する。
これにより、各OLED素子10の発光特性のばらつきを補正した電流データが不揮発性
のメモリ330に記憶される。上述した測定は、発光装置1を製造する工場で実行される

【0044】
図9は、初期モードおよび通常動作モードにおける発光装置1の動作を示すフローチャ
ートである。まず、画像形成装置の電源スイッチがオン状態となり、発光装置1に電源が
投入されると、初期モードが開始する(ステップS21)。コントローラ310は、全て
の電流供給回路230において、スイッチSW2がオフ状態となるように指定データDa
を設定すると共に、全ての電流供給回路230においてスイッチSW1がオフ状態となる
ように設定制御信号CTLを生成する(ステップS22)。
【0045】
次に、コントローラ310は、設定の対象となるOLED素子10を特定して、当該O
LED素子10に対応するスイッチSW1だけがオン状態となるように設定制御信号CT
Lを生成すると共に、そのOLED素子10に対応するスイッチSW2だけがオン状態に
なるように指定データDaを生成して出力する(ステップS23)。最初は、例えば、左
端のOLED素子10を特定する。この後、コントローラ310は、メモリ330からそ
のOLED素子10に対応する電流データを読み出し、設定電流Isetが電流データの指
示する大きさとなるように電流源340を制御する(ステップS24)。このようにして
、そのOLED素子10について電流供給回路230の保持部に駆動電流Ioledの大きさ
を電流供給回路230が書き込む。つまりそのOLED素子10に流れるべき駆動電流I
oledの設定が終了する。
【0046】
次に、コントローラ310は、全てのOLED素子10について設定が終了したか否か
を判定し(ステップS25)、終了するまでステップS23からステップS25までの処
理を繰り返す。そして、全てのOLED素子10について電流供給回路230の保持部に
駆動電流Ioledの大きさを書き込む処理が終了すると初期モードを終了して、通常動作モ
ードに移行する。
【0047】
通常動作モードにおいて、コントローラ310は全ての電流供給回路230に供給する
設定制御信号CTLを非アクティブにして、全てのスイッチSW1をオフ状態にする(ス
テップS26)。次に、コントローラ310は画像データDinに基づいて指定データD
aを生成して出力する(ステップS27)。これにより、指定データDaに基づいて、各
スイッチSW2のオン・オフが制御され、各OLED素子10には個別に設定された大き
さの駆動電流Ioledが指定データDaで指定された期間だけ流れる。
【0048】
このように本実施形態においては、各駆動電流Ioledの大きさを予め不揮発性のメモリ
330に記憶しておき、動作時にこれを読み出して各OLED素子10に対応して設けた
電流供給回路230で保持する。この保持部は、揮発性のメモリで足りるから、電流供給
回路230の回路構成を簡易にできるという利点がある。また、複数のOLED素子10
をダイナミック駆動する場合には、OLED素子10の電極をパターニングする必要があ
るが、OLED素子10には有機EL材料を用いて構成されることから、蒸着プロセスな
どの高度な技術が必要とされる。本実施形態によればOLED素子10の陰極は共通にで
きるので、簡単に製造することができる。また、電流供給回路230において駆動電流I
oledの通電時間により発光パワーを制御するPWM方式を採用しているので、短時間で高
強度で発光する動作に不適であるOLED素子10を発光装置1の光源として用いること
ができる。
【0049】
上述した実施形態において、各ドライバ回路A1〜Amと制御回路300は個別のIC
チップとして構成されることが好ましい。以下、発光装置1の具体的な態様を図10〜図
12を参照して説明する。なお、この例では、6個のドライバ回路A1〜A6を用いるが
、本発明はICチップの個数に限定されるものではない。
【0050】
第1の態様を図10に示す。発光装置1は、発光パネル400とフレキシブル基板50
0とによって構成される。フレキシブル基板500(第2の基板)には、COF(Chip O
n Film)技術によって制御回路300が配置される。発光パネル400の発光領域AAに
は、複数のOLED素子10が形成されている。より具体的には、ガラス基板(第1の基
板)上に、陽極、発光材料および陰極が積層され、さらにその上から封止部材で封止し、
接続用の配線を形成してある。このように単純な構造を取ることによって、製造コストを
削減でき、しかも検査が容易であるので生産性を向上することができる。
【0051】
また、発光パネル400には、6個のドライバ回路A1〜A6がCOG(Chip On Glas
s)技術によって配置される。そして、フレキシブル基板500が発光パネル400の短
辺に接続され、各種の制御信号が発光パネル400上に形成された配線L1によって供給
される。この場合、ICチップと発光パネル400は独立して製造されるため、それぞれ
個別に検査を行い良品のみを組み合わせて完成品を製造することができる。これにより、
歩留まりが向上し、コストが削減される。
【0052】
また、この例では、ICチップ化して構成されるドライバ回路A1〜A6には、指定デ
ータDaを供給する信号配線、電源配線、およびグランド配線が内蔵されている。これら
の配線は、ICチップの外に形成することも可能であるが、これらの配線のうち少なくと
も一つを省略して、ICチップの内部配線を利用することができる。これによって、IC
チップの外部に形成する配線の占める面積を削減できるので、発光パネル400の短辺の
長さを短くすることができる。この結果、発光パネル400の基材となる一枚の大判のガ
ラス板を切断して得られる発光パネル400の基板の個数を増加させてコストを削減でき
る。また、短辺の長さを短くできるので、発光装置1を画像形成装置に組み込むことが容
易となる。
【0053】
第2の態様を図11に示す。発光装置1は、発光パネル400、フレキシブル基板50
0、および制御基板600によって構成される。ここで、制御回路300は、フレキシブ
ル基板500(第2の基板)の上に配置されてもよいし、制御基板600(第2の基板)
の上に配置されてもよい。また、フレキシブル基板500は発光パネル400の長辺の中
央付近に接続され、制御回路300から各種の制御信号が配線を介して左右に分かれるよ
うに供給される。このようなレイアウトによって、各種の制御信号の遅延時間を短縮する
ことができる。
【0054】
第3の態様を図12に示す。発光装置1は、発光パネル400、フレキシブル基板50
0、および制御基板600によって構成される。ここで、制御回路300は、フレキシブ
ル基板500の上に配置されてもよいし、制御基板600の上に配置されてもよい。第3
の態様は、隣接するドライバ回路の間をフレキシブル基板B1〜B4を用いて接続した点
を除いて第2の態様と同様である。フレキシブル基板B1〜B4を用いることによって、
配線容量を削減してより高速でスキャンすることが可能となる。第3の態様は第2の態様
の修正であるが、第1の態様についても同様に、隣接するドライバ回路の間をフレキシブ
ル基板B1〜B4を用いて接続するようにしてもよい。
【0055】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る発光装置2について説明する。
図13に発光装置2に用いる発光パネル400の平面図を示す。なお、同図においてド
ライブ回路A1〜Amは省略してある。この図に示すように発光パネル400にはOLE
D素子10が発光領域AAに形成されており、その両端に光センサ31および32(計測
部)が形成されている。光センサ31および32は、入射光の光量に応じた計測信号を出
力する。この例の光センサ31および32は、フォトダイオードで構成され、光量(光強
度)に応じた電流を計測信号として出力する。
【0056】
図14に発光装置2のブロック図を示す。発光装置2は、制御回路300の替わりに制
御回路301を用いる点、および光センサ31および32を追加した点を除いて図2に示
す第1実施形態の発光装置1と同様に構成されている。従って、ドライバ回路の各々は図
