説明

発振回路、発振回路を持つ装置、および発振方法

【課題】局部発振周波数を制御する制御電圧を得る際に用いられる電源回路(DC/DCコンバータ)の内部発振周波数に起因する障害を回避する。
【解決手段】電源回路10と電圧制御発振器13と基準発振器15と電圧制御発振器の発振周波数f(VCO)を電圧制御する制御回路16を備える。電源回路10は内部発振器11の発振信号Voから所定電圧Vzを提供する。電圧制御発振器13は可変容量ダイオード14に印加される制御電圧Vcontによって発振周波数が変化する。制御回路16は、基準発振器15の発振周波数f(REF)に基づく比較周波数f(COMP)とf(VCO)に基づく検査周波数f(CHK)との比較結果によりVcontを制御する。Vcontは所定電圧Vzを用いて生成される。ここで、Nを自然数としたときに、内部発振器11の発振周波数f(DD)が比較周波数f(COMP)のN倍より高くN+1倍より低くなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル変調された高周波信号等を受信する装置に組み込まれる発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル変調された高周波信号を受信する装置が多く使われている。その代表例としてデジタルTV受信機がある。デジタルTV受信機については種々な改善技術が提案されており、そのうちの1つに、チューナ部で用いられる局部発振回路の位相雑音低減を行う技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−331252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術は、チューナ部で用いられる局部発振回路の位相雑音に注目しているが、局部発振周波数を制御するに必要なレベルの電圧を得る際にDC/DCコンバータを用いておらず、DC/DCコンバータ内発振器の発振周波数に起因する障害に対して対策が施されていない。
【0005】
この発明の課題の1つは、局部発振周波数を制御するに必要なレベルの制御電圧を得る際にDC/DCコンバータが用いられる場合において、DC/DCコンバータ内発振器の発振周波数に起因する障害(スプリアスの発生等)に対して対策を施すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態に係る発振回路は、第1の直流電圧(Vcc)が入力されて前記第1の直流電圧よりも高い第2の直流電圧(Vdd)を出力する電源回路(DC/DCコンバータ10)と、電圧制御発振器(VCO13)と、基準発振器(RO15)と、前記電圧制御発振器(13)の発振周波数(f(VCO))を電圧制御する制御回路(16)を備えている。
【0007】
この発振回路において、前記電源回路(10)は内部発振器(11)とこの内部発振器(11)の発振信号(Vo)を整流して所定電圧(Vz)を提供する整流回路(12、17)を含み、前記電圧制御発振器(13)は可変容量素子(可変容量ダイオード等14)に印加される制御電圧(Vcont)によって発振周波数が変化するように構成されている。また、前記制御回路(16)は、前記基準発振器(15)の発振周波数(f(REF))に基づく比較周波数(f(COMP))と前記電圧制御発振器(13)の発振周波数(f(VCO))に基づく検査周波数(f(CHK))とを比較し、その比較結果に対応して前記制御電圧(Vcont)を制御する制御ループを構成している。さらに、前記可変容量素子(14)に印加される前記制御電圧(Vcont)は前記電源回路(10)の前記所定電圧(Vz)を用いて生成される。
【0008】
ここで、Nを自然数としたときに、前記内部発振器(11)の発振信号(Vo)の周波数(f(DD))が前記比較周波数(f(COMP))のN倍より高くN+1倍より低くなるように構成される。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、電源回路(10)の内部発振周波数(f(DD))と比較周波数(f(COMP))
