監視装置、及び監視システム
【課題】今後の普及が見込まれるIPカメラ、ネットワークカメラを用いた監視カメラにおいてはデータサイズが増大するため、ネットワーク負荷の低減が必要である。また、撮像された人物における異常行動の検出漏れを低減する必要がある。
【解決手段】異常を検出する閾値を設けて、異常行動を検出した映像データだけを監視カメラから異常監視装置に伝送する。その際、閾値に近い行動、例えば異常行動の前兆となる行動をも検知することが望ましい。このため、撮像された画像から特定の人物を認識して異常行動の判定を行い、前記人物の異常行動判定の数値が、異常と判断する閾値から一定の範囲内となる状態を所定の回数重ねた場合、異常判定の閾値を変更する。
【解決手段】異常を検出する閾値を設けて、異常行動を検出した映像データだけを監視カメラから異常監視装置に伝送する。その際、閾値に近い行動、例えば異常行動の前兆となる行動をも検知することが望ましい。このため、撮像された画像から特定の人物を認識して異常行動の判定を行い、前記人物の異常行動判定の数値が、異常と判断する閾値から一定の範囲内となる状態を所定の回数重ねた場合、異常判定の閾値を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視装置、及び監視システムに係り、特に異常行動の検知漏れを低減した監視装置、及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景として特許文献1がある。該公報には、「監視カメラの映像信号を利用した異常監視装置の監視領域設定、演算関数設定などの異常監視条件を、監視カメラの設置現場から、容易に設定出来る画像監視領域の設定方法および異常監視システムの提案」という課題に対して、「監視対象を撮像する監視カメラ1と、映像信号をデジタル画像データに変換生成する画像データ生成手段10、監視領域を設定する監視領域設定部11、監視領域の画像データを演算する画像データ演算部12、画像データ演算部が用いる演算関数を設定する演算関数設定部13、画像演算結果を所定の閾値と比較演算して異常判断を行う異常判断部14、閾値を選択する閾値選択部15、異常判断部14が異常と判断した場合、異常を通知出力する異常通知部16などを有する異常監視装置2と、監視領域の指示を行う領域指示ポインタ」という解決手段を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−6058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今後の普及が見込まれるIPカメラ、ネットワークカメラと称される監視カメラにおいては、映像データの高精細化などによりデータサイズが拡大する事によりネットワーク負荷の低減が必要であり、異常行動を検出した映像データだけを監視カメラから異常監視装置に伝送することが必要となってくる。そのためには特許文献1に記載されている異常監視機能を監視カメラ本体に有することで、異常と判断した映像のみを伝送しネットワーク負荷を改善する事が可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の異常監視装置は閾値選択部15を有するが、その選択部15によって設定される閾値は模擬侵入者などを撮像した画像データを用いて、異常判断閾値が演算出力されるとある。この方法で、映像から確実に異常と判断できる異常行動の検出は可能であるが、異常行動の判定閾値以下の侵入者や異常行動を起こす直前の行動といった異常行動の前兆となる行動を検知することができない。
本発明の目的は前記した課題に鑑み、異常行動の検知漏れを低減した監視装置、及び監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明は、被写体の異常な行動を監視する監視装置であって、
前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部と、該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には外部の装置に対して異常を通知する異常通知部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴としている。
【0007】
また本発明は、被写体の異常な行動を監視する監視システムであって、
前記被写体を撮像しデジタル信号に変換する撮像部と、該撮像部から供給された前記デジタル信号のビットレートを変換する画像処理部と、該画像処理部から供給されたビットレート変換後のデジタル信号を前記監視システムの外部へ送出する外部インタフェース部と、前記画像処理部におけるビットレート変換動作を制御する異常検知部を有し、
該異常検知部は、
前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減し、
該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には、前記画像処理部においてビットレート変換された後の前記デジタル信号のビットレートを増加させるよう前記画像処理部を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異常行動の検知漏れを低減した監視装置、及び監視システムを提供でき、その基本性能の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例である監視システムのブロック図である。
【図2】実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図3】実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図4】実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図5】実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図6】実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図7】実施例3の監視システムのブロック図である。
【図8】実施例4の監視システムのブロック図である。
【図9】実施例4の監視レコーダのブロック図である。
【図10】実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図11】実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図12】実施例5の監視システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一実施例である監視システムのブロック図である。101はカメラ、102は閾値生成部、103は個人認証部、104は異常行動認識部、105は異常度比較部、106は異常行動通知部、107は102〜106を含む監視装置、108はネットワークである。はじめに図1から図4を用いて、本監視システムの流れを説明する。
図1において、カメラ101から映像信号がネットワーク108で示される伝送路を経由して監視装置107に入力される。