3に示す構成を有し、ドライバ回路の処理ユニットU1〜Unの各々は、ラッチ・デコー
ド回路220と、図6に示して上述した電流制御回路230を有する。この発光装置2は
、光センサ31および32を備えるので、第1実施形態の光測定システム20を用いるこ
となく、自律的に電流データを生成することが可能である。
【0057】
図15に制御回路301の詳細な構成を示す。同図において、制御回路301はアンプ
33および34を備える。アンプ33はオペアンプと抵抗とを備え、光センサ31から出
力される電流を電圧に変換して出力する。アンプ34もアンプ33と同様に構成されてい
る。スイッチ35は、制御信号35aに従って出力信号33aおよび34aの一方を選択
してA/D変換器36に供給する。A/D変換器36は、出力信号33aおよび34aを
デジタル信号に変換し、光量データD1およびD2としてインターフェース回路320に
供給する。
【0058】
コントローラ310は測定モードにおいて、インターフェース回路320を介して取得
した光量データD1およびD2を加算して、あるOLED素子10の発光量(光強度)を
計測する。このように光センサ31および32を発光領域AAの両端に配置したのは、光
センサ31および32によって計測された光量の和を算出すれば、発光領域AAのどこに
位置するOLED素子10の発光量も正確に計測することができるからである。
【0059】
上述した第1実施形態においては、図8を参照して説明したように測定モードにおいて
、ステップS6で発光量が所定範囲内か否かの判定を光測定システム20で実行したが、
本実施形態では、これをコントローラ310で実行すればよい。これにより、光測定シス
テム20を用いることなく、電流データを生成してメモリ330に書き込むことが可能と
なる。この場合、コントローラ310は、測定の対象となるOLED素子10を複数のO
LED素子10の中から順次選択する処理と、選択されたOLED素子10を発光させる
指定データDaを生成する処理と、光量データD1およびD2に基づいて、選択されたO
LED素子10の発光量が所定範囲内に収まる電流データを生成する処理と、生成した電
流データをメモリ330に書き込む処理とを実行する。つまり、図8と同じ処理をすべて
コントローラ310で実行すればよい。
【0060】
また、発光装置2は画像形成装置の本体から更新指令を受け取って、メモリ330に記
憶している電流データを更新するようにしてもよい。この場合、画像形成装置の本体では
、複数のOLED素子10の各々について使用頻度を管理し、使用頻度が予め定められた
所定頻度に達すると、使用頻度が所定頻度に達したOLED素子10を特定する特定デー
タを生成し、特定データを含む更新指令を発光装置2に供給する。
【0061】
図16はコントローラ310の電流データを更新する動作を示すフローチャートである
。コントローラ310は、更新指令を受信したか否かを判定し(ステップS31)、更新
指令を受信すると、特定データに基づいて使用頻度が所定頻度に達したOLED素子10
を選択する(ステップS32)。次に、コントローラ310は、選択されたOLED素子
10を発光させる指定データDaを生成する(ステップS33)。そして、測定モードの
ステップS2〜S7およびS9と同様に、電流データを調整する。具体的には、光量デー
タD1およびD2に基づいて、選択されたOLED素子10の発光量が所定範囲内に収ま
るように電流データを生成する(ステップS34)。この後、コントローラ310は、生
成した電流データをメモリ330に書き込む(ステップS35)。これにより、使用によ
って各OLED素子10の発光特性が変化しても均一な発光量を得ることが可能となる。
なお、電流データの更新は、印字が行われていない期間に実行すればよい。
【0062】
また、光センサ31および32を備える発光装置2は、温度特性(温度と発光輝度の関
係)を補正することも可能である。OLED素子10の発光特性は温度によって変化する
ので、電源を投入した時点と、電源を投入して時間が経過した時点では、各OLED素子
10の温度が相違することがある。そこで、印字が実行されない期間において、上述した
測定モードを実行して、設定信号を更新してもよい。この補正は短い周期で行われるため
、メモリ310に記憶される電流データは変更しないことが好ましい。
【0063】
<3.第3実施形態>
以下、さらに温度特性(温度と発光輝度の関係)の補正に適した発光装置の実施の形態
を説明する。
図17は、第3実施形態に係る発光装置3とその周辺構成を含むブロック図である。こ
の図に示すように発光装置3は、m個のドライバ回路A1〜Am、これらを制御する制御
回路300、及び温度センサTS(温度測定部)を備える。温度センサTSはOLED素
子10に近接して設けられ、温度を示す温度信号Taを制御回路300に供給する。ドラ
イバ回路A1〜Amおよび制御回路300は、第1実施形態のものと同様である。従って
、ドライバ回路の各々は図3に示す構成を有し、ドライバ回路の処理ユニットU1〜Un
の各々は、ラッチ・デコード回路220と、図6に示して上述した電流制御回路230を
有する。但し、制御回路300は温度信号Taに基づいて温度補償を実行して、現在の温
度における設定電流Isetを生成する。
【0064】
制御回路300は、後述するように不揮発性のメモリを備えており、そこには基準温度
(所定温度)において各OLED素子10の駆動電流Ioledの大きさを指定する電流デー
タが記憶される。
【0065】
図18に本実施形態の制御回路300の詳細なブロック図を示す。この制御回路300
は、第1実施形態に関して上述した制御回路(図7)と同様である。但し、本実施形態の
コントローラ310には、温度センサTS(図17)から温度信号Taが供給される。書
き込み可能な不揮発性のメモリ330には基準温度(所定温度)のときに各OLED素子
10に供給すべき駆動電流Ioledの大きさを示す電流データとして記憶される。この電流
データは、測定モードにおいて基準温度で各OLED素子10の発光量が所定範囲となっ
た時に各OLED素子10に供給された駆動電流Ioledの大きさであり、測定モードで書
き込まれ、初期モードおよび通常動作モードの所定の更新タイミングで読み出される。
【0066】
読み出された電流データがコントローラ310に供給されると、コントローラ310は
電流源340に設定電流Isetの大きさを指定する指令を与える。電流源340はコント
ローラ310からの指令に従って設定電流Isetの大きさを変化させて各処理ユニットU
1〜Unに出力する。ところで、OLED素子10は温度に応じて発光効率が変化すると
いった性質を有する。このため、同じ大きさの電流を供給しても温度が変化すればOLE
D素子10の発光量(光度)が相違する。一方、メモリ330に記憶されている電流デー
タは、測定モードにおいて所定温度で測定されたものである。従って、現在の温度が所定
温度からずれていれば、正確な光量でOLED素子10を発光させることができない。そ
こで、コントローラ310は、温度信号Taの示す現在の温度と所定温度との差分に応じ
て、メモリ330から読み出した電流データに演算処理を施して設定電流Isetの大きさ
を決定する。この演算処理では、温度変化に伴うOLED素子10の発光量を補償するよ
うに演算が実行される。一般に、プリンタには、ウォームアップ期間が設けられているが
、この期間が経過しても光ヘッドすなわち発光装置3の温度は変化する。このため、本実
施形態では、通常動作モード中の所定のタイミングで演算処理を実行して設定電流Iset
の更新を実行する。
【0067】
また、通常動作モードにおいて、プリンタ本体から画像データDinが供給されると、
画像データDinがインターフェース回路320を介してコントローラ310に供給され
る。コントローラ310は、画像データDinに基づいて、階調データDbと位置データ
Dcからなる指定データDaを生成し、これを各ドライバ回路A1〜Amに供給する。ま
た、コントローラ310は、第1クロック信号CK1、第2クロック信号CK2、イネー
ブル信号EN、および設定制御信号CTLを生成し、これらの制御信号をドライバ回路A
1〜Amに出力する。