の自然数倍(N倍またはN+1倍)との周波数差によって電圧制御発振器(13)の発振信号(Vo)に発生するサイドバンドスプリアスの影響を小さくできる。すると、この発振回路を用いた受信機における受信CN比(Carrier to Noise ratio)が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施の形態に係る発振回路が局部発振器として用いられたスーパーヘテロダイン受信機の構成を例示する図。
【図2】この発明の一実施の形態に係る発振回路の構成の一例を説明する回路図。
【図3】この発明の一実施の形態に係る発振回路の内部回路における周波数関係を説明する図。
【図4】この発明の一実施の形態に係る発振回路に含まれる電圧制御発振器の周波数スペクトラムを説明する図。
【図5】この発明の一実施の形態に係る発振回路を持つ受信機でデジタル変調波を受信した場合のスプリアスの影響を説明する図。
【図6】この発明の一実施の形態に係る発振回路を持つ受信機でアナログ変調波を受信した場合のスプリアスの影響を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る発振回路が局部発振器として搭載されたスーパーヘテロダイン受信機の概略構成を示すブロック図である。この構成において、デジタルTV放送等のRF(Radio Frequency)信号が、RF入力端子1に入力される。入力されたRF信号は可変単同調型帯域通過フィルタ2において周波数制限され、デュアル・ゲートFET等で構成されたRF増幅器3において増幅および増幅度制御され、可変複同調型帯域通過フィルタ4においてさらに周波数帯域制限される。こうして得られたRF信号は、周波数混合器(Frequency Mixer:MIX)5において、局部発振器6からの局部発振信号と混合されることにより周波数変換されて、中間周波数(Intermediate Frequency:IF)信号となる。後述するが、この局部発振器6をこの発明に基づいて構成することができる。
【0012】
周波数混合器5からは、フィルタ4からのRF信号周波数と局部発振器6からの局部発振信号周波数との差分が取り出される。この差分周波数を持つ信号がIF信号となる。このIF信号は、IF増幅器7で増幅されたのち、弾性表面波フィルタ8でさらに周波数帯域制限される。こうして、1チャンネル分の信号を得る。さらに弾性表面波フィルタ8を通過したIF信号は、利得制御増幅器9で所望の振幅まで増幅されて出力される。
【0013】
図2は、この発明の一実施の形態に係る発振回路の構成の一例を説明する回路図である。この回路は、大きく分けると、第1の直流電圧Vcc(例えば3V〜5V程度)が入力されて第1の直流電圧よりも高い第2の直流電圧Vdd(例えば30数V〜40V程度)を出力する電源回路(DC/DCコンバータ)10と、電圧制御発振器(Voltage-Controlled Oscillator:VCO)13と、基準発振器(Reference Oscillator:RO)15と、電圧制御発振器13の発振周波数f(VCO)を電圧制御する制御回路16を備えている。
【0014】
電源回路10は、内部発振器11と、この内部発振器11の発振信号Voを整流して得た直流電圧Vddから所定電圧Vz(例えば30V程度)を提供する整流回路を含む。この整流回路は、整流部12と、定電圧回路17により構成されている。
【0015】
内部発振器11は、トランジスタTr11を用いたLC発振回路により構成され、周波数f(DD)で発振して発振信号Voを整流部12に入力する。整流部12はダイオードD11、D12とキャパシタC15、C16からなる半波倍圧整流回路により構成されている。周波数f(DD)の発振信号Voを倍圧整流して得た直流電圧Vddは、抵抗R1とツェナダイオードZDからなる定電圧回路17により安定化されて、所定電圧Vzとなる。
【0016】
電圧制御発振器13は、可変容量ダイオード(あるいは逆バイアスされた半導体のpn接合)14のカソードとアノード間に印加される制御電圧Vcontによって、発振周波数f(VCO)が制御されるように構成されている。この制御電圧Vcontは、定電圧回路17のツェナダイオードZDのカソードと可変容量ダイオード14のカソードの間に設けられた抵抗R2と抵抗R3の直列回路を介して、所定電圧Vzから導出される。なお、ダイオードZDおよびダイオード14のアノードはともに接地されており、所定電圧Vzおよび制御電圧Vcontは対接地電位となっている。