【0012】
監視装置107は、入力された映像信号から個人認証部103で特定の個人を認証し、その特定の個人毎の異常行動を異常行動認識部104で認識する。即ち、個人認証部103は異常行動認識部104から供給された映像信号から、例えば色や形状をもとに人の目、鼻、口を検出し、それらの大きさやバランスから特定の個人を認証する。さらに、異常行動認識部104は、同じ位置に長く留まる、一点を見つめる、あばれるなど場所に不相応な異常行動を特定の個人毎に認識して、行動の異常度を求める。さらに閾値生成部102は、異常行動認識部104からの要求に応じて、行動の異常度の閾値レベルを決定する。
【0013】
異常認識部104で判定された特定の個人の異常度と、閾値生成部102によって定められた異常度の閾値を異常度比較部105において、別途図2で説明する方法で比較し、異常と判断された場合に異常通知部106より異常があったことの通知が、ネットワーク108を介して監視者がモニタする異常監視装置(図示せず)に対して行われる。
【0014】
図2は、実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図であり、横軸に時刻、縦軸に異常行動認識部104において得られる異常判断による異常度を示す。図2は、映像から得られる特定の人物の行動と、行動の異常を判定する閾値の関係を示す。プロットされた丸印はある時刻の画像から得た行動の異常度を示しており、白い丸印は閾値A以下と判定された行動の異常度を示している。黒い丸印は閾値A以上と判定された行動の異常度を示している。縦軸は上に行くほど異常度が高い状態を示しており、黒い丸印は異常行動として検出された行動を示している。
【0015】
なお、例えば図2では異常と判定する閾値として閾値Aを設けているが、この閾値の決定方法としては、過去に撮影された異常行動画像を用いて算出する方法や、特許文献1の「設定される閾値は模擬侵入者などを撮像した画像データを用いて、異常判断閾値が演算出力される」という方法から求める事ができる。
【0016】
ここで図2のような閾値Aと、プロット201〜209のような行動の異常度が得られた場合、従来の制御では異常行動と判定される行動は、プロット209のみとなり、プロット201〜204とプロット205〜208は異常行動と判定されない。特にプロット205〜208は閾値Aとの差がごく僅かであるにもかかわらず異常行動とは判定されない。また、閾値の設定が図2の閾値A’であった場合は、プロット209は閾値A’との差がごく僅かであるにもかかわらず、プロット209を含め全てのプロット201〜209が異常行動とは判定されないことになる。このため、異常行動を起こす直前の行動といった異常行動の前兆となる行動を検知することができない場合がある。
【0017】
図3は、実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図2とは別な図である。そこで本実施例では図3で示すように閾値A2を設け、閾値Aから一定範囲の領域の閾値A〜閾値A2に該当する行動の異常度を判定する。この時、閾値A〜閾値A2の範囲で判定されるプロット305〜308で示す異常行動が特定の人物による場合、閾値Aを閾値A2に変更する。この閾値変更の判定には閾値A〜A2の範囲の異常行動が一定回数、図3で示したように例えば3回判定された事をトリガにしている。以上のように特定人物の異常行動を判定する事で、図2で示した閾値変更前は異常行動と判定されなかったプロット205〜208については、図3で閾値Aが閾値A2に変更された後、プロット308が異常行動として判定される。
【0018】
図4は、実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図2や図3とは別な図である。ここで、異常行動の判定を特定の人物とした理由を図4で説明する。図4では、例えば4人の(一例であって、一般的には不特定多数で良い)人物A〜人物Dが異常行動でない通常行動を行うとする。但し、ごくまれに通常の行動が異常行動と判定される場合を想定し、人物Aの行動が偶然に異常行動ぎりぎりのプロット401となり、同様に人物B〜人物Dの行動も閾値Aと閾値A2の間となる異常行動ぎりぎりの行動であるプロット402〜404になったとする。すると閾値A〜閾値A2に該当する異常行動が、まずプロット401〜403で3回連続して判定される。
【0019】
そのため人物を特定せずに判定を行った場合には、異常行動の判定閾値Aを閾値A2に変えることで、人物Dの通常行動であったプロット404が異常行動と判定される誤判定してしまう。そこで本実施例では図4に対してさらに改良して、図1の個人認証部103で特定の個人を認証したうえで個人ごとに異常行動の判定を行う。例えば、特定の人物Aに対する判定閾値は人物Aが3回、閾値Aと閾値A2の間となる行動をした際に、異常行動の判定閾値Aを閾値A2に変えるようにする。人物を特定して異常行動の判定を行うことで、前記したような通常行動が異常行動と判定される事や、異常行動と判定されないよう意識的に控え目な行動をした時に異常行動に近い行動を見逃す事などが低減され、精度良い異常行動の判断が可能となる。
【0020】
なお、図3と図4において、閾値生成部102が閾値をAからA2に変更する際は、異常行動と判定された回数に応じて行うことに限らず、異常行動を続けた期間(時間)に応じて変更するようにしても良い。
また、異常の判定については、監視装置で撮像した映像を用いて判定する例を示した。これに限らず、撮像された人物が発生する音、音声、赤外線、圧力、振動等をセンサで検出して異常の判定を行っても良い。
【実施例2】
【0021】
次に第二の実施例として、異常行動を判断する閾値を時間帯に応じて変化させる場合を示す。
図5は、実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図である。図5では、時刻0時〜9時を閾値Bとし、時刻9時〜24時を閾値Aとしている。即ち、時刻0時〜9時の深夜帯は異常行動の閾値を低くして、時刻9時〜24時の昼間帯の閾値を高く設定している。この例では深夜帯は異常行動を行った場合、その行動が目立つと言うことから異常行動者が自身の行動が異常行動とならないように注意している事を想定している。
【0022】
図6は、実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図5とは別な図である。この場合、図2と同様に閾値Aに対して閾値A2を設け、同様に閾値Bに対して閾値B2を設ける。この一定範囲の領域の閾値A〜閾値A2及び閾値B〜閾値B2に該当する行動の異常度を判定する。閾値A〜閾値A2、閾値B〜閾値B2の範囲で判定される異常行動、すなわち図5ではプロット501〜503、505〜507の異常行動が、特定の人物による場合、閾値Bを閾値B2に、また閾値Aを閾値A2に変更する。前者の閾値変更の判定には、図2と同様に閾値B〜閾値B2の範囲の異常行動が一定回数、図6の例ではプロット601〜603で3回判定された事をトリガにしている。また、後者の閾値変更の判定には、閾値A〜閾値A2の範囲の異常行動が一定回数、図6の例ではプロット605〜607で3回判定された事をトリガにしている。以上のようにして図5では異常行動と判定されなかったプロット501〜508が、閾値Bが閾値B2に、閾値Aが閾値A2に変更されることによって、図6のプロット604と608では異常行動と判定されるようにできる。