【0068】
この実施形態の測定モードにおける発光装置3および光測定システム20の動作は、図
8のフローチャートに示して第1実施形態に関して上述したものと同じである。但し、こ
の実施形態の測定モードでは、図示しない外部の温度制御装置によって、OLED素子1
0の温度が所定温度に保たれる。ここで、所定温度は、通常動作モードにおいて所定時間
が経過したときに想定される安定した温度に設定することが好ましい、これにより、演算
処理における誤差を低減することができる。
【0069】
測定モードにおいて、コントローラ310は、全てのOLED素子10について発光量
が所定範囲内となる設定電流Isetの大きさを示す電流データをインターフェース回路3
20を介してメモリ330に書き込む。測定モードを経ることにより、所定温度において
各OLED素子10の発光特性のばらつきを補正した電流データが不揮発性のメモリ33
0に記憶される。この測定は、発光装置3を製造する工場で実行される。
【0070】
図19は、初期モードおよび通常動作モードにおける発光装置3の動作を示すフローチ
ャートである。まず、コントローラ310は、画像形成装置の電源スイッチがオン状態と
なったか、又は更新タイミングであるか否かを判定する(ステップS121)。電源スイ
ッチがオフ状態では、上述した電流供給回路230において駆動電流Ioledの大きさが記
憶されていない。このため、電源スイッチオン直後の初期モードで設定電流Isetを各電
流供給回路230に供給して駆動電流Ioledの大きさを保持させる必要がある。初期モー
ドでは、駆動電流Ioledの大きさを初期的に各電流供給回路230に設定する。また、電
源投入から時間が経過すると温度が変化するから、温度の変化に応じて駆動電流Ioledの
大きさを通常動作モード中に更新する必要がある。更新タイミングは、通常動作モード中
に設定電流Isetを各電流供給回路230に供給して駆動電流Ioledの大きさを再設定す
るタイミングである。更新タイミングは適宜設定すればよい。より具体的には、以下の態
様がある。
【0071】
第1の態様は、所定の周期で設定電流Isetの更新を実行するものである。この場合は
、1周期の時間を計測するタイマ(計時部)を用いて、更新タイミングを指示する更新タ
イミング信号を生成し、これに従って更新すればよい。
【0072】
第2の態様は、温度が所定の大きさ以上に変化した時点を更新タイミングとするもので
ある。この場合は、前回、設定電流Isetを供給した時点での温度信号Taの大きさを設
定温度としてレジスタに記憶しておき、設定温度と温度信号Taの示す現在の温度との差
分を算出し、差分と基準値とを比較する。そして、差分が基準値を超えた時点を更新タイ
ミングとする。ここで、基準値は、OLED素子10の発光輝度の変化が人の目で検知で
きる程度に設定することが好ましい。
【0073】
また、更新タイミングは、上述した第1の態様と第2の態様を適宜組み合わせて設定し
てもよい。さらに、発光装置3の休止期間に実行することが好ましい。画像形成装置にお
いて感光体ドラム110に画像を形成するのは、外部装置等から印刷指示を受け取った場
合である。印刷中に設定電流Isetを更新すると、1枚の紙で濃度が相違する部分が出て
しまう。そこで、印刷指示がない発光装置3の休止期間に設定電流Isetの更新を実行す
ることが好ましい。なお、設定電流Isetの更新中に印刷指示を受け取った場合には、更
新が終了するまで印刷を待機させ、更新が終了した後に印刷を実行すればよい。
【0074】
次に、コントローラ310は、全ての電流供給回路230において、スイッチSW2が
オフ状態となるように指定データDaを設定すると共に、全ての電流供給回路230にお
いてスイッチSW1がオフ状態となるように設定制御信号CTLを生成する(ステップS
122)。
【0075】
次に、コントローラ310は、設定の対象となるOLED素子10を特定して、当該O
LED素子10に対応するスイッチSW1だけがオン状態となるように設定制御信号CT
Lを生成すると共に、そのOLED素子10に対応するスイッチSW2だけがオン状態に
なるように指定データDaを生成して出力する(ステップS123)。最初は、例えば、
左端のOLED素子10を特定する。この後、コントローラ310は、メモリ330から
そのOLED素子10に対応する電流データを読み出し、電流データに上述した温度補償
のための演算処理を施して設定電流Isetの大きさを決定し、設定電流Isetがその大きさ
となるように電流源340を制御する(ステップS124)。このようにして、そのOL
ED素子10について電流供給回路230の保持部に現在の温度に適した駆動電流Ioled
の大きさを電流供給回路230が書き込む。つまりそのOLED素子10に流れるべき現
在の温度に適した駆動電流Ioledの設定が終了する。
【0076】
次に、コントローラ310は、全てのOLED素子10について設定が終了したか否か
を判定し(ステップS125)、終了するまでステップS123からステップS125ま
での処理を繰り返す。そして、全てのOLED素子10について電流供給回路230の保
持部に駆動電流Ioledの大きさを書き込む処理が終了すると初期モードを終了して、通常
動作モードに移行する。
【0077】
通常動作モードにおいて、コントローラ310は全ての電流供給回路230に供給する
設定制御信号CTLを非アクティブにして、全てのスイッチSW1をオフ状態にする(ス
テップS126)。次に、コントローラ310は画像データDinに基づいて指定データ
Daを生成して出力する(ステップS127)。これにより、指定データDaに基づいて
、各スイッチSW2のオン・オフが制御され、各OLED素子10には個別に設定された
大きさの駆動電流Ioledが指定データDaで指定された期間だけ流れる。通常動作モード
のステップS127では、ステップS121に相当する更新タイミングか否かの判定が実
行される。
【0078】
このように本実施形態においては、第1実施形態の効果に加えて、温度変化によるOL
ED素子10の発光輝度の変化を駆動電流Ioledの大きさを変化させることによって補償
したので、環境の温度が変化しても均一な濃度で印字することが可能となる。
【0079】
なお、上述した第3実施形態において、メモリ330には所定温度における電流データ
が記憶されていたが、この他に、電流データを生成する際に温度センサTSで所定温度を
測定して得た温度データをメモリ330に記憶してもよい。そして、コントローラ310
は、メモリ330から読み出した温度データの示す所定温度と温度信号Taの示す現在の
温度との差分に応じて演算処理を実行して、設定電流Isetを設定すればよい。このよう
にメモリ330に記憶される電流データを生成したときの温度を現在の温度を測定する温
度センサTSで測定すると、温度の測定誤差を低減することができる。また、所定温度を
温度データとしてメモリ330に記憶すると、電流データを生成するときに環境の温度を
精度良く制御しなくてもよくなる。
【0080】
<4.第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る発光装置について説明する。この発光装置は、メモリ330
のデータ構造とコントローラ310の詳細な動作を除いて、第3実施形態の発光装置と同
様に構成されている。
図20に、第4実施形態でのメモリ330のデータ構造を示す。上述した第3実施形態
においては、メモリ330に単一の所定温度(基準温度)の電流データを記憶した。第4
実施形態では、複数の基準温度の各々について電流データをメモリ330に記憶する。こ
の場合、メモリ330は、複数の基準温度に各々対応するデータテーブルを備える。図2
0に示す例では、メモリ330は、第1乃至第4のデータテーブルTBL1〜TBL4か
ら構成される。第1データテーブルTBL1には第1の基準温度t1で測定した電流デー
タが格納され、第2データテーブルTBL2には第2の基準温度t2で測定した電流デー
タが格納され、第3データテーブルTBL3には第3の基準温度t3で測定した電流デー
タが格納され、第4データテーブルTBL4には第4の基準温度t4で測定した電流デー
