説明

発光部品、発光器、及び発光部品の製造方法

【課題】封止樹脂の耐光性、およびプライマー層のガス遮断性の機能を保ちながら、材料構成を変更せず、封止樹脂の接着性を向上させる発光部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】発光素子とガス遮断性の高いプライマー層とを、耐光性が優れる封止樹脂で封止すると共に、上記プライマー層をガス遮断層と、封止樹脂の接着性を向上させる密着層からなる多層構造とすることで、封止樹脂の接着性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を搭載した発光部品、発光部品の製造方法、発光部品を用いた発光器、封止樹脂の封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1990年代に青色LED(Light Emitng Diode)素子が開発され、青色LED素子と、青色LED素子からの光を受けて高効率で黄色光を発するYAG(Yttrium Aluminum Garnet)蛍光体とを合わせた白色LEDが開発された。これにより、LEDを使った一般照明、TV用バックライト光源への応用展開に向けて、白色の色度安定化やより高輝度化を目指した開発が進んでいる。これらの開発に当たり、LED素子を封止する封止樹脂における耐熱性,耐光性の改善が大きな課題となっている。白色LEDでは、使用するLED素子から放出される波長が短くエネルギーが大きい青色光による周辺部材の劣化が問題となる。
【0003】
また、封止樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、LED素子から放出される波長が短く、エネルギーが大きい。このため、封止樹脂の変色などの劣化がひどく、高輝度発光を長時間維持することができない。
【0004】
この長時間の高輝度発光の要望に耐えうる封止樹脂として、シリコーン系樹脂が使用されている。しかし、シリコーン系樹脂は、耐光性が優れるもののガス遮断性が悪いものが多い。封止樹脂のガス遮断性が悪い場合、例えば水蒸気の透過により封止樹脂と基板またはパッケージ界面との間に結露が生じ、配線パターンや素子電極の劣化や短絡の原因になる。このため、車載用途などではガスにおける耐腐食性を有する必要があるが、封止樹脂のガス遮断性が悪い場合、LED素子の安定動作性を満足することはできない。
【0005】
一方、シリコーン系樹脂をガス遮断性のよい樹脂で変性させたものもあるが、耐光性が低下するため、最適な封止樹脂を見出すのは難しい状況にある。また、シリコーン系樹脂は接着性が弱いため、発光素子の発熱などにより、周辺部材との界面で熱膨張係数の差により樹脂剥がれが生じて、発光輝度の低下などの発光部品として特性劣化を引き起こす。
【0006】
これを改善する手法として、周辺部材にガス遮断性の高いプライマー層を形成させ、その上からシリコーン系樹脂で封止することで、ガスの遮断性の向上、基板とプライマー層の接着性の向上が図られているLEDパッケージが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−10279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発光部品においてプライマー層を形成した場合、基板とプライマー層との接着性は向上する。しかし、シリコーン樹脂自体の接着性が弱いため、プライマー層とシリコーン樹脂との接着性は十分でないという課題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、プライマー層と封止樹脂との接着性を向上させる密着層を形成することで、封止樹脂の耐光性、およびプライマー層のガス遮断性の機能を保ちながら、封止樹脂の接着性を向上させる発光部品およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
発明に係る発光部品は、基板と、前記基板に実装された発光素子と、前記基板の少なくとも一部と前記発光素子の表面を覆うプライマー層と、前記プライマー層を覆う封止樹脂と、を備える発光部品であって、前記プライマー層は、ガス遮断性を有する樹脂で形成され、前記封止樹脂は、耐光性を有し、前記発光素子から発光される光を透過するとともに、前記プライマー層との間に、少なくとも1層以上の密着層を有し、前記密着層は、発光素子から発光される光を透過し、前記プライマー層及び前記封止樹脂のそれぞれの界面で反応する樹脂で構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る発光部品により、プライマー層及び封止樹脂のそれぞれの界面で反応する密着層を形成することで、封止樹脂の耐光性、およびプライマー層のガス遮断性の機能を保ちながら、プライマー層と封止樹脂との接着性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る発光部品において、前記密着層の樹脂は、前記プライマー層及び前記封止樹脂とそれぞれ結合する官能基を有することを特徴とする。
これにより、密着層は、プライマー層及び封止樹脂と結合反応することができるため、封止樹脂との接着性が確実に向上する。
【0013】
また、本発明に係る発光部品において、前記密着層は、ガス遮断性を有する第1の樹脂と前記発光素子から発光される光を透過する第2の樹脂とで形成されるとともに、前記第1の樹脂は、前記プライマー層及び前記第2の樹脂が有する官能基と結合する官能基を有し、前記第2の樹脂は、前記封止樹脂及び前記第1の樹脂が有する官能基と結合する官能基を有しているを特徴とする。
これにより、プライマー層と結合反応する第1の樹脂と、封止樹脂と結合反応する第2の樹脂を結合反応させるため、プライマー層と封止樹脂との間の接着性を確実に向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る発光部品において、前記密着層は、2層以上で構成され、各層の前記第1の樹脂のモル濃度の割合が、前記プライマー層から前記封止樹脂に向かって少なくなっていくことを特徴とする。