【実施例3】
【0023】
次に第三の実施例について図7を用いて説明する。
図7は実施例3の監視システムのブロック図である。701はレンズ、702は撮像素子、703はA/D変換部、704は画像処理部、705はCodec部、706は外部I/F部、707は異常検知部である。なお異常検知部707は図1の102〜106を含んでいる。
【0024】
はじめに図7を用いて、本撮像装置の流れを説明する。レンズ701を通過して入射した光は撮像素子702で光電変換され、A/D変換部703でデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された後のデータは、画像処理部704を経て異常検知部707に入力される。異常検知部707では入力された映像から異常度合いを検出し、その検出結果を用いて、特定人物に対する異常行動と判定した映像については、画像処理部704とCodec部705を次のように制御して処理する。即ち、人物特定が行いやすくなるように、異常行動時の映像については、記録映像のサイズを大きくして解像度を向上し、また映像のビットレートを高くする処理を行うように、画像処理部704とCodec部705を制御する。前記処理をされた映像データは、外部I/F部706から撮像装置の外部へ出力され、ネットワークなどの経路を経由して記録装置(監視レコーダ)やモニタ装置(図示せず)等へ伝送される。
【0025】
異常検知部707における異常検知方法は、実施例1や実施例2と同様で良いが、実施例3に関しては監視カメラに異常検知部707が含まれる点が異なる。通常はカメラで撮影された映像は全てを監視レコーダといった監視機器に転送されるが、監視カメラの映像の高画質化がますます進むと伝送路の帯域を効率よく利用することが求められ、現在でも異常が発生した際の映像だけを転送し、あるいは異常のあった部分の映像の画質を向上した映像を転送することなどが実施されている。実施例3によれば、異常検知部707が撮像装置に含まれる事から、異常時の映像のみならず異常行動の前兆となる映像もネットワーク経由でレコーダに記録できる。従って本実施例によれば異常行動に関する検知漏れが軽減されるため、異常時の映像が転送されず監視レコーダに記録されない事態を防ぐことができる。ここでは具体例としてレコーダがネットワーク接続されている例を説明したが、監視システム内部にレコーダを内蔵する構成としてもよい。
【実施例4】
【0026】
次に第四の実施例について図8、図9、図10を用いて説明する。
図8は、実施例4の監視システムのブロック図である。801は監視カメラ、802はネットワーク、803は監視レコーダ、804はストレージ、805はネットワークで接続された他の監視システム、806は現在の映像、807は他のエリアから取得している監視システムの例えば過去の映像である。
【0027】
図9は、実施例4の監視レコーダ803のブロック図である。901は閾値生成部、902は個人認証部、903は異常行動認識部、904は異常度比較部、905はデータベース検索部(以後、DB検索部)、906は異常通知部である。なお図9の901〜904と906は図1の102〜106と同様の構成であって良い。
【0028】
監視カメラ801で撮影された映像はネットワーク802を経由して監視レコーダ803に映像を送信し、監視レコーダ803で異常行動の判定を行う。また判定に応じて特定の人物を例えば過去の画像から検索を行うが、その際、実施例4では例えば806で示すような監視カメラ801からの情報だけでなく、他のエリアなどの監視システム805から該当する人物の映像807を取得することで、広範囲の映像データから異常行動に関する検索を行うことができる。
【0029】
次に、監視レコーダ803の異常行動の判定方法について図9を用いて説明する。
監視レコーダ803では実施例1の101〜103と同様に、個人認証部902で特定の人物を認証し、その特定の人物毎の異常行動を異常行動認識部903で検出する。そしてこの特定の人物の行動の異常度と、閾値生成部901によって定められた異常度の閾値レベルA及びA2を異常度比較部904で比較する。その際の閾値と特定の個人の異常度の関係を図10に示す。
【0030】
図10は、実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図である。
実施例4では図10で示すように現在の映像から判断された異常行動認識結果プロット1001が、閾値A〜閾値A2の間にある場合、プロット1001で異常行動と認識された特定人物を、DB検索部905が他のエリアの監視システムから取得した例えば過去映像情報807から探し出す。
過去の映像情報を探し出されたプロット1001の人物の閾値とその異常度の関係の例を図11に示す。
【0031】
図11は、実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図10とは別な図である。
図11の例では、同一の監視エリアでは連続して閾値A〜A2に該当する異常行動はない例であるため、実施例1では異常行動と判定しないが、実施例4では他のエリアの過去画像から異常行動認識部903で異常を判定する。このため、閾値A〜閾値A2に該当する異常行動が、他の監視エリア1からはプロット1101、1103、他の監視エリア2からはプロット1104、1106として検出されるので、これらの異常行動の頻度に応じてプロット1001の人物の行動を異常行動と判定する。なお本実施例では他のエリアから取得するデータは映像として説明しているが異常認識時に生成したメタデータであってもよい。
【0032】
以上の説明において、監視レコーダ803の有するDB検索部905は、他のエリアの監視システムから取得した過去映像情報807から特定の人物を検索するものとした。しかし、本実施例はこれに限定されるものではない。
例えば、他の監視システムから取得した現在の映像情報を検索しても良い。比較的近接して他の監視システムが設置されていれば、同じ人物が撮影される可能性がある。この場合、905を映像検索部と呼んでも良い。
また、監視システム自身が過去に取得した映像情報を検索しても良い。この場合、DB検索部905は過去に取得した映像情報を、ストレージ804から検索すると良い。
【実施例5】
【0033】
次に第五の実施例について図12を用いて説明する。
図12は、実施例5の監視システムのブロック図である。1201はレンズ、1202は撮像素子、1203はA/D変換部、1204は画像処理部、1205はCodec部、1206は外部I/F部、1207は異常検知部、1208はネットワークである。異常検知部1207は、図9の901〜905や異常検知部906と同様の構成要素を含む。また、ネットワーク1208を介して接続された監視カメラ1210、監視カメラ1211は、上記1201〜1207で構成されている監視カメラ1209と同様の構成で良い。
【0034】
実施例5の異常検知部1207の異常検知については実施例1と実施例2と同様で良く、また実施例3同様に監視カメラに異常検知部が含まれる。