タが格納される。
【0081】
コントローラ310は、設定信号Isetを生成する演算処理(図19のステップS12
4)として、温度センサTSから供給される温度信号Taの示す現在の温度と複数の基準
温度t1〜t4との差分に応じて、メモリ330から読み出した複数の基準温度t1〜t
4における電流データを補間して設定信号Isetを生成する。例えば、現在の温度がt1
2(t1<t12<t2)であったとする。そして、基準温度t1における電流データの
値をX1、基準温度t2における電流データの値をX2、温度t12における電流データ
の値をX12とすると、X12は、以下の式で与えられる。
X12={X1(t2−t12)+X2(t12−t1)}/(t2−t1)
ここで、「t2−t12」、「t12−t1」は現在の温度と基準温度との差分である
。この演算は差分に応じて基準温度における電流データを補間する処理であるといえる。
【0082】
このように補間によって設定電流Isetを生成することによって、より正確に各OLE
D素子10の発光輝度を制御することが可能となる。なお、第4実施形態も第3実施形態
と同様に電流データを生成する際に温度センサTSで基準温度(所定温度)を測定して得
た温度データをメモリ330に記憶してもよい。この場合、コントローラ310は、メモ
リ330から読み出した温度データの示す基準温度と温度信号Taの示す現在の温度との
差分に応じて補間処理を実行して、設定電流Isetを設定すればよい。このようにメモリ
330に記憶される電流データを生成したときの温度を現在の温度を測定する温度センサ
TSで測定すると、温度の測定誤差を低減することができる。また、所定温度を温度デー
タとしてメモリ330に記憶すると、電流データを生成するときに環境の温度を精度良く
制御しなくてもよくなる。
【0083】
<5.第5実施形態>
次に、第5実施形態に係る発光装置について説明する。この発光装置は、温度センサT
Sが不要である。また、電流源340の詳細な構成及びコントローラ310の詳細な動作
を除いて、第3実施形態の発光装置と同様に構成されている。上述した第3及び第4実施
形態では、演算処理によって温度補償を実行して現在の温度における設定電流Isetを生
成したが、第5実施形態の発光装置は制御回路300の電流源340(図6および図18
参照)が温度特性を持つ温度補償回路を有することによって、温度補償がされた設定電流
Isetcを生成するものである。
【0084】
図21に第5実施形態の電流源340の詳細な構成を示す。この図に示すように電流源
340は、温度補償回路340Aを有する。温度補償回路340Aは、トランジスタQ1
〜Q7、抵抗341〜343、及び可変電流源344を備える。なお、抵抗341の抵抗
値はR1、抵抗342及び343の抵抗値はR2である。以上の構成において、トランジ
スタQ1〜Q4はカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ2及びQ4のソー
ス電位が同一に保たれる。また、トランジスタQ6のベース幅とトランジスタQ7のベー
ス幅は1:Kとなるように設定されている。
【0085】
ここで、抵抗343及びトランジスタQ6に流れる設定電流Isetは、メモリ330か
ら読み出された電流データに応じた大きさとなるように可変電流源344によって調節さ
れる。つまり、コントローラ310(図18参照)はメモリ330から電流データを順次
読み出して、電流データが示す大きさの設定電流Isetを流すように可変電流源344を
制御するための信号を可変電流源344に供給する。
【0086】
トランジスタQ7は、そのベースとコレクタが接続されていることから、ダイオードと
等価である。このダイオードの等価抵抗値R4は負の温度係数を有する。つまり、温度が
上昇すると等価抵抗値R4は減少する。
【0087】
抵抗341とトランジスタQ7の組の両端の電位差をVr1、抵抗342の両端の電位
差をVr2とすれば、抵抗341とトランジスタQ7の組を流れる電流Ia及び抵抗34
2を流れるIbは以下の式で与えられる。
Ia=Vr1/(R1+R4)
Ib=Vr2/R2
また、温度補償がされた設定電流Isetcは、Isetc=Ia+Ibで与えられる。
【0088】
トランジスタQ7と等価なダイオードの抵抗値R4は負の温度係数を有するので、抵抗
341とトランジスタQ7の組の抵抗値R1+R4の温度係数と、抵抗342の抵抗値R
2の温度係数は相違する。従って、R1とR2の比を適当に選ぶことによって、所望の温
度係数を温度補償がされた設定電流Isetcに与えることができる。この例では、OLED
素子10の温度特性(温度と発光輝度の関係)を補償して相殺するようにR1とR2の比
及び係数Kが設定される。
【0089】
この実施形態の測定モードにおける発光装置3および光測定システム20の動作は、図
8のフローチャートに示して第1実施形態に関して上述したものと同じである。また、第
3実施形態と同様に、測定モードでは、図示しない外部の温度制御装置によって、OLE
D素子10の温度が所定温度に保たれる。初期モードおよび通常動作モードにおける発光
装置3の動作は、図19のフローチャートに示して第3実施形態に関して上述したものと
、ステップS124を除いて同じである。この実施形態では、ステップS124で、コン
トローラ310は、メモリ330からそのOLED素子10に対応する電流データを読み
出し、電流データが示す大きさの設定電流Isetを抵抗343及びトランジスタQ6に流
すように可変電流源344を制御する。温度補償回路340Aは、設定電流Isetに温度
補償を施すことによって補償済の設定信号Isetcを生成する。図6を参照して上述した原
理と同じ原理によって、電流源340の補償済の設定信号Isetcと同じ大きさの現在の温
度に適した駆動電流IoledがOLED素子10に流れて、電流供給回路230の保持部に
現在の温度に適した駆動電流Ioledの大きさが書き込まれる。つまりそのOLED素子1
0に流れるべき現在の温度に適した駆動電流Ioledの設定が終了する。
【0090】
以上説明したように第5実施形態においては、メモリ330から電流データを順次読み
出して、可変電流源344を制御することによって電流データが示す大きさの電流を生成
し、電流源340がこの電流に温度補償を施すことによって補償済の設定信号Isetを生成
した。つまり、ハードウエアで温度補償を施したので、コントローラ310の処理負荷を
軽減することができ、温度センサTSを省略することができる。
【0091】
<6.変形例>
(1)上述した各実施形態では、OLED素子10を用いた発光装置を例示したが、本
発明はこれに限るものではない。例えば、駆動信号を受けて発光する任意の発光素子を用
いてもよい。このような発光素子としては、無機EL素子を例示することができる。また
、LED(Light Emitting Diode)を発光層として採用することもできる。すなわち、
本発明における発光素子は、電気エネルギの付与によって発光する材料によって構成され
れば足りる。
【0092】
(2)上述した各実施形態は、画像形成装置を一例として説明したが、本発明はこれに
限定されるものではない。例えば、複数のOLED素子10をマトリクス状に配置した表
示装置に上述した発光装置を適用してもよいことは勿論である。
【0093】
(3)上述した第2実施形態では、OLED素子10の使用頻度に応じて電流データを
更新するのに、対象となるOLED素子10の発光量を光センサ31および32で測定し
たが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、発光装置2は画像形成装置の本
体から更新指令を受け取って、メモリ330に記憶している電流データを更新するように
してもよい。この場合、画像形成装置の本体では、複数のOLED素子10の各々につい
て使用頻度を管理し、使用頻度が予め定められた所定頻度に達すると、使用頻度が所定頻
度に達したOLED素子10を特定する特定データを生成し、特定データを含む更新指令
を発光装置2に供給する。
【0094】
図22は変形例におけるコントローラ310の電流データを更新する動作を示すフロー
