説明

皮膚外用剤

【課題】 安全性が高く、安定性、匂いや澱の発生などの面において問題のない植物由来の抽出物を有効成分とするメラニン生成抑制剤及び/又はエラスターゼ活性阻害剤と、これを配合した美白作用や美肌作用に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 藍草抽出物を含有する皮膚外用剤を提供することにより前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藍草抽出物及びこれを有効成分として含有する皮膚外用剤、とりわけ、藍草からの水を含む溶媒による抽出物を含有するメラニン生成抑制剤及び/又はエラスターゼ活性阻害剤、及び、これを有効成分として含有する美白用及び/又は美肌用の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シワ、コジワやシミ、ソバカス、日焼け後の皮膚の色素沈着は、中高年齢層や女性にとっては特に大きな肌の悩みの一つとなっている。そこで、従来から種々の美肌や美白成分が提案されている。このような美肌や美白に有効な成分として、例えば、コウジ酸又はその誘導体、L−アスコルビン酸、トコフェロール又はその誘導体、グルタチオン、過酸化水素、過酸化亜鉛、ハイドロキノンモノベンジルエ−テルなどの化学物質、プラセンターエキス、シルク抽出物などの動物エキスや、アルニカ、アルテア、アロエ、オウゴン、エンメイソウ、カミツレ、甘草、クチナシ、シコン、ショウマ、シラカバ、センキュウ、ゲンノショウコ、サイコ、山茶花、当帰、トウキンセンカ、ニワトコ、紅花、ニンニク、ハトムギ、レイシ、ログウッドなどの植物エキスが知られている。
【0003】
しかしながら、これらの成分を、皮膚外用剤に配合した場合には、安定性や溶解性が悪い場合や、特に、植物エキスなどでは、澱の発生、異臭、着色が生じるなどの問題があり、又、生体に対する効果の点においても、さらには、皮膚にかぶれを起こすなど安全性の面でも問題があるものもあり、満足すべきものではなかった。
【0004】
藍草は、ベトナム南部を原産地とする、双子葉植物離弁花類に分類されるタデ科の一年生草本である。日本では、藍の葉及び果実には有用な生理活性成分が含まれているとされ、その葉及び果実を陽乾して得られる藍葉及び藍実は、古来、生薬として用いられている。また、近年、藍草抽出物を含有する、抗腫瘍活性、抗ウイルス活性、抗菌活性などの作用を期待した、飲食品や化粧品などが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−31581号公報
【特許文献2】特開2004−189732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、安全性が高く、安定性、匂いや澱の発生などの面において問題のない植物由来の抽出物を有効成分とするメラニン生成抑制剤及び/又はエラスターゼ活性阻害剤と、これを配合した美白作用、美肌作用、抗老化作用に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために植物由来の抽出物について鋭意研究を重ねた結果、意外にも、数あるタデ科植物の抽出物の中でも、藍草抽出物が、特に優れた、メラニン生成抑制作用及びエラスターゼ活性阻害作用を有し、且つ、リパーゼ活性阻害作用、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用などの多彩な生理活性を有することを見出し、これを配合した皮膚外用剤は、優れた美白効果、美肌効果、抗老化効果を発揮することを見出した。さらに、この藍草抽出物は、その他の美白作用を有する成分と併用することにより、その美白・美肌効果のみならず、藍草抽出物のもつ抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗老化作用をはじめとする生理活性も増強されるという予想外の知見を見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は藍草抽出物を配合してなるメラニン生成抑制、エラスターゼ活性抑制及び/又は老化防止剤、並びに、これらを配合してなる皮膚外用剤を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で使用する「藍草」とは、タデ科に属する1年生の植物(ポリゴナム ティンクトリウム ロウア:Polygonum tinctorium Lour)であり、「蓼藍」とも呼ばれている。
【0010】
本発明で使用する藍草は、その起源や栽培方法に特に制限はなく、天然に自生する藍草でも、栽培されているものでもよく、これらを常法により育種して得られる変異株などでもよく、また、藍草を、組織培養、カルス培養、細胞培養などして得られる培養物であってもよい。植物体を抽出の原料として用いる場合、その植物体の一部又は全部を用いることができる。また、これらの原料は新鮮な、すなわち、水分を含む状態であっても、凍結品であっても、或いは、乾燥させた状態であっても、これらの混合物であってもよい。
【0011】
本発明で使用する藍草抽出物の製造方法としては、上記のような藍草の植物体の全草及び/又はその一部を原料とし、これに水或いは水を含む溶媒を加えて、化粧品工業や医薬品工業などにおいて通常一般におこなわれる抽出法により調製することができるし、藍草の搾汁物を利用することも、これらを混合して利用することもできる。また、溶媒抽出の前に、上記原料を化粧品工業や医薬品工業などにおいて通常一般に用いられる、細断、破砕、磨砕、粉砕、圧搾、発酵、乾燥、冷凍などの1種又は2種以上を適宜組み合わせた、物理的及び/又は化学的前処理を施すことにより、藍草の細断物、破砕物、磨砕物、粉砕物、圧搾物、発酵物、乾燥物、或いは、凍結物とし、これらの何れか1種又は2種以上を抽出用の原料として使用することも随意である。
【0012】
本発明で使用する藍草抽出物を調製するための溶媒としては、水性溶媒(例えば水、酸性又は塩基性の水性溶媒など)、アルコール類(例えば、メタノール、無水エタノール、エタノールなどの低級アルコール、あるいはプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなど)、アセトンなどのケトン類などの1種又は2種類以上を適宜混合して使用することができる。なかでも、美白作用や美肌作用の強さや安全性の点からは、水が望ましく、水を含む混合溶媒(以下、本明細書では、藍草の水或いは水を含む溶媒による抽出物を総称して、「藍草抽出物」という場合がある。)も望ましい。混合溶媒としては、水とエタノールの組み合わせが特に望ましく、通常は、エタノールの濃度が、0質量%乃至70質量%のものが好ましく、0質量%乃至60質量%(以下、本明細書では、特に断らない限り「質量%」を「%」と表記する。)のものが特に好ましい。また、適宜、酸、アルカリ、又は緩衝剤などにより抽出溶媒を所望のpHに調整することも随意である。抽出は、通常は、pH2乃至pH13の範囲で行われ、pH4乃至pH10の範囲が好ましく、pH4乃至pH7.5の範囲が特に望ましい。
【0013】
本発明の藍草抽出物の調製には、以上の如き抽出溶媒を、前述の原料に対して適量使用すればよく、通常、質量比で0.1乃至30倍量、望ましくは0.5倍量乃至2倍量を添加し、必要に応じて、撹拌処理、加熱処理、加圧処理、超音波処理などを施し抽出した後、濾過、遠心分離、デカンテーションなどの適宜の方法で、液体部分と残渣に分け、液体部分を採取して藍草抽出物を調製することができる。また、残渣にさらに繰り返し同様の抽出処理を施し、採取されるそれぞれの液体部分を合一して抽出物を得ることも随意である。また原料及び残渣に、2回以上の抽出処理を施す場合、それぞれ異なる抽出溶媒を用いて所望の液体部分のみを採取したり、これらを合一して、藍草抽出物とすることも随意である。この溶媒による抽出工程は、通常、0.5時間乃至100時間程度行われ、5時間乃至48時間が望ましい。
【0014】
これらの藍草抽出物を調製する際に、澱の発生や褐変を抑制したり、異臭の発生や、微生物の増殖抑制などを目的として、後述の、界面活性剤、防腐剤(抗菌剤)、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、抗酸化剤、キレート剤、色素、香料、pH調整剤、L−アスコルビン酸やその誘導体を含むビタミン類、添加剤から選ばれる1種又は2種以上を加えることもできる。また、これらの成分の添加時期や添加量は、本発明の効果を妨げない限り、特に制限はなく、抽出工程の任意の時期に添加すればよい。
【0015】
このようにして抽出された藍草抽出物は、そのままで、皮膚外用剤の原料として使用することもできる。また、ある程度の期間保存して、澱を発生させ、濾過、遠心分離、デカンテーションなどの適宜の方法で、澱を除去することにより、澱、褐変、異臭などの発生を抑制することができる。
【0016】
当該抽出物は、さらに、本発明の作用効果を向上させるために、適宜の精製処理を施し、その有効成分含量を高めた藍草抽出物として用いることも随意である。また、当該抽出物をその使用目的に応じて精製し、その含有成分であるところのポリフェノール、アルカロイド、テルペノイド、ステロイド、フェノール類、色素、糖類、蛋白質、アミノ酸、核酸、ペプチド、脂質などの1種又は2種以上の含有比率を増加又は低減することも随意である。目的とする成分の種類にもよるが、精製手段は、例えば、濾過、濃縮、遠心分離、晶析、溶媒分別、分別沈澱、透析、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー及び/又はイオン交換クロマトグラフィーなどから適宜の方法が選ばれる。本発明の藍草抽出物は、美白作用、美肌作用、老化抑制の強さの点から、ポリフェノールを、200μg/ml以上含有するものが望ましく、400μg/ml以上含有するものが、特に望ましい。また、藍草抽出物のもつ美白作用、抗老化作用、抗菌作用、抗炎症作用などに重要な役割を果たしている成分のひとつであるところの、トリプタンスリンやケンフェロールなどの有効成分含量が高いものが望ましい。
【0017】
また、これらの藍草抽出物は、必要に応じて、遠心、限外ろ過、超ろ過などのろ過、濃縮、乾燥などの処理をさらに施したり、生理学的、或いは、製剤学的に許容される適宜の成分を添加混合するなどして、液状、固状、粉状、ペースト状、ゲル状、半固状、乳液状、懸濁状などの適宜の形態として用いることも随意である。濃縮や乾燥には、通常の食品工業、化粧品工業、医薬品工業などにおいて慣用の方法、例えば、真空濃縮、精密膜濃縮、逆浸透膜濃縮、限外濾過濃縮、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥などを適宜組み合わせて利用することができる。藍草抽出物を乾燥する場合は、上記、藍草抽出物をそのまま乾燥することもできるが、サイクロデキストリン、環状四糖、環状五糖などの環状糖質、α,α−トレハロース、α,α−トレハロースの糖質誘導体やこれらを含有する糖質を賦形剤・安定剤として使用することが好ましく、とりわけ、サイクロデキストリンが比較的少量の添加で、均質な粉末が調製できることから好ましい。
【0018】