本撮像装置の流れは、実施例3、図7と同様、撮影された映像は画像処理部1204を経て異常検知部1207に入力される。異常検知部1207の異常検知については実施例1や実施例2と同様であるが、実施例5に関しては監視カメラに異常検知部1207が含まれ、異常時の映像のみならず異常行動の前兆となる映像もネットワーク経由でレコーダに記録できる。従って本実施例によれば異常行動に関する検知漏れが軽減されるため、異常時の映像が転送されず監視レコーダに記録されない事態を防いでいる。
【0035】
更に、実施例5では、監視カメラ1209で異常検知に用いるデータは監視カメラ1209で撮影した映像だけでなく、ネットワークを介した監視カメラ1210や1211といった他の監視カメラが撮影した、または撮影中の映像を例えばネットワーク接続された他の監視カメラやレコーダからネットワーク経由で取得し、異常検知を行う事が可能である。また本実施例では他の監視カメラから取得するデータは映像としているが、異常認識時に生成したメタデータであってもよい。
【0036】
これまで説明した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、監視カメラや監視システムのブロック構成、異常を判定する際の閾値の設定方法をはじめとして、他の実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0037】
101:カメラ、102:閾値判定部、103:個人認証部、104:異常行動認識部、105:異常度比較部、106:異常行動通知部、107:102〜106で構成された監視装置、108:ネットワーク、701:レンズ、702:撮像素子、703:A/D変換部、704:画像処理部、705:Codec部、706:外部I/F部、707:異常検知部、801:監視カメラ、802:ネットワーク、803:監視レコーダ、804:ストレージ、805:ネットワークで接続された他の監視システム、806:現在の映像、807:他のエリアから取得する監視システムの過去の映像、901:閾値生成部、902:個人認証部、903:異常行動認識部、904:異常度比較部、905:データベース検索部、906:異常通知部、1201:レンズ、1202:撮像素子、1203:A/D変換部、1204:画像処理部、1205:Codec部、1206:外部I/F部、1207:異常検知部、1208:ネットワーク、1210:監視カメラ、1211:監視カメラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は監視装置、及び監視システムに係り、特に異常行動の検知漏れを低減した監視装置、及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景として特許文献1がある。該公報には、「監視カメラの映像信号を利用した異常監視装置の監視領域設定、演算関数設定などの異常監視条件を、監視カメラの設置現場から、容易に設定出来る画像監視領域の設定方法および異常監視システムの提案」という課題に対して、「監視対象を撮像する監視カメラ1と、映像信号をデジタル画像データに変換生成する画像データ生成手段10、監視領域を設定する監視領域設定部11、監視領域の画像データを演算する画像データ演算部12、画像データ演算部が用いる演算関数を設定する演算関数設定部13、画像演算結果を所定の閾値と比較演算して異常判断を行う異常判断部14、閾値を選択する閾値選択部15、異常判断部14が異常と判断した場合、異常を通知出力する異常通知部16などを有する異常監視装置2と、監視領域の指示を行う領域指示ポインタ」という解決手段を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−6058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今後の普及が見込まれるIPカメラ、ネットワークカメラと称される監視カメラにおいては、映像データの高精細化などによりデータサイズが拡大する事によりネットワーク負荷の低減が必要であり、異常行動を検出した映像データだけを監視カメラから異常監視装置に伝送することが必要となってくる。そのためには特許文献1に記載されている異常監視機能を監視カメラ本体に有することで、異常と判断した映像のみを伝送しネットワーク負荷を改善する事が可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の異常監視装置は閾値選択部15を有するが、その選択部15によって設定される閾値は模擬侵入者などを撮像した画像データを用いて、異常判断閾値が演算出力されるとある。この方法で、映像から確実に異常と判断できる異常行動の検出は可能であるが、異常行動の判定閾値以下の侵入者や異常行動を起こす直前の行動といった異常行動の前兆となる行動を検知することができない。
本発明の目的は前記した課題に鑑み、異常行動の検知漏れを低減した監視装置、及び監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明は、被写体の異常な行動を監視する監視装置であって、
前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部と、該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には外部の装置に対して異常を通知する異常通知部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴としている。
【0007】
また本発明は、被写体の異常な行動を監視する監視システムであって、
前記被写体を撮像しデジタル信号に変換する撮像部と、該撮像部から供給された前記デジタル信号のビットレートを変換する画像処理部と、該画像処理部から供給されたビットレート変換後のデジタル信号を前記監視システムの外部へ送出する外部インタフェース部と、前記画像処理部におけるビットレート変換動作を制御する異常検知部を有し、
該異常検知部は、
前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減し、
該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には、前記画像処理部においてビットレート変換された後の前記デジタル信号のビットレートを増加させるよう前記画像処理部を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異常行動の検知漏れを低減した監視装置、及び監視システムを提供でき、その基本性能の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例である監視システムのブロック図である。
【図2】実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図3】実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図4】実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図5】実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図6】実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図7】実施例3の監視システムのブロック図である。