チャートである。コントローラ310(読出部)は、更新指令を受信したか否かを判定し
(ステップS41)、更新指令を受信すると、特定データに基づいて所定頻度に達したO
LED素子10を特定し、そのOLED素子10に対応する電流データをメモリ330か
ら読み出す(ステップS42)。次に、コントローラ310(演算部)は、読み出した電
流データに、使用頻度を補正する演算を施して補正済電流データを生成する(ステップS
43)。例えば、そのOLED素子の使用時間が500時間に達したらそのOLED素子
の駆動信号の大きさを110%にし、使用時間が500時間に達したら駆動信号の大きさ
を120%にするといった演算を実行すればよい。この後、コントローラ310(書込部
)は生成した電流データをメモリ330に書き込む(ステップS44)。これにより、光
センサ31および32を用いることなくOLED素子10の発光特性が変化しても均一な
発光量を得ることが可能となる。なお、電流データの更新は、印字が行われていない期間
に実行すればよい。
【0095】
(4)また、各実施形態において電流供給回路230は、電流プログラミング形式の回
路で構成され、設定信号Isetとして電流信号を供給したが、本発明はこれに限定される
ものではなく、電流供給回路230は、電圧プログラミング形式の回路で構成してもよい
。この場合には、設定信号を電圧信号の形式で生成し、これを電流供給回路230に供給
すればよい。
【0096】
(5)第2実施形態のような光センサ31,32を光測定システム20の代わりに設け
、OLED素子の発光量を測定することは、第3〜第4実施形態においても行ってよい。
【0097】
(6)図10〜図12に示す各ドライバ回路A1〜Amと制御回路300の配置の態様
は、第1実施形態だけでなく他の実施の形態でも利用してよい。
【0098】
<7.画像形成装置>
図1に示したように、以上の各態様に係る発光装置は、電子写真方式を利用した画像形
成装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして利用され得る
。画像形成装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部
分がある。
図23は、発光装置1(2,3)をライン型の光ヘッドとして用いた画像形成装置の一
例を示す縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデ
ム型のフルカラー画像形成装置である。
【0099】
この画像形成装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド1K,1C,1
M,1Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,1
10M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ露光ヘッド1K
,1C,1M,1Yは、以上に例示した何れかの態様に係る発光装置である。
【0100】
図23に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122と
が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻
回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しない
が、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けて
もよい。
【0101】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム1
10K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添え字
K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用
されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,1
10C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される

【0102】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,
M,Y)と、有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,
C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感
光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光
ヘッド1(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き
込む。各有機ELアレイ露光ヘッド1(K,C,M,Y)は、複数のOLED素子10の
配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設
置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子30によって感光体ドラムに光
を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤とし
てのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0103】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、
イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転
写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が得られる。中間転
写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,
Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム
110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,
C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロ
ンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0104】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によ
って、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写
ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上
のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二
次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される
。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カ
セット上へ排出される。
【0105】
次に、本発明に係る画像形成装置の他の実施の形態について説明する。
図24は、発光装置1(2,3)をライン型の光ヘッドとして用いた他の画像形成装置
の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像
式のフルカラー画像形成装置である。図24に示す画像形成装置において、感光体ドラム
165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、有機ELア
レイ露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。
【0106】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELア
レイ露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き
込む。有機ELアレイ露光ヘッド167は、以上に例示した各態様の発光装置であり、複
数の発光素子30の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設
置される。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子30から感光体ドラム165に光を
照射することにより行う。
【0107】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90
°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転
可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シ
アン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤として
のトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0108】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写
ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す
向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的
に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベ
ルト169に顕像を転写する。
【0109】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー
(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、
さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によ
りシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形
成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして
、このようにして感光体ドラム165が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、
黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転
写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画
像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に
中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像
を中間転写ベルト169上で得る。
【0110】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シ
ートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出さ
れ、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接し
た中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ロー
ラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引するこ
とにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッ
チにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、
シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169
に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171か
ら離される。
【0111】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の
加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の
顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向
きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後
、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路1
75に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され
、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される

【0112】
図23および図24に例示した画像形成装置は、OLED素子10を露光手段として利
用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができ
る。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像形成装置にも本発明の発光装置を採
用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シート
に顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置にも
本発明に係る発光装置を応用することが可能である。
【0113】
また、本発明に係る発光装置が適用される画像形成装置は画像形成装置に限定されない
。例えば、各種の電子機器における照明装置としても本発明の発光装置が採用される。こ
のような電子機器としては、ファクシミリ、複写機、複合機、プリンタなどが挙げられる
。これらの電子機器には、複数の発光素子を面状に配列した発光装置が好適に採用される

【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係る発光装置を利用した画像形成装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る発光装置および周辺構成を示すブロック図である。
【図3】同装置に用いるドライバ回路のブロック図である。
【図4】同装置に用いられる制御回路が生成する指定データDaのデータ構造を示す説明図である。
【図5】同装置に用いられるシフトレジスタが生成するラッチ信号LAT1〜LATnと指定データDaの関係を示すタイミングチャートである。
【図6】同装置に用いられる電流供給回路の詳細な構成を示す回路図である。
【図7】同装置に用いられる制御回路のブロック図である。
【図8】同装置の測定モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図9】同装置の初期モードおよび通常動作モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図10】各ドライバ回路A1〜Amと制御回路300を個別のICチップとして構成した場合の具体的な態様を示す説明図である。
【図11】各ドライバ回路A1〜Amと制御回路300を個別のICチップとして構成した場合の具体的な他の態様を示す説明図である。
【図12】各ドライバ回路A1〜Amと制御回路300を個別のICチップとして構成した場合の具体的な他の態様を示す説明図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る発光パネルの平面図である。