これにより、プライマー層に対する密着層のプライマー層と接着する1層の親和性、密着層の各層に対する親和性、及び封止樹脂に対する密着層の封止樹脂と接着する1層の親和性がそれぞれ高いため、さらにプライマー層と封止樹脂との間の接着性を向上させることができる。そのために、本発明に係る発光部品は、界面剥離等が生じがたくなり、高耐久性を備えたものとなる。
【0015】
また、本発明に係る発光部品において、前記密着層の1層の厚さが0.05μm以上20μm以下であることを特徴とする。
密着層の1層の厚さが、0.05μm以上であれば、接着性の向上に寄与させることができる。また、密着層の1層の厚さが、20μm以下であれば、耐光性を十分に保つことができる。
【0016】
また、本発明に係る発光部品において、前記プライマー層の厚さが、0.2μm以上90μm以下であり、前記プライマー層と前記密着層との合計の厚さが、100μm以下であることを特徴とする。
これにより、封止樹脂の耐光性に影響を及ぼすことなくガス遮断性を保つことができる。
【0017】
また、本発明に係る発光部品において、前記封止樹脂はシリコーン系樹脂で構成され、前記プライマー層はアクリル系樹脂または変性シリコーン系樹脂で構成されることを特徴とする。
これにより、耐光性を有する封止樹脂及びガス遮断性を有するプライマー層で発光部品を構成することができる。
【0018】
また、本発明に係る発光部品において、前記封止樹脂の屈折率が、前記プライマー層の屈折率よりも低く、前記密着層は、2層以上の多層であり、前記密着層の各層の屈折率が、前記プライマー層から前記封止樹脂に向かってが低くなっていくことを特徴とする。
これにより、各層間において、発光素子から発光された光の全反射を防ぐことができるので、発光素子からの光を発光部品の外部に取り出す効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係る発光部品を用いて発光器を製造することができる。
また、本発明に係る発光部品の製造方法は、基板上に発光素子を実装する発光素子実装工程と、ガス遮断性を有する樹脂で構成されたプライマー層を前記基板の少なくとも一部と前記発光素子の表面に形成する前記プライマー層形成工程と、発光素子から発光される光を透過し、前記プライマー層及び前記封止樹脂のそれぞれの界面で反応する樹脂で形成された少なくとも1層以上の密着層を前記プライマー層上に形成する密着層形成工程と、前記発光素子から発光される光を透過する封止樹脂を前記密着層上に形成する風刺樹脂形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る発光部品の製造方法は、前記密着層形成工程において、前記密着層が有する官能基が、前記プライマー層が有する官能基と結合し、前記封止樹脂形成工程において、前記密着層が有する官能基が、前記封止樹脂が有する官能基と結合することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る発光部品の製造方法は、前記密着層形成工程において、前記密着層は、ガス遮断性を有する第1の樹脂と前記発光素子から発光される光を透過する第2の樹脂とで構成されるとともに、第1の樹脂及び第2の樹脂は、互いの樹脂が有する官能基と結合して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る発光部品により、プライマー層及び封止樹脂のそれぞれの界面で反応する密着層を形成することで、封止樹脂の耐光性、およびプライマー層のガス遮断性の機能を保ちながら、プライマー層と封止樹脂との接着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係る発光部品を示す図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る発光部品の接着強度と密着層がない場合の発光部品の接着強度の比較を示す図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、電極形成工程を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、発光素子実装工程を示す図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、プライマー層形成工程を示す説明図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、封止樹脂形成工程を示す説明図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係る発光部品を示す図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る発光部品を示す図である。
【図9】本発明の第四実施形態に係る発光部品を示す図である。
【図10】本発明の第四実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、電極形成工程を示す図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、発光素子実装工程を示す図である。
【図12】本発明の第四実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、プライマー層形成工程を示す図である。
【図13】本発明の第四実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、封止樹脂形成を示す図である。
【図14】本発明の第五実施形態に係る発光部品を示す図である。
【図15】本発明の第五実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、電極形成工程を示す図である。