【図8】実施例4の監視システムのブロック図である。
【図9】実施例4の監視レコーダのブロック図である。
【図10】実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図11】実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図である。
【図12】実施例5の監視システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一実施例である監視システムのブロック図である。101はカメラ、102は閾値生成部、103は個人認証部、104は異常行動認識部、105は異常度比較部、106は異常行動通知部、107は102〜106を含む監視装置、108はネットワークである。はじめに図1から図4を用いて、本監視システムの流れを説明する。
図1において、カメラ101から映像信号がネットワーク108で示される伝送路を経由して監視装置107に入力される。
【0012】
監視装置107は、入力された映像信号から個人認証部103で特定の個人を認証し、その特定の個人毎の異常行動を異常行動認識部104で認識する。即ち、個人認証部103は異常行動認識部104から供給された映像信号から、例えば色や形状をもとに人の目、鼻、口を検出し、それらの大きさやバランスから特定の個人を認証する。さらに、異常行動認識部104は、同じ位置に長く留まる、一点を見つめる、あばれるなど場所に不相応な異常行動を特定の個人毎に認識して、行動の異常度を求める。さらに閾値生成部102は、異常行動認識部104からの要求に応じて、行動の異常度の閾値レベルを決定する。
【0013】
異常認識部104で判定された特定の個人の異常度と、閾値生成部102によって定められた異常度の閾値を異常度比較部105において、別途図2で説明する方法で比較し、異常と判断された場合に異常通知部106より異常があったことの通知が、ネットワーク108を介して監視者がモニタする異常監視装置(図示せず)に対して行われる。
【0014】
図2は、実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図であり、横軸に時刻、縦軸に異常行動認識部104において得られる異常判断による異常度を示す。図2は、映像から得られる特定の人物の行動と、行動の異常を判定する閾値の関係を示す。プロットされた丸印はある時刻の画像から得た行動の異常度を示しており、白い丸印は閾値A以下と判定された行動の異常度を示している。黒い丸印は閾値A以上と判定された行動の異常度を示している。縦軸は上に行くほど異常度が高い状態を示しており、黒い丸印は異常行動として検出された行動を示している。
【0015】
なお、例えば図2では異常と判定する閾値として閾値Aを設けているが、この閾値の決定方法としては、過去に撮影された異常行動画像を用いて算出する方法や、特許文献1の「設定される閾値は模擬侵入者などを撮像した画像データを用いて、異常判断閾値が演算出力される」という方法から求める事ができる。
【0016】
ここで図2のような閾値Aと、プロット201〜209のような行動の異常度が得られた場合、従来の制御では異常行動と判定される行動は、プロット209のみとなり、プロット201〜204とプロット205〜208は異常行動と判定されない。特にプロット205〜208は閾値Aとの差がごく僅かであるにもかかわらず異常行動とは判定されない。また、閾値の設定が図2の閾値A’であった場合は、プロット209は閾値A’との差がごく僅かであるにもかかわらず、プロット209を含め全てのプロット201〜209が異常行動とは判定されないことになる。このため、異常行動を起こす直前の行動といった異常行動の前兆となる行動を検知することができない場合がある。
【0017】
図3は、実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図2とは別な図である。そこで本実施例では図3で示すように閾値A2を設け、閾値Aから一定範囲の領域の閾値A〜閾値A2に該当する行動の異常度を判定する。この時、閾値A〜閾値A2の範囲で判定されるプロット305〜308で示す異常行動が特定の人物による場合、閾値Aを閾値A2に変更する。この閾値変更の判定には閾値A〜A2の範囲の異常行動が一定回数、図3で示したように例えば3回判定された事をトリガにしている。以上のように特定人物の異常行動を判定する事で、図2で示した閾値変更前は異常行動と判定されなかったプロット205〜208については、図3で閾値Aが閾値A2に変更された後、プロット308が異常行動として判定される。
【0018】
図4は、実施例1の異常度を判定する閾値を説明する図2や図3とは別な図である。ここで、異常行動の判定を特定の人物とした理由を図4で説明する。図4では、例えば4人の(一例であって、一般的には不特定多数で良い)人物A〜人物Dが異常行動でない通常行動を行うとする。但し、ごくまれに通常の行動が異常行動と判定される場合を想定し、人物Aの行動が偶然に異常行動ぎりぎりのプロット401となり、同様に人物B〜人物Dの行動も閾値Aと閾値A2の間となる異常行動ぎりぎりの行動であるプロット402〜404になったとする。すると閾値A〜閾値A2に該当する異常行動が、まずプロット401〜403で3回連続して判定される。
【0019】
そのため人物を特定せずに判定を行った場合には、異常行動の判定閾値Aを閾値A2に変えることで、人物Dの通常行動であったプロット404が異常行動と判定される誤判定してしまう。そこで本実施例では図4に対してさらに改良して、図1の個人認証部103で特定の個人を認証したうえで個人ごとに異常行動の判定を行う。例えば、特定の人物Aに対する判定閾値は人物Aが3回、閾値Aと閾値A2の間となる行動をした際に、異常行動の判定閾値Aを閾値A2に変えるようにする。人物を特定して異常行動の判定を行うことで、前記したような通常行動が異常行動と判定される事や、異常行動と判定されないよう意識的に控え目な行動をした時に異常行動に近い行動を見逃す事などが低減され、精度良い異常行動の判断が可能となる。
【0020】
なお、図3と図4において、閾値生成部102が閾値をAからA2に変更する際は、異常行動と判定された回数に応じて行うことに限らず、異常行動を続けた期間(時間)に応じて変更するようにしても良い。
また、異常の判定については、監視装置で撮像した映像を用いて判定する例を示した。これに限らず、撮像された人物が発生する音、音声、赤外線、圧力、振動等をセンサで検出して異常の判定を行っても良い。
【実施例2】
【0021】
次に第二の実施例として、異常行動を判断する閾値を時間帯に応じて変化させる場合を示す。
