説明

監視制御システム

【課題】 中央監視室などに専門の管理者が居ないときでも、警報画面の内容などを専門の管理者に見せて、適切な対処を指示させ、監視制御対象となっているビルなどで、重大事故などが発生しないようにさせる。
【解決手段】 各動力機器、各電気機器などに何らかの異常が発生したとき、監視制御装置4によって、警報画面を表示させ、中央監視室内に居るオペレータなどに異常内容を知らせるとともに、警報画面が予め登録された種類の警報画面であるとき、警報画面を添付させた電子メールを生成させ、監視制御装置4→WWWサーバ5→インターネット回線6→受信メールサーバ7→携帯電話局8→携帯端末装置9なる経路で、携帯端末装置9に電子メールを送信させて、警報画面を画面表示させ、専門の管理者に適切な対処を取らせる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビルなどを監視、制御する監視制御システムに係わり、特に監視制御対象となっているビルなどに異常が発生したとき、管理者の携帯端末装置に警報画面内容を伝送して、迅速な対応をとらせる監視制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】ビルなどを監視、制御する監視制御システムでは、ビル各部に配置された各センサから出力される測定結果を中央監視室などに配置された監視制御装置に伝送させて、ビル各部に設けられている各機器の運転状態を把握させながら、予め設定されている設定値と、監視動作で得られる計測値とが一致するように、制御信号を生成させて、ビル各部に配置された各動力機器、各電気機器などを制御させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の監視制御システムでは、ビルに設けられた各動力機器、各電気機器などに、何らかの異常が発生し、中央監視室などに配置された監視制御装置で、これが検知され、CRTに警報画面などが表示されても、中央監視室内に専門の管理者が居ないとき、適切な対処を行わせることができないという問題があった。
【0004】本発明は上記の事情に鑑み、中央監視室などに専門の管理者が居ないときでも、警報画面の内容などを専門の管理者に見せて、適切な対処を指示させることができ、これによって監視制御対象となっているビルなどで、重大事故などの発生を未然に防止できる監視制御システムを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、メールアドレスが登録され、監視制御対象となっている各機器に何らかの異常が発生して、警報が発せられたとき、警報画面を作成するとともに、前記メールアドレスを送信先とする電子メールを作成し、この電子メールに前記警報画面を添付して、電子メール回線に送出する監視制御装置を備えたことを特徴としている。
【0006】請求項2では、メールアドレスが登録され、監視制御対象となっている各機器に何らかの異常が発生して、警報が発せられたとき、警報画面を作成するとともに、前記メールアドレスを送信先とする電子メールを作成し、この電子メールに前記警報画面を添付して、電子メール回線に送出する監視制御装置と、前記電子メール回線上に、自己を送信先とする電子メールが送出されたとき、前記電子メールを受信して、この電子メールに貼付されている前記警報画面を表示する携帯端末装置とを備えたことを特徴としている。
【0007】請求項3では、請求項1または2に記載の監視制御システムにおいて、前記監視制御装置は、各警報画面のうち、通報設定で指定されている警報画面を生成したとき、前記メールアドレスを送信先とする電子メールを作成し、この電子メールに前記警報画面を添付して、電子メール回線に送出することを特徴としている。
【0008】上記の構成によれば、中央監視室などに専門の管理者が居ないときでも、警報画面の内容などを専門の管理者に見せて、適切な対処を指示させ、これによって監視制御対象となっているビルなどにおける重大事故などの発生が未然に防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明による監視制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
【0010】この図に示す監視制御システム1は、監視制御対象となっているビル内、あるいは複数のビルを結ぶように敷設されるLAN2と、LAN2を介してシステム各部と通信を行いながら、各ビルに設けられている各動力機器、各電気機器の監視制御を行う複数の伝送端末装置3と、ビルに設けられた中央監視室などに配置され、LAN2を介して各伝送端末装置3などと通信を行いながら、各ビルに設けられている各動力機器、各電気機器などの監視制御を行う監視制御装置4と、LAN2を介して電子メール送信要求が供給されたとき、LAN2上から電子メールを取り込んでインターネット回線6上に送出し、専門の管理者が携帯している携帯端末装置9に受信させるWWWサーバ5と、インターネット回線6上に送出された電子メールが受信メールサーバ7によって取り込まれたとき、携帯電話局8を介して電子メールを取り込んで警報画面を表示する携帯端末措置9とを備えている。
【0011】この監視制御システム1では、LAN2を介して監視制御装置4と各伝送端末装置3とを連携させて、各ビルに設けられている各動力機器、各電気機器などの動作を監視、制御させる一方で、これら各動力機器、各電気機器などに何らかの異常が発生したときには、監視制御装置4によって警報画面を表示させ、中央監視室内に居るオペレータなどに異常内容を知らせる。そして、警報画面が予め登録された種類の警報画面であるときには、警報画面を添付させた電子メールを生成させ、監視制御装置4→WWWサーバ5→インターネット回線6→受信メールサーバ7→携帯電話局8→携帯端末装置9なる経路で、携帯端末装置9に電子メールを送信させて警報画面を画面表示させ、専門の管理者に適切な対処を取らせるようにする。
【0012】LAN2は、監視制御対象となっているビル内、あるいは複数のビルを結ぶように敷設されるイーサネット(登録商標)ケーブル10などによって構成されており、監視制御装置4から制御データが送出されたとき、これを取り込んで、各伝送端末装置3に供給し、またこれら各伝送端末装置3から状態検知データが出力されたとき、これを取り込んで監視制御装置4に供給し、また監視制御装置4から電子メールが送出されたとき、これを取り込んでWWWサーバ5に供給する。
【0013】各伝送端末装置3は各ビルの所定場所に配置されており、ビルの各部に配置された各センサから出力される測定データを取り込んで、ビル各部に設けられた各動力機器、各電気機器の動作状態などを示す状態検知データを生成して、これをLAN2上に送出し、またLAN2上に制御データが送出されたとき、これを取り込んで制御信号を生成し、ビルの各部に配置された各動力機器、各電気機器の動作を制御する。
【0014】監視制御装置4は、ビルに設けられた中央監視室などに配置されており、LAN2上に送出された各状態検知データを取り込んで、各ビルに設けられた各動力機器、各電気機器の稼働状態などを示す監視画面を表示し、また予め設定されている設定値と各状態検知データなどで示されるプロセス値とを一致させるのに必要な制御データを生成し、これをLAN2上に送出する。またLAN2上に状態検知データが送出されているとき、これを取り込んで各動力機器、各電気機器の動作状態を示す監視画面の内容を更新する。またこれら各動力機器、各電気機器に何らかの異常があるとき、異常内容を示す警報画面を表示して、中央監視室内にいるオペレータに異常内容を知らせるとともに、警報画面を画像ファイルに保存させる。さらに警報内容が予め設定されている管理者対処警報であるとき、画像ファイルに保存されている警報画面を添付した電子メールを作成するとともに、この電子メールに予め登録されている電子メールアドレス(専門の管理者が携帯する携帯端末装置9を送信先とする電子メールアドレス)を付加して、LAN2上に送出する。
【0015】WWWサーバ5は、ビル内の所定場所に配置されており、インターネット回線6を介して、ダウンロード要求が供給される毎に、記憶しているホームページ内容を読み出して、インターネット回線6上に送出し、ダウンロード要求先に供給し、またLAN2上に電子メールが送出されたとき、これを取り込んで、インターネット回線6上に送出し、専門の管理者が携帯している携帯端末装置9に対応する受信メールサーバ7に受信させる。
【0016】携帯端末装置9は、専門の管理者によって常時、携帯されているノート型パソコン、携帯電話機などによって構成されており、予め契約している携帯電話会社、あるいはプロバイダの受信メールサーバ7に、携帯端末装置9を送信先とする電子メールが取り込まれて、携帯電話局8から呼び出しがあったとき、携帯電話局8と携帯電話回線を確立して、受信メールサーバ7から電子メールを取り込むとともに、この電子メールに添付されている警報画面をグラフィカルに表示して、専門の管理者に警報内容を知らせ、適切な対処を取らせる。
【0017】次に、図1に示すブロック図、図2に示すフローチャートを参照しながら、監視制御システム1の動作を説明する。
【0018】まず、各伝送端末装置3によって、各ビルの各部に配置された各センサから出力される計測データが取り込まれて、各ビルの各部に配置された各動力機器、各電気機器などの動作状態を示す状態検知データが生成され、これが各伝送端末装置3→LAN2→監視制御装置4なる経路で、監視制御装置4に供給される。
【0019】そして、この監視制御装置4によって、各伝送端末装置3から供給された各状態検知データが解析され、各ビルに配置されている各動力機器、各電気機器の動作状態を表示している監視画面の内容が更新される。
【0020】また、この動作と平行し、監視制御装置4によって、予め設定されている各設定値と、各状態検知データを解析して得られた各動力機器、各電気機器の各計測値とが各々、比較されて、これらを一致させるのに必要な制御データが生成され、これが監視制御装置4→LAN2→各伝送端末装置3なる経路で、各伝送端末装置3に供給される。
【0021】そして、これら各伝送端末装置3によって、監視制御装置4から供給された制御データに応じた制御信号が生成されるとともに、この制御信号に基づき、各動力機器、各電気機器が制御される。
【0022】さらに、これらの各動作と平行し、図2に示すフローチャートに示すように、監視制御装置4によって、メールアドレス更新指示が入力されているかどうかがチェックされ、中央監視室内にいるオペレータによって、監視制御装置4が操作されて、専門の管理者が携帯している携帯端末装置9の電子メールアドレスとともに、メールアドレス更新指示が入力されているとき(ステップST1)、電子メールアドレスが取り込まれて、メールアドレス帳ファイルに登録される(ステップST2)。
【0023】また、監視制御装置4によって、通報設定更新指示が入力されているかどうかがチェックされ、中央監視室内にいるオペレータによって、監視制御装置4が操作されて、専門の管理者に通報しなければならない警報画面の番号とともに、通報設定更新指示が入力されているとき(ステップST3)、警報画面の番号が取り込まれて、通報設定ファイルに登録される(ステップST4)。
【0024】この後、監視制御装置4によって、各伝送端末装置3から出力される各状態検知データが解析され、各動力機器、各電気機器のいずれかが異常になっていると判定されると(ステップST5)、この監視制御装置4によって、異常内容を示す警報画面が作成されて、これがグラフィカルに表示され、中央監視室内に居るオペレータに異常内容が知らされるとともに(ステップST6)、これが画像ファイルに保存される(ステップST7)。
【0025】次いで、監視制御装置4によって、今回、生成された異常画面の番号が通報設定ファイルに登録されている各番号のいずれかと一致しているかどうかがチェックされ、異常画面の番号が通報設定ファイルに登録されている各番号のいずれかと一致しているとき(ステップST8)、メールアドレス帳ファイルに登録されている電子メールアドレスが読み出され、この電子メールアドレスを送信先とする電子メールが生成されるとともに、画像ファイルに保存されている異常画面が読み出されて、電子メールに添付される。
【0026】この後、監視制御装置4によって、監視制御装置4→LAN2→WWWサーバ5→インターネット回線6→受信メールサーバ7→携帯電話局8→携帯端末装置9なる経路で、携帯端末装置9に電子メールが供給されて、この電子メールに添付されている警報画面がグラフィカルに表示され、専門の管理者に警報内容が知らされる(ステップST9)。
【0027】これにより、専門の管理者により、異常状態を解消するのに必要な処置が検討され、携帯端末装置9、あるいは携帯電話機などにより、中央監視室内にいるオペレータに処置手順などが知らされて、異常状態を解消するのに必要な適切な処置が行われる。
【0028】このように、この実施形態では、LAN2を介して、監視制御装置4と、各伝送端末装置3とを連携させて、各ビルに設けられている各動力機器、各電気機器などの動作を監視、制御させ、これら各動力機器、各電気機器などに何らかの異常が発生したとき、監視制御装置4によって、警報画面を表示させ、中央監視室内に居るオペレータなどに異常内容を知らせるとともに、警報画面が予め登録された種類の警報画面であるとき、警報画面を添付させた電子メールを生成させ、監視制御装置4→WWWサーバ5→インターネット回線6→受信メールサーバ7→携帯電話局8→携帯端末装置9なる経路で、携帯端末装置9に電子メールを送信させて、警報画面を画面表示させ、専門の管理者に適切な対処を取らせるようにしているので、中央監視室などに専門の管理者が居ないときでも、警報画面の内容などを専門の管理者に見せて、適切な対処を指示させることができ、これによって監視制御対象となっているビルなどで、重大事故などが発生しないようにさせることができる。
【0029】また、この実施形態では、通報設定ファイルに通報対象となる警報画面の番号を事前登録させ、各動力機器、各電気機器のいずれかが異常になっていると判定されて生成された異常画面の番号が通報設定ファイルに登録されている各番号のいずれかと一致しているとき、電子メールに警報画面を添付して、専門の管理者が携帯する携帯端末措置9に送信させるようにしているので、中央監視室に居るオペレータでも、対処可能な警報が専門の管理者に通報されないようにすることができ、これによって管理者の負担を軽減させながら、重大な事故に結びつく警報画面のみを専門の管理者に通報させて、適切な対処を指示させ、監視制御対象となっているビルなどで、重大事故などが発生しないようにさせることができるなお、上述した実施形態では、監視制御装置4からLAN2上に電子メールが送出されたとき、WWWサーバ5によって、これを取り込ませて、インターネット回線6上に送出させるようにしているが、LAN2に送信メールサーバが接続されているときには、この送信メールサーバによって、LAN2上に送出された電子メールを取り込ませ、インターネット回線6上に送出させるようにしても良い。
【0030】このようにしても、上述した実施形態と同様に、中央監視室などに専門の管理者が居ないときでも、警報画面の内容などを専門の管理者に見せて、適切な対処を指示させることができ、これによって監視制御対象となっているビルなどで、重大事故などが発生しないようにさせることができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、中央監視室などに専門の管理者が居ないときでも、警報画面の内容などを専門の管理者に見せて、適切な対処を指示させることができ、これによって監視制御対象となっているビルなどで、重大事故などが発生しないようにさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による監視制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】従来から知られている監視制御システムの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:監視制御システム
2:LAN
3:伝送端末装置
4:監視制御装置
6:インターネット回線
7:受信メールサーバ
8:携帯電話局
9:携帯端末装置
10:イーサネットケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 メールアドレスが登録され、監視制御対象となっている各機器に何らかの異常が発生して、警報が発せられたとき、警報画面を作成するとともに、前記メールアドレスを送信先とする電子メールを作成し、この電子メールに前記警報画面を添付して、電子メール回線に送出する監視制御装置、を備えたことを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】 メールアドレスが登録され、監視制御対象となっている各機器に何らかの異常が発生して、警報が発せられたとき、警報画面を作成するとともに、前記メールアドレスを送信先とする電子メールを作成し、この電子メールに前記警報画面を添付して、電子メール回線に送出する監視制御装置と、前記電子メール回線上に、自己を送信先とする電子メールが送出されたとき、前記電子メールを受信して、この電子メールに貼付されている前記警報画面を表示する携帯端末装置と、を備えたことを特徴とする監視制御システム。
【請求項3】 請求項1または2に記載の監視制御システムにおいて、前記監視制御装置は、各警報画面のうち、通報設定で指定されている警報画面を生成したとき、前記メールアドレスを送信先とする電子メールを作成し、この電子メールに前記警報画面を添付して、電子メール回線に送出する、ことを特徴とする監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2003−51085(P2003−51085A)
【公開日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−239458(P2001−239458)
【出願日】平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(391017540)東芝アイティー・コントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】