このようにして得られる藍草抽出物は、メラニン生成抑制作用、エラスターゼ活性阻害作用、抗老化作用、リパーゼ活性阻害作用及び皮脂腺からの皮脂分泌調節作用を有するだけでなく、少なくとも、(1)悪性腫瘍、心筋梗塞、脳卒中、リウマチ、生活習慣病(成人病)、腎障害、痔などの疾病や、ストレス、老化の原因とされる、活性酸素や過酸化脂質に由来する生体内のラジカルを捕捉する性質、(2)インターフェロン−γ及びインターロイキン−10を含む、1型ヘルパーT細胞(Th1)と2型ヘルパーT細胞(Th2)との生体におけるバランスの決定に関与するサイトカインの免疫担当細胞による産生を調整し、生体における該バランスが本来あるべき正常な状態となるように調整することによって、該バランスの異常に起因する、自己免疫疾患、肝障害、腎障害、膵障害、移植片対宿主病などの諸疾患を治療・予防する性質及び、(3)紫外線、サイトカインや内毒素の刺激などにより誘導される、生体内の細胞による一酸化窒素合成酵素やプラスタグランジン合成酵素の活性の発現を抑制して、該酵素の作用による一酸化窒素やプラスタグランジンEの生成を抑制することにより、これらの物質の刺激に起因するメラノサイトでのメラニン合成が抑制されて美白作用を発揮するだけでなく、生体内での過剰な一酸化窒素やプラスタグランジンEが関与する、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、炎症性疾患、悪性腫瘍、腎障害、肺障害などの諸疾患を治療・予防する作用などを具備している。また、当該藍草抽出物は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、ウイルスなどの微生物による感染や、蛋白質、有機化合物、金属などの生体にとっての異物の侵入ないしは接触、さらには、腫瘍の発生などにより惹起される炎症を伴う生体組織の障害に対して、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン−γやインターロイキン−1を含む炎症性サイトカインの産生の抑制などを通してその炎症を抑制するよう生体機能を調整する性質を発揮することができる。また、当該藍草抽出物は、それに含まれるトリプタンスリンをはじめとする有用成分が、歯の表面や歯周病ポケットに存在するプロフィロモナス ギンギバリス(Prophyromonas gingivalis、以下「P. gingivalis」と略記する場合がある。)をはじめとする歯周病菌やストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans、以下「S. mutans」と略記する場合がある。)などのう蝕菌に対して、強い静菌作用及び/又は殺菌作用を示すことから、口腔用外用剤に使用すると、歯茎の腫れや炎症を抑制し、口腔内の出血を抑制し、口腔内のプラークをコントロールして、歯周病やう触を予防、改善することができるので、ひいては、誤嚥性肺炎や口腔内の細菌に起因する肺炎、さらには、腎炎、敗血症、菌血症、細菌性心膜円、動脈疾患、低体重児出産、糖尿病、食道がんなどの発生リスクを低減することができる。したがって、本発明の藍草抽出物は、メラニン生成抑制剤、エラスターゼ活性阻害剤、老化防止剤、リパーゼ活性阻害剤及び/又は皮脂腺からの皮脂分泌調節剤としてのみでなく、健常者及び傷病者において、水虫菌やアクネ菌をはじめとする微生物に対する抗菌作用、口内炎、皮膚炎、湿疹やかぶれなどの皮膚疾患などに対する抗炎症作用、抗老化作用、抗歯周病作用、抗う触作用、活性酸素除去作用、ラジカル捕捉作用、サイトカインの産生調整作用ないしは産生阻害作用、一酸化窒素合成酵素の発現抑制作用、プラスタグランジン合成酵素の活性抑制作用及び/又は生体機能調整作用を穏やかに発揮するための製剤などとして、化粧品、医薬品、医薬部外品などの皮膚外用剤はもとより、飲食品、飼料、餌料、ペットフード、雑貨などの製造原料としても有利に利用できる。さらに、本発明の藍草抽出物は毛乳頭細胞の増殖促進効果に優れているので、育毛剤の有効成分として利用できるだけでなく、毛根を移植する際に、頭皮から切除した毛根を、当該藍草抽出物を含む溶液浸漬処理後、頭皮に移植することにより、移植した毛根の頭皮への着生率を向上させることができる。
【0019】
本発明の藍草抽出物の皮膚外用剤への配合量は、藍草抽出物の所期の作用効果が発揮される量であれば、特に限定されず、例えば、抽出物の作用の強さや剤形に合わせて適宜設定すればよいが、通常、皮膚外用剤の全質量に対して、通常、抽出物固形分換算で0.0005%乃至30%であり、0.005%乃至10%が望ましく、0.05%乃至10%とするのが特に望ましい。0.0005%より低い濃度では所期の効果を得ることができず、30%以上配合しても、その効果が増大することはなく、組成物の形態によっては、物性に影響を及ぼす場合がある。
【0020】
また、本発明の藍草抽出物は、美白作用を有するその他の成分の1種又は2種以上と組み合わせて皮膚外用剤に使用することにより、そのメラニン生成抑制作用、エラスターゼ活性阻害作用、リパーゼ活性阻害作用及び/又は抗老化作用を相乗的に増強することができるだけでなく、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用などの藍草抽出物のもつ既知の生理活性も増強することができる。この藍草抽出物以外の美白作用を有する他の成分は、美白作用を有し、藍草抽出物の生理活性を増強できるものであれば、何れでもよく、その起源や製造方法も特に制限はないが、例えば、具体例として、L−アスコルビン酸やその誘導体及びそれらの塩類、アルコキシサリチル酸類及びその塩類、ハイドロキノンの配糖体及びその誘導体、トラネキサム酸やその誘導体及びそれらの塩類、レゾルシンの誘導体、コウジ酸やその誘導体及びそれらの塩類、エラグ酸やリノール酸及びそれらの塩類、カミツレ抽出物、テトラヒドロクルクミノイドなどを挙げることができる。藍草抽出物のこれらの生理活性を増強する効果の強さの点からすると、アスコルビン酸やその誘導体、及び、それらの塩類が望ましく、L−アスコルビン酸2−グルコシドが特に望ましい。
【0021】
藍草抽出物と併用されるこれらの美白作用を有する他の成分の1種又は2種以上を使用した場合の、皮膚外用剤への配合量は、製剤学的な問題が無い限り、特に制限はなく、通常、それらの合計で、皮膚外用剤の全質量に対して0.001%乃至20%が用いられる。配合量が0.001%未満では皮膚外用剤の美白効果の増強効果が乏しくなる傾向にあり、逆に、20%を越えて配合しても効果の増加は実質上望めないし、皮膚外用剤への配合も難しくなる傾向にある。さらに好ましい配合量は0.01%乃至10%、特に好ましくは0.1%乃至10%である。なお、カミツレ抽出物の場合は、その固形物に換算した量である。
【0022】
本発明で使用するL−アスコルビン酸及びその誘導体としては、特に限定されない。具体的には、例えば、L−アスコルビン酸や、その誘導体のL−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレート、L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレートなどのL−アスコルビン酸アルキルエステル;L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩などのL−アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩;L−アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩;L−アスコルビン酸−2−グルコシドを好適な例とするL−アスコルビン酸−2−グルコシド、これらのアシル化誘導体などを挙げることができる。また、これらのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の他、アンモニウム塩、アミノ酸塩などの塩も同様に使用することができる。なお、L−アスコルビン酸リン酸エステルの塩の場合には、アルカリ土類金属塩が好ましく、特にマグネシウム塩が好ましい。本発明で使用するL−アスコルビン酸の誘導体は、皮膚外用剤に配合した際の安定性の点からは、L−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩類、L−アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩類、L−アスコルビン酸−2−グルコシドやこれらの塩類から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
【0023】
本発明で使用するアルコキシサリチル酸類は、サリチル酸の3位、4位又は5位の何れかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものいう。前記置換基であるアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基などが好ましい例として挙げられる。特に、メトキシ基又はエトキシ基が好ましい。
【0024】
アルコキシサリチル酸類の具体的な化合物としては、3−メトキシサリチル酸(2−hydroxy−3−methoxybenzoic acid)、3−エトキシサリチル酸(2−hydroxy−3−ethoxybenzoic acid)、4−メトキシサリチル酸(2−hydroxy−4−methoxybenzoic acid)、4−エトキシサリチル酸(2−hydroxy−4−ethoxybenzoic acid)、4−プロポキシサリチル酸(2−hydroxy−4−propoxybenzoic acid)、4−イソプロポキシサリチル酸(2−hydroxy−4−isopropoxybenzoic acid)、4−ブトキシサリチル酸(2−hydroxy−4−butoxybenzoic acid)、5−メトキシサリチル酸(2−hydroxy−5−methoxybenzoic acid)、5−エトキシサリチル酸(2−hydroxy−5−ethoxybenzoic acid)、5−プロポキシサリチル酸(2−hydroxy−5−propoxybenzoic acid)などが挙げられる。美白などの効果の強さの点からは、4−メトキシサリチル酸が特に好ましい。
【0025】
本発明の皮膚外用剤にはアルコキシサリチル酸を塩の形で配合しても良い。好適な塩は4−メトキシサリチル酸塩である。前記塩としては、特に限定はされないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の他、アンモニウム塩、アミノ酸塩などの塩が挙げられる。本発明においては、カリウム塩が好ましく、特に4−メトキシサリチル酸カリウムが好ましい。
【0026】
本発明において用いられるハイドロキノンの配糖体としては、例えば、ハイドロキノンα−D−グルコース、ハイドロキノンβ−D−グルコース、ハイドロキノンα−L−グルコース、ハイドロキノンβ−L−グルコース、ハイドロキノンα−D−ガラクトース、ハイドロキノンβ−D−ガラクトース、ハイドロキノンα−L−ガラクトース、ハイドロキノンβ−L−ガラクトースなどの六炭糖配糖体、ハイドロキノンα−D−リボース、ハイドロキノンβ−D−リボース、ハイドロキノンα−L−リボース、ハイドロキノンβ−L−リボース,ハイドロキノンα−D−アラビノース、ハイドロキノンβ−D−アラビノース、ハイドロキノンα−L−アラビノース、ハイドロキノンβ−L−アラビノースなどの五炭糖配糖体、ハイドロキノンα−D−グルコサミン、ハイドロキノンβ−D−グルコサミン、ハイドロキノンα−L−グルコサミン、ハイドロキノンβ−L−グルコサミン,ハイドロキノンα−D−ガラクトサミン、ハイドロキノンβ−D−ガラクトサミン、ハイドロキノンα−L−ガラクトサミン、ハイドロキノンβ−L−ガラクトサミンなどのアミノ糖配糖体、ハイドロキノンα−D−グルクロン酸、ハイドロキノンβ−D−グルクロン酸、ハイドロキノンα−L−グルクロン酸、ハイドロキノンβ−L−グルクロン酸、ハイドロキノンα−D−ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ−D−ガラクツロン酸、ハイドロキノンα−L−ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ−L−ガラクツロン酸などのウロン酸配糖体などが挙げられる。
【0027】
本発明において用いられるハイドロキノンの配糖体としては、美白効果の強さ、入手の容易性、安定性などの点からは、ハイドロキノンβ−D−グルコ−ス及び/又はハイドロキノンα−D−グルコ−スが好ましく、ハイドロキノンβ−D−グルコース(一般名:アルブチン、以下本明細書では「アルブチン」という。)が特に好ましい。
【0028】
また、ハイドロキノン配糖体の誘導体としては、アセチル化物などのエステル体、メチル化物などのエ−テル体などを挙げることができる。
【0029】
本発明において用いられるトラネキサム酸誘導体としては、例えば、トラネキサム酸の二量体(塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸など)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4´−ヒドロキシフェニルエステルなど)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸及びその塩など)、トラネキサム酸のアミド体(トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス−4−(P−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩など)などが挙げられる。
【0030】