【図14】第2実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図15】同装置に用いられる制御回路のブロック図である。
【図16】同装置の電流データを更新する動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態に係る発光装置および周辺構成を示すブロック図である。
【図18】同装置に用いられる制御回路300のブロック図である。
【図19】同装置の初期モードおよび通常動作モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第4実施形態に係る発光装置のメモリのデータ構造を示す説明図である。
【図21】本発明の第5実施形態に係る発光装置の電流源の構成を示す回路図である。
【図22】本発明の変形例に係る発光装置の電流データを更新する動作を示すフローチャートである。
【図23】本発明に係る発光装置を利用した画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【図24】本発明に係る発光装置を利用した他の画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0115】
1,2,3……発光装置、10……OLED素子(発光素子)、20……光測定システム
(計測部)、31,32……光センサ(計測部)、220……ラッチ・デコード回路(発
光制御部)、230……電流供給回路(供給部、書込回路)、310……コントローラ(
設定部、指定データ生成部、制御部、読出部、演算部、書込部)、330……メモリ(記
憶部)、340……電流源、340A……温度補償回路、LS……発光制御信号、Da…
…指定データ、Din……画像データ、C……キャパシタ(保持部)、T1〜T6……ト
ランジスタ、SW1,SW2……スイッチ、TS……温度センサ(温度測定部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号の大きさに応じた光度で発光する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子ごとに設けられ、前記複数の発光素子の光度が一定になるように調
整した前記駆動信号の大きさを各々保持する複数の保持部と、
前記複数の発光素子ごとに設けられ、発光すべき階調に応じた期間だけ対応する発光素
子に前記保持部に保持された大きさの前記駆動信号を供給する複数の供給部と、
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
駆動信号の大きさに応じた光度で発光する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子ごとに設けられ、対応する発光素子に供給する前記駆動信号の大き
さを各々保持する複数の保持部と、
前記複数の発光素子ごとに設けられ、発光すべき階調に応じた期間だけ対応する発光素
子に前記保持部に保持された大きさの前記駆動信号を供給する複数の供給部と、
前記複数の発光素子の光度が一定になるように調整した前記駆動信号の大きさを示す信
号データを前記複数の発光素子の各々について記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記信号データを順次読み出して、前記信号データに基づいて設定信号
を生成する設定部と、
前記設定信号が流れて、前記設定信号の大きさに関連する大きさの前記駆動信号を前記
保持部に順次供給して保持させる書込回路と、
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記保持部は揮発性のメモリであり、前記記憶部は不揮発性のメモリであることを特徴
とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記設定信号は、電流信号または電圧信号であることを特徴とする請求項2又は3に記
載の発光装置。
【請求項5】
画像データに基づいて前記発光素子が発光すべき期間を指定する指定データを生成する
指定データ生成部と、
前記複数の発光素子ごとに設けられ、前記指定データに基づいて前記発光素子が発光す
る期間だけ有効となる発光制御信号を生成する複数の発光制御部とを備え、
前記供給部は、前記発光制御信号が有効な期間だけ対応する発光素子に前記保持部に保
持された大きさの前記駆動信号を供給する、
ことを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子の光度を各々計測する計測部と、
前記複数の発光素子を順次選択する処理と、選択された発光素子を発光させる前記指定
データを生成するように前記発光制御部を制御する処理と、前記計測部の計測結果に基づ
いて、選択された発光素子の光度が所定範囲内に収まる信号データを生成する処理と、生
成した前記信号データを前記記憶部に書き込む処理とを実行する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の発光素子は、一列又は複数列に配列されており、
前記計測部は、前記複数の発光素子の両端に設けられた少なくとも2個の光センサを備
え、
前記制御部は、前記少なくとも2個の光センサから出力される出力信号の和に基づいて
、選択された発光素子の光度を計測することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定められた所定頻度
に達すると、外部から前記所定頻度に達した発光素子を特定する特定データを受け取る処
理と、前記特定データに基づいて前記所定頻度に達した発光素子を選択する処理と、選択
された発光素子を発光させる前記指定データを生成するように前記発光制御部を制御する
処理と、前記計測部の計測結果に基づいて、選択された発光素子の光度が所定範囲内に収
まる信号データを生成する処理と、生成した信号データを前記記憶部に書き込む処理とを
実行することを特徴とする請求項6又は7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定められた所定頻度に達して、外部
から前記所定頻度に達した発光素子を特定する特定データを受け取ると、前記記憶部から
前記特定データに対応する信号データを読み出す読出部と、
前記読み出した信号データに、使用頻度を補正する演算を施して補正済信号データを生
成する演算部と、
前記補正済信号データを前記記憶部に書き込む書込部と、
を備えることを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記信号データが示す大きさの前記設定信号
を生成し、
前記書込回路は前記設定信号の大きさと同じ大きさの前記駆動信号を前記保持部に順次
供給して保持させることを特徴とする請求項2乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装
置。
【請求項11】
現在の温度を測定して温度信号を出力する温度測定部をさらに備え、
前記記憶部は、基準温度で前記複数の発光素子の光度が一定になるように調整した前記
駆動信号の大きさを示す前記信号データを前記複数の発光素子の各々について記憶し、
前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記信号データに対して、前記温度信号の示
す現在の温度と前記基準温度との差分に応じて演算処理を施して、前記設定信号を生成し

前記書込回路は前記設定信号の大きさと同じ大きさの前記駆動信号を前記保持部に順次
供給して保持させる
ことを特徴とする請求項2乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記記憶部は前記信号データと共に前記基準温度を示す温度データを記憶しており、
前記設定部は、前記温度信号の示す現在の温度と前記温度データの示す前記基準温度と
の差分に応じて前記信号データに演算処理を施す、
ことを特徴とする請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記記憶部は、複数の基準温度の各々について前記複数の発光素子の光度が一定になる