【0017】
制御回路16は、基準発振器15の発振周波数f(REF)に基づく比較周波数(例えば発振周波数f(REF)を自然数Rで除した分周信号)f(COMP)と、電圧制御発振器13の発振周波数f(VCO)に基づく検査周波数(例えば発振周波数f(VCO)を自然数Mで除した分周信号)f(CHK)とを比較し、その比較結果に対応して前記制御電圧(Vcont)を制御する制御ループを構成している。
【0018】
すなわち、周波数f(VCO)で発振している電圧制御発振器13の発振出力が、M分周回路161により1/Mに分周されて位相検波器(Phase Detector)163に入力される。一方、水晶振動子152を用いた発振回路151で構成される基準発振器15から得られた高精度な基準周波数f(REF)の信号は、R分周回路162により1/Rに分周されて位相検波器(Phase Detector)163に入力される。位相検波器163は、1/Rに分周された基準周波数f(REF)を比較周波数f(COMP)として受け、また1/Mに分周された電圧制御発振器13の発振周波数f(VCO)を検査周波数f(CHK)として受ける。そして、位相検波器163は、比較周波数f(COMP)の信号と検査周波数f(CHK)の信号を位相比較する。その位相比較結果によりチャージポンプ164を動作させ、チャージポンプ164の動作出力を、能動型低域通過フィルタ165に入力する。
【0019】
能動型低域通過フィルタ165は、チャージポンプ出力を増幅する演算増幅器A165と、演算増幅器A165の出力に対応したコレクタ電流が流れるトランジスタTr165と、Tr165のコレクタと演算増幅器A165の入力回路の間(負帰還ループ)に挿入されたCR回路(C165、C166、R165)で構成されている。このCR回路の時定数によりフィルタ165の周波数伝達関数(周波数をパラメータとする入出力の比)が決まる。
【0020】
ツェナダイオードZDのカソードと可変容量ダイオード14のカソードの間に設けられた抵抗R2と抵抗R3の接続ノードは、トランジスタTr165のコレクタ〜エミッタ間を介して接地されており、Tr165のコレクタ電流増加に対応して制御電圧Vcontが低下し(下限はほぼ接地電位)、Tr165のコレクタ電流減少に対応して制御電圧Vcontが上昇する(上限はVz)ようになっている。このようにして、制御回路16は、電圧制御発振器13の制御電圧Vcontを制御する制御ループを構成する。
【0021】
以上のような回路構成の発振回路(局部発振器)6において、この発明では、Nを自然数としたときに、電源回路10の内部発振周波数f(DD)が比較周波数f(COMP)のN倍より高くN+1倍より低くなるようにしている。この点に関して、以下、さらに説明を続ける。
【0022】
図3は、この発明の一実施の形態に係る発振回路6の内部回路における周波数関係を説明する図である。以下、図3に基づいて発振回路6における周波数関係の説明を行う。図3において横軸は周波数fであり、周波数の高低のみの説明を行うため横軸は数直線となっている。ここでは、説明を容易にするため、Δf1=f(DD)−N*f(COMP)、Δf2=(N+1)*f(COMP)−f(DD)とする。また、Δf1<Δf2の場合もΔf1>Δf2の場合もあり得るが、説明を簡略化するためにΔf1<Δf2の場合のみ例示した。
【0023】
内部発振器11の発振周波数f(DD)は、式(1)のとおり、基準発振器15の発振周波数f(REF)に基づく周波数すなわち比較周波数f(COMP)の、N倍よりも高くN+1倍よりも低く設定している。
【0024】
N*f(COMP)<f(DD)<(N+1)*f(COMP) …(1)
具体例を挙げると、f(COMP)=1/7[MHz]≒0.1429[MHz]、N=9の場合、
N*f(COMP)≒1.286[MHz]、(N+1)*f(COMP)≒1.429[MHz]となる。これに10kHz程度の余裕を加味すると、
1.296[MHz]<f(DD)<1.419[MHz] …(1*)
となる。
【0025】
図4は、この発明の一実施の形態に係る発振回路6に含まれる電圧制御発振器13の周波数スペクトラムを説明する図である。以下、図4のa)、b)に基づいて、電圧制御発振器(VCO)13の発振出力Voutのスペクトラムについて説明を行う。