図5は、実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図である。図5では、時刻0時〜9時を閾値Bとし、時刻9時〜24時を閾値Aとしている。即ち、時刻0時〜9時の深夜帯は異常行動の閾値を低くして、時刻9時〜24時の昼間帯の閾値を高く設定している。この例では深夜帯は異常行動を行った場合、その行動が目立つと言うことから異常行動者が自身の行動が異常行動とならないように注意している事を想定している。
【0022】
図6は、実施例2の異常度を判定する閾値を説明する図5とは別な図である。この場合、図2と同様に閾値Aに対して閾値A2を設け、同様に閾値Bに対して閾値B2を設ける。この一定範囲の領域の閾値A〜閾値A2及び閾値B〜閾値B2に該当する行動の異常度を判定する。閾値A〜閾値A2、閾値B〜閾値B2の範囲で判定される異常行動、すなわち図5ではプロット501〜503、505〜507の異常行動が、特定の人物による場合、閾値Bを閾値B2に、また閾値Aを閾値A2に変更する。前者の閾値変更の判定には、図2と同様に閾値B〜閾値B2の範囲の異常行動が一定回数、図6の例ではプロット601〜603で3回判定された事をトリガにしている。また、後者の閾値変更の判定には、閾値A〜閾値A2の範囲の異常行動が一定回数、図6の例ではプロット605〜607で3回判定された事をトリガにしている。以上のようにして図5では異常行動と判定されなかったプロット501〜508が、閾値Bが閾値B2に、閾値Aが閾値A2に変更されることによって、図6のプロット604と608では異常行動と判定されるようにできる。
【実施例3】
【0023】
次に第三の実施例について図7を用いて説明する。
図7は実施例3の監視システムのブロック図である。701はレンズ、702は撮像素子、703はA/D変換部、704は画像処理部、705はCodec部、706は外部I/F部、707は異常検知部である。なお異常検知部707は図1の102〜106を含んでいる。
【0024】
はじめに図7を用いて、本撮像装置の流れを説明する。レンズ701を通過して入射した光は撮像素子702で光電変換され、A/D変換部703でデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された後のデータは、画像処理部704を経て異常検知部707に入力される。異常検知部707では入力された映像から異常度合いを検出し、その検出結果を用いて、特定人物に対する異常行動と判定した映像については、画像処理部704とCodec部705を次のように制御して処理する。即ち、人物特定が行いやすくなるように、異常行動時の映像については、記録映像のサイズを大きくして解像度を向上し、また映像のビットレートを高くする処理を行うように、画像処理部704とCodec部705を制御する。前記処理をされた映像データは、外部I/F部706から撮像装置の外部へ出力され、ネットワークなどの経路を経由して記録装置(監視レコーダ)やモニタ装置(図示せず)等へ伝送される。
【0025】
異常検知部707における異常検知方法は、実施例1や実施例2と同様で良いが、実施例3に関しては監視カメラに異常検知部707が含まれる点が異なる。通常はカメラで撮影された映像は全てを監視レコーダといった監視機器に転送されるが、監視カメラの映像の高画質化がますます進むと伝送路の帯域を効率よく利用することが求められ、現在でも異常が発生した際の映像だけを転送し、あるいは異常のあった部分の映像の画質を向上した映像を転送することなどが実施されている。実施例3によれば、異常検知部707が撮像装置に含まれる事から、異常時の映像のみならず異常行動の前兆となる映像もネットワーク経由でレコーダに記録できる。従って本実施例によれば異常行動に関する検知漏れが軽減されるため、異常時の映像が転送されず監視レコーダに記録されない事態を防ぐことができる。ここでは具体例としてレコーダがネットワーク接続されている例を説明したが、監視システム内部にレコーダを内蔵する構成としてもよい。
【実施例4】
【0026】
次に第四の実施例について図8、図9、図10を用いて説明する。
図8は、実施例4の監視システムのブロック図である。801は監視カメラ、802はネットワーク、803は監視レコーダ、804はストレージ、805はネットワークで接続された他の監視システム、806は現在の映像、807は他のエリアから取得している監視システムの例えば過去の映像である。
【0027】
図9は、実施例4の監視レコーダ803のブロック図である。901は閾値生成部、902は個人認証部、903は異常行動認識部、904は異常度比較部、905はデータベース検索部(以後、DB検索部)、906は異常通知部である。なお図9の901〜904と906は図1の102〜106と同様の構成であって良い。
【0028】
監視カメラ801で撮影された映像はネットワーク802を経由して監視レコーダ803に映像を送信し、監視レコーダ803で異常行動の判定を行う。また判定に応じて特定の人物を例えば過去の画像から検索を行うが、その際、実施例4では例えば806で示すような監視カメラ801からの情報だけでなく、他のエリアなどの監視システム805から該当する人物の映像807を取得することで、広範囲の映像データから異常行動に関する検索を行うことができる。
【0029】
次に、監視レコーダ803の異常行動の判定方法について図9を用いて説明する。
監視レコーダ803では実施例1の101〜103と同様に、個人認証部902で特定の人物を認証し、その特定の人物毎の異常行動を異常行動認識部903で検出する。そしてこの特定の人物の行動の異常度と、閾値生成部901によって定められた異常度の閾値レベルA及びA2を異常度比較部904で比較する。その際の閾値と特定の個人の異常度の関係を図10に示す。
【0030】
図10は、実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図である。
実施例4では図10で示すように現在の映像から判断された異常行動認識結果プロット1001が、閾値A〜閾値A2の間にある場合、プロット1001で異常行動と認識された特定人物を、DB検索部905が他のエリアの監視システムから取得した例えば過去映像情報807から探し出す。
過去の映像情報を探し出されたプロット1001の人物の閾値とその異常度の関係の例を図11に示す。
【0031】
図11は、実施例4の異常度を判定する閾値を説明する図10とは別な図である。
図11の例では、同一の監視エリアでは連続して閾値A〜A2に該当する異常行動はない例であるため、実施例1では異常行動と判定しないが、実施例4では他のエリアの過去画像から異常行動認識部903で異常を判定する。このため、閾値A〜閾値A2に該当する異常行動が、他の監視エリア1からはプロット1101、1103、他の監視エリア2からはプロット1104、1106として検出されるので、これらの異常行動の頻度に応じてプロット1001の人物の行動を異常行動と判定する。なお本実施例では他のエリアから取得するデータは映像として説明しているが異常認識時に生成したメタデータであってもよい。
【0032】
以上の説明において、監視レコーダ803の有するDB検索部905は、他のエリアの監視システムから取得した過去映像情報807から特定の人物を検索するものとした。しかし、本実施例はこれに限定されるものではない。