【図16】本発明の第五実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、発光素子実装工程を示す図である。
【図17】本発明の第五実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、プライマー層形成工程を示す図である。
【図18】本発明の第五実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、封止樹脂形成を示す図である。
【図19】本発明の第五実施形態に係る発光部品を製造する工程のうち、発光部品個片化工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の発光素子を搭載した発光部品について、実施形態を用いて説明する。なお、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施形態に制約されるものはない。
【0025】
本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明に係る第一実施形態である発光素子を搭載した発光部品を発光装置上面方向から示した図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面を表す図である。
図1(b)に示すように、発光部品10は、基板2の1の面に配置された発光素子5を備える。
【0026】
基板2は、底面から開口端に向かって広がる傾斜面を有する窪み部を内側に備えている。また、基板2は、絶縁性を有し、例えば樹脂、ガラス、及びセラミックのうちいずれか1つで形成される。なお、基板2は、光反射性のある樹脂、セラミック、ガラスのいずれかで作製されていることが望ましい。本実施形態では、基板2は樹脂で構成される。この場合、上記発光素子5から照射される光を基板2で反射するので、発光素子5から照射される光の減衰を防止することができる。
【0027】
また、基板2は、基板2の1の面から1の面と反対の面まで貫通する2つの基板貫通孔を備えている。また、2つの基板貫通孔にそれぞれ貫通電極3が形成されている。この貫通電極3は、例えば銀ペースト等により形成される。また、基板2の1の面において2つの貫通電極3上にそれぞれ電極パッド4が形成されている。この電極パッド4は、金属からなり、印刷技術または、リソグラフィ技術により形成される。なお、電極パッド4は例えば銀などの反射性の良いものを用いてよい。これにより、発光部品10は、基板の1の面から1の面と反対の面に向かって形成され、それぞれ異なる電極パッドと電気的に接続する2つの取り出し電極、すなわち本実施形態における貫通電極を備えている構成になっている。
【0028】
また、発光素子5は、窪み部内に配置され、ボンディングワイヤ6と接続するとともに、一方の電極パッド4上に配置されている。ボンディングワイヤ6は、例えば加工が容易で電気抵抗の低い金およびアルミニウムのワイヤで形成される。また、ボンディングワイヤ6は、他方の電極パッド4と接続されている。すなわち、発光素子5は、2つの貫通電極3に電気的に接続されている。具体的には、発光素子5において、貫通電極3上に形成された一方の電極パッド4にアノード電極(図示せず)が接続され、ボンディングワイヤ6で基板2上に形成された他方の電極パッド4にカソード電極(図示せず)が接続されている。
【0029】
また、発光素子5は、一例として、波長400nm以上500nm以下の青色波長領域に主発光ピークを有する青色LED素子である。なお、発光素子5は、青色LED素子に限られるものではない。例えば、赤色・黄色・緑色・紫外LEDや有機ELなどである。
また、発光部品10は、発光素子5、電極パッド4、基板2の1の面および窪み部の傾斜面を覆う層状のプライマー層7を備えている。
【0030】
プライマー層7は、ガス遮断性を有する樹脂を主成分とする材料で構成される。この場合、プライマー層7は、ガス遮断性を有するアクリル系樹脂、または、アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基のうち少なくとも1種類を導入したガス遮断性を有する変性シリコーン系樹脂で形成することができる。
【0031】
プライマー層7は、好ましくは、下記の式(1)を有するアクリル系樹脂で構成することができる。
【0032】
【化1】

ここで、R1は、例えばアルキル基、フルオロアルキル基から選ばれる基で構成する。また、R2は、加水分解性シリル基、シラノール基、不飽和基を有するシリル基、ヒドロシリル基、アルコキシ基等の珪素基から選ばれる基で構成する。また、aは自然数である。
【0033】
また、発光部品10は、プライマー層7を覆ってプライマー層7に密着する密着層9を備えている。
【0034】
また、この発光部品10は、密着層9を覆って密着するとともに、基板2の窪み部を充填して発光素子5を封止する耐光性を有する樹脂を主成分とする材料からなる封止樹脂8を有する。この場合、封止樹脂8は、例えば下記の式(2)を有するシリコーン系樹脂など、耐光性を有する樹脂を用いることができる。
【0035】
【化2】

ここで、R3は、例えばアルキル基で構成する。また、R4は、例えば、ビニル基、活性水素、アミノ基、エポキシ基、アルコキシ基から選ばれる基で構成する。また、R5、R6は、それぞれ独立したエトキシ基、メトキシ基などのアルコキシ基、またはフルオロアルキル基から選ばれる基で構成する。また、bは自然数である。
【0036】
また、式(1)、式(2)のポリマーの長さは重合をとめる分子を添加することで調整できる。
また、密着層9は、プライマー層7及び封止樹脂8が有する官能基とそれぞれ結合する官能基を有することを特徴とする。
【0037】
このとき、プライマー層7が式(1)で構成される樹脂の場合、例えば密着層9が式(1)で構成される部分を有していれば、重合開始剤等により重合反応させることができる。ただし、密着層9がプライマー層7と親和性のよい樹脂であれば、密着層9は必ずしもプライマー層7と結合する官能基を有する必要はない。