【0026】
図4のa)の横軸は周波数であり、縦軸は電力を示す。横軸の中央は電圧制御発振器13の発振周波数f(VCO)に設定されており、周波数スパンSPAN≒5.5MHzとする。ここでf(VCO)の周波数は概ね100MHz〜900MHzであり、受信したい周波数によって適切に設定されるものである。
【0027】
図4のa)の例では、周波数軸上、fsp1とfsp2の地点にスプリアスが観測されている。これは内部発振器11の発振周波数f(DD)に起因するもので、次式の関係となっている。
【0028】
fsp1=f(VCO)−f(DD) …(2)
fsp2=f(VCO)+f(DD) …(3)
図4のb)は図4のa)のSPANを狭くして観測したものであり、ここではSPAN≒500kHzとしている。
【0029】
図4のb)の例では、周波数軸上、fsp3、fsp4、fsp5、およびfsp6の地点にスプリアスが観測されている。これらは、前記図3の説明においてで定義したΔf1、Δf2に起因しており、次式の関係となっている。
【0030】
fsp3=f(VCO)−Δf2 …(4)
fsp4=f(VCO)+Δf2 …(5)
fsp5=f(VCO)−Δf1 …(6)
fsp6=f(VCO)+Δf1 …(7)
ここで述べたスプリアスは、しばしば受信特性に影響を及ぼすことがある。
【0031】
図5は、この発明の一実施の形態に係る発振回路を持つ受信機でデジタル変調波を受信した場合のスプリアスの影響を説明する特性図である。以下、図5の特性図の説明を行う。
【0032】
図5の横軸は図4に示すΔf1であり、縦軸は受信CN(Carrier to Noise)比を示す。このCNカーブの増加はΔf1が増加するにつれ飽和して行くが、このCNの飽和レベル(飽和CN)は高いほど良い。図5の例では、Δf1>10kHz以上の領域においては飽和状態になる。しかし、Δf1が10kHzを下回るとCNの劣化が観測される。この例から、図3の説明で触れた10kHzの余裕度は適切な値であることがわかる。
【0033】
図6は、この発明の一実施の形態に係る発振回路を持つ受信機でアナログ変調波を受信した場合のスプリアスの影響を説明する特性図である。以下図6の特性図の説明を行う。
【0034】
図6の横軸は映像搬送波基準で示した妨害周波数であり、縦軸は映像に妨害が現れないための所要妨害比である(映像搬送波が例えば765.25MHzであれば、図6横軸の0MHzポイントは映像搬送波の765.25MHzに相当)。図6の例では、横軸が0MHzのポイントで所要妨害比=−57dBとなっているが、映像搬送波に対してスプリアスレベルが57dB低ければ映像への妨害が観測されないことを示している。また、横軸が1.0MHzのポイントでは、所要妨害比=−54dBとなっているが、映像搬送波に対してスプリアスレベルが54dB低ければ映像への妨害が観測されない。
【0035】
図2で例示したように、電源回路(DC/DCコンバータ)10の内部発振器11はインダクタLとキャパシタCにより共振回路を構成する場合が多く、その発振周波数f(DD)は次式で与えられる:
f(DD)=1/(2π√(L*C)) …(8)
LC共振回路を利用した発振器の発振周波数f(DD)は、共振回路を構成するインダクタLのインダクタンス誤差とキャパシタCのキャパシタンス誤差に左右される。具体的には、例えばLおよびCが±5%ばらつくとf(DD)も概ね±5%ばらつき、f(DD)のばらつき幅Δf(DD)は、
Δf(DD)=f(DD)*0.1 …(9)
程度になることを想定する必要が生じる。
【0036】
前述したように、f(DD)の許容周波数範囲は前述した式(1)で示される。言い換えると、f(DD)のばらつき幅Δf(DD)は、次式を満足する必要がある:
Δf(DD)<(N+1)*f(COMP)−N*f(COMP) …(10)
Δf(DD)<f(COMP) …(11)
式(11)に式(9)を適用すると、
f(DD)*0.1<f(COMP) …(12)
となり、これはさらに次のように書き替えることができる:
f(DD)<f(COMP)*10 …(13)
この式(13)が現実的な解となり得る。
【0037】
言い換えると、内部発振器11の発振周波数f(DD)を比較周波数f(COMP)の10倍未満に設定することで、発振周波数f(DD)を基準発振器15の発振周波数f(REF)に基づく比較周波数f(COMP)のN倍よりも高くN+1倍よりも低く設定することを容易成らしめることとなる。