例えば、他の監視システムから取得した現在の映像情報を検索しても良い。比較的近接して他の監視システムが設置されていれば、同じ人物が撮影される可能性がある。この場合、905を映像検索部と呼んでも良い。
また、監視システム自身が過去に取得した映像情報を検索しても良い。この場合、DB検索部905は過去に取得した映像情報を、ストレージ804から検索すると良い。
【実施例5】
【0033】
次に第五の実施例について図12を用いて説明する。
図12は、実施例5の監視システムのブロック図である。1201はレンズ、1202は撮像素子、1203はA/D変換部、1204は画像処理部、1205はCodec部、1206は外部I/F部、1207は異常検知部、1208はネットワークである。異常検知部1207は、図9の901〜905や異常検知部906と同様の構成要素を含む。また、ネットワーク1208を介して接続された監視カメラ1210、監視カメラ1211は、上記1201〜1207で構成されている監視カメラ1209と同様の構成で良い。
【0034】
実施例5の異常検知部1207の異常検知については実施例1と実施例2と同様で良く、また実施例3同様に監視カメラに異常検知部が含まれる。
本撮像装置の流れは、実施例3、図7と同様、撮影された映像は画像処理部1204を経て異常検知部1207に入力される。異常検知部1207の異常検知については実施例1や実施例2と同様であるが、実施例5に関しては監視カメラに異常検知部1207が含まれ、異常時の映像のみならず異常行動の前兆となる映像もネットワーク経由でレコーダに記録できる。従って本実施例によれば異常行動に関する検知漏れが軽減されるため、異常時の映像が転送されず監視レコーダに記録されない事態を防いでいる。
【0035】
更に、実施例5では、監視カメラ1209で異常検知に用いるデータは監視カメラ1209で撮影した映像だけでなく、ネットワークを介した監視カメラ1210や1211といった他の監視カメラが撮影した、または撮影中の映像を例えばネットワーク接続された他の監視カメラやレコーダからネットワーク経由で取得し、異常検知を行う事が可能である。また本実施例では他の監視カメラから取得するデータは映像としているが、異常認識時に生成したメタデータであってもよい。
【0036】
これまで説明した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、監視カメラや監視システムのブロック構成、異常を判定する際の閾値の設定方法をはじめとして、他の実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0037】
101:カメラ、102:閾値判定部、103:個人認証部、104:異常行動認識部、105:異常度比較部、106:異常行動通知部、107:102〜106で構成された監視装置、108:ネットワーク、701:レンズ、702:撮像素子、703:A/D変換部、704:画像処理部、705:Codec部、706:外部I/F部、707:異常検知部、801:監視カメラ、802:ネットワーク、803:監視レコーダ、804:ストレージ、805:ネットワークで接続された他の監視システム、806:現在の映像、807:他のエリアから取得する監視システムの過去の映像、901:閾値生成部、902:個人認証部、903:異常行動認識部、904:異常度比較部、905:データベース検索部、906:異常通知部、1201:レンズ、1202:撮像素子、1203:A/D変換部、1204:画像処理部、1205:Codec部、1206:外部I/F部、1207:異常検知部、1208:ネットワーク、1210:監視カメラ、1211:監視カメラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の異常な行動を監視する監視装置であって、
前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、
前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、
前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部と、
該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には外部の装置に対して異常を通知する異常通知部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置において、
他の監視装置が撮像中の人物の映像をネットワークを介して検索する映像検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記映像検索部で検索された他の監視装置が撮像中の人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記映像検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【請求項3】
被写体の異常な行動を監視する監視システムであって、
前記被写体を撮像しデジタル信号に変換する撮像部と、
該撮像部から供給された前記デジタル信号のビットレートを変換する画像処理部と、
該画像処理部から供給されたビットレート変換後のデジタル信号を前記監視システムの外部へ送出する外部インタフェース部と、
前記画像処理部におけるビットレート変換動作を制御する異常検知部を有し、
該異常検知部は、
前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、
前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、
前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部
を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減し、
該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には、前記画像処理部においてビットレート変換された後の前記デジタル信号のビットレートを増加させるよう前記画像処理部を制御することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項3に記載の監視システムにおいて、
前記異常検知部は、前記外部インタフェース部を介して他の監視装置が撮像中の人物の映像を検索する映像検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記映像検索部で検索された他の監視システムが撮像中の人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記映像検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項3に記載の監視システムにおいて、
