説明

監視システム及び監視方法

【課題】
高齢者介護等で利用可能な監視システムを安価で簡単な装置により実現するとともに、操作が容易で実用性の高いシステムを提供する。
【解決手段】
携帯可能で且つ特定のタグIDを選択して電波信号を送受信する親機1を所定位置に設置するとともに、携帯可能で且つ親機1から受信した電波信号に応じて電波信号(応答信号)を送受信する子機2を監視対象物に取付け、監視モードにより子機2からの電波信号の受信状態を表示又は音響出力することによって、所定領域内への監視対象物の進入を監視し、捜索モードにおいて親機1を移動させつつ、監視モードにおける通常時の電波強度よりも強い電波強度から段階的に電波強度を弱くしていくことにより監視対象物を捜索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や患者などの人身、又は所定の物品などの監視を行うための監視システム及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高齢化に伴い、介護者の負担を軽減させるための技術が種々開発されている。特に、介護対象者の行動を監視して、痴呆症患者等の徘徊を防止する、或いは早期に発見するための技術として、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この特許文献1に開示された技術では、人体や物体に取付けられた電波発生源と、その電波の強度や方向から人体や物体の位置を特定する位置特定装置と、赤外センサや距離センサ、加速度センサ、RF−IDマット等の各種センサからの電波を受信する電波受信手段などを配置した住宅を構築し、各センサからのセンサ情報を基地局で収集し、これらの情報を統合して人体の姿勢や動作、体動、行動、活動状態等の行動情報をデータ蓄積手段に蓄積し、比較・評価して人体行動の異常を判定し、本人や他の人に通報する。
【0004】
このような特許文献1に開示された技術によれば、ネットワークを通じて各部屋での情報を共有化し、各個人の全部屋での行動状態を把握することができ、介護者の負担を大幅に軽減することができる。
【特許文献1】特開2002−149824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された技術は、各部屋に多数の各種センサを配置し、それをネットワークを通じて基地局で収集し統合するという大掛かりなシステムであるため、装置が複雑になり操作が複雑になるうえ、設備費が過大となるとともに、システムの運用・メンテナンス等についてもコストが増大するという問題がある。このため、このシステムを一般家庭などに設置することが困難であり、実用性に欠けるという惧れがある。
【0006】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、高齢者介護等で利用可能な監視システムを安価で簡単な装置により実現するとともに、操作が容易で実用性の高い監視システム及び監視方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、監視対象物の位置を検出する際、携帯可能で且つ電波信号を送受信する親機を所定位置に設置するとともに、携帯可能で且つ親機から受信した電波信号に応じて、親機に対して電波信号を送信する子機を監視対象物に取付け、親機における監視モードにより子機からの電波信号の受信状態を表示又は音響出力することによって、所定領域内への監視対象物の進入を監視し、親機における捜索モードにおいて親機を移動させつつ、子機からの電波信号の受信状態に応じ、該監視モードにおける通常時の電波強度よりも強い電波強度を使用して電波信号の送信を行い、その電波信号の受信状態を表示又は音響出力することにより、監視対象物を捜索する。
【0008】
上記発明において、捜索モードでは、子機からの電波信号が受信できたときは、送信電波強度を強度を弱くしていき、子機からの電波信号が受信できないときは、送信電波強度を強くしていく送信パターンをもって、電波信号の送信を行うことが好ましい。
【0009】
上記発明において、監視モードでは、通常時における電波強度よりも強い電波強度の電波信号を周期的に送信する送信パターンをもって、子機からの受信信号に基づく子機の送受信エリア内における在圏を確認することが好ましい。
【0010】
上記発明において、親機における呼出モードにおいて、親機から電波信号を送信し、この送信された電波信号に応じて、子機側で所定の表示又は音響出力を実行することが好ましい。
【0011】
上記発明において親機における受信状態の表示又は音響出力は、携帯可能な通報用子機により遠隔的に行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、監視モードでは、親機から弱い電波強度の電波信号を送信し、所定領域(弱い電波強度の送受信エリア)に監視対象が進入するのを監視することができる。例えば、親機を玄関などに設置しておくことにより、子機が取付けられた監視対象物(人身や物品)が通過するのを監視することができる。この監視対象物の進入(通過)は、親機や通報用子機におけるLEDの点灯表示や警告音の音響出力により、介護者などに報知することができる。
【0013】
一方、捜索モードでは、親機を移動させつつ、監視モードにおける通常時の電波強度よりも強い電波強度(例えば、最大出力強度)にし、子機に対する電波送受信の範囲を拡大することができる。また、子機からの電波信号が受信できたときは、送信電波強度を強度を弱くしていき、子機からの電波信号が受信できないときは、送信電波強度を強くしていく送信パターンにより、段階的に電波強度を変化させていくことにより、捜索範囲を調整しつつ絞り込みを行い、監視対象物の位置を特定することができる。
【0014】
なお、本発明においては、子機を複数設け、各子機に固有のタグIDにより識別し、複数の子機の中から任意の子機を選択して電波信号の送受信を行うようにすれば、一台の親機により複数の子機を一括して監視することができる。
【0015】
本発明における監視モードで、通常時における電波強度よりも強い電波強度の電波信号を周期的に送信する送信パターンにより、子機の在圏を確認するようにすれば、所定領域における監視と併せて、監視対象となっている子機の数や、電源の入切を把握することができる。
【0016】
上記発明における呼出モードにおいて、親機から電波信号を送信し、子機を呼び出すようにすれば、監視対象が隠れていたり、紛失されているような場合でも、捜索を行うことができる。
【0017】
さらに、本発明において親機における受信状態の表示又は音響出力を、携帯可能な通報用子機により遠隔的に行うようにすれば、介護者が親機から離れた場所にいても、監視を行うことができる。なお、監視対象側の子機から通報用子機を呼び出す機能を設ければ、本発明をナースコール等の呼び出し装置として用いることも可能である。
【0018】
これらの結果、本発明によれば、高齢者介護等で利用可能な監視システムを安価で簡単な装置により実現するとともに、操作が容易で実用性の高いシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る監視システムの概略構成を示す説明図である。
【0020】
(システムの全体構成)
同図に示すように、本実施形態にかかる監視システムは、高齢者や患者等の人身、或いは財布や預金通帳などの貴重品を監視対象物とし、これら監視対象物の位置を検出するシステムであって、親機1と、複数の子機2(2a,2b…)と、通報用子機3とを備えている。
【0021】
親機1は、携帯可能で、且つ子機に付与された各子機固有のタグIDを選択して、任意の子機2(2a,2b…)との間で電波信号を送受信するとともに、選択したタグID(子機)ごとに電波信号の受信状態を表示又は音響出力する送受信装置であり、選択した子機2に対して応答要求や鳴動開始情報・鳴動停止情報等の電波信号を送信するとともに、子機からの応答信号を受信し、その受信信号によりLEDの表示灯を変更する。
【0022】
具体的に、親機1は、モード表示用LED1a〜1cと、モード選択ボタン1dと、各子機の状態を表示するLED1eと、タグ(子機)を選択するためのタグ選択ボタン1fと、電源の状態を示す電源用LED1hと、親機1の動作の開始及び停止を操作するスイッチ1gとを備えている。
【0023】
タグ選択ボタン1fは、通信対象とする子機を選択する操作ボタンであり、これを押下することによって、任意に子機のタグIDを切り替える。また、モード選択ボタン1dは、監視モード,捜索モード及び呼出モードを切り替えるボタンであり、このボタンを押下することにより電波の送受信パターンを切り替えることができる。
【0024】
図2は、親機1における各モードの電波送信パターンを示す説明図である。先ず、監視モードでは、通常時と子機確認時とが切り替わる送信パターンであり、この通常時においては、同図(a)に示すように、最弱の電波送信強度(図中実線部分)で通信を行う。そして、周期的に子機確認時に切り替わり、同図(b)に示すように、通常時における電波強度よりも強い強度(本実施形態では、最強の電波送信強度)で通信を行い、送受信エリア(図中実線部分)内に在圏することを確認する送信パターンとすることが好ましい。
【0025】
一方、捜索モードでは、子機2からの電波信号の受信状態に応じ、監視モードにおける通常時の電波強度よりも強い電波強度を使用して電波信号の送信を行う。具体的には、同図(c)に示すように、捜索モードでは、子機2からの電波信号が受信できたときは、送信電波強度を強度を弱くしていき、子機からの電波信号が受信できないときは、送信電波強度を強くしていく送信パターンをもって、電波信号の送信を行う。
【0026】
さらに呼出モードでは、同図(b)に示すように、最大出力により電波信号を送信し、子機2側で所定の表示又は音響出力を実行させる。
【0027】
子機2は、監視対象の高齢者や貴重品等に取付けられる装置であり、携帯可能で且つ親機1から受信した電波信号に応じて、親機1に対して電波信号を送受信する無線通信機能を備えている。
【0028】
具体的に、本実施形態において子機2は、小型の無線タグであり、各機に固有のID番号が付与されるとともに、LED表示や音響出力、バイブレーションの振動装置を有している。そして、各機に固有のタグIDにより、親機1からの応答要求に対して応答信号を送信したり、鳴動開始情報を受信してLEDの点灯や鳴動を開始したり、鳴動停止情報により鳴動等を停止したりする。
【0029】
通報用子機3は、例えば高齢者の家族やヘルパー等の介護者が携帯する端末装置であり、上述した子機2と基本的な構成は同様であるが、親機1における受信状態の表示又は音響出力を遠隔的に行う機能を備えている。
【0030】
(各装置の内部構成)
次いで、上述した親機1及び子機2(通報用子機3)の内部構成について説明する。図3は、各機の内部構成を示すブロック図であり、図4は、各機のマイクロコントローラーの機能ブロック図である。
【0031】
図3(a)に示すように、親機1は、無線部11と、制御部12と、表示部13と、電源部14とを備えている。
【0032】
無線部11は、アンテナ介して電波の送受信を行うBPF111と、送信信号及び受信信号の入出力を切り替えるスイッチ112と、制御部12との間でデータの入出力を行うインターフェース118と、送信系の回路である変調器115、送信回路114、電力増幅器113と、受信系の回路である復調器117,受信回路116とを備えている。
【0033】
制御部12は、マイクロコントローラー121と、メモリであるROM122及びRAM123とを備えている。マイクロコントローラー121は、演算処理装置であり、ROM122やRAM123に保持されているプログラムを実行して各種機能を果たすとともに、各メモリに対してデータの読み出し・書き込みを行う。ROM122には、各子機のタグID設定等が格納されている。
【0034】
表示部13は、音響を出力するブザー131や、LED等の表示手段、また、上述した各種スイッチに対するインターフェース133が接続されている。
【0035】
電源部14は、電池やACアダプターと接続され、電源を供給する電源装置141を備えている。
【0036】
この親機1のマイクロコントローラー121で実行される機能は、図4(a)に示すように、外部インターフェース121aと、信号検出部121bと、出力制御部121cと、電波強度制御部121dと、タグID選択部121eと、入力インターフェース121fと、モード切替部121iと、信号生成部121gと、メモリ制御部121hとが含まれる。
【0037】
外部インターフェース121aは、無線部11のインターフェース118との間でデータの送受を行うモジュールであり、受信された信号は信号検出部121bに出力され、電波強度制御部121dから入力された信号が無線部11に向けて送出される。
【0038】
信号検出部121bは、無線部11で受信された信号がどの子機からのものであるかを判定するモジュールであり、具体的には、受信信号に含まれるタグID等から判定を行う。この判定結果は、出力制御部121cに入力される。
【0039】
出力制御部121cは、表示部13に接続されており、表示部13を通じて、モード用のLED1a〜1cやタグ表示用のLED1eの点灯色や点滅、ブザーの鳴動を制御する。各LEDの動作仕様は、以下の通りである。
【表1】

【0040】
また、親機1のブザー(スピーカー)の動作仕様は、以下の通りである。
【表2】

【0041】
また、出力制御部121cは、電波強度制御部121d及びタグID選択部121eと接続されており、捜索モードにおいて、どの子機(タグID)に対してどの程度の信号強度で送信しているかに応じて、LED1eの点滅速度を変化させる機能を備えている。本実施形態では、信号強度が強いときには、遅く(長い間隔で)点滅させ、信号強度が弱いときには、速く(短い間隔で)点滅させる。これにより、捜索対象が近くにいるときは速く点滅し、遠くにいるときは遅く点滅することとなる。
【0042】
入力インターフェース121fは、各スイッチが接続され、ユーザーの操作により、モード切替部121iのモードを切り替えたり、タグID選択部121eのタグIDを切り替えたりするモジュールである。
【0043】
モード切替部121iは、送信信号の種類(鳴動開始情報や鳴動停止情報等)や、送信電波の強度の変化パターンを切り替えるモジュールであり、信号生成部121gは、モード切替部121iの指示に応じて、メモリ制御部121hを通じて各メモリから情報データを読み出し、所定の信号を生成するモジュールである。
【0044】
タグID選択部121eは、入力インターフェース121fからの指示に応じて、通信対象とする子機のタグID(1〜9)を設定するモジュールである。なお、このタグID選択部121eは、任意の複数の子機により構成されるグループに対して一括して応答要求を行うグループIDも選択可能となっている。電波強度制御部121dは、モード切替部121iの指示に従って、送信電波の送信電力レベルを設定し、外部インターフェース121aを通じて、無線部11の電力増幅器113の動作を制御するモジュールである。具体的には、監視モードでは、子機確認時処理において最大とし、通常時処理では、最小のレベルとする。また、捜索モードでは、送信電力レベルを最大から開始して、連続n回、子機からの応答信号を確認するごとに順次送信電力レベルを下げていく。また、特定の送信電力レベルで連続n回、小型タグからの応答信号を確認できなかった場合には、順次送信電力レベルを上げていく。
【0045】
一方、子機2(通報用子機3)は、図3(b)に示すように、無線部21と、制御部22と、表示部23と、電源部24とを備えている。
【0046】
無線部21は、アンテナ介して電波の送受信を行うBPF211と、送信信号及び受信信号の入出力を切り替えるスイッチ212と、制御部22との間でデータの入出力を行うインターフェース218と、送信系の回路である変調器215、送信回路214、電力増幅器213と、受信系の回路である復調器217,受信回路216とを備えている。
【0047】
制御部22は、マイクロコントローラー221と、メモリであるROM222及びRAM223とを備えている。マイクロコントローラー221は、演算処理装置であり、ROM222やRAM223に保持されているプログラムを実行して各種機能を果たすとともに、各メモリに対してデータの読み出し・書き込みを行う。ROM222には、自機のタグID設定等が格納されている。
【0048】
表示部23には、音響を出力するブザー231やバイブレーター(図示せず)が接続されている。電源部24は、電池やACアダプターと接続され、電源を供給する電源装置241を備えている。
【0049】
この子機2のマイクロコントローラー221で実行される機能は、図4(b)に示すように、外部インターフェース221aと、信号検出部221bと、出力制御部221cと、信号生成部221dと、メモリ制御部221eと、バッテリー監視部221fとが含まれる。
【0050】
外部インターフェース221aは、無線部21のインターフェース218との間でデータの送受を行うモジュールであり、受信された信号は信号検出部221bに出力され、信号生成部221dから入力された信号が無線部21に向けて送出される。
【0051】
信号検出部221bは、無線部21で受信された信号が自機に向けてのものかを判定するモジュールであり、具体的には、受信信号に含まれるタグID等から判定を行う。また、この信号検出部221bは、自機が所属するグループに対して一括して送信されるグループIDを検出する機能も備えている。これらの判定結果は、出力制御部221cに入力される。出力制御部221cは、表示部23に接続されており、表示部23を通じて、ブザーの鳴動を制御する。
【0052】
信号生成部221dは、メモリ制御部221eを通じて各メモリから情報データを読み出し、所定の信号を生成するモジュールである。生成された信号は、外部インターフェース221aを通じて、無線部21より送信される。
【0053】
バッテリー監視部221fは、電源部24と接続されており、電源部24の電圧を測定し、電圧が低下しているときには、「バッテリー低下」を信号生成部221dに報知する。信号生成部221dは、バッテリー低下を報知する信号を生成し、無線部21を通じて親機1に通知する。
【0054】
(方法)
以上の構成を有する監視システムを動作させることによって、本発明の監視方法を実施することができる。図5は、本実施形態に係る監視システムの動作を示すフローチャート図である。
【0055】
○監視モード
監視モードについて説明する。ここでは、被介護者が玄関灯から出て行こうとするのを監視し、報知する場合を例に説明する。
【0056】
先ず、子機2を被介護者に装着するとともに、通報用子機3を介護者が装着する。また、親機1を玄関等に設置し、モード選択ボタン1dで監視モードに設定する。
【0057】
監視モードが開始されると、図5(a)に示すように、子機確認時処理として、最大出力で応答要求を送信する(S101)。各子機2は、この応答要求に応じて、応答信号を送信する。親機1では、この応答信号が受信された子機が送受信エリア内に在圏するとして、対応するタグ番号のLED1eを緑色に点灯させる(S102)。この緑色に点灯したタグ番号が監視対象となっていることを示す。また、緑色が点灯していないときは、その子機は、バッテリー切れか、既に在圏していないことを示す。また、赤色が点滅しているときは、在圏している子機であってバッテリーが低下していることを示す。
【0058】
この子機確認時処理が終了すると通常時処理に移行する。この通常時処理では、最小出力で周期的に応答要求信号を送信する(S103)。この際、全タグID(グループID)に対し一括して応答要求信号を送信し、応答する子機があるか否かによって、すべての子機を監視する。これにより玄関等の所定領域内における子機の在圏(進入又は通過)を監視することができる(S104)。
【0059】
そして、子機の在圏が検出されたか否かについて判断し(S105)、検出されなければ、ステップS107を経てループ処理によりステップS103〜S106を繰り返し実行する。ステップS105において、応答した子機が検出された場合には、検出された子機のタグ番号に対応するLED1eを赤色に点灯させる。このとき、通報用子機3に対して遠隔信号を送信し、通報用子機3のブザーを鳴動させる。
【0060】
上記ステップS107では、所定の周期が到来しているか否かを判断し、所定の周期が到来しているときには(ステップS107における”Y”)、ステップS101に移行し、子機確認時処理を実行する。
【0061】
○捜索モード
上記ステップS106で被介護者の通過を検出したり、子機確認時処理において在圏しない子機があった場合には、モードを捜索モードに切り替えて、行方不明の被介護者の捜索を行う。
【0062】
先ず、捜索対象となっている被介護者の子機のタグ番号をタグ選択ボタン1fにより選定し、応答要求信号のタグIDを設定する(S201)。そして、介護者は、親機1を玄関から取り外して移動しつつ、介護者の追跡を行う。
【0063】
そして、捜索対象となっている被介護者が装着する子機に対して、応答要求信号を送信し(S202)、子機が検出されたか否かの判断を行う(S204)。
【0064】
子機が検出されない場合には(ステップS204における”N”)、信号強度を増大させ、捜索エリアを拡大する(S203)。なお、このとき現在の出力が最大となっているときには、そのまま最大出力を維持する。一方、ステップS204において、子機が検出された場合には(ステップS204における”Y”)、信号強度を低減させ、捜索エリアを縮小するとともに、低減させた信号強度に対応したLEDの点滅間隔及びブザー音の出力設定を変更し(S226)、報知出力を行う(S207)。
【0065】
これにより、捜索対象が遠いときは、捜索エリアを拡大するとともに、LEDの点滅速度及びブザーの鳴動間隔を遅くし、捜索対象が近くづくにつれて、LEDの点滅速度及びブザーの鳴動間隔を速くして、捜索対象との距離を介護者に報知することができる。
【0066】
そして、ある程度捜索対象の近くまで来た時点で呼出モードに切り替え、捜索対象者に装着された子機を鳴動させることにより、確実に発見することができる。
【0067】
(作用・効果)
以上説明したように本実施形態の監視システム及び監視方法によれば、監視モードでは、親機1から弱い電波強度の応答要求信号を送信し、玄関等の所定領域に被介護者が進入(通過)するのを監視することができる。一方、捜索モードでは、親機1を移動させつつ、応答要求の電波強度を強め、被介護者までの距離に応じて変化させることにより、広範囲を捜索可能とするとともに捜索範囲を絞り込んでいって、被介護者の位置を特定することができる。
【0068】
また、本実施形態において親機1は、タグ選択ボタン1fによって複数のタグIDの中から特定のタグIDを選択して電波信号の送受信を行うため、一台の親機により複数の子機を一括して監視することができる。なお、本実施形態においては、タグIDにより複数の子機の中から特定の子機を選択するようにしたが、各子機に対して送受信する電波の周波数を各子機ごとにユニークに設定し、周波数により子機を選択するようにしてもよい。
【0069】
本実施形態にかかる監視モードでは、子機確認時処理として、通常時における電波強度よりも強い電波強度の電波信号を周期的に送信する送信パターンとしたため、玄関等の所定領域における監視と併せて、監視対象となっている子機の数や、電源の入切を把握することができる。また、子機側にバッテリー監視手段を設けたため、子機確認時にバッテリーの低下をも確認することができ、バッテリー切れによる監視漏れを防止することができる。
【0070】
また、本実施形態では、呼出モードにおいて、親機1任意の子機を呼び出すことができるため、監視対象が隠れていたり、紛失されているような場合でも、捜索を行うことができる。さらに、本実施形態では、通報用子機3において、親機1における出力を遠隔的に行うため、介護者が親機1から離れた場所にいても、監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施形態に係る監視システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】実施形態に係る親機における各モードの電波送信パターンを示す説明図である。
【図3】実施形態に係る各機の内部構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る各機のマイクロコントローラーの機能ブロック図である。
【図5】実施形態に係る監視システムの動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0072】
1…親機
1a〜1c…LED
1d…モード選択ボタン
1e…タグ番号LED
1f…タグ選択ボタン
1g…スイッチ
1h…電源LED
2(2a,2b…)…子機
3…通報用子機
11…無線部
12…制御部
13…表示部
14…電源部
21…無線部
22…制御部
23…表示部
24…電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機において、子機が取付けられた監視対象物の位置を検出する監視システムであって、
前記親機は、携帯可能で且つ電波信号を送受信することにより前記子機からの電波信号の受信状態を表示又は音響出力する親機と、
前記子機は、携帯可能で且つ前記親機から受信した電波信号に応じて、該親機に対して電波信号を送信する子機と
を備え、
前記親機は、さらに、監視モードと捜索モードとを切り替えるモード切替手段を備え、該捜索モードでは、前記子機からの電波信号の受信状態に応じ、該監視モードにおける通常時の電波強度よりも強い電波強度を使用して前記電波信号の送信を行う
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記捜索モードでは、子機からの電波信号が受信できたときは、送信電波強度を強度を弱くしていき、子機からの電波信号が受信できないときは、送信電波強度を強くしていく送信パターンをもって、前記電波信号の送信を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視モードでは、通常時における電波強度よりも強い電波強度の電波信号を周期的に送信することにより、前記子機からの受信信号に基づいて該子機が送受信エリア内に在圏することを確認する送信パターンとすることを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記モード切替手段は、さらに呼出モードに切替え可能であり、
この呼出モードでは、親機から送信された電波信号に応じて、子機側で所定の表示又は音響出力を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
前記親機における受信状態の表示又は音響出力を、携帯可能な通報用子機により遠隔的に行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の監視システム。
【請求項6】
監視対象物の位置を検出する監視方法であって、
携帯可能で且つ電波信号を送受信する親機を所定位置に設置するとともに、携帯可能で且つ前記親機から受信した電波信号に応じて該親機に対して電波信号を送信する子機を前記監視対象物に取付け、
前記親機における監視モードにより、前記子機からの電波信号の受信状態を表示又は音響出力することによって、所定領域内への前記監視対象物の進入を監視し、
前記親機における捜索モードにおいて該親機を移動させつつ、前記子機からの電波信号の受信状態に応じ、該監視モードにおける通常時の電波強度よりも強い電波強度を使用して前記電波信号の送信を行い、その前記電波信号の受信状態を表示又は音響出力することにより、前記監視対象物を捜索する
ことを特徴とする監視方法。
【請求項7】
前記捜索モードでは、子機からの電波信号が受信できたときは、送信電波強度を強度を弱くしていき、子機からの電波信号が受信できないときは、送信電波強度を強くしていく送信パターンをもって、前記電波信号の送信を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の監視方法。
【請求項8】
前記監視モードでは、通常時における電波強度よりも強い電波強度の電波信号を周期的に送信する送信パターンをもって、前記子機からの受信信号に基づく該子機の送受信エリア内における在圏を確認することを特徴とする請求項6に記載の監視方法。
【請求項9】
前記親機における呼出モードにおいて、親機から電波信号を送信し、この送信された電波信号に応じて、子機側で所定の表示又は音響出力を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の監視方法。
【請求項10】
前記親機における受信状態の表示又は音響出力は、携帯可能な通報用子機により遠隔的に行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−126920(P2006−126920A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310783(P2004−310783)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(504365353)
【出願人】(504398649)
【Fターム(参考)】