本発明において用いられるレゾルシンの誘導体としては、例えば、アルキルレゾルシノールが代表的な例として挙げられる。具体的には、4−アルキルレゾルシノールが好ましく、4−n−ブチルレゾルシノールが特に好ましい。
【0031】
本発明において用いられるコウジ酸やその誘導体の起源や製法は問わず、コウジ酸誘導体としては、例えば、コウジ酸アルキルエステルなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸アルキルエーテルなどのコウジ酸エーテル類、コウジ酸配糖体などを挙げることができる。コウジ酸エーテル類の具体的な例としては、2−メトキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−エトキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−ベンゾルイルオキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−シンナモイルオキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−フェノキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オンなどが挙げられる。また、コウジ酸エステル類の具体的な例としては、コウジ酸パルミテート、コウジ酸ステアレートなどが挙げられる。さらに、コウジ酸配糖体としては、コウジ酸の2位の−CHOH基に糖類を結合させたものが挙げられる。前記糖類としては、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、フラクトース、ソルボースなどの6炭糖類、例えばリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、キシルロースなどの5炭糖類、例えばグルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミンなどのアミノ糖類、例えばマルトース、ラクトース、セロビオース、スクロースなどの二糖類、例えばマルトトリオース、セロトリオースなどの三糖類などが挙げられる。なかでも、美白作用などの増強効果の強いコウジ酸が好ましい。
【0032】
本発明において用いられるカミツレ抽出物は、カミツレから適宜の溶媒によって抽出した抽出物を用いることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、濃縮、脱臭、精製、乾燥などの操作を加えてから用いることもできる。また、カミツレ抽出物は、市販品を用いることも可能であり、市販品の例としては例えば「カミツレリキッド」(一丸ファルコス株式会社製,固形分含量0.6%乃至1.2%)が挙げられる。
【0033】
本発明において用いられるテトラヒドロクルクミノイド類は、例えば特開平6−128133号公報、欧州特許公開第1108419号明細書などに記載されているものを挙げることができる。具体的には、例えば、テトラヒドロクルクミン、テトラヒドロデメトキシクルクミン、テトラヒドロビスデメトキシクルクミンなどが挙げられる。
【0034】
本発明において用いられるテトラヒドロクルクミノイドの中では、テトラヒドロクルクミンが好ましく、市販品から求めることができ、例えば、「テトラヒドロクルクミノイド」(SABINSA社製)が挙げられる。
【0035】
本発明により得られた藍草抽出物や藍草抽出物と上記美白作用を有する他の成分との混合物は、そのまま皮膚外用剤として使用してもよく、また、本発明の効果を妨げない範囲で、上記以外の製剤学的或いは生理学的に許容される成分の1種又は2種以上を配合することができる。これらの成分としては、例えば、水、アルコール類、油成分、界面活性剤、防腐剤(抗菌剤)、香料、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、発泡剤、紫外線吸収・散乱剤、粉体、ビタミン類、アミノ酸類、抗炎症剤、海藻抽出物、医薬品・医薬部外品・化粧品・食品用の添加剤、医薬用・医薬部外品用の有効成分などを挙げることができる。
【0036】
具体的には、油分としては、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油などの植物油脂類、ミンク油、卵黄油などの動物油脂類、蜜ロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどのロウ類、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリンなどの炭化水素類、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの天然及び合成脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの天然及び合成高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレートなどのエステル類などを例示することができる。
【0037】
界面活性剤としては、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールアルキレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステルなどの非イオン性界面活性剤、親油型グリセリンモノステアレート、自己乳化型グリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリグリセリンアルキレート、ソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン化蜜ロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのノニオン界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリなどのアニオン界面活性剤、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドなどのカチオン界面活性剤、塩酸アルキルアミノエチルグリシン液、レシチンなどの両性界面活性剤などを例示することができる。
【0038】
防腐剤(抗菌剤)としては、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩、パラオキシ安息香酸アルキルエステルをはじめとするパラオキシ安息香酸エステル、2,4,4´−トリクロロ−2´−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4´−トリクロロカルバニリド、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、フェノキエタノール、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール、1,3−ブチレングリコール、感光素201号などを例示することができる。なかでも、1,3−ブチレングリコールは、藍草抽出物に対して、0.1%乃至40%、望ましくは、1%乃至30%添加することにより、微生物の増殖を抑制できるだけでなく、澱や異臭の発生も、効果的に抑制することができる。
【0039】
香料としては、ベンズアルデヒド、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸、サンダロール、オイゲノール、リリアール、リラール、リナロール、2−メチル−3−(4−メチルフェニル)−プロパナール、ムスクケトン、シンナミックアルデヒド、ベルトフィックス、メチルイオノン、ゲラニルホーメート、イソEスーパー、γ−ウンデカラクトン、ヘキシルサリシレート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、メチルジヒドロジャスモネート、テトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロピオネート、コバノール、バニリン、バニラール、ゼラニウムオイル、ペニロイヤルオイル、バーチオイル、アルモイゼオイルなどを例示することができる。これらの香料は、本発明の藍草抽出をはじめとする植物抽出物に特有の異臭をマスキングするので、本発明の皮膚外用剤における異臭の改善のために有利に利用できる。
【0040】
保湿剤としては、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マルチトールグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコールなどの多価アルコール類、グルコース、マルトース、トレハース、トレハロースの糖質誘導体、デキストリン、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、国際公開WO02/10361号明細書などで開示したサイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(シクロニゲロシルニゲロース:Cyclonigerosylnigelose)、特開平2005−95148号公報などに記載したサイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(シクロマルトシルマルトース:Cyclomaltosylmaltose)、国際特許願PCT/JP2005/17642号明細書に開示されたサイクロ{→6)−[α−D−グルコピラノシル−(1→4)]n−α−D−グルコピラノシル−(1→}(nは4又は5を意味する)の構造を有する環状五糖や環状六糖など環状糖質などの糖類、アミノ酸、ペプチド、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどのNMF成分、キシログルカン、クインスシード、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ケラタン硫酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ムコイチン硫酸、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、ムコ多糖類などの水溶性高分子物質、ジメチルポリシロキサン、メチフェニルシロキサンなどのシリコーン類、乳酸菌・ビフィズス菌などの培養上清などを例示することができる。なかでも、保湿効果などの強い、トレハロース、トレハロースの糖質誘導体、環状四糖、ヒアルロン酸やその塩類、コンドロイチン硫酸やその塩類から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて使用するのが望ましい。
【0041】
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、硅酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、アラビアガム、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、トラガントガム、セルロース、デンプン、プルラン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天などの天然高分子物質、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、可溶性デンプン、分岐デンプン、カチオン化セルロースなどの半合成高分子物質、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体などの合成高分子物質などを例示することができる。
【0042】
抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、L−アスコルビン酸、ビタミンE、ビタミンP、カテキン類、フラボノイド類やこれらの誘導体などを例示することができる。
【0043】
キレート剤としては、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸などを例示することができる。
【0044】
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ニトリロトリエタノール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素カリウムなどを例示することができる。