前記異常検知部は、前記外部インタフェース部を介して他の監視システムが過去に撮像した人物の映像を検索するデータベース検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記データベース検索部で検索された他の監視システムが過去に撮像した人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記データベース検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項1に記載の監視装置であって、
過去に供給された人物の映像を格納する格納部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記格納部に格納された過去に供給された人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記格納部に格納されていた場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【請求項7】
請求項1に記載の監視装置であって、
他の監視装置が過去に供給された人物の映像を参照するデータベース検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記データベース検索部で検索された他の監視装置が過去に供給された人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記データベース検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【請求項1】
被写体の異常な行動を監視する監視装置であって、
前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、
前記被写体を撮像した映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、
前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部と、
該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には外部の装置に対して異常を通知する異常通知部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置において、
他の監視装置が撮像中の人物の映像をネットワークを介して検索する映像検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記映像検索部で検索された他の監視装置が撮像中の人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記映像検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【請求項3】
被写体の異常な行動を監視する監視システムであって、
前記被写体を撮像しデジタル信号に変換する撮像部と、
該撮像部から供給された前記デジタル信号のビットレートを変換する画像処理部と、
該画像処理部から供給されたビットレート変換後のデジタル信号を前記監視システムの外部へ送出する外部インタフェース部と、
前記画像処理部におけるビットレート変換動作を制御する異常検知部を有し、
該異常検知部は、
前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物を特定する個人認証部と、
前記撮像部が撮像した前記被写体の映像が供給され該映像が含む人物の行動の異常度を検出する異常行動認識部と、
前記個人認証部で特定された人物に応じて前記行動の異常度の閾値を定める閾値生成部と、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度と前記閾値生成部が定めた前記閾値を比較し前記人物の異常行動の有無を判定する異常度比較部
を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合が所定の回数を重ねた場合には、又は/及び、所定の期間継続した場合には、前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減し、
該異常度比較部が前記人物の異常行動が有ると判定した場合には、前記画像処理部においてビットレート変換された後の前記デジタル信号のビットレートを増加させるよう前記画像処理部を制御することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項3に記載の監視システムにおいて、
前記異常検知部は、前記外部インタフェース部を介して他の監視装置が撮像中の人物の映像を検索する映像検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記映像検索部で検索された他の監視システムが撮像中の人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記映像検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項3に記載の監視システムにおいて、
前記異常検知部は、前記外部インタフェース部を介して他の監視システムが過去に撮像した人物の映像を検索するデータベース検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記データベース検索部で検索された他の監視システムが過去に撮像した人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記データベース検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項1に記載の監視装置であって、
過去に供給された人物の映像を格納する格納部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記格納部に格納された過去に供給された人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記格納部に格納されていた場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【請求項7】
請求項1に記載の監視装置であって、
他の監視装置が過去に供給された人物の映像を参照するデータベース検索部を有し、
前記異常行動認識部が検出した行動の異常度が、前記閾値生成部が生成した前記閾値よりも所定範囲内で小さい場合には、
前記個人認証部は、前記データベース検索部で検索された他の監視装置が過去に供給された人物の映像を参照し、
該当する人物の映像が前記データベース検索部で検索された場合には、
前記閾値生成部は、前記閾値を所定量低減することを特徴とする監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−4720(P2012−4720A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136090(P2010−136090)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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