【0038】
しかしながら、Nの値を限りなく小さくすることは、必ずしも得策ではない。というのも、図6の説明で述べたアナログ変調波の受信時にはf(DD)を高く設定した方が好ましい場合も存在するためである。
【0039】
近年、デジタル変調波を受信する場合、比較周波数f(COMP)に1/6[MHz]、1/7[MHz]、1/8[MHz]を使用した受信システムが多くなってきている。このような場合には以下のNの範囲内で発振周波数f(DD)を設定することが有利である。
【0040】
(a)f(COMP)=1/6[MHz]の場合:N=6〜9
(b)f(COMP)=1/7[MHz]の場合:N=7〜9
(c)f(COMP)=1/8[MHz]の場合:N=8〜9
例えば、f(COMP)=1/7[MHz]の場合でN=8とするならば、「比較周波数(f(COMP))のN倍より高くN+1倍より低くなる」ようなf(DD)は、8/7(≒1.143)MHzより高く9/7(≒1.285)MHzより低くなる。この場合、内部発振器11の共振回路を構成するLCが最大±5%ばらつくとして、内部発振器11の発振周波数(=f(DD))の設計値を、1.22〜1.23MHzとすればよい。
【0041】
<実施の形態の効果>
この発明に係る発振回路6を搭載したデジタル変調信号受信装置(デジタルTVなど)において、電源回路(DC/DCコンバータ)の発振周波数f(DD)と比較周波数f(COMP)の自然数倍(N倍またはN+1倍)との周波数差によって電圧制御発振器(VCO)の発振信号に発生するサイドバンドスプリアスの影響を小さくでき、その結果受信CN比(Carrier to Noise Ratio)が向上する。
【0042】
また、アナログ変調波を受信する場合でも電源回路の発振周波数f(DD)に起因するサイドバンドスプリアスの影響を小さくでき、その結果受信SN比(Signal to Noize Ratio)が向上する。
【0043】
<実施の形態と発明との対応例>
(1)第1の直流電圧(Vcc)が入力されて前記第1の直流電圧よりも高い第2の直流電圧(Vdd)を出力する電源回路(DC/DCコンバータ10)と、電圧制御発振器(VCO13)と、基準発振器(RO15)と、前記電圧制御発振器(13)の発振周波数(f(VCO))を電圧制御する制御回路(16)を備えた発振回路において、前記電源回路(10)は内部発振器(11)とこの内部発振器(11)の発振信号(Vo)を整流して所定電圧(Vz)を提供する整流回路(12、17)を含み、前記電圧制御発振器(13)は可変容量素子(可変容量ダイオードまたは逆バイアスされた半導体のpn接合14)に印加される制御電圧(Vcont)によって発振周波数が変化するように構成される。
【0044】
前記制御回路(16)は、前記基準発振器(15)の発振周波数(f(REF))に基づく比較周波数(例えば発振周波数f(REF)を自然数Rで除した分周信号:f(COMP))と前記電圧制御発振器(13)の発振周波数(f(VCO))に基づく検査周波数(例えば発振周波数f(VCO)を自然数Mで除した分周信号:f(CHK))とを比較し、その比較結果に対応して前記制御電圧(Vcont)を制御する制御ループを構成する。前記可変容量素子(14)に印加される前記制御電圧(Vcont)は前記電源回路(10)の前記所定電圧(Vz)を用いて生成される。
【0045】
ここで、Nを自然数としたときに、前記内部発振器(11)の発振信号(Vo)の周波数(f(DD))が前記比較周波数(f(COMP))のN倍より高くN+1倍より低くなるように構成した発振回路。
【0046】
(2)直流電圧入力(Vcc)で給電され第1の周波数(f(DD))で発振してその発振信号を整流して前記直流電圧入力(Vcc)より高電圧な直流電圧出力(Vz)を提供し、前記直流電圧出力(Vz)を用いた制御信号(Vcont)により発振周波数を制御して第2の周波数(f(VCO))の発振信号(Vout)を出力し、前記第2の周波数(f(VCO))に基づく検査周波数(f(VCO)/Mまたはf(CHK))と所定の比較周波数(f(REF)/Rまたはf(COMP))を比べて前記制御信号(Vcont)の大きさを制御する方法において、Nを自然数としたときに、前記第1の周波数(f(DD))が前記比較周波数(f(COMP))のN倍より高くN+1倍より低くなるようにする。