【0045】
紫外線吸収・散乱剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、3−(4´−メチルベンジリデン)−d−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4´−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルクなどを例示することができる。
【0046】
L−アスコルビン酸及びその誘導体以外のビタミン類としては、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体ビタミンB及びその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンBジオクタノエート、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体などのビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテートなどのビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ビタミンF、ビタミンK、ルチン・ヘスペリジン・ナリンジンなどのバイオフラボノイド類やその誘導体、ビタミンU、フェルラ酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸、コエンザイムQ10など、それらの誘導体を例示することができ、それらの塩類であってもよい。
【0047】
アミノ酸類としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、タウリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、カルニチン及びそれらの誘導体などを例示することができ、それらの塩類であってもよい。
【0048】
抗炎症剤としては、アラントイン又はその誘導体であるアラントイン、アラントインアセチル−dl−メチオニン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインポリガラクツロン酸など、グリチルレチン又はその誘導体であるグリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸アラントイン、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリチルレチニル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなど、パントテン酸、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル、ベンゾイルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテル、安息香酸パントテニルエチルエーテルエステル、パンテチンなどのパントテン酸の誘導体、ビタミンE、d−δ−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、リノール酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールなどのビタミンE誘導体、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グリコシド、L−アスコルビン酸グリコシドのアシル化誘導体、テトラヘキシルデカン酸アスコルビン酸、L−アスコルビン酸とトコフェロールがリン酸基を介して結合したアスコルビン酸−トコフェロールリン酸ジエステルL−アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸ステアリル、リン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸エチルやそれらのアシル化誘導体などのL−アスコルビン酸の誘導体及び/又はそれらのアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の塩、塩酸ピリドキシン、メントール、ビオチン、カンフル、テレピン油、酸化亜鉛、アズレン、グアイアズレン及びその誘導体、メフェナム酸及びその誘導体、フェニルブタゾン及びその誘導体、インドメタシン及びその誘導体、イブプロフェン及びその誘導体、ケトプロフェン及びその誘導体、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸及びその誘導体、デキサメタゾン、コルチゾン及びそのエステル、ヒドロコルチゾン及びそのエステル、プレドニゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤、エイジツ、イブトラノオ、ウコン、オトギリソウ、オウバク、カンゾウ、キンギンカ、クレソン、コンフリー、ゴカヒ、サルビア、シコン、シラカバ、チャ、トウキンセンカ、ニワトコ、ホオウ、ムクロジ、ユーカリエキス、ブロッコリー、トウキ、ビワ葉、シソ、カミツレ、ヨモギ、アロエ、ニンジン、オウバク末、ヨウバイヒ末、アセンヤク、アマチャ、アルテア、アルニカ、エチナシ、エンメイソウ、オウゴン、オオムギ、セイヨウオトギリソウ、オレンジ、カノコソウ、ローマカミツレ、カワラヨモギ、キュウリ、クチナシ、クマザサ、ゲンチアナ、ゲンノショウコウ、ゴボウ、コンフリー、サンショウ、シソ、ボフダイジュ、シャクヤク、セイヨウキズタ、セイヨウネズ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウハッカ、センキュウ、センブリ、セージ、ソハクヒ、タイソウ、タイム、トウガシ、トウキンセンカ、トウニン、ドクダミ、トルメンチラ、ニンジン、パセリ、ハッカ、イラクサ、ビャクダン、ビワ、ブッチャーブルーム、ブドウ、ベニバナ、ボタン、ボダイジュ、マロニエ、モモ、ヤグルマソウ、ヨモギ、ラベンダー、ローズマリー、ビワ、カロット及びトウキなどの植物又は植物に由来する成分などを例示することができる。
【0049】
海藻抽出物としては、褐藻、紅藻、緑藻、藍藻などからの抽出液があり、具体的にはコンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、テングサ、サンゴモ、パルマリア、ツノマタ、ノリ、アオサ、アナアオサ、アスコフィラム、ヒバマタ、モズク、オキナワモズク、ヒマンタリアなどからの抽出物を例示することができる。アマモなどの水性植物からの抽出物もこれに含まれる。
【0050】
本発明の皮膚外用剤には上記成分以外に、血行促進作用を有する物質、収斂作用を有する物質、抗シワ作用を有する物質、細胞賦活作用を有する物質、抗老化活性を有する物質、育毛活性を有する物質、発毛活性を有する物質及び経皮吸収促進作用を有する物質などの任意の成分の1種又は2種以上を適宜組み合わせて、皮膚外用剤に配合することが出来る。その具体例としては、例えば、プロポリス、チャイニーズパセリをはじめとするハーブやローヤルゼリーなどの藍草以外の植物や動物の成分や、それらに由来する抽出物などの成分、海洋深層水、苦汁、苦汁成分などのミネラル類、抗生物質、リン酸水素カルシウム、有機変性モンモリロナイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、雲母、ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン、ゼオライト及びカーボンブラックなどの無機粉末、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッソ樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、上記化合物の単量体の二種以上からなる共重合体、シルクをはじめとするタンパク質や硬タンパク質、セルロースなどの有機粉末、ベニバナ色素、クチナシ色素、シコン色素、コチニール色素をはじめとする、アントラキノン系、アントシアニン系、カルコン系、カルテノイド系の色素などの天然着色料、感光素101号、感光素201号、感光素301号、感光素401号などの感光素、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色204号、黄色401号及び青色404号などの有機顔料粉末、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキなどの有機顔料粉末、上記有機粉末にシコン色素、ベニバナ色素などの天然着色料や有機合成色素などの着色料、糖転移ルチン、糖転移ヘスペリジン、糖転移グリチルリチン、糖転移ナリンジン、エスクレチン、エスクリン、糖転移エスクリンなどの機能性成分を担持せしめた粉体などを挙げることができる。
【0051】
また、これらの物質の皮膚外用剤への配合量については、対象とする皮膚外用剤の物性及び/又は本発明の作用効果を妨げない限り特に制限はなく、その目的に応じて、適宜調整すれば良く、通常は、皮膚外用剤の総質量中の、0.0001%乃至99%の範囲であればよく、望ましくは0.001%乃至70%の範囲、さらに望ましくは0.01%乃至30%の範囲が好適である。
【0052】
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、例えば、粉末、固形、化粧水などの可溶化系、乳液、クリーム、ペーストなどの乳化系、又は、軟膏、分散液などの任意の剤型をとることができる。
【0053】
本発明の皮膚外用剤とは、化粧品、医薬品、医薬部外品として、皮膚や頭皮などの外皮及び口内に適用される外用剤を指し、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、エッセンス、ゼリー、ジェル、パック、マスク、浴用剤、粉歯磨、潤性歯磨、練歯磨、水歯磨、薬用歯磨、口中清涼剤、口中清涼フィルム、マウスウオッシュ、うがい薬などをいい、歯茎の張りや、弾性、色を保つ目的で使用されるガムや飴などの経口摂取用の組成物も含む。
【0054】
次に実験例を挙げて本発明の藍草抽出物の持つ作用効果をさらに詳細に説明する。なお、以下の実験では、特に断らない限り、何れも、後述の実施例1の方法に準じて調製した、1,3−ブチレングリコールを添加していない藍草抽出物を使用した。
【0055】
<実験1:メラニン生成に及ぼすタデ科の植物抽出物の影響(in vitro美白効果試験1)>
メラニン生成に及ぼすタデ科の植物抽出物の影響を調べる実験を以下のように行った。即ち、マウスB16メラノーマ細胞2.2×10個を、常法により24時間培養後、培地に、藍草抽出物を1.25%或いは2.5%となるように添加し、さらに72時間培養した。生細胞数を測定後、細胞をキャピラリー管に詰めて色調を観察した。また、後述の実施例1と同じ方法で調製した、イタドリ抽出物、ソバ又はミチヤナギ抽出物の何れかを2.5%となるように添加した培地、或いは、陽性対照として2.5mMとなるようにコウジ酸を添加した培地を用いて、藍草抽出物と同様の方法でB16メラノーマ細胞の培養を行い、その色調を観察した。B16メラノーマ細胞の黒化の程度を以下に示す判定基準により評価し、その結果を表1に示す。
(判定基準)
薬剤なしのコントロールの黒化度に対して
−:変化なし
±:わずかに黒化を抑えた
+:やや黒化を抑えた
++:かなり黒化を抑えた
+++:完全に黒化を抑えた
【0056】
【表1】

【0057】
表1から明らかなように、試験で使用した1.25%及び2.5%の藍草抽出物含有培地で培養した細胞は、陽性対照物質として設置した2.5mMコウジ酸と同等もしくはより強いメラニン生成抑制作用を示した。一方、藍草抽出物と同濃度のイタドリ抽出物、ソバ抽出物或いはミチヤナギ抽出物では、わずかに黒化の抑制が認められたのみであり、同じタデ科の植物の中でも、藍草抽出物は、メラノサイトに直接作用して、極めて強いメラニン生成抑制作用を有することが明らかとなった。また、これらの濃度の藍草抽出物では、細胞毒性は認められなかった。なお、藍草抽出物は、チロシナーゼ活性自体は阻害しないので、藍草抽出物によるメラニン生成抑制は、チロシナーゼ合成が抑制されているためと考えられる。また、実験1で使用した藍草抽出物は、最終濃度が0.33μg/mlのトリプタンスリンを含有していた。実験1と同じ方法で、培地に藍草抽出物に代えて、0.5μg/ml以上のトリプタンスリンを添加(0.5μg/mlの濃度ではB16メラノーマに対する細胞毒性は認められない)すると、同量のトリプタンスリンを含有する藍草抽出物よりは弱いながら、メラニン生成が抑制されたことから、藍草抽出物中の美白作用を有する物質の一つがトリプタンスリンであることを物語っている。