【0038】
また、このとき、封止樹脂が式(2)で構成される樹脂の場合、例えば密着層9が式(2)で構成される部分を有していれば、R5、R6を構成する官能基を加水分解後脱水縮合し、又はそのまま脱水縮合することで重合反応させることができる。ただし、密着層9が封止樹脂8と親和性のよい樹脂であれば、密着層9は必ずしも封止樹脂8と結合する官能基を有する必要はない。
【0039】
なお、密着層9は、ガス遮断性を有する第1の樹脂と発光素子5から発光される光を透過する第2の樹脂とで構成することができる。このとき、第1の樹脂は、プライマー層7及び第2の樹脂が有する官能基と結合する官能基を有している。
また、第2の樹脂は、封止樹脂8及び第1の樹脂が有する官能基と結合する官能基を有している。
このとき、第1の樹脂は、下記の式(3)のアクリル系樹脂で構成することができる。
【0040】
【化3】

また、第2の樹脂は、下記の式(4)のシリコーン系樹脂で構成することができる。
【0041】
【化4】

ここで、式(3)のR7〜R9は、それぞれ独立したメチル基、アルキル基、フルオロアルキル基などから選ばれる基であり、第2の樹脂と結合しない官能基で構成されている。また、R10は、活性水素、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基などから選ばれる基で構成され、式(4)のR14と結合することができる。
【0042】
また、式(4)のR11〜R13は、それぞれ独立したメチル基、アルキル基、フルオロアルキル基などから選ばれる基であり、第1の樹脂と結合しない官能基で構成されている。また、R14は、水酸基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、活性水素などから選ばれる基で構成され、式(3)のR10と結合することができる。
【0043】
また、第1の樹脂は、重合開始剤等を添加して、各分子の重合反応を進めることで形成される。また、第2の樹脂は例えば、ビニル基、活性水素、アミノ基、エポキシ基、アルコキシ基から選ばれる基が加水分解後脱水縮合し、又はそのまま脱水縮合することで各分子を重合することができる。
【0044】
R10とR14の結合は、第1の樹脂及び第2の樹脂の重合反応と同時に、R10が脱水縮合することによりR14と重合反応させ、結合することができる。
【0045】
また、R4とR8は、第1の樹脂及び第2の樹脂の重合反応とは別に、R10、R14を水酸基で構成し、水酸基の脱水縮合で重合させることができる。また、例えばR10、R14の一方をグリシドキシ基などのエポキシ基、他方を水酸基、アミノ基、カルボキシル基、活性水素で構成し、R10とR14を付加重合させることができる。また、R10、R14の一方を活性水素、他方をビニル基で構成し、白金触媒により重合させることもできる。なお、R10、R14のいずれかを活性水素で構成する場合、R10を活性水素で構成することが好ましい。以上の場合、第1の樹脂、第2の樹脂は別々に重合反応させることができる。また、重合反応とは別にR4とR8とを結合させる反応を行うため、R4とR8を結合させることができる。
【0046】
また、式(3)のmの比率は、0.1%〜10%で構成されるとよい。mが、0.1%以下の場合、結合が不十分であり効果が少ない。また、mが10%以上の場合、必要以上に樹脂が硬化してしまい、ガス遮断性の阻害や、熱による膨張収縮に対応できず、クラックを生じるおそれがある。また、式(4)のyの比率は、0.1%〜10%で構成されるとよい。yが、0.1%以下の場合、結合が不十分であり効果が少ない。また、yが10%以上の場合、必要以上に樹脂が硬化してしまい、ガス遮断性の阻害や、熱による膨張収縮に対応できず、クラックを生じるおそれがある。
【0047】
なお、第1の樹脂と第2の樹脂の親和性が高い場合には、必ずしも第1の樹脂と第2の樹脂との結合のための反応を行わなくてもよい。
【0048】
また、プライマー層7の厚さは、0.2μm以上90μm以下であることが望ましい。プライマー層7の厚さが0.2μm以上の場合には、ガス遮断性を十分に保つことができる。また、プライマー層7の厚さが90μm以下の場合には、厚さの影響をあまり考慮しなくても耐光性が十分に保つことができる。
【0049】
また、密着層9の厚さが、0.05μm以上20μm以下であることが望ましい。密着層9の厚さが、0.05μm以上の場合には、接着性の向上に寄与する効果がある。また、密着層9の厚さが20μm以下のときは、厚さの影響をあまり考慮しなくても耐光性が十分に保つことができる。
【0050】
さらに、プライマー層7と密着層9の厚さの合計が、100μm以下であることが好ましい。この場合、厚さの影響をあまり考慮しなくても耐光性が十分に保つことができる。
【0051】
以上の場合、封止樹脂8の耐光性、およびプライマー層7のガス遮断性の機能を確実に保ちながら、封止樹脂8の接着性をより向上させることができる。また、プライマー層7は、発光素子5が青色の発光素子の場合、発光素子5から放出される青色光、紫外光のような特に短波長の高エネルギーの光を長時間照射されると変色を起こし、光ロスの原因となる。したがって、プライマー層7は、なるべく厚さを薄くして光ロスを最低限に抑えることが望ましい。なお、プライマー層7の厚さは上記範囲に必ずしも限定される必要はなく、厚さの調節が容易に行えるため、発光素子の種類に応じて適宜変更することが可能である。
【0052】
また、封止樹脂8は、発光素子5が青色の発光素子5の場合、発光素子5からの光を波長変換する図示しない蛍光体およびフィラーが添加されていてもよい。
この蛍光体として、発光素子5が青色の発光素子である場合、例えば、(Ba・Sr)2SiO4:Euのような発光効率が高い平均粒子径5μmの黄色蛍光体を用いることができる。この黄色蛍光体は、青色の発光素子5から放出される青色光を吸収して、波長550nm以上で600nm以下の波長領域に発光ピークを有する黄色蛍光を放出する。