【0047】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0048】
1…高周波(RF)入力端子、2…可変単同調型帯域通過フィルタ、3…RF増幅器、4…可変複同調型帯域通過フィルタ、5…周波数混合器、6…発振回路(局部発振器)、7…中間周波(IF)増幅器、8…弾性表面波フィルタ、9…利得制御増幅器、10…電源回路(DC/DCコンバータ)、11…内部発振器、12…整流部(半波倍圧整流回路)、13…電圧制御発振器(周波数可変発振器)、14…可変容量ダイオード(可変容量素子)、15…基準発振器(水晶発振器)、16…制御回路(電圧制御発振器の制御ループを構成)、161…M分周回路、162…R分周回路、163…位相検波器、164…チャージポンプ、165…能動型低域通過フィルタ、17…定電圧回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧入力が入力されて第1の周波数で発振し、その発振信号を整流して前記直流電圧入力より高電圧な直流電圧出力を出力する電源回路と、
前記直流電圧出力を用いた制御信号により発振周波数が制御され、第2の周波数の発振信号を出力する周波数可変発振器と、
第3の周波数で発振する基準発振器と、
前記第2の周波数に基づく検査周波数と前記第3の周波数に基づく比較周波数を比べて前記周波数可変発振器の前記制御信号の大きさを制御する制御回路とを備え、
Nを自然数としたときに、前記第1の周波数が前記比較周波数のN倍より高くN+1倍より低くなるように構成した発振回路。
【請求項2】
第1の直流電圧が入力されて前記第1の直流電圧よりも高い第2の直流電圧を出力する電源回路と、電圧制御発振器と、基準発振器と、前記電圧制御発振器の発振周波数を電圧制御する制御回路を備えた発振回路において、
前記電源回路は、内部発振器と、この内部発振器の発振信号を整流して所定電圧を提供する整流回路を含み、
前記電圧制御発振器は、可変容量素子に印加される制御電圧によって発振周波数が変化するように構成され、
前記制御回路は、前記基準発振器の発振周波数に基づく比較周波数と前記電圧制御発振器の発振周波数に基づく検査周波数とを比較し、その比較結果に対応して前記制御電圧を制御する制御ループを構成し、
前記可変容量素子に印加される前記制御電圧は前記電源回路の前記所定電圧を用いて生成され、
Nを自然数としたときに、前記内部発振器の発振信号の周波数が前記比較周波数のN倍より高くN+1倍より低くなるように構成した発振回路。
【請求項3】
前記内部発振器の発振信号の周波数が前記比較周波数の10倍未満である請求項2に記載の発振回路。
【請求項4】
前記内部発振器の発振信号の周波数が1MHz以上である請求項3に記載の発振回路。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発振回路を局部発振器として持つスーパーヘテロダイン受信機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発振回路を持ち、デジタル変調された信号およびアナログ変調された信号のうちの少なくとも1つを受信する装置。
【請求項7】
直流電圧入力で給電されて第1の周波数で発振し、その発振信号を整流して前記直流電圧入力より高電圧な直流電圧出力を提供し、
前記直流電圧出力を用いた制御信号により発振周波数を制御して第2の周波数の発振信号を出力し、
前記第2の周波数に基づく検査周波数と所定の比較周波数を比べて前記制御信号の大きさを制御する方法において、
Nを自然数としたときに、前記第1の周波数が前記比較周波数のN倍より高くN+1倍より低くなるように構成した発振方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−206282(P2010−206282A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46870(P2009−46870)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】