【0058】
<実験2:メラニン生成に及ぼす藍草抽出物及びその他の美白作用を有する成分の影響(in vitro美白効果試験2)>
メラニン生成に及ぼす藍草抽出物及びその他の美白作用を有する成分の影響を調べる実験を以下のように行った。即ち、マウスB16メラノーマ細胞を24時間培養後、試験試料を表2の美白作用を有する成分の配合量(%)になるように、単独で、或いは、1.25%の藍草抽出物と同時に添加し、さらに72時間培養した。生細胞数を測定後、細胞をキャピラリー管に詰めて色調を観察した。その結果を表2に示す。なお、効果の判定は、実験1と同じ判定基準に基づきおこなった。また、この実験系に藍草抽出物を1.25%添加して培養した場合の効果判定は、「+」となった。
【0059】
【表2】

【0060】
表2より明らかなように、L−アスコルビン酸ナトリウム、4−メトキシサリチル酸カリウム、コウジ酸、アルブチン、トラネキサム酸、エラグ酸、4−n−ブチルレゾルシノール、リノール酸、カミツレエキス、及びテトラヒドロクルクミンに藍草抽出物を併用した試験試料は、何れも、相乗的に黒化抑制効果を発揮することが示された。
【0061】
<実験3:メラニン生成に及ぼす藍草抽出物及びその他の美白作用を有する成分の影響(in vivo美白効果試験)>
メラニン生成に及ぼす藍草抽出物及びその他の美白作用を有する成分の及ぼす影響を調べる試験を以下のように行った。すなわち、色黒、シミ、ソバカスを有する被験者、1群20名として、11群につき、下記に示す何れか1つの処方の試験化粧水を、朝夕、3ケ月間、毎日顔面に塗布し、3ケ月後にその美白効果を調べた。
【0062】
(試験化粧水の処方)
下記成分(3)、(4)及び(9)乃至(11)を混合溶解した溶液と、成分(1)、(2)、(5)、(6)、(7)、(8)及び(11)を混合溶解した溶液とを混合して、均一にし、試験化粧水を調製した。なお、(6)の「他の美白作用を有する成分」として、表3に示す何れか1種を、表3に記載の配合量で添加した。これらの試験化粧水を使用して美白効果を評価した。その結果を併せて表3に示す。
(処方) (%)
(1)グリセリン 5
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタ
モノラウリル酸エステル 1.2
(4)エチルアルコール 8
(5)藍草抽出物 1
(6)他の美白作用を有する成分(表3に記載) 表3に記載の量
(7)乳酸 0.05
(8)乳酸ナトリウム 0.1
(9)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 0.1
(10)防腐剤 適量
(11)香料 適量
(12)精製水 残量
【0063】
比較のために、上記実験3の試験化粧水の処方のうち、(5)の藍草抽出物を有さず、かつ、(6)の薬剤として、表3に示す美白作用を有する成分の何れか1種を、表3に記載の配合量添加する以外は、実験3と全く同じ配合処方、配合量、製造方法により、比較化粧水を調製し、実験3の試験化粧水と同じ方法により、その美白効果を評価した。その結果を併せて表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
試験化粧水及び比較化粧水を使用した場合の美白効果試験の判定基準及び判定は以下によって行った。
(判定基準)
著効:色素沈着がほとんど目立たなくなった。
有効:色素沈着が非常に薄くなった。
やや有効:色素沈着がやや薄くなった。
無効:変化なし。
【0066】
(判定)
A:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が80%以上の場合。
B:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が50%以上80%未満の場合。
C:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が30%以上50%未満の場合
D:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が30%未満の場合。
【0067】
表3から明らかなように、藍草抽出物と、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、4−メトキシサリチル酸カリウム、コウジ酸、アルブチン、トラネキサム酸、エラグ酸、4−n−ブチルレゾルシノール、リノール酸、カミツレエキス、テトラヒドロクルクミンの何れか1種とを併用した試験化粧水(皮膚外用剤)を使用した場合の美白効果の判定はA又はBの評価となった。これに対して、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、4−メトキシサリチル酸カリウム、コウジ酸、アルブチン、トラネキサム酸、エラグ酸、4−n−ブチルレゾルシノール、リノール酸、カミツレエキス、テトラヒドロクルクミンの何れか1種のみを配合した比較化粧水での美白効果の判定はB又はCとなり、何れの他の美白作用を有する成分についてみても、藍草抽出物を併用した場合に比して、ワンランク以上低い効果判定となった。この結果は、藍草抽出物と他の美白作用を有する成分を配合した皮膚外用剤は、その両者が相乗的に作用して、優れた美白作用を発揮することができることを物語っている。
【0068】
<実験4:エラスターゼ活性に及ぼすタデ科の植物抽出物の影響>
エラスターゼ活性に及ぼすタデ科の植物抽出物の影響を調べる実験を以下のようにおこなった。即ち、藍草抽出物(固形分1.41%)と、これを精製水で3倍に連続希釈し、固形分濃度が、14,100μg/ml、4,700μg/ml、1,570μg/ml、520μg/ml、170μg/ml、60μg/ml或いは19μg/mlの被検試料を調製した。この被験試料の何れか50μlに、20μM合成基質N−Methoxysuccinyl−L−Alanyl−L−Alanyl−L−Prolyl−L−Valine−4−Methyl−Coumaryl−7−Amide(ペプチド インスティチュート インク(PEPTIDE INSTITUTE、INC)社販売)含有0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5、1%BSA及び1M NaCl含有)25μlを加え、これに0.048unit/mlヒト好中球由来エラスターゼ含有0.2Mトリス塩酸緩衝液25μlを加えて攪拌し、37℃で60分間反応させた。その後、酵素反応の分解生成物である4−nitroanilineの生成量を、蛍光マイクロプレートリーダー フルオロスキャンII(BIO−TEK INSTRUMENT)にて蛍光強度(Ex355nm,Em460nm)を測定した。また、エラスターゼ活性の阻害率を以下の式に従って算出した。結果を図1に示す。
阻害率(%)={(A−B)/A}×100
A:被験試料未添加のときの蛍光強度
B:被験試料添加のときの蛍光強度
【0069】
図1に示す通り、藍草抽出物に、濃度依存的なエラスターゼ活性阻害作用が認められた。また、実験1で使用したイタドリ抽出物(固形分1.65%)、ソバ抽出物(固形分1.37%)或いはミチヤナギ抽出物(固形分1.81%)を用いて同様の実験を行い、使用したエラスターゼの酵素活性を50%抑制する固形分の濃度を藍草抽出物と比較したところ、藍草抽出物の被験試料の濃度は1.11mg/mlと計算されたのに対して、これらの植物抽出物を希釈しないで測定した場合でも、エラスターゼ活性阻害率は、それぞれ12%、13%及び25%と低く、実験に使用したエラスターゼの活性を50%阻害する濃度は算出できなかった。この結果は、藍草抽出物が、同じタデ科のイタドリ、ソバ或いはミチヤナギの抽出物に比して、強いエラスターゼ活性阻害作用を有していること示している。この結果は、藍草抽出物を含有した皮膚外用剤が、優れたシワの発生を抑制する効果を有していることを物語っている。
【0070】
<実験5:リパーゼ活性に及ぼす藍草抽出物の影響>
リパーゼ活性に及ぼす藍草抽出物の影響を調べる実験を以下のようにおこなった。即ち、実験4で使用した藍草抽出物及びそれを希釈した被験試料の何れか25μlと、基質として0.1M 4−Methylumbelliferyloleateを含有するMcllvaine緩衝液(pH7.4、0.1M クエン酸 9.15%及び0.2M NaHPO 90.85%含有)50μlとを混合し、これに1unit/mlリパーゼ含有Mcllvaine緩衝液25μlを加えて攪拌し、37℃で20分間反応させた。その後、1N HClを50μl及び1M クエン酸ナトリウムを100μl添加して反応を停止し、酵素反応の分解生成物である4−Methylumbelliferonの生成量を、蛍光マイクロプレートリーダー:フルオロスキャンII(BIO−TEK INSTRUMENT)にて蛍光強度(Ex355nm、Em460nm)を測定した。また、リパーゼ活性の阻害率を以下の式に従って算出した。結果を図2に示す。
阻害率(%)={1−(A−B)/(C−B)}×100
A:被験試料添加のときの蛍光強度
B:Mcllvaine緩衝液のみの蛍光強度
C:被験試料未添加のときの蛍光強度
【0071】
図2に示す通り、藍草抽出物に、濃度依存的なリパーゼ活性阻害作用が認められた。この結果は、藍草抽出物を含有した皮膚外用剤が、優れた抗アクネ効果を有していることを物語っている。
【0072】
<実験6:SOD様活性に及ぼす藍草抽出物の影響>
SOD活性に及ぼす藍草抽出物の影響を調べる実験を以下のようにおこなった。即ち、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元法を原理とするSODテストワコー(和光純薬)を用いて試験をおこなった。
【0073】
実験4で使用した藍草抽出物及びそれを希釈した被験試料の何れか10μlと、0.24M NBTと0.4Mキサンチンを含む発色試薬95μlとを混合し、これに酵素液(キサンチンオキシダーゼ)95μlを加えて、37℃、30分間反応させた。その後、反応停止液(69mMドデシル硫酸ナトリウム)100μlにて酵素反応を停止させ、マイクロプレートリーダーEL−340(BIO−TEK INSTRUMENT)にてOD562nmの吸光度を測定した。酵素のかわりに精製水を加えたサンプルをブランクとし、検体のかわりに溶媒を加えたサンプルをコントロールとして、以下の算出式によってスーパーオキサイドアニオン(O2−)消去率を算出した。結果を図3に示す。
2−消去率(%)={(A−B)/A}×100
A:コントロールの吸光度
B:被験試料添加のときの吸光度
【0074】
図3に示す通り、藍草抽出物に、濃度依存的なSOD様活性(スーパーオキサイドアニオンの消去活性)が認められた。この結果は、藍草抽出物を含有した皮膚外用剤が、優れた抗老化抑制効果を有していることを物語っている。
【0075】
<実験7:1,1−diphenyl−2−picryl hydrazylラジカルに及ぼす藍草抽出物の影響>
1,1−diphenyl−2−picryl hydrazyl(以下、「DPPH」と略記する。)ラジカルに及ぼす藍草抽出物の影響を調べる実験を以下のようにおこなった。即ち、藍草抽出物(固形分1.41%)と、これを5mM酢酸緩衝液(pH5.5)で3倍に連続希釈し、固形分濃度が、14,100μg/ml、4,700μg/ml、1,570μg/ml、520μg/ml、170μg/ml、60μg/ml或いは19μg/mlの被検試料を調製した。この被験試料の何れか50μlを、1mM DPPHエタノール溶液100μlと混合、攪拌し、室温で20分間反応させ、マイクロプレートリーダーEL−340(BIO−TEK INSTRUMENT)でOD515nmの吸光度を測定した。活性の程度は、以下の式より求めたDPPHラジカル除去率(%)で表した。結果を図4に示す。
DPPHラジカル除去率(%)={1−(A−B)/(C−B)}×100
A:被験試料添加のときの蛍光強度
B:酢酸緩衝液のみ蛍光強度
C:被験試料未添加のときの蛍光強度
【0076】
図4に示す通り、藍草抽出物に、濃度依存的なDPPHラジカル除去活性が認められ。この結果は、藍草抽出物を含有した皮膚外用剤が、優れた抗老化効果を有していることを物語っている。
【0077】
<実験8:皮膚の細胞に及ぼす藍草抽出物の影響>