【0053】
次に、本実施形態の発光部品におけるプライマー層と封止樹脂との接着強度について説明する。
【0054】
図2は、本実施形態の発光部品におけるプライマー層と封止樹脂との接着強度と、従来のような密着層がない場合の発光部品におけるプライマー層と封止樹脂との接着強度との比較を示す図である。なお、図2では、密着層がない場合のプライマー層と封止樹脂との接着強度を1とした場合の本実施形態における接着強度を示している。
【0055】
図2に示すように、本実施形態における接着強度は、密着層がない場合に比べてプライマー層と封止樹脂との接着強度を向上させることができる。
【0056】
なお、密着層は、2層以上の多層で構成されてもよい。この場合、各層の第1の樹脂のモル濃度が、プライマー層から封止樹脂に向かって少なくなっていく構成にすることができる。
【0057】
このような構成にすることにより、プライマー層に対する密着層のプライマー層と接着する1層の親和性、密着層の各層に対する親和性、及び封止樹脂に対する密着層の封止樹脂と接着する1層の親和性がそれぞれ高くなる。そのため、プライマー層と封止樹脂との間の接着性を向上させることができる。これにより、本実施形態に係る発光部品は、界面剥離等が生じがたくなり、高耐久性を備えたものとなる。
【0058】
例えば、密着層9を、プライマー層上に形成された第1層、第1層上に形成された第2層、第2層上に形成された第3層の第1の樹脂及び第2の樹脂のモル濃度の割合が、それぞれ8:2、5:5、2:8で構成する。このとき、プライマー層7は、封止樹脂8より屈折率が高い。また、密着層9は、プライマー層7より屈折率が低く、封止樹脂8より屈折率が高い。このため、この構成にすることにより、プライマー層7から封止樹脂8に向かって屈折率が低くしていくことができる。これにより、各層間において、発光素子から発光された光の反射を低減させることができるので、発光素子からの光を発光部品の外部に取り出す効率を向上させることができる。
【0059】
なお、密着層9の各層において、屈折率を高くする金属粒子を添加することにより、第1の樹脂及び第2の樹脂のモル濃度の割合を変化させずに、プライマー層7から封止樹脂8に向かって屈折率が低くしていくことができる。
【0060】
また、密着層9が3層で構成される例を示したが、本発明の密着層9の層数は3層に限られるものではない。
【0061】
次に、本実施形態の発光部品の製造方法について説明する。図2から図5は、発光部品10の製造方法を示す工程図である。
図3は、基板2の加工による電極形成工程を示している。
【0062】
まず、図3(a)は、ガラスからなる基板2を示す図である。基板2は、1の面から開口端に向かって広がる傾斜面を有する窪み部を内側に備えている。なお、基板2の材料は、ガラスに限らず、絶縁性を有する樹脂、セラミック等を用いることが可能である。
【0063】
図3(b)は、基板2に、基板2の1の面から1の面と反対の面まで貫通する2つの基板貫通孔を形成する基板貫通孔形成工程を示す図である。図2(b)の工程では、基板2に貫通電極を形成するための基板貫通孔を機械加工またはエッチング等により形成する。
【0064】
図3(c)は、基板2の2つの基板貫通孔にそれぞれ貫通電極3を形成し、2つの貫通電極3上にそれぞれ電極パッド4を形成する電極形成工程を示す図である。図3(c)の工程では、図3(b)の工程で形成した2つの基板貫通孔に銀ペースト等を塗付してそれぞれ貫通電極3を形成する。これにより、基板の1の面から1の面と反対の面に向かって2つの取り出し電極が形成される。また、基板2の1の面において、2つの貫通電極3上に印刷技術または、リソグラフィ技術によりそれぞれ金属からなる電極パッド4を形成する。なお、貫通電極3を形成する銀ペーストは、熱伝導性の良いので、発光素子から発生する熱を効率的に放熱することができる。なお、銀ペースト以外でも放熱性がある金属ならよい。
【0065】
図4は、いずれかの電極パッド4上に発光素子5を配置し、取り出し電極である2つの貫通電極3と発光素子5とを電気的に接続する発光素子実装工程を示す図である。
【0066】
図4(a)は、一方の電極パッド4上に発光素子5を配置し、一方の貫通電極3と発光素子とを電気的に接続する工程を示す図である。図4(a)の工程では、一方の電極パッド4に発光素子5のアノード電極(図示せず)を接続する。発光素子5で発生した熱は、貫通電極3を介して外部へ放熱させることができる。
【0067】
図4(b)は、他方の貫通電極3と発光素子とを電気的に接続する工程を示す図である。図4(b)の工程では、発光素子5のカソード電極(図示せず)と、ワイヤボンディング装置を用いて、他方の電極パッド4にボンディングワイヤ6を接続し、発光素子5のカソード電極(図示せず)と他方の電極パッド4とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ6は、例えば加工が容易で電気抵抗の低い金およびアルミニウムのワイヤで形成される。
【0068】
図5は、ガス遮断性を有する樹脂を主成分とするプライマー層7で基板2の1の面、窪み部の傾斜面及び発光素子5の表面を覆い、プライマー層7の表面を密着層9で覆い、プライマー層7及び密着層9を形成するプライマー層形成工程、密着層形成工程を示す図である。
【0069】
図5(a)は、基板2の1の面、窪み部の傾斜面及び発光素子5の表面をプライマー層7で覆う工程を示す図である。図5(a)の工程では、表面が平坦なプライマー層7をディップ法、スプレー法、ディスペンサ法等により形成し、基板の1の面、窪み部の傾斜面、発光素子5および電極パッド4の露出している部分を覆う。このとき、基板2の窪み部以外の基板2の表面にプライマー層7が形成されても問題ない。
【0070】
図5(b)の工程において、平坦なプライマー層7の表面を、密着層9で覆う工程を示す図である。
図5(b)の工程は、図5(a)の工程と同様の方法により形成し、基板2の窪み部以外の基板2の表面に密着層9が形成されても問題ない。
【0071】