ように調整した前記駆動信号の大きさを示す信号データを前記複数の発光素子の各々につ
いて記憶しており、
前記設定部は、前記演算処理として、前記温度信号の示す現在の温度と前記複数の基準
温度との差分に応じて、前記記憶部から読み出した前記複数の基準温度における前記信号
データを補間して前記設定信号を生成する、
ことを特徴とする請求項11に記載の発光装置。
【請求項14】
前記記憶部は前記信号データと共に前記複数の基準温度を示す各温度データを記憶して
おり、
前記設定部は、前記温度信号の示す現在の温度と前記各温度データの示す複数の基準温
度との差分に応じて、前記記憶部から読み出した前記複数の基準温度における前記信号デ
ータを補間して前記複数の発光素子の光度が一定になるように前記設定信号を生成する、
ことを特徴とする請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記設定信号を現在の温度に応じて補償する温度補償回路をさらに備え、
前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記信号データが示す大きさの設定信号を生
成し、
前記書込回路は、前記温度補償回路で補償された設定信号の大きさと同じ大きさの前記
駆動信号を前記保持部に順次供給して保持させる
ことを特徴とする請求項2乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項16】
前記複数の保持部の少なくとも一つおよび前記複数の供給部の少なくとも一つを各々が
有する複数の集積回路チップと、
前記設定信号を供給する制御回路チップと、
その長辺に沿って前記複数の発光素子が配置され、前記複数の発光素子に沿って前記複
数の集積回路が一列に配置された第1の基板と、
前記制御回路チップが固着された第2の基板とを備え、
前記第2の基板は前記第1の基板の一方の短辺に接続され、
前記第1の基板の一方の短辺から他方の短辺に向けて前記設定信号を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至15のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項17】
前記複数の保持部の少なくとも一つおよび前記複数の供給部の少なくとも一つを各々が
有する複数の集積回路チップと、
前記設定信号を供給する制御回路チップと、
その長辺に沿って前記複数の発光素子が配置され、前記複数の発光素子に沿って前記複
数の集積回路が一列に配置された第1の基板と、
前記制御回路チップが固着された第2の基板とを備え、
前記第2の基板は前記第1の基板の長辺の中央部分に接続され、
前記第1の基板の長辺の中央部分から、一方の短辺へ向けて前記設定信号を供給すると
共に他方の短辺に向けて前記設定信号を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至15のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項18】
隣接する前記集積回路チップ間の少なくとも1つにおいて、前記設定信号を伝送するた
めの配線が形成されたフレキシブル基板を備えることを特徴とする請求項16又は17に
記載の発光装置。
【請求項19】
請求項1乃至18のうちいずれか1項に記載の発光装置と、
前記複数の発光素子の各々からの出射光によって静電潜像が形成される像担持体と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
駆動信号の大きさに応じた光度で発光する複数の発光素子を備えた発光装置の駆動方法
であって、
前記複数の発光素子ごとに、前記複数の発光素子の光度が一定になるように調整した前
記駆動信号の大きさを各々保持し、
前記複数の発光素子ごとに、発光すべき階調に応じた期間だけ対応する発光素子に保持
された大きさの前記駆動信号を供給する、
ことを特徴とする発光装置の駆動方法。
【請求項21】
駆動信号の大きさに応じた光度で発光する複数の発光素子と、前記複数の発光素子ごと
に設けられ、対応する発光素子に供給する前記駆動信号の大きさを各々保持する複数の保
持部と、前記複数の発光素子ごとに設けられ、発光すべき階調に応じた期間だけ対応する
発光素子に前記保持部に保持された大きさの前記駆動信号を供給する複数の供給部と、前
記複数の発光素子の光度が一定になるように調整した前記駆動信号の大きさを示す信号デ
ータを前記複数の発光素子の各々について記憶する記憶部とを備えた発光装置の駆動方法
であって、
電源を投入したときに、前記記憶部から前記信号データを順次読み出し、
読み出した前記信号データに基づいて設定信号を生成し、
生成した前記設定信号の大きさに関連する大きさの前記駆動信号を前記保持部に順次供
給して保持させる、
ことを特徴とする発光装置の駆動方法。
【請求項22】
前記複数の発光素子を順次選択し、
選択された発光素子を発光させ、
選択された発光素子の光度を計測し、
選択された発光素子の光度が所定範囲内に収まる信号データを生成し、
生成した信号データを前記記憶部に書き込む、
ことを特徴とする請求項21に記載の発光装置の駆動方法。
【請求項23】
前記記憶部に前記信号データを書き込んだ後、
前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定められた所定頻度に達したか否か
を判定して前記所定頻度に達した発光素子を特定し、
特定した発光素子を発光させ、
特定した発光素子の光度を計測し、
特定した発光素子の光度が所定範囲内に収まる信号データを生成し、
生成した信号データを前記記憶部に書き込む、
ことを特徴とする請求項22に記載の発光装置の駆動方法。
【請求項24】
前記記憶部に前記信号データを書き込んだ後、
前記複数の発光素子の各々について使用頻度が予め定められた所定頻度に達したか否か
を判定して前記所定頻度に達した発光素子を特定し、
前記記憶部から特定した発光素子の信号データを読み出し、
前記読み出した信号データに、使用頻度を補正する演算を施して補正済信号データを生
成し、
前記補正済信号データを前記記憶部に書き込む、
ことを特徴とする請求項22に記載の発光装置の駆動方法。
【請求項25】
前記設定信号は、前記信号データが示す大きさを有し、
前記保持部に順次供給される前記駆動信号は、前記設定信号の大きさと同じ大きさを有
する、
ことを特徴とする請求項21に記載の発光装置の駆動方法。
【請求項26】
駆動信号の大きさに応じた光度で発光する複数の発光素子と、基準温度で前記複数の発
光素子の光度が一定になるように調整した前記駆動信号の大きさを示す信号データを前記
複数の発光素子の各々について記憶する記憶部とを備えた発光装置の駆動方法であって、
前記記憶部から前記信号データを順次読み出し、前記読み出した前記信号データに対し
て、現在の温度と前記基準温度との差分に応じて演算処理を施して設定信号を生成し、
前記設定信号に基づいて前記複数の発光素子ごとに前記駆動信号の大きさを各々保持し

発光すべき階調に応じた期間だけ保持された大きさの前記駆動信号を前記複数の発光素
子ごとに供給する、
ことを特徴とする発光装置の駆動方法。
【請求項27】
前記記憶部は、複数の基準温度の各々について前記複数の発光素子の光度が一定になる
ように調整した前記駆動信号の大きさを示す信号データを前記複数の発光素子の各々につ
いて記憶しており、
前記設定信号を生成する工程において、
前記演算処理として、現在の温度と前記複数の基準温度との差分に応じて、前記記憶部
から読み出した前記複数の基準温度における前記信号データを補間して前記設定信号を生
成する、
ことを特徴とする請求項26に記載の発光装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−122001(P2007−122001A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133594(P2006−133594)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】