実験4乃至実験7から明らかなように、藍草抽出物は、美白作用の他にも、ヒトの皮膚の老化やシワの発生などに影響を及ぼすといわれている酵素の活性を抑制する効果を有することが明らかになったので、ヒトの皮膚に及ぼす影響を、ボランティア被験者によるパネル試験により確認した。すなわち、カルボキシビニルポリマーの2%水溶液35質量部、濃グリセリン5質量部、水酸化カリウムの10%水溶液1.8質量部、ペンチレングリコール3質量部、後述の実施例1の方法に準じて調製した藍草抽出物(固形分濃度1%、1,3−ブチレングリコールを含有せず)を適量と精製水適量を混合し、藍草抽出物のジェルへの配合量が、表4に示す濃度となるように試験用ジェルを調製した。対照として、上記配合の藍草抽出物50質量部に代えて水を使用した対照用ジェルを調製した。60人のボランティア被験者をランダムに10名ずつ6群に分け、各群10名に対して、いずれかの濃度の藍草抽出物を配合した試験用ジェル1種と対照用のジェルとを、その上腕の内側部の異なる場所に1日3回、56日間連続して塗布した。塗布最終日に、予め、紫外線の照射量を変えて照射する試験により確認した、最小紅斑量(各被験者に対して、照射部位に紅斑を誘発する紫外線の最小照射線量)の2倍量の紫外線を、試験用ジェル及び対照用ジェルを塗布した部位に照射した。紫外線照射24時間後に、試験用ジェルと対照用ジェルを塗布した箇所について、目視による紅斑の発生の程度と、触診により皮膚の弾力性の変化の程度を確認した。ジェル塗布による効果の有無の判定基準及び判定は以下によって行い、その結果を表4に示す。
(判定基準)
<紅斑>
著効:試験用ジェルを塗布した箇所の紅斑の発生はほとんど認められなかった。
有効:対照用ジェルを塗布した箇所に比して、紅斑の発生が明確に抑制された。
効果なし:対照用ゲルを塗布した箇所と同程度の紅斑が発生した。
増悪:対照用ジェルを塗布した箇所に比して、紅斑の発生が増強された。
<弾力性>
著効:試験用ジェルを塗布した箇所の方が、弾力性が高く、皮膚の厚みも増加した。
有効:皮膚の厚みに差は認められないものの、試験用ジェルを塗布した部位の方が、弾力性が高い。
効果なし:対照用ゲルを塗布した箇所と差が認められない。
増悪:対照用ジェルを塗布した箇所に比して、弾力性が低下した。
【0078】
(判定)
A:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が80%以上の場合。
B:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が50%以上80%未満の場合。
C:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が30%以上50%未満の場合
D:被験者のうち著効又は有効の示す割合(有効率)が30%未満の場合。
【0079】
【表4】

【0080】
表4から明らかなように、藍草抽出物の試験用ジェルへの配合量が0.05%以上(固形物換算で、0.0005%以上配合)で、対照用ジェルを塗布した場合に比して、紅斑の発生の程度、皮膚の弾力性の評価がいずれもBとなり被験者の半数以上で試験用ジェルの塗布効果が認められ、0.5%以上(固形物換算で、0.005%以上配合)の配合量で、その効果は顕著となり、5%以上(固形物換算で、0.05%以上配合)の配合量では、紅斑の発生抑制や、皮膚の弾力性の評価はいずれもAとなり、その塗布効果はより顕著となった。
【0081】
<実験9:皮膚の細胞に及ぼす藍草抽出物の影響>
実験8の結果から明らかなように、実験8で使用した藍草抽出物を50%配合したジェルは、ヒトの皮膚の紫外線による紅斑の発生を抑制し、皮膚の弾性を顕著に増強する作用を有することが明らかとなったので、その効果をさらに確認するために、藍草抽出物を塗布した箇所の皮膚の組織学的な検討をおこなった。すなわち、カルボキシビニルポリマーの2%水溶液35質量部、濃グリセリン5質量部、水酸化カリウムの10%水溶液1.8質量部、ペンチレングリコール3質量部、後述の実施例1の方法に準じて調製した藍草抽出物(固形分濃度1%、1,3−ブチレングリコールを30%含有)50質量部、精製水5.2質量部を混合し、試験用ジェルを調製した。対照として、上記配合の藍草抽出物(固形分%)50質量部に代えて1,3−ブチレングリコール15質量部を使用し、水の添加量を40.2質量部とした対照用ジェルを調製した。ボランティア被験者5名の上腕の内側部の異なる場所に1日3回、56日間連続して、試験用ジェル又は対照用ジェルを塗布した。塗布最終日に、実験8と同様に、各被験者に対して、各々の最小紅斑量の2倍量の紫外線を、試験用ジェル又は対照用ジェルを塗布した箇所に照射した。紫外線照射24時間後に、キシロカイン麻酔下で、市販のバイオプシーパンチを使用して無菌的に、紫外線を照射した試験用ジェル、対照用ジェルを塗布した箇所、及び、いずれのジェルも塗布していない上腕内側の部位から1個ずつ、皮膚組織を採取した。採取した皮膚組織を、常法により、ホルマリンで固定し、パラフィン包埋後、組織切片を調製し、組織化学的な検討を行った。組織切片は、表皮層の厚み及び真皮層の厚みの計測、紫外線照射に起因するサンバーンセル(死滅した細胞)の発生数、エラスチカ・ワンギーソン染色法に真皮層の弾性繊維形態の観察に使用した。表皮層の厚み及び真皮層の厚みは、光学顕微鏡により、各組織切片上でランダムに選択した30箇所のエリアをデジタルカメラで撮影し、該当する部分の厚みをノギスで計測してその平均を求め、試験用ジェル又は対照用ジェルを塗布した部位の厚みの平均を、いずれのジェルも塗布していない部位の厚みの平均で割って、表皮或いは真皮層の厚みの増加率(%)とし、5名のボランティア被験者の増加率の平均を求めて、表5に併せて示す。また、サンバーンセルの数についても、同様に、光学顕微鏡により、ランダムに選択した30箇所のエリアをデジタルカメラで撮影し、そのエリア内に認められるサンバーンセルの数をカウントして、その平均を求め、試験用ジェル又は対照用ジェルを塗布した部位のサンバーンセルの数の平均を、いずれのジェルも塗布していない部位のサンバーンセル数の平均で割って、サンバーンセル数の増加率(%)とし、5名のボランティア被験者における増加率の平均を求めて、表5に併せて示す。
【0082】
【表5】

【0083】
表5から明らかなように、いずれのジェルも塗布していない箇所に比して、試験用ジェル又は対照用ジェルを塗布した部位では、表皮層の厚み及び真皮層の厚みが増加し、サンバーンセル数も増加した。しかも、試験用ジェルを塗布した部位は、対照用ジェルを塗布した部位に比して、表皮層及び真皮層の厚み増加率は高くなった。また、サンバーンセル数の増加率は低くなった。さらに、顕微鏡で、弾性繊維について観察すると、いずれのジェルも塗布していない部位では規則性のある繊維の配列が観察されたのに対して、対照用ジェルを塗布した部位では乱れが生じていた。一方、試験用ジェルを塗布した部位においては、規則性のある配列を有する弾性繊維が真皮層全体にわたって増加していることが確認された。これらの実験結果は、藍草抽出物を皮膚外用剤として使用することにより、皮膚の表皮層や真皮層の細胞のターンオーバーが亢進し、皮膚の弾力性が増強されることに加えて、皮膚の細胞を紫外線による傷害から保護できるので、藍抽出物が老化防止剤として有用であることを物語っている。
【0084】
<実験10:ヒトの口腔内細菌に及ぼす藍草抽出物の影響>
ヒトの口腔内細菌に及ぼす藍草抽出物の影響を調べる実験を以下のようにおこなった。即ち、生藍の全草を細断物にし、これの2質量部に3質量部の精製水を加え、室温で10分攪拌して抽出を行ったのち、遠心分離して得られた上清を、120℃で20分間オートクレーブした。この溶液を、冷却後再度遠心機にかけ、得られた上清を濾過して、藍草抽出物(固形分1.41%)得た。この抽出物を用いて、口腔内細菌(歯周病原因菌及びう触原因菌)に対する最小発育阻止濃度(以下、「MIC」と略記する場合がある。)を求めた。また、当該藍草抽出物中に含まれることが確認されたトリプタンスリン、没食子酸、或いは、カフェ酸の口腔内細菌に対するMICを求めて、併せて表6に示す。なお、MICの測定は以下の方法で行った。
<最小発育阻止濃度(MIC)測定>
藍草抽出物、トリプタンスリン、没食子酸及びカフェ酸の口腔内細菌に対するMICは、日本化学療法学会の標準法に従って求めた(『細菌・真菌検査 第2版』、財団法人日本公衆衛生協会発行、第524乃至529頁(1982年)参照)。歯周病原因菌として、プロフィロモナス ギンギバリスのJCM8525株、JCM12257株、ATCC33277株、アクチノバチラス アクチノマイセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans、以下、「A. actinomycetemcomitans」と略記する場合がある。)のJCM2434株、JCM8577株、プレボテラ インターメディア(Prevotella intermedia、以下、「P. intermedia」と略記する場合がある)JCM7365株、カンピロバクター レクタス(Campylobacter rectus、以下、「C. rectus」と略記する場合がある。)JMC6301株使用した。また、う触原因菌として、ストレプトコッカス ミュータンスのOMZ−175株、OMZ−176株、OMZ−65株、OMZ−61株、B−13D株、Ingbritt株及びストレプトコッカス ソルブリヌス(Streptococcus sorbrinus、以下、「S. sorbrinus」と略記する場合がある。)6715株を使用した。これらの微生物は、5μg/mlのヘミンと0.5μg/mlのビタミンKを添加したブレインハートインフュージョン培地(ディフコラボラトリーズ社販売、以下「BHI」と略記する)を使用して、歯周病原因菌は37℃で48時間、う触原因菌は37℃18時間乃至24時間、嫌気状態を保ってそれぞれ培養した。この歯周病原因菌及びう触原因菌の培養液を希釈して各々、10個/ml、10個/mlとなるように菌液を調製した。この菌液の何れか5μlを、藍草抽出物、トリプタンスリン、没食子酸或いはカフェ酸を種々の濃度で添加したBHI寒天のプレートに接種し、37℃で24時間、嫌気状態を保って培養し、これらの成分によって菌の発育が完全に阻止される、最小濃度とした。
【0085】
【表6】

【0086】
表6から明らかなように、藍草抽出物は、歯周病原因菌とされる4種7株及びう触原因菌とされる2種7株に対して、何れも強い抗菌活性を示し、そのMICは、藍草抽出物中の固形物換算で、1.74mg/ml乃至3.48mg/mlであった。また、トリプタンスリンに強い抗菌活性が認められ、没食子酸及びカフェ酸にも弱い抗菌活性が認められ、そのMICは、各々、6.25μg/ml乃至25μg/ml、200μg/ml乃至1600μg/ml、200μg/ml乃至1600μg/mlとなった。カフェ酸には、抗菌活性は認められなかった。本実験で使用した藍草抽出物は、トリプタンスリン、没食子酸、カフェ酸を、固形分換算で約0.51μg/mg、約0.55μg/mg、1.07μg/ml含んでいるものの、これら含量では、藍草抽出物の歯周病原因菌やう触原因菌に対するMICを得るために十分とはいえず、藍草抽出物の口腔内細菌に対する抗菌活性には、トリプタンスリン、没食子酸、カフェ酸以外の成分も関与していることが示唆された。また、MICの測定に使用した各口腔内細菌に対する増殖抑制効果は、各成分のMICの約100分の1濃度から認められ、その効果は濃度依存的に増加した。
【0087】
<殺菌作用>
MICの測定に使用したプロフィロモナス ギンギバリスJCM8525株に対する藍草抽出物の殺菌作用を確認する試験を以下のようにして行った。即ち、MICの測定に使用したものと同じ藍草抽出物を、BHIに、固形物換算で、6.95mg/ml、3.48mg/ml或いは1.74mg/mlとなるように添加し、これにプロフィロモナス ギンギバリスJCM8525株の生菌を10/mlとなるように添加して、嫌気状態を保って、37℃で、3時間又は9時間培養した。これらの培養液を、適宜希釈して、BHI寒天のプレートに接種して、嫌気状態を保ちながら、37℃で24時間培養し、形成されたコロニー数をカウントして、希釈前の培養液中の生菌数を求めた。対照として、藍草抽出物に代えて脱イオン水を添加したBHIで培養した場合の生菌数を用いて、培養後の生菌数を同様に求めた。
【0088】
固形物換算で、6.95mg/mlの藍草抽出物を添加した培地で培養したプロフィロモナス ギンギバリスのJCM8525株は、3時間の培養で完全に殺菌された。3.48mg/mlの藍草抽出物を添加した場合には、生菌数が培養前に比して、3時間で1000分の1に、9時間で10000分の1に減少した。1.74mg/mlの藍草抽出物を添加した場合には、生菌数が培養前に比して、3時間で約10分の1に、9時間で約100分の1に減少し、プロフィロモナス ギンギバリスは、藍草抽出物の濃度及び藍草抽出物との培養時間に依存して生菌数が減少した。これらに対して、藍草抽出物を加えずに培養した菌では、生菌数の減少は認められず、藍草抽出物は、プロフィロモナス ギンギバリスに対して強い殺菌作用を示すことが確認された。
【0089】
これらの実験結果は、本発明の藍草抽出物が、メラニン生成抑制、エラスターゼ活性阻害、リパーゼ活性阻害、活性酸素除去、ラジカル捕捉、真皮や表皮の細胞のターンオーバー亢進作用、細胞に対する紫外線傷害に対する保護作用の各作用を併せ持つことから、この藍草抽出物を配合した皮膚外用剤は、シミ、ソバカス日焼け後の皮膚の色素沈着を抑制するとともに、シワ、コジワの発生を抑制し、皮膚の老化を抑制することができるので、美白作用、美肌作用及び/又は抗老化作用に優れていることを物語っている。また、この藍草抽出物が、口腔用の外用剤に使用すると、歯周病やう触の予防や改善効果に優れていることを物語っている。
【0090】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。
【実施例1】
【0091】
<藍草抽出物の調製>
生藍の全草を細断物にし、これの15質量部に23質量部の精製水を加え、室温で10分攪拌して抽出を行ったのち、遠心分離して得られた上清をオートクレーブした。この溶液を再度遠心機にかけ、上清を濾過して、藍草抽出物を得た。本品は、メラニン生成抑制、エラスターゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用、SOD様作用、DPPHラジカル捕捉作用、老化防止作用などの多彩な生理活性を有しているので、美白用及び/又は美肌用の皮膚外用剤の有効成分として有利に利用できる。
【0092】
藍草抽出物を調製した時の外観・性状、pH、精製水で2倍希釈した時の着色度(OD420nm)、濁度(OD720nm)、ポリフェノール量、蒸発乾固したときの固形分量(%)について表7に示した。
【0093】
【表7】

【0094】
また、本品7質量部に対して、防腐剤として1,3−ブチレングリコール3質量部を加えて攪拌し、藍草抽出物を調製した。本品は、1,3−ブチレングリコール(以下、「1,3−BG」と略記する。)を添加しないものに比して、澱や異臭の発生、褐変の進行が抑制され、保存安定性に優れている。また、本品は、メラニン生成抑制、エラスターゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用、SOD様作用、DPPHラジカル捕捉作用、老化防止作用などの多彩な生理活性を有しているので、美白用及び/又は美肌用や、口腔用の皮膚外用剤の有効成分として有利に利用できる。
【実施例2】
【0095】
<藍草抽出物の調製>
生藍の全草を、細断物にし、これの4質量部に、精製水とエタノールとを等質量混合したもの3質量部を加え、20分攪拌して抽出を行った後、遠心分離して得られた上清をオートクレーブして藍草抽出物を得た。本品は、澱、褐変の発生や異臭の抑制された、藍草抽出物であり、メラニン生成抑制、エラスターゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用、SOD様作用、DPPHラジカル捕捉作用、老化防止作用などの多彩な生理活性を有しているので、美白及び/又は美肌用や、口腔用の皮膚外用剤の有効成分として有利に利用できる。
【実施例3】
【0096】
<藍草抽出物の調製>
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BGを含有せず)を、さらに限外ろ過膜で濾過して、藍草抽出物を調製した。本品は、長期間保存しても、沈澱や濁りの発生も少なく、また、限外ろ過により、微細な粒子が除去されているので、0.45μmのポアサイズの膜に対する透過性が、限外膜ろ過をしない標品に比べて格段(100倍以上)に向上しているので、膜による滅菌処理も可能となり、取り扱いのしやすい藍草抽出物である。本品は、褐変の発生や異臭の抑制された、藍草抽出物であり、メラニン生成抑制、エラスターゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用、SOD様作用、DPPHラジカル捕捉作用、老化防止作用などの多彩な生理活性を有しているので、美白及び/又は美肌用や、口腔用の皮膚外用剤の有効成分として有利に利用できる。
【実施例4】
【0097】
<藍草抽出物粉末の調製>
実施例3の方法で調製した藍草抽出物中の固形分1質量部に対して、無水物換算で、分岐サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社販売、商品名「イソエリートP」)1質量部、α,α−トレハロース0.1質量部を加えて、撹拌溶解し、常法により凍結乾燥して、藍草抽出物粉末を調製した。本品は、長期間保存しても褐変することもなく、保存安定性に優れた、藍草抽出物であり、メラニン生成抑制、エラスターゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用、SOD様作用、DPPHラジカル捕捉作用、老化防止作用などの多彩な生理活性を有しているので、美白及び/又は美肌用や、口腔用の皮膚外用剤の有効成分として有利に利用できる。
【実施例5】
【0098】
<藍草抽出物粉末の調製>
実施例3の方法で調製した藍草抽出物を10倍に濃縮し、その固形分1質量部に対して、無水物換算で、1質量部の分岐サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社販売、商品名「イソエリートP」)1質量部、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(株式会社)0.1質量部を加えて、撹拌溶解し、常法により噴霧乾燥して、藍草抽出物粉末を調製した。本品は、長期間保存しても褐変することもなく、保存安定性に優れた、藍草抽出物であり、メラニン生成抑制、エラスターゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用、SOD様作用、DPPHラジカル捕捉作用、老化防止作用などの多彩な生理活性を有しているので、美白及び/又は美肌用や、口腔用の皮膚外用剤の有効成分として有利に利用できる。
【実施例6】
【0099】
<クリーム>
以下の配合処方に基づき、常法により、クリームを調製した。
(処方) (%)
ミリスチン酸ポリグリセリル−10 3
ラノリン 0.5
オクチルドデカノール 2
オクタン酸セチル 3
スクワラン 5
ジメチコン 0.3
ベヘニルアルコール 3
セチルアルコール 2
バチルアルコール 1
パルミチン酸セチル 1.5
ステアリン酸グリセリル 2.3
ブチレングリコール 5
ペンチレングリコール 3.5
ステアリン酸 0.5
グリセリン 5
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社
林原生物化学研究所販売、商品名「トルナーレ」) 2
プルラン 0.1
実施例1の方法で調製した藍水抽出液(1,3−BGを含有せず) 1
水 59.3
本品は、美白、美肌及び/又は老化防止用の皮膚外用剤として有用である。また、本品は、皮膚への浸透性と延展性に優れ、プルランを配合していることから、塗布後の肌のすべりがよく、なめらかになる特徴がある。
【実施例7】
【0100】
<ジェル>
以下の配合処方に基づき、常法により、ジェルを調製した。
(処方) (%)
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BGを含有せず) 20
ヒアルロン酸 0.25
感光素201号 0.005
にがり成分(株式会社エイチプラスビィ・ライフサイエンス
販売、商品名「ミネラルトレハ」) 1
α,α−トレハロース 4.5
グリセリン 5
1,3−BG 5
エタノール 5
カルボキシビニルポリマー(和光純薬株式会社販売、商品名
「ハイビスワコー104」) 0.64
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレオール 1
2,2´,2´´−ニトロトリエタノール 1
パラオキシ安息香酸エチル 0.1
精製水 56.9
本品は、美白、美肌及び/又は老化防止用の皮膚外用剤として有用である。また、本品は、皮膚への浸透性と延展性に優れている。
【実施例8】
【0101】
<乳液>
以下の配合処方に基づき、常法により、乳液を調製した。
(処方) (%)
ポリオキシエチレン(20E.O.)ポリオキシプロピレン
(2E.O.)セチルアルコール 1
シリコンKF96(20cs)(信越化学工業株式会社販売) 2
流動パラフィン(中粘度) 3
1,3−BG 5
4−n−ブチルレゾルシノール 0.3
グリセリン 2
エチルアルコール 15
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
2−アミノメチルプロパノール 0.1
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BGを含有せず) 2
防腐剤 適量
精製水を加えて全量を100%とする。
【0102】
本品は、美白、美肌及び/又は老化防止用の皮膚外用剤として有用である。また、本品は、皮膚への浸透性と延展性に優れている。
【実施例9】
【0103】
<乳液>
以下の配合処方に基づき、常法により、乳液を調製した。
(処方) (%)
ポリオキシエチレン(20E.O.)ポリオキシプロピレン
(2E.O.)セチアルコール 1
シリコンKF96(20cs)(信越化学工業株式会社販売) 2
流動パラフィン(中粘度) 3
1,3−BG 5
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2
グリセリン 2
エチルアルコール 15
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
2−アミノメチルプロパノール 0.1
実施例1の方法で製造した藍草抽出物(1,3−BG含有) 2
防腐剤 適量
精製水を加えて全量を100%とする。
【0104】
本品は、美白、美肌及び/又は老化防止用の皮膚外用剤として有用である。また、本品は、皮膚への浸透性と延展性に優れている。
【実施例10】
【0105】
<シャンプー>
以下の配合処方に基づき、常法により、シャンプーを調製した。
(処方) (%)
ピロクトンオラミン 0.5
エデト酸二ナトリウム 0.3
感光素201号 0.002
クエン酸 0.3
サリチル酸ナトリウム 0.2
1,3−BG 3
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 6.75
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 10
ポリオキシエチレンラノリン酸(80E.O.) 0.5
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチル
イミダゾリニウムベタイン 10
ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチル
アンモニウムクロリドエーテル 0.8
藍草抽出物(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名
「藍ルーロス」、1,3−BGを30%含有する藍
草の水抽出物) 5
香料 0.2
精製水を加えて全量を100%とする。
本品は、頭皮の炎症や老化防止効果を有し、抗菌性も強いので、育毛効果に優れ、脱毛を抑制し、頭皮を清潔に保つことのできるシャンプーである。
【実施例11】
【0106】
<ヘアトニック>
以下の配合処方に基づき、常法により、ヘアトニックを調製した。
(処方) (%)
感光素301号 0.005
含水結晶α,α−トレハロース 0.03
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原生物化学研究所販売、
商品名「アルファグルコシルヘスペリジン」) 0.01
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BG含有) 5
エタノール 45
精製水を加えて全量を100%とする。
本品は、頭皮の炎症や老化防止効果を有し、抗菌性も強いので、育毛効果に優れ、脱毛を抑制し、頭皮を清に保つことのできるヘアトニックである。また、本品は毛根を植毛した頭皮に使用すると毛乳頭細胞の増殖を促進し、移植した毛根の頭皮への着生率の向上にも優れた効果を示す。
【実施例12】
【0107】
<練歯磨>
以下の配合処方に基づき、常法により、練歯磨を調製した。
(処方) (%)
第2リン酸カルシウム 45
プルラン 2.9
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
グリセリン 20
ポリオキシエチレンソルビタンラウレート 0.5
ソルビトール 10
マルチトール 7
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BG含有せず) 0.5
テトラヒドロクルクミン 0.5
防腐剤 適量
精製水を加えて全量を100%とする。
【0108】
本品は、藍草抽出物を含有しているので歯茎の張りや弾性を保つとともに、消炎効果に優れ、口腔の健康を維持・増進する化粧品として有用である。また、藍草抽出物に含まれる抗菌成分が、歯の表面や歯周病ポケット中の、う触原因菌や歯周病原因菌に対して、静菌および殺菌効果を発揮するので、う触予防や歯周病の発症予防や進行の抑制にも有利に利用できる。
【実施例13】
【0109】
<練歯磨>
以下の配合処方に基づき、常法によりにより練歯磨を調製した。
(処方) (%)
β−グリチルレチン酸 0.05
塩化セチルピリジウム 0.05
リン酸水素カルシウム 29
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BGを含有せず) 20
濃グリセリン 20
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原生
物化学研究所販売、商品名「トルナーレ」) 10
無水ケイ酸 5
酸化チタン 2
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1
エタノール 0.5
プロポリスエキス 0.5
リン酸マグネシウム 0.3
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.2
マルチトール 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.1
香料 適量
精製水を加えて全量を100%とする。
【0110】
本品は、藍草抽出物を含有しているので、歯茎の張りや弾性を保つとともに、消炎効果に優れ、口腔の健康を維持・増進する歯磨として有用である。また、藍草抽出物に含まれる抗菌成分が、歯の表面や歯周病ポケット中の、う触原因菌や歯周病原因菌に対して、静菌および殺菌効果を発揮するので、う触予防や、歯周病の発症予防や進行の抑制にも有利に利用できる。
【実施例14】
【0111】
<ジェル状の歯磨>
以下の配合処方に基づき、常法によりジェル状の歯磨を調製した。
(処方) (%)
β−グリチルレチン酸 0.05
塩化セチルピリジウム 0.05
ソルビトール液 30
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BGを含有せず) 20
濃グリセリン 10
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原生
物化学研究所販売、商品名「トルナーレ」) 10
含水ケイ酸 9
無水ケイ酸 7
キシリトール 3
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
エタノール 0.5
プロポリスエキス(株式会社林原生物化学研究所販売) 0.5
マルチトール 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.1
香料 適量
精製水を加えて全量を100%とする。
【0112】
本品は、藍草抽出物を含有しているので、歯茎の張りや弾力を保つとともに、消炎効果に優れ、口腔の健康を維持・増進する歯磨として有用である。また、藍草抽出物に含まれる抗菌成分が、歯の表面や歯周病ポケット中の、う触原因菌や歯周病原因菌に対して、静菌および殺菌効果を発揮するので、う触予防や歯周病の発症予防や進行の抑制にも有利に利用できる。
【実施例15】
【0113】
<マウスウオッシュ>
以下の配合処方に基づき、常法によりジェル状の歯磨を調製した。
(処方) (%)
エタノール 15
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ(株式会社林
原商事販売、商品名「ハローデックス」) 8
実施例3の方法で調製した藍草抽出物 2
糖転移ヘスペリジン(林原生物化学研究所株式会社
販売、商品名「αGヘスペリジン」) 1
ポリオキシエチレン硬化ひまし油 2
サッカリンナトリウム 0.02
安息香酸ナトリウム 0.05
リン酸二水素ナトリウム 0.1
着色料 適量
香料 適量
水 71.7
全量を100%とする。
【0114】
本品は、藍草抽出物を含有しているので、歯茎の張りや弾力を保つとともに、シェーグレン症候群などによるドライマウスの改善、口腔内の炎症や味覚障害などの予防や治療に好適であり、しかも、使用感も良好なマウスウオッシュである。また、藍草抽出物に含まれる抗菌成分が、歯の表面や歯周病ポケット中の、う触原因菌や歯周病原因菌に対して、静菌および殺菌効果を発揮するので、う触予防や歯周病の発症予防や進行の抑制にも有利に利用できる。
【実施例16】
【0115】
<軟膏>
以下の配合処方に基づき、常法により、軟膏を調製した。
(処方) (%)
酢酸ナトリウム 1
リン酸カルシウム 4
グリセリン 10
ハッカ油 0.5
実施例2の方法で調製した藍草抽出物 3
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2
ワセリン 49
木ロウ 10
ラノリン 10
ゴマ油 10.5
【0116】
本品は、美白及び/又は美肌用の皮膚外用剤として有用である。また、本品は、皮膚の浸透性と延展性に優れた、皮膚の健康を維持・増進する目的でも使用することができる。
【実施例17】
【0117】
<ゼリー軟膏>
以下の配合処方に基づき、常法により、ゼリー軟膏を調製した。
(処方) (%)
グリセリン 44.49
エタノール 30
実施例5の方法で調製した藍草抽出物 15
苦汁水溶液(硬度54,000mg/ml) 5
ゲル化基剤(ハイビスワコー104) 1.5
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオリエート 1.5
感光素201号 0.01
2,2´,2´´−ニトリロトリエタノール 2.5
【0118】
本品は、美白及び/又は美肌用の皮膚外用剤として有用である。また、本品は、皮膚の浸透性と延展性に優れ、皮膚の健康を維持・増進する目的でも使用できる。
【実施例18】
【0119】
<浴用剤>
以下の配合処方に基づき、常法により、浴用剤を調製した。
(処方) (%)
含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所
販売、化粧品用) 74.4
炭酸水素ナトリウム 12.5
実施例2の方法で調製した藍草抽出物 7.5
国際公開WO 2003/016325号明細書の実施例9に
記載の方法により調製したα,α−トレハロースと苦汁と
を質量比で144:202の割合で含有する粉末 5.5
感光素201号 0.0015
香料 適量
色素 適量
全量を100%とする。
【0120】
本品は、美白及び/又は美肌効果に優れた浴用剤である。
【実施例19】
【0121】
<口中清涼フィルム>
以下の配合処方に基づき、常法により、口中清涼フィルムを調製した。
(処方) (%)
プルラン(株式会社林原商事販売) 22
カラギーナン 1
キサンタンガム 0.15
ローカストビーンガム 0.15
マルチトール 0.8
脱イオン水 69.25
実施例1の方法で調製した藍草抽出物(1,3−BGを含有せず) 3
乳化ミントオイル 2.6
プロポリスエキス 0.5
スクラロース 0.3
クエン酸 0.25
【0122】
本品は、藍草抽出物を含有しているので歯茎の張りや弾力を保つとともに、消炎効果に優れている旨を標榜して、口腔の健康を維持・増進の目的に使用することができる。また、本品は、口臭防止にも有用な、口中清涼フィルムである。
【実施例20】
【0123】
<チューインガム>
以下の配合処方に基づき、常法により、チューインガムを調製した。
(処方) (%)
ガムベース 30
ショ糖 39.7
実施例4で調製した藍草抽出物粉末 30
香料 適量
色素 適量
全量を100%とする。
【0124】
本品は、藍草抽出物を含有しているので歯茎の張りや弾力を保つとともに、消炎効果に優れている旨を標榜して、口腔の健康を維持・増進の目的に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上のように、本発明の藍草抽出物は、澱や異臭が発生しにくく、褐変も起こしにくく、保存安定性に優れている。また、本発明の藍草抽出物は、メラニン生成抑制、エラスターゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、皮脂腺からの皮脂分泌調節作用、SOD様作用、DPPHラジカル捕捉作用などの多彩な生理活性を有し、これを配合した皮膚外用剤は、日焼け後の色素沈着・シミ・ソバカス・肝斑などの淡色化、美白に優れた効果を有する共に、エラスターゼ阻害活性による皮膚の張り・弾力を回復・維持することで、皮膚の老化を防止し、若々しい肌の状態を維持することができる。また、本発明の皮膚外用剤は、上記作用に加えて、他の美白成分を併用することにより、さらに、増強することができるので、本発明の皮膚外用剤は、美白や美肌の目的だけでなく、皮膚の皮脂成分の酸化防止や皮膚の酸化傷害、皮膚の老化の防止、皮膚の保護、水虫治療、口内炎治療、アクネ治療、歯周病やう触の予防や治療などにも利用することができる。また、本発明の皮膚外用剤は、副作用の懸念がなく、安全で、使用感にも優れているので、快適に長期連用することができる。本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の藍草抽出物の濃度とエラスターゼ活性阻害率との関係を示したグラフである。
【図2】本発明の藍草抽出物の濃度とリパーゼ活性阻害率との関係を示したグラフである。
【図3】本発明の藍草抽出物の濃度とO2−消去率との関係を示したグラフである。
【図4】本発明の藍草抽出物の濃度とDPPHラジカル除去率との関係を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
藍草(Polygonum tinctorium Lour)抽出物を有効成分として含有するエラスターゼ活性抑制又は老化防止用の皮膚外用剤。
【請求項2】
藍草抽出物が、水或いは水を含有するアルコール又はケトンから選ばれる溶媒で抽出されたものであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
藍草抽出物と共に、L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸の誘導体及びその塩、アルコキシサリチル酸及びその塩、ハイドロキノンの配糖体及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、レゾルシンの誘導体、コウジ酸及びその誘導体、エラグ酸、リノール酸、カミツレエキス、及びテトラヒドロクルクミノイドから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−184270(P2012−184270A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152585(P2012−152585)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2007−517916(P2007−517916)の分割
【原出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(397077760)株式会社林原 (10)
【Fターム(参考)】