図6は、耐光性を有する樹脂を主成分とする材料からなる封止樹脂8で密着層9を覆う封止樹脂形成工程を示す図である。
図6に示すように、基板2の凹部に形成された密着層9上に、基板2の窪み部を満たし、加熱して封止樹脂8を形成する。これにより、封止樹脂との接着性を向上させた発光部品を形成することができる。
【0072】
次に、本発明に係る第二実施形態について、図7に基づいて説明する。
図7は、本発明に係る第二実施形態における発光部品10の断面を図示したものである。なお、第一実施形態と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。第二実施形態における発光部品10において、基板2の窪み部の傾斜面に金属反射膜16が形成され、その上にプライマー層7が形成されていることを除き、第一実施形態と同様である。
【0073】
金属反射膜16は、スパッタリングや真空蒸着等で形成するAg、または、Nd、Bi、Pt、Au、Cu、Mg、Ti、Ta及びPdのうち少なくても1種の金属を含むAg合金のいずれかからなる膜である。発光素子5から照射される光を金属反射膜16で反射する。そのため、金属反射膜16は、基板2の表面での反射率よりも反射率が高いので、発光素子5から照射される光をより減衰させないようにできる。これにより、発光部品10から、より多くの光を発することができる。
【0074】
次に、本発明に係る第三実施形態について、図8に基づいて説明する。
図8は、本発明に係る第三実施形態における発光部品10の断面を図示したものである。なお、第一実施形態と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。第三実施形態における発光部品10において、フッリップチップ型の発光素子11が2つの電極パッド4上に配置されることにより、ボンディングワイヤを用いずに、2つの電極パッド4と発光素子11とが電気的に接続されていることを除き、第一実施形態と同様である。
【0075】
発光素子11が、ボンディングワイヤを用いずに実装されているため、プライマー層7の不均一性を減らすことができる。これにより、プライマー層7の膜厚のコントロールがしやすく、量産時の生産性を向上させることが出来る。
【0076】
図9は、本発明に係る第四実施形態における発光部品20の断面を図示したものである。なお、第一実施形態と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。
【0077】
発光部品20は、基板22の1の面から1の面と反対の面に向かって形成され、それぞれ異なる電極パッド24と電気的に接続する2つの取り出し電極として、基板22の1の面から1の面と反対の面まで基板の表面を覆う2つの引き回し電極23が形成されている。また、引き回し電極23は、基板の1の面側の端部において電極パッド24と接続している。
【0078】
また、発光部品20は、基板の1の面に形成された反射部材17を備えている。反射部材17は、基板22の1の面側の面から1の面側の面と反対の面まで貫通する反射部材貫通孔を内側に有する。また、反射部材17は、反射部材貫通孔側の側面が基板の1の面側の面から1の面側の面と反対の面に向かって広がる傾斜面で構成されている。また、基板22と反射部材17とは、引き回し電極23および接着層21を介して接合されている。
【0079】
プライマー層27は、基板22の1の面、発光部品25の表面、電極パッド24の露出部分および反射部材17の傾斜面を覆っている。また、発光素子は、反射部材貫通孔内に配置されている。
【0080】
本実施形態において、取り出し電極として基板貫通孔に形成する貫通電極を用いないため、基板22の作成が容易である。すなわち、基板22に基板貫通孔を形成する必要がなくなり、発光部品の品質を向上することができる。また、引き回し電極23と電極パッド24の形成を同一の方法、例えばスパッタリングや真空蒸着等により形成できる。また、基板が平坦な場合、引き回し電極の作成が容易であるため、量産時の効率を向上することができる。また、反射部材が熱伝導性の良い部材で形成する場合、発光素子25からの熱を効率的に逃がすことができる。
【0081】
次に、本実施形態の発光部品の製造方法について説明する。図10から図13は、発光部品20の製造方法を示す工程図である。
図10は、基板22の加工による電極形成工程および発光素子実装工程を示す図である。
【0082】
図10(a)は、ガラスからなる基板22を示す図である。なお、基板22の材料は、ガラスに限らず、樹脂、セラミック等を用いることが可能である。
【0083】
図10(b)は、基板22に、前記基板の前記1の面から前記1の面と反対の面まで前記基板の表面を覆う、すなわち基板22の1の面から側面を介して1の面と反対の面まで接続する2つの引き回し電極23を形成し、引き回し電極23の基板22の1の面側の端部に電極パッド24を形成する電極形成工程を示す図である。図10(b)の工程では、基板22に引き回し電極23をスパッタリングや真空蒸着等で形成する。また、電極パッドは、引き回し電極と同様にスパッタリングや真空蒸着での形成および印刷技術による形成が可能である。引き回し電極23と電極パッド24とは、同一の材料で形成することにより、製造工程を短縮化ができる。また、引き回し電極23と電極パッド24とは、銀などの熱伝導性のよい材料で形成することができる。
【0084】
図10(c)は、基板22の1の面側の面から1の面側の面と反対の面まで貫通する反射部材貫通孔を有するとともに、反射部材貫通孔側の側面が基板の1の面側の面から1の面側の面と反対の面に向かって広がる傾斜面で構成された反射部材を基板の1の面に接合する工程を示す図である。図10(c)において、基板22に引き回し電極23および接着層21を介して反射部材17を接合し、発光素子からの光を反射させる反射部材を配置する。
【0085】
