説明

監視弁、削岩装置、およびそのような監視弁および削岩装置用の少なくとも2つの油圧アクチュエータの制御方法

本発明は、少なくとも2つの油圧アクチュエータを制御する方法、監視弁および削岩装置に関する。監視弁(10)は、検出チャネル(9)を介して第1のアクチュエータの入力チャネルに接続され、第2のアクチュエータの負荷検出回路(6')を制御する。負荷検出回路(6')の圧力はバネ要素(12)の力によって設定され、差圧検出により監視弁の制御要素(42)によってバイアスされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本願の独立請求項の前段に記載されるものに関する。
【発明の背景】
【0002】
負荷検出回路および弁は、油圧システムでますます使用されている。この種の弁は、油圧回路に接続されるいくつかのアクチュエータを有する油圧回路に、1つの油圧ポンプのみが必要な流れおよび圧力を提供する状況において使用することができる。負荷検出弁により、各アクチュエータを個々に制御することが可能である。アクチュエータの最大圧力は、負荷検出管路の圧力を制限するパイロットリリーフ弁を介して制御することができる。
【0003】
2つの異なるアクチュエータが、圧力関係によって関連付けられる場合、第1のアクチュエータ圧力は、監視弁を用いて第2のアクチュエータ圧力を制御することができる。監視弁は、第1のアクチュエータの圧力を検出して、第2のアクチュエータの負荷検出圧力を画成する。不運なことに、ほとんどの監視弁は、第2の回路から第1の回路への許容できないリークを引き起こし、したがって、第1のアクチュエータの流れ制御を修正する。またこれらは、大きなヒステリシスを示し、そのため、圧力制御にこれらを使用することが困難である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、圧力媒体動作アクチュエータを制御するための新規で改善された弁および制御システムを提供することである。別の目的は、削岩を制御するための新規で改善された方法を提供することである。
【0005】
本発明の方法は、監視弁に導かれる基準圧力を制御して、第1のアクチュエータの特定の圧力レベルを画成して、そのレベルより上において、圧力比制御は活性化されることを特徴とする。
【0006】
本発明の弁は、以下を特徴とする。すなわち、弁のスライドは少なくとも1つのカラーを有し、スリーブがスライドの回りに配され、、本体は空間を有し、空間の内部をカラーおよびスリーブが移動し、スリーブの外縁を本体に対して密閉し、スリーブの内縁をスライドに対して密閉し、スリーブは、スリーブの両側に第1のチャンバおよび第2のチャンバを画成し、チャンバは互いに接続されておらず、第1のチャンバは、少なくとも第1の圧力チャネルに接続され、第2のチャンバは、少なくとも第2の圧力チャネルに接続され、スリーブは、チャンバ内部の圧力差に応じて、第1または第2の走行方向に移動し、1つの走行方向でスリーブは、カラーに当接したときに、スライドの軸方向位置に作用する。
【0007】
本発明の削岩装置は、基準圧力チャネルが監視弁に接続され、基準圧力の制御によって、送り装置の特定の圧力レベルを画成し、そのレベルより上で、送り装置圧力は、打撃装置への圧力比制御を活性化することを特徴とする。
【0008】
本発明の本質的な概念は、油圧動力を少なくとも1つのポンプを用いて油圧回路に与え、油圧流および油圧を所望の方法で、油圧回路に接続された少なくとも2つの油圧動作アクチュエータ、すなわち第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに導くことである。
【0009】
両方のアクチュエータに少なくとも1つの圧力流体チャネルを設け、少なくとも1つの流体チャネルに補償器弁を設けて、アクチュエータの実際の流れおよび圧力を制御してもよい。監視弁は、検出チャネルを通して、第1のアクチュエータの入力チャネルに接続され、第2のアクチュエータの負荷検出回路を制御する。負荷検出回路の圧力は、バネ要素の力によって設定され、監視弁の制御要素を用いて、差圧検出によりバイアスされる。
【0010】
本発明によれば、システムの2つのアクチュエータの間の圧力関係を、多目的かつ正確な方法で調整することがいまやできるという利点がある。本発明の監視弁のさらなる利点は、電気部品を必要としないその単純な油圧機械構造である。監視弁はこのように安価で信頼性のある部品とすることができる。
【0011】
削岩装置では、監視弁を用いて、打撃圧力の下限を適切に調節し、ドリル送りの圧力を検出し、送り圧力の変動に比例して打撃圧力を変えることが可能である。2つのリリーフ弁に基づいた特定の直列接続により、打撃圧力を変えずに、送り圧力を微妙に調節することが可能である。
【0012】
本発明は添付の図面に、より詳細に記載されている。
【0013】
図において本発明は、明確化のために単純化されて示されている。類似の部分は、異なる図面において同じ参照数字を付す。
【発明の詳細な説明】
【0014】
図1に示す油圧回路は、固定容量型ポンプまたは可変容量型ポンプとすることができる少なくとも1つのポンプを含む。固定容量型ポンプは一定容積流を与える。油圧回路に供給される圧力および流れは、必要ならば、ポンプによって供給される流れの一部を直接タンクに、三方補償器弁(図示しない)を通して送ることにより制御される。
【0015】
図1はとくに、一体化された負荷検出制御要素を有する可変容量型ポンプ1を示し、ポンプが供給する流れおよび圧力を制御する。制御要素は、たとえば圧力動作とすることができる。圧力リリーフ弁2をポンプ1からのチャネルに配置することができ、ポンプ1からの圧力が所定の値を超えたならば、タンクへの接続を開く。このようにして、起こりうる圧力衝撃を避けることが可能である。
【0016】
少なくとも2つのアクチュエータ4,4'が油圧回路に接続され、ポンプ1によって生成された油圧流れが制御スプール3,3'を通してアクチュエータ4,4'に導かれる。制御スプール3,3'は、人により、油圧により、または電気的に作動させることができる。明確化のために、両方のスプール3,3'は、その活性化された位置にある状態で示す。さらに、アクチュエータ4,(4')に通じるチャネルにある少なくとも1つの補償器弁5,(5')は、アクチュエータ4,(4')に導かれる油圧流れ/圧力を調節する。負荷検出回路6,6'は、制御スプール3,3'および絞り弁7,7'により、アクチュエータ4,4'の供給管路の圧力を検出する。負荷検出回路6,6'は、さらに補償器弁5,5'に接続され、可変容量型ポンプを制御する。負荷検出回路6,6'は、圧力リリーフ弁8,8'を含むこともできる。
【0017】
図1において、第1のアクチュエータ4に通じる入力チャネルは、検出チャネル9を介して監視弁10に接続される。監視弁10は、さらに第2のアクチュエータ4'の負荷検出回路6'に接続される。図1A,図1B,図1Cは、可能な現にある監視弁を示し、それぞれリリーフ弁、シーケンス弁およびカウンタバランス弁であり、本発明の弁によって克服されるさまざまな欠点を有する。
【0018】
図2は、本発明の監視弁10およびその油圧回路への接続を示す。監視弁10は、圧力リリーフ弁と似ている基本的な構造を有する油圧弁とすることができる。監視弁10は、第2のアクチュエータ4'の負荷検出回路6'と、検出チャネル9を介して第1のアクチュエータ4の入力チャネルとに接続される。負荷検出回路6'の圧力が所定の限界値を超えるならば、それによって、所定の反対力たとえばバネ12が生成する力を超える力が与えられて、スプールを方向Aの方へ移動させ、その結果、負荷検出回路6'から排出チャネル11への接続を開く。さらに、弁は制御要素42を有し、制御要素42は、負荷検出回路6'と排出チャネル11との間の接続を開くことに影響を及ぼす。検出チャネル9の実際の圧力および基準チャネル40の油圧が制御要素42に作用する。検出チャネル9の圧力が、基準チャネル40の圧力より高いとき、制御要素42はその力をバネ12の力に加えて、排出チャネルへの接続が開くことを防ぎ、この結果、負荷検出回路6'の圧力が増大する。
【0019】
図3は、本発明の監視弁10の構成を示す。弁は、本体26、および本体26の空間に配置された長尺状のスライド20を含むスプール弁とすることができる。スライド20の断面プロファイルは、実質的に丸くすることができ、スライドは、第1の端部および第2の端部を有し、その直径は実質的に等しくしてもよい。スライド20の第1の端部は本体26に対して、たとえば着脱可能な支持スリーブ32によって実質的に気密に密閉される。スライド20の第2の端部は、その外縁で、本体26の内径27に対して密閉される。圧力空間28を、本体26の密閉された端部の間に形成してもよい。
【0020】
さらに、スライド20の中間部は、この圧力空間28に配されたカラー23を含んでもよい。カラー23の直径は、スライドの第1および第2の端部の直径よりも大きい。他方で、カラー23が圧力空間28の壁に接触しないように、カラー23の直径は圧力空間28の直径より小さい。このため、カラー23は、圧力空間28の圧力流体の流れを制限しない。スライド20が図3でその最も右側の位置にあるときに、カラーが圧力空間28の端面29に押し当てられて留まるように、スライド20の移動は方向Bの方へ制限される。さらに、長尺状のスリーブ42は、すでに図2の制御要素について示したように、スライド20の周りに配される。スリーブ42は圧力空間28を軸方向に移動可能である。スリーブ42の内縁は、第1の端部側でスライド20に対して密閉される。スリーブ42はしたがってスライド20から独立に軸方向に移動することができる。スリーブ42の外縁は、本体26に対して密閉される。そのとき前部チャンバ31は、スリーブ42の第1の端部側に位置し、後部チャンバ30は第2の端部側にある。密閉により、チャンバ31,30は互いに接続されない。さらに、油圧チャネル9,40は、圧力空間28に通じる。前部チャンバ31は検出チャネル9に接続され、後部チャンバ30は基準チャネル40に接続される。
【0021】
スライド20の第1の端部側で、後部本体41はチャンバ34を形成し、そこにバネ12を配することができ、バネ12は、圧縮バネ、または他のなんらかのバネ要素または同様の動作を可能とする力要素とすることができる。
【0022】
スライド20の第1の端部およびバネ12は、互いに直接接触するか、もしくはそれらの間にシムまたは他のなんらかの接続要素35を有することとしてもよい。監視弁はさらに制御要素36を含み、バネ12の力を制御する。制御要素36は、バネ12を圧縮するための、すなわちプレテンションするための調節ネジ43、および調節ネジ43を所定の位置に固定する固定ナット44によって位置決めされる。図3の状況では、バネ12は、スライド20を方向Bにその最も右側位置まで、すなわちカラー23が圧力空間28の端面29に押し当てられるように、押している。
【0023】
図3にさらに示すように、スライド20の第2の端部の端面は、負荷検出回路6'に通じるチャネルに接続される。さらにスライド20の第2の端部がそれに対して密閉されている内径27は排出チャネル11に接続している。スライド20は、チャンバ34を排出チャネル11に接続する長さ方向のチャネル24を有することもできる。起こりうるリークフローは、チャネル24の中をタンクまで流れることができる。
【0024】
図3に示される監視弁10は、圧力リリーフ弁のように動作する。負荷検出回路6'の圧力がスライド20を方向Aの方へ押したとき、排出チャネル11と負荷検出回路6'との間の接続が開く。スライド20が方向Aの方へ移動して排出チャネル11への接続を開くことを防ぐ力が強いほど、負荷検出回路6'で形成される圧力は、高い。チャンバ30,31の実際の圧力は、スライド20の位置に直接影響することはなく、スリーブ42の位置に影響するのみである。スリーブ42が、次にスライド20の位置に影響を与える。スリーブ42は、後部チャンバ31および前部チャンバ30に対して2つの実質的に等しい圧力面を有する。検出チャネル9の圧力が基準チャネル40の圧力より低い場合、スリーブ42は方向Aの方へ移動して支持スリーブ32に当たる。検出チャネル9の圧力が基準チャネル40の圧力より高い場合、スリーブ42は移動してスライド20のカラー23に接する。そのときスリーブ42を方向Bの方へ押す力は、バネ12の力とともに、スライド20が方向Aの方へ移動することを防ごうとする。スライド20は排出チャネル11への接続を開くことを妨害するため、負荷検出回路6'は、より高い実際の圧力を有する。
【0025】
検出チャネル9および負荷検出回路6'における実際の圧力変動比は一定のままである。圧力比の大きさは、監視弁10の内部構造に依存する、すなわち、この場合は、スライド20の第2の端部の端部面積とスリーブ42の端部面積の比に依存する。監視弁10では、圧力比は非常に広い範囲で、たとえば1:3〜3:1の範囲で形成することができる。内径28および27の寸法を変えることにより、さまざまな圧力比を有する監視弁を形成することが可能である。監視弁の圧力比は、上記の有効な面の間の比として画成される。さまざまな圧力比を有する監視弁を油圧システムに取り付けることにより、第2のアクチュエータに対する第1のアクチュエータの比制御を変えることが可能である。
【0026】
図3に示される構成の利点は、スライド20とその内径27との間の円筒形の取付けと円筒形の密閉により、スライド20が負荷検出回路6'に正確な圧力値を与えるということである。従来技術の弁では、いわゆる「ボールとシート」または「パペットとシート」タイプの構成(通常、たとえばオーバセンタ弁において使用されるように)は有害なヒステリシスを起こす。従来技術のオーバセンタ弁におけるヒステリシスの他の理由は、ピストンおよびスライドに取り付けられた多くの運動用シールである。この特別な理由のため、本発明ではスプール20および制御要素13は内部または外部シールなしで設計される。1つのチャンバから他方のチャンバへのリークは、移動部品と内径との間の小さなすきまによって制限される。
【0027】
負荷検出回路6'は排出チャネル11へ流れるように配置されるため、圧力流体は、負荷検出回路6'から、スライド20の中間部にさらに離れて配置されたチャンバ30またはチャンバ31へ流れることはない。したがってチャンバ30または31へ接続される油圧チャネルは、回路6'からの可変負荷検出流れによって乱されることはない。チャンバ30および31は実質的に漏れなしと考えることができる。移動部品20,42と内径27,28との間のすきまによって制御されるごくわずかな漏れのみが起こるかもしれない。
【0028】
監視弁10の詳細な構造は、図3に示される構成から異なっていてもよいことに注意すべきである。当業者は、本発明の原理に従って他の方法で監視弁を構成することができる。したがってスライド20の形、チャネル9,40,11,6'および力要素12の配置は、図に示されるものと別の方法で構成することができる。たとえば監視弁10を予備設定するために、圧力アキュムレータまたは電気アクチュエータなどの、バネ以外の他の力要素を用いることが可能である。
【0029】
図4,5Aおよび5Bは、検出チャネル9で検出された圧力によって、負荷検出回路6'に監視弁10を介して引き起こされる圧力関係を、曲線100によって示す。検出チャネル9の圧力は水平軸に示され、負荷検出回路6'の圧力は垂直軸に示される。バネ12の力を調節することにより、最小負荷検出圧力、すなわち曲線100の水平部分を設定する。曲線100が一定圧力曲線から圧力比曲線に変わる点に図ではSを付す。この点Sは、監視弁10のスリーブ42が負荷検出回路6'の圧力に影響し始める状況を示す。点Sの位置は、基準チャネル40の圧力がどの程度高いかに依存する。図5Aでは基準チャネル40の圧力はゼロであり、そのため点Sは垂直軸上にあり、対応する曲線は垂直軸を正の値のところで切断することができるのみである。基準チャネル40の圧力が、図5Bに示すように、十分高いときは、曲線の、点線の延長101は、負の値のところで垂直軸を切断することができる。本発明の監視弁10を使用すると、点Sの位置を、基準チャネル40の圧力を調節することにより自由に選択することができる。一方、従来技術の弁では、点Sの位置は図5Aの位置に限定される。
【0030】
図6は、本発明の監視弁10の他の構成を示し、図6Aは、対応する油圧図記号を示す。
【0031】
図3と異なって、スライド20のカラー23が、後部チャンバ30ではなくて、前部チャンバ31で移動するように、監視弁10を構成することができる。図3の状況と比較すると、スライド20を反対の方向へ押すことにより、スリーブ42は動作する。さらに基準チャネル40および検出チャネル9の位置は逆である。検出チャネル9の圧力が基準チャネル40の圧力より高くなると、スリーブ42は、バネ12により与えられる力を減らし始める。
【0032】
図6Bは曲線102によって、検出チャネル9で検出される圧力により負荷検出回路6'で引き起こされる監視弁10を介した圧力関係を示す。これは図6Bにおいて点Sを付すことにより示され、ここで、曲線102、すなわち、負荷検出回路6'の圧力は減少し始める。
【0033】
図7は削岩機70の側面図を示す。本発明の監視システムおよび監視弁10は、削岩機70の油圧アクチュエータの制御に適用することができる。これらのアクチュエータは打撃装置71および回転装置72を含む。さらに,削岩機70の1つのアクチュエータは送り装置73であり、これによってドリルは送りビーム74上を移動する。送り装置73は、たとえば油圧シリンダもしくはモータとすることができる。
【0034】
図8は、削岩装置を制御する監視弁10を含む油圧ダイアグラムを示す。この図8はほぼ図1と似ているが、両方の方向に作用するアクチュエータのための2つの出口を有するスプール3'は、打撃装置71に適した1つの出口を有する似ているスプールに単純化されている。図8では、送りアクチュエータ73に接続される検出チャネル9の圧力に依存する監視弁10を介して打撃装置は制御される。監視弁は図4に従った応答を与えるように設定される。点Sの正確な設定は、なんらかの圧力装置によって基準チャネル40を設定することにより行われる。一例として、追加の軽減要素81を有する圧力減少弁80を図8に示す。この種類の弁80は、本発明の範囲を逸脱しない範囲でソレノイド制御比例弁またはサーボ弁などの電気作動弁を含むどのような種類の圧力弁も使用することができるが、浪費するものは不可である。
【0035】
図8に従った装置では、リリーフ弁8に対する1つの動作のみが、直接、送り圧力に影響を及ぼし、同時に監視弁10を介して打撃圧力に影響する。
【0036】
図8は改善策も示す。可変絞り弁82がスプール3と送りアクチュエータ73との間の送り管路に含まれる。検出チャネル9は直接送りアクチュエータ入口に接続され、そのため監視弁10は、アクチュエータに加えられる正確な送り圧力を検出する。この実施例ではリリーフ弁8によって制御される補償器弁5は実質的に一定の送り圧力を生成し、絞り弁82は、送りアクチュエータによって消費される流れの2乗に比例する圧力降下を生成する。したがって削岩機の掘進率の増加は、第1に、送りアクチュエータ73の圧力の減少において、削岩パラメータに影響する。第2のかつ同時の動作として監視弁10は打撃圧力を減らす。上記の説明で述べたように、検出チャネル9はどのような流れの影響も受けにくい。この特別な特徴により、リークフローまたは負荷検出流れが、絞り弁82から送りアクチュエータ73への流れを悪くすることが確実にない。図8に従った弁装置は、掘進率に敏感であり、掘進率に応じて送り圧力変動および打撃圧力変動を決める。
【0037】
図8に示される装置では、リリーフ弁8に対する1つの動作のみで送りおよび打撃圧力を、正しい圧力比で同時に増やしてもよい。しかし、従来技術の油圧回路では、2つの圧力を別個に設定しなければならなかった。本発明では、掘進率を増やして、実際の送り圧力を減らし、送り圧力の減少に伴い、打撃圧力が所定の比で減る。
【0038】
図9は第2の改善策を示す。負荷検出回路6は、図8に示す1つのみのリリーフ弁8と異なり、直列の2つのリリーフ弁83および84に接続される。監視弁10の基準チャネル40は、2つのリリーフ弁83および84の間に接続される。前の図8で説明したように、この実施例ではリリーフ弁83に対する1つの動作のみで、同時に送り圧力および打撃圧力に作用する。さらに図9の実施例では、リリーフ弁83に対する1つの動作のみで、監視弁10に対する送り圧力および基準圧力を同時にバイアスし、したがって、検出管路9と基準管路40との間の圧力差を、少なくとも実質的に一定に維持し、打撃圧力に影響を与えずにおく。
【0039】
図9に示される装置では、操作者は弁84を調節することができるようにしてもよく、打撃圧力およびそれに従った送り圧力変動は掘進率によって単に制御される。操作者は送り圧力を細かく合わせることができるのみであり、操作者は打撃圧力に影響を及ぼすことはない。他方で、打撃圧力は掘進率のみで制御され、掘進率の検出は、可能な調節よって影響されず、また送り圧力に対して操作者によって決定される細かい合わせによって影響されない。
【0040】
図10は、送り圧力の二重制御を示し、1つの制御のみが打撃圧力に影響する。水平軸は送り圧力を示し、垂直軸は打撃圧力を示す。最小打撃圧力(最小)は監視弁10のバネ12によって設定される。送り圧力が、リリーフ弁84によって設定される圧力値P40より低いならば、打撃圧力は最小値で一定状態である。送り圧力が閾値P40より高いならば、送り圧力のどんな変動も所定の比で打撃圧力の変動を引き起こし、曲線90の斜め部分Cがこの依存性を示す。斜め部分は、監視弁10の圧力比に相当するある角係数を有する。
【0041】
図10は、本発明のシステムは、打撃圧力に影響を与えずに、送り圧力を細かく調節することを可能にすることも示す。リリーフ弁83に触れないと仮定すると、図10の三角形STUは一定のままである。リリーフ弁84により基準圧力を変えることにより、三角形STUは矢印Dに沿って前後に移動する。送り圧力は変化可能であるが、打撃圧力は一定であることを理解することは非常に容易である。送り圧力のこの微妙な調節は、より小さいまたはより大きいビットのために、半球形または弾道形カーバイドボタンのために、再研削されたまたは磨耗したカーバイドボタンのために、および同種のもののために送り力を最適化するために必要としてもよい。
【0042】
図10および11の両方とも、スプール3と送りアクチュエータ73との間に絞り弁82を有するシステムは、たとえば、やわらかい岩または空洞を通して削岩するときは、掘進率に対して感度がよいことを示す。掘進率が増えると、送り装置73は、絞り弁82に対して圧力流体のより多い流れを必要とする。絞り弁82に対する流れが増えると、絞り弁82によって引き起こされる圧力低下は増える。送り圧力は図11の曲線95に従って減少する。そして本発明の監視弁10は、打撃圧力に曲線96に従って減少することを強いる。したがって、岩の堅さや掘進率に関わらず、不必要な応力が、ドリルおよび、これに配置された削岩機器に加わることがない。
【0043】
図12は、削岩機70の部分的油圧概略図を示す。これは図9のすべての要素を含む。さらに、いくつかの特別な弁および絞り弁が、完全な削岩プロセスに必要ないくつかの補助機能を行う。
【0044】
第1に、チェック弁を含む電磁弁91は、バイパスとして絞り弁82に接続される。弁91により、たとえばロッドを引くときに、早い送りの戻り運動、および早い送りの前進運動が可能である。
【0045】
第2の改善策は、電磁弁92であり、これは監視弁10を使用可能/使用禁止にするように接続され、その結果、操作者は、監視弁10によって引き起こされる圧力限界を覆すことができる。この機能は、たとえばドリルストリングを削孔から戻す前に、最大打撃圧力であるが送り圧力がゼロのときに急速にドリルストリングを解放するために必要である。
【0046】
第3の改善策は、両方の送り方向で監視弁10を活性化するために、送りアクチュエータ73の両側に2つの検出チャネル93および94を導入することである。
【0047】
第4の可能な改善策は、スプールの長さ方向の位置を変える絞り弁82の領域を減らすために、絞り弁82をスプールの順送り型スロットとして形成することである。扱いにくい岩を通して削岩するときに絞り弁領域を制限するために、スプール位置を、バネ、および両方の端部に加わる2つの油圧によってバイアスしてもよい。
【0048】
図および関連する説明は、本発明の概念を示すことのみを意図している。本発明は、特許請求の範囲内で具体的に変更してもよい。したがって、アクチュエータを1つずつ監視する本発明の原理を用いることにより、1つの油圧回路に接続されるいくつかのアクチュエータを制御することが可能である。さらに、本発明の方法、装置および監視弁を、互いに制御される少なくとも2つの圧力媒体動作アクチュエータを有する他の装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、従来技術に関わる圧力媒体回路の概略図である。
【図1A】、
【図1B】および
【図1C】図1A、1Bおよび1Cは、従来技術に関わる監視弁の概略図である。
【図2】図2は、本発明の監視弁の概略図である。
【図3】図3は、本発明の監視弁の構成の側面断面図である。
【図4】、
【図5A】および
【図5B】図4、5Aおよび5Bは、本発明の監視弁の動作原理の概略図である。
【図6】、
【図6A】および
【図6B】図6は側面断面図であり、図6Aは概略図であり、図6Bは、本発明の弁の第2の実施例の動作原理を示す。
【図7】図7は、削岩装置の断面の概略側面図であり、本発明の方式をその制御に用いることができる。
【図8】図8は、削岩装置の油圧回路の概略図であり、本発明の監視弁が、その回路に配されている。
【図9】図9は、削岩装置の油圧回路の概略図であり、改善された送りおよび打撃が設定されている。
【図10】図10は、削岩機の衝撃および送り圧力の制御に対する本発明の監視弁の効果の概略図である。
【図11】図11は、掘進率に関する衝撃および送り圧力の制御に対する本発明のシステムの効果の概略図である。
【図12】図12は、穴を開けるために必要な追加の要素を有する削岩機の部分的油圧ダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の油圧アクチュエータおよび第2の油圧アクチュエータの動作の制御方法であって、
監視弁(10)によって、該第2のアクチュエータに導かれる圧力媒体の最小または最大圧力を設定し、
前記第1のアクチュエータに導かれる圧力と所定の圧力比で前記第2のアクチュエータに導かれる圧力媒体の圧力を調節することを含む制御方法において、
前記監視弁(10)に導かれる基準圧力を制御して、前記第1のアクチュエータの特定の圧力レベルを画成し、該レベルより上において圧力比制御が活性化されることを特徴とする制御方法。
【請求項2】
本体(26)と、
第1の端部および第2の端部を有し、前記本体(26)の空間に配され、該空間の長さ方向に移動可能な長尺状のスライド(20)と、
該スライド(20)の第1の端部に作用して、該スライド(20)を第1の走行方向(B)に移動させる少なくとも1つの力要素と、
前記スライド(20)の長さ方向の移動によって開閉する少なくとも1つの制御可能なチャネル(6')とを少なくとも含む監視弁において、
前記スライド(20)は少なくとも1つのカラー(23)を有し、
スリーブ(42)が前記スライド(20)の周りに配され、
前記本体(26)は空間を有し、該空間内に前記カラー(23)および前記スリーブ(42)は移動するように配され、
前記スリーブ(42)の外縁は前記本体(26)に対して密閉され、該スリーブの内縁は、前記スライド(20)に対して密閉され、
前記スリーブ(42)は、該スリーブ(42)の対向する両側に第1のチャンバ(31)および第2のチャンバ(30)を画成し、該チャンバ(30,31)は互いに接続されず、
該第1のチャンバ(31)は少なくとも第1の圧力チャネルに接続され、
前記第2のチャンバ(30)は少なくとも第2の圧力チャネルに接続され、
前記スリーブ(42)は、該チャンバ(30,31)内の圧力差に応じて第1の(B)または第2の(A)走行方向に移動し、
1つの走行方向において前記スリーブ(42)は、前記カラー(23)に当接したときに前記スライド(20)の軸方向位置に作用することを特徴とする監視弁。
【請求項3】
請求項2に記載の監視弁において、
前記スリーブ(42)は、前記力要素(12)と同じ側で、前記カラー(23)に当接し、
前記第1のチャンバ(31)は、前記スリーブ(42)の前記力要素(12)側にあり、前記第2のチャンバ(30)は、該スリーブのカラー(23)側にあり、
前記第1のチャンバ(31)は検出チャネル(9)に接続され、
前記第2のチャンバ(30)は基準チャネル(40)に接続され、
前記検出チャネル(9)の圧力が、該基準チャネル(40)の圧力より高いならば、前記スリーブ(42)は前記カラー(23)を介して前記スライド(20)を第1の走行方向(B)の方へ押すことを特徴とする監視弁。
【請求項4】
請求項2に記載の監視弁において、
前記スリーブ(42)は、前記力要素(12)に関して、前記カラー(23)の反対側で該カラー(23)に当接し、
前記第1のチャンバ(31)は前記スリーブ(42)の前記力要素(12)側にあり、前記第2のチャンバ(30)は該スリーブ(42)の反対側にあり、
前記第1のチャンバ(31)は基準チャネル(40)接続され、
前記第2のチャンバ(30)は検出チャネル(9)に接続され、
前記検出チャネル(9)の圧力が前記基準チャネル(40)の圧力より高いならば、前記スリーブ(42)は前記カラー(23)を介して前記スライド(20)を前記第2の走行方向(A)の方へ押すことを特徴とする監視弁。
【請求項5】
請求項2または4に記載の監視弁において、
前記力要素はバネ(12)であり、該バネ(12)の押す力は調整可能であることを特徴とする監視弁。
【請求項6】
請求項2から5までのいずれかに記載の監視弁において、
前記スライド(20)の第2の端部は、前記本体(26)の内径(27)にぴったりと配され、
前記制御可能なチャネル(6')の圧力は前記スライド(20)の第2の端部の端面に作用し、
前記内径(27)は少なくとも1つの横方向排出チャネル(11)に接続され、
前記スライド(20)の第2の端部は、前記制御可能なチャネル(6')と排出チャネル(11)との間の接続を開閉することを特徴とする監視弁。
【請求項7】
請求項2から6までのいずれかに記載の監視弁において、
前記監視弁(10)は、前記検出チャネル(9)の圧力変動に対して所定の比で前記制御可能なチャネル(6')の圧力変動を調節し、
前記監視弁(10)の圧力比は、前記スライド(20)の第2の端部の断面積に対する前記スリーブ(42)の端部面積の比によって決まることを特徴とする監視弁。
【請求項8】
請求項3に記載の監視弁において、
前記スリーブ(42)がスリーブ(42)の前記カラー(23)に前記力要素(12)と同じ側で当接したときに、該スリーブ(42)の動作により前記制御可能なチャネル(6')の圧力は所定の比で増えることを特徴とする監視弁。
【請求項9】
請求項4に記載の監視弁において、
前記スリーブ(42)がスリーブ(42)の前記カラー(23)に前記力要素(12)と反対側で当接したときに、前記スリーブ(42)の動作により、前記制御可能なチャネル(6')の圧力は所定の比で減少することを特徴とする監視弁。
【請求項10】
打撃装置(71)と、
送り装置(73)と、
該打撃装置(71)および該送り装置(73)が接続され、少なくとも1つの油圧ポンプ(1)が油圧を供給する油圧システムと、
それぞれが前記打撃装置および送り装置の動作を調節する、前記打撃装置(71)に通じる前記圧力媒体チャネルにある少なくとも1つの補償器弁(5')、および前記送り装置(73)に通じる前記圧力媒体チャネルにある少なくとも1つの第2の補償器弁(5)と、
前記打撃装置(71)に導かれる前記圧力媒体の最小圧力を設定し、該打撃装置(71)に導かれる該圧力媒体の圧力を、前記送り装置(73)に導かれる前記圧力と所定の比で調節する少なくとも1つの監視弁(10)とを少なくとも含む削岩装置において、
基準圧力チャネル(40)は、前記監視弁(10)に接続され、該チャネルの圧力の制御は、前記送り装置(73)の特定の圧力レベルを提供し、該レベルより上において、前記送り圧力は、前記打撃装置(71)に対する前記圧力比制御を活性化することを特徴とする削岩装置。
【請求項11】
打撃装置(71)と、
送り装置(73)と、
該打撃装置(71)および該送り装置(73)が接続され、少なくとも1つの油圧ポンプ(1)が油圧を供給する油圧システムと、
前記送り装置(73)に通じる前記圧力媒体チャネルにあって、該送り装置の動作を調節する少なくとも1つの補償器弁(5)と、
前記打撃装置(71)に導かれる前記圧力媒体の前記最小圧力を設定し、該打撃装置(71)に導かれる前記圧力媒体の圧力変動を、前記送り装置(73)の圧力変動に対して所定の圧力比で調節する少なくとも1つの監視弁(10)とを少なくとも含む削岩装置において、
基準圧力チャネル(40)が前記監視弁(10)に接続され、該チャネルの前記圧力の制御は、前記送り装置(73)の特定の圧力レベルを提供し、該レベルより上において、前記送り圧力は、前記打撃装置(71)に対する前記圧力比制御を活性化することを特徴とする削岩装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の削岩装置において、
前記送り装置(73)の圧力は、該送り装置(73)の負荷検出回路(6)において、それぞれ負荷検出流れの方向に取り付けた第1のリリーフ弁(83)および第2のリリーフ弁(84)を設定することにより決められ、
前記監視弁(10)の前記基準チャネル(40)は、該第1のリリーフ弁(83)と該第2のリリーフ弁(84)との間に接続され、
該第1のリリーフ弁(83)は、所定の圧力比で前記送り圧力および前記打撃圧力に作用し、
前記第2のリリーフ弁(84)は、前記送り圧力にのみ作用することを特徴とする削岩装置。
【請求項13】
請求項10から12までのいずれかに記載の削岩装置において、
前記削岩装置は、前記送り装置(73)の実際の流れに感度がよい少なくとも1つの絞り弁(82)を含み、
前記絞り弁(82)は前記送り装置(73)への前記送り回路に配されて、前記掘進率に応じて送り圧力変動を引き起こし、
該送り圧力変動は同時に前記監視弁(10)をバイアスして、圧力比で前記打撃装置(71)に対する前記圧力変動を制御することを特徴とする削岩装置。
【請求項14】
請求項13に記載の削岩装置において、
前記送り装置(73)の前記絞り弁(82)は、バネおよび両端の油圧によってバイアスされるスプールに形成され、その結果、扱いにくい岩の削岩のために、前記絞り弁領域は、油圧制御されて、順送りに制限して、その初期事前設定値からゼロ領域まで下げてもよいことを特徴とする削岩装置。

【図1】
image rotate

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2006−505752(P2006−505752A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549220(P2004−549220)
【出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000823
【国際公開番号】WO2004/042192
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(597044472)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK TAMROCK OY
【Fターム(参考)】