反射部材17は、可視光の反射率のよい銀やアルミ等の金属材料で構成される。また、反射部材17は、樹脂、セラミック、ガラスなどの表面に銀やアルミ等の金属膜を形成させたものでもよい。また、反射部材17において、金属膜に可視光を反射する物質を混ぜ合わせたものを用いてもよい。接着層21は、電気絶縁性があり、熱伝導性のよい接着剤を用いることができる。これにより、発光素子から生じる熱を効率よく放熱することができる。
【0086】
図11は、いずれかの電極パット24上に発光素子25を配置し、2つの引き回し電極23と発光素子25とを電気的に接続する発光素子実装工程を示す図である。
【0087】
図11(a)は、一方の電極パット24上に発光素子25を配置し、一方の電極配線23と発光素子25とを電気的に接続する工程を示す図である。図11(a)の工程では、一方の電極パット24に発光素子25のアノード電極(図示せず)を接続する。発光素25で発生した熱は、引き回し電極23を介して外部へ放熱させることができる。
【0088】
図11(b)は、他方の引き回し電極23と発光素子25とを電気的に接続する工程を示す図である。図11(b)の工程では、発光素子25のカソード電極(図示せず)と、ワイヤボンディング装置を用いて、他方の電極パット24にボンディングワイヤ26を接続し、発光素子25のカソード電極(図示せず)と他方の電極パット24とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ26は、例えば加工が容易で電気抵抗の低い金およびアルミニウムのワイヤで形成される。
【0089】
図12(a)、(b)は、プライマー層形成工程、及び密着層形成工程を示す図であり、第一実施形態と同様の工程である。
図13は、封止樹脂形成工程を示す図であり、第一実施形態と同様の工程である。これにより、発光部品が形成できる。
【0090】
なお、第一実施形態において、発光部品を本実施形態に示すように基板と反射部材とで構成することができる。その場合、本実施形態のように基板と反射部材を別の部材で構成することができるため、本実施形態のようにそれぞれ最適な部材で構成することができる。
【0091】
次に、本発明に係る第五実施形態について、図14に基づいて説明する。
図14は、本発明に係る第五実施形態における発光部品30の断面を図示したものである。なお、第一実施形態と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。
【0092】
発光部品30は、基板に窪み部が形成されていない点で第一実施形態と異なる。基板32が平坦であるため、樹脂の偏りがより少なくプライマー層37、密着層39及び封止樹脂38を形成させる工程を容易に行うことができる。また、基板32上に複数の発光素子35を実装し、樹脂封止後に、個々の発光部品30に切り分けることができる。これにより、発光部品30の量産を容易にできるため、生産性を向上することができる。
【0093】
次に、本実施形態の発光部品の製造方法について説明する。図15から図19は、発光部品30の製造方法を示す工程図である。
【0094】
図15は、基板32の加工による電極形成工程を示している。
まず、図15(a)は、ガラスからなる基板2を示す図である。なお、基板32の材料は、ガラスに限らず、樹脂、セラミック等を用いることが可能である。
【0095】
図15(b)は、基板32に、基板32の1の面から1の面と反対の面まで貫通する複数の基板貫通孔を形成する基板貫通孔形成工程を示す図である。図15(b)の工程では、基板32に複数の貫通電極を形成するための複数の基板貫通孔を機械加工またはエッチング等により形成する。
【0096】
図15(c)は、基板32の複数の基板貫通孔にそれぞれ貫通電極33を形成し、貫通電極33上にそれぞれ電極パット34を形成する電極形成工程を示す図である。図15(c)の工程では、図15(b)の工程で形成した複数の基板貫通孔に銀ペースト等を塗付してそれぞれ貫通電極33を形成する。また、貫通電極33上に印刷技術または、リソグラフィ技術により金属からなる電極パット34を形成する。なお、貫通電極33を形成する銀ペーストは、熱伝導性の良いので、発光素子から発生する熱を効率的に放熱することができる。なお、銀ペースト以外でも放熱性がある金属ならよい。
【0097】
図16は、発光素子実装工程を示す図であり、複数の発光素子35を同時に電極パッド34に配置する点を除き、第一実施形態と同様の工程である。
【0098】
図17は、プライマー層ガス遮断層37で基板32の1の面及び発光素子35の表面を覆うプライマー層形成工程と、プライマー層37の表面を密着層39で覆う密着層形成工程を示す図である。
【0099】
図17(a)は、基板32の1の面及び発光素子35の表面をプライマー層37で覆う工程を示す図である。図17(a)の工程では、表面が平坦なプライマー層37をディップ法、スプレー法、ディスペンサ法等により形成し、プライマー層37で基板32の1の面、発光素子35および、電極パット34の露出している部分を覆う。このとき、プライマー層37を一様に形成するため、形成が容易に行える。
【0100】
図17(b)は、プライマー層37上を密着層39で覆う工程である。
図18は、封止樹脂形成工程を示す図であり、第一実施形態と同様の工程である。
【0101】
図19は、発光素子35を電気配線、樹脂封止した複数の発光部品を、個別の発光部品に個片化する発光部品個片化工程を示す図である。図19に示すように、発光素子35を電気配線、樹脂封止した複数の発光部品を、個別の発光部品にダイシングにより切り分けることで発光部品30を個片化する。これにより、複数の発光部品を一括形成することができる。
【0102】
本発明の発光部品は、例えば照明器具や、電光掲示板、車のヘッドライトなどの発光器などに用いることができる。本発明の発光部品は、光源として、試料などの検査対象に光を透過、又は反射させることによって対象物を観察、検査する検査装置に用いることができる。検査装置としては、例えば、偽札鑑定装置、金属の表面の微細な傷や欠陥を見つける画像処理機器、更には、医療、バイオ分野において組織やDNAといった微小化学物質の検知用装置、樹脂硬化装置などに用いることができる。
【0103】
また、上述した実施形態では、本発明の発光部品を発光素子の表面実装(SMD)型に採用する場合について説明したが、これに限らず、光を透過する樹脂を用いた封止樹脂の接着方法に採用することができる。すなわち、封止樹脂の接着方法において、ガス遮断性を有する樹脂を主成分とする均質な材料からなるプライマー層で基板の表面を覆うとともに、プライマー層ガス遮断層とプライマー層密着層からなる多層膜構造を形成するプライマー層形成工程と、耐光性を有する樹脂を主成分とする材料からなる封止樹脂でプライマー層を覆う封止樹脂形成工程と、を備えることができる。これにより、封止樹脂の耐光性、およびプライマー層のガス遮断性の機能を保ちながら、封止樹脂の接着性を向上できる。
【符号の説明】
【0104】
2、22、32 基板
3、33 貫通電極
4、24、34 電極パット
5、25、35 発光素子
6、26、36 ボンディングワイヤ
7、27、37 プライマー層
9、29、39 プライマー層密着層
8、28、38 封止樹脂
10、20、30 発光部品
16 金属反射膜
17 反射部材
21 接着層
23 引き回し電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に実装された発光素子と、前記基板の少なくとも一部と前記発光素子の表面を覆うプライマー層と、前記プライマー層を覆う封止樹脂と、を備える発光部品であって、
前記プライマー層は、ガス遮断性を有する樹脂で形成され、
前記封止樹脂は、耐光性を有し、前記発光素子から発光される光を透過するとともに、前記プライマー層との間に少なくとも1層以上の密着層を有し、
前記密着層は、発光素子から発光される光を透過し、前記プライマー層及び前記封止樹脂のそれぞれの界面で反応する樹脂で形成されていることを特徴とする発光部品。
【請求項2】
前記密着層の樹脂は、前記プライマー層及び前記封止樹脂が有する官能基とそれぞれ結合する官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の発光部品。
【請求項3】
前記密着層は、ガス遮断性を有する第1の樹脂と前記発光素子から発光される光を透過する第2の樹脂とで形成されるとともに、
前記第1の樹脂は、前記プライマー層及び前記第2の樹脂が有する官能基と結合する官能基を有し、
前記第2の樹脂は、前記封止樹脂及び前記第1の樹脂が有する官能基と結合する官能基を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光部品。
【請求項4】
前記密着層は、2層以上で構成され、
各層の前記第1の樹脂のモル濃度の割合が、前記プライマー層から前記封止樹脂に向かって少なくなっていくことを特徴とする請求項3に記載の発光部品。
【請求項5】
前記密着層の1層の厚さが0.05μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光部品。
【請求項6】
前記プライマー層の厚さが、0.2μm以上90μm以下であり、前記プライマー層と前記密着層との厚さの合計が、100μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の発光部品。
【請求項7】
前記封止樹脂はシリコーン系樹脂で形成され、前記プライマー層はアクリル系樹脂または変性シリコーン系樹脂で形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の発光部品。
【請求項8】
前記封止樹脂の屈折率が、前記プライマー層の屈折率よりも低く、
前記密着層は、2層以上であり、
前記密着層の各層の屈折率が、前記プライマー層から前記封止樹脂に向かって低くなっていくことを特徴とする請求項7に記載の発光部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の発光部品を用いた発光器。
【請求項10】
基板上に発光素子を実装する発光素子実装工程と、
ガス遮断性を有する樹脂で構成されたプライマー層を前記基板の少なくとも一部と前記発光素子の表面に形成する前記プライマー層形成工程と、
発光素子から発光される光を透過し、前記プライマー層及び前記封止樹脂のそれぞれの界面で反応する樹脂で構成された少なくとも1層以上の密着層を前記プライマー層上に形成する密着層形成工程と、
前記発光素子から発光される光を透過する封止樹脂を前記密着層上に形成する封止樹脂形成工程と、
を備えることを特徴とする発光部品の製造方法。
【請求項11】
前記密着層形成工程において、前記密着層が有する官能基が、前記プライマー層が有する官能基と結合し、
前記封止樹脂形成工程において、前記密着層が有する官能基が、前記封止樹脂が有する官能基と結合することを特徴とする請求項10に記載の発光部品の製造方法。
【請求項12】
前記密着層形成工程において、前記密着層は、ガス遮断性を有する第1の樹脂と前記発光素子から発光される光を透過する第2の樹脂とで構成されるとともに、第1の樹脂及び第2の樹脂は、互いの樹脂が有する官能基と結合して形成されていることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の発光部品の製造方法。
【請求項13】
前記プライマー層形成工程において、前記プライマー層が、アクリル系樹脂または、変性シリコーン樹脂で形成され、
前記封止樹脂形成工程において、シリコーン系樹脂で形成されることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の発光部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−114231(P2012−114231A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261717(P2